JP2007225520A - センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】高い測定感度が得られるセンサを提供すること。
【解決手段】センサ1は、液体試料20を収納する試料収納空間2と、試料収納空間2に露出し、ターゲットとの間で電子の放出を伴う反応を行う受容体を含有する反応層71と、反応層71の試料収納空間2と反対側に設けられ、少なくとも2つの価数を取り得る金属イオンを含む金属貯蔵タンパク質を含み、放出された電子を受け取って金属イオンの価数が変化することにより帯電量が変化するとともに、その状態を維持し得る反応記憶層72と、反応記憶層72の反応層71と反対側に設けられた作用電極3と、作用電極3と反応記憶層72との間に設けられ、作用電極3と反応記憶層72とを絶縁する絶縁層6と、試料収納空間2に露出し、作用電極3との間の電位差を測定するためのメッシュ電極9とを有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、センサに関するものである。
近年、酵素やDNA、抗体等の生体分子が関与する生体反応を、in vivoではなく、in vitroにて、リアルタイムに検出可能なセンサの需要が高まっている。
特に、ゲノム解析終了後、ゲノム解析からDNA鎖の機能解析に比重が移っており、とりわけ、DNA鎖から発現される酵素、抗体などのタンパク質の機能解析、その機能に沿った創薬ターゲットの最適化が重要となっている。
これらの解析を効率よく行うためには、DNAチップ、プロテインチップのようなセンサの利用が有効である。このセンサには、生体反応の情報から、有用な情報パラメータを選択して増幅し、これを検出パラメータに変換した後、検出手段に伝達する機能が求められる。
このようなセンサの一つとして、酵素を利用した電気化学的検出装置が開発されている。例えば、グルコースの酸化反応を触媒する酸化酵素(グルコースオキシダーゼやグルコースデヒドロゲナーゼ)を含有する反応層を、電極基板に固定した血糖測定装置が提案されている(例えば、特許文献1、2参照。)。
この血糖測定装置では、血液中のグルコースを反応層に拡散させ、前記酸化酵素によって酸化して、この際、発生する電子を電流値として検出することにより、血液中のグルコース濃度を測定する。
しかしながら、グルコースの酸化反応によって発生する電流は微弱であり、これを検出パラメータとして使用するセンサでは、十分な測定感度が得られないという問題がある。
特開平6−78791号公報 特開平6−90754号公報
本発明の目的は、高い測定感度が得られるセンサを提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明のセンサは、液体試料中の検出対象物質の量を測定するセンサであって、
前記液体試料を収納する試料収納空間と、
少なくとも一部が前記試料収納空間に露出し、前記検出対象物質との間で電子の放出を伴う反応を行う受容体を含有する反応層と、
該反応層の前記試料収納空間と反対側に設けられ、少なくとも2つの価数を取り得る金属イオンを含む金属イオン含有物質を含み、前記放出された電子を受け取って前記金属イオンの価数が変化することにより帯電量が変化するとともに、その状態を維持し得る反応記憶層と、
該反応記憶層の前記反応層と反対側に設けられた第1の電極と、
該第1の電極と前記反応記憶層との間に設けられ、前記第1の電極と前記反応記憶層とを絶縁する絶縁層と、
少なくとも一部が前記試料収納空間に露出し、前記第1の電極との間の電位差を測定するための第2の電極とを有することを特徴とする。
これにより、高い測定感度が得られるセンサを得ることができる。
本発明のセンサでは、前記反応記憶層中における前記金属イオン含有物質の含有量は、50wt%以上であることが好ましい。
これにより、電子の取り込みに伴って、反応記憶層の帯電量の変化を十分に生じさせることができる。
本発明のセンサでは、前記金属イオン含有物質は、電子を受け取ることにより価数が変化した金属イオンを放出する機能を有する金属貯蔵タンパク質であることが好ましい。
これにより、反応記憶層は、その帯電量の変化がより確実に生じるようになり、またその状態をより確実に維持することが可能となる。
本発明のセンサでは、前記金属貯蔵タンパク質は、フェリチンを主成分とするものであることが好ましい。
フェリチンは、極めて多くのFe3+を内包しており、Fe3+がFe2+に変化すると、確実に分子外に放出する。このフェリチンにおいて、価数の異なる鉄イオンの出し入れは、極めて迅速かつ高精度に行われることから好ましい。
本発明のセンサでは、前記反応層は、前記価数が変化した金属イオンを捕捉するキレート剤を含むことが好ましい。
これにより、反応記憶層が電子を受け取ることにより価数が変化した金属イオンを放出する金属貯蔵タンパク質を含有する場合、放出された金属イオンをキレート剤で捕捉して、安定化(中和)することができる。その結果、価数が変化した金属イオンが、反応記憶層に再取り込みされることにより生じる反応記憶層の帯電量の変化をより確実に防止することができる。すなわち、反応記憶層が反応層において放出された電子を受け取ることにより変化した帯電量の変化状態をより確実に維持することができる。
本発明のセンサでは、前記反応層中における前記キレート剤の含有量は、0.01〜1.0wt%であることが好ましい。
これにより、価数が変化した金属イオンを、キレート剤によって十分かつ確実に捕捉でき、反応記憶層への再取り込みをより確実に防止することができる。
本発明のセンサでは、前記反応層は、高分子で構成された基材中に、前記受容体を含んでなるものであることが好ましい。
これにより、受容体が他の層や液体試料中に拡散するのを防止することができ、反応層において検出対象物質と受容体との反応をより確実に生じさせることができる。
本発明のセンサでは、前記高分子は、生体由来高分子またはその変性物を主成分とするものであることが好ましい。
これらのものを高分子としてマトリクスを構成することにより、受容体が容易に変性、失活するのを好適に防止することができる。
本発明のセンサでは、前記反応層中における前記受容体の含有量は、45wt%以上であることが好ましい。
これにより、液体試料中に検出対象物質が含まれる場合、検出対象物質との間に十分な反応を生じさせることができ、電子を効率よく放出させることができる。
本発明のセンサでは、前記反応層は、前記放出された電子を、前記反応記憶層に媒介する媒介物質を含むことが好ましい。
これにより、媒介物質が電子移動の媒介となり、反応層から電子を反応記憶層に効率よく移動させることができる。
本発明のセンサでは、前記反応層中における前記媒介物質の含有量は、0.01〜1.0wt%であることが好ましい。
これにより、反応層において放出された電子を反応記憶層に確実かつ迅速に移動させることができる。
本発明のセンサでは、前記絶縁層は、絶縁性構造と前記第1の電極に結合する結合性基とを有する絶縁性化合物を、前記結合性基を介して前記第1の電極の前記反応記憶層側の面に結合させて得られたものであることが好ましい。
これにより、絶縁層が緻密になり、優れた絶縁特性が発揮される。また、絶縁性化合物が有する絶縁性構造の種類(例えば、炭素数)を設定することにより、所望の絶縁特性を有する絶縁層を形成することができる。
本発明のセンサでは、前記絶縁性構造は、炭素数20〜100の直鎖状の構造を含むことが好ましい。
これにより、より絶縁性の高い絶縁層が得られる。
本発明のセンサでは、前記絶縁性構造は、その末端に前記反応記憶層に結合する構造を含むことが好ましい。
これにより、絶縁層と反応記憶層との密着性の向上を図ることができる。その結果、反応記憶層が絶縁層から容易に剥離するのを防止することができ、第1の電極と第2の電極との間の電位差を正確に測定することができる。
本発明のセンサでは、前記第2の電極は、前記検出対象物質が通過可能な開口部を有し、前記反応層の前記試料収納空間側の面に接触して設けられていることが好ましい。
これにより、例え、試料収納空間内の液体試料が乾燥して、液性成分が除去された場合でも、第2の電極が反応層に常に接触しているので、反応記憶層の帯電量を読み出すことができるようになる。特に、本発明において反応記憶層は、その帯電量の変化を維持し得るため、反応記憶層の帯電量を繰り返して(不揮発データとして)読み出すことが可能となる。
本発明のセンサでは、少なくとも一部が前記試料収納空間に露出し、前記第1の電極との間に電圧を印加する第3の電極を有することが好ましい。
これにより、試料収納空間に液体試料を供給した状態で、第1の電極が正と第3の電極が負となるように、これらの電極間に電圧を印加すると、検出対象物質と受容体との反応により放出された電子を反応記憶層側により迅速かつ確実に移動させることができる。また、反応記憶層が金属貯蔵タンパク質を含有する場合、放出された金属イオンを液体試料側により迅速かつ確実に移動させることができる。このようなことから、反応記憶層の帯電量の変化を、より迅速かつ確実に生じさせることができる。
以下、本発明のセンサを、添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明のセンサの構成を模式的に示す縦断面図、図2は、図1に示すセンサの動作を説明するための模式図、図3は、図1に示すセンサが備える金属貯蔵タンパク質の一例を示す模式図、図4は、図1に示すセンサの等価回路、図5および図6は、それぞれ、図1に示すセンサの製造方法を説明するための縦断面図である。なお、以下の説明では、図1、図2、図5および図6中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
図1に示すセンサ1は、液体試料20を収納する試料収納空間2と、作用電極(第1の電極)3と、対電極(第3の電極)4と、参照電極5と、絶縁層6と、酵素電極層7と、メッシュ電極(第2の電極)9とを有しており、これらの各部が基板8上に積層されて構成されている。このセンサ1は、試料収納空間2に供給された液体試料20中のターゲット(検出対象物質)21の量を、一対の電極3、8間に生じる電位差の値として検出するものである。
ここで、液体試料20としては、例えば、血液、尿、汗、リンパ液、髄液、胆汁、唾液等の体液や、これらの体液に各種処理を施した処理済み液等が挙げられる。
また、ターゲット21は、後述する受容体711と反応することにより、電子(e)を放出するものである。
ターゲット21の具体例としては、例えば、グルコースのような糖類、単純タンパク質、糖タンパク質のようなタンパク質類、アルコール類、コレステロール、ステロイドホルモン、胆汁酸、胆汁アルコールのようなステロイド類、ビタミン類、ホルモン類、乳酸、ビリルビン、尿酸、クレアチニン等が挙げられる。
基板8は、センサ1を構成する各部を支持するものである。
基板8の構成材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、 ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアクリル酸、エポキシ樹脂のような各種樹脂材料、各種ガラス材料、各種セラミックス材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、複合材料からなる基板8としては、例えば、ガラス繊維とエポキシ樹脂とで構成される難燃性のプリント基板等が挙げられる。
基板8上には、作用電極3が設けられている。
この作用電極3、後述する対電極4、参照電極5およびメッシュ電極9の構成材料としては、それぞれ、例えば、金、銀、銅、プラチナ、白金またはこれらを含む合金のような金属材料、ITOのような金属酸化物系材料、カーボンのような炭素系材料等が挙げられる。
作用電極3上には、絶縁層6を介して酵素電極層7が設けられている。
この酵素電極層7は、試料収納空間2側に設けられた反応層71と、反応層71の試料収納空間2と反対側に設けられた反応記憶層(帯電状態変化層)72とを有している。
図2に示すように、反応層71は、その少なくとも一部(上面の後述するメッシュ電極9から露出する部分)が試料収納空間2に露出するように設けられており、ターゲット21との間で電子(e)の放出を伴う反応を行う受容体711を含有する。
この受容体711としては、例えば、酵素、抗体のようなポリペプチド、オリゴペプチド、DNA、オリゴヌクレオチドのような核酸等が挙げられる。
酵素としては、測定対象とするターゲット21の種類に応じて、例えば、各種オキシダーゼや各種デヒドロゲナーゼ等を用いることができる。
オキシダーゼとしては、例えば、グルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、ピルビン酸オキシダーゼ、D−またはL−アミノ酸オキシダーゼ、アミンオキシダーゼ、コレステロールオキシダーゼ、コリンオキシダーゼ等を用いることができる。
また、デヒドロゲナーゼとしては、例えば、アルコールデヒドロゲナーゼ、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、コレステロールルデヒドロゲナーゼ、アルデヒドデヒドロゲナーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、フルクトースデヒドロゲナーゼ、ソルビトールデヒドロゲナーゼ、グリセロールデヒドロゲナーゼ等を用いることができる。
反応層71は、好ましくは、高分子で構成されたマトリクス(基材)中に、受容体711を含んで(含浸させて)構成される。これにより、受容体711が他の層や液体試料20中に拡散するのを防止することができ、反応層71においてターゲット21と受容体711との反応をより確実に生じさせることができる。
マトリクスを構成する高分子としては、特に限定されないが、例えば、生体関連高分子(動物由来の高分子)や植物由来の高分子のような天然の高分子、合成高分子(合成樹脂)、またはこれらの変性物等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、マトリクスを構成する高分子としては、生体由来高分子またはその変性物を主成分とするものが好ましい。これらのものを高分子としてマトリクスを構成することにより、受容体711が容易に変性、失活するのを好適に防止することができる。
このような生体関連高分子としては、例えば、アルブミン(例えば、ウシ血清アルブミン:BSA)、グロブリン、ミオグロビン、カルボキシメチルセルロースとBSAとの混合ポリマー、ポリビニルピロリドンとBSAとの混合ポリマー、ポリエチレングリコールとBSAとの混合ポリマー等が挙げられる。
また、その変性物としては、前記生体関連高分子の疎水結合、水素結合、イオン結合を破壊する処理を施したもの等が挙げられる。かかる処理としては、例えば、熱処理、加圧処理、pH調整処理、変性剤による処理等が挙げられる。
また、マトリクスには、架橋構造が形成されているのが好ましい。これにより、受容体711を当該マトリクスに強固に保持(担持)することができる。また、反応層71の機械的強度の向上にも寄与する。
マトリクスに架橋構造を形成する架橋剤としては、高分子としてペプチドを主成分とするものを用いる場合には、例えば、グルタルアルデヒド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、トリニトロメタン等が挙げられ、これらの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
この反応層71中における受容体711の含有量は、45wt%以上であるのが好ましく、50〜80wt%程度であるのがより好ましい。これにより、液体試料20中にターゲット21が含まれる場合、ターゲット21との間に十分な反応を生じさせることができ、電子を効率よく放出させることができる。
また、反応層71には、放出された電子を反応記憶層72に媒介するメディエータ(媒介物質)712を含むのが好ましい。これにより、メディエータ712が電子移動の媒介となり、反応層71から電子を反応記憶層72に効率よく移動させることができる。
メディエータ712としては、例えば、フェリシアン化カリウム、フェロセンまたはフェロセン誘導体、ニッケロセンまたはニッケロセン誘導体、キノンまたはキノン誘導体(例えばp−ベンゾキノン、ピロロキノリンキノン等)、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)のようなフラビン誘導体、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)のようなニコチンアミド誘導体、フェナジンメトサルファート、2,6−ジクロロフェノールインドフェノール、ヘキサシアノ鉄(III)酸塩、オクタシアノタングステンイオン等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
反応層71がメディエータ712を含む場合、その含有量は、0.001〜10wt%程度であるのが好ましく、0.1〜2.0wt%程度であるのがより好ましい。メディエータ712の含有量を前記範囲とすることにより、反応層71において放出された電子を反応記憶層72に確実かつ迅速に移動させることができる。
さらに、反応層71は、キレート剤713を含むのが好ましい。反応層71がキレート剤713を含むと、後述するように、反応記憶層72が電子を受け取ることにより価数が変化した金属イオンM(n−1)+を放出する金属貯蔵タンパク質721を含有する場合、放出された金属イオンM(n−1)+をキレート剤713で捕捉して、安定化(中和)することができる。その結果、金属イオンM(n−1)+が、反応記憶層72に再取り込みされることにより生じる反応記憶層72の帯電量の変化をより確実に防止することができる。すなわち、反応記憶層72が反応層71において放出された電子を受け取ることにより変化した帯電量の変化状態をより確実に維持することができる。
このようなキレート剤713としては、放出される金属イオンM(n−1)+の種類に応じて選択され、特に限定されないが、例えば、3−ニトロフェニル酢酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、クエン酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸、L−アスパラギン酸二酢酸(ASDA)、L−グルタミン酸二酢酸(GLDA)またはこれらの塩、ヒドロキシキノリン、ジピリジル、ジメルカプロール、メシル酸デフェロキサミン、D−ペニシラミン等が挙げられる。
反応層71がキレート剤713を含む場合、その含有量は、0.001〜5wt%程度であるのが好ましく、0.01〜1.0wt%程度であるのがより好ましい。キレート剤713の含有量が前記範囲とすることにより、金属イオンM(n−1)+を、キレート剤713によって十分かつ確実に捕捉でき、反応記憶層72への再取り込みをより確実に防止することができる。
反応層71の下面に接触して反応記憶層72が設けられている。
この反応記憶層72は、少なくとも2つの価数を取り得る金属イオンを含む金属イオン含有物質を含んでいる。
ここで、金属イオン含有物質は、電子を受け取ることにより、分子内において金属イオンMn+の一部を金属イオンM(n−1)+に変化させ、この価数が変化した金属イオンM(n−1)+を分子の外に放出するか、または外部から何らかの作用(例えば電圧の印加、還元剤の付与等)がない限り、その状態で保持し得る物質である。
反応記憶層72は、かかる金属イオン含有物質を含むことにより、反応層71において放出された電子を受け取って帯電量が変化するとともに、その状態を維持することができる。すなわち、この反応記憶層72は、前記金属イオン含有物質の作用により、反応層71での電子の発生量を、その帯電量の変化として記憶することができる。
このような金属イオン含有物質には、価数が変化した金属イオンM(n−1)+を放出する機能を有する金属貯蔵タンパク質721が好適に用いられる。金属貯蔵タンパク質721を用いて反応記憶層72を構成することにより、反応記憶層72は、その帯電量の変化がより確実に生じるようになり、またその状態をより確実に維持することが可能となる。
ここで、少なくとも2つの価数を取り得る金属イオンの具体例としては、例えば、鉄(Fe)イオン、銅(Cu)イオン、マンガン(Mn)イオン、コバルト(Co)イオン、ルテニウム(Ru)イオン、ニッケル(Ni)イオン、亜鉛(Zn)イオン、パラジウム(Pd)イオン等が挙げられる。
また、これらの金属イオンを貯蔵する金属貯蔵タンパク質721としては、例えば、フェリチン、ヘモシデリンのような鉄貯蔵タンパク質が挙げられ、また、これらの鉄貯蔵タンパク質が貯蔵する鉄イオンを前述の各種金属イオンに置換して用いることができる。
これらの中でも、金属貯蔵タンパク質721には、フェリチンを主成分とするものを用いるのが好ましい。
このフェリチンは、肝細胞、骨髄等に幅広く存在する分子量約45万のタンパク質である。図3に示すように、フェリチンは、直径13nm程度の球形構造を有しており、24個のポリペプチドサブユニットによって外殻が形成されている。またサブユニットはH鎖とL鎖の2種類がある。
フェリチンは、極めて多くのFe3+を内包しており、Fe3+がFe2+に変化すると、確実に分子外に放出する。このフェリチンにおいて、価数の異なる鉄イオンの出し入れは、極めて迅速かつ高精度に行われることから好ましい。
なお、金属イオン含有物質には、金属貯蔵タンパク質721に代えて、例えば、スピンクロスオーバー錯体等を用いることもできる。
反応記憶層72は、以上のような金属イオン含有物質を有機バインダーで固定してなるものであってもよい。この有機バインダーには、前記反応層71で挙げた高分子と同様のものを用いることができる。
このような反応記憶層72中における金属イオン含有物質の含有量は、45wt%以上であるのが好ましく、60wt%以上であるのがより好ましい。反応記憶層72が金属イオン含有物質を前記範囲で含有することにより、電子の取り込みに伴って、反応記憶層72の帯電量の変化を十分に生じさせることができる。
絶縁層6は、作用電極3と反応記憶層72との間に(本実施形態では、双方に接触して)設けられ、作用電極3と反応記憶層72とを絶縁する。
この絶縁層6を設けることにより、反応記憶層72と作用電極3との間にコンデンサが形成され、反応記憶層72に帯電量の変化が生じると、その静電気力により、反応記憶層72の帯電量の変化に応じた量の逆電荷が作用電極3に蓄積される。
絶縁層6の構成材料としては、絶縁性の有機材料および絶縁性の無機材料のいずれを用いてもよいが、特に、絶縁性の有機材料を用いるのが好ましい。これにより、反応記憶層72に金属貯蔵タンパク質721等の生体関連物質を用いる場合でも、このものの変性、失活を防止することができる。
中でも、絶縁層6は、絶縁性構造と作用電極3に結合する結合性基とを有する絶縁性化合物を、前記結合性基を介して作用電極3の上面(反応記憶層72側の面)に結合させて得られたもの(いわゆる、自己組織化単分子膜)が好ましい。
自己組織化単分子膜で構成することにより、絶縁層6が緻密になり、優れた絶縁特性が発揮される。また、絶縁性化合物が有する絶縁性構造の種類(例えば、炭素数)を設定することにより、所望の絶縁特性を有する絶縁層6を形成することができる。
かかる観点から、絶縁性構造は、炭素数20〜100(特に、25〜75)の直鎖状の構造を含むものが好ましい。これにより、より絶縁性の高い絶縁層6が得られる。
さらに、絶縁性構造の末端に、反応記憶層72に結合する構造(結合性基)を含むものを用いれば、絶縁層6と反応記憶層72との密着性の向上を図ることができる。その結果、反応記憶層72が絶縁層6から容易に剥離するのを防止することができ、作用電極3とメッシュ電極9との間の電位差を正確に測定することができる。
かかる構造としては、特に限定されないが、反応記憶層72が金属貯蔵タンパク質721を含有する場合、例えば、N−サクシミドエステル基、アミノ基、チオール基、ジスルフィド基、チロシン(ヒドロキシル基)等が挙げられる。
ここで、例えば、N−サクシミドエステル基は、金属貯蔵タンパク質721が有するアミノ基に置換することにより、金属貯蔵タンパク質721と絶縁性化合物とが結合する。また、アミノ基は、金属貯蔵タンパク質721が有するカルボキシル基とアミド結合を形成することにより、金属貯蔵タンパク質721と絶縁性化合物とが結合する。
また、絶縁性構造の末端に、水酸基やカルボキシル基を含むものを用いると、絶縁層6への非特異的なタンパク質の吸着を防止(阻止)することができる。その結果、反応記憶層72における帯電量の変化を、より確実に、反応層71において放出された電子の量に依存したものとすることができる。
さらに、絶縁性化合物として、絶縁性構造の末端に反応記憶層72に結合する構造を含むもの、非特異的なタンパク質の吸着を防止する構造を含むものを組み合わせて用いることにより、これらが相乗的に作用することにより、前述した各絶縁性化合物による効果がより顕著となる。
一方、絶縁性化合物が有する結合性基(作用電極3への結合性基)としては、作用電極3の構成材料に応じて適宜選択され、特に限定されないが、作用電極3の構成材料が、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)等である場合、チオール基、チオスフフォネート基等が挙げられ、作用電極3の構成材料が、金属酸化物(例えばITO等)の場合、チオール基、ハロゲン基、アルコキシシリル基、ハロゲン化シリル基、リン酸基等が挙げられる。
以上のような絶縁性化合物の具体例としては、例えば、次のようなポリエチレングリコール系の化合物が挙げられる。
Figure 2007225520
Figure 2007225520
Figure 2007225520
ただし、各前記式中、Xは、作用電極3への結合性基を示し、nは、1以上の整数を示す。
かかるポリエチレングリコール系化合物は、これが含む酸素原子に非共有電子対が存在する。このため、隣接する分子同士の間において、非共有電子対が互いに影響を及ぼし合い立体障害(回転障壁)が大きくなる。これにより、絶縁性化合物の剛直性が増大し、結果として、絶縁層6の膜強度が比較的大きくなる。その結果、酵素電極層7と作用電極3とが接触するのを確実に防止することができ、作用電極3とメッシュ電極9との間の電位差を正確に測定することができる。なお、かかる効果は、前記nを11以上とすることにより、より顕著に発揮されるようになる。
また、ポリエチレングリコ−ル系化合物は、それ自体が生体親和性に優れるため、反応記憶層72の構成材料に、生体関連物質を用いる場合でも、このものの変性、失活を防止することができる。
作用電極3に対向し、かつ、少なくとも一部(本実施形態では、下面)が試料収納空間2に露出するように、対電極(第3の電極)4が設けられている。
この対電極4は、作用電極3との間に電圧を印加する電極である。試料収納空間2に液体試料20を供給した状態で、作用電極3が正と対電極4が負となるように、これらの電極間に電圧を印加すると、ターゲット21と受容体711との反応により放出された電子を反応記憶層72側により迅速かつ確実に移動させることができる。また、反応記憶層72が金属貯蔵タンパク質721を含有する場合、放出された金属イオンM(n−1)+を液体試料20(試料収納空間2)側により迅速かつ確実に移動させることができる。
このようなことから、反応記憶層72の帯電量の変化を、より迅速かつ確実に生じさせることができる。
作用電極3と対電極4との間に印加する電圧は、0.5V以下であるのが好ましく、0.1〜0.5V程度であるのがより好ましい。印加電圧の値を前記範囲とすることにより、反応記憶層72の帯電量の変化を、特に、迅速かつ確実に生じさせることができるようになる。また、水の電気分解等による電子の発生を確実に防止(阻止)することもできる。
参照電極5は、その一部が試料収納空間2内に位置するように、封止部(隔壁部)10に固定されている。この参照電極5は、作用電極3に対する標準電位を規定(設定)するために用いられる電極である。この参照電極5を設け、標準電位を規定して、ターゲット21の量を測定することにより、ターゲット21の量の測定精度や再現性の向上を図ること(異なるセンサ1を用いた際に、測定値にバラツキが生じるのを低減すること)ができる。
また、反応層71の上面には、試料収納空間2に露出するメッシュ電極(第2の電極)9が接触して設けられている。
メッシュ電極9は、複数の開口部91を有しており、試料収納空間2に供給された液体試料20中にターゲット21が含まれる場合、このターゲット21が開口部91を介して反応層71へ移動する。
このメッシュ電極9は、作用電極3との間の電位差を測定するために用いられる電極である。このセンサ1では、参照電極5と作用電極3との間の電位差の変化を測定することにより、反応記憶層72、絶縁層6および作用電極3で形成されるコンデンサの容量の変化として、反応記憶層72の帯電量の変化を間接的に検出することができる。
すなわち、センサ1は、図4に示すように、反応層71に相当する抵抗110およびコンデンサ120と、反応記憶層72、絶縁層6および作用電極3で形成されるコンデンサ130とを組み合わせた等価回路で表される。そして、作用電極3とメッシュ電極9との間の電位差は、コンデンサ120の蓄積容量と、コンデンサ130の蓄積容量とにより決定されるが、この系ではコンデンサ120の蓄積容量は、実質的に一定であると考えることができる。したがって、作用電極3とメッシュ電極9との間の電位差の変化は、コンデンサ130の蓄積容量の変化に相当すると考えることができる。このため、作用電極3とメッシュ電極9との間の電位差の変化を測定することにより、コンデンサ130の蓄積容量の変化、すなわち、反応記憶層72の帯電量の変化を間接的に検出することができる。
なお、メッシュ電極9は、反応層71と所定距離離間して設けるようにしてもよいが、本実施形態のように、反応層71に接触した状態とするのが好ましい。これにより、例え、試料収納空間2内の液体試料20が乾燥して、液性成分が除去された場合でも、メッシュ電極9が反応層71に常に接触しているので、反応記憶層72の帯電量(コンデンサ130の蓄積容量)を読み出すことができるようになる。特に、本発明において反応記憶層72は、その帯電量の変化を維持し得るため、反応記憶層72の帯電量を繰り返して(不揮発データとして)読み出すことが可能となる。
このようなセンサ1は、液体試料20中のターゲット21の経時変化の追跡が重要となる場合への適用に適している。かかる場合としては、例えば、糖尿病患者の血糖値のモニタリング等が挙げられる。
なお、液体試料20中の液性成分の揮発(液体試料20の乾燥)を防止し得るよう構成されている場合、電位差測定用の電極は、反応層71から離間していてもよい。この場合も、反応記憶層72の帯電量を繰り返して読み出すことが可能となる。なお、この場合、例えば、メッシュ電極9を省略して、参照電極5を電位差測定用の電極として利用することができる。
以上のようなセンサ1では、試料収納空間2内に液体試料20を供給すると、液体試料20中にターゲット21が含まれる場合、このターゲット21が、メッシュ電極9の開口部91を通過して反応層71に拡散する。反応層71に拡散したターゲット21は、受容体711と反応することにより、電子が放出される。
例えば、ターゲット21がグルコースであり、受容体711がグルコースオキシダーゼの場合には、下記式に示すように、グルコースが、グルコースオキシダーゼの触媒作用により酸化され、グルコン酸に分解され、この際に電子が発生、放出される。
10 → C+2H+2e
反応層71において放出された電子は、反応記憶層72に移動して金属貯蔵タンパク質721に取り込まれ、金属イオンMn+の価数が変化する。例えば、金蔵貯蔵タンパク質(金属イオン含有物質)731がフェリチンである場合には、電子がフェリチンの内部に取り込まれ、貯蔵されているFe3+がFe2+に変化する。
そして、フェリチンは、このFe2+(価数が変化した金属イオンM(n−1)+)を、分子外に放出する。放出されたFe2+は、反応層71に移行して、キレート剤713に捕捉され、安定化(中和)する。
このとき、作用電極3が正、対電極4が負となるように、これらの電極3、4の間に電圧を印加しておくと、前述の一連の反応がより円滑になされる。
一方、Fe3+の価数が変化するとともに、Fe2+を放出した反応記憶層72は、Fe3+からFe2+への変化(金属イオンの価数の変化)、または、Fe3+からFe2+への変化および放出されたFe2+の数に応じて、帯電量が変化し、この帯電量の変化に応じて、反応記憶層72とメッシュ電極9との間の電位差も変化する。
ここで、液体試料20中のターゲット21の量と、ターゲット21と受容体711との反応により放出される電子の数と、反応記憶層72の帯電量の変化量は、互いに相関関係を有する。
したがって、作用電極3とメッシュ電極9との間の電位差の変化を検出することにより、液体試料20中に含まれるターゲット21の量を間接的に測定することができる。
具体的には、ターゲット21の量が既知である複数のサンプルを用意し、各サンプルを用いて作用電極3とメッシュ電極9との間の電位差を測定し、ターゲット21の量と測定された電位差との関係を求める。すなわち、検量線またはテーブルを作製する。そして、実際の測定に供する液体試料20を用いて、作用電極3とメッシュ電極9との間の電位差を測定し、測定された値から、予め作製した検量線またはテーブルに基づいて、ターゲット21の量に換算する。これにより、液体試料20中のターゲット21の量を求めることができる。
なお、通常、これらの作業を行うプログラムがリーダー(測定装置)に内蔵されており、測定者は、リーダーにセンサ1を装着して、センサ1の試料収納空間2に液体試料20を供給するだけで、ターゲット21の量を知り得るようになっている。
以上説明したように、このセンサ1では、ターゲット21と受容体711との反応により放出された電子による反応記憶層72の帯電量の変化を、作用電極3とメッシュ電極9との間の電位差として検出(測定)し、液体試料20中に含まれるターゲット21の量を測定することができる。
この反応記憶層72での帯電量の変化は、非可逆的であるので、単位時間当たりに供給される電子の数(電流値に相当)が少ない場合でも、高感度で検出することができ、また、不揮発データとして保存することが可能となる。
また、このセンサ1では、反応記憶層72および反応層71が作用電極3に直接接触していないので、これらの層を構成する材料として、生体関連物質を用いた場合でも、その変性、失活を確実に防止(阻止)することができる。
このようなセンサ1は、例えば、次のようにして製造することができる。
[1] まず、図5(a)に示すように、基板8を用意する。
そして、図5(b)に示すように、この基板8上に、作用電極3を形成する。この作用電極3は、次のようにして形成することができる。
まず、基板8の上面(電極形成面)を覆うように金属膜(金属層)を形成する。これは、例えば、プラズマCVD、熱CVD、レーザーCVDのような化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の乾式メッキ法、電解メッキ、浸漬メッキ、無電解メッキ等の湿式メッキ法、溶射法、MOD法、金属箔の接合等により形成することができる。
次いで、この金属膜上に、レジスト材料を塗布(供給)した後、硬化させて、作用電極3の形状に対応する形状のレジスト層を形成する。
次いで、このレジスト層をマスクとして、金属膜の不要部分を除去する。この金属膜の除去には、例えば、プラズマエッチング、リアクティブイオンエッチング、ビームエッチング、光アシストエッチング等の物理的エッチング法、ウェットエッチング等の化学的エッチング法等のうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
その後、レジスト層を除去することにより、作用電極3が得られる。
なお、金属膜のパターニングが不要な場合、レジスト層の形成工程および金属膜の除去工程等を省略することができる。
また、作用電極3は、例えば、導電性粒子を含む導電性材料を基板8上に塗布(供給)した後、必要に応じて、この塗膜に対して後処理(例えば加熱、赤外線の照射、超音波の付与等)を施すことにより形成することもできる。
ここで、塗布法には、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット法、マイクロコンタクトプリンティング法等のうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
[2] 次に、図5(c)に示すように、作用電極3上に、絶縁層6を形成する。
前記絶縁性化合物を用いて絶縁層6を構成する場合、この絶縁層6は、次のようにして形成することできる。
まず、絶縁性化合物を溶媒に溶解して液状材料を調製する。
この溶媒としては、例えば、無水エタノール、無水ジクロロメタン、無水クロロフォルム、無水THF、無水DMF等が挙げられ、これらを単独または混合液として用いることができる。
液状材料中における絶縁性化合物の濃度(含有量)は、0.1〜30mM程度であるのが好ましく、1〜15mM程度であるのがより好ましい。
次いで、この液状材料を作用電極3の上面に接触させた状態で一定時間放置した後、洗浄、乾燥する。これにより、作用電極3の上面に、絶縁性化合物が有する反応性基が結合し、絶縁性化合物の単分子膜(絶縁層6)が得られる。
液状材料を作用電極3の上面に接触させる方法としては、液状材料中に、作用電極3を形成した基板8を浸漬する方法(浸漬法)が好適である。
この場合、液状材料の温度は、4〜40℃程度であるのが好ましく、10〜25℃程度であるのがより好ましい。
また、基板8の浸漬時間は、30〜200分間程度であるのが好ましく、60〜150分間程度であるのがより好ましい。
なお、液状材料を作用電極3の上面に接触させる方法としては、液状材料を作用電極3上に塗布する方法(塗布法)、噴霧する方法(噴霧法)を用いることもできる。
[3] 次に、図5(d)に示すように、絶縁層6上に、反応記憶層72を形成する。
前記金属イオン含有物質を用いて反応記憶層72を構成する場合、この反応記憶層72は、次のようにして形成することができる。
まず、金属イオン含有物質を溶媒に溶解して液状材料を調製する。
この溶媒としては、例えば、純水、超純水、イオン交換水、蒸留水、RO水のような各種水、またはこの水に塩類を溶解した各種緩衝液等が挙げられる。
液状材料中における金属イオン含有物質の濃度(含有量)は、0.1〜30μM程度であるのが好ましく、1〜15μM程度であるのがより好ましい。
また、液状材料中に、必要に応じて、バインダーや架橋剤を添加しておく。
次いで、この液状材料を、絶縁層6の上面に接触させた状態で一定時間放置した後、洗浄、乾燥する。これにより、絶縁層6の上面に、反応記憶層72が得られる。
また、前記絶縁性化合物が、その絶縁性官能基の末端に、金属イオン含有物質との結合性基を有する場合、絶縁性化合物と金属イオン含有物質とが結合して、絶縁層6と反応記憶層72との高い密着性が得られる。
液状材料を絶縁層6の上面に接触させる方法としては、前記塗布法が好適である。
この場合、液状材料の温度、および雰囲気の温度は、それぞれ、4〜40℃程度であるのが好ましく、10〜25℃程度であるのがより好ましい。
放置時間は、10〜150分間程度であるのが好ましく、30〜100分間程度であるのがより好ましい。
なお、液状材料を絶縁層6の上面に接触させる方法としては、浸漬法、噴霧法を用いることもできる。
[4] 次に、図5(e)に示すように、反応記憶層72上に反応層71を形成する。 反応層71を、高分子で構成されたマトリクス中に受容体711を含んで構成する場合、この反応層71は、次のようにして形成することができる。
まず、受容体711と高分子とを溶媒に溶解して液状材料を調製する。
また、液状材料中に、必要に応じて、架橋剤、メディエータ712やキレート剤713を添加しておく。
液状材料中における各成分の濃度(含有量)は、得られる反応層71中における含有量が前記範囲となるように設定する。
次いで、この液状材料を、反応記憶層72の上面に接触させた状態で一定時間放置した後、洗浄、乾燥する。これにより、反応記憶層72の上面に、反応層71が得られる。
液状材料を反応層71の上面に接触させる方法としては、前記塗布法が好適である。
この場合、液状材料の温度、および雰囲気の温度は、それぞれ、4〜40℃程度であるのが好ましく、10〜25℃程度であるのがより好ましい。
放置時間は、10〜150分間程度であるのが好ましく、30〜100分間程度であるのがより好ましい。
なお、液状材料を反応層71の上面に接触させる方法としては、浸漬法、噴霧法を用いることもできる。
[5] 次に、図6(f)に示すように、反応層71上に、メッシュ電極9を配置する。
[6] 次に、図6(g)に示すように、作用電極3に対向するように、対電極4を配置するとともに、参照電極5を所定の箇所に配置した状態で、例えば、接着剤を外周部に供給した後、硬化させることにより、封止部10を形成する。これにより、反応層71と対電極4と封止部10とで、試料収納空間2が画成される。
接着剤としては、例えば、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、ゴム系接着剤等が挙げられる。
なお、このとき、封止部10には、液体試料20を試料収納空間2内に供給するための注入口(供給口)101を形成しておく。
以上の工程により、図1に示すセンサ1が得られる。
以上、本発明のセンサを図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、本発明のセンサを構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。
また、例えば、各層の間には、センサの特性の低下を招かない範囲で、任意の目的(密着性の向上)の層を1層以上設けるようにしてもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.センサの作製
(実施例1)
<1> まず、ガラス基板を用意し、真空蒸着により、平均厚さ200nmの作用電極を形成した。
<2> 次に、下記化4および化5の2種の絶縁性化合物を用意し、モル比で2:1となるように、無水エタノールに溶解して、絶縁性化合物含有溶液を調製した。なお、絶縁性化合物含有溶液中における絶縁性化合物の合計濃度を3mMとした。
そして、この絶縁性化合物含有溶液中に、ガラス基板を20℃で2時間浸漬した。その後、絶縁性化合物溶液から取り出し、純水で洗浄後、窒素ブローにて乾燥した。これにより、絶縁層を得た。
Figure 2007225520
Figure 2007225520
<3> 次に、金属貯蔵タンパク質(金属イオン含有物質)であるフェリチンを純水に溶解して、フェリチン含有溶液を調製した。なお、フェリチン含有溶液中におけるフェリチン濃度を10μMとした。
そして、このフェリチン含有溶液を、絶縁層上に滴下して液状被膜を形成し、液状被膜が乾燥しないようにしつつ20℃で1時間放置した。その後、純水で洗浄後、窒素ブローにて乾燥した。これにより、反応記憶層を得た。
<4> 次に、グルコースオキシダーゼ(受容体)と、変性ウシ血清アルブミン(高分子)と、グルタルアルデヒド(架橋剤)と、1−カルボキシフェロセン(媒介物質)と、3−ニトロフェニル酢酸(キレート剤)とを、純水に溶解して、酵素含有溶液を調製した。
なお、酵素含有溶液中におけるグルコースオキシダーゼの濃度、変性ウシ血清アルブミンの濃度、グルタルアルデヒドの濃度、1−カルボキシフェロセンの濃度および3−ニトロフェニル酢酸の濃度は、それぞれ得られる反応層中における含有量が、0.1wt%、1.6wt%、0.1wt%、0.1wt%、0.1wt%となるように混合した。
そして、この酵素含有溶液を、反応記憶層上に滴下して液状被膜を形成し、液状被膜が乾燥しないようにしつつ20℃で1時間放置した。その後、純水で洗浄後、窒素ブローにて乾燥した。これにより、平均厚さ20nmの反応層を得た。
<5> 次に、反応層上に、金製のメッシュ電極を配置した。
<6> 次に、作用電極に対向するように、プラチナ製の対電極を配置するとともに、カーボン製の参照電極を所定の箇所に配置した状態で、エポキシ系接着剤を外周部に供給した後、硬化させることにより、封止部を形成した。これにより、反応層と対電極と封止部とで、試料収納空間が画成される。
なお、このとき、封止部には、液体試料を試料収納空間内に供給するための注入口を形成しておいた。
以上のようにして、センサを得た。
(実施例2)
前記工程<2>および<3>を、次のように変更した以外は、前記実施例1と同様にしてセンサを作製した。
<2> 絶縁性化合物として、HS(CHCHO)28NHを1種用いた。
<3> フェリチンと、変性ウシ血清アルブミン(バインダー)と、グルタルアルデヒド(架橋剤)とを、純水に溶解して、フェリチン含有溶液を調製した。
なお、フェリチン含有溶液中におけるフェリチンの濃度、変性ウシ血清アルブミンの濃度、グルタルアルデヒドの濃度は、それぞれ得られる反応記憶層中における含有量が、1.0wt%、2.0wt%、0.2wt%となるように混合した。
2.評価
各実施例のセンサを複数用いて、それぞれ、既知の濃度のグルコース溶液について、作用電極と対電極との間に所定の電圧を印加するとともに、作用電極とメッシュ電極との間の電位差測定を行った。その結果、グルコース濃度と電位差との間に相関関係があることが確認された。
また、各センサにおいて、グルコース溶液を乾燥させた後、前記同様に電位差測定を行ったところ、電位差の測定値に明らかな変化は認められなかった。すなわち、各センサにおいて、グルコース濃度を反映した反応記憶層の帯電量の変化が不揮発データとして記憶されていることが確認された。
本発明のセンサの構成を模式的に示す縦断面図である。 図1に示すセンサの動作を説明するための模式図である。 図1に示すセンサが備える金属貯蔵タンパク質の一例を示す模式図である。 図1に示すセンサの等価回路である。 図1に示すセンサの製造方法を説明するための縦断面図である。 図1に示すセンサの製造方法を説明するための縦断面図である。
符号の説明
1‥‥センサ 2‥‥試料収納空間 20‥‥液体試料 21‥‥ターゲット 3‥‥作用電極 4‥‥対電極 5‥‥参照電極 6‥‥絶縁層 7‥‥酵素電極層 71‥‥反応層 711‥‥受容体 712‥‥メディエータ 713‥‥キレート剤 72‥‥反応記憶層 721‥‥金属貯蔵タンパク質 8‥‥基板 9‥‥メッシュ電極 91‥‥開口部 10‥‥封止部 101‥‥注入口 110‥‥抵抗 120、130‥‥コンデンサ

Claims (16)

  1. 液体試料中の検出対象物質の量を測定するセンサであって、
    前記液体試料を収納する試料収納空間と、
    少なくとも一部が前記試料収納空間に露出し、前記検出対象物質との間で電子の放出を伴う反応を行う受容体を含有する反応層と、
    該反応層の前記試料収納空間と反対側に設けられ、少なくとも2つの価数を取り得る金属イオンを含む金属イオン含有物質を含み、前記放出された電子を受け取って前記金属イオンの価数が変化することにより帯電量が変化するとともに、その状態を維持し得る反応記憶層と、
    該反応記憶層の前記反応層と反対側に設けられた第1の電極と、
    該第1の電極と前記反応記憶層との間に設けられ、前記第1の電極と前記反応記憶層とを絶縁する絶縁層と、
    少なくとも一部が前記試料収納空間に露出し、前記第1の電極との間の電位差を測定するための第2の電極とを有することを特徴とするセンサ。
  2. 前記反応記憶層中における前記金属イオン含有物質の含有量は、50wt%以上である請求項1に記載のセンサ。
  3. 前記金属イオン含有物質は、電子を受け取ることにより価数が変化した金属イオンを放出する機能を有する金属貯蔵タンパク質である請求項1または2に記載のセンサ。
  4. 前記金属貯蔵タンパク質は、フェリチンを主成分とするものである請求項3に記載のセンサ。
  5. 前記反応層は、前記価数が変化した金属イオンを捕捉するキレート剤を含む請求項3または4に記載のセンサ。
  6. 前記反応層中における前記キレート剤の含有量は、0.01〜1.0wt%である請求項5に記載のセンサ。
  7. 前記反応層は、高分子で構成された基材中に、前記受容体を含んでなるものである請求項1ないし6のいずれかに記載のセンサ。
  8. 前記高分子は、生体由来高分子またはその変性物を主成分とするものである請求項7に記載のセンサ。
  9. 前記反応層中における前記受容体の含有量は、45wt%以上である請求項1ないし8のいずれかに記載のセンサ。
  10. 前記反応層は、前記放出された電子を、前記反応記憶層に媒介する媒介物質を含む請求項1ないし9のいずれかに記載のセンサ。
  11. 前記反応層中における前記媒介物質の含有量は、0.01〜1.0wt%である請求項10に記載のセンサ。
  12. 前記絶縁層は、絶縁性構造と前記第1の電極に結合する結合性基とを有する絶縁性化合物を、前記結合性基を介して前記第1の電極の前記反応記憶層側の面に結合させて得られたものである請求項1ないし11のいずれかに記載のセンサ。
  13. 前記絶縁性構造は、炭素数20〜100の直鎖状の構造を含む請求項12に記載のセンサ。
  14. 前記絶縁性構造は、その末端に前記反応記憶層に結合する構造を含む請求項12または13に記載のセンサ。
  15. 前記第2の電極は、前記検出対象物質が通過可能な開口部を有し、前記反応層の前記試料収納空間側の面に接触して設けられている請求項1ないし14のいずれかに記載のセンサ。
  16. 少なくとも一部が前記試料収納空間に露出し、前記第1の電極との間に電圧を印加する第3の電極を有する請求項1ないし15のいずれかに記載のセンサ。
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