JP2007217397A - 遷移金属錯体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】各種分野で有用な遷移金属錯体を容易に製造することができる新規遷移金属錯体の製造方法を提供する。
【解決手段】下記一般式(II)の有機部分の化合物を、Qq で表される化合物と反応させて、下記一般式(II)で表される遷移金属錯体を製造する方法において、該反応系にM で表される化合物を存在させる。
Figure 2007217397

【選択図】なし

Description

本発明は遷移金属錯体の製造方法に関するものである。
本発明の方法で得られる遷移金属錯体は、有機電界発光素子や、白色LED固体照明用の光源、色素レーザー、温度センサー、酸素センサー、圧力センサー、時間差蛍光イムノアッセイ、多光子吸収(発光)材料、有機長残光材料、夜行塗料、非線形光学材料、光電変換材料、超伝導材料など、様々な用途展開が期待される。
遷移金属錯体は、有機電界発光素子を始めとして、種々の用途に応用されている。特に、下記の構造式で表される遷移金属錯体は、青色燐光を有しているため、固体照明の光源や有機電界発光素子用の色素として有用であると考えられている(式中、Arはアリール基である。)。
Figure 2007217397
このような遷移金属錯体の製造方法としては、以下の2つの方法が知られている。
[1] 非特許文献1には、上記の遷移金属錯体の製造方法として、下記のスキームが開示されている。
しかし、この反応では、電子リッチなオレフィンを調製する必要があるが、該当するオレフィンの合成が困難であるため、目的とする金属錯体にかなりの制約が生じるという問題点があった。
(スキーム1)
Figure 2007217397
[2] また、特許文献1には、上記の遷移金属錯体の製造方法として、下記のスキームが開示されている。しかしながら、この方法は、1)強力な塩基を利用すること、2)中間体であるカルベンが水にセンシティブであるため、反応容器や、イミダゾリウム塩、溶剤の脱水を充分に行う必要があること、3)異性体の制御が困難であること、などの問題点があった。
(スキーム2)
Figure 2007217397
WO2005/019373号公報 J.Organomet.Chem.,1982,239,C26−C30
本発明は、上記従来の方法のような問題点がなく、各種分野で有用な遷移金属錯体を容易に製造することができる新規遷移金属錯体の製造方法を提供することを課題とする。
また、本発明は該遷移金属錯体の構造異性体を選択的に製造できる方法を提供することを課題とする。
本発明者らが鋭意検討した結果、一般式(I)で表される化合物と一般式(i)で表される化合物との反応において、M で表される化合物を反応に用いることにより、一般式(II)で表される遷移金属錯体を簡便に製造できることを見出し、本発明に到達した。更に、反応温度を調整することにより、構造異性体を作り分けることも可能になることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の遷移金属錯体の製造方法は、下記一般式(I)で表される化合物を、下記一般式(i)で表される化合物と反応させて、下記一般式(II)で表される遷移金属錯体を製造する方法において、該反応系に下記一般式(ii)で表される化合物を存在させることを特徴とする。
Figure 2007217397
((I)式中、Zは直接結合或いは2価の連結基を表す。Yは2価の連結基を表す。
t−は対アニオンを表す。tは1以上の整数を表す。R〜Rは、各々独立に、任意の置換基を表し、それぞれ隣接するR〜R同士で、環を形成していてもよい。該環は置換基を有していてもよい。)
q (i)
((i)式中、Mは周期表第6周期の遷移金属を表し、Qは価数調整のために導入されるカチオン原子を表し、Aは対アニオンを表し、Lはモノアニオン配位子を表す。
mは1以上の整数、q,nは各々独立に0以上の整数を表し、式(i)で表される化合物は、q個のQと1個のMの合計よりなるプラスの価数とm個のAとn個のLの合計よりなるマイナスの価数が等しく、化合物全体として電荷は中性となっている。)
Figure 2007217397
((II)式中、Z,Y,R〜Rは一般式(I)におけると同義であり、M,L,m,nは一般式(i)におけると同義である。)
(ii)
((ii)式中、Mは周期表第4周期及び第5周期の遷移金属を表し、Aは対アニオンを表す。
j,kは各々独立に1以上の整数を表し、式(ii)で表される化合物は、j個のMよりなるプラスの価数と、k個のAよりなるマイナスの価数が等しく、化合物全体として電荷は中性となっている。)
本発明において、前記一般式(ii)のMとしては、Ag、Cu又はNiが好ましく(請求項2)、特に、前記一般式(ii)で表される化合物が、炭酸塩であることが好ましい(請求項3)。
また、前記一般式(i)のMとしては、Ir又はPtが好ましく(請求項4)、特に、前記一般式(i)で表される化合物は、IrCl・xHOであることが好ましい(請求項5)。
また、前記一般式(I)で表される化合物は、下記一般式(I−1)又は(I−2)で表される化合物であることが好ましい(請求項6)。
Figure 2007217397
((I−1)式及び(I−2)式中、Xは、ヨウ素原子又は臭素原子を表す。R20は、炭素数1〜8のアルキル基又はフェニル基を表す。Zは、一般式(I)におけるものと同義である。)
また、本発明に係る反応は100℃以上で行うことが好ましい(請求項7)。
本発明の遷移金属錯体の製造方法によれば、反応系に前記一般式(ii)で表される特定の化合物を存在させることにより、水や空気等の外部環境に影響を受けることなく、目的の遷移金属錯体を一段階の反応で容易に製造することができる。しかも、反応温度を調整することにより、構造異性体の制御も可能である。
このような本発明の遷移金属錯体の製造方法によれば、合成が困難な中間体を経ることなく、また強塩基や強酸と言った取り扱い性に難のある試薬を用いることなく、様々な遷移金属錯体を簡便かつ確実に製造することが可能とされる。
以下に本発明の遷移金属錯体の製造方法の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の内容に特定はされない。
本発明の遷移金属錯体の製造方法は、下記一般式(I)で表される化合物を、下記一般式(i)で表される化合物と反応させて、下記一般式(II)で表される遷移金属錯体を製造する方法において、該反応系に下記一般式(ii)で表される化合物を存在させることを特徴とする。
Figure 2007217397
((I)式中、Zは直接結合或いは2価の連結基を表す。Yは2価の連結基を表す。Xt−は対アニオンを表す。tは1以上の整数を表す。R〜Rは、各々独立に、任意の置換基を表し、それぞれ隣接するR〜R同士で、環を形成していてもよい。該環は置換基を有していてもよい。)
q (i)
((i)式中、Mは周期表第6周期の遷移金属を表し、Qは価数調整のために導入されるカチオン原子を表し、Aは対アニオンを表し、Lはモノアニオン配位子を表す。
mは1以上の整数、q,nは各々独立に0以上の整数を表し、式(i)で表される化合物は、q個のQと1個のMの合計よりなるプラスの価数とm個のAとn個のLの合計よりなるマイナスの価数が等しく、化合物全体として電荷は中性となっている。)
Figure 2007217397
((II)式中、Z,Y,R〜Rは一般式(I)におけると同義であり、M,L,m,nは一般式(i)におけると同義である。)
(ii)
((ii)式中、Mは周期表第4周期及び第5周期の遷移金属を表し、Aは対アニオンを表す。
j,kは各々独立に1以上の整数を表し、式(ii)で表される化合物は、j個のMよりなるプラスの価数と、k個のAよりなるマイナスの価数が等しく、化合物全体として電荷は中性となっている。)
[出発原料化合物]
まず、本発明において、目的とする遷移金属錯体である前記一般式(II)で表される遷移金属錯体を製造するための出発原料となる前記一般式(I)で表される化合物について説明する。
前記一般式(I)において、Zは、直接結合或いは2価の連結基を表す。なお、本発明において、2価の連結基は2価以上の原子を含む広義の連結基である。2価の連結基としては、置換基を有していても良いアルキレン基、又は置換基を有していても良い珪素原子、置換基を有していてもよいアリーレン基、カルボニル基が挙げられる。アルキレン基として具体的には、メチレン基、エチレン基などの炭素数1〜5のアルキレン基が挙げられる。また、珪素原子としてはヒドロシリル基やジアルキルシリル基などの置換基を2個有するものなどが挙げられる。アリーレン基としてはフェニレン基、ビフェニレン基(ベンゼン環が2環連結してなる基)、フェニルカルボニル基などが挙げられる。アルキレン基や珪素原子、アリーレン基に導入される置換基としてはメチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基;フェニル基、ナフチル基などの炭素数4〜20のアリール基等が挙げられる。2価の連結基としては、例えば、−C(R11)(R12)−、−Si(R11)(R12)−などが挙げられる。(R11、R12は各々独立に上記置換基を表す。)Zとしては、好ましくは直接結合、アリーレン基又はアルキレン基である。
前記一般式(I)において、Yは、2価の連結基を表す。好ましくは、置換基を有していても良い、周期表第14族〜第16族の第2及び第3周期の典型元素或いは該典型元素を有する置換基であり、好ましくは、−N(R13)−、−O−、−S−、−C(R13)(R14)−、−P(R13)−が挙げられる。
13、R14は、上記置換基を表し、具体的には各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、又は複素環基が挙げられる。アルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、ブチル基などの炭素数1〜10のアルキル基である。アリール基として具体的には、フェニル基、ナフチル基などの炭素数6〜15のアリール基である。
複素環基として具体的には、ピリジル基、チエニル基、オキサゾール基などの炭素数3〜10の複素環基である。R13、R14は、好ましくは分子量1000以下、更に好ましくは500以下の置換基である。
また、R13、R14は、隣接する置換基と結合して環を形成しても良く、該環は置換基を有していてもよい。形成する環としては、ベンゼン環、ピリジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、ピリミジン環、オキサゾール環、チアゾール環などが挙げられる。該環の置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、カルバゾイル基、パーフルオロアルキル基、カルボニル基、カルボキシ基が挙げられ、分子量500以下のものが好ましく、100以下のものが更に好ましい。
前記一般式(I)において、R〜Rは、各々独立に、任意の置換基を表し、好ましくは分子量1000以下、更に好ましくは分子量500以下の置換基である。隣接するR〜R同士は結合して環を形成していても良く、該環は置換基を有していてもよい。形成する環としては、ベンゼン環、ピリジン環、チオフェン環、フラン環、ベンゾチオフェン環、イミダゾール環、ピラゾール環、ベンズイミダゾール環などが挙げられる。該環の置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、カルバゾイル基、パーフルオロアルキル基、カルボニル基、カルボキシ基、アリール基等が挙げられ、分子量500以下のものが好ましく、100以下のものが更に好ましい。
該置換基は隣接する置換基と結合して環を形成してもよい。
〜Rのうち、R,R,Rとしては、好ましく周期表第14族〜第16族の第2及び第3周期の典型元素或いは該典型元素を有する置換基である。該典型元素として、更に好ましくは、炭素原子、窒素原子、酸素原子、或いは硫黄原子である。R,R,Rは、具体的には、アルキル基、アリール基、複素環基、アミノ基が好ましい。アルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、ブチル基などの炭素数1〜30のアルキル基である。アリール基として具体的には、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基などの炭素数6〜30のアリール基である。複素環基として具体的には、ピリジル基、キノリル基、チエニル基、カルバゾイル基などの炭素数3〜20の複素環基である。アミノ基として具体的には、ジメチルアミノ基、ジフェニルアミノ基などの炭素数2〜30のアミノ基である。
,R,Rはそれぞれ同一であっても異なっていても良い。R,R,Rは、更に置換基を有していてもよく、該置換基としては、メチル基、エチル基が挙げられる。
としては、好ましくは周期表の第14族〜第16族の第2及び第3周期の典型元素或いは該典型元素を有する置換基である。Yが、上記−N(R13)−或いは−C(R13)(R14)−の場合には、該典型元素としては窒素原子もしくは炭素原子が好ましく、Yが上記−O−,−S−或いは−P(R13)−の場合には該典型元素としては炭素原子が好ましい。Rとして具体的には、アルキル基、アリール基、複素環基が挙げられる。アルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、ブチル基などの炭素数1〜30のアルキル基である。アリール基として具体的には、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基などの炭素数6〜30のアリール基である。複素環基として具体的には、ピリジル基、キノリル基、チエニル基、カルバゾイル基などの炭素数3〜20の複素環基である。Rは特に好ましくはアルキル基である。
前記一般式(I)において、Xt−は、対アニオン表す。具体的にはF,Cl,Br,I,BF ,PF ,CO 2−,OH,CCO ,CN,CFSO 、CFCO ,CHCO ,CO,SO 2−,SO 2−,SCN、CHSO ,ClO ,PO 3−,CH,EtO,NO ,SbF ,acacなどが挙げられる。ここで、Etはエチル基を表す。また、acacを以下に示す。
Figure 2007217397
中でも工業的に好ましくは、Xは、Cl,Br,I,BF ,PF ,CO 2−,OH,CFSO 、CFCO ,CHCO ,SO 2−であり、より好ましくはCl,Br,I,PF ,CO 2−,OHである。
前記一般式(I)で表される化合物の分子量は特に上限は無いが、精製のしやすさを考慮すると、10000以下が好ましく、同定のしやすさを考慮すると1500以下が好ましい。
前記一般式(I)で表される化合物としては、好ましくは下記一般式(Ia)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2007217397
(一般式(Ia)中、Xt−は前記一般式(I)におけると同義であり、t=1である。Rはフェニル基、ナフチル基等のアリール基、あるいはフルオレン、ジベンゾフラン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、チオフェン、フラン、ピリジン、ピリミジン、キノリン由来の基等を表し、Rは水素原子、メチル基等の炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基等のアリール基を表し、R,Rは、各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基等が挙げられ、これらは互いに結合して環を形成していても良い。該環としては、フェニル基等のアリール基が挙げられる。)
前記一般式(I)で表される化合物として、特に好ましくは、下記一般式(I−1)で表される化合物又は下記一般式(I−2)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2007217397
((I−1)式及び(I−2)式中、Xは、ヨウ素原子又は臭素原子を表す。R20は、炭素数1〜8のアルキル基又はフェニル基を表す。Zは、一般式(I)におけるものと同義である。)
以下に前記一般式(I)で表される化合物の具体例を示すが、本発明で用いる出発原料化合物は以下のものに限定されるものではない(以下おいて、Meはメチル基を表す。)。
Figure 2007217397
Figure 2007217397
前記一般式(I)で表される化合物は、Tetrahedron,1999,55,14523や米国特許5077414号明細書に記載の方法で容易に合成することが可能である。
[反応基質化合物]
次に前記一般式(I)で表される出発原料化合物に反応させる反応基質としての前記一般式(i)で表される化合物について説明する。
前記一般式(i)において、Mは、周期表第6周期の遷移金属を表す。重原子効果による燐光発光の高効率化の点から、好ましくは、Ir(III)、Pt(II),Au(I)、Au(III)であり、更に好ましくはIr(III)である。
前記一般式(i)において、Aは対アニオンを表す。Aとして具体的には、F,Cl,Br,I,BF ,PF ,CO 2−,OH,CCO ,CN,CFSO 、CFCO ,CHCO ,CO,SO 2−,SO 2−,SCN、CHSO ,ClO ,PO 3−,CH,EtO,NO ,SbF ,acacなどが挙げられる。中でも工業的に好ましくは、Cl,Br,I,BF ,PF ,CO 2−,OH,CFSO 、CFCO ,CHCO ,SO 2−であり、より好ましくはCl,Br,I,BF ,PF ,CO 2−,OHである。
前記一般式(i)において、Lはモノアニオン配位子を表す。Lとして具体的には置換基を有しても良いフェニルピリジン、フェニルイミダゾール基、フェニルピラゾール基を表し、好ましくはフェニルピリジンである。
前記一般式(i)において、Qは、価数調整のために導入されるカチオン原子であり、例えば、H、Na、K、Li等が挙げられる。
前記一般式(i)において、mは1以上の整数、q,nは各々独立に0以上の整数を表し、式(i)で表される化合物は、q個のQと1個のMの合計よりなるプラスの価数とm個のAとn個のLの合計よりなるマイナスの価数が等しく、化合物全体として電荷は中性となっている。
前記一般式(i)で表される反応基質化合物の分子量としては、5000以下が好ましく、2000以下が更に好ましい。
なお、前記一般式(i)で表される反応基質化合物は、水和水を含むものであっても良い。
前記一般式(i)で表される反応基質化合物として具体的には、次のようなものが挙げられるが、何らこれらに限定されるものではない。
IrCl・xHO、NaIrCl・6HO、NaIrBr、KIrCl、KIrCl、KIrBr、[Ir(NHCl]、(NHIrCl、(NHIrCl・HO、[Ir(COD)u−Cl]、HIrCl・xHO、IrBr・xHO、IrCl・xHO、KPtCl、KPtCl、(NHPtBr、(NHPtCl、Pt(NH(NO
Figure 2007217397
(なお、上記式中、X’は前記一般式(I)における対アニオンXとして挙げたものが用いられるが、好ましくはハロゲン原子由来のものである。)
本発明において、前記一般式(i)で表される反応基質化合物は特に好ましくはIrの塩又はPtの塩であり、最も好ましくは、IrCl・xHOである。
なお、前記一般式(i)で表される反応基質化合物におけるAと、前記一般式(I)の出発原料化合物におけるXとは同一であっても異なるものであっても良い。
[共存化合物]
次に、本発明において、反応を安定に進行させるための共存化合物である前記一般式(ii)で表される化合物について説明する。
前記一般式(ii)において、Mは周期表第4周期及び第5周期の遷移金属を表す。好ましくは周期表第8族〜第12族の第4周期及び第5周期の遷移金属を表す。更に好ましくは周期表第10族〜第12族の第4周期及び5周期の遷移金属を表す。特に好ましくは、Ag、Cu、Niなどが挙げられる。
前記一般式(ii)において、Aは対アニオンを表す。具体的には、F,Cl,Br,I,BF ,PF ,CO 2−,OH,CCO ,CN,CFSO 、CFCO ,CHCO ,CO,SO 2−,SO 2−,SCN、CHSO ,ClO ,PO 3−,CH,EtO,NO ,SbF ,acacなどが挙げられる。中でも工業的に好ましくは、Cl,Br,I,BF ,PF ,CO 2−,OH,CFSO 、CFCO ,CHCO ,SO 2−であり、より好ましくはCl,Br,I,BF ,PF ,CO 2−,OHである。
前記一般式(ii)におけるAは、前記一般式(I)におけるX及び/又は前記一般式(i)におけるAと同一であっても良く、異なるものであっても良い。
前記一般式(ii)において、j,kは各々独立に1以上の整数を表し、式(ii)で表される化合物は、j個のMよりなるプラスの価数と、k個のAよりなるマイナスの価数が等しく、化合物全体として電荷は中性となっている。
前記一般式(ii)で表される化合物の分子量としては、1000以下が好ましく、500以下が更に好ましい。
前記一般式(ii)で表される共存化合物としては、Ag,Cu,Niの塩などの化合物が好ましく、特に炭酸塩であることが好ましい。具体的には、AgO,Ni(OAc)(Acは、アセチル基を表す。)、CuCO、AgCOが挙げられるが、AgO又はAgCOがより好ましく、塩基としての働きが高いことからAgCOが特に好ましい。
[遷移金属錯体]
本発明で目的とする前記一般式(II)で表される遷移金属錯体の分子量は特に上限は無いが、精製のしやすさを考慮すると10000以下が好ましく、同定のしやすさを考慮すると1500以下が好ましい。
前記一般式(II)で表される遷移金属錯体としては、以下に例示される化合物が挙げられるが、何ら以下のものに限定されるものではない。
Figure 2007217397
Figure 2007217397
[製造方法]
次に、前記一般式(I)で表される出発原料化合物から、前記一般式(II)で表される目的遷移金属錯体を製造する方法について説明する。
本発明の製造方法は、従来のような不安定な中間体の製造工程を通ることなく、1段階反応で目的の遷移金属錯体を製造することができる。もちろん、本発明の製造方法は、1段階反応に限定されるものではなく、例えば、前記一般式(I)で表される出発原料化合物から、一旦安定な化合物を得たあとに、目的とする前記一般式(II)で表される遷移金属錯体を得てもよい。好ましくは、1段階反応で製造することである。
通常、この反応は、前記一般式(I)で表される出発原料化合物と、前記一般式(i)で表される反応基質化合物と、前記一般式(ii)で表される共存化合物と溶媒とを反応容器に入れ、加熱還流することにより行われる。
その加熱手段としては、マイクロウェーブ(電子レンジ)、オートクレーブ(加圧可能反応装置)等が挙げられるが、何らこれに限定されるものではない。
反応雰囲気は、空気中でもよいが、窒素雰囲気下或いはアルゴン雰囲気下などの不活性ガス雰囲気下で反応させてもよい。
溶媒としては、出発原料により異なるが、好ましくは、トルエン、DMF(ジメチルホルムアミド)、DMSO(ジメチルスルホキシド)、エトキシエタノールなどのアルコールなどの有機溶媒が挙げられる。特に、高温反応が可能であることから、50℃以上に沸点を有する溶媒を用いることが好ましい。これらの溶媒は1種を単独であるいは2種類以上併用して用いることができる。
また、反応系には、必要に応じて更に他の添加物を加えてもよい。この添加物としては、NaCO、NaHCO,KCO、NaOHやNaOt−Bu(Buはブチル基)などの塩基やAgBFやAgOTf(Ag(CFSO)等が挙げられ、これらの添加物を加えることにより反応の速度を制御することが可能となる。
反応に用いる前記一般式(I)で表される出発原料化合物と前記一般式(i)で表される反応基質化合物との割合は、前記一般式(I)で表される出発原料に対して、前記一般式(i)で表される反応基質化合物を1当量以下、特に0.1〜0.35当量用いることが好ましい。この反応基質の使用割合が少な過ぎると目的物の精製効率が悪くなり、多過ぎると反応を終結させることができない恐れがある。
また、前記一般式(ii)で表される共存化合物は、前記一般式(I)で表される出発原料1モルに対して、Mが0.8モル以上、特に0.9〜1.2モル用いることが好ましい。この共存化合物の使用割合が少な過ぎると、この共存化合物を用いることによる本発明の効果を十分に得ることができず、多過ぎると反応を阻害する恐れがある。
なお、前記一般式(ii)で表される共存化合物は1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
また、前記一般式(I)で表される出発原料化合物、前記一般式(i)で表される反応基質化合物については、各々、2種以上用いることも可能であるが、目的とする遷移金属錯体を高収率で得るために、通常は、1種類ずつ用いられる。
また、前述の溶媒は、前記一般式(i)で表される反応基質化合物1モルに対して5〜50L程度使用することが好ましい。溶媒の使用量が多過ぎると溶媒に含まれる不純物の影響を無視できなくなり、少な過ぎると生成物が系内から沈殿する恐れがあり、異性体の制御が難しくなる恐れがある。
反応温度は、用いた溶媒の沸点に依存するが、通常40℃以上、好ましくは60℃以上、より好ましくは75℃以上で、通常240℃以下、好ましくは220℃以下、より好ましくは200℃以下程度である。反応温度がこの上限を超えると生成物が分解する恐れがあり、下限を下回ると未反応の恐れがあり好ましくない。
特に、本発明の製造方法においては、90℃以下では目的とする遷移金属錯体のmer体を選択的に合成することができ、90℃以上ではfac体を選択的に得ることができることから、反応温度は、目的とする構造異性体に応じて適宜決定することが好ましい。
反応圧力は常圧から10atm(1MPa)以下が好ましい。
反応時間は、目的とする構造異性体にもよるが、mer体を得たい場合には、昇温時間を含めて通常30分以上、通常10時間以下、好ましくは8時間以下、更に好ましくは6時間以下程度である。この上限を超えるとfac体が生じる恐れがあり、下限を下回ると未反応の恐れがあり好ましくない。
反応により生成した目的化合物である前記一般式(II)で表される遷移金属錯体の単離は、濾過等により反応で生成した無機物を除去し、有機溶剤で沈殿を洗浄後、反応溶媒を減圧濃縮し、得られた粗生成物を再結晶、シリカゲルクロマトグラフィー或いはGPCにより精製することにより行うことが出来る。
以下に、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
[実施例1]
〈出発原料化合物の製造〉
Figure 2007217397
1−フェニルイミダゾール(アルドリッチ社製)4g(28mmol)と塩化メチレン溶液20mlにヨードメタン5.9g(42mmol)を加え、9時間加熱還流を行った。原料が無くなったことを確認した後、反応溶液を濃縮し、得られた粗生成物を酢酸エチルで懸洗を繰り返すことにより、目的とする化合物(1):8gをほぼ定量的に得ることができた。同定はH−NMR、マス分析により行った。
〈遷移金属錯体の製造〉
Figure 2007217397
得られた上記出発原料化合物(1)(574mg)とIrCl・xHO(アルドリッチ社製)188mg、炭酸銀AgCO(アルドリッチ品)552mgをエトキシエタノール中にて100℃で2時間、加熱を行った。反応溶液を濾過した後、濾過物をジクロロメタンで洗浄し、濾液を濃縮した。得られた粗生成物をクロマトグラフィーで精製することにより目的とする遷移金属錯体(2)を得た。同定はH−NMR、マス分析により行った。また、HPLC分析により生成物はfac体を主体とするものであることを確認した。
[実施例2]
〈出発原料化合物の製造〉
Figure 2007217397
ベンズイミダゾール(アルドリッチ社製)1.0g(8.5mmol)と、4−ヨードベンズトリフロライド(東京化成社製)2.76g(10.1mmol)に、N,N−ジメチルホルムアミド4.2mlを加え、その溶液に更に、ヨウ化銅(和光純薬社製)0.17g(0.9mmol)と1,10−フェナントロリン水和物(東京化成社製)0.34g(2mmol)及び炭酸セシウム(キシダ化学社製)5.53g(17mmol)を加え、110℃にて12.5時間加熱した。反応終了後、水を加え、晶出した結晶を濾別した。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的とする化合物(3)を1.39g(収率63%)得た。同定はH−NMRにより行った。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ=7.38(2H,m),7.59(1H,m),7.68(2H,d,J=7.6Hz),7.87(2H,d,J=7.6Hz),7.93(1H,m)8.18(1H,s)
Figure 2007217397
化合物(3)1.39g(5.3mmol)の塩化メチレン15ml溶液に、ヨウ化メチル(東京化成社製)7.54g(53mmol)を加え、加熱還流した。原料消失を確認後、反応液を濃縮し、目的とする化合物(4)2.11g(収率98%)を得た。同定はH−NMRにより行った。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ=4.43(3H,s),7.16(2H,m),7.72(1H,m),7.87(1H,m),7.96(2H,d,J=8.4Hz)8.16(2H,d,J=8.4Hz),11.19(1H,s)
〈遷移金属錯体の製造〉
Figure 2007217397
化合物(4)2.1g(5.2mmol)にエトキシエタノール50mlを加え、この溶液に塩化イリジウム(エヌイーケムキャット社製)580mg(2mmol)と炭酸銀(キシダ化学社製)710mg(2.6mmol)と炭酸ナトリウム(関東化学社製)277mg(2.6mmol)を加え、加熱還流した。20時間反応後、反応液にメタノールを15ml加え、室温にて攪拌した。晶出していた結晶を濾別し、この結晶を塩化メチレンにて抽出して塩化メチレンを濃縮することにより、目的物である化合物(5)0.82g(収率:45%)を得た。NMRより、このものはfac体であることが確認できた。
一方、結晶を濾別後の濾液にはfac体とmer体とが含まれていることが確認でき、濾液から塩化メチレンで抽出できた有機層をカラムクロマトグラフィーにより精製すると、目的物である化合物(5)のfac体を0.31g(収率:17%)、mer体を0.38g(収率:21%)、得ることができた。同定はH−NMRにより行った。
1H-NMR(400MHz,CDCl3);fac体:δ=3.26(9H,s),6.75(3H,s),7.20(3H,d,J=7.6Hz),7.29(3H,d,J=7.6Hz),7.35(6H,m),7.89(3H,d,J=8Hz),8.13(3H,d,J=8Hz)
1H-NMR(400MHz,CDCl3);mer体:δ=3.16(3H,s),3.22(3H,s),3.24(3H,s),6.79(1H,s),6.98(1H,s),7.06(1H,s),7.10-7.40(12H,m),7.73-7.90(3H,m),8.01-8.16(3H,m)
[実施例3]
〈出発原料化合物の製造〉
Figure 2007217397
ベンゾチオフェン(東京化成社製)10g(74.5mmol)に塩化メチレン70mlを加え、その溶液に臭素3.8ml(74.5mmol)をゆっくりと滴下した。滴下終了後、更に室温で5.5時間反応した。反応終了後、1重量%チオ硫酸ナトリウム水溶液50mlで洗浄し、有機層を濃縮して、目的物である化合物(6)を含む粗生成物15.89gを得た。
Figure 2007217397
化合物(6)を含む粗生成物10.0gにN,N−ジメチルホルムアミド65mlを加え、その溶液にヨウ化カリウム(キシダ化学社製)62.32g(375mmol)とヨウ化銅(和光純薬社製)35.75g(188mmol)を加え、10.5時間加熱還流した。反応終了後、反応液を0.1N塩酸100mlに加え、更に塩化メチレン100mlを加えた。濾過を行い、得られた濾液を分液し、有機層を濃縮することにより、目的物である化合物(7)を含む粗生成物9.66gを得た。同定はH−NMRにより行った。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ=7.38(1H,t,J=8Hz),7.46(1H,t,J=8Hz),7.59(1H,s),7.76(1H,d,J=8Hz),7.84(1H,d,J=8Hz)
Figure 2007217397
化合物(7)を含む粗生成物7.93gとベンズイミダゾール(アルドリッチ社製)3.0g(25.4mmol)とに、N,N−ジメチルホルムアミド12.7mlを加え、その溶液に更に、ヨウ化銅(和光純薬社製)0.96g(5.0mmol)と1,10−フェナントロリン水和物(東京化成社製)0.99g(5.1mmol)及び炭酸セシウム(キシダ化学社製)16.55g(50.8mmol)を加え、110℃にて17時間加熱した。反応終了後、水を加え、晶出した結晶を濾別した。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的とする化合物(8)3.12g(総収率32%/3工程)を得た。同定はH−NMRにより行った。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ=7.28-7.43(4H,m),7.48(1H,t,J=8Hz),7.51(1H,t,J=8Hz),7.61(1H,s),7.93(1H,d,J=8Hz),7.96(1H,d,J=8Hz),8.17(1H,s)
Figure 2007217397
化合物(8)3.04g(12.2mmol)の塩化メチレン30ml溶液に、ヨウ化メチル(東京化成社製)17.48g(123mmol)を加え、7.5時間加熱還流した。原料消失を確認後、反応液を濃縮し、目的とする化合物(9)4.77g(収率100%)を得た。同定はH−NMRにより行った。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ=5.30(3H,s),7.42-7.55(4H,m),7.64(1H,t,J=8Hz),7.75(1H,t,J=8Hz),7.85(1H,d,J=8Hz),8.01(1H,d,J=8Hz),8.67(1H,s),10.80(1H,s)
〈遷移金属錯体の製造〉
Figure 2007217397
化合物(9)4.77g(12.2mmol)にエトキシエタノール110mlを加え、この溶液に塩化イリジウム(エヌイーケムキャット社製)1.36g(4.3mmol)と炭酸銀(キシダ化学社製)1.69g(6.1mmol)と炭酸ナトリウム(関東化学社製)0.64g(6.1mmol)を加え、加熱還流した。36時間反応後、反応液にメタノールを35ml加え、室温にて攪拌した。晶出していた結晶を濾別し、得られた結晶から塩化メチレンにて抽出を繰り返し、有機層を濃縮し、カラムクロマトグラフィーにて精製し、目的物である化合物(10)のfac体:1.28g(収率:32%)を得た。一方、メタノール晶出の濾液に水を加え、更に晶出した結晶を濾別し、カラムクロマトグラフィーにて精製し、目的物である化合物(10)のmer体:0.51g(収率:13%)を得た。同定は、MS測定、及びH−NMRにより行った。
MS:982
1H-NMR(400MHz,CDCl3);fac体:δ=3.34(9H,s),7.01(3H,m),7.25(12H,m),7.62(3H,d,J=11.2Hz),8.27(3H,d,J=8.8Hz),8.38(3H,d,J=10Hz)
1H-NMR(400MHz,CDCl3);mer体:δ=3.24(3H,s),3.57(3H,s),3.60(3H,s),6.95-7.10(3H,m),7.22-7.35(12H,m),7.59(2H,t,J=6.8),7.66(1H,d,J=8Hz),8.15-8.36(6H,m)
[実施例4]
〈出発原料化合物の製造〉
Figure 2007217397
N−(4’−ブロモフェニル)カルバゾール3.0gにN,N−ジメチルホルムアミド15mlを加え、その溶液にヨウ化カリウム(キシダ化学社製)15.45g(93mmol)とヨウ化銅(和光純薬社製)8.87g(47mmol)を加え、6時間加熱還流した。反応終了後、反応液を0.1N塩酸25mlに加え、晶出した結晶を濾別した。得られた粗結晶から塩化メチレン150mlで抽出し、塩化メチレン層を濃縮することにより、目的物である化合物(11)を含む粗生成物3.20gを得た。同定はH−NMRにより行った。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ=7.27-7.46(8H,m),7.92(2H,d,J=8Hz),8.13(2H,d,J=7.6Hz)
Figure 2007217397
化合物(12)を含む粗生成物3.20gとベンズイミダゾール(アルドリッチ社製)0.85g(7.2mmol)とに、N,N−ジメチルホルムアミド3.6mlを加え、その溶液に更に、ヨウ化銅(和光純薬社製)0.45g(2.4mmol)と1,10−フェナントロリン水和物(東京化成社製)0.43g(2.2mmol)及び炭酸セシウム(キシダ化学社製)4.71g(14.5mmol)を加え、110℃にて26時間加熱した。反応終了後、水を加え、晶出した結晶を濾別した。得られた粗結晶をカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的とする化合物(12)1.81g(収率70%)を得た。同定はH−NMRにより行った。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ=7.28-7.43(4H,m),7.48(1H,t,J=8Hz),7.51(1H,t,J=8Hz),7.61(1H,s),7.93(1H,d,J=8Hz),7.96(1H,d,J=8Hz),8.17(1H,s)
Figure 2007217397
化合物(12)1.81g(5mmol)の塩化メチレン20ml溶液に、ヨウ化メチル(東京化成社製)7.15g(37mmol)を加え、8時間加熱還流した。原料消失を確認後、反応液を濃縮し、目的とする化合物:2.45g(収率97%)を得た。同定はH−NMRにより行った。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ=4.52(3H,s),7.25-7.40(2H,m),7.40-7.55(4H,m),7.80-7.98(6H,m),8.18(4H,m),11.24(1H,s)
〈遷移金属錯体の製造〉
Figure 2007217397
化合物(13)2.45g(4.9mmol)にエトキシエタノール58mlを加え、この溶液に塩化イリジウム(エヌイーケムキャット社製)0.55g(1.7mmol)と炭酸銀(キシダ化学社製)0.67g(2.4mmol)と炭酸ナトリウム(関東化学社製)0.26g(2.5mmol)を加え、加熱還流した。23時間反応後、反応液にメタノールを20ml加え、室温にて攪拌した。晶出していた結晶を濾別し、得られた結晶から塩化メチレンにて抽出を繰り返し、有機層を濃縮し、カラムクロマトグラフィーにて精製し、目的物である化合物(14)のfac体:1.63g(収率:77%)とmer体:0.55g(収率:2%)を得た。同定は、H−NMRにより行った。
1H-NMR(400MHz,CDCl3);fac体:δ=3.45(9H,s),6.80-6.87(4H,m),6.95-7.05(4H,m),7.30-7.33(2H,m),7.39-7.44(1H,m),7.93(2H,d,J=8Hz),7.98(1H,d,J=8Hz),8.23(1H,d,J=8Hz)
1H-NMR(400MHz,CDCl3);mer体:δ=3.20(3H,s),3.22(3H,s),3.58(3H,s),6.80-7.40(33H,m),7.84-8.20(12H,m)
[実施例5]
〈出発原料化合物の製造〉
Figure 2007217397
4−ブロモベンゾフェノン(東京化成社製)3.5g(13.4mmol)にN,N−ジメチルホルムアミド23mlを加え、その溶液にヨウ化カリウム(キシダ化学社製)22.25g(134mmol)とヨウ化銅(和光純薬社製)12.76g(67mmol)を加え、4時間加熱還流した。反応終了後、反応液を0.1N塩酸30mlに加え、晶出した結晶を濾別した。得られた粗結晶から塩化メチレン180mlで抽出し、塩化メチレン層を濃縮することにより、目的物である化合物(15)を含む粗生成物5.51gを得た。同定はH−NMRにより行った。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ=7.46-7.55(4H,m),7.58-7.64(1H,m),7.77(2H,d,J=6.4Hz),7.85(2H,d,J=6.4Hz)
Figure 2007217397
化合物(15)を含む粗生成物5.50gとベンズイミダゾール(アルドリッチ社製)1.32g(11.2mmol)とに、N,N−ジメチルホルムアミド5.6mlを加え、その溶液に更に、ヨウ化銅(和光純薬社製)0.43g(5.6mmol)と1,10−フェナントロリン水和物(東京化成社製)0.44g(5.6mmol)及び炭酸セシウム(キシダ化学社製)7.27g(12.4mmol)を加え、110℃にて12.5時間加熱した。反応終了後、水を加え、晶出した結晶を濾別した。得られた粗結晶をカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的とする化合物(16)0.95g(収率28%)を得た。同定はH−NMRにより行った。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ=7.38(2H,d,J=8.7Hz),7.54(2H,t,J=8Hz),7.62-7.70(4H,m),7.85(2H,d,J=6.4Hz),7.90-7.95(1H,m),8.04(2H,d,J=8.8Hz),8.22(1H,s)
Figure 2007217397
化合物(16)0.95g(3.2mmol)の塩化メチレン10ml溶液に、ヨウ化メチル(東京化成社製)4.45g(32mmol)を加え、8時間加熱還流した。原料消失を確認後、反応液を濃縮し、目的とする化合物(17)1.62g(収率100%)を得た。同定はH−NMRにより行った。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ=4.49(3H,s),7.57(2H,t,J=6.8Hz),7.67(1H,t,J=6.8Hz),7.70-7.90(6H,m),8.10(4H,s),11.24(1H,bs)
〈遷移金属錯体の製造〉
Figure 2007217397
化合物(17)1.6g(3.2mmol)にエトキシエタノール30mlを加え、この溶液に塩化イリジウム(エヌイーケムキャット社製)0.35g(1.1mmol)と炭酸銀(キシダ化学社製)0.44g(1.6mmol)と炭酸ナトリウム(関東化学社製)0.17g(1.6mmol)を加え、加熱還流した。19時間反応後、反応液にメタノールを10ml加え、室温にて攪拌した。晶出していた結晶を濾別し、得られた結晶から塩化メチレンにて抽出を繰り返し、有機層を濃縮して粗生成物を得た。メタノール晶出の濾液に水を加え、晶出した結晶を回収し、先の塩化メチレン抽出層とを合わせて、カラムクロマトグラフィーにて精製し、目的物である化合物(18)のmer体:0.34g(収率:30%)を得た。同定はH−NMRにより行った。
1H-NMR(400MHz,CDCl3);mer体:δ=3.10(3H,s),3.16(3H,s),3.30(3H,s),6.84(1H,d,J=2Hz),6.97(2H,t,J=8Hz),7.04-7.10(4H,m),7.20-7.48(21H,m),7.61(1H,dd,J=1.6,8.4Hz),7.70(1H,dd,J=2,8Hz),7.84(1H,d,J=8.4Hz),7.95(2H,m),8.12-8.22(3H,m)
[実施例6]
〈出発原料化合物の製造〉
Figure 2007217397
ベンズイミダゾール(アルドリッチ社製)2.0g(16.9mmol)と、3−ヨードベンズトリフロライド(東京化成社製)5.53g(20.3mmol)に、N,N−ジメチルホルムアミド8.5mlを加え、その溶液に更に、ヨウ化銅(和光純薬社製)0.64g(3.4mmol)と1,10−フェナントロリン水和物(東京化成社製)0.68g(3.4mmol)及び炭酸セシウム(キシダ化学社製)11.03g(33.9mmol)を加え、110℃にて9時間加熱した。反応終了後、水を加え、晶出した結晶を濾別した。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的とする化合物(19)4.25g(収率96%)を得た。同定はH−NMRにより行った。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ=7.35-7.40(2H,m),7.50-7.56(1H,m),7.81(1H,bs),7.89-7.93(1H,m),8.15(1H,s)
Figure 2007217397
化合物(19)4.25g(16.2mmol)の塩化メチレン40ml溶液に、ヨウ化メチル(東京化成社製)23.0g(162mmol)を加え、8時間加熱還流した。原料消失を確認後、反応液を濃縮し、目的とする化合物(20)6.7g(収率100%)を得た。同定はH−NMRにより行った。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ=4.46(3H,s),7.68-7.80(3H,m),7.80-7.95(3H,m),8.06(1H,s),8.41(1H,d,J=9.2Hz),11.15(1H,s)
〈遷移金属錯体の製造〉
Figure 2007217397
化合物(20)6.7g(16.2mmol)にエトキシエタノール150mlを加え、この溶液に塩化イリジウム(エヌイーケムキャット社製)1.81g(5.7mmol)と炭酸銀(キシダ化学社製)2.23g(8.1mmol)と炭酸ナトリウム(関東化学社製)0.86g(8.1mmol)を加え、加熱還流した。20時間反応後、反応液にメタノールを45ml加え、室温にて攪拌した。晶出していた結晶を濾別し、この結晶を塩化メチレンにて抽出して塩化メチレンを濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより精製することにより、目的物である化合物(21)のfac体を0.58g(収率:11%)、mer体を1.09g(収率:20%)、得た。同定はH−NMRにより行った。
1H-NMR(400MHz,CDCl3);fac体:δ=3.28(9H,s),6.67(3H,d,J=8Hz),6.94(3H,d,J=8Hz),7.20-7.32(6H,m),7.39(3H,t,J=8Hz),8.02(3H,s),8.13(3H,d,J=8Hz)
1H-NMR(400MHz,CDCl3);mer体:δ=3.18(3H,s),3.25(3H,s),3.27(3H,s),6.66(1H,d,J=8Hz),6.86-6.95(5H,m),7.25-7.45(9H,m),7.99(3H,m),8.10-8.18(3H,m)
[実施例7]
〈出発原料化合物の製造〉
Figure 2007217397
1−(4−メトキシフェニル)−1H−イミダゾール5.0g(28.7mmol)の塩化メチレン50ml溶液に、ヨウ化メチル(東京化成社製)40.74g(287mmol)を加え、6時間加熱還流した。原料消失を確認後、反応液を濃縮し、目的とする化合物(22)9.07g(収率100%)を得た。同定はH−NMRにより行った。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ=3.86(3H,s),4.26(3H,s),7.04-7.07(2H,m),7.50-7.70(4H,m),11.35(1H,m)
〈遷移金属錯体の製造〉
Figure 2007217397
化合物(22)1.5g(4.7mmol)にエトキシエタノール30mlを加え、この溶液に塩化イリジウム(エヌイーケムキャット社製)0.52g(1.6mmol)と炭酸銀(キシダ化学社製)0.65g(2.4mmol)と炭酸ナトリウム(関東化学社製)0.25g(2.4mmol)を加え、加熱還流した。16時間反応後、反応液にメタノールを10ml加え、室温にて攪拌した。晶出していた結晶を濾別し、この結晶を塩化メチレンにて抽出して塩化メチレンを濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより精製することにより、目的物である化合物(23)を(fac体とmer体の混合物として)0.41g(収率:34%)得た。(fac体:mer体=85:15)同定はH−NMRにより行った。
1H-NMR(400MHz,CDCl3);fac体:δ=3.05(9H,s),3.52(9H,s),6.27(3H,s),6.42(3H,d,J=11Hz),6.64(3H,s),7.01(3H,d,J=8Hz),7.27(3H,m)
[実施例8]
〈出発原料化合物の製造〉
Figure 2007217397
4,5−ジフェニルイミダゾール(アルドリッチ社製)1.5g(6.8mmol)と、ヨードベンゼン(東京化成社製)1.67g(8.2mmol)に、N,N−ジメチルホルムアミド3.4mlを加え、その溶液に更に、ヨウ化銅(和光純薬社製)0.25g(1.3mmol)と1,10−フェナントロリン水和物(東京化成社製)0.27g(1.4mmol)及び炭酸セシウム(キシダ化学社製)4.44g(13.6mmol)を加え、110℃にて23時間加熱した。反応終了後、水を加え、晶出した結晶を濾別した。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的とする化合物(24)0.60g(収率30%)を得た。同定はH−NMRにより行った。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ=7.10-7.17(4H,m),7.17-7.35(9H,m),7.54(2H,d,J=7.6Hz),7.79(1H,bs)
Figure 2007217397
化合物(24)0.60g(2mmol)の塩化メチレン10ml溶液に、ヨウ化メチル(東京化成社製)2.90g(20mmol)を加え、4時間加熱還流した。原料消失を確認後、反応液を濃縮し、目的とする化合物(25)0.87g(収率98%)を得た。同定はH−NMRにより行った。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ=4.07(3H,s),7.03(2H,d,J=8.8Hz),7.21(2H,t,J=8Hz),7.30(1H,t,J=8Hz),7.40-7.55(10H,m),10.23(1H,s)
〈遷移金属錯体の製造〉
Figure 2007217397
化合物(25)0.87g(2mmol)にエトキシエタノール20mlを加え、この溶液に塩化イリジウム(エヌイーケムキャット社製)0.22g(0.7mmol)と炭酸銀(キシダ化学社製)0.27g(1mmol)と炭酸ナトリウム(関東化学社製)0.11g(1mmol)を加え、加熱還流した。21時間反応後、反応液にメタノールを6ml加え、室温にて攪拌した。晶出していた結晶を濾別し、この結晶を塩化メチレン200mlにて抽出して塩化メチレンを濃縮し、粗結晶を得た。得られた粗結晶を塩化メチレン30mlで懸洗した。更に酢酸エチル/メタノール(1/1(V/V))溶液2mlで懸洗し、目的物である化合物(26)のfac体:0.04gを得た。同定はH−NMRにより行った。
1H-NMR(400MHz,CDCl3);fac体:δ=3.24(9H,s),6.44(3H,d,J=8Hz),6.60(3H,t,J=8Hz),6.70(3H,t,J=8Hz),6.76(3H,d,J=6.5Hz),7.08-7.12(6H,m),7.20-7.35(24H,m)
[実施例9]
〈出発原料化合物の製造〉
Figure 2007217397
実施例4で得られた化合物(11)を含む粗生成物1.24gとイミダゾール(関東化学社製)0.19g(2.8mmol)とに、N,N−ジメチルホルムアミド1.9mlを加え、その溶液に更に、ヨウ化銅(和光純薬社製)0.11g(0.6mmol)と1,10−フェナントロリン水和物(東京化成社製)0.11g(0.6mmol)及び炭酸セシウム(キシダ化学社製)1.82g(5.6mmol)を加え、110℃にて15時間加熱した。反応終了後、水を加え、晶出した結晶を濾別した。得られた粗結晶をカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的とする化合物(27)0.33g(収率38%)を得た。同定はH−NMRにより行った。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ=7.28-7.35(3H,m),7.40-7.45(5H,m),7.64(2H,d,J=8.8Hz),7.71(2H,d,J=8.8Hz),7.96(1H,bs),8.16(2H,d,J=7.6Hz)
Figure 2007217397
化合物(27)0.33g(1.1mmol)の塩化メチレン5ml溶液に、ヨウ化メチル(東京化成社製)1.58g(11mmol)を加え、4.5時間加熱還流した。原料消失を確認後、反応液を濃縮し、目的とする化合物(28)0.5g(収率100%)を得た。同定はH−NMRにより行った。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ=4.34(3H,s),7.32(2H,m),7.43(4H,m),7.55(1H,bs),7.65(1H,s),7.83(2H,d,J=8Hz)8.06(2H,d,J=8Hz),8.13(2H,d,J=8Hz),10.76(1H,s)
〈遷移金属錯体の製造〉
Figure 2007217397
化合物(28)0.5g(1.1mmol)にエトキシエタノール12mlを加え、この溶液に塩化イリジウム(エヌイーケムキャット社製)0.12g(0.4mmol)と炭酸銀(キシダ化学社製)0.15g(0.5mmol)と炭酸ナトリウム(関東化学社製)0.06g(0.5mmol)を加え、加熱還流した。14時間反応後、反応液にメタノールを4ml加え、室温にて攪拌した。晶出していた結晶を濾別し、この結晶を塩化メチレンにて抽出して塩化メチレンを濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより精製することにより、目的物である化合物(29)のfac体:0.07g(収率:14%)を得た。同定はH−NMRにより行った。
1H-NMR(400MHz,CDCl3);fac体:δ=3.27(9H,s),6.82-7.00(21H,m),7.24-7.26(9H,m),7.48(3H,s),7.94(6H,d,J=8Hz)
[実施例10]
〈出発原料化合物の製造〉
Figure 2007217397
2,4−ジメトキシフェノールボロン酸2.0g(11mmol)のメタノール30ml溶液に、イミダゾール(関東化学社製)0.90g(13.2mmol)を仕込み、この溶液中に空気を1時間吹き込ませた。更に塩化第一銅(キシダ化学社製)0.11g(1.1mmol)を添加し、空気を吹き込みながら4時間加熱還流した。反応終了後、少量の水を加え、析出した固体を塩化メチレンで洗浄しながら濾別し、得られた濾液を濃縮してカラムクロマトグラフィーにより精製することにより、目的物である化合物(30)0.55g(収率25%)を得た。同定はH−NMRにより行った。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ=3.81(3H,s),3.85(3H,s),6.53(1H,dd,J=2,9.2Hz),6.59(1H,d,J=2Hz),7.11(1H,d,J=1Hz),7.15(1H,d,J=1Hz),7.18(1H,d,J=9.2Hz),7.67(1H,s)
Figure 2007217397
化合物(30)0.55g(2.7mmol)の塩化メチレン6ml溶液に、ヨウ化メチル(東京化成社製)3.82g(27mmol)を加え、2時間加熱還流した。原料消失を確認後、反応液を濃縮し、目的とする化合物(31)0.95g(収率100%)を得た。同定はH−NMRにより行った。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ=3.87(3H,s),3.90(3H,s),4.29(3H,s),6.62(2H,m),7.41(1H,s),7.52(1H,bs)7.63(1H,d,J=8.4Hz),10.03(1H,bs)
〈遷移金属錯体の製造〉
Figure 2007217397
化合物(31)0.94g(2.7mmol)にエトキシエタノール20mlを加え、この溶液に塩化イリジウム(エヌイーケムキャット社製)0.30g(0.9mmol)と炭酸銀(キシダ化学社製)0.37g(1.3mmol)と炭酸ナトリウム(関東化学社製)0.15g(1.4mmol)を加え、加熱還流した。19時間反応後、反応液にメタノールを6ml加え、室温にて攪拌した。晶出していた結晶を濾別し、この結晶を塩化メチレンにて抽出して塩化メチレンを濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより精製することにより、目的物である化合物(32)のfac体:0.14g(収率:18%)を得た。同定はH−NMRにより行った。
1H-NMR(400MHz,CDCl3);fac体:δ=3.00(9H,s),3.48(9H,s),3.84(9H,s),5.98(3H,bs),6.10(3H,bs),6.56(3H,bs),8.03(3H,s)
[実施例11]
〈出発原料化合物の製造〉
Figure 2007217397
ジベンゾフラン(和光純薬社製)10.0g(60mmol)の酢酸70ml溶液に、ヨウ素(関東化学社製)6.04g(24mmol)とヨウ素酸カリウム(関東化学社製)2.54g(12mmol)を加え、更に濃硫酸1.8mlを水12mlで希釈した水溶液を滴下し、40℃にて4.5時間反応した。反応液に水100mlを添加し、晶出した固体を濾別した。得られた粗結晶をメタノールで懸洗し、更に酢酸エチル/メタノール(1/5(V/V))溶液で再結晶を行い、目的物である化合物(33)9.93gを得た。同定はH−NMRにより行った。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ=7.35(1H,d,8Hz),7.37(1H,dd,J=1,6.4Hz),7.48(1H,dt,J=1,8.4Hz),7.57(1H,d,J=8Hz),7.72(1H,dd,J=1,7.6Hz),7.90(1H,d,J=7.6Hz),8.27(1H,d,J=1Hz)
Figure 2007217397
化合物(33)5.0g(17mmol)とイミダゾール(関東化学社製)1.01g(14.8mmol)とに、N,N−ジメチルホルムアミド13mlを加え、その溶液に更に、ヨウ化銅(和光純薬社製)0.56g(2.9mmol)と1,10−フェナントロリン水和物(東京化成社製)0.59g(3.0mmol)及び炭酸セシウム(キシダ化学社製)9.63g(29.6mmol)を加え、110℃にて20時間加熱した。反応終了後、水を加え、晶出した結晶を濾別した。得られた粗結晶をカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的とする化合物(34)1.87g(収率50%)を得た。同定はH−NMRにより行った。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ=7.25(1H,s),7.34(1H,s),7.39(1H,dt,J=1,7.2Hz),7.46(1H,dd,J=2,8.6Hz),7.53(1H,dt,J=1,8.2Hz),7.62(1H,d,J=8.2Hz),7.65(1H,d,J=8.2Hz),7.88-8.03(3H,m)
Figure 2007217397
化合物(34)1.0g(4.3mmol)の塩化メチレン10ml溶液に、ヨウ化n−プロピル(東京化成社製)4.56g(26.8mmol)を加え、11時間加熱還流した。原料消失が見られなかったので、反応溶媒をクロロホルム10mlに変え、更にヨウ化n−プロピルを加えて、10時間加熱還流した。原料消失を確認後、反応液を濃縮し、目的物とする化合物(35)1.6g(収率100%)を得た。同定はH−NMRにより行った。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ=1.06(3H,t,J=14Hz),2.05(2H,q,J=14Hz),4.52(2H,t,J=14Hz),7.37(1H,t,J=7.2Hz),7.50-7.60(3H,m),7.65(1H,d,J=9.2Hz),7.70-7.78(2H,m),8.17(1H,d,J=7.2Hz),8.71(1H,d,J=2.8Hz),10.70(1H,s)
〈遷移金属錯体の製造〉
Figure 2007217397
化合物(35)1.6g(4.3mmol)にエトキシエタノール40mlを加え、この溶液に塩化イリジウム(エヌイーケムキャット社製)0.45g(1.4mmol)と炭酸銀(キシダ化学社製)0.55g(2mmol)と炭酸ナトリウム(関東化学社製)0.21g(2mmol)を加え、加熱還流した。10.5時間反応後、反応液にメタノールを12ml加え、室温にて攪拌した。晶出していた結晶を濾別し、この結晶を塩化メチレンにて抽出して塩化メチレンを濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより精製することにより、目的物である化合物(36)のfac体0.09g(収率:7%)を得ることができた。同定はH−NMRにより行った。
1H-NMR(400MHz,CDCl3);fac体:δ=0.60(9H,t,J=7.6Hz),1.10-1.46(6H,m),3.35-3.55(6H,m),6.75(3H,s),6.78(3H,bs),7.20-7.30(6H,m),7.33(3H,d,J=7.2Hz),7.56(3H,s),7.71(3H,s),7.85(3H,d,J=12Hz)
[実施例12]
〈出発原料化合物の製造〉
Figure 2007217397
実施例11で得られた化合物(33)4.4g(15mmol)とベンズイミダゾール(関東化学社製)1.7g(15mmol)とに、N,N−ジメチルホルムアミド13mlを加え、その溶液に更に、ヨウ化銅(和光純薬社製)1.08g(6mmol)と1,10−フェナントロリン水和物(東京化成社製)2.16g(12.0mmol)及び炭酸セシウム(キシダ化学社製)9g(30mmol)を加え、110℃にて11時間加熱した。反応終了後、塩化メチレンを加え、濾過し、濾液を濃縮した。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的とする化合物(37):1.7g(収率40%)を得た。同定はH−NMRにより行った。
Figure 2007217397
化合物(37)1.0g(3.5mmol)の塩化メチレン10ml溶液に、ヨウ化メチル(和光純薬社製)4.56g(26.8mmol)を加え、11時間加熱還流した。反応溶媒にアセトンを加え、濾過することにより目的物とする化合物(38)1.3gを得た。同定はH−NMRにより行った。
〈遷移金属錯体の製造〉
Figure 2007217397
化合物(38)933g(3.0mmol)にエトキシエタノール150mlを加え、この溶液に塩化イリジウム(エヌイーケムキャット社製)355mg(1mmol)と炭酸銀(キシダ化学社製)414g(1.5mmol)と炭酸ナトリウム(関東化学社製)0.16g(1.5mmol)を加え、加熱還流した。5時間反応後、反応液にメタノールを12ml加え、室温にて攪拌した。晶出していた結晶を濾別し、この結晶をカラムクロマトグラフィーにより精製することにより、目的物である化合物(39)のfac体を0.09g得た。同定はH−NMRにより行った。
[実施例13]
〈出発原料化合物の製造〉
Figure 2007217397
イミダゾール(アルドリッチ社製)2.2g(33mmol)と、2−ナフチルボロン酸(東京化成社製)4.4g(25mmol)に、メタノール100mlを加え、その溶液に更に、塩化銅(和光純薬社製)148mg(1.4mmol)を加え、9.5時間加熱還流した。反応終了後、濾過し、濾液を濃縮することにより、粗生成物を得た。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的とする化合物(40)3.4g(収率63%)を得た。同定はH−NMRにより行った。
Figure 2007217397
化合物(40)3.3g(17mmol)の塩化メチレン15ml溶液に、ヨウ化メチル(東京化成社製)3.6g(26mmol)を加え、加熱還流した。原料消失を確認後、反応液を濃縮し、目的とする化合物(41)5.3gを得た。同定はH−NMRにより行った。
〈遷移金属錯体の製造〉
Figure 2007217397
化合物(41)1g(3mmol)にエトキシエタノール50mlを加え、この溶液に塩化イリジウム(エヌイーケムキャット社製)335mg(0.5mmol)と炭酸銀(キシダ化学社製)413mg(1.5mmol)と炭酸ナトリウム(関東化学社製)159mg(1.5mmol)を加え、加熱還流した。20時間反応後、反応液にメタノールを15ml加え、室温にて攪拌した。晶出していた結晶を濾別し、この結晶を塩化メチレンにて抽出して塩化メチレンを濃縮することにより、目的物である化合物(42)を117mg得た。同定はH−NMRにより行った。
[実施例14]
〈出発原料化合物の製造〉
Figure 2007217397
ベンズイミダゾール(アルドリッチ社製)3.5g(30mmol)と、N−(3−ヨードフェニル)−カルバゾール8.8g、ヨウ化銅(和光純薬)540mg、炭酸セシウム(関東化学社製)19g、1,10−フェナントロリン水和物(東京化成社製)1.08gに、ジメチルホルムアミド60mlを加え、12時間加熱還流した。反応終了後、水300mL加えて、濾過し、粗生成物を得た。得られた粗生成物を塩化メチレンで懸洗することにより、目的とする化合物(43)5.3gを得た。同定はH−NMRにより行った。
Figure 2007217397
化合物(43)5.3gの塩化メチレン15ml溶液に、ヨウ化メチル(東京化成社製)5.6g(40mmol)を加え、加熱還流した。原料消失を確認後、反応液を濃縮して、目的とする化合物(44)2.0gを得た。同定はH−NMRにより行った。
〈遷移金属錯体の製造〉
Figure 2007217397
化合物(44)1.5g(3mmol)にエトキシエタノール50mlを加え、この溶液に塩化イリジウム(エヌイーケムキャット社製)335mg(0.5mmol)と炭酸銀(キシダ化学社製)413mg(1.5mmol)と炭酸ナトリウム(関東化学社製)159mg(1.5mmol)を加え、加熱還流した。20時間反応後、反応液にメタノールを15ml加え、室温にて攪拌した。晶出していた結晶を濾別し、この結晶を塩化メチレンにて抽出して塩化メチレンを濃縮することにより、目的物である化合物(45)324mgを得た。
[実施例15]
〈出発原料化合物の製造〉
Figure 2007217397
3,4−ジメチルフェニルボロン酸10g(66mmol)のメタノール200ml溶液に、イミダゾール(関東化学社製)6.7g(100mmol)を仕込み、この溶液中に空気を1時間吹き込ませた。更に塩化第一銅(キシダ化学社製)0.33g(3.3mmol)を添加し、空気を吹き込みながら4時間加熱還流した。反応終了後、塩化メチレンを加え、セライト濾過し、得られた濾液を濃縮してカラムクロマトグラフィーにより精製することにより、目的物である化合物(46)9.5g(収率83%)を得た。同定はH−NMRにより行った。
Figure 2007217397
化合物(46)9.4gの塩化メチレン150ml溶液に、ヨウ化メチル(東京化成社製)14g(100mmol)を加え、加熱還流した。原料消失を確認後、反応液を濃縮し、目的とする化合物(47)9.5gを得た。同定はH−NMRにより行った。
〈遷移金属錯体の製造〉
Figure 2007217397
化合物(47)2.4g(7.5mmol)にエトキシエタノール100mlを加え、この溶液に塩化イリジウム(エヌイーケムキャット社製)837mg(2.5mmol)と炭酸銀(キシダ化学社製)1.03g(3.8mmol)と炭酸ナトリウム(関東化学社製)398mg(3.8mmol)を加え、加熱還流した。20時間反応後、反応液にメタノールを15ml加え、室温にて攪拌した。晶出していた結晶を濾別し、この結晶をカラムクロマトグラフィーで精製することにより、目的物である化合物(48)500mgを得た。同定はH−NMR、マス分析により行った。
[実施例16]
〈出発原料化合物の製造〉
Figure 2007217397
イミダゾール(アルドリッチ社製)6g(90mmol)と、4−ビフェニルボロン酸(アルドリッチ社製)11.8g(60mmol)に、メタノール300mLを加え、その溶液に更に、塩化銅(和光純薬社製)0.3g(3mmol)を加え、空気中9時間加熱還流した。反応終了後、塩化メチレンを加え濾過した後、濾液を濃縮し、メタノールで懸洗することにより、目的とする化合物(49)9.0g(収率40%)を得た。同定はH−NMRにより行った。
Figure 2007217397
化合物(49)4.5g(20mmol)の塩化メチレン50g溶液に、ヨウ化メチル(東京化成社製)5mL(53mmol)を加え、3時間加熱還流した。原料消失を確認後、反応液を濃縮し、塩化メチレンで懸洗することにより目的とする化合物(50)7.7gを得た。同定はH−NMRにより行った。
〈遷移金属錯体の製造〉
Figure 2007217397
化合物(50)2.7g(7.5mmol)にエトキシエタノール100mLを加え、この溶液に塩化イリジウム(田中貴金属社製)837mg(2.5mmol)と炭酸銀(キシダ化学社製)1.03mg(3.8mmol)と炭酸ナトリウム(関東化学社製)4.0g(3.8mmol)を加え、加熱還流した。7時間反応後、反応液にメタノールを15ml加え、室温にて攪拌した。晶出していた結晶を濾別し、この結晶をカラムクロマトグラフィーを用いて精製することにより目的物である化合物(51)0.5gを得た。同定はH−NMR、マス分析により行った。
[実施例17]
〈出発原料化合物の製造〉
Figure 2007217397
ベンズイミダゾール(アルドリッチ社製)1.77g(15mmol)と、4−ヨードビフェニル(既知法により合成)3.24g(15mmol)に、N,N−ジメチルホルムアミド35gを加え、その溶液に更に、ヨウ化銅(和光純薬社製)0.57g(3mmol)と1,10−フェナントロリン水和物(東京化成社製)0.54g(3mmol)及び炭酸セシウム(キシダ化学社製)3.98g(30mmol)を加え、130℃にて20時間加熱した。反応終了後、水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで2回、炭酸ナトリウム飽和水溶液で1回洗浄し、硫酸ナトリウムカラムにて乾燥後、エバポレートした。得られた結晶を酢酸エチル/ヘキサンでカラム精製することにより、目的とする化合物(52)1.56g(収率38.5%)を得た。同定はH−NMRにより行った。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ=7.37(2H,m),7,43(1H,m),7.51(2H,m),7.61(3H,m),7.66(2H,m),7.80(2H,m),7.90(1H,m),8.17(1H,s)
Figure 2007217397
化合物(52)1.35g(5mmol)の塩化メチレン10g溶液に、ヨウ化メチル(東京化成社製)14.2g(100mmol)を加え、10時間加熱還流した。原料消失を確認後、反応液を濃縮し、目的とする化合物(53)2.11g(収率98%)を得た。同定はH−NMRにより行った。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ=4.48(3H,s),7.45(1H,m),7.52(2H,m),7.64(2H,m),7.69-7.84(m,4H)7.88(2H,m),7.99(2H,m)11.11(1H,s)
〈遷移金属錯体の製造〉
Figure 2007217397
化合物(53)1.24g(3mmol)にエトキシエタノール30gを加え、この溶液に塩化イリジウム(田中貴金属社製)356mg(1mmol)と炭酸銀(キシダ化学社製)414mg(1.5mmol)と炭酸ナトリウム(関東化学社製)159mg(1.5mmol)を加え、加熱還流した。30時間反応後、反応液にメタノールを15ml加え、室温にて攪拌した。晶出していた結晶を濾別し、この結晶を塩化メチレンにて抽出して塩化メチレンを濃縮することにより、目的物である化合物(54)0.05g(収率:45%)を得た。
このものはfac体とmer体とが含まれており、HPLCにより、fac体:mer体は4:1と判明した。同定はH−NMRにより行った。
MALDI法による質量分析により、目的成分の分子量と一致するm/z:1582(M)をベースピークとし、この他、これのフラグメントイオンと考えられるm/z:1497(−C13の開裂)などを検出したため、目的化合物が合成されていると判断した。
[実施例18]
〈出発原料化合物の製造〉
Figure 2007217397
2−ブロモフルオレン(アルドリッチ社製)9.8g(40mmol)にテトラヒトロフラン180mlを加え、0℃でその溶液にt−ブトキシカリウム(東京化成社製)4.48g(40mmol)を加え、引き続きn−ヘキシルブロマイド7.17g(44mmol)を加え室温へと昇温した。30分攪拌後、再び0℃に冷却し、t−ブトキシカリウム(東京化成社製)4.48g(40mmol)を加え、引き続きn−ヘキシルブロマイド7.17g(44mmol)を加え室温へと昇温し、12時間攪拌した。有機層を濃縮し、目的物である化合物(55)18gを得た。同定はH−NMRにより行った。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ=0.59(4H,m),0.76(6H,t,J=7.3Hz),1.0-1.3(12H,m),1.8-2.0(4H,m),7.32(3H,m),7.43(1H,m),7.45(1H,s),7.55(1H,m),7.86(1H,m)
Figure 2007217397
ベンズイミダゾール(アルドリッチ社製)2.36g(20mmol)と、化合物(55)8.26g(20mmol)に、N,N−ジメチルホルムアミド45gを加え、その溶液に更に、ヨウ化銅(和光純薬社製)0.76g(4mmol)と1,10−フェナントロリン水和物(東京化成社製)5.31g(40mmol)及び炭酸セシウム(キシダ化学社製)5.31g(40mmol)を加え、130℃にて20時間加熱した。反応終了後、水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで2回、炭酸ナトリウム飽和水溶液で1回洗浄し、硫酸ナトリウムカラムにて乾燥後、エバポレートした。得られた液体をし、カラムクロマトグラフィにより精製して、目的とする化合物(56)3.22g(収率33%)を得た。同定はH−NMRにより行った。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ=0.70(4H,m),0.77(6H,t,J=7.5Hz),1.0-1.2(12H,m),2.01(4H,m),7.37(5H,m),7.46(2H,m),7.54(1H,m),7.76(1H,m),7.86(1H,d,J=8.3Hz),7.91(1H,m),8.18(1H,s)
〈出発原料化合物及び遷移金属錯体の製造〉
Figure 2007217397
化合物(56)2.75g(5.6mmol)の塩化メチレン10g溶液に、ヨウ化メチル(東京化成社製)7.8g(100mmol)を加え、10時間加熱還流した。原料消失を確認後、反応液を濃縮し、目的とする原料化合物(57)3.47g(5.5mmol)を得た。これにエトキシエタノール50gを加え、この溶液に塩化イリジウム(田中貴金属社製)430mg(1.8mmol)と炭酸銀(キシダ化学社製)750mg(2.75mmol)と炭酸ナトリウム(関東化学社製)290mg(2.75mmol)を加え、加熱還流した。30時間反応後、反応液を濾過し、この結晶を塩化メチレンにて抽出して塩化メチレンを濃縮し、カラムクロマトグラフィにより精製して、目的物である化合物(58)1.1g(収率:34%)を得た。
この化合物は溶解性不良のためNMRでは明瞭なピークをあたえなかったが、MALDI法による質量分析により、目的成分の分子量と一致するm/z:1582(M)をベースピークとし、この他、これのフラグメントイオンと考えられるm/z:1497(−C13の開裂)などを検出したため、目的化合物が合成されていると判断した。
[実施例19]
〈出発原料化合物の製造〉
Figure 2007217397
4−ジベンゾフランボロン酸(アルドリッチ社製)2.0g(9.4mmol)と、イミダゾール(関東化学社製)0.77g(11.3mmol)に、メタノール8.7mlを加え、その溶液に空気を約1時間吹き込んだ。更に、塩化銅(和光純薬社製)0.095g(1mmol)を加え、更に空気を吹き込みながら3.5時間加熱還流した。反応終了後、塩化メチレンを加え、不溶物を濾別した。濾液を濃縮し、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的とする化合物(59)0.93g(収率42%)を得た。
同定は1H−NMRにより行った。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ=7.31(1H,s),7.38-7.55(4H,m),7.61(1H,s),7.62(1H,d,J=8Hz),7.92(1H,dd,J=1.6,8Hz),7.99(1H,d,J=8Hz),8.25(1H,s)
Figure 2007217397
化合物(59)0.93g(4.0mmol)の塩化メチレン10ml溶液に、ヨウ化メチル(東京化成社製)5.65g(40mmol)を加え、3時間加熱還流した。原料消失を確認後、反応液を濃縮し、目的とする化合物(60)1.49g(収率99%)を得た。
同定は1H−NMRにより行った。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ=4.40(3H,s),7.47(1H,t,J=8Hz),7.53-7.62(3H,m),7.69(1H,d,J=8Hz),8.02-8.04(2H,m),8.10(1H,d,J=J=8Hz),8.17(1H,d,J=8Hz),10.89(1H,s)
〈遷移金属錯体の製造〉
Figure 2007217397
化合物(60)1.49g(4mmol)にエトキシエタノール35mlを加え、この溶液に塩化イリジウム(エヌイーケムキャット社製)0.45g(1.5mmol)と炭酸銀(キシダ化学社製)0.55g(2mmol)と炭酸ナトリウム(関東化学社製)0.23g(2.2mmol)を加え、加熱還流した。18時間反応後、反応液にメタノールを10ml加え、室温にて攪拌した。晶出していた結晶を濾別し、この結晶を塩化メチレン200mlにて2回抽出して塩化メチレンを濃縮し、粗結晶を得た。得られた粗結晶をカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的とする化合物(61)のfac体:0.07g(収率:5%)、mer体:0.15g(収率:12%)を得た。
同定は1H−NMRにより行った。
1H-NMR(400MHz,CDCl3);fac体:δ=3.17(9H,s),6.31(3H,d,J=8Hz),6.89(3H,s),7.23-7.26(6H,m),7.34(3H,m),7.53(3H,d,J=8Hz),7.82(3H,d,J=11Hz),8.34(3H,s)
mer体:δ=3.02(3H,s),3.05(3H,s),3.14(3H,s),6.64(1H,d,J=7Hz),6.78-6.85(5H,m),
7.19-7.35(9H,m),7.48-7.55(3H,m),7.74-7.80(3H,m),8.27(1H,s),8,38(1H,s),8,43(1H,s)
m/z=934(M+)
[実施例20]
〈出発原料化合物の製造〉
Figure 2007217397
実施例10で得られた化合物(31)5.0g(15.8mmol)に2−(2−エトキシエトキシ)エタノール100mlを加え、この溶液に塩化イリジウム(エヌイーケムキャット社製)1.75g(5.7mmol)と炭酸銀(キシダ化学社製)2.18g(8mmol)と炭酸ナトリウム(関東化学社製)0.84g(8mmol)を加え、180℃で5時間加熱した。反応後、反応液にメタノールを30ml加え、室温にて攪拌した。晶出していた結晶を濾別し、この結晶を塩化メチレン10mlにて洗浄し、目的とする化合物(62)1.0g(収率:21%)を得た。
同定は1H−NMRにより行った。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ=3.51(12H,s),3.88(12H,s),5.74(4H,d),6.22(4H,dd),6.82(4H,d,J=8Hz),7.06(4H,s),7.46(4H,s)
〈遷移金属錯体の製造〉
Figure 2007217397
化合物(62)0.31g(0.25mmol)にエトキシエタノール10mlと、アセチルアセトンナトリウム塩(STREM CHEMICALS社製)0.08g(0.67mmol)を加え、120℃で13.5時間、加熱した。反応後、反応液に水を加え、得られた粗結晶を濾別し、ヘキサンと酢酸エチルで懸洗して、目的物である化合物(63)のfac体:0.28g(収率:83%)を得た。
同定は1H−NMRにより行った。
1H-NMR(400MHz,CDCl3);δ=1.67(6H,s),3.58(6H,s),3.84(6H,s),5.18(1H,s),5.85(2H,s),6.23(2H,d,J=8Hz),6.85(2H,d,J=8Hz),6.94(2H,s),7.35(2H,s)
m/z=665(M+)
[実施例21]
〈出発原料化合物の製造〉
Figure 2007217397
実施例1で得られた化合物(1)2.0g(7mmol)にエトキシエタノール125mlを加え、この溶液に塩化イリジウム(エヌイーケムキャット社製)0.64g(2.1mmol)と酸化銀(アルドリッチ社製)0.91g(4mmol)を加え、120℃で18時間加熱した。反応後、反応液を濃縮し、残渣より塩化メチレンで抽出し、約10mlまで濃縮した。メタノールを20ml加え、晶出していた結晶を濾別し、目的とする化合物(64)0.43g(収率:11%)を得た。
同定は1H−NMRにより行った。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ=3.90(12H,s),6.17(4H,d,J=8Hz),6.41(4H,t,J=8Hz),6.65(4H,t,J=8Hz),6.90(4H,d,J=8Hz),7.09(4H,s),7.53(4H,s)
〈遷移金属錯体の製造〉
Figure 2007217397
化合物(64)0.15g(0.14mmol)にエトキシエタノール5mlと、アセチルアセトンナトリウム塩(STREM CHEMICALS社製)0.04g(0.3mmol)を加え、120℃で10.5時間、加熱した。反応後、反応液に水を加え、得られた粗結晶を濾別し、得られた粗結晶をカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的物である化合物(65)のfac体:0.05g(収率:31%)を得た。
同定は1H−NMRにより行った。
1H-NMR(400MHz,CDCl3);δ=1.67(6H,s),5.18(1H,s),3.85(6H,s),6.28(2H,d,J=8Hz),6.50(2H,t,J=8Hz),6.69(2H,t,J=8Hz),6.94(2H,d,J=8Hz),6.98(2H,s),7.42(2H,s)
m/z=605(M+)
[実施例22]
〈遷移金属錯体の製造〉
Figure 2007217397
実施例21で得られた化合物(64)0.15g(0.14mmol)に塩化メチレン5mlと、ヒノキチオール(東京化成社製)0.06g(0.36mmol)と炭酸カリウム(関東化学社製)0.04g(0.3mmol)を加え、7時間加熱還流した。反応後、反応液を水洗し、有機層を濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的物である化合物(66)のfac体:0.12g(収率:62%)を得た。
同定は1H−NMRにより行った。
1H-NMR(400MHz,CDCl3);δ=1.50(6H,d),2.67(1H,m),3.85(6H,s),6.28(2H,d,J=8Hz),6.48-6.56(3H,m),6.70(2H,t,J=8Hz),6.84(1H,d,J=11Hz),6.94-6.98(5H,m),7.07-7.10(1H,m),7.42(2H,s)
m/z=669(M+)
[実施例23]
〈出発原料化合物の製造〉
Figure 2007217397
イミダゾール(関東化学社製)2.0g(29mmol)と、3−ヨードベンズトリフロライド(東京化成社製)9.59g(35mmol)に、N,N−ジメチルホルムアミド14.8mlを加え、その溶液に更に、ヨウ化銅(和光純薬社製)1.12g(5.9mmol)と1,10−フェナントロリン水和物(東京化成社製)1.16g(5.9mmol)及び炭酸セシウム(キシダ化学社製)19.13g(59mmol)を加え、110℃にて15時間加熱した。反応終了後、水を加え、塩化メチレンで抽出した。有機層を水洗し、濃縮して、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的とする化合物(67)3.47g(収率56%)を得た。
同定は1H−NMRにより行った。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ=7.20-7.40(2H,m),7.60-7.70(4H,m),7.80-8.00(1H,bs)
Figure 2007217397
化合物(67)3.47g(16.3mmol)の塩化メチレン35ml溶液に、ヨウ化メチル(東京化成社製)23.20g(163mmol)を加え、加熱還流した。原料消失を確認後、反応液を濃縮し、ヘキサンで懸洗し、目的とする化合物(68)5.40g(収率93%)を得た。
同定は1H−NMRにより行った。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ=4.29(3H,s),7.56-7.64(2H,m),7.75-7.83(2H,m),7.90(1H,s),
8.31(1H,d,J=8Hz),10.72(1H,s)
Figure 2007217397
化合物(68)1.5g(4.2mmol)にエトキシエタノール94mlを加え、この溶液に塩化イリジウム(エヌイーケムキャット社製)0.38g(1.2mmol)と酸化銀(アルドリッチ社製)0.56g(2.4mmol)を加え、120℃で15時間加熱した。反応後、反応液を濃縮し、残渣より塩化メチレンで抽出し、約10mlまで濃縮した。メタノールと水を加え、晶出していた結晶を濾別し、目的とする化合物(69)0.69g(収率:48%)を得た。
同定は1H−NMRにより行った。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ=3.90(12H,s),6.25(4H,d,J=8Hz),6.69(4H,d,J=8Hz),7.14(4H,s),7.20(4H,s),7.63(4H,s)
〈遷移金属錯体の製造〉
Figure 2007217397
化合物(69)0.3g(0.22mmol)にエトキシエタノール10mlと、アセチルアセトンナトリウム塩(STREM CHEMICALS社製)0.07g(0.6mmol)を加え、120℃で12.5時間、加熱した。反応後、反応液に水を加え、得られた粗結晶を濾別し、得られた粗結晶をカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的物である化合物(70)のfac体:0.13g(収率:38%)を得た。
同定は1H−NMRにより行った。
1H-NMR(400MHz,CDCl3);δ=1.70(6H,s),3.86(6H,s),5.23(1H,s),6.38(2H,d,J=8Hz),6.74(2H,d,J=8Hz),7.03(2H,s),7.13(2H,s),7.47(2H,s)
m/s=741(M+)
[実施例24]
〈出発原料化合物の製造〉
Figure 2007217397
ピラゾール(東京化成社製)1.6g(24mmol)と、2−ヨードアニソール(東京化成社製)5.0g(21.4mmol)に、ジオキサン10.7mlを加え、その溶液に更に、ヨウ化銅(和光純薬社製)0.05g(0.3mmol)とN,N’−ジメチルエチレンジアミン(東京化成社製)0.19g(2.2mmol)及びリン酸カリウム(キシダ化学社製)3.17g(15mmol)を加え、110℃にて22時間加熱した。反応終了後、水を加え、塩化メチレンで抽出した。有機層を水洗し、濃縮して、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、中間体である化合物(71)0.39g(収率11%)を得た。
同定は1H−NMRにより行った。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ=3.87(3H,s),6.42(1H,m),7.02-7.08(2H,m),7.30(1H,t,J=8Hz),7.69-7.73(2H,m),8.03(1H,m)
化合物(71)0.39g(2.3mmol)に塩化メチレン5mlを加え、氷冷下、三臭化ホウ素(東京化成社製)の1M塩化メチレン溶液2.5mlを添加した。室温まで徐々に温度を上昇させた。反応液を塩化メチレンで希釈し、水洗した有機層を濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的とする化合物(72)0.19g(収率:52%)を得た。
同定は1H−NMRにより行った。
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ=6.49(1H,m),6.91(1H,t,J=8Hz),7.10(1H,d,J=8Hz),7.17(1H,t,J=8Hz),7.37(1H,d,J=8Hz),7.73(1H,s),8.00(1H,s),11.36(1H,s)
〈遷移金属錯体の製造〉
Figure 2007217397
実施例21で得られた化合物(64)0.1g(0.1mmol)にエトキシエタノール3mlと、化合物(72)0.03g(0.2mmol)と炭酸カリウム(関東化学社製)0.02g(0.15mmol)を加え、100℃で15時間加熱した。反応後、反応液に水を加え、得られた結晶を濾別し、カラムクロマトグラフィーにより精製し、目的物である化合物(73)のfac体:0.04g(収率:33%)を得た。
同定は1H−NMRにより行った。
1H-NMR(400MHz,CDCl3);δ=3.18(3H,s),3.95(3H,s),6.22(1H,m),6.38(2H,t),6.41(1H,t),6.49(1H,t),6.58(1H,t),6.61(1H,d),6.68(1H,s),6.73(1H,s),6.77(2H,s),6.89(1H,t),6.96-7.00(2H,m),7.05-7.09(2H,m),7.32(1H,s),7.50(1H,s),7.92(1H,s)
m/z=665(M+)
本発明の遷移金属錯体の製造方法で得られる遷移金属錯体は、有機電界発光素子や、白色LED固体照明用の光源、色素レーザー、温度センサー、酸素センサー、圧力センサー、時間差蛍光イムノアッセイ、多光子吸収(発光)材料、有機長残光材料、夜行塗料、非線形光学材料、光電変換材料、超伝導材料など、様々な用途展開が期待される。

Claims (7)

  1. 下記一般式(I)で表される化合物を、下記一般式(i)で表される化合物と反応させて、下記一般式(II)で表される遷移金属錯体を製造する方法において、
    該反応系に下記一般式(ii)で表される化合物を存在させることを特徴とする遷移金属錯体の製造方法。
    Figure 2007217397
    ((I)式中、Zは直接結合或いは2価の連結基を表す。Yは2価の連結基を表す。Xt−は対アニオンを表す。tは1以上の整数を表す。R〜Rは、各々独立に、任意の置換基を表し、それぞれ隣接するR〜R同士で、環を形成していてもよい。該環は置換基を有していてもよい。)
    q (i)
    ((i)式中、Mは周期表第6周期の遷移金属を表し、Qは価数調整のために導入されるカチオン原子を表し、Aは対アニオンを表し、Lはモノアニオン配位子を表す。
    mは1以上の整数、q,nは各々独立に0以上の整数を表し、式(i)で表される化合物は、q個のQと1個のMの合計よりなるプラスの価数とm個のAとn個のLの合計よりなるマイナスの価数が等しく、化合物全体として電荷は中性となっている。)
    Figure 2007217397
    ((II)式中、Z,Y,R〜Rは一般式(I)におけると同義であり、M,L,m,nは一般式(i)におけると同義である。)
    (ii)
    ((ii)式中、Mは周期表第4周期及び第5周期の遷移金属を表し、Aは対アニオンを表す。
    j,kは各々独立に1以上の整数を表し、式(ii)で表される化合物は、j個のMよりなるプラスの価数と、k個のAよりなるマイナスの価数が等しく、化合物全体として電荷は中性となっている。)
  2. 請求項1において、前記一般式(ii)における、MがAg、Cu又はNiであることを特徴とする遷移金属錯体の製造方法。
  3. 請求項2において、前記一般式(ii)で表される化合物が、炭酸塩であることを特徴とする遷移金属錯体の製造方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項において、前記一般式(i)における、MがIr又はPtであることを特徴とする遷移金属錯体の製造方法。
  5. 請求項4において、前記一般式(i)で表される化合物が、IrCl・xHOであることを特徴とする遷移金属錯体の製造方法。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項において、前記一般式(I)で表される化合物が、下記一般式(I−1)又は(I−2)で表される化合物であることを特徴とする遷移金属錯体の製造方法。
    Figure 2007217397
    ((I−1)式及び(I−2)式中、Xは、ヨウ素原子又は臭素原子を表す。R20は、炭素数1〜8のアルキル基又はフェニル基を表す。Zは、一般式(I)におけるものと同義である。)
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項において、該反応を100℃以上で行うことを特徴とする遷移金属錯体の製造方法。
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