JP2007212432A - 残留ラジアル内部すきま調整ゲージ - Google Patents
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Abstract
【課題】すきまゲージが測定時に落下するのを防止する。
【解決手段】円環状のリングゲージ11にその一部を切断した開閉部12を設け、この開閉部12の対向位置のリングゲージ11内周面にぬすみ部13を形成し、前記リングゲージ11の外周面にぬすみ溝18を全周に形成し、前記ぬすみ部13をリングゲージ11の径方向外向きに延びてぬすみ溝18に至った後、両側に延びるT字状に形成し、リングゲージ11をその開閉部12を開いて変形させた際に、リングゲージ11のぬすみ部13の外側部分にかかる応力を分散させることにより、リングゲージ11のクランプ力を、すきまゲージ10の自重による落下防止に必要なクランプ力以上にして、すきまゲージ10の落下を防止する。
【選択図】図1
【解決手段】円環状のリングゲージ11にその一部を切断した開閉部12を設け、この開閉部12の対向位置のリングゲージ11内周面にぬすみ部13を形成し、前記リングゲージ11の外周面にぬすみ溝18を全周に形成し、前記ぬすみ部13をリングゲージ11の径方向外向きに延びてぬすみ溝18に至った後、両側に延びるT字状に形成し、リングゲージ11をその開閉部12を開いて変形させた際に、リングゲージ11のぬすみ部13の外側部分にかかる応力を分散させることにより、リングゲージ11のクランプ力を、すきまゲージ10の自重による落下防止に必要なクランプ力以上にして、すきまゲージ10の落下を防止する。
【選択図】図1
Description
この発明は、工作機械主軸等に用いられる円筒ころ軸受の円筒ころの外接円径を測定する残留ラジアル内部すきま調整ゲージに関する。
NC旋盤やマシニングセンタ等の工作機械における主軸は、円筒ころ軸受で支持され、この円筒ころ軸受は、その内輪と主軸の嵌め合い面とがテーパ面となっている。この内輪と主軸の嵌め合いにおいて、内輪に主軸を嵌め合わせた後、さらに内輪をテーパの大径側に移動させると、内輪の円筒ころ外接円径は、このテーパ面により押し広げられて大きくなる。この状態における前記円筒ころ外接面と外輪内径面とのすきまが、残留ラジアル内部すきまとなる。
この残留ラジアル内部すきまは、通常、軸受組み立て後にシム等で測定されるが、上記のNC旋盤等の工作機械では負すきまで使用されることが多く、シム等では負すきまは測定することができない。このため、円筒ころの外接円径を直接測定することができる残留ラジアル内部すきま調整ゲージが使用される(非特許文献1 参照)。
NTN株式会社カタログ Ca.NO.2260−II/J(P34〜P36)
上記残留ラジアル内部すきま調整ゲージ(以下、すきまゲージという)30は、図8に示すように、円環状のリングゲージ31にその一部を切断して開閉部32が形成され、この開閉部32に対向するリングゲージ31の内周面に切り欠きからなるぬすみ部33が形成されたものである。
このぬすみ部33は、リングゲージ31の内周面に外向きに延びてさらに円形状の孔部34が形成されるものである。このリングゲージ31には、上記開閉部32の間隔を調整する開閉ボルト35と、リングゲージ31の内径を表示するダイヤルゲージ36と、このダイヤルゲージ36の指針を調整するゲージ用ボルト37とが設けられ、前記リングゲージ31の外周面の対向位置に一対の棒状のハンドル38がそれぞれ設けられている。
測定対象となる円筒ころ付き軸受内輪39の円筒ころ40の外接円径を測定するために、すきまゲージ30の開閉ボルト35を締め込んで開閉部32の間隔を広げ、ハンドル38を手でつかんで、内径が広がったリングゲージ31を、主軸41に嵌め合わせた軸受内輪39の円筒ころ40に嵌め合わせる。
その後、開閉ボルト35を緩めて、内径が広がったリングゲージ31をその弾力によって元に戻し、上記軸受内輪39の円筒ころ40の外接部分に接するようにリングゲージ31をクランプさせる。この状態でのダイヤルゲージ36の指針により、軸受内輪39の円筒ころ40の外接円径を測定することができる。
上記すきまゲージ30は、主軸41を立てた状態で上記軸受内輪39の円筒ころ40外接円径を測定する際、そのリングゲージ31によるクランプ力が、すきまゲージ30の自重による落下防止に必要なクランプ力よりも小さくなる場合があり、そのクランプ力が不足すると、すきまゲージ30の自重により落下するおそれがあった。
このすきまゲージ30が落下しない程度にクランプ力を大きくするには、リングゲージ31の初期内径を小さくすればよいが、初期内径を小さくすると、測定可能範囲が狭くなり、性能が損なわれる。
また、上記すきまゲージ30は、測定対象として複列円筒ころ軸受を測定することが多いが、このすきまゲージ30を用いて、単列円筒ころ軸受を測定することがある。この場合、単列円筒ころ軸受の軸受内輪39の軸方向の幅が、すきまゲージ30のリングゲージの軸方向の幅よりも小さい。このため、すきまゲージ30では、その単列円筒ころ軸受の軸受内輪39の軸方向の測定位置を規制することができず、その繰り返し測定の精度に問題があった。
さらに、単列円筒ころ軸受は、円筒ころ40と、軸受内輪39のつばとの間にすきまがあるので、図9に示すように、その単列円筒ころ軸受の測定時に、この円筒ころ40がスキュー(正規の自転軸に対して角度θ傾く現象)が発生するおそれがある。このスキューが発生すれば、測定時にすきまゲージ30が傾いて、リングゲージ31により円筒ころ付きの軸受内輪39を安定してクランプすることが難しい。
上記一対の棒状のハンドル38がリングゲージ31の外周部の対向位置に設けられ、その棒状のハンドル38が同一軸上にあるため、このハンドル38を持ってすきまゲージ30を、円筒ころ軸受内輪39の円筒ころ40に嵌め合わせる際に、この一対のハンドル38の軸心を中心としてすきまゲージ30が回転するおそれがあった。
上記リングゲージ31は、主に、その材料として軸受鋼(高炭素クロム軸受鋼)を使用することが多く、経年寸法変化が小さくなるように寸法安定処理を施しているため、リングゲージ31の硬度が測定対象物としての円筒ころ40よりも低くなる場合がある。硬度が円筒ころ40よりも低くなると、リングゲージ31の内周面(測定部分)と円筒ころ40とが干渉して、その内周面に擦り傷または磨耗が発生し易くなり、測定部分が偏磨耗することにより測定誤差を発生させるおそれがあった。
一方、擦り傷や磨耗の発生を抑制するために、リングゲージ31の硬度を高くすれば、経年寸法変化が大きくなり、測定誤差を発生させるおそれがあった。
一方、擦り傷や磨耗の発生を抑制するために、リングゲージ31の硬度を高くすれば、経年寸法変化が大きくなり、測定誤差を発生させるおそれがあった。
この発明は、すきまゲージが測定時に落下するのを防止することを第1の課題、測定時にすきまゲージの軸方向の位置を規制することを第2の課題、リングゲージの回転を防止することを第3の課題とする。
上記の第1の課題を解決するために、この発明は、上記リングゲージの外周面の全周にぬすみ溝を形成し、そのリングゲージのぬすみ部は、径方向外向きに延びて前記ぬすみ溝に至り、両側に延びるT字状に形成されるようにしたのである。
上記リングゲージにぬすみ溝を形成したことにより、リングゲージの重量が軽くなり、すきまゲージの自重による落下防止に必要なクランプ力を小さくすることができる。また、リングゲージのぬすみ部をその形状をT字状に形成するとともにぬすみ溝と繋げれば、リングゲージをその開閉部を開いて変形させた際に、リングゲージのぬすみ部の外側部分にかかる応力を分散することができる。
上記リングゲージにかかる応力を分散すると、変形による永久ひずみが小さくなり、リングゲージの変形によって十分なクランプ力を得やすくなる。これにより、リングゲージのクランプ力を、すきまゲージの自重による落下防止に必要なクランプ力以上にすることができ、すきまゲージの落下を防止することができる。
この発明の構成としては、円環状のリングゲージにその一部を切断して開閉部を形成し、その開閉部に対向する前記リングゲージの内周面に切り欠きから成るぬすみ部を形成し、前記リングゲージに、その内径の大きさを表示するダイヤルゲージを設けるとともに、前記開閉部の間隔を調節する開閉ボルトを設け、前記リングゲージの内周面内に、円筒ころ付きの円筒ころ軸受内輪を嵌めて、その円筒ころの外接円径を測定する残留ラジアル内部すきま調整ゲージにおいて、前記リングゲージの外周面の全周にぬすみ溝を形成し、前記リングゲージのぬすみ部は、径方向外向きに延びて前記ぬすみ溝に至った後、両側に延びるT字状に形成されたものを採用することができる。
この構成において、上記ぬすみ部のリングゲージ外周面側の内壁面が、上記リングゲージの外周面と平行な円弧面状に形成されたものを採用すると、ぬすみ部のリングゲージ外周面側の内壁面と、リングゲージ外周面との間隔が一定となる。このため、リングゲージをその開閉部を開いて変形させた際に、リングゲージのぬすみ部の外側部分の応力集中を防止することができ、リングゲージの変形によって十分なクランプ力を得やすくなる。
さらに、上記リングゲージの表面に、測定対象となる円筒ころ軸受内輪の円筒ころ端面に係止する落下防止片をその円筒ころ端面に係止・離脱自在に設けた構成としたのである。
このようにすると、上記落下防止片をスライドさせて測定対象となる円筒ころ軸受内輪の円筒ころの端面に係止することにより、測定時に、すきまゲージに手が当った場合などの外的要因により、すきまゲージが落下するのを防止することができる。
上記の第2の課題を解決するために、上記リングゲージの表面に、測定対象となる円筒ころ軸受内輪の端面に係止する3個以上の係止片を、その円筒ころ軸受内輪の端面に係止・離脱自在に設け、前記リングゲージを円周方向に前記係止片の個数分に等分したそのリングゲージの各部分に、前記係止片をそれぞれ設けた構成としたのである。
この構成によると、上記各係止片をスライドさせて、測定対象となる円筒ころ軸受内輪の端面に各係止片を係止することで、リングゲージの表面と、測定対象の軸受内輪の端面とが平行となり、リングゲージの軸方向の位置を規制することができ、リングゲージが傾くのを防止する。
この構成において、上記係止片は、上記リングゲージの表面に4個設けられ、前記各係止片を、上記リングゲージの表面の2本の各直径を含む直線上の対向位置にそれぞれ設けた構成を採用することができる。このようにすれば、4個の係止片がリングゲージの表面にバランスよく配置されるので、リングゲージがそれぞれの係止片により測定対象となる円筒ころ軸受内輪の端面に対して安定した姿勢に保持される。
上記の第3の課題を解決するために、この発明は、一対のハンドルをコ字状としたのである。
このコ字状のハンドルを掴むと、すきまゲージのリングゲージの直径を軸としての回転方向に対し、その掴む方向はその直径軸に対してほぼ直交方向となり、そのリングゲージが回転することを防ぐことができる。
このように、リングゲージを確実に保持できることは、その傾きの調整も確実に行えることとなり、測定時に、すきまゲージを測定対象の円筒ころ軸受内輪に、容易かつ確実に嵌め合わせることができる。
具体的な構成としては、上記リングゲージの外周面の径方向の対向位置に一対のハンドルをそれぞれ取り付け、その一対の上記ハンドルをコの字状の棒材により形成したものとしたのである。
この発明は、以上のように構成したので、すきまゲージが円筒ころ付き円筒ころ軸受内輪から落下するのを防止することができる。
また、すきまゲージを測定対象の円筒ころ軸受内輪に、容易かつ確実に嵌め合わせることができる。
さらに、リングゲージの表面と、測定対象の軸受内輪の端面とが平行となり、リングゲージの軸方向の位置を規制することができるので、リングゲージが傾くことを防止することができる。また、単列円筒ころ軸受の測定において、リングゲージの軸方向の同じ位置で測定できるので、繰り返し測定の値が安定する。
また、すきまゲージを測定対象の円筒ころ軸受内輪に、容易かつ確実に嵌め合わせることができる。
さらに、リングゲージの表面と、測定対象の軸受内輪の端面とが平行となり、リングゲージの軸方向の位置を規制することができるので、リングゲージが傾くことを防止することができる。また、単列円筒ころ軸受の測定において、リングゲージの軸方向の同じ位置で測定できるので、繰り返し測定の値が安定する。
以下、この発明の第1の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
この発明の実施形態の残留ラジアル内部すきま調整ゲージの実施形態を図1に示す。この実施形態の残留ラジアル内部すきま調整ゲージ(以下、すきまゲージという)10は、図1に示すように、円環状のリングゲージ11にその一部を切断して開閉部12が設けられ、この開閉部12に対向する前記リングゲージ11の内周面に切り欠きからなるぬすみ部13が設けられたものである。
この発明の実施形態の残留ラジアル内部すきま調整ゲージの実施形態を図1に示す。この実施形態の残留ラジアル内部すきま調整ゲージ(以下、すきまゲージという)10は、図1に示すように、円環状のリングゲージ11にその一部を切断して開閉部12が設けられ、この開閉部12に対向する前記リングゲージ11の内周面に切り欠きからなるぬすみ部13が設けられたものである。
上記リングゲージ11の開閉部12を構成する一端に、リングゲージ11の内径の大きさを表示するダイヤルゲージ14を設ける。その他端に開閉部12の間隔を調整する開閉ボルト15と、ダイヤルゲージ14の指針を調整するゲージ用ボルト16を設け、リングゲージ11の外周面にその径方向の対向位置に一対のコの字状の棒材からなるハンドル17を取り付ける。
上記リングゲージ11は、図2(a)(c)に示すように、円環状に形成され、その一部を径方向に切断して開閉部12を形成し、この開閉部12と対向する位置の内周面に切り欠きからなるぬすみ部13を形成し、その外周面に径方向内向きにぬすみ溝18を全周にわたって形成したものである(図2(b)参照)。これにより、リングゲージ11を従来のものよりもその重量を軽くすることができ、すきまゲージ10の自重による落下防止に必要なクランプ力を小さくすることができる。
また、上記リングゲージ11は、その材質が合金工具鋼であり、その残留オーステナイト量が2%以下、かつロックウェル硬度がHRC60以上とされるもの、例えば、SKS3を使用することができる。
上記リングゲージ11の残留オーステナイトが組織変化すると寸法変化が発生し、一般に、リングゲージの直径が100mmの場合、残留オーステナイト量の1%の組織変化で7μmの寸法変化が起こる。このすきまゲージ10は高温環境下で使用されることはないので、残留オーステナイトが完全になくならないことを考慮して、リングゲージ11の残留オーステナイト量を2%以下とすればよい。
上記すきまゲージ10において、直径100mm程度の軸受のすき間調整では、0μm〜10μmの範囲で調整することが多く、例えば、残留オーステナイト量が2%から1%に変化しても寸法変化は7μm程度に抑えられるため、経年寸法変化を抑えることができるとともに測定精度を向上させることができる。
また、標準的な熱処理を施した軸受のころは、その硬度がHRC60程度であることから、リングゲージ11の硬度を測定対象物となるころと同等または硬く、すなわちHRC60以上とすれば、リングゲージ11の内周面(測定部分)と軸受のころの干渉による、内周面の擦り傷または磨耗の発生を抑制することができる。
さらに、上記リングゲージ11の内周面に、表面硬化処理を施すことにより、その内周面の硬度を測定対象物(円筒ころ)の硬度と同等または硬く、すなわちHRC60以上としてもよい。表面硬化処理として、例えば、窒化、高周波焼入れなどを施すことができる。なお、単位「HRC」は、ロックウェル硬さを示す。
上記ぬすみ部13は、図2(d)に示すように、上記リングゲージ11の内周面に径方向外向きに延びて上記ぬすみ溝18と繋がり、さらに両側に延びるT字状に形成される。
このようにすると、リングゲージ11をその開閉部12を開いて変形させた際に、リングゲージ11のぬすみ部の外側部分にかかる応力を分散することができ、リングゲージ11の変形による永久ひずみを小さくすることができる。このため、その変形によって十分なクランプ力を得やすくなり、リングゲージ11のクランプ力を、すきまゲージ10の自重による落下防止に必要なクランプ力以上にすることができ、すきまゲージ10の落下を防止することができる。
なお、図3に示すように、上記ぬすみ部13のリングゲージ11外周面側の内壁面19は、平面で示しているがリングゲージ11外周面と平行な円弧面状に形成してもよい。
このようにすると、ぬすみ部13のリングゲージ外周面側の内壁面19と、リングゲージ11外周面との間隔が一定となり、リングゲージ11をその開閉部12を開いて変形させた際に、リングゲージ11のぬすみ部13の外側部分の応力集中を防ぐことができる。これにより、リングゲージ11の変形による永久ひずみをより小さくすることができ、その変形によって十分なクランプ力を得やすくなる。
図4に示すように、上記リングゲージ11の表面のぬすみ部13付近に、測定対象となる円筒ころ軸受内輪20の円筒ころ21端面に係止する落下防止片23を、ボルト24により取り付ける。
この落下防止片23は、ボルト24を中心として回転可能に取り付けられる。測定時に、この落下防止片23を内向きに回転させて測定対象となる円筒ころ軸受内輪20の円筒ころ21端面に覆いかぶさるようにし、すきまゲージ10に手が当たるなどの外的要因により、すきまゲージ10の落下を防止する。
上記リングゲージ11の開閉部12を構成する他端と、その裏面のぬすみ部13付近とに、それぞれリングゲージ11の外径面よりも外側に延び、互いに反対向きのハンドル基部25を設ける。この一対のハンドル基部25、25に、一対の棒材からなるコの字形のハンドル17の両端部を取り付ける。
このハンドル17を掴むことで、すきまゲージのリングゲージの直径を軸としての回転方向に対し、その掴む方向はその直径軸に対してほぼ直交方向となり、そのリングゲージが回転することを防ぐことができる。このように、リングゲージを確実に保持できることは、その傾きの調整も確実に行えることとなり、測定時に、すきまゲージを測定対象の円筒ころ軸受内輪に、容易かつ確実に嵌め合わせることができる。
この実施形態のすきまゲージ10は、以上のように構成され、このすきまゲージ10を用いて、測定対象となる円筒ころ軸受内輪20の円筒ころ21外接円径の測定方法を説明する。
最初に、上記すきまゲージ10の開閉ボルト15を締め込んで開閉部12の間隔を広げ、内径が大きくなったリングゲージ11を、ハンドル17を手でつかんで、主軸22に嵌め合わせた円筒ころ軸受内輪20の円筒ころ21外接部に嵌め合わせる。
その後、開閉ボルト15を緩めて、内径が広がったリングゲージ11をその弾性により元に戻し、円筒ころ軸受内輪20の円筒ころ21の外接部分に接するようにリングゲージ11をクランプさせ、落下防止片23を回転して円筒ころ21の端面に覆いかぶさるようにする。
このとき、リングゲージ11のクランプ力は、すきまゲージ10の自重による落下防止に必要なリングゲージのクランプ力を上回るため、すきまゲージ10が円筒ころ軸受内輪20から落下しない。
また、落下防止片23を円筒ころ21の端面に覆いかぶせるようにしているので、すきまゲージ10に手が当った場合などの外的要因により、すきまゲージ10が円筒ころ軸受内輪20から落下するのを防止できる。
最後に、すきまゲージ10を静かに揺らして、ダイヤルゲージ14の指針を安定させて、その指針により、円筒ころ軸受内輪20の円筒ころ21の外接円径を測定することができる。
次に、この発明の第2の実施形態の残留ラジアル内部すきま調整ゲージ10を図5〜図7に示す。
この実施形態の残留ラジアル内部すきま調整ゲージ10(以下、すきまゲージ10という)は、図5に示すように、リングゲージ11の表面に、測定対象となる円筒ころ軸受内輪20に係止する係止片26を4箇所に取り付けた点で、上述の第1の実施形態の残留ラジアル内部すきま調整ゲージ10と相違する。
この実施形態の残留ラジアル内部すきま調整ゲージ10(以下、すきまゲージ10という)は、図5に示すように、リングゲージ11の表面に、測定対象となる円筒ころ軸受内輪20に係止する係止片26を4箇所に取り付けた点で、上述の第1の実施形態の残留ラジアル内部すきま調整ゲージ10と相違する。
上記リングゲージ11の表面に設けられた各係止片26は、前記リングゲージ11をその開閉部12およびぬすみ部13を結ぶ直線aと、この直線aに直交する直線bとで円周方向に4等分されたその各部分にそれぞれ設けられる。
上記各係止片26は、リングゲージ11の2本の直径上の対向位置にそれぞれボルト27を介して測定対象となる円筒ころ軸受内輪20の端面に係止・離脱自在に設けられたものである。このように4個の係止片26がリングゲージ11の表面にその中心に対して対称位置にバランスよく配置されているので、測定時に、リングゲージがそれぞれの係止片により測定対象となる円筒ころ軸受内輪の端面に対して安定した姿勢に保持される。これにより、繰り返し測定の測定値が安定する。
また、上記各係止片26は、図6に示すように、測定時に、測定対象となる円筒ころ軸受内輪20に係止しても、主軸22に嵌め合わされた円筒ころ軸受内輪20をロックナット29の締め付けにより押し付ける間座28に接触しない長さに形成される。このため、各ボルト27を緩め、各係止片26をリングゲージ11側にスライドすれば(図5の二点鎖線参照)、ロックナット29を取り外すことなく、リングゲージ11を円筒ころ軸受内輪20の円筒ころ21の外径面に容易に嵌め合わせることができる。
また、測定時に、各係止片26を測定対象となる円筒ころ軸受内輪20に係止すれば、リングゲージ11の表面が円筒ころ軸受内輪20の端面に対して平行となるので、すきまゲージ10が傾くのを防止することができるとともに、リングゲージ11の軸方向の位置を規制することができ、繰り返し測定の測定値が安定する。なお、前記各係止片26は、リングゲージ11の測定箇所である最小内径部分(リングゲージ11の、開口部12およびぬすみ部13を通る直線aに対して直交する直線b上の部分)以外の部分に設けられることが望ましい。各係止片26がリングゲージ11の最小内径部分に設けられれば、測定時に、円筒ころ軸受内輪20の端面に係止する係止片26にかかる荷重がボルト27を介してリングゲージ11の測定箇所にかかり、繰り返し測定の測定値が不安定になるおそれがあるからである。
一方、上記すきまゲージ10は、測定対象として複列円筒ころ軸受を測定することが多いが、この複列用のすきまゲージ10を用いて、単列円筒ころ軸受を測定することがある。この場合、図7に示すように、各係止片26を断面L字状に形成して、その折れ曲がり部42で単列円筒ころ軸受内輪20の端面を係止するようにしてもよい。このようにすれば、リングゲージ11の、単列円筒ころ軸受内輪20の軸方向に対する測定位置を固定することができるとともに、リングゲージ11の表面を軸受内輪20の端面に対して平行に保つことができ、繰り返し測定の測定値が安定する。
10 残留ラジアル内部すきま調整ゲージ(すきまゲージ)
11 リングゲージ
12 開閉部
13 ぬすみ部
14 ダイヤルゲージ
15 開閉ボルト
16 ゲージ用ボルト
17 ハンドル
18 ぬすみ溝
19 内壁面
20 円筒ころ軸受内輪
21 円筒ころ
22 主軸
23 落下防止片
24 取り付けボルト
25 ハンドル基部
26 係止片
27 ボルト
28 間座
29 ロックナット
30 残留ラジアル内部すきま調整ゲージ(すきまゲージ)
31 リングゲージ
32 開閉部
33 ぬすみ部
34 孔部
35 開閉ボルト
36 ダイヤルゲージ
37 ゲージ用ボルト
38 ハンドル
39 円筒ころ軸受内輪
40 円筒ころ
41 主軸
42 折れ曲がり部
11 リングゲージ
12 開閉部
13 ぬすみ部
14 ダイヤルゲージ
15 開閉ボルト
16 ゲージ用ボルト
17 ハンドル
18 ぬすみ溝
19 内壁面
20 円筒ころ軸受内輪
21 円筒ころ
22 主軸
23 落下防止片
24 取り付けボルト
25 ハンドル基部
26 係止片
27 ボルト
28 間座
29 ロックナット
30 残留ラジアル内部すきま調整ゲージ(すきまゲージ)
31 リングゲージ
32 開閉部
33 ぬすみ部
34 孔部
35 開閉ボルト
36 ダイヤルゲージ
37 ゲージ用ボルト
38 ハンドル
39 円筒ころ軸受内輪
40 円筒ころ
41 主軸
42 折れ曲がり部
Claims (9)
- 円環状のリングゲージ(11)にその一部を切断して開閉部(12)を形成し、その開閉部(12)に対向する前記リングゲージ(11)の内周面に切り欠きから成るぬすみ部(13)を形成し、前記リングゲージ(11)に、その内径の大きさを表示するダイヤルゲージ(14)を設けるとともに、前記開閉部(12)の間隔を調節する開閉ボルト(15)を設け、前記リングゲージ(11)の内周面内に、円筒ころ(21)付きの円筒ころ軸受内輪(20)を嵌めて、その円筒ころ(21)の外接円径を測定する残留ラジアル内部すきま調整ゲージにおいて、
上記リングゲージ(11)の外周面の全周にぬすみ溝(18)を形成し、前記リングゲージ(11)のぬすみ部(13)は、径方向外向きに延びて前記ぬすみ溝(18)に至った後、両側に延びるT字状に形成されたことを特徴とする残留ラジアル内部すきま調整ゲージ。 - 上記ぬすみ部(13)の上記リングゲージ(11)外周面側の内壁面(19)が、上記リングゲージ(11)の外周面と平行な円弧面状に形成されたことを特徴とする請求項1に記載の残留ラジアル内部すきま調整ゲージ。
- 上記リングゲージ(11)の表面に、測定対象となる円筒ころ軸受内輪(20)の円筒ころ(21)端面に係止する落下防止片(23)を、その円筒ころ(21)端面に係止・離脱自在に設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の残留ラジアル内部すきま調整ゲージ。
- 上記リングゲージ(11)の表面に、測定対象となる円筒ころ軸受内輪(20)の端面に係止する3個以上の係止片(26)を、その円筒ころ軸受内輪(20)の端面に係止・離脱自在に設け、前記リングゲージ(11)を円周方向に前記係止片(26)の個数分に等分したそのリングゲージ(11)の各部分に、前記係止片(26)をそれぞれ設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の残留ラジアル内部すきま調整ゲージ。
- 上記係止片(26)は、上記リングゲージ(11)の表面に4個設けられ、前記各係止片(26)を、上記リングゲージ(11)の表面の2本の各直径を含む直線上の対向位置にそれぞれ設けたことを特徴とする請求項4に記載の残留ラジアル内部すきま調整ゲージ。
- 上記リングゲージ(11)の外周面の径方向の対向位置に一対のハンドル(17)をそれぞれ取り付け、その一対の上記ハンドル(17)をコの字状の棒材により形成したことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の残留ラジアル内部すきま調整ゲージ。
- 上記リングゲージ(11)は、その硬度が、測定対象となる上記円筒ころ軸受内輪(20)の円筒ころ(21)の硬度よりも同等または硬いものであることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の残留ラジアル内部すきま調整ゲージ。
- 上記リングゲージ(11)は、合金工具鋼で作成され、その残留オーステナイト量を2%以下、かつその硬度をHRC60以上であることを特徴とする請求項7に記載の残留ラジアル内部すきま調整ゲージ。
- 上記リングゲージ(11)は、その内周面に表面硬化処理を施したものであり、その内周面の硬度が、HRC60以上であることを特徴とする請求項7に記載の残留ラジアル内部すきま調整ゲージ。
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- 2006-09-22 JP JP2006257468A patent/JP2007212432A/ja active Pending
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