JP2007223067A - キャリッジ移動装置およびこれを備えた画像読取装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】キャリッジの安定支持を実現すると共に、高さ方向の規模の拡大を防止するキャリッジ支持機構およびこれを備えた画像読取装置を提供する。
【解決手段】複合機1は、画像読取ユニット56およびベルト駆動機構70を備える。画像読取ユニット56は、コンタクトイメージセンサ67をキャリッジ68に搭載して構成される。キャリッジ68の下面81に連結部75およびシャフト受け部80が設けられている。シャフト受け部80は溝87を有し、この溝87の内面に、一対の角部97a,97bと、一対の鉛直面95a,95bが設けられている。ベルト駆動機構70はガイドシャフト69を有する。ガイドシャフト69の表面には、一対の傾斜面111a,111bが設けられている。ガイドシャフト69に溝87が嵌め込まれると、角度97a,97bが傾斜面111a,111bに
当接して支持される。
【選択図】図10

Description

本発明は、移動対象を搭載するためのキャリッジを該キャリッジの下方に敷設された長尺のガイド部材で該ガイド部材の長手方向にスライド移動可能に支持するキャリッジ移動装置およびこれを備えた画像読取装置に関し、特に、ガイド部材によるキャリッジの支持構造に関するものである。
図13は、従来の一般的な画像読取装置131の主要部分断面図である。この画像読取装置131は、ケーシング132と、このケーシング132内に配置された画像読取ユニット133とを備えている。ケーシング132の上面には原稿が載置されるコンタクトガラス134が設けられている。画像読取ユニット133は、コンタクトイメージセンサ(CIS:Contact Image Sensor)136とキャリッジ135とを有し、コンタクトイメージセンサ136がキャリッジ135に保持されて構成される。ケーシング132には長尺のガイドシャフト138が架設されている。このガイドシャフト138は、丸棒状の金属軸から構成されている。キャリッジ135は、ガイドシャフト138によって、同図において紙面に垂直な方向にスライド移動可能に支持されている。キャリッジ135の下部に連結部139が設けられており、この連結部139に図示されていない駆動機構のタイミングベルトが連結されている。したがって、画像読取ユニット133は、上記方向に移動しつつコンタクトガラス134上に載置された原稿を走査して該原稿の画像を読み取ることができる。なお、画像読取ユニット133の両端側には、ローラユニット137が設けられている。このローラユニット137は、コンタクトガラス134の裏面に当接しており、画像読取ユニット133の円滑な移動を支援している。
図14は、ガイドシャフト138によるキャリッジ135の支持部(図13において破線で囲まれた部分)の詳細拡大図である。同図に示すように、キャリッジ135の下部には、ガイドシャフト138の径より大きい幅の溝140が設けられている。溝140の底面は、水平面143と、該水平面143の両端から下方へ末広がり状に傾斜する一対の傾斜面142a,142bとを有している。そして、傾斜面142a,142bそれぞれに連続するように鉛直面141a,141bがキャリッジ135の下面まで形成されている。この溝140がガイドシャフト138に嵌め込まれることにより、キャリッジ135が支持される。このとき、キャリッジ135は、ガイドシャフト138の周面と傾斜面142a,142bそれぞれとの接線144a,144b(図14において紙面に垂直な方向に延びる接線)の2箇所で支持される。そのため、ガイドシャフト138の径方向にガタが生じることはない。
ところで、特許文献1の図1に記載されるように、逆U字状のスリーブ(13)を有するキャリアフレーム(11)に丸棒状のガイドシャフト(14)を嵌め入れることでキャリアフレーム(11)を支持する支持構造が従来から公知である。しかしながら、当該支持構造は、キャリアフレーム(11)をスライド移動可能に支持するべく、スリーブ(13)の幅をガイドシャフト(14)の径より大きくする必要がある。そのため、スリーブ(13)の表面とガイドシャフト(14)の周面との間に遊びが生じ、ガイドシャフト(14)の径方向にガタが生じる。このガタは、読み取られた画像に歪みを生じさせるため好ましくない。また、上記支持構造では、スリーブ(13)とガイドシャフト(14)とが面接触しつつ摺動するため、摺動抵抗が大きく、円滑なスライド移動を妨げるという問題がある。そのため、近年では、上記した図13および図14に示す支持構造が主に採用されている。なお、上記説明では、便宜上、かっこ書き内に特許文献1の図1で使用されている符号番号を示している。
特開平5−147300号公報
図13および図14に示すキャリッジ135の支持構造を採用した場合、キャリッジ135の安定なスライド移動を実現するためには、2つの接線144a,144bの間隔を所定幅以上に設定する必要がある。そのためには、上記傾斜面142a,142bの離間距離および溝140の幅を広げ、且つ、ガイドシャフト138の径を大きくする必要がある。しかしながら、ガイドシャフト138の径が大きくなると、必然的に支持構造の背丈が鉛直方向に伸長し、支持構造の規模が拡大するという問題が生じる。
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、キャリッジの安定支持を実現すると共に、高さ方向の規模の拡大を防止するキャリッジ支持機構およびこれを備えた画像読取装置を提供することにある。
(1)上記目的を達成するために本発明は、移動対象を搭載するためのキャリッジを該キャリッジの下方に敷設された長尺のガイド部材で該ガイド部材の長手方向にスライド移動可能に支持するキャリッジ移動装置として構成されている。上記キャリッジは、上記ガイド部材の幅方向に隔てられて該ガイド部材と2箇所で接触しつつ摺動する接触部を備えており、また、上記ガイド部材は、上記2箇所それぞれと接触して上記キャリッジを上記長手方向に摺動可能に支持する一対の傾斜面を備えている。
上述の如く構成されたキャリッジ移動装置においては、上記キャリッジの下方にその移動方向に沿ってガイド部材が敷設されている。このガイド部材には一対の傾斜面が備えられている。これら一対の傾斜面に上記接触部が支持されることによって、ガイド部材によるキャリッジのスライド移動が実現される。
上述の如く構成されたキャリッジ移動装置では、上記ガイド部材に備えられた一対の傾斜面に上記接触部が接触されることで、上記キャリッジが支持される。このような支持構造であれば、それぞれの傾斜面の離間距離を、ガイド部材の高さ寸法に関係なく、上記接触部に対応させて任意の形状に適宜設計することができる。従って、ガイド部材の高さ寸法が上記離間距離に左右されることはない。これにより、ガイド部材の幅を長くすれば必然的に高さ寸法が大きくなるという従来生じていた不都合が解消される。その結果、キャリッジの安定支持を実現すると共に、キャリッジ移動装置の背丈を低くすることができる。
(2)本発明に係るキャリッジ移動装置では、上記接触部に、上記一対の傾斜面それぞれと対向する位置に該傾斜面それぞれと上記2箇所で接触する一対の突起部が設けられている。これにより、上記2箇所でのキャリッジの支持構造が具現化される。
(3)例えば、キャリッジがスライド移動している最中に予期せぬ衝撃が加えられ、或いはキャリッジ移動装置が搭載された装置の運搬時に振動が加えられることによって、キャリッジが傾倒してガイド部材から外れてしまうという不具合が生じる場合がある。このような不具合を解消すべく、本キャリッジ移動装置では、キャリッジの接触部に、上記ガイド部材を幅方向に跨ぐ一対のガード面を備えている。
(4)上記ガイド部材は、金属板を塑性変形させて成形されたものであることが望ましい。所謂鈑金によってガイド部材を成形することで、ガイド部材の重量ひいてはキャリッジ移動装置の総重量を軽減することができる。また、ガイド部材の重量の軽減によって資材コストが低減される。
(5)この場合、上記ガイド部材が断面視において略逆V字形状に形成されたものであれば、鈑金作業が容易となる。これにより、加工工程が減じられ、加工コストが低減される。
(6)なお、上述したキャリッジ移動装置を備え、原稿の画像を読み取る画像読取手段を該キャリッジ移動装置によってスライド移動可能に支持する画像読取装置として本発明を捉えることもできる。このような画像読取装置であれば、当該装置を薄型化することができるため、好適である。
本発明によれば、キャリッジの接触部と、ガイド部材の一対の傾斜面とが2箇所で接触することにより、キャリッジが摺動可能に支持される。このように一対の傾斜面でキャリッジを支持するガイド部材を採用することにより、それぞれの傾斜面の離間距離を、ガイド部材の高さ寸法に関係なく、上記接触部に対応させて任意の形状に適宜設計することができる。即ち、ガイド部材の高さ寸法は上記離間距離に左右されることはない。従って、ガイド部材の幅を長くすれば必然的に高さ寸法が大きくなるという従来生じていた不都合が解消される。その結果、キャリッジの安定支持を実現すると共に、キャリッジ移動装置の背丈を低くすることができる。
〈第1の実施形態〉
以下、適宜図面を参照して本発明の第1の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は本発明を具体化した一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
図1は本発明の第1の実施形態に係る複合機1の外観構成を示す斜視図である。また、図2は、複合機1の内部構成を示す縦断面図である。複合機1は、下部にプリンタ部2を、上部にスキャナ部3を一体的に備えた多機能装置(MFD:Multi Function Device)であり、プリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能、ファクシミリ機能を有する。複合機1のうちスキャナ部3が本発明に係る画像読取装置に相当する。したがって、スキャナ機能以外の機能は任意のものであり、例えば、プリンタ部2がなく、プリンタ機能やコピー機能、ファクシミリ機能を有しない単機能のスキャナとして本発明に係る画像読取装置が実施されてもよい。
複合機1は、主にコンピュータ等の外部機器と接続されて、該外部機器から送信された画像データや文書データを含む記録データに基づいて、プリンタ部2において画像や文書を記録用紙に記録する処理(プリンタ機能)を行う。また、スキャナ部3で読み取られた原稿の画像を電話回線などを通じて接続された通信機器へ転送する処理(ファクシミリ機能)や、読取画像をハードディスクドライブ(HDD)等の記憶装置や上記外部機器へ転送する処理(スキャナ機能)を行う。また、コンピュータとの間でデータの送受信をすることなく、スキャナ部3で読み取られた原稿の画像をプリンタ部2において記録用紙に記録するいわゆるコピー処理(コピー機能)を行うことも可能である。
図1に示すように、複合機1は、高さより横幅及び奥行きが大きい幅広薄型の概ね直方体の外形であり、複合機1の下部がプリンタ部2である。プリンタ部2は、正面に開口2aが形成されている。給紙トレイ20及び排紙トレイ21は、開口2aの内側に上下2段に設けられている。給紙トレイ20には、例えば、A4サイズ以下のB5サイズ、はがきサイズ等の各種サイズの記録用紙が収容される。給紙トレイ20は、図2に示すように、必要に応じてスライドトレイ20aを引き出すことによりトレイ面が拡大され、例えば、リーガルサイズの記録用紙が収容できるようになる。給紙トレイ20に収容された記録用紙がプリンタ部2の内部へ給送されて所望の画像が記録され、排紙トレイ21へ排出される。
複合機1の上部はスキャナ部3であり、所謂フラットベッドスキャナ(FBS:Flatbed Scanner)として構成されている。図1及び図2に示すように、スキャナ部3は、原稿読取台6に対して開閉自在に設けられた原稿カバー30を備える。この原稿カバー30は、スキャナ部3の背面側に設けられた図示しない蝶番によってスキャナ部3に取り付けられている。図2に示すように、原稿読取台6の上面にはコンタクトガラス31が配設されている。また、コンタクトガラス31の下方には、複合機1の奥行き方向(図2の左右方向)を主走査方向とするイメージセンサを有する画像読取ユニット56が、複合機1の幅方向(図2において紙面に垂直な方向)に往復動可能に設けられている。
複合機1の正面上部には、プリンタ部2やスキャナ部3を操作するための操作パネル4が設けられている。操作パネル4は、各種操作ボタンや液晶表示部から構成されている。複合機1は、操作パネル4からの操作指示に基づいて動作する。複合機1が外部のコンピュータに接続されている場合には、該コンピュータからプリンタドライバ又はスキャナドライバを介して送信される指示に基づいても複合機1は動作する。複合機1の正面の左上部には、スロット部5が設けられている。スロット部5には、記憶媒体である各種小型メモリカードが装填可能である。操作パネル4において所定の操作を行うことにより、スロット部5に装填された小型メモリカードに記憶された画像データが読み出される。読み出された画像データに関する情報は、操作パネル4の液晶表示部に表示される。ユーザは、該液晶表示部に表示された情報に基づいて、任意の画像をプリンタ部2により記録用紙に記録させることができる。
以下、図2および図3を参照して、複合機1のプリンタ部2の内部構成について説明する。ここに、図3はプリンタ部2の主要構成を示す平面図であり、主としてプリンタ部2の略中央から装置背面側の構成を示すものである。図2に示すように、複合機1の底側に給紙トレイ20が設けられ、給紙トレイ20の奥側に分離傾斜板22が設けられている。分離傾斜板22は、給紙トレイ20から重送された記録用紙を分離して、最上位置の記録用紙を上方へ案内する。用紙搬送路23は、分離傾斜板22から上方へ向かった後、正面側へ曲がって、複合機1の背面側から正面側へと延び、画像記録ユニット24の下方に設けられたプラテン42を経て排紙トレイ21へ通じている。したがって、給紙トレイ20に収容された記録用紙は、用紙搬送路23により下方から上方へUターンするように案内されて画像記録ユニット24に至り、画像記録ユニット24により画像記録が行われた後、排紙トレイ21に排出される。
図2および図3に示すように、用紙搬送路23には画像記録ユニット24が設けられている。画像記録ユニット24は、インクジェット記録ヘッド39(図2参照)を搭載して主走査方向へ往復動するキャリッジ38(図3参照)を備えている。インクジェット記録ヘッド39には、複合機1内にインクジェット記録ヘッド39とは独立に配置されたインクカートリッジからインクチューブ41(図3参照)を通じてシアン(C)・マゼンタ(M)・イエロー(Y)・ブラック(Bk)の各色インクが供給される。キャリッジ38が往復動される間に、インクジェット記録ヘッド39から各色インクが微小なインク滴として選択的に吐出される。これにより、プラテン42上を搬送される記録用紙に画像記録が行われる。なお、図2及び図3には、各色のインクを貯蔵した各インクカートリッジは図示されていない。
図3に示すように、記録用紙の搬送方向(図3の上側から下側方向)に所定距離を隔てられて、一対のガイドレール43,44が設けられている。これらガイドレール43,44は、記録用紙の搬送方向と直交する方向(図3の左右方向)に延設されている。ガイドレール43,44は、プリンタ部2の筐体内に設けられて、プリンタ部2を構成する各部材を支持するフレームの一部を構成している。キャリッジ38は、ガイドレール43,44を跨ぐようにして記録用紙の搬送方向と直交する方向に摺動可能に載置されている。このように、ガイドレール43,44が記録用紙の搬送方向にほぼ水平に並べられることにより、プリンタ部2の高さを低くして、装置の薄型化が実現される。
記録用紙の搬送方向上流側に配設されたガイドレール43は、用紙搬送路23の幅方向(図3の左右方向)の長さがキャリッジ38の往復移動範囲より長い平板状のものである。ガイドレール43の上面には、搬送方向下流側の縁部に沿って摺動テープ40が貼られている。摺動テープ40は、キャリッジ38との摺動摩擦を低減するものであり、キャリッジ38の上記搬送方向上流側の端部が摺動テープ40上に載置されて、摺動テープ40の長手方向に摺動される。
記録用紙の搬送方向下流側に配設されたガイドレール44は、用紙搬送路23の幅方向の長さがガイドレール43とほぼ同じ長さの平板状のものである。ガイドレール44の上面には、搬送方向下流側の縁部に沿って摺動テープ40が貼られている。キャリッジ38の上記搬送方向下流側の端部が摺動テープ40上に載置されて、摺動テープ40の長手方向に摺動される。ガイドレール44の上記搬送方向上流側の縁部45は、上方へ向かって略直角に曲折されている。ガイドレール43,44に担持されたキャリッジ38は、縁部45をローラ対等の狭持部材により摺動可能に狭持している。これにより、キャリッジ38は、記録用紙の搬送方向に対して位置決めされ、且つ、記録用紙の搬送方向と直交する方向に摺動可能になる。
ガイドレール44の上面には、ベルト駆動機構46が配設されている。ベルト駆動機構46は、用紙搬送路23の幅方向の両端付近にそれぞれ設けられた駆動プーリ47と従動プーリ48との間に、内側に歯が設けられた無端環状のタイミングベルト49が張架されてなるものである。駆動プーリ47の軸には図示されていないモータが連結されており、そのモータから駆動力が入力されることにより駆動プーリ47が回転される。この回転力を受けてタイミングベルト49が周運動する。なお、タイミングベルト49は無端環状のもののほか、有端のベルトの両端部をキャリッジ38に固着するものを用いてもよい。
キャリッジ38は、その底面側においてタイミングベルト49に固着されている。したがって、タイミングベルト49の周運動に基づいて、キャリッジ38が縁部45を基準としてガイドレール43,44上を往復動する。このようなキャリッジ38にインクジェット記録ヘッド39(図2参照)が搭載されている。従って、キャリッジ38の往復動に伴ってインクジェット記録ヘッド39が用紙搬送路23の幅方向を主走査方向として往復動される。
ガイドレール44には、図示されていないリニアエンコーダのエンコーダストリップ50が配設されている。エンコーダストリップ50は、透明な樹脂からなる帯状のものである。ガイドレール44の幅方向(キャリッジ38の往復動方向)の両端には、その上面から起立するように一対の支持部33,34が形成されている。エンコーダストリップ50は、その両端部が支持部33,34に係止されて、縁部45に沿って架設されている。
エンコーダストリップ50には、光を透過させる透光部と光を遮断する遮光部とが、所定ピッチで長手方向に交互に配置されたパターンが記されている。キャリッジ38の上面のエンコーダストリップ50に対応する位置には、透過型センサである光学センサ35が設けられている。光学センサ35は、キャリッジ38とともにエンコーダストリップ50の長手方向に沿って往復動し、その往復動の際にエンコーダストリップ50のパターンを検知する。インクジェット記録ヘッド39には、インクの吐出を制御するヘッド制御基板が設けられている。ヘッド制御基板は、光学センサ35の検知信号に基づくパルス信号を出力し、このパルス信号に基づいてキャリッジ38の位置や速度が判断されて、キャリッジ38の往復動が制御される。なお、ヘッド制御基板はキャリッジ38のヘッドカバーで覆われているため、図3には表されていない。
図3に示すように、記録用紙が通過しない範囲、すなわちインクジェット記録ヘッド39により画像が記録される範囲外には、パージ機構51や廃インクトレイ54等のメンテナンスユニットが配設されている。パージ機構51は、インクジェット記録ヘッド39のノズルから気泡や異物を吸引除去するものである。このパージ機構51は、インクジェット記録ヘッド39のノズルを覆うキャップ52と、キャップ52を通じてインクジェット記録ヘッド39に接続されるポンプ機構と、キャップ52をインクジェット記録ヘッド39のノズルに接離させるための移動機構とからなる。なお、ポンプ機構及び移動機構はガイドレール44の下方にあるため、これらは図3には表されていない。インクジェット記録ヘッド39から気泡等の吸引除去を行う際には、インクジェット記録ヘッド39がキャップ52上に位置するようにキャリッジ38が移動される。その状態でキャップ52が上方へ移動されて、インクジェット記録ヘッド39の下面にノズルを密閉するように密着される。ポンプ機構によりキャップ52内が負圧にされることにより、インクジェット記録ヘッド39のノズルからインクが吸引される。ノズル内の気泡や異物は、該インクとともに吸引除去される。
廃インクトレイ54は、フラッシングと呼ばれるインクジェット記録ヘッド39からのインクの空吐出を受けるためのものである。廃インクトレイ54は、プラテン42の上面であって、キャリッジ38の往復動範囲内且つ画像記録範囲外に設けられている。なお、廃インクトレイ54内にはフェルトが敷設されており、フラッシングされたインクは、該フェルトに吸収される。これらメンテナンスユニットにより、インクジェット記録ヘッド39内の気泡や混色インクの除去、乾燥防止等のメンテナンスが行われる。
図1に示すように、プリンタ部2の筐体の正面には、扉7が開閉自在に設けられている。扉7が開かれると、カートリッジ装着部が装置正面側に露出され、インクカートリッジが装抜可能になる。カートリッジ装着部は、図示されていないが、インクカートリッジに対応して4つの収容室に区画されており、各収容室に、シアン・マゼンタ・イエロー・ブラックの各色インクを保持するインクカートリッジが収容される。カートリッジ装着部からキャリッジ38へは、各色インクに対応した4本のインクチューブ41が引き回されている。キャリッジ38に搭載されたインクジェット記録ヘッド39には、各インクチューブ41を通じて、カートリッジ装着部に装着されたインクカートリッジから各色インクが供給される。
次に、図4から図6を参照して、複合機1のスキャナ部3の内部構成について説明する。ここに、図4はスキャナ部3の主要構成を示す平面図であり、図5はスキャナ部3の内部構成を示す縦断面図である。また、図6は原稿読取台6の平面図であって、ベルト駆動機構70の概略構成を示している。
図4に示すように、原稿読取台6の本体フレーム60は、上面61が開放された容器状の下フレーム63と、上面61に開口62を有する上カバー64とを備えており、下フレーム63の上に上カバー64が嵌め合わされることにより、本体フレーム60が構成されている。上述したコンタクトガラス31は開口62に露出するように、上カバー64に取り付けられている。このコンタクトガラス31の表面31aは、上記開口62により区画された原稿載置面を構成している。
図5に示すように、下フレーム63内に画像読取ユニット56が配設されている。下フレーム63及び上カバー64は、共に合成樹脂からなる。下フレーム63は、底板を構成するベース部66と、このベース部66の周囲から起立した側壁58と、区画板59とを有し、これらは一体的に形成されている。この区画板59は、画像読取ユニット56が配設される領域と、操作パネル4の基板等が配設される領域とを区画する。なお、下フレーム63は、コンタクトガラス31を支持するための支持リブや、各種部材をネジ止めするためのボス部、電気配線等のための貫通孔等を備えている。ただし、これらは原稿読取台6の実施態様に応じて適宜設計されるものであるから、その詳細な説明は省略する。
画像読取ユニット56は、画像読取手段の一例であるコンタクトイメージセンサ(Contact Image Sensor)67(移動対象に相当)と細長長方体状のキャリッジ68とを有してなる。コンタクトイメージセンサ67は、光源を発光させて原稿に光を照射し、原稿からの反射光をレンズにより光電変換素子に導き、光電変換素子が反射光強度に応じた電気信号を出力するいわゆる密着型のイメージセンサである。コンタクトイメージセンサ67は、キャリッジ68に搭載されて、コンタクトガラス31の下方を往復移動される。画像読取ユニット56は、後に詳述するように、キャリッジ68が下フレーム63の幅方向に渡って架設されたガイドシャフト69(ガイド部材に相当)に嵌め合わされることにより、コンタクトガラス31の下方をキャリッジ68の長手方向に直交する方向(以下「副走査方向」と称する)に移動可能に支持される。
図5に示すように、キャリッジ68は、その上側に担持するようにしてコンタクトイメージセンサ67を搭載している。キャリッジ68の下面には、ガイドシャフト69を上方から跨ぐようにして嵌合するシャフト受け部80が形成されている。シャフト受け部80とガイドシャフト69とが嵌合することでキャリッジ68がガイドシャフト69に担持されて、ガイドシャフト69の軸方向にキャリッジ68が摺動自在となる。シャフト受け部80の側方には、連結部75が下方へ突設されている。連結部75が、後述するベルト駆動機構70のタイミングベルト74を掴むことにより、タイミングベルト74とキャリッジ68とが連結される。これにより、ベルト駆動機構70からキャリッジ68に駆動力が伝達されて、ガイドシャフト69上をキャリッジ68が移動する。
キャリッジ68の底面部の内側には、バネ受け部85が左右2箇所に形成されている(図5及び図7を参照)。バネ受け部85により位置決めされて、コンタクトイメージセンサ67とキャリッジ68との間にコイルバネ76が介設されている。このコイルバネ76によって、キャリッジ68がコンタクトガラス31側へ弾性的に付勢される。これにより、キャリッジ68に搭載されたコンタクトイメージセンサ67がコンタクトガラス31の裏面31aに押し付けられるように密着される。コンタクトイメージセンサ67の両端側には、ローラユニット77が設けられている。ローラユニット77により、コンタクトガラス31の裏面31bに押し付けられたコンタクトイメージセンサ67が、キャリッジ68の移動に伴いコンタクトガラス31の裏面31bに密着しながら円滑に移動する。
図4に示すように、画像読取ユニット56の下方、即ち、キャリッジ68の下方には、ガイドシャフト69などを有するベルト駆動機構70が設けられている。ガイドシャフト69は、同図に示すように、コンタクトガラス31の裏面31bに平行な上記副走査方向に下フレーム63の全幅に渡って架設されている。キャリッジ68は、ベルト駆動機構70により駆動されて上記ガイドシャフト69上を摺動することによりスライド移動する。なお、ベルト駆動機構70によりガイドシャフト69に沿ってキャリッジ68を支持しつつスライド移動させる機構が本発明のキャリッジ移動装置に相当する。
図6に示すように、ベルト駆動機構70は、駆動プーリ71と、従動プーリ72と、これらの間に巻き架けられたタイミングベルト74と、図示されていないモータとを備えている。タイミングベルト74は、内側に歯が形成された無端ベルトである。駆動プーリ71の軸には上記モータが連結されている。このモータが駆動プーリ71を回転させることにより、その回転を受けてタイミングベルト74が周運動する。
駆動プーリ71は、下フレーム63の左奥に配設されている。駆動プーリ71に巻き架けられたタイミングベルト74は、下フレーム63の正面側へ延出され、ガイドシャフト69の手前に配設された中間プーリ73に巻き架けられている。さらに、タイミングベルト74は、略直角に曲折され、ガイドシャフト69に沿って下フレーム63の右端まで延出され、下フレーム63の右端付近に配設された従動プーリ72に巻き架けられている。すなわち、図6に示すように、タイミングベルト74は駆動プーリ71と従動プーリ72との間で略L字状に架設されている。タイミングベルト74の従動プーリ72から中間プーリ73の間の部分、すなわちガイドシャフト69に沿った部分は、キャリッジ68の連結部75(図5参照)によって掴まれている。これにより、タイミングベルト74とキャリッジ68とが連結される。なお、タイミングベルト74には、無端ベルト以外に、ベルトの両端部がキャリッジ68に固着された有端ベルトを用いることができることは言うまでもない。
続いて、図7から図10を参照して、ガイドシャフト69および該ガイドシャフト69によるキャリッジ68の支持構造の詳細について説明する。ここに、図7および図8は画像読取ユニット56の要部拡大斜視図であって、図7はキャリッジ68がガイドシャフト69に嵌め込まれる前の分解斜視図であり、図8はキャリッジ68がガイドシャフト69に嵌め込まれた状態を示す斜視図である。また、図9はガイドシャフト69の部分拡大斜視図である。さらに、図10は、ガイドシャフト69によるキャリッジ68の支持部の詳細拡大図であり、図5において破線で囲まれた部分の支持構造が詳細に示されている。なお、図7および図8では、キャリッジ68の支持構造を詳細に図示するため、ガイドシャフト69を除くベルト駆動機構70や電気ケーブルなどは省略している。
図7及び図8に示すように、画像読取ユニット56は、細長直方体状に形成されたキャリッジ68と、該キャリッジ68に保持されたコンタクトイメージセンサ67とを有してなる。キャリッジ68は、例えば合成樹脂から構成されており、上面が開放された器状に形成されている。キャリッジ68は、コンタクトイメージセンサ67を安定的に保持するために、所要の剛性が確保されている。具体的には、図7に示すように、キャリッジ68の側壁部及び底部に適宜リブ99が一体的に設けられている。また、キャリッジ68の奥側隅部に係止部100,101が一体的に設けられている。この係止部100,101は、長手方向に貫通する孔102,103を備えている。この孔102,103は、上下方向に延びている。すなわち、この孔102,103は、コンタクトガラス31に接離する方向に延びる長孔として構成されている。そして、この孔102,103にコンタクトイメージセンサ67の係止ピン104,105が嵌め込まれる。これにより、キャリッジ68にコンタクトイメージセンサ67が固定される。
コンタクトイメージセンサ67は、筐体106と、該筐体106に設けられた図示しない光源(光源部)及び受光素子(受光部)とを備えている。筐体106は、例えば合成樹脂からなり、図7及び図8に示すように細長直方体状に形成されている。この筐体106は、上記光源及び受光素子を内蔵している。筐体106の上面82は、コンタクトガラス31の裏面31bと対向している(図5参照)。したがって、上記光源及び受光素子もコンタクトガラス31の裏面31bと近接対向している。
上記光源は、典型的には、LED(Light Emitting Diode)及びライトガイド73を備えている。このLEDは、同図では図示されていないが、筐体106の内奥部に配置されている。ライトガイド83は、典型的には透明な合成樹脂からなり、筐体106の長手方向全体に延びている。このライトガイド83は、筐体106の上面83に露出しており、LEDから発せられた光は、ライトガイド83によって筐体106の長手方向全体に導かれる。これにより、LEDから発せられた光は、筐体106の長手方向全体に略均等に分散され、原稿に照射される。
本実施形態では、筐体106に複数の受光素子が設けられている。各受光素子は、筐体106の内底部に当該筐体106の長手方向に並設されている。各受光素子は、集光レンズ78を備えている。これら集光レンズ78は、筐体106の上面82に露出している。原稿に照射され反射された光は、各集光レンズ78によって集光され、対応する各受光素子によって受光される。これら受光素子は、光電変換素子であって、当該受光に基づいて電気信号を出力する。この電気信号が、原稿に表された画像の画像信号である。
筐体106は、上記係止ピン104,105を備えている。この係止ピン104,105は、筐体106の奥側の側面に沿って長手方向に延びている。この係止ピン104,105は、上記奥側の側面に形成された基部107,108に突設されている。
上記係止ピン104,105は、上記キャリッジ68の係止部100,101に設けられた孔102,103と位置合わせされた後、矢印86(図7参照)の方向にスライドされることによって当該孔102,103と嵌合する。この状態で、コンタクトイメージセンサ67は、係止ピン104,105を回動中心として回動自在であり、当該係止ピン104,105を起伏中心として、上記キャリッジ68に対して起立した姿勢と倒伏した姿勢との間で姿勢を変化させることができる。しかも、前述のように上記孔102,103が長孔に形成されているから、上記係止ピン104,105は、上下方向にスライドすることができ、その結果、コンタクトイメージセンサ67は、その上面82がコンタクトガラス31の裏面31bに対して平行な状態を維持したまま当該コンタクトガラス31に接離することができる。
キャリッジ68の下面81(図5参照)には、図7および図8に示すように、連結部75と、シャフト受け部80とが設けられている。シャフト受け部80は、キャリッジ68の長手方向の略中央付近に設けられている。
シャフト受け部80は、キャリッジ68の短手方向に延設された溝87(接触部に相当)を有する。この溝87がガイドシャフト69に嵌め込まれることにより、キャリッジ68がガイドシャフト69によって支持される。
また、連結部75は、シャフト受け部80よりも装置背面側へ少しずらされた位置に設けられている(図5参照)。この連結部75は、タイミングベルト74(図6参照)が架設されている位置に対応している。連結部75には所定幅の切り欠き79(図5参照)が形成されており、該切り欠き79にタイミングベルト74が挟み入れられて、タイミングベルト74が連結部75によって掴持される。これにより、ベルト駆動機構70からキャリッジ68をスライドさせるための駆動力が連結部75に伝達される。連結部75に駆動力が伝達されると、画像読取ユニット56は、キャリッジ68の短手方向(図7および図8において矢印84の方向)にスライドする。
シャフト受け部80の溝87は、図10に示すように、断面視において、溝87の底面から溝87の入口に至るにしたがって段階的に溝幅が広げられた形状を呈している。詳細には、同図に示すように、溝87の底面の中央部にキャリッジ68の短手方向に延びる水平面93が設けられている。水平面93のキャリッジ68の長手方向の両端には、溝幅を広げる方向に傾斜する一対の傾斜面92a,92bが連続して設けられている。したがって、水平面93から下方に至る溝87の断面形状は末広がり形状を呈している。上記傾斜面92a,92bそれぞれの終端から鉛直下方に連続して、一対の鉛直面94a,94bが設けられている。これら鉛直面94a,94bの下端は、上記長手方向の外側へ曲げられて、内角が略直角の頂部96a,96bを有する角部97a,97b(突起部に相当)が形成されている。また、溝87には、これら角部97a,97bから鉛直下方に延びる一対の鉛直面95a,95b(ガード面に相当)が連続して設けられている。したがって、上記した一対の鉛直面95a,95b間の幅d1は、上記鉛直面94a,94b間の幅d2よりも大きくなっている。
一方、上記溝87が嵌め合わされるガイドシャフト69は、図9に示すように、従来の金属丸棒からなるものとは到底形状が異なるものであり、断面視で略逆V字形状を呈している。このガイドシャフト69は、細長の平板が山折りに折り曲げられた形状をしており、その表面には、山折り形状の稜線110を境にして一対の傾斜面111a,111bが設けられている。傾斜面111a,111bのなす角は、ガイドシャフト69が嵌め合わされる上記シャフト受け部80の溝87の具体的形状に対応して設定される。傾斜面111a,111bの終端、即ち、ガイドシャフト69の幅方向の両端縁それぞれには、鉛直面112a,112bが設けられている。これら鉛直面112a,112bは互いに対向しており、対をなしている。ガイドシャフト69の内側は中空となっている。したがって、金属性の丸棒などで構成されるシャフトよりもその重量を軽くすることができる。
ガイドシャフト69は、例えば、金属板に金型を押し当てながらプレスすることにより該金属板を塑性変形させる、所謂鈑金と称される加工法により成形され得る。このように鈑金によってガイドシャフト69を成形することで、ガイドシャフト69の重量ひいてはベルト駆動機構70の総重量を軽くすることができる。また、ガイドシャフト69の重量の軽減によって資材コストが低減され得る。
上記した溝87を有するシャフト受け部80がガイドシャフト69に嵌め込まれると、図10に示すように、上記角部97a,97bの頂部96a,96bの2箇所がガイドシャフト69の傾斜面111a,111bに当接する。ガイドシャフト69の稜線110は溝87の水平面93に到達しないように寸法設計されている。また、溝87の鉛直面95a,95bは、ガイドシャフト69の鉛直面112a,112bとの間に所定の間隙を隔てて対面する。したがって、同図に示すように、溝87がガイドシャフト69に嵌め込まれると、ガイドシャフト69の幅方向の側面(鉛直面112a,112b)を跨ぐように鉛直面95a,95bが対面する恰好となる。
鉛直面95a,95b間の幅d1は、ガイドシャフト69の一対の鉛直面112a,112b間の幅d3よりも大きく設定されている。詳細には、ガイドシャフト69に溝87が嵌め込まれたときに、鉛直面95a,95bと対向する鉛直面112a,112bとの間に所定の間隙が介在して、上記隙間分の遊びをもって嵌められる程度に寸法設計される。したがって、溝87がガイドシャフト69に嵌め込まれた状態、即ち、キャリッジ68がガイドシャフト69で支持された状態では、キャリッジ68は、頂部96a,96bの2箇所だけで傾斜面111a,111bと接触することにより、ガタを生じさせることなくガイドシャフト69によって支持される。このように、接触面積が極めて小さい範囲でキャリッジ68が支持されるため、キャリッジ68はガイドシャフト69の上記傾斜面111a,111b上で円滑に摺動移動することが可能となる。
上述したように、本複合機1では、キャリッジ68の支持構造として、傾斜面111a,111bを有するガイドシャフト69によって、これらの傾斜面111a,111bと上記頂部96a,96bの2箇所で接触しつつ、キャリッジ68を摺動可能に支持する上述した構造が採用されている。そのため、それぞれの傾斜面111a,111bの離間距離を、ガイドシャフト69の高さ寸法に関係なく、上記溝87の形状に合わせて任意の形状に適宜設計することができる。従って、ガイドシャフト69の高さ寸法が上記離間距離に左右されることはない。これにより、金属丸棒などのガイドシャフトを用いた場合に、幅を長くすれば必然的に高さ寸法が大きくなるという従来生じていた不都合が解消される。その結果、キャリッジ68の安定支持が実現され、さらに、キャリッジ68の支持構造の背丈を低くすることができる。なお、従来との比較を容易にするため、図10に、従来の金属丸棒などのガイドシャフトの断面形状を2点鎖線で示す。同図に示すように、上述した本実施形態の支持構造によれば、高さ寸法をhだけ短小することが可能である。
また、キャリッジ68がガイドシャフト69上をスライド移動しているときに、予期せぬ衝撃、例えば、コンタクトイメージセンサ67の上面82がコンタクトガラス31の裏面31bに設けられた段差に乗り上げたときに生じる衝撃などが加えられて、キャリッジ68が傾倒してガイドシャフト69から外れることも危惧されるが、本実施形態の支持構造では、鉛直面95a,95bが鉛直面112a,112bに当接して、キャリッジ68のそれ以上の傾倒が規制される。したがって、キャリッジ68の傾倒によるガイドシャフト69からの外れが生じることはない。
〈第2の実施形態〉
次に、図11及び図12を参照して、上述した第1の実施形態の変形例である第2の実施形態について説明する。なお、重複した説明を避けるため、以下に詳述する第2の実施形態では、上述の第1の実施形態の構成要素と同じ構成要素については第1の実施形態と同じ符号を付すことでその説明を省略する。ここに、図11および図12は、本実施形態に用いられるコンタクトイメージセンサ156の要部拡大斜視図であって、図11は該コンタクトイメージセンサ156がガイドシャフト69に嵌め込まれる前の状態を示し、図12は該コンタクトイメージセンサ156がガイドシャフト69に嵌め込まれた状態を示す。各図において、ガイドシャフト69を除くベルト駆動機構70や電気ケーブルなどは省略している。
上述の第1の実施形態では、複合機1の画像読取手段の一例として、キャリッジ68とは別体に構成されたコンタクトイメージセンサ67が採用されたを例を説明したが、この第2の実施形態では、キャリッジが筐体157に一体的に形成されたコンタクトイメージセンサ156が画像読取手段の一例として採用された場合の該コンタクトイメージセンサ156の支持構造について説明する。
図11及び図12に示すように、コンタクトイメージセンサ156は、筐体157と、該筐体157に内蔵された図示しない光源(光源部)及び受光素子(受光部)とを備えている。この点は前記したコンタクトイメージセンサ67と共通する。また、筐体157は、例えば合成樹脂からなり、図11及び図12に示すように細長直方体状に形成されている点、および、筐体157の上面155がコンタクトガラス31の裏面31bと対向している点(図5参照)も前記したコンタクトイメージセンサ67と共通する。コンタクトイメージセンサ156が前記したコンタクトイメージセンサ67と相違するところは、同図に示すように、コンタクトイメージセンサ156の筐体157に、前記した連結部75とシャフト受け部152とが一体的に設けられている点にある。
具体的には、図11及び図12に示すように、連結部75とシャフト受け部152とが筐体157の下面に設けられている。このシャフト受け部152は、筐体157の長手方向の略中央付近に設けられている。
筐体157の中央に一対のボス118,119が設けられている。本実施形態では、各ボス118,119は、筐体157と一体的に形成されている。ボス118は、筐体157の短手方向の一方の側面120に設けられており、ボス119は、筐体157の短手方向の他方の側面に設けられている。各ボス118,119は、同図に示すように細長平板状を呈しており、筐体157の下面よりも下方に突出している。ボス118,119それぞれの下端部に、上記短手方向に延びる溝153,154(接触部に相当)が形成されている。なお、これらの溝153,154の形状は、前記した溝87と同形状に形成されているため、ここでの詳しい説明は省略する。
上記溝153,154がガイドシャフト69に嵌め込まれることにより、筐体157がガイドシャフト69によって支持される。即ち、コンタクトイメージセンサ156がガイドシャフト69によって支持される。したがって、上記ボス118の溝153が設けられた部分及び上記ボス119の溝154が設けられた部分によって、上記ガイドシャフト69で支持される上記シャフト受け部152が構成されている。なお、ガイドシャフト69による上記溝153,154における支持構造は、上述の第1の実施形態において溝87においてキャリッジ68を支持する構造と変わりはないため、ここではその説明を省略する。このように構成されたシャフト受け部152がガイドシャフト69に嵌め込まれることで、コンタクトイメージセンサ156はガイドシャフト69によって直接的に矢印158方向にスライド可能に支持される。
なお、上述の各実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。したがって、上述の各実施形態では、鈑金により成形されたガイドシャフト69を例示したが、必ずしも鈑金で成形する必要はなく、鉄鋼材を切削加工して、上記ガイドシャフト69と外観形状が略等しいガイドシャフトを成形した場合でも、該ガイドシャフトを用いたキャリッジ68の支持構造は本発明の技術的範囲に含まれることは勿論である。
また、上述の第1実施形態では画像読取ユニット56のキャリッジ68をスライド可能に支持する機構を例示し、上述の第2の実施形態ではコンタクトイメージセンサ156の筐体157をスライド可能に支持する機構を例示したが、例えば、上述した画像記録ユニット24において、インクジェット記録ヘッド39をガイドレール43,44上でスライド移動させる機構にも本発明は適用可能である。
本発明の第1の実施形態に係る複合機1の外観構成を示す斜視図。 本発明の第1の実施形態に係る複合機1の内部構成を示す縦断面図。 プリンタ部2の主要構成を示す平面図。 スキャナ部3の主要構成を示す平面図。 スキャナ部3の内部構成を示す縦断面図。 原稿読取台6の平面図であって、ベルト駆動機構70の概略構成を示す図。 画像読取ユニット56の要部拡大斜視図であって、キャリッジ68がガイドシャフト69に嵌め込まれる前の分解斜視図。 画像読取ユニット56の要部拡大斜視図であって、キャリッジ68がガイドシャフト69に嵌め込まれた状態を示す斜視図。 ガイドシャフト69の部分拡大斜視図。 ガイドシャフト69によるキャリッジ68の支持部の詳細拡大図。 本発明の第2の実施形態に用いられるコンタクトイメージセンサ156の要部拡大斜視図であって、コンタクトイメージセンサ156がガイドシャフト69に嵌め込まれる前の状態を示す斜視図。 本発明の第2の実施形態に用いられるコンタクトイメージセンサ156の要部拡大斜視図であって、コンタクトイメージセンサ156がガイドシャフト69に嵌め込まれた状態を示す斜視図。 従来の一般的な画像読取装置131の主要部分断面図。 ガイドシャフト138によるキャリッジ135の支持部の詳細拡大図。
符号の説明
1・・・複合機
2・・・プリンタ部
3・・・スキャナ部(画像読取装置)
4・・・操作パネル
5・・・スロット部
6・・・原稿読取台
7・・・扉
56・・・画像読取ユニット
67・・・コンタクトイメージセンサ(画像読取手段の一例)
68・・・キャリッジ
69・・・ガイドシャフト(ガイド部材に相当)
70・・・ベルト駆動機構
80・・・シャフト受け部
87・・・溝(接触部に相当)
92a,92b・・・傾斜面
93・・・水平面
94a,94b・・・鉛直面
95a,95b・・・鉛直面(ガード面に相当)
96a,96b・・・頂部
97a,97b・・・角部(突起部に相当)
110・・・稜線
111a,111b・・・傾斜面
112a,112b・・・鉛直面
152・・・シャフト受け部
153,154・・・溝(接触部に相当)
156・・・コンタクトイメージセンサ(画像読取手段の一例)
157・・・筐体(キャリッジに相当)

Claims (6)

  1. 移動対象を搭載するためのキャリッジを該キャリッジの下方に敷設された長尺のガイド部材で該ガイド部材の長手方向にスライド移動可能に支持するキャリッジ移動装置であって、
    上記キャリッジは、上記ガイド部材の幅方向に隔てられて該ガイド部材と2箇所で接触しつつ摺動する接触部を備え、
    上記ガイド部材は、上記2箇所それぞれと接触して上記キャリッジを上記長手方向に摺動可能に支持する一対の傾斜面を備えているキャリッジ移動装置。
  2. 上記接触部において、上記一対の傾斜面それぞれと対向する位置に該傾斜面それぞれと上記2箇所で接触する一対の突起部が設けられている請求項1に記載のキャリッジ移動装置。
  3. 上記接触部は、上記ガイド部材を幅方向に跨ぐ一対のガード面を備えている請求項1または2に記載のキャリッジ移動装置。
  4. 上記ガイド部材は、金属板を塑性変形させて成形されたものである請求項1から3のいずれかに記載のキャリッジ移動装置。
  5. 上記ガイド部材は、断面視において略逆V字形状に形成されている請求項4に記載のキャリッジ移動装置。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載のキャリッジ移動装置を備え、原稿の画像を読み取る画像読取手段を該キャリッジ移動装置によってスライド移動可能に支持する画像読取装置。
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