JP2007227409A - 窒化ガリウム系トランジスタとその製造方法 - Google Patents

窒化ガリウム系トランジスタとその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】オーミック電極におけるコンタクト抵抗を低減させることが可能な窒化ガリウム系トランジスタとその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明によれば,基板上に積層される窒化ガリウム層と,上記窒化ガリウム層上に積層される窒化アルミニウムガリウム層とを含み,上記窒化アルミニウムガリウム層の一部もしくは全体に,複数の開口溝が形成され,上記複数の開口溝のうち少なくとも2以上を充塞し,かつ当該充塞した開口溝を電気的に導通させるオーミック電極を備える窒化ガリウム系トランジスタとその製造方法が提供される。かかるオーミック電極を有する窒化ガリウム系トランジスタは,オーミック電極のコンタクト面積が大きくなるため,コンタクト抵抗を低減させることが可能となる。
【選択図】図1A

Description

本発明は,窒化ガリウム系トランジスタとその製造方法に関し,さらに詳細には,オーミック電極におけるコンタクト抵抗が低減された窒化ガリウム系高電子移動度トランジスタとその製造方法に関する。
近年,化合物半導体を用いた電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor:FET)が盛んに研究されており,金属−半導体電界効果トランジスタ(MEtal−Semiconductor FET:MESFET)や,変調ドープ電界効果トランジスタ(MOdulation−Doped FET:MODFET)など,様々な形態のFETが提案されている。
その中でも,MODFETは,高電子移動度トランジスタ(High Electron Mobility Transistor:HEMT)とも呼ばれ,高速動作が可能なトランジスタとして注目を集めており,ガリウム−アルミニウム−ヒ素(GaAlAs)とガリウム−ヒ素(GaAs)とを接合させた高電子移動度トランジスタが開発されている。
窒化物半導体,特に,窒化ガリウム(GaN)のバンドギャップは,GaAsのバンドギャップ(約1.4eV)に比べて広いため(約3.4eV),高周波かつ高出力で動作するパワー素子用の半導体として,期待が高まっている。GaNを用いてHEMTを作製する場合には,例えば窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)とGaNとを接合させることが行われている(例えば,非特許文献1参照。)。
AlGaNとGaNとを接合させた高電子移動度トランジスタ(AlGaN/GaN−HEMT)の構造を,図9に示す。図9は,AlGaN/GaN−HEMTを概略的に説明するための斜視図である。
一般に,AlGaN/GaN−HEMTは,炭化シリコン(SiC),シリコン(Si),サファイアなどで作製された基板11上に,有機金属化学気相成長法(Metal−Organic Chemical Vapor Deposition:MOCVD)や分子線結晶成長法(Molecular Beam Epitaxy:MBE)等の手法を用いて,intrinsic−GaN(i−GaN)層12およびi−AlGaN層13を積層させた構造を有する。ここで,上記のi−GaN層はチャネル層として,i−AlGaN層は障壁層としてそれぞれ機能し,AlGaN層とGaN層との界面に生じる2次元電子ガス層(2 Dimensional Electron Gas layer:2DEG)16を走行する電子を利用するトランジスタである。このHEMTでは,オーミック電極としてソース電極14およびドレイン電極15を設けて,2DEGと電気的なコンタクトをとる。
上記の非特許文献1に開示されたAlGaN/GaN−HEMTでは,オーミック電極におけるコンタクト抵抗を低減するために,図9に示したように,ソース電極14およびドレイン電極15を,2DEGまでリセスした構造となっている。i−AlGaN層を掘り下げてオーミック電極が2DEGと直接接続されるようにすることで,抵抗体として作用するi−AlGaNの影響を除去することが可能となり,結果として,オーミック電極のコンタクト抵抗を低減させることが可能となる。
D.Qiao,L.S.Yu,L.Jia,P.M.Asbeck,S.S.Lau,and T.E.Haynes,"Transport properties of the advancing interface ohmic contact to AlGaN/GaN heterostructures",Appl.Phys.Lett.,80,pp.992−994 (2002).
しかしながら,図9のような構造では,オーミック電極に接続される2DEG16が2次元的なシート状であるために,埋め込んだソース電極14およびドレイン電極15は,それぞれ線状に2DEG16とコンタクトすることになってしまう。すなわち,図9からわかるように,オーミック電極であるソース電極14,ドレイン電極15と2DEG16とのコンタクト箇所17は,それぞれZ軸に沿った1本の線となってしまう。その結果,1つのオーミック電極に対して,コンタクト箇所17はZ軸に沿った2本の線のみとなってしまうため,コンタクト面積が狭くなり,コンタクト抵抗がある値以上は下がらないという問題があった。
そこで,本発明は,このような問題に鑑みてなされたもので,その目的は,オーミック電極のコンタクト抵抗を低減させることが可能な,新規かつ改良された窒化ガリウム系トランジスタと,その製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために,本発明のある観点によれば,基板上に積層される窒化ガリウム層と,上記窒化ガリウム(GaN)層上に積層される窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)層とを含み,上記AlGaN層の一部もしくは全体に,複数の開口溝が形成され,上記複数の開口溝のうち少なくとも2以上を充塞し,かつ当該充塞した開口溝を電気的に導通させるオーミック電極を備える窒化ガリウム系トランジスタが提供される。
ここで,上記のオーミック電極とは,トランジスタ構造におけるソース電極とドレイン電極の双方を意味しており,窒化ガリウム系トランジスタとは,窒化ガリウムをチャネル層に用いたトランジスタを意味している。
かかる構造を有する窒化ガリウム系トランジスタは,上記充塞された複数の開口溝をまとめて覆うオーミック電極を備える。充塞された1つの開口溝の底部は,上記GaN層内の二次元電子ガス層(2DEG)に2箇所で接続されるが,1つのオーミック電極が複数の開口溝を覆っていることで,1つのオーミック電極自体が2DEGと複数の箇所で接続されるようになる。そのため,2DEGに接続されるオーミック電極の面積が増加することとなり,その結果,かかる構造を有する窒化ガリウム系トランジスタは,オーミック電極のコンタクト抵抗が低減される。
上記開口溝の底部は,上記AlGaN層内に位置してもよく,または,上記AlGaN層と上記GaN層との界面,もしくは上記GaN層内に位置してもよい。かかる位置に上記開口溝の底部が設けられることで,オーミック電極と2DEGとの距離が近づくこととなり,コンタクト抵抗を低減させることが可能となる。
上記開口溝の底部は,上記GaN層内の2DEGの位置,もしくは当該2DEGよりも深い位置に達していてもよい。かかる位置に上記開口溝の底部が設けられることで,オーミック電極と2DEGとのコンタクト面積は大きくなり,コンタクト抵抗を低減させることが可能となる。
上記の開口溝は,上記AlGaN層と,上記AlGaN層に隣接する層との格子歪みにより形成されるクラックであってもよい。かかる格子歪みにより,上記AlGaN層に任意の形状を有する複数のクラックが開口溝として同時に形成される。
ここで,上記の格子歪みとは,AlGaN層を形成するAlGaNの格子定数と,AlGaN層に隣接する層を形成する化合物の格子定数との差により生じる歪みを意味している。
また,上記の開口溝は,エッチングによって形成されてもよい。かかる方法を用いることで,上記開口溝の形状等を制御しながら,上記開口溝を形成することが可能となる。
また,上記のエッチングを行うための手法としては,誘導結合プラズマ反応性イオンエッチング(Inductively Coupled Plasma−Reactive Ion Etching:ICP−RIE)等の反応性イオンエッチング法や,光電気化学エッチング(PhotoElectroChemical etching:PEC)法などの,様々なエッチング法を用いることが可能である。
上記課題を解決するために,本発明の別の観点によれば,(a)基板上にGaN層を形成する工程と,(b)上記GaN層上にAlGaN層を積層する工程と,(c)上記AlGaN層の一部もしくは全体に,複数の開口溝を形成する工程と,(d)上記開口溝のうち少なくとも2以上を充塞し,かつ,当該充塞した開口溝を電気的に導通させるオーミック電極を形成する工程とを含む窒化ガリウム系トランジスタの製造方法が提供される。
かかる製造方法により作製される窒化ガリウム系トランジスタは,上記充塞された複数の開口溝をまとめて覆うオーミック電極を備えることとなる。充塞された1つの開口溝の底部は,上記2DEGに2箇所で接続されるが,1つのオーミック電極が複数の開口溝を覆っていることで,1つのオーミック電極自体が2DEGと複数の箇所で接続されるようになる。そのため,2DEGに接続されるオーミック電極の面積が増加することとなり,その結果,かかる構造を有する窒化ガリウム系トランジスタは,オーミック電極のコンタクト抵抗が低減される。
上記(c)工程では,上記開口溝として,上記窒化アルミニウムガリウム層と当該窒化アルミニウムガリウム層に隣接する層との格子歪みによりクラックが形成されてもよい。
上記(b)工程では,AlGa1−xN(xは0.1〜0.4)を積層させ,上記(c)工程では,上記開口溝として,上記AlGa1−xN層と,上記窒化ガリウム層との格子歪みによりクラックが形成されてもよい。
上記(b)工程と上記(c)工程との間に,上記窒化アルミニウムガリウム層上に窒化アルミニウムを積層する工程を含み,上記(c)工程では,上記開口溝として,上記窒化アルミニウムガリウム層と上記窒化アルミニウム層との格子歪みによりクラックが形成されてもよい。
上記のように,上記窒化アルミニウムガリウム層と当該窒化アルミニウムガリウム層に隣接する層との格子歪みを用いてクラックを形成させることで,任意の形状を有する複数の開口溝が同時に形成される。
また,上記(c)工程では,上記開口溝を,エッチングにより形成してもよい。かかる工程を採用することで,開口溝の形状や,開口溝の深さ等といった諸条件を,容易に制御しながら,複数の開口溝を形成することができる。
上記(c)工程と上記(d)工程との間に,上記開口溝が形成された部位をさらにエッチングする工程を含むことも可能である。かかる工程を更に含むことにより,オーミック電極と2DEGとの間隔が短くなり,オーミック電極のコンタクト抵抗を低減させることが可能となる。
上記開口溝の底部が上記窒化ガリウム層内の二次元電子ガス層と同じ深さ,もしくは,前記二次元電子ガス層よりも深い位置に達するまでエッチングを行うことも可能である。上記開口溝の底部をかかる位置に設けることで,2DEGに接続されるオーミック電極の面積は増加する。その結果,オーミック電極のコンタクト抵抗を低減させることが可能となる。
本発明によれば,オーミック電極のコンタクト抵抗を低減させることが可能な,窒化ガリウム系トランジスタとその製造方法を提供することができ,特に高電子移動度の窒化ガリウム系トランジスタとその製造方法として好適なものである。
以下に添付図面を参照しながら,本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお,本明細書及び図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(第1の実施形態)
図1Aは,本発明の第1の実施形態に係る窒化ガリウム系高電子移動度トランジスタ(以下,GaN−HEMTと略記する。)100を概略的に説明するための斜視図であり,図1Bは,図1Aのコンタクト領域180を拡大して示した拡大側面図である。
図1A,図1Bを用いて,本実施形態に係るGaN−HEMT100を,詳細に説明する。なお,説明に当たっては,図1Aに示した座標軸を用いることとする。
図1Aによれば,本実施形態に係るGaN−HEMT100は,基板110と,バッファ層120と,i−GaN層(以下,GaN層と略記する。)130と,i−AlGaN層(以下,AlGaN層と略記する。)140と,2つのオーミック電極160とを備える。また,図1Aには図示していないが,2つのオーミック電極160とは別にゲート電極(図示せず)が設けられる。
基板110は,図1Aに示したように,本実施形態に係るGaN−HEMT100の最下層に配置される平板である。この基板110として,例えば,炭化シリコン(SiC)基板,シリコン(Si)基板,サファイア基板等を使用することができる。以下の説明では,SiC基板を用いた場合について詳細に説明するが,SiC以外の基板材料を用いた場合でも,同様に製造可能であることは,言うまでもない。
この基板110上に,例えばMOCVD法によって,所定の膜厚のバッファ層120が積層されてもよい。バッファ層120は,基板110と,このバッファ層120上に積層されるAlGaN層130との密着性を高めるために形成されるものである。バッファ層120として,例えば,窒化アルミニウム(AlN)が20nm程度の膜厚で積層される。
このバッファ層120上に,例えばMOCVD法によって,所定の膜厚のGaN層130が積層される。このGaN層130はチャネル層として機能し,その膜厚は例えば1〜3μm程度である。
さらに,上記GaN層の上に,例えばMOCVD法によって,所定の膜厚のAlGaN層140が積層される。このAlGaN層140は障壁層として機能し,その膜厚は例えば10〜30nm程度である。
このAlGaN層140の一部もしくは全体には,AlGaN層140の上部から下方に向かって,亀裂であるクラック150が開口溝として設けられる。図1Aでは,クラック150は,V形状を有しているが,このような形状に限定されるわけではなく,略半円形状や略四角形状等の,任意の形状を取りうる。AlGaN層140の表面における個々のクラック150の幅は,図1Aではそれぞれ等しく形成されているが,それぞれ異なる幅であってもよい。また,図1Aでは,クラック150はZ軸に沿って直線的に形成されているが,Z軸に沿って直線的に形成される必要はなく,曲線状に形成されてもよい。また,図1Aでは,複数のクラック150は,等間隔で形成されているが,等間隔で形成される必要はない。
さらに,このクラック150は,AlGaN層140の一部もしくは全体にわたって形成される網状の溝でもよく,AlGaN層140の一部もしくは全体にわたってランダムに形成されたひび割れであってもよい。
上記のGaN層130とAlGaN層140とを接合させることで,GaN層130内に,2次元電子ガス層(2DEG)170が形成される。この2DEG170の電子が高速移動することで,本実施形態に係るGaN−HEMT100は,高周波数で動作することが可能となる。
このクラック150が形成されたAlGaN層140上に,2つのオーミック電極160と,ゲート電極(図示せず)が形成される。この2つのオーミック電極160の一方はソース電極として機能し,他方はドレイン電極として機能する。1つのオーミック電極160は,図1Aに示したように,AlGaN層140を所定の深さに陥没形成された部位に形成され,この陥没形成された部位に存在する複数のクラック150を所定の金属で満たし,かつ,これら複数のクラック150全てをまとめて覆うように設けられる。このように所定の金属が設けられることで,上記複数のクラック150それぞれが電気的に導通され,複数のクラック150が全体として1つのオーミック電極として機能するようになる。オーミック電極160として,様々な金属を使用することができるが,例えばチタン(Ti)およびアルミニウム(Al)の双方を合わせて使用することもできる。図1Aでは,1つのオーミック電極160は,例えば3つのクラック150を充塞し,かつ全てを覆うように形成されている。しかし,電気的に導通させるクラックは3つでなくともよく,例えば,2つでも,4つ以上でもかまわない。
オーミック電極160のY軸負方向側における先端部位の拡大図を,図1Bに示す。図1Bでは,クラック150の底部,すなわちオーミック電極160の先端160aは,GaN層130内の2DEG170よりも深い位置まで達している。この場合,1つのクラック150を充塞しているオーミック電極は,2DEG170と2カ所のコンタクト箇所190で接続されており,図1Bの場合では,1つのオーミック電極全体で6カ所のコンタクト箇所190を有することとなる。図1Bのような側面図では,オーミック電極160は,コンタクト箇所190において2DEG170と6つの点で接触しているが,図1Aのようにオーミック電極160の奥行きまで考慮すると,オーミック電極160全体では,このようなコンタクト箇所190は,Z軸に沿った6本の直線状に存在していることになる。その結果,同じ大きさを有するオーミック電極であっても,図9に示した従来のオーミック電極に比べて,本実施形態に係るオーミック電極160は,オーミック電極160と2DEGとのコンタクト面積が大きくなる。そのため,本実施形態に係るGaN−HEMT100は,オーミック電極160のコンタクト抵抗を低減させることができる。
図1A,図1Bでは,オーミック電極160の先端160aは,2DEG170よりも深い位置まで達しているが,GaN層130内の2DEG170に達していない位置に設けられてもよい。また,オーミック電極160の先端160aは,AlGaN層140内に位置していてもかまわない。上記のようにオーミック電極160の先端160aが2DEG170に達していない場合でも,オーミック電極160と2DEG170との間隔が短くなるために,オーミック電極160のコンタクト抵抗を小さくすることができる。
図2を用いて,本実施形態にかかるGaN−HEMT100の製造方法を詳細に説明する。図2は,本実施形態にかかるGaN−HEMT100の製造方法を概略的に説明するための側面図である。
まず,図2(a)に示したように,SiCなどからなる基板110上に,バッファ層120としてAlNを約20nmの膜厚で積層させる。続いて,GaNを約1〜3μmの膜厚で積層させ,GaN層130とする。さらに,GaN層上に,通常よりもAl組成比を約10〜20%高くしたAlGa1−xN(xは0.1〜0.4)を積層させ,AlGaN層140とする。このAlGaN層140の膜厚は,約10〜30nm程度である。これらGaN層130およびAlGaN層140は,例えばMOCVD法によって形成させることが可能である。AlGaN層140のAl組成比を上記のような値にすることで,AlGaN層140の格子定数と,AlGaN層140に隣接するGaN層130の格子定数とが大きく異なることとなり,AlGaN/GaN界面に大きな歪みが生じる。その結果,AlGaN層140表面から内部に向かって,意図的にひび割れが生じることとなる。このひび割れがクラック150として機能する。このようにして,本実施形態に係るGaN−HEMT100を製造するためのウェハが形成される。
ここで,AlGaN層のAl濃度を約0.36にした場合の,AlGaN層140の表面を示したAFM像を,図3(a)に示す。図3(a)から明らかなように,AlGaN層140の表面に,複数の微細な亀裂が,様々な方向に向かってランダムに形成されていることがわかる。また,図3(b)からわかるように,深さ数nm,幅数十nmにわたるクラック150が,AlGaN層140の全体にわたって生じている。なお,図3(b)において,三角マークで示したクラックの深さは約3nm,幅は約80nmである。このように,AlGaN層140を形成するAlGa1−xNのAl濃度を変化させることで,AlGaN/GaN界面に格子歪みを生じさせ,複数のクラック150を意図的に形成できることがわかる。
なお,1枚のウェハから複数のGaN−HEMT100を同時に作製する場合には,上記の工程に続いて,ウェハの電流経路部分以外に例えばアルゴン(Ar)イオン注入を施すことで,素子分離(アイソレーション)処理を行うことも可能である。
続いて,図2(b)に示したように,オーミック電極160を形成する部分に,例えば誘導結合プラズマ反応性イオンエッチング(ICP−RIE)によるエッチングを施し,陥没部位であるオーミック電極リセス部160bを形成する。このICP−RIEは,AlGaN層140の表面に形成されたクラック150の形状を保ちながら,エッチングを行うことが可能である。ここで,クラックの底部,すなわちY軸負方向側の先端が,2DEG170よりも深い位置に達するまでエッチングを行うことが好ましい。
次に,図2(c)に示したように,オーミック電極リセス部160bに,例えばTi−Alを用いてオーミック電極160を形成する。オーミック電極リセス部160bに,オーミック電極160形成用の金属として例えばTi−Alを蒸着等により積層することで,オーミック電極リセス部160bにおけるクラック150の底部まで,Ti−Alが充塞される。この陥没部位であるオーミック電極リセス部160bを満たすようにTi−Alをさらに積層させることで,複数のクラック150が電気的に導通され,全体として1つのオーミック電極160として機能するようになる。
上記のようにして作製された,クラック150の形状が転写されたオーミック電極160は,従来のオーミック電極では2箇所しか存在しなかった2DEG170とのコンタクト箇所190を,複数に増やすことが可能となる。そのため,オーミック電極160と2DEG170とのコンタクト面積が飛躍的に増加し,コンタクト抵抗を低減させることが可能となる。
(第2の実施形態)
続いて,図4A,図4Bを用いて,本発明の第2の実施形態にかかるGaN−HEMT200の構造および製造方法を,詳細に説明する。図4Aは,本発明の第2の実施形態にかかるGaN−HEMT200の製造方法を概略的に説明する側面図であり,図4Bは,本実施形態にかかるGaN−HEMT200のオーミック電極270を拡大して示す拡大側面図である。
図4A(c)に示したように,本実施形態に係るGaN−HEMT200は,基板210と,バッファ層220と,GaN層230と,AlGaN層240と,AlN層250と,2つのオーミック電極270とを備える。また,図4Aには示していないが,2つのオーミック電極270とは別にゲート電極(図示せず)が設けられる。ここで,基板210,バッファ層220,GaN層230,およびオーミック電極270については,上記の第1の実施形態と同様であるので,詳細な説明は省略する。
AlGaN層240は,上記第1の実施形態とは異なり,通常のAl組成比のAlGa1−xNを用いて,GaN層230上に積層される。AlGaN層240を形成する方法としては,例えばMOCVD法等を用いることができる。
AlN層250は,AlGaN層240とこのAlN層250の界面に格子歪みを生じさせるために形成される。このAlN層250とAlGaN層240には,格子歪みに起因する開口溝であるクラック260が複数形成される。
このクラック260は,図4A(c)に示したように,AlN層250の表面からAlGaN層240に向かって形成される溝状の亀裂である。図4Aでは,複数のクラック260は,V形状を有しているが,本実施形態に係るクラック260はこのような形状に限定されるわけではなく,略半円形状や略四角形状といった,任意の形状であってもよい。また,AlN層250の表面における個々のクラック260の幅は,図4A(c)ではそれぞれ等しく形成されているが,それぞれ異なる幅であってもよい。また,図4Aでは,複数のクラック260は,X軸に沿って等間隔で形成されているが,間隔が異なっていてもよい。
さらに,このクラック260は,AlN層250およびAlGaN層240の一部もしくは全体にわたって形成される網状の溝でもよく,AlN層250およびAlGaN層240の一部もしくは全体にわたってランダムに形成されたひび割れであってもよい。
次に,図4Aを用いて,本実施形態に係るGaN−HEMT200の製造方法を詳細に説明する。
まず,図4A(a)に示したように,本発明の第1の実施形態と同様にして,例えばSiC基板210上に,バッファ層220,GaN層230,AlGaN層240を形成させる。これら各層の積層にあたっては,例えばMOCVD法を用いることができる。さらに,AlGaN層240上にAlN層250を積層させる。上記各層を積層させる方法として,例えばMOCVD法を用いることが可能である。このようにして,本実施形態に係るGaN−HEMT300を作製するためのウェハが形成される。
AlNの格子定数は,AlGaNの格子定数に比べて大きく異なるため,AlGaN層240/AlN層250の界面において,大きな格子歪みが生じる。その結果,AlN層250およびAlGaN層240に,ひび割れが生じることとなる。このように,格子定数の異なる2つの層を相隣接させることで,複数のクラック260を意図的に生成させることができる。
上記のようにして生成されたクラック260のAFM像を,図5に示した。図5(a)から明らかなように,AlN層250上に,複数の微細なクラック260が様々な方向にランダムに生成されていることがわかる。また,図5(b)から明らかなように,AlN層250上に,深さ数nm,幅数十nmにわたって,クラック260が無数に生成されていることがわかる。なお,図5(b)において,三角マークのクラックの深さは約6nmであり,幅は約90nmである。
上記の第1の実施形態と同様に,本実施形態においても,上記の工程に続いて,ウェハの電流経路部分以外に例えばアルゴン(Ar)イオン注入を施すことで,素子分離(アイソレーション)処理を行うことも可能である。
続いて,図4A(b)に示したように,オーミック電極270を形成する部分に,例えば誘導結合プラズマ反応性イオンエッチング(ICP−RIE)によりエッチングを施し,オーミック電極リセス部270bを形成する。このICP−RIEは,表面に形成されたクラック260の形状を保ちながら,AlN層250およびAlGaN層240のエッチングを行うことが可能である。ここで,クラックの底部,すなわちY軸負方向側の先端が,2DEG280よりも深い位置に達するまでエッチングを行うことが,好ましい。
次に,図4A(c)に示したように,オーミック電極リセス部270bに,例えばTi−Alを用いてオーミック電極270を形成する。オーミック電極リセス部270bに,上記第1の実施形態と同様に,例えばTi−Alのような金属を積層させることで,複数のクラック260が電気的に導通されたオーミック電極270を形成することができる。
上記のようにして形成された,クラック260の形状が転写されたオーミック電極270は,図4Bに示したように,クラック260の底部,すなわちオーミック電極270の先端部分270a(先端とその周りを含む)が2DEG280よりも深い位置に達することにより,2DEG280とのコンタクト箇所290を複数に増やすことが可能となる。その結果,従来のオーミック電極に比べ,オーミック電極270と2DEG280とのコンタクト面積が飛躍的に増加し,コンタクト抵抗を低減させることが可能となる。
図4A,図4Bでは,オーミック電極270の先端部分270aは,2DEG280よりも深い位置まで達しているが,本実施形態においても,第1の実施形態と同様に,GaN層230内の2DEG280に達していない位置に設けられても良い。また,オーミック電極270の先端部分270aは,AlGaN層240内に位置していてもよい。
上記のように,本発明の第1および第2の実施形態は,AlGaN層の格子定数と,AlGaN層に相隣接する層の格子定数の差を利用して,開口溝としてクラックを意図的にAlGaN層に生じさせるものである。
(第3の実施形態)
続いて,図6A,図6Bを用いて,本発明の第3の実施形態にかかるGaN−HEMT300の構造および製造方法を,詳細に説明する。図6Aは,本発明の第3の実施形態にかかるGaN−HEMT300の製造方法を概略的に説明する側面図であり,図6Bは,本実施形態にかかるGaN−HEMT300のオーミック電極を拡大して示す拡大側面図である。
図6A(b)に示したように,本実施形態に係るGaN−HEMT300は,基板310と,バッファ層320と,GaN層330と,AlGaN層340と,2つのオーミック電極380とを含んで構成される。また,図6Aには示していないが,2つのオーミック電極380とは別にゲート電極(図示せず)が設けられる。ここで,基板310,バッファ層320,GaN層330,AlGaN層340,およびオーミック電極380については,上記の第2の実施形態と同様であるので,詳細な説明は省略する。
次に,図6Aを用いて,本実施形態に係るGaN−HEMT300の製造方法を詳細に説明する。
まず,図6A(a)に示したように,本発明の第2の実施形態と同様にして,例えばSiC基板310上に,バッファ層320,GaN層330,AlGaN層340を形成させる。これら各層の積層にあたっては,例えばMOCVD法を用いることができる。さらに,AlGaN層340上に,フォトレジスト350を積層させる。続いて,オーミック電極380を形成させる部分に,図6A(a)の上図のように,格子状の開口溝360のレジストパターンをフォトリソグラフィにより形成する。
なお,1枚のウェハから複数のGaN−HEMTを同時に製造する場合には,フォトレジスト350を積層させる前に,ウェハの電流経路部分以外に例えばアルゴン(Ar)イオン注入を施すことで,素子分離(アイソレーション)処理を行うことも可能である。
その後,開口溝360のレジストパターンが作製されたフォトレジスト350の上から,ICP−RIEにより,開口溝360を作製するためのエッチングを行う。このように,AlGaN層340上にフォトレジスト350を積層させることで,開口溝360を形成させたい部分のみをエッチングすることが可能となる。開口溝360を形成するためのエッチングは,開口溝360の底部が2DEG370よりも深い位置に達するまで行われる。
所定の深さまでエッチングを行った後に,AlGaN層340上に積層されたフォトレジスト350を除去する。フォトレジスト350を除去する方法については,公知の方法を用いることが可能である。フォトレジスト350を除去することで,所定の開口溝360が形成されたウェハを得ることができる。
続いて,オーミック電極380を作製するために,上記の格子状の複数の開口溝360を,例えばTi−Al等を用いて充塞させる。さらに,この充塞された複数の開口溝360をまとめて覆うように,Ti−Al等を積層することによって,これらの開口溝360は電気的に導通され,1つのオーミック電極380として機能するようになる。図6Aの場合では,(a)の9個の開口溝360をまとめて覆うことで,9つの開口溝360それぞれを電気的に導通させ,1つのオーミック電極380としている。
なお,上記の(a)では,開口溝360が18個しか図示されていないが,実際には,フォトリソグラフィに用いるマスクを適宜調整することにより,より多くの開口溝360を作製できることは言うまでもない。また,オーミック電極380形成用の金属で覆われる開口溝360の個数は,上記の9個に限定されるわけではなく,例えば8個以下でもよいし,10個以上でもよいことは言うまでもない。
このようにして作製されたオーミック電極380は,図6Bに示したように,2DEG370とのコンタクト箇所390を複数有することとなる。その結果,オーミック電極380と2DEG370とのコンタクト面積が増大し,コンタクト抵抗を低減させることが可能となる。
なお,上記の記載では,開口溝360の底部,すなわち,オーミック電極380の先端部分380aが,2DEG370よりも深い位置に達している場合を説明したが,本実施形態においても,第1の実施形態と同様に,オーミック電極380の先端部分380aが,GaN層330内の2DEG370に達しない位置に設けられてもよく,AlGaN層340内に位置するように設けられてもよい。
(第4の実施形態)
続いて,図7A,図7Bを用いて,本発明の第4の実施形態にかかるGaN−HEMT400の構造および製造方法を,詳細に説明する。図7Aは,本発明の第4の実施形態にかかるGaN−HEMT400の製造方法を概略的に説明する側面図であり,図7Bは,本実施形態にかかるGaN−HEMT400のオーミック電極を拡大して示す拡大側面図である。
図7A(b)に示したように,本実施形態に係るGaN−HEMT400は,基板410と,バッファ層420と,GaN層430と,AlGaN層440と,表面保護層450と,2つのオーミック電極490とを含んで構成される。また,図7Aには示していないが,2つのオーミック電極490とは別にゲート電極(図示せず)が設けられる。ここで,基板410,バッファ層420,GaN層430,AlGaN層440,およびオーミック電極490については,上記の第2の実施形態と同様であるので,詳細な説明は省略する。
表面保護層450は,開口溝470を形成するために行われるエッチングから,AlGaN層440を保護するために設けられるものである。表面保護層450を形成する化合物としては,例えば,窒化シリコン(SiN),酸化シリコン(SiO),酸窒化シリコン(SiON)などを使用することができ,MOCVD法などを用いて積層することが可能である。以下では,表面保護層450としてSiN層を形成した場合について説明するが,SiN以外の表面保護層450を形成した場合においても,本実施形態と同様にしてGaN−HEMTが製造できることは言うまでもない。
次に,図7Aを用いて,本実施形態に係るGaN−HEMT400の製造方法を詳細に説明する。
まず,図7A(a)に示したように,本発明の第2の実施形態と同様にして,例えばSiC基板410上に,バッファ層420,GaN層430,AlGaN層440を形成させる。これら各層の積層にあたっては,例えばMOCVD法を用いることができる。このようにして,本実施形態に係るGaN−HEMT400を作製するためのウェハを形成することができる。
続いて,上記のAlGaN層440上に,表面保護層450として例えばSiN層450を所定の膜厚で積層させる。なお,表面保護層450を積層した後に,Arイオンなどを用いて,素子分離工程を行うことも可能である。
次に,オーミック電極490を形成したい部位のSiN層450を所定の方法を用いて除去し,その後,スパッタ法などの方法を用いて例えばポリシリコン460をまばらに成長させる。続いて,このポリシリコン460がまばらに積層されたオーミック電極490を形成したい部位を,例えばICP−RIEによりエッチングする。このエッチング工程において,上記のまばらに成長させたポリシリコン460は,マスクとして機能し,ポリシリコン460が形成されていない部分が,エッチングされることとなる。ポリシリコンは,数nm程度の微細な粒子であるために,このポリシリコン粒子をオーミック電極490を作製したい部位にまばらに成長させることで,ナノメートルオーダーの微細な開口溝470を複数形成することができる。開口溝470を形成するためのエッチングは,開口溝470の底部が,2DEG480に達するまで行われる。
開口溝470が所定の深さまでエッチングされた後に,ポリシリコン460を除去する。ポリシリコン460は,様々な方法を用いて除去することが可能である。
続いて,オーミック電極490を作製するために,上記複数の開口溝470をTi−Al等を用いて充塞させ,さらに,これら複数の開口溝470が電気的に導通するように,上記開口部470の上部に引き続きTi−Alを積層させる。このようにして形成されたオーミック電極490は,図7Bに示したように,2DEG480と複数のコンタクト箇所500で接続されることとなり,図9に示した従来のオーミック電極に比べ,コンタクト面積が飛躍的に増加する。その結果,オーミック電極のコンタクト抵抗を,低減させることが可能となる。
なお,上記の記載では,開口溝470の底部,すなわち,オーミック電極490の先端部分490aが,2DEG480よりも深い位置に達している場合を説明したが,本実施形態においても,第1の実施形態と同様に,オーミック電極490の先端部分490aが,GaN層430内の2DEG480に達しない位置に設けられても良く,AlGaN層440内に位置するように設けられても良い。
上記のように,本発明の第3および第4の実施形態に係るGaN−HEMTは,エッチングを用いて開口溝の形状等を制御しながら製造することができる。
以下に,実施例を示しながら,本発明の各実施形態に係るGaN−HEMTを説明する。
(コンタクト抵抗の測定方法)
本発明の各実施形態に係るGaN−HEMTのコンタクト抵抗を測定するために,以下のようなTransmission Line Model(TLM)法を用いた。図8は,TLM法を概略的に説明するための模式図である。
まず,図8(a)に示したように,同一の素子30上に電極間隔33,34,35を変化させたオーミック電極31,32を各々複数作製し,オーミック電極31,32間の抵抗を測定する。この際に,電極間隔33,34,35に相当する電極間のみにしか電流が流れないように,該当箇所以外の部分は,Arイオン等を用いて素子分離させておく。
次に,図8(b)に示したように,横軸に電極間隔,縦軸に測定した抵抗値をとり,各電極間隔での抵抗値,すなわち,電極間隔33であるAの場合,電極間隔34であるBの場合,および電極間隔35であるCの場合の各抵抗値をプロットする。そして,これらの点から得られる回帰直線を外挿して,縦軸における切片,すなわち,電極間隔を0とした場合の抵抗値を算出する。
最後に,得られた切片の値を1/2した後に,電極幅が1mmとなるように規格化する。このようにして得られた抵抗値を,コンタクト抵抗とする。
以下に示す各実施例および比較例では,オーミック電極の幅(例えば図1Aにおいて,オーミック電極160のZ軸に平行な方向の幅)を6μmに固定し,電極間隔(例えば図1Aにおいて,2つのオーミック電極160間のX軸に対して平行な方向の間隔)をそれぞれ3,6,9μmに変化させて,コンタクト抵抗を測定した。
(実施例1)
図1Aに示した,本発明の第1の実施形態に係るGaN−HEMTと同様の構造を有する素子を形成した。基板としてサファイア基板を使用し,エピタキシャル成長を用いてGaN層を積層した。AlGaN層を形成するAlGa1−xNのxは,0.36とした。また,本実施例では,AlGaN層の上に,更にGaN層を5nm積層した。なお,オーミック電極は,Ti−Alを用いて形成した。ここで,各層の膜圧は,以下の通りである。
バッファ層:無し
GaN層:2μm
AlGaN層:27nm
(比較例1)
図9に示した従来のGaN−HEMTと同様のオーミック電極構造を作製した以外は,実施例1と同様にしてGaN−HEMTを作製し,比較例1とした。
上記実施例1および比較例1におけるコンタクト抵抗値を,以下の表1に示した。
上記の表1から明らかなように,本実施形態に係るオーミック電極を有するGaN−HEMTは,従来のオーミック電極に比べて,コンタクト抵抗値が半分となっていることがわかる。
(実施例2)
図4Aに示した,本発明の第2の実施形態に係るGaN−HEMTと同様の構造を有する素子を形成した。基板としてサファイア基板を使用し,エピタキシャル成長を用いてGaN層を積層した。AlGaN層を形成するAlGa1−xNのxは,0.36とした。ここで,各層の膜圧は,以下の通りである。
バッファ層:無し
GaN層:2μm
AlGaN層:27nm
AlN層:2nm
(比較例2)
図9に示した従来のGaN−HEMTと同様のオーミック電極構造を作製した以外は,実施例2と同様にしてGaN−HEMTを作製し,比較例2とした。
上記実施例2と比較例2におけるコンタクト抵抗値を,以下の表2に示した。
上記の表2から明らかなように,本実施形態に係るオーミック電極を有するGaN−HEMTは,従来のオーミック電極に比べて,コンタクト抵抗値が約半分となっていることがわかる。
以上のように,本発明の各実施形態に係るGaN−HEMTは,オーミック電極のコンタクト抵抗を,飛躍的に低減させることが可能である。
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば,上述した実施形態においては,所定の1枚の基板上に1つのGaN−HEMTを作製する場合について詳細に説明したが,1枚の基板に複数のGaN−HEMTを同時形成することも可能である。
本発明の第1の実施形態に係る窒化ガリウム系高電子移動度トランジスタを概略的に説明するための斜視図である。 本発明の第1の実施形態に係る窒化ガリウム系高電子移動度トランジスタの部分拡大図である。 本発明の第1の実施形態に係る窒化ガリウム系高電子移動度トランジスタの製造方法を概略的に説明するための側面図である。 本発明の第1の実施形態に係る窒化ガリウム系高電子移動度トランジスタにおけるAlGaN層表面のAFM像である。 本発明の第2の実施形態に係る窒化ガリウム系高電子移動度トランジスタの製造方法を概略的に説明するための側面図である。 本発明の第2の実施形態に係る窒化ガリウム系高電子移動度トランジスタの部分拡大図である。 本発明の第2の実施形態に係る窒化ガリウム系高電子移動度トランジスタにおけるAlN層表面のAFM像である。 本発明の第3の実施形態に係る窒化ガリウム系高電子移動度トランジスタの製造方法を概略的に説明するための側面図である。 本発明の第3の実施形態に係る窒化ガリウム系高電子移動度トランジスタの部分拡大図である。 本発明の第4の実施形態に係る窒化ガリウム系高電子移動度トランジスタの製造方法を概略的に説明するための側面図である。 本発明の第4の実施形態に係る窒化ガリウム系高電子移動度トランジスタの部分拡大図である。 本発明におけるコンタクト抵抗の測定法を概略的に説明するための概略図である。 従来の窒化ガリウム系高電子移動度トランジスタを概略的に説明するための側面図である。
符号の説明
10 窒化ガリウム系高電子移動度トランジスタ
11 基板
12 窒化ガリウム層
13 窒化アルミニウムガリウム層
14 ソース電極
15 ドレイン電極
16 二次元電子ガス層
17 コンタクト箇所
30 素子
31 オーミック電極
32 オーミック電極
33 電極間隔
34 電極間隔
35 電極間隔
100 窒化ガリウム系高電子移動度トランジスタ
110 基板
120 バッファ層
130 窒化ガリウム層
140 窒化アルミニウムガリウム層
150 クラック
160 オーミック電極
160a 先端
160b オーミック電極リセス部
170 二次元電子ガス層
180 コンタクト領域
190 コンタクト箇所
200 窒化ガリウム系高電子移動度トランジスタ
210 基板
220 バッファ層
230 窒化ガリウム層
240 窒化アルミニウムガリウム層
250 窒化アルミニウム層
260 クラック
270 オーミック電極
270a 先端
270b オーミック電極リセス部
280 二次元電子ガス層
290 コンタクト箇所
300 窒化ガリウム系高電子移動度トランジスタ
310 基板
320 バッファ層
330 窒化ガリウム層
340 窒化アルミニウムガリウム層
350 レジスト
360 開口溝
370 二次元電子ガス層
380 オーミック電極
380a 先端部分
390 コンタクト箇所
400 窒化ガリウム系高電子移動度トランジスタ
410 基板
420 バッファ層
430 窒化ガリウム層
440 窒化アルミニウムガリウム層
450 表面保護層
460 ポリシリコン
470 開口溝
480 二次元電子ガス層
490 オーミック電極
490a 先端部分
500 コンタクト箇所

Claims (13)

  1. 基板上に積層される窒化ガリウム層と,
    前記窒化ガリウム層上に積層される窒化アルミニウムガリウム層と,
    を含み,
    前記窒化アルミニウムガリウム層の一部もしくは全体に,複数の開口溝が形成され,
    前記複数の開口溝のうち少なくとも2以上を充塞し,かつ当該充塞した開口溝を電気的に導通させるオーミック電極を備えることを特徴とする,窒化ガリウム系トランジスタ。
  2. 前記開口溝の底部は,前記窒化アルミニウムガリウム層内に位置することを特徴とする,請求項1に記載の窒化ガリウム系トランジスタ。
  3. 前記開口溝の底部は,前記窒化アルミニウムガリウム層と前記窒化ガリウム層との界面,もしくは前記窒化ガリウム層内に位置することを特徴とする,請求項1に記載の窒化ガリウム系トランジスタ。
  4. 前記開口溝の底部は,前記窒化ガリウム層内の二次元電子ガス層の位置,もしくは当該二次元電子ガス層よりも深い位置に達していることを特徴とする,請求項1に記載の窒化ガリウム系トランジスタ。
  5. 前記開口溝は,前記窒化アルミニウムガリウム層と,前記窒化アルミニウムガリウム層に隣接する層との格子歪みにより形成されるクラックであることを特徴とする,請求項1〜4のいずれかに記載の窒化ガリウム系トランジスタ。
  6. 前記開口溝は,エッチングによって形成されることを特徴とする,請求項1〜4のいずれかに記載の窒化ガリウム系トランジスタ。
  7. (a)基板上に窒化ガリウム層を形成する工程と,
    (b)前記窒化ガリウム層上に窒化アルミニウムガリウム層を積層する工程と,
    (c)前記窒化アルミニウムガリウム層の一部もしくは全体に,複数の開口溝を形成する工程と,
    (d)前記開口溝のうち少なくとも2以上を充塞し,かつ,当該充塞した開口溝を電気的に導通させるオーミック電極を形成する工程と,
    を含むことを特徴とする,窒化ガリウム系トランジスタの製造方法。
  8. 前記(c)工程では,前記開口溝として,前記窒化アルミニウムガリウム層と当該窒化アルミニウムガリウム層に隣接する層との格子歪みによりクラックが形成されることを特徴とする,請求項7に記載の窒化ガリウム系トランジスタの製造方法。
  9. 前記(b)工程では,AlGa1−xN(xは0.1〜0.4)を積層させ,
    前記(c)工程では,前記開口溝として,前記AlGa1−xN層と,前記窒化ガリウム層との格子歪みによりクラックが形成されることを特徴とする,請求項8に記載の窒化ガリウム系トランジスタの製造方法。
  10. 前記(b)工程と前記(c)工程との間に,前記窒化アルミニウムガリウム層上に窒化アルミニウムを積層する工程を含み,
    前記(c)工程では,前記開口溝として,前記窒化アルミニウムガリウム層と前記窒化アルミニウム層との格子歪みによりクラックが形成されることを特徴とする,請求項8に記載の窒化ガリウム系トランジスタの製造方法。
  11. 前記(c)工程では,前記開口溝を,エッチングにより形成することを特徴とする,請求項7に記載の窒化ガリウム系トランジスタの製造方法。
  12. 前記(c)工程と前記(d)工程との間に,前記開口溝が形成された部位をさらにエッチングする工程を含むことを特徴とする,請求項7〜11のいずれかに記載の窒化ガリウム系トランジスタの製造方法。
  13. 前記開口溝の底部が前記窒化ガリウム層内の二次元電子ガス層と同じ深さ,もしくは,前記二次元電子ガス層よりも深い位置に達するまでエッチングを行うことを特徴とする,請求項12に記載の窒化ガリウム系トランジスタの製造方法。
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