ここで、内燃機関の運転状態に応じて性能を確保する場合には、特許文献1に記載の排気通路長制御装置のように、デュアル長を変化させて排気脈動効果を向上させる以外に、排気管内に設けられる浄化手段である触媒を、運転状況に応じてバイパスさせることによっても性能を確保することができる。つまり、内燃機関の運転する際には、排気脈動効果を向上させる以外に、運転状況に応じて、排気ガスを触媒に通す必要がある場合には触媒を通し、触媒を通す必要がない場合には触媒をバイパスさせるように内燃機関の運転状態に応じて切り替え、触媒をバイパスさせる場合における背圧を低減することによっても、性能を確保することができる。
しかし、これらにより性能を確保するために、デュアル長を変化させることと、運転状況に応じて触媒をバイパスさせることとを共に実現するためには、デュアル長を変化させるために設けられる切替え弁以外に、触媒をバイパスするかを切り替える切替え弁が必要になる。このため、切替え弁の数が増えると共に、排気管の構成が複雑になるので、車両への搭載性が低下する虞があり、また、製造コストが上昇する虞があった。さらに、切替え弁の数が増えることにより、制御も複雑になる虞があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、内燃機関の運転状態に応じた排気脈動効果の向上と運転状態に応じて背圧を低減することとを、簡易な構成で両立することのできる可変排気装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明に係る可変排気装置は、複数の気筒を有する内燃機関の一部の前記気筒から排出される排気ガスが流れる第1通路と、前記第1排気通路に流れる前記排気ガスを排出する前記気筒とは異なる前記気筒から排出される前記排気ガスが流れる第2通路と、前記第1通路内に配設されると共に前記排気ガスを浄化する第1浄化手段と、前記第2通路内に配設されると共に前記排気ガスを浄化する第2浄化手段と、前記第1通路内を流れる前記排気ガスの流れ方向における前記第1浄化手段の下流側の位置と前記第2通路内を流れる前記排気ガスの流れ方向における前記第2浄化手段の下流側の位置とで前記第1通路及び前記第2通路に接続される共通通路と、前記排気ガスの流れ方向における前記第1浄化手段の上流側の位置で前記第1通路から分岐している第1分岐通路と、前記排気ガスの流れ方向における前記第2浄化手段の上流側の位置で前記第2通路から分岐している第2分岐通路と、一端が前記第1分岐通路と前記第2分岐通路とに連通可能に設けられると共に他端が前記共通通路に接続される連結通路と、前記第1分岐通路と前記第2分岐通路と前記連結通路とに接続され、且つ、少なくとも前記第1分岐通路と前記第2分岐通路と前記連結通路とをそれぞれ遮断させる、または、前記第1分岐通路と前記第2分岐通路とを連通させる、または、前記第1分岐通路と前記連結通路及び前記第2分岐通路と前記連結通路とをそれぞれ連通させることを切り替え可能に設けられた切替手段と、を備えることを特徴とする。
この発明では、第1浄化手段が配設されている第1通路から分岐した第1分岐通路と、第2浄化手段が配設されている第2通路から分岐した第2分岐通路と、共通通路に接続されると共に第1分岐通路及び第2分岐通路と連通可能に設けられた連結通路との連通を、切替手段によって切り替え可能に設けている。これらのように設けることにより、第1分岐通路と第2分岐通路と連結通路とをそれぞれ遮断させた場合には、排気ガスは第1通路や第2通路を通るので、デュアル長は長くなり、第1浄化手段や第2浄化手段を通過する。これにより、内燃機関運転時の低回転時における排気脈動効果を向上させることができる。また、第1分岐通路と第2分岐通路とを連通させた場合には、第1分岐通路や第2分岐通路を通った排気ガスが合流するので、デュアル長は短くなり、第1浄化手段や第2浄化手段を通過する。これにより、内燃機関運転時の高回転時における排気脈動効果を向上させることができる。
また、第1分岐通路と連結通路及び第2分岐通路と連結通路とをそれぞれ連通させた場合には、排気ガスは第1分岐通路から連結通路、または第2分岐通路から連結通路を通って共通通路に流れるので、第1浄化手段や第2浄化手段をバイパスさせることができる。これにより、内燃機関の運転状態に応じて背圧を低減することができる。また、この場合において、第1分岐通路と第2分岐通路とを連通させた場合にはデュアル長は短くなるので、高回転時における排気脈動効果を向上させることができ、第1分岐通路と第2分岐通路とを連通させない場合にはデュアル長は長くなるので、低回転時における排気脈動効果を向上させることができる。これらのように、第1分岐通路と、第2分岐通路と、連結通路との連通を、切替手段によって切り替え可能に設けることにより、複数の気筒から排出される排気ガスが合流するまでの長さを変化させたり、排気ガスを第1通路及び第2通路に通したり通さなかったりすることができる。これらの結果、内燃機関の運転状態に応じた排気脈動効果の向上と運転状態に応じて背圧を低減することとを、簡易な構成で両立することができる。
また、この発明に係る可変排気装置は、前記切替手段は、前記第1分岐通路と前記連結通路及び前記第2分岐通路と前記連結通路とをそれぞれ連通させた際には、さらに前記第1分岐通路と前記第2分岐通路とを連通させることを特徴とする。
この発明では、切替手段を切り替えることによって、第1分岐通路と連結通路及び第2分岐通路と連結通路とをそれぞれ連通させた際には、第1分岐通路と第2分岐通路とを連通させているので、第1浄化手段や第2浄化手段をバイパスさせた場合におけるデュアル長を短くすることができる。これにより、第1浄化手段及び第2浄化手段をバイパスできるので、内燃機関の運転状態に応じて背圧を低減できると共に、高回転時における排気脈動効果を向上させることができる。これらの結果、より確実に内燃機関の運転状態に応じて排気脈動効果を向上させることができると共に運転状態に応じて背圧を低減することができる。
また、この発明に係る可変排気装置は、前記切替手段は、それぞれが前記切替手段内で連通した第1開口部と第2開口部と第3開口部とを有しており、前記第1分岐通路と前記第2分岐通路と前記連結通路とをそれぞれ遮断させる場合には、前記第1開口部と前記第2開口部と前記第3開口部とは、前記第1分岐通路と前記第2分岐通路と前記連結通路とには連通させず、前記第1分岐通路と前記第2分岐通路とを連通させる場合には、前記第1開口部と前記第2分岐通路とを連通させると共に前記第2開口部と前記第1分岐通路とを連通させ、且つ、前記第3開口部は前記連結通路には連通させず、前記第1分岐通路と前記連結通路及び前記第2分岐通路と前記連結通路とをそれぞれ連通させる場合には、前記第1開口部と前記第1分岐通路とを連通させると共に前記第2開口部と前記第2分岐通路とを連通させ、さらに、前記第3開口部と前記連結通路とを連通させることを特徴とする。
この発明では、切替手段に、当該切替手段内で連通した第1開口部と第2開口部と第3開口部とを設け、切替手段を切り替える場合にはこれらの第1〜3開口部と、第1分岐通路、第2分岐通路及び連結通路を連通させたり連通させなかったりすることにより、第1分岐通路、第2分岐通路、連結通路を、より確実に互いに連通させたり連通させなかったりすることができる。これにより、1つの切替手段を切り替えるのみでデュアル長を変化させたり、浄化手段をバイパスさせたりすることができる。この結果、より確実に簡易な構成で、内燃機関の運転状態に応じた排気脈動効果の向上と運転状態に応じて背圧を低減することとを両立することができる。
また、この発明に係る可変排気装置は、前記連結通路は、共に前記共通通路に接続される第1連結通路と第2連結通路とからなり、前記切替手段には7つの開口部が形成されていると共に、前記7つの開口部のうち第1開口部と第2開口部、及び第3開口部と第4開口部、及び第5開口部と第6開口部と第7開口部とが、それぞれ前記切替手段内で連通しており、前記第1分岐通路と前記第2分岐通路と前記連結通路とをそれぞれ遮断させる場合には前記開口部は、前記第1分岐通路と前記第2分岐通路と前記連結通路とには連通させず、前記第1分岐通路と前記連結通路及び前記第2分岐通路と前記連結通路とをそれぞれ連通させる場合には、前記第1開口部と前記第1分岐通路とを連通させると共に前記第2開口部と前記第1連結通路とを連通させ、且つ、前記第3開口部と前記第2分岐通路とを連通させると共に前記第4開口部と前記第2連結通路とが連通させ、前記第1分岐通路と前記第2分岐通路とを連通させると共に、前記第1分岐通路と前記連結通路及び前記第2分岐通路と前記連結通路とをそれぞれ連通させる場合には、前記第5開口部と前記第1分岐通路とを連通させると共に前記第6開口部と前記第2分岐通路とを連通させ、さらに、前記第7開口部と前記連結通路とを連通させることを特徴とする。
この発明では、連結通路を第1連結通路と第2連結通路とから構成し、切替手段に7つの開口部を形成している。この開口部は、上記のように第1開口部と第2開口部、第3開口部と第4開口部、第5開口部と第6開口部と第7開口部とが、それぞれ切替手段内で連通している。この切替手段を切り替える場合には、これらの開口部と、第1分岐通路、第2分岐通路、第1連結通路、第2連結通路を連通させたり連通させなかったりすることにより、第1分岐通路、第2分岐通路、第1連結通路、第2連結通路を、より確実に互いに連通させたり連通させなかったりすることができる。特に、連結通路を第1連結通路と第2連結通路とから構成しているので、第1分岐通路と第2分岐通路とを連通させる場合でも連通させない場合でも、第1分岐通路と第1連結通路、及び第2分岐通路と第2連結通路とを連通させることができる。これにより、第1分岐通路と第2分岐通路との連通の状態に関わらず、第1分岐通路と第1連結通路、及び第2分岐通路と第2連結通路とを連通させ、浄化手段をバイパスさせることができる。この結果、簡易な構成で、より確実に内燃機関の運転状態に応じて背圧を低減することができる。
また、この発明に係る可変排気装置は、さらに、前記共通通路には、前記共通通路内を流れる前記排気ガスを浄化する共通浄化手段が設けられていることを特徴とする。
この発明では、連結通路が接続された共通通路に共通浄化手段を設けているので、第1浄化手段及び第2浄化手段をバイパスさせた排気ガスを、共通通路内の共通浄化手段で浄化させることができる。これにより、第1浄化手段及び第2浄化手段をバイパスさせ、背圧を低減させた場合における排気ガスの浄化作用を確保することができる。この結果、背圧を低減させた場合におけるエミッション性能を確保することができる。
また、この発明に係る可変排気装置は、さらに、前記連結通路には、前記連結通路内の連通と遮断とを切り替え可能に設けられた連結通路切替手段が配設されていることを特徴とする。
この発明では、連結通路に連結通路切替手段を設けているので、切替手段を切り替えることにより第1分岐通路と第2分岐通路のみを連通させ、第1分岐通路及び第2分岐通路と連結通路とを遮断することが出来ない形態においても、連結通路切替手段で連結通路を遮断することにより、第1分岐通路と第2分岐通路のみを連通させることができる。これにより、より確実にデュアル長を短くすることができる。この結果、簡易な構成で、より確実に内燃機関の運転状態に応じて排気脈動効果の向上を図ることができる。
本発明に係る可変排気装置は、内燃機関の運転状態に応じた排気脈動効果の向上と運転状態に応じて背圧を低減することとを、簡易な構成で両立することができる、という効果を奏する。
図1は、本発明の実施例1に係る可変排気装置が設けられた内燃機関の概略図である。同図に示す内燃機関1には、本発明の実施例1に係る可変排気装置10が備えられており、この内燃機関1は、複数の気筒3を有している。この複数の気筒3は、内燃機関1の運転時における出力軸であるクランクシャフト(図示省略)に対して気筒3が2方向に向けて形成されており、このように形成された気筒3を有する当該内燃機関1は、いわゆるV型の内燃機関1となっている。このV型の内燃機関1は、3つの気筒3が1つの組となってバンク5を形成しており、このバンク5が2つ設けられている。即ち、当該内燃機関1は、6つの気筒3を有している。また、2つのバンク5のうち、一方のバンク5は第1バンク6となっており、他方のバンク5は第2バンク7となっている。
このように複数の気筒3が形成される内燃機関1には、内燃機関1の運転時に内燃機関1から排出される排気ガスが流れる排気通路である排気管11が接続されている。この排気管11は各気筒3に接続されており、第1バンク6に形成される気筒3に接続される排気管11は第1排気管12となっており、第2バンク7に形成される気筒3に接続される排気管11は第2排気管13となっている。このうち、第1排気管12は、第1バンク6に形成される気筒3から排出される排気ガスが流れる第1通路となっており、第2排気管13は、第2バンク7に形成される気筒3から排出される排気ガスが流れる第2通路となっている。これらの第1排気管12、及び第2排気管13は、それぞれ3つの気筒3に接続された3つの排気管11が1つに集合して形成されている。
また、第1排気管12内には、第1排気管12内を流れる排気ガスを浄化する第1浄化手段である第1触媒31が配設されており、第2排気管13内には、第2排気管13内を流れる排気ガスを浄化する第2浄化手段である第2触媒32が配設されている。さらに、これらの第1排気管12及び第2排気管13は、第1排気管12内を流れる排気ガスの流れ方向における第1触媒31の下流側の位置と、第2排気管13内を流れる排気ガスの流れ方向における第2触媒32の下流側の位置とで集合して1つの排気管11に接続されており、第1排気管12及び第2排気管13が接続されたこの排気管11は、共通通路である集合排気管22となっている。つまり、第1排気管12と第2排気管13とは、共に内燃機関1側に位置する端部と反対側の端部で集合排気管22に接続されている。この集合排気管22内には、当該集合排気管22内を流れる排気ガスを浄化する共通浄化手段である共通触媒35が設けられている。
このように集合排気管22に設けられる共通触媒35と、第1触媒31及び第2触媒32は、炭化水素(HC)と、一酸化炭素(CO)と、窒素酸化物(NOx)との3物質を酸化・還元反応によって同時に除去する、いわゆる三元触媒となっている。また、これらの第1触媒31、第2触媒32、共通触媒35は、浄化温度は同じであるが、排気ガスは、流れ方向で放熱し温度勾配を持つため、共通触媒35よりも、排気ガスの流れ方向において上流側に位置する第1触媒31及び第2触媒32の方が、高温に晒されることになる。
また、第1排気管12は、第1排気管12内を流れる排気ガスの流れ方向における第1触媒31の上流側の位置で分岐しており、この分岐している部分は第1分岐通路である第1分岐管15となっている。同様に、第2排気管13は、第2排気管13内を流れる排気ガスの流れ方向における第2触媒32の上流側の位置で分岐しており、この分岐している部分は第2分岐通路である第2分岐管16となっている。これらの第1分岐管15と第2分岐管16との間には、切替手段である切替バルブ40が設けられており、第1分岐管15及び第2分岐管16は、切替バルブ40に接続されている。
また、この切替バルブ40には、連結通路である連結排気管21が接続されており、この連結排気管21は、両端部のうちの一端が切替バルブ40に接続され、他端が第1排気管12と第2排気管13と集合排気管22との接続部分に接続されている。つまり、連結排気管21は、切替バルブ40と集合排気管22とに接続されており、これらの間に設けられている。
また、切替バルブ40は、このように第1分岐管15と第2分岐管16と連結排気管21とに接続されており、また、切替バルブ40には、切替バルブ40を作動可能に設けられたアクチュエータ(図示省略)が接続されている。これにより、切替バルブ40は作動可能になっており、第1分岐管15、第2分岐管16及び連結排気管21は、切替バルブ40を作動させることにより、切替バルブ40を介して連通したり切替バルブ40によって遮断されたりする。
また、第1排気管12には、当該第1排気管12内を流れる排気ガスの流れ方向において、第1分岐管15が第1排気管12から分岐している部分の上流側と前記内燃機関1との間に、排気ガスの成分を検出する排気成分検出手段である第1排気成分センサ51が設けられている。また、第2排気管13には、第1排気管12と同様に、第2排気管13内を流れる排気ガスの流れ方向において、第2分岐管16が第2排気管13から分岐している部分の上流側と前記内燃機関1との間に、排気成分検出手段である第2排気成分センサ52が設けられている。さらに、集合排気管22には、当該集合排気管22内を流れる排気ガスの流れ方向における共通触媒35の下流側に、排気成分検出手段である共通排気成分センサ55が設けられている。
これらのように設けられる切替バルブ40、第1排気成分センサ51、第2排気成分センサ52及び共通排気成分センサ55は、全て当該内燃機関1を搭載する車両(図示省略)の各部を制御するECU(Electronic Control Unit)からなる制御部60に接続されている。
ECUからなるこの制御部60には、処理部61、記憶部62及び入出力部63が設けられており、これらは互いに接続され、互いに信号の受け渡しが可能になっている。また、制御部60に接続されている切替バルブ40、第1排気成分センサ51、第2排気成分センサ52及び共通排気成分センサ55は、入出力部63に接続されており、入出力部63は、これらのセンサ等との間で信号の入出力を行なう。また、記憶部62には、本発明に係る可変排気装置10を制御するコンピュータプログラムが格納されている。この記憶部62は、ハードディスク装置や光磁気ディスク装置、またはフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ(CD−ROM等のような読み出しのみが可能な記憶媒体)や、RAM(Random Access Memory)のような揮発性のメモリ、或いはこれらの組み合わせにより構成することができる。
また、処理部61は、メモリ及びCPU(Central Processing Unit)により構成されている。当該可変排気装置10が有する切替バルブ40の制御は、第1排気成分センサ51など車両の各部に設けられたセンサによる検出結果に基づいて、処理部61が前記コンピュータプログラムを当該処理部61に組み込まれたメモリに読み込んで演算し、演算の結果に応じて切替バルブ40を作動させることにより制御する。その際に処理部61は、適宜記憶部62へ演算途中の数値を格納し、また格納した数値を取り出して演算を実行する。なお、このように可変排気装置10を制御する場合には、前記コンピュータプログラムの代わりに、ECUとは異なる専用のハードウェアによって制御してもよい。
図2は、図1のA部詳細図である。切替バルブ40は、断面形状が略円形になっており、内部には穴状の通路であるガス通路が形成されている。このガス通路は、第1ガス通路41と第2ガス通路42とからなり、第1ガス通路41と第2ガス通路42とは、切替バルブ40内で接続されている。詳しくは、第1ガス通路41は切替バルブ40を貫通しており、その両端が切替バルブ40の外側の面であるバルブ外周面48に開口し、それぞれ第1開口部45と第2開口部46になっている。また、第2ガス通路42は、一端が切替バルブ40の内部で第1ガス通路41に接続され、第1ガス通路41に連通しており、他端がバルブ外周面48に開口し、第3開口部47になっている。このうち、第1開口部45と第2開口部46とは、第1分岐管15及び第2分岐管16の内部の断面形状と同等の形状になっており、第3開口部47は、連結排気管21の内部の断面形状と同等の形状になっている。
このように形成される切替バルブ40は、当該切替バルブ40の断面形状である円形の中心を中心として回動可能になっている。また、第1分岐管15、第2分岐管16及び連結排気管21は、バルブ外周面48に対向し、ほぼ接するように形成され、実質的に切替バルブ40に接続されている。これらの第1分岐管15、第2分岐管16及び連結排気管21は、切替バルブ40が回動することにより、第1開口部45、第2開口部46、第3開口部47から第1ガス通路41や第2ガス通路42に連通したり、バルブ外周面48によって遮断されたりする。
この実施例1に係る可変排気装置10は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。内燃機関1を運転すると、気筒3内に空気と燃料との混合気が吸入され、気筒3内で燃料が燃焼する。燃料の燃焼後のガスは、排気ガスとなって排気管11内に排出され、第1バンク6に設けられた気筒3から排出される排気ガスは、第1排気管12内に排出され、第2バンク7に設けられた気筒3から排出される排気ガスは、第2排気管13内に排出される。
内燃機関1の運転時には、このように排気ガスが発生し、排気ガスは排気管11内を流れるが、内燃機関1の暖気運転時や低回転・低負荷時には、切替バルブ40で第1分岐管15、第2分岐管16及び連結排気管21を遮断する。なお、内燃機関1の運転状態は、第1排気成分センサ51など車両の各部に設けられたセンサによる検出結果に基づいて制御部60で総合的に判断する。このように、切替バルブ40に接続されている全ての排気管11を遮断する場合には、切替バルブ40を作動させて第1分岐管15、第2分岐管16及び連結排気管21を、バルブ外周面48で塞ぐ(図2参照)。このように、第1分岐管15と第2分岐管16を遮断した場合には、内燃機関1から排出された排気ガスは第1分岐管15及び第2分岐管16の方向には流れず、第1排気管12内を流れる排気ガスは第1触媒31の方向に流れ、第2排気管13内を流れる排気ガスは第2触媒32の方向に流れる。これにより、排気ガスは第1触媒31や第2触媒32を通過し、これらを通過する際に浄化される。
第1分岐管15及び第2分岐管16が切替バルブ40によって遮断されている状態では、排気ガスはこのように第1触媒31や第2触媒32を通過するが、内燃機関1の暖気運転時や低回転・低負荷時には、排気ガスの温度は低くなっている。このため、第1分岐管15及び第2分岐管16を切替バルブ40によって遮断し、排気ガスが第1触媒31や第2触媒32を通過するようにした場合でも、第1分岐管15及び第2分岐管16の温度が高くなり過ぎることを抑制できる。
第1触媒31や第2触媒32を通過した排気ガスは、さらに下流に流れて第1排気管12と第2排気管13とが接続されている集合排気管22内に流れ、集合排気管22内で合流する。この集合排気管22には共通触媒35が設けられているため、集合排気管22内で合流した排気ガスは、共通触媒35を通過し、共通触媒35によって浄化される。
このように、内燃機関1の暖気運転時や低回転・低負荷時には、切替バルブ40で第1分岐管15や第2分岐管16を遮断することにより、排気ガスは第1触媒31や第2触媒32を通過するが、このような運転状態の場合における背圧は、比較的低くなっている。このため、第1触媒31や第2触媒32は排気ガスの流れの大きな抵抗にはなり難くなっており、排気ガスは容易に流れる。また、第1排気管12や第2排気管13を通る排気ガスは、集合排気管22で合流するため、内燃機関1から排出された排気ガスが複数の通路を通った状態での、この通路の長さであるデュアル長が長くなる。このため、排気脈動は、内燃機関1を低回転で運転している場合に適した排気脈動になり、内燃機関1の低回転時における性能が確保される。
図3は、第1分岐管と第2分岐管とを連通させた状態を示す説明図である。前記内燃機関1の運転時における高回転・低負荷時には、切替バルブ40で第1分岐管15と第2分岐管16とを連通させ、連結排気管21は遮断する。第1分岐管15、第2分岐管16及び連結排気管21を、このような状態にする場合には、切替バルブ40を作動させて第2開口部46と第1分岐管15とを連通させ、第1開口部45と第2分岐管16とを連通させる。これにより、第1分岐管15と第2分岐管16とは、第1ガス通路41に対して連通するので、この第1分岐管15と第2分岐管16とは、第1ガス通路41を介して連通する。また、連結排気管21は、切替バルブ40のバルブ外周面48で塞ぐ。
このように、第1分岐管15と第2分岐管16とを連通した場合には、内燃機関1から排出された排気ガスの一部は第1分岐管15内及び第2分岐管16内に流れ、第1分岐管15、第2分岐管16、第1ガス通路41のいずれかの部分で、第1分岐管15内の排気ガスと第2分岐管16内の排気ガスとは合流する。これにより、第1分岐管15及び第2分岐管16の方向に流れた排気ガスは、第1触媒31や第2触媒32の方向には向かわないため、デュアル長が短くなる。このため、排気脈動は、内燃機関1を高回転で運転している場合に適した排気脈動になり、内燃機関1の高回転時における性能が確保される。
また、第1分岐管15と第2分岐管16とを連通させても、連結排気管21は遮断させているので、排気ガスは第1触媒31または第2触媒32を通って集合排気管22の方向に向かうが、内燃機関1を低負荷で運転している場合における背圧は、比較的低くなっている。このため、第1触媒31や第2触媒32は排気ガスの流れの大きな抵抗にはなり難くなっており、排気ガスは容易に流れる。
図4は、第1分岐管、第2分岐管、連結排気管を連通させた状態を示す説明図である。前記内燃機関1の運転時における高回転・高負荷時には、切替バルブ40で第1分岐管15、第2分岐管16及び連結排気管21を全て連通させる。第1分岐管15、第2分岐管16及び連結排気管21を、このような状態にする場合には、切替バルブ40を作動させて第1開口部45と第1分岐管15とを連通させ、第2開口部46と第2分岐管16とを連通させ、さらに、第3開口部47と連結排気管21とを連通させる。これにより、第1分岐管15と第2分岐管16とは、第1ガス通路41に対して連通し、連結排気管21は第2ガス通路42に対して連通するので、第1分岐管15と第2分岐管16と連結排気管21とは、第1ガス通路41及び第2ガス通路42を介して連通する。
このように、第1分岐管15、第2分岐管16及び連結排気管21を連通させた場合には、内燃機関1から排出された排気ガスは、第1排気管12内から第1分岐管15内に流れると共に、第2排気管13内から第2分岐管16内に流れる。これにより、排気ガスは第1分岐管15、第2分岐管16、第1ガス通路41のいずれかの部分で合流する。さらに、合流した排気ガスは、第2ガス通路42を通って連結排気管21内に流れ、連結排気管21内から集合排気管22の方向に向かって集合排気管22内に流れる。このため、内燃機関1から排出された排気ガスは、第1触媒31及び第2触媒32を通らずに集合排気管22内に流れ、集合排気管22に配設された共通触媒35を通過し、共通触媒35で浄化される。つまり、第1触媒31と第2触媒32とはバイパスされ、排気ガスはこれらを通過せずに、集合排気管22内に流れる。
内燃機関1を高回転・高負荷で運転する際には、背圧は比較的高くなっているが、この運転状態の時には、切替バルブ40を切り替えて第1触媒31及び第2触媒32をバイパスさせているので、背圧が低減され、排気ガスは効率良く流れる。
また、切替バルブ40を切り替えて第1分岐管15、第2分岐管16及び連結排気管21を連通させた状態では、排気ガスはこのように第1触媒31及び第2触媒32は通過せず、第1分岐管15、第2分岐管16及び連結排気管21を通って集合排気管22内に流れ、共通触媒35を通過する。また、内燃機関1を高回転・高負荷で運転する際には、排気ガスの温度は高くなるが、排気ガスは放熱しながら下流方向に流れる。このため、高温の排気ガスが共通触媒35を通過する際には、排気ガスの温度は低下しているので、共通触媒35の温度が高くなり過ぎることが抑制される。
また、排気ガスは、第1分岐管15、第2分岐管16、第1ガス通路41のいずれかの部分で合流するため、デュアル長が短くなる。このため、排気脈動は、内燃機関1を高回転で運転している場合に適した排気脈動になり、内燃機関1の高回転時における性能が確保される。
以上の可変排気装置は、第1触媒31が配設されている第1排気管12から分岐した第1分岐管15と、第2触媒32が配設されている第2排気管13から分岐した第2分岐管16と、集合排気管22に接続されると共に第1分岐管15及び第2分岐管16と連通可能に設けられた連結排気管21との連通を、切替バルブ40によって切り替え可能に設けている。これらのように設けることにより、第1分岐管15と第2分岐管16と連結排気管21とをそれぞれ遮断させた場合には、排気ガスは第1排気管12内や第2排気管13内を通るので、デュアル長は長くなり、内燃機関1運転時の低回転時における排気脈動効果を向上させることができる。また、第1分岐管15と第2分岐管16とを連通させた場合には、第1分岐管15や第2分岐管16を通った排気ガスが合流するので、デュアル長は短くなり、内燃機関1運転時の高回転時における排気脈動効果を向上させることができる。
また、第1分岐管15と連結排気管21及び第2分岐管16と連結排気管21とをそれぞれ連通させた場合には、排気ガスは第1分岐管15から連結排気管21、または第2分岐管16から連結排気管21を通って集合排気管22に流れるので、第1触媒31や第2触媒32をバイパスさせることができる。これにより、内燃機関1の高負荷運転時など背圧が高くなる運転状態においても背圧を低減することができ、運転状態に応じて背圧を低減することができる。これらのように、第1分岐管15と、第2分岐管16と、連結排気管21との連通を、1つの切替バルブ40によって切り替え可能に設けることにより、複数の気筒3から排出される排気ガスが合流するまでの長さを変化させたり、排気ガスを第1触媒31及び第2触媒32に通したり通さなかったりすることができる。これらの結果、内燃機関1の運転状態に応じた排気脈動効果の向上と運転状態に応じて背圧を低減することとを、簡易な構成で両立することができる。
また、切替バルブ40を切り替えることによって、第1分岐管15と連結排気管21及び第2分岐管16と連結排気管21とをそれぞれ連通させた際には、第1分岐管15と第2分岐管16とを連通させているので、第1触媒31や第2触媒32をバイパスさせた場合におけるデュアル長を短くすることができる。これにより、第1触媒31及び第2触媒32をバイパスできるので、内燃機関1の運転状態に応じて背圧を低減できると共に、高回転時における排気脈動効果を向上させることができる。これらの結果、より確実に内燃機関1の運転状態に応じて排気脈動効果を向上させることができると共に運転状態に応じて背圧を低減することができる。
また、切替バルブ40に、第1ガス通路41によって切替バルブ40内で連通した第1開口部45と第2開口部46とを設け、さらに、第1ガス通路41に連通する第2ガス通路42によって切替バルブ40内で第1開口部45及び第2開口部46と連通した第3開口部47を設けている。切替バルブ40を切り替える場合にはこれらの第1開口部45、第2開口部46、第3開口部47と、第1分岐管15、第2分岐管16及び連結排気管21を連通させたり連通させなかったりすることにより、第1分岐管15、第2分岐管16、連結排気管21を、より確実に互いに連通させたり連通させなかったりすることができる。これにより、1つの切替バルブ40を切り替えるのみでデュアル長を変化させたり、第1触媒31や第2触媒32をバイパスさせたりすることができる。この結果、より確実に簡易な構成で、内燃機関の運転状態に応じた排気脈動効果の向上と運転状態に応じて背圧を低減することとを両立することができる。
また、連結排気管21が接続された集合排気管22に共通触媒35を設けているので、第1触媒31及び第2触媒32をバイパスさせた排気ガスを、集合排気管22内の共通触媒35で浄化させることができる。これにより、第1触媒31及び第2触媒32をバイパスさせ、背圧を低減させた場合における排気ガスの浄化作用を確保することができる。この結果、背圧を低減させた場合におけるエミッション性能を確保することができる。
本実施例2に係る可変排気装置は、実施例1に係る可変排気装置と略同様の構成であるが、連結排気管が第1連結通路と第2連結通路と有している点に特徴がある。他の構成は実施例1と同様なので、その説明を省略すると共に、同一の符号を付す。図5は、本発明の実施例2に係る可変排気装置が設けられた内燃機関の概略図である。図6は、図5のB−B断面図である。同図に示す可変排気装置70は、実施例1に係る可変排気装置10と同様に切替バルブ80が設けられており、この切替バルブ80を切り替えることにより、第1分岐管15と第2分岐管16と連結排気管75の連通と遮断とを切り替えることができる。このように、切替バルブ80によって連通と遮断とが切り替えられる第1分岐管15と第2分岐管16と連結排気管75とのうち、連結排気管75は、内側に当該連結排気管75内を2つの空間に区切る仕切板78が設けられている。これにより、連結排気管75内は、第1連結通路76と第2連結通路77とに区切られている。これらの第1連結通路76と第2連結通路77とは、当該連結排気管75の形成方向、或いは、連結排気管75内を流れる排気ガスの流れ方向に沿って、略平行に形成されている。
図7は、図5のC部詳細図である。実施例2に係る可変排気装置に設けられる切替バルブ80は、実施例1に係る可変排気装置10に設けられる切替バルブ40と異なり、7つの開口部が形成されている。また、この切替バルブ80には、内部に穴状の通路であるガス通路が形成されており、このガス通路は、第1ガス通路81、第2ガス通路82、第3ガス通路83及び第4ガス通路84を有している。詳しくは、第1ガス通路81は、両端部がバルブ外周面88の2箇所に開口されており、この2箇所に開口された開口部は、第1開口部91と第2開口部92になっている。第2ガス通路82も同様に、両端部がバルブ外周面88の2箇所に開口されており、この2箇所に開口された開口部は、第3開口部93と第4開口部94になっている。これらの開口部のうち、第1開口部91と第3開口部93とは、第1分岐管15及び第2分岐管16の内部の断面形状と同等の形状になっている。また、第2開口部92は第1連結通路76の内部の断面形状と同等の形状になっており、第4開口部94は第2連結通路77の内部の断面形状と同等の形状になっている。さらに、第2開口部92と第4開口部94との配置は、第1連結通路76及び第2連結通路77における切替バルブ80に対向している部分の配置と同じ配置になっている。
また、第3ガス通路83は、切替バルブ80を貫通しており、その両端がバルブ外周面88に開口し、それぞれ第5開口部95と第6開口部96になっている。また、第4ガス通路84は、一端が切替バルブ80の内部で第3ガス通路83に接続され、第3ガス通路83に連通しており、他端がバルブ外周面88に開口し、第7開口部97になっている。これらの開口部のうち、第5開口部95と第6開口部96とは、第1分岐管15及び第2分岐管16の内部の断面形状と同等の形状になっている。また、第7開口部97は、第1連結通路76と第2連結通路77とを合わせた状態の内部の断面形状と同等の形状になっている。
この実施例2に係る可変排気装置70は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。実施例2における内燃機関1の運転時における暖気運転時や低回転・低負荷時には、切替バルブ80で第1分岐管15、第2分岐管16及び連結排気管75を遮断する。このように、切替バルブ80に接続されている全ての排気管11を遮断する場合には、切替バルブ80を作動させて第1分岐管15、第2分岐管16及び連結排気管75をバルブ外周面88で塞ぐ。これにより、内燃機関1から排出された排気ガスは第1触媒31や第2触媒32を通過し、これらを通過する際に浄化される。また、第1触媒31や第2触媒32を通過した排気ガスは、さらに下流に流れて集合排気管22内に流れ、集合排気管22内で合流する。集合排気管22内で合流した排気ガスは、共通触媒35を通過し、共通触媒35によって浄化される。
このように、内燃機関1の暖気運転時や低回転・低負荷時には、切替バルブ80で第1分岐管15や第2分岐管16を遮断することにより、第1排気管12や第2排気管13を通る排気ガスは集合排気管22で合流するため、デュアル長が長くなる。このため、排気脈動は、内燃機関1を低回転で運転している場合に適した排気脈動になり、内燃機関1の低回転時における性能が確保される。
図8は、第1分岐管と第1連結通路、及び第2分岐管と第2連結通路とをそれぞれ連通させた状態を示す説明図である。前記内燃機関1の運転時における低回転・高負荷時には、切替バルブ80で第1分岐管15と第1連結通路76とを連通させ、第2分岐管16と第2連結通路77とを連通させる。第1分岐管15、第2分岐管16及び連結排気管75を、このような状態にする場合には、切替バルブ80を作動させて第1開口部91と第1分岐管15とを連通させ、第2開口部92と第1連結通路76とを連通させる。また、第3開口部93と第2分岐管16とを連通させ、第4開口部94と第2連結通路77とを連通させる。これにより、第1分岐管15と第1連結通路76とは、第1ガス通路81に対して連通するので、第1分岐管15と第1連結通路76とは、第1ガス通路81を介して連通する。同様に、第2分岐管16と第2連結通路77とは、第2ガス通路82に対して連通するので、第2分岐管16と第2連結通路77とは、第2ガス通路82を介して連通する。
このように、第1分岐管15と第1連結通路76とを連通させ、第2分岐管16と第2連結通路77とを連通させた場合には、内燃機関1から第1排気管12内に排出された排気ガスは、第1排気管12内から第1分岐管15内に流れ、第1ガス通路81を通って第1連結通路76内に流れる。また、内燃機関1から第2排気管13内に排出された排気ガスは、第2排気管13内から第2分岐管16内に流れ、第2ガス通路82を通って第2連結通路77内に流れる。第1連結通路76内に流れた排気ガスと第2連結通路77内に流れた排気ガスは、共に集合排気管22内に流れ、集合排気管22内で合流する。このように、内燃機関1から排出された排気ガスは、集合排気管22内に流入するまでは異なる経路で流れるため、デュアル長が長くなっている。このため、排気脈動は、内燃機関1を低回転で運転している場合に適した排気脈動になり、内燃機関1の低回転時における性能が確保される。
また、内燃機関1を高負荷で運転する際には、背圧は比較的高くなっているが、この運転状態の場合に切替バルブ80を切り替えて、排気ガスを第1分岐管15から第1連結通路76、または第2分岐管16から第2連結通路77に流して集合排気管22内に流入させている。つまり、第1触媒31及び第2触媒32をバイパスさせている。これにより、背圧が低減され、排気ガスは効率良く流れる。
図9は、第1分岐管、第2分岐管、連結排気管を連通させた状態を示す説明図である。前記内燃機関1の運転時における高回転・高負荷時には、切替バルブ80で第1分岐管15と第2分岐管16と第1連結通路76と第2連結通路77とを全て連通させる。第1分岐管15、第2分岐管16及び連結排気管75を、このような状態にする場合には、切替バルブ80を作動させて第5開口部95と第1分岐管15とを連通させ、第6開口部96と第2分岐管16とを連通させ、さらに、第7開口部97と第1連結通路76と第2連結通路77とを連通させる。つまり、第7開口部97と連結排気管75とを連通させる。これにより、第1分岐管15と第2分岐管16とは、第3ガス通路83に対して連通し、第1連結通路76と第2連結通路77は第4ガス通路84に対して連通するので、第1分岐管15と第2分岐管16と第1連結通路76と第2連結通路77とは、第3ガス通路83及び第4ガス通路84を介して連通する。
このように、第1分岐管15、第2分岐管16、第1連結通路76及び第2連結通路77を連通させた場合には、内燃機関1から排出された排気ガスは、第1排気管12内から第1分岐管15内に流れると共に、第2排気管13内から第2分岐管16内に流れる。これにより、排気ガスは第1分岐管15、第2分岐管16、第3ガス通路83のいずれかの部分で合流する。さらに、合流した排気ガスは、第4ガス通路84を通って第1連結通路76及び第2連結通路77、即ち連結排気管75内に流れ、連結排気管75内から集合排気管22の方向に向かって集合排気管22内に流れる。このため、内燃機関1から排出された排気ガスは、第1触媒31及び第2触媒32を通らずに集合排気管22内に流れる。つまり、第1触媒31と第2触媒32とはバイパスされ、排気ガスはこれらを通過せずに、集合排気管22内に流れる。
内燃機関1を高回転・高負荷で運転する際には、背圧は比較的高くなっているが、この運転状態の場合に、切替バルブ80を切り替えて、排気ガスを第1分岐管15及び第2分岐管16から第1連結通路76及び第2連結通路77に流して集合排気管22内に流入させている。つまり、第1触媒31及び第2触媒32をバイパスさせている。これにより、背圧が低減され、排気ガスは効率良く流れる。
また、排気ガスは、第1分岐管15、第2分岐管16、第3ガス通路83のいずれかの部分で合流するため、デュアル長が短くなっている。このため、排気脈動は、内燃機関1を高回転で運転している場合に適した排気脈動になり、内燃機関1の高回転時における性能が確保される。
以上の可変排気装置70は、連結排気管75を第1連結通路76と第2連結通路77とから構成し、切替バルブ80に7つの開口部を形成している。この開口部は、上述したように、第1開口部91と第2開口部92、第3開口部93と第4開口部94、第5開口部95と第6開口部96と第7開口部97とが、それぞれ切替バルブ80内で連通している。この切替バルブ80を切り替える場合には、これらの開口部と、第1分岐管15、第2分岐管16、第1連結通路76、第2連結通路77を連通させたり連通させなかったりすることにより、第1分岐管15、第2分岐管16、第1連結通路76、第2連結通路77を、より確実に互いに連通させたり連通させなかったりすることができる。特に、連結排気管75を第1連結通路76と第2連結通路77とから構成しているので、第1分岐管15と第2分岐管16とを連通させる場合でも連通させない場合でも、第1分岐管15と第1連結通路76、及び第2分岐管16と第2連結通路77とを連通させることができる。これにより、第1分岐管15と第2分岐管16との連通の状態に関わらず、第1分岐管15と第1連結通路76、及び第2分岐管16と第2連結通路77とを連通させ、第1触媒31及び第2触媒32をバイパスさせることができる。この結果、簡易な構成で、より確実に内燃機関1の運転状態に応じて背圧を低減することができる。
図10は、本発明の実施例2に係る可変排気装置の変形例を示す概略図である。なお、実施例2に係る可変排気装置70は、排気ガスの流れを切り替える切替手段は、切替バルブ80が1つ設けられているのみであるが、切替手段は、排気ガスの流れを切り替える切替手段は、複数配設してもよい。例えば、図10に示すように、連結排気管75に、当該連結排気管75内の連通と遮断とを切り替え可能な連結通路切替手段である連結通路切替バルブ100を配設してもよい。この場合、連結通路切替バルブ100を切り替えることにより、第1連結通路76と第2連結通路77とは同時に連通、また遮断が切り替えられる。また、この連結通路切替バルブ100は、切替バルブ80と同様に制御部60に接続され、制御部60によって制御される。
このように連結排気管75に連結通路切替バルブ100を配設することにより、実施例2に係る可変排気装置70のように、第1分岐管15と第2分岐管16のみを連通させることが出来ない形態、つまり、第1分岐管15と第2分岐管16とを連通させた状態において第1分岐管15及び第2分岐管16と連結排気管75とを遮断することが出来ない形態においても、連結通路切替バルブ100で連結排気管75を遮断することにより、第1分岐管15と第2分岐管16のみを連通させることができる。
具体的には、実施例2に係る可変排気装置70において、切替バルブ80を切り替えて第1分岐管15と第2分岐管16と第1連結通路76と第2連結通路77とを、第3ガス通路83及び第4ガス通路84を介して連通させ(図9参照)、この状態で連結通路切替バルブ100を切り替えて第1連結通路76と第2連結通路77とを共に遮断すると、第1連結通路76及び第2連結通路77には排気ガスは流れなくなる。これにより、連結排気管75に第1連結通路76と第2連結通路77とを形成し、切替バルブ80を切り替えることにより第1分岐管15と第2分岐管16と第1連結通路76と第2連結通路77とを連通させた場合においても、第1分岐管15と第2分岐管16との間のみで排気ガスが流れ、第1分岐管15と第2分岐管16のみを連通させることができる。従って、より確実にデュアル長を短くすることができる。この結果、簡易な構成で、より確実に内燃機関1の運転状態に応じて排気脈動効果の向上を図ることができる。
なお、浄化手段として第1排気管12内に設けられる第1触媒31、第2排気管13内に設けられる第2触媒32、集合排気管22内に設けられる共通触媒35は、共に三元触媒となっているが、浄化手段は三元触媒以外のものでもよい。例えば、浄化手段として、炭化水素(HC)を吸着する吸着手段を用いてもよい。上述した可変排気装置10、70の第1触媒31、第2触媒32、共通触媒35に、三元触媒以外の浄化手段を用いた場合でも、内燃機関1の運転状況に応じて、より確実に必要な浄化手段に排気ガスを流すことができる。この結果、より確実に排気ガスを浄化することができる。