JP2007222797A - 熱伝導性シート及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、優れた熱伝導性、可撓性を有し、かつ折り曲げるなどの大きな変形を加えても、ひび割れ等の欠陥を生ずることなく、ショート等の事故を確実に防止することができて信頼性の高い熱伝導性シートの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 未硬化樹脂が塗布される開口領域を有するスクリーンにスキージを摺動させて、前記スクリーンを通して前記未硬化樹脂をグラファイトシートの上面に塗布する熱伝導性シートの製造方法において、前記開口領域にはグラファイトシートの端面に位置する余剰領域が設けられ、前記スキージが余剰領域の下部の空間に前記未硬化樹脂を浸出させて前記グラファイトシートの端面に前記未硬化樹脂を塗布する熱伝導性シートの製造方法である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、熱伝導性シートに関する。特に、各種の電気及び電子機器の発熱性部品から発生する熱を効率よく伝熱ないし放熱するための部材として好適に用いられる熱伝導性シート及びその製造方法に関する。
近年、電子機器の小型化、高性能化が進むにつれて、高密度に集積されたCPUを搭載する機器や微細な制御を必要とする半導体製造装置などにおいては、その発熱量の増加に対して十分な冷却能力を確保することが困難になる各種の電気及び電子機器においては、発熱性部品から発生する熱を効率よく伝熱ないし放熱することが、誤作動を防止したり、製品寿命を延ばしたりする上で重要な課題となっている。したがって、そのような発熱を伴う電気及び電子機器においては、従来、伝熱ないし放熱のためにアルミニウム板、銅板、あるいは熱伝導性樹脂シートなどの熱伝導性シートを取り付けることが一般に行われている。
この熱伝導性シートとして、グラファイトを主材料とするグラファイトシートが知られている。例えば、(特許文献1)には、ポリ(ピロメリットイミド)などの高分子のフィルムを不活性ガス又は真空中400〜700℃の温度範囲で自己収縮を防止するように熱処理し、しかる後に1800℃以上の温度で熱処理することを特徴とするグラファイトフィルムの製造方法が開示されている。このグラファイトフィルム(グラファイトシート)は、金属板と比較すると軽く柔軟性があり、且つ熱伝導性が良いという特長を有するために、電子機器や装置、設備の熱伝導シートとして期待されている。また、グラファイトシートとしては、他にも、黒鉛粉末をバインダー樹脂と混合してシート状にするもの、あるいは膨張黒鉛を圧延してシート状にするものが知られている。
しかし、上述のようなグラファイトシートは、それ自体が電気伝導性を有するため、電子機器内に取付けた場合に部品間で電気的ショートを生ずる恐れがあった。また、表面から炭素粉が磨耗・落下するなどして電気的に悪影響を及ぼす恐れもあった。さらに、グラファイトシートを湾曲させるなどして変形させた際、あるいは保管時に積層させている保護フィルムや離型シートを、使用するにあたって除去する際に、グラファイトに部分的な応力が集中して発生し、そのため強度低下や割裂を生じる場合があった。したがって、割裂などを生じた部分でショートを起こす可能性があり、使用時における信頼性の点で問題があった。この問題は、近年の電子機器の小型化に伴い、熱伝導性シートをより小さな空間に組み込むことが要求される中でますます重要になっている。
これに対し、グラファイトシートの表面を樹脂の被覆層で覆うことで、上述のようなショートの問題を回避し、また機械的強度に優れて折り曲げにも強い熱伝導性シートが知られている。例えば(特許文献2)には、セラミックシートやフィルムで被覆層が表面に設けられたグラファイトシートが開示されている。しかしながら、表面のセラミックシートやフィルムは熱伝導度が低いためできるだけ薄いフィルムを使用することが望ましいが、薄いフィルムは取り扱いが困難であるという問題があった。
また、(特許文献3)には、グラファイトシート上に蒸着やCVDなどの真空蒸着法を用いて被覆層を設ける工程を有する熱伝導性シートの製造方法が記載されている。しかしながら、熱伝導性シートの用途によっては、シートに要求される性能として真空蒸着まで必要としない場合があり、その場合には上記(特許文献2)などの従来技術は量産性に劣り、コストも高いという問題点があった。また、熱伝導性シートの用途や取り付け位置によっては、絶縁する部分をシート面の一部に限ったり、シートの絶縁性が面内で一様でなく、部分部分で異なるように形成することが望まれるが、従来の真空蒸着による方法では上記要望に対応し難かった。
さらに、(特許文献4)には、グラファイトシートの表面に、ディッピング、スピンコート、スクリーン印刷、刷毛塗りなどのコーティング方法で樹脂コーティング膜を設けたグラファイトシートが提案されている。しかしながら、上述のコーティング方法においては、表面のみならず端面などにも被覆膜を設けるという試みはなされておらず、グラファイトシートの端面からグラファイト粉末が脱離してしまうという問題が依然としてあった。
特公平1−49642号公報(請求項1) 特開2001−287299号公報 特開2001−287299号公報(請求項8) 特開2002−012485号公報(請求項6)
そこで本発明は、上記従来の状況に鑑み、優れた熱伝導性、可撓性を有し、かつ折り曲げるなどの大きな変形を加えても、ひび割れや端面からのグラファイト粉末の脱離などの欠陥を生ずることなく、ショートなどの事故を確実に防止することができる信頼性の高い熱伝導性シートの製造方法を提供することを目的とする。
また本発明は、量産性、コストに優れ、効率的に製造できて積層不良などの問題を生じない、新規な熱伝導性シートの製造方法を提供することを目的とする。
さらに本発明は、絶縁性の大きさをシートの表面上の位置によって自在に制御することが容易な、熱伝導性シートの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の熱伝導性シートの製造方法は、請求項1として、未硬化樹脂が塗布される開口領域を有するスクリーンにスキージを摺動させて、前記スクリーンを通して前記未硬化樹脂をグラファイトシートの上面に塗布する熱伝導性シートの製造方法であって、前記開口領域にはグラファイトシートの端面に位置する余剰領域が設けられており、前記スキージが余剰領域の下部の空間に前記未硬化樹脂を浸出させて前記グラファイトシートの端面に前記未硬化樹脂を塗布することを特徴とする。
上記手段によれば、未硬化樹脂が塗布される開口領域を有するスクリーンにスキージを摺動させて未硬化樹脂を塗布するので、グラファイトシートの所望の位置に未硬化樹脂をコーティングすることができる。また、開口領域にはグラファイトシートの端面に対応する位置にグラファイトシート上面に対して重なり合わない余剰領域が設けられており、スキージが余剰領域に位置する場合にはスクリーンの下部の空間に未硬化樹脂を落とし込むのでグラファイトシートの端面に対して確実に未硬化樹脂が塗布される。
また、請求項2では、請求項1記載の熱伝導性シートの製造方法において、未硬化樹脂は、グラファイトシートの上面及び端面を覆うように塗布されることを特徴とする。
上記手段によれば、グラファイトシートの上面及び端面が絶縁化される、機械的強度が向上し、グラファイトシートの粉末が脱離するのを防止できる。
また、請求項3では、請求項1記載の熱伝導性シートの製造方法において、未硬化樹脂は、グラファイトシートの上面の一部と端面とを覆うように塗布されることを特徴とする。
上記手段によれば、グラファイトシートの上面の一部と端面に被覆層を形成しているので、機械的強度が向上し、グラファイトシートの粉末が脱離するのを防止でき、さらには被覆層が形成されていない面では電気伝導性も有することとなる。
また、請求項4では、請求項1〜3のいずれか記載の熱伝導性シートの製造方法において、開口領域の余剰領域は、開口領域の境界からグラファイトシートの端面に対応する位置までの余剰長さがグラファイトシートの厚みの0.2〜10倍となるように設けられたことを特徴とする。
上記手段によれば、開口領域の余剰領域における開口領域の境界からグラファイトシートの端面に対応する位置までの余剰長さが、グラファイトシートの側面に十分に未硬化樹脂を塗布する観点からグラファイトシートの厚みとの関係で最適化される。
また、請求項5では、請求項4記載の熱伝導性シートの製造方法において、開口領域の余剰領域は、開口領域のスキージ摺動開始側の境界からグラファイトシートのスキージ摺動開始側の端面に対応する位置までの余剰長さが、他の余剰領域における余剰長さの1.5〜2.5倍であることを特徴とする。
上記手段によれば、スキージの進行方向に向かって手前の余剰領域における開口領域の境界からグラファイトシートの端面に対応する位置までの余剰長さが、グラファイトシートの側面に十分に未硬化樹脂を塗布する観点から最適化される。
また、請求項6では、請求項1〜5のいずれか記載の熱伝導性シートの製造方法において、スクリーンとグラファイトシートとの間の距離が0.1〜2mmであることを特徴とする。
また、請求項7では、請求項1〜6のいずれか記載の熱伝導性シートの製造方法において、スキージの進行方向前面の傾斜角度が25〜70°であることを特徴とする
上記各手段によれば、グラファイトシートの上面や端面に均一かつ十分に塗布するために、最適なスクリーン上の未硬化樹脂が塗布された開口領域、スクリーンとグラファイトシートとの間の距離、又はスキージの進行方向前面の傾斜角度が選択される。
さらに、請求項8では、請求項1〜7のいずれか記載の熱伝導性シートの製造方法において、グラファイトシートの上面が予め平坦化処理されていることを特徴とする。
上記手段によれば、グラファイトシートの上面や端面に均一かつ十分に塗布するために、グラファイトシートの形状が最適化される。
さらに、請求項9では、請求項1〜8のいずれか記載の熱伝導性シートの製造方法において、グラファイトシートが粘着層を介して離型シートの上に設けられていることを特徴とする。
上記手段によれば、熱伝導性シートの電子機器や電気機器への取付けが容易になる。
また、請求項10では、請求項9記載の熱伝導性シートの製造方法において、複数個のグラファイトシートが粘着層を介して離型シートの上に設けられていることを特徴とする。
また、請求項11では、請求項10記載の熱伝導性シートの製造方法において、複数個のグラファイトシートが複数種類の形状を有することを特徴とする。
上記手段によれば、1枚の離型シート上に複数個ないし複数種類のグラファイトシートが設けられているので効率よく熱伝導性シートを製造することが可能となる。
また、請求項12では、請求項9〜11のいずれか記載の熱伝導性シートの製造方法において、グラファイトシートが粘着層を介して離型シートの上に設けられた積層体は、前記グラファイトシート及び前記粘着層が所定の形状にカットされ、それ以外のグラファイトシート不要部及び粘着層不要部は除去されたものであることを特徴とする。
上記手段によれば、離型シート上にグラファイトシートを設けた場合における、グラファイトシート、粘着層、及び離型シートから構成される積層体の製造方法が最適化される。
さらに、本発明の熱伝導性シートは、請求項13として、請求項1〜12記載の熱伝導性シートの製造方法により製造された熱伝導性シートであることを特徴とする。
上記手段によれば、グラファイトシートの端面が被覆層により覆われているので、端面からグラファイト粉末が脱離することがない。
以上のように、本発明の熱伝導性シート及びその製造方法によれば、優れた熱伝導性、可撓性を有し、かつ折り曲げるなどの大きな変形を加えても、ひび割れなどの欠陥を生ずることなく、ショートなどの事故を確実に防止することができて信頼性が高い。
さらに本発明の熱伝導性シートの製造方法によれば、被覆層をシートの表面上に任意の位置に任意の大きさで形成することが容易になる。
また本発明の熱伝導性シート及びその製造方法によれば、量産性、コストに優れ、効率的に製造できて積層不良などの問題を生じることがない。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
まず、本発明の熱伝導性シートの製造方法を実施の形態(1)に基づいて詳細に説明する。本発明の熱伝導性シートを製造するために用いるスクリーン印刷装置の概略構造を図1に示している。支持台40上には、スクリーン印刷の対象物となるグラファイトシート10が載置されている。そして、支持台40の上方には、スクリーン枠22にスクリーン21が張られているスクリーン印刷板20が設けられている。そして、スクリーン印刷版20の上方にはスクリーン21を加圧・摺動することによってスクリーン21に塗布された未硬化樹脂をグラファイトシート10に押し出すためのスキージ30が設けられている。なお、グラファイトシート10は、離型シート13上に粘着層12を介して設けられている。
まず、スクリーン印刷に用いるスクリーン印刷版20について説明する。スクリーン印刷版20は、スクリーン枠22に張られたスクリーン21にはスクレッパー等により未硬化樹脂23が塗布されてなる。スクリーン21は、スクリーンメッシュに感光乳剤樹脂を全面に塗布し、所定の領域の感光乳剤を露光・現像することで作成される。作成されたスクリーン21は、図2に示すように、スクリーンメッシュが剥き出しとなり未硬化樹脂23が塗布される開口領域211と感光乳剤樹脂が残りメッシュ孔が充填された非開口領域212とを有する。開口領域211は塗布対象物であるグラファイトシート10の大きさや形状に応じて適宜設定されるが、グラファイトシート10の上面と端面101にコーティングする場合には、図2に示すようにグラファイトシート10の上面に対応する上面対応領域211eと、グラファイトシート10の端面に対応する位置の周囲に余剰領域211a、211b、211c、211dが設けられる。余剰領域の大きさは、具体的には図2に示すように、スキージ30の進行方向に向かって手前のスキージ摺動開始側における余剰領域211aは、余剰領域211aのスキージ摺動開始側の境界からグラファイトシート10のスキージ摺動開始側における端面101aに対応する位置までの余剰長さaがグラファイトシート10の厚みdの0.2〜10倍であることが好ましく、1〜10倍であることが特に好ましい。また、スキージ30の進行方向に沿った左右の各余剰領域211b、211cは、各余剰領域211b、211cのスキージ摺動方向に沿った境界からグラファイトシート10のスキージ進行方向に沿った端面101bに対応する位置までの余剰長さb1、b2がそれぞれグラファイトシート10の厚みdの0.2〜10倍であることが好ましく、1〜5倍であることが特に好ましい。また、同様にスキージ30の進行方向に向かって奥のスキージ摺動終了側における余剰領域211dは、余剰領域211dのスキージ摺動終了側の境界からグラファイトシート10のスキージ摺動終了側における端面101cに対応する位置までの余剰長さcがそれぞれグラファイトシート10の厚みdの0.2〜10倍であることが好ましく、1〜5倍であることが特に好ましい。そして、特に、スキージ30の進行方向に向かって手前の開口領域211の余剰長さaは、スキージ30の進行方向に向かって奥の開口領域211の余剰長さcに対して1.5〜2.5倍程度であることが好ましい。スキージ30の進行方向に向かって手前では、余剰長さaを大きくとっておくことで、スキージ30の進行方向に向かって手前に位置するグラファイトシート10の端面101aにも十分量の未硬化樹脂23を塗布することが可能となる。なお、スキージ30が余剰領域211aに位置しておりグラファイトシート10の端面101aに対応する位置まで移動するまでは、スキージ30によるスクリーン21への押圧が十分ではないため、余剰長さaが短い場合にはグラファイトシート10の端面101aへの未硬化樹脂23の塗布量が不十分となる場合がある。
また、スクリーン21と印刷対象物であるグラファイトシート10との距離hについては、0.1〜2mmであることが好ましく、0.5〜1.5mmであることが特に好ましい。スクリーン21とグラファイトシート10との距離hが大きい場合には、スクリーン21とグラファイトシート10との間に形成される角度αが大きくなるため、スクリーン21とグラファイトシート10との接触面積が小さくなり、グラファイトシート10の端面101において未硬化樹脂23が十分に押し出されず、グラファイトシート10の端面101への未硬化樹脂23の塗布が不十分となる場合がある。また、距離hが小さい場合には、スキージ30が通過した際のスクリーン21のグラファイトシート10からの版離れが悪く、未硬化樹脂23のスクリーン21からグラファイトシート10表面への移行がスムーズに行われないことがある。
また、スクリーン21の材質としては、通常、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、シルク繊維、ステンレス鋼などの金属製のスクリーンが好適に用いられる。この中でも金属製のスクリーンはテンションが高いため特に好適に用いられる。スクリーン21のテンションとしては1500N/mm〜3500N/mmの範囲内が好ましく、特に2000N/mm〜3000N/mmであることが好ましい。スクリーン21としてこのような高いテンションを有するものを用いることで、スキージ30が通過した際のスクリーン21のグラファイトシート10からの版離れを良くすることができる。また、スクリーン21のテンションが高いので、スクリーン21とグラファイトシート10との距離hを小さくし、好適な距離に保持することが可能となる。なお、スクリーン21のテンションが低い場合には、スキージ30が通過した際のスクリーン21のグラファイトシート10からの版離れが悪く、未硬化樹脂23のスクリーン21からグラファイトシート10表面への移行がスムーズに行われないことがある。また、スクリーン21のメッシュについては、塗布する未硬化樹脂の種類などに応じて適宜設定されるが、メッシュ数は通常200〜500mesh(1inch当たりの網目の数)であり、特に300〜400meshのものが好適に用いられる。また、目開きは通常30〜75μmであり、40〜50μmであることが好ましい。
さらに、未硬化樹脂23としては、特に限定されるものではないが、硬化させた際に耐熱性と可撓性を有することが好ましい。硬化させた際に耐熱性と可撓性を有する未硬化樹脂23としては、架橋樹脂が好ましく、各種の熱硬化性樹脂、紫外線硬化樹脂、あるいは電子線硬化樹脂が好適に用いられる。具体的には、ポリイソシアネート未硬化樹脂、ポリエステル未硬化樹脂、アクリル系未硬化樹脂、ポリアミド未硬化樹脂、ポリイミド未硬化樹脂、フェノール未硬化樹脂、シリコーン未硬化樹脂、ポリビニルアルコール未硬化樹脂などを用いることができる。なお、未硬化樹脂23の粘度としては1000cps〜20000cpsであることが好ましく、3000cps〜15000cpsであることが特に好ましい。粘度が低い場合には、グラファイトシート10の端面101に塗布される未硬化樹脂23が離型シート13上に拡がってしまい、端面101に対して十分に塗布できない場合がある。一方、粘度が高い場合には、スクリーン21からグラファイトシート10へ未硬化樹脂23がスムーズに移行しないことがある。また、未硬化樹脂23の粘度を制御することが重要となる場合には、チキソトロピック性を付与することも好ましく、各種無機顔料や脂肪酸誘導体などの添加剤を混合しても良い。
また、未硬化樹脂23には、必要に応じて、熱伝導性のフィラーを配合することができる。これにより、被覆層11の熱抵抗を低下させ、熱伝導性シート1全体としての放熱性をより高めることができる。熱伝導性のフィラーとしては、未硬化樹脂23に対する分散性に優れ、また用途によっては電気絶縁性を有するものが要求される。具体的には、軟磁性又は硬軟磁性フェライト、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化チタン、窒化ジルコニウムなどの窒化物、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ケイ素、酸化ホウ素、酸化チタン、酸化ジルコニウムなどの酸化物、純鉄、金属ケイ素、カーボンナノチューブ、カーボンマイクロコイルなどを挙げることができる。その中でも、Ni−Zn系軟磁性フェライト、及びアルミナは、相応に熱伝導性が高く、シリコーンの硬化阻害を起こし難く、またシリコーンへの分散性にも優れているため特に好ましく用いられる。なお、上記の各種フィラーは複数種を併用しても良い。熱伝導性フィラーの形状は、球状、繊維状、不定形状などの任意の形状が適用可能である。また、その大きさは、シリコーンに対する分散性などの観点から、粒径3〜50μm程度とすることが好ましい。さらに、熱伝導性フィラーの配合量は、シリコーンエラストマー層12の良好な成形性を確保し、かつ十分な熱伝導性を付与するために、シリコーンエラストマー層12の全体に対して20〜80重量%とすることが適当である。その他にも、未硬化樹脂23には、本発明の目的を損なわない範囲で、可塑材、着色剤、難燃剤、硬化剤、硬化促進剤などの一般的な添加剤を適宜配合することができる。
なお、未硬化樹脂23の硬化方法としては、架橋樹脂である熱硬化樹脂を用いる場合には、熱風乾燥炉や近赤外線乾燥炉を使用し、紫外線硬化樹脂を用いる場合には、高圧水銀ランプやメタルハライドランプや高出力UV−LEDランプを使用するなどして未硬化樹脂23の種類に応じて適当な硬化方法を用いて硬化することができる。
また、スキージ30は、通常のスクリーン印刷で用いられているものと同様の形状及び構造のものが使用でき、例えばゴム板をホルダーに挟んだものなどが用いられる。なお、スキージ30の進行方向前面の傾斜角度θについては、好ましくは25°〜70°であり、特に好ましくは30°〜55°である。スキージ30の進行方向前面の角度θが小さい場合には、スクリーン21とグラファイトシート10との間に形成される角度αが大きくなり、スクリーン21とグラファイトシート10との接触面積が小さくなる。このため、グラファイトシート10の端面101において未硬化樹脂23が十分に押し出されず、グラファイトシート10の端面101への未硬化樹脂23の塗布が不十分となる場合がある。なお、スキージ30の硬度は、ショア硬度60°〜80°程度であることが好ましく、硬度が80°より大きい場合には、スクリーン21がグラファイトシート10と接触した際にグラファイトシート10の上面との間に形成される接触角度αが大きくなるため、スクリーン21とグラファイトシート10との接触面積が小さくなる。このため、グラファイトシート10の端面101において未硬化樹脂23が十分に押し出されず、グラファイトシート10の端面101への未硬化樹脂23の塗布が不十分となる場合がある。また、スキージ30の硬度が60°より小さい場合には、スキージ30のスクリーン21への接触が不安定となり、結果としてグラファイトシート10に形成された被覆層11の表面にムラが発生したりや、グラファイトシート10の端面101への未硬化樹脂23の押し出し量にムラが発生することがある。
そして、未硬化樹脂23の塗布対象物となるグラファイトシート10としては、従来知られた各種の黒鉛シートを適宜選択して用いることができる。例えば、天然黒鉛から製造したシートや、高分子化合物を黒鉛化してシート状としたものなどが挙げられるが、その製造由来は問わない。天然黒鉛からグラファイトシートを製造する方法としては、例えば、天然鱗状黒鉛などの黒鉛構造を有する素材を濃硫酸と酸化剤の混合溶液中に分散させた後に高温急加熱して、その後圧延処理、脱硫酸処理を行うことで黒鉛層が積層されたグラファイトシート10を得ることができる。また、高分子化合物を黒鉛化してグラファイトシートを製造する方法としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンベンゾイミダゾール、ポリベンゾビスオキサゾールなどの高分子化合物を焼成した後、必要に応じて圧延処理することでグラファイトシートを得ることが可能である。また、グラファイトシート10としては、取り付け対象部品に沿って密着させるため、可撓性を有することが好ましい。また、グラファイトシート10の厚さは、厚過ぎると可撓性が損なわれ、逆に薄いと強度が低下するため、これらのバランスを考慮して適宜設定される。具体的には、0.08〜0.5mm程度とすることが適当である。
また、グラファイトシート10には、各種電気及び電子機器に対して簡便に取り付け可能となるように、粘着層12を介して離型シート13が設けられた積層体となっている。粘着層12は、ポリエステルフィルムや不織布などの基材の両面に粘着剤を形成した両面テープや、基材を使用しない両面テープ、または、液状の粘着剤をグラファイトシートに直接コーティングして得られるものであっても良い。前記の粘着剤12としては、天然ゴム系、合成ゴム系、アクリル系、シリーコン系などの各種粘着剤を用いることができる。粘着層12の厚みは10〜80μmであることが好ましく、粘着層12が厚い場合には、折り曲げて使用する際に表面コーティングの変形量が大きくなるため、ヒビが入りやすくなり粉落ちなどの問題を解決することが困難となり、薄い場合には、粘着力が不足しやすく、長期使用時などに機器内でグラファイトシートが落下するなどの問題の原因となることがある。
離型シート13としては、各種高分子材料、紙などを適宜選択して用いることができるが、使用する未硬化樹脂23に対する濡れ性が低く、空気中の水分による収縮や膨張によるうねりを生じない吸湿性の低い材料を用いることが好ましい。このような離型シート13の具体例としては、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどの高分子シート、ポリエチレンなどの高分子がラミネートされた紙、あるいは、ポリエステルフィルムやポリエチレンがラミネートされた紙の表面に反応性シリコーン樹脂が塗布されたシート等が挙げられる。未硬化樹脂23に対する濡れ性が低いものを用いることで、未硬化樹脂23をグラファイトシート10に塗布した際に、端面101に塗布された未硬化樹脂23が離型シート上に拡がることを抑制することができる。一方、紙などの未硬化樹脂23に対する濡れ性の高い材料を用いた場合には、グラファイトシート10の端面101に塗布された未硬化樹脂23が離型シート上に広がり、端面101に対するコーティングも不十分となる恐れがある。また、離型シート13の厚みは、50〜200μm程度が好ましく、これより薄いと離型シート13を残してグラファイトシート10と粘着層12を所定の部品形状にカットする(ハーフカットする)際に、離型シート13まで切れないようにするために加工精度が高くする必要が生じコストアップの要因となる。一方、離型シート13の厚みが厚い場合には、材料費と廃棄物の量が増加するため好ましくない。
離型シート13上に設けられた、粘着層12とグラファイトシート10は、通常未硬化樹脂23を塗布して被覆層11を形成する前に、各種用途に応じて適した形状にハーフカットが行われる。さらにハーフカットした形状以外のグラファイトシート10と粘着層12の不要部は少なくともを被覆層11を形成する前に除去され、離型シート13上にグラファイトシート10と粘着層12が積層された部品のみが形成された状態とする。なお、離型シート13上に形成されるグラファイトシート10と粘着層12からなる部品は複数個を多面付けしても良い。また、複数の種類の部品が存在する場合には、二種以上の部品を有する複数個の部品を多面付してもよい。さらには、複数の種類の部品が存在する場合には、二種以上の部品をペアにして多面付けすることも可能である。これは、部品の大きさとスクリーン(スクリーン印刷機)の大きさにもよるが、生産性の観点から多面付けして一度に複数個の部品をコーティングすることが好ましい。
また、本発明の熱伝導性シートを作製するに当たっては、連続するロール状のグラファイトシートに粘着層の形成、離型シートのラミネート(もしくは両面テープのラミネート)をおこなった後に、連続するシートの状態のままで部品のハーフカットと不要部位の除去、スクリーン印刷によるコーティングと未硬化樹脂の硬化をおこなった後、用途に合わせた適切な大きさに切断しても良いし、再度ロールに巻き取っても良い。ロールに巻き取る際には、グラファイトシートの厚みによる制約が発生し、厚すぎるとグラファイトシート部品が離型シートに追従しにくくなるため、グラファイトシート部品の設計にもよるが、概ねグラファイトシートの厚みを0.3μm以下とすることが好ましい。
なお、グラファイトシート10は、通常未硬化樹脂23の塗布を行う前に、各種用途に応じて適した形状にカッティングが行われるが、カッティングの際にグラファイトシート10の上面端部が盛り上がり、凸部が形成されることがある。この場合には、グラファイトシート10を予め平坦化処理することが好ましい。平坦化処理の方法としては、図3に示すようにローラー50を用いて盛り上がった凸部102を圧縮する方法が挙げられる。グラファイトシート10の上面端部の盛り上がりによる凸部102を平坦化することにより、樹脂を塗布する際にグラファイトシート10の上面端部から端面101に向けてスムーズに未硬化樹脂23が押し出されるので、端面101のコーティングをムラ無く均一に行うことが可能となる。なお、グラファイトシート10の上面端部が盛り上がっている場合には、樹脂23の塗布を行う際に、形成された凸部によりグラファイトシート10の端面101に未硬化樹脂23が十分に流れ落ちず端面101に対するコーティングが十分に行われない場合がある。また、グラファイトシート10の上面端部の盛り上がりを抑制するために、グラファイトシート10をカッティングする際にカッター51の刃として片刃のものを用いることもできる。片刃のものを用いることで、図4に示すようにグラファイトシート10の盛り上がりが抑制されることとなる。なお、他方の盛り上がったグラファイトシート不要部10a及び粘着層不要部12aは除去される。
続いて、図5及び図6に基づいて本発明の熱伝導性シートの製造方法について説明する。図5に示すように、本発明の熱伝導性シートの製造方法では、支持台40上に載置されたグラファイトシート10の表面に、未硬化樹脂23が塗布されているスクリーン21をスキージ30により加圧・摺動して、未硬化樹脂23をグラファイトシート10の表面に押し出すことで、未硬化樹脂23からなる被覆層11が上面及び端面101に形成された熱伝導性シートが得られる。
具体的には、まず、図6(a)に示すようにスクリーン21の上面に配置されたスキージ30が下降し、開口領域211の余剰領域211aの境界に接触し、スクリーン21の下面がグラファイトシート10の上面よりも低い位置まで押し下げる。そして、スキージ30を水平移動させることで、図6(b)に示すようにスキージ30が余剰領域211aに位置する場合に余剰領域211aに塗布された未硬化樹脂23はスキージ30によりスクリーン21の下部の空間に落とし込まれ、スクリーン21と離型シート13との間の空間に充填される。これにより、グラファイトシート10の端面101aに未硬化樹脂23が塗布され、被覆層11が形成される。この際、余剰部分211aが、余剰領域211aの境界からグラファイトシート10の端面101aに対応する位置までの余剰長さaを適宜設定することで、未硬化樹脂23が離型シート13上に大きくはみ出すこと無く、グラファイトシート10の端面101aにのみ未硬化樹脂23が押し出され被覆層11が形成されることが可能となる。続いて、図6(c)に示すように、スキージ30はグラファイトシート10の上面に対応する上面対応領域211eを移動し、グラファイトシート10の上面に未硬化樹脂23が塗布される。この際、スキージ30をグラファイトシート10の上面とスクリーン21とが接触するように摺動することで、グラファイトシート10の上面に未硬化樹脂23を薄く塗布することが可能となる。また、この際グラファイトシート10の進行方向に沿った端面101bには余剰領域211b及び211cに塗布された未硬化樹脂23がスキージ30によりスクリーン21の下部の空間に落とし込まれる。これにより、スクリーン21と離型シート13との間の空間に充填され、端面101bには樹脂23が塗布される。次に、スキージ30は、図6(d)に示すように、スキージ30が余剰領域211dに位置する場合には、余剰領域211dの未硬化樹脂23はスキージ30によりスクリーン21の下部の空間に落とし込まれ、スクリーン21と離型シート13との間の空間に充填され、グラファイトシート10の端面101cにも未硬化樹脂23が塗布されることになる。そして、図6(e)に示すように、最後にスキージ30が上昇し、スクリーン21は印刷対象物であるグラファイトシート10から離れる。
なお、スキージ30の圧力については、図6(a)〜(e)に示すように、グラファイトシート10の形状に沿ってスムーズに移動するような圧力に設定することがが好ましく、通常は0.1〜2.0MPa程度であり、好ましくは0.2〜1.0MPaである。スキージ30の高さ位置については、スキージ30を降下させた際にスクリーン21の下面が印刷対象物であるグラファイトシート10上面の高さよりも低くなるように設定することが好ましい。具体的には、スキージ30を降下させた際にスクリーン21の下面の高さ位置が、グラファイトシート10上面の高さよりも0.02〜0.2mm程度低くなるように設定することが好ましい。
以上のように、グラファイトシート10に対して未硬化樹脂23をスクリーン印刷によりコーティングすることで図7に示すような上面及び端面101に被覆層11が形成された熱伝導性シート1が得られる。なお、本発明の熱伝導製シートの製造方法によれば、上面に形成された被覆層11は、10〜30μmの厚みの薄い被膜が均一に形成される。また、グラファイトシートの端面101に形成された被覆層11の厚みは、グラファイトシート10の厚みdに対して0.3〜1倍程度の薄い被覆層11を形成することが可能となる。具体的には、50μm〜1mmの厚みの被覆層11が形成される。
なお、グラファイトシート10に対する未硬化樹脂23の塗布量は、少な過ぎるとグラファイトシートの粉落ちを防止できない、十分な電気絶縁性が得られないことがあり、逆に多過ぎると全体の熱伝導性が阻害されるため、これらのバランスを考慮して適宜調節される。具体的には、完全なオイルバリア性を発揮させ、かつ熱伝導シート全体としての熱抵抗を低い水準に維持するためには、固形分(乾燥重量)にして1〜3g/mとすることが好ましい。また、未硬化樹脂23からなる被覆層11の厚さは適宜設定することができるが、取り付け対象部品との密着性を確保するために、硬化後の厚さで、少なくとも15μm以上が好ましく、その中でも18μm〜1mmが特に好ましい。また、熱伝導性シート1の全体の厚さ、すなわちグラファイトシート層10、被覆層11を合計した厚さは、0.15〜1.6mm(上面最小厚さ〜両面最大厚さ)が適当であるが、これに限定されるものではない。
以上のように、実施の形態(1)の熱伝導性シートの製造方法によれば、優れた熱伝導性、可撓性を有し、信頼性が高い熱伝導性シートが得られる。また本発明の熱伝導性シートの製造方法によれば、量産性、コストに優れ、効率的に製造できて積層不良などの問題を生じることがない。さらに本発明の熱伝導性シートの製造方法によれば、絶縁性の大きさをシートの表面上の位置によって自在に制御することが容易になる。また、本発明の熱電創世シートによれば、グラファイトシートの端面101が被覆層により覆われているので、端面101からグラファイト粉末が脱離することがなく、電子機器内に取付けた場合に電気的に悪影響を及ぼす恐れがない。
続いて、本発明の実施の形態(2)に係る熱伝導性シートの製造方法を図5及び6に基づいて詳細に説明する。
実施の形態(2)においては、図8に示すように塗布対象物であるグラファイトシート10が楕円形状であり、また、スクリーン印刷版20のスクリーン21に未硬化樹脂23が塗布された開口領域211がグラファイトシート10の上面端部と端面103に対応する領域のみであり、その領域以外は何も塗布されていない非開口領域212であること以外は実施の形態(1)と同様に行った。
スクリーン印刷に用いるスクリーン印刷版20について図9に基づいて具体的に説明する。スクリーン印刷版20は、スクリーン枠22に張られたスクリーン21に未硬化樹脂23が塗布されてなる。スクリーン21は、図9に示すように、スクリーンメッシュが剥き出しとなり未硬化樹脂23が塗布される開口領域211と感光乳剤樹脂が残りメッシュ孔が充填された非開口領域212とを有する。そして、開口領域211はグラファイトシート10の上面の端部と端面103に樹脂をコーティングするので、図9に示すようにグラファイトシート10の上面の端部に対応する上面対応領域211gと、グラファイトシート10の上面に対して余剰領域211hが生じるように設けられる。また、グラファイトシート10の中央部に対応する位置は非開口領域212となっている。そして、余剰領域の大きさは、具体的には図9に示すように、スキージ30の進行方向に向かって手前のスキージ摺動開始側においては、余剰領域211aのスキージ摺動開始側の境界からグラファイトシート10のスキージ摺動開始側における端面103に対応する位置までの楕円の長軸付近における余剰長さaがグラファイトシート10の厚みdの0.3〜5倍であることが好ましい。また、スキージ30の進行方向に沿った各余剰領域211b、211cのスキージ摺動方向に沿った境界からグラファイトシート10の端面103に対応する位置までの楕円の短軸付近の余剰長さb1、b2はそれぞれグラファイトシート10の厚みdの0.2〜3倍であることが好ましい。また、同様にスキージ30の進行方向に向かって奥のスキージ摺動終了側におけるスキージ摺動終了側の境界からグラファイトシート10のスキージ摺動終了側における端面103に対応する位置までの楕円の長軸付近における余剰長さcがそれぞれグラファイトシート10の厚みdの0.2〜3倍であることが好ましい。
上記のようなスクリーン印刷版20を用いて実施の形態(1)と同様にグラファイトシートに対してスクリーン印刷を行うと図10に示すように上面の端部及び端面103のみに未硬化樹脂23が塗布され被覆層11が形成された熱伝導性シート1が得られる。
以上のように、実施の形態(2)の熱伝導性シートの製造方法によれば、(実施の形態(1)と同様の効果を奏する以外にも、スクリーン21への開口領域212の大きさ及び位置を適宜設定することで、グラファイトシート10の表面上の位置に応じてシートの絶縁性を自在に制御することが容易になる。また、得られた熱伝導性シートによれば、被覆層11が形成されていない領域では電気伝導性を有するので、電気伝導性が必要とされる用途において好適に用いられる。
以下、本発明について、実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に特に限定されるものではない。
(実施例1〜14)
各実施例の実施条件を表1に示す。コーティング対象物であるグラファイトシート10としては、図11に示すように離型シート上に粘着層を介して8面付されたものを用いた。なお、グラファイトシート10には、表1に示すような厚さを有する幅100mm×長さ50mのロールのグラファイトシート(λ−GS、鈴木総業製)を用いた。また、粘着層12及び離型シート13としては、アクリル系粘着剤を用いた厚さ0.03mmで幅100mm×長さ50mのロールの両面テープ(707、寺岡製作所製)を用いた。それらを上面からグラファイトシート10、両面テープの粘着層12、両面テープの離型シート13の順になるようにラミネータ(大成ラミネータ(株)製VP−II)を用いて加圧(0.8kg/cm2)しながら連続して貼り合わせた後、そのまま、図11に示すような8面付けのパターンにてグラファイトシート10と粘着層12をトムソン刃(片刃)を用いて順にハーフカットして、グラファイトシート不要部と粘着層不要部を取り除いた。なお、ここでハーフカットとは、グラファイトシートと粘着層はカットされ剥離紙はカットされていない状態を表す。
そして、図10に示すような開口領域211と非開口領域212とを有するパターンで現像したステンレス製のスクリーン20を用いて、スクリーン印刷装置(LS−25GX、ニューロング製)により、グラファイトシートの表面及び端面に未硬化樹脂をコーティングした。なお、未硬化樹脂23としては希釈しないアクリルウレタン樹脂のUV硬化型樹脂(UV FIL−383クリヤー、帝国インキ製造製)を用いた。また、スクリーンとしては、メッシュ数が325Meshで目開きが48μmのものを使用した。最後に、高圧水銀灯によるUV硬化装置により未硬化樹脂を硬化して、離型シートを切断して熱伝導製シートを得た。スクリーン印刷の各条件(グラファイトシートの厚み、樹脂の粘度、スクリーンとグラファイトシートとの間の距離h、スキージの進行方向前面の傾斜角度θ、開口領域211のスキージ摺動開始側の境界からグラファイトシート10のスキージ摺動開始側における端面101aに対応する位置までの余剰長さa、開口領域211のスキージ進行方向に沿った境界からグラファイトシート10のスキージ進行方向に沿った端面101bに対応する位置までの余剰長さb、開口領域211のスキージ摺動終了側の境界からグラファイトシート10のスキージ摺動終了側における端面101cに対応する位置までの余剰長さc)を表1に示す。なお、各工程の間には必要に応じてバッファを設け、各工程所要時間のズレを吸収できるようにした。
Figure 2007222797
(比較例1)
実施例1と同様にグラファイトシートと粘着層から成るグラファイトシート部品が積層された離型シートを形成した後、実施例と同様の厚さのコーティング膜を得るために、MEKで50wt%に希釈した未硬化樹脂を用い、ロールコーターで塗工、乾燥、及び紫外線硬化したところ、グラファイト表面のコーティング膜は16μmの厚さであった。その後は実施例1と同様にしてコーティングを施した熱伝導性シートを得た。得られた熱伝導性シートの上面の被覆膜は18μmであった。
(比較例2)
実施例1と同様にグラファイトシートと粘着層から成るグラファイトシート部品が積層された離型シートを形成した後、実施例と同様の未硬化樹脂を用い、実施例1と同様のパターンでフレキソ印刷版を用いてフレキソ印刷方式で塗工、乾燥、及び紫外線硬化したところ、グラファイト表面のコーティング膜は20μmの厚さであった。その後は実施例1と同様にしてコーティングを施した熱伝導性シートを得た。
(評価試験1)
デジタルマイクロ顕微鏡を用いて、図の四角形の部品のスキージ摺動開始側(余剰距離a側)における端面101aと、スキージ摺動方向に沿った(余剰距離a側の端面と直交する)端面101bと、スキージ摺動終了側(余剰距離c側)の端面101c、それぞれの端面に関し、グラファイトシート端面のコーティングの均一性を確認した。以下に評価指標を示す。結果を表2に示す。
◎ ; 端面に沿って直線状に安定して樹脂が充填された。
○ ; 樹脂の充填が途切れる箇所はないが波打つよう不安定になった。
△ ; 樹脂の充填が概ね充填できた。
×1 ; 樹脂が離型シート上にも流れて、汚れとなった。
×2 ; 樹脂がグラファイトシート端面に全く充填されなかった。
(評価試験2)
デジタルマイクロ顕微鏡を用いて、図12に示すように得られた楕円形の熱伝導性シートのスキージ摺動開始側における端面、スキージ摺動方向に沿った端面、及びスキージ摺動終了側における端面に形成された被覆層11の厚みをそれぞれ以下のように測定した。グラファイトシート10の端面と楕円形短軸との交点で余剰距離a側の点における被覆層11の厚みpと、グラファイトシート10の端面と楕円形長軸との交点の点における被覆層11の厚みqと、グラファイトシート10の端面と楕円形短軸の交点で余剰距離c側の点における被覆層11の厚みrを、各交点と、各交点の軸延長線上の被覆層11の境界との距離を上方からデジタルマイクロ顕微鏡を用いて測定した。その結果を表2に示す。
(評価試験3)
得られた部品をコーティング側を外側にして90°に折り曲げて、表面及び端面のコーティング樹脂のヒビ割れを、以下の評価指標で評価した。結果を表2に示す。
○ ; 表面樹脂のヒビ割れ、及び端面の剥がれ浮き、ともに無し。
△ ; 表面樹脂のヒビ割れは無いが、端面樹脂の剥がれ浮きほぼ無し。
×1 ; 表面樹脂のヒビ割れが見られ、端面樹脂は剥がれ浮き無し。
×2 ; 表面樹脂のヒビ割れが見られ、端面樹脂も一部剥がれた。
(評価試験4)
スクリーン印刷時の版離れを確認した。
○ ; 問題なく版離れした。
△ ; 版離れが遅れ気味であった。
× ; 版離れをおこなうための対策を要した。
Figure 2007222797
表1から(実施例1〜14)で得られた熱伝導性シートは、(比較例1及び2)で得られた熱伝導性シートと比較して端面における樹脂の塗布が良好に行われたことが分かる。
本発明の実施の形態(1)に係る熱伝導性シートの製造方法に用いるスクリーン印刷装置の概略構成を示す図である。 本発明の実施の形態(1)において用いるスクリーンを示す上面図である。 本発明の実施の形態(1)において用いるグラファイトシートの平坦化処理を示す図である。 本発明の実施の形態(1)において用いるグラファイトシートのカッティング処理を示す図である。 本発明の実施の形態(1)に係る熱伝導性シートの製造方法を示す図である。 本発明の実施の形態(1)に係る熱伝導性シートの製造方法を示す図である。 本発明の実施の形態(1)に係る熱伝導性シートの製造方法により得られた熱伝導性シートを示す図である。 本発明の実施の形態(2)に係る熱伝導性シートの製造方法に用いるスクリーン印刷装置の概略構成を示す図である。 本発明の実施の形態(2)において用いるスクリーンを示す上面図である。 本発明の実施の形態(2)に係る熱伝導性シートの製造方法により得られた熱伝導性シートを示す図である。 本発明の実施例において用いたスクリーンを示す上面図である。 本発明の実施例において得られた熱伝導性シートを示す上面図である。
符号の説明
1 熱伝導性シート
10 グラファイトシート
11 被覆層
12 粘着層
13 離型シート
20 スクリーン印刷板
21 スクリーン
211 開口領域
211a〜211d、211h 余剰領域
211e、211g 上面対応領域
212 非開口領域
22 スクリーン枠
23 未硬化樹脂
30 スキージ
40 支持台
50 ローラー
51 カッター

Claims (13)

  1. 未硬化樹脂が塗布される開口領域を有するスクリーンにスキージを摺動させて、前記スクリーンを通して前記未硬化樹脂をグラファイトシートの上面に塗布する熱伝導性シートの製造方法において、
    前記開口領域にはグラファイトシートの端面に位置する余剰領域が設けられ、前記スキージが余剰領域の下部の空間に前記未硬化樹脂を浸出させて前記グラファイトシートの端面に前記未硬化樹脂を塗布する熱伝導性シートの製造方法。
  2. 請求項1記載の熱伝導性シートの製造方法において、未硬化樹脂は、グラファイトシートの上面及び端面を覆うように塗布されることを特徴とする熱伝導性シートの製造方法。
  3. 請求項1記載の熱伝導性シートの製造方法において、未硬化樹脂は、グラファイトシートの上面の一部と端面とを覆うように塗布されることを特徴とする熱伝導性シートの製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか記載の熱伝導性シートの製造方法において、開口領域の余剰領域は、開口領域の境界からグラファイトシートの端面に対応する位置までの余剰長さがグラファイトシートの厚みの0.2〜10倍となるように設けられたことを特徴とする熱伝導性シートの製造方法。
  5. 請求項4記載の熱伝導性シートの製造方法において、開口領域の余剰領域は、開口領域のスキージ摺動開始側の境界からグラファイトシートのスキージ摺動開始側の端面に対応する位置までの余剰長さが、他の余剰領域における余剰長さの1.5〜2.5倍であることを特徴とする熱伝導性シートの製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか記載の熱伝導性シートの製造方法において、スクリーンとグラファイトシートとの間の距離が0.1〜2mmであることを特徴とする熱伝導性シートの製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか記載の熱伝導性シートの製造方法において、スキージの進行方向前面の傾斜角度が25〜70°であることを特徴とする熱伝導性シートの製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか記載の熱伝導性シートの製造方法において、グラファイトシートの一面が予め平坦化処理されていることを特徴とする熱伝導性シートの製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか記載の熱伝導性シートの製造方法において、グラファイトシートが粘着層を介して離型シートの上に設けられていることを特徴とする熱伝導性シートの製造方法。
  10. 請求項9記載の熱伝導性シートの製造方法において、複数個のグラファイトシートが粘着層を介して離型シートの上に設けられていることを特徴とする熱伝導性シートの製造方法。
  11. 請求項10記載の熱伝導性シートの製造方法において、複数個のグラファイトシートが複数種類の形状を有することを特徴とする熱伝導性シートの製造方法。
  12. 請求項9〜11のいずれか記載の熱伝導性シートの製造方法において、グラファイトシートが粘着層を介して離型シートの上に設けられた積層体は、前記グラファイトシート及び前記粘着層が所定の形状にカットされ、それ以外のグラファイトシート不要部及び粘着層不要部は除去されたものであることを特徴とする熱伝導性シートの製造方法。
  13. 請求項1〜12記載の熱伝導性シートの製造方法により製造された熱伝導性シート。
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