JP2007210966A - 生体物質で被覆された磁性体の製造方法 - Google Patents

生体物質で被覆された磁性体の製造方法 Download PDF

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【課題】タンパク質精製処理に用いられる従来の磁性担体と比較して、磁性粒子を構成する成分の溶出が抑えられた磁性担体の製造方法を提供すること。
【解決手段】生体物質で被覆された磁性体を製造する方法であって、(i)生体物質を含まない第1被膜材を磁性粒子の表面に付着させて第1被膜を形成する工程、ならびに
(ii)生体物質を含んで成る第2被膜材を、工程(i)で得られた磁性粒子の表面に付着させて第2被膜を形成する工程を含んで成る方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、生体物質で被覆された磁性体を製造する方法に関する。特に、本発明は、試料からタンパク質を精製する際に用いられる磁性体の製造方法に関する。なお、磁性体をタンパク質の精製に用いる場合、精製すべきタンパク質が磁性体に結合することになるので、本明細書では、磁性体を「磁性担体」とも呼ぶ。
細菌、酵母、昆虫細胞、動物細胞、動物組織、植物組織(これらから得られる破砕液、抽出液なども含む)または無細胞タンパク質合成液などの試料(以下、これらを総称して「生物試料」と呼ぶ)からタンパク質を抽出して精製する種々の手法が存在する。例を挙げると、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル透過法等の手法の他、特定の生体物質が被覆された磁性担体を用いた手法(例えば、特許文献1参照)がある。
磁性担体を用いて行うタンパク質の精製法は、一般的に、(1)精製すべきタンパク質(以下「目的タンパク質」ともいう)が含まれる生物試料と磁性担体とを接触させて目的タンパク質を磁性担体に結合させる操作、(2)タンパク質が結合した磁性担体を捕集して生物試料から分離する操作、そして、(3)タンパク質を磁性担体から溶離させてタンパク質を回収する操作から成る。
磁性担体は、その表面に生体物質が被着されているため、上記(1)の操作では、タンパク質を含んだ生物試料と磁性担体とを混合すると、タンパク質と磁性担体とが結合することになる。この操作に際して、磁性担体は、適当な分散媒(例えば、リン酸カリウムバッファー、リン酸ナトリウムバッファー、トリス塩酸バッファー、PIPESバッファーまたはホウ酸バッファー等)に分散させたものが一般的に用いられる。引き続いて行われる上記(2)の操作では、一般的に、外部から磁石または電磁石の磁力(即ち、磁界)を磁性担体に作用させることによって、磁性担体を移動させる。タンパク質は磁性担体に結合しているので、磁力で磁性担体を移動させると、間接的にタンパク質を移動させることができる。例えば、上記(1)の操作を適当なチューブ内で行い、チューブの側壁に磁石を近づけてタンパク質が結合した磁性担体をチューブの側壁近傍に保持しつつ、チューブ内の液を排出することによって、タンパク質が結合した磁性担体を生物試料から分離することができる。上記(3)の操作では、タンパク質に親和性をもつ糖質が含まれた液体(例えば、タンパク質がマルトース結合タンパク質である場合には、マルトースを含んだバッファー)を用いることによって、タンパク質を磁性担体より溶離させて回収することができる。
このような従来の精製法で用いられる磁性担体は、磁性粒子およびその表面に存在する生体物質層から成っている。例えば、特許文献1の磁性担体は、強磁性を示す金属酸化物粒子およびその酸化物粒子を被覆する糖質層から成っている。しかしながら、このような磁性担体では、一般的に、生体物質層が表面にむらなく均一に形成されておらず、磁性粒子の表面が部分的に露出している。その結果、タンパク質の精製処理に際して、磁性粒子を構成する成分、例えば金属酸化物の成分(特に鉄イオン)が、磁性担体の周囲の分散媒・液体中へと溶出することがあり、その溶出した成分によってタンパク質のペプチド鎖が切断されてしまうという問題が生じたり(非特許文献1および2参照)、ハンドリングに際して毒性問題が生じたりする可能性があった。
特開2003−300995号公報 Goldshlegerら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.94、第9596頁〜第9601頁(1997) Ranaら、Proc.Natl.Acad.U.S.A.88、第10578頁〜第10582頁(1991)
本発明は、上記の問題を解決するために為されたものである。即ち、本発明の課題は、上述のような従来の磁性担体と比較して、磁性粒子を構成する成分の溶出が抑えられた磁性担体を製造することができる方法を提供することである。
上記の課題を解決すべく、本発明は、
生体物質で被覆された磁性体を製造する方法であって、
(i)生体物質を含まない第1被膜材を磁性粒子の表面に付着させて第1被膜を形成する工程、ならびに
(ii)生体物質を含んで成る第2被膜材を、工程(i)で得られた磁性粒子の表面に付着させて第2被膜を形成する工程
を含んで成る方法を提供する。
本発明の製造方法では、生体物質材料のみを磁性粒子に被着させるだけでなく、生体物質以外の材料も磁性粒子に被着させることを特徴とする。
本発明の製造方法では、第1被膜および第2被膜によって、磁性粒子の表面が露出することなく被覆される。従って、本発明の製造方法で得られる磁性体では、タンパク質の精製処理の際に、磁性粒子を構成する成分(特に金属)が磁性体の周囲の分散媒・液体中へと実質的に溶出せず、従来技術で問題となっていたペプチド鎖の切断およびハンドリング時の毒性が回避される。また、第1被膜および第2被膜によって、磁性粒子の表面が露出することなく被覆される結果、従来のタンパク質精製処理で用いられていた磁性担体と比較して、第2被膜がむらなく磁性粒子の表面に形成されることになり、生体物質がより均一に磁性粒子の表面に分布して存在する有利な効果も得られる。
発明を実施するための形態
以下において、本発明の製造方法を詳細に説明する。
本明細書で用いる「付着」とは、工程(i)に関して、第1被膜を磁性粒子の表面の少なくとも一部に形成することをいい、工程(ii)に関して、第2被膜を、工程(i)で得られた第1被膜および/または磁性粒子の表面(即ち、第1被膜で被覆されていない磁性粒子表面)に形成することをいう。第1被膜および第2被膜の形態は、処理条件に応じて、層状のみならずスポット状にも形成され得る。
また、本明細書でいう「磁性粒子の表面を露出させることなく被覆」とは、本発明の製造方法で得られた磁性体を分散媒・液体中に供した場合、磁性粒子を構成する成分が分散媒・液体中へと実質的に溶出しないことをいう。ここで「実質的に溶出しない」とは、磁性粒子を構成する金属のイオン濃度が、以下に示す測定方法で求めて1ppm未満の場合をいう。
《分散媒・液体に含まれる金属イオンの濃度の測定方法》
まず、1gの磁性体をpH7.0の0.1MHEPES−NaOHバッファー10ml中に加え、40℃にて48時間ディスクローター(BIO CRAFT社製、型式BC−710I)で攪拌して混合物を得る。次いで、磁石を用いることによって、混合物から磁性体を除去する。さらに、0.1μmのメンブレンフィルターを用いて濾過を行い、磁性体を完全に除去する。そして、磁性体が除去された液体に含まれる金属イオンの濃度をICP発光分光分析装置(日本ジャーレル・アッシュ製、型式IRIS−1000)で測定する。
更に、本明細書でいう「生体物質が磁性粒子の表面に均一に分布する」とは、磁性粒子の表面が露出することなく被覆される結果、従来のタンパク質精製処理で用いられていた磁性担体と比較して、生体物質がむらなく磁性粒子の表面に被着していることをいう。
(本発明の製造方法で用いる磁性粒子)
本発明の製造方法で用いる「磁性粒子」は、金属およびその酸化物、ならびに、合金およびその酸化物から成る群から選択される少なくとも1種以上の磁性材料から形成されていることが好ましい。金属としては、鉄、コバルトまたはニッケル等が挙げられる。特に、ニッケルは強磁性を示すので好ましい。また、合金としては、Co−Cr−Ta系またはFe−Ni系等が挙げられる。より好ましくは、磁性粒子は、強磁性粒子であることが好ましく、例えば強磁性酸化物から成る粒子である。強磁性酸化物から成る粒子は、金属粒子を酸化させて得ることができるものであり、磁気応答性を有している。「磁気応答性を有する」とは、磁石等による外部磁界が存在するとき、磁界に起因して磁化する、あるいは磁石に吸着するなど、磁界に対して感応性を示すことを指している。強磁性酸化物としては特に制限はなく、鉄、コバルト、ニッケルまたは合金等の酸化物が挙げられるが、磁界に対する感応性が特に優れていることから、強磁性酸化鉄が好ましい。なお、超常磁性を有するもの(例えば粒径5nmのFePt粒子、Fe粒子)であっても磁界に対して感応性を有するものであれば、本発明の製造方法で用いる「磁性粒子」として使用することができる。
強磁性酸化鉄としては、公知の種々の強磁性酸化鉄を用いることができる。特に化学的な安定性に優れることから、マグヘマイト(γ−Fe23)、マグネタイト(Fe34)、ニッケル亜鉛フェライト(Ni1-XZnXFe24:式中、0<X<1)およびマンガン亜鉛フェライト(Mn1-XZnXFe24:式中、0<X<1)から成る群から選択される少なくとも1種以上の酸化鉄が好ましい。その中でも、大きな磁化量を有するために磁界に対する感応性が優れるマグネタイトが特に好ましい。
強磁性酸化鉄粒子は、例えば水中でFe(OH)2等の粒子を酸化反応させる公知の手法で製造することができる。
なお、本発明の製造方法で用いる「磁性粒子」は、全てが磁性材料から形成されていなくてもよい。例えば、非磁性材料から成る粒子が上述の磁性材料で被覆されたもの(好ましくは非磁性粒子全体が被覆されたもの)は、第1被膜材および第2被膜材を付着させることができ、実用上問題ない磁気応答性を有するので、本発明で用いる「磁性粒子」として利用できる。この場合、非磁性材料から成る粒子が必ずしも個々に磁性材料で被覆されたものでなくてもよく、非磁性材料から成る複数の粒子が一体的に同じ磁性材料で被覆されたものであってもよい。一例を挙げれば、アルミナもしくはコロイダルシリカ等の無機物またはアクリルもしくはポリスチレン等の有機ポリマーから成る非磁性粒子が磁性材料で被覆されたものを「磁性粒子」として用いることができる。磁性材料の被覆処理に際しては、無電解メッキ法、電気メッキ法、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法または化学蒸着法など手法を用いることができる。
磁性粒子は、通常、複数(例えば2個〜100個)の磁性粒子の集合体(または塊)として用いられる。本発明で用いる磁性粒子の形状は、厳密に球形でなくてもよい。便宜的に「粒子」なる用語を用いているが、集合体として用いられる場合、磁性粒子の形状に特に制限はなく、球状でなくても、楕円体状、粒状、板状、針状、または、立方体状などの多面体状であってもよい。但し、本発明の製造方法で得られる磁性体をタンパク質の精製処理に用いることを鑑みると、磁性粒子の形状は楕円体状または粒状であることが好ましい。
本発明の製造方法で得られる磁性体は、0.005μm〜60μmの粒子サイズ(粒子径)を有することが好ましいため、磁性粒子は、0.005μm〜45μmの平均粒子サイズを有することが好ましい。なお、ここでいう「粒子サイズ」とは、磁性粒子のあらゆる方向の長さの中で最大の長さ(例えば、粒子の透過型電子顕微鏡写真に基づいて測定される最大の長さ)のことを指しており、また、「平均粒子サイズ」とは、透過型電子顕微鏡写真で300個の磁性粒子の個々の粒子サイズを測定し、その数平均として算出することによって得られるサイズのことを指している。
(本発明の製造方法で用いる第1被膜材)
本発明の製造方法の工程(i)で用いられる第1被膜材(または第1被膜剤)は、生体物質を含んでいない。第1被膜材は、金属、ケイ素化合物および有機ポリマーから成る群から選択される少なくとも1種以上の物質を含んで成ることが好ましい。
第1被膜材として用いられる金属としては、アルミニウム、ニッケル、金、白金、鉄もしくはコバルト等、または、そのような金属を含んだ混合物等が挙げられる。金属が酸化物および化合物の形態であってもかまわない(例えば、アルミン酸塩等のアルミニウムを含む化合物)。
第1被膜材として用いられるケイ素化合物としては、シリカ、ケイ酸塩、シロキサン、シラザン、または、それらの混合物等が挙げられる。
第1被膜材として用いられる有機ポリマーとしては、アクリル、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、または、それらの混合物等が挙げられる。
(本発明の製造方法で用いる第2被膜材)
本発明の製造方法の工程(ii)で用いられる第2被膜材(または第2被膜剤)は、生体物質を含んで成る。好ましくは、第2被膜材は、糖質、タンパク質、ペプチド、核酸、細胞および微生物から成る群から選択される少なくとも1種以上の生体物質を含んで成る。
糖質としては、特に制限はなく、単糖類、少糖類または多糖類、およびこれらの混合物などが挙げられる。例えば、精製すべきタンパク質(即ち目的タンパク質)と親和性を充分に有する糖質を適宜選択して使用すればよい。具体的な糖質としては、グルコース、ガラクトース、アラビノース、マンノース、マルトース、マルトデキストリン、アミロース、デキストリンまたは可溶性デンプンなどを挙げることができる。特に、価格が安価で入手が容易であることから、グルコースを構成単位(または主単位)とするオリゴ糖または多糖が好ましく、アミロースが更に好ましい。ちなみに、マルトース結合タンパク質の一部または全部を含む融合タンパク質が目的タンパク質である場合には、アミロースを糖質として用いることが好ましい。
第2被膜材に含まれるタンパク質またはペプチドは、相互に特異的結合性を有する、抗体および抗原のいずれか一方または生体レセプターおよびリガンドのいずれか一方であることが好ましい。抗体/抗原の場合、精製すべきタンパク質が抗体となる場合には、抗原となるタンパク質またはペプチドを第2被膜材に用いることになる。その一方、精製すべきタンパク質が抗原となる場合には、抗体となるタンパク質またはペプチドを第2被膜材に用いることになる。生体レセプター/リガンドについても抗体/抗原の場合と同様であり、精製すべきタンパク質が生体レセプターとなる場合には、リガンドとなるタンパク質またはペプチドを第2被膜材に用いることになる一方、精製すべきタンパク質がリガンドとなる場合には、生体レセプターとなるタンパク質またはペプチドを第2被膜材に用いることになる。
なお、第2被膜材に含まれるタンパク質としては、酵素等の種々の機能を有する物質も用いることができ、例えば、ワサビ過酸化酵素や、酵素ではないがアビジン、または、ストレプトアビジン等を挙げることができる。
第2被膜材に含まれる核酸は、例えば、DNAまたはRNAの2本鎖、1本鎖等である。また、第2被膜材としては細胞や微生物等が挙げられる。
本発明において「生体物質」なる用語は、生物に由来する物質を意味するものの、生体物質そのものに限っておらず、生体物質と相互作用を有する物質をも含むものとして使用している。従って、薬剤もしくは薬剤候補物質、環境ホルモン等の有害物質、または、ビオチン等の他の生体物質の固定に利用できる物質も第2被膜材に含めることができる。
(磁性粒子材質、第1被膜材および第2被膜材の好ましい組合せ)
以上、本発明の製造方法で用いる「磁性粒子」、「第1被膜材」および「第2被膜材」を説明してきた。それらの中でも特に、磁性粒子としてマグネタイト粒子、第1被膜材としてケイ素化合物(例えばシリカ)および第2被膜材として糖質(例えばアミロース)を用いる組合せが好ましい。
以下において、本発明の製造方法の工程(i)および(ii)について説明する。
工程(i)では、生体物質を含まない第1被膜材を磁性粒子の表面に付着させて第1被膜を形成する。第1被膜は、磁性粒子の表面全体に形成されていることが好ましい。しかしながら、第1被膜は、必ずしも磁性粒子の表面全体に形成されている必要はなく、表面の一部分のみに形成されてもよく、工程(i)の条件に応じて、例えば層状のみならずスポット状にも形成され得る。また、第1被膜は、個々の磁性粒子の表面に限らず、工程(i)の条件に応じて、複数の磁性粒子の集合体の表面に形成されてもよい。この場合でも、必ずしも集合体の表面全体に第1被膜が形成されている必要はなく、磁性粒子同士の一体性を最低限確保できる程度に第1被膜が形成されていればよい。
第1被膜材を磁性粒子の表面に付着させるには、例えば、メッキ法、蒸着法、析出法、ゾル−ゲル法、マイクロカプセル化法または懸濁重合法等を用いることができる。なお、マイクロカプセル化法および懸濁重合法は、複数の磁性粒子から成る集合体の表面に対して第1被膜を形成するのに用いられる手法である。
メッキ法としては、無電解メッキ法または電気メッキ法などが挙げられる。無電解メッキ法では、第1被膜材としたい金属を錯体とした溶液に還元剤を用いることによって、第1被膜材を磁性粒子の表面に付着させる。また、電気メッキ法では、基本的には無電解メッキの還元剤の代わりに電流を溶液中に流すことで、金属イオンを還元し、第1被膜材を磁性粒子の表面に付着させる。
蒸着法では、第1被膜材としたい金属を減圧下で加熱し、金属を蒸発させることによって、第1被膜材を磁性粒子の表面に付着させる。また、析出法では、第1被膜材としたい物質を溶解させた溶液を第1被膜材が析出するように条件(例えば、pHまたは温度)を変化させることによって、第1被膜材を磁性粒子の表面に付着させる。ゾル−ゲル法では、例えばアルコキシシランの溶液に水と酸もしくは塩基とを加えることで、アルコキシシランのアルコキシ基が加水分解され、さらに重合することによって、第1被膜材を磁性粒子の表面に付着させる。マイクロカプセル化法では、第1被膜材が溶解した溶液とその相中に磁性粒子を含むエマルジョンを作成し、その後、第1被膜材が析出する条件(例えば、pHまたは温度)へと変化させることによって、第1被膜材を磁性粒子の表面に付着させる。そして、懸濁重合法も、第1被膜材が溶解した溶液とその相中に磁性粒子を含むエマルジョンを作成し、その後、第1被膜材を重合させることによって、第1被膜材を磁性粒子の表面に付着させる。
なお、本発明の製造方法の工程(i)では、上記に例示した手法以外でも、第1被膜材を磁性粒子の表面に付着させて第1被膜を形成できる手法であれば、いずれの手法を用いてもよいことに留意されたい。
ここで、本発明の製造方法の工程(i)に際しては、製造される磁性体の磁気応答性が悪影響を受けない限りにおいて、磁性粒子と第1被膜との間に非磁性材料から成る中間膜(場合によっては複数の中間膜)が存在してもよい。かかる中間膜の非磁性材料としては、例えばシリカが挙げられる。言い換えれば、工程(i)で用いる磁性粒子として、シリカ被膜を有する磁性粒子を用いることができ、その場合では、かかる磁性粒子に対して第1被膜が形成されることになる。シリカ以外の中間膜材料としては、亜鉛、ニッケル、アクリルまたはポリスチレン等を挙げることができる。
本発明の製造方法の工程(i)では、第1被膜材の量が磁性粒子の重量に対して0.1重量%未満であると、磁性粒子の表面に第1被膜がむらなく均一に付着しない傾向が増加する。そうすると、第1被膜で覆われない粒子表面が増加するので、引き続いて形成される第2被膜が不均一に分布することになり、最終的に、磁性粒子の表面が部分的に露出してしまうことになる。その一方、第1被膜材の量が磁性粒子の重量に対して70重量%を超えると、製造される磁性体の磁気特性に悪影響を及ぼし得、磁気応答性が低下してハンドリング面やコスト面で不利となる場合がある。従って、好ましくは、第1被膜材の量は、磁性粒子の重量に対して0.1重量%〜70重量%であり、より好ましくは3重量%〜60重量%であり、更に好ましくは0.5重量%〜50重量%である。
本発明の製造方法の工程(i)で得られる第1被膜の厚さは、第1被膜の形成方法によって異なってくる。マイクロカプセル化法、懸濁重合法の場合は複数の磁性粒子がまとめて被覆されるので、得られる粒子の大きさで見積もった方がよい。例えば、得られる粒子の大きさは、磁性粒子の直径に対して、好ましくは3倍以上であり、より好ましくは5倍以上である。その他の場合は、基本的に1つの磁性粒子に被覆するので磁性粒子と第1被膜の厚さとで見積もった方が分かりやすい。例えば、第1被膜の厚さは磁性粒子に対して、好ましくは40%以下であり、より好ましくは20%以下である。
次に工程(ii)について説明する。工程(ii)では、生体物質を含んで成る第2被膜材を、工程(i)で得られた磁性粒子の表面に付着させて第2被膜を形成する。第2被膜を形成する手法には、特に制限がなく、例えば工程(i)で用いられるような析出法または含硫黄化合物被着法等を用いることができる。
特に、第2被膜材として溶解性(例えば水溶性)を有する生体物質(例えば糖質)が用いられる場合では、析出法を用いることが好ましい。この析出法は、例えば溶媒として水を用いる場合、溶質として用いる第2被膜材の溶解度の調整することによって、磁性粒子の表面に第2被膜材を析出させる手法である。具体的には、工程(i)で得られた磁性粒子を分散させた分散液に対して第2被膜材を溶解させ、その後、第2被膜材の溶解度を調整して磁性粒子の表面に第2被膜材を析出させる。溶解度の調整としては、例えば温度による調整がある。温度による調整では、磁性粒子を含む分散液を加熱して第2被膜材を溶解させ、その後、冷却することによって飽和溶解度を越える量の第2被膜材を磁性粒子の表面に析出させる。また、溶媒量の増減によっても第2被膜材の溶解度を調整することができ、この場合では、冷却する代わりに溶媒を蒸発させることによって第2被膜材を磁性粒子の表面に析出させることができる。
なお、含硫黄化合物被着法とは、貴金属原子と硫黄原子との間の結合が容易に生じるのを利用した被着法である。具体的には、例えば金表面などの貴金属表面を持つ磁性粒子を溶液中に分散させ、これにスルフィド、ジスルフィドもしくはチオール基など硫黄原子を構造中に持つ生体物質と結合性のある化合物、または、スルフィド、ジスルフィドもしくはチオール基を予め導入しておいた生体物質と結合性のある化合物を加えると、かかる化合物と金表面との反応によりAu−S結合が生じる。従って、そのような生体物質と結合性のある化合物を磁性粒子表面に導入することができ、結果的に、磁性粒子表面に対して、生体物質を含む第2被膜材を付着することが可能となる。なお、生体物質自体が上述のような硫黄原子を有する場合には、上記Au−S結合に起因して、磁性粒子表面に生体物質を含む第2被膜材を直接的に付着させることができる。
本発明の製造方法の工程(ii)では、第2被膜材の量が磁性粒子の重量に対して0.1重量%未満であると、磁性体のタンパク質への結合性が低下してしまう傾向がある。その一方で、第2被膜材の量が磁性粒子の重量に対して30重量%を超えると、製造される磁性体の磁気特性に悪影響を及ぼし得、目的タンパク質の抽出・精製の効率が低下する傾向がある。従って、第2被膜材は、好ましくは、磁性粒子の重量に対して0.1重量%〜30重量%であり、より好ましくは0.5重量%〜20重量%である。
本発明の製造方法の工程(ii)で得られる第2被膜の厚さは、第1被膜が形成された磁性粒子の粒径に対して、好ましくは10%以下であり、より好ましくは5%以下である。しかし、第2被膜となる化合物自体が大きい場合(細胞または微生物など)は、この限りでない。
なお、磁性粒子と第1被膜との間の中間膜(以下、「第1中間膜」という)と同様に、第1被膜と第2被膜との間には、製造される磁性体の磁気応答性が悪影響を受けない限りにおいて、非磁性材料から成る別の中間膜(以下、「第2中間膜」という)が存在してもよい。第2中間膜の非磁性材料としては、第1中間膜と同様、シリカ、アクリルまたはポリスチレンなどを挙げることができる。なお、第2中間膜が存在することは、言い換えれば、本発明の製造方法の工程(i)において、複数の第1被膜を層状に形成することと実質的に同じ意味である。例えば、第2中間膜がシリカから成る磁性体では、生物試料に含まれるDNAまたはRNA等が磁性体に特に吸着され易くなるという利点がもたらされる。
第2被膜は、第1被膜上に形成されること(但し、第2被膜は、必ずしも第1被膜の全体に重なって形成される必要はなく、部分的に第1被膜が露出する形態でもかまわない)が原則である。しかしながら、第1被膜が磁性粒子の表面の一部分にのみ形成されている場合では、第2被膜は、第1被膜に重なるように形成されるだけでなく、磁性粒子の表面にも直接的に形成されることになる。従って、結果的には、第1被膜および第2被膜によって磁性粒子の表面が露出なく被覆されることになる。
なお、上述した本発明の製造方法では、第1被膜の形成工程(即ち、工程(i))の後に第2被膜の形成工程(即ち、工程(ii))が実施されている。しかしながら、製造される磁性体の磁気応答性に悪影響を与えず、また、目的タンパク質と磁性体との親和的結合を阻害しない程度であれば、第1被膜の形成工程と第2被膜の形成工程とを実質的に同時に行ってもよい。例えば、工程(i)または(ii)で説明したような被着法を実施するに際して、第1被膜材と第2被膜材とを実質的に同時に使用してよい。
以下では、本発明で製造される磁性体について詳細に説明する。
本発明の製造方法で得られる磁性体(磁性粒子の集合体に対して被着処理して得られる磁性体も含む)は、球状、楕円状、針状、球状または板状などの各種形状を有し得る。しかしながら、磁性体を用いたタンパク質の精製処理に際して磁性体の捕集性と分散性とのバランスに優れ、かつ、磁性体の操作性に優れるという観点から、製造される磁性体は、球状、楕円状または粒状の形状を有することが好ましい。ここでいう「球状」とは、アスペクト比(種々の方向で測定した場合の最大長さと最小長さとの比)が1.0〜1.2の範囲にある形状を指し、「楕円状」とは、アスペクト比が1.2〜1.5の範囲(但し、1.2を含まない)にある形状を指す。また、「粒状」とは、一般的には、球状のように粒子の長さが全方向で揃っている形状を指し、特に、全体としてサイズ的に異方性のない形状を指す。
本発明の製造方法で得られる磁性体の大きさに関しても特に制限はないが、上記と同様に磁性体の操作性が優れる観点から、平均粒子サイズは、好ましくは0.005μm〜60μmであり、より好ましくは0.01μm〜45μmである。この磁性体に関する「平均粒子サイズ」の定義は、磁性粒子の場合と同様である。ちなみに、磁性体の平均粒子サイズが0.005μm未満となると、磁性体の比表面積が大きくなり、磁性体に結合できるタンパク質の量が多くなるものの、磁性体の捕集が困難となる傾向がある。その一方で、磁性体の平均粒子サイズが45μmを超えると、磁性体の比表面積が小さくなり、かつ、磁性体が沈降し易くなるため、磁性体に結合できるタンパク質の量が少なくなる傾向がある。
本発明の製造方法で得られる磁性体は、磁石・磁界の影響下で作用することが重要である。この観点から、磁性体の磁気特性は重要であり、特に「飽和磁化」および「保磁力」が重要である。「飽和磁化」はタンパク質が結合した磁性体の捕集特性に主に関係し、「保磁力」は磁性体とタンパク質との分離特性(磁性体からのタンパク質の溶離特性)に主に関係する。
一般に、飽和磁化が高くなるほど磁界への感応性が大きくなる。タンパク質の精製処理に際して、磁性体の飽和磁化が高すぎると、磁性体が磁気的に凝集してしまう。その一方で、飽和磁化が小さすぎると、磁性体の磁界に対する感応性が低くなり、磁性体の捕集特性が低下してしまう。このような観点から、本発明の製造方法で得られる磁性体の飽和磁化は、好ましくは2A・m/kg(emu/g)〜100A・m/kg(emu/g)であり、より好ましくは4A・m/kg(emu/g)〜90A・m/kg(emu/g)である。なお、ここでいう「飽和磁化」は、例えば振動試料型磁力計(東英工業(株)製)を用いて、796.5kA/m(10キロエルステッド)の磁界を印加したときの磁化量を測定することによって得られる飽和磁化である。
全てが磁性材料の磁性粒子を用いて磁性体を製造する場合では、飽和磁化が20A・m/kg(emu/g)〜100A・m/kg(emu/g)、好ましくは30A・m/kg(emu/g)〜80A・m/kg(emu/g)となるように磁性体を製造することが望ましい。その一方、非磁性材料が予め被覆されている磁性粒子を用いて磁性体を製造する場合では、飽和磁化が2A・m/kg(emu/g)〜100A・m/kg(emu/g)、好ましくは4A・m/kg(emu/g)〜90A・m/kg(emu/g)となるように磁性体を製造することが望ましい。このように磁性粒子の種類によって飽和磁化の好ましい範囲が異なるのは、磁性粒子の比重の違いによって、磁気応答性に違いが生じるためである。一般的に、全てが磁性材料の磁性粒子は比重がより大きいのに対し、非磁性材料が予め被覆されている磁性粒子は比重がより小さい。比重が大きいほど、磁気応答性が悪くなるので、より比重の大きい磁性粒子では飽和磁化量を大きくする必要がある。
また、本発明の製造方法で得られる磁性体は、捕集される際に印加される磁界によってある程度磁化されるが、保磁力が大きくなるほど磁性体同士の凝集力が大きくなるので、磁性体の分散性が低下する。その結果、磁性体からタンパク質を溶離させる溶離特性が低下し、タンパク質の抽出効率が低くなってしまう。この点を鑑みて、本発明の製造方法で得られる磁性体の保磁力は、好ましくは0.079kA/m〜15.93kA/m(10〜200エルステッド)であり、より好ましくは1.59kA/m〜11.94kA/m(20エルステッド〜150エルステッド)である。なお、ここでいう「保磁力」とは、例えば振動試料型磁力計(東英工業(株)製)を用いて、796.5kA/m(10キロエルステッド)の磁界を印加して飽和磁化した後、磁界をゼロに戻し、さらに逆方向の磁界を徐々に増加させながら印加して、磁化の値がゼロになる印加磁界の強さから求められる保磁力である。
(磁性体を用いて精製されるタンパク質について)
本発明の製造方法で得られた磁性体を用いて精製できるタンパク質は、当該磁性体に含まれる生体物質(例えば、糖)に特異的に結合し得るタンパク質であれば特に限定されない。ここでいう「精製できるタンパク質」は、公知の各種のタンパク質は勿論のこと、本発明の製造方法に用いられる生体物質に対し特異的に結合し得るフラグメントを有する融合タンパク質(例えば、特許第2703770号公報で開示されているような融合タンパク質)を包含し、更には、そのような生体物質に対して特異的に結合し得る限り、これらのフラグメント等のいわゆるペプチド、オリゴペプチドおよびポリペプチドをも包含する。具体的には、マルトース結合タンパク質、アラビノース結合タンパク質、グルコース結合タンパク質、マンノース結合タンパク質、レクチン等の糖結合タンパク質、これらの一部または全部を含んで成り、糖への親和性を有する融合タンパク質(例えば、糖結合タンパク質と糖結合性を実質的に示さないタンパク質との融合タンパク質(β−ガラクトシダーゼα鎖のアミノ末端にマルトース結合タンパク質が結合している融合タンパク質MBP−LacZα、大腸菌トランスポザーゼのアミノ末端にマルトース結合タンパク質が結合している融合タンパク質MBP−TNP1、または、緑色蛍光タンパク質のアミノ末端にマルトース結合タンパク質が結合している融合タンパク質MBP−GFP1等))を挙げることができる。その中でも、浸透圧による影響を受けるペリプラズムタンパク質が好ましく、マルトースおよびマルトデキストリンに特異的に結合し得ることから、大腸菌のmalE遺伝子産物であるマルトース結合タンパク質が特に好ましい。
[本発明の具体的な実施態様]
次に、磁性粒子としてマグネタイトから成る強磁性粒子(以下「マグネタイト粒子」ともいう)、第1被膜材としてシリカ(ケイ酸塩)、および、第2被膜材としてアミロースを用いた場合を例に挙げて、本発明の製造方法を更に具体的に説明する。また、得られる磁性体の利用方法の一例として、アミロースに特異的に結合するタンパク質の精製方法も併せて説明する。なお、説明する実施態様はあくまでも例示的なものであり、かかる実施態様に本発明が限定されないことに留意されたい。
(第1被膜の形成)
まず、ケイ酸塩溶液を用意する。ケイ酸塩としては、ケイ酸ナトリウムまたはケイ酸カリウム等を用いることができる。また、分散媒としては、用いたケイ酸塩が溶解するものであれば、特に制限はなく、水、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、または、それらの混合物等を用いることができるが、製造コストを低く抑えられるので水を用いることが好ましい。次いで、調製されたケイ酸塩水溶液に対してマグネタイト粒子を分散させる。マグネタイト粒子の量にも特に制限はないが、均一な分散液を得ることができるので、マグネタイト粒子を1重量%〜50重量%の濃度となるように加えることが好ましい。
引き続いて、分散液に酸を加え、ケイ酸塩を析出させる。加える酸の種類は特に制限はないが、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸またはシュウ酸などを加えることができる。以上の操作により、マグネタイト粒子の表面に、ケイ酸塩の被膜を形成することができる。
(第2被膜の形成)
ケイ酸塩の被膜が形成された磁性粒子(以下「シリカ被覆マグネタイト粒子」という)を、まず常温(20℃)で分散媒に対して分散させる。分散媒として、水、エチルアルコールまたはイソプロピルアルコール等を利用できるが、製造コストを低く抑えられるので水が好ましい。分散媒に加えるシリカ被覆マグネタイト粒子の量は、特に制限はない。しかしながら、均一な分散液を得る観点から、1重量%〜50重量%の濃度となるようにシリカ被覆マグネタイト粒子を分散媒に加えることが好ましい。
次いで、常温で攪拌した状態で分散液にアミロースを添加した後、約90℃まで加熱する。シリカ被覆マグネタイト粒子に対するアミロースの添加量は、シリカ被覆ビーズの重量に対して0.1重量%〜30重量%とすることが好ましい(但し、アミロースの水に対する溶解量が通常、数%程度(2%〜6%)であることを考慮する必要がある)。例えば、シリカ被覆マグネタイト粒子10gを水50gに分散させる場合では、0.1g〜3g程度のアミロースを添加すればよい。この場合、アミロースの添加後、10分間〜1時間程度、常温で攪拌した後に約90℃に加熱し、その加熱した状態で更に10分間〜1時間攪拌を行うと、アミロースが均一に溶解し、均一なアミロース膜を得ることができる。
引き続いて、アミロースが溶解した分散液を攪拌しながら常温まで冷却する。これにより、アミロースの飽和溶解度が低下するので、アミロースが徐々に析出し、シリカ被覆マグネタイト粒子の表面にアミロースが付着して第2被膜が形成される。なお、凍らない限りは、氷冷などの手法でアミロースが溶解した分散液を冷却してもよい。
以上の操作によって、磁性粒子の表面にシリカの第1被膜とアミロースの第2被膜とを備えた磁性体が得られる。なお、上述したような飽和磁化と保磁力とを兼ね備える磁性体を得るには、例えば、1個〜100個のシリカ被覆マグネタイト粒子の集合体をアミロースで被覆し、かつ、そのシリカ被覆マグネタイト粒子の集合体に対するアミロースの割合を0.1重量%〜30重量%となるようにすればよい。
(本発明の製造方法で得られる磁性体の特性)
本発明の製造方法で得られる磁性体は、保存安定性に優れているため、タンパク質の精製処理に好適に使用することができる。つまり、本発明の製造方法で得られる磁性体は、比較的長期間保存したとしてもタンパク質結合能力が殆ど低下しない。具体的には、2〜10℃(特に4℃)の温度の下、磁性体を分散液中で30日間保存した場合でも、保存前の80%以上(好ましくは90%以上)のタンパク質結合能力が維持される。なお、ここでいう「分散液」としては、例えばバッファーであり、具体的にはリン酸カリウムバッファー、リン酸ナトリウムバッファー、トリス塩酸塩バッファー、PIPESバッファー、ホウ酸バッファー、酢酸バッファーまたはMESバッファー等を例示することができる。その中でも、20mM〜100mMのリン酸カリウムバッファー(pH5.0〜8.0)が好ましい。「タンパク質結合能力」とは、磁性体1gに結合できるタンパク質量である。「タンパク質量」は、ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(即ち「SDS−PAGE」)を用いて得られるタンパク質量である。SDS−PAGEによるタンパク質量の定量は、次のようにして行う。まず、既知濃度の標準タンパク質(例えば、ウシ血清アルブミン)および対象タンパク質の希釈系列(例えば、2倍、4倍、8倍など)をそれぞれ調製する。次いで、標準タンパク質の希釈系列からSDS−PAGEの最低検出可能な濃度(A)を求める一方、対象タンパク質の希釈系列から対象タンパク質が検出可能な希釈倍率を求める。タンパク質濃度を上記(A)とみなし、それに希釈倍率を乗ずることにより対象タンパク質の濃度を決定する。かかるSDS−PAGEは、例えば、「電気泳動実験法」(日本電気泳動学会編、1999年発行)に記載された方法など、公知の方法を用いて行うことができる。また、SDS−PAGEによるタンパク質の定量は、280nmの吸光度を測定することによっても行うことができる。
好ましくは、本発明の製造方法で得られる磁性体は、タンパク質そのものよりも、そのようなタンパク質の一部または全部を含んで成り、糖質への親和性を有する融合タンパク質に対して高い親和性を有している。この場合、かかる融合タンパク質の精製処理に対して磁性体を好適に使用することができる。
糖質に特異的に結合し得るタンパク質と、上記のような融合タンパク質を発現した組換体とを含んで成る破砕液に対して精製が行われる場合では、本発明の製造方法によって得られる磁性体は、好ましくは、融合タンパク質と実質的に100%結合する。ここでいう「融合タンパク質と実質的に100%結合する」とは、融合タンパク質以外のタンパク質の磁性体に対する結合量が検出限界未満であることをいう。上述のように、タンパク質の磁性体への結合量は、上記SDS−PAGEによる定量法および吸光度測定により求めることができる。従って、「融合タンパク質と実質的に100%結合する」とは、これらのタンパク質定量法では検出できない程度にしか融合タンパク質以外のタンパク質が磁性体に結合しないことを意味している。
更に、本発明の製造方法によって得られる磁性体は、溶出液としてリン酸バッファーが用いられると、他のバッファーを用いる場合よりも効率的に、磁性体に結合したタンパク質を溶出させることができる(つまり、タンパク質を磁性体から効率的に分離させることができる)。このように溶出が特定のバッファーに特異性を示すということは、使用するバッファーによって溶出をコントロールできることを意味している。従って、本発明の製造方法によって得られる磁性体を固定化酵素用担体として利用する場合には、固定化酵素の寿命が向上し得る点で大きな効果が期待できる。
磁性体に結合したタンパク質を溶出させることによって回収されるタンパク質の割合(以下「回収率」ともいう)は、溶出液としてリン酸バッファーを用いた場合では60%以上(好ましくは80%以上)であり、他のバッファーを用いた場合では20%以下(好ましくは10%以下)である。ここでいう「回収率」とは、生物試料に含まれていたタンパク質の量と回収されたタンパク質の量との比を表している。リン酸バッファーとしては、リン酸カリウムバッファーまたはリン酸ナトリウムバッファー等を例示することができ、その中でも20mM〜100mMのリン酸カリウムバッファー(pH6.0〜8.0)が好ましく、特に50mMのリン酸カリウムバッファー(pH7.5)が好ましい。また、ここでいう「他のバッファー」としては、20mM〜100mMのトリス塩酸バッファー、トリス硫酸バッファー、HEPESバッファー、MOPSバッファー、PIPESバッファーまたはホウ酸バッファー等を例示することができ、特に50mMのトリス塩酸バッファー(pH7.5)、トリス硫酸バッファー(pH8.0)、HEPESバッファー(pH7.7)、MOPSバッファー(pH7.5)、PIPESバッファー(pH7.5)またはホウ酸バッファー(pH8.0)である。例えば、目的タンパク質がマルトース結合タンパク質である場合には、1mM〜100mM(好ましくは10mM)のマルトースを含むバッファーによって溶出を行うことが好ましい。
(磁性体を用いたタンパク質の精製)
以下において、本発明の製造方法で得られた磁性体が用いられるタンパク質の精製処理について具体的に説明する。
かかるタンパク質の精製方法は、主として、
[1]精製すべきタンパク質が含まれる生物試料と磁性体とを接触させてタンパク質を磁性体に結合させる工程と、
[2]タンパク質が結合した磁性体を捕集して生物試料から磁性体を分離する工程と、
[3]磁性体からタンパク質を溶離させてタンパク質を回収する工程と
から成る。
工程[1]では、まず、タンパク質を含んだ生物試料と磁性体とを混合により接触させて、タンパク質と磁性体とを結合させる。混合操作は、例えば、生物試料および磁性体が供されたチューブを軽く転倒攪拌または振盪させる程度で充分であり、例えば市販のボルテックスミキサー等を用いて行うことができる。但し、適当なバッファー中でタンパク質と磁性体とが接触し得るならば、混合操作に特に制限はない。
磁性体は、適当な分散媒に分散させた状態で使用することが好ましい(磁性体が分散した液体を「タンパク質抽出液」と呼ぶ)。用いられる分散媒は、特に制限はないが、タンパク質の精製に一般的に用いられるバッファーが好ましく、例えば、リン酸カリウムバッファー、リン酸ナトリウムバッファー、トリス塩酸バッファー、PIPESバッファーまたはホウ酸バッファー等が好ましい。特に、20mM〜100mMのリン酸カリウムバッファー(pH6.0〜8.0)を使用することが好ましい。磁性体は、タンパク質抽出液の磁性体濃度が0.1g/mL〜1.0g/mLとなるように分散媒に加えることが好ましい。0.1g/mL未満であると、磁性体に結合できるタンパク質の量が減るだけでなく、磁性体の集磁性も悪くなる傾向がある一方、1.0g/mLを超えると、分散液の分散性が悪くなるだけでなく保存安定性も悪くなる傾向があるからである。タンパク質抽出液と生物試料との混合比は、精製すべきタンパク質の分子量に左右される。一般的には、磁性体と精製すべきタンパク質との重量比が、1:0.001〜1:0.1となることが好ましい。
工程[2]では、タンパク質が結合した磁性体を捕集して生物試料中から分離する。遠心分離またはフィルター分離等を用いてもよいが、磁石または電磁石を用いて磁性体を捕集・分離することが好ましい。磁石としては、例えば、磁束密度が0.03T(300ガウス)程度の磁石が好ましい。具体的には、磁性体とタンパク質との結合を適当なチューブ内で行った場合、チューブの側壁に磁石を外側から近づけることによって磁性体をチューブの側壁近傍に保持しつつ、チューブ内から上澄み部分となる液体を排出することによって、タンパク質が結合した磁性体を生物試料から分離することができる。
工程[3]では、磁性体からタンパク質を溶離させてタンパク質を回収する。例えば、チューブ内に適当な溶出液を加えることによって、タンパク質を磁性体から溶離させる。そして、溶離後、チューブの側壁に磁石を外側から近づけて磁性体をチューブの側壁近傍に保持しつつ、チューブ内から上澄み部分となる液体を採取することによって、磁性体に結合していたタンパク質を回収することができる。タンパク質を溶離させ得る溶出液としては、タンパク質に親和性をもつ糖質を含んだ液体が好ましい。例えば、精製すべきタンパク質がマルトース結合タンパク質である場合には、1mM〜100mMのマルトースを含んだバッファーが好ましい。バッファーとしては、リン酸カリウムバッファー、リン酸ナトリウムバッファー、トリス塩酸塩バッファー、PIPESバッファーまたはホウ酸バッファーなどが挙げられ、その中でも20mM〜100mMのリン酸カリウムバッファー(pH6.0〜8.0)が好ましい。
上記[1]〜[3]の工程を経ることによって、生物試料から目的タンパク質を精製することができる。このようなタンパク質の精製処理は、自動化およびハイスループット化が可能であるため、従来の精製方法と比較して利便性が向上し得る。
(磁性体の利用態様について)
本発明の製造方法で得られる磁性体は、タンパク質精製用の試薬キットとして、タンパク質抽出液の分散媒およびタンパク質溶出液と一体的に供すことができる。また、磁性体を予め含んだタンパク質抽出液および溶出液をそれぞれ別の容器(例えばチューブ)に収容した試薬キットも考えられる。このような試薬キットは、種々な試薬等を準備および調製する手間が省け、迅速かつ無駄なくタンパク質の精製処理ができる点で好ましい。
また、本発明の製造方法では、磁性粒子に対して、生体物質を含まない第1被膜材で被着処理を行い、次いで、生体物質を含んで成る第2被膜材で被着処理を施しているが、第2被膜材による被着処理を実際の使用に供する時に行ってもよい。この場合、磁性体は第1被膜のみを有しているので、使用者が必要に応じて随時、第2被膜材の種類を変更して第2被膜を形成することができる。あるいは、第2被膜材自体を抽出、精製または検出等の手段としても利用することができる。例えば、第1被膜材として、金を用いた場合は予め硫黄化合物を反応させたDNAやRNA、タンパク質などが磁性粒子表面と例えばAu−S結合することができるので、これを用いた精製や検出の手段が考えられる。
《生体物質で被覆された磁性ビーズの製造》
以下の実施例および比較例では、アミロースで被覆されたビーズ(以下「アミロース被覆ビーズ」または「磁性ビーズ」ともいう)を種々の条件で製造した。
実施例1
実施例1は、磁性粒子としてマグネタイト粒子、第1被膜材としてシリカ、および、第2被膜材としてアミロースを用いた実施例である。
<シリカの被着処理>
水120gに対してケイ酸ナトリウム23gが溶解した溶液にマグネタイト粒子(平均粒径230nm)を10g分散させた。得られた分散液をスリーワンモーターで撹拌しながら、3NのHClを滴下し、pHを7に調整した。このpHの調整により、マグネタイト粒子の表面にシリカを析出させた。その後、洗浄・ろ過・乾燥処理を行うことによって、シリカ被覆ビーズ1を得た。このビーズ1の粒径は250nmであった。
<アミロースの被着処理>
10gのシリカ被覆ビーズ1を、50ccの純水に分散させた。得られた分散液に0.1gのアミロースを常温(20℃)で添加して30分間攪拌した後、攪拌しながら90℃まで加熱した。更に90℃にて1時間攪拌した後、攪拌状態のまま室温まで冷却させた。アミロースは、加熱すると溶解しやすく、冷却すると溶解しにくくなる。従って、かかる冷却操作によって、アミロースが析出し、シリカ被覆ビーズの表面に付着した。以上の操作によって、シリカおよびアミロースで被覆された磁性ビーズを得た。得られた磁性ビーズは、平均粒子サイズが9μmの球形状を有しており、振動試料型磁力計東英工業(株)製)を用いて796.5kA/m(10キロエルステッド)の磁界を印加して測定された飽和磁化は79.7A・m/kg(79.7emu/g)であり、保磁力は3.6kA/m(70エルステッド)であった。
実施例2
実施例2は、磁性粒子としてマグネタイト粒子、第1被膜材としてシリカ、および、第2被膜材としてアミロースを用いた実施例である。実施例1と異なり、シリカの被着処理にマイクロカプセル化法(MC)を用いた。
<シリカの被着処理>
マイクロカプセル化法と呼ばれる既知法を用いてシリカ被覆ビーズ2を作製した。具体的には、まず、水120gに対してケイ酸ナトリウム23gが溶解した溶液にマグネタイト粒子(平均粒径230nm)を10g分散させた。得られた分散液を(A)とする。また、ヘキサン308gに花王(株)製のレオドールスーパー7gを溶解させた溶液を調製した。この溶液を(B)とする。そして、分散液(A)と溶液(B)とを混合・撹拌することによって、エマルジョンを形成した。次いで、水800gに硫酸アンモニウム220gを溶解させた溶液(C)を調製した。この溶液(C)に対して上記エマルジョン溶液を滴下することによって、マグネタイト粒子の表面にシリカを析出させた。その後、洗浄・ろ過・乾燥処理を行って、シリカ被覆ビーズ2を得た。このビーズ2の粒径は5μmであった。
<アミロースの被着処理>
実施例1と同様な方法で、アミロースをシリカ被覆ビーズ2に被着させることによって、シリカおよびアミロースで被覆された磁性ビーズを得た。得られた磁性ビーズの飽和磁化は21.5A・m/kg(21.5emu/g)であり、保磁力は4.8kA/m(90エルステッド)であった。
実施例3
実施例3は、磁性粒子としてマグネタイト粒子、第1被膜材としてシリカ、および、第2被膜材としてアミロースを用いた実施例である。実施例1および実施例2と異なり、シリカの被着処理にゾル−ゲル法を用いた。
<シリカの被着処理>
ゾル−ゲル法と呼ばれる既知法を用いてシリカ被覆ビーズ3を作製した。具体的には、まず、水50gに平均粒径230nmのマグネタイト粒子10gが分散した分散液を調製した。次いで、ナカライテスク(株)製テトラエトシキオルソシリケイト(TEOS)10.6gを50mlエタノールに溶かした溶液を調製した。かかる溶液と上記分散液とを混合し、アンモニア水10gを加えて2時間攪拌した。得られた混合液からマグネタイト粒子を濾別して、洗浄・乾燥処理を行うことによって、シリカ被覆ビーズ3を得た。このビーズ3の粒径は250nmであった。
<アミロースの被着処理>
実施例1と同様な方法で、アミロースをシリカ被覆ビーズ3に被着させることによって、シリカおよびアミロースで被覆された磁性ビーズを得た。得られた磁性ビーズの飽和磁化は71.0A・m/kg(71.0emu/g)であり、保磁力は3.6kA/m(67エルステッド)であった。
実施例4
実施例4は、磁性粒子としてニッケル粒子、第1被膜材としてシリカ、および、第2被膜材としてアミロースを用いた実施例である。シリカの被着処理には、実施例3と同様なゾル−ゲル法を用いた。
<シリカの被着処理>
ゾル−ゲル法を用いてシリカ被覆ビーズ4を作製した。シリカの被着処理に用いる原料を三井金属製ニッケル粉2020SS(平均粒径:420nm)としたこと以外は、実施例3のゾル−ゲル法と同様な操作を行った。得られたシリカ被覆ビーズ4の粒径は460nmであった。
<アミロースの被着処理>
実施例1と同様な方法で、アミロースをシリカ被覆ビーズ4に被着させることによって、シリカおよびアミロースで被覆された磁性ビーズを得た。得られた磁性ビーズの飽和磁化は49.8A・m/kg(49.8emu/g)であり、保磁力は3.3kA/m(64エルステッド)であった。
実施例5
実施例5は、磁性粒子としてマグネタイト粒子、第1被膜材として有機ポリマー、および、第2被膜材としてアミロースを用いた実施例である。
<有機ポリマーの被着処理>
メタクリル酸を用いた懸濁重合法と呼ばれる既知法を用いてマグネタイト粒子(粒径230nm)に有機ポリマーを被着させた。得られた有機ポリマー被覆ビーズ5の粒径は7μmであった。
<アミロースの被着処理>
実施例1と同様な方法で、アミロースを有機ポリマー被覆ビーズ5に被着させることによって、有機ポリマーおよびアミロースで被覆された磁性ビーズを得た。得られた磁性ビーズの飽和磁化は24.5A・m/kg(24.5emu/g)であり、保磁力は4.1kA/m(78エルステッド)であった。
実施例6
実施例6は、磁性粒子に相当する粒子として「ニッケルで被覆されたアクリル粒子」を用い、第1被膜材として金および第2被膜材としてアミロースを用いた実施例である。
<ニッケルで被覆されたアクリル粒子の作製および金の被着処理>
ニッケルで被覆されたアクリル粒子の作製にメッキ法と呼ばれる既知法を用いた。原料としては綜研化学(株)製アクリル粒子MX−500(平均粒径5μm)を用いた。まず、アクリル粒子MX−500を水溶液に分散させ、これにシランカップリング剤を添加してアクリル粒子表面にシランカップリング剤を被着させた。シプレーファーイスト製Pd触媒Catalyst−6Fを加えて粒子表面にメッキ核を生成させ、1.2NのHClで粒子を洗浄した後、奥野製薬製ニッケルメッキ液トップニコロンLPHを用いて、粒子表面にニッケルメッキ層を生成させた(これにより得られた「ニッケルで被覆されたアクリル粒子」は9μmの平均粒径を有していた)。次いで、奥野製薬製の金メッキ剤ムデンノーブルAUを用いて、金メッキ浴を作成した。金メッキ浴を60℃に加熱した後、撹拌した状態で「ニッケルで被覆されたアクリル粒子」を金メッキ浴中に分散させることで、「ニッケルで被覆されたアクリル粒子」に金を被着させた。次いで、洗浄・乾燥処理を行って、ニッケル/金被覆ビーズ6を得た。このビーズ6の粒径は8.5μmであった。
<アミロースの被着処理>
実施例1と同様な方法で、アミロースをニッケル/金被覆ビーズに被着させた。得られた磁性ビーズの飽和磁化は4.5A・m/kg(4.5emu/g)であり、保磁力は1.6kA/m(30エルステッド)であった。
実施例7
実施例7は、磁性粒子としてニッケル粒子、第1被膜材として金、および、第2被膜材としてアミロースを用いた実施例である。
<金の被着処理>
メッキ法と呼ばれる既知法を用いた。まず、奥野製薬製の金メッキ剤ムデンノーブルAUを用いて、金メッキ浴を作成した。次いで、金メッキ浴を60℃に加熱した後、撹拌した状態で三井金属鉱業(株)製Ni粒子2020SS(粒径500nm)を金メッキ浴中に分散させることによって、ニッケル粒子に金を被着させた。そして、引き続いて洗浄・乾燥処理を行うことによって、金被覆ビーズ7を得た。このビーズ7の粒径は450nmであった。
<アミロースの被着処理>
実施例1と同様な方法で、アミロースを金被覆ビーズ7に被着させた。得られた磁性ビーズの飽和磁化は20.5A・m/kg(20.5emu/g)であり、保磁力は4.9kA/m(95エルステッド)であった。
実施例8
実施例8は、磁性粒子としてニッケル粒子(実施例7と異なる粒径を有するニッケル粒子)、第1被膜材として金、および、第2被膜材としてアミロースを用いた実施例である。
<金の被着処理>
メッキ法と呼ばれる既知法を用いた。まず、奥野製薬製の金メッキ剤ムデンノーブルAUを用いて、金メッキ浴を作成した。次いで、金メッキ浴を60℃に加熱した後、撹拌した状態で三井金属鉱業(株)製Ni粒子NN−50W(粒径60nm)を金メッキ浴中に分散させることによって、ニッケル粒子に金を被着させた。そして、引き続いて洗浄・乾燥処理を行うことによって、金被覆ビーズ8を得た。このビーズ8の粒径は50nmであった。なお、得られたビーズの粒径がNi粒子の粒径よりも小さくなっているが、これについては実施例7の場合と同様の理由が考えられる。
<アミロースの被着処理>
施例1と同様な方法で、アミロースをビーズ8に被着させた。得られた磁性ビーズの飽和磁化は15.5A・m/kg(15.5emu/g)であり、保磁力は6.7kA/m(130エルステッド)であった。
実施例9
実施例9は、磁性粒子としてマグネタイト粒子、第1被膜材としてアルミニウム、および、第2被膜材としてアミロースを用いた実施例である。
<アルミニウムの被着処理>
既知法を用いた。まず、10gのマグネタイト粒子(平均粒径230nm)を水50gに分散させて分散液を得た。次いで、かかる分散液に1Mアルミン酸ナトリウム溶液10mlを滴下して、よく撹拌した後、NaOH水溶液を滴下して分散液を中性にした。この操作により、マグネタイト粒子の表面にアルミン酸を被着させた。そして、引き続いて洗浄・濾過・乾燥処理を行うことによって、アルミニウム被覆ビーズ9を得た。このビーズ9の粒径は250nmであった。
<アミロースの被着処理>
実施例1と同様な方法で、アミロースをアルミニウム被覆ビーズ9に被着させた。得られた磁性ビーズの飽和磁化は70.5A・m/kg(70.5emu/g)であり、保磁力は3.3kA/m(55エルステッド)であった。
比較例1
比較例1は、第1被膜材を用いずに作製した磁性体に関する比較例である。
<アミロースの被着処理>
表面処理を施していないマグネタイト粒子(粒径230nm)に対して、実施例1と同様な方法でアミロースを被着させた。得られた磁性ビーズの飽和磁化は75.3A・m/kg(75.3emu/g)であり、保磁力は4.2kA/m(80エルステッド)であった。
比較例2
比較例2は、第1被膜材および第2被膜材を用いていない磁性体に関する比較例である。即ち、表面処理を何も施さないマグネタイト粒子(粒径230nm)を磁性ビーズとしてそのまま用いた。この磁性ビーズの飽和磁化は82.2A・m/kg(82.2emu/g)であり、保磁力は4.3kA/m(82エルステッド)であった。
表1に、実施例1〜9、比較例1および2をまとめた。
Figure 2007210966
なお、実施例6,7および9では、被着処理後に得られるビーズの粒径が磁性粒子の粒径よりも小さい結果となったが、これについては、以下の(a)および(b)の理由が考えられる。
(a)用いられる磁性粒子はニッケル表面が酸化されており、酸化物層が磁性粒子表面に存在するものであり、そのままではメッキ処理ができない。従って、かかる実施例6,7および9では、金メッキ処理に先立って、酸を用いてニッケル表面の酸化物層を除去する処理を行った。
(b)引き続いて行われる金メッキ処理は、置換メッキと呼ばれるものであり、ニッケル原子と金原子とが置換され得る。
(磁性粒子成分の溶出確認)
磁性粒子を構成する金属が磁性ビーズから溶出しているか否かを確認するため、以下の操作を行った。まず、1gの磁性体をpH7.0の0.1MHEPES−NaOHバッファー10ml中に加え、40℃にて48時間ディスクローター(BIO CRAFT社製、型式BC−710I)で攪拌して混合物を得た。次いで、磁石を用いることによって、混合物から磁性体を除去した。さらに、0.1μmのメンブレンフィルターを用いて濾過を行い、磁性体を完全に除去した。そして、磁性体が除去された液体に含まれる金属イオンの濃度をICP発光分光分析装置(日本ジャーレル・アッシュ製、型式IRIS−1000)で測定した。
結果を表2に示す。比較例1および比較例2の磁性ビーズの場合では、金属イオン濃度が1.5ppmであったに対して、実施例1〜9の磁性ビーズの場合では、実質的に金属イオン濃度が検出されなかった(検出されたとしても1ppm未満であった)。つまり、比較例の磁性ビーズでは、磁性粒子を構成する金属が溶出するのに対して、実施例の磁性ビーズでは、磁性粒子を構成する金属が実質的に溶出しないことが分かった。以上の結果を踏まえると、本発明の製造方法では、第1被膜および第2被膜によって磁性粒子の表面を露出することなく被覆できることが理解されよう。
Figure 2007210966
(磁性ビーズの表面特性の確認)
表面にむらなく均一に被着されているか否かを、各種磁性ビーズのSEM(走査型電子顕微鏡)写真から判断した。つまり、磁性ビーズの表面が、原料となる磁性粒子の表面と異なっているか否かを確認することによって判断した。具体的には、磁性ビーズの表面に磁性粒子の表面性(凹凸)が残っていなければ、磁性粒子の表面全体を被膜材で被覆できており、磁性粒子の表面にアミロースがむらなくより均一に分布して被着している可能性が高いと判断した。一例として、図1に、磁性粒子(マグネタイト粒子)のSEM写真、図2に比較例1で得られた磁性ビーズのSEM写真、図3に実施例3で得られた磁性ビーズのSEM写真を示す。図2に示す磁性ビーズでは磁性粒子と同様の表面性が確認できる一方、図3に示す磁性ビーズでは、磁性粒子と異なる表面性を確認できることが理解されよう。表3に結果をまとめて示す。表中の「○」は、上記の判断に基づいて、磁性ビーズの表面が磁性粒子の表面と明らかに異なっていることを示し、「△」は磁性ビーズの表面が磁性粒子の表面と多少異なり、「×」は、磁性ビーズが磁性粒子と同様の表面性であることを示している。
Figure 2007210966
表3の結果から、実施例の磁性ビーズは、磁性粒子の表面性(凹凸)が残っておらず、磁性粒子の表面全体が被膜材で被覆されていることが分かった。従って、本発明の製造方法で得られる磁性体は、従来の磁性担体と比べて、磁性粒子の表面にむらなくより均一にアミロースが付着している可能性が高いことが分かった。
《磁性ビーズを用いたタンパク質の精製》
上記実施例および比較例で得られた磁性ビーズ(即ち、「アミロース被覆ビーズ」)を用いて、生物試料からタンパク質を抽出・精製した。
(生物試料の調製)
タンパク質を含む生物試料を以下の手順で調製した。まず、プラスミドpMALc2E(β−ガラクトシダーゼα鎖のアミノ末端にマルトース結合タンパク質が結合している融合タンパク質MBP−LacZαを発現するプラスミド(New England Biolab社製)を保持する大腸菌Escherichia coli JM109(東洋紡績製))を50mLのTB培地/500mLフラスコにて37℃、20時間培養した菌体を用意した。次いで、菌体濁度(OD660nm)が20となるように50mMリン酸カリウムバッファー(pH7.5)に菌体を懸濁させ、超音波を用いて9分間間欠破砕した。その後、遠心分離に付して、得られる上清を生物試料として採取した。
(タンパク質の精製)
まず、磁性ビーズ濃度が0.2g/mLになるように磁性ビーズを50mMリン酸カリウムバッファー(pH7.5)に分散させた。次いで、得られた分散液100μLと生物試料1mLとを混ぜることによって混合液を調製した。かかる混合液を固液分離に付した後、磁性粒子を洗浄液(50mMリン酸カリウムバッファー,pH7.5)で洗浄した。そして、溶出液として10mMマルトースを含む50mMリン酸カリウムバッファー(pH7.5)を使用することによって、磁性ビーズに結合したタンパク質を溶出させて回収した。
(タンパク質の精製処理の具体的な操作)
生物試料の調製も含めた具体的なタンパク質の精製処理操作は、以下の通りである。
(1)菌体濁度(OD660nm)を測定し、遠心チューブにて菌体を遠心分離した。次いで、菌体濁度が20となるように50mMリン酸カリウムバッファー(pH7.5)に菌体を懸濁させ、超音波で9分間間欠破砕を行って遠心分離に付した。
(2)上清1mLを生物試料として採取し、1.5cc用エッペンドルフチューブに移した。この生物試料に対して、磁性ビーズを含んだ分散液を100μL加えて約5分間混合した。
(3)エッペンドルフチューブを磁石スタンド(エッペンドルフチューブの形状に合うように構成されている)に設置することによって、磁性ビーズを磁石側に移動させて保持した。
(4)フィルターチップで、エッペンドルフチューブ内の溶液を吸引除去した。
(5)エッペンドルフチューブを磁石スタンドから取り外した後、エッペンドルフチューブ内に洗浄液(50mMリン酸カリウムバッファー、pH7.5)を1cc加えた。
(6)洗浄液を磁性ビーズと十分混合させた後、エッペンドルフチューブを磁石スタンドに設置した。次いで、上記と同様に、磁性ビーズを磁石側に保持した後、エッペンドルフチューブ内の溶液を吸引除去した。
(7)エッペンドルフチューブ内に、50μLの10mMマルトースを含む50mMリン酸カリウムバッファー(pH7.5)を溶出液として加え、約5分間混合した。これにより、タンパク質を磁性ビーズから溶出・分離させた。
(8)エッペンドルフチューブを磁石スタンドに設置し、タンパク質を含んだ溶液を、フィルターチップで吸引して、別の新しいチューブに移すことによってタンパク質を回収した。
(タンパク質の回収率の測定)
回収した溶液のタンパク質濃度を、吸光度計(日本分光社製、型式V−570)で吸光度(OD:280nm)を測定することによって求めた。次いで、タンパク質の回収量を、タンパク質濃度に回収した溶液の容積を乗じて算出した。そして、このタンパク質の回収量と、生物試料に含まれていたタンパク質量とに基づいてタンパク質の回収率を算出した。結果を表4に示す。
Figure 2007210966
表4の結果を参照すると、タンパク質の精製処理に用いられる磁性担体として、本発明の製造方法で得られた磁性体を好適に利用できることが理解されよう。
(まとめ)
・表2の結果から、実施例の磁性ビーズでは、磁性粒子を構成する金属が実質的に溶出せず、第1被膜および第2被膜によって磁性粒子の表面が露出することなく被覆されていることが分かった。従って、本発明の製造方法で得られる磁性体をタンパク質の精製処理に用いると、従来の精製処理で問題となっていたペプチド鎖の切断およびハンドリング時の毒性が回避されることになる。
・図1〜3のSEM写真および表3の結果から、実施例の磁性ビーズの表面性は、原料となる磁性粒子の表面性(凹凸)と異なっていることが確認できた。従って、本発明の製造方法で得られる磁性体では、磁性粒子の表面に生体物質がより均一に分布している可能性が高いことが分かった。
・表4に示したタンパク質の回収率の結果から、実施例の磁性ビーズは、タンパク質を結合させる機能を有すると共に、適当な溶出液の下でタンパク質を解離する機能を有することが確認できた。従って、本発明の製造方法で得られる磁性体は、タンパク質の精製処理に好適に用いられることが分かった。
本発明の製造方法で得られた磁性体を用いることによって、従来と比較して格段に簡便であり、自動化およびハイスループット化可能なタンパク質精製処理がもたらされる。また、本発明の製造方法で得られる磁性体は、タンパク質の精製処理に用いられる担体のみならず、酵素反応の担体としても使用することができる。
図1は、マグネタイト粒子のSEM写真である。 図2は、比較例1で得られた磁性ビーズのSEM写真である。 図3は、実施例3で得られた磁性ビーズのSEM写真である。

Claims (20)

  1. 生体物質で被覆された磁性体を製造する方法であって、
    (i)第1被膜材(但し、生体物質を除く)を磁性粒子の表面に付着させて第1被膜を形成する工程、ならびに
    (ii)生体物質を含んで成る第2被膜材を、工程(i)で得られた磁性粒子の表面に付着させて第2被膜を形成する工程
    を含んで成る方法。
  2. 前記第1被膜および前記第2被膜が前記磁性粒子の表面を露出させることなく被覆することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記工程(i)では、メッキ法、蒸着法、析出法、ゾル−ゲル法、マイクロカプセル化法または懸濁重合法を用いることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の方法。
  4. 前記工程(ii)では、析出法または含硫黄化合物被着法を用いることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 前記第1被膜材は、金属、ケイ素化合物および有機ポリマーから成る群から選択される少なくとも1種以上の物質を含んで成ることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 前記金属が、アルミニウム、ニッケル、金、白金、鉄およびコバルトから成る群から選択される少なくとも1種以上の金属であることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
  7. 前記ケイ素化合物が、シリカ、ケイ酸塩、シロキサンおよびシラザンから成る群から選択される少なくとも1種以上のケイ素化合物であることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
  8. 前記有機ポリマーが、アクリル、ポリスチレンおよびポリメタクリル酸メチルから成る群から選択される少なくとも1種以上の有機ポリマーであることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
  9. 前記第2被膜材が、糖質、タンパク質、ペプチド、核酸、細胞および微生物から成る群から選択される少なくとも1種以上の生体物質を含んで成ることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
  10. 前記糖質が、グルコースを構成単位とするオリゴ糖または多糖であることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
  11. 前記糖質がアミロースであることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
  12. 前記タンパク質が、相互に特異的結合性を有する、抗体および抗原のいずれか一方または生体レセプターおよびリガンドのいずれか一方であることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
  13. 前記タンパク質が酵素であることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
  14. 前記磁性粒子が、金属およびその酸化物、ならびに、合金およびその酸化物から成る群から選択される少なくとも1種以上の磁性材料から形成されていることを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
  15. 前記磁性粒子が、強磁性酸化鉄から形成されていることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
  16. 前記強磁性酸化鉄が、マグヘマイト、マグネタイト、ニッケル亜鉛フェライトおよびマンガン亜鉛フェライトから成る群から選択される少なくとも1種以上の酸化鉄であることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
  17. 請求項1〜16のいずれかに記載の方法で製造された磁性体であって、
    前記第1被膜および前記第2被膜によって、前記磁性粒子の表面が露出することなく被覆されていることを特徴とする、生体物質で被覆された磁性体。
  18. 前記磁性体の飽和磁化が2A・m/kg〜100A・m/kgであることを特徴とする、請求項17に記載の磁性体。
  19. 前記磁性体の保磁力が0.079kA/m〜15.93kA/mであることを特徴とする、請求項17または請求項18に記載の磁性体。
  20. 前記磁性体の平均サイズが0.005μm〜60μmであることを特徴とする、請求項17〜19のいずれかに記載の磁性体。
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