JP2007223118A - 被記録媒体、該被記録媒体の製造方法、及び該被記録媒体を用いた画像形成方法 - Google Patents

被記録媒体、該被記録媒体の製造方法、及び該被記録媒体を用いた画像形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高速インク吸収と優れた表面光沢が得られ、かつ顔料インクを用いた場合に高発色でクラックの発生しない被記録媒体および被記録媒体の製造方法を得る。
【解決手段】支持体と、支持体上に設けられた多孔質インク受容層とを有する被記録媒体において、多孔質インク受容層は、湿式多孔質シリカと、バインダーと、コロイダルシリカとを含み、多孔質インク受容層は、多孔質インク受容層の一部として支持体と接する面と反対の面側に、湿式多孔質シリカ間にコロイダルシリカが充填された充填領域を有することを特徴とする被記録媒体とする。
【選択図】図1

Description

本発明は被記録媒体、被記録媒体の製造方法、及び該被記録媒体を用いた画像形成方法に関する。特に、支持体上に多孔質インク受容層を設けた被記録媒体であって、水溶性インクで記録を行う被記録媒体に関する。より詳しくは、高いインク吸収性と光沢度、高発色(光学濃度)を両立させることができ、高速印刷を行っても鮮明で高品位な記録画像が得られる被記録媒体、被記録媒体の製造方法、及び該被記録媒体を用いた画像形成方法に関する。
近年、多用されているインクジェット記録方式は、インクの微小液滴を種々の作動原理により飛翔させて紙等の被記録媒体に付着させ、画像・文字等の記録を行なうものである。この記録方式を適用した記録装置は高速低騒音であり、又、多色化が容易で記録パターンの融通性も大きく現像・定着が不要である等の特徴があり各種画像の記録装置として情報機器をはじめ各種の用途において急速に普及している。
更に、多色インクジェット方式により形成される画像は製版方式による多色印刷や、カラー写真方式による印画と比較して遜色のない記録を得ることも可能である。また、作成部数が少ない場合には通常の多色印刷や印画によるよりも安価であることから、フルカラー画像記録の分野にまで広く応用されつつある。
インクジェット記録方式の利用拡大に伴い、記録の高速化、高精細化、フルカラー化等の記録特性の更なる向上が要求されるようになってきており、従来から記録装置、記録方法の改良が行われてきた。このような状況下で、被記録媒体においても高度な特性が要求されるようになってきている。
即ち、被記録媒体には以下のような特性が求められている。
・画像を形成した場合に印字ドットの濃度が高く、色調が明るく鮮やかであること。
・インク吸収が早く、かつインク吸収量が大きくて印字ドットが重なった場合でもインクが流れ出したり滲んだりしないこと。
・印字ドットの横方向への拡散が必要以上に大きくならないこと。
・印字ドットの形状が真円に近く、周辺が滑らかでぼけないこと。
・被記録媒体の白色度が高く、かつ光沢度が高いこと。
インクジェット方式は、従来のホームプリントから商業分野に広がってきており、用途も写真から印刷分野にまで広がってきている。かかる要求に対応するため、ページ幅のヘッドを持った記録装置が用いられるようになってきている。
高速印刷に対応する被記録媒体では、印字されたインクの速い吸収が必要であるが、一方では優れた光沢とするため、被記録媒体表面を平滑にする必要がある。この平滑度を高くするためには、インク受容層の細孔を小さくする必要があるが、このように細孔を小さくするとインクの吸収速度が遅くなり、インクの高速吸収とは両立しないという問題が発生していた。
このような高速インク吸収や高い光沢度を達成する手段としては、これまで下記に挙げるような方法の提案があった。
(1)特許文献1には、インク吸収性を上げるためにインク受容層の最表面に0.2〜10μmの細孔径分布のピークがある多孔質層を設けた被記録媒体が開示されている。しかしながら、0.2〜10μmに細孔径分布のピークを持つ細孔構造を実現するためには、インク受容層に用いる無機顔料を凝集させて二次粒子を大きくすることが必要である。このため、このような被記録媒体では、インク受容層表面の平滑性が得られず、表面光沢を高くすることができなかった。さらに、吸収されたインク(色材、分散溶媒など)がインク受容層の内部深くまで浸透するため、発色性を高くすることが困難であった。
(2)特許文献2、3には気相法シリカを用いたインク受容層を持つ被記録媒体が開示されている。気相法シリカは、一次粒子の平均粒子径が数nm以上、数十nm以下の超微粒子であり、高い光沢度が得られる。その反面、細孔径が小さいため、インク吸収が良くない上にインク受容層の強度が弱くクラックを発生し易くなっていた。また、気相法シリカを水性媒体中に分散すると急激に粘度を増加させるため、高濃度の分散液を用いることができないという問題があった。
(3)特許文献4から9には、アルミノシリケートやシリカの2次粒子の平均粒子径を制御した技術が開示されている。しかしながら、シリカまたはアルミノシリケートの平均粒子径を制御するだけでは、インク吸収性と高い光沢度を得るには不十分であった。特にインク吸収性、光沢、発色濃度を両立させることは困難であった。
(4)粒子径の異なる2種類の材料を併用する方法も提案されている。
特許文献10には、気相法シリカで1次粒子径が異なるシリカを2種類、併用した技術が開示されている。この技術では、シリカを用いることによって光沢に優れた被記録媒体とすることができるが、所望のインク吸収性やひび割れ防止、生産性を満足することができなかった。
特許文献11には、気相法シリカとコロイダルシリカを混合する技術が開示されている。この被記録媒体では光沢性は優れているが、インク吸収性やひび割れが満足できていなかった。
特許文献12には、平均粒子径が200nm以上、1000nm以下の湿式シリカ微粒子と、平均粒子径100nm以上、500nm以下の湿式シリカ微粒子を用いた被記録媒体が開示されている。この被記録媒体では、2種類の湿式シリカを用いることでひび割れの発生を減少することができているが、高光沢を得ることが困難であった。
特許文献13には、アルミナ微粒子と気相法シリカの2種類の無機微粒子を含有するインク受容層を持つ被記録媒体が開示されている。この被記録媒体では、アルミナ微粒子と気相法シリカを併用することによって染料インク、顔料インクのどちらのインクについても高発色を得ることができる、としている。この上、この被記録媒体ではインクがインク受容層表面で凝集するブロンズ現象の発生を抑制することができる、としている。しかしながら、この被記録媒体は微粒子を用いているため、内部の細孔が小さくなりインク吸収速度を高くすることができないという問題点を有していた。
特許文献14には、合成シリカとコロイダルシリカ、水溶性結着剤を主成分とする表面層がカチオン性高分子電解質を含む水溶液で処理された被記録媒体が開示されている。この被記録媒体では、表面層が湿潤状態にある間に加熱された鏡面仕上げ表面に圧着・乾燥されている。この方法では、被記録媒体の光沢を高くすることができるが、合成シリカとコロイダルシリカをカチオン性高分子電解質で処理している。このため、合成シリカとコロイダルシリカはそれぞれ凝集してフロック状態になっているため、表面層は微視的に不均一となっており、光沢のムラが発生し易くなっていた。また、インク受容層の機械的強度を高くできない、という問題点が生じていた。
(5)従来から、光沢性を得るためにインク受容層を2層構成にして上層を光沢発現層にする方法が種々提案されていた。
特許文献15、16には、シリカ、アルミナ、樹脂などの材料からなる光沢発現層を設け、更に加熱鏡面処理やカレンダー処理を行った被記録媒体が開示されている。この被記録媒体では高光沢を得ることができるが、加熱鏡面処理やカレンダー処理によってインク吸収性を高くすることができない、という問題点を有していた。さらに製造工程が複雑で高価になってしまうという問題点があった。
特許文献17から19には、最表層に粒子径の異なる2種類の無機微粒子を用いた被記録媒体が開示されている。この被記録媒体では、無機材料としてアルミナ水和物、カチオン性コロイダルシリカ、アニオン性コロイダルシリカが用いられている。この被記録媒体では比較的高い光沢を得ることができるが、2種類の微粒子を混合した時に粒子径の小さい微粒子が凝集し易いため、インク受容層がヘイズを生じたりクラックが発生する場合があった。また、コロイダルシリカなどの微粒子は自己接着性があるため、タック性が発生していた。
(6)特許文献20には、球状粒子または球状粒子が部分的に癒着した集合体を含むインク受容層を有し、かつインク受容層表面が微細な粒子で平滑化された被記録媒体が開示されている。この被記録媒体では、インク受容層の表面平滑化によって高精細な画像を得ることができるが、平滑化に用いるシリカ微粒子が0.8μm以上、1μm以下と比較的大きな粒子径のため高光沢を得ることができなかった。
特公昭63−022977号公報 特開昭60−204390号公報 特開平02−188287号公報 特開平09−286165号公報 特開平10−071764号公報 特開平10−086509号公報 特開平10−175367号公報 特開平10−181190号公報 特開平10−181191号公報 特開2001−270233号公報 特開2002−274021号公報 特開2004−174810号公報 特開2005−104028号公報 特開平02−274587号公報 特開平11−091240号公報 特開2002−211113公報 特開平06−183131号公報 特開平06−188134号公報 特開2002−200842号公報 特開昭62−282966号公報
本発明者は、先に列挙したような先行して提案されている各種の被記録媒体に対して検討を行った。この結果、いずれの被記録媒体においても下記の課題があることが分かった。
(1)高速インク(溶媒成分など)吸収と光沢の両立した特性を得られない場合が発生していた。この点、インク吸収速度を高めるためにはインク受容層の細孔径を大きくする、あるいは細孔容積を高くすることが必要である。しかし、細孔径あるいは細孔容積を大きくすると、必然的にインク受容層の表面平滑度が低くなってインク受容層の表面光沢度を高くすることが困難であった。
逆に、カレンダー処理などでインク受容層の表面平滑度を高くする方法や微細粒子シリカなどを用いる方法では、インク受容層表面の細孔数が少なくなっていた。このため、インク(溶媒成分など)の吸収速度が低下してしまう、という問題点が発生していた。
湿式多孔質シリカを微粉砕して用いる方法では、インク受容層の表面光沢を改善することができるが、高光沢の被記録媒体とするためには湿式多孔質シリカの粒径を数十μmから数百μmまで小さくする必要がある。一方、数十μmから数百μmまで粉砕した場合、湿式多孔質シリカの内部細孔が失われてインク吸収速度およびインク吸収量が不足する場合があった。
また、コロイダルシリカや気相法シリカなどの超微粒子を用いたインク受容層では光沢を得ることができる。しかしながら、複数の種類の粒子を組み合わせて用いた場合であっても、インク受容層が超微粒子から形成されているため、インク受容層の細孔径を大きくすることができず、インク吸収速度を高くすることができなかった。このように従来の被記録媒体では、インク吸収速度と光沢の両方の特性を両立させることは不可能であった。
(2)顔料色材を含有するインクを用いて印字を行った場合には、高発色が得られない場合があった。この理由は、被記録媒体に印字されたインク中の色材成分が、インク受容層内部にまで浸透してしまうためである。このような発色性はインク受容層に用いる無機顔料の材料・粒子径の制御やカチオン樹脂、無機塩などの添加剤によって改善される場合もあるが、色材のインク受容層内部への浸透を完全に抑制することは困難であった。このように従来の被記録媒体では、インク色材を被記録媒体表面で定着させて高い発色を得ることができなかった。
(3)多孔質シリカの層と微粒子シリカの層の積層構成としたインク受容層を有する被記録媒体では、多孔質シリカ層のみの被記録媒体よりもインク吸収速度が著しく低下した。この理由は、上層に形成した微粒子シリカ層の細孔径が小さいこと、および細孔容積が小さいことによるものである。また、この被記録媒体において高光沢を得るためには微粒子シリカからなる上層の厚みを10g/m2以上にする必要があり、この場合にはさらにインク吸収性が低下した。このように従来の多層構成のインク受容層を用いた被記録媒体では、用いる微粒子材料の粒子径や種類を制御しても、必要なインク吸収性が得られなかった。
(4)被記録媒体の支持体として、紙などの吸収性支持体を用いた場合には、非吸収性の支持体を用いた時と比較して、形成したインク受容層にクラックが発生し易かった。すなわち、インク受容層を形成する工程ではシリカなどの材料を水分散液の形態にしてから支持体上に塗布、乾燥していた。このため、吸収性の支持体に前記分散液を塗布した時に分散液の溶媒である水が支持体に急速に吸収され、シリカやバインダーが十分に結合する前に溶媒成分を失っていた。この結果、インク受容層にはクラックが発生していた。このように従来のインク受容層の材料・構成の被記録媒体では、インク受容層にクラックが発生しており、均一なインク受容層を形成することは困難であった。
更に、本発明者は、被記録媒体に付与するインク量を2倍や3倍に増加させて画像を形成する場合には、被記録媒体自体のインク吸収容量が付与されたインク量よりも小さく、インクの溢れや滲みが発生する場合があった。この結果、このような被記録媒体では良好な画質が得られない場合があった。また、一方では先行して提案されている各種の被記録媒体であっても近年の高速印字を行なうプリンター等で画像形成を行った場合、画質、表面光沢、カール、コックリング、紙搬送性等の点で必ずしも満足できないことも確認した。
本発明は、このような新たな知見に基づく新規な課題を解決することを主たる目的とする。
即ち、本発明の第1目的は、インク吸収性が良好で、かつ光沢の高い被記録媒体を提供することにある。
本発明の第2の目的は、印字されたインクの色材を被記録媒体の表面で定着させ、発色等の画像特性に優れた被記録媒体を提供することにある。
本発明の第3の目的は、紙支持体上に多孔質インク受容層を設けた構成の被記録媒体でも、多孔質インク受容層中にクラックのない被記録媒体を提供することにある。
上記の目的は、下記の本発明によって達成される。
1.支持体と、前記支持体上に設けられた多孔質インク受容層とを有する被記録媒体において、
前記多孔質インク受容層は、湿式多孔質シリカと、バインダーと、コロイダルシリカとを含み、
前記多孔質インク受容層の支持体と接する面と反対の面側に、多孔質インク受容層の一部として前記湿式多孔質シリカ間に前記コロイダルシリカが充填された充填領域を有することを特徴とする被記録媒体。
2.前記多孔質インク受容層は、更に中空粒子を含むことを特徴とする上記1に記載の被記録媒体。
3.前記充填領域の厚みが3μm以上であることを特徴とする上記1又は2に記載の被記録媒体。
4.前記多孔質インク受容層の水銀圧入法で測定した半径50nmを超える細孔の細孔容積が、0.1cm3/g未満であることを特徴とする上記1から3の何れか1項に記載の被記録媒体。
5.前記多孔質インク受容層の窒素吸着法で測定した半径20nm以下の細孔の細孔容積が、0.3cm3/g以上であることを特徴とする上記1から4の何れか1項に記載の被記録媒体。
6.前記湿式多孔質シリカの粒子径が、10μm以下であることを特徴とする上記1から5の何れか1項に記載の被記録媒体。
7.前記コロイダルシリカの平均一次粒子径が、100nm以下であることを特徴とする上記1から6の何れか1項に記載の被記録媒体。
8.前記コロイダルシリカは、平均一次粒子径が異なる2種以上のコロイダルシリカからなることを特徴とする上記1から7の何れか1項に記載の被記録媒体。
9.前記コロイダルシリカは、球状粒子と、非球状粒子とからなることを特徴とする上記1から8の何れか1項に記載の被記録媒体。
10.前記コロイダルシリカとして、房状のコロイダルシリカを含むことを特徴とする上記1から8の何れか1項に記載の被記録媒体。
11.前記被記録媒体が、インクジェット記録用被記録媒体であることを特徴とする上記1から10の何れか1項に記載の被記録媒体。
12.(1)支持体を準備する工程と、
(2)前記支持体上に、湿式多孔質シリカとバインダーを含有する第1分散液を塗工する工程と、
(3)前記第1分散液を乾燥させて、前記支持体上に多孔質インク受容層前駆体を形成する工程と、
(4)前記多孔質インク受容層前駆体上にコロイダルシリカ溶液からなる第2分散液を含浸させる工程と、
(5)前記第2分散液を乾燥させることにより、前記多孔質インク受容層前駆体を多孔質インク受容層とする工程と、
を有することを特徴とする被記録媒体の製造方法。
13.前記工程(5)の後に、更に前記被記録媒体にカレンダー処理を行うことを特徴とする上記12に記載の被記録媒体の製造方法。
14.前記第1分散液は更に、中空粒子を含有することを特徴とする上記12又は13に記載の被記録媒体の製造方法。
15.前記湿式多孔質シリカの粒子径が、10μm以下であることを特徴とする上記12から14の何れか1項に記載の被記録媒体の製造方法。
16.前記コロイダルシリカの平均一次粒子径が、100nm以下であることを特徴とする上記12から15の何れか1項に記載の被記録媒体の製造方法。
17.前記コロイダルシリカは、平均一次粒子径が異なる2種以上のコロイダルシリカからなることを特徴とする上記12から16の何れか1項に記載の被記録媒体の製造方法。
18.前記コロイダルシリカは、球状粒子と、非球状粒子とからなることを特徴とする上記12から17の何れか1項に記載の被記録媒体の製造方法。
19.前記コロイダルシリカとして、房状のコロイダルシリカを含むことを特徴とする上記12から17の何れか1項に記載の被記録媒体の製造方法。
20.被記録媒体が備える多孔質インク受容層の表面にインク液滴を付与して印字を行なう画像形成方法において、
前記被記録媒体として上記1から11の何れか1項に記載の被記録媒体を用いることを特徴とする画像形成方法。
21.前記インク液滴の前記多孔質インク受容層の表面への付与を、微細孔から前記多孔質インク受容層の表面に向かってインクの小滴を吐出させるインクジェット記録方式により行うことを特徴とする上記20に記載の画像形成方法。
22.前記インクの小滴の吐出が、インクに熱エネルギーを作用させることで行なわれることを特徴とする上記21に記載の画像形成方法。
上記の本発明によって得られる代表的な効果は以下の通りである。
(1)本発明の被記録媒体は、多孔質インク受容層が内部細孔を持つ湿式多孔質シリカを主成分とし、インクとの親和性が高いコロイダルシリカが前記湿式多孔質シリカの粒子間に充填されている。このため、多孔質インク受容層のインク透過速度(インク吸収速度)が速い。
(2)本発明の被記録媒体は、多孔質インク受容層を形成している湿式多孔質シリカの粒子間の隙間を粒子径の小さいコロイダルシリカが充填されているため、多孔質インク受容層の表面を平滑にすることができる。また、コロイダルシリカを用いているため、多孔質インク受容層の表面光沢度を高くすることができる。
(3)本発明の被記録媒体は、多孔質インク受容層を形成している湿式多孔質シリカの粒子間の隙間を粒子径の小さいコロイダルシリカが充填されている。このため、カレンダー処理を行うだけでキヤスト処理同等の高光沢を得ることができる。また、カレンダー処理による細孔容積の減少が少なく、インク吸収性と光沢の両方を良好にすることができる。
(4)発明の被記録媒体は、多孔質インク受容層を形成している湿式多孔質シリカの粒子間の隙間を粒子径の小さいコロイダルシリカが充填されている。このため、印字されたインク中の色材成分を選択的に多孔質インク受容層の表面部分で定着させることができ、印字部の光学濃度を高くすることができる。
(5)発明の被記録媒体は、湿式多孔質シリカとバインダーを主成分とする多孔質インク受容層の前記湿式多孔質シリカの粒子間の隙間にコロイダルシリカを充填した構造のため多孔質インク受容層の厚みを薄くすることができる。このため、印字後の被記録媒体のカール発生を防止することができる。
(6)本発明の被記録媒体は、多孔質シリカとコロイダルシリカの両方が多孔質インク受容層表面に露出しているため、自己接着性の強いコロイダルシリカを用いても多孔質インク受容層表面のタックが少ない。
(7)発明の被記録媒体の製造方法は、湿式多孔質シリカとバインダーを主成分とする多孔質インク受容層にコロイダルシリカを含浸させる製造方法である。このため、コロイダルシリカの充填された領域の厚み方向の幅を精密に制御することができる。また、充填された領域の厚みを薄くすることができる。
(8)発明の被記録媒体の製造方法は、湿式多孔質シリカとバインダーを主成分とする多孔質インク受容層にコロイダルシリカを含浸させる製造方法のため、多孔質インク受容層のクラック発生を防止することができる。
(被記録媒体)
以下、好ましい実施形態をあげて本発明を詳細に説明する。本発明者は、支持体上に多孔質インク受容層を設けた構成の被記録媒体について、インク吸収速度、顔料色材を含有するインクでの発色および光学濃度、表面光沢、多孔質インク受容層のクラックに対して種々の検討を行った。
この結果、湿式多孔質シリカとバインダーを主体とする多孔質インク受容層であって、多孔質インク受容層の表面側に、湿式多孔質シリカの粒子間にコロイダルシリカが充填された構成の被記録媒体とすればよいことを発見した。また、支持体上に湿式多孔質シリカとバインダーからなる多孔質インク受容層前駆体を形成し、この多孔質インク受容層前駆体中にコロイダルシリカを含む分散液を含浸させればよいことを発見した。この製造方法によれば、湿式多孔質シリカの粒子間の隙間にコロイダルシリカを充填させることができる。
すなわち、このような被記録媒体及び製造方法を用いることによって、被記録媒体のインク吸収速度と発色、光沢が優れ、さらにクラックを少なくできることを見出し本発明に至ったものである。この被記録媒体では、高速インク吸収性と表面光沢が両立できる上に、厚みが20μm以下の薄い多孔質インク受容層とした場合であっても高速吸収性と光沢を得ることができる。なお、多孔質インク受容層中には湿式多孔質シリカ、バインダー及びコロイダルシリカ以外に更に中空粒子を含有していても良い。
本発明の多孔質インク受容層は、湿式多孔質シリカとバインダーを主体とし、湿式多孔質シリカの粒子間に隙間がある多孔質構造を形成している。この多孔質インク受容層には、表面側(支持体に接する面と反対の面側)の湿式多孔質シリカの粒子間の隙間にコロイダルシリカが充填された充填領域がある。このコロイダルシリカの充填領域は面方向(厚み方向と垂直な方向;図1,2では矢印8の方向)の全領域にわたって形成されている(多孔質インク受容層の表面部分は全て充填領域となっている)。また、充填領域は、多孔質インク受容層の最表面(支持体など他の層に接していない面)側から厚み方向(図1,2では矢印9の方向)に一定の幅で形成されており、多孔質インク受容層の一部を構成している。このため、多孔質インク受容層には、充填領域と、コロイダルシリカが充填されていない非充填領域とが存在することとなる。
図1は、本発明にかかる被記録媒体の一例を示す断面図である。該被記録媒体は、図1に示すように、支持体1上に多孔質インク受容層2が形成された構成となっている。多孔質インク受容層2には、最表面から厚み方向に一定幅で形成された充填領域3が存在している。多孔質インク受容層2は湿式多孔質シリカ4とバインダーとからなる多孔質構造を構成している。また、湿式多孔質シリカ4の粒子間には隙間5が存在しており、この粒子間の隙間5にはコロイダルシリカ6が充填されている。
図2は、本発明にかかる被記録媒体の他の一例を示す断面図である。被記録媒体は、図2に示すように支持体1上に多孔質インク受容層2が形成された構成となっている。多孔質インク受容層2には最表面から厚み方向で一定幅で形成された充填領域3が存在している。多孔質インク受容層2は湿式多孔質シリカ4と中空粒子7およびバインダーとから多孔質構造が構成されている。また、湿式多孔質シリカ4の粒子間には隙間5が存在しており、粒子間の隙間5にはコロイダルシリカ6が充填されている。なお、この中空粒子7は多孔質インク受容層2中の充填領域内だけでなく、その他の部分に存在していても良い。
図1および2に示したように、多孔質インク受容層2を構成する湿式多孔質シリカ4の粒子間に隙間5が存在しており、コロイダルシリカ6がこの粒子間の隙間5に充填されている。また、コロイダルシリカ6は粒子間の隙間5を完全に塞いでいるわけではく、粒子間の隙間5を隙間幅を狭くするように存在している。多孔質インク受容層の最表面には湿式多孔質シリカ4とコロイダルシリカ6の2種類の粒子が露出している。
また、多孔質インク受容層の窒素吸着法で測定した半径20nm以下の細孔の細孔容積は0.3ml/m2以上であることが好ましい。この範囲内であればインク吸収速度を低下させること無く、表面光沢を高くすることが出来る。なお、窒素吸着法による細孔容積の測定は、80℃で一晩中、真空乾燥した試料に対してTristar 3000(島津製作所社製)装置を用いることにより行った。
また、多孔質インク受容層の水銀圧入法で測定した半径50nmを超える細孔の細孔容積は0.1ml/m2未満であることが好ましい。この範囲内であれば、多孔質インク受容層は優れたインク溶媒成分の吸収性を有することができる。なお、水銀圧入法による細孔容積の測定は、室温で一昼夜、真空乾燥を行った試料を用いて、オートポアIII 9420(MICROMETRICS社製)により行った。この際、水銀の表面張力482.536dyne/cm、水銀の接触角141°の条件とした。
本発明にかかる被記録媒体全体の坪量としては、坪量が少なくて被記録媒体が極端に薄くなければ、特に制限はない。例えば、坪量が、40g/m2以上、300g/m2以下の範囲であれば、プリンター等で印字する場合の搬送性の点で好ましい。更に好ましい範囲は、坪量が45g/m2以上、200g/m2以下の範囲のものである。この範囲とすれば、紙の折り曲げ強度が高くならずに不透明度を高くすることができる。更には、多数枚印字サンプルを重ねた時に、貼り付きが発生しにくくなる。
(作用効果)
ここで、上記構成による作用について推定ではあるが機能的説明を行う。本発明の被記録媒体に印字を行う場合は、着弾したインク液滴(溶媒成分など)は湿式多孔質シリカ4の内部細孔とコロイダルシリカ6が充填された粒子間の隙間5の両方から多孔質インク受容層内部に吸収される。この粒子間の隙間5はコロイダルシリカ6の存在によって隙間が小さくなっている。しかし、本発明の被記録媒体では、インクとの親和性が高いコロイダルシリカ6がこの隙間に存在することによって、インク吸収速度は低下しにくくなっている。
まず、被記録媒体へのインク打ち込みによりインクが被記録媒体中に定着される。この際、色材成分(染料、顔料)とその他のインク成分(溶媒など)とは被記録媒体中へ定着される過程が異なるものと考えられる。
すなわち、多孔質インク受容層の隙間はインク中の色材成分よりも小さいため、色材成分は多孔質インク受容層2の表面に定着される。一方、インク中の溶媒成分は湿式多孔質シリカ4の内部細孔と粒子間の隙間5の両方から高速で吸収される。このインク中の溶媒成分は、湿式多孔質シリカ4の粒子間の隙間5を通して多孔質インク受容層の内部に浸透および拡散していく。この際、粒子間の隙間5にはコロイダルシリカ6が存在するため隙間5の径は小さくなっている。しかしながら、毛管上昇効果や、コロイダルシリカ6のインク溶媒成分への濡れ性等が湿式多孔質シリカ4よりも優れるため、溶媒成分の充填領域での浸透性および拡散性は低下せず、効果的に吸収される。また、充填領域3は多孔質インク受容層2の一部に設けられており、その他の部分は湿式多孔質シリカ4とバインダーから構成され、内部の細孔径が大きくなっている。このため、充填領域3を浸透、拡散後の溶媒成分は細孔径が大きな多孔質インク受容層2中を高速で浸透、拡散していくことができる。
この結果、多孔質インク受容層2中で色材と溶媒成分とは効果的に分離され、インクの滲み、ボケなどがない画像特性に優れた被記録媒体とすることができる。
このように本発明の被記録媒体では、湿式多孔質シリカ4間にコロイダルシリカ6が充填されていることにより内部の細孔径を小さくすることができる。このため、湿式多孔質シリカ4だけからなるインク受容層を有する被記録媒体よりも表面光沢度を高くすると共に、多孔質インク受容層表面に効果的に色材を定着させることができる。また、コロイダルシリカ6がインク中の溶媒成分との親和性に優れるため、内部細孔径が小さくなっても溶媒成分の高い浸透性、拡散性を維持することができる。この結果、色材成分は多孔質インク受容層の表面で固定化され、印字部の光学濃度を高くすることができる。
被記録媒体の多孔質インク受容層2の表面は、湿式多孔質シリカ4とバインダーとから多孔質構造が形成されている。また、湿式多孔質シリカ4の粒子間の隙間5にはコロイダルシリカ6が充填されている。この粒子間の隙間5へのコロイダルシリカ6の充填については密に充填されているのではなく、粒子間の隙間5にコロイダルシリカ6が隙間を残したままの状態で存在している。コロイダルシリカ6は平均一次粒子径が100nm以下の微細粒子のため、光の乱反射を抑制して高い表面光沢を発現することができる。
更に、多孔質インク受容層を形成した後にカレンダー処理などの平滑化処理を行うことで多孔質インク受容層の表面平滑性を容易に高くすることができる。これらコロイダルシリカ6の粒子径による効果と、平滑化処理による効果によって、多孔質インク受容層の表面光沢を高くすることができる。
以上、本発明の被記録媒体は上記のような作用により高いインク吸収速度を有すると同時に高い表面光沢を有することができるものと考えられる。
以下、本発明にかかる被記録媒体の各構成材料等について更に詳細に説明する。
(支持体の構成材料)
本発明の被記録媒体の基材としては、適度のサイジングを施した紙、無サイズ紙、ポリエチレン等を用いたレジンコート紙などの紙類、熱可塑性フィルムのようなシート状物質及び布帛が使用でき、特に制限はない。熱可塑性フィルムの場合はポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート、酢酸セルロース、ポリエチレン、ポリカーボネートなどの透明フィルムを用いることができる。また、無機粒子の充填または微細な発泡による不透明化したシートを用いることもできる。
本発明の被記録媒体では、繊維状物質から形成された紙が最も好ましい。この繊維状物質としては、セルロースパルプを用いることができる。具体例を挙げると、例えば、広葉樹材及び針葉樹材から得られるサルファイトパルプ(SP)、アルカリパルプ(AP)、クラフトパルプ(KP)等の化学(ケミカル)パルプや、セミケミカルパルプ、セミメカニカルパルプ、機械(メカニカル)パルプ等、更には、脱墨された二次繊維である古紙パルプが使用可能である。これらは単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。
また、パルプは、未漂白パルプ、漂白パルプの区別、及び叩解、未叩解の区別なく使用可能である。先に述べたように叩解又、セルロースパルプとしては、非木材パルプである、草、葉、靱皮、種毛等の繊維、例えば、藁、竹、麻、バガス、エスパルト、ケナフ、楮、三椏、コットンリンター等のパルプも使用できる。
本発明では、上記セルロースパルプに加えて、嵩高性セルロース繊維、マーセル化されたセルロース、フラッフ化セルロース及びサーモメカニカルパルプ等の機械パルプ等からなる群から選択される少なくとも1種を添加して用いることができる。これらのパルプの添加によって、得られる被記録媒体のインク吸収速度、インク吸収量を向上させることができる。
本発明において、マーセル化されたセルロースとは原料パルプをアルカリ水溶液中で処理したものである。セルロースIIの含有量が80質量%以上、100質量%以下になるように処理したものが好ましい。この範囲であればセルロースの剛性を保ったままで繊維間の隙間を大きくすることができ、多孔質填料を効果的に内添することができる。セルロースIIの含有量は特開2003−293284号に記載の方法で求めることができる。
本発明において、フラッフ化セルロースとは原料パルプと繊維架橋剤を添加してから繊維を変形させる機械的攪拌を行ってフラッフ化と加熱処理を行い、繊維の変形を固定して得られたセルロースである。得られたフラッフ化セルロースのカールファクターは0.4以上、1.0以下が好ましい。この範囲であれば繊維間の隙間を大きく取ることができる上に、繊維の剛性を高くすることができる。また、支持体中で繊維同士の絡み合いも生じ易くなる。製造方法およびカールファクターの測定方法は特開平11−229289号公報に記された方法を用いることができる。
また、上記のセルロースパルプと共に軽叩解セルロースパルプを用いることもできる。本発明において、軽叩解セルロースパルプとは、木材などのチップから作った化学パルプに叩解処理をあまり行っていないパルプのことである。この軽叩解セルロースパルプは、叩解処理によって生じるフィブリルがあまり発生していないため、吸収性および嵩高性に優れている。軽叩解セルロースパルプとしては例えば、特開平10−77595号に記載されているものを用いることができる。また、軽叩解セルロースパルプとして好ましいのはカナダ標準濾水度550ml以上のパルプである。
更に、本発明の被記録媒体では、上記したセルロースパルプに加えて、微細フィブリル化セルロース、結晶化セルロース、広葉樹又は針葉樹を原料とする硫酸塩パルプ、亜硫酸塩パルプ、ソーダパルプ、ヘミセルラーゼ処理パルプ及び酵素処理化学パルプ等からなる群から選ばれる少なくとも1種を添加して用いることもできる。これらのパルプの添加によって、得られる被記録媒体表面の平滑性向上や、地合いが良くなるといった効果がある。
本発明では、支持体を形成する繊維状物質として、単層構造、多層構造のどちらの構造のものでも用いることができ、特に制限はない。多層構成の支持体の好ましい形態としては、例えば、特開2000−211250公報に記載された構成が挙げられる。
本発明では、支持体を構成する繊維状物質に、必要に応じて填料を加えることができる。例えば、填料としては、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム等の白色顔料、シリカまたはシリケート、珪酸化合物などのシリカ系材料を用いることができる。また、本発明では、被記録媒体のインク吸収速度を高くするために、填料無添加の構成を取ることも可能である。
填料の形状は球状、塊形、針形など各種形状のものを用いることができる。繊維との相互作用を小さくするために多孔質填料を用いることもできる。好ましい填料の比表面積は50m2/g以上である。填料の添加量は灰分換算で支持体全体の5質量%以上、20質量%以下が好ましい。5質量%未満では繊維の変形を抑制する効果が小さく、20質量%を超えると紙粉の発生量が多くなる場合がある。なお、多孔質填料の添加量は灰分換算で示した。灰分の測定はJIS P8128に従って行うことができる。
本発明の被記録媒体に含まれる支持体は、支持体材料と、必要に応じて添加した上記多孔質填料とを混合して抄紙することにより被記録媒体を製造する。本発明にかかる支持体の坪量としては、坪量が少なくて被記録媒体が極端に薄くなければ、特に制限はない。例えば、坪量が10g/m2以上、200g/m2以下の範囲であれば、プリンター等で印字する場合の搬送性の点で好ましい。更に好ましい範囲は、坪量が20g/m2以上、150g/m2以下の範囲のものである。この範囲とすれば、紙の折り曲げ強度が高くならず高強度の被記録媒体とすることができる。なお、本発明においては支持体中への内添サイズ剤の使用は好ましくない。
(支持体の製造方法)
本発明の被記録媒体に用いる支持体の製造方法には、一般的に用いられている紙の製造方法を適用することができる。抄紙装置としては従来から用いられている長網抄紙機、丸網抄紙機、円胴、ツインワイヤー等から選択して用いることが出来る。
本発明の被記録媒体では更に、通常の紙の製造方法で行われるサイズプレス工程を用いて支持体上に多孔質材料を塗工することも可能である。この塗工には一般的な塗工方法を選択して用いることができる。例えばゲートロールコーター、サイズプレス、バーコーター、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、ブラッシュコーター、カーテンコーター、グラビアコーター、スプレー装置等による塗工技術を用いることができる。
本発明で形成された支持体はカレンダー処理、熱カレンダー処理やスーパーカレンダー処理を行って表面を平滑にすることができる。本発明では平滑化処理後の支持体の密度は0.5g/cm3以上、かつ0.7g/cm3以下が好ましい。密度が0.5g/cm3未満では多孔質インク受容層形成時にクラックが入る可能性がある。密度が0.7g/cm3を超える場合は印字した時のインク吸収性が低下し、被記録媒体にコックリングが発生する可能性がある。セルロースパルプの密度は特開2004−66492号公報に記載された方法で測定することができる。
(多孔質インク受容層の構成材料)
本発明にかかる被記録媒体の多孔質インク受容層を構成する材料は、主に湿式多孔質シリカと、バインダーと、コロイダルシリカである。以下、これらの材料、及びその他に使用可能な材料について説明する。
(a)湿式多孔質シリカ
湿式多孔質シリカは、一般に珪酸ソーダを鉱酸で中和することによって溶液中でシリカを析出させる沈殿法によって得られるシリカである。湿式シリカは製造方法によって沈降法シリカとゲル法シリカがあり、本発明では沈降法シリカとゲル法シリカのどちらでも用いることができる。
湿式多孔質シリカは細孔容積が大きいため、効果的にインク中の溶媒成分などの吸収を行うことができる。この湿式多孔質シリカの比表面積は、100m2/g以上がインク吸収性と発色濃度を高くすることができるため好ましい。また、平均粒子径は1μm以上、5μm以下の範囲が好ましい。この範囲内であれば、多孔質インク受容層を形成した時に表面の平滑性を容易に得ることができる上、クラックが発生しにくい。
さらに、本発明では多孔質インク受容層中に含まれる、湿式多孔質シリカの粒子径が10μm以下であることが好ましい。湿式多孔質シリカの粒子径を10μm以下とすることにより、形成した多孔質インク受容層中にクラックが入りにくくなる。
なお、本明細書において、「湿式多孔質シリカの粒子径が10μm以下」とは実質的に全ての湿式多孔質シリカの粒子径が10μm以下であることを表している。「実質的に全て」とは、若干量の10μmを超える湿式多孔質シリカが存在していても良いことを表す。好ましくは全湿式多孔質シリカ中の粒子径10μm以下の粒子の割合が95%以上であることが好ましく、98%以上であることがより好ましく、99%以上であることが更に好ましい。なお、この湿式多孔質シリカの粒子径は後述するコロイダルシリカと同様の方法によって測定することができる。
湿式多孔質シリカの平均細孔半径は10nm以上、20nm以下であることが、インク吸収性とドット形状の点から好ましい。
(b)中空粒子
本発明においては、更に中空粒子を併用して多孔質インク受容層中に用いることができる。多孔質インク受容層中に中空粒子が存在することによって、カレンダー処理により被記録媒体の表面光沢度を容易に高くすることができる。ここで中空粒子とは、粒子内部に単一又は複数の独立孔、ないしは互いに連絡孔等の空孔を有する有機中空粒子であり、例えばMH5055(商品名、日本ゼオン社製)やローペイクHP−1055(商品名、ローム・アンド・ハース社製)がある。ただし、湿式多孔質シリカ及びコロイダルシリカは中空粒子には含まれない。また、これらの内部空孔(中空部)と粒子外部とをつなぐ空隙を粒子壁に有する、いわゆる有孔中空粒子が好ましく用いられる。
本発明では、中空粒子は湿式多孔質シリカと混合されて多孔質インク受容層を形成する。その後、カレンダー処理によって多孔質インク受容層表面が平滑化される。このため(1)中空粒子は湿式多孔質シリカよりも平均粒子径が小さいこと(2)平滑化処理の際に優先的に変形して(湿式多孔質シリカよりも中空粒子の方が、硬度が低く)多孔質インク受容層表面を平滑にできることが必要である。このため、(1)の特性として、用いられる中空粒子の平均粒子径(直径)は0.2μm以上、5μm以下が好ましい。また、(2)の特性として、湿式多孔質シリカ及び中空粒子の硬度は、粉体硬度計BHT−500によって硬度又は破壊強度を測定することができる。
中空粒子のガラス転移温度は80℃以上であることが好ましい。ガラス転移温度が80℃未満では、多孔質インク受容層材料の塗布後の乾燥により中空粒子が熱溶融して粒子の空隙が失われ、支持体表面に皮膜を形成してインク吸収性の低下を招く場合がある。更に、ガラス転移温度が100℃以上であれば、熱カレンダー処理を行って平滑化処理を行っても粒子の空隙が維持されるため好ましい。
本発明の中空粒子としては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体等のアクリル系重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体、或はこれら各種重合体のカルボキシル基等の官能基含有単量体による官能基変性重合体を使用することができる。また、中空粒子の表面を必要に応じてカチオン化などの処理を行うこともできる。中空粒子の形状は特に制限されないが、例えば球状の中空粒子を用いることができる。
(c)バインダー
本発明の多孔質インク受容層に用いるバインダーとしては、下記に挙げる水溶性高分子の中から自由に選択することができる。例えば、ポリビニルアルコール又はその変性体(カチオン変性、アニオン変性、シラノール変性)、澱粉又はその変性体(酸化、エーテル化)、ゼラチン又はその変性体、カゼイン又はその変性体、カルボキシメチルセルロース、アラビアゴム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体、SBRラテックス、NBRラテックス、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体ラテックス、官能基変性重合体ラテックス、エチレン酢酸ビニル共重合体等のビニル系共重合体ラテックス、ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸又はその共重合体、アクリル酸エステル共重合体等を用いることが好ましい。
これらのバインダーは、単独で或いは複数種を混合して用いることができる。湿式多孔質シリカとバインダーとの混合比は、湿式多孔質シリカ100質量部に対して5から70質量部とすることが好ましい。バインダー量が上記範囲よりも少ない場合には、多孔質インク受容層の機械的強度が不足してクラックや粉落ちが発生する恐れがありる。また、バインダー量が上記範囲よりも多い場合には、多孔質インク受容層のインク吸収性が低下する恐れがある。
(d)コロイダルシリカ
本発明では、湿式多孔質シリカとバインダーで形成された多孔質インク受容層中にコロイダルシリカ分散液を含浸させて湿式多孔質シリカの粒子間の隙間にコロイダルシリカを充填させる。
本発明で用いるコロイダルシリカ溶液は、ケイ酸ナトリウムの酸などによる複分解やイオン交換樹脂層を通して得られたシリカゾルを加熱熟成して得た二酸化珪素をコロイド溶液状に水中に分散させたものである。コロイダルシリカとしては例えば、日産化学社からスノーテックスという商品名で供給されている。また、本明細書において、コロイダルシリカとは上記コロイド溶液として供給されたものを乾燥して分散媒を除去した後に得られる粉体状シリカのことを表す。
コロイダルシリカは、一般的にはコロイド溶液中で一次粒子の形態で存在し、一次粒子が塊状に凝集した二次粒子として存在する湿式多孔質シリカとは異なった特性を有している。特に、自己接着能を有し、造膜する点や粒子径分布、インク成分である溶媒との親和性において、湿式多孔質シリカとは大きく異なる。本発明ではこのコロイダルシリカを用いることにより高発色と光沢を得ることができる。
本発明で用いるコロイダルシリカは、平均一次粒子径が100nm以下が好ましい。コロイダルシリカの平均一次粒子径が100nm以下であることによって、湿式多孔質シリカ間に効果的にコロイダルシリカを充填させることができる。また、多孔質インク受容層中に形成される間隙径を適度にし、効果的にインク中の溶媒を多孔質インク受容層内に吸収することができる。
本発明では、コロイダルシリカとして平均一次粒子径が異なる2種類以上のコロイダルシリカを用いることが好ましい。このようなコロイダルシリカとしては、20nm以下、40nm以上、100nm以下の範囲にそれぞれ平均一次粒子径を有するものを2種以上、用いることが好ましい。
コロイダルシリカは、一次粒子径が小さいほど多孔質インク受容層の平滑性が向上して光沢が高くなる。その一方、凝集性が強くなって多孔質インク受容層内に形成される粒子間の隙間が小さくなり多孔質インク受容層のインク吸収性は低下する。このため、2種以上の平均一次粒子径を有するコロイダルシリカを用いることによって、コロイダルシリカの粒子間に適度な隙間が形成されインク吸収性が良くなる。この上、コロイダルシリカの透明性、光沢性も良くすることができる。
なお、平均一次粒子径は、コロイダルシリカを濾紙などに滴下・乾燥した試料を、走査電子顕微鏡を用いて倍率10万倍―20万倍で形状観察を行って求めることができる。この際、コロイダルシリカ粒子100個の粒子径を測定して平均化する。
さらに、本発明では球状粒子と非球状粒子とからなるコロイダルシリカを組み合わせて用いることが好ましい。本発明の非球状粒子としては、特開2000−108506号公報、特開平10−071762号公報に記載されているものを用いることができる。すなわち、非球状粒子としては一次粒子が鎖状に連結した細長い形状、三次元網目構造を有しているもの、又はパールネックレス状のものなどを指す。
なお、この球状粒子、非球状粒子は走査型電子顕微鏡を用いてコロイダルシリカの形状を観察して最も径の長い部分と、最も径の長い部分に垂直な部分の径との比が5以上か否かを基準に判別することができる。すなわち、
(最も径の長い部分の長さ)/(最も径の長い部分に垂直な部分の径)≧5
のときは、非球状粒子
(最も径の長い部分の長さ)/(最も径の長い部分に垂直な部分の径)<5
のときは、球状粒子
となる。
また、球状粒子と非球状粒子とを併用して用いることにより、光沢を損なうことなくインク吸収性を向上させることができる。これは、球状粒子と非球状粒子とを併用して用いることにより、コロイダルシリカと湿式多孔質シリカ間だけでなく、コロイダルシリカの粒子間にも適度な隙間が形成されたためである。
本発明において、コロイダルシリカの球状粒子の一次粒子の最も長い部分の径(球状粒子の断面において最も長い部分の径)が20nm以上、100nm以下の範囲にあることが好ましい。また、コロイダルシリカの非球状粒子の長径(最も長い部分の径)は20nm以上、100nm以下が好ましく、短径(長径と垂直な方向の径)は5nm以上、50nm以下が好ましい。また、コロイダルシリカの球状粒子と非球状粒子の質量混合比(球状粒子):(非球状粒子)は2:8〜9.5:0.5が好ましい。この範囲であれば優れた光沢とインク吸収性を得ることができる。
本発明ではさらに別な形態として房状のコロイダルシリカを用いることができる。ここで房状のコロイダルシリカとは、一次粒子径が10nm以上、100nm以下のコロイダルシリカが4個以上結合した凝集体を構成している。また、この凝集体中の長手方向(凝集体の最も長い方向)と短手方向(凝集体の最も長い方向と垂直な方向)の何れの方向にも2個以上のコロイダルシリカが結合した部分が存在する。なお、短手方向に1個のコロイダルシリカしかなく、コロイダルシリカが鎖状に凝集したものは、本発明の「房状」には含まれない。「房状」には、凝集コロイダルシリカの上から下へ向かって短手方向のシリカの結合個数が減少し、葡萄の房のような凝集状態となるものや、凝集シリカの短手方向と長手方向の長さがほぼ等しいものも含まれる。房状のコロイダルシリカとしては、具体的には日産化学工業株式会社のスノーテックスHSシリーズ等を挙げることができる。
房状のコロイダルシリカは、コロイダルシリカの一次粒子が隙間をあけて結合しているため、コロイダルシリカの粒子間に隙間がある。このため、房状のコロイダルシリカを含む被記録媒体はインク吸収性が良好となる。さらに、一次粒子径が10nm以上、100nm以下のコロイダルシリカから構成される房状のコロイダルシリカを用いた場合、被記録媒体の表面光沢と発色性が良好となるため、好ましく用いることができる。
(e)その他の材料
本発明の被記録媒体ではさらに、必要に応じてカチオン性ポリマーを添加することができる。好ましいカチオン性ポリマーとしては、例えば、4級アンモニウム塩、ポリアミン、アルキルアミン、ハロゲン化第4級アンモニウム塩、カチオン性ウレタン樹脂、変性PVA、アミン・エピクロルヒドリン重付加体、ジハライド・ジアミン重付加体、ポリアミジン、ビニル(共)重合体、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリメタクリロイルオキシエチル−β−ヒドロキシエチルジメチルアンモニウムクロライド、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン及びその誘導体、ポリアミド−ポリアミン樹脂、カチオン化でんぷん、ジシアンジアミドホルマリン縮合物、ジメチル−2−ヒドロキシプロピルアンモニウム塩重合物、ポリアミジン、ポリビニルアミン、ジシアン系カオチン樹脂、ポリアミン系カオチン樹脂、エピクロルヒドリン−ジメチルアミン付加重合物、ジメチルジアリンアンモニウムクロリド−SO2共重合物、ジアリルアミン塩−SO2共重合物、第4級アンモニウム塩基置換アルキル基をエステル部分に有する(メタ)アクリレート含有ポリマー、第4級アンモニウム塩基置換アルキル基を有するスチリル型ポリマー、ポリアミド系樹脂、ポリアミドエピクロロヒドリン系樹脂、ポリアミドポリアミンエピクロロヒドリン系樹脂等の材料の中から適宜に選択して用いることができる。
本発明では、上記した多孔質インク受容層や表面層の構成材料に、更に、分散剤、増粘剤、pH調整剤、潤滑剤、流動性変性剤、界面活性剤、消泡剤、耐水化剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤等を、必要に応じて添加することも可能である。
(多孔質インク受容層の形成方法)
支持体上に多孔質インク受容層を形成する方法としては、上記(支持体の形成方法)に記載の方法に従って、まず支持体を準備する。次に、多孔質インク受容層の構成材料(湿式多孔質シリカとバインダー、場合によって中空粒子を含む)を第1分散液にして支持体上に塗工後、乾燥して多孔質インク受容層前駆体を形成する。この際、第1分散液を支持体に塗布したとき、支持体が水吸収性の場合は分散液の水成分が支持体に急速に吸収される場合がある。このように急速に水を失うと形成された多孔質インク受容層前駆体内に微細なクラックが入ってしまう。
次工程ではこのようにして形成された多孔質インク受容層前駆体上にコロイダルシリカの第2分散液を塗工後、乾燥することにより多孔質インク受容層前駆体を多孔質インク受容層とする。このようにして塗工された第2分散液は、多孔質インク受容層内に含浸される。この過程で、第1分散液の乾燥時に生じた微細なクラックはコロイダルシリカで埋められていく。コロイダルシリカは自己接着性が高いため、多孔質インク受容層に微細なクラックが存在している場合であっても、クラックを埋めて多孔質インク受容層を一体化させることができる。この結果、多孔質インク受容層内でのクラック発生を抑制することができる。
本発明で用いる第1分散液の塗工方法としては、一般に用いられているブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、ブラッシュコーター、カーテンコーター、バーコーター、グラビアコーター、スプレー装置等による塗工技術を採用することができる。第1分散液の塗布量は、乾燥固形分換算で、5g/m2以上、30g/m2以下であれば、インク吸収性とコックリングの発生の抑制を満足することができる。より好ましい塗布量の範囲は、7g/m2以上、20g/m2以下である。この範囲内であれば、多孔質インク受容層の表面強度を強くすることができる。
本発明で多孔質インク受容層を構成する湿式多孔質シリカの粒子間の隙間にコロイダルシリカを充填させる方法としては以下の方法を挙げることができる。すなわち、コロイダルシリカの水分散液(第2分散液)を作り、この第2分散液を多孔質インク受容層に含浸塗工してから乾燥させる方法を用いることができる。
コロイダルシリカの水分散液(第2分散液)には、必要に応じてバインダーや添加剤を加えても良い。特に、コロイダルシリカの充填領域の厚みを小さくする場合は、フィルムなどの平滑面に第2分散液を塗工してからこの塗工層を多孔質インク受容層に重ね合わせた後、加熱・乾燥する方法を用いることができる。この方法では乾燥後にフィルムなどの平滑面を剥離させる。
コロイダルシリカは多孔質インク受容層の表面側から厚み方向に均一に充填されることが好ましい。また、充填領域の厚み方向の幅は3μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましい。充填領域の厚みを3μm以上とすることにより、インク中の色材成分の多孔質インク受容層表面での定着と、充填領域を介して多孔質インク受容層内部にまで効果的に溶媒成分を吸収することができる。
充填領域の厚み方向の幅が5μm以上であれば、湿式多孔質シリカ層の厚みムラがあっても多孔質インク受容層表面に均一に充填させることができる。
また、本発明の被記録媒体は、必要に応じて多孔質インク受容層形成後に、カレンダーロール等を用いて多孔質インク受容層の表面平滑性を良くすることも可能である。
(本発明の画像形成方法に使用するインク)
本発明にかかる画像形成方法は、インクの液滴を被記録媒体が備える多孔質インク受容層の表面に付与して印字を行なうものであって、被記録媒体として、上記構成の被記録媒体を使用することを特徴とする。この場合に使用するインクは、主として、色剤(染料若しくは顔料)、水溶性有機溶剤及び水を含むものが利用できる。
染料としては例えば、直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料、食用色素等に代表される水溶性染料を用いることが好ましい。しかし、上記構成の本発明にかかる被記録媒体との組み合わせで、定着性、発色性、鮮明性、安定性、耐光性、その他の要求される性能を満たす画像を与えるものであれば、いずれのものも使用することができる。
顔料としては、カーボンブラック等を用いることができる。この場合に顔料インクを調製する方法としては、顔料と分散剤を併用する方法、自己分散型顔料を用いる方法、顔料をマイクロカプセル化する方法等を用いることが可能である。
水溶性染料は、一般に水、又は水と水溶性有機溶剤からなる溶媒中に溶解して使用するものであるが、これらの溶媒成分や、上記顔料を分散させる溶媒として、好ましくは水と水溶性の各種有機溶剤等との混合物を使用する。この際には、インク中の水分含有量が20質量%以上、90質量%以下の範囲内となるように調整することが好ましい。
また、上記水溶性有機溶剤としては、例えば、メチルアルコール等の炭素数が1から4の範囲のアルキルアルコール類、ジメチルホルムアミド等のアミド類、アセトン等のケトン又はケトンアルコール類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ポリエチレングリコール等のポリアルキレングリコール類、エチレングリコール等のアルキレン基が2から6個の炭素数を含むアルキレングリコール類、グリセリン、エチレングリコールメチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類等が挙げられ、これらから選択された1種、或いは2種以上を選択して組合せて用いることができる。
これらの多くの水溶性有機溶剤の中でも、特にジエチレングリコール等の多価アルコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類を用いることが好ましい。多価アルコール類は、インク中の水が蒸発し、水溶性染料が析出することに基づくノズルの目詰まり減少を防止するための潤滑剤としての効果が大きいため、特に好ましい。
インクには可溶化剤を加えることもできる。代表的な可溶化剤としては、含窒素複素環式ケトン類が挙げられるが、その目的とする作用は、水溶性染料の溶媒に対する溶解性を飛躍的に向上させることにある。例えば、N−メチル−2−ピロリドン、1、3−ジメチル−2−イミダゾリジノンが好ましく用いられる。更に、インクの特性の改善のために、粘度調整剤、界面活性剤、表面張力調整剤、pH調整剤、比抵抗調整剤等の添加剤を加えて用いることもできる。
(印字方法)
本発明にかかる被記録媒体に、上記で説明したようなインクを付与して画像形成をなう方法としては、インクジェット記録方法が好適である。インクジェット記録方法としては、インクを微細孔(ノズル)より効果的に離脱させて、被記録媒体にインクを付与し得る方法であればいかなる方法でもよい。これらの中でも特に、特開昭54−59936号公報に記載されている方法が好ましい。この方法では、熱エネルギーの作用を受けたインクが急激な体積変化を生じ、この状態変化による作用力によって、インクをノズルから吐出させるインクジェット方式を特に有効に使用することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明の内容は実施例によって限定されるものではない。先ず、実施例及び比較例の被記録媒体に印字物を形成する具体的な方法、及び、得られた印字物についての評価方法は、下記の通りである。
1.吸収量測定
動的走査吸液計(東洋精機社製)を用いて、各被記録媒体に下記シアンインクを接触させて吸液量を求めて、下記の基準で評価した。
接触時間25ミリ秒での液体転移量が25ml/m2以上であればAA
接触時間25ミリ秒での液体転移量が20ml/m2以上、25ml/m2未満の場合はA
接触時間25ミリ秒での液体転移量が15ml/m2以上、20ml/m2未満の場合はB
接触時間25ミリ秒での液体転移量が10ml/m2以上、15ml/m2未満の場合はC
接触時間25ミリ秒での液体転移量が10ml/m2未満である場合はD
とした。
2.白紙部の光沢度測定
JIS P8142に準拠して75°の光沢度を測定した。用いた装置は光沢度計(日本電色社製、VG−2000)である。
3.表面クラック測定
被記録媒体は210mm×297mmの大きさのものを使用した。目視で被記録媒体全面を観察してクラックを観察した。
クラックが認められなければ○
光沢ムラが認められた場合は×
とした。
4.タック測定
被記録媒体の表面を指で触り、
付着しなければ○
付着すれば×
とした。
5.印字特性
インクジェットプリンターW8200(商品名、キヤノン社製)を記録装置として用いて、印字を行った。画像形成に用いたインク、顔料色材は、下記の通りである。
水性インク組成(合計100質量部)
・顔料色材 10質量部
・10質量%スチレン−メタクリル酸共重合体水溶液 20質量部
・グリセリン 20質量部
・ジエチレングリコール 20質量部
・トリエチレングリコール 10質量部
・水 20質量部。
顔料色材
・イエロー C.I.Pigment Yellow 74
・マゼンタ C.I.Pigment Red 122
・シアン C.I.Pigment Blue 15:3
・ブラック カーボンブラック(MCF88、三菱化学社製)。
被記録媒体は、それぞれ210mm×297mmの大きさのものを使用した。被記録媒体のほぼ中央部に単色ベタ印字、2色ベタ印字をそれぞれ行って、インク吸収性、光学濃度、印字後カールの評価をそれぞれ行った。
5−1)インク吸収性
インク吸収性は単色ベタ印字部および2色ベタ印字部の印字直後のあふれを目視観察した。
2色ベタ印字部であふれが観察されない場合は○
1色ベタ印字部であふれが観察されない場合は△
1色ベタでもあふれがあった場合は×
とした。
5−2)印字部の光学濃度
印字物の光学濃度測定はマクベス社の濃度計RD−918を用いて行った。各色(イエロー、マゼンダ、シアン、ブラック)について単色ベタ印字部の濃度を測定して平均値を求めた。
5−3)印字後カール
上記プリンターで、150mm×150mmの正方形のパターンを被記録媒体の中央部に2色(200%)でベタ印字を行った。その後、平らな台の上に1時間静置して、ハイトゲージで反り量を測定して、下記のような5段階の基準で評価した。
カール量が1mm以下である場合をAA
カール量1mmを超えて3mm以下である場合をA
カール量3mmを超えて5mm以下である場合をB
カール量5mmを超えて7mm以下である場合をC
カール量7mmを超えるものをD
として評価した。
<実施例1>
広葉樹さらしクラフトパルプであるボルネオ産マングローブ材チップ(容積重700Kg/m3)を原料として得られたLBKP(カナダ標準濾水度680ml)をダブルディスクリファイナーによって叩解して、カナダ標準濾水度600mlに調整した。次に、この原料パルプを長網抄紙機で坪量80g/m2に調整して抄紙した。さらに、この抄紙後の支持体を、スーパーカレンダーを用いて表面を平滑化することにより本実施例の支持体を得た。
湿式多孔質シリカ(ファインシールX45、商品名、トクヤマ社製)100質量部、ポリビニルアルコール(PVA117、商品名、クラレ社製)20質量部をイオン交換水に分散して、乾燥固形分濃度20質量%の第1分散液を作成した。次に、この第1分散液を上記支持体上にバーで塗工、乾燥して固形分量10g/m2の多孔質インク受容層前駆体を形成した。
コロイダルシリカ溶液(第2分散液)(スノーテックスOL、商品名、粒子径40nm以上、50nm以下、固形分濃度20%、日産化学社製)を前記多孔質インク受容層前駆体の表面にバーで塗工して、3秒放置後に乾燥させた。その後、スーパーカレンダーを用いて、前記多孔質インク受容層表面を平滑にして、実施例1の被記録媒体を得た。
図3に実施例1の被記録媒体の断面を示す図面代用写真(電子顕微鏡写真)を示す。この写真から本実施例の被記録媒体は支持体と多孔質インク受容層とから構成されていることが分かる。また、コロイダルシリカは多孔質シリカの表面側の領域にわたって、湿式多孔質シリカ間に形成される空隙内に充填されており、充填領域3を形成していることが分かる。この充填領域の厚みを測定したところ、5μmであった。
また、図4に実施例1の被記録媒体に印字した場合の印字ドットの図面代用写真を示す。図4から、印字ドットは真円に近く、インクの滲みやボケが生じていないことが分かる。このため、本発明の被記録媒体に印字を行った場合には優れた画像特性を有することが確認できた。
<実施例2>
湿式多孔質シリカ(カープレックスBS312AJ、商品名、デグッサ社製)、中空粒子(ローペイクHP−1055、商品名、粒径1.0μm、空隙率55%、ローム・アンド・ハース社製)、ポリビニルアルコール(PVA117、商品名、クラレ社製)を80質量部:20質量部:20質量部の比率で混合した水分散液(第1分散液)を作成した。実施例1と同様の支持体を用いて、実施例1と同じ方法で第1分散液を支持体上に塗工、乾燥して多孔質インク受容層前駆体を形成した。
次に、実施例1と同様にして、コロイダルシリカ溶液(第2分散液)を実施例1と同じ方法で多孔質インク受容層前駆体上に塗工、乾燥した。さらに、実施例1と同じ方法でカレンダー処理を行って実施例2の被記録媒体を得た。次に、実施例1と同様にして被記録媒体の断面写真を確認したところ、コロイダルシリカは多孔質インク受容層の一部としてその表面側に充填されており、充填領域を形成していた。この充填領域の厚みは5μmであった。
<実施例3>
実施例1と同じ支持体を用いて、実施例1と同じ湿式多孔質シリカとポリビニルアルコールからなる多孔質インク受容層前駆体を形成した。次に、コロイダルシリカ溶液(スノーテックスOL、商品名、平均粒子径40nm以上、50nm以下、日産化学社製)と小粒径のコロイダルシリカ溶液(スノーテックスS、商品名、平均粒子径8nm以上、11nm以下、日産化学社製)、さらにポリビニルアルコール(PVA117、商品名、クラレ社製)を固形分換算で80質量部:20質量部:10質量部の比率で混合した第2分散液を調整した。次に、この第2分散液を実施例1と同じ方法で多孔質インク受容層前駆体上に塗工、乾燥、さらにカレンダー処理を行って実施例3の被記録媒体を得た。実施例1と同様にして被記録媒体の断面写真を確認したところ、コロイダルシリカは多孔質インク受容層の一部としてその表面側に充填されており、充填領域を形成していた。この充填領域の厚みは6μmであった。
<実施例4>
実施例3で用いた小粒径のコロイダルシリカ溶液の代わりに、コロイダルシリカ溶液(スノーテックスUP、商品名、平均粒子径40nm以上、100nm以下、日産化学社製)を用いた。それ以外は実施例1と同じ材料、同じ方法を用いて実施例4の被記録媒体を得た。実施例1と同様にして被記録媒体の断面写真を確認したところ、コロイダルシリカは多孔質インク受容層の一部としてその表面側に充填されており、充填領域を形成していた。この充填領域の厚みは6μmであった。
<実施例5>
実施例1で用いたコロイダルシリカ溶液の代わりに、コロイダルシリカ溶液(スノーテックスHS−ZL、商品名、平均粒子径250nm以上、500nm以下、日産化学社製)を用いた。それ以外は実施例1と同じ材料、同じ方法を用いて実施例5の被記録媒体を得た。実施例1と同様にして被記録媒体の断面写真を確認したところ、コロイダルシリカは多孔質インク受容層のの一部としてその表面側に充填されており、充填領域を形成していた。この充填領域の厚みは5μmであった。
<実施例6>
実施例1と同じ支持体を用いて、実施例1と同じ湿式多孔質シリカとポリビニルアルコールからなる多孔質インク受容層前駆体を形成した。実施例1と同じコロイダルシリカ溶液(スノーテックスOL、商品名、平均粒子径40nm以上、50nm以下、日産化学社製)とポリビニルアルコール(PVA117、商品名、クラレ社製)を固形分換算で100質量部:20質量部の比率で混合して固形分濃度15質量%の第2分散液を得た。
成形面としてPETフィルム(商品名:ルミラーT、東レ社製、厚さ75μm、表面粗さRa=0.02μm)を用い、ワイヤーバーを用いて第2分散液を成形面上に乾燥固形分量4g/m2となるように塗布した。
その後、成形面上に設けたコロイダルシリカ分散液(第2分散液)の塗布面と多孔質インク受容層前駆体の表面とを重ね合わせた。両者を重ね合わせたまま、100℃のドライオーブンで5分間加熱・乾燥し、その後、成形面を剥離した。さらに、この後、カレンダー処理を行って実施例6の被記録媒体を得た。コロイダルシリカが充填されて多孔質インク受容層表面は平滑になっていた。また、実施例1と同様にして断面を観察したところ、コロイダルシリカは多孔質インク受容層の一部としてその表面側に充填されており、充填領域を形成していた。この充填領域の厚みは3μmであった。
<比較例1>
湿式多孔質シリカ(ファインシールX45、商品名、トクヤマ社製)100質量部、ポリビニルアルコール(PVA117、商品名、クラレ社製)20質量部を混合した固形分濃度20質量%の水分散液(第1分散液)を作成した。実施例1と同じ支持体を用いて、実施例1と同じ方法で第1分散液を塗工、乾燥して乾燥固形分量10g/m2の多孔質インク受容層を形成した。次に、スーパーカレンダーを用いて多孔質インク受容層表面の平滑化処理を行った。
次に、実施例1と同じコロイダルシリカにポリビニルアルコールを固形分換算で100質量部:20質量部の比率で混合した第2分散液を調整した。次に、多孔質インク受容層上にイオン交換水を10g/m2塗工して、多孔質インク受容層内の細孔に水を充填させた。この状態でコロイダルシリカ分散液(第2分散液)を乾燥固形分換算で10g/m2塗工、乾燥して光沢層を作成した。
この後、カレンダー処理を行って比較例1の被記録媒体を得た。本比較例では、予め設けた多孔質インク受容層の細孔内には水が充填されているため第2分散液を塗布、乾燥しても多孔質インク受容層の細孔内にコロイダルシリカは充填されなかった。この結果、支持体、湿式多孔質シリカを含有する多孔質インク受容層と、コロイダルシリカを含有する光沢層の3層構成の被記録媒体が形成された。
なお、実施例1と同様にして被記録媒体の断面写真を確認した。この結果、光沢層はコロイダルシリカとポリビニルアルコールだけから構成されており、多孔質インク受容層の表面側にコロイダルシリカが充填された充填領域は存在しなかった。
<比較例2>
比較例1と同じ湿式多孔質シリカ80質量部、比較例1と同じコロイダルシリカ溶液20質量部(固形分換算)、比較例1と同じポリビニルアルコール20質量部を混合して固形分濃度20質量%の水分散液を作成した。この分散液を実施例1と同じ支持体上に塗工、乾燥して乾燥固形分量20g/m2の多孔質インク受容層を形成した。さらに実施例1と同じカレンダー処理を行って比較例2の被記録媒体を得た。
本比較例で作成した被記録媒体では、湿式多孔質シリカ、コロイダルシリカ及びポリビニルアルコールを含有する分散液を用いて一度の塗工、乾燥により多孔質インク受容層を形成した。このため、実施例1と同様にして被記録媒体の断面写真を確認したところ、コロイダルシリカが多孔質インク受容層の全体(厚み方向及び面方向の全体)にわたって存在していた。
<比較例3>
気相法シリカ(アエロジル50、商品名、日本アエロジル社製)75質量部とコロイダルシリカ溶液(スノーテックスPS−M、商品名、日産化学社製)25質量部(固形分換算)、実施例1と同じポリビニルアルコール20質量部を混合して固形分濃度20質量%の水分散液を作成した。この分散液を実施例1と同じ支持体上に塗工、乾燥して乾燥固形分量20g/m2の多孔質インク受容層を形成した。さらに実施例1と同じカレンダー処理を行って比較例3の被記録媒体を得た。
本比較例で作成した被記録媒体では、気相法シリカ、コロイダルシリカ及びポリビニルアルコールを含有する分散液を用いて一度の塗工、乾燥により多孔質インク受容層を形成した。このため、実施例1と同様にして被記録媒体の断面写真を確認したところ、コロイダルシリカが多孔質インク受容層の全体(厚み方向及び面方向の全体)にわたって存在していた。
<比較例4>
湿式多孔質シリカ(T−32、商品名、比表面積202g/m2、平均粒子径1.5μm、トクヤマ社製)を用いて、特開2004−174810号公報実施例の分散液1−1に記載と同じ方法で大粒子径のシリカ分散液を得た。また、同実施例の1−4と同じ方法で小粒径のシリカ分散液を得た。これら2種類のシリカ分散液を、シリカの質量比で50:50の比率で混合し、比較例1と同じポリビニルアルコールを固形分でシリカ100質量部に対して20質量部となるように混合した。この分散液を実施例1と同じ支持体上に塗工、乾燥して乾燥固形分量20g/m2の多孔質インク受容層を形成した。さらに実施例1と同じカレンダー処理を行って比較例4の被記録媒体を得た。
<比較例5>
球状多孔質シリカ(A)(サンスフェアH−121、商品名、平均粒子径12μm、細孔容積1cm3/g、旭硝子社製)75質量部と実施例1と同じポリビニルアルコール25質量部を混合して固形分濃度20質量%の水分散液(a)を作成した。この分散液を実施例1と同じ支持体上に塗工、乾燥して乾燥固形分量20g/m2の多孔質インク受容層を形成した。
球状シリカ(B)(サンスフェアH−31、商品名、粒子径3μm、細孔容積1cm3/g、旭硝子社製)をホモジナイザーを用いて湿式粉砕して、平均粒子径0.5μmの微粉末シリカを得た。この微粉末シリカとポリビニルアルコールを固形分換算で8質量部:1質量部の比率で混合して固形分濃度20質量%の分散液(b)を得た。多孔質インク層上に分散液(b)を塗布、乾燥し、前記多孔質インク層表面の球状多孔質シリカ(A)間の空隙に球状シリカ(B)を充填させた。この後、半乾状態でカレンダー処理を行って比較例5の被記録媒体を得た。
Figure 2007223118
表1の結果より、実施例1から6の被記録媒体では、吸液量を「A」又は「AA」、インク吸収性を「○」とすることができた。また、これと同時に、表面光沢度を60以上、光学濃度を1.8とすることができた。一方、比較例1〜5の被記録媒体では、インク吸収性(吸液量、インク吸収性)と光沢性(表面光沢、光学濃度)に優れたものはなかった。
これらの結果から、多孔質インク受容層の一部として、湿式多孔質シリカ間にコロイダルシリカを充填させた充填領域を設けることにより、光沢度とインク吸収性を両立させた被記録媒体が得られたことが分かる。また、実施例1から6及び比較例4、5の結果より、単に粒子径の大きなシリカと、小さなシリカを用いるだけではこれらの特性(インク吸収性と光沢性)を両立させることはできないことが分かる。粒子径の大きな湿式多孔質シリカと、粒子径の小さなコロイダルシリカを用いる必要があることが分かる。
本発明の被記録媒体の一例を表す断面図である。 本発明の被記録媒体の一例を表す断面図である。 本発明の実施例1で作成した被記録媒体を表す断面図である。 本発明の実施例1で作成した被記録媒体に打ち込んだインクドットを表す図である。
符号の説明
1:支持体
2:多孔質インク受容層
3:充填領域
4:湿式多孔質シリカ
5:湿式多孔質シリカの粒子間隙間
6:コロイダルシリカ
7:中空粒子

Claims (22)

  1. 支持体と、前記支持体上に設けられた多孔質インク受容層とを有する被記録媒体において、
    前記多孔質インク受容層は、湿式多孔質シリカと、バインダーと、コロイダルシリカとを含み、
    前記多孔質インク受容層の支持体と接する面と反対の面側に、多孔質インク受容層の一部として前記湿式多孔質シリカ間に前記コロイダルシリカが充填された充填領域を有することを特徴とする被記録媒体。
  2. 前記多孔質インク受容層は、更に中空粒子を含むことを特徴とする請求項1に記載の被記録媒体。
  3. 前記充填領域の厚みが3μm以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の被記録媒体。
  4. 前記多孔質インク受容層の水銀圧入法で測定した半径50nmを超える細孔の細孔容積が、0.1cm3/g未満であることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の被記録媒体。
  5. 前記多孔質インク受容層の窒素吸着法で測定した半径20nm以下の細孔の細孔容積が、0.3cm3/g以上であることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の被記録媒体。
  6. 前記湿式多孔質シリカの粒子径が、10μm以下であることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の被記録媒体。
  7. 前記コロイダルシリカの平均一次粒子径が、100nm以下であることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の被記録媒体。
  8. 前記コロイダルシリカは、平均一次粒子径が異なる2種以上のコロイダルシリカからなることを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の被記録媒体。
  9. 前記コロイダルシリカは、球状粒子と、非球状粒子とからなることを特徴とする請求項1から8の何れか1項に記載の被記録媒体。
  10. 前記コロイダルシリカとして、房状のコロイダルシリカを含むことを特徴とする請求項1から8の何れか1項に記載の被記録媒体。
  11. 前記被記録媒体が、インクジェット記録用被記録媒体であることを特徴とする請求項1から10の何れか1項に記載の被記録媒体。
  12. (1)支持体を準備する工程と、
    (2)前記支持体上に、湿式多孔質シリカとバインダーを含有する第1分散液を塗工する工程と、
    (3)前記第1分散液を乾燥させて、前記支持体上に多孔質インク受容層前駆体を形成する工程と、
    (4)前記多孔質インク受容層前駆体上にコロイダルシリカ溶液からなる第2分散液を含浸させる工程と、
    (5)前記第2分散液を乾燥させることにより、前記多孔質インク受容層前駆体を多孔質インク受容層とする工程と、
    を有することを特徴とする被記録媒体の製造方法。
  13. 前記工程(5)の後に、更に前記被記録媒体にカレンダー処理を行うことを特徴とする請求項12に記載の被記録媒体の製造方法。
  14. 前記第1分散液は更に、中空粒子を含有することを特徴とする請求項12又は13に記載の被記録媒体の製造方法。
  15. 前記湿式多孔質シリカの粒子径が、10μm以下であることを特徴とする請求項12から14の何れか1項に記載の被記録媒体の製造方法。
  16. 前記コロイダルシリカの平均一次粒子径が、100nm以下であることを特徴とする請求項12から15の何れか1項に記載の被記録媒体の製造方法。
  17. 前記コロイダルシリカは、平均一次粒子径が異なる2種以上のコロイダルシリカからなることを特徴とする請求項12から16の何れか1項に記載の被記録媒体の製造方法。
  18. 前記コロイダルシリカは、球状粒子と、非球状粒子とからなることを特徴とする請求項12から17の何れか1項に記載の被記録媒体の製造方法。
  19. 前記コロイダルシリカとして、房状のコロイダルシリカを含むことを特徴とする請求項12から17の何れか1項に記載の被記録媒体の製造方法。
  20. 被記録媒体が備える多孔質インク受容層の表面にインク液滴を付与して印字を行なう画像形成方法において、
    前記被記録媒体として請求項1から11の何れか1項に記載の被記録媒体を用いることを特徴とする画像形成方法。
  21. 前記インク液滴の前記多孔質インク受容層の表面への付与を、微細孔から前記多孔質インク受容層の表面に向かってインクの小滴を吐出させるインクジェット記録方式により行うことを特徴とする請求20に記載の画像形成方法。
  22. 前記インクの小滴の吐出が、インクに熱エネルギーを作用させることで行なわれることを特徴とする請求21に記載の画像形成方法。
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