JP2007210297A - 空気入りタイヤの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】未加硫タイヤを加硫成形するときに、加硫時間を短縮しながらトレッド部全体を均一に加硫するようにした空気入りタイヤの製造方法を提供する。
【解決手段】タイヤ軸方向Oを鉛直にセットした加硫金型11に未加硫タイヤTを挿入し、未加硫タイヤTの内側に加熱流体を圧入して加硫成形する空気入りタイヤの製造方法において、未加硫タイヤTのトレッドゴムを、加硫金型11に挿入したときの上部側と下部側とで加硫速度の異なるゴム組成物で構成し、下部側のゴム組成物の加硫速度を上部側のゴム組成物の加硫速度に対して、JIS K6300−2に準拠して求めた最大トルクの30%迄の加硫時間T30で5〜30%短くしたことを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】タイヤ軸方向Oを鉛直にセットした加硫金型11に未加硫タイヤTを挿入し、未加硫タイヤTの内側に加熱流体を圧入して加硫成形する空気入りタイヤの製造方法において、未加硫タイヤTのトレッドゴムを、加硫金型11に挿入したときの上部側と下部側とで加硫速度の異なるゴム組成物で構成し、下部側のゴム組成物の加硫速度を上部側のゴム組成物の加硫速度に対して、JIS K6300−2に準拠して求めた最大トルクの30%迄の加硫時間T30で5〜30%短くしたことを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、空気入りタイヤの製造方法に関し、さらに詳しくは、加硫時間を短縮しながらトレッド部分を均一に加硫するようにした空気入りタイヤの製造方法に関する。
一般に、空気入りタイヤの加硫は、タイヤ軸方向を鉛直方向にした加硫金型に未加硫タイヤをセットし、その未加硫タイヤの内側にスチームなどの加熱媒体を供給することによりブラダーを膨径させて金型内面に押し付け、内外から加熱することにより行われている。
しかし、未加硫タイヤの内側に注入した加熱媒体は、タイヤとの熱交換により冷却することにより下側へ移動するため、温度が高い加熱媒体と接するトレッド部の上部側の加硫が速く進むという現象がある。そのため、加硫時間はトレッド部の下部側の加硫度に合わせて設定する必要があった。しかし、その結果として、全体の加硫時間が長くかかると共に、トレッド部の上部側が過加硫の状態になるという問題が生じていた。特にトレッド部において、トレッドゴムの過加硫はグリップ性能や耐摩耗性を低下させ、またトレッド部に設けたベルトカバーのコートゴムの過加硫はタイヤの耐久性を低下させるという問題を生ずる。
上述した問題の対策として、特許文献1は、ブラダーに供給する加熱媒体にスチームと不活性ガスとを併用するように加硫金型の構造を改造し、それぞれの吹き込みと排出のタイミングを制御するようにした加硫方法を提案している。しかし、この加硫方法は、金型等の設備変更に膨大なコストが必要となり、また必ずしも十分な効果が得られるとはいえなかった。
特開平8−80530号公報
本発明の目的は、未加硫タイヤを加硫成形するときに、加硫時間を短縮しながらトレッド部全体を均一に加硫するようにした空気入りタイヤの製造方法を提供することである。
上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤの製造方法は、タイヤ軸方向を鉛直にセットした加硫金型に未加硫タイヤを挿入し、該未加硫タイヤの内側に加熱流体を圧入して加硫成形する空気入りタイヤの製造方法において、前記未加硫タイヤのトレッドゴムを、前記加硫金型に挿入したときの上部側と下部側とで加硫速度の異なるゴム組成物で構成し、下部側のゴム組成物の加硫速度を上部側のゴム組成物の加硫速度に対して、JISK6300−2に準拠して求めた最大トルクの30%迄の加硫時間T30で5〜30%短くしたことを特徴とする。
他の本発明の空気入りタイヤの製造方法は、タイヤ軸方向を鉛直にセットした加硫金型に、トレッド部のベルト層の外側にベルトカバーを巻き付けた未加硫タイヤを挿入し、該未加硫タイヤの内側に加熱流体を圧入して加硫成形する空気入りタイヤの製造方法において、前記ベルトカバーのコートゴムを、前記加硫金型に挿入したときの上部側と下部側とで加硫速度の異なるゴム組成物で構成し、下部側のゴム組成物の加硫速度を上部側のゴム組成物の加硫速度に対して、JIS K6300−2に準拠して求めた最大トルクの95%迄の加硫時間T95で5〜30%短くしたことを特徴とする。
上述した前者の本発明によれば、未加硫タイヤのトレッドゴムを、加硫金型に挿入したときの上部側と下部側とで加硫速度の異なるゴム組成物で構成し、下部側のゴム組成物の加硫速度を最大トルクの30%迄の加硫時間T30(以下、「加硫時間T30」という。)での対比で、上部側のゴム組成物の加硫速度よりも5〜30%短くしたので、下部側のゴム組成物を所定の加硫度にする加硫時間を短縮すると共に、その短縮により上部側のゴム組成物の過加硫を防止するため、加硫時間を短縮しながら下部側及び上部側の加硫度が均一となるように加硫成形することができる。また、その結果として、トレッドの偏摩耗を防止し、摩耗寿命を延ばすことができる。
また、後者の本発明によれば、未加硫タイヤのベルトカバーのコートゴムを、加硫金型に挿入したときの上部側と下部側とで加硫速度の異なるゴム組成物で構成し、下部側のゴム組成物の加硫速度を最大トルクの95%迄の加硫時間T95(以下、「加硫時間T95」という。)での対比で、上部側のゴム組成物の加硫速度よりも5〜30%短くしたので、下部側のゴム組成物を所定の加硫度にする加硫時間を短縮すると共に、その短縮により上部側のゴム組成物の過加硫を防止するため、加硫時間を短縮しながら下部側及び上部側の加硫度が均一となるように加硫成形することができる。また、その結果として、過加硫に起因して生じていたベルトカバーの劣化によるベルト層の剥離故障も防止することができる。
本発明において、加硫速度とは、JIS K6300−2に準拠し、ロータレス加硫試験機を使用し、試験温度160℃において、得られるトルクと加硫時間との加硫曲線から求めた加硫特性値であり、加硫時間T30及びT95で表すものとする。加硫時間T30及びT95は、加硫曲線における最大トルクと加硫時間の関係から次のようにして得られる値である。
図2において、加硫曲線の縦軸をトルクとし、その最小値をML、最大値をMHとし、MLとMHの差をMEとする。なお、MHは、加硫曲線の最大値が平たんなもの又は極大値をもつものであるときはその最大値をMHとし、加硫曲線が上昇し続けて実測できない場合は、傾きが安定した領域での特性時間60分における値をMHとする。加硫時間T30は、トルクの値が、ML+30%MEとなるのに要した加硫開始からの時間であり、加硫時間T95は、トルクの値が、ML+95%MEとなるのに要した時間とする。
本発明において、トレッドゴムを構成するゴム組成物の加硫速度は加硫時間T30によって上部側と下部側との関係を規定し、ベルトカバーのコートゴムを構成するゴム組成物の加硫速度は加硫時間T95によって規定する。その理由は、トレッドゴムの場合は、加硫機からタイヤを取出した際ゴム中の気泡(ポーラス)が消失する時間(ブローポイント)に合わせて加硫時間を決めるが、気泡の消失時間と加硫時間T30に相関があるからであり、コートゴムの場合は、タイヤ耐久性に関わるモジュラス等の最大物性値を発現するのが加硫時間T95付近だからである。
図1は、本発明の空気入りタイヤの製造方法を実施する場合に用いられる加硫金型に未加硫タイヤをセットした状態で要部のみを示したものである。
図1において、11は加硫金型で、Tは未加硫タイヤである。加硫金型11は、図示の例ではセクショナル型金型であり、タイヤ軸方向Oが鉛直方向になるようにセットされている。加硫金型11は、未加硫タイヤTのサイド部を成形する上型13及び下型14を上下に配置し、その径方向外周側でトレッド部を成形するセクター12を周方向に複数に分割するように配置し、更に内側にゴム袋状のブラダー15を配置して構成されている。加硫操作前のブラダー15は収縮しているが、加硫操作時は加熱流体の圧入により膨張して、図のように未加硫タイヤTを金型内面に押圧状態にする。ブラダー15は必ず設けられるわけではなく、ブラダーレスにした金型もある。また、加硫金型としては、2分割した上型と下型だけの2分割型金型もあり、本発明においては、ブラダーレス金型も含めて、いずれの金型も使用することができる。
未加硫タイヤTは、トレッド部1、サイドウォール部2及びビード部4からなり、その内側にカーカス6が左右一対のビードコア5,5間に装架されるように設けられている。トレッド部1には、カーカス6の外周側に、ベルト層7がタイヤ1周にわたって配置され、ベルト層7の外側に、ベルト層7の全幅を覆うように設けられたベルトカバー8とそのベルトカバー8の両端部を覆うように設けられたベルトカバー9が配置されている。なお、トレッドゴムは、トレッド部1において、ベルトカバー8又はベルトカバー9の外側に配置されたトレッド層を構成するゴムをいう。
タイヤの加硫は、上記のように、加硫金型に未加硫タイヤTを挿入し、その内側からブラダー15に加熱流体を圧入して行う。未加硫タイヤの内側に注入された加熱流体は、タイヤとの熱交換により冷却することにより下側へ移動するため、トレッド部の下部では温度が低く、上部側では温度が相対的に高くなり、上部側と下部側とで加硫温度に差が生ずることになる。
本発明の製造方法では、上述のように、未加硫タイヤを加硫成形する場合、その未加硫タイヤのトレッドゴム及び/又はベルトカバーのコートゴムを以下のように構成したものを使用する。
トレッドゴムの場合は、加硫金型に挿入した状態において上部側と下部側とで加硫速度の異なるゴム組成物で構成することであり、下部側のゴム組成物の加硫速度を上部側のゴム組成物の加硫速度に対して、加硫時間T30の対比で5〜30%短くするものである。下部側のゴム組成物の加硫速度を、上記範囲内で短くすることにより、未加硫ゴムがブローポイントに達する迄の時間が短縮され、下部側の加硫時間を短縮すると共に、上部側のゴム組成物については過加硫になるのを防止することができる。すなわち、上部側と下部側のゴム組成物の加硫度を同等にするため加硫後の物性を均等にすることができる。その結果、トレッド部が左右の一方が片減りする偏摩耗がなくなり、グリップ性能を向上することができる。
トレッド部の下部側において加硫速度の速いゴム組成物を配置する範囲としては、トレッド幅の下端Pから、トレッド幅Wの5%以上50%以下までの領域Aが好ましく、より好ましくは30%〜50%にするとよい。下部側のゴム組成物を配置する範囲を上記のようにすることにより、加硫時間を短縮しながらトレッドゴム全体を均一な加硫度に加硫した空気入りタイヤを製造することができる。なお、トレッド幅は、トレッド部のゴム組成物が形成するトレッド層の両端が位置する点からタイヤ表面に対して法線方向の直線とタイヤ表面が交差する2点の距離として測定される寸法をいう。
ベルトカバーを構成するコートゴムの場合は、加硫金型に挿入した状態において上部側と下部側とで加硫速度の異なるゴム組成物で構成し、下部側のゴム組成物の加硫速度を上部側のゴム組成物の加硫速度に対して、加硫時間T95の対比で5〜30%短くするものとする。下部側のゴム組成物の加硫速度を、上記範囲内で短くすることにより、未加硫ゴムがブローポイントに達する迄の時間が短縮され、下部側の加硫時間を短縮すると共に、上部側のゴム組成物については過加硫になるのを防止することができる。すなわち、上部側と下部側のゴム組成物の加硫度を同等にするため加硫後の物性を均等にすることができる。その結果、過加硫に起因して生じていたベルトカバーの劣化によるベルト層の剥離故障を防止することができる。
ベルトカバーの下部側においてコートゴムに加硫速度の速いゴム組成物を配置する範囲は、上述した領域Aのなかでもトレッド幅Wの5%〜25%が好ましく、より好ましくは10%〜20%にするとよい。下部側のゴム組成物を配置する範囲を上記のようにすることにより、加硫時間を短縮しながらベルトカバーを上下で均一な加硫度に加硫した空気入りタイヤを製造することができる。
本発明の製造方法において、未加硫タイヤは上述した加硫速度の関係を有するトレッドゴム及びコートゴムの少なくとも一方を満たしていればよく、当然両方とも満たすものであれば尚よい。
下部側ベルトカバーのコートゴム又は下部側トレッドゴムを構成するゴム組成物の加硫速度は、加硫促進剤の種類のほか、その配合量によって調製することができる。上部側のゴム組成物に配合するよりも、下部側のゴム組成物への配合量を多くすることにより、加硫速度を速くすることができる。加硫促進剤としては、従来から公知のものがいずれも使用可能であり、例えば、大内新興化学工業社製ノクセラーNS−P、FLEXSYS社製PERKACIT DPGGRS、FLEXSYS社製SANTOCURE CZを例示することができる。
これら加硫促進剤の量の調整は、それぞれのゴム組成物におけるゴム組成及び各種配合剤の種類により異なるが、好ましくは5〜100%、より好ましくは20〜60%多くするとよい。下部側ゴム組成物に対する配合剤の量を上記範囲内で多くすることにより、下部側ゴム組成物の加硫速度を所定の割合で速くし加硫時間を短縮すると共に、加硫成形後の上部側及び下部側のゴム組成物の物性を均一にすることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を説明するが、これにより本発明の範囲が制限を受けるものではない。
実施例1
タイヤ構造が図1で、タイヤサイズ195/55R15の空気入りタイヤに対して、ベルトカバーを構成するコートゴムのゴム組成物を、加硫金型に挿入したときに上部側端部のベルトカバーのコートゴムを表1に示す組成1、下部側端部のベルトカバーのコートゴムを組成2として未加硫タイヤを成形した。表1の各組成物の原材料は下記に示したものを用いた。なお、加硫速度については、組成2の加硫時間T95が組成1の加硫時間T95と比べて15%短くなるように設計した。得られた未加硫タイヤを加硫金型に挿入し、表2に示す加硫条件で加硫成形し空気入りタイヤを製造した。
・NR;STR20
・BR;日本ゼオン社製NIPOL BR1220
・SBR;日本ゼオン社製SBR NIPOL 1712(スチレン含量23.5%)
・CB1;カーボンブラック、昭和キャボット社製ショウブラックN330T
・CB2;カーボンブラック、昭和キャボット社製ショウブラックN339
・アロマオイル;三共油化工業社製A−OMIX
・AO1;老化防止剤、バイエル社製VULKANOX HS/LG
・AO2;老化防止剤、FLEXSYS社製SANTOFLEX 6PPD
・亜鉛華;正同化学社製酸化亜鉛3種
・ステアリン酸;日本油脂社製ビーズステアリン酸YR
・加硫促進剤1;三新化学社製サンセラーCM−G
・加硫促進剤2;FLEXSYS社製SANTOCURE CZ
・不溶性イオウ;四国化成工業社製ミュークロンOT−20F
・イオウ1;鶴見化学工業社製金華印油入微粉硫黄
・イオウ2;軽井沢精錬所社製硫黄
・ワックス;大内新興化学工業社製WAXサンノック
タイヤ構造が図1で、タイヤサイズ195/55R15の空気入りタイヤに対して、ベルトカバーを構成するコートゴムのゴム組成物を、加硫金型に挿入したときに上部側端部のベルトカバーのコートゴムを表1に示す組成1、下部側端部のベルトカバーのコートゴムを組成2として未加硫タイヤを成形した。表1の各組成物の原材料は下記に示したものを用いた。なお、加硫速度については、組成2の加硫時間T95が組成1の加硫時間T95と比べて15%短くなるように設計した。得られた未加硫タイヤを加硫金型に挿入し、表2に示す加硫条件で加硫成形し空気入りタイヤを製造した。
・NR;STR20
・BR;日本ゼオン社製NIPOL BR1220
・SBR;日本ゼオン社製SBR NIPOL 1712(スチレン含量23.5%)
・CB1;カーボンブラック、昭和キャボット社製ショウブラックN330T
・CB2;カーボンブラック、昭和キャボット社製ショウブラックN339
・アロマオイル;三共油化工業社製A−OMIX
・AO1;老化防止剤、バイエル社製VULKANOX HS/LG
・AO2;老化防止剤、FLEXSYS社製SANTOFLEX 6PPD
・亜鉛華;正同化学社製酸化亜鉛3種
・ステアリン酸;日本油脂社製ビーズステアリン酸YR
・加硫促進剤1;三新化学社製サンセラーCM−G
・加硫促進剤2;FLEXSYS社製SANTOCURE CZ
・不溶性イオウ;四国化成工業社製ミュークロンOT−20F
・イオウ1;鶴見化学工業社製金華印油入微粉硫黄
・イオウ2;軽井沢精錬所社製硫黄
・ワックス;大内新興化学工業社製WAXサンノック
従来例1
上部側及び下部側のベルトカバーのコートゴムの組成をいずれも組成1とし、加硫条件を表2に示す条件に変更したことを除き、実施例1と同様にして未加硫タイヤを加硫成形した。
上部側及び下部側のベルトカバーのコートゴムの組成をいずれも組成1とし、加硫条件を表2に示す条件に変更したことを除き、実施例1と同様にして未加硫タイヤを加硫成形した。
実施例1及び従来例1で得られた空気入りタイヤからベルト層とベルトカバーを一体で切り出し下記に示す剥離力試験を行い、得られた結果を表3に示す。
〔剥離力試験〕
初期剥離力:JIS K6256に準拠して、試験温度25℃においてベルト層とベルトカバー間を剥離し、剥離力を測定した。測定結果を、従来例1の上部側ベルトカバーの剥離力を100とする指数で表した。この数値が高いほど剥離力が高いことを示す。
湿熱劣化剥離力:ベルト層とベルトカバーの一体試料を温度70℃、湿度100%の恒温槽に入れ2週間劣化させた後、JIS K6256に準拠して、試験温度25℃においてベルト層とベルトカバー間を剥離し、湿熱劣化剥離力を測定した。測定結果を、従来例1の上部側ベルトカバーの湿熱劣化剥離力を100とする指数で表した。この数値が高いほど湿熱劣化剥離力が高いことを示す。
初期剥離力:JIS K6256に準拠して、試験温度25℃においてベルト層とベルトカバー間を剥離し、剥離力を測定した。測定結果を、従来例1の上部側ベルトカバーの剥離力を100とする指数で表した。この数値が高いほど剥離力が高いことを示す。
湿熱劣化剥離力:ベルト層とベルトカバーの一体試料を温度70℃、湿度100%の恒温槽に入れ2週間劣化させた後、JIS K6256に準拠して、試験温度25℃においてベルト層とベルトカバー間を剥離し、湿熱劣化剥離力を測定した。測定結果を、従来例1の上部側ベルトカバーの湿熱劣化剥離力を100とする指数で表した。この数値が高いほど湿熱劣化剥離力が高いことを示す。
表3の結果から明らかなように、実施例1の空気入りタイヤは、上部側ベルトカバーの剥離力が従来例1よりも向上することにより、上部側及び下部側のベルトカバーの物性の差異がなくなり均一化することが認められた。
実施例2
タイヤ構造が図1で、タイヤサイズ215/45R17の空気入りタイヤのトレッドゴムを構成するゴム組成物を、上部側のトレッドゴムを表1に示した組成3、下部側のトレッドゴムを組成4とし、トレッド幅に50:50の割合で配置した未加硫タイヤを成形した。なお、加硫速度については、組成3の加硫時間T30が5.0分、組成4の加硫時間T30が4.5分であり10%短く設計した。
タイヤ構造が図1で、タイヤサイズ215/45R17の空気入りタイヤのトレッドゴムを構成するゴム組成物を、上部側のトレッドゴムを表1に示した組成3、下部側のトレッドゴムを組成4とし、トレッド幅に50:50の割合で配置した未加硫タイヤを成形した。なお、加硫速度については、組成3の加硫時間T30が5.0分、組成4の加硫時間T30が4.5分であり10%短く設計した。
この未加硫タイヤを表2に示した加硫条件で加硫して空気入りタイヤを製造した。
従来例2
上部側及び下部側のトレッドゴムの組成をいずれも組成3とし、加硫条件を表2に示した条件に変更したことを除き、実施例2と同様にして未加硫タイヤを成形した。
上部側及び下部側のトレッドゴムの組成をいずれも組成3とし、加硫条件を表2に示した条件に変更したことを除き、実施例2と同様にして未加硫タイヤを成形した。
得られた実施例2及び従来例2の摩耗量を下記に示す方法で測定し、得られた結果を表4に示す。
〔摩耗試験〕
摩耗量:JIS K6264に準拠し、ランボーン試験機にて、トレッド層を加硫タイヤから取出し、一定の厚さにスライスしたサンプルを台となるゴムリングに貼り付け摩耗試験を行った。測定結果を、従来例2の上側トレッドゴムの摩耗量を100とする指数で表した。この数値が高いほど耐摩耗性に優れていることを示す。
摩耗量:JIS K6264に準拠し、ランボーン試験機にて、トレッド層を加硫タイヤから取出し、一定の厚さにスライスしたサンプルを台となるゴムリングに貼り付け摩耗試験を行った。測定結果を、従来例2の上側トレッドゴムの摩耗量を100とする指数で表した。この数値が高いほど耐摩耗性に優れていることを示す。
実施例2のタイヤの上部側トレッドの摩耗量は、従来例2のタイヤの上部側トレッドの摩耗量よりも少なく、かつ下側部と均等となっており摩耗寿命が改善していることが認められた。
1 トレッド部
7 ベルト層
9 ベルトカバー
11 加硫金型
O タイヤ軸方向
T 未加硫タイヤ
W トレッド幅
7 ベルト層
9 ベルトカバー
11 加硫金型
O タイヤ軸方向
T 未加硫タイヤ
W トレッド幅
Claims (5)
- タイヤ軸方向を鉛直にセットした加硫金型に未加硫タイヤを挿入し、該未加硫タイヤの内側に加熱流体を圧入して加硫成形する空気入りタイヤの製造方法において、
前記未加硫タイヤのトレッドゴムを、前記加硫金型に挿入したときの上部側と下部側とで加硫速度の異なるゴム組成物で構成し、下部側のゴム組成物の加硫速度を上部側のゴム組成物の加硫速度に対して、JIS K6300−2に準拠して求めた最大トルクの30%迄の加硫時間T30で5〜30%短くした空気入りタイヤの製造方法。 - 前記下部側のゴム組成物を、トレッド幅の下端から、該トレッド幅の5%以上50%以下までの領域に配置した請求項1に記載の空気入りタイヤの製造方法。
- タイヤ軸方向を鉛直にセットした加硫金型に、トレッド部のベルト層の外側にベルトカバーを巻き付けた未加硫タイヤを挿入し、該未加硫タイヤの内側に加熱流体を圧入して加硫成形する空気入りタイヤの製造方法において、
前記ベルトカバーのコートゴムを、前記加硫金型に挿入したときの上部側と下部側とで加硫速度の異なるゴム組成物で構成し、下部側のゴム組成物の加硫速度を上部側のゴム組成物の加硫速度に対して、JIS K6300−2に準拠して求めた最大トルクの95%迄の加硫時間T95で5〜30%短くした空気入りタイヤの製造方法。 - 前記未加硫タイヤのトレッドゴムを、前記加硫金型に挿入したときの上部側と下部側とで加硫速度の異なるゴム組成物で構成し、下部側のゴム組成物の加硫速度を上部側のゴム組成物の加硫速度に対して、JIS K6300−2に準拠して求めた最大トルクの30%迄の加硫時間T30で5〜30%短くした請求項3に記載の空気入りタイヤの製造方法。
- 前記トレッドゴム及び/又はコートゴムの下部側のゴム組成物に配合する加硫促進剤の量を、対応する上部側のゴム組成物に対する配合量よりも多くした請求項1〜4のいずれかに記載の空気入りタイヤの製造方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017052243A (ja) * | 2015-09-11 | 2017-03-16 | 住友ゴム工業株式会社 | 乗用車用空気入りタイヤの加硫方法 |
JP2020100060A (ja) * | 2018-12-21 | 2020-07-02 | 住友ゴム工業株式会社 | 空気入りタイヤの製造方法 |
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