JP2007211348A - Cu−Cr合金粉末およびそれを用いた真空遮断器用接点材料 - Google Patents

Cu−Cr合金粉末およびそれを用いた真空遮断器用接点材料 Download PDF

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Abstract

【課題】不純物含有量が少なく、しかもCu相に固溶されているCrの固溶濃度を低減させることにより硬度を低減して成形性を向上させ、容易に量産することが可能な真空遮断器用接点材料,その製造方法および真空遮断器を提供する。
【解決手段】高導電成分としてのCuと耐弧成分としてのCrとから成るCu−Cr材料を溶融分散し、さらに急冷することにより得られるCu−Cr合金粉末において、Cu相におけるCrの固溶濃度が200ppm以下であることを特徴とするCu−Cr合金粉末である。この合金粉末は、真空遮断器用接点の構成材として好適に用いられる。
【選択図】 図1

Description

本発明はCu−Cr合金粉末およびそれを用いた真空遮断器用接点材料に係り、特に、固相法による製造工程において粉末成形性を向上させることが可能なCu−Cr合金粉末およびそれを用いた真空遮断器用接点材料に関する。
遮断器は平常状態の電路を開閉したり、接地事故や短絡事故などの異常時に,故障状態を検知する過電流継電器などと組み合わされて、自動的に瞬時に電路を遮断したりするために、電力設備,変電所内機器,高速鉄道車輌等に広く使用されている。特に真空遮断器は、10−4Pa程度の高真空に維持した容器(真空バルブ)内に対向配置した1対の接点部材(接触子)を開閉することにより、電路の開閉を行うものである。
図1は一般的な真空遮断器の構造例を示す断面図である。図1において接点の開閉動作が行われる遮断室1は、絶縁材料から成り略円筒状に形成された絶縁容器2と,この絶縁容器2の上下端に封止金属3a,3bを介して設けた金属製の蓋体4a,4bとによって区画形成され真空気密に構成されている。遮断室1内には軸方向に対向するように1対の導電棒5,6が配置され、その各導電棒5,6の対向する端部に、一対の電極7,8が取付けられている。図においては上部側の電極7を固定電極とする一方、下部側の電極8を可動電極としている。また可動電極8の導電棒6には、伸縮自在のベローズ9が装着されており、遮断室1内を真空気密に保持した状態で、可動電極8の軸方向における往復動を可能にしている。このベローズ9の上部には金属製のアークシールド10が設けられており、このアークシールド10によってベローズ9がアーク蒸気によって覆われることを防止している。
また遮断室1内には、対向する一対の電極7,8を覆うように金属製のアークシールド11が配設されており、このアークシールド11によって絶縁容器2がアーク蒸気によって覆われることが防止される。
また図2に拡大して示すように、電極8は導電棒6の端部に形成されるろう付け部12に加熱接合により固定されるか、または、かしめ加工によって圧着接続される。接点部材13aは電極8の端面中央部にろう材14を介して一体に固着されている。なお、図2に示す固定側接点部材13bも同様に、固定電極7の端面にろう材を介して一体に接合されている。
上記構成の真空遮断器によれば、高真空中における高い絶縁耐力を利用できるため、対向する接点部材の開閉ストロークを短くできる特徴を有している。
一般的に接点材料として要求される特性は、接点が高頻度にわたって開閉することから、(1)遮断容量が大きいこと、(2)耐電圧が高いこと、(3)接触抵抗が小さいこと、(4)溶着力が小さいこと、(5)接点消耗量が小さいこと、(6)裁断電流値が小さいこと、(7)成形性(加工性)が良いこと、(8)十分な機械的強度(硬度)を有すること、等である。しかし、実際の接点材料においては、これらの特性をすべて同時に満足させることは困難であり、一般には用途に応じて特に重要な特性を満足させ、他の特性をある程度犠牲にした材料を使用しているのが現状である。
上記接点材料としては、高頻度にわたる接点の開閉時に発生するアークによって溶着しないように耐アーク性(耐弧性)や耐溶着性が必須となる一方、低接触抵抗性を維持するために高い導電特性を主たる要求特性とすることが必須の要件とされるために、耐アーク性(耐弧性)と耐溶着性とを有する接点材料が実際に多くの用途で使用されている。上記耐弧性と高導電性とを共に満たす具体的な接点構成材料としては、例えば、Ag系,Ag−Cu系材料,Ag−CdO系材料,30%Cu−W系材料,50%Cu−Cr系材料などがある。特にCu−W系接点材料は導電性に優れている一方、Cu−Cr系接点材料は耐電圧特性に優れているため、特に高出力用電気機器の接点材料として普及している。
このCu−Cr接点材料は、高い導電性を有するCuと、Cuと比較して導電性は劣るが高融点で耐弧性や耐電圧性に優れたCrとを主体にして構成されており、接点材料に要求される高耐電圧性と大電流遮断性とを両立させたものである。このような高耐電圧性と大電流遮断性とを併せ持つCu−Cr系接点材料は、今後も電力設備、変電設備、鉄道車輌などへの用途の拡大が予想される一方で、真空遮断器自体の小型化への技術的要請もあり、より一層の性能向上が求められている。
前記接点材料のうち、特に高出力用機器の接点材料として好適なCu−Cr系接点材料は、例えばCu粉末とCr粉末の混合粉もしくはアトマイズ粉を成形し1050℃程度の高温度で焼結する粉末冶金法や、多孔質のCr仮焼体にCuを溶浸する方法、またはCrとCuとを所定の組成比で溶解する方法等で製造されている。
特に粉末冶金法においては、最終製品に近い形状に形成することが可能であり、原料コストを低減できる利点がある上に、Cu成分およびCr成分の組成比の配合精度を高くできるという長所がある。その反面、粉末冶金法においては、固相焼結によって焼結体を形成する方法であるため、接点部材の構成材料中で最も融点が低い材料(Cu−Cr系材料の場合はCu)の融点以上には加熱できない等の制約があり、溶浸法や溶解法と比較して、不純物の揮発による除去が困難となる問題があった。そこで、近年になって、上記不純物の除去を目的として、アトマイズ法、回転電極法、遠心噴霧法などが用いられ、これらの方法により不純物が少ないCu−Cr合金粉末を得ることが試行されている。そして不純物の少ないCu−Cr合金粉末を得ることにより耐電圧を向上させることができるため、接点材料の特性向上において、不純物を除去することが重要な課題になっている。
上記アトマイズ法や回転電極法、遠心噴霧法等により製造されたCu−Cr合金粉末は、不純物が効果的に低減される上に、Cu相に微細なCrが固溶したり析出したりした組織を有しており、この組織が真空遮断器の遮断特性(耐溶着性)の向上に寄与していると考えられている。
特公昭58−48962号公報
しかしながら、従来のアトマイズ法や回転電極法、遠心噴霧法などの溶融分散・急冷処理法によって、酸素や金属などの含有不純物が除去されてCu−Cr合金粉末の純度が向上し、耐電圧を向上させることができたという利点が得られる一方で、Cu−Cr合金粉末のCu相に過飽和状態で固溶した多量のCrを含むために合金粉末の硬度が極めて高くなり、この合金粉末の成形性が悪化する問題点があった。すなわち所定の成形体密度を得るためには成形圧力を非常に高く設定する必要があり、汎用の加圧成形機では対応できず、特に高圧力に耐える高強度仕様を有する加圧成形機が必須となり、製造設備費が膨大になる問題点があった。
また、成形圧力が非常に高いため、プレス成形用金型の摩耗や破損が頻発し易く、金型の再研磨作業、交換作業に多大な労力を要し、製造設備の運転保守管理が煩雑になる問題点もあった、さらに上記保守管理のために頻繁に製造ラインの停止が必要になり、製造効率(量産性)が大幅に低下してしまう問題点もあった。
一方、前記溶浸法においては不純物の除去が不十分となる欠点がある。また、溶解法においては金属不純物の揮発除去は可能であるが、溶解槽として一般的に使用されるマグネシアやカルシア製るつぼからの再汚染が生じる恐れがあり、また組成の制御が困難である上、偏析の問題等もあり、接点の遮断特性の低下につながる要因が多かった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、不純物含有量が少なく、しかもCu相に固溶されているCrの固溶濃度を低減させることにより硬度を低減して成形性を向上させ、容易に量産することが可能な真空遮断器用接点材料,その製造方法および真空遮断器を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明者らは合金素材の溶融分散・急冷処理によって不純物を効率的に除去する方法を採用する一方で、上記急冷処理によって接点材料のCu相に固溶されるCrの固溶濃度を低減させる方法を研究した。特に急冷処理後にCu−Cr合金粉末を得る工程において、加熱処理の後、冷却処理を施し、さらにこれらの温度や時間等の条件を種々変化させた。そして、それらの条件がCu−Cr合金粉末の成形性(加工性)に及ぼす影響を調査した結果、以下のような知見を得た。すなわち、急冷処理により得られたCu−Cr合金粉末を所定温度まで再加熱し、その後所定の温度まで30分以上の時間をかけて徐々に冷却することにより、Cu相中に固溶されていたCrを析出させてCuとCrとを二相分離させることで、Cu相中に固溶されているCr量を200ppm以下、好ましくは20ppm以下に低減することができ、これによりCu−Cr合金粉末の硬度を低減せしめ成形性を向上させることができるという知見を得た。本発明は上記知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、真空遮断器用接点に用いる本発明に係るCu−Cr合金粉末は、高導電成分としてのCuと耐弧成分としてのCrとから成るCu−Cr材料を溶融分散し、さらに急冷することにより得られるCu−Cr合金粉末において、Cu相におけるCrの固溶濃度が200ppm以下、好ましくは20ppm以下であることを特徴とする。
また、上記Cu−Cr合金粉末において、Cu相におけるCrの固溶濃度が20ppm以下であることが好ましい。
また、真空遮断器用接点に用いるCu−Cr合金粉末は、高導電成分としてのCuと耐弧成分としてのCrとから成るCu−Cr材料を溶融分散し、さらに急冷することにより得られるCu−Cr合金粉末において、ビッカース硬度が60Hv以下であることを特徴とする。
さらに、本発明に係る、真空遮断器用接点に用いるCu−Cr合金粉末は、高導電成分としてのCuと耐弧成分としてのCrとから成るCu−Cr材料を溶融分散し、さらに急冷することによりCu−Cr合金粉末を調整する工程と、得られたCu−Cr合金粉末を800℃以上1080℃以下の温度で熱処理し、CuとCrを2相分離させる工程と、上記熱処理温度から500℃以上700℃以下である温度までを30分以上の時間をかけて冷却する工程とにより製造されたことを特徴とする。
また、上記本発明に係るCu−Cr合金粉末において、Cr含有量が20〜70重量%の範囲であることが好ましい。
さらに、本発明に係る真空遮断器用接点材料は、上記Cu−Cr合金粉末を加圧成形して、Cu−Cr成形体を形成する工程と、このCu−Cr成形体を900℃以上1080℃以下の温度で加熱焼成する工程とにより製造されたことを特徴とする。
また本発明が指向する真空遮断器用接点材料は、高導電成分としてのCu相と耐弧成分としてのCrとから成る接点材料において、Cu相におけるCrの固溶濃度が200ppm以下、好ましくは20ppm以下であることを特徴とする。また、Cr含有量は20〜70重量%の範囲とすることが好ましい。
ここで耐弧成分としてのCrは、耐弧性および耐溶着性に優れ、接点の長寿命化を図るための成分であり、原料混合体中に20〜70重量%の範囲で含有される。含有量が20wt重量%未満においては、耐弧性が低下して接点の長寿命化が困難である。一方、含有量が70重量%を超える場合には、後述する高導電成分としてのCuの含有量の相対的低下を招き、接触抵抗の増大により接点としての通電機能が低下してしまう。
また高導電成分としてのCuは高い導電率を有し、接点の接触抵抗値を下げるために上記Cr成分を除く残余成分として約80〜30重量%(wt%)含有される。Cu含有量が20重量%未満の場合には導電性が低下し接触抵抗が増大し接点材料としての機能が低下する。一方、含有量が80重量%を超える場合は、前記耐弧成分の含有量が相対的に低下し接点開閉動作時に発生するアーク(電弧)によって接点が溶着し易くなり耐消耗性が低下してしまう。
本発明に係る真空遮断器用接点材料の製造方法は、高導電成分としてのCuと耐弧成分としてのCrからなるCu−Cr材料を溶融分散し、さらに急冷することによりCu−Cr合金粉末を調製する工程と、得られたCu−Cr合金粉末を温度が800℃以上1080℃以下で熱処理しCuとCrを二相分離させる工程と、上記熱処理温度から500℃以上700℃以下である温度までを30分以上で冷却する工程と、冷却されたCu−Cr合金粉末を加圧成形しCu−Cr成形体を形成する工程と、このCu−Cr成形体を900℃以上1080℃以下の温度で加熱焼成しCu−Cr焼結体を形成する工程と、を備えることを特徴とする。
上記熱処理工程において、Cu−Cr合金粉末を800℃以上1080℃以下の温度で熱処理しCuとCrを二相分離させることにより、Cu相に過飽和に固溶したCrを一旦析出させ、さらに上記熱処理温度から500〜700℃に至るまで30分以上の時間をかけて徐々に冷却することによりCu相におけるCrの固溶濃度を200ppm以下にすることができる。
またCu−Cr材料を溶融分散し急冷してCu−Cr合金粉末を調製する工程においては、アトマイズ法、回転電極法、遠心噴霧法のいずれかを用いることが好ましい。
上記アトマイズ法には、水アトマイズ法、ガスアトマイズ法、真空アトマイズ法等があるが、特にガスアトマイズ法が量産用に最も広く用いられている。このガスアトマイズ法においては、まずCu−Cr材料片を電気炉で溶融、精練し、この金属溶湯をノズルから流出させる。次にこの金属溶湯流に対して窒素、アルゴンあるいは空気を吹き付けて金属溶湯を分散・急冷することによりCu−Cr合金粉末を得る。このようにして製造された合金粉末は球形であるために流動性に優れ、粒度や粒子形状の制御が容易であるという特徴を有する。
また、回転電極法においては、消費回転電極に作製すべき合金粉末の材料組成を有するCu−Cr合金棒を一方の電極棒として装着し、高真空中で通電加熱しながら高速で回転させる。その回転電極の他端はW(タングステン)電極であり、Cu−Cr合金から成る電極棒がW電極に接近するとアークが発生し、このアークの熱によりCu−Cr合金から成る電極棒の先端が溶けて回転により飛散し、飛散した溶湯がタンク内に落下するまでに急冷凝固してCu−Cr合金粉末となる。タンク内には、Heが充満されているために酸化のおそれはなく高純度の粉末が得られる。また、このようにして製造された粉末は上記不純物が十分低減されている上、組成の偏析が少ない。なお、Cu−Cr合金粉末の組成は、電極棒作製時にCuとCrとの混合比率を変えることにより容易に制御することができる。
一方、遠心噴霧法は、金属溶湯を種々の力学的手段で細分化して微細な液滴とし、これを気相中に分散させて冷却し所定組成の原料粉末を調製する方法である。具体的には、CuとCrの溶湯を回転ドラム上に噴射し、溶湯を冷却すると同時に遠心力を利用して分散、急冷してCu−Cr合金粉末を製造する方法である。この遠心噴霧法によれば、粒径が50〜100μmの範囲である液滴が生成される。上記方法によれば、冷却時間が極めて短いので、十分微細な分散粒子を作製することにより、偏析が少なく、均一な組成を有するCu−Cr系などの多成分系微粒子が得られる。また、微粒子の組成が広い範囲で精密に制御でき、操作条件により、微粒子の径、形態、構造などを制御することができる。さらに、調製温度が比較的低いために噴霧装置壁との反応が少なく、高純度の合金粉末が得られる。従って、この方法はCu−Cr系などの多成分系微粒子の精密調製法として優れている。
次に、アトマイズ法、回転電極法、遠心噴霧法のいずれかにより調製されたCu−Cr合金粉末を成形する工程において、合金粉末をプレス成形機の金型に充填し、所定の加圧力でプレス成形することにより所定形状のCu−Cr成形体が得られる。特に本発明においては、Cu相におけるCrの固溶濃度が低減され、軟質で成形性が良好なCu−Cr合金粉末を使用しているため、980MPa以下の低い加圧力で成形した場合においても高密度のCu−Cr成形体が得られる。ここで、980MPa以上の加圧力でプレス成形して所定形状のCu−Cr成形体を得る場合には、高圧力に耐え得るプレス機が必要であり、また、汎用機で対応できないことなどの設備的な制約を受ける。また、金型の摩耗、破損などが起こり易く、保守管理が難しくなり量産することが実質的に困難であるために、980MPa以下の加圧力で成形することが好ましい。
本発明に係る真空遮断器用接点材料は、例えば以下の手順によって製造される。まずCr含有量が30〜70重量%の範囲であるCu−Cr材料を、前記アトマイズ法、回転電極法もしくは遠心噴霧法により溶融分散し、さらに急冷することによりCu−Cr合金粉末を得る。得られたCu−Cr合金粉末を温度が800℃以上1080℃以下で熱処理しCuとCrを二相分離させた後、上記熱処理温度から500℃以上700℃以下である温度までを30分以上の時間をかけて徐々に冷却する。このようにして調製されたCu−Cr合金粉末をプレス成形機の金型に充填し、980MPa以下の加圧力でプレス成形して所定形状のCu−Cr成形体を調製し、さらに得られた成形体を水素雰囲気などの非酸化性雰囲気中で温度900〜1080℃で0.5〜3時間焼結することにより、Cu−Cr焼結体を形成する。
このようにして形成されたCu−Cr焼結体を所定形状に加工して接触子(接点部材)とし、この接触子を図1〜2に示すように対向する電極の端面にろう材を使用して一体に接合し、さらに接触子をそれぞれ接合した電極を導電棒の端部に接合することにより、真空遮断器が形成される。
本発明に係るCu−Cr合金粉末およびそれを用いた真空遮断機用接点材料によれば、高導電成分としてのCuと耐弧成分としてのCrとから成り、Cu相におけるCrの固溶濃度が200ppm以下とされているため、原料粉末の硬度が低く、成形時に必要な成形圧力を下げることが可能になり、汎用の安価な成形機が使用できるなど、設備的な制約が緩和される。また、成形圧力が低いため、成形用金型の摩耗や破損が発生しにくくなり、量産性に優れた製造工程を実現することができる。
次に本発明の実施の形態について、以下の実施例を参照して説明する。
[実施例1]
表1に示すようにCuとCrとの含有比率が50:50重量%であるCu−Cr材料を電気炉で溶融した後に精練を行った。次にCuとCrの溶湯をノズルから流出させ、この金属溶湯流に対して窒素を吹き付けて金属溶湯を分散急冷することによりCu−Cr合金粉末を得た。
次に得られたCu−Cr合金粉末を温度1000℃で熱処理しCuとCrを二相分離させた後、上記熱処理温度から600℃まで40分かけて冷却した。このようにして調製したCu−Cr合金粉末をプレス成形機の金型に充填し、最終的に得られる接点材料の相対密度が94%となるように、780MPaの加圧力でプレス成形して所定形状のCu−Cr成形体を調製し、さらに得られた成形体を水素雰囲気中において温度1000℃で3時間焼結し、Cu−Cr焼結体を形成した。
次に、このCu−Cr焼結体を所定形状に加工して図1〜2に示す接触子(接点部材)13a,13bとし、この接触子を対向する電極7,8の端面にろう材14を使用して一体に接合し、さらに接触子13a,13bをそれぞれ接合した電極7,8を真空バルブ内の導電棒5,6の端部に接合することにより、実施例1に係る真空遮断器を組み立てた。
[実施例2]
CuとCrとの含有比率が50:50重量%であるCu−Cr材料から成る合金棒を消費回転電極とし、高真空中で通電加熱しながら高速で回転させた。すなわち電極の一端にはW(タングステン)電極を配置し、Cu−Cr電極棒をW電極に接近させて、アークによりCu−Cr材の電極棒の先端が溶け出した液滴を回転により分散させた。その後、Heを充満させたタンク内に、上記分散した液滴を落下させることにより急冷凝固させてCu−Cr合金粉末とした。
得られたCu−Cr合金粉末を温度1000℃で熱処理しCuとCrを二相分離させた後、上記熱処理温度から600℃まで40分かけて冷却した。このようにして調製したCu−Cr合金粉末をプレス成形機の金型に充填し、最終的に得られる接点材料の相対密度が94%となるように、780MPaの加圧力でプレス成形して所定形状のCu−Cr成形体を調製し、さらに得られた成形体を水素雰囲気中において温度1000℃で3時間焼結し、Cu−Cr焼結体を形成した。
次に、このCu−Cr焼結体を所定形状に加工して図1〜2に示す接触子(接点部材)13a,13bとし、この接触子を対向する電極7,8の端面にろう材14を使用して一体に接合し、さらに接触子13a,13bをそれぞれ接合した電極7,8を真空バルブ内の導電棒5,6の端部に接合することにより、実施例2に係る真空遮断器を組み立てた。
[実施例3]
CuとCrとの含有比率が50:50重量%であるCu−Cr合金溶湯を回転体(回転ドラム)に噴射し、分散すると同時に遠心力を利用して周囲に飛翔・冷却させることによってCu−Cr合金粉末とした。
得られたCu−Cr合金粉末を温度1000℃で熱処理しCuとCrを二相分離させた後、上記熱処理温度から600℃まで40分かけて冷却した。このようにして調製したCu−Cr合金粉末をプレス成形機の金型に充填し、最終的に得られる接点材料の相対密度が94%となるように、780MPaの加圧力でプレス成形して所定形状のCu−Cr成形体を調製し、さらに得られた成形体を水素雰囲気中において温度1000℃で3時間焼結し、Cu−Cr焼結体を形成した。
次に、このCu−Cr焼結体を所定形状に加工して図1〜2に示す接触子(接点部材)13a,13bとし、この接触子を対向する電極7,8の端面にろう材14を使用して一体に接合し、さらに接触子13a,13bをそれぞれ接合した電極7,8を真空バルブ内の導電棒5,6の端部に接合することにより、実施例3に係る真空遮断器を組み立てた。
[比較例1]
実施例1と同様にアトマイズ法によってCu−50%Cr材料を処理することにより、Cu−Cr合金粉末を調製した。次に、アトマイズ処理後の熱処理を実施せずに、急冷処理して得たCu−Cr合金粉末をそのままプレス成形機に充填し、以下実施例1と同一条件で成形・焼結して比較例1に係るCu−Cr焼結体を調製した。また、得られたCu−Cr焼結体を加工して接触子とし、この接触子を使用して比較例1に係る真空遮断器を組み立てた。
上記各実施例に係る真空遮断器においては、接点材料(接触子)の相対密度が高く、導電性も良好であり、優れた遮断特性が得られた。一方、比較例の遮断器においては、急冷処理して得たCu−Cr合金粉末の硬度が高く、成形性が不良であったため、量産性が悪化した。
また各接点材料の成形性を比較評価するために、実施例1、実施例2、実施例3、比較例1において、Cu−Cr成形体を得る際に必要な成形圧と、Cu相に固溶したCrの固溶濃度と、Cu−Cr合金粉末の硬度とを測定して、下記表1に示す結果を得た。
Figure 2007211348
上記表1に示す結果から明らかなように、実施例1に係るアトマイズ法、実施例2に係る回転電極法、実施例3に係る遠心噴霧法を用いてCu−Cr合金粉末を得た後、熱処理を行い、そして冷却処理を経て製造された接点部材では、アトマイズ法により粉末を得た後に上記熱処理工程を経ずに製造された比較例1の接点部材と比較して、特にCu相に固溶されるCrの固溶濃度が低減されており、いずれの場合においてもCrの固溶濃度が20ppm以下となっている。
このことから、アトマイズ法、回転電極法、遠心噴霧法により得られたCu−Cr合金粉末を熱処理後、冷却処理することによって、Cu相中に固溶されているCrを析出させ二相分離させ、Cu相中に固溶されているCr量を効果的に低減することができる。従って、Cu−Cr合金粉末の硬度が低く、比較例1よりも低い圧力、実際には980MPa以下の加圧力でプレス成形することができ、成形性が良好な真空遮断器用接点材料が得られた。
本発明に係る接点材料を適用する真空遮断器の構造を示す断面図。 図1に示す接点および電極部を拡大して示す断面図。
符号の説明
1 遮断室
2 絶縁容器(真空容器,真空バルブ)
3a,3b 封止金属
4a,4b 蓋体
5 導電棒
6 導電棒
7 電極(固定電極)
8 電極(可動電極)
9 ベローズ
10 アークシールド
11 アークシールド
12 ろう付け部
13a,13b 接点部材
14 ろう材(Agろう材)

Claims (6)

  1. 高導電成分としてのCuと耐弧成分としてのCrとから成るCu−Cr材料を溶融分散し、さらに急冷することにより得られるCu−Cr合金粉末において、Cu相におけるCrの固溶濃度が200ppm以下であることを特徴とする、真空遮断器用接点に用いるCu−Cr合金粉末。
  2. 請求項1記載のCu−Cr合金粉末において、Cu相におけるCrの固溶濃度が20ppm以下であることを特徴とする、真空遮断器用接点に用いるCu−Cr合金粉末。
  3. 高導電成分としてのCuと耐弧成分としてのCrとから成るCu−Cr材料を溶融分散し、さらに急冷することにより得られるCu−Cr合金粉末において、ビッカース硬度が60Hv以下であることを特徴とする、真空遮断器用接点に用いるCu−Cr合金粉末。
  4. 高導電成分としてのCuと耐弧成分としてのCrとから成るCu−Cr材料を溶融分散し、さらに急冷することによりCu−Cr合金粉末を調整する工程と、得られたCu−Cr合金粉末を800℃以上1080℃以下の温度で熱処理し、CuとCrを2相分離させる工程と、上記熱処理温度から500℃以上700℃以下である温度までを30分以上の時間をかけて冷却する工程とにより製造されたことを特徴とする、真空遮断器用接点に用いるCu−Cr合金粉末。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載のCu−Cr合金粉末において、Cr含有量が20〜70重量%の範囲であることを特徴とする、真空遮断器用接点材料に用いるCu−Cr合金粉末。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載のCu−Cr合金粉末を加圧成形してCu−Cr成形体を形成する工程と、このCu−Cr成形体を900℃以上1080℃以下の温度で加熱焼成する工程とにより製造されたことを特徴とする、真空遮断器用接点材料。
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