JP2007215420A - 海草類育成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】大掛かりな設備を必要とすることなく、小規模で、簡便、かつ経済的で、生育率の高い海草の育成方法を提供する。
【解決手段】生分解性繊維からなる細幅不織布の間に、海草類の種子を一定間隔で挟み、撚って内包させた紐状物を、海底の土砂中に少なくとも1条の溝を掘りながら連続して該溝中に埋設させる海草類育成方法。
【選択図】 図1
【解決手段】生分解性繊維からなる細幅不織布の間に、海草類の種子を一定間隔で挟み、撚って内包させた紐状物を、海底の土砂中に少なくとも1条の溝を掘りながら連続して該溝中に埋設させる海草類育成方法。
【選択図】 図1
Description
本件発明は、海草類育成方法に関し、さらに詳しくはアマモなどの海草類を簡便に、かつ効率よく育成する方法に関する。
近年、海や湖が汚染され、場所によっては海草類が死滅する状況にあり、社会的な大きな問題となっており、早期の改善策が望まれている。海草類は、種々の生物の生育環境を提供し、その生物を餌として種々の魚が集まるので、海の生態系にとって重要な役割を果たしている。そのため、海草類や海藻類が死滅する場所には、半強制的に海草類や海藻類を生育させる必要があり、種々の方策が検討されている。
特許文献1には、生分解性繊維からなる布状又は網状の播種シートが提案されているが、海底に大面積の平面シートを敷設するという点で大掛かりな施工となり、簡易性に欠けるという問題がある。特許文献2には、生分解性材料からなるアマモ生育用の網が提案されているが、種子を挿入した綱を一旦水中で発芽処理させた後、海底に敷設し、繁殖処理を施すものであり、二度の手間を必要とし、生育処理に時間と手間がかかるという問題がある。
特開平10−42626号公報
特開2002−84903号公報
本発明の課題は、大掛かりな設備を必要とすることなく、小規模で、簡便、かつ経済的で、生育率の高い海草の育成方法を提供することにある。
本発明者は、特定範囲の吸水性を有する生分解性の細幅不織布に、海草類の種子を一定間隔で挟み、撚って内包させた紐状物を用い、海底の溝部に該紐状物を敷設することにより、上記課題が解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本願で特許請求される発明は以下の通りである。
(1)生分解性繊維からなる細幅不織布の間に、海草類の種子を一定間隔で挟み、撚って内包させた紐状物を、海底の土砂中に少なくとも1条の溝を掘りながら連続して該溝中に埋設させることを特徴とする海草類育成方法。
(2)前記細幅不織布がセルロース繊維不織布であることを特徴とする(1)に記載の方法。
(3)前記細幅不織布の吸水倍率が3〜15倍であり、通気性が100〜1000cc/cm2・secであることを特徴とする(1)又は(2)に記載の方法。
(4)前記紐状物の外側に、綿糸及び/又は再生セルロース繊維糸が巻きつけられていることを特徴とする(1)ないし(3)のいずれかに記載の方法。
(5)前記紐状物の強度が10〜40Nであることを特徴とする(1)ないし(4)のいずれかに記載の方法。
(6)前記細幅不織布に、海草類の育成を補助する物質を含浸または付着させておくことを特徴とする(1)ないし(5)のいずれかに記載の方法。
(1)生分解性繊維からなる細幅不織布の間に、海草類の種子を一定間隔で挟み、撚って内包させた紐状物を、海底の土砂中に少なくとも1条の溝を掘りながら連続して該溝中に埋設させることを特徴とする海草類育成方法。
(2)前記細幅不織布がセルロース繊維不織布であることを特徴とする(1)に記載の方法。
(3)前記細幅不織布の吸水倍率が3〜15倍であり、通気性が100〜1000cc/cm2・secであることを特徴とする(1)又は(2)に記載の方法。
(4)前記紐状物の外側に、綿糸及び/又は再生セルロース繊維糸が巻きつけられていることを特徴とする(1)ないし(3)のいずれかに記載の方法。
(5)前記紐状物の強度が10〜40Nであることを特徴とする(1)ないし(4)のいずれかに記載の方法。
(6)前記細幅不織布に、海草類の育成を補助する物質を含浸または付着させておくことを特徴とする(1)ないし(5)のいずれかに記載の方法。
本発明によれば、海底における海草類の育成において、大掛かりな装置を用いることなく、海草類の種子を、一定の密度範囲で整然と配列し、これらを確実に発芽、育成することができる。
本発明に用いる、細幅不織布は、幅が5〜50mmが好ましく、より好ましくは10〜30mm幅であり、目付は10〜60g/m2の範囲が好ましく、より好ましくは15〜40g/m2である。細幅不織布の幅及び目付がこの範囲にあると、海草類の種子を内包して、紐状物とする場合、種子が脱落することなく、紐として取扱いに優れた、適度な太さを形成することができる。
細幅不織布を構成する繊維としては、生分解性繊維からなることが必要であり、海底に敷設された後、種子は発芽、生育し、不織布は海底の土砂中で分解していくことが必要である。生分解性の速度としては、海底の土砂中において1〜3ヶ月で生分解することが好ましい。
生分解性の繊維としては、レーヨン、キュプラ、綿、麻、パルプ等のセルロース繊維、ポリ乳酸などの脂肪族ポリエステル系繊維などが挙げられる。吸水性の観点、生分解の速度の観点から、レーヨン、キュプラ等の再生セルロース繊維が好ましい。再生セルロース繊維は、吸水性に優れ、かつ生分解性も良好である。
不織布を構成する繊維の繊度は、1〜10dtexが好ましく、より好ましくは2〜5dtexである。
不織布を構成する繊維の繊度は、1〜10dtexが好ましく、より好ましくは2〜5dtexである。
不織布の製法としては、湿式抄造法、短繊維スパンレース不織布、湿式スパンボンド法、等が挙げられるが、不織布としての均一性、経済性、開口度合いの観点から、湿式スパンボンド法が好ましく、特に不織布として、湿式スパンボンド法によって製造されたキュプラ長繊維不織布が優れている。
本発明の不織布は、吸水性と保水性に優れていることが好ましい。吸水性は、自重に対して3〜15倍の吸水倍率を有することが好ましく、より好ましくは、5〜10倍である。吸水性がこの範囲にあると、海草類の発芽に必要な水分を充分に得ることができ、さらに海水中での沈降性が良く、また吸水した時の地面との密着性に優れ、海底での紐状物の敷設性を向上させる上に有効である。
本発明の細幅不織布には、種子と同時に、肥料、農薬など、海草類の育成を補助する物質を含浸または付着させておくことが好ましい。例えば肥料、農薬等をマイクロカプセルに封入し、不織布を構成するウェブシート間に挟みこんで、固定化することができる。この態様は、肥料、農薬等の徐放性が期待できるので、好ましい。
本発明に用いる紐状物は、不織布を所定の幅にカットして、細幅テープ状とし、海草類の種子をテープの間に挟みこみ、種子を不織布で包み込むように撚って紐状にしたものである。その際、紐状物の外層部を、綿糸又はセルロース繊維の糸で交互に交差させながら、紐状物の周囲に巻きつけることが、強度を補強する観点から好ましい。補強用の糸は、細幅の不織布を撚って紐状に形成する時に同時に巻きつけてもよい。補強用の綿糸としては、10〜40番手が、セルロース繊維の糸としては、100〜200dtexのレーヨンフィラメント繊維が好ましい。この紐状物は、通常、リールに巻きとって使用される。
海草類の種子の設置間隔は、種子の種類、大きさ、種子の成長の度合いに応じて適宜設定でき、一定の間隔で内包することができる。例えばアマモの種子では、1〜10cm間隔で設定することが好ましい。本発明のように、細幅不織布で海草類の種子を包み込むと、種子は脱落することなく、一定間隔で、一定の播種密度を持って、整然と規則正しく生育させることができる。
細幅不織布を紐状に撚る場合には、撚り数としては5〜50回/mが好ましい。撚りを強くすると、種子の固定化の点では良いが、種子の発芽、育成が阻害されることがある。
紐状物の太さは、2〜10mmの範囲であり、好ましくは3〜5mmであり、細幅不織布に種子を内包させる場合、きつく締めるように巻くよりも、少し緩めにして、嵩高性を持たせて巻きつけるほうが良い。
紐状物の太さは、2〜10mmの範囲であり、好ましくは3〜5mmであり、細幅不織布に種子を内包させる場合、きつく締めるように巻くよりも、少し緩めにして、嵩高性を持たせて巻きつけるほうが良い。
本発明の紐状物を用いて、海底に海草類の種子を敷設する場合、紐状物の長さ方向には、一定の間隔で種子が配列でき、ヨコ方向には、多条の溝を配置することで、溝間隔に応じた種子の配列が可能となる。
本発明においては、播種に比較的細い紐状物を用いるため、播種の列の間隔を自在に設定することができる。例えば、狭い範囲に高密度に整然と配列することもできるし、広い範囲に粗く配列することもできる。すなわち、海底の地形状況や、アマモなどの海草の育成計画に応じて、播種密度、配列構成を小規模から大規模まで、適宜簡便に変更、設定することができる。
以下、本発明を図面により詳細に説明する。
図1は、本発明に用いる海草類の種子を不織布に内包させた紐状物の展開図である。この紐状物1は、生分解性繊維からなる細幅不織布2の間に、海草類の種子3が挟まれ、撚りをかけられて内包され、さらにその周囲に綿糸4を、種子を囲んで交差するように巻きつけて補強したものからなる。
図1は、本発明に用いる海草類の種子を不織布に内包させた紐状物の展開図である。この紐状物1は、生分解性繊維からなる細幅不織布2の間に、海草類の種子3が挟まれ、撚りをかけられて内包され、さらにその周囲に綿糸4を、種子を囲んで交差するように巻きつけて補強したものからなる。
図2は、上記紐状物を海底に敷設する装置を模式的に示す説明図である。この装置は、船上に載置されたリール5に巻かれた前記紐状物1を受け入れるガイドチューブ6と、該ガイドチューブ6を介して該記紐状物1を海底に敷設するための繰り出し手段を備えた敷設装置7と、該敷設装置7に設けられた鋤部8および繰り出し部9と、該敷設装置7の上部に揺動自在に支持された被覆手段10とからなる。繰り出し手段は、繰り出し部9に設けられ、例えばピンチロールなどの公知の手段が用いられる。
リール5は、海面より上方の船中に設置されるが、紐状物を安定に供給できる他の場所でもよい。
リール5は、海面より上方の船中に設置されるが、紐状物を安定に供給できる他の場所でもよい。
ガイドチューブ6は、リール5から供給される紐状物1を敷設装置7に受け入れ、鋤部8によって形成された海底の溝部に該紐部を敷設するためのガイドの役割を果たす。該敷設装置7は、その前部に海底の溝を掘設するための鋤部8を有し、適当な動力手段により海底に溝部を掘設しながら前方に進行するように構成されている。該鋤部8と繰り出し部9は、該鋤部8によって堀設された海底の溝部に前記紐部1が敷設されるように、鋤部8の直後に繰り出し部9が連続して配置される。繰り出し部9の上部には被覆手段として、例えば敷設装置本体に搖動自在に設けられた掻き寄せ装置10が設けられ、紐状物が敷設された後の溝部を埋め戻して平坦にする。
溝部の形状は、紐状物の太さ、海底での地形、海水の流れ状態により設定されるが、深さ2〜10cm、幅2〜10cmの範囲が好ましい。溝部は、1条でも良いが、2〜4連等の多条にすると、一度の操作で多条の敷設が可能であり、敷設の効率が大幅に向上する。2〜4連等の多条においては、紐状物の供給リール、鋤部、繰り出し部、被覆手段を多条式としたものを用いることができる。
本発明の紐状物は、細幅テープを撚って紐状にしているので、海草の種子は、紐状物に内包されて脱落することなく固定化され、さらに、紐状物は溝部に敷設されて、海水の流れの影響を受けないようにされるので、いわば種子が2重の保護を受けていることになり、確実な発芽、育成を促すことができる。更に、前述のように溝部をきめ細かく、自由に配列できるので、整然とした海草の育成が可能となる。また海草類等の平面状の育成シートを敷設する場合は、海水の流れの影響をシート全面で受けやすく、海水の液抵抗を受け、はがれ易く、平面シート状物の固定化が大掛かりとなるのに対し、本発明の紐状物は、面としての液抵抗は非常に少なく、また、紐状物の一部が海水で剥がれたとしても、ひらひらとしてテープ状又は紐状になっているだけで、全面がはがれて、流されてしまう危険性は極めて少ないという利点がある。
以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明する。なお、実施例における測定方法は以下の通りである。
(1) 通気性:JIS―L―1906のフラジュール法による。
(2) 吸液倍率
本発明における吸液倍率とは、20±2℃、65±2%RHに16時間以上放置し、10cm×10cmにサンプリングした試料の重量を測定(W1)し、充分に水を満たしたパットの中へ試料を10分間浸漬させたあと取り出し、試料より水滴の落下が無くなるまで放置した後試料の重量を測定(W2)し、(W2−W1)/W1で示した吸液倍率を意味する。
(3) 目付
1m×1mにサンプリングしたサンプルの四隅と中央を測定し、平均値を算出した。
(4) 単糸デシテックス:構成単糸を拡大して、dtexとして算出した。
(5) 強度
紐状物としての強度をJIS−L−1906法で測定した。
(1) 通気性:JIS―L―1906のフラジュール法による。
(2) 吸液倍率
本発明における吸液倍率とは、20±2℃、65±2%RHに16時間以上放置し、10cm×10cmにサンプリングした試料の重量を測定(W1)し、充分に水を満たしたパットの中へ試料を10分間浸漬させたあと取り出し、試料より水滴の落下が無くなるまで放置した後試料の重量を測定(W2)し、(W2−W1)/W1で示した吸液倍率を意味する。
(3) 目付
1m×1mにサンプリングしたサンプルの四隅と中央を測定し、平均値を算出した。
(4) 単糸デシテックス:構成単糸を拡大して、dtexとして算出した。
(5) 強度
紐状物としての強度をJIS−L−1906法で測定した。
[実施例1]
目付18g/m2で、単糸デシテックス1.4dtexの再生セルロース連続長繊維不織布(ベンリーゼSF184、登録商標、旭化成せんい社製)を、幅20mmにスリットして、細幅不織布とする。その不織布の吸水倍率は、自重の13倍、通気性は300cc/cm2・secであった。この細幅不織布にアマモの種子を3cm間隔で包み込み、太さ3mmの紐状物とし、その外層を、レーヨン糸250dtexと10番手綿糸を用いて、両者の糸を交互に2cm間隔で交差させながら巻いて、補強された紐状物を得、リールに1000mの長さで巻きあげた。補強された紐状物の強度は、25Nであった。
目付18g/m2で、単糸デシテックス1.4dtexの再生セルロース連続長繊維不織布(ベンリーゼSF184、登録商標、旭化成せんい社製)を、幅20mmにスリットして、細幅不織布とする。その不織布の吸水倍率は、自重の13倍、通気性は300cc/cm2・secであった。この細幅不織布にアマモの種子を3cm間隔で包み込み、太さ3mmの紐状物とし、その外層を、レーヨン糸250dtexと10番手綿糸を用いて、両者の糸を交互に2cm間隔で交差させながら巻いて、補強された紐状物を得、リールに1000mの長さで巻きあげた。補強された紐状物の強度は、25Nであった。
リールに巻かれた紐状物を、図1に示したような装置を用い、海底に深さ5cm、幅5cmの2条の溝を鋤部で堀、その溝にチューブから供給された紐状物を連続的に敷設し、その後直ぐに土砂をかけて、被覆し、加圧ロールで地ならしした。
敷設後、約3ヶ月経過して、アマモの種子の生育状況を観察したところ、2条ともに、アマモは海底の地面状で発芽して、十分な葉をだしており、順調な生育状態であった。紐状物は、殆ど生分解しており、充分な生分解性を有していた。
1:紐状物、2:細幅不織布、3:海草類の種子、4:綿糸、5:リール、6:ガイドチューブ、7:敷設装置、8:鋤部、9:繰り出し部、10:被覆手段。
Claims (6)
- 生分解性繊維からなる細幅不織布の間に、海草類の種子を一定間隔で挟み、撚って内包させた紐状物を、海底の土砂中に少なくとも1条の溝を掘りながら連続して該溝中に埋設させることを特徴とする海草類育成方法。
- 前記細幅不織布がセルロース繊維不織布であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 前記細幅不織布の吸水倍率が3〜15倍であり、通気性が100〜1000cc/cm2・secであることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
- 前記紐状物の外側に、綿糸及び/又は再生セルロース繊維糸が巻きつけられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
- 前記紐状物の強度が10〜40Nであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の方法。
- 前記細幅不織布に、海草類の育成を補助する物質を含浸または付着させておくことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006036924A JP2007215420A (ja) | 2006-02-14 | 2006-02-14 | 海草類育成方法 |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012231758A (ja) * | 2011-05-06 | 2012-11-29 | Taisei Corp | 海草の播種装置 |
CN108286099A (zh) * | 2018-02-08 | 2018-07-17 | 武汉纺织大学 | 一种内置微粒材料的纱线成形方法 |
CN109937653A (zh) * | 2019-04-30 | 2019-06-28 | 重庆市大足区大合蔬菜股份合作社 | 深水莲藕种植装置及种植方法 |
WO2023014869A1 (en) * | 2021-08-05 | 2023-02-09 | W. L. Gore & Associates, Inc. | Composite materials promoting the catchment and attachment of seaweed holdfasts |
-
2006
- 2006-02-14 JP JP2006036924A patent/JP2007215420A/ja active Pending
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