JP2007311210A - レドックスフロー電池の劣化状態検知方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】電池の自己放電量の増加を適切に検出することができるレドックスフロー電池の劣化状態検知方法及びレドックスフロー電池を提供する。
【解決手段】本発明方法は、複数のモジュールA,Bが組み合わされたレドックスフロー電池の性能低下を検知するレドックスフロー電池の劣化状態検知方法である。この電池の運転としての充放電をしておらず、かつ電解液が各モジュールに循環されている状態で、モジュール毎の電圧を計測し、その電圧の経時変化から自己放電による性能低下を検知する。
【選択図】図1
【解決手段】本発明方法は、複数のモジュールA,Bが組み合わされたレドックスフロー電池の性能低下を検知するレドックスフロー電池の劣化状態検知方法である。この電池の運転としての充放電をしておらず、かつ電解液が各モジュールに循環されている状態で、モジュール毎の電圧を計測し、その電圧の経時変化から自己放電による性能低下を検知する。
【選択図】図1
Description
本発明は、レドックスフロー電池の劣化状態検知方法とレドックスフロー電池に関する。特に、レドックスフロー電池における自己放電量の増加を適切に検知することができるレドックスフロー電池の劣化状態検知方法に関する。
バナジウムレドックスフロー電池として、図9に記載の電池が負荷平準化や瞬停対策などに利用されている。この電池は、正極電極5と負極電極6を有するセル1と、正極用電解液タンク2および負極用電解液タンク3とを備える。前記セル1は隔膜4により正極セル1Aと負極セル1Bとに区画される。また、正極用電解液タンク2と正極セル1Aとは、往路配管7、復路配管8により接続され、負極用電解液タンク3と負極セル1Bとは、往路配管10、復路配管11により接続されている。そして、ポンプ9,12の駆動により、電解液を図中の矢印の方向に循環させ、正極電極5および負極電極6近傍におけるイオンの価数変化反応により充放電を行う。
通常、上記の電池は、複数のセル1を直列に接続してサブスタックを構成し、さらに複数のサブスタックを直列に接続してセルスタックとして利用される。その際、隣接するセル間、つまり正極電極と負極電極の間には、双極板が配置される。また、複数のセルスタックを組み合わせて電池を形成し、そのうち、電解液の循環系が共通するセルスタック群をモジュールと呼んでいる。
このようなレドックスフロー電池は、経年劣化により電池性能の低下が生じるが、その劣化の検知技術として、特許文献1に記載の技術が知られている。この技術は、レドックスフロー電池でフロート充電を行っている場合に、所定の条件で電池を充電から放電に切り替えたり、所定の条件で充電を停止することで、その際の電池電圧の変化などから電池容量の低下を検出している。
しかし、従来の電池性能の低下を検出する技術では、電池の自己放電量の増加(電流効率の低下)を的確に検出することが難しいという問題があった。レドックスフロー電池の劣化現象の一つとして、自己放電量の増加が挙げられる。自己放電は、電池の経年劣化により、主として隔膜の劣化や正負極電解液のシール不良などが生じ、正極電解液と負極電解液とが異常に接触することで増加する。従来、所定の条件で電池を充放電させた場合の電圧変化などから電池の性能低下を検出しているが、充放電時の電圧変化では、自己放電以外の要因、例えば電極の劣化による抵抗増加や、電解液中のイオンが析出物として析出し、その析出物が電解液流路に詰まることに伴う流量不足による性能低下などの内部抵抗増加現象をも含めて検知することになり、必ずしも自己放電の増加のみを的確に検知できるわけではない。
また、電池の自己放電量の増加は、電流効率の低下として捉えることもできる。電流効率は、「放電で得られた電気量(Ah)/充電に要した電気量(Ah)」で表され、電池を定格条件で充放電させることで把握できる。しかし、レドックスフロー電池は、風力発電など自然エネルギーを用いた発電出力の平滑化運転のように不規則な充放電を強いられる場合や、無停電電源システム(UPS)のように充電待機状態で運用される場合がある。そのような場合は、定格条件で充放電した際のデータを得ること自体が困難であり、電流効率の低下兆候を検知することが難しい。
さらに、電池はモジュール、セルスタック、サブスタック、セルといった単位部材から構成されており、電池が多数の単位部材から構成される場合、いずれの単位部材に自己放電の増加が生じているかを特定することが難しい。例えば、風力発電出力の平滑化目的に利用されるレドックスフロー電池では、非常に多数のセルスタックからなる電池システムが利用されている。そのようなシステムで、仮に上述した定格条件での充放電データが得られたとしても、そのデータは多数のセルスタックの総合的な性能を示すに止まり、電池性能の劣化をモジュール、セルスタック、サブスタック、セルといった単位部材ごとに特定して知る術がなかった。
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的の一つは、電池の自己放電量の増加を適切に検出することができるレドックスフロー電池の劣化状態検知方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、電池の定格充放電が困難な場合であっても、電池の自己放電量の増加を検出することができるレドックスフロー電池の劣化状態検知方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、電池を構成する複数の単位部材のうち、自己放電量の増加した単位部材を特定して検出することができるレドックスフロー電池の劣化状態検知方法を提供することにある。
本発明のさらに別の目的は、電池の自己放電量の増加を適切に検出することができるレドックスフロー電池を提供することにある。
本発明による第一の構成は、複数のモジュールが組み合わされたレドックスフロー電池の性能低下を検知するレドックスフロー電池の劣化状態検知方法である。この方法において、電池の運転としての充放電をしておらず、かつ電解液が各モジュールに循環されている状態で、モジュール毎の電圧を計測し、その電圧の経時変化から自己放電による性能低下を検知することを特徴とする。
この構成によれば、レドックスフロー電池を構成するモジュールにおける異常な自己放電の有無を検知することができる。特に、モジュールごとに電圧を測定することで、複数のモジュールのいずれに異常な自己放電が生じているかを判別することができる。
本発明による第二の構成は、複数のモジュールが組み合わされたレドックスフロー電池の性能低下を検知するレドックスフロー電池の劣化状態検知方法である。この方法において、電池の運転としての充放電をしておらず、かつ電解液が各モジュールに循環されている状態で電池を放電させ、その放電時のモジュール毎の電圧を計測して、その電圧の経時変化から自己放電による性能低下を検知することを特徴とする。
この構成によれば、レドックスフロー電池を構成するモジュールにおける異常な自己放電の有無を検知することができる。特に、モジュールごとに電圧を測定することで、複数のモジュールのいずれに異常な自己放電が生じているかを判別することができる。また、第二の構成では、意図的に放電させて、その際のモジュールの電圧変化をみるため、第一の構成に比べて短時間の電圧変化で自己放電の有無を判断することができる。
本発明による第三の構成は、複数のモジュールが組み合わされたレドックスフロー電池の性能低下を検知するレドックスフロー電池の劣化状態検知方法である。この方法において、電池の運転としての充放電をしておらず、かつ電解液が各モジュールに循環されている状態で、モジュール毎に一定の電圧を印加して電流を計測し、その電流の経時変化から自己放電による性能低下を検知することを特徴とする。
この構成によれば、レドックスフロー電池を構成するモジュールにおける異常な自己放電の有無を検知することができる。特に、モジュールごとに電流を測定することで、複数のモジュールのいずれに異常な自己放電が生じているかを判別することができる。また、第三の構成では、電圧印加時のモジュールの電流変化をみるため、第一の構成に比べて短時間で自己放電の有無を判断することができる。
本発明による第四の構成は、セル、複数のセルが直列に接続されたサブスタックおよび複数のサブスタックが直列に接続されたセルスタックを電池の単位部材として備えるレドックスフロー電池の性能低下を検知するレドックスフロー電池の劣化状態検知方法である。この方法において、電池の運転としての充放電をしておらず、かつ電解液がセルスタックに循環されていない状態で、セルスタック毎、サブスタック毎またはセル毎の電圧を計測し、その電圧の経時変化から自己放電により性能低下を検知することを特徴とする。
この構成によれば、レドックスフロー電池を構成するセルスタック以下の単位部材における異常な自己放電の有無を検知することができる。特に、セルスタック以下の単位部材ごとに電圧を測定することで、複数のセルスタック以下の単位部材のうち、いずれの単位部材に異常な自己放電が生じているかを判別することができる。上述した第一の構成から第三の構成では、電解液が循環されている状態で劣化状態の検知を行う。そのため、モジュールが複数のセルスタックで構成されていた場合、全てのセルスタックは電解液を共用し、いずれのセルスタックで異常な自己放電が生じているかを特定することができない。一方、第四の構成によれば、電解液の循環は行わずに所定の単位部材の電圧計測を行うため、モジュールが複数のセルスタックを有する場合、セルスタック以下の単位部材における自己放電の増加を検知することができる。
本発明による第五の構成は、セル、複数のセルが直列に接続されたサブスタックおよび複数のサブスタックが直列に接続されたセルスタックを電池の単位部材として備えるレドックスフロー電池の性能低下を検知するレドックスフロー電池の劣化状態検知方法である。この方法において、電池の運転としての充放電をしておらず、かつ電解液がセルスタックに循環されていない状態で、セルスタック毎、サブスタック毎またはセル毎に所定の放電を行い、その放電時のセルスタック、サブスタックまたはセルの電圧を計測して、その電圧の経時変化から自己放電による性能低下を検知することを特徴とする。
この構成によれば、レドックスフロー電池を構成するセルスタック以下の単位部材における異常な自己放電の有無を検知することができる。特に、セルスタック以下の単位部材ごとに電圧を測定することで、複数のセルスタック以下の単位部材のうち、いずれの単位部材に異常な自己放電が生じているかを判別することができる。また、第五の構成によれば、電解液の循環は行わずに所定の単位部材の電圧計測を行うため、モジュールが複数のセルスタックを有する場合、セルスタック以下の単位部材における自己放電の増加を検知することができる。さらに、第五の構成では、意図的に放電させて、その際のセルスタック以下の単位部材における電圧変化をみるため、第四の構成に比べて短時間の電圧変化で自己放電の有無を判断することができる。
本発明による第六の構成は、セル、複数のセルが直列に接続されたサブスタックおよび複数のサブスタックが直列に接続されたセルスタックを電池の単位部材として備えるレドックスフロー電池の性能低下を検知するレドックスフロー電池の劣化状態検知方法である。この方法において、電池の運転としての充放電をしておらず、かつ電解液がセルスタックに循環されていない状態で、セルスタック毎、サブスタック毎またはセル毎に所定の電圧を印加して電流を計測し、そのセルスタック毎、サブスタック毎またはセル毎の電流の経時変化から自己放電による性能低下を検知することを特徴とする。
この構成によれば、レドックスフロー電池を構成するセルスタック以下の単位部材における異常な自己放電の有無を検知することができる。特に、セルスタック以下の単位部材ごとに電流を測定することで、複数のセルスタック以下の単位部材のうち、いずれの単位部材に異常な自己放電が生じているかを判別することができる。また、第六の構成によれば、電解液の循環は行わずに所定の単位部材の電流計測を行うため、モジュールが複数のセルスタックを有する場合、セルスタック以下の単位部材における自己放電の増加を検知することができる。さらに、第六の構成では、所定の電圧印加状態における電流変化をみるため、第四の構成に比べて短時間の電圧変化で自己放電の有無を判断することができる。
本発明による第七の構成は、上記第一または第二の構成による本発明方法において、計測される電圧の経時変化を、健全なモジュールにおける電圧の経時変化または他のモジュールにおける電圧の経時変化と比較して、性能低下の生じたモジュールを特定することを特徴とする。
この構成によれば、計測対象となるモジュールの電圧の経時変化を、健全なモジュールにおける電圧の経時変化または他のモジュールにおける電圧の経時変化と比較し、両者の間に一定以上の乖離が認められること等で、自己放電の増加した単位部材を特定することができる。
本発明による第八の構成は、上記第三の構成による本発明方法において、計測される電流の経時変化を、健全なモジュールにおける電流の経時変化または他のモジュールにおける電流の経時変化と比較して、性能低下の生じたモジュールを特定することを特徴とする。
この構成によれば、計測対象となるモジュールの電流の経時変化を、健全なモジュールにおける電流の経時変化または他のモジュールにおける電流の経時変化と比較し、両者の間に一定以上の乖離が認められること等で、自己放電の増加したモジュールを特定することができる。
本発明による第九の構成は、上記第四または第五の構成による本発明方法において、計測される電圧の経時変化を、健全な単位部材における電圧の経時変化または他の単位部材における電流の経時変化との比較により性能低下の生じた単位部材を特定することを特徴とする。
この構成によれば、計測対象となる単位部材の電圧の経時変化を、健全な単位部材における電圧の経時変化または他の単位部材における電圧の経時変化と比較し、両者の間に一定以上の乖離が認められること等で、自己放電の増加した単位部材を特定することができる。
本発明による第十の構成は、上記第六の構成による本発明方法において、計測される電流の経時変化を、健全な単位部材における電流の経時変化または他の単位部材における電流の経時変化と比較して、性能低下の生じた単位部材を特定することを特徴とする。
この構成によれば、検知対象となる単位部材の電流の経時変化を、健全な単位部材における電流の経時変化または他の単位部材における電流の経時変化と比較し、両者の間に一定以上の乖離が認められること等で、自己放電の増加した単位部材を特定することができる。
また、以上の各検知方法を利用して、以下のような順序で組み合わせて実施することで、自己放電による性能低下が生じている検知対象をモジュールからセルスタック、サブスタック、セルという順で、より小さな単位部材に特定することができる。
本発明による第十一の構成は、複数のセルを直列に接続してサブスタックを構成し、複数のサブスタックを直列に接続してセルスタックを構成し、さらに複数のサブスタックに共通する電解液循環系で電解液を給排液してモジュールを構成して、このモジュールを複数組み合わせたレドックスフロー電池における自己放電量の変化を検知するレドックスフロー電池の性能劣化状態検知方法であって、以下の(1)から(2)の過程を備えることを特徴とする。
(1)以下のA、BまたはCの方法によりいずれのモジュールに自己放電による性能低下が生じているかを特定する第一過程。
A:電池の運転としての充放電をしておらず、かつ電解液がセルスタックに循環されている状態で、モジュール毎の電圧を計測し、その電圧の経時変化から自己放電による性能低下が生じているモジュールを特定する。
B:電池の運転としての充放電をしておらず、かつ電解液がセルスタックに循環されている状態で電池を放電させ、その放電時のモジュール毎の電圧を計測して、その電圧の経時変化から自己放電による性能低下が生じているモジュールを特定する。
C:電池の運転としての充放電をしておらず、かつ電解液がセルスタックに循環されている状態で、モジュール毎に一定の電圧を印加して電流を計測し、その電流の経時変化から自己放電による性能低下が生じているモジュールを特定する。
A:電池の運転としての充放電をしておらず、かつ電解液がセルスタックに循環されている状態で、モジュール毎の電圧を計測し、その電圧の経時変化から自己放電による性能低下が生じているモジュールを特定する。
B:電池の運転としての充放電をしておらず、かつ電解液がセルスタックに循環されている状態で電池を放電させ、その放電時のモジュール毎の電圧を計測して、その電圧の経時変化から自己放電による性能低下が生じているモジュールを特定する。
C:電池の運転としての充放電をしておらず、かつ電解液がセルスタックに循環されている状態で、モジュール毎に一定の電圧を印加して電流を計測し、その電流の経時変化から自己放電による性能低下が生じているモジュールを特定する。
(2)第一過程により自己放電による性能低下が認められたモジュール中のいずれのセルスタック、サブスタックまたはセルが自己放電により性能低下が生じているかを、以下のD、EまたはFの方法により特定する第二過程。
D:電池の運転としての充放電をしておらず、かつ電解液がセルスタックに循環されていない状態で、セルスタック毎、サブスタック毎またはセル毎に所定の放電を行い、その放電時のセルスタック、サブスタックまたはセルの電圧を計測して、その電圧の経時変化から自己放電による性能低下が生じているセルスタック、サブスタックまたはセルを特定する。
E:電池の運転としての充放電をしておらず、かつ電解液がセルスタックに循環されていない状態で、セルスタック毎、サブスタック毎またはセル毎に所定の電圧を印加して電流を計測し、そのセルスタック、サブスタックまたはセルの電流の経時変化から自己放電による性能低下が生じているセルスタック、サブスタックまたはセルを特定する。
F:電池の運転としての充放電をしておらず、かつ電解液がセルスタックに循環されていない状態で、セルスタック毎、サブスタック毎またはセル毎の電圧を計測し、その電圧の経時変化から自己放電により性能低下が生じているセルスタック、サブスタックまたはセルを特定する。
D:電池の運転としての充放電をしておらず、かつ電解液がセルスタックに循環されていない状態で、セルスタック毎、サブスタック毎またはセル毎に所定の放電を行い、その放電時のセルスタック、サブスタックまたはセルの電圧を計測して、その電圧の経時変化から自己放電による性能低下が生じているセルスタック、サブスタックまたはセルを特定する。
E:電池の運転としての充放電をしておらず、かつ電解液がセルスタックに循環されていない状態で、セルスタック毎、サブスタック毎またはセル毎に所定の電圧を印加して電流を計測し、そのセルスタック、サブスタックまたはセルの電流の経時変化から自己放電による性能低下が生じているセルスタック、サブスタックまたはセルを特定する。
F:電池の運転としての充放電をしておらず、かつ電解液がセルスタックに循環されていない状態で、セルスタック毎、サブスタック毎またはセル毎の電圧を計測し、その電圧の経時変化から自己放電により性能低下が生じているセルスタック、サブスタックまたはセルを特定する。
以上の過程のうち、第一過程では、複数あるモジュールのうち、どのモジュールで自己放電による性能低下が生じているかを特定できる。この第一過程では、意図的に放電させる方法Bまたは一定電圧を印加して、その際のモジュールの電流を計測する方法Cは、セル内で電池反応が生じ、自己放電以外の要因による性能低下、例えば電極の劣化による性能低下を含めた状態で単位部材の性能低下を検知することになるが、検知時間を短縮できる点がメリットである。
第二過程では、第一過程で異常が認められたモジュールのうち、どのセルスタックまたはサブスタックに自己放電による性能低下が生じているかを特定できる。或いは、異常が認められたサブスタックのうち、どのセルに自己放電による性能低下が生じているかを特定できる。この第二過程の方法DまたはEでは、所定の放電または所定の電圧印加を行うため、セル内で電池反応が生じ、自己放電以外の要因による性能低下、例えば電極の劣化による性能低下を含めた状態で単位部材の性能低下を検知するが、検知時間を短縮できる点がメリットである。
また、方法Fでは、所定の放電または所定の電圧印加を行わず、かつ電解液の循環も行わないため、セルスタック単位、サブスタック単位またはセル単位で自己放電による性能低下を適切に検知することができる。
なお、自己放電による性能劣化の生じた検知対象をサブスタックの単位までしか特定しない場合、そのサブスタック中のいずれのセルに性能劣化が生じているかを特定できないが、それでも複数のモジュールを有する電池システム全体から見れば、異常な検知対象の絞込みは十分実用的なレベルまで可能である。また、その場合、電圧計測手段または電流計側手段をサブスタック単位まで設ければよく、セル単位で設ける必要がないため、これら計測手段の数を削減することもできる。
一方、本発明による第十二の構成は、複数のセルを直列に接続してサブスタックを構成し、複数のサブスタックを直列に接続してセルスタックを構成し、さらに複数のサブスタックに共通する電解液循環系で電解液を給排液してモジュールを構成して、このモジュールを複数組み合わせたレドックスフロー電池である。そして、この電池において、前記セル、サブスタック、セルスタックおよびモジュールの少なくとも一つの単位部材ごとにその電圧を計測する電圧測定手段を有することを特徴とする。
この構成によれば、電圧測定手段を設けた単位部材ごとにその電圧を計測できるため、本発明方法を実施可能なレドックスフロー電池を容易に構築することができる。
本発明による第十三の構成は、複数のセルを直列に接続してサブスタックを構成し、複数のサブスタックを直列に接続してセルスタックを構成し、さらに複数のサブスタックに共通する電解液循環系で電解液を給排液してモジュールを構成して、このモジュールを複数組み合わせたレドックスフロー電池である。そして、この電池において、前記セル、サブスタック、セルスタックおよびモジュールの少なくとも一つの単位部材ごとに一定の電圧を印加可能な電圧印加手段と、この電圧印加時における各単位部材に流れる電流を計測する電流測定手段とを有することを特徴とする。
この構成によれば、電圧印加手段を所定の単位部材毎に設けることで、各単位部材に一定の電圧を印加することができる。また、電流測定手段を設けた単位部材ごとにその電流を計測できるため、本発明方法を実施可能なレドックスフロー電池を容易に構築することができる。
本発明レドックスフロー電池の劣化状態検知方法によれば、レドックスフロー電池の自己放電による電池性能の低下を的確に検知することができる。特に、電池がセル、サブスタック、セルスタック、モジュールといった単位部材から構成され、各単位部材が複数存在している場合に、どの単位部材で自己放電による電池性能の低下が起こっているかを容易に特定することができる。
また、本発明レドックスフロー電池によれば、セル、サブスタック、セルスタックおよびモジュールの少なくとも一つの単位部材ごとに自己放電による性能低下を検知するための計測手段を設けることで、自己放電による電池性能の低下が起こっている単位部材を特定可能な電池システムを構築できる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
<実施の形態1>
図1に本発明検知方法を適用するレドックスフロー電池システムを示す。この電池システムは、2つのセルスタック100A(100B)の組合せに共通する正極用電解液タンク2A(2B)と負極用電解液タンク3A(3B)を対応させ、これら一対のセルスタック100A(100B)の組合せでモジュールを構成している。ここでは、合計2モジュールで電池を構成している。図1において、各タンク2A(2B)、3A(3B)とセルスタック100A(100B)の間を結ぶ実線は、電解液の往路を示し、同破線は電解液の復路を示している。
図1に本発明検知方法を適用するレドックスフロー電池システムを示す。この電池システムは、2つのセルスタック100A(100B)の組合せに共通する正極用電解液タンク2A(2B)と負極用電解液タンク3A(3B)を対応させ、これら一対のセルスタック100A(100B)の組合せでモジュールを構成している。ここでは、合計2モジュールで電池を構成している。図1において、各タンク2A(2B)、3A(3B)とセルスタック100A(100B)の間を結ぶ実線は、電解液の往路を示し、同破線は電解液の復路を示している。
また、各セルスタック100A(100B)は、図示していないが、6つのサブスタックを直列につないで(積層して)構成され、各サブスタックは、18のセルを直列につないで(積層して)構成されている。これらセルスタック100A(100B)を構成するいずれのセルにも、共通する正極用電解液タンク2A(2B)および負極用電解液タンク3A(3B)から電解液が供給可能なように、往路にポンプ9A,12A(9B,12B)が設けられている。
そして、各セルは、図9に示したように、隔膜の両側に正極と負極が配され、その電極の各々に正極電解液、負極電解液が供給されるようになっている。また、隣接するセル間、つまり正極電極と負極電極の間は、図示しない双極板で隔てられている。以下の説明において、モジュール、セルスタック、サブスタック、セルの各々を電池の単位部材とする(他の実施形態でも同様)。
このような電池システムにおいて、モジュールの各々に電圧計21を設け、各モジュール単位で電圧の計測を行う。この電圧計測は、電池の運転としての充放電は行わないが、セルスタック100A(100B)に電解液を循環させた状態で行なう。つまり、同一モジュールにおけるセルスタック100A(100B)は、同一状態の電解液で満たされることになる。運転としての充放電を行わない時間帯は実際の運転においても生じる。また、セルスタック100A(100B)に電解液を循環させておく状態も実際の運転で生じる。そのため、充放電を行うことなく電解液を充電させた状態でモジュール毎の電圧を計測することは、実運転状態で最も簡易に行い得る現実的な手法である。
このような電圧の計測を行って、その経時変化を調べる。その結果を図2に示す。ここでは、モジュールAは正常であるが、モジュールBには異常な自己放電の生じたセルスタック、サブスタックまたはセルが存在するとする。このグラフに示すように、正常なモジュールAでは、時間の経過に伴って計測電圧は緩やかな低下を示す。一方、異常な自己放電が生じている単位部材を含むモジュールBでは、モジュールAに比べてより急峻な電圧降下が生じていることがわかる。つまり、正常なモジュールにおける電圧経時変化と、異常なモジュールにおける電圧経時変化を比較し、両経時変化に一定以上の乖離が見られた場合、モジュールBには異常な自己放電の生じた単位部材が含まれていると判断することができる。
なお、本例では複数のセルスタックを直列に接続してモジュールを構成した例を示したが、セルスタック同士の接続の仕方は、これに限定されるわけではない。例えば、複数のセルスタックを直列に接続して一単位とし、その単位を複数並列に接続してモジュールを構成してもよい。
<実施の形態2>
次に、あるモジュール内で自己放電の増加しているセルスタックまたはあるセルスタック内で自己放電の増加しているサブスタックまたはセルを特定できる本発明方法を図3および図4に基づいて説明する。ここでは、図1に示した電池システムのうち、特定のモジュールについて異常な自己放電による単位部材が存在するかどうかを検知する。
次に、あるモジュール内で自己放電の増加しているセルスタックまたはあるセルスタック内で自己放電の増加しているサブスタックまたはセルを特定できる本発明方法を図3および図4に基づいて説明する。ここでは、図1に示した電池システムのうち、特定のモジュールについて異常な自己放電による単位部材が存在するかどうかを検知する。
図3に示すように、セルスタック、サブスタック、セルの各々に電圧計21を設け、各単位部材ごとに電圧が計測できるようにする。この図では、説明の便宜上、セル1間やサブスタック間に間隔を設けて示しているが、実際には多数のセル1が隣接して積層されている(後述する図7も同様)。
この電圧計測は、電池の運転としての充放電は行わず、かつ電解液の循環もせずに行う。そして、計測した電圧の経時変化を調べる。その計測例を図4のグラフに示す。このグラフに示すように、正常なセルスタック、サブスタックまたはセルの場合、時間の経過に伴い、緩やかに電圧が降下する。これに対して、異常なセルを含むセルスタック、サブスタックまたはセルでは、正常な単位部材の電圧降下に比べて不規則で急峻な電圧降下が認められる。そのため、この電圧の経時変化にある程度の乖離が認められれば、自己放電量が増加していると判断することができる。
実施の形態1では、電解液を循環させながらモジュールの電圧計測を行ったため、セルスタック以下の単位部材を特定して自己放電の増加を検知することができない。これに対し、本例では、電解液を循環させることなく各単位部材毎の電圧計測を行うため、各単位部材中に滞留する電解液はそれぞれ独立状態に保持される。そのため、モジュール内のいずれのセルスタック、サブスタックまたはセルに自己放電の増加が生じているかを確実に特定することができる。特に、本例は、検知対象の単位部材に後述する実施の形態3での放電や実施の形態4での電圧の印加を行なわないため、実質的に自己放電の増加のみを要因とする電池性能の低下を的確に検知することができる。
<実施の形態3>
次に、実施の形態2と同様に、あるモジュール内で自己放電の増加しているセルスタックまたはあるセルスタック内で自己放電の増加しているサブスタックまたはセルを特定できる本発明方法を図5に基づいて説明する。ここでは、図1に示した電池システムのうち、特定のモジュールについて異常な自己放電による単位部材が存在するかどうかを検知する。
次に、実施の形態2と同様に、あるモジュール内で自己放電の増加しているセルスタックまたはあるセルスタック内で自己放電の増加しているサブスタックまたはセルを特定できる本発明方法を図5に基づいて説明する。ここでは、図1に示した電池システムのうち、特定のモジュールについて異常な自己放電による単位部材が存在するかどうかを検知する。
本例での電池構成は図3の電池構成と同様である。このような電池において、電池の運転としての充放電は行わず、かつ電解液の循環もせずに異常検知を行う。その際、異常を検知しようとする単位部材を放電させ、その際の単位部材毎の電圧を計測して、電圧経時変化から異常な自己放電を起こしている単位部材を特定する。放電は、この電池システムが接続される電力系統に放電しても良いし、各単位部材に所定の外部抵抗を接続して、その抵抗に放電させても良い。放電時間は、異常な単位部材の特定が可能な電圧経時特性が得られればよく、不必要に放電する必要はない。この放電は、内部抵抗増加などの他の要因の影響を小さくする点からも、定格電流よりも小さい値、例えば1セル当り1V程度まで放電することが好ましい。但し、1セル当り1Vに至るまでに十分に特異な特性を示すデータが得られれば、そこで放電を打ち切れば良い。
その計測例を図5のグラフに示す。このグラフに示すように、正常なセルスタック、サブスタックまたはセルの場合、時間の経過に伴い、緩やかに電圧が降下する。これに対して、異常なセルを含むセルスタック、サブスタックまたはセルでは、正常な単位部材の電圧降下に比べて不規則で急峻な電圧降下が認められる。そのため、この電圧の経時変化にある程度の乖離が認められれば、自己放電量が増加していると判断することができる。特に、本例では、意図的に放電させて電圧の経時変化を調べるため、実施の形態2に比べてより短時間で異常な自己放電を起こしている単位部材を特定することができる。
<実施の形態4>
次に、実施の形態1とは異なる手法により、モジュール単位で異常な自己放電の生じている単位部材を特定する本発明方法を図6に基づいて説明する。
次に、実施の形態1とは異なる手法により、モジュール単位で異常な自己放電の生じている単位部材を特定する本発明方法を図6に基づいて説明する。
本例では、実施の形態1と類似の電池システムを用い、電池の運転としての充放電は行わないが、セルスタックに電解液を循環させた状態で異常検知を行う。ただし、本例では、4つのセルスタックを直列に接続したものを一つの分路とし、この分路を2つ並列に接続した電池システムを用いた。このシステムにおいて、1分路の隣接する2つのセルスタックと2分路の2つの隣接するセルスタックでAモジュールを構成し、1分路の残る2つのセルスタックと2分路の残る2つのセルスタックでBモジュールが構成される。そして、この電池システムがインバータを介して接続される電力系統から各モジュールに一定の電圧を印加し、その際にモジュールに流れる電流を計測する。つまり、各分路の各々に電流計を直列に接続した電池システムを用いればよい。印加する一定電圧は、単セル当たりの上限を1.5V程度までとすることが好ましい。そして、その電流の経時変化を調べる。
その計測例を図6のグラフに示す。ここでは、1分路は正常で、異常な構成単位が2分路に存在するとする。このグラフに示すように、時間の経過に伴い、1分路ではまず急激に電流値が上昇し、その後、ほぼ一定の電流値に飽和する。一方、2分路では、当初急激な電流値の上昇が見られ、その後一定値に飽和する傾向は1分路の場合と同様であるが、飽和する電流値の値が1分路のそれよりもはるかに大きくなっている。これは、一定の電圧を各分路に印加した際、いずれの分路も一定電圧となるには、異常な自己放電が生じている2分路は、その自己放電量に見合う電流を外部から導入する必要があり、その結果、正常な1分路に比べて電流値が高くなるからである。そのため、この電流の経時変化を調べ、正常な分路の経時変化に比べて一定値以上の乖離が認められることで、異常な自己放電の生じている分路を特定することができる。さらに、一定電圧印加時の電流を計測するため、実施の形態1に比べてより短時間で異常な分路を特定することができる。そして、本例の方法も、実施の形態1の方法と同様に、電解液の循環を停止することなく実施でき、電池の実運転中に行う方法として現実的な検知方法である。
本例では、電池システムが接続される電力系統から各分路に一定電圧を印加したが、モジュールの各々に別途外部電源を接続し、この電源を用いて各モジュールに電圧を印加するようにしてもよい。その際のモジュール毎の電流値を比較すれば異常なモジュールを特定することができる。
<実施の形態5>
次に、実施の形態2とは異なる手法により、セルスタック以下の単位で異常な自己放電の生じている単位部材を特定する本発明方法を図7および図8に基づいて説明する。ここでは、図1に示した電池システムのうち、特定のモジュールについて異常な自己放電による単位部材が存在するかどうかを検知する。
次に、実施の形態2とは異なる手法により、セルスタック以下の単位で異常な自己放電の生じている単位部材を特定する本発明方法を図7および図8に基づいて説明する。ここでは、図1に示した電池システムのうち、特定のモジュールについて異常な自己放電による単位部材が存在するかどうかを検知する。
本例の電池システムでは、図7に示すように、セルスタック、サブスタック、セルの各々に外部電源23を接続し、この電源から各単位部材毎に一定電圧を印加できるようにしている。また、セルスタック、サブスタック、セルの各々に電流計22を設け、上記電圧印加時に各単位部材ごとの電流が計測できるようにする。この電流計測は、電池の運転としての充放電は行わず、かつ電解液の循環もせずに行う。そして、計測した電流の経時変化を調べる。
その計測例を図8のグラフに示す。このグラフに示すように、時間の経過に伴い、正常な単位部材ではまず急激に電流値が上昇し、その後、ほぼ一定の電流値に飽和する。一方、異常な単位部材では、当初急激な電流値の上昇が見られ、その後一定値に飽和する傾向は正常な単位部材の場合と同様であるが、飽和する電流値の値が正常な単位部材のそれよりもはるかに大きくなっている。これは、一定の電圧を各単位部材に印加した際、いずれの単位部材も一定電圧となるには、異常な自己放電が生じている単位部材は、その自己放電量に見合う電流を外部から導入する必要があり、その結果、正常な単位部材に比べて電流値が高くなるからである。そのため、この電流の経時変化を調べ、正常な単位部材の経時変化に比べて一定値以上の乖離が認められることで、異常な自己放電の生じている単位部材を特定することができる。さらに、一定電圧印加時の電流を計測するため、実施の形態2に比べてより短時間で異常な単位部材を特定することができる。
その他、上記の一定電圧の印加と電流計測の代わりに、電池の運転としての充放電をしておらず、かつ電解液が各モジュールに循環されている状態で、モジュール毎に一定の電圧を印加し、その際にモジュールに流れる電流を計測してもよい。その場合、電流の経時変化から自己放電による性能低下を検知することができる。
<実施の形態6>
次に、上述した複数の手法を組み合わせた本発明方法を説明する。本例では、図1のように複数のモジュールを持つ電池システムにおいて、まず異常な自己放電の生じているモジュールを特定し、次に、その異常なモジュール内における異常なセルスタックを特定し、さらに異常なセルスタック内における異常なサブスタックを特定する。
次に、上述した複数の手法を組み合わせた本発明方法を説明する。本例では、図1のように複数のモジュールを持つ電池システムにおいて、まず異常な自己放電の生じているモジュールを特定し、次に、その異常なモジュール内における異常なセルスタックを特定し、さらに異常なセルスタック内における異常なサブスタックを特定する。
ここでは異常なモジュールの特定を行う第一過程として、実施の形態1に示す方法を用いる。つまり、モジュールの各々に電圧計を設け、電池の充放電を行わず、かつ電解液を循環させた状態で、各モジュール単位で電圧の計測を行う。そして、電圧の経時変化から異常なモジュールを特定する。この段階では、異常なモジュールは特定できるものの、セルスタック以下の単位で異常な単位部材を特定することはできない。
次に、異常なモジュールの特定ができたら、そのモジュールにおける異常なセルスタックを特定する第二過程として、実施の形態2または3に示す方法を用いる。例えば、実施の形態3に示す方法を利用する場合、セルスタックの各々に電圧計を設け、電池の充放電を行わず、かつ電解液を循環しない状態で、モジュール中のセルスタック単位で所定の放電を行い、その際の電圧の経時変化を調べる。そして、電圧の経時変化から異常なセルスタックを特定する。この段階では、各セルスタックに電解液が循環されていないため、いずれのセルスタックが異常かの特定はできるが、いずれのサブスタックに異常な自己放電が発生しているのかは特定できない。
続いて、実施の形態2で示す方法を利用して、異常なサブスタックを特定する。つまり、サブスタックの各々に電圧計を設け、電池の充放電を行わず、かつ電解液を循環しない状態で、各サブスタック単位で電圧の計測を行う。そして、電圧の経時変化から異常なサブスタックを特定する。この段階で、複数のモジュールを有する電池において、いずれのサブスタックに異常な自己放電が生じているかを特定することができる。
このような方法によれば、非常に多数のセルからなる電池であっても、異常が見つかった単位部材についてのみ、さらに小さな単位部材における異常の検出を行えばよく、モジュール、セルスタック、サブスタックというより限定された単位に異常な単位部材を効率的に絞り込むことができる。これらの過程のうち、第二過程の、放電時の電圧経時変化を調べる方法では、自己放電以外の要因による性能低下も検知する場合がある。しかし、電池の運転としての放電をさせず、自己放電のみをさせた場合には、実質的に自己放電による性能劣化が生じている単位部材を特定することができる。特に、異常な単位部材の検出に際し、最も小さな単位部材への絞込みを行う最終段階で、意図的な放電をさせず、自己放電のみをさせて異常な単位部材の検出を行うことが好ましい。
なお、本実施の形態では、サブスタックの単位までしか異常な単位部材の特定を行っていないが、さらにセル単位で電圧の経時変化を調べれば、個々のセルの単位で異常なセルを特定することができる。
<実施の形態7>
以上のいずれの実施の形態も、ある単位部材と他の単位部材との電圧経時変化または電流経時変化を比較したが、予め正常な単位部材の電圧経時変化または電流経時変化を調べておき、その経時変化を比較の基準としてもよい。つまり、この基準経時変化と実際に計測した単位部材の経時変化とを比較し、両経時変化に一定以上の乖離が認められることで異常な単位部材を特定するようにしてもよい。その場合、例えば電圧経時変化を計測した単位部材は、通常、計測開始時の電圧が異なるため、各単位部材の充電深度も求め、ある充電深度での電圧がいくらになるかという対応関係も計測することが好ましい。
以上のいずれの実施の形態も、ある単位部材と他の単位部材との電圧経時変化または電流経時変化を比較したが、予め正常な単位部材の電圧経時変化または電流経時変化を調べておき、その経時変化を比較の基準としてもよい。つまり、この基準経時変化と実際に計測した単位部材の経時変化とを比較し、両経時変化に一定以上の乖離が認められることで異常な単位部材を特定するようにしてもよい。その場合、例えば電圧経時変化を計測した単位部材は、通常、計測開始時の電圧が異なるため、各単位部材の充電深度も求め、ある充電深度での電圧がいくらになるかという対応関係も計測することが好ましい。
本発明検知方法は、レドックスフロー電池の自己放電による性能劣化を検知することに好適に利用できる。また、本発明電池は、自己放電による性能劣化の検知が容易に行える電池システムとして好適に利用できる。
1 セル 1A 正極セル 1B 負極セル
2 正極用電解液タンク 3 負極用電解液タンク 4 隔膜
5 正極電極 6 負極電極 7,10 往路配管 8,11 復路配管 9,12 ポンプ
21 電圧計 22 電流計 23 外部電源
100A,100B セルスタック
2A,2B 正極用電解液タンク 3A,3B 負極用電解液タンク 9A,9B,12A,12B ポンプ
2 正極用電解液タンク 3 負極用電解液タンク 4 隔膜
5 正極電極 6 負極電極 7,10 往路配管 8,11 復路配管 9,12 ポンプ
21 電圧計 22 電流計 23 外部電源
100A,100B セルスタック
2A,2B 正極用電解液タンク 3A,3B 負極用電解液タンク 9A,9B,12A,12B ポンプ
Claims (13)
- 複数のモジュールが組み合わされたレドックスフロー電池の性能低下を検知するレドックスフロー電池の劣化状態検知方法であって、
電池の運転としての充放電をしておらず、かつ電解液が各モジュールに循環されている状態で、モジュール毎の電圧を計測し、その電圧の経時変化から自己放電による性能低下を検知することを特徴とするレドックスフロー電池の劣化状態検知方法。 - 複数のモジュールが組み合わされたレドックスフロー電池の性能低下を検知するレドックスフロー電池の劣化状態検知方法であって、
電池の運転としての充放電をしておらず、かつ電解液が各モジュールに循環されている状態で電池を放電させ、その放電時のモジュール毎の電圧を計測して、その電圧の経時変化から自己放電による性能低下を検知することを特徴とするレドックスフロー電池の劣化状態検知方法。 - 複数のモジュールが組み合わされたレドックスフロー電池の性能低下を検知するレドックスフロー電池の劣化状態検知方法であって、
電池の運転としての充放電をしておらず、かつ電解液が各モジュールに循環されている状態で、モジュール毎に一定の電圧を印加して電流を計測し、その電流の経時変化から自己放電による性能低下を検知することを特徴とするレドックスフロー電池の劣化状態検知方法。 - セル、複数のセルが直列に接続されたサブスタックおよび複数のサブスタックが直列に接続されたセルスタックを電池の単位部材として備えるレドックスフロー電池の性能低下を検知するレドックスフロー電池の劣化状態検知方法であって、
電池の運転としての充放電をしておらず、かつ電解液がセルスタックに循環されていない状態で、セルスタック毎、サブスタック毎またはセル毎の電圧を計測し、その電圧の経時変化から自己放電による性能低下を検知することを特徴とするレドックスフロー電池の劣化状態検知方法。 - セル、複数のセルが直列に接続されたサブスタックおよび複数のサブスタックが直列に接続されたセルスタックを電池の単位部材として備えるレドックスフロー電池の性能低下を検知するレドックスフロー電池の劣化状態検知方法であって、
電池の運転としての充放電をしておらず、かつ電解液がセルスタックに循環されていない状態で、セルスタック毎、サブスタック毎またはセル毎に所定の放電を行い、その放電時のセルスタック、サブスタックまたはセルの電圧を計測して、その電圧の経時変化から自己放電による性能低下を検知することを特徴とするレドックスフロー電池の劣化状態検知方法。 - セル、複数のセルが直列に接続されたサブスタックおよび複数のサブスタックが直列に接続されたセルスタックを電池の単位部材として備えるレドックスフロー電池の性能低下を検知するレドックスフロー電池の劣化状態検知方法であって、
電池の運転としての充放電をしておらず、かつ電解液がセルスタックに循環されていない状態で、セルスタック毎、サブスタック毎またはセル毎に所定の電圧を印加してセルスタック毎、サブスタック毎またはセル毎の電流を計測し、その電流の経時変化から自己放電による性能低下を検知することを特徴とするレドックスフロー電池の劣化状態検知方法。 - 計測された電圧の経時変化を、健全なモジュールにおける電圧の経時変化または他のモジュールにおける電圧の経時変化と比較して、性能低下の生じたモジュールを特定することを特徴とする請求項1または2に記載のレドックスフロー電池の劣化状態検知方法。
- 計測された電流の経時変化を、健全なモジュールにおける電流の経時変化または他のモジュールにおける電流の経時変化と比較して、性能低下の生じたモジュールを特定することを特徴とする請求項3に記載のレドックスフロー電池の劣化状態検知方法。
- 計測された電圧の経時変化を、健全な単位部材における電圧の経時変化または他の単位部材における電圧の経時変化と比較して、性能低下の生じた単位部材を特定することを特徴とする請求項4または5に記載のレドックスフロー電池の劣化状態検知方法。
- 計測された電流の経時変化を、健全な単位部材における電流の経時変化または他の単位部材における電流の経時変化と比較して、性能低下の生じた単位部材を特定することを特徴とする請求項6に記載のレドックスフロー電池の劣化状態検知方法。
- 複数のセルを直列に接続してサブスタックを構成し、複数のサブスタックを直列に接続してセルスタックを構成し、さらに複数のサブスタックに共通する電解液循環系で電解液を給排液してモジュールを構成して、このモジュールを複数組み合わせたレドックスフロー電池における自己放電量の変化を検知するレドックスフロー電池の性能劣化状態検知方法であって、以下の(1)から(2)の過程を備えることを特徴とするレドックスフロー電池の性能劣化状態検知方法。
(1)以下のA、BまたはCの方法によりいずれのモジュールに自己放電による性能低下が生じているかを特定する第一過程。
A:電池の運転としての充放電をしておらず、かつ電解液がセルスタックに循環されている状態で、モジュール毎の電圧を計測し、その電圧の経時変化から自己放電による性能低下が生じているモジュールを特定する。
B:電池の運転としての充放電をしておらず、かつ電解液がセルスタックに循環されている状態で電池を放電させ、その放電時のモジュール毎の電圧を計測して、その電圧の経時変化から自己放電による性能低下が生じているモジュールを特定する。
C:電池の運転としての充放電をしておらず、かつ電解液がセルスタックに循環されている状態で、モジュール毎に一定の電圧を印加して電流を計測し、その電流の経時変化から自己放電による性能低下が生じているモジュールを特定する。
(2)第一過程により自己放電による性能低下が認められたモジュール中のいずれのセルスタック、サブスタックまたはセルが自己放電により性能低下が生じているかを、以下のD、EまたはFの方法により特定する第二過程。
D:電池の運転としての充放電をしておらず、かつ電解液がセルスタックに循環されていない状態で、セルスタック毎、サブスタック毎またはセル毎に所定の放電を行い、その放電時のセルスタック、サブスタックまたはセルの電圧を計測して、その電圧の経時変化から自己放電による性能低下が生じているセルスタック、サブスタックまたはセルを特定する。
E:電池の運転としての充放電をしておらず、かつ電解液がセルスタックに循環されていない状態で、セルスタック毎、サブスタック毎またはセル毎に所定の電圧を印加してセルスタック毎、サブスタック毎またはセル毎の電流を計測し、その電流の経時変化から自己放電による性能低下が生じているセルスタック、サブスタックまたはセルを特定する。
F:電池の運転としての充放電をしておらず、かつ電解液がセルスタックに循環されていない状態で、セルスタック毎、サブスタック毎またはセル毎の電圧を計測し、その電圧の経時変化から自己放電により性能低下が生じているセルスタック、サブスタックまたはセルを特定する。 - 複数のセルを直列に接続してサブスタックを構成し、複数のサブスタックを直列に接続してセルスタックを構成し、さらに複数のサブスタックに共通する電解液循環系で電解液を給排液してモジュールを構成して、このモジュールを複数組み合わせたレドックスフロー電池であって、
前記セル、サブスタック、セルスタックおよびモジュールの少なくとも一つの単位部材ごとにその電圧を計測する電圧測定手段を有することを特徴とするレドックスフロー電池。 - 複数のセルを直列に接続してサブスタックを構成し、複数のサブスタックを直列に接続してセルスタックを構成し、さらに複数のサブスタックに共通する電解液循環系で電解液を給排液してモジュールを構成して、このモジュールを複数組み合わせたレドックスフロー電池であって、
前記セル、サブスタック、セルスタックおよびモジュールの少なくとも一つの単位部材ごとに一定の電圧を印加可能な電圧印加手段と、
この電圧印加時における各単位部材に流れる電流を計測する電流測定手段とを有することを特徴とするレドックスフロー電池。
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