JP2007207620A - レドックスフロー電池システム - Google Patents

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敏夫 重松
Masaki Kato
正樹 加藤
Masamori Nohayashi
正盛 野林
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Abstract

【課題】電池ユニット全体の性能の低下を低減することができるレドックスフロー電池システムを提供する。
【解決手段】複数のセルCを直列に配してなる直列セル群G1〜G3を並列に接続してなる電池ユニットを具えるレドックスフロー電池システムである。このシステムには、各直列セル群G1〜G3に流れる電流を測定する電流計A1〜A3と、各セルCの端子電圧を測定する電圧計Vmn(m=1〜3,n=1,2,…)と、得られた電流と電圧とを用いて、各セルCの内部抵抗を演算する演算手段(処理装置20)とを具える。各セルCの内部抵抗を把握することで、システム全体の性能が大きく低下する前にその兆候を確認できる。内部抵抗が増大したセルが生じたら、スイッチ手段SのON/OFFを切り換えて、このセルの接続状態を変更する。
【選択図】図1

Description

本発明は、セルに電解液を供給して充放電を行うレドックスフロー電池システムに関するものである。特に、複数のセルを直列及び並列に配して構成される電池ユニットを具えるシステムにおいて、システム全体の性能の低下を低減することができるレドックスフロー電池システムに関するものである。
従来、負荷平準化用途や瞬低・停電対策用途などに、レドックスフロー電池を利用することが提案されている。レドックスフロー電池は、セルに電池反応を起こす電解液を供給して充放電を行う二次電池であり、電解液としてバナジウムイオンを含む溶液を用いたバナジウムレドックスフロー電池が知られている。図9は、バナジウムレドックスフロー電池システムの動作原理を説明する説明図である。セル100は、電池本体を構成するものであり、隔膜101により分離された正極セル102と負極セル103とを具え、各極セル102,103はそれぞれ、正極電極104,負極電極105を内蔵している。各極セル102,103にはそれぞれ、タンク106,107に貯留される正極電解液、負極電解液が供給側輸送路108,109を介して供給され、各極セル102,103から排出された正極電解液、負極電解液はそれぞれ、排出側輸送路110,111を介してタンク106,107に戻される。供給側輸送路108,109にはそれぞれ、ポンプ112,113が配置され、このポンプ112,113を用いて、上述のようにタンク→供給側輸送路→セル→排出側輸送路→タンクという経路で電解液の循環が行われる。このようなセル100は、通常、交流/直流変換器を介して発電所や需要家などの外部の電力系統に接続され、発電所などを充電電力源として充電を行い、需要家などを放電対象として放電を行う。
電池本体としては、単一セルから構成されるものや、所望の電圧を得るべく複数の単一セルを積層させたセルスタックと呼ばれる積層体から構成されるものの他、複数の単一セルやセルスタックを直列及び並列に配して構成される電池ユニットと呼ばれる形態のものが利用される(特許文献1参照)。図10に示す電池ユニット200は、複数のセル(単一セル又はセルスタック)Cmn(m=1〜3,n=1,2,…)を直列に接続してなる三つの直列セル群201,202,203を並列させて構成される。
特開平6-44996号公報
電池本体として、上述した複数のセル(単一セル又はセルスタック)を直列及び並列してなる電池ユニットを利用する場合、一部のセルの劣化が早まったり、セル内に損傷を受けたりすることによって内部抵抗が増加するなどし、各セルの性能にばらつきが生じることがある。上記ばらつきが許容の程度を超えて生じた場合、電池ユニットを構成するセルのうち、一部のセルが過充電や過電圧などになることがある。この過充電や過電圧により、これらのセルの寿命を低下させたり、一部のセルの性能(電池容量や出力など)が低下することで、システム全体の性能を大きく低下させることがある。
電池ユニットを構成する各セル(単一セル又はセルスタック)は、上述のように性能に許容を超えるばらつきがあると所望の電池容量や出力が得られないなどの不具合を生じるため、通常、初期設定においていずれも同様の仕様のものが使用される。従って、例えば、図10に示す電池ユニット200の場合、運転初期において各直列セル群201,202,203に流れる電流i1,i2,i3は、電池ユニット200全体に流れる全電流Iが均等に分配される(i1=i2=i3=I/3)。また、各セルC11,C12,…,C1n,…C3nの端子電圧も同等の大きさである。しかし、経年劣化などにより、一部のセル(例えば、直列セル群201のセルC11)の電極が目詰まりするなどして内部抵抗r11が大きくなり過ぎると、このセルC11が過電圧になることがあり、寿命を早めてしまうことがある。また、一部のセルの内部抵抗が大きくなることで、全電流Iに対して各直列セル群201,202,203に流れる電流i1,i2,i3が均等に分配されなくなる。そのため、電流が過多となる直列セル群では、過充電となるなどして、ユニット200全体では、所望の充放電を行うことができなくなり、電池容量不足に陥る場合が生じる。
そこで、本発明の主目的は、電池ユニット全体の性能の低下を低減することができるレドックスフロー電池システムを提供することにある。
本発明は、電池ユニットを構成する各セルの内部抵抗を監視可能な構成を具えることで上記目的を達成する。具体的には、本発明は、複数のセルを直列に配してなる直列セル群を複数並列に具えるレドックスフロー電池システムであって、各直列セル群に流れる電流を測定する電流測定手段と、各セルの端子電圧を測定する電圧測定手段と、得られた電流と電圧とを用いて、各セルの内部抵抗を演算する演算手段とを具える。このような構成とすることで、本発明システムは、各セルの内部抵抗を把握することができ、各セルの内部抵抗からシステム全体の性能変化を監視することができる。そのため、本発明システムでは、システム全体の性能(電池容量や出力など)が大きな変化を起こす前に、予めその兆候を確認することが可能となる。このように予防的にシステム全体の性能を把握することで、システム性能維持やセルの早期劣化抑制のための対策を図ることができる。また、後述するように各セルの状態に応じて適宜処置を施すことで、本発明システムは、システム全体の性能(電池容量や出力など)の低下を低減することができる。
以下、本発明をより詳しく説明する。
レドックスフロー電池システムの代表的な構成としては、電池本体を構成し、電解液が供給されて電池反応を行うセルと、セルに供給される又はセルから排出される電解液を貯留するタンクと、セルとタンクとの間を連結する電解液の輸送路とを具える構成が挙げられる。その他、セルに電解液を循環するために輸送路に電解液の圧送手段としてポンプを具えてもよい。セルから構成される電池本体には、交流/直流変換器を適宜接続させ、この交流/直流変換器を介して外部の電力系統を接続する。上記電力系統としては、充電時にセルに電力を供給する充電電力源となる発電所などの発電設備や、放電時にセルの放電対象となる需要家などの外部負荷といったものが挙げられる。このような構成を本発明レドックスフロー電池システムの基本的構成として利用することができる。また、本発明システムにおいて使用する電解液は、1.起電力が高く、2.エネルギー密度が大きく、3.電解液が単一元素系であるため正極電解液と負極電解液とが混合しても充電によって再生することができる、といった多くの利点を有しているバナジウムイオン溶液が好適である。
セルは、イオンが透過可能な隔膜により分離される正極セルと負極セルとを具える構成が代表的である。正極セル及び負極セルはそれぞれ、正極電極、負極電極を内蔵する。このようなセルは、一面に正極電極、他面に負極電極が接触配置される双極板と、この双極板の外周に設けられるフレーム枠とを具えるセルフレームを用いて構成することができる。具体的には、順に、セルフレーム、正極電極、隔膜、負極電極、セルフレームを積層させることで、セルフレーム(双極板)の一面と正極電極と隔膜の一面とで正極セルが構成され、隔膜の他面と負極電極とセルフレーム(双極板)の他面とで負極セルが構成される。
隔膜は、イオンが透過できるイオン交換膜が挙げられる。各極電極は、例えば、カーボンフェルト製のものが挙げられる。双極板は、例えば、プラスチックカーボン製のものが挙げられる。フレーム枠は、電解液が接触しても短絡などの事故が生じないように絶縁材料、例えば、塩化ビニルなどの絶縁性樹脂からなるものが挙げられる。また、フレーム枠は、各極電解液を貯留するタンクから各電極に各極電解液を供給する供給用マニホールドと、各電極から各極電解液を排出する排出用マニホールドとを具えておく。更に、フレーム枠は、供給用マニホールドを通過した電解液を電極に輸送し易いように、かつ電極から排出用マニホールドに電解液を輸送し易いように、マニホールドと双極板との間にスリットを設けておくことが好ましい。セルとタンクとの間に配置される電解液の輸送路は、電解液が接触しても短絡などの事故が生じないように絶縁材料、例えば、塩化ビニルなどの絶縁性樹脂にて形成されたパイプ(配管)などを利用して形成するとよい。
本発明システムにおいて「セル」とは、単一セル(セルフレーム、正極電極、隔膜、負極電極、セルフレームという積層構造体を一組具えるもの)、複数の単一セルを積層して構成したセルスタックと呼ばれる積層体(上記積層構造体を複数組具えるもの)のいずれの形態としてもよい。単一セルの大きさやセルスタックとする際の単一セルの積層数は、所望の電圧、出力などに応じて適宜選択するとよい。そして、本発明では、上記「セル」(単一セル又はセルスタック)を複数用意し、これら複数のセルを直列に接続して直列セル群を構成し、これら複数の直列セル群を並列に接続して構成される構造体(電池ユニット)を電池本体として具える。電池ユニットを構成する各セルの初期設定の仕様(電池容量や出力など)は、いずれも同様としておくことが好ましい。各セルの初期設定の仕様が異なる場合、運転初期において上述した過充電や過電圧などの不具合が生じる恐れがある。通常、各セルは、各性能特性が設計で許容するバラツキ内に収まるように製作されたものを用いる。
上記電池ユニットには、通電可能な本線リードを接続し、この本線リードを上述した外部電力系統(充電対象、放電対象)に接続させて、電池ユニットに充電用電力の供給、電池ユニットから放電用電力の輸送を行えるようにする。この本線リードを分岐した分岐リードを各直列セル群に接続し、本線リードからの電流が分岐リードに分岐されるように、また、分岐リードからの電流がまとめられて本線リードに輸送されるようにする。一つの直列セル群を構築する各セル間も、通電可能な接続リードにて接続する。電池ユニットを構成する各セルに対して、それぞれタンクやポンプを具える構成としてもよいし、複数のセルに対して一つのタンクやポンプを共通して利用する構成としてもよいし、全てのセルに対して一つのタンクやポンプを共通して利用する構成としてもよい。複数のセルや全てのセルが一つのタンクやポンプを共通に利用する場合、そのタンクから各セルに電解液が供給されるように輸送路を構築し、ポンプ圧力を適宜調整するとよい。公知の輸送路を利用してもよい。
そして、本発明システムでは、各セルの内部抵抗を監視できるようにするために、上記構成に加えて更に、内部抵抗の検出手段を具える点が従来のシステムと異なる。ここで、セルC11,C12,C13…,C1nを直列に接続してなる直列セル群G1、セルC21,C22,C23…,C2nを直列に接続してなる直列セル群G2、セルC31,C32,C33…,C3nを直列に接続してなる直列セル群G3、…、セルCp1,Cp2,Cp3…,Cpnを直列に接続してなる直列セル群Gp、…、セルCm1,Cm2,Cm3…,Cmnを直列に接続してなる直列セル群Gmというm組の直列セル群を並列に接続してなる電池ユニットを考える。電池電圧(端子電圧)をV、電池の起電力をE、電池に流れる電流をi、電池の内部抵抗をrとするとき、電池電圧Vは、V=E±i×rと表わされる(+:充電時,-:放電時)。従って、上記電池ユニットに具えるセルCkl(k=1〜m,l=1〜n)の端子電圧Vklは、セルCklに流れる電流をIk,セルCklの起電力をEklとすると、Vkl=Ekl±Ik×rklと表わされる(+:充電時,-:放電時)。この式から、セルCklの内部抵抗rklは、端子電圧Vkl、セルCklに流れる電流Ik、及びセルCklの起電力Eklを得ることで求められる。そこで、本発明では、端子電圧Vklを得るべく電圧測定手段を具えることを規定する。また、セルCklに流れる電流Ikは、直列セル群Gkに流れる電流に等しいことから、本発明では、直列セル群に流れる電流を測定する電流測定手段を具えることを規定する。更に、電流測定手段から得られた電流、電圧測定手段から得られた電圧、及び後述する起電力を用いて各セルの内部抵抗を求めるべく、本発明では、演算手段を具えることを規定する。
電流測定手段は、市販の電流計を用いるとよく、例えば、上述した各分岐リードにそれぞれ設けておくことで、各直列セル群に流れる電流を測定することができる。本発明では、直列セル群ごとに電流測定手段をそれぞれ具えるため、直列セル群の数と同数の電流測定手段を具える。電圧測定手段は、市販の電圧計を用いるとよく、各セルの端子電圧が測定できるように、セルごとにそれぞれ設けておく。従って、本発明では、セル数と同数の電圧測定手段を具える。演算手段としては、例えば、コンピュータなどの処理装置を利用すると自動的に演算することができる。コンピュータなどの処理装置を利用する場合、処理装置は、電流測定手段及び電圧測定手段からの測定結果が取得できるように構成しておく。また、演算手段により得られた内部抵抗を作業者が目視にて簡単に確認できるように、モニタなどの表示手段を具えてもよい。表示手段は、演算手段からの演算結果が取得できるように構成しておく。
セルの起電力を取得するには、上記電流測定手段及び電圧測定手段を利用する方法が挙げられる。直列セル群に流れる電流が0となっているとき(例えば、外部電力系統に対して充放電を行っていない待機中など)のセルの端子電圧V0は、セルの起電力に相当する。そこで、この端子電圧V0をセルの起電力として用いることができ、この端子電圧V0は、上記電流測定手段及び電圧測定手段を用いて求められる。具体的には、例えば、処理装置として記憶手段を具えるものを用い、電流測定手段の測定結果がOのとき、電圧測定手段で得られた測定結果を起電力として記憶手段に記憶されるように構成しておき、演算手段は、記憶手段に記憶された起電力を取得できるように構成しておくことが挙げられる。
その他、セルの起電力を取得する手法として、各セルに対して、起電力測定用のモニタセルをそれぞれ具えておくことが挙げられる。モニタセルの構成としては、電池本体を構成するセルと同様の構成とするとよく、セルフレーム、正極電極、隔膜、負極電極、セルフレームを積層させて構成するとよい。また、モニタセルの大きさや積層数は、セルの起電力を測定できる程度に適宜選択するとよい。このようなモニタセルは、主としてセルの起電力の測定に用いるものであるため、任意に起電力を測定できるように充電対象や放電対象といった外部電力系統に接続させなくてもよいし、起電力測定時のみ外部電力系統と非接続とし、通常は、電池本体を構成するセルと同様に外部電力系統に対して充放電を行うようにしてもよい。そして、演算手段は、モニタセルが測定した電圧を取得できるように構成しておく。モニタセルを利用する場合、電池本体が充放電を行っているときであっても、セルの起電力を測定することができる。
上記電流や電圧、起電力の測定は、随時行ってもよいし、所定時間ごとに行ってもよい。前者の場合、測定された電流や電圧が随時演算手段に送られるように処理装置を構成しておくとよい。後者の場合、例えば、タイマを具えた処理装置を用いて、所定時間ごとに測定を行うように電流測定手段や電圧測定手段などに命令を出すように処理装置を構成しておくとよい。
上述のように本発明システムでは、内部抵抗を求めることで、内部抵抗により各セルの状態を監視できるため、システム全体の性能が大きく低下する前に、不具合が生じたセル(具体的には内部抵抗が大きくなったセル)の有無を把握することができる。不具合が生じたセルが存在した場合、このセルによりシステム全体の性能が低下することを抑制するために、何らかの処置を施すことが好ましい。例えば、特許文献1に記載されるように短絡回路を設けて、不具合が生じたセルを用いないようにすることが考えられるが、本発明では、同セルを不使用とするのではなく、電池ユニットを構成するセルの直列/並列の接続状態を変更することを提案する。
セルの直列/並列の接続状態を変更するには、システム構築初期における直列セル群を分解して、同直列セル群を構成していたセルの配列を組み換えるとよい。例えば、同じ直列セル群に属するセル同士は、システム構築初期において直列に接続されているが、これらのセルを並列に接続されるように組み換えることが挙げられる。或いは、異なる直列セル群に属するセル同士が直接並列に接続されるように組み換えてもよい。本発明システムに具える各セルは、ある直列セル群に属し、これら直列セル群同士が並列に接続されることから、異なる直列セル群から選択されるセル同士は、そのセルが属する直列セル群の状態で並列の関係にある。このように直列セル群に属した状態で並列状態にあるセル同士を直接並列に接続されるように接続状態を変更してもよい。このような組み換えを行うには、異なる直列セル群間を通電可能な中間リードで接続し、この中間リードにON/OFF可能なスイッチ手段を具えておき、スイッチ手段のON/OFFを切り換えることが挙げられる。例えば、接続リードLAにより直列に接続されるセルa,aaを具える直列セル群Aと、接続リードLBにより直列に接続されるセルb,bbを具える直列セル群Bとを具える電池ユニットを考える。接続リードLA,LBは、スイッチ手段を有する中間リードLMにより接続されており、通常時、スイッチ手段をOFFにして、異なる直列セル群A,Bが直列セル群の状態で並列となるようにする。このとき、直列セル群Aに属するセルa,aa(接続リードLA)と、直列セル群Bに属するセルb,bb(接続リードLB)とは、切り離されていることになる。そして、あるセル(ここではセルa)の内部抵抗に異常が生じた場合、このセル(セルa)と、このセル(セルa)と中間リード(ここでは中間リードLM)で接続され、このセル(セルa)を含まない直列セル群(ここでは直列セル群B)に具えるセル(ここではセルb)とが並列するように、スイッチ手段をONにする。すると、内部抵抗に異常が生じたセル(セルa)は、異なる直列セル群(直列セル群b)に具えるセル(セルb)と直接並列に接続される。即ち、内部抵抗に異常が生じたセル(セルa)が属する直列セル群(直列セル群A)と、このセル(セルa)に直接並列接続されるセル(セルb)が属する直列セル群(直列セル群B)とを分解する。このようにある直列セル群に属するセルが群全体として他の直列セル群に属するセルと並列に接続された状態から、異なる直列セル群のセル同士を直接並列にすることで、前者の接続状態と比較して、例えば、電池ユニット全体の抵抗の上昇を低減したり、各セルに流れる電流の差を低減したり、不具合が生じたセルによる影響を受けるセル数を低減することができる。従って、本発明システムは、セルの接続状態を適宜変更することで、システム全体の性能低下を緩和し、良好な性能を維持することができる。
上述したようにセルの接続状態の変更を行う場合、本発明システムには、スイッチ手段のON/OFF制御が自動的に行われるようにON/OFFの制御を行う接続制御手段を具えることが好ましい。また、演算手段により得られた内部抵抗に応じてON/OFF制御を行うことができるように、内部抵抗が異常であるか否かの判定を行う判定手段を具えることが好ましい。具体的には、内部抵抗と閾値とを比較し、内部抵抗が閾値以上の場合、異常ありと判定し、内部抵抗が閾値未満の場合、異常なしと判定する判定手段を具えることが好ましい。このとき、接続制御手段は、判定手段から得られた判定結果に基づいてスイッチ手段を制御するように構成しておく。具体的には、判定手段があるセルの内部抵抗と閾値とを比較し、このセルの内部抵抗が閾値以上であると判定した場合、接続制御手段は、このセルが他の直列セル群から選択されるセルと直接並列に接続されるように、このセルが接続される中間リードに設けられたスイッチ手段をONにするようにスイッチ手段に命令を出し、内部抵抗が閾値未満であると判定した場合、接続制御手段は、このセルをそのままの接続状態としておくべく、このセルが接続される中間リードに設けられたスイッチ手段をOFFにする(そのままの状態を維持する)ようにスイッチ手段に命令を出すように構成することが挙げられる。接続制御手段、判定手段としては、例えば、コンピュータなどの処理装置を利用することができ、上記演算手段に利用するコンピュータと共通に用いてもよい。閾値は、予め設定しておき、処理装置の記憶手段に入力しておくとよい。
上述のように内部抵抗が閾値以上となったセル(以下、大抵抗セルと呼ぶ)を、この大抵抗セルを含まない別の直列セル群から選択されるセルと並列するように接続状態を変更することで、本発明システムは、システム全体の性能が低下することを効果的に低減することができる。大抵抗セルに並列に接続させるセルは、一つとしてもよいが複数としてもよく、複数とする場合、並列に接続させる各セルは、一つの直列セル群から選択してもよいが、複数の直列セル群から選択する方が好ましい。特に、大抵抗セルと大抵抗セルに並列に接続されるセル(以下、並列セルと呼ぶ)との合計数が、直列セル群の数と同数となるように接続状態を変更すると、システム全体の性能低下をより低減することができる。上記接続変更を行った電池ユニットは、大抵抗セルと並列セルとからなるセル群A'と、大抵抗セルが属していた直列セル群のセルのうち大抵抗セルを除くセルと並列セルが属していた直列セル群のセルのうち並列セルを除くセルとからなるセル群B'とが直列に接続されてなるセル群を有する。なお、大抵抗セルに直列に接続されるセル(以下、直列セルと呼ぶ)があってもよいが、直列セルは、できるだけ少ない方がよく、皆無であることが最も好ましい。
上述のように中間リードやスイッチ手段を具えて、直列/並列の接続状態を変更させる構成の他、内部抵抗が異常であるセルが存在した場合、このセルの運転条件を変化可能な構成としてもよい。運転条件に関するパラメータとしては、充放電に関与するパラメータ、例えば、充電電流、放電電流、充電と放電とを切り換える切換電圧(充電停止電圧)、電解液の流量などが挙げられる。内部抵抗が異常であるセルに対し、これらのパラメータを適宜変化させて、このセルが所定の性能(電池容量や出力など)を満たすように運転を行うことで、システム全体の性能低下を低減することができる。具体的な制御としては、内部抵抗が大きくなったセルに対して、例えば、電解液の流量を増加させたり、切換電圧を小さくしたり、充電電流を低減することで、各セルに性能のばらつきが生じていても、システム全体では、長期に亘り所定の性能を維持することができる。
上記充電電流、放電電流、切換電圧といったパラメータは、交流/直流変換器にて制御されることが一般的である。また、電解液の流量といったパラメータは、ポンプにて制御されることが一般的である。従って、これらのパラメータの変更は、交流/直流変換器やポンプなどを制御することにて行うとよい。このように運転条件の変更を行う場合、本発明システムには、上記パラメータに関与する種々の機器の制御を行う運転制御手段を具えておけば、運転条件を自動的に変化させることができて好ましい。また、演算手段により得られた内部抵抗に応じて運転条件の制御を行うことができるように、内部抵抗が異常であるか否かの判定を行う判定手段を具えることが好ましい。この判定手段は、上記接続状態の変更を行う構成と同様に内部抵抗と閾値とを比較し、内部抵抗が閾値以上の場合、異常ありと判定し、内部抵抗が閾値未満の場合、異常なしと判定するものが挙げられる。このとき、運転制御手段は、判定手段から得られた判定結果に基づいて、適宜運転条件を選択できるように構成しておく。具体的には、判定手段があるセルの内部抵抗と閾値とを比較し、このセルの内部抵抗が閾値以上であると判定した場合、運転制御手段は、このセルの充電電流を低減したり、電解液の流量を多くするように交流/直流変換器やポンプなどに命令を出し、内部抵抗が閾値未満であると判定した場合、現在の運転条件を維持するようにポンプなどに命令を出すように構成することが挙げられる。運転制御手段、判定手段としては、例えば、コンピュータなどの処理装置を利用することができ、上記演算手段に利用するコンピュータと共通に用いてもよい。また、内部抵抗に対応して適切な充電電流、放電電流、切換電圧、流量などを予め求めて処理装置の記憶手段に入力しておき、運転制御手段は、記憶手段から適切な条件を選択できるようにしておくとよい。更に、セルごとに電解液の流量などを調整できるように、セルごとに電解液の輸送系統(タンク、輸送路、ポンプ)などを具えるようにしてもよい。
本発明システムは、上述したセルの接続状態を変更可能な構成と、運転条件を変更可能な構成との双方を具えてもよい。接続状態の変更に加えて、運転条件の変更をも可能にすることで、本発明システムは、電池ユニット全体の性能低下の抑制を一層効果的に実現することができる。
上記構成を具える本発明レドックスフロー電池システムは、各セルの内部抵抗を監視することができ、システム全体の性能が大きく低下する前に、その兆候を把握することができる。また、本発明システムは、セルの内部抵抗に応じて、セルの接続状態を変更したり、セルの運転状態を変更することで、システム全体の性能が低下することを効果的に低減することができ、長期に亘り良好な性能を維持することができる。
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は、本発明レドックスフロー電池システムの概略構成図、図2は、本発明システムに利用したセルスタックの概略構成図、図3は、本発明システムに具える電池ユニットの回路図である。本発明レドックスフロー電池システムの基本的構成は、従来のレドックスフロー電池システムと同様であり、セルの内部抵抗を検出可能な構成としている点が異なる。まず、基本的構成について説明する。なお、図1では、直列セル群G1のみにタンクや輸送路などの電解液の輸送系統を示しており、その他の直列セル群の輸送系統は省略しているが、実際には直列セル群G2,G3も同様の輸送系統を具えている。また、図1において破線は、電気信号の伝送経路を示す(後述する図8も同様)。更に、図1には、スイッチ手段S11,S21の二つのみ示しており、その他のスイッチ手段は省略しているが、実際には図3に示すように複数存在する。加えて、図1には、セルC11,C12のみに電圧計V11,V12を示しており、その他のセルは省略しているが、実際には図3に示すように各セルに電圧計が配されている(後述する図8も同様)。
このレドックスフロー電池システムは、電解液が供給されて電池反応を行うセルCと、セルCに供給される又はセルCから排出される正極電解液を貯留するタンク11、同負極電解液を貯留するタンク12と、セルCとタンク11,12との間をそれぞれ連結する電解液の輸送路とを具える。輸送路は、正極電解液用タンク11に接続される供給路13a,排出路13b、負極電解液用タンク12に接続される供給路14a,排出路14bを具えており、各供給路13a,14aには、セルCに電解液を容易に供給できるようにポンプ15,16を具える。
セルCは、レドックスフロー電池用セルを複数積層させた積層体(セルスタック)である。レドックスフロー電池用セルはそれぞれ、図2に示すようにイオンが通過可能なイオン交換膜(隔膜)10iの両側にカーボンフェルト製の正極電極10p及び負極電極10nを具える。正極電極10pの外側及び負極電極10nの外側にはそれぞれ、セルフレーム10sが配置される。セルフレーム10sは、プラスチックカーボン製の双極板10cと、その外周に形成されるフレーム枠10fとを具える。フレーム枠10fには、電極10p,10nに電解液を供給する給液用マニホールド10sp,10snと、電極10p,10nからの電解液を外部に排出する排液用マニホールド10dp,10dnとが複数形成されている。給液用マニホールド10sp,10snは、電極10p,10nの下方に、排液用マニホールド10dp,10dnは、電極10p,10nの上方に設けており、電解液は、図2の矢印で示すように電極10p,10nの下方から上方に向かって流通される。これらマニホールド10sp,10sn,10dp,10dnは、多数のセルフレーム10sを積層することで電解液の流路を構成し、輸送路13a,13b,14a,14b(図1)に接続される。フレーム枠10fにおいてマニホールド10sp,10sn,10dp,10dnと双極板10cとの間には、電解液を流通するスリット10gがそれぞれ設けられている。各電極10p,10nには、それぞれタンク11,12(図1)から供給路13a,14a(図1)を介して正極電解液、負極電解液が供給され、排出路13b,14bを介してタンク11,12に電解液が戻される。本例では正極電解液にV5+を含む溶液、負極電解液にV2+を含む溶液を用いた。
本例に示すシステムでは、上記のようなセルCを複数直列に接続して直列セル群を構成し、この直列セル群を複数並列に接続して電池ユニットを構成している。この電池ユニットが電池本体として利用される。各セルの初期設定仕様は、いずれも同様のものである。本例の電池ユニットは、図3に示すようにセルC11,セルC12,…,セルC1nを直列してなる直列セル群G1、セルC21,セルC22,…,セルC2nを直列してなる直列セル群G2、セルC31,セルC32,…,セルC3nを直列してなる直列セル群G3という三つの直列セル群G1〜G3を並列に接続させて構成される。この電池ユニットは、本線リードLが接続され、本線リードLを三つに分岐した分岐リードL1,L2,L3に各直列セル群G1〜G3が接続される。直列セル群Gmの隣り合うセルCm(x),Cm(x+1)間は、接続リードで接続される。
このような電池ユニットは、図1に示すように分岐リードL1,L2,L3及び本線リードLを介して交流/直流変換器40が接続され、交流/直流変換器40を介して、電池ユニットが充電する際にユニットに電力供給する発電設備や、ユニットが放電する際にユニットが電力供給する負荷といった外部の電力系統50が接続される。また、電池ユニットは、一つの直列セル群に一つの正極電解液用タンク11、負極電解液用タンク12を具える構成であり、同じ直列セル群に有する複数のセルが一つのタンク11,12を共通に用いる。そのため、供給路13a,14a、及び排出路13b,14bは、同じ直列セル群に有する各セルに正極電解液及び負極電解液が供給/排出されるように分岐路を具える。運転時、このような輸送路を介して電池ユニットの各セルに電解液が循環供給され、電池ユニットは、電力系統50に対して充放電を行う。なお、セルごとに電解液の貯留タンク、ポンプ、輸送路をそれぞれ具える構成としてもよい。
そして、本例に示すシステムでは、各セルCに配されてセルCの端子電圧を測定する電圧計Vmn(m=1〜3,n=1,2,…)と、各分岐リードL1,L2,L3に配されて各直列セル群G1〜G3に流れる電流を測定する電流計A1〜A3と、電圧計Vmnから得られた電圧及び電流計A1〜A3から得られた電流を用いて各セルCの内部抵抗を演算する処理装置20(演算部23)とを具える。図4は、本発明レドックスフロー電池システムに具える処理装置の機能ブロック図である。処理装置20は、市販のコンピュータを用いており、図4に示すように各電流計A1〜A3から得られた電流を取得する電流取得部21と、各電圧計Vmn(m=1〜3,n=1,2,…)から得られた電圧を取得する電圧取得部22と、これら電流と電圧とを用いて内部抵抗を演算する演算部23とを具える。また、この処理装置20には、モニタ30を接続させており、演算部23にて得られた内部抵抗を作業者が目視にて確認できるように構成している。
上記構成を具えるレドックスフロー電池システムでは、作業者が各セルの内部抵抗を確認することができる。従って、内部抵抗に起因してシステム全体の性能が大きく低下する前にその兆候を把握することができる。上述のように本例に示すシステムでは、電池ユニットを構成する各セルとして初期設定仕様が同一のものを利用している。しかし、経年劣化や仕様の変更などによりセルの状態が変化する、例えば、内部抵抗が上昇するなどして、セルの性能(出力や電池容量など)にばらつきが生じることがある。このような事態に対して本例に示すシステムでは、内部抵抗の検出手段を具えることで、このようなばらつきや一部のセルの劣化、及びこれらのセルの性能低下に伴うシステム全体の性能低下の発生を早期に把握することができる。
また、本例に示すシステムでは、内部抵抗に異常が生じたセルに起因してシステム全体の性能が低下することを低減し、良好な性能を維持することが可能な構成を具える。具体的には、異なる直列セル群に具えるセル同士を接続できるようにスイッチ手段を有する中間リードを接続し、スイッチ手段のON/OFFによりセルの接続状態を変更させる。より具体的には、同じ直列セル群に属する隣接するセル同士を接続する接続リードに、スイッチ手段S(Smy(m=1,2,y=1,2,…,n-1))を有する中間リードの一端を接続し、上記とは別の直列セル群に属する隣接するセル同士を接続する接続リードに中間リードの他端を接続させる。このように異なる直列セル群のセル同士を中間リードにて接続させ、スイッチ手段SのON/OFFを切り換えることにより、内部抵抗に異常が生じたセルと、その他のセルとの接続状態を変更する。
例えば、図3に示すように直列セル群G1に有するセルC11とセルC12とを接続する接続リードには、スイッチ手段S11を有する中間リードの一端が接続され、この中間リードの他端が直列セル群G2に有するセルC21とセルC22とを接続する接続リードに接続される。この構成により、スイッチ手段S11をOFFにすると、直列セル群G1に有するセルC11とセルC12とは直列に接続され、直列セル群G2に有するセルC21とセルC22とは直列に接続され、直列セル群G1に有するセルC11及びセルC12と、直列セル群G2に有するセルC21及びセルC22とは、並列に接続される。一方、スイッチ手段S11をONにすると、直列セル群G1に有するセルC11と直列セル群G2に有するセルC21とが並列に接続され、直列セル群G1に有するセルC12と直列セル群G2に有するセルC22とが並列に接続され、これら並列に接続された二つのセル同士が直列に接続される。つまり、異なる直列セル群G1とG2の各々に具えていたセルC11,C12とC21,C22同士が接続される。このように本例に示すシステムでは、スイッチ手段を具える中間リードにて異なる直列セル群に具えるセル同士を接続可能な状態とし、スイッチ手段のON/OFFの切り換えにより、直列/並列を変更する。
本例に示すシステムでは、スイッチ手段のON/OFFの切り換えを自動的に行うことができるように、処理装置20にスイッチ手段の切り換えを行う接続制御部25を具える。また、接続制御部25が演算部23により得られた内部抵抗から異常を生じたセルに対してスイッチ手段の切り換えを行うことができるように、処理装置20は、内部抵抗と閾値とを比較してセルの異常の有無を判定する判定部24を具える。接続制御部25は、判定部24の判定結果に基づいて、各スイッチ手段のON/OFFを制御する。なお、処理装置20は、図示しないポンプ制御部、変換器制御部を具えており、ポンプ制御部にてポンプの駆動を制御し、電解液の輸送圧力や流量などを調整し、変換器制御部にて交流/直流変換器の駆動を制御して、充電電流、放電電流、切り換え電圧などを調整するように構成している。
処理装置20によってセルの接続状態を変更する手順を具体的に説明する。図5は、セルの接続状態の変更手順を示すフローチャートである。ここでは、図3に示すように全てのスイッチ手段Smy(m=1,2,y=1,2,…,n-1)がOFFになっている状態、つまり、セルC11,C12,…,C1nが直列に接続されて直列セル群G1を構成し、同様にセルC21,C22,…,C2nが直列に接続されて直列セル群G2を構成し、セルC31,C32,…,C3nが直列に接続されて直列セル群G3を構成し、これら三つの直列セル群G1,G2,G3が並列に接続された状態をスタート状態として説明する。
まず、各分岐リードに設けられた電流計により各直列セル群に流れる電流im(m=1〜3)を測定し、電流取得部は、測定結果(電流im)を取得する(ステップS1)。各直列セル群に流れる電流は、充電時の場合、電力系統から供給される充電電流、放電時の場合、直列セル群から電力系統に伝送される放電電流である。また、各セルに設けられた電圧計により各セルの端子電圧Vml(m=1〜3,l=1〜n)を測定し、電圧取得部は、測定結果(電圧Vml)を取得する(ステップS2)。ステップS1とS2とはいずれが先でもよい。取得した電流im及び電圧Vmlは、処理装置に具える記憶部(図示せず)に一時的に保存しておく。
次に、処理装置は、各セルの起電力Emlを取得する(ステップS3)。本例では、電流imがOとなるときの端子電圧Vml0を適宜測定して記憶部に一時的に記憶されるように処理装置を構成している。また、本例では、測定した端子電圧Vmlが最新のデータとなるように更新して記憶部に記憶されるように構成している。そのため、記憶部から端子電圧Vml0を呼び出すことで、起電力Emlを取得する。なお、本例では、電流がOとなるときのセルの端子電圧を起電力としたが、起電力を測定するためのモニタセルをセルごとに別途設けておき、処理装置に具える起電力取得部が取得できるようにしてもよい。
次に、演算部は、記憶部から電流im、電圧Vml、起電力Emlを呼び出し、内部抵抗rmlを演算する(ステップS4)。内部抵抗rmlは、Vml=Eml±im×rml(+:充電時、-:放電時)により求められる。そして、判定部は、セルCmlに異常が生じていないかどうかを判定するべく、内部抵抗rmlと閾値rとを比較する(ステップS5)。閾値rは、予め設定して記憶部に入力しておき、判定部は、判定の際に記憶部から閾値rを呼び出すように構成しておく。内部抵抗rmlが閾値r以上の場合、即ち、内部抵抗rmlが上昇している場合、セルCmlが過電圧になってセルCmlの寿命を縮めたり、このセルCmlにより各直列セル群Gmに充電電流が均一に流れないといった不具合を招く恐れがある。また、この不具合により、システム全体の電池容量の低下を引き起こすことがある。そこで、上記不具合を低減するべく、本例に示すシステムでは、内部抵抗rmlが閾値r以上の場合、このセルCmlの接続状態を変更する。具体的には、接続制御部は、このセルCmlに接続されるスイッチ手段Sml(l=nのとき、Sm(n-1))をONにし(ステップS6)、セルCmlが他の直列セル群Gg(g≠m)に有するセルCglと並列に接続されるようにする。このとき、セルCmlは、直列セル群Gmに属するセルCml以外のセルCmjと直列に接続されていたのが、直列セル群Ggに属するセルCglと並列に接続された状態でCmjと直列に接続される。このように不具合の生じたセルを他の直列セル群に有するセルに並列に接続させることで、システム全体の性能が低下することを低減することができ、良好な性能を維持することができる。
一方、内部抵抗rmlが閾値r未満の場合、内部抵抗rmlは増大していないため、判定部は、セルCmlに異常が生じていないと判定する。このとき、スイッチ手段を変更する必要がないため、接続制御部は、スイッチ手段SmlをOFFのままにしておく。上述した内部抵抗の演算及び判定は、全てのセルに対して行い、接続制御部は、判定結果に基づいてスイッチ手段を適宜操作してセルの接続状態を変更する。また、上述した操作は、随時行うようにしてもよいし、タイマを具えておき、所定時間ごとに行うようにしてもよい。
以下、接続状態の変更パタンを具体的に説明する。ここでは、各直列セル群G1〜G3に具えるセル数が三つの場合、即ち、九つのセルからなる電池ユニットを例にして説明する。図6,7は、本発明レドックスフロー電池システムに具える電池ユニットの接続状態を説明する説明図である。図6(A)は、三つのセルを直列に接続してなる直列セル群を三つ並列に接続させた状態、(B)は、二つのセルを並列に接続した並列回路と、二つのセルを直列に接続したものを二組並列に接続した並列回路とを直列に接続し、更に、三つのセルを直列に接続してなる直列セル群を上記両並列回路に並列に接続させた状態、(C)は、三つのセルを並列に接続した並列回路と、二つのセルを直列に接続したものを三組並列に接続した並列回路とを直列に接続させた状態を示す。図7(D)は、二つのセルを直列に接続したものを二組並列に接続した並列回路と、二つのセルを並列に接続した並列回路とを直列に接続し、更に、三つのセルを直列に接続してなる直列セル群を上記両並列回路に並列に接続させた状態、(E)は、二つのセルを並列に接続させた並列回路を三組直列に接続させ、更に、三つのセルを直列に接続してなる直列セル群を上記三組の並列回路に並列に接続させた状態、(F)は、三つのセルを並列に接続させた並列回路を三組直列に接続させた状態を示す。
ここで説明する電池ユニットは、システム構築時において、セルC11,C12,C13を直列に接続してなる直列セル群G1と、セルC21,C22,C23を直列に接続してなる直列セル群G2と、セルC31,C32,C33を直列に接続してなる直列セル群G3とが並列に接続されている。また、図示していないがセルC11,C12を接続する接続リードと、セルC21,C22を接続する接続リードとの間には、スイッチ手段S11を具える中間リードが接続される(図3参照)。同様に、セルC12,C13を接続する接続リードと、セルC22,C23を接続するリードとの間にスイッチ手段S12を具える中間リードが接続され、セルC21,C22を接続する接続リードと、セルC31,C32を接続する接続リードとの間にスイッチ手段S21を具える中間リードが接続され、セルC22,C23を接続する接続リードと、セルC32,C33を接続する接続リードとの間にスイッチ手段S22を具える中間リードが接続される(図3参照)。そして、これら四つのスイッチ手段S11〜S22は、通常、OFFの状態となっている(図6(A)は全てのスイッチ手段がOFFの状態を示す)。各直列セル群G1,G2,G3には、通常、全電流Iが均等に分配された電流I/3がそれぞれ流れる。以下、この状態を正常状態と呼ぶ。
ここで、セルC11の内部抵抗が閾値以上となった場合を考える。このとき、スイッチ手段S11,S12,S21,S22を全てOFFとしていると、セルC11の内部抵抗の上昇により、過充電となったり、過電圧となるなどの不具合が生じる恐れがある。また、全電流Iが均等に分配されず、内部抵抗が大きくなったセルC11を有する直列セル群G1に流れる電流iA1がI/3よりも小さくなり、内部抵抗が増大したセルを有していない直列セル群G2,G3に流れる電流iA2,iA3がI/3よりも大きくなり、電流のばらつきが大きい。具体的には、各セルの正常状態のセル抵抗をr0とし、異常状態のセルC11のセル抵抗を正常時の3倍の3r0とすると、iA1が0.23I、iA2が0.38I、iA3が0.38Iとなる。このように過充電や過電圧になったり、所定の電流が流れなかったりすることで、システム全体の性能が低下する。ここでは、セルC11の内部抵抗が増大した場合について述べたが、いずれのセルにおいても同様のことが言える。
そこで、本例に示すシステムでは、内部抵抗が増大したセルC11と、このセルC11が属する直列セル群G1と異なる直列セル群(ここでは、直列セル群G2)から選択されたセル(ここでは、セルC21)とが直接並列に接続されるようにスイッチ手段S11をONにする。その状態を図6(B)に示す。スイッチ手段S11をONにすると、直列セル群G1,G2が分解され、直列セル群G1に属していたセルC11と、直列セル群G2に属していたセルC21とで並列回路が形成されると共に、直列セル群G1に属していたセルC12,C13と、直列セル群G2に属していたセルC22,C23とで並列回路が形成され、これら両並列回路が直列に接続された回路が形成される。つまり、この新たな回路は、直列セル群として並列に接続されていたセル同士(セルC11とセルC21,セルC12,C13とセルC22,C23)が直接並列に接続される。更に、この新たな回路に直列セル群G3が並列に接続される。このシステムでは、上述のようにセルC11の接続状態を変更させることで、セルC11に流れる電流iB1'を、電流iA1よりも小さくでき、セルC11にかかる電圧を小さくすることができる。具体的には、各セルの正常状態のセル抵抗をr0とし、異常状態のセルC11のセル抵抗を正常時の3倍の3r0とすると、iB1'が0.16I、iB2'が0.47I、iB3が0.37I、iB1"とiB2"が0.32Iとなる。それに伴い、セルC11の過充電、過電圧の度合いを低減し、システム全体の性能の低下を軽減することができる。
ここでは、内部抵抗が大きくなったセルC11に対して、セルC21を並列に接続させる場合を説明したが、セルC21以外のセルでもよく、例えば、直接セル群G1に有するセルC12や直列セル群G3に有するセルC31でもよい。このとき、セルC11は、セルC12,C31と並列に接続されるように、スイッチ手段及び中間リードを具えておく。また、スイッチ手段S11ではなく、スイッチ手段S12をONとし、セルC11に直接直列に接続されるセル(ここでは、セルC12)が存在するようにしてもよいが、セルC11が含まれる並列回路には、セルC11に直列に接続されるセルが存在しない方が、過充電、過電圧の度合いを低減することができる。
上記では、内部抵抗が増大した一つのセルに対して、一つのセルを並列に接続させる場合を説明したが、複数のセルを並列に接続させてもよい。例えば、内部抵抗が大きくなったセルC11に対し、スイッチ手段S11及びS21をONにして、図6(C)に示すようにセルC21及びセルC31が並列に接続されるようにしてもよい。スイッチ手段S11及びS21をONにすると、直列セル群G1に属していたセルC11と、直列セル群G2に属していたセルC21と、直列セル群G3に属していたセルC31とで並列回路が形成され、直列セル群G1に属していたセルC12,C13と、直列セル群G2に属していたセルC22,C23と、直列セル群G3に属していたセルC32,C33とで並列回路が形成され、これら両並列回路が直列に接続された回路が形成される。このような回路となるようにセルC11の接続状態を変更させることで、セルC11に流れる電流iC1'を、電流iB1'よりも更に小さくでき、セルC11にかかる電圧をより小さくすることができる。具体的には、各セルの正常状態のセル抵抗をr0とし、異常状態のセルC11のセル抵抗を正常時の3倍の3r0とすると、電流iC1'を0.14I、電流iC2',iC3'を0.43I、電流iC1”,iC2",iC3"を正常状態の電流と同様のI/3とできる。従って、セルC11以外のセル間の電流のばらつきを図6(B)の状態よりも小さくできる。このように内部抵抗が増大した一つのセルに対して、複数のセルを並列に接続させるように接続状態を変更させることで、過電圧や過充電などをより低減し、システム全体の性能低下をより緩和することができる。特に、内部抵抗が増大したセルに複数のセルを並列させる場合、この並列回路を構成するセルの合計数が直列セル群の数と等しくなるようにすると、即ち、この例では、図6(C)となるようにすると、システム全体の性能低下を最も低減することができる。このことは、後述する図7(F)に示す状態でも同様である。
上記では、セルC11の内部抵抗が上昇した場合についての接続状態の変更例を説明したが、次に、セルC12の内部抵抗が上昇した場合について説明する。上述のようにセルC12の内部抵抗が閾値以上となった際に図6(A)に示すような接続状態としていると、システム全体の性能の低下を招く。そこで、内部抵抗が増大したセルC12と、このセルC12が属する直列セル群G1と異なる直列セル群(ここでは、直列セル群G2)に具えるセルC22とが並列となるようにスイッチ手段S12をONにする。その状態を図7(D)に示す。スイッチ手段S12をONにすると、直列セル群G1,G2が分解され、直列セル群G1に属していたセルC11,C12と、直列セル群G2に属していたセルC21,C22とで並列回路が形成されると共に、直列セル群G1に属していたセルC13と、直列セル群G2に属していたセルC23とで並列回路が形成され、これら両並列回路が直列に接続された回路が形成される。更に、この新たな回路に直列セル群G3が並列に接続される。このような回路となるようにセルC12の接続状態を変更させることで、セルC12に流れる電流iD1'を電流iA1(図6(A))よりも小さくし、セルC12にかかる電圧を小さくすることができる。具体的には、各セルの正常状態のセル抵抗をr0とし、異常状態のセルC12のセル抵抗を正常時の3倍の3r0とすると、電流iD1'が0.21I、電流iD2'が0.41I、電流iD3が0.38I、電流iD1"とiD2"が0.31Iとなる。それに伴い、セルC12の過充電、過電圧の度合いを低減し、システム全体の性能の低下を軽減することができる。
ここでは、内部抵抗が大きくなったセルC12に対して、セルC22を並列に接続させる場合を説明したが、セルC22以外のセルでもよく、例えば、直列セル群G3に有するセルC23でもよい。このとき、セルC12は、セルC23と並列に接続されるように、スイッチ手段及び中間リードを具えておく。
上記では、スイッチ手段を一つだけONにして、セルC12に直列に接続されるセル(ここでは、セルC11)が存在するように接続状態を変更させる場合を説明したが、上述のように内部抵抗が増大したセルを含む並列回路には、このセルに直列に接続されるセルが存在しない方が性能の低下を低減できる。そこで、例えば、図7(E)に示すようにセルC12の両側に接続されるスイッチ手段S11,S12をONにして、直列セル群G1に属していたセルC11と、直列セル群G2に属していたセルC21とで並列回路を形成し、直列セル群G1に属していたセルC12と、直列セル群G2に属していたセルC22とで並列回路を形成し、直列セル群G1に属していたセルC13と、直列セル群G2に属していたセルC23とで並列回路を形成するように接続状態を変更させてもよい。このとき、これら三つの並列回路は、直列に接続され、この新たな回路に直列セル群G3が並列に接続される。このような回路となるようにセルC12の接続状態を変更させることで、セルC12に流れる電流iE1"を電流iD1'よりも小さくし、セルC12にかかる電圧を小さくすることができる。具体的には、各セルの正常状態のセル抵抗をr0とし、異常状態のセルC12のセル抵抗を正常時の3倍の3r0とすると、電流iE1"が0.16I、電流iE2"が0.47I、電流iE1',iE2',iE1''',iE2'''が0.31I、電流iE3が0.38Iとなる。それに伴い、セルC12の過充電、過電圧の度合いを低減し、システム全体の性能の低下を軽減することができる。
ここでは、内部抵抗が大きくなったセルC12に対して、直列セル群G2から選択されたセルと並列に接続させる場合を説明したが、直列セル群G3から選択されたセルと並列に接続させてもよい。このとき、セルC12は、直列セル群G3から選択されたセルと並列に接続されるように、スイッチ手段及び中間リードを具えておく。
また、セルC12の場合もセルC11の場合と同様に複数のセルを並列に接続させてもよい。例えば、内部抵抗が大きくなったセルC12に対し、スイッチ手段S11,S12,S21,S22を全てONにして、図7(F)に示すようにセルC22及びセルC32が並列に接続されるようにしてもよい。全てのスイッチ手段S11〜S22をONにすると、直列セル群G1に属していたセルC11と、直列セル群G2に属していたセルC21と、直列セル群G3に属していたセルC31とで並列回路が形成され、直列セル群G1に属していたセルC12と、直列セル群G2に属していたセルC22と、直列セル群G3に属していたセルC32とで並列回路が形成され、直列セル群G1に属していたセルC13と、直列セル群G2に属していたセルC23と、直列セル群G3に属していたセルC33とで並列回路が形成され、これら三つの並列回路が直列に接続された回路が形成される。このような回路となるようにセルC12の接続状態を変更させることで、セルC12に流れる電流iF1"を図7(E)における電流iE1"よりもさらに小さくし、セルC12にかかる電圧を小さくすることができる。具体的には、各セルの正常状態のセル抵抗をr0とし、異常状態のセルC12のセル抵抗を正常時の3倍の3r0とすると、電流iF1"が0.14I、電流iF2"とiF3"が0.43I、電流iF1',iF2',iF3',iF1''',iF2''',iF3'''が正常状態の電流と同様のI/3となる。それに伴い、セルC12の過充電、過電圧の度合いを低減したり、セルC12以外の各セル間の電流のばらつきを図7(E)の状態に比べて低減することができ、システム全体の性能の低下を軽減することができる。
ここでは、四つのスイッチ手段を全てONとする場合について説明したが、スイッチ手段S12,22のみをONにしても、図6(A)に示す接続状態と比較して、システム全体の性能が低下することを低減することができる。
上記実施例1では、システム全体の性能が低下することを低減するにあたり、セルの接続状態を変化させる構成を説明した。本例では、内部抵抗が増大したセルに対して接続状態を変更せず、運転条件を変化させる構成を説明する。図8(A)は、本発明レドックスフロー電池システムの概略構成図、(B)は、このシステムに具える処理装置の機能ブロック図である。図8において図1と同一物は、同一符号を付す。なお、図8では、セルC11のみにタンクや輸送路などの電解液の輸送系統を示しており、その他のセルの輸送系統は省略しているが、実際には全てのセルが輸送系統を具えている。
このレドックスフロー電池システムは、実施例1に示すシステムと同様に、電解液が供給されて電池反応を行うセルCと、セルCに供給される又はセルCから排出される正極電解液を貯留するタンク11、同負極電解液を貯留するタンク12と、セルCとタンク11,12との間をそれぞれ連結する電解液の輸送路13,14とを具える。各輸送路13,14の供給側には、セルCに電解液を容易に供給できるようにポンプ15,16を具える。セルCは、実施例1と同様にセルフレームなどを用いた構成のものであり、ここでは説明を省略する。また、このシステムにおいても実施例1と同様に、初期設定仕様が同一である複数のセルを直列に接続してなる三つの直列セル群G1〜G3を並列に接続して構成される電池ユニットを具える。この電池ユニットには、実施例1と同様に分岐リードL1,L2,L3及び本線リードLを介して交流/直流変換器40が接続され、変換器40を介して電力系統50が接続される。運転時、輸送路13,14を介して各セルCに電解液が循環供給され、電池ユニットは、電力系統50に対して充放電を行う。
そして、本例に示すシステムは、実施例1と同様に各セルCに配されてセルCの端子電圧を測定する電圧計Vmn(m=1〜3,n=1,2,…)と、各分岐リードL1,L2,L3に配されて各直列セル群G1〜G3に流れる電流を測定する電流計A1〜A3と、電圧計Vmnから得られた電圧及び電流計A1〜A3から得られた電流を用いて各セルCの内部抵抗を演算する処理装置60(演算部63)とを具える。処理装置60は、市販のコンピュータを用いており、実施例1で説明した処理装置20(図4参照)と同様に、各電流計A1〜A3から得られた電流を取得する電流取得部61と、各電圧計Vmn(m=1〜3,n=1,2,…)から得られた電圧を取得する電圧取得部62と、これら電流と電圧とを用いて内部抵抗を演算する演算部63とを具える。また、この処理装置60には、モニタ30を接続させており、演算部63にて得られた内部抵抗を作業者が目視にて確認できるように構成している。
上記構成を具えるレドックスフロー電池システムは、実施例1に示すシステムと同様に、作業者が各セルの内部抵抗を確認することができるため、システム全体の性能が大きく低下する前にその兆候を把握することができる。また、本例に示すシステムでは、内部抵抗に異常が生じたセルに起因してシステム全体の性能の低下を低減するために、各セルの内部抵抗に応じて、処理装置60により、各セルの運転条件を変更する構成を具える。具体的には、処理装置60に各セルの運転条件の制御を行う運転制御部65を具えており、運転制御部65は、交流/直流変換器40の駆動条件(例えば、充電電流、放電電流、充電/放電の切換電圧など)、ポンプ15,16の駆動条件(電解液の流量、輸送圧力など)などを自動的に制御する。また、運転制御部65が演算部63により得られた内部抵抗から異常を生じたセルに対して、交流/直流変換器40の駆動条件やポンプ15,16の駆動条件といった運転条件の変更を行うことができるように、処理装置60は、内部抵抗と閾値とを比較してセルの異常の有無を判定する判定部64を具える。運転制御部65は、判定部64の判定結果に基づいて、交流/直流変換器40の駆動やポンプ15,16の駆動などを制御する。なお、本例に示すシステムでは、セルごとに電解液の循環系統(タンク、輸送路、ポンプ)を具えているため、セルごとにポンプの駆動条件などを制御することができる。図1に示すシステムのように直列セル群ごとに電解液の循環系統を具える場合は、直列セル群ごとにポンプの駆動を制御することができる。その場合でも、例えば各セルごとに流量調整バルブを設けることで、各セルの電解液の流量を制御することが可能である。
処理装置60によってセルの運転条件を変更する手順を具体的に説明する。この手順は、実施例1と同様に電流の取得、電圧の取得、起電力の取得、内部抵抗の取得のステップを具えており、これらのステップは、実施例1で説明したステップS1〜ステップS4までの手順と同様に行う。そのため、ここでは、ステップS4からのステップについてのみ説明し、S4までの説明は省略する。判定部は、ステップS4にて得られた内部抵抗rml(m=1〜3,l=1〜n)と、記憶部から呼び出した閾値r(予め設定して記憶部に入力されたもの)とを比較する(ステップS5')。本例に示すシステムでは、内部抵抗rmlが閾値r以上の場合、このセルCmlの運転条件を変更する。具体的には、運転制御部は、このセルCmlの内部抵抗rmlに応じた適切な運転条件を記憶部から呼び出し、交流/直流変換器やポンプなどの運転に関与する機器の調整を行う。例えば、内部抵抗が閾値よりも大きい場合、このセルには、電解液の流通が十分に行われていないと考えられる。従って、運転制御部は、電解液の流量を増加させるようにポンプに命令を出す。このとき、内部抵抗に応じて適切な電解液の流量を予め求めておき、記憶部に入力しておく。また、例えば、内部抵抗が閾値よりも大きい場合、このセルは、過充電になり易いと考えられる。従って、運転制御部は、このセルが属する直列セル群に対して、充電電流を低減させるように交流/直流変換器に命令を出す。このとき、内部抵抗に応じて適切な電流量を予め求めておき、記憶部に入力しておく。このように内部抵抗が増大したセルCmlの運転条件を適宜変更することで、システム全体の性能を良好な状態に維持することができる。
一方、内部抵抗rmlが閾値r未満の場合、内部抵抗rmlは増大していないため、判定部は、セルCmlに異常が生じていないと判定する。このとき、運転条件を変更する必要がないため、運転制御部は、運転条件をそのまま維持するように運転に関与する機器に命令を出す。なお、異常がないと判定しても、より適した運転条件となるように、内部抵抗に応じて運転条件を調整するように構成してもよい。
上述した内部抵抗の演算及び判定は、全てのセルに対して行い、運転制御部は、判定結果に基づいて適宜運転条件を選択してセルの運転状態を変更する。また、上述した操作は、随時行うようにしてもよいし、タイマを具えておき、所定時間ごとに行うようにしてもよい。
なお、本例では、内部抵抗が増大したセルに対し、このセルの接続状態を変更させずに運転条件のみを変更させる構成を説明したが、実施例1に示すシステムと本例に示すシステムとを併用させて、セルの接続状態の変更及びセルの運転条件の変更の双方を行えるように構成してもよい。即ち、スイッチ手段によりセルの接続状態を変更できるように、スイッチ手段を有する中間リードにて異なる直列セル群のセル同士を接続すると共に、接続制御部と運転制御部との双方を具えたシステムを構築する。そして、判定部の判定結果により、接続制御部は、セルの接続状態を変更し、運転制御部は、ポンプの駆動や交流/直流変換器の駆動などを調整するように構成する。これにより、電池ユニット全体の性能低下の抑制を一層効果的に実現することが期待できる。
本発明レドックスフロー電池システムは、負荷平準化や瞬低・瞬停対策などに好適に利用することができる。
実施例1に係る本発明レドックスフロー電池システムの概略構成図である。 本発明レドックスフロー電池システムに具えるセルスタックの概略構成図である。 本発明レドックスフロー電池システムに具える電池ユニットの回路図である。 本発明レドックスフロー電池システムに具える処理装置の機能ブロック図である。 本発明レドックスフロー電池システムにおいて、セルの接続状態の変更手順を示すフローチャートである。 本発明レドックスフロー電池システムに具える電池ユニットの接続状態を説明する説明図である。 本発明レドックスフロー電池システムに具える電池ユニットの接続状態を説明する説明図である。 (A)は、実施例2に係る本発明レドックスフロー電池システムの概略構成図、(B)は、このシステムに具える処理装置の機能ブロック図である。 バナジウムレドックスフロー電池システムの動作原理を説明する説明図である。 従来のレドックスフロー電池システムに具える電池ユニットの回路図である。
符号の説明
10i イオン交換膜 10p 正極電極 10n 負極電極 10s セルフレーム
10c 双極板 10f フレーム枠 10sp,10sn 給液用マニホールド
10dp,10dn 排液用マニホールド 10g スリット
11 正極電解液用タンク 12 負極電解液用タンク 13,14 輸送路
13a,14a 供給路 13b,14b 排出路 15,16 ポンプ
20,60 処理装置 21,61 電流取得部 22,62 電圧取得部
23,63 演算部 24,64 判定部 25 接続制御部 30 モニタ
40 交流/直流変換器 50 電力系統 65 運転制御部
100 セル 101 隔膜 102 正極セル 103 負極セル 104 正極電極
105 負極電極 106 正極電解液用タンク 107 負極電解液用タンク
108,109 供給側輸送路 110,111 排出側輸送路 112,113 ポンプ
200 電池ユニット 201,202,203 直列セル群

Claims (5)

  1. 複数のセルを直列に配してなる直列セル群を複数並列に具えるレドックスフロー電池システムであって、
    各直列セル群に流れる電流を測定する電流測定手段と、
    各セルの端子電圧を測定する電圧測定手段と、
    得られた電流と電圧とを用いて、各セルの内部抵抗を演算する演算手段とを具えることを特徴とするレドックスフロー電池システム。
  2. 異なる直列セル群間を接続する中間リードと、
    前記中間リードに設けられて、ON/OFF可能なスイッチ手段と、
    演算手段により得られた内部抵抗と閾値とを比較する判定手段と、
    判定手段により得られた判定結果に基づいてスイッチ手段のON/OFFを制御し、セルの接続状態を変更する接続制御手段とを具えることを特徴とする請求項1に記載のレドックスフロー電池システム。
  3. 内部抵抗が閾値以上となったセルが存在する場合、接続制御手段は、このセルと、このセルを有する直列セル群以外の直列セル群から選択されるセルとが並列に接続されるようにスイッチ手段をONにすることを特徴とする請求項2に記載のレドックスフロー電池システム。
  4. 接続制御手段は、演算手段により得られた内部抵抗が閾値以上となったセルと、このセルに並列に接続されるセルとの合計セル数が直列セル群の数と同数となるようにスイッチ手段をONにすることを特徴とする請求項3に記載のレドックスフロー電池システム。
  5. 演算手段により得られた内部抵抗と閾値とを比較する判定手段と、
    判定手段により得られた判定結果に基づいて各セルの運転条件を制御する運転制御手段とを具えることを特徴とする請求項1に記載のレドックスフロー電池システム。
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