JP2007229046A - 磁場補正装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】磁場発生手段により発生される磁場空間の分布を均一に補正するための磁場補正装置10において、所定のコイルパターン21a,21bが形成されたフレキシブル配線板20の両端部同士をその上下面が共に面一となるように突き合わせして円筒形に形成した。フレキシブル配線板20は、円筒形にされた状態で、中心軸に交差する方向に試料挿入用の開口部20A,20Bが設けられる。フレキシブル配線板20は複数枚積層される。
【選択図】図2
Description
一方、磁場発生用マグネットが中心軸に直交する平面で二つに分割されて配置されたスプリット型の核磁気共鳴装置が開発されている。この核磁気共鳴装置では、磁場発生用マグネットが水平方向に設置されており、分割してできた磁場発生用マグネット間の隙間を利用して試料を挿入することが考えられている(特許文献1参照)。
(第1実施形態)
図1(a)に示すように、本実施形態の磁場補正装置10が適用される核磁気共鳴装置Sは、中心軸Oに沿って水平方向に形成された第1アクセスポート1と、この第1アクセスポート1に直交するように鉛直方向に形成された第2アクセスポート2とを備えて構成され、これらの第1アクセスポート1と第2アクセスポート2とが交差する部分の周囲に、磁場発生部3が設けられている。磁場発生部3は、図1(b)に示すように、前記した交差する部分を挟んで中心軸O周りに、ソレノイド状に巻回されて形成された超伝導磁石3A,3Bを備えている。そして、磁場補正装置10は、これらの超伝導磁石3A,3Bの内側に形成される計測空間に配置される(図1(a)参照)。本実施形態では、磁場強度を増すために各超伝導磁石3A,3Bが層状にされて多層配置されている。なお、超伝導磁石3A,3Bは、中心軸O方向に連結して一体化した構造としてもよい。
コイルパターン21a,21bには、磁場を補正するための図示しないコイルが複数形成されており、磁場補正装置10は、これらのコイルパターン21a,21bによって種々の方向の磁場を形成し、核磁気共鳴装置Sへの組み付け時にその外側に配置されることとなる超伝導磁石3A,3B(図2(b)参照)が作りだす磁場(主磁場)の乱れた部分を、あらゆる方向から補正するように機能する。なお、本実施形態では、コイルパターン21a,21bがフレキシブル配線板20の両面に設けられている。
各コイルパターン21a,21bは、図3に示すように、独立通電可能に設けられており、フレキシブル配線板20の片側部に給電用端子26,27が設けられている。
なお、注入孔25は、フレキシブル配線板20ごとに異なった位置に設けられている。
(1)本実施形態では、所定のコイルパターン21a,21bが形成されたフレキシブル配線板20の端部22,23同士をその上下面が共に面一となるように突き合わせして円筒形に形成したので、フレキシブル配線板20の突き合わせ部分で段差が生じなくなり、円筒形の径方向に精度よく所定のコイルパターン21a,21bが配置されるようになる。したがって、超伝導磁石3A,3Bが作りだす磁場(主磁場)の乱れた部分を好適に補正することができる。
(2)フレキシブル配線板20は、中心軸O方向の左右対称となる位置に、コイルパターン21a,21bが形成されており、これらのコイルパターン21a,21bは、フレキシブル配線板20が円筒形にされた状態において、上下方向(鉛直方向)にも図示しないコイルが対称となるように予めコイルの位置が規定された構成となっているので、第1アクセスポート1と第2アクセスポート2との交差する部位を中心として上下方向および左右方向のいずれの方向に対してもコイルが対称に位置することとなり、超伝導磁石3A,3Bが作りだす磁場の乱れた部分を好適に補正することができる。
(3)フレキシブル配線板20は、中心軸Oに沿って左右対称に設けられたコイルパターン21a,21bが独立通電可能に複数対設けられているので、スプリット型の核磁気共鳴装置Sに好適に用いることができる。また、一対のコイルパターン21a,21b間の空いたスペースを利用してサンプル管SAを挿入するための開口部20A,20Bを形成することができる。なお、開口部20A,20Bは、いずれか一方のみ設けてもよい。
(4)フレキシブル配線板20は、径方向に複数枚積層されるようになっているので、所定のコイルパターン21a,21bを径方向に層状に設けることができ、超伝導磁石3A,3Bが作りだす磁場の乱れた部分をより一層好適に補正することができる。
(5)フレキシブル配線板20は、ボビンBに1枚ずつ巻回されて円筒形に形成されるようになっているので、精度よく円筒形を形成することができ、フレキシブル配線板20の端部22,23同士の上下面が共に面一となるように突き合わせして接合されることと相俟って、真円性に優れた磁場補正空間を有する磁場補正装置10が得られる。
(6)フレキシブル配線板20は、接着剤の注入孔25を備えており、複数枚積層された状態で注入孔25が互いに位置をずらして配置されるようになっているので、フレキシブル配線板20が積層された状態で、注入孔25内には下に積層されるフレキシブル配線板20の基板面が臨む状態となり、接着剤による接着固定を良好に行うことができる。
(7)複数枚積層されるフレキシブル配線板20は、径方向の外側に積層されるフレキシブル配線板20の周長が径方向の内側に配置されるフレキシブル配線板20の周長よりも、径方向の厚み分を含んで長く形成されているので、複数枚積層される構造でありながら端部22,23同士をその上下面が共に面一となるように突き合わせして接続することができ、コイルパターン21a,21bの対称性に優れた磁場補正装置10が得られる。
(8)コイルパターン21a,21bは、フレキシブル配線板20の両面に形成されているので、フレキシブル配線板20の1枚あたりのコイルの数を倍増させることができ、磁場の補正能力に優れた磁場補正装置10が得られる。なお、コイルパターン21a,21bは、両面に同一のパターンで形成する必要はなく、異なるパターンで形成してもよい。また、両面でコイルの数を異ならせてもよい。このようにすることで、より少ない枚数のフレキシブル配線板20で磁場補正装置10を構成することができる。さらに、径方向の厚みを薄くできるという利点も得られる。
第2実施形態の磁場補正装置は、図4に示すように、フレキシブル配線板20の一端部22に凸部22aが形成され、また、この凸部22aが嵌まり込む凹部23aが他端部23に形成されている。
このようなフレキシブル配線板20を備えた磁場補正装置では、前記した効果(1)〜(8)に加えて次のような効果が得られる。
(9)フレキシブル配線板20を円筒形に形成する際に、凸部22aを凹部23aに嵌め合わせることで、端部22,23同士が中心軸O方向(図1(a)参照、以下同じ)にずれのない状態で突き合わせることができる。
これにより、中心軸O方向にコイルパターン21a,21bを精度よく配置することができ、超伝導磁石3A,3B(図2(b)参照)が作りだす磁場の乱れた部分を好適に補正することができる。
第3実施形態の磁場補正装置は、図5に示すように、フレキシブル配線板20の両側部に給電用端子26,27が設けられており、また、図6に示した配線板30を用いて、フレキシブル配線板20の一側部から他側部へ給電用配線が引き回される構成としてある。
図6に示すように、配線板30は、フレキシブル配線板20と略同様の大きさに形成されており、ボビンB(図2(a)参照)の図示しないピン等が挿通される挿通孔31が形成されている。また、接着剤の注入孔35も適宜形成されている。
配線板30は、一側部側に設けられた複数の接続端子32と、他側部側に設けられた複数の出力端子33と、これらの接続端子32と出力端子33との間をそれぞれ接続する導線34とを備えている。また、配線板30には、フレキシブル配線板20の開口部20A,20B(図5参照)に対応する位置に、これらと連通可能な開口部30A,30Bが形成されている。
(10)フレキシブル配線板20の両側部に給電用端子26,27が設けられているので、コイルパターン21a,21bにより磁場の補正が行われる領域から外れた部分で電力の供給を行うことができ、コイルパターン21a,21bにより形成される磁場に影響を及ぼすことがない。したがって、超伝導磁石3A,3Bが作りだす磁場の乱れた部分を好適に補正することができる。
(11)コイルパターン21bから給電用端子26までの配線距離を短くすることができ、配線が短くなった分、フレキシブル配線板20上のコイルパターン21a,21bの形成個数を増加させることも可能となる。したがって、補正の能力をより高めることができる。
(12)配線板30は、フレキシブル配線板20の一側部から他側部へ給電用配線を引き回すようになっているので、コイルパターン21a,21bが中心軸O方向に分離されて形成されている構成でありながら、各フレキシブル配線板20への電力の供給を他側部(片側)からまとめて行うことができる。これにより、メンテナンスや故障診断等の作業も行い易くなる。
円筒形の周方向にずれた位置となるようにした構成では、周方向の略同一箇所に応力が集中することが防止されるようになり、剛性を向上させることができる。また、突き合わせ位置がずれた位置となるので、接着剤の注入孔25および給電用端子26をフレキシブル配線板20ごとに異なる位置に設けなくてもよい。したがって製造コストを低減できる。
2 第2アクセスポート
10 磁場補正装置
20 フレキシブル配線板
20A 開口部
20B 開口部
21a,21b コイルパターン
22,23 端部
25 注入孔
26,27 給電用端子
30 配線板
32 接続端子
33 出力端子
34 導線
B ボビン
O 中心軸
S 核磁気共鳴装置
Claims (14)
- 磁場発生手段により発生される磁場空間の分布を均一に補正するための磁場補正装置において、
所定のコイルパターンが形成されたフレキシブル配線板の両端部同士をその上下面が共に面一となるように突き合わせして円筒形に形成したことを特徴とする磁場補正装置。 - 前記フレキシブル配線板は、円筒形にされた状態で、中心軸方向に対称に所定の前記コイルパターンが独立通電可能に複数対設けられていることを特徴とする請求項1に記載の磁場補正装置。
- 前記フレキシブル配線板は、円筒形にされた状態で、中心軸に交差する方向に試料挿入用の開口部が少なくともひとつ設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の磁場補正装置。
- 前記フレキシブル配線板は、両端部の突き合わせ部分に、相互に嵌合する凹部および凸部が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の磁場補正装置。
- 前記フレキシブル配線板は、ボビンに巻回されて円筒形を呈し、前記ボビンには、前記フレキシブル配線板を位置決めするためのピンが突設されているとともに、前記フレキシブル配線板には前記ピンが挿通される位置決め孔が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の磁場補正装置。
- 前記フレキシブル配線板は、円筒形の径方向に複数枚積層されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の磁場補正装置。
- 複数枚積層された前記フレキシブル配線板は、前記ボビンが取り外された状態で円筒形を保持することを特徴とする請求項6に記載の磁場補正装置。
- 前記フレキシブル配線板は、接着剤の注入孔を備えており、複数枚積層された状態で前記注入孔が互いに位置をずらして配置されることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の磁場補正装置。
- 複数枚積層される前記フレキシブル配線板は、径方向の外側に積層される前記フレキシブル配線板の周長が、径方向の内側に配置される前記フレキシブル配線板の周長よりも、径方向の厚み分を含んで長く形成されていることを特徴とする請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の磁場補正装置。
- 複数枚積層される前記フレキシブル配線板は、各突き合せ位置が円筒形の周方向にずれていることを特徴とする請求項6から請求項9のいずれか1項に記載の磁場補正装置。
- 所定の前記コイルパターンは、前記フレキシブル配線板の両面に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の磁場補正装置。
- 前記フレキシブル配線板は、円筒形の中心軸方向の片側部に給電用端子を有することを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の磁場補正装置。
- 前記フレキシブル配線板は、円筒形の中心軸方向の両側部に給電用端子を有することを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の磁場補正装置。
- 前記給電用端子に接続される給電用配線手段を備え、前記給電用配線手段は、両側部の前記給電用端子のうち、一側部の前記給電用端子に接続されて前記一側部から他側部へ給電用配線を引き回すことを特徴とする請求項13に記載の磁場補正装置。
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