JP2007248164A - センサ - Google Patents

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Shinobu Yokogawa
忍 横川
Hiroshi Takiguchi
宏志 瀧口
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Abstract

【課題】簡易な構成で、複数の検出対象物を検出可能なセンサを提供すること。
【解決手段】センサ1は、液体試料50を収納する試料供給空間5を有している。また、試料供給空間5内には、作用電極21、22、23、対向電極61、62、63および参照電極71、72、73でそれぞれ構成された検出部11、12、13を有している。さらに、作用電極21、22、23のうち、作用電極21、22上には、それぞれ中間層31、32を介して反応層41、42が設けられている。これらの中間層31、32は、それぞれ、反応層41、42中の受容体の各種類および/または各含有量に応じて、中間層31、32に含まれる化合物の各組成および/または各含有量を設定することにより、検出部11、12から取り出される電流値を調整し得るよう構成されている。そして、これらの電流値と、中間層を省略した検出部13から取り出される電流値が同一の範囲内に収まるよう構成されている。
【選択図】図4

Description

本発明は、センサに関するものである。
酵素を用いたバイオセンサは、血糖、コレステロール、尿素およびビタミン等、多くの生体分子を選択的に検出する手段として広く研究されている(例えば、非特許文献1参照)。
中でも、検出対象物と酸化酵素とが反応することによって生じる生成物または消費される物質を、電気化学的に検出するバイオセンサは、盛んに研究が進められ、血糖値センサや尿糖値センサ等として開発されている。
このような酸化酵素を用いるバイオセンサとしては、(1)酵素反応に伴う酸素濃度の減少を、酸素センサ(酸素電極)により検出するもの、(2)酵素反応に伴って生成される過酸化水素を、過酸化水素電極上で電気分解し、その際に生じる電流を検出するもの、(3)酸化還元性の分子と酵素とを複合化した複合体と測定対象物とを反応させ、その反応に伴って生じた還元型メディエータを、電極上で酸化型メディエータに変換し、その際に生じる電流を検出するもの等が知られている。また、(2)と(3)の中間的なものとして(4)酵素反応に伴って生成される過酸化水素を、メディエータと電気的に結合させたホースラディッシュパーオキシダーゼ(HRP)によって還元し、その際に生じる電流を検出するものも報告されている(例えば、非特許文献2参照)。
ところで、このようなバイオセンサは、具体的には、酵素を含有する反応層と、酵素反応に伴って生じる電荷の移動を電流として検出する電極を有している。このようなバイオセンサは、単体で、複数の検出対象物が検出できるように、マルチセンサ化が進められており、検出する対象物質の数に合わせて、反応層や電極を複数設けたものも提案されている(例えば、特許文献1参照)。
ここで、反応層を複数設けると、各電極から得られる電流値の範囲が大きく異なる場合がある。例えば、ある電極から得られる電流値が、他の電極から得られる電流値の100倍以上となることもあり、このような場合、同じ処理回路で検出対象物の量を求めるためには、電流値の範囲をどちらかに揃える回路が必要となる。しかし、そのような回路を設けると、センサの構成が複雑化および大型化するという不都合が生じる。
軽部征夫著「バイオセンサー」共立出版、1986年5月2日 ブリーク・エム(Vreeke,M.)、他2名、「アナリティカルケミストリー(Analytical Chemistry)」、1992年、第64号、p.3084-3090 特表2002−518998号公報
本発明の目的は、簡易な構成で、複数の検出対象物を検出可能なセンサを提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明のセンサは、基板と、
該基板上に設けられ、検出対象物との間で電子の放出を伴う反応を行う受容体を含む反応層と、該反応層と前記基板との間に設けられた電極とを備える複数の検出部とを有するセンサであって、
複数の前記検出部のうちの少なくとも1つは、前記反応層と前記電極との間に、前記電極に結合する化合物を含む中間層を備え、
前記各検出部において、前記受容体の種類および/または該受容体の前記反応層における含有量に応じて、前記中間層を配設するか否か、および/または前記中間層の条件を設定することにより、前記各検出部から取り出される電流値が、いずれも同一の範囲内に収まるよう構成されていることを特徴とする。
これにより、簡易な構成で、複数の検出対象物を検出可能なセンサが得られる。
本発明のセンサでは、前記中間層の条件は、前記化合物の組成、および該化合物の前記中間層における含有量の少なくとも一方であることが好ましい。
これらの条件の一方または双方を設定することにより、反応層から作用電極への電子移動性を確実に制御することができる。
本発明のセンサでは、前記化合物は、前記反応層と結合していることが好ましい。
これにより、中間層と反応層との密着性の向上を図ることができる。その結果、反応層が中間層から容易に剥離するのを防止することができ、検出部内における電子の移動が阻害されるのを防止することができる。
本発明のセンサでは、前記各検出部から取り出される電流値の範囲は、1〜1000μAであることが好ましい。
電流値を前記範囲内に揃えることにより、これらの電流値を、ノイズ等の影響を適切に防止しつつ、一般的かつ汎用的な処理回路により高い精度で解析することができる。これにより、各ターゲットの量を、それぞれ高い精度で測定することができる。
本発明のセンサでは、前記化合物は、アルキル鎖およびエチレングリコール鎖の少なくとも一方を含むことが好ましい。
これらの直鎖分子を含む化合物は、高い配向性を有する自己組織化膜を形成し易く、また、取り扱いが容易なものである。さらに、これらの化合物では、その鎖長を変化させることにより、その電子移動性を制御することもできる。一般に、化合物の鎖長を長くすることにより、その化合物の電子移動性を低下させることができる。
本発明のセンサでは、前記受容体は、酵素であることが好ましい。
酵素は、検出対象物の識別能力が高く、高い検出感度のセンサを実現することができる。また、酵素を受容体とするセンサは、簡便な取り扱いを実現し易いものとなる。
本発明のセンサでは、複数の前記中間層の少なくとも1つは、さらに、高分子を含んでいることが好ましい。
これにより、高分子の条件を設定することにより、中間層の電子移動性を変化させることができる。
本発明のセンサでは、前記中間層において、前記受容体の種類および/または該受容体の前記反応層における含有量に応じて、前記高分子の組成および/または前記高分子の含有量を設定することにより、前記各検出部から取り出される電流値が、いずれも同一の範囲内に収まるよう構成されていることが好ましい。
これにより、検出部から取り出される電流値の範囲を、より狭い範囲に揃えることができ、より高い精度で電流値を測定・解析することができる。
本発明のセンサでは、複数の前記検出部の少なくとも2つが、前記中間層を備え、
該各中間層において、前記受容体の種類および/または該受容体の前記反応層における含有量に応じて、前記高分子を混合するか否か、前記高分子の組成、および前記中間層における前記高分子の含有量の少なくとも1つを設定することにより、前記各検出部から取り出される電流値が、いずれも同一の範囲内に収まるよう構成されていることが好ましい。
本発明のセンサでは、前記反応層中における前記受容体の含有率は、5〜50wt%であることが好ましい。
これにより、液体試料中に検出対象物が含まれる場合、受容体と検出対象物との間に十分な反応を生じさせることができ、電子を効率よく放出させることができる。
本発明のセンサでは、複数の前記反応層の少なくとも1つは、前記放出された電子の移動を媒介する媒介体を含むことが好ましい。
媒介体は、一般に、検出対象物に比べ、より低電位で酸化反応を生じるものである。このため、媒介体を電子移動の媒介とすることにより、反応層から電子を効率よく移動させ、検出部から、より高い感度で電流を取り出すことができる。
本発明のセンサでは、前記化合物は、前記媒介体と電子を授受し得る構造を有することが好ましい。
これにより、中間層と媒介体とが接触した際に、より効率よく、媒介体から中間層へ電子を移動させることができる。
本発明のセンサでは、前記電極は、導電性材料粉末の集合体で構成されていることが好ましい。
これにより、これらの電極および配線を、各種印刷法を用いて容易に形成することができる。その結果、センサの製造工程を大幅に簡素化することができ、センサの低コスト化を図ることができる。
以下、本発明のセンサを、添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明のセンサを測定装置に装着した状態を示す模式図(斜視図)、図2は、本発明のセンサを模式的に示す平面図、図3は、図1に示すセンサが備える1つの検出部を拡大して示す平面図、図4は、図2に示すセンサのA−A線断面図、図5は、図4に示す断面図の部分拡大図、図6は、図4に示すセンサの製造方法を説明するための縦断面図である。なお、以下の説明では、図2および図3中の紙面手前側を「上」、紙面奥側を「下」と言う。また、図4〜図6中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
本発明のセンサは、液体試料中に含まれるターゲット(検出対象物)の量を、複数の電極から取り出される電流値の変化に基づいて測定するものである。
図1に示す測定装置100は、センサ1と、センサ1で得られた電流値を解析する処理回路101を備えた演算装置102と、センサ1を装着するコネクタ103、処理回路101とコネクタ103とを接続する配線104とを有する。
図2および図3に示すセンサ1は、基板2上に、作用電極(電極)21、22、23、対向電極61、62、63および参照電極71、72、73でそれぞれ構成された検出部11、12、13のような複数の検出部を有している。
これらの各電極は、それぞれ独立して、配線3、コネクタ103および配線104を介して、処理回路101と電気的に接続されている。そして、センサ1は、コネクタ103において着脱可能となっている。
また、検出部11、12、13は、図4に示すように、それぞれ隔壁6を介して隔離されている。
このようなセンサ1は、図4に示すように、基板2と隔壁6とで画成される試料供給空間5に、液体試料50を供給することにより、後述する各作用電極21、22、23上に設けられた反応層と液体試料50とが接触する。そして、液体試料50中のターゲットと反応層とが反応することにより、各作用電極21、22、23から電流を取り出すことができる。これにより、この電流値の変化に基づいて液体試料50中のターゲットの量を測定することができる。
ここで、液体試料としては、例えば、血液、尿、汗、リンパ液、髄液、胆汁、唾液等の体液や、これらの体液に各種処理を施した処理済み液等が挙げられる。
また、液体試料中に含まれるターゲットは、後述する受容体と反応することにより、電子(e)を放出するものである。
このようなターゲットとしては、例えば、グルコースのような糖類、単純タンパク質、糖タンパク質のようなタンパク質類、アルコール類、コレステロール、ステロイドホルモン、胆汁酸、胆汁アルコールのようなステロイド類、ビタミン類、ホルモン類、乳酸、ビリルビン、尿酸、クレアチニン等が挙げられる。
以下、センサ1の各部の構成について詳述する。なお、図1に示すセンサ1は、多数の検出部を有しているが、以下では、センサ1の構造について、検出部11、検出部12および検出部13を代表に説明する。
基板2は、センサ1を構成する各部を支持するとともに、前述した各電極および配線3を、互いに絶縁するものである。
基板2の構成材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PES)、ポリイミド(PI)等の各種樹脂材料、石英ガラスのような各種ガラス材料、アルミナ、ジルコニアのような各種セラミックス材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
基板2上には、図4に示すように、互いに離間して複数(以下の説明では3個)の作用電極21、22、23が設けられている。
この作用電極21、22、23の構成材料としては、それぞれ、例えば、金、銀、銅、白金またはこれらを含む合金のような金属材料、ITOのような金属酸化物系材料、グラファイトのような炭素系材料等が挙げられる。
各作用電極の上側には、反応層が設けられている。
本実施形態では、作用電極21、22、23のうち、作用電極21、22上には、それぞれ、中間層31、32を介して反応層41、42が設けられている。また、作用電極23には、その上面に接触するように反応層43が設けられている。すなわち、反応層41、42、43は、作用電極21、22、23に対応して、それぞれ設けられている。
図4に示すように、反応層41、42、43は、それぞれ、その少なくとも一部(本実施形態では上面)が試料供給空間5に露出するように設けられている。そして、試料供給空間5に液体試料50を供給することにより、液体試料50を反応層41、42、43に接触させることができる。
反応層41、42、43は、図5に示すように、受容体411、421、431を含有している。ここで、受容体411、421、431が酵素を含んでいる場合、これらの受容体411、421、431は、前述したように、それぞれ、液体試料50中のターゲット51、52、53と反応(酸化反応)することにより、電子を放出する。
これらの受容体411、421、431は、いずれも同種のターゲットと反応するものでもよいが、本実施形態では、互いに異種のターゲット51、52、53と反応するものである。このような構成とすることにより、異種のターゲット51、52、53を同時に含む液体試料50に対して、各ターゲット51、52、53の量を、一度の測定操作により、一括して測定可能なマルチセンサが得られる。
このような受容体411、421、431としては、例えば、酵素、抗体のようなポリペプチド、オリゴペプチド、DNA、オリゴヌクレオチドのような核酸等が挙げられる。
なお、例えば、受容体411、421、431が抗体を含んでいる場合、受容体411、421、431は、ターゲットとなる抗原を吸着し、さらに、その抗原を特異的に認識し、酵素等の電子発生を促すマーカーを備える二次抗体を吸着することにより、前述の酵素の場合と同様に、電子を放出することができる。
これらの中でも、受容体411、421、431は、それぞれ、酵素を含んでいるのが好ましい。酵素は、ターゲット51、52、53の識別能力が高く、高い検出感度のセンサを実現することができる。また、酵素を受容体とするセンサは、簡便な取り扱いを実現し易いものとなる。
酵素としては、測定対象とするターゲット51、52、53の種類に応じて、例えば、グルコースオキシダーゼ(GOx)、アスコルビン酸オキシダーゼ(ASOx)、ラクテートオキシダーゼ(LOx)、ウリカーゼ(尿酸オキシダーゼ)(UOx)、ガラクトースオキシダーゼ、ピルビン酸オキシダーゼ、D−またはL−アミノ酸オキシダーゼ、アミンオキシダーゼ、コレステロールオキシダーゼ、コリンオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、グリセロールオキシダーゼ、キサンオキシダーゼ、コリンオキシダーゼ、グルタメートオキシダーゼ、ホースラディッシュパーオキシダーゼのようなオキシダーゼ類、アルコールデヒドロゲナーゼ、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、コレステロールルデヒドロゲナーゼ、アルデヒドデヒドロゲナーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、フルクトースデヒドロゲナーゼ、ソルビトールデヒドロゲナーゼ、グリセロールデヒドロゲナーゼのようなデヒドロゲナーゼ類等の各種酸化還元酵素等を用いることができる。
本実施形態では、反応層41、42、43は、それぞれ、図5に示すように、高分子413、423、433で構成されたマトリクス(基材)中に、受容体411、421、431を含んで(含浸させて)なるものである。これにより、受容体411、421、431が他の層や液体試料50中に拡散するのを防止することができ、各反応層41、42、43においてターゲット51、52、53と受容体411、421、431との反応をより確実に生じさせることができる。
マトリクスを構成する高分子413、423、433としては、特に限定されないが、例えば、生体関連高分子(動物由来の高分子)や植物由来の高分子のような天然高分子(天然樹脂)、合成高分子(合成樹脂)、またはこれらの変性物等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、マトリクスを構成する高分子413、423、433としては、生体由来高分子またはその変性物を主成分とするものが好ましい。これらのものを用いることにより、受容体411、421、431が容易に変性、失活するのを好適に防止することができる。
このような生体関連高分子としては、例えば、糖質類、タンパク質類(特にアルブミン(例えば、ウシ血清アルブミン:BSA)、グロブリン、ミオグロビン)、核酸(DNA、RNA)等が挙げられる。
また、その変性物としては、前記生体関連高分子の疎水結合、水素結合、イオン結合を破壊する処理を施したもの等が挙げられる。かかる処理としては、例えば、熱処理、加圧処理、pH調整処理、変性剤による処理等が挙げられる。
また、マトリクスには、架橋構造が形成されているのが好ましい。これにより、受容体411、421、431を当該マトリクスに強固に保持(担持)することができる。また、各反応層41、42、43の機械的強度の向上にも寄与する。
マトリクスに架橋構造を形成する架橋剤としては、高分子としてペプチドを主成分とするものを用いる場合には、例えば、グルタルアルデヒド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、トリニトロメタン、水溶性酸化チタン(チタンラクテート;[(OH)2Ti(C3H5O2)2]、チタントリエタノールアミネート;[(C3H7O)2Ti(C6H14O3N)2])、水溶性酸化ジルコニウム(酢酸ジルコニル;[ZrO(OCOCH3)2])等が挙げられ、これらの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
各反応層41、42、43中における受容体411、421、431の含有率は、基材となるマトリクスに対して5〜50wt%であるのが好ましく、40〜50wt%程度であるのがより好ましい。これにより、液体試料50中にターゲット51、52、53が含まれる場合、受容体411、421、431とターゲット51、52、53との間に十分な反応を生じさせることができ、電子を効率よく放出させることができる。
また、各反応層41、42、43には、放出された電子を後述する中間層または作用電極に媒介するメディエータ(媒介体)412、422、432を含むのが好ましい。メディエータ412、422、432は、一般に、ターゲット51、52、53に比べ、より低電位で酸化反応を生じるものである。このため、メディエータ412、422、432を電子移動の媒介とすることにより、反応層41、42、43から電子を効率よく移動させ、検出部11、12、13から、より高い感度で電流を取り出すことができる。
メディエータ412、422、432としては、例えば、フェリシアン化カリウム、フェロセンまたはフェロセン誘導体、ニッケロセンまたはニッケロセン誘導体、ピリジンまたはピリジン誘導体、キノンまたはキノン誘導体(例えばp−ベンゾキノン、ピロロキノリンキノン等)、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)のようなフラビン誘導体、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)のようなニコチンアミド誘導体、フェナジンメトサルファート、2,6−ジクロロフェノールインドフェノール、ヘキサシアノ鉄(III)酸塩、オクタシアノタングステンイオン、ポルフィリン誘導体、フタロシアニン誘導体等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
反応層41、42、43がメディエータ412、422、432を含む場合、その含有量は、基材マトリクスに対して、1〜50wt%程度であるのが好ましく、10〜30wt%程度であるのがより好ましい。メディエータ412、422、432の含有量を前記範囲とすることにより、反応層41、42、43において放出された電子を確実かつ迅速に移動させることができる。
ここで、このような複数の検出部(作用電極)を有するセンサでは、反応層が含む受容体は、その種類および/または量に応じて、酸化反応に伴って放出される電子の数が異なる。例えば、複数の検出部の間において、放出される電子の数が大きく異なる受容体を用いたり、用いる受容体の量が大きく異なる場合、放出される電子の数の差も大きくなる。
この電子の数は、作用電極から取り出す電流値に対応しているため、従来のセンサでは、各検出部によって、取り出す電流値が大きく異なる場合があった。
しかしながら、これらの電流値を解析し、液体試料中のターゲットの量を算出する処理回路は、一般に、高い精度で解析可能な電流値の範囲に限界がある。換言すれば、解析に供される複数の電流値が、広い範囲に分かれている場合、これらを高い精度で検出することができない。このため、従来は、適用可能な電流値の範囲が異なる複数の処理回路を用いたり、電流値を調整するための回路を別途用いていたが、これにより、センサの複雑化、高コスト化を招いていた。
そこで、本発明では、複数の検出部のうち、少なくとも1つの検出部において、反応層と作用電極との間に、中間層を設け、各検出部を、それぞれ、各反応層が含む受容体の種類および/または受容体の反応層における含有量に応じて、中間層の配設するか否か、および/または、中間層の条件を設定し、各検出部から取り出す電流値が、いずれも同一の範囲内に収まるように、センサを構成した。
反応層と作用電極との間に中間層がある場合、酸化反応により放出された電子は、中間層を介して作用電極へと移動する。この場合、中間層の各種条件により、中間層を通過する電子の移動し易さは異なる。また、中間層の有無によっても、電子の移動し易さは異なる。したがって、これらを考慮して、中間層の配設の有無、および/または、中間層の条件を設定することにより、複数の検出部から取り出す電流値を同一の範囲内に収めること可能となる。このようなセンサを用いることにより、複数の検出部から取り出した電流値を1つの処理回路で解析することができる。また、取り出された複数の電流値のさらなる狭域化を図ることができるため、より高い精度で解析を行うこともできるという利点もある。
なお、前述の「電子の移動し易さ」を本実施形態では、「電子移動性」とも言う。
中間層の各種条件としては、例えば、中間層を構成するとともに、作用電極に結合する化合物の組成、および、この化合物の中間層における含有率の少なくとも一方を用いることができる。この化合物は、作用電極に結合しているため、その組成を設定(選択)することにより、反応層から作用電極への電子の移動を確実に制御することができる。また、この化合物の中間層における含有率は、前述のような化合物の作用の程度を制御することができる。したがって、これらの条件の一方または双方を設定することにより、反応層から作用電極への電子移動性を確実に制御することができる。
本実施形態では、一例として、作用電極21、22と反応層41、42との間に、それぞれ、中間層31、32が設けられている。これらの中間層31、32は、それぞれ、反応層41、42中の受容体411、421の各種類および/または受容体411、421の各含有量に応じて、中間層31、32に含まれる化合物311、321の各組成および/または各含有量を設定することにより、検出部11、12から取り出される電流値を調整し得るよう構成されている。そして、これらの電流値と、中間層を省略した検出部13から取り出される電流値が同一の範囲内に収まるよう構成されている。これにより、作用電極21、22、23から取り出される全ての電流値を、同一の範囲内に収めることができる。その結果、1つの処理回路で、液体試料50中のターゲット51、52、53の量を、それぞれ高い精度で測定することができる。
また、本実施形態では、これらの化合物311、321は、反応層41、42と結合している。これにより、中間層31、32と反応層41、42との密着性の向上を図ることができる。その結果、反応層41、42が中間層31、32から容易に剥離するのを防止することができ、検出部11、12内における電子の移動特性を安定化することができる。
この場合、化合物311、321の反応層41、42側の末端に、結合性の官能基を有している。
この結合性の官能基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、シラノール基、チオール基、イソシアネート基等が挙げられる。
このような化合物311、321を含む中間層31、32は、作用電極21、22に結合し得る結合性官能基を有する化合物により形成された、いわゆる自己組織化膜により構成されるのが好ましい。
自己組織化膜は、下地層の表層原子と反応可能な結合性官能基と、それ以外の直鎖分子とからなり、直鎖分子の相互作用により極めて高い配向性を有する化合物を配向させて形成された膜である。
このような配向性の高い自己組織化膜を、中間層31、32に適用することにより、結合性官能基および直鎖分子(化合物311、321)における電子の移動し易さ(電子移動性)が、反応層41、42から作用電極21、22への電子移動性に大きな影響を及ぼすこととなる。
具体的には、一般に、結合性官能基を介して結合された2つの層の間では、電子移動性が向上する。したがって、前述したように、中間層31、32を配設するか否かにより、反応層41、42から作用電極21、22への電子移動性を制御することができる。例えば、中間層31、32を設けることにより、検出部11、12の電子移動性は、中間層を省略した検出部13に比べて向上する傾向にあると考えられる。
一方、直鎖分子は、その組成に応じて電子移動性が大きく異なる。このため、前述したように、直鎖分子(化合物)の組成および/または含有量を設定することによっても、反応層41、42から作用電極21、22への電子移動性を制御(調整)することができる。
すなわち、自己組織化膜によれば、化合物の組成に応じて、反応層41、42から作用電極21、22への電子移動性を容易に制御することができる。
化合物311、321中に含まれ、作用電極21、22に結合する結合性官能基としては、作用電極21、22の構成材料に応じて適宜選択される。具体的には、例えば、作用電極21、22の構成材料が、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、白金(Pt)等である場合、チオール基、スルフィド基、ジスルフィド基、チオフェン基、チオスルフォネイト基、カルボキシル基、ピリジニウム基等が挙げられ、作用電極21、22の構成材料が、金属酸化物(例えばITO等)の場合、チオール基、ハロゲン基、アルコキシシリル基、ハロゲン化シリル基等が挙げられる。
中間層31、32に含まれる化合物311、321としては、例えば、アルキル鎖、部分フッ化アルキル鎖、パーフルオロアルキル鎖、メチレングリコール鎖、エチレングリコール鎖、プロパングリコール鎖、ブチレングルコール鎖、ペプチド鎖等を含む化合物が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、化合物311、321は、アルキル鎖およびエチレングリコール鎖の少なくとも一方を含むものが好ましい。これらの直鎖分子を含む化合物は、高い配向性を有する自己組織化膜を形成し易く、また、取り扱いが容易なものである。
さらに、これらの化合物では、その鎖長を変化させることにより、その電子移動性を制御することもできる。一般に、化合物の鎖長を長くすることにより、その化合物の電子移動性を低下させることができる。具体的には、アルキル鎖、エチレングリコール鎖では、炭素原子の数を増やすことにより、鎖長を延長し、絶縁性が高くなるため、電子移動性を低下させることができる。
また、化合物311、321は、液体試料50に含まれるメディエータ412、422と電子を授受し得る構造を有するのが好ましい。これにより、中間層31、32とメディエータ412、422とが接触した際に、より効率よく、メディエータ412、422から中間層31、32へ電子を移動させることができる。
このような構造としては、例えば、フェロセンやピリジン等、前述のメディエータと同様のものを用いることができる。
また、反応層41、42と作用電極21、22との間に、中間層31、32を設けることにより、反応層41、42と作用電極21、22が直接接触するのを防止することができる。これにより、これらの層を構成する材料として、生体関連物質を用いた場合でも、その変性、失活を確実に防止(阻止)することができる。
さらに、本実施形態では、中間層31、32の双方が高分子312、322を含んでいる。これにより、高分子の条件を設定することにより、中間層31、32の電子移動性を変化させることができる。
具体的には、検出部11、12、13において、反応層41、42、43中の受容体411、421、431の種類および/または含有量に応じて、中間層31、32に含まれる高分子312、322の組成および/または含有量を設定することにより、各検出部11、12、13から取り出す電流値が、いずれも同一の範囲内に収まるようにすることもできる。これにより、検出部11、12、13から取り出される電流値の範囲を、より狭い範囲に揃えることができ、より高い精度で電流値を測定・解析することができる。
検出部11、12、13から取り出される電流値の範囲は、処理回路が対応し得る電流値の範囲に応じて異なるが、1〜1000μA程度であるのが好ましく、10〜300μA程度であるのがより好ましい。電流値を前記範囲内に揃えることにより、これらの電流値を、ノイズ等の影響を適切に防止しつつ、一般的かつ汎用的な処理回路により高い精度で解析することができる。これにより、各ターゲット51、52、53の量を、それぞれ高い精度で測定することができる。
なお、本実施形態では、中間層31、32の両方が高分子を含んでいる場合を説明したが、双方または一方の高分子を省略してもよい。この場合、反応層41、42、43中の受容体411、421、431の種類および/または含有量に応じて、中間層に高分子を混合するか否か、高分子の組成、および中間層における高分子の含有量の少なくとも1つを設定することにより、各検出部11、12、13から取り出す電流値が、いずれも同一の範囲内に収まるようにすることもできる。これにより、検出部11、12、13から取り出される電流値の範囲を、より狭い範囲に揃えることができ、より高い精度で電流値を測定・解析することができる。
中間層31、32に用いられる高分子312、322としては、前述の高分子413、423、433と同様の高分子、すなわち、天然高分子(天然樹脂)、合成高分子(合成樹脂)、またはこれらの変性物等を1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
このうち、合成高分子としては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)誘導体、ポリビニルピロリドン(PVP)誘導体、ポリエチレングリコール(PEG)誘導体、ポリビニルアルコール(PVA)誘導体のような非導電性高分子、ポリアニリン誘導体、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、ポリピロール誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリイソチアナフテン誘導体、ポリ(p-フェニレンエチニレン)(PPE)誘導体のような導電性高分子等を好適に用いることができる。
そして、例えば、絶縁性高分子を用いることにより、高分子312、322の電子移動性が低下する。これにより、反応層41、42、43から作用電極21、22、23への電子の移動し易さ(電子移動性)が低下する傾向を示す。
一方、導電性高分子を用いることにより、高分子312、322の電子移動性が向上し、反応層41、42、43から作用電極21、22、23への電子移動性が向上する傾向を示す。
基板2上の試料供給空間5に露出するように、対向電極61、62、63が設けられている。
この対向電極61、62、63は、作用電極21、22、23との間に、それぞれ電圧を印加する電極である。試料供給空間5に液体試料50を供給した状態で、作用電極21、22、23と対向電極61、62、63との間に、作用電極21、22、23側が高電位となるように電圧を印加すると、ターゲット51、52、53と受容体411、421、431との反応により放出された電子を、作用電極21、22、23側に、確実に移動させることができる。
対向電極61、62、63の構成材料としては、それぞれ、前述の作用電極21、22、23の構成材料と同様の材料が挙げられる。
作用電極21、22、23と対向電極61、62、63との間に、それぞれ印加する電圧は、0.6V以下であるのが好ましく、0.4〜0.5V程度であるのがより好ましい。印加電圧の値を前記範囲とすることにより、ターゲット51、52、53と受容体411、421、431との反応により放出された電子を、より確実に移動させることができる。
また、液体試料50中および反応層41、42、43中に、それぞれ生体関連物質を含んでいる場合、その変性、失活を確実に防止(阻止)することができる。
また、対向電極61、62、63の面積は、作用電極21、22、23の2倍以上であるのが好ましく、10倍以上であるのがより好ましい。これにより、より高い精度で電流値を測定することができる。
さらに、基板2上の試料供給空間5に露出するように、参照電極71、72、73が設けられている。
この参照電極71、72、73は、対向電極61、62、63との間に、それぞれ電圧を印加する電極である。試料供給空間5に液体試料50を供給した状態で、参照電極71、72、73と対向電極61、62、63との間に電圧を印加する。そして、これらの電極間に流れる電流値と、前述の作用電極21、22、23と対向電極61、62、63との間に流れる電流値とを比較することにより、ターゲット51、52、53と受容体411、421、431との反応により生じた電流値を、より高い精度で測定することができる。
参照電極71、72、73の構成材料としては、それぞれ、例えば、銀−塩化銀、水銀−硫酸水銀等が挙げられる。
なお、参照電極71、72、73と対向電極61、62、63との間に、それぞれ印加する電圧も、前述の作用電極21、22、23と対向電極61、62、63との間に印加する電圧と同程度であるのが好ましい。
また、前述の作用電極21、22、23、対向電極61、62、63、参照電極71、72、73、および配線3は、導電性材料粉末の集合体で構成されているのが好ましい。これにより、これらの電極および配線を、各種印刷法を用いて容易に形成することができる。その結果、センサの製造工程を大幅に簡素化することができ、センサの低コスト化を図ることができる。
しかしながら、本発明のように、電極と反応層との間に、電極に結合する化合物を含む中間層を設けることにより、導電性材料粉末の集合体で構成された電極上にも反応層を形成することができる。そして、中間層の配設の有無や、配設する中間層の条件を適宜設定することにより、反応層から作用電極への電子移動性を制御することができる。その結果、このような容易に形成可能な電極を用いた場合でも、前述のように、複数の検出部から取り出した電流値を1つの処理回路で解析可能なセンサが得られる。
また、導電性材料粉末の集合体で構成された電極は、導電性材料粉末同士を結合する結合材(バインダー)の残留していたり、電極表面の表面粗さが大きいため、膜の密着性の低下が懸念されるが、本発明によれば、このような電極上にも、中間層を介して反応層を形成することができる。
さらに、電極表面の表面粗さが大きいと、電極と中間層との界面にアンカー効果が生じ、密着性が向上するという効果もある。
導電性材料粉末としては、例えば、前述の電極の構成材料として挙げた材料の粉末を用いることができる。
隔壁6は、それぞれ、検出部11、12、13を互いに隔離するように設けられている。この隔壁6により、各検出部11、12、13付近に液体試料50を貯留するための試料供給空間5を形成している。
隔壁6の構成材料は、特に限定されず、例えば、前述の基板2の構成材料と同様の材料を用いることができる。
また、隔壁6は、その上面が撥液性を有しているのが好ましい。これにより、隔壁6の上面に供給された液体試料50が、試料供給空間5に移動し易くなり、試料供給空間5に液体試料50を容易に導入することができる。
さらに、隣接する試料供給空間5同士において、液体試料50のコンタミネーション(相互汚染)を防止することができる。これにより、より高い精度でターゲットの量を測定することができる。
次に、センサ1の作用(使用方法)について説明する。
なお、以下では、反応層41、42、43に含まれる受容体411、421、431として、それぞれ、アスコルビン酸オキシダーゼ(受容体411)、ラクテートオキシダーゼ(受容体421)、グルコースオキシダーゼ(受容体431)を用い、液体試料50に含まれるターゲット51、52、53として、それぞれ、アスコルビン酸(ターゲット51)、ラクテート(ターゲット52)、グルコース(ターゲット53)を用いた場合を例に説明する。
これらの受容体411、421、431とターゲット51、52、53との組み合わせでは、受容体411とターゲット51との反応により放出される電子の数が比較的多く、受容体421とターゲット52との反応により放出される電子の数が比較的少なく、受容体431とターゲット52との反応により放出される電子の数は、これらの間に位置する。したがって、ここでは、予め、検出部11の中間層31を電流移動性の比較的低いもの(例えば、化合物311としてFc(CH11SH)とし、検出部12の中間層32を電流移動性の高いもの(例えば、化合物321としてHO(CHCHO)(CHCONH(CHSH)としている。
まず、試料供給空間5内に液体試料50を供給する。これにより、液体試料50に含まれる成分の少なくとも一部が、各反応層41、42、43に拡散する。
そして、液体試料50中のターゲット51、52、53は、受容体411、421、431と反応することにより、電子を放出する。
以下、このような受容体とターゲットとの反応の具体例を説明する。
例えば、受容体411のアスコルビン酸オキシダーゼは、ターゲット51のアスコルビン酸を選択的に酸化させる。この酸化反応により、電子が放出されるとともに、アスコルビン酸はデヒドロアスコルビン酸に変化する。
また、例えば、受容体421のラクテートオキシダーゼは、ターゲット52のラクテートを選択的に酸化させる。この酸化反応により、電子が放出されるとともに、ラクテートはピルビン酸に変化する。
さらに、例えば、受容体431のグルコースオキシダーゼは、ターゲット53のグルコースを選択的に酸化させる。この酸化反応により、電子が放出されるとともに、グルコースはグルコン酸に変化する。
各反応層41、42において放出された電子は、中間層31、32を介して作用電極21、22に到達する。また、反応層43において放出された電子は、作用電極23に到達する。そして、作用電極21、22、23において、単位時間当たりに到達する電子の数に応じた電流値が測定される。また、測定した電流値を、処理回路101で解析することにより、液体試料50中のターゲット51、52、53の量を算出することができる。
ここで、前述したように、受容体411とターゲット51との反応により、比較的多数の電子が放出されるが、電子移動性の低い中間層31を通過する際に、電子の数が著しく減少する。
一方、受容体421とターゲット52との反応により、比較的少数の電子が放出されるが、電子移動性の高い中間層32を通過する際に、電子の数の減少が抑制される。
これにより、作用電極21に到達する電子の数と作用電極22に到達する電子の数を、作用電極23に到達する電子の数に近づけることができ、各作用電極21、22、23から取り出される電流値を同一の範囲内に収めることができる。
このとき、作用電極21、22、23が正電位、対向電極61、62、63が負電位となるように、これらの電極間にそれぞれ電圧を印加しておくと、前述の一連の過程がより円滑になされる。
また、電流値の測定に先立って、参照電極71、72、73と対向電極61、62、63との間にそれぞれ電圧を印加しておくと、より高い精度で電流値を測定することができる。
ここで、液体試料50中のターゲット51、52、53の量と、ターゲット51、52、53と受容体411、421、431との反応により放出される電子の数と、作用電極21、22、23に単位時間当たりに到達する電子の数と、作用電極21、22、23から測定される電流値は、互いに相関関係を有する。
したがって、作用電極21、22、23から取り出される電流値を測定することにより、液体試料50中に含まれるターゲット51、52、53の量を間接的に測定することができる。
なお、液体試料50中にメディエータ412、422、432を含んでいる場合には、反応層41、42、43において放出された電子は、それぞれ、メディエータ412、422、432を介して移動する。例えば、メディエータ412、422、432が、フェリシアン化カリウムである場合、電子を受け取ることにより、フェロシアン化カリウムに還元される。そして、このフェロシアン化カリウムが、中間層31、32および作用電極23と接触することにより、再び、フェリシアン化カリウムに酸化されるとともに、電子が、中間層31、32および作用電極23に移動する。メディエータ412、422、432は、このようにして電子を媒介することができる。これにより、より高い精度で電流値を測定することができる。
以上のようにして、センサ1では、検出部11、12、13の作用電極21、22、23から取り出される電流値を、いずれも同一の範囲内に収まるよう構成したことから、電流値の範囲を揃えるための回路が不要となる。このため、1つの処理回路101で測定することができ、センサ1を含む測定装置の簡素化・小型化を図ることができる。また、電流値の範囲を狭域化したことから、より高い精度で電流値を測定することができ、ターゲット51、52、53の量を高い精度で測定することができる。
このようなセンサ1は、例えば、次のようにして製造することができる。
[1]まず、図6(a)に示すように、基板2を用意する。
そして、図6(b)に示すように、この基板2上に、複数の作用電極21、22、23、複数の対向電極61、62、63、複数の参照電極71、72、73および配線3を形成する。これらの電極および配線は、次のようにして形成することができる。
まず、基板2の上面(電極形成面)を覆うように金属膜(金属層)を形成する。これは、例えば、プラズマCVD、熱CVD、レーザーCVDのような化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の乾式メッキ法、電解メッキ、浸漬メッキ、無電解メッキ等の湿式メッキ法、溶射法、MOD法、金属箔の接合等により形成することができる。
次いで、この金属膜上に、レジスト材料を塗布(供給)した後、硬化させて、各作用電極21、22、23、各対向電極61、62、63、各参照電極71、72、73および配線3の形状に対応する形状のレジスト層を形成する。
次いで、このレジスト層をマスクとして、金属膜の不要部分を除去する。この金属膜の除去には、例えば、プラズマエッチング、リアクティブイオンエッチング、ビームエッチング、光アシストエッチング等の物理的エッチング法、ウェットエッチング等の化学的エッチング法等のうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
その後、レジスト層を除去することにより、複数の作用電極21、22、23、複数の対向電極61、62、63、複数の参照電極71、72、73および配線3が得られる。
また、これらの電極および配線は、例えば、導電性粒子を含む導電性材料を基板2上に塗布(供給)した後、必要に応じて、この塗膜に対して後処理(例えば加熱、赤外線の照射、超音波の付与等)を施すことにより形成することもできる。
ここで、塗布法には、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット法、マイクロコンタクトプリンティング法等のうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、これらの電極および配線が、導電性材料粉末の集合体で構成されている場合、前述したように、これらの電極および配線を印刷法を用いて形成することができる。その結果、多数の工程を必要とするフォトリソグラフィー法のようなパターン形成方法を用いることなく、これらの電極および配線を容易に形成することができる。
印刷法としては、例えば、スクリーン印刷法、液滴吐出法(インクジェット法)等が挙げられるが、液滴吐出法が好ましい。液滴吐出法によれば、より容易に、微細なパターンの膜を形成することができる。
以下、これらの電極および配線を、液滴吐出法で形成する方法を説明する。
まず、電極および配線を構成する導電性材料の粉末と、この粉末を分散する分散媒とを混合し、分散液を調製する。なお、これらの他に、分散液には、必要に応じて結合材、分散剤等の添加剤を含んでいてもよい。
導電性材料粉末の平均粒径は、1〜20μm程度であるのが好ましく、2〜10μm程度であるのがより好ましい。これにより、導電性材料粉末は、溶媒への分散性に優れるとともに、微細なパターンを形成可能なものとなる。
次に、基板2上に、液滴吐出法により分散液を供給し、各電極および配線の形状をなす液状被膜を形成する。
次に、この液状被膜中から、分散媒を除去する。これにより、導電性材料粉末の集合体で構成された電極および配線を形成することができる。
なお、液状被膜中から分散媒を除去する方法としては、自然乾燥、強制乾燥が挙げられる。また、強制乾燥としては、液状被膜に気体を吹き付ける方法、液状被膜の周囲を減圧する方法、熱処理による方法等が挙げられる。
[2] 次に、図6(c)に示すように、各検出部11、12、13の周囲を囲うように、隔壁6を形成する。
隔壁6は、例えば、検出部11、12、13の領域に対応した開口部を有する板状部材を、接着剤のような接合部材を用いて、基板2上に貼り付けること等により形成することができる。これにより、検出部11、12、13付近に、試料供給空間5を形成することができる。
なお、接合部材を省略して、板状部材と基板2を融着することにより、これらを接合するようにしてもよい。
また、検出部11、12、13を覆うようにマスクを設け、各種成膜方法を用いて検出部11、12、13同士の隙間の基板2上に、膜を形成し、この膜を隔壁6として用いることもできる。
[3]次に、図6(d)に示すように、作用電極21、22上に、各作用電極21、22に対応するように、それぞれ中間層31、32を形成する。
[3−1]まず、中間層31、32を構成する化合物311、321を、それぞれ、溶媒に溶解して液状材料を調製する。
この化合物311、321は、作用電極21、22に結合する結合性官能基を含むものである。
かかる化合物としては、例えば、HN(CHSH;n=2〜12、HOOC(CHSH;n=2〜12、HO(CHSH;n=2〜12、NHSCO(CHSH;n=2〜12、Sulfo−NHSCO(CHSH;n=2〜12、HO(CHCHO)(CHSH;n=3,5,7、HN(CHCHO)(CHSH;n=3,5,7、HOOC(CHCHO)(CHSH;n=3,5,7、NHSOC(CHCHO)(CHSH;n=3,5,7、Sulfo−NHSOC(CHCHO)(CHSH;n=3,5,7、HO(CHCHO)(CHCONH(CHSH;n=3,5,7;m=2〜12、HOOC(CHCHO)(CHCONH(CHSH;n=3,5,7;m=2〜12、HN(CHCHO)(CHCONH(CHSH;n=3,5,7;m=2〜12、NHSCO(CHCHO)(CHCONH(CHSH;n=3,5,7;m=2〜12、Sulfo−NHSCO(CHCHO)(CHCONH(CHSH;n=3,5,7;m=2〜12等が挙げられる。ただし、NHSは、N-Hydroxysuccinimide、Sulfo−NHSは、N-Hydroxysulfosuccinimideを示す。
また、溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、塩化メチレン、アセトニトリル、アセトン、イソプロパノール、メタノール、エタノール、水等が挙げられ、これらを単独または混合液として用いることができる。
液状材料中における化合物の濃度は、0.1〜50mM程度であるのが好ましく、0.5〜10mM程度であるのがより好ましい。
[3−2]次いで、これらの液状材料を、作用電極21、22が形成された試料供給空間5に、それぞれ供給し、一定時間放置した後、洗浄、乾燥する。これにより、作用電極21、22の上面に結合性官能基が結合し、化合物311、321の膜が得られる。
また、この場合、液状材料の温度は、3〜40℃程度であるのが好ましく、10〜25℃程度であるのがより好ましい。
さらに、液状材料の放置時間は、0.5〜24時間程度であるのが好ましく、2〜8時間程度であるのがより好ましい。
[3−3]次に、中間層31、32を構成する高分子312、322を、それぞれ、溶媒に溶解して液状材料を調製する。なお、液状材料には、必要に応じて架橋剤等を含んでいてもよい。
液状材料中における高分子の濃度は、0.1〜10wt%程度であるのが好ましく、0.5〜5wt%程度であるのがより好ましい。
[3−4]次に、これらの液状材料を、前述の工程[3−2]で形成した膜上に、それぞれ供給し、一定時間放置した後、洗浄、乾燥する。これにより、化合物311、321の膜上に、高分子312、322の膜が得られる。
以上の工程により、中間層31、32が得られる。
[4] 次に、図6(e)に示すように、中間層31、32上に、および、作用電極23上に、それぞれ対応するように、反応層41、42、43を形成する。
以下、各反応層41、42、43が、高分子413、423、433で構成されたマトリクス中に受容体411、421、431を含んで構成されている場合を例に説明する。
まず、各受容体411、421、431と高分子413、423、433とを、それぞれ溶媒に溶解して液状材料を調製する。
また、液状材料中に、必要に応じて、架橋剤、メディエータ412、422、432を添加してもよい。
液状材料中における各成分の濃度(含有量)は、それぞれ、反応層41、42、43中における受容体411、421、431の含有率が前記範囲となるように設定する。
次いで、これらの液状材料を、中間層31、32および作用電極23が形成された試料供給空間5に、それぞれ供給し、一定時間放置した後、洗浄、乾燥する。これにより、反応層41、42、43が得られる。
この場合、液状材料の温度、および雰囲気の温度は、それぞれ、3〜40℃程度であるのが好ましく、10〜25℃程度であるのがより好ましい。
放置時間は、10〜180分間程度であるのが好ましく、20〜60分間程度であるのがより好ましい。
以上の工程により、反応層41、42、43が得られ、図1に示すセンサ1が得られる。
以上、本発明のセンサを図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、本発明のセンサを構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。
また、例えば、各層の間には、センサの特性の低下を招かない範囲で、任意の目的(密着性の向上)の層を1層以上設けるようにしてもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.センサの作製
(実施例1)
<1A>まず、Auの粉末(平均粒径2μm)とエタノール(分散媒)を混合して、分散液を調製した。
<2A>次に、ガラス基板を用意し、液滴吐出法により基板上に分散液を供給して、作用電極、対向電極および参照電極の形状をなす液状被膜を、40組形成した。また、これらの電極と外部の処理回路とを電気的に接続する配線の形状をなす液状被膜も、併せて形成した。
<3A>次に、これらの液状被膜を放置することにより、エタノールを揮発・除去して、40個の作用電極、40個の対向電極、40個の参照電極、配線を形成した。なお、これらの電極および配線の平均厚さは、200μmであった。また、40個の作用電極を、それぞれ10個ずつの4組に分け、各組の作用電極を、それぞれ作用電極No.1〜4とした。
<4A>次に、各電極付近に開口する円形開口部を有する樹脂製基板を用意し、この樹脂製基板を、ガラス基板上に接着剤で貼り付けた。これにより、各電極の周囲に隔壁を形成し、試料供給空間を形成した。
<5A>次に、化合物HO(CHCHO)(CHCONH(CHSHをエタノールに溶解して、液状材料を調製した。なお、この液状材料中における化合物HO(CHCHO)(CHCONH(CHSHの濃度は1mMとした。そして、この液状材料を、作用電極No.1の上面に供給した。
<6A>次に、化合物Fc(CHSHをエタノールに溶解して、液状材料を調製した。なお、この液状材料中における化合物Fc(CHSHの濃度は1mMとした。そして、この液状材料を、作用電極No.2の上面に供給した。
<7A>次に、化合物Fc(CH11SHをエタノールに溶解して、液状材料を調製した。なお、この液状材料中における化合物Fc(CH11SHの濃度は1mMとした。そして、この液状材料を、作用電極No.3の上面に供給した。
<8A>次に、これらの液状材料を各作用電極の上面に供給した状態で、20℃で2時間放置した。その後、基板を純水で洗浄し、窒素ブローにより乾燥させた。なお、作用電極No.4は無処理とした。
<9A>次に、ラクテートオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、ウリカーゼおよびアスコルビン酸オキシダーゼ(受容体)を、それぞれ純水に溶解して、酵素含有溶液No.1〜4を調製した。なお、酵素含有溶液No.1〜4の濃度は、いずれも1mMであった。
<10A>次に、酵素含有溶液No.1〜4を、それぞれ、作用電極No.1〜4の上面に供給し、20℃で1時間放置した。その後、純水で洗浄後、窒素ブローにて乾燥した。これにより、反応層を得、センサを作製した。
<11A>次に、センサの各配線を、処理回路を備えたコンピュータに接続した。
(実施例2)
<1B>まず、実施例1の工程<1A>〜<4A>と同様にして、ガラス基板上に、40個の作用電極、40個の対向電極、40個の参照電極、配線および隔壁を形成した。なお、実施例1と同様に、40個の作用電極を、それぞれ10個ずつの4組に分け、各組の作用電極を、それぞれ作用電極No.1〜4とした。
<2B>次に、化合物HN(CHSHをエタノールに溶解して、液状材料を調製した。なお、この液状材料中における化合物HN(CHSHの濃度は1mMとした。そして、この液状材料を、それぞれ、作用電極No.1〜3の上面に供給した。
<3B>次に、これらの液状材料を各作用電極の上面に供給した状態で、20℃で2時間放置した。その後、基板を純水で洗浄し、窒素ブローにより乾燥させた。これにより、作用電極No.1〜3の上面に、それぞれ化合物HN(CHSHの膜を得た。
<4B>次に、変性ウシ血清アルブミン(高分子)と、グルタルアルデヒド(架橋剤)と、ポリアニリン(導電性高分子)とを、純水に溶解して、高分子含有溶液No.1を調製した。
なお、高分子含有溶液No.1における変性ウシ血清アルブミンの濃度、グルタルアルデヒドの濃度、およびポリアニリンの濃度は、それぞれ、0.2wt%、1.0wt%、および0.2wt%であった。
<5B>次に、変性ウシ血清アルブミン(高分子)と、グルタルアルデヒド(架橋剤)とを、純水に溶解して、高分子含有溶液No.2を調製した。
なお、高分子含有溶液No.2における変性ウシ血清アルブミンの濃度およびグルタルアルデヒドの濃度は、それぞれ、0.1wt%、および0.5wt%であった。
<6B>次に、変性ウシ血清アルブミン(高分子)と、グルタルアルデヒド(架橋剤)とを、純水に溶解して、高分子含有溶液No.3を調製した。
なお、高分子含有溶液No.3における変性ウシ血清アルブミンの濃度およびグルタルアルデヒドの濃度は、それぞれ、1.2wt%、および6wt%であった。
<7B>次に、高分子含有溶液No.1〜3を、それぞれ、作用電極No.1〜3の化合物HN(CHSHの膜上に供給し、窒素ブローにより乾燥させた。これにより、作用電極No.1〜3の上面に、中間層を得た。
<8B>次に、ラクテートオキシダーゼ(受容体)と、変性ウシ血清アルブミン(高分子)と、グルタルアルデヒド(架橋剤)とを、純水に溶解して、酵素含有溶液No.1を調製した。
なお、酵素含有溶液No.1中におけるラクテートオキシダーゼの濃度、変性ウシ血清アルブミンの濃度、およびグルタルアルデヒドの濃度は、それぞれ、10unit/μL、1.6wt%、および2.5wt%であった。
<9B>次に、ウリカーゼ(受容体)と、変性ウシ血清アルブミン(高分子)と、グルタルアルデヒド(架橋剤)とを、純水に溶解して、酵素含有溶液No.2を調製した。
なお、酵素含有溶液No.2中におけるウリカーゼの濃度、変性ウシ血清アルブミンの濃度、およびグルタルアルデヒドの濃度は、それぞれ、10unit/μL、1.6wt%、および2.5wt%であった。
<10B>次に、アスコルビン酸オキシダーゼ(受容体)と、変性ウシ血清アルブミン(高分子)と、グルタルアルデヒド(架橋剤)とを、純水に溶解して、酵素含有溶液No.3を調製した。
なお、酵素含有溶液No.3中におけるアスコルビン酸オキシダーゼの濃度、変性ウシ血清アルブミンの濃度、およびグルタルアルデヒドの濃度は、それぞれ、10unit/μL、1.6wt%、および2.5wt%であった。
<11B>次に、グルコースオキシダーゼ(受容体)を10mM燐酸バッファー(pH=7.0〜7.4)に溶解して、酵素含有溶液No.4を調製した。
なお、酵素含有溶液中におけるグルコースオキシダーゼの濃度は、10unit/μLであった。
<12B>次に、酵素含有溶液No.1〜4を、それぞれ、作用電極No.1〜4上の各中間層の上面に供給し、20℃で1時間放置した。その後、窒素ブローにて乾燥した。これにより、反応層を得、センサを作製した。
<13B>次に、センサの各配線を、処理回路を備えたコンピュータに接続した。
(比較例)
前記工程<5A>〜<8A>を省略した以外は、前記実施例1と同様にしてセンサを作製し、センサの各配線を、コンピュータに接続した。
2.評価
まず、グルコース、アスコルビン酸、尿酸および乳酸の各基質を含有する溶液を調製した。溶液中の各基質の濃度を表1に示す。
次に、各実施例および比較例のセンサの40個の検出部に、これらの溶液を供給するとともに、作用電極と対向電極との間、および参照電極と対向電極との間に、それぞれ電圧0.5Vを印加した。
次に、各作用電極から取り出された電流値を測定した。なお、この電流値は、作用電極No.1〜4において、それぞれ10個ずつの電極から得られた電流値の平均値とした。また、作用電極No.1〜4において、それぞれ10個ずつの電極から得られた電流値の標準偏差を算出した。
さらに、各実施例および比較例のセンサにおいて、作用電極No.1〜4から取り出された電流値を比較し、センサ全体における電流値の最大値と最小値との差と、標準偏差を算出した。
測定結果を表1に示す。
Figure 2007248164
表1に示すように、比較例では、電流値の最大値と最小値との差は、67μAに及んだ。また、電流値の標準偏差も大きく、電流値のバラツキが大きいと言える。
一方、各実施例では、電流値の最大値と最小値との差は、30μA以下であった。特に、実施例2では、20μAと非常に小さく抑えられていた。また、電流値の標準偏差も小さく、電流値のバラツキが小さいと言える。
本発明のセンサを測定装置に装着した状態を示す模式図(斜視図)である。 本発明のセンサを模式的に示す平面図である。 図1に示すセンサが備える1つの検出部を拡大して示す平面図である。 図2に示すセンサのA−A線断面図である。 図4に示す断面図の部分拡大図である。 図4に示すセンサの製造方法を説明するための縦断面図である。
符号の説明
1‥‥センサ 2‥‥基板 3‥‥配線 5‥‥試料供給空間 6‥‥隔壁 11、12、13‥‥検出部 21、22、23‥‥作用電極 31、32‥‥中間層 311、321‥‥化合物 41、42、43‥‥反応層 411、421、431‥‥受容体 412、422、432‥‥メディエータ 312、322、413、423、433‥‥高分子 50‥‥液体試料 51、52、53‥‥ターゲット 61、62、63‥‥対向電極 71、72、73‥‥参照電極 100‥‥測定装置 101‥‥処理回路 102‥‥演算装置 103‥‥コネクタ 104‥‥配線

Claims (13)

  1. 基板と、
    該基板上に設けられ、検出対象物との間で電子の放出を伴う反応を行う受容体を含む反応層と、該反応層と前記基板との間に設けられた電極とを備える複数の検出部とを有するセンサであって、
    複数の前記検出部のうちの少なくとも1つは、前記反応層と前記電極との間に、前記電極に結合する化合物を含む中間層を備え、
    前記各検出部において、前記受容体の種類および/または該受容体の前記反応層における含有量に応じて、前記中間層を配設するか否か、および/または前記中間層の条件を設定することにより、前記各検出部から取り出される電流値が、いずれも同一の範囲内に収まるよう構成されていることを特徴とするセンサ。
  2. 前記中間層の条件は、前記化合物の組成、および該化合物の前記中間層における含有量の少なくとも一方である請求項1に記載のセンサ。
  3. 前記化合物は、前記反応層と結合している請求項2に記載のセンサ。
  4. 前記各検出部から取り出される電流値の範囲は、1〜1000μAである請求項1ないし3のいずれかに記載のセンサ。
  5. 前記化合物は、アルキル鎖およびエチレングリコール鎖の少なくとも一方を含む請求項1ないし4のいずれかに記載のセンサ。
  6. 前記受容体は、酵素である請求項1ないし5のいずれかに記載のセンサ。
  7. 複数の前記中間層の少なくとも1つは、さらに、高分子を含んでいる請求項1ないし6のいずれかに記載のセンサ。
  8. 前記中間層において、前記受容体の種類および/または該受容体の前記反応層における含有量に応じて、前記高分子の組成および/または前記高分子の含有量を設定することにより、前記各検出部から取り出される電流値が、いずれも同一の範囲内に収まるよう構成されている請求項7に記載のセンサ。
  9. 複数の前記検出部の少なくとも2つが、前記中間層を備え、
    該各中間層において、前記受容体の種類および/または該受容体の前記反応層における含有量に応じて、前記高分子を混合するか否か、前記高分子の組成、および前記中間層における前記高分子の含有量の少なくとも1つを設定することにより、前記各検出部から取り出される電流値が、いずれも同一の範囲内に収まるよう構成されている請求項7に記載のセンサ。
  10. 前記反応層中における前記受容体の含有率は、5〜50wt%である請求項1ないし9のいずれかに記載のセンサ。
  11. 複数の前記反応層の少なくとも1つは、前記放出された電子の移動を媒介する媒介体を含む請求項1ないし10のいずれかに記載のセンサ。
  12. 前記化合物は、前記媒介体と電子を授受し得る構造を有する請求項11に記載のセンサ。
  13. 前記電極は、導電性材料粉末の集合体で構成されている請求項1ないし12のいずれかに記載のセンサ。
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