JP2007216132A - 紫外線塗料硬化設備、塗料硬化方法 - Google Patents

紫外線塗料硬化設備、塗料硬化方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ガスの消費量を低減できる紫外線塗料硬化設備及び塗料硬化方法を提供すること。
【解決手段】紫外線塗料硬化設備11は、ワークWに紫外線を照射して紫外線硬化型塗料を硬化させる。紫外線塗料硬化設備11は、搬送手段14、光源13、供給手段40及び整流手段51を備える。搬送手段14は、ワーク出入口12cを介してワークWを処理槽12内に搬入し、ワーク出入口12dを介して処理槽12外にワークWを搬出する。光源13は、処理槽12内のワークWに紫外線を照射する。供給手段40は、ヘリウムガスを処理槽12内に供給するガス供給口41を有する。整流手段51は、ガス供給口41よりも下方に配置され、ヘリウムガスの通過時に流れを整えて微小風速のダウンフローを生じさせる。
【選択図】図1

Description

本発明は、ワークに紫外線を照射して、そのワーク表面に塗布された紫外線硬化型塗料を硬化させる紫外線塗料硬化設備、及び、ワークに紫外線を照射することによる塗料硬化方法に関するものである。
従来、紫外線塗料硬化設備は、車両用部品などのワークに塗布された紫外線硬化型塗料(UV塗料)を硬化させる工程などで使用されている。具体的にいうと、紫外線塗料硬化設備では、コンベアによりワークを一定方向に搬送しながらワーク表面に紫外線を照射することにより、ワーク表面のUV塗料の硬化処理を行う。
ところが、空気中に存在する酸素により、UV塗料の硬化が阻害されてしまうことがある(いわゆる「酸素阻害」)。従来の紫外線塗料硬化設備では、上記の酸素阻害を打ち消すように、高い光量の紫外線を照射してUV塗料を硬化させていたが、UV塗料を効率良く硬化させるためには、紫外線が照射される照射ゾーン内の酸素濃度をできるだけ低下させておくことが望ましい。そこで、照射ゾーンの空気を不活性ガスに置換することが行われている。
例えば、上部にワーク出入口が形成された処理槽を設け、処理槽内に炭酸ガス(広義の不活性ガスの一種)が充満した状態で、処理槽内を通過するワークに対して紫外線を照射することが従来提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。このようにすれば、空気よりも重い炭酸ガスが処理槽内に溜まるのに伴い、空気がワーク出入口から押し出されることで処理槽内の酸素濃度が低下するため、UV塗料を効率良く硬化させることができる。
特表2003−515445号公報(請求項1,5,6等参照) 特開2005−342549号公報(図1等参照)
ところで、紫外線の照射には通常UVランプが用いられる。このUVランプは、紫外線の照射時に発熱し、その熱は処理槽内の炭酸ガスの温度を上昇させる。特に、ワークが車両用部品のような大型部品であると、高出力のUVランプを複数用いてワーク表面に必要な照射量(例えば、数千ミリジュール)を確保する必要があるため、UVランプの発熱量は増加し、炭酸ガスの温度上昇は顕著になる。その結果、炭酸ガスの比重が小さくなって軽くなるため、槽上部のワーク出入口を介して炭酸ガスが処理槽外に漏れ易くなる。ゆえに、処理槽内の酸素濃度が高くなるため、UV塗料の硬化効率が低下してしまい、硬化不足となってしまう。しかも、酸素濃度を低く維持するためには、絶えず炭酸ガスを供給し続けなければならないため、炭酸ガスの消費量が多くなり、コストアップの原因となる。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ガスの消費量を低減できる紫外線塗料硬化設備及び塗料硬化方法を提供することにある。また、本発明の更なる目的は、大型のワークに対する処理も可能な紫外線塗料硬化設備及び塗料硬化方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、ワークに紫外線を照射して、そのワーク表面に塗布された紫外線硬化型塗料を硬化させる紫外線塗料硬化設備であって、ガス不透過性の壁材により構成され、槽上部が閉塞されている一方で槽最下部にワーク出入口が形成された処理槽と、前記ワークを上昇させながら前記ワーク出入口を介して前記ワークを前記処理槽内に搬入するとともに、前記ワークを下降させながら前記ワーク出入口を介して前記処理槽外に前記ワークを搬出する搬送手段と、前記処理槽に設置され、前記処理槽内を通過する前記ワークに紫外線を照射する光源と、ヘリウムガスを送り出すヘリウムガス源と、前記ヘリウムガス源と流路的に接続され、前記ヘリウムガスを前記槽上部から前記処理槽内に供給するガス供給口を有する供給手段と、前記処理槽内の槽上部において前記ガス供給口よりも下方に配置され、前記ヘリウムガスの通過時にその流れを整えて微小風速のダウンフローを生じさせる整流手段とを備えたことを特徴とする紫外線塗料硬化設備をその要旨とする。
前記ヘリウムガスは不活性ガスの一種である。ここで、不活性ガスとしては、狭義にはヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガスなどの希ガス族元素が挙げられ、広義には化学反応性の低い窒素ガスや炭酸ガスなども挙げられる。そして、空気よりも軽い不活性ガスとしては、ヘリウムガスや窒素ガスなどが挙げられる。特に、ヘリウムガスは、窒素と比較して空気との比重差が大きいため、上方に流れやすい。従って、請求項1に記載の発明のように、槽上部が閉塞された処理槽内にヘリウムガスを供給すれば、ヘリウムガスが処理槽外に漏れにくくなるため、ヘリウムガスの消費量を低減できる。
しかしながら、ヘリウムガスは、窒素と比べて気体拡散速度が高いために、ワーク出入口において空気と接している部分においては、空気中に拡散して処理槽外に漏れやすい。そこで、請求項1に記載の発明では、ワーク出入口から遠い槽上部からヘリウムガスを供給しているため、ヘリウムガスが空気中に拡散しにくくなる。また、整流手段はダウンフローを生じさせるため、上方に流れやすいヘリウムガスを槽最下部まで到達させることができる。よって、処理槽内をヘリウムガスで確実に充満させることができる。さらに、処理槽外の空気が槽最下部にあるワーク出入口を介して侵入することを、ダウンフローの風圧によって防止できる。しかも、ヘリウムガスの気体拡散速度が高いとしても、ダウンフローは整流手段によって整流されて静かに流れるため、たとえヘリウムガスが空気に接したとしても空気中に拡散しにくい。よって、処理槽外に漏れ出す量を最小限に留めることができる。
なお、請求項1に記載の発明では、処理槽がガス不透過性の壁材によって構成されているため、ヘリウムガスが壁部を透過して処理槽外に漏れることはない。さらに、ワーク出入口が槽最下部に形成されているため、ワーク出入口からのヘリウムガスの漏れを最小限に抑えることができる。従って、ある程度大きくワーク出入口を形成することも可能となり、例えば三次元的な形状を有する大型のワークに対する処理も可能となる。
また、本発明のヘリウムガスは、空気との比重差が大きく、空気よりもかなり軽いため、敢えて加熱して比重を小さくする必要がない。なお、例えば光源からの熱などによって結果的に加熱されたとしても、むしろそれは好ましく、ヘリウムガスの比重がさらに小さくなり軽くなる。また、紫外線硬化型塗料の早期硬化にも寄与する。もちろん、積極的に加熱するようにしてもよい。
上記発明において、前記処理槽内において前記搬送手段の最高到達点がある箇所に対応して前記光源を設けることにより、当該箇所に前記ワークに紫外線を照射するための照射ゾーンを設定し、前記照射ゾーンの前後に、前記処理槽内を前記照射ゾーンとそれ以外のゾーンとに区切る一方で前記ワークの通過を許容する邪魔板を設けることが好ましい(請求項2)。この場合、搬送手段の最高到達点がある箇所、即ちヘリウムガスが溜まる槽上部近傍に邪魔板が設けられることで、照射ゾーン内から照射ゾーン外へのヘリウムガスの漏れが防止される。ゆえに、照射ゾーン内の酸素濃度を極少に維持できるため、照射ゾーンにて紫外線を照射することで、紫外線硬化型塗料の硬化効率を向上させることができる。
また、上記発明において、前記搬送手段は、前記ワークをワーク支持体で支持しながら搬送するフロアコンベアであることが好ましい(請求項3)。この場合、搬送手段がワークを下方から支持して搬送するフロアコンベアであるため、搬送手段に付着した異物がワークに落下する心配がなく、ワーク表面の紫外線硬化型塗料へのゴミの付着を防止することができる。
上記課題を解決するために、請求項4に記載の発明は、槽上部が閉塞されている一方で槽最下部にワーク出入口が形成された処理槽内に前記槽上部のガス供給口からヘリウムガスを供給して微小風速のダウンフローを生じさせ、この状態で前記ワーク出入口を介してワークの搬入及び搬出を行いながら、前記処理槽内を通過する前記ワークに紫外線を照射することにより、そのワーク表面に塗布された紫外線硬化型塗料を硬化させることを特徴とする塗料硬化方法をその要旨とする。
従って、請求項4に記載の発明によると、槽上部が閉塞された処理槽内に空気よりもかなり軽いヘリウムガスを供給するため、ヘリウムガスが処理槽外に漏れにくくなり、ヘリウムガスの消費量を低減できる。また、ワーク出入口から遠い槽上部からヘリウムガスを供給しているため、ヘリウムガスが空気中に拡散しにくくなる。しかも、処理槽内にダウンフローを生じさせるため、上方に流れやすいヘリウムガスを槽最下部まで到達させることができる。よって、処理槽内をヘリウムガスで確実に充満させることができる。さらに、処理槽外の空気が槽最下部にあるワーク出入口を介して処理槽内に侵入することを、ダウンフローの風圧によって防止できる。また、処理槽内にダウンフローを生じさせた状態でワークの搬入及び搬出が行われるため、ワークに紫外線が照射される時点で、処理槽内にはヘリウムガスが充満する。よって、紫外線硬化型塗料は酸素に阻害されることなく硬化する。
以上詳述したように、請求項1〜4に記載の発明によると、ガスの消費量を低減できる紫外線塗料硬化設備及び塗料硬化方法を提供することができる。また、大型のワークに対する処理も可能な紫外線塗料硬化設備及び塗料硬化方法を提供することができる。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に基づき詳細に説明する。
図1に示されるように、紫外線塗料硬化設備11は、大型のワークWを製造するための製造ラインに組み込まれ、ワークWに紫外線を照射して、前工程においてワーク表面に塗布された紫外線硬化型塗料(UV塗料)を硬化させる設備である。なお、本実施形態のワークWは、被塗面W1を表面側に有する一方で被塗面W1でない凹状曲面W2を裏面側に有する樹脂製の車両用部品(バンパー)である。
また、紫外線塗料硬化設備11は、例えば鉄板などのようなガス不透過性の壁材によって略直方体状に形成された処理槽12を備えている。処理槽12の槽上部12aは天井によって閉塞されている。一方、処理槽12の槽底部12b(槽最下部)には、処理槽12内にワークWを搬入するためのワーク搬入口12c(ワーク出入口)と、処理槽12外にワークWを搬出するためのワーク搬出口12d(ワーク出入口)とがそれぞれ別の場所に開口されている。
図1,図2に示されるように、紫外線塗料硬化設備11は、搬送手段としてのフロアコンベア14を備えている。フロアコンベア14は、凹状曲面W2を下方に向けた状態の前記ワークWをワーク支持体19で支持しながら搬送するようになっている。また、フロアコンベア14は、ワークWを上昇させながらワーク搬入口12cを介してワークWを処理槽12内に搬入するとともに、ワークWを下降させながらワーク搬出口12dを介して処理槽12外にワークWを搬出するようになっている。なお、フロアコンベア14は、ワーク支持体19が搬送されるワーク搬送経路18を備えている。ワーク搬送経路18は、断面コ字状をなす一対のガイドレール17aによって構成されている。両ガイドレール17aは、ワーク搬送経路18の長手方向に平行に設けられている。
図2に示されるように、ワーク支持体19は、4つの車輪17cが回転可能に取り付けられた台車17を備えている。各車輪17cは、一対のガイドレール17aによって支持されるようになっている。このため、台車17は、例えば図示しない牽引部材(ワイヤやチェーン等)で引っ張られることにより、両ガイドレール17a(ワーク搬送経路18)に沿って移動する。なお、台車17が自走する構成であってもよい。また、ワーク支持体19は、台車17に対して回動可能に設けられた支持棒17bを備えている。支持棒17bは、上端部にてワークWを支持するとともに、下端部にワークWよりも重い錘17dを有している。これにより、ワーク支持体19がワーク搬送経路18の傾斜部分を通過する際に、支持棒17bは、錘17dによって台車17に対して回動する。このため、支持棒17bはガイドレール17aの設置面に対してほぼ直立状態に維持され、支持棒17bに支持されるワークWの向きはほぼ同じ状態に維持される。
図1,図2に示されるように、前記処理槽12には、複数のUVランプ13(光源)が設置されている。各UVランプ13は、処理槽12内においてフロアコンベア14の最高到達点がある箇所に対応して設けられている。具体的にいうと、UVランプ13は、処理槽12において互いに対向する側壁12eの上部に各2本ずつ設けられている。これらUVランプ13は、ワークWの搬送方向(処理槽12の長手方向)と平行(即ち横置き)に設置されており、処理槽12内を通過するワークWに紫外線を照射するようになっている。よって、上記最高到達点がある箇所には、紫外線を照射するための照射ゾーンA1が設定される。なお、各UVランプ13は、横置きに設置されていたが、縦置きに設置されていてもよい。このようにすれば、UV塗料をムラなく硬化させることができる。
UVランプ13としては、図2に示すように、発光部13aと、凹状の反射面を有するアルミ板13b(反射板)とを備える集光形のランプが用いられる。UVランプ13と処理槽12とを区画する位置には、区画体としての熱線カットフィルタ13cが設けられている。熱線カットフィルタ13cは、処理槽12内からUVランプ13に伝達される熱を遮断するとともに、UVランプ13から照射される紫外線を処理槽12内に透過させるようになっている。よって、本来温度を上げたくないUVランプ13を、ヘリウムガスで充満している処理槽12に近付けることができる。
図1に示されるように、紫外線塗料硬化設備11は、空気よりも軽いヘリウムガスを送り出すタンク42(ヘリウムガス源)を備えている。また、紫外線塗料硬化設備11は、タンク42と処理槽12内との間を連通しうるヘリウムガス供給経路を構成するヘリウムガス供給管43を備えている。ヘリウムガス供給管43上にはヘリウムガス供給装置40(供給手段)が設置されており、ヘリウムガス供給装置40は、ヘリウムガス供給管43を介してタンク42と流路的に接続されている。ヘリウムガス供給装置40は、ヘリウムガス供給ポンプ44、ヘリウムガス供給バルブ45及びガス供給口41を備えている。ヘリウムガス供給ポンプ44は、タンク42の下流側に配置されており、タンク42から送り出されたヘリウムガスを処理槽12側に供給するようになっている。ヘリウムガス供給バルブ45は、ヘリウムガス供給ポンプ44の下流側に配置されており、ヘリウムガス供給管43を開状態または閉状態に切り替えるようになっている。ヘリウムガス供給バルブ45は、開状態に切り替えられた際に、処理槽12内にヘリウムガスを供給可能とするようになっている。なお、本実施形態のヘリウムガス供給バルブ45は、図示しないソレノイドにより作動する電磁弁である。また、ガス供給口41は、処理槽12の前記槽上部12aに配置されており、ヘリウムガスを槽上部12aから処理槽12内に供給するようになっている。これにより、ヘリウムガスが処理槽12内に溜まるようになる。なお、本実施形態のガス供給口41は、側方に開口するノズルである。
図1,図2に示されるように、処理槽12内の槽上部12aにおけるガス供給口41の下方であって、前記照射ゾーンA1の上方には、パンチングメタル51(整流手段)が槽上部12aの天井と平行に配置されている。パンチングメタル51は、板状部材に複数の貫通孔を規則的に配置することで構成されている。パンチングメタル51は、ヘリウムガスが各貫通孔を通過する際にその流れを整えて、槽上部12a全体から鉛直方向下側に向けて流れる微小風速のダウンフローを生じさせるようになっている。なお、整流手段としてパンチングメタル51を用いる代わりに、フィルタなどを用いてもよい。この場合におけるフィルタとしては、例えば、繊維をまとめて積層することでマット状に構成されたもの等が好適である。
また、処理槽12内の前記照射ゾーンA1の前後には、処理槽12内を照射ゾーンA1とそれ以外のゾーンA2とに区切る邪魔板52が設けられている。各邪魔板52は、例えば金属板などによって形成されており、前記ワーク搬送経路18と直交した状態に配置されている。各邪魔板52は、上端がパンチングメタル51の下面に接続されるとともに、下端が前記UVランプ13のやや下側まで延びている。図2に示されるように、各邪魔板52の両端は、UVランプ13が設けられている側壁12eに接続されている。また、各邪魔板52は、コ字状をなし、下部において開口する切欠部53を有している。切欠部53の幅は、ワークWを支持したワーク支持体19のワーク搬送経路18の幅方向(図2において左右方向)における長さよりも大きく設定されている。これにより、ワークWが邪魔板52を通過することが許容される。なお、邪魔板52は必須ではなく、必要に応じて適宜設けられる。
図1に示されるように、照射ゾーンA1には、酸素濃度計24及び温度計25が設置されている。酸素濃度計24は、処理槽12内の酸素濃度を測定して、CPU21に酸素濃度測定信号を出力するようになっている。また、温度計25は、処理槽12内の温度を測定して、CPU21に温度測定信号を出力するようになっている。なお、酸素濃度計24は、処理槽12内のフロアコンベア14の最高到達点の近傍に位置しており、最高到達点に到達したワークWの下端よりも下方に位置している。従って、酸素濃度計24によってワークW付近の酸素濃度を正確に検知できる。同様に、温度計25も、上記最高到達点の近傍に位置しており、最高到達点に搬送されてきたワークWの下端よりも下方に位置している。従って、温度計25によってワークW付近の温度を正確に測定できる。
次に、紫外線塗料硬化設備11の電気的構成について説明する。
図1に示されるように、紫外線塗料硬化設備11は、設備全体を統括的に制御するための制御装置15を備えている。制御装置15は、CPU21、ROM22、RAM23、入出力回路等により構成されている。CPU21は、UVランプ13、フロアコンベア14、ヘリウムガス供給ポンプ44及びヘリウムガス供給バルブ45に電気的に接続されており、各種の駆動信号によってそれらを制御する。
また、CPU21には、前記酸素濃度計24から出力された酸素濃度測定信号が入力されるようになっている。そして、CPU21は、酸素濃度測定信号が示す酸素濃度が閾値以上(例えば5%以上)であるか否かを判定するようになっている。酸素濃度測定信号が示す酸素濃度が閾値以上である場合、CPU21は、ヘリウムガス供給バルブ45を開状態に切り替える制御を行うようになっている。一方、酸素濃度測定信号が示す酸素濃度が閾値未満である場合、CPU21は、ヘリウムガス供給バルブ45を閉状態に切り替える制御を行うようになっている。このような制御によれば、処理槽12内の酸素濃度を一定に保つことができるため、塗装品質が安定する。また、ヘリウムガスの無駄な供給が減るため、ヘリウムガスの消費量をよりいっそう低減できる。
次に、紫外線塗料硬化設備11を用いた塗料硬化方法を説明する。
まず、CPU21は、ヘリウムガス供給ポンプ44及びヘリウムガス供給バルブ45に駆動信号を出力する。これにより、ヘリウムガス供給バルブ45が開状態に切り替わり、タンク42内のヘリウムガスが、ヘリウムガス供給ポンプ44によってヘリウムガス供給管43を通過し、槽上部12aのガス供給口41から処理槽12内に充填される。そして、処理槽12内に充填されたヘリウムガスは、パンチングメタル51の貫通孔を通過し、その際にその流れが整えられて微小風速のダウンフローとなる。これにより、ヘリウムガスは、パンチングメタル51の下方にある照射ゾーンA1及びそれ以外のゾーンA2に流れる。なお、ヘリウムガスの比重(0℃での比重は0.138)は、他の空気よりも軽い不活性ガスの比重(例えば、0℃での窒素ガスの比重は0.967)と比較しても小さいため、空気の比重(0℃での比重は1)よりもかなり小さい。即ち、ヘリウムガスは空気よりもかなり軽いため、窒素ガスなどに比べてゾーンA1,A2に溜まりやすい。これにより、ゾーンA1,A2の酸素濃度を低くすることができる。
この状態で、CPU21は、フロアコンベア14に駆動信号を出力し、ワーク搬入口12cを介して処理槽12内にワーク支持体19(ワークW)を搬入させるとともに、ワーク搬出口12dを介して処理槽12外にワーク支持体19(ワークW)を搬出させる。なお、UVランプ13は、紫外線の出力が安定するまでに時間がかかるため、常時点灯している。このため、照射ゾーンA1を通過するワークWには紫外線が照射される。その結果、ワークWのワーク表面に塗布されたUV塗料が硬化する。
ところで、処理槽12内に邪魔板52が設けられていてもよいし、設けられていなくてもよいが、邪魔板52が設けられていれば、ヘリウムガスは照射ゾーンA1内に留まりやすくなるため、照射ゾーンA1の酸素濃度を高く維持しやすくなる。ゆえに、紫外線を照射する際に酸素阻害が生じにくくなるため、UV塗料を効率良く硬化させることができる。
従って、本実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
(1)本実施形態の紫外線塗料硬化設備11では、槽上部12aが閉塞された処理槽12内にヘリウムガスを供給すれば、ヘリウムガスが処理槽12外に漏れにくくなるため、ヘリウムガスの消費量を低減できる。
また、ワーク搬入口12c及びワーク搬出口12dから遠い槽上部12aからヘリウムガスを供給しているため、ヘリウムガスが空気中に拡散しにくくなる。しかも、パンチングメタル51がダウンフローを生じさせるため、槽上部12a側に流れやすいヘリウムガスを槽底部12bまで到達させることができる。よって、処理槽12内をヘリウムガスで確実に充満させることができる。さらに、処理槽12外の空気がワーク搬入口12c及びワーク搬出口12dを介して侵入することを、ダウンフローの風圧によって防止できる。しかも、ヘリウムガスの気体拡散速度が高いとしても、ダウンフローはパンチングメタル51によって整流されて静かに流れるため、たとえヘリウムガスが空気に接したとしても空気中に拡散しにくい。よって、ヘリウムガスが処理槽12外に漏れ出す量を最小限に留めることができる。
なお本実施形態では、処理槽12がガス不透過性の壁材によって構成されているため、ヘリウムガスが槽上部12aの天井、槽底部12b及び側壁12eなどを透過して処理槽12外に漏れることはない。さらに、ワーク搬入口12c及びワーク搬出口12dが槽底部12bに形成されているため、ワーク搬入口12c及びワーク搬出口12dからのヘリウムガスの漏れを最小限に抑えることができる。従って、ある程度大きくワーク搬入口12c及びワーク搬出口12dを形成することも可能となり、三次元的な形状を有する大型のワークWに対する処理も可能となる。
(2)例えば、ガス供給口41を処理槽12の槽底部12bに配置することが考えられる。しかし、ヘリウムガスは気体拡散速度が高いため(0.641cm2/s)、たとえヘリウムガスが処理槽12内に供給されたとしても、ガス供給口41の近くにあるワーク搬入口12cやワーク搬出口12dから処理槽12外に漏れ出す可能性が高い。一方、本実施形態のガス供給口41は、処理槽12の槽上部12aに配置されている。このため、処理槽12内に供給されたヘリウムガスが処理槽12外に漏れ出す可能性を低減することができる。
(3)本実施形態では、ワークWを支持するワーク支持体19は、ワーク搬送経路18の傾斜部分を上昇しながらワーク搬入口12cを通過し、ワーク搬送経路18の傾斜部分を下降しながらワーク搬出口12dを通過する。このように、ワーク支持体19がワーク搬送経路18の傾斜部分を通過する場合、支持棒17bは、錘17dによって台車17に対して回動する。その結果、支持棒17bがガイドレール17aの設置面に対してほぼ直立した状態を維持し、支持棒17bに支持されるワークWの向きがほぼ同じ状態を維持するため、ワーク支持体19を上下方向から見た際の投影面積は、傾斜部分を通過する際であっても増加しない。従って、ワーク搬入口12c及びワーク搬出口12dの開口面積を小さくすることができる。ゆえに、ヘリウムガスがワーク搬入口12c及びワーク搬出口12dを介して処理槽12外に漏れることをより確実に防止できる。しかも、槽底部12bにはワーク搬入口12c及びワーク搬出口12dしか開口部分がないため、槽底部12b側からの空気の侵入を抑えることができる。
(4)本実施形態のUVランプ13は、処理槽12内においてフロアコンベア14の最高到達点がある箇所に対応して設けられている。即ち、UVランプ13は、ヘリウムガスが溜まるために酸素濃度が極少となる照射ゾーンA1と熱線カットフィルタ13cを介して接している。これにより、紫外線を照射する際に酸素阻害が生じにくくなるため、UV塗料を効率良く硬化させることができる。
(5)本実施形態では、不活性ガスの中でも比較的比重の小さいヘリウムガスを処理槽12内に供給しているため、ガスを確実に処理槽12内に溜めることができる。また、処理槽12内に溜める際に、比重を小さくするためにガスを加熱するといった作業が不要となる。その結果、加熱装置が不要になるために紫外線塗料硬化設備11を簡略化でき、紫外線塗料硬化設備11を低コストで製作できる。
(6)本実施形態の塗料硬化方法では、ワークWの搬入を行ってから処理槽12内にヘリウムガスを供給するのではなく、ヘリウムガスを供給しておいてからワークWの搬入を行っている。よって、紫外線の照射に際し、ワークWを搬入した状態でフロアコンベア14を止めて、ヘリウムガスが供給されるのを待たなくても済む。従って、UV塗料の硬化作業を効率良く行うことができる。
なお、本発明の実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態の処理槽12は、略直方体状に構成され、槽底部12bにワーク搬入口12cとワーク搬出口12dとが開口された構成であった。しかし、図3に示されるように、処理槽12を、上り勾配の通路、水平搬送通路及び下り勾配の通路を備えたいわゆる山形のトンネル状に形成し、槽最下部となる処理槽12の両端にワーク搬入口12cとワーク搬出口12dとを設けた構成にしてもよい。
・上記実施形態の台車17は、ワークWが処理槽12内に搬入された際に、処理槽12内を通過するようになっていたが、図4に示されるように、処理槽12の下方を通過するようにしてもよい。このようにすれば、台車17に付着した異物の処理槽12内への侵入を防止できる。
・図5に示されるように、UV塗料の硬化時に蒸発する溶剤を回収する溶剤処理装置56を、処理槽12に接続してもよい。なお、処理槽12内のゾーンA2の気体は、ファン57によって溶剤処理装置56に送られ、溶剤処理装置56にて処理された気体は、処理槽12内のパンチングメタル51の上側領域に送られる。
・上記実施形態では、UVランプ13、フロアコンベア14、ヘリウムガス供給ポンプ44及びヘリウムガス供給バルブ45の制御を1つのCPU21で制御するようにしたが、各制御を別々のCPUで行うように構成してもよい。
・上記実施形態では、紫外線塗料硬化設備11によって塗装されるワークWとしてバンパーを例示したが、これに限定されるものではない。例えば、空力付加物(スポイラーなど)などの他の車両用部品をワークWとしてもよい。また、ワークWは、必ずしも車両用部品でなくてもよい。
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
(1)請求項1または2において、前記ワークは、被塗面を表面側に有する一方で被塗面でない凹状曲面を裏面側に有する車両用部品であり、前記搬送手段は、前記凹状曲面のある裏面側を下方に向けた状態の前記ワークをワーク支持体で支持しながら搬送するフロアコンベアであることを特徴とする紫外線塗料硬化設備。
(2)請求項3において、前記ワーク支持体は、前記処理槽内を通過するワーク搬送経路に沿って移動可能な台車と、前記台車に対して回動可能に設けられた支持棒とを備え、前記支持棒は、上端部にて前記ワークを支持するとともに、下端部に錘を有していることを特徴とする紫外線塗料硬化設備。
(3)請求項1乃至3のいずれか1項において、前記ワーク出入口は、前記処理槽の槽底部にて開口し、前記処理槽内に前記ワークを搬入するためのワーク搬入口と、前記処理槽外に前記ワークを搬出するためのワーク搬出口とからなることを特徴とする紫外線塗料硬化設備。
(4)請求項1乃至3のいずれか1項において、前記処理槽内に設置され、前記処理槽内の酸素濃度を測定して酸素濃度測定信号を出力する酸素濃度計と、前記酸素濃度測定信号が示す酸素濃度が閾値以上であるか否かを判定し、前記酸素濃度測定信号が示す酸素濃度が閾値以上である場合に、前記供給手段による前記処理槽内への前記ヘリウムガスの供給を開始させるとともに、前記酸素濃度測定信号が示す酸素濃度が閾値未満である場合に、前記供給手段による前記処理槽内への前記ヘリウムガスの供給を停止させる制御手段とを備えることを特徴する紫外線塗料硬化設備。
本実施形態における紫外線塗料硬化設備の概略構成を示す断面図。 紫外線塗料硬化設備の概略構成を示すA−A線断面図。 他の実施形態における紫外線塗料硬化設備の概略構成を示す断面図。 他の実施形態における紫外線塗料硬化設備の概略構成を示す側断面図。 他の実施形態における紫外線塗料硬化設備の概略構成を示す断面図。
符号の説明
11…紫外線塗料硬化設備
12…処理槽
12a…槽上部
12b…槽最下部にある槽底部
12c…ワーク出入口としてのワーク搬入口
12d…ワーク出入口としてのワーク搬出口
13…光源としてのUVランプ
14…搬送手段としてのフロアコンベア
19…ワーク支持体
40…供給手段としてのヘリウムガス供給装置
41…ガス供給口
42…ヘリウムガス源としてのタンク
51…整流手段としてのパンチングメタル
52…邪魔板
A1…照射ゾーン
A2…照射ゾーン以外のゾーン
W…ワーク
W1…被塗面
W2…凹状曲面

Claims (4)

  1. ワークに紫外線を照射して、そのワーク表面に塗布された紫外線硬化型塗料を硬化させる紫外線塗料硬化設備であって、
    ガス不透過性の壁材により構成され、槽上部が閉塞されている一方で槽最下部にワーク出入口が形成された処理槽と、
    前記ワークを上昇させながら前記ワーク出入口を介して前記ワークを前記処理槽内に搬入するとともに、前記ワークを下降させながら前記ワーク出入口を介して前記処理槽外に前記ワークを搬出する搬送手段と、
    前記処理槽に設置され、前記処理槽内を通過する前記ワークに紫外線を照射する光源と、
    ヘリウムガスを送り出すヘリウムガス源と、
    前記ヘリウムガス源と流路的に接続され、前記ヘリウムガスを前記槽上部から前記処理槽内に供給するガス供給口を有する供給手段と、
    前記処理槽内の槽上部において前記ガス供給口よりも下方に配置され、前記ヘリウムガスの通過時にその流れを整えて微小風速のダウンフローを生じさせる整流手段と
    を備えたことを特徴とする紫外線塗料硬化設備。
  2. 前記処理槽内において前記搬送手段の最高到達点がある箇所に対応して前記光源を設けることにより、当該箇所に前記ワークに紫外線を照射するための照射ゾーンを設定し、
    前記照射ゾーンの前後に、前記処理槽内を前記照射ゾーンとそれ以外のゾーンとに区切る一方で前記ワークの通過を許容する邪魔板を設けた
    ことを特徴とする請求項1に記載の紫外線塗料硬化設備。
  3. 前記搬送手段は、前記ワークをワーク支持体で支持しながら搬送するフロアコンベアであることを特徴とする請求項1または2に記載の紫外線塗料硬化設備。
  4. 槽上部が閉塞されている一方で槽最下部にワーク出入口が形成された処理槽内に前記槽上部のガス供給口からヘリウムガスを供給して微小風速のダウンフローを生じさせ、この状態で前記ワーク出入口を介してワークの搬入及び搬出を行いながら、前記処理槽内を通過する前記ワークに紫外線を照射することにより、そのワーク表面に塗布された紫外線硬化型塗料を硬化させることを特徴とする塗料硬化方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015045678A (ja) * 2013-08-27 2015-03-12 株式会社リコー 硬化槽
CN113857011A (zh) * 2020-06-30 2021-12-31 天津博雅全鑫磁电科技有限公司 一种全自动大批量的气体保护下紫外线照射固化uv胶的方法及设备

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