JP2007217680A - 塗料組成物および塗膜組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】全体的に均一な光輝性と、上品なシルキー感を併せ持ち、求められる意匠性を十分に満たす塗料組成物および塗膜組成物を提供する。
【解決手段】塗料組成物は、水熱法で生成した薄片状基質と被膜形成性樹脂とを含有することを特徴とする。前記薄片状基質がアルミナからなり、その平均粒子径は50μm以下、アスペクト比(粒径/厚み)は5〜500であることが好ましい。塗膜組成物は、前記塗料組成物からなるベースコート層と、該ベースコート層上に形成されたクリヤコート層とからなる。
【選択図】なし

Description

本発明は、特定の薄片状基質を含有する塗料組成物に関する。さらに詳しくは従来の薄片状基質を含有する塗料組成物と比べ、全体的に均一な光輝性と粒子感のない滑らかで上品な光輝性であるシルキーな色調を有し、これらの色調を求める分野、例えば、塗料などの分野の他、意匠性を求める分野に有用な塗料組成物に関する。
薄片状基質を含有する塗料組成物は、塗膜の諸物性を向上させ、意匠性をより高めるものとして知られている。使用される薄片状基質は、塗膜中で際立った反射や干渉効果を示し、存在感がある。薄片状基質として、アルミニウム顔料、ブロンズ粉、雲母類、真珠光沢顔料類が知られている。しかしながら、これらは粒径が大きく、部分的にギラギラとした光輝質感は得られるが、全体的に粒子感のない均一な光輝性や、滑らかで上品な光輝性であるシルキーな色調が得られ難く、求められる意匠性を十分に満たすことができなかった。
上述のように従来の薄片状基質は、基質の粒子径が大きく反射面積が広い大きな粒子によって、不連続な強い光輝性はあるものの、全体として不均一で滑らかさに欠けている。これに対し、単に平均粒子径の小さな薄片状基質を用いると粒子感は減少するが、滑らかで上品な光輝性であるシルキー感は引き出せなかった。
従って本発明の目的は、上記従来技術の状況に鑑み、全体的に均一な光輝性と、上品なシルキー感を併せ持ち、求められる意匠性を十分に満たす塗料組成物を提供することである。
また、該薄片状基質を塗料組成物として使用した場合、単独塗装、2コート1ベーク塗装方法および3コート2ベーク塗装方法において、さらには積層した1種類以上の任意のコート層間またはコート層上に、1層以上の該薄片状基質を塗料組成物としたコート層を形成する塗装方法において、特徴のある光輝性を有する塗膜を形成することができる塗料組成物および塗膜組成物を提供することである。
さらに着色顔料と併用した場合には、形成される塗膜においてはハイライトからシェードまでの変化として、マイルドな色変化のある塗色を得ることができる塗料組成物および塗膜組成物を提供することである。
上記目的は以下の本発明により達成される。
すなわち、本発明は、水熱法で生成した薄片状基質と被膜形成性樹脂とを含有することを特徴とする塗料組成物を提供する。
上記塗料組成物においては、上記薄片状基質の平均粒子径が、50μm以下であること;薄片状基質のアスペクト比(粒径/厚み)が、5〜500であること;薄片状基質が、アルミナであること;アルミナに含まれるアルミ以外の金属原子の含有量が、10質量%以下であること;および薄片状基質と被膜形成性樹脂とを液媒体中に含有することが好ましい。
また、本発明は、上記塗料組成物からなるベースコート層と、該ベースコート層上に形成されたクリヤコート層とからなることを特徴とする塗膜組成物を提供する。
また、本発明は、基体上に形成した任意の着色ベースコート層と、該ベースコート層上に形成された前記本発明の塗料組成物からなる第二ベースコート層と、該ベースコート層上に形成されたクリヤコート層とからなることを特徴とする塗膜組成物を提供する。
上記塗膜組成物においては、光度計における反射光強度の統計的分散値が5以下であること;および変角光度計において、仰角0°以上での45°受光強度と0°受光強度の比(45°/0°)が100以下であることが好ましい。
本発明者は、前記目的を達成すべく鋭意研究を行った結果、水熱法で得られた薄片状基質を使用した塗料からなる塗膜組成物が、粒子感がなく、滑らかで上品な光輝性であるシルキーな色調となる意匠性を持つことを見出した。
また、上記薄片状基質を含有する塗料組成物を用いて基体上にベースコート層を形成させ、次いで該ベースコート層上にクリヤーコート層を形成させること、また、基体上に第一層として任意の着色ベースコート層を形成し、上記本発明の塗料組成物を用いて第二ベースコート層を形成し、次いで該ベースコート層上にクリヤーコート層を形成することにより、塗膜組成物の意匠性が良好かつ充分に発揮されることを見出した。
次に発明を実施するための最良の形態を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。
本発明における水熱法とは、高温高圧の溶媒中で結晶を成長させる方法である。その結晶成長条件は薄片状基質を構成している物質の化学構造、使用溶媒、温度、圧力などにより固有であり、要求される粒子径、粒子形状、アスペクト比、分散性などに応じて任意の薄片状基質を合成できる。水熱法により生成した薄片状基質の化学的、物理的および光学的な性質は、水熱法以外では得ることができず、特異的である。
水熱法で得られる薄片状基質としては、アルミナ、ベーマイト、酸化鉄、水酸アパタイト、ジルコニア、チタン酸塩、酸化チタン、酸化水酸化コバルト、ケイ酸カルシウムなどがあるが、粒子の均一性、平滑性、耐熱性、透明性などを持ち、求められる意匠性を得られるものなら、どの薄片状基質を使用してもよいが、上記条件をバランス良く満たすアルミナが好ましい。
このような好ましい薄片状アルミナ基質自体は公知であり、例えば、商品名:YFA−00610(平均粒径0.6μm、アスペクト比10)、YFA−02050(平均粒径2.0μm、アスペクト比50)、YFA−05070(平均粒径5.0μm、アスペクト比70)、YFA−07070(平均粒径7.0μm、アスペクト比70)、YFA−10030(平均粒径10.0μm、アスペクト比30)などとして、例えば、キンセイマテック社から入手して本発明で使用することができる。
本発明において、水熱法で得られる薄片状基質の平均粒子径が50μm以下、好ましくは30μm以下、さらには20μm以下である場合がより好ましい。また、アスペクト比が5〜500、好ましくは7〜300、さらには10〜200である場合がより好ましい。
また、薄片状基質がアルミナの場合、アルミナに含まれるアルミウム以外の金属原子含有量が10質量%以下、好ましくは7質量%以下、さらには5質量%以下である場合がより好ましい。これら条件を満たす水熱法で得られた薄片状基質を塗料組成物とした場合、粒子感がなく、かつ滑らかで上品な光輝性であるシルキー感がより高く、求められる意匠性を十分に満たすことができる。
本発明で使用する薄片状基質は、上述の平均粒子径、アスペクト比の組み合わせにより、様々な意匠性を得ることができる。これは入射光が薄片状基質により反射される際、粒子径やアスペクト比の組み合わせによって、薄片状基質表面から生ずる反射光と薄片状基質の縁から生ずる散乱光とのバランスが変動する。このため視感が変化し、様々な意匠性が生まれるためである。
さらに本発明に係る薄片状基質がアルミナの場合、アルミナに含まれるアルミニウム以外の金属原子含有量が10質量%以下の場合、塗料中において薄片状基質の分散安定性が増加するため、塗膜中での薄片状基質の配向性が向上する。このため従来の薄片状基質と比較して、方向依存性が高い塗膜を得ることができ、より多様性のある意匠性を得ることができる。
本発明の塗料組成物は、上記薄片状基質と被膜形成性樹脂とを含有することを特徴とする。被膜形成性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、アクリルメラミン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂およびアミノ樹脂など、従来公知の塗料の分野で使用されている被膜形成性樹脂が挙げられるが、本発明で用いられる被膜形成性樹脂は前記した樹脂に限定されるものではない。
上記の被膜形成性樹脂を溶解または分散させる溶剤としては、従来塗料用として広く知られているものが使用される。具体的には、例えば、水、トルエン、キシレン、ブチルアセテート、メチルアセテート、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メタノール、エタノール、ブタノール、シクロヘキサンなどが挙げられ、これらの混合溶剤として使用されることが多い。
上記本発明の塗料組成物における薄片状基質は、塗料組成物100質量部中において0.005〜50質量部の割合で使用され、好ましくは0.1〜30質量部である。薄片状基質の使用量が0.005質量部未満では本発明の目的とする塗料組成物を得ることができない。また、薄片状基質の使用量が50質量部を超える場合には、本発明の目的とする塗料組成物は得られるが、塗膜の物性が低下するので好ましくない。
本発明の塗料組成物におけるにおける被膜形成性樹脂の含有量は、塗料組成物100質量部中において1〜99質量部の割合で使用され、好ましくは5〜90質量部である。被膜形成性樹脂の使用量が1質量部未満では本発明の目的とする塗料組成物を得ることができない。また、被膜形成性樹脂の使用量が99質量部を超える場合には、塗料適性が低下するので好ましくない。
本発明の塗料組成物は、さらに着色顔料、マイカ顔料、光干渉系顔料および金属粉末顔料の1種または2種以上を含むことができる。これらの着色顔料を含む場合の着色顔料などの塗料組成物中における総量は、本発明で用いる薄片状基質100質量部に対して0.01質量部以上であり、塗料組成物の固形分100質量部に対し0.005〜50質量部である。
本発明の塗料組成物が、他の着色顔料を含む場合には、塗料組成物中の顔料総量100質量部に対し、本発明で用いる薄片状基質が0.01質量部未満、被膜形成性樹脂100質量部に対し0.005質量部未満の場合は、美観を有する効果が十分に発揮されず、また、塗料組成物中の顔料総量100質量部中において、本発明で用いる薄片状基質が99.99質量部を超える場合には、塗膜の質感が損なわれるので、いずれの場合にも本発明の目的とする塗料組成物を得ることができない。本発明の塗料組成物には、その他、充填剤、帯電防止剤、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などを必要に応じて配合することができる。
本発明の塗料組成物を基体に塗布して形成した塗膜は、従来の薄片状基質を用いた塗膜に比べ、粒子感のない滑らかで上品なシルキー感の色調を有する。上記性質を有するため、単独塗装、2コート1ベーク塗装方法、および3コート2ベーク塗装方法において、従来の塗料組成物から得られる塗膜にはない、優れた特徴のある光輝性を有する塗膜を形成することができる。
なお、本発明において上記薄片状基質と併用する着色顔料としては、通常の塗料などに使用されている顔料を使用することができ、具体的には、例えば、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、ペリレン顔料、アンスラキノン顔料、DPP顔料、金属錯体顔料、透明酸化鉄顔料、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛などを使用することができる。
本発明で併用される金属粉末顔料としては、アルミニウム粉末、銅粉末、ステンレス粉末などを使用することができるが、これらの中でもアルミニウム粉末が最も一般的に使用される。また、特殊な金属顔料として金属コロイドなども使用することができる。本発明で併用されるマイカ顔料としては、従来公知のものを広く併用することができ、例えば、透明パールマイカ、着色マイカなどを挙げることができる。さらに、光干渉系顔料としては、干渉マイカ、干渉アルミナ、干渉シリカ(干渉ガラス)などを使用することができる。
本発明の塗料組成物は、本発明で用いる薄片状基質と、必要に応じて1種または2種以上の着色顔料、マイカ顔料、干渉顔料および金属粉末顔料などから選択された顔料を、それぞれ単独に被膜形成性樹脂と有機溶剤溶液に混合し、サンドミルや高速撹拌機などにより調製することができる。
さらには、本発明の塗料組成物は、本発明で用いる薄片状基質と、必要に応じて着色顔料、マイカ顔料、干渉顔料および金属粉末顔料などから選択された1種または2種以上の顔料を同時に被膜形成性樹脂の有機溶剤溶液に混合し、サンドミルや高速撹拌機などにより分散して調製することもできる。かくして得られた塗料組成物を、必要に応じて下地処理が施された金属板、ガラス、セラミックス、プラスチックス板などの基体上にスプレー塗装、静電塗装、フローコーティング、ロールコーティングなどにより塗装し、乾燥および架橋硬化して着色コート層を形成する。
また、前記の着色コート層をベースコート層とし、その上に前記した被膜形成性樹脂と相溶性が低い樹脂を有機溶剤に溶解または分散せしめて調製したクリヤコート剤を塗装し、乾燥後に加熱処理して塗膜を形成することもできる。なお、本発明の塗料組成物を調製する場合、本発明で用いる薄片状基質、着色顔料、マイカ顔料、干渉顔料および金属粉末顔料の各々を、被膜形成性樹脂を含む有機溶剤溶液に配合したそれぞれのベース塗料を予め調製しておき、この薄片状基質ベース塗料に他のベース塗料の所定量を配合して調製するのがより好ましい。
本発明で用いる薄片状基質を使用した塗料組成物を基体に塗布して形成される塗膜は、粒子感がなく、滑らかで上品であるシルキーな光輝性を有する。すなわち、本発明で用いる薄片状基質は粒子が均一なため、大きな粒子による部分的な強い光輝感がなく、連続的で均一な光輝性を持つ。さらに反射光と散乱光のバランスが良く、滑らかで上品なシルキー感を発揮している。
部分的な強い光輝感は、塗膜中に入射した光が薄片状基質によって不連続に鏡面反射するために生ずる。連続する塗膜面の正反射光強度を測定し、反射強度の散らばりの度合い、つまり散布度を統計的に計算して、その分散値を比較することにより、部分的な強い光輝感と均一な光輝感との差を定量化することができる。光度計は連続した塗膜面の正反射光強度を測定できるものなら特に限定はしないが、装置におけるX軸方向に試料面が移動しながら反射強度を測定できる光度計が好ましい。具体的な1例を挙げると、村上色彩研究所製の三次元変角光度計GP−200などが上述の測定条件を満たす。
本発明で用いる薄片状基質からなる塗膜は、定量化した分散値が5以下の場合、視感において、均一で粒子感のない滑らかな光輝性を得るが、5より大きい場合、視感においてギラギラとした粒子感のある光輝性となり、均一で粒子感のない滑らかな光輝性を得ることができない。
塗膜中に入射した光は、正反射光と散乱光に分れ塗膜の外に反射する。この正反射光と散乱光のバランスによって、視感として滑らかで上品であるシルキーな色調を得られる。正反射以外の光は、あらゆる方向に散乱し、立体的な散乱光として存在している。正反射光と、これら立体的な散乱光を三次元的に捕らえることにより、人間が見ている状態に近い感覚を再現することができる。これら上述の反射光は装置に示す光度計で測定できる。光度計は任意の仰角で、受光角を変えながら反射強度を測定できるものなら特に限定はしないが、連続的に反射光を測定できる、三次元変角光度計が好ましい。具体的な1例を挙げると、村上色彩研究所製の三次元変角光度計GP−200などが上述の測定条件を満たす。
塗膜のシルキー感は、任意の仰角における反射光と散乱光の強度を、三次元変角光度計を用いて測定し、正反射光の近傍である45°受光角の反射強度と代表的な散乱光である0°受光角での反射強度を測定し、45°と0°の強度比(45°/0°)により定量化できる。本発明で用いる薄片状基質からなる塗膜は、受光角45°と受光角0°の反射強度比(45°/0°)が100以下の場合、視感において、滑らかで上品であるシルキーな光輝感を得るが、受光角45°と受光角0°の反射強度比(45°/0°)が100より大きい場合、視感においてシルキーな光輝感は得ることができない。
本発明で用いる薄片状基質は、粒子が小さく、アスペクト比が大きく、塗膜中の含有量が多い場合でも配向して表面の平滑性を失わない。また、水熱法により生成した化学的に均一な薄片状基質であるため、光学特性も特異的であり、反射光と拡散光のバランスに優れ、粒子感のない滑らかで上品なシルキー感の光輝性を発現し、仕上りの優れた塗膜が得られる。これに対し、一般の薄片状基質を使用した塗色においては、粒子径を小さくした場合、板状粒子が不均一でアスペクト比が小さいため、微細な顔料が塗膜中で配向せず、光輝性が著しく低下し、クリヤ仕上げの平滑性を損なう欠点がある。また、光学特性では反射光と拡散光のバランスが悪く、上品なシルキー感は得られない。
次に実施例および比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、文中「部」または「%」とあるのは質量基準である。
本発明で使用する薄片状基質を表1に記載した。表1における基質1は、水熱法で合成した板状アルミナ(商品名:YFA−02050)、基質2は、水熱法で合成した板状アルミナ(商品名:YFA−05070)、基質3は、水熱法で合成した板状アルミナ(商品名:YFA−07070)、基質4は、水熱法で合成した板状アルミナ(商品名:YFA−10030)、基質5〜8は、水熱法以外の方法で合成した板状アルミナである。
上記基質1〜8の平均粒子径およびアスペクト比は、走査型電子顕微鏡ERA-8000(ELIONIX社製)での画像写真から任意の粒子50個を選択し、その平均値から算出した。また、アルミナに含まれるアルミ以外の金属原子量は蛍光X線PW1404(PHILIPS社製)で測定し算出した。その結果を表1にまとめる。
Figure 2007217680
〔自動車用塗料の製造例〕
実施例1〜4、比較例1〜4
本発明および比較例の塗料組成物を、表1に記載の薄片状基質1〜8を用いて表2に記載の配合で調製した。
Figure 2007217680
上記配合A〜Dの各々をサンドミルで分散処理を行い、さらに配合A〜Dのそれぞれの各50部と配合Iの50部とを均一に混合し、塗料組成物A〜Dを得た(これらを実施例塗料A〜Dとする。)。
上記配合E〜Hの各々をサンドミルで分散処理を行い、さらに配合E〜Hのそれぞれの各50部と配合Iの50部とを均一に混合し、塗料組成物E〜Hを得た(これらを比較例塗料E〜Hとする。)。
上記実施例1〜4で得られた実施例塗料A〜Dおよび比較例1〜4で得られた比較例塗料E〜Hの各々を黒色展色紙にNo.6のバーコーターにて塗装を行った。30分間室温にて乾燥後、さらにこの上にクリヤーコートワニスをアプリケーターにて塗装を行い、室温で2時間乾燥後、120℃、30分間焼き付け硬化させて塗装サンプルを作成した。
実施例5
酸化チタン50部、アクリルワニス82部、メラミンワニス34部、ソルベッソ#100(登録商標)21部および酢酸ブチル9部を分散処理した着色ベース塗料50部と、前記配合Iの50部とを均一に混合したものを、展色紙にNo.6のバーコーターにて塗装し、30分間室温にて乾燥後120℃、30分間焼き付け硬化させた。さらにこの上に前記実施例塗料BをNo.6のバーコーターにて塗装し、30分間室温にて乾燥後、クリヤーコートワニスをアプリケーターにて塗装を行い、室温で2時間乾燥後、120℃、30分間焼き付け硬化させて実施例5の塗装サンプルを作成した。
これらの塗装サンプルについて、光輝性の均一性を目視および三次元変角光度計(村上色彩研究所製、GP−200)を用い、反射光測定、A光源、入射角45°、受光角45°、受光スリット0.4mm平方、試料面X軸40mm移動測定、データサンプリング0.1mm間隔の条件にて測定し、受光強度の統計的な分散値を計算した。測定装置を図1に、測定により得られたグラフの1例を図2に、測定結果を表3に示す。
さらに粒子感のない滑らかな状態を目視および三次元変角光度計(村上色彩研究所製、GP−200)を用い、反射光測定、A光源、入射角45°、受光角45°と0°、仰角2.5°の条件にて測定し、反射強度比(45°/0°)を計算した。測定装置を図1に、測定により得られたグラフの1例を図3に、測定結果を表3に示す。
Figure 2007217680
実施例塗料による塗膜は比較例塗料による塗膜より、光輝性のバラツキを示す分散値が低く全体的に均一な光輝性がある。かつ、実施例塗料による塗膜は比較例塗料による塗膜より、受光角45°と0°の反射強度比が低く正反射光と散乱光のバランスがとれた滑らかなシルキー感を併せ持つ。
本発明の塗料組成物および塗膜組成物は、全体的に均一な光輝性と、粒子感のない滑らかで上品な光輝性であるシルキー感の色調を有することによって、これらの色調を求める分野、例えば、セラミック、樹脂、塗料、建材などの分野の他、意匠性を求める分野に最適である。
測定装置を示す図である。 X軸移動距離に対する反射強度変化の測定グラフである。 三次元変角光度変化(仰角2.5°)の測定グラフである。

Claims (10)

  1. 水熱法で生成した薄片状基質と被膜形成性樹脂とを含有することを特徴とする塗料組成物。
  2. 薄片状基質の平均粒子径が、50μm以下である請求項1に記載の塗料組成物。
  3. 薄片状基質のアスペクト比(粒径/厚み)が、5〜500である請求項1または2に記載の塗料組成物。
  4. 薄片状基質が、アルミナである請求項1〜3のいずれか1項に記載の塗料組成物。
  5. アルミナに含まれるアルミ以外の金属原子の含有量が、10質量%以下である請求項4に記載の塗料組成物。
  6. 薄片状基質と被膜形成性樹脂とを液媒体中に含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の塗料組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の塗料組成物からなるベースコート層と、該ベースコート層上に形成されたクリヤコート層とからなることを特徴とする塗膜組成物。
  8. 基体上に形成した任意の着色ベースコート層と、該ベースコート層上に形成された請求項1〜6のいずれか1項に記載の塗料組成物からなる第二ベースコート層と、該ベースコート層上に形成されたクリヤコート層とからなることを特徴とする塗膜組成物。
  9. 光度計における反射光強度の統計的分散値が5以下である請求項8に記載の塗膜組成物。
  10. 変角光度計において、仰角0°以上での45°受光強度と0°受光強度の比(45°/0°)が100以下である請求項8または9に記載の塗膜組成物。
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