JP2007224936A - ブレーキドラムの防水構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】ブレーキドラムのライニング摺動部域への水等の浸入を確実に防止することができるブレーキドラムの防水構造を提供すること。
【解決手段】ブレーキドラム11の内周面にブレーキシュー23の摩擦ライニング23bを押圧することにより、ブレーキドラム11が摩擦ライニング23bに対して摩擦摺動して制動されるドラム式ブレーキにおいて、ブレーキドラム11が摩擦摺動するライニング摺動部域Aに水が浸入することを防止するブレーキドラムの防水構造であって、ブレーキドラム内周面の開口端面11a側に摩擦ライニング23bが摩擦摺動しない非摺動部域Bを設け、この非摺動部域Bに円周方向の内周溝11bを形成すること。
【選択図】図3
【解決手段】ブレーキドラム11の内周面にブレーキシュー23の摩擦ライニング23bを押圧することにより、ブレーキドラム11が摩擦ライニング23bに対して摩擦摺動して制動されるドラム式ブレーキにおいて、ブレーキドラム11が摩擦摺動するライニング摺動部域Aに水が浸入することを防止するブレーキドラムの防水構造であって、ブレーキドラム内周面の開口端面11a側に摩擦ライニング23bが摩擦摺動しない非摺動部域Bを設け、この非摺動部域Bに円周方向の内周溝11bを形成すること。
【選択図】図3
Description
本発明は、ブレーキドラムの内周面にブレーキシューの摩擦ライニングを押圧することにより、ブレーキドラムが摩擦ライニングに対して摩擦摺動して制動されるドラム式ブレーキにおいて、ブレーキドラムが摩擦摺動するライニング摺動部域に水が浸入することを防止するブレーキドラムの防水構造に関する。
従来、ドラム式ブレーキにおけるブレーキドラムの防水構造として、ブレーキドラムの開口端面に環状溝を形成し、ブレーキドラムの開口端面に対向配置したバッキングプレートの先端外径部にブレーキドラムの開口端外径部の周囲を僅かな間隙をもって覆うシ−ルド部を設けると共に、環状溝とバッキングプレートとの間にバッキングプレート側から延出したフランジ部を設けてラビリンス通路を形成したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。これによりブレーキドラムの開口端外径部側から浸入する水や泥あるいは泥水(以下、単に水等という)がシールド部でその浸入の大部分が阻止され、シールド部を通り抜けて入ってきた水等はラビリンス通路でブレーキドラムの内面側への浸入を防止していた。
しかしながら、上記したラビリンス通路は水等を完全に遮断するものではなく、特に洗車後や大雨の場合に、ラビリンス通路を通り向けてブレーキドラムの内面側への浸入が避けられず、ライニング摺動部域に到達することがあった。そしてこのライニング摺動部域に水等が付着すればブレーキの利きが悪くなったり、ノイズが生じることは当然であるが、冬場においては凍りつく恐れもあって好ましいものではなかった。
本発明は、このような問題点に着目して成されたもので、ブレーキドラムのライニング摺動部域への水等の浸入を確実に防止することができるブレーキドラムの防水構造を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載のブレーキドラムの防水構造は、ブレーキドラムの内周面にブレーキシューの摩擦ライニングを押圧することにより、ブレーキドラムが摩擦ライニングに対して摩擦摺動して制動されるドラム式ブレーキにおいて、ブレーキドラムが摩擦摺動するライニング摺動部域に水が浸入することを防止するブレーキドラムの防水構造であって、ブレーキドラム内周面の開口端面側に摩擦ライニングが摩擦摺動しない非摺動部域を設け、該非摺動部域に円周方向の内周溝を形成したものである。
本発明の請求項2に記載のブレーキドラムの防水構造は、請求項1に記載のブレーキドラムの防水構造であって、前記非摺動部域の内径が前記ライニング摺動部域の内径よりも大きい。
本発明の請求項3に記載のブレーキドラムの防水構造は、請求項1または2に記載のブレーキドラムの防水構造であって、前記内周溝の断面形状が略三角形である。
本発明の請求項4に記載のブレーキドラムの防水構造は、請求項1ないし3に記載のブレーキドラムの防水構造であって、前記ブレーキドラムの開口端面に環状溝を形成し、該環状溝とブレーキドラムの開口端面に対向配置したバッキングプレートとでラビリンス通路を形成したものである。
本発明の請求項1に記載のブレーキドラムの防水構造は、ブレーキドラムの非摺動部域に円周方向の内周溝が形成されているので、内周溝の部分で水等の浸入が断ち切られる。しかも水等は円周方向に沿って下方に向かって流れ易く円周方向と直交する方向にあるライニング摺動部域まで水等が浸入することが避けられる。
本発明の請求項2に記載のブレーキドラムの防水構造は、非摺動部域の内径がライニング摺動部域の内径よりも大きいので、円周方向の溝に沿って下方に集められた水等はブレーキドラムの開口端から外部に流出し、ライニング摺動部域への水等の浸入が確実に阻止される。
本発明の請求項3に記載のブレーキドラムの防水構造は、前記内周溝の断面形状が略三角形であるので、水等は円周方向に沿って下方に向かって流れる際に、水等が内周溝から外方に流出することが避けられ内周溝に沿って円滑に流れ易い。
本発明の請求項4に記載のブレーキドラムの防水構造は、従来のラビリンス通路との併用で水等の浸入効果は一層大きい。
本発明の実施例を以下に説明する。
本発明の実施例1を図1ないし図3に基づいて説明する。図1は本発明が適用される自動車用ドラム式ブレーキの内部構造を一部省略した全体構造を示す概略断面図、図2は本発明のドラム式ブレーキの内部構造を示す正面図、図3(a)は本発明の実施例1のブレーキドラムの防水構造を示す部分断面図、(b)は図3(a)の内周溝近傍の拡大断面図である。
図1、図2に示すように、本発明が適用される自動車用ドラム式ブレーキは、車軸管1内にホイールベアリング3を介して車軸5が回転自在に支持され、車軸5に固着したホイールハブ7にはナット9等によりブレーキドラム11およびホイール13を介してタイヤ15が取り付けられている。一方車軸管1にはブレーキドラム11の開口端面11aと対向配置したバッキングプレート17が取り付けられている。
バッキングプレート17のブレーキドラム11側には、図1において図示することを省略してあるが、図2に示すようにホイルシリンダ19及びアンカ21と、拡開自在の一対のブレーキシュー23を備え、各ブレーキシュー23は略断面T字形をなし、シューウエブ23aと摩擦ライニング23bをその外周側端面に固着したシューリム23cで構成されている。そして一対のブレーキシュー23の一方端はそれぞれホイルシリンダ19の作動ロッド19a,19aと当接し、他方端はそれぞれアンカ21の側面に当接している。そしてホイルシリンダ19の作動により作動ロッド19a,19aを介して一対のブレーキシュー23をブレーキドラム11の内周面と摺接させてブレーキ力を発生させるように構成されている。
一方のブレーキシュー23のシューウエブ23aにはパーキングレバー25の一端部が回動可能に支持され、パーキングレバー25の他端はコントロールケーブル等の遠隔操作手段27と接続している。そしてこのパーキングレバー25の中間部には他方のブレーキシュー23と連接するストラット29が係合している。
一対のブレーキシュー23のシューウエブ23aの略中間部には、バッキングプレート17上で摺動自在にかつバッキングプレート17に向けて弾性保持する一対のシューホールド機構31が配設されており、その詳細については省略する。
一対のブレーキシュー23のシューウエブ23aの略中間部には、バッキングプレート17上で摺動自在にかつバッキングプレート17に向けて弾性保持する一対のシューホールド機構31が配設されており、その詳細については省略する。
次に図3(a),(b)に基づいてブレーキドラムの防水構造について詳述する。ブレーキドラム11の内周面はブレーキシュー23の摩擦ライニング23bが摺接するライニング摺動部域Aとブレーキドラム11の開口端面11a側の非摺動部域Bに区画され、この非摺動部域Bには円周方向に断面三角形状の内周溝11bが形成されている。
そしてブレーキドラム11の開口端面11aには環状溝11cが形設されており、バッキングプレート17にはバッキングプレート外周部側から環状溝11c内に延在するフランジ部17aが設けられ、環状溝11cとフランジ部17aとで第1のラビリンス通路を構成している。さらにバッキングプレート17の外周部にはブレーキドラム11の外径部に形成した第2の環状溝11dを覆うようにして塞いだシールド部材33が取り付けられている。このシールド部材33の先端はブレーキドラム11の外周面に設けたリング状の突条11eと間隙35を設けて配置され、第2の環状溝11dとシールド部材33で第2のラビリンス通路を構成している。
雨天走行時や洗車時に水等がブレーキドラム11の外周面から間隙35を介して第2のラビリンス通路に浸入しようとするが、大部分の水等は第2の環状溝11dで堰き止められる。車両が走行中であればブレーキドラム11の回転による遠心作用で水等は間隙35より外部に排出される。
しかし雨水が連続的に浸入してくるような場合や洗車時には、水等は第2のラビリンス通路を通過して第1のラビリンス通路にまで達することがある。第1のラビリンス通路に入り込んだ水等は一部はバッキングプレート17側に流れるが、一部がブレーキドラム11の内周面側に回り込もうとする。しかしブレーキドラム11の内周面側に回り込んだ水等はブレーキドラムのライニングと摺接しない非摺動部域Bに形成された内周溝11bによって断ち切られ、円周方向と直交する方向にあるライニング摺動部域Aまで水等が浸入することが避けられる。その際、内周溝11bの断面形状が略三角形であるので、水等が内周溝11bから外方にこぼれ出ることが防げ内周溝11bに沿って円滑に下方に向かって流れ易くなっている。
このように実施例1の発明は、ブレーキドラム11内周面の非摺動部域Bに形成した内周溝11bにより水等がライニング摺動部域Aに浸入することが阻まれ、ブレーキ能力の低下やノイズの発生が防げると共に、冬場における洗車後のライニング摺動部域Aの氷結が防止できる。
次に、本発明の実施例2を図4に基づき説明する。図4(a)は本発明の実施例2のブレーキドラムの防水構造の内周溝近傍の拡大断面図、(b)は図4(a)の内周溝近傍の拡大断面図である。なお実施例1に示される構成部分と同一構成部分に付いては詳細な説明を省略する。
ブレーキドラム41の内周面は、実施例1と同様に、ブレーキシューの摩擦ライニングが摺接するライニング摺動部域Cとブレーキドラム41の開口端面41a側の非摺動部域Dに区画され、この非摺動部域Dには円周方向に断面三角形状の内周溝41bが形成されている。
洗車時等において、ブレーキドラム41の内周面側に回り込んだ水等が円周方向の内周溝41bに沿って下方に向かって流れ、ライニング摺動部域Cに浸入することが阻止されるようにした点で実施例1のものと同じであるが、実施例1と相違するところは、非摺動部域Dの内径Hがライニング摺動部域Cの内径hよりも大きく形成して、内周溝41bに貯まった水等が溢れたときにバッキングプレート43側に排出した点にある。即ち、図4に示すように、内周溝41bの下方に貯まった水等は内径の大きい非摺動部域Dを通ってブレーキドラムの開口端面41a側に向かって流れるので、ライニング摺動部域C側に浸入することはない。
以上、本発明の実施例1,2を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではない。本実施例では防水通路として第1のラビリンス通路、第2のラビリンス通路が設けられている例で説明したが、特にこれらラビリンス通路を必須とするものではない。しかしこれらラビリンス通路と内周溝とを組み合わせて使用すれば防水の効果は大きい。また、内周溝の断面形状を三角形にしたもので説明したが、この形状だけに限定するものではなく、断面形状を円弧状にしたり矩形状にしたりすることも可能である。
1 車軸管
3 ホイールベアリング
5 車軸
7 ホイールハブ
9 ナット
11 ブレーキドラム
11a 開口端面
11b 内周溝
11c 環状溝
11d 第2の環状溝
11e 突条
13 ディスクホイール
15 タイヤ
17 バッキングプレート
17a フランジ部
19 ホイルシリンダ
19a 作動ロッド
21 アンカ
23 ブレーキシュー
23a シューウエブ
23b 摩擦ライニング
23c シューリム
25 パーキングレバー
27 遠隔操作手段
29 ストラット
31 シューホールド機構
33 シールド部材
35 間隙
41 ブレーキドラム
41a 開口端面
41b 内周溝
43 バッキングプレート
A ライニング摺動部域
B ライニングの非摺動部域
C ライニング摺動部域
D ライニングの非摺動部域
h ライニング摺動部域の内径
H ライニングの非摺動部域の内径
3 ホイールベアリング
5 車軸
7 ホイールハブ
9 ナット
11 ブレーキドラム
11a 開口端面
11b 内周溝
11c 環状溝
11d 第2の環状溝
11e 突条
13 ディスクホイール
15 タイヤ
17 バッキングプレート
17a フランジ部
19 ホイルシリンダ
19a 作動ロッド
21 アンカ
23 ブレーキシュー
23a シューウエブ
23b 摩擦ライニング
23c シューリム
25 パーキングレバー
27 遠隔操作手段
29 ストラット
31 シューホールド機構
33 シールド部材
35 間隙
41 ブレーキドラム
41a 開口端面
41b 内周溝
43 バッキングプレート
A ライニング摺動部域
B ライニングの非摺動部域
C ライニング摺動部域
D ライニングの非摺動部域
h ライニング摺動部域の内径
H ライニングの非摺動部域の内径
Claims (4)
- ブレーキドラムの内周面にブレーキシューの摩擦ライニングを押圧することにより、ブレーキドラムが摩擦ライニングに対して摩擦摺動して制動されるドラム式ブレーキにおいて、ブレーキドラムが摩擦摺動するライニング摺動部域に水が浸入することを防止するブレーキドラムの防水構造であって、ブレーキドラム内周面の開口端面側に摩擦ライニングが摩擦摺動しない非摺動部域を設け、該非摺動部域に円周方向の内周溝を形成したブレーキドラムの防水構造。
- 前記非摺動部域の内径が前記ライニング摺動部域の内径よりも大きい請求項1に記載のブレーキドラムの防水構造。
- 前記内周溝の断面形状が略三角形である請求項1または2に記載のブレーキドラムの防水構造。
- 前記ブレーキドラムの開口端面に環状溝を形成し、該環状溝とブレーキドラムの開口端面に対向配置したバッキングプレートとでラビリンス通路を形成した請求項1ないし3のいずれかに記載のブレーキドラムの防水構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006043515A JP2007224936A (ja) | 2006-02-21 | 2006-02-21 | ブレーキドラムの防水構造 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006043515A JP2007224936A (ja) | 2006-02-21 | 2006-02-21 | ブレーキドラムの防水構造 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007224936A true JP2007224936A (ja) | 2007-09-06 |
Family
ID=38546938
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2006043515A Pending JP2007224936A (ja) | 2006-02-21 | 2006-02-21 | ブレーキドラムの防水構造 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2007224936A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN108128288A (zh) * | 2017-12-29 | 2018-06-08 | 台州市金宇机电有限公司 | 一种电动车电机鼓刹端盖 |
-
2006
- 2006-02-21 JP JP2006043515A patent/JP2007224936A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
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