JP2007212145A - 過渡吸収測定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】紫外領域から近赤外領域まで幅広い領域において、高い測定精度かつ高い時間分解能で過渡吸収測定が可能である過渡吸収測定装置を提供する。
【解決手段】物質の過渡吸収を測定する過渡吸収測定装置において、プローブ光源として定常光を、光検出手段としてアバランシェフォトダイオードを使用することにより、紫外領域から近赤外領域まで幅広い領域において高い測定精度かつ高い時間分解能で過渡吸収測定が可能である。
【選択図】図1

Description

本発明は、物質の過渡吸収スペクトルを測定する過渡吸収測定装置に関する。
励起状態分子や反応によって生成するラジカル等の瞬間的に生成した中間体の吸収スペクトルを実時間で計測する手法として過渡吸収分光が知られている。この方法は、パルスレーザ光を照射して光励起した物質にプローブ光を照射し、透過した光の強度の時間的変化を測定することにより、過渡吸収スペクトルの時間的変化を測定するものである。過渡吸収分光は、光化学等の分野において反応機構の解明などに用いられている。
ナノ秒〜ミリ秒の時間領域における過渡吸収を測定する装置として、例えば、励起光源としてパルス幅がナノ秒程度のパルスレーザ、プローブ光源としてCWキセノンランプ、分光器として回折格子分光器、光検出器として光電子増倍管を用いた過渡吸収測定装置が知られている。
また例えば、非特許文献1には、励起光源としてパルス幅がナノ秒程度のパルスレーザ、プローブ光源としてキセノンフラッシュランプ、分光器として回折格子分光器、光検出器として紫外可視領域においては光電子増倍管、近赤外領域においてはInGaAs−PINフォトダイオードを用いた過渡吸収測定装置が記載されている。
また、フェムト秒〜ピコ秒の時間領域における過渡吸収を測定する方法として、励起光に対してプローブ光のタイミングを変えるポンプ−プローブ法が知られている。
古部ら、「分光研究」、2005年、第54巻、pp.2〜12
過渡吸収の測定において、上記過渡吸収測定装置のように、光検出器として光電子増倍管を用いることが一般的であるが、近赤外光に対応する光電子増倍管で十分に出力の得られるものはなく、近赤外領域における過渡吸収の測定は困難であった。
また、上記非特許文献1の過渡吸収測定装置のように、光検出器の感度が足りないことからプローブ光源として輝度の高いフラッシュランプを用いることが一般的であるが、励起光源、検出器等の他の部品とタイミングをとる制御系が必要となること、ジッタが大きいため測定精度が下がるという問題があった。さらに、近赤外領域における時間分解能が50nsec程度と低かった。
さらに、上記ポンプ−プローブ法では、フェムト秒〜ピコ秒の時間領域において過渡吸収を測定することはできるが、ナノ秒の時間領域においては過渡吸収を測定することができない。
本発明は、近赤外領域において、あるいは紫外領域から近赤外領域まで幅広い領域において、高い測定精度かつ高い時間分解能で過渡吸収測定が可能である過渡吸収測定装置である。
本発明は、物質の過渡吸収を測定する過渡吸収測定装置であって、物質を励起する励起光を発する励起光源と、前記励起光により励起された物質を含む試料に向けて定常光であるプローブ光を発するプローブ光源と、前記試料を透過した透過プローブ光を分光し出力光として出力する分光手段と、前記出力光を検出する光検出手段と、を有し、前記光検出手段はアバランシェフォトダイオード(APD)を有する。
また、前記過渡吸収測定装置において、前記アバランシェフォトダイオードは、Si−アバランシェフォトダイオード(Si−APD)であることが好ましい。
また、前記過渡吸収測定装置において、前記アバランシェフォトダイオードは、InGaAs−アバランシェフォトダイオード(InGaAs−APD)であることが好ましい。
また、前記過渡吸収測定装置において、前記光検出手段はさらにプリアンプを有することが好ましい。
また、前記過渡吸収測定装置において、前記励起光源において励起光は内部発振されることが好ましい。
また、本発明は、物質の過渡吸収を測定する過渡吸収測定装置であって、物質を励起する励起光を発する励起光源と、前記励起光により励起された物質を含む試料に向けてプローブ光を発するプローブ光源と、前記試料を透過した透過プローブ光を分光し出力光として出力する分光手段と、前記出力光を検出する光検出手段と、を有し、前記光検出手段はInGaAs−アバランシェフォトダイオードを有する。
本発明では、物質の過渡吸収を測定する過渡吸収測定装置において、プローブ光源として定常光を、光検出手段としてアバランシェフォトダイオードを使用することにより、紫外領域から近赤外領域まで幅広い領域において高い測定精度かつ高い時間分解能で過渡吸収測定が可能である。
また、本発明では、物質の過渡吸収を測定する過渡吸収測定装置において、光検出手段としてInGaAs−アバランシェフォトダイオードを使用することにより、近赤外領域において高い測定精度かつ高い時間分解能で過渡吸収測定が可能である。
本発明の実施の形態について以下説明する。
本発明の実施形態に係る過渡吸収測定装置の一例の概略を図1に示し、その構成について説明する。過渡吸収測定装置1は、励起光源10と、プローブ光源12と、分光手段である分光器14と、光検出手段である光検出器16とを備える。
図1の過渡吸収測定装置1において、励起光源10から発せられた励起光18は、フィルタ20を通り、ビームスプリッタ22により一部が分岐され分岐光24としてフォトダイオード26に入れられる。また、残りの励起光18は、フィルタ(またはレンズ)28を通り、過渡吸収測定対象である物質を含むサンプル(試料)30に照射される。フィルタ20及びフィルタ(またはレンズ)28は、励起光18の強度を調整するものであり、目的に応じて変えればよい。ビームスプリッタ22とフィルタ(レンズ)28との間には第1シャッタ32が設置されている。一方、プローブ光源12から発せられたプローブ光34は、フィルタ36及びレンズ38を通り、サンプル30に照射される。レンズ38とサンプル30との間には第2シャッタ40が設置されている。サンプル30を透過した透過プローブ光42は、レンズ44及び46を通って分光器14に入れられ、分光器14において分光され出力される。分光器14から出力された出力光は光検出器16に入れられる。なお、フィルタ36は、分光器14の回折格子による2次光を除去するために、短波長の光をカットする目的で設置される。光検出器16はSi−APD検出器及びプリアンプを含む第1プリアンプモジュールと、InGaAs−APD検出器及びプリアンプを含む第2プリアンプモジュールとを備える。また、フォトダイオード26はオシロスコープ48に接続されており、オシロスコープ48は制御部50に接続されている。励起光源10、プローブ光源12、光検出器16にはそれぞれ電源52,54,56が接続されている。第1シャッタ32及び第2シャッタ40には、シャッタコントローラ58が接続されている。
本実施形態に係る過渡吸収測定装置1の動作について説明する。まず、励起光源10から発せられた励起光18は、フィルタ20を通り、ビームスプリッタ22により一部が分岐され分岐光24としてフォトダイオード26に入れられる。このフォトダイオード26の出力がオシロスコープ48に入れられ、トリガとされる。また、残りの励起光18は、第1シャッタ32が開かれたときにフィルタ(レンズ)28を通り、サンプル30に照射され、サンプル30に含まれる物質が励起される。一方、プローブ光源12から発せられたプローブ光34は、フィルタ36及びレンズ38を通り、シャッタ40が開かれたときにサンプル30に照射される。ここで、サンプル30中の励起された物質によりプローブ光34の一部が吸収される。サンプル30を透過した透過プローブ光42は、レンズ44及び46を通って分光器14に入れられ、分光器14において分光され出力される。分光器14から出力された出力光は、測定範囲が紫外可視領域の場合は光検出器16のSi−APD検出器に、近赤外領域の場合はInGaAs−APD検出器に入れられる。出力光は、これらAPD検出器において光電変換され、APD検出器の出力がプリアンプで増幅された後、オシロスコープ48上に表示され、オシロスコープ48においてデジタル変換され、制御部50でデータ処理される。
本実施形態では、光検出器16はSi−APD検出器及びプリアンプを含む第1プリアンプモジュールと、InGaAs−APD検出器及びプリアンプを含む第2プリアンプモジュールとを備える。光検出器16において、測定範囲が200nm〜1000nmの紫外可視領域の場合はSi−APD検出器が、900nm〜1700nmの近赤外領域の場合はInGaAs−APD検出器が用いられるが、これらAPD検出器は高いゲインで光電変換が起こり、50MHz程度、すなわち7ナノ秒〜10ナノ秒程度の時間分解能を有するため、出力光の検出の高速度化、高感度化を実現することができる。
本実施形態においては、APD検出器に使用される素子サイズや電気回路等の最適化を行うことにより、従来のAPD検出器よりも高時間分解能、高感度でありノイズの少ないものとすることができる。
プリアンプ(増幅器)としては、APD検出器からの出力を増幅するものであればよく特に制限はなく、増幅したい信号とノイズや周波数帯域に応じて決めればよい。
プローブ光源12としては、定常光を発するものであれば特に制限はない。定常光を発する定常光ランプとしては、具体的にはキセノンランプ、ハロゲンランプ、水銀ランプ等が挙げられるが、光強度が極めて安定している、紫外領域〜赤外領域までの幅広いスペクトルを有する等の点からキセノンランプが好ましい。定常光ランプは光強度のばらつきが小さく、制御系に由来するジッタの問題を回避できる等の点からフラッシュランプに比べて有利である。定常光はフラッシュ光に比べて強度が小さいが、本実施形態においては光検出器16として、感度の高いアバランシェフォトダイオードを使用するために、プローブ光として定常光を使用しても十分に検出することができる。したがって、プローブ光源12として安定性の高い定常光を使用することができるために、高い精度で過渡吸収スペクトルを測定することができる。また、励起光源、検出器等の他の部品とタイミングをとる制御系も必要ない。
また、本実施形態において、光検出器16としてInGaAs−アバランシェフォトダイオードを使用するときは、プローブ光源12としては、フラッシュ光を発するフラッシュランプであってもよい。フラッシュランプとしては、キセノンフラッシュランプ、重水素フラッシュランプ等が挙げられるが、瞬間的に強度が高く、紫外領域〜赤外領域までの幅広いスペクトルを有する等の点からキセノンフラッシュランプが好ましい。フラッシュランプとともにInGaAs−アバランシェフォトダイオードを使用することにより、近赤外領域において過渡吸収スペクトルを測定することができる。
励起光源10としては、半導体レーザ、固体レーザ、気体レーザ、色素レーザ、エキシマレーザ、自由電子レーザ等の短パルスレーザの他に、キセノンフラッシュランプ、パルス放電、放電プラズマ等を使用することができるが、パルス幅が短く、強度、指向性、単色性が高い等の点からレーザが好ましい。これらレーザとしては具体的には、Nd:YAGレーザ、アルゴンイオンレーザ、XeClエキシマレーザ、窒素レーザ等を用いることができ、過渡吸収の測定対象である物質の吸収波長等に応じて決めればよい。ジッタが小さい点からYAGレーザが好ましい。また、60Co、137Cs等の人工放射性同位体からのγ線、線形加速器やバンデグラフ加速器等による高エネルギー電子線、サイクロトロンによる加速重粒子線等を用いてもよい。
発振するレーザの強度は、測定対象物質に応じて決めればよいが、例えば1mW〜10mWの範囲とすればよい。必要以上にレーザ強度が高すぎると、測定対象物質の分解や多光子吸収等が起こってしまうので好ましくない。
励起光源10のレーザにおいて外部信号によってQスイッチをかけてもよいが、励起光18の安定化のために内部信号でQスイッチをかける内部発振とすることが好ましい。これにより、測定精度を向上させることができる。
分光器14としては、サンプル30を透過した透過プローブ光42を分光することができるものであればよく特に制限はなく、具体的には回折格子分光器、プリズム分光器、フーリエ変換型分光器等が挙げられるが、高い出力(感度)が得られる、使い易さ等の点から回折格子分光器が好ましい。また、回折格子による2次光の除去のために、短波長領域を除去する色ガラスフィルタ等の光学フィルタを併用することが好ましい。
本実施形態において、フォトダイオード26の出力がオシロスコープ48に入れられ、トリガとされること、また、プローブ光源12としてフラッシュランプを用いないことから、励起光源10、プローブ光源12、光検出器16等の同期を取る必要がないため、ジッタの影響がほとんどない。
第1シャッタ32及び第2シャッタ40の開閉には、シャッタコントローラ58が用いられるが、手動で開閉が行われてもよい。
本実施形態において過渡吸収の測定手順は以下の通りである。
(1)サンプル30をサンプルホルダにセットする。
(2)図2(A)のように、励起光18及びプローブ光源12からのプローブ光34共に、第1シャッタ32及び第2シャッタ40で遮断したときの光検出器16の信号(Dark)を測定する。
(3)図2(B)のように、励起光18を第1シャッタ32で遮断し、第2シャッタ40は開としてプローブ光34のみをサンプル30に照射したときの光検出器16の信号(Monitor)を測定する。
(4)図2(C)のように、第1シャッタ32及び第2シャッタ40を開とし、励起光18及びプローブ光34の両方をサンプル30に照射したときの光検出器16の信号(Signal)を測定する。
(5)図2(D)のように、制御部において下記式(1)により計算し、過渡吸収信号ΔAbsを得る。さらに、以上の測定をプローブ光34の任意の波長範囲において繰り返すことにより、過渡吸収スペクトルを得ることができる。
ΔAbs=Absex−Abs=−log(Iex/I) (1)
ここで、Iex=(Signal)−(Dark)、I=(Monitor)−(Dark)である。
以上の構成により、紫外領域から近赤外領域まで幅広い波長領域において過渡吸収測定が可能であり、また、高いS/N比、すなわち高い測定精度で過渡吸収測定が可能であるため、特に従来困難であった近赤外領域に吸収を示す物質の過渡吸収を高感度かつ高い時間分解能で測定することができる。さらに、高いS/N比で測定することができるため、データを積算する回数が少なくて済み、測定中のサンプルへのダメージを抑えることができる。また、装置構成がシンプルであるため、安価である。
特に、定常光と、プリアンプモジュールを備えるInGaAs−APD検出器との組み合わせにより、7nsec〜10nsec程度の時間分解能を達成することができる。
本実施形態に係る過渡吸収測定装置による測定対象は、励起状態分子、反応によって生成するラジカル分子、励起分子錯体、電子等の瞬間的に生成した中間体である。また、サンプル30は固体状態、溶液状態、気体状態のいずれであってもかまわない。固体状態、溶液状態及び気体状態の透明なサンプルであって、均一な状態のものについては、サンプル30に横方向から励起光18を照射する、例えば図1のような過渡吸収測定装置1を使用すればよい。また、固体状態、溶液状態及び気体状態の透明なサンプルであって、光路長が短いものや、不均一な状態のものについては、サンプル30に対して同軸または少しずらして励起光18を照射する、例えば図3のような過渡吸収測定装置3を使用すればよい。さらに、粉末等の不透明なサンプルの場合は、照射したプローブ光の散乱光を用いて過渡吸収を測定することができる。例えば図4に示す過渡吸収測定装置5のように、プローブ光34の散乱光である散乱プローブ光68をモニタすればよい(拡散反射法)。このように、本実施形態に係る過渡吸収測定装置はサンプルの性状に応じて光路を変更することができるシステムである。
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
図1の過渡吸収測定装置1を使用して、亜鉛テトラフェニルポルフィリン(ZnTPP)からフラーレン(C60)への電子受け渡しの様子を観察した。亜鉛テトラフェニルポルフィリン(ZnTPP)(2.5mM)及びフラーレン(C60)(0.1mM)をベンゾニトリル中に溶解させ、サンプル30とした。サンプル30をサンプルホルダにセットし、励起光源10としてNd:YAGレーザ(波長:532nm、半値幅:8ns)を使用し、内部発振により励起光18を発振させた。一方、プローブ光源12としてCWキセノンランプ(150W)を使用し、定常光であるプローブ光34を発光させた。なお、測定は室温(25℃)、アルゴン雰囲気下で行った。
シャッタコントローラ58により第1シャッタ32及び第2シャッタ40を閉じ、励起光18及びプローブ光34共に遮断した。分光器14として回折格子分光器(測定する波長領域に応じて種々のフィルタを併用した)を、光検出器16として、Si−APD検出器及びプリアンプを含む第1プリアンプモジュールと、InGaAs−APD検出器及びプリアンプを含む第2プリアンプモジュールとを使用し、そのときの光検出器16の信号(Dark)を測定した。次に、励起光18を第1シャッタ32で遮断し、プローブ光34のみをサンプル30に照射したときの光検出器16の信号(Monitor)を測定した。さらに、励起光18及びプローブ光34の両方をサンプル30に照射したときの光検出器16の信号(Signal)を測定した。
制御部50において上記式(1)により計算し、過渡吸収信号ΔAbsを得た。この操作をプローブ光34の600nm〜1200nmの波長範囲において行った。600nm〜900nmの範囲ではSi−APD検出器を、900nm〜1200nmの範囲ではInGaAs−APD検出器を使用した。
亜鉛テトラフェニルポルフィリンからフラーレンへの電子受け渡し反応は以下の式で表される。すなわち、亜鉛テトラフェニルポルフィリン(ZnTPP)が光を吸収して、励起三重項状態の亜鉛テトラフェニルポルフィリン(ZnTPP)が生成する。励起三重項状態の亜鉛テトラフェニルポルフィリンからフラーレン(C60)に電子移動が起こり、亜鉛テトラフェニルポルフィリンのラジカルカチオン(ZnTPP・+)及びフラーレンのラジカルアニオン(C60 ・−)が生成する。その後、フラーレンのラジカルアニオンから亜鉛テトラフェニルポルフィリンのラジカルカチオンへの電子移動が起こり、亜鉛テトラフェニルポルフィリン及びフラーレンに戻る。
ZnTPP → ZnTPP
ZnTPP+C60 → ZnTPP・++C60 ・−
ZnTPP・++C60 ・−→ ZnTPP+C60
サンプル30に励起光18を照射してから0.25μsec後のZnTPPの過渡吸収スペクトル及び2.5μsec後のC60 ・−の過渡吸収スペクトルを図5に示す。図5において、横軸は透過プローブ光の波長、縦軸は過渡吸収信号ΔAbsである。このときの840nmにおけるZnTPPの吸収の減衰の様子及び1080nmにおけるC60 ・−の吸収の増加の様子を図6に示す。また、840nmにおけるZnTPPの吸収及び1080nmにおけるC60 ・−の吸収の時間変化を図7に示す。図6,7において、横軸は励起光18を照射してからの経過時間、縦軸は過渡吸収信号ΔAbsである。
このように、幅広い波長領域において亜鉛テトラフェニルポルフィリン(ZnTPP)からフラーレン(C60)への電子受け渡し反応の様子を簡単な装置構成により7nsec〜10nsec程度の時間分解能で高精度で観察することができた。特に、従来観察することが困難であった近赤外領域におけるC60の吸収の増加の様子を高精度かつ高い時間分解能で観察することができた。
また、図8(a)、(b)に実施例1で使用したSi−APD検出器及びInGaAs−APD検出器を用いた本装置の時間分解能を表すグラフを示す。これはNd:YAGレーザの散乱光を測定したものである。これにより、実施例1で使用したSi−APD検出器及びInGaAs−APD検出器を用いた本過渡吸収測定装置が7nsec〜10nsec程度の時間分解能を有することがわかる。
本発明の実施形態に係る過渡吸収測定装置の一例を示す概略図である。 (A)〜(D)本発明の実施形態に係る過渡吸収測定方法を説明する図である。 本発明の実施形態に係る過渡吸収測定装置の他の例を示す概略図である。 本発明の実施形態に係る過渡吸収測定装置の他の例を示す概略図である。 実施例1で測定した、励起光を照射してから0.25μsec後のZnTPPの過渡吸収スペクトル及び2.5μsec後のC60 ・−の過渡吸収スペクトルを示す図である。 実施例1で測定した、840nmにおけるZnTPPの吸収の減衰の様子及び1080nmにおけるC60 ・−の吸収の増加の様子を示す図である。 実施例1で測定した、840nmにおけるZnTPPの吸収及び1080nmにおけるC60 ・−の吸収の時間変化を示す図である。 (a),(b)実施例1で使用したSi−APD検出器及びInGaAs−APD検出器を用いた過渡吸収測定装置の時間分解能を示す図である。
符号の説明
1,3,5 過渡吸収測定装置、10 励起光源、12 プローブ光源、14 分光器、16 光検出器、18 励起光、20,36 フィルタ、22 ビームスプリッタ、24 分岐光、26 フォトダイオード、28 フィルタ(レンズ)、30 サンプル、32 第1シャッタ、34 プローブ光、38,44,46,74 レンズ、40 第2シャッタ、42 透過プローブ光、48 オシロスコープ、50 制御部、52,54,56 電源、58 シャッタコントローラ、60 ビームディフューザ、62,64,66,70,72 ミラー、68 散乱プローブ光。

Claims (6)

  1. 物質の過渡吸収を測定する過渡吸収測定装置であって、
    物質を励起する励起光を発する励起光源と、
    前記励起光により励起された物質を含む試料に向けて定常光であるプローブ光を発するプローブ光源と、
    前記試料を透過した透過プローブ光を分光し出力光として出力する分光手段と、
    前記出力光を検出する光検出手段と、
    を有し、
    前記光検出手段はアバランシェフォトダイオードを有することを特徴とする過渡吸収測定装置。
  2. 請求項1に記載の過渡吸収測定装置であって、
    前記アバランシェフォトダイオードは、Si−アバランシェフォトダイオードであることを特徴とする過渡吸収測定装置。
  3. 請求項1に記載の過渡吸収測定装置であって、
    前記アバランシェフォトダイオードは、InGaAs−アバランシェフォトダイオードであることを特徴とする過渡吸収測定装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の過渡吸収測定装置であって、
    前記光検出手段はさらにプリアンプを有することを特徴とする過渡吸収測定装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の過渡吸収測定装置であって、
    前記励起光源において励起光は内部発振されることを特徴とする過渡吸収測定装置。
  6. 物質の過渡吸収を測定する過渡吸収測定装置であって、
    物質を励起する励起光を発する励起光源と、
    前記励起光により励起された物質を含む試料に向けてプローブ光を発するプローブ光源と、
    前記試料を透過した透過プローブ光を分光し出力光として出力する分光手段と、
    前記出力光を検出する光検出手段と、
    を有し、
    前記光検出手段はInGaAs−アバランシェフォトダイオードを有することを特徴とする過渡吸収測定装置。
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