JP2007217548A - 耐候性,色安定性に優れたメタリック塗料及びプレコート金属板 - Google Patents
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Abstract
【課題】アルミニウムフレークでメタリック調を付与した樹脂塗膜の耐候性,色調安定性を改善する。
【解決手段】アルミニウムフレーク(メタリック顔料)を含む樹脂塗料にヒンダートアミン系光安定剤を配合して耐候性を改善する際、脱水剤を複合添加してアルミニウムフレーク/ヒンダートアミン系光安定剤間の反応を抑え、色調安定性に優れた塗膜を設けたプレコート金属板を得る。脱水剤には、オルトギ酸トリアルキル,オルト酢酸トリアルキル,オルト硼酸トリアルキル等が使用される。
【選択図】なし
【解決手段】アルミニウムフレーク(メタリック顔料)を含む樹脂塗料にヒンダートアミン系光安定剤を配合して耐候性を改善する際、脱水剤を複合添加してアルミニウムフレーク/ヒンダートアミン系光安定剤間の反応を抑え、色調安定性に優れた塗膜を設けたプレコート金属板を得る。脱水剤には、オルトギ酸トリアルキル,オルト酢酸トリアルキル,オルト硼酸トリアルキル等が使用される。
【選択図】なし
Description
本発明は、耐候性,色安定性に優れたメタリック塗料及び外装材,内装材,表装材等に使用されるメタリック調プレコート金属板に関する。
意匠性のある塗装鋼板の一種にメタリック調の塗装鋼板がある。自動車分野でメタリック調の要求が強く、建築分野でも一般住宅向けにアルミサッシ等の色に調和させるためメタリック調の塗装鋼板が増えており、役物部材等に多用されている。
メタリック調の塗装鋼板では、塗膜に分散させたアルミフレーク等のメタリック顔料できらきらしたメタリック感を発現している(特許文献1)。メタリック感を得るために他の着色顔料の添加を少なくし、ベース塗膜の透明度を上げることでキラキラ感が一層強調される塗料設計にすることが多い。因みに、通常のソリッド色では酸化チタン顔料が常用添加されているが、メタリック調では酸化チタン顔料の添加量が少なく、或いは添加されないこともある。
特開2003-200520号公報
メタリック調の塗装鋼板では、塗膜に分散させたアルミフレーク等のメタリック顔料できらきらしたメタリック感を発現している(特許文献1)。メタリック感を得るために他の着色顔料の添加を少なくし、ベース塗膜の透明度を上げることでキラキラ感が一層強調される塗料設計にすることが多い。因みに、通常のソリッド色では酸化チタン顔料が常用添加されているが、メタリック調では酸化チタン顔料の添加量が少なく、或いは添加されないこともある。
塗装鋼板等の塗装金属板は、太陽光の照射に曝される状態で使用されることが多く、塗膜の樹脂種によっては太陽光(特に紫外光)の照射で劣化(結晶化)するものもある。特に紫外線遮蔽機能を有する酸化チタン顔料が少ないと、塗膜の劣化が早くなる傾向がある。塗膜の劣化は、下地金属板からの塗膜剥離を意味し、下地金属板の露出面を起点とする錆の発生原因にもなる。塗装金属板の耐候性は、光安定剤の添加により改善される。
光安定剤としてヒンダートアミン系が多用されているが、ヒンダートアミン系光安定剤をアルミニウムフレーク(メタリック顔料)と複合添加した塗料では貯蔵安定性に劣る。たとえば、一ヶ月程度保管したメタリック塗料を用いてプレコート金属板を製造すると、品質基準から外れる程度の色調変化が生じ、安定した色調の塗装金属板が得られない。
光安定剤としてヒンダートアミン系が多用されているが、ヒンダートアミン系光安定剤をアルミニウムフレーク(メタリック顔料)と複合添加した塗料では貯蔵安定性に劣る。たとえば、一ヶ月程度保管したメタリック塗料を用いてプレコート金属板を製造すると、品質基準から外れる程度の色調変化が生じ、安定した色調の塗装金属板が得られない。
色調変化は、塗料中のヒンダートアミン系光安定剤とアルミニウムフレークとが貯蔵中に反応することに原因がある。また、ポリエステル系,アクリル系,シリコーンポリエステル系,ウレタン系等のベース樹脂とヒンダートアミン系光安定剤,アルミニウムフレークが共存する塗料系では同様な色調変化が生じる。
メタリック調の表面が要求されることが多い自動車等のポストコートラインでは、メタリック調塗膜の上にクリア塗膜を設け、該クリア塗膜にヒンダートアミン系光安定剤を添加することにより、アルミニウムフレークとヒンダートアミン系光安定剤との反応を抑えて耐候性を改善している。ところが、通常のプレコートラインでは、1コート仕様でトップ塗膜を設けており、ヒンダートアミン系光安定剤を配合したトップ塗膜をメタリック塗膜とは別途に形成することはコスト面,設備面から得策でない。
本発明は、ヒンダートアミン系光安定剤,アルミニウムフレークが共存する塗料系において、ヒンダートアミン系光安定剤とアルミニウムフレークとの反応が塗料の水分に大きく影響されることに着目し、脱水処理された塗料成分系とすることにより長期間保存してもヒンダートアミン系光安定剤とアルミニウムフレークとの反応が抑えられ、耐候性,色安定性に優れたメタリック塗膜の形成に適した塗料、更には当該塗料を用いたプレコート金属板を提供することを目的とする。
本発明のメタリック塗料は、ポリエステル系,アクリル系,シリコーンポリエステル系及び/又はウレタン系樹脂をベースとする塗料組成物であり、アルミニウムフレーク,ヒンダートアミン系光安定剤及び脱水剤を複合添加している。
アルミニウムフレーク,ヒンダートアミン系光安定剤,脱水剤の配合量は、塗料樹脂100質量部に対しそれぞれ0.5〜20質量部,0.1〜2質量部,1〜20質量部の範囲で定めることが好ましい。
アルミニウムフレーク,ヒンダートアミン系光安定剤,脱水剤の配合量は、塗料樹脂100質量部に対しそれぞれ0.5〜20質量部,0.1〜2質量部,1〜20質量部の範囲で定めることが好ましい。
脱水剤としては、オルトギ酸トリアルキル,オルト酢酸トリアルキル,オルト硼酸トリアルキルから選ばれた一種又は二種以上が使用される。
所定組成に調製されたメタリック塗料を使用することにより、アルミニウムフレーク,ヒンダートアミン系光安定剤が共存したトップ塗膜であってもアルミニウムフレークとヒンダートアミン系光安定剤との反応が抑えられ、耐候性,色安定性に優れたメタリック調プレコート金属板が得られる。
所定組成に調製されたメタリック塗料を使用することにより、アルミニウムフレーク,ヒンダートアミン系光安定剤が共存したトップ塗膜であってもアルミニウムフレークとヒンダートアミン系光安定剤との反応が抑えられ、耐候性,色安定性に優れたメタリック調プレコート金属板が得られる。
メタリック塗料の色調変化を種々調査・検討した結果、顔料の吸着水等として塗料に持ち込まれる水分でヒンダートアミン系光安定剤が塩基性になり、メタリック顔料であるアルミニウムフレークの表面を活性化させることが色調変化の原因であることを解明した。すなわち、水分を含む塗料中でヒンダートアミン系光安定剤は、次式の反応に従って四級イオンを形成し塩基性を呈する。
N-(R)3+H2O→H-N(R)3 ++OH- (R:アルキル基,2,2,6,6-テトラメチルピペリジン)
N-(R)3+H2O→H-N(R)3 ++OH- (R:アルキル基,2,2,6,6-テトラメチルピペリジン)
塩基性雰囲気下で表面活性が高まったアルミニウムフレークは、相互に凝集し、粗大な凝集粒となって塗料中に分散する。アルミニウムフレークの凝集は、メタリック調発現に必要なアルミニウムフレークの配向状態を壊し、結果としてメタリック塗料の色調変化を引き起こす。
本発明においては、ヒンダートアミン系光安定剤の塩基性化がメタリック塗料を色調変化させる原因であるとの前提で、ヒンダートアミン系光安定剤の塩基性化に必要な水分を塗料から除去している。塗料中の水分を除去することにより、ヒンダートアミン系光安定剤の塩基性化,ひいてはアルミニウムフレークの活性化・凝集がなく、長期間にわたって色調変化を起こさず、一定した色調の塗膜が得られる。
本発明においては、ヒンダートアミン系光安定剤の塩基性化がメタリック塗料を色調変化させる原因であるとの前提で、ヒンダートアミン系光安定剤の塩基性化に必要な水分を塗料から除去している。塗料中の水分を除去することにより、ヒンダートアミン系光安定剤の塩基性化,ひいてはアルミニウムフレークの活性化・凝集がなく、長期間にわたって色調変化を起こさず、一定した色調の塗膜が得られる。
塗装原板には、冷延鋼板,溶融亜鉛めっき鋼板,電気亜鉛めっき鋼板,溶融5%Al-Zn合金めっき鋼板,溶融55%Al-Zn合金めっき鋼板,溶融Zn-Al-Mg合金めっき鋼板,溶融アルミニウムめっき鋼板,ステンレス鋼板,アルミニウム板,アルミニウム合金板,銅板,銅合金板等、多様な金属板を使用できる。塗料の塗布に先立って塗膜密着性,耐食性を改善するため脱脂,表面調整,クロメート処理,クロムフリー処理,リン酸塩処理等の塗装前処理を塗装原板に施すことが好ましい。
塗装原板に下塗り塗膜,上塗り塗膜を設けることにより塗装金属板が得られる。
下塗り用の塗料は、塗料種に特段の制約が加わるものではないが、具体的にはエポキシ系,ポリエステル系,アクリル系,ウレタン系等の樹脂塗料が使用され、必要に応じて防錆顔料,体質顔料等が配合される。下塗り塗膜は、耐食性,塗膜密着性を確保するため3μm以上の膜厚が好ましいが、厚すぎると加工性が低下するので5μm前後の膜厚に調節する。
下塗り用の塗料は、塗料種に特段の制約が加わるものではないが、具体的にはエポキシ系,ポリエステル系,アクリル系,ウレタン系等の樹脂塗料が使用され、必要に応じて防錆顔料,体質顔料等が配合される。下塗り塗膜は、耐食性,塗膜密着性を確保するため3μm以上の膜厚が好ましいが、厚すぎると加工性が低下するので5μm前後の膜厚に調節する。
上塗り用の塗料には、ポリエステル系,アクリル系,シリコーンポリエステル系,ウレタン系から選ばれた一種又は二種以上の樹脂塗料が使用される。
上塗り塗料にはメタリック顔料としてアルミニウムフレークが添加されるが、プレコート金属板(PCM)用のノンルーフィングタイプで平均粒径(長径):10〜20μm,アスペクト比(長径/厚みの比):50〜100のアルミニウムフレークが好ましい。アルミニウムフレークは、塗料樹脂100質量部に対し0.5〜20質量部の割合で配合される。アルミフレークが0.5質量部未満ではメタリック感に乏しく、逆に20質量部を超えると塗料粘度が高くなって塗装性に劣り、塗膜が外観不良になりやすい。
上塗り塗料にはメタリック顔料としてアルミニウムフレークが添加されるが、プレコート金属板(PCM)用のノンルーフィングタイプで平均粒径(長径):10〜20μm,アスペクト比(長径/厚みの比):50〜100のアルミニウムフレークが好ましい。アルミニウムフレークは、塗料樹脂100質量部に対し0.5〜20質量部の割合で配合される。アルミフレークが0.5質量部未満ではメタリック感に乏しく、逆に20質量部を超えると塗料粘度が高くなって塗装性に劣り、塗膜が外観不良になりやすい。
上塗り塗料には、更に耐候性向上のためヒンダートアミン系光安定剤を添加する。
添加可能なヒンダートアミン系光安定剤として以下に掲げた物質を使用できるが、塗料への分散が容易で耐候性向上効果が大きいことから液状ビスセバケート種(TINUVIN 292,TINUVIN 123,アデカスタブLA-62,アデカスタブLA-67)が好適である。
添加可能なヒンダートアミン系光安定剤として以下に掲げた物質を使用できるが、塗料への分散が容易で耐候性向上効果が大きいことから液状ビスセバケート種(TINUVIN 292,TINUVIN 123,アデカスタブLA-62,アデカスタブLA-67)が好適である。
ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート (三共株式会社製 SANOL LS770),ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート (三共株式会社製 SANOL LS765),1-{2-[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロビオニルオキシ]エチル}-4-[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロビオニルオキシ]-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン (三共株式会社製 SANOL LS2626),4-ベンゾイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン (三共株式会社製 SANOL LS744),8-アセチル-3-ドデシル-7,7,9,9-テトラメチル-1,3,8-トリアザスピロ[4,5]デカン-2,4-ジオン (三共株式会社製 SANOL LS440),2-(3,5-ジ-t-ヒドロキシベンジル)-2-n-ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル) (チバガイギー社製 TINUVIN 144),コハク酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)エステル (チバガイギー社製 TINUVIN 780FF),コハク酸ジメチルと1-(2-ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンの重縮合物 (チバガイギー社製 TINUVIN 622LD),ポリ{[6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル][(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]} (チバガイギー社製 CHIMASSORB 944LD),N,N'-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミンと2,4-ビス[N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ]-6-クロロ-1,3,5-トリアジンの重縮合物 (チバガイギー社製CHIMASSORB 119FL),ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート (チバガイギー社製 TINUVIN 292),ビス(1-オクタオキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート (チバガイギー社製 TINUVIN 123),HA‐70G (三共株式会社製),アデカスタブ LA-52,アデカスタブ LA-57,アデカスタブ LA-62,アデカスタブ LA-63,アデカスタブ LA-67,アデカスタブ LA-68,アデカスタブ LA-82,アデカスタブ LA-87 (旭電化工業株式会社製)
ヒンダートアミン系光安定剤は何れも水分含有雰囲気下で塩基性化するアミン系化合物であり、一種又は二種以上が塗料樹脂100質量部に対し0.1〜2質量部の割合で配合される。0.1質量部に満たないと耐候性向上の効果が乏しいが、2質量部を超える過剰配合は塗膜表面へのブリードを起こし、添加量に見合った性能の向上を期待できず製品コストの上昇を招く。
ヒンダートアミン系光安定剤,アルミニウムフレークが共存する塗料の水分を除去する脱水剤として、オルトギ酸トリアルキル,オルト酢酸トリアルキル,オルト硼酸トリアルキルの一種又は二種以上を好ましくは1〜20質量部の割合で添加する。オルトギ酸トリアルキル,オルト酢酸トリアルキル,オルト硼酸トリアルキル等は、塗料中の水分との反応性が高く(アルコールとエステルに加水分解)、優れた脱水能を呈する。しかも、塗料焼付け時に揮散してしまうので塗膜物性に悪影響を及ぼさない。必要な脱水効果を得る上で1質量部以上の脱水剤添加が好ましいが、20質量部を超える過剰添加は塗料粘度の低下,塗装性の劣化を引き起こす。
オルトギ酸トリアルキルには、オルトギ酸トリメチル,オルトギ酸トリエチル,オルトギ酸トリブチル等がある。オルト酢酸トリアルキルには、オルト酢酸トリメチル,オルト酢酸トリエチル,オルト酢酸トリブチル等がある。オルト硼酸トリアルキルには、オルト硼酸トリメチル,オルト硼酸トリエチル,オルト硼酸トリブチル等がある。
メタリック顔料の外に、酸化チタン,酸化鉄等の無機顔料やフタロシアニン,アントシアン等の有機顔料を着色顔料として配合しても良い。硫酸バリウム,タルク等の体質顔料も添加可能である。また、意匠性,耐疵付き性を付与するため、ガラスビーズ,ガラスフレーク,アクリルビーズ,PANビーズ,ナイロンビーズ等の骨材やシリカ,微粒状尿素樹脂等の艶消し剤を必要に応じて添加しても良い。
所定組成に調製されたメタリック塗料を塗装原板に塗布・焼成することにより、色調安定性に優れ、耐候性等の塗膜性能も良好なメタリック調プレコート金属板が製造される。製造安定性が向上するため、プレコート金属板の耐候性が良く耐久性も向上する。メタリック塗料の塗布量は、膜厚:10〜40μmのメタリック調塗膜が形成される量に調整することが好ましい。薄すぎる膜厚では必要な耐久性が得られず、逆に厚すぎる塗膜は塗料焼付け時のワキ発生やプレコート金属板の加工性低下の原因となる。
数平均分子量2000〜3000のポリエステル樹脂をメラミン架橋したポリエステル塗料をベースとし、塗料樹脂100質量部に対して10質量部のメタリック顔料,1質量部のヒンダートアミン系光安定剤,1〜20質量部の脱水剤をウレタン樹脂に配合したメタリック塗料を用意した。メタリック顔料には、ノンルーフィングタイプで平均粒径:20μm,アスペクト比:100のアルミニウムフレークを使用した。ヒンダートアミン系光安定剤には、ビスセバケート種のアデカスタブLA-67を用いた。脱水剤には、オルトギ酸トリエチル,オルト酢酸トリエチル,オルト硼酸トリエチルを使用した。
溶融55%Al-Zn合金めっき鋼板を塗装原板に用い、脱脂,クロメート処理後にエポキシ系樹脂塗料を塗布し、最高到達板温:210℃で焼き付けることにより乾燥膜厚:5μmの下塗り塗膜を形成した。
次いで、下塗り塗膜上にメタリック調のポリエステル塗料を塗布し、最高到達板温:215℃で焼き付けることにより、乾燥膜厚:15μmの上塗り塗膜を形成した。なお、貯蔵安定性を調査するため、調製したポリエステル塗料を40℃の保温庫で所定期間保管した後の塗料を使用した。
次いで、下塗り塗膜上にメタリック調のポリエステル塗料を塗布し、最高到達板温:215℃で焼き付けることにより、乾燥膜厚:15μmの上塗り塗膜を形成した。なお、貯蔵安定性を調査するため、調製したポリエステル塗料を40℃の保温庫で所定期間保管した後の塗料を使用した。
製造された各塗装金属板の色調及び耐候性を次の試験で調査した。
色調の評価試験では、所定期間保管した後の塗料から成膜された塗膜の色調を分光光度計(色差計)で測定し、調製直後の塗料から成膜された塗膜の色調(基準色)と比較した。Lab系色差式(ハンターの色差式)で色差ΔEを求め、ΔE≦0.5を○,ΔE=0.5〜1.0を△,ΔE≧1.0を×と評価した。
耐候性試験では、1000時間のサンシャインウェザーメータ試験後に光沢度を測定し、試験前の光沢度と比較して光沢保持率を算出した。光沢保持率が80%以上を○,80〜50%を△,50%以下を×として耐候性を評価した。
色調の評価試験では、所定期間保管した後の塗料から成膜された塗膜の色調を分光光度計(色差計)で測定し、調製直後の塗料から成膜された塗膜の色調(基準色)と比較した。Lab系色差式(ハンターの色差式)で色差ΔEを求め、ΔE≦0.5を○,ΔE=0.5〜1.0を△,ΔE≧1.0を×と評価した。
耐候性試験では、1000時間のサンシャインウェザーメータ試験後に光沢度を測定し、試験前の光沢度と比較して光沢保持率を算出した。光沢保持率が80%以上を○,80〜50%を△,50%以下を×として耐候性を評価した。
表1の調査結果にみられるように、オルトギ酸トリエチル,オルト酢酸トリエチル,オルト硼酸トリエチルを脱水剤として添加したメタリック塗料では、三ヶ月保管した後でも塗膜の色調変動の少なく安定した色調が得られ、耐候性も良好であった。これに対し、脱水剤無添加のメタリック塗料(比較例7)から成膜された塗膜は、一ヶ月保管後においても色差が大きく、色調安定性に劣っていた。脱水剤,ヒンダートアミン系光安定剤共に添加していないメタリック塗料(比較例8)から成膜された塗膜は、色調安定性は良好であるものの耐候性に劣り、短期間に光沢が損なわれた。
数平均分子量5000〜6000のポリエステル樹脂に硬化剤としてヘキサメチレンイソシアネート,ブロック剤としてε-カプロラクタムを配合調整したウレタン塗料を用意した。塗料樹脂100質量部に対して10質量部のメタリック顔料,1質量部のヒンダートアミン系光安定剤,1〜20質量部の脱水剤を配合した。メタリック顔料には、ノンルーフィングタイプで平均粒径:20μm,アスペクト比:100のアルミニウムフレークを使用した。ヒンダートアミン系光安定剤には、ビスセバケート種のアデカスタブLA-67を用いた。脱水剤には、オルトギ酸トリエチルを使用した。
溶融55%Al-Zn合金めっき鋼板を塗装原板に用い、脱脂,クロメート処理後にエポキシ系樹脂塗料を塗布し、最高到達板温:210℃で焼き付けることにより乾燥膜厚:5μmの下塗り塗膜を形成した。
次いで、下塗り塗膜上にメタリック調のウレタン塗料を塗布し、最高到達板温:240℃で焼き付けることにより、乾燥膜厚:30μmの上塗り塗膜を形成した。なお、貯蔵安定性を調査するため、調製したウレタン塗料を40℃の保温庫で所定期間保管した後の塗料を使用した。
次いで、下塗り塗膜上にメタリック調のウレタン塗料を塗布し、最高到達板温:240℃で焼き付けることにより、乾燥膜厚:30μmの上塗り塗膜を形成した。なお、貯蔵安定性を調査するため、調製したウレタン塗料を40℃の保温庫で所定期間保管した後の塗料を使用した。
製造された各塗装金属板の色調及び耐候性を実施例1と同じ試験で調査した。
表2の調査結果にみられるように、オルトギ酸トリエチルを脱水剤として添加したメタリック塗料では、三ヶ月保管した後でも塗膜の色調変動の少なく安定した色調が得られ、耐候性も良好であった。これに対し、脱水剤無添加のメタリック塗料(比較例5)から成膜された塗膜は、一ヶ月保管後においても色差が大きく、色調安定性に劣っていた。脱水剤,ヒンダートアミン系光安定剤共に添加していないメタリック塗料(比較例6)から成膜された塗膜は、色調安定性は良好であるものの耐候性に劣り、短期間に光沢が損なわれた。
表2の調査結果にみられるように、オルトギ酸トリエチルを脱水剤として添加したメタリック塗料では、三ヶ月保管した後でも塗膜の色調変動の少なく安定した色調が得られ、耐候性も良好であった。これに対し、脱水剤無添加のメタリック塗料(比較例5)から成膜された塗膜は、一ヶ月保管後においても色差が大きく、色調安定性に劣っていた。脱水剤,ヒンダートアミン系光安定剤共に添加していないメタリック塗料(比較例6)から成膜された塗膜は、色調安定性は良好であるものの耐候性に劣り、短期間に光沢が損なわれた。
以上に説明したように、アルミニウムフレーク,ヒンダートアミン系光安定剤が共存しているメタリック塗料に脱水剤を添加すると、アルミニウムフレークとヒンダートアミン系光安定剤との反応が抑えられ、色調安定性が改善されたメタリック塗膜が得られる。そのため、環境負荷の大きな塩ビ鋼板に代わるプレコート金属板となり、広汎な分野で外装材,内装材,表装材等として重宝される。
Claims (5)
- ポリエステル系,アクリル系,シリコーンポリエステル系及び/又はウレタン系樹脂をベースとする塗料組成物に、アルミニウムフレーク,ヒンダートアミン系光安定剤及び脱水剤を複合添加してなることを特徴とする耐候性,色安定性に優れたメタリック塗料。
- 塗料樹脂100質量部に対し0.5〜20質量部の割合でアルミニウムフレークが添加されている請求項1記載のメタリック塗料。
- 塗料樹脂100質量部に対し0.1〜2質量部の割合でヒンダートアミン系光安定剤が添加されている請求項1記載のメタリック塗料。
- オルトギ酸トリアルキル,オルト酢酸トリアルキル,オルト硼酸トリアルキルから選ばれた一種又は二種以上の脱水剤が塗料樹脂100質量部に対し1〜20質量部の割合で添加されている請求項1記載のメタリック塗料。
- 請求項1〜4何れかに記載のメタリック塗料から成膜された塗膜が下塗り塗膜を介して設けられていることを特徴とする耐候性,色安定性に優れたプレコート金属板。
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