JP2010071846A - バイオセンサおよびバイオセンサの製造方法 - Google Patents

バイオセンサおよびバイオセンサの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電子の移動を効率的に行え、導体上へも固定しやすい電子メディエータを用いることで、高性能のバイオセンサを提供する。
【解決手段】本発明に係るバイオセンサ(1)は、第1、第2電極間の試料中の被検物質と酸化還元酵素との反応を電気化学的に測定することにより前記被検物質を測定するバイオセンサであって、前記第1電極(13B)は、導体(13A)と、一端にフェロセニル基又はフェロセン化合物が結合し、他端に前記導体表面に固定される固定基が結合したポリエチレングリコール鎖よりなる化合物層(14)と、を有する。このように上記化合物層を用いることにより、上記反応により生じた電子を効率よく導体へ伝達でき、被検物質の検出精度を向上させることができる。また、センサの低電圧駆動が可能となる。
【選択図】図1

Description

本発明のいくつかの態様は、バイオセンサおよびバイオセンサの製造方法等に関する。
酵素の基質特異性と反応性を利用して物質を検出するセンサが実用化されている。かかるセンサは、生体由来の機能を利用することからバイオセンサと呼ばれ、医療診断や環境物質の測定などに利用されている。
酵素を用いるバイオセンサは、酵素センサとも呼ばれ、酵素反応により生成される電子を電流として取り出し、反応量、即ち、被検物質を定量する。
例えば、下記特許文献1には、電子メディエイター型バイオセンサの酵素電極において、電子受容体が水性試料中に溶出することがなく高感度な被検物質濃度を測定可能とするバイオセンサが開示されている。
特開2004−294231号公報
本発明者は、バイオセンサに関する研究・開発を行っており、酵素と電極間の電子の授受を仲介する電子メディエータを用いたバイオセンサの特性の向上を検討している。
例えば、上記電子メディエータとして、フェロセンを末端に有するアルキル鎖を金属上に固定した電極をバイオセンサに用いた場合、金属上に単分子膜として固定可能であり、溶液中に電子メディエータを分散させた場合より、より効率的に電流を取り出せ、センサ特性が向上する。
そこで、本発明に係る具体的態様においては、電子の移動を効率的に行え、導体上へも固定しやすい電子メディエータを用いることで、高性能のバイオセンサを提供することを目的とする。また、その製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係るバイオセンサは、第1、第2電極間の試料中の被検物質と酸化還元酵素との反応を電気化学的に測定することにより前記被検物質を測定するバイオセンサであって、前記第1電極は、導体と、一端にフェロセニル基又はフェロセン化合物が結合し、他端に前記導体表面に固定される固定基が結合したポリエチレングリコール鎖よりなる化合物層と、を有する。
このように、一端にフェロセニル基又はフェロセン化合物が結合し、他端に前記導体表面に固定される固定基が結合したポリエチレングリコール鎖よりなる化合物層を用いることにより、上記反応により生じた電子を効率よく導体へ伝達でき、被検物質の検出精度を向上させることができる。また、センサの低電圧駆動が可能となる。
例えば、前記フェロセン化合物基は、フェロセニル基の5員環に、CONH(CH2CH2O)7CH3基又は(CH210CH3基が置換したフェロセン化合物基である。例えば、前記固定基は、硫黄基又は硫黄化合物基である。例えば、前記導体は、金属である。
より具体的には、例えば、前記化合物層は、−S(CH2CH2−O)n−CH2CH2NHCOFc(但し、Fcは、フェロセニル基:C109Fe)であり、前記導体表面に硫黄基が固定されている。
好ましくは、前記化合物層は、単分子膜である。このように、上記化合物は、高密度・高配向な分子膜である単分子膜として固定されやすい。
本発明に係るバイオセンサの製造方法は、基板上に導体を形成する第1工程と、フェロセニル基又はフェロセン化合物基と、前記導体表面に固定される固定基とを有するポリエチレングリコールの化合物の溶液と、前記導体とを接触させる第2工程と、前記第2工程の後、前記導体を乾燥させる第3工程と、を有する。
このように、フェロセニル基又はフェロセン化合物基と、前記導体表面に固定される固定基とを有するポリエチレングリコールの化合物の溶液を用いることで、導体上に高密度・高配向に固定することができる。よって、高検出精度のバイオセンサを形成することができる。また、低電圧駆動のバイオセンサを形成することができる。
例えば、前記フェロセン化合物基は、フェロセニル基の5員環に、CONH(CH2CH2O)7CH3基又は(CH210CH3基が置換したフェロセン化合物基である。例えば、前記固定基は、硫黄基又は硫黄化合物基である。例えば、前記導体は、金属である。
より具体的には、例えば、前記溶液は、[−S(CH2CH2−O)nCH2CH2NHCOFc]2(但し、Fcは、フェロセニル基:C109Fe)の溶液である。
例えば、前記溶液の溶媒は、ジクロロメタンまたはテトラヒドロフランである。また、前記溶液の溶媒は、プロトン性溶媒である。このように、上記ジクロロメタンやテトラヒドロフランなどのような比較的高い極性を有する非プロトン性の有機溶媒の他、水やアルコールなどのプロトン性溶媒を用いてもよい。このように、好ましい溶媒を適宜選択することで、種々の導体材料上への固定が可能となる。
好ましくは、前記化合物層は、単分子膜である。このように、上記化合物を用いることで、高密度・高配向な分子膜である単分子膜として固定することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。なお、同一の機能を有するものには同一もしくは関連の符号を付し、その繰り返しの説明を省略する。
図1は、本実施の形態のバイオセンサの製造工程を示す平面図および断面図であり、図2は、本実施の形態のバイオセンサの構成を示す平面図および断面図である。各図において、左側が平面図、右側が断面図である。図3は、本実施の形態のバイオセンサを用いた被検物質の測定方法(検査方法)を示す断面図である。
図1(A)に示すように、例えば、樹脂製の基板(基体)11上に、一対の導体膜(電極)13Aを形成する。導体膜は、例えば、Au(金)などの金属膜よりなり、印刷法などを用いて基板11上に形成する。なお、断面図は、平面図のA−A部に対応する。また、図面を分かり易くするため、平面図においても適宜ハッチングを付してある。
次いで、図1(B)に示すように、導体膜13Aの一方に、電子メディエータを固定(化合物層を形成)し、電極13Bを形成する。他方の導電膜13Aはそのまま電極となる。図中、14は、電子メディエータの固定部(化合物層)を示す。
電子メディエータを固定するには、電子メディエータ材料溶液を導体膜13Aに接触させ、乾燥させる。例えば、導体膜13Aを上記溶液中に浸漬させ、取り出した後、その表面を乾燥する。また、上記溶液を、導体膜13A上に吐出し、乾燥させてもよい。
本実施の形態においては、電子メディエータ材料として、酸化還元部位−主鎖−固定基の3部分よりなる化合物であって、主鎖としてポリエチレングリコール鎖(PEG鎖)を有する化合物を用いる。
例えば、酸化還元部位(電子受容体)としては、フェロセニル基、フェロセン化合物基などが挙げられ、固定基(吸着基、結合性部位)としては、硫黄基(S−)、硫黄化合物基などが挙げられる。
換言すれば、本実施の形態においては、一端にフェロセニル基又はフェロセン化合物基が結合し、他端に固定基が結合したポリエチレングリコール鎖よりなる化合物を用い、当該化合物の固定基側を上記導体膜表面に固定する。
図4(C)に、本実施の形態で使用される化合物の一例を示す。なお、図4(A)は、フェロセンおよびフェロセン誘導体の構造を示し、図4(B)は、ポリエチレングリコールの構造を示す。
図4(C)に示す[−S(CH2CH2−O)n−CH2CH2NHCOFc]2(但し、Fcは、フェロセニル基:C109Fe)化合物を用い、溶媒として、ジクロロメタンを用い溶解する。以下、上記化合物を、「FcPEGDs(Ferrocene terminated PEG disulfide)」と言うことがある。
なお、フェロセン化合物としては、図4(A)に示すフェロセンの他、5員環に、R1、R2などの他の基が置換したフェロセン誘導体であってもよい。また、固定基としては、−S(硫黄基)の他、硫黄化合物基(−SHなど)であってもよい。
このようなFcPEGDs化合物は、親水性が高く、上記ジクロロメタンやテトラヒドロフランなどのような比較的高い極性を有する非プロトン性の有機溶媒の他、水やアルコールなどのプロトン性溶媒にも容易に溶ける。なお、これらの混合物を溶媒として使用してもよい。よって、下層の導体(金属)に悪影響を及ぼさない溶媒を適宜選択することができる。また、溶媒による金属の侵食や変質などを防止でき、印刷法などを用いた薄膜金属上へも固定可能となる。
また、FcPEGDs化合物は、上記処理により導体膜13A上に高密度で整列性良く(配向性良く)固定される。このようにFcPEGDs化合物は、各分子が自発的に高密度・高配向な分子膜を形成する自己組織化単分子膜(Self-Assembled Monolayers : SAMs)状態で、導体膜13A上に固定される。また、FcPEGDs化合物は、主鎖に酸素を有し、酸素の非共有電子対により電子の媒介(移動)が促進される。
したがって、酵素反応により生じた電子を効率よく電子メディエータとして導体膜(電極)に媒介(伝達)でき、高精度な被検物質の測定を行うことができる。また、低電圧でも被検物質の測定を行うことができる。
次いで、図1(C)に示すように、開口部15aを有する上基板15を電極13Aおよび13B上に配置し、基板間(11、15)を接着する。この際、開口部15aからは、電極13Aおよび13Bの一部が露出している。また、基板11の端部において、電極13Aおよび13Bが露出し、外部接続端子となる。
以上の工程で形成されたバイオセンサ1は、例えば、図2に示す判定器3に挿入され、被検物質の測定が行われる。判定器3は、樹脂製の基板21と上基板23とを有する。上基板23には、電極23A、23B、これらの電極に接続された電流検出部25および検出された電流に基づく判定結果を表示する表示部27が設けられている。基板(21、23)間の挿入孔29に、バイオセンサ1を挿入することにより被検物質の測定が行われる。
即ち、図3に示すように、開口部15a内に試料(例えば、血液等)と試薬(酵素)を注入し、電極13Aおよび13B間において酵素反応を生じさせ、酵素反応により生じた電子を上記FcPEGDs化合物(電子メディエータ)を介して効率よく取り出すことができる。
図5は、血中の糖(グルコース)の酵素反応機構を示す図である。図6は、図5に示す酵素反応に係る反応式をまとめた図表である。
図5に示すように、血中の糖(グルコース)濃度を測定する場合、試料である血液と、試薬としてグルコース酸化酵素であるグルコースオキシターザ(GOD)および補酵素のFAD(フラビンアデニンジヌクレオチド)を開口部15aに注入する。
図5に示すように、血中のグルコースが、GODの触媒作用により酸化されグルコン酸となる(図6(A)参照)。同時に補酵素のFAD(フラビンアデニンジヌクレオチド)は還元型のFADH2となり(図6(B)参照)、この時に発生した電子が、電子メディエータ先端のフェロセン化合物基の酸化還元反応(図6(C)参照)によって取り出されPEG鎖を介して導体膜13Aまで運ばれ放出される。この時放出された電子量はグルコース濃度に比例するため、上記電流検出部25で電子量を電流として測定し、検量線などにより血糖値に換算した後、上記表示部27に表示する。
(実施例)
200nm程度の厚さスパッタ法で堆積したAu膜13を、電子メディエータ材料溶液として、図4(C)に示すFcPEGDs化合物の1mモルのジクロロメタン溶液を用い、当該溶液中に3時間程度浸漬させ、取り出した後、洗浄および乾燥することにより、Au膜13上に電子メディエータを固定した。PEG鎖:(CH2CH2−O)nの長さnは、7とした。
図7は、本実施例に用いたバイオセンサの概略を示す斜視図および要部段面図である。なお、図1〜3と同一の機能を示す箇所には同一もしくは関連する符号を付し、繰り返しの説明を省略する。
図7に示すように、Au膜13表面の電子メディエータ固定部14上に、NaClの0.3モル溶液16を配置し、溶液16上の電極13AとAu膜13との間にポテンシオスタット25aを接続し、電極間に印加する電圧に対する電流の変化を測定した。13Rは、リファレンス電極である。当該電極もポテンシオスタット25aに接続されている。なお、比較例として、PEG鎖をアルキル鎖とした化合物(以下、「FcALSH(Ferrocene terminated alkil thiol)と言うことがある)をAu膜上に固定し、上記測定を行った。なお、アルキル鎖の長さは、炭素(C)数で11とした。
図8は、FcPEGDs化合物およびFcALSH化合物を用いた場合の電流・電圧曲線(CV曲線)を示す図である。グラフ(a)は、FcPEGDs化合物を固定した場合、グラフ(b)は、FcALSH化合物を固定した場合を示し、縦軸が、電流(current[1×10-6A])を、横軸が電圧(potential[V])を示す。
図示するように、グラフ(a)においては、0.3V程度から電流値の上昇が始まり、低電圧駆動が可能であることが分かる。また、グラフ(a)は、グラフ(b)と比較し、対称性が良好で、単分子膜特有の結果が得られた。
図9〜図11は、FcPEGDs化合物およびFcALSH化合物のAu膜13上への固定状態を示す図である。図9(A)および(B)に示すように、FcPEGDs化合物およびFcALSH化合物の双方ともAu膜13上へ吸着固定すると考えられる。このうちFcPEGDs化合物は、図10に示すように、非共有電子対を有する酸素(O)原子が螺旋状に配置された構成となる。図10においては、(A)は、側面図、(B)は、上面図である。一方、FcALSH化合物は、図11に示す構造となる。図11においては、(A)、(B)ともに側面図である。
次いで、図8に示すCV曲線のピーク電流(peak current;Ip)に基づき、FcPEGDs化合物およびFcALSH化合物の表面分子密度を求めると、FcPEGDs化合物の場合、0.64×1014分子/cm2、FcALSH化合物の場合、およそ1×1014分子/cm2程度であり、双方とも高密度に固定されていることが判明した。
図12は、電子メディエータを単分子膜として導体上に固定した場合の単分子膜モデルの概念図およびピーク電流値(Ip)式を示す図である。また、図13は、電子メディエータを溶液中に拡散させた場合の溶液拡散モデルの概念図およびピーク電流値(Ip)式を示す図である。図中Mは、分子を示す。
図12(A)に示すように、単分子膜モデルの場合、電子メディエータ(M)と導体(13)との間においては、電子移動のみを考慮すればよく、図12(B)に示すように、ピーク電流値(Ip)は、走査速度(scan rate:v[v/sec])に比例する。なお、式中のnは、関与する電子数、Fは、ファラデー定数、Aは電極の面積、cは被分析物濃度、Rは、気体定数、Tは、絶対温度である。
これに対し、溶液拡散モデルの場合、図13(A)に示すように、電子メディエータ(M)と導体(13)との間においては、電子移動のみならず、電子メディエータ自身の移動も考慮する必要がある。よって、図13(B)に示すように、ピーク電流値(Ip)は、走査速度vの1/2乗(v1/2[v/sec]1/2)に比例する。なお、式中のKは最大電流値(0.4463)、Dは、拡散係数である。
そこで、走査速度v、即ち、1秒当りの電圧変化を変えてCV曲線を測定した。図14は、FcALSH化合物を固定させた場合の上記CV曲線(A)およびピーク電流の走査速度特性(B)を示す図である。図15は、FcPEGDs化合物を固定させた場合の上記CV曲線(A)およびピーク電流の走査速度特性(B)を示す図である。いずれも1秒当りの電圧変化量(走査速度mV/sec)を20mV〜300mVまで変化させてCV曲線を測定した(図14(A)、図15(A))。
図14(A)のグラフのCV曲線のピーク電流値(Ip)を走査速度vの1/2乗(v1/2[v/sec]1/2)に対しプロットすると、ほぼ直線状となった(図14(B))。また、図15(A)のグラフのCV曲線のピーク電流値(Ip)を走査速度v[v/sec]に対しプロットすると、直線状となった(図15(B))。
以上の結果から、FcALSH化合物を固定させた場合、高密度に固定されていると考えられるものの、電子の授受は溶液拡散モデルに近いことが判明した。一方、本実施の形態のFcPEGDs化合物を固定させた場合は、単分子膜モデルに合致し、高密度かつ配向性よく固定されていることが判明した。
図16は、FcPEGDs化合物の固定基(−S)の代わりに、固定機能を有さない−OH基を結合させた化合物の構成(A)を示す図である。以下、当該化合物を「FcPEGOH(Ferrocene terminated PEG hydroxide)と言うことがある。なお、参考までにFcPEGDs化合物の構成も示した(B)。また、図17および図18は、FcPEGOH化合物を用いて行った比較試験結果を示す図である。即ち、FcPEGOH化合物の溶液を用いて、FcPEGDs化合物と同様にAu膜に浸漬、洗浄、乾燥した。
FcPEGOH化合物の溶液を上記のとおりAu膜上に処理した場合、図17(A)および(B)のグラフ(a)に示すように、酸化還元反応に特有のピークを有さず、電子メディエータとして機能していない、即ち、Au膜上に固定されていないことが判明した。なお、グラフ(b)は、固定基として−Sを有する本実施の形態のFcPEGDs化合物を固定した場合のCV曲線である。この場合、図8や図15(A)を参照しながら説明したとおり、酸化還元反応特有のピークを有するCV特性が確認される。このような傾向は、走査速度vを変えても同様であった。図17(A)は、走査速度vを0.05V/secとした場合、図17(B)は、走査速度を0.3V/secとした場合を示す。
一方、FcPEGOH化合物(図16(B))を溶液中に分散させ、電子メディエータとして機能させた場合には、図18(A)に示すように、酸化還元反応特有のピークを有するCV特性が確認された。また、CV曲線のピーク電流値(Ip)を走査速度vの1/2乗(v1/2[v/sec]1/2)に対しプロットすると、直線状となった(図18(B))。よって、FcPEGOH化合物は、溶液中に分散させた場合は電子メディエータとして機能するものの、固定基を有さないため、Au膜上には固定されないことが裏付けられた。
このように、本実施の形態のFcPEGDs化合物を用いることで、高密度で高配向な単分子膜としてAu膜上に固定されていることが検証できた。かかる固定処理は、Auなどの導体をFcPEGDs化合物の溶液中に浸漬、乾燥させるだけでよく、簡易な工程で効率よく電子メディエータを固定することができる。また、上記化合物は、親水性が高く、上記ジクロロメタンやテトラヒドロフランなどのような比較的高い極性を有する非プロトン性の有機溶媒の他、水やアルコールなどのプロトン性溶媒にも容易に溶ける。よって、下層の導体(金属)に悪影響を及ぼさない溶媒を適宜選択することができる。また、溶媒による金属の侵食や変質などを防止でき、印刷法などを用いた薄膜金属上へも固定可能となる。
なお、本実施の形態においては、酵素反応として、グルコースとGODを例示したが、この他、被検物質を基質とする酸化還元酵素を利用した種々のバイオセンサに適用することができる。
また、本実施の形態においては、導体としてAu膜を用いたが、これに限られず、種々の導体を用いることができる。中でも、PtやAgなどの遷移金属は、固定基が吸着し易く、化学的に比較的安定であるため電極として用いて好適である。
また、本実施の形態においては、酸化還元部位としてフェロセニル基やフェロセン化合物基を用いたが、酸化還元反応を生じ得る他の基を用いてもよい。
また、本実施の形態においては、固定基として−S等を用いたが、場合によっては、窒素やリンなどを含む基を用いてもよい。
また、本実施の形態においては、主鎖としてPEG鎖を用いたが、酸素や窒素などの非共有電子対を有し、螺旋構造を持つ主鎖を用いることで同様の効果を奏するものと考えられる。
このように、上記発明の実施の形態を通じて説明された実施例や応用例は、用途に応じて適宜に組み合わせて、又は変更若しくは改良を加えて用いることができ、本発明は上述した実施形態の記載に限定されるものではない。
本実施の形態のバイオセンサの製造工程を示す平面図および断面図である。 本実施の形態のバイオセンサの構成を示す平面図および断面図である。 本実施の形態のバイオセンサを用いた被検物質の測定方法(検査方法)を示す断面図である。 本実施の形態で使用される化合物の一例等を示す図である。 血中の糖(グルコース)の酵素反応機構を示す図である。 図5に示す酵素反応に係る反応式をまとめた図表である。 本実施例に用いたバイオセンサの概略を示す斜視図および要部段面図である。 FcPEGDs化合物およびFcALSH化合物を用いた場合の電流・電圧曲線(CV曲線)を示す図である。 FcPEGDs化合物およびFcALSH化合物のAu膜13上への固定状態を示す図である。 FcPEGDs化合物のAu膜13上への固定状態を示す図である。 FcALSH化合物のAu膜13上への固定状態を示す図である。 電子メディエータを単分子膜として導体上に固定した場合の単分子膜モデルの概念図およびピーク電流値(Ip)式を示す図である。 電子メディエータを溶液中に拡散させた場合の溶液拡散モデルの概念図およびピーク電流値(Ip)式を示す図である。 FcALSH化合物を固定させた場合のCV曲線(A)およびピーク電流の走査速度特性(B)を示す図である。 FcPEGDs化合物を固定させた場合のCV曲線(A)およびピーク電流の走査速度特性(B)を示す図である。 FcPEGDs化合物の固定基(−S)の代わりに、固定機能を有さない−OH基を結合させた化合物の構成等を示す図である。 FcPEGOH化合物を用いて行った比較試験結果を示す図である。 FcPEGOH化合物を用いて行った比較試験結果を示す図である。
符号の説明
1…バイオセンサ、3…判定器、11…基板、13A…導体膜、13B…電極、13…Au膜、13R…リファレンス電極、14…電子メディエータを固定部、15…上基板、15a…開口部、16…溶液、21…基板、23…上基板、23A、23B…電極、25…電流検出部、25a…ポテンシオスタット、27…表示部、29…挿入孔、M…分子

Claims (15)

  1. 第1電極、第2電極間の試料中の被検物質と酸化還元酵素との反応を電気化学的に測定するセンサであって、
    前記第1電極は、導体と、ポリエチレングリコール鎖よりなる化合物層と、を有し、
    前記化合物層の一端にフェロセニル基又はフェロセン化合物基が結合し、前記化合物層の他端に前記導体表面に固定される固定基が結合することを特徴とするバイオセンサ。
  2. 前記フェロセン化合物基は、フェロセニル基の5員環に、CONH(CH2CH2O)7CH3基又は(CH210CH3基が置換したフェロセン化合物基であることを特徴とする請求項1記載のバイオセンサ。
  3. 前記固定基は、硫黄基又は硫黄化合物基であることを特徴とする請求項1又は2記載のバイオセンサ。
  4. 前記導体は、金属であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項記載のバイオセンサ。
  5. 前記化合物層は、
    −S(CH2CH2−O)n−CH2CH2NHCOFc(但し、Fcは、フェロセニル基:C109Fe)であり、前記導体表面に硫黄基が固定されていることを特徴とする請求項1記載のバイオセンサ。
  6. 前記化合物層は、単分子膜であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項記載のバイオセンサ。
  7. 基板上に導体を形成する第1工程と、
    フェロセニル基又はフェロセン化合物基と、前記導体表面に固定される固定基とを有するポリエチレングリコールの化合物の溶液と、前記導体とを接触させる第2工程と、
    前記第2工程の後、前記導体を乾燥させる第3工程と、
    を有することを特徴とするバイオセンサの製造方法。
  8. 前記第2工程により、前記化合物の前記固定基が前記導体に固定され、前記化合物よりなる層が形成されることを特徴とする請求項7記載のバイオセンサの製造方法。
  9. 前記フェロセン化合物基は、フェロセニル基の5員環に、CONH(CH2CH2O)7CH3基又は(CH210CH3基が置換したフェロセン化合物基であることを特徴とする請求項7又は8記載のバイオセンサの製造方法。
  10. 前記固定基は、硫黄基又は硫黄化合物基であることを特徴とする請求項7乃至9のいずれか一項記載のバイオセンサの製造方法。
  11. 前記導体は、金属であることを特徴とする請求項7乃至10のいずれか一項記載のバイオセンサの製造方法。
  12. 前記溶液は、
    [−S(CH2CH2−O)nCH2CH2NHCOFc]2(但し、Fcは、フェロセニル基:C109Fe)の溶液であることを特徴とする請求項7記載のバイオセンサの製造方法。
  13. 前記溶液の溶媒は、ジクロロメタンまたはテトラヒドロフランであることを特徴とする請求項7乃至12のいずれか一項記載のバイオセンサの製造方法。
  14. 前記溶液の溶媒は、プロトン性溶媒であることを特徴とする請求項7乃至12のいずれか一項記載のバイオセンサの製造方法。
  15. 前記層は、単分子膜であることを特徴とする請求項8記載のバイオセンサの製造方法。
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