以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る光ディスク装置を示す斜視図である。図2は、図1に示す光ディスク装置10の内部構造を示す斜視図である。なお、図2において、電気回路基板や配線、その他本発明に関係のない機構等は図示を省略している。
光ディスク装置10は、筐体5と、筐体5内に配置された記録再生ユニット15とを備えている。図2に示すように、筐体5は、底部に設けられたベースプレート1にフロントパネル2及びバックパネル3が立設され、外部カバー4により内部を覆うように構成されている。フロントパネル2には、ディスク状の記録媒体D(以下、単にディスクという。)を挿入したり、取り出したりするためのスロット9が設けられている。スロット9にはスロットカバー6が装備され、ほぼ90度回動することにより、スロット9が開閉される。
図1に示すように、ディスクDは、例えばディスクカートリッジ49に収容されたタイプのディスクが用いられる。図2では、そのカートリッジ49の図示を省略しており、ディスクDのみを図示している。しかし、ディスクカートリッジ49は必ずしもなくてもよく、ベアタイプでもよい。また、ディスクDとしては、例えば近接場光により信号を記録または再生するタイプのディスクが用いられる。
記録再生ユニット15は、筐体5内に設けられたインナベース(ベース体)22上に搭載されている。インナベース22と、筐体5のベースプレート1とは、図3に示すようにダンパで接続されており、インナベースは、そのようにダンパ57で接続される以外は、筐体に接続されていない。ダンパ57は、例えば樹脂やゴムでなる。このような構成により、筐体5に加えられた外部からの振動をダンパにより吸収することができ、記録再生ユニット15にその振動が伝わらないようになっている。これより、サーボ動作が適切に行われ、安定的に信号を記録または再生することができる。
図2に示すように、記録再生ユニット15は、ディスクDをクランプするクランプ部17と、クランプされたディスクDを回転駆動するスピンドルモータ18と、回転するディスクDに信号を記録すること及び記録された信号を再生することのうち少なくとも一方が可能な光ピックアップ11とを備えている。
光ピックアップ11は、対物レンズ等の集光素子を搭載した2軸アクチュエータ7と、光源、光検出器、レンズ系等を搭載した光学系ユニット8とを備えている。光学系ユニット8は、カバー部材19により覆われているが、図2では、カバー部材19の上面の一部を切り欠いて内部構造が見えるように図示している。
図4は、上記2軸アクチュエータ7を示す斜視図である。2軸アクチュエータ7は、一般的な構成でよい。例えば、2軸アクチュエータ7は、ベース部材25に、ワイヤ28を支持するワイヤ支持台29が載置され固定されている。トラッキングコイル31及びフォーカシングコイル32が所定の方向に巻回されてボビン24に装着され、ボビン24には対物レンズ26を保持する対物レンズホルダ23が搭載されている。また、ボビン24は上記ワイヤ28に支持され、トラッキング方向(Y軸方向)及びフォーカシング方向(ギャップ方向)(Z方向)に移動可能になっている。ベース部材25の先端及びほぼ中央にはマグネット27、27がそれぞれ配置され、これらのマグネット27が磁界を発生する。ベース部材25は、例えば磁性材料でなり、各マグネット27がそれぞれ取り付けられる2つの取り付け部25aと、ボビン24に設けられた穴24aに挿通されるように立設された2つの片部25bとを有している。つまり、これら取り付け部25a及び片部25bも磁性材料でなり、これらとマグネット27により磁気回路が構成される。このような2軸アクチュエータ7の構成によれば、各コイル31、32に電流が印加されることで対物レンズ26が、ディスクDの信号記録面E上の所定のアドレスに位置することができるようになる。
なお、2軸アクチュエータ7ではなく、その2軸方向に、チルト方向(X−Y平面に対する対物レンズまたはディスクの信号記録面の傾き)の軸をさらに加えた3軸アクチュエータが用いられてもよい。
光ピックアップ11が備える図示しない光源は、例えば波長が400nm程度のレーザ光を出射する光源が用いられるが、上記ディスクDの種類に応じて適宜設計の変更が可能である。光ピックアップ11の光学系は、例えば上記特許文献3の図1に示されるような公知の構成でよいが、これに限られず、他の公知の形態でもよい。近接場光が利用される場合、対物レンズ26としては、NA(Numerical Aperture)が1以上のものが用いられる。しかし、レーザ光の波長に応じてNAが1未満の対物レンズが用いられてももちろんかまわない。
図5は、対物レンズ26を示す斜視図である。対物レンズ26は、例えばSIL(Solid Immersion Lens)であり、直径が0.8〜1mm程度の球体の一部の形状をなし、対物レンズ26の上部は円錐形でなる。その円錐の頂点は、例えば数十μmの小さな平面で、これがディスクDの信号記録面Eに対面する、対物レンズ26の端面26aとなる。対物レンズ26のNAは1.8程度とされている。図6は、その対物レンズ26の端面26aを示す平面拡大写真である。端面26aとディスクDの信号記録面Eとの距離が、本実施の形態でいう「ギャップ」である。
図2の説明に戻る。記録再生ユニット15のうち、クランプ部17及びスピンドルモータ18等は、ガイド軸16に沿ってY軸方向に進退する可動ベースフレーム48に搭載されている。一方、光ピックアップ11は、インナベース22上に固定されているか、または、インナベース22に固定された図示しないフレーム等の部材に固定されている。可動ベースフレーム48は、図示しないスレッドモータによってY軸方向に移動可能に構成されている。可動ベースフレーム48には位置センサ12が取り付けられ、位置センサ12は、ガイドレール13に沿って移動するように設けられている。位置センサ12は、可動ベースフレーム48の移動位置を検出するセンサであり、記録または再生時のスレッド動作によるディスクDの位置を検出する。このようなスレッド機構によって、可動ベースフレーム48、スピンドルモータ18、クランプ部17及び次に説明するローディングガイド21が一体的に移動する。
可動ベースフレーム48の上部には、ディスクDのローディング/アンローディング時に用いられるローディング機構を取り付けるローディングガイド21が付けられている。本発明を実施する上では、ローディング機構は重要ではないので図示していない。例えば、ディスクDがスロット9に挿入されたとき、図示しないローディング機構がディスクDを保持する。ローディング機構は、可動ベースフレーム48及びこれと一体となっているローディングガイド21の上部に取り付けられており、図示しない駆動源によってディスクDをクランプ部17まで搬送し、ディスクDはスピンドルモータ18上部にクランプされる。このとき、可動ベースフレーム48は、スロット9の近傍に位置している。そして、図示しないスレッドモータにより図2の位置まで移動する。
ローディング機構は、例えばディスクDの周縁部を両側から挟持するようなアームタイプの機構により実現される。しかし、アームタイプに限らず、ディスクDの表面及び裏面、あるいは周縁部を挟持する送りローラタイプの機構であってもよい。カートリッジタイプの場合は、ローディング機構が、カートリッジの開閉を行って、ディスクDをスピンドルモータ18の上部に搬送し、カートリッジ内に内蔵されたチャッキングプレート(または、クランププレート)96とスピンドルモータ18の図示しない上部にあるマグネットの磁力で、ディスクDを挟み込む。
インナベース22には、ダンパ95を介してフィルタユニット14が設置されている。ダンパ95は、フィルタユニット14から発生する振動を吸収し、インナベース22にその振動が伝わることを極力抑える機能を有し、さらにフィルタユニット14はカバー部材19等には接していない。すなわち、フィルタユニット14による振動が、インナベース22を介して記録再生ユニット15には極力伝わらないようになっている。
フィルタユニット14は、一般的なファンフィルタユニットであり、ファン14aにより筐体内の空気を循環させながら、ダストを除去するものである。フィルタ(図示せず)としては、例えばHEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタが用いられる。しかし、これに限らず、流量を確保できる準HEPAタイプでもよい。また、ファン14aの流量が十分大きければ、ULPA(Ultra Low Penetration Air)フィルタでもよい。あるいは、化学ガスを吸着する活性炭などのケミカルフィルタ等が、HEPA、またはULPAフィルタ等に重ね合わせて用いられてもよい。
筐体5の一部を構成するバックパネル3には、フィルタユニット14とは別のフィルタユニット64がさらに配置されている。フィルタユニット64は、筐体5の内部と外部との間で空気を流通させる。すなわち、バックパネル3には空気の流通口(図示せず)が設けられ、その流通口にフィルタユニット64が取り付けられている。フィルタユニットは、ファン64aとフィルタ(図示せず)とで構成される一般的なフィルタユニットである。フィルタの構成は、フィルタユニット14のフィルタと同種のフィルタが用いられてもよいし、異なる種類のフィルタが用いられてもよい。
このようにフィルタユニットが2つ設けられることにより、筐体内の空気を極めて高い清浄度で維持することができる。また、これにより、トラッキングサーボやギャップサーボ等のサーボ動作を安定して行うことが可能となる。特に、ギャップサーボでは、後述するように、例えば対物レンズの端面26aとディスクDの記録面Eとのギャップが20〜40nm程度に一定に制御されなければならない。したがって、ダストがほとんどない状態でギャップサーボされる必要がある。
本実施の形態において、フィルタユニット14の流量が第1の流量の場合、フィルタユニット64の流量が第1の流量より多い第2の流量とされると、さらにダスト除去の効果が高くなる。このような流量制御は、上記図示しないコントローラが行えばよい。
例えば、ディスクDのローディング/アンローディング時に、フィルタユニット64の動作を開始するような制御も考えられる。またはローディング/アンローディング時に、フィルタユニット64のパワーを強めたりする制御も実現可能である。これにより、ローディング/アンローディング時に筐体内に混入するダストも効率良く除去することができ、フィルタの寿命も延びる。
図7は、光ピックアップユニットを示す斜視図である。光ピックアップユニット80は、上記光ピックアップ11と、チルト制御機構70とを備えている。チルト制御機構70は、ラジアルチルト制御機構71及びタンジェンシャルチルト制御機構72からなる。
ラジアルチルト制御機構71は、例えばステッピングモータ73を有し、このステッピングモータ73の図示しない回転軸に、図示しないギア等を介して傾動ステージ77が接続されている。傾動ステージ77は、スレッド機構によりディスクDが移動するY軸方向に直交する軸(X軸)を中心軸として傾動する。具体的には、ラジアルチルト制御機構71は、上部に曲面84aを有する部材84を備え、傾動ステージ77はその曲面84a上を動くことにより傾動する。
タンジェンシャルチルト制御機構72も、ラジアルチルト制御機構71と同様にステッピングモータ75を有し、このステッピングモータ75の図示しない回転軸に、図示しないギア等を介して傾動ステージ78が接続されている。傾動ステージ78は、Y軸を中心軸として傾動する。具体的には、タンジェンシャルチルト制御機構72は、曲面85aを有する部材85を備え、傾動ステージ78はその曲面85a上を動くことにより傾動する。部材85は、傾動ステージ77のフランジ部77a上に固定されているので、傾動ステージ78は、傾動ステージ77上で傾動するようになっている。さらに傾動ステージ78は、光学系ユニット8に対して直接、または適当な部材を介して固定されている。また、傾動ステージ78上には、2軸アクチュエータ7を支持する支持台83が固定されている。この支持台83の高さ(Z方向での長さ)は、対物レンズ26の端面26aを中心として上記傾動ステージ77及び78が回動するような高さに設計されている。
ラジアルチルト制御機構71及びタンジェンシャルチルト制御機構72は、傾動ステージ77及び78を±5°の範囲内、つまり10°の範囲内でそれぞれ傾動させることが可能になっている。しかし、この範囲内に限られず、適宜変更可能である。
なお、ステッピングモータ73及び75には、電気ケーブル81及び82がそれぞれ接続されている。また、ステッピングモータ73及び75には、手動でもチルト角を調整可能なように調整ネジ74及び76がそれぞれ装備されている。
このように構成されたチルト制御機構70により、傾動ステージ77及び78がそれぞれ傾動し、これにより光ピックアップユニット80全体がラジアル方向での回動(X軸を中心とした回動)及びタンジェンシャル方向での回動(Y軸を中心とした回動)が可能となっている。その結果、対物レンズ26の、ディスクDの記録面Eに対する傾きが制御される。
図8は、光ディスク装置10のギャップサーボの制御システムの構成を示すブロック図である。ギャップサーボ制御システム35は、2軸アクチュエータ7、光検出器36、規格化ゲイン41、AD(analog to digital)変換器42、ギャップサーボ目標値設定部47、フィルタ39、DA(digital to analog)変換器38及びドライバ37を有する。
制御対象は2軸アクチュエータ7である。また、検出量(被制御量)は、ディスクDからの反射戻り光量51であり、光検出器36により検出される。検出された反射戻り光量51は、規格化ゲイン41にて、例えば1Vに規格化される。規格化後の信号は、AD変換器42にてデジタル化される。上記のデジタル化された反射戻り光量51は、ギャップサーボ目標値設定部47で設定された目標値52(または53)と偏差が取られ、ギャップエラー信号54が生成される。ギャップエラー信号54は、位相補償等の機能を有するフィルタ39により位相補償され、DA(digital to analog)変換器38にてアナログ信号化され、ドライバ37に入力される。ドライバ37はその入力信号に応じて、ギャップエラー信号54がゼロとなるように駆動信号58を出力して2軸アクチュエータ7を駆動する。
ギャップサーボ目標値設定部47は、複数のギャップサーボ目標値を設定する。図9はその設定値を示す図である。図9に示す例では、2つの異なる目標値52及び53が設定されているが、もちろん3つ以上の目標値が段階的に設定されてもよい。図9において、反射戻り光量51のファーフィールドにおける電圧値が、例えばE(V)に規格化されたとき、第1の目標値52に対応する第1のギャップ目標値G1は、その反射戻り光量51がある程度下がった位置の、例えば0.8E(V)と設定される。反射戻り光量51が下がり始める位置(G3)以下のギャップがニアフィールド内のギャップとなる。また、第2の目標値53に対応する第2のギャップ目標値G2が例えば0.5E(V)に設定され、その0.5E(V)に対応するギャップG2が最終的なギャップ目標値となる。
第1のギャップ目標値G1は、例えば40〜90nm、あるいは50〜80nm程度に設定される。第2のギャップ目標値G2は、例えば10〜40nm、あるいは20〜30nmに設定される。ニアフィールドになるギャップG3は、約80〜100nmである。もちろん、これらの値は、レーザ光の波長によって変わるので、これらの値に限られない。
図10は、一実施の形態に係る光ディスク装置10の制御システムの構成を示すブロック図である。システムコントローラ45は、例えば2軸アクチュエータ7のドライバ37にギャップサーボを開始するよう制御信号を出力する。また、ギャップサーボ制御システム35は、記録再生ユニットの制御システム56の一部となっており、システムコントローラ45は、光ディスク装置10全体を統括的に制御する。
次に、本発明の一実施の形態に係るギャップサーボの動作を説明する。図11は、その動作を示すフローチャートである。図12は、その動作時の、時間経過と反射戻り光量を示すグラフである。図13(A)〜(C)はその動作時の対物レンズの動きを説明するための模式図である。
ディスクDが、光ディスク装置10に装填され、記録再生ユニット15にセットされると、システムコントローラ45はギャップサーボを開始する(ステップ1101)。システムコントローラ45は、ギャップサーボを開始するときは、スピンドルモータ18(またはスピンドルモータ18を駆動する図示しないドライバ)に、ディスクDを回転させないような制御信号、あるいは何も制御信号を送らず、ディスクDを静止させるようにしている。
システムコントローラ45は、そのようにディスクDを静止させた状態で、ギャップがファーフィールドから第1のギャップ目標値である、ニアフィールド内のG1になるように、ドライバ37に制御信号を出力し、ドライバ37は2軸アクチュエータ7を駆動する(ステップ1102)。これにより、図12の(A)の期間で示すように、ギャップが第1のギャップ目標値G1で一定となる。図13(A)から図13(B)は、このときの様子、つまり、ファーフィールドからニアフィールドに移行する動作を示している。なお、符号43で示す信号は、ガイド電圧信号であり、ドライバ37はこのガイド電圧信号43に追従するように2軸アクチュエータ7を駆動する。
上記のように、ディスクDを静止させた状態でギャップが第1のギャップ目標値G1になるように制御されることにより、ディスクDが回転している場合に比べ、対物レンズが記録面Eに付着したダスト34に接触して押しつぶす可能性が減る。すなわち、対物レンズ26とディスクDとがダスト34を介して衝突する可能性を低くすることができる。
ステップ1102の後、システムコントローラ45は、スピンドルモータ18(またはスピンドルモータ18を駆動する図示しないドライバ)に、ディスクDを回転させるよう制御信号を出力する(ステップ1103)。このとき、ディスクDを少なくとも1回転させることが好ましく、所定の回転だけ回転させる。この回転の数は任意に設定可能である。また、このときディスクDの回転数(回転速度)も任意に設定可能である。ディスクDが回転することにより、ディスクDの記録面E上にある、ギャップG1より大きなダスト34を対物レンズ26自身が弾き飛ばすか、あるいはダスト34が対物レンズ26のテーパ部26bに付着する。これにより、ディスクDの記録面Eがクリーニングされる効果が得られる。ディスクDに付着するテーパ部26bにダスト34が付着しても、端面26aにダスト34が付着しなければ問題なく、テーパ部に付着したダスト34は、例えばレンズクリーニング等によって除去することができる。このとき、スレッドモータによりディスクDがY軸方向に動けば、記録面E上の所定の領域をクリーンニングすることができる。
また、ディスクDが回転することにより、ギャップG1において、ダスト34によりどれくらいのエラーが発生するのかをモニタしておくことが可能となる。つまりこの場合、システムコントローラは、所定のエラーが検出されるか否かを判断する(ステップ1104)。
「所定のエラー」とは、例えば、ギャップエラー信号54が所定の閾値を超えた場合が考えられる。あるいは、ギャップエラー信号54が所定の閾値を超える時間、またはギャップエラー信号54が所定の閾値を超える回数(または単位時間での回数)によって「所定のエラー」となるか否かが判断されてもよい。ここで、「所定の閾値」は適宜設定可能である。
ステップ1104で所定のエラーが検出された場合は、システムコントローラ45は、ギャップサーボを停止し、ディスクDを排出するように制御する(ステップ1107)。あるいは、ディスクDが排出されるまでもなく、システムコントローラ45は、ギャップサーボの動作を停止し、単に信号の記録または再生の動作を停止するだけでもよい。
ステップ1104で所定のエラーが検出されなかった場合は、システムコントローラ45は、ギャップが、第1のギャップ目標値G1から第2のギャップ目標値G2になるように、ドライバ37に制御信号を出力し、ドライバ37は2軸アクチュエータ7を駆動する(ステップ1105)。このときの様子を図13(C)に示す。また、図12の期間(B)でギャップが第2のギャップ目標値G2になっている。また、このとき、システムコントローラ45は、ステップ1103から引き続きディスクDを回転させているが、停止させるよう制御してもかまわない。これにより、ステップ1102でディスクDを停止させていた場合と同様に、ディスクDが回転している場合に比べ、対物レンズ26が記録面Eに付着したダスト34に接触して押しつぶす可能性が減る。すなわち、対物レンズ26とディスクDとがダスト34を介して衝突する可能性を低くすることができる。このようにディスクDが停止している場合、ステップ1103のようにシステムコントローラ45は、ステップ1105の後にディスクDの回転を開始すればよい。
ステップ1105において、第2のギャップ目標値のギャップG2でギャップサーボがかけられると、システムコントローラ45は、トラッキングサーボ等の必要な処理をし、信号を記録または再生する(ステップ1106)。ステップ1105とステップ1106との間に、ステップ1104と同様に、システムコントローラ45は、所定のエラーが検出されたか否かを判断するようにしてもよい。
以上のように本実施の形態に係る光ディスク装置10では、ニアフィールド内のギャップ目標値が複数の段階に設定され、その目標値に応じて段階的にギャップが制御される。すなわち、対物レンズ26がダストに接触して、対物レンズ26がダストを介してディスクDに衝突する可能性が比較的高い最終的なギャップG2に移行する前に、それより大きなギャップG1になるようにギャップ制御される。これにより、対物レンズ26とディスクDとが衝突する可能性を少なくすることができ、最終的なギャップG2に安全に移行することができる。
また、本実施の形態では、段階的なギャップ制御によって、オーバーシュートが起こりにくくなるので、対物レンズ26とディスクDとの衝突の危険性が少なくなる。
次に、本発明の他の実施の形態に係るギャップ制御の方法について説明する。図14は、その制御システムの構成を示すブロック図である。システムコントローラ45は、上述したように、例えば2軸アクチュエータ7のドライバ37にギャップサーボを開始するよう制御信号を出力する。また、システムコントローラ45は、チルト制御システム44にも制御信号を送り、チルト制御機構70の動作を制御する。チルト制御システム44は、例えば上記ステッピングモータ73及び75を駆動するモータドライバ等を有する。チルト制御システム44は、システムコントローラ45の制御信号に基づき、例えば光検出器(図8参照)で検出された反射戻り光量に応じてチルト制御機構70を制御するように構成されている。
図15は、そのギャップ制御の動作を示すフローチャートである。図16は、図15に示すステップ1504及び1505の動作をさらに詳細に説明するためのフローチャートである。
まず、システムコントローラ45は、2軸アクチュエータ7に所定の電圧を印加して、対物レンズ26をディスクDの信号記録面Eに接触させる(ステップ1501)。このとき、ディスクDは回転しておらず、静止状態とされている。ステップ1501では、対物レンズ26の接触させるディスクD上の位置を、例えば信号が記録されない領域にすることで、ディスクDの信号記録面Eに傷を付けることなくチルト制御することができる。
対物レンズ26がディスクDに接触すると、システムコントローラ45は、反射戻り光量51がほぼゼロか否かを検出する(ステップ1502)。反射戻り光量がゼロの場合は、図17(A)に示すように、対物レンズ26が傾いておらず、すなわちチルトはゼロとなる。チルトがない場合、対物レンズ26から漏れる近接場光のほぼ全てがディスクDに吸収されるからである。この場合、対物レンズ26とディスクDとは相対的に正常な位置にあると推定される。そうすると、ステップ(1508)に進み、システムコントローラ45は、ギャップサーボ制御システム35によるギャップサーボを開始する(ステップ1508)。
図18は、ステップ1502(のYES)とステップ1508における、時間経過と反射戻り光量を示すグラフである。時間t1まで、反射戻り光量はほぼゼロである。このように対物レンズとディスクとが接触した状態から、時間t1でギャップサーボが開始される。ここでのギャップの目標値は、上記第2のギャップ目標値G2とされている。なお、符号59で示す信号は、ガイド電圧信号である。このように、対物レンズ26がディスクDに接触した状態から、ディスクDから離れていくときにギャップ目標値G2に達するように制御されることにより、スムーズに目標ギャップG2に到達することができる。図18では、時間t2において、一旦目標ギャップG2を超え、オーバーシュートしているが、ディスクDから離れる方向へオーバーシュートしているので、対物レンズ26とディスクDとが衝突することはない。
また、たとえディスクDにダストが付着していても、対物レンズ26がディスクDに接触した状態からディスクDから離れている間にギャップサーボがかけられるので、対物レンズ26がダストを押しつぶすといった危険性を少なくすることができる。
なお、システムコントローラ45は、目標ギャップG2に達した時点である時間t3からディスクDの回転を開始し、信号を記録または再生すればよい。このディスクの回転開始時間は、t1より後であってt3より前であってもよい。
図15の説明に戻る。ステップ1502で、対物レンズ26がディスクDに接触しているにもかかわらず反射戻り光量がゼロでない場合、図17(B)に示すように対物レンズがディスクDの記録面Eに対して傾いている。この状態では、ギャップサーボにおける反射戻り光量とギャップとの線形性が乱れ、ギャップサーボができない。そこで、システムコントローラ45は、例えば、チルト制御機構70によりラジアル方向のチルトを制御する(ステップ1503)。このステップでのチルト制御は、反射戻り光量の変化率がΔaより小さくなるまで行われる(ステップ1504)。このチルト制御について、以下より詳しく説明する。
図19は、対物レンズ26をディスクDに接触させた場合におけるチルト角と反射戻り光量との関係を示すグラフである。このグラフより、チルト角と反射戻り光量との関係は例えば二次関数的なものであることがわかる。システムコントローラ45は、この関係から、チルト制御機構70によりそのチルトがゼロになるように制御する。具体的には、システムコントローラ45は、ステップ1503でラジアルチルトを制御するときは、ラジアルチルト制御機構71を用いて制御し、後述のステップ1505でタンジェンシャルチルトを制御するときは、タンジェンシャルチルト制御機構72を用いて制御する。なお、チルト制御されている間は、ディスクDは回転せず、静止している。
図19において、チルト角の正負は、対物レンズ26の端面26aの傾斜の方向を表しており、例えば図17(B)の実線に示した対物レンズの状態のチルトが正ならば、一点鎖線で示した対物レンズ26の状態のチルトが負で表せる。図19のグラフにおいて、符号Cの部分が、チルトがゼロの状態を示している。上記ステップ1504では、反射戻り光量の変化率がΔaより小さくなった場合に、システムコントローラ45は、ラジアルチルトの制御を終了する。ここで、反射戻り光量の変化率とは、対物レンズ26の所定のチルト角度分傾斜させる前と後との戻り光量の比率であり、極限的には図19で示した各チルト角における曲線の傾きである。この傾きがゼロであれば、対物レンズ26のチルトはゼロ(C点)になる。
図16を参照して、まずシステムコントローラ45は、収束パラメータNをN=0、移動ゲインkをk=1に設定する(ステップ1901)。図20に示すように、移動ゲインkは、対物レンズ26のチルトを制御していく際に、対物レンズ26を所定のチルト角度分傾斜させるときの1回当りの角度量である。図19のグラフ上では、移動ゲインkは、横軸上での移動量となる。実際には、移動ゲインkはチルト制御機構70のステッピングモータ73及び75に印加される電圧等によっても表せる。収束パラメータNとは、対物レンズ26のチルトを制御していく際に、後述するようにC点を通り過ぎるごとに、そのC点を通り過ぎた後に対物レンズ26の極性を反転させる回数(カウント値)である。
収束パラメータN、移動ゲインkが設定されると、システムコントローラ45は、その移動ゲインkで対物レンズ26を所定のチルト角度分傾斜させる(ステップ1902)。ここでは、ステップ1503の説明をしているため、ラジアル方向であって、例えば図19及び図20の矢印Aの方向に傾斜させるものとする。対物レンズがA方向に傾斜し、反射戻り光量が減少したならば(ステップ1903のYES)、反射戻り光量はC点に向かって収束しているので、チルト制御方向は正しいと推定され、次のステップへ進む。反射戻り光量が増加したならば(ステップ1903のNO)、システムコントローラ45は、チルト制御の極性を反転させ(ステップ1904)、今度は逆方向のB方向にチルト角を変更してチルト制御をしていく。
ステップ1903で反射戻り光量が減少したならば、システムコントローラ45は、さらにA方向に上記移動ゲインkで対物レンズ26を傾斜させる(ステップ1905)。これによりシステムコントローラ45は、反射戻り光量が減少したならばさらに移動ゲインkでA方向にチルト制御していき、反射戻り光量がC点を越えて増加するまで傾斜させていく。システムコントローラ45は、反射戻り光量が増加したら(ステップ1906のYES)、収束パラメータNを1インクリメントし、かつ、移動ゲインkにα(<1)を乗じ、新たな収束パラメータN及び移動ゲインkにセットする(ステップ1907)。その後、システムコントローラ45は、対物レンズ26の傾斜方向の極性を反転し(ステップ1908)、新たにセットされた移動ゲインkで、B方向に対物レンズ26を傾斜させる(ステップ1909)。B方向に対物レンズ26を傾斜させた場合に、反射戻り光量が減少していれば(ステップ1910のNO)、システムコントローラ45は、チルト制御方向が正しいと推定し、さらに続けてB方向に移動ゲインkで対物レンズ26を傾斜させていく。逆に、反射戻り光量が増加していれば(ステップ1910のYES)、C点を通り越しているので、システムコントローラ45は、さらに収束パラメータNを1インクリメントし、かつ、移動ゲインをkにαを乗じて新たにセットし(ステップ1911)、移動方向の極性を反転する(ステップ1912)。そして、システムコントローラ45は、収束パラメータNがN≧X(Xは任意に設定可能)となったら(ステップ1913のYES)、チルト制御を終了する。図21に、以上のようなチルト制御による反射戻り光量の変化の様子を示す。図21において、横軸は時間経過として見ることもできる。
図15の説明に戻り、上述したようにステップ1905において、システムコントローラ45は、反射戻り光量の変化率がΔaより小さくなった場合、ラジアルチルトの制御を終了する。ステップ1905では、例えば上述したようにN≧Xとなったときに反射戻り光量の変化率がΔaより小さくなったものと推定することができる。あるいは、システムコントローラ45は、反射戻り光量の変化率、つまり、直前の反射戻り光量と、現在の反射戻り光量との比を実際に算出することによってステップ1905を判断してもよい。
以上のようなラジアルチルト制御の手法と同様な手法でタンジェンシャルチルトが制御される(ステップ1505及び1506)。なお、ラジアルチルト制御とタンジェンシャルチルト制御とは順序が逆であってもよい。
そして、最後にシステムコントローラ45は、反射戻り光量がΔc以下であるか判断する(ステップ1507)。この場合、システムコントローラ45は、直前の反射戻り光量と、現在の反射戻り光量との比を実際に算出することによって判断する。上記所定の値Δa(若しくは、タンジェンシャルチルト制御時の所定の値Δb)は、任意の値に設定可能であるが、チルト角を収束させるにはほぼゼロが望ましい値である。また、ステップ1507での所定の値Δcは、ディスクDにより依存して決まる値である。ディスクDによりギャップゼロ、チルトがゼロでも、反射戻り光量がゼロになるとは限らない。
ステップ1507において反射戻り光量が所定の値Δc以下であれば、システムコントローラ45は、上記したように対物レンズ26がディスクDに接触した状態から、ギャップサーボを開始する(ステップ1508)。
図22は、本発明の別の実施の形態に係る光ディスク装置の一部を示す模式図である。これ以降の説明では、図1、2等に示した実施の形態に係る光ディスク装置10の部材や機能等について同様のものは説明を簡略または省略し、異なる点を中心に説明する。
図22に示す光ディスク装置では、ディスクDの記録面Eを撮像するカメラ33を備えている。カメラ33は、例えば筐体5(図1等参照)の内部に配置され、筐体5に対して固定であり、例えば図示しない適当な部材によって支持されている。このような構成によれば、スレッドモータによってディスクDがY軸方向で移動することにより、カメラ33がディスクDの記録面E上を径方向(Y軸方向)に移動する。このカメラ33により、記録面E上の欠陥、例えばディスクDに付着したダストの有無が観察される。記録面E上の欠陥としては、ディスクDの製造時に記録面E付近に気泡が生成され、あるいは製造時に付着するダスト等も考えられる。
カメラ33の設置位置は、図22に示すようなディスクDの外周側に限られず、ディスクDの半径方向で中央、あるいは内周側でもよい。あるいは、ディスクDが透明な基材でなる場合、カメラ33はディスクDの表面(記録面Eとは反対側の面)から撮像するようにしてもよい。カメラ33は、筐体5に対して固定でなくてもよく、例えば図示しない駆動機構によってディスクDの径方向に移動するような構成であってもよい。カメラ33の撮像素子としては、例えばCCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)等が用いられるが、2次元の画像光を電気信号に変換できる素子であれば何でもよい。
あるいは、図23に示すように、ディスクDの記録面Eの画像を反射させるミラー61が設けられていてもよい。ミラー61により反射された画像がカメラ33で撮影される。図23では、ミラー61の反射角度がほぼ直角となっているが、カメラ33の配置、形状または構造によって適宜その角度を変更することが可能である。また、ミラー61は複数あって、複数回その画像光の光路が折返されてもよい。
図24は、図22または図23に示した光ディスク装置の制御システムの構成を示すブロック図である。システムコントローラ45は、カメラ33で撮像された画像を取得する。また、システムコントローラ45は、その画像を解析し、その解析結果に応じてギャップサーボ制御システム35によりギャップサーボを実行させるか否かを制御する。
図25は、ギャップサーボ制御システム35でギャップサーボされたときの、上記反射戻り光量の電圧信号51、2軸アクチュエータ7に印加される電圧信号(上記駆動信号58に相当)、及びガイド電圧信号を示す図である。ガイド電圧信号152、153は、ニアフィールドに入ったことを示すニアフィールド検出レベル152、ギャップサーボ目標値153にそれぞれ相当する。2軸アクチュエータ7の駆動信号58は、(A)の時点でギャップサーボが開始される。その後、(B)の時点で反射戻り光量の電圧信号51は、ガイド電圧信号152を下回り、ニアフィールドに入り、ガイド電圧信号153に追従するようになる。反射戻り光量の電圧信号51がギャップサーボ目標値153に追従するようになると、システムコントローラ45は記録再生ユニットの制御システム56により信号の記録または再生を開始させる。
図26は、図25に示した時点(B)において、時間軸が拡大された様子を示す図である。図26に示すように、反射戻り光量の電圧信号51は、理想的にはガイド電圧信号153に沿って所定のギャップまで引き込まれるが、この際、ディスクDの記録面Eが汚れていると対物レンズ26の端面26aを汚してしまい、衝突などの不具合を生じることがある。
図27は、対物レンズ26が、ギャップサーボによりディスクDに接近し、信号記録面Eにダストが付着した様子を模式的に示した側面図である。図27(A)に示すように、ディスクDの信号記録面Eにダスト34が付着している場合に、図27(B)に示すように対物レンズ26が記録面Eに接近すると、対物レンズ26とディスクDとがダスト34を介して衝突してしまう。このようにディスクDが汚れている場合、対物レンズ26に汚れが付着し、図28に示すようにギャップエラー信号(GES)の振幅が大きくなり、また、トラッキングエラー信号(TES)の振幅が小さくなり乱れる。この場合、トラッキングサーボに移行することが不可能になる。
そこで、本実施の形態に係る光ディスク装置は、以下のように動作する。図29はその動作を示すフローチャートである。
システムコントローラ45は、スレッドモータを駆動することで、カメラ33がディスクDの記録面E上の、ギャップサーボ制御システム35によりギャップサーボが開始されるべき領域を撮像するような位置まで、ディスクDを移動させる(ステップ1601)。システムコントローラ45は、その領域をカメラ33により撮像する(ステップ1602)。
ここで、ギャップサーボが開始されるべき領域とは、ユーザの指示によって指定された任意の領域、例えば信号の記録または再生時に最初に対物レンズ26がアクセスしようとするユーザデータの領域でよい。あるいは、予め定められた、ギャップサーボ開始専用の領域でもよい。この場合、ギャップサーボ開始専用であることのマークが記録面Eに設けられていればよい。このマークは、例えば、凹凸形状により記録面Eに記録されていてもよいし、プリント等によってマーキングされていてもよい。これにより、任意の領域で欠陥が検出される場合に比べ、ギャップサーボがなされるまでの処理を高速化することができる。
図30は、カメラ33により撮像された記録面E上の領域にダストが付着していた場合の、当該領域を示す拡大写真である。例えば破線で示す領域Fに、ギャップサーボが行われ、対物レンズ26の端面26aが接近した場合、図27(B)で示したように端面26aにダスト34が付着してしまう。図31は、図30に示した画像を2値化処理した画像を示す。
システムコントローラ45は、図18に示すように、例えば2値化処理して画像を解析することにより、所定個数以上または所定サイズ以上のダストを検出したか否かを判断する(ステップ1603)。好ましくは、システムコントローラ45は、単純にダスト34があるかないかを判断することが好ましい。しかしながら、これに限られることはない。所定数未満または所定のサイズ未満のダストが検出された場合には、信号の記録または再生に影響がない場合も考えられるからである。また、ダストの個数の条件と、サイズの条件とがAND条件であってもかまわない。また、ダストの個数及びサイズの閾値の条件は適宜設定可能である。
上記画像解析は、図31に示したような2値化処理に限らず、例えばグレーレベル、またはカラーレベルで解析されてもよい。そのときの量子化ビット数等は適宜設定できる。
また、ここで上記「ギャップサーボが開始されるべき領域」は、例えば図30で示すように、領域Fの範囲に相当するが、このようなスポット的な領域に限られるわけではない。つまり、あえて言うなら0次元的な領域に限られない。信号の記録または再生時には、スピンドルモータ18によってディスクDが回転するので、記録面E上のある半径位置における、回転するディスクDの少なくとも1周分の画像の領域が、ここでいう「ギャップサーボが開始されるべき領域」とされてもよい。すなわち、1周分の線状の(1次元的な)領域でもよい。なお、実際には記録信号は螺旋状なので、ディスクが1周すると、上記「半径位置」はトラックピッチ分ずれる。
あるいは、1周分だけではなく、適宜設定された周回分撮像された領域が、「ギャップサーボが開始されるべき領域」とされてもよい。すなわち、面状の(2次元的な)領域でもよい。
このように、「ギャップサーボが開始されるべき領域」が1次元的または2次元的な領域に設定されることにより、記録面E上のギャップサーボを実行することができる可能性のある位置が増え、処理が高速化され、確実にギャップサーボを開始することができる。
なお、1次元的または2次元的な領域をカメラ33で撮像する場合、カメラ33の撮像素子や、これを画像化する処理回路等の性能に応じて、ダストの有無が判別可能な程度にディスクの回転速度が適宜設定されればよい。
図29の説明に戻る。ステップ1603において、所定個数移行または所定サイズ以上のダストが検出されなかった場合、システムコントローラ45は、その撮像された領域(ギャップサーボが開始される領域)で、ギャップサーボ制御システム35によりギャップサーボを開始するよう制御する(ステップ1604)。ギャップサーボがかかった後、信号が記録または再生される(ステップ1605)。
図32は、ギャップサーボが適切に行われているときの各信号の状態を示す図である。図15と比較した場合、図32では、ギャップサーボ及びトラッキングエラー信号に乱れは見られない。
ステップ1603において、所定個数以上または所定サイズ以上のダストが検出された場合、ギャップサーボを行わず、システムコントローラは、光ディスク装置からディスクを排出するよう制御する(ステップ1606)。すなわち、この場合、システムコントローラ45がローディング機構を制御することにより、ディスクDが筐体5外に押し出される。あるいは、システムコントローラ45は、ディスクDを排出せずとも、単に記録再生ユニットの制御システム56を停止するように制御するか、または音声や表示等により警告してもよい。所定個数以上または所定サイズ以上のダストが検出された場合、ギャップサーボが行われないことにより、図27(B)に示したように、対物レンズ26にダスト34が付着して汚れることを未然に防ぐことができる。
図33は、いくつかのディスクDの記録面Eの状態を観察した結果を示すグラフである。横軸は、ディスクDの固有の番号を表し、縦軸は、ダストの直径が約10μmサイズ以上の欠陥の個数を表している。なお、本実験では、7枚のディスクDで実験が行われた。1つのディスクDで3つのデータがあるのは、測定対象の記録面E上の領域の、円形ディスクの中心からの径方向の距離(半径位置)がそれぞれ異なることを示している。また、1つ1つの棒線で表される欠陥個数は、同一半径位置で角度が2度ごとに180箇所(全周分)測定されたときのダストの合計を表している。具体的な測定対象である、ディスクD中心からの半径位置は、それぞれ25mm、28mm及び31mmである。
このグラフから、例えば欠陥個数が15個以上であった場合に、図29で示したステップ1606のようにディスクDが排出されるように制御されてもよい。
以上のように、本実施の形態では、ギャップサーボ制御システム35によりギャップサーボが開始されるべき記録面E上の領域でギャップサーボが実行される場合、カメラ33によりその領域に欠陥が検出された場合は、ギャップサーボを実行しないように制御される。これにより、対物レンズ26とディスクDとが衝突して損傷するといった事態を防止することができる。
本実施の形態では、特に、0.85を超え、近接場光として集光されるまでの開口数(1.8程度)を有する対物レンズ26が用いられる。対物レンズ26がこのような範囲の開口数を有する場合、ディスクDの記録密度は極めて高密度であり、ギャップサーボ制御システム35による動作が高精度に行われなければならない。したがって、このような近接場光を利用する光ディスク装置10に、図24に示したシステムや図29に示した動作が適用されるのは非常に有効である。
本実施の形態では、例えば、ステップ1603のNOの後、システムコントローラ45は、図24で示したステップ1601〜1606のフローを動作するようにしてもよい。あるいは、ステップ1603のNOの後、システムコントローラ45は、図15で示したフローをステップ1501〜1507までを動作するようにしてもよい。
図34は、本発明のさらに別の実施の形態に係る動作を示すフローチャートである。ステップ2101からステップ2105までは、図29の動作と同じである。ステップ2106において、所定個数以上または所定サイズ以上のダストが検出された場合、システムコントローラ45は、ディスクDの記録面Eをクリーニングさせる(ステップ2106)。この場合のクリーニング機構は図示しないが、ディスクDに接触してクリーニングするブラシ材、ペーパ材、またはその他の部材等を有するものでよい。スレッドモータの駆動によりディスクDが動くことで、記録面Eとブラシ材等が接触しダストが除去される。また、この場合、カメラ33で撮像された領域をクリーニングしてもよいし、記録面Eの全体をクリーニングしていもよい。
クリーニング後、システムコントローラ45は、記録面上の同じ領域を再度撮像して、以降の動作を繰り返せばよい。クリーニングの回数や、カメラ33の撮像回数は適宜設定可能である。1回、または複数回クリーニングしてもダストが除去できない場合、ディスクが排出されてもよい。
図35は、本発明のさらに別の実施の形態に係る光ディスク装置を示す斜視図である。図1に示した光ディスク装置10は、スロットインタイプの装置であった。図35に示す光ディスク装置50は、トレイ方式の光ディスク装置である。すなわち、ディスクトレイ66が、筐体5から前側にせり出す構造となっており、ディスクDがディスクトレイ66に置かれると、ディスクDは筐体5内に格納される。このようなトレイ方式の光ディスク装置50に、上述した本発明の要旨に係る各実施の形態の技術的思想が組み込まれた形態も考えられる。
本発明は以上説明した実施の形態には限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
例えば図11において、ステップ1104で所定のエラーが検出された。しかし、ステップ1104は必ずしも必要ではなく、ステップ1103の後ステップ1105に進んでもよい。
あるいは、図15に示したステップ1508から、図11に示した動作が開始されるようにしてもよい。つまり、図15のステップ1508のギャップサーボが開始される場合、対物レンズ26がディスクDの記録面Eから離れていくときに、まず第1のギャップ目標値G1まで離れ、それから第2のギャップ目標値G2になるように制御される。もちろんこの場合、ステップ1101からステップ1107まですべてのステップを経てもよいし、上記のようにステップ1103の後ステップ1105に進んでもよい。
フィルタユニット14または64の配置は、図2に示した位置に限られず、適宜変更可能である。例えば、光ディスク装置10等を構成する筐体5の形状や構造、記録再生ユニット15の配置や構造等についても、適宜変更可能である。あるいは、フィルタユニットは、必要に応じて1つだけ設けられてもよいし、3つ以上設けられてもよい。
上記実施の形態では、ダストを検出する手段としてカメラ33が用いられた。しかし、これに限らず、ディスクDの記録面Eに光を照射するための光源と、記録面Eから反射されたその光を受けるフォトディテクタとが検出手段として用いられてもよい。この場合、光の反射光量がそのフォトディテクタで検出され、例えば記録情報の情報源となるピットの反射光量には現れない反射光量(例えば反射光量が極めて低い場合等)が検出された場合には、そこにダストがあると判断することができる。
上記各実施の形態に係る記録再生ユニット15は、信号の記録及び再生を行うユニットであった。しかし、記録及び再生のうちいずれか一方が行われるユニットであってもよい。