JP2007207374A - 記憶装置、スピンドルモータ制御方法及びプログラム - Google Patents

記憶装置、スピンドルモータ制御方法及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】媒体枚数の異なる装置であっても、共通のスピンドルモータ制御部により所望の制御特性を広範囲の使用条件においても維持可能とする。
【解決手段】 デフォルトゲインテーブル52に媒体の枚数毎に予め定めたスピンドルモータ制御部46のループゲインを記憶する。ループゲイン設定部50は、媒体の枚数を検出し、検出した媒体枚数に応じたループゲインをデフォルトゲインテーブル52から読み出してスピンドルモータ制御部46に設定する。ループゲイン測定部48は製造工程の試験で、スピンドルモータ制御部46のループゲインを測定して最適ループゲインに調整し、これをデフォルトループゲインとして装置に記憶する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、スピンドルモータにより回転される媒体に情報を読み書きする記憶装置、スピンドルモータ制御方法及びプログラムに関し、特に、媒体を一定速度で回転するようにスピンドルモータをサーボ制御するためのループゲインを最適に制御する記憶装置、スピンドルモータ制御方法及びプログラムに関する。
従来、磁気ディスク装置等の記憶装置にあっては、記録媒体を一定速度で回転するスピンドルモータとして3相のブラスレスDCモータを使用しており、スピンドルモータ制御部により、目標回転速度を設定すると共にブラシレスDCモータの回転速度を3相ステータコイルの逆起電力から検出してフィードバックすることで目標回転速度との偏差を求め、この偏差を零とするようにスピンドルモータに対する各相の駆動電流を制御するサーボ制御を行っている。
モータ各相に供給する駆動電流は、速度偏差をなくすようにデューティ比が制御され、デューティ比制御によるスイッチング電流波形のピーク変化を正弦波とすることでノイズを低減している。
また近年にあっては、磁気ディスク装置はディスクトップ型やノート型のパーソナルコンピュータに留まらず、カーナビゲーションシステムやAV機器など使用分野が拡大しており、量産性とコスト低減を図るため、装置に搭載する媒体枚数のみを異ならせ、それ以外の筐体、ディスクエンクロージャ、回路ボード、ファームウェアを共通化した装置が製造されている。
通常、媒体枚数が異なる装置に使用するスピンドルモータ制御部の設計作業にあっては、媒体枚数が異なるとスピンドルモータのイナーシャが異なることから、このイナーシャの変動に対しスピンドルモータの制御特性が影響されないようにサーボループのループゲインを決定し、媒体枚数が多くとも少なくとも共通に制御できるように設計している。
特開平9−198820号公報
しかしながら、このような従来の媒体枚数が異なる装置に対応したスピンドルモータ制御部にあっては、媒体枚数の相違に伴うイナーシャの変動をカバーするようにサーボゲインを決定しているが、媒体枚数が固定しているスピンドルモータ制御部のループゲインを最適化した場合に比べると、温度や電源電圧といった外乱に対する安定性が万全とはいえない。
例えば装置の環境温度が変化した場合、スピンドルモータ内部のマグネット強度が温度により変化する他、特に流体軸受を使用している場合にはオイル粘度の変化によってサーボループのループゲインが変化し、例えば0℃〜60℃といった使用温度範囲の温度条件下でスピンドルモータにつき所望の制御特性を保つことができなくなる問題がある。
また電源電圧の変化が生じた場合、モータ電流をPWM制御していることで、電圧変動の影響を受けてループゲインが変化する場合がある。これはモータ電流のPWM制御が、速度偏差をなくすようにデューティ比を変化させており、電源電圧が低下すると電流が減少して速度が低下し、速度偏差が大きくなることからデューティ比を増加させることになり、このデューティ比の変化がループゲインの変化を引き起すし、所望の制御特性を保つことができなくなる場合がある。
更に、実際の装置では温度変化と電源電圧の変化が複合的に生ずるため、媒体枚数の変化に対しスピンドルモータを所望の制御特性に全ての環境下で維持することは困難である。
本発明は、媒体枚数の異なる装置であっても、共通のスピンドルモータ制御部により所望の制御特性を広範囲の使用条件においても維持可能とする記憶装置、スピンドルモータ制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
(記憶装置)
本発明は、媒体を一定回転数に保つようにスピンドルモータをサーボ制御するスピンドルモータ制御部を備えた記憶装置に於いて、
媒体の枚数毎に予め定めたスピンドルモータ制御部のループゲインを記憶するループゲイン記憶部と、
媒体の枚数を検出し、検出した媒体枚数に応じたループゲインをループゲイン記憶部から読み出してスピンドルモータ制御部に設定するループゲイン設定部と、
を設けたことを特徴とする。
ここで、ループゲイン設定部は、ヘッド制御回路に対するヘッド接続数を検出し、検出したヘッド接続数から媒体枚数を検出する。例えばループゲイン設定部は、ヘッド制御回路のヘッド接続端子を順次選択しながら書込電流を流して抵抗を測定し、測定抵抗が所定値以下の場合にヘッド接続有りを判別してヘッド接続数を検出する。
ループゲイン記憶部は、媒体枚数毎に予め測定したループゲインを格納したデフォルトゲインテーブルを記憶した不揮発性メモリである。
本発明の記憶装置は、更に、スピンドルモータ制御部のループゲインを測定して最適ループゲインに調整するループゲイン測定部を設ける。この場合、ループゲイン設定部は、最初の電源投入に伴う起動時に、媒体枚数に対応したループゲインをデフォルトゲインテーブルから読み出してスピンドルモータ制御部に設定し、次に、ループゲイン測定部によりスピンドルモータ制御部を最適ループゲインに調整すると共に最適ループゲインを媒体のシステム領域に保存し、2回目以降の電源投入に伴う起動時は、媒体のシステム領域から最適ループゲインを読出してスピンドルモータ制御部に設定する。
ループゲイン測定部は、スピンドルモータ制御部の出力信号に外乱信号を印加した後に得られる応答信号を測定し、応答信号が外乱信号に一致するようにループゲインを最適値に調整する。
ループゲイン記憶部は、媒体枚数に加え、装置の使用温度範囲の各温度と、電源電圧の許容電圧範囲の各電圧毎に予め定めたスピンドルモータ制御部のループゲインを格納したデフォルトゲインテーブルを記憶した不揮発メモリであり、
ループゲイン設定部は、電源投入に伴う装置起動時に検出した温度と電源電圧に対応したループゲインをデフォルトゲインテーブルから読み出してスピンドルモータ制御部に設定する。
ループゲイン設定部は、装置動作中に、所定値を超える温度又は電源電圧の変動を検出した際に、変動後の温度又は電源電圧に対応したループゲインをデフォルトゲインテーブルから読み出してスピンドルモータ制御部に設定する。
スピンドルモータ制御部のループゲインを測定して最適ループゲインに調整するループゲイン測定部を設けた場合、ループゲイン設定部は、最初の電源投入に伴う起動時に、媒体枚数、温度及び電源電圧に対応したループゲインをデフォルトゲインテーブルから読み出してスピンドルモータ制御部に設定し、次に、ループゲイン測定部によりスピンドルモータ制御部を最適ループゲインに調整すると共に最適ループゲインを媒体のシステム領域に保存し、2回目以降の電源投入に伴う起動時は、媒体のシステム領域から最適ループゲインを読出してスピンドルモータ制御部に設定する。
(方法)
本発明は記憶装置のスピンドルモータ制御方法を提供する。本発明の記憶装置のスピンドルモータ制御方法は、
媒体を一定回転数に保つようにスピンドルモータをサーボ制御するスピンドルモータ制御ステップと、
媒体の枚数毎に予め定めたスピンドルモータ制御ステップのループゲインを記憶するループゲイン記憶ステップと、
媒体の枚数を検出し、検出した媒体枚数に応じたループゲインをループゲイン記憶ステップから読み出してスピンドルモータ制御ステップに設定するループゲイン設定ステップと、
を設けたことを特徴とする。
(プログラム)
本発明は、媒体を一定回転数に保つようにスピンドルモータをサーボ制御するスピンドルモータ制御部を備えた記憶装置のコンピュータにより実行されるプログラムを提供する。
本発明のプログラムは、記憶装置のコンピュータに、
媒体の枚数毎に予め定めた前記スピンドルモータ制御ステップのループゲインを記憶するループゲイン記憶ステップと、
媒体の枚数を検出し、検出した媒体枚数に応じたループゲインをループゲイン記憶ステップから読み出してスピンドルモータ制御ステップに設定するループゲイン設定ステップと、
を実行させることを特徴とする。
本発明は、媒体枚数が異なる記憶装置につき、媒体枚数毎に所望の制御特性を実現するスピンドルモータ制御部のループゲインを製造工程内の試験で測定して統計的に予め求め、デフォルトのループゲインとしてテーブルに格納しておき、装置の電源投入に伴う起動時に、自動的に媒体枚数を検出し、媒体枚数に対応したループゲインをテーブルから読出してスピンドルモータ制御部に設定することで、媒体枚数に対応した最適なループゲインが設定され、異なる媒体枚数をカバーするように決定していた従来のループゲインに比べ、実際の媒体枚数に適合した最適なループゲインが設定でき、このため広範囲の温度変化や電源電圧の変動に対し所望の制御性能をより確実に維持することができる。
またテーブルにより媒体枚数に対応したデフォルトのループゲインの設定を行った後に、ループゲイン測定部により装置自身で実際のループゲインを測定し、最適なループゲインに調整して設定することで、統計的に得ているデフォルトのループゲインが装置固有の最適なループゲインに設定変更され、温度変化や電源電圧の変動に対し確実に所望のスピンドルモータの制御性能を維持することができる。
更に、媒体枚数に加え、使用温度範囲の各温度及び電源電圧変動範囲の各電圧につき、製造工程内の試験で測定して統計的に予めデフォルトのループゲインを求めてテーブルに格納しておくことで、装置の起動時に、媒体枚数に加えて、その時の温度と電源電圧に対応したループゲインが設定され、温度変化や電源電圧の広範囲の変動に対し更に確実に所望のスピンドルモータの制御性能を維持することができる。
図1はディスク媒体の搭載枚数が1枚の磁気ディスク装置に本発明を適用した場合のブロック図である。図1において、ハードディスクドライブ(HDD)として知られた磁気ディスク装置10は、ディスクエンクロージャ12と制御ボード14で構成される。ディスクエンクロージャ12にはスピンドルモータ16が設けられ、スピンドルモータ16の回転軸に磁気ディスク媒体20を装着し、一定回転速度例えば5400rpmで回転される。
スピンドルモータ16としては3相ブラシレスDCモータを使用している。また、この実施形態にあっては、スピンドルモータ16の回転軸には1枚の磁気ディスク媒体20が搭載されており、磁気ディスク媒体20は両面に記録面を持つことから、ヘッド22−1,22−2を配置している。
ディスクエンクロージャ12にはボイスコイルモータ18が設けられ、ボイスコイルモータ18はヘッドアクチュエータのアーム先端にヘッド22−1,22−2を搭載しており、磁気ディスク媒体20の記録面に対するヘッドの位置決めを行う。なおヘッド22−1,22−2にはライトヘッドとリードヘッドが一体化されて搭載されている。
ヘッド22−1,22−2はヘッド制御回路であるヘッドIC(プリアンプICとも呼ばれる)24に対し信号線接続されており、ヘッドIC24は上位装置となるホストからのライトコマンドまたはリードコマンドに基づくヘッドセレクト信号で1つのヘッドを選択し、書込み又は読出しを行う。またヘッドIC24には、ライト系についてはライトアンプが設けられ、リード系についてはプリアンプが設けられている。
更にヘッドIC24は、本実施形態にあっては最大6個のヘッドを接続することが可能であるが、搭載している磁気ディスク媒体20は1枚のみであることから、ヘッド接続端子のうちの2つのみを使用してヘッド22−1,22−2を接続している。
制御ボード14にはMPU26が設けられ、MPU26のバス28に対しRAMを用いた制御プログラムを展開し制御データを格納するメモリ30、FROMを用いたファームウェアとして機能する制御プログラムを格納した不揮発メモリ32が設けられている。
MPU26のバス28には、ホストインタフェース制御部34、バッファメモリ38を制御するバッファメモリ制御部36、フォーマット制御部としての機能を備えたハードディスクコントローラ40、ライト変調部及びリード変調部として機能するリードチャネル42、ボイスコイルモータ18及びスピンドルモータ16を制御するDSPなどを用いたサーボ制御部44が設けられている。
磁気ディスク装置10はホストからのコマンドに基づき書込処理及び読出処理を行う。ここで磁気ディスク装置10における通常の動作を説明すると次のようになる。
ホストからのライトコマンドとライトデータをホストインタフェース制御部34で受けると、ライトコマンドをMPU26で解読し、受信したライトデータを必要に応じてバッファメモリ38に格納した後、ハードディスクコントローラ40のフォーマット制御機能で所定のデータ形式に変換すると共に、ECC処理によりECC符号を付加し、リードチャネル42におけるライト変調系でスクランブル、RLL符号変換、更に書込み補償を行った後、ライトアンプからヘッドICを介して、選択した例えばヘッド22−1のライトヘッドから磁気ディスク媒体20に書き込む。
このときMPU26からサーボ制御部44にヘッド位置決め信号が与えられており、ボイスコイルモータ18によりヘッドをコマンドで指示された目標トラックにシークした後にオントラックして追従制御している。もちろんスピンドルモータ16は、磁気ディスク装置10の電源投入に伴う起動時に駆動されて、磁気ディスク媒体20を例えば5400rpmの一定速度で回転している。
一方、ホストからのリードコマンドをホストインタフェース制御部34で受けると、リードコマンドをMPU26で解読し、ヘッドIC24のヘッドセレクトで選択されたリードヘッドから読み出された読出信号をプリアンプで増幅した後に、リードチャネル42のリード復調系に入力し、パーシャルレスポンス最尤検出(PRML)などによりリードデータを復調し、ハードディスクコントローラ40でECC処理を行ってエラーを検出訂正した後、バッファメモリ38にバッファリングし、ホストインタフェース制御部34からリードデータをホストに転送する。
このような磁気ディスク装置10において、本発明は、サーボ制御部44の制御機能として設けられたスピンドルモータ制御部46により、スピンドルモータ16を一定速度、例えば5400rpmで回転するためのサーボ制御特性を維持するように、最適なループゲインを設定する。ループゲイン設定のためMPU26にはループゲイン測定部48とループゲイン設定部50が設けられる。また不揮発メモリ32にはディフォルトゲインテーブル52が設けられる。
本発明のスピンドルモータ制御部46に対するループゲインの設定は、ディスクエンクロージャ12に搭載する磁気ディスクの枚数が例えば1枚搭載の場合と2枚搭載の場合に対応できるようにしている。
図2は本発明が適用される磁気ディスク装置を2枚搭載とした磁気ディスク装置10−1のブロック図であり、ディスクエンクロージャ12のスピンドルモータ16の回転軸にディスク媒体20−1,20−2の2枚を搭載している。このため、ディスク媒体20−1の両側の記録面に対しヘッド22−1,22−2を設けると共に、ディスク媒体20−2の両側の記録面に対し更にヘッド22−3,22−4を設け、これをヘッドIC24に接続している。
図2の磁気ディスク装置10−1において、磁気ディスク媒体が20−1,20−2の2枚となり、更に、これに対応して4つのヘッド22−1〜22−4が設けられる点以外は、ディスクエンクロージャ12及び制御ボード14について図1の磁気ディスク装置10と基本的に同じである。
即ち図1の磁気ディスク装置10と図2の磁気ディスク装置10−1は、製造工程において、筐体、ディスクエンクロージャ12及び制御ボード14は、基本的に同じ装置として製造されており、製造計画により磁気ディスク媒体を1枚とするか2枚とするかの点においてのみ相違している。
このような媒体枚数の相違に対し、スピンドルモータ制御部46におけるループゲインを最適化するため、本発明にあっては不揮発メモリ32にデフォルトゲインテーブル52を設け、デフォルトゲインテーブル52には、図3に示すように媒体枚数に対応して、媒体枚数1枚についてはループゲインG1を格納し、媒体枚数2枚についてはループゲインG2を格納している。
図3のディフォルトゲインテーブル52に格納する媒体枚数に対応したループゲインは、磁気ディスク装置10の製造工程における検査段階で、ファームウェアとしてダウンロードしたプログラムにより実現される破線で示すループゲイン測定部48によるループゲイン測定調整の実行で格納される。
ループゲイン測定部48は製造工程の試験段階で実行され、スピンドルモータ制御部46のループゲインを測定して媒体枚数1枚に対応した最適なループゲインに調整し、これを複数台の磁気ディスク装置10について測定して平均値を求めるなどの統計処理により定めたループゲインG1を、デフォルトゲインテーブル52に格納している。
この点は図2の2枚の磁気ディスク媒体20−1,20−2を搭載した磁気ディスク装置10−1についても同様であり、製造工程の検査段階でダウンロードしたループゲイン測定部48の実行により、複数台の装置について媒体枚数2枚における最適なループゲインを測定調整し、これを平均化したループゲインG2を図3のようにデフォルトゲインテーブル52に格納している。
なお、図1および図2のループゲイン測定部48は試験による処理が終了した段階で削除され、出荷時には搭載されていないことから、点線で表している。
図4は図1のスピンドルモータ制御部46の機能構成のブロック図である。図4において、スピンドルモータ制御部46は、サーボ処理部54、逆起電力検出部56、PWM処理部58、正弦波発生部60、モータ駆動部62で構成される。更に本発明のサーボゲイン測定及びサーボゲイン設定のため、外乱注入検出部64とループゲイン制御部66が設けられている。
図4のサーボ処理部54は、図5に示すように、目標速度設定部68、加算部70、比例積分部72、加算部74、モータ速度検出部76、外乱注入レジスタ78、応答検出レジスタ80で構成される。
図5のサーボ処理部54において、目標速度設定部68による目標速度ωrを加算部70に出力し、スピンドルモータ(ブラシレスDCモータ)16の図4に示した逆起電力検出部56の3相のうちの1つの逆起電力検出信号から、モータ速度検出回路76によりモータ速度ωを検出して加算部70に入力し、目標速度ωrからモータ速度ωを引くことで速度偏差Δωを求める。
速度偏差Δωは比例積分部72に入力され、
Kp(1+Ki/s)
の伝達関数による比例積分演算が行われ、比例積分出力を電流信号に変換し、スピンドルモータ16に駆動電流を出力している。なお、図5のサーボ処理部54からスピンドルモータ16に対する駆動電流の出力は、具体的には図4のPWM処理部58、正弦波発生部60、モータ駆動部62及び逆起電力検出部56により行われている。
図4のサーボ処理部54は図5の比例積分部72より速度偏差Δωに応じた比例積分信号をPWM処理部58に出力する。PWM処理部58は、サーボ処理部54からの速度偏差に応じた比例積分信号に基づくデューティ制御を行う。
このデューティ制御は、スピンドルモータ16の回転数で決まる周波数を持つ正弦波発生部60からの正弦波信号を、それより高いスイッチング周波数でスイッチングすることで、正弦波信号のデューティ比を制御する。
モータ駆動部62は、デューティ比が制御された正弦波信号を逆起電力検出部56から得られるスピンドルモータ16の各相のタイミングでU相、V相、W相の各相の電流信号としてスピンドルモータ16の各相のコイルに供給し、目標速度ωrを維持するように制御する。スピンドルモータ16の回転に伴う各相の逆起電力信号E1,E2,E3は逆起電力検出部56で検出され、モータ駆動部62におけるPWM制御された3相の正弦波電流信号の位相を制御する。
サーボ処理部54に対し設けた外乱注入検出部64は、ループゲイン測定のための加算部74にレジスタ78にセットした正弦波外乱Iinを印加し、正弦波外乱Iinの印加を行った後の応答電流Ioutのレジスタ80にセットして検出し、レジスタ80の応答電流Ioutを図1のMPU26に設けたループゲイン測定部48に送り、最適なループゲインへの調整処理を行わせる。
またサーボ処理部54に対し設けたループゲイン制御部66は、図1のループゲイン設定部50で磁気ディスク装置10の電源投入に伴う起動時に、不揮発メモリ32のデフォルトゲインテーブル52から検出媒体枚数に応じて読み出されたループゲインを比例積分器72に設定する設定制御を行う。
図6は図1の磁気ディスク装置10に設けたMPU26のループゲイン測定部48で実行されるループゲイン測定処理のフローチャートであり、図1の実施形態にあっては、製造工程の検査段階でループゲイン測定処理が実行される。
図6において、ループゲイン測定処理は、ステップS1で測定回数カウンタKをK=0に初期化した後、ステップS2で図5の加算部74に正弦波外乱Iinを印加し、ステップS3で外乱印加に対応して比例積分部72より出力される外乱応答Ioutを測定する。続いてステップS4で外乱応答Ioutを正弦波外乱Iinで割って比率Aを
A=Iout/Iin
として算出する。
続いてステップS5で比率Aが所定値以内または測定回数カウンタKが所定回数に達するか否かチェックし、両方とも満たさない場合はステップS6で、現在のゲインGをステップS4で算出した比率Aで割ることにより修正する。続いてステップS7で測定回数カウンタKを1つカウントアップした後、ステップS2からの処理を繰り返す。
このステップS2〜S7の繰返しにより、ステップS5で、比率Aが所定値以内に達した場合、即ち正弦波外乱Iinに対する外乱応答Ioutとの差がほとんどなくなるゲインGに修正された場合、あるいは測定回数カウンタKが所定回数に達した場合には、ステップS8に進み、そのときのゲインGをメモリ30に準備しているゲインテーブルに格納する。
このようなゲインループ測定処理を、図1の媒体1枚を搭載した複数の磁気ディスク装置10につき行い、複数の装置に得られたループゲインを平均化することで、デフォルトゲインテーブル52における媒体枚数1に対応したループゲインG1を求めることができる。
図2の媒体2枚を搭載した磁気ディスク装置10−1についても、同様にしてループゲイン測定処理を実行し、複数台の磁気ディスク装置10−1について得られたループゲインGを平均化することで、図3のデフォルトゲインテーブル52の媒体枚数2枚に対応したループゲインG2を求めることができる。
図7は図6のループゲイン測定処理における正弦波外乱の印加と応答波形の説明図である。
図7(A)は図5の加算部74から出力される電流波形であり、正弦波外乱84を印加する時刻ts以前については一定振幅レベルを持つ正弦波駆動電流82が出力されている。この正弦波駆動電流82の周波数は、スピンドルモータ16の回転数を5400rpmとした場合に540Hzとなり、540Hzの正弦波は、その内部を例えば150KHzのスイッチング周波数を用いたPWM制御でデューティ比を制御した信号となっている。このような通常の正弦波駆動電流82に対し、ループゲイン測定時には時刻tsで正弦波外乱84を印加することで、電流振幅をIinに変化させる。
図7(B)は図5の比例積分部72からの応答電流であり、時刻tsで正弦波外乱84を印加するまでは、そのときのループゲインに応じた電流振幅を持った応答電流86であるが、時刻tsで正弦波外乱84を印加すると、比例積分部72の積分動作による応答遅れをもって振幅が徐々に増加して一定値に安定する外乱応答88が得られる。
この外乱応答88は電流振幅がIoutとして検出され、図6のステップS4で比率A(=Iout/Iin)が求められる。
ここで正弦波外乱84と外乱応答88の間に差がある場合、例えばIin=1.0で外乱応答Iout=0.8であった場合には、現在のゲインGを
A=Iout/Iin=0.8/1.0
で割ることで、G=1.25Gとなるゲインに修正する。
図8は媒体枚数を1枚から2枚に変更した場合のサーボ制御特性の説明図である。図8(A)は周波数fに対するサーボループのゲイン特性であり、媒体1枚特性90を実線で、媒体2枚特性92を破線で示しており、この例では媒体1枚特性90につき周波数f0で0dBのゼロクロスとなる場合を最適ループゲインとしている。
このような媒体1枚特性90となるループゲインのスピンドルモータ制御部につき、媒体を2枚搭載したい場合には、スピンドルモータのイナーシャが増加することで媒体2枚特性92のようにループゲインが下がる。この場合は、媒体1枚特性90に対し媒体枚数が増加した分、平行移動した形で媒体2枚特性92が得られる。図8(B)は周波数fに対する位相特性94であり、位相特性94は媒体1枚と媒体2枚の相違はなく、一致した位相特性となる。
図9(A)の媒体1枚特性90は媒体1枚の磁気ディスク装置におけるスピンドルモータ制御部の最適なループゲインを与える。これに対し媒体2枚特性92は最適特性となる周波数はfoでゲインが0dBより低い。そこで本発明にあっては、図2に示した媒体2枚を搭載した磁気ディスク装置10−1において、ループゲイン測定部48による図6に示したループゲイン測定処理でループゲインを測定して修正することで、図9(A)に示す測定調整された媒体2枚特性92−1、即ち周波数f0でゲインが0dBのゼロクロスとなる制御特性を持つループゲインを得ることができる。
即ち、媒体2枚特性92−1を与えるループゲインを求め、これを図3のデフォルトゲインテーブル52における媒体枚数2枚に対応したループゲインG2として設定することになる。なお図9(B)は周波数fに対する位相特性94であり、これは調整前と変わらず両者とも同じである。
図10は図1の実施形態におけるループゲイン設定処理のフローチャートである。図10において、図1の磁気ディスク装置10の電源を投入すると、ステップS1で初期化処理が実行され、続いてステップS2で媒体枚数検出処理が実行される。続いてステップS3で、検出した媒体枚数に対応したループゲインをデフォルトゲインテーブル52から読み出してスピンドルモータ制御部46に設定し、スピンドルモータ16を例えば5400rpmの一定速度を維持するようにサーボ制御する。
続いてステップS4でホストからの入出力コマンドの受信の有無をチェックし、コマンドが受信されると、ステップS5で対応する入出力処理を実行し、これをステップS6で停止指示があるまで繰り返す。
図11は図10のステップS2における媒体枚数検出処理のフローチャートである。図11において、媒体枚数検出処理は、ステップS1でヘッド数カウンタHをH=0に初期化した後、ステップS2で図1のヘッドIC24に対しヘッド番号の順番にヘッドセレクトを行い、ステップS3で選択したヘッドに対しライト電流を流して抵抗Rを測定する。
このときヘッドが接続していれば電流が流れることで抵抗値は低く、一方、ヘッドを接続していない場合には電流はほとんど流れないことから高い抵抗値が測定される。続いてステップS4で測定抵抗は閾値以下か否かチェックし、閾値以下であればヘッドが接続されていることから、ステップS5でヘッド数Hを1つ増加する。
続いてステップS6で接続可能最大ヘッド数に達したか否かチェックし、達していなければステップS2に進み、次のヘッドセレクトを行って同様な処理を繰り返す。ステップS6で接続可能最大ヘッド数に達した場合には、ステップS7に進み、ステップS5でカウントされたヘッド数Hを2で割ることで媒体枚数Nを算出する。
図12は本発明の他の実施形態のブロック図であり、この実施形態にあっては、デフォルトのループゲインを使用して装置固有の最適ループゲインを測定して調整するようにしたことを特徴とする。
図12において、磁気ディスク装置10は図1の実施形態と基本的に同じであり、図1の実施形態にあっては、製造段階で使用したループゲイン測定部48は装置を出荷する際にはそのプログラムが不揮発メモリ32から削除されて出荷用プログラムである出荷ファームウェアとなっているが、図12の実施形態にあっては、出荷する磁気ディスク装置10にループゲイン測定部48を残している。このため、磁気ディスク装置10をユーザが取得して使用する場合に、ループゲイン測定調整を装置自身で自動的に行うことができる。
不揮発メモリ32のデフォルトゲインテーブル52は図1の実施形態と同じであり、製造段階で統計的に作成された媒体枚数1枚と2枚に対応したループゲインG1,G2がデフォルトとして登録されている。
MPU26のループゲイン設定部50は、磁気ディスク装置10の最初の電源投入時に、不揮発メモリ32のデフォルトゲインテーブル52の媒体枚数に対応したループゲインをスピンドルモータ制御部46に設定するが、その後、アイドル状態でループゲイン測定部48を実行して、装置固有の最適ループゲインを測定調整により求め、スピンドルモータ制御部46をループゲイン測定部48で求めた最適なループゲインに設定変更する。
更に、ループゲイン測定部48で求めた最適ループゲインは媒体20のシステム領域に格納し、2回目以降の電源投入時については、磁気ディスク媒体20のシステム領域からメモリ30にゲインテーブル98として読み出し、ゲインテーブル98に格納された装置自身のループゲイン測定部48で得られた最適ループゲインをスピンドルモータ制御部46に設定して制御するようになる。
図13は図12のメモリ30のゲインテーブル98の説明図であり、図12の磁気ディスク装置10は媒体1枚であることから、媒体枚数1枚に対応して、デフォルトゲインG1ではなく、装置運用中にループゲイン測定部48で得られた最適ループゲインG11が格納されている。なお、媒体枚数2枚の領域についてはループゲイン測定部48による測定はないことから、デフォルトのループゲインG2がそのまま格納されている。
図14は図12の実施形態によるループゲイン測定処理のフローチャートである。図14において、ステップS1で磁気ディスク装置の最初の電源投入に伴い初期化処理を行った後、ステップS2で最初の電源投入か否かチェックする。この場合には最初の電源投入であることから、ステップS3に進み、媒体枚数検出処理を実行する。媒体枚数検出処理は図11のフローチャートの内容となる。
続いてステップS4で、デフォルトゲインテーブル52から媒体枚数に対応したループゲインを読み出してスピンドルモータ制御部46に設定する。このため磁気ディスク装置10の起動直後にあっては、デフォルトのループゲインによるスピンドルモータ制御部46の制御が行われる。
続いてステップS5でループゲイン測定部48の処理を図6のフローチャートに示したように実行し、装置自身の最適なループゲインを測定してスピンドルモータ制御部46に設定する。同時に、この最適ループゲインは磁気ディスク媒体20のシステム領域に保存する。
次にステップS6で入出力コマンドの受信の有無をチェックし、入出力コマンドがあればステップS11で入出力処理を実行する。入出力コマンドの受信のないアイドル状態にあっては、ステップS7で電源電圧の変動をチェックする。磁気ディスク装置の電源電圧は例えば5ボルトであり、許容可能な電源電圧の変動範囲は±10%、即ち4.5ボルト〜5.5ボルトの範囲にあり、例えば定格電圧5ボルトに対し4.5ボルト〜5.5ボルトの範囲内で、例えば0.1ボルト単位の電源電圧の変動の有無をチェックする。
ステップS7で電源電圧の変動が判別されると、ステップS8でループゲインを測定して調整されたループゲインを設定し、同時に媒体のシステム領域に格納する。これにより電源電圧の変動後のループゲインを最適値に調整することができる。
またステップS9で温度変動の有無をチェックしている。磁気ディスク装置の使用温度範囲としては例えば0℃〜60℃の範囲であり、例えば現在温度に対し±2.5℃を超える変化があった時に温度変動ありと判別し、ステップS10でループゲインを測定し、変動後の最適ループゲインに調整して設定し、同時にディスクのシステム領域に格納する。以下、ステップS12で停止指示があるまで、ステップS6からの処理を繰り返す。
一方、2回目以降の磁気ディスク装置の電源投入時については、ステップS2で最初の電源投入でないことから、ステップS13に進み、この場合にはディスク媒体のシステム領域からループゲインを読み出して設定し、ステップS6以降の処理に入る。即ち本実施形態にあっては、最初の電源投入時にあってはデフォルトのループゲインを使用するが、2回目以降については1回目の電源投入の運用中に測定された最適なループゲインをディスク媒体のシステム領域から読み出して設定するようにしている。
図15は、媒体枚数に加え、温度及び電源電圧に対応したループゲインを設定する本発明の他の実施形態のブロック図である。図15において、ディスクエンクロージャ12及び制御ボード14の構成は図1の実施形態と同じであるが、不揮発メモリ32に設けたデフォルトゲインテーブル102が媒体枚数以外に温度及び電源電圧に対応して測定されたループゲインを予め設定している。
これに対応してMPU26に設けたループゲイン設定部100は、デフォルトゲインテーブル102から媒体枚数、温度及び電源電圧に対応したループゲインを読み出してスピンドルモータ制御部46に設定することになる。
図16は図15のデフォルトゲインテーブル102の説明図である。図16において、デフォルトゲインテーブル102は、媒体枚数、電源電圧、温度の3つの条件によりループゲインを設定している。媒体枚数は、本実施形態にあっては1枚または2枚である。電源電圧については定格電圧5ボルトに対し許容電圧範囲が±10%であることから、下限電圧4.5ボルトと上限電圧5.5ボルト、更に定格電圧5.0ボルトを設定している。
温度については、使用温度範囲が例えば0℃〜60℃であることから、最低温度0℃、室温25℃、及び最高温度60℃の3点を設定している。このデフォルトゲインテーブル102は、媒体枚数、電源電圧、温度の3条件を製造工程の試験段階で作成し、そのときのループゲインをループゲイン測定部48で測定して、複数台分のループゲインの平均値として求めて登録している。
図17は図15のデフォルトゲインテーブル102における電源電圧をパラメータとした温度とループゲインの関係を示した特性図である。図17において、定格電源電圧5.0ボルトに対応した定格電圧特性104の温度に対するループゲインGは、温度が低いほどループゲインが高く、温度が上昇するほどループゲインGが低くなっている。
これに対し4.5ボルトとなる低電圧特性106は定格電圧特性104より高いループゲインの特性となる。一方、5.5ボルトとなる高電圧特性108については、定格電圧特性104より低いループゲインの特性となる。なお図17の温度に対するループゲインの特性は、説明を簡単にするため温度変化に対し一定勾配としているが、装置によっては非直線特性となる場合もある。
図16のデフォルトゲインテーブル102を使用したループゲインの設定にあっては、テーブルにない電源電圧や温度については、テーブル登録された温度や電源電圧の補完計算により対応するループゲインを求めることになる。具体的には、デフォルトゲインテーブル102は図17のように電源電圧をパラメータとして温度とループゲインの間で定格電圧特性104、低電圧特性106、高電圧特性108を与えていることから、まず検出された電源電圧に対応した特性を定格電圧特性104と低電圧特性106、又は定格電圧特性104と高電圧特性108からの補完計算で求め、求めた特性につき検出された温度のループゲインを補完計算により求める。
図18は温度変化に対するサーボ制御特性の変化の説明図である。図18(A)は周波数に対するゲイン特性であり、室温特性110を周波数f0で0dBにゼロクロスとするループゲインを最適値とすると、温度が上昇して高温特性112になるとゲインが過剰となり、一方、温度が下がって低温特性になるとゲインが不足することになる。図18(B)は周波数fに対する室温、高温、低温のそれぞれについての位相であり、室温特性に対する高温及び低温の変化はごくわずかで、ほぼ一致している。
図19(A)は室温特性110の周波数f0のゼロクロスに一致するように、高温特性112−1のループゲインを調整し、また低温特性114−1のループゲインを調整した特性図である。
室温特性110の周波数f0のゼロクロスを最適値とするように、高温時および低温時のループゲインをと調整することで、図18(A)の高温特性112及び低温特性114を、図19(A)の高温特性112−1及び低温特性114−1に修正し、室温特性110のほぼ近似した制御特性とすることができる。
図20は図15の実施形態によるループゲイン設定処理のフローチャートである。図20において、ステップS1で電源投入に伴う初期化処理を実行した後、ステップS2で図11のフローチャートの内容を持つ媒体枚数検出処理を行う。続いてステップS3で、媒体枚数、温度及び電源電圧に対応したループゲインをデフォルトゲインテーブル102から読み出してスピンドルモータ制御部46に設定する。
続いてステップS4で入出力コマンドの受信のないアイドル状態にあっては、ステップS5で電源電圧の変動の有無をチェックし、電源電圧に変動があれば、ステップS6で変動後の電源電圧に対応したループゲインをデフォルトゲインテーブル102から読み出してスピンドルモータ制御部46に設定する。
またステップS7で温度変動があれば、ステップS8で変動後の温度に対応したループゲインをデフォルトゲインテーブル102から読み出してスピンドルモータ制御部46に設定する。また、ステップS4で入出力コマンドの受信を判別するとステップS9で入出力処理を実行する。以下、ステップS10で停止指示があるまで、ステップS4からの処理を繰り返す。
図21は図15の実施形態においてデフォルトループゲインを設定した後に装置でループゲインを測定して装置固有の最適値を設定するループゲイン設定処理のフローチャートである。
図21において、ステップS1で電源投入に伴う初期化処理を行った後、ステップS2で最初の電源投入か否かチェックする。最初の電源投入であった場合には、ステップS3で媒体枚数検出処理を行った後、ステップS4で、媒体枚数、温度及び電源電圧に対応したループゲインをデフォルトゲインテーブル102から読み出してスピンドルモータ制御部46に設定する。
続いてステップS5で入出力コマンドの受信のないアイドル状態にあっては、ステップS6で電源電圧の変動があれば、ステップS7でループゲインを測定調整してスピンドルモータ制御部46に設定すると同時に、ディスク媒体のシステム領域に保存する。またステップS8で温度変動があった場合には、ステップS9でループゲインを測定調整してスピンドルモータ制御部46に設定すると共にディスク媒体のシステム領域に保存する。また、ステップS5で入出力コマンドの受信を判別するとステップS10で入出力処理を実行する。このような処理をステップS11で停止指示があるまで繰り返す。
2回目以降の電源投入時にあっては、ステップS2で最初の電源投入でないことからステップS12に進み、ディスク媒体のシステム領域からループゲインを読み出してスピンドルモータ制御部46に設定する。その後のステップS5以降の処理については、最初の電源投入時と同様に、電源電圧の変動があった場合または温度変動があった場合、ループゲインを測定調整してスピンドルモータ制御部46に設定すると共に、システム領域のループゲインを更新する処理を繰り返す。
更に本発明は、磁気ディスク装置のMPU26で実行されるループゲイン設定のためのプログラムを提供するものであり、このプログラムは図6,図10,図11,図20及び図21のフローチャートに対応して各実施形態で実行される処理内容となる。
なお上記の実施形態にあっては、装置の動作中にループゲインを測定調整するタイミングとして電源変動や温度変動を検出した場合を例に取るものであったが、これ以外にパワーセーブ移行時やリードライト動作が行われていないアイドル状態の適宜のタイミングで行うようにしてもよい。
また上記の実施形態は、媒体枚数を1枚と2枚の場合を例にとるものであったが、例えば1枚、2枚、3枚と任意の枚数の範囲で選択する場合を含む。また、媒体は表裏両面が使用されることから、媒体枚数は媒体面の数として換算しても良い。
また上記の実施形態は記憶装置として磁気ディスク装置を例に取るものであったが、本発明はこれに限定されず、媒体をスピンドルモータで一定速度で回転制御する適宜の記憶装置につきそのまま適用することができる。
また本発明は、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
ここで本発明の特徴をまとめて列挙すると次の付記のようになる。
(付記)

(付記1)
媒体を一定回転数に保つようにスピンドルモータをサーボ制御するスピンドルモータ制御部を備えた記憶装置に於いて、
媒体の枚数毎に予め定めた前記スピンドルモータ制御部のループゲインを記憶するループゲイン記憶部と、
前記媒体の枚数を検出し、検出した媒体枚数に応じたループゲインを前記ループゲイン記憶部から読み出して前記スピンドルモータ制御部に設定するループゲイン設定部と、
を設けたことを特徴とする記憶装置。(1)
(付記2)
付記1記載の記憶装置に於いて、前記ループゲイン設定部は、ヘッド制御回路に対するヘッド接続数を検出し、検出したヘッド接続数から媒体枚数を検出することを特徴とする記憶装置。(2)
(付記3)
付記1記載の記憶装置に於いて、前記ループゲイン設定部は、前記ヘッド制御回路のヘッド接続端子を順次選択しながら書込電流を流して抵抗を測定し、測定抵抗が所定値以下の場合にヘッド接続有りを判別してヘッド接続数を検出することを特徴とする記憶装置。
(付記4)
付記1記載の記憶装置に於いて、前記ループゲイン記憶部は、媒体枚数毎に予め測定したループゲインを格納したデフォルトゲインテーブルを記憶した不揮発性メモリであることを特徴とする記憶装置。
(付記5)
付記4記載の記憶装置に於いて、更に、前記スピンドルモータ制御部のループゲインを測定して最適ループゲインに調整するループゲイン測定部を設け、
前記ループゲイン設定部は、最初の電源投入に伴う起動時に、媒体枚数に対応したループゲインを前記デフォルトゲインテーブルから読み出して前記スピンドルモータ制御部に設定し、次に、前記ループゲイン測定部により前記スピンドルモータ制御部を最適ループゲインに調整すると共に前記最適ループゲインを前記媒体のシステム領域に保存し、2回目以降の電源投入に伴う起動時は、前記媒体のシステム領域から前記最適ループゲインを読出して前記スピンドルモータ制御部に設定することを特徴とする記憶装置。(3)
(付記6)
付記5記載の記憶装置に於いて、前記ループゲイン測定部は、前記スピンドルモータ制御部の出力信号に外乱信号を印加した後に得られる応答信号を測定し、前記応答信号が外乱信号に一致するようにループゲインを最適値に調整することを特徴とする記憶装置。
(付記7)
付記1記載の記憶装置に於いて、
前記ループゲイン記憶部は、前記媒体枚数に加え、装置の使用温度範囲の各温度と、電源電圧の許容電圧範囲の各電圧毎に予め定めた前記スピンドルモータ制御部のループゲインを格納したデフォルトゲインテーブルを記憶した不揮発メモリであり、
前記ループゲイン設定部は、電源投入に伴う装置起動時に検出した温度と電源電圧に対応したループゲインを前記デフォルトゲインテーブルから読み出して前記スピンドルモータ制御部に設定することを特徴とする記憶装置。
(付記8)
付記7記載の記憶装置に於いて、前記ループゲイン設定部は、装置動作中に、所定値を超える温度又は電源電圧の変動を検出した際に、変動後の温度又は電源電圧に対応したループゲインを前記デフォルトゲインテーブルから読み出して前記スピンドルモータ制御部に設定することを特徴とする記憶装置。
(付記9)
付記7記載の記憶装置に於いて、
更に、前記スピンドルモータ制御部のループゲインを測定して最適ループゲインに調整するループゲイン測定部を設け、
前記ループゲイン設定部は、最初の電源投入に伴う起動時に、媒体枚数、温度及び電源電圧に対応したループゲインを前記デフォルトゲインテーブルから読み出して前記スピンドルモータ制御部に設定し、次に、前記ループゲイン測定部により前記スピンドルモータ制御部を最適ループゲインに調整すると共に前記最適ループゲインを前記媒体のシステム領域に保存し、2回目以降の電源投入に伴う起動時は、前記媒体のシステム領域から前記最適ループゲインを読出して前記スピンドルモータ制御部に設定することを特徴とする記憶装置。
(付記10)
付記9記載の記憶装置に於いて、前記ループゲイン測定部は、前記スピンドルモータ制御部の出力信号に外乱信号を印加した後に得られる応答信号を測定し、前記応答信号が外乱信号に一致するようにループゲインを最適値に調整することを特徴とする記憶装置。
(付記11)
媒体を一定回転数に保つようにスピンドルモータをサーボ制御するスピンドルモータ制御ステップと、
媒体の枚数毎に予め定めた前記スピンドルモータ制御ステップのループゲインを記憶するループゲイン記憶ステップと、
前記媒体の枚数を検出し、検出した媒体枚数に応じたループゲインを前記ループゲイン記憶ステップから読み出して前記スピンドルモータ制御ステップに設定するループゲイン設定ステップと、
を設けたことを特徴とする記憶装置のスピンドルモータ制御方法。(4)
(付記12)
付記11記載の記憶装置のスピンドルモータ制御方法に於いて、前記ループゲイン設定ステップは、ヘッド制御回路に対するヘッド接続数を検出し、検出したヘッド接続数から媒体枚数を検出することを特徴とする記憶装置のスピンドルモータ制御方法。
(付記13)
付記11記載の記憶装置のスピンドルモータ制御方法に於いて、前記ループゲイン設定ステップは、前記ヘッド制御回路のヘッド接続端子を順次選択しながら書込電流を流して抵抗を測定し、測定抵抗が所定値以下の場合にヘッド接続有りを判別してヘッド接続数を検出することを特徴とする記憶装置のスピンドルモータ制御方法。
(付記14)
付記11記載の記憶装置のスピンドルモータ制御方法に於いて、前記ループゲイン記憶ステップは、媒体枚数毎に予め測定したループゲインを格納したデフォルトゲインテーブルを記憶した不揮発性メモリであることを特徴とする記憶装置のスピンドルモータ制御方法。
(付記15)
付記11記載の記憶装置のスピンドルモータ制御方法に於いて、更に、前記スピンドルモータ制御ステップのループゲインを測定して最適ループゲインに調整するループゲイン測定ステップを設け、
前記ループゲイン設定ステップは、最初の電源投入に伴う起動時に、媒体枚数に対応したループゲインを前記デフォルトゲインテーブルから読み出して前記スピンドルモータ制御ステップに設定し、次に、前記ループゲイン測定ステップにより前記スピンドルモータ制御ステップを最適ループゲインに調整すると共に前記最適ループゲインを前記媒体のシステム領域に保存し、2回目以降の電源投入に伴う起動時は、前記媒体のシステム領域から前記最適ループゲインを読出して前記スピンドルモータ制御ステップに設定することを特徴とする記憶装置のスピンドルモータ制御方法。
(付記16)
付記15記載の記憶装置のスピンドルモータ制御方法に於いて、前記ループゲイン測定ステップは、前記スピンドルモータ制御ステップの出力信号に外乱信号を印加した後に得られる応答信号を測定し、前記応答信号が外乱信号に一致するようにループゲインを最適値に調整することを特徴とする記憶装置のスピンドルモータ制御方法。
(付記17)
付記11記載の記憶装置のスピンドルモータ制御方法に於いて、
前記ループゲイン記憶ステップは、前記媒体枚数に加え、装置の使用温度範囲の各温度と、電源電圧の許容電圧範囲の各電圧毎に予め定めた前記スピンドルモータ制御ステップのループゲインを格納したデフォルトゲインテーブルを記憶した不揮発メモリであり、
前記ループゲイン設定ステップは、電源投入に伴う装置起動時に検出した温度と電源電圧に対応したループゲインを前記デフォルトゲインテーブルから読み出して前記スピンドルモータ制御ステップに設定することを特徴とする記憶装置のスピンドルモータ制御方法。
(付記18)
付記17記載の記憶装置のスピンドルモータ制御方法に於いて、前記ループゲイン設定ステップは、装置動作中に、所定値を超える温度又は電源電圧の変動を検出した際に、変動後の温度又は電源電圧に対応したループゲインを前記デフォルトゲインテーブルから読み出して前記スピンドルモータ制御ステップに設定することを特徴とする記憶装置のスピンドルモータ制御方法。
(付記19)
媒体を一定回転数に保つようにスピンドルモータをサーボ制御するスピンドルモータ制御部を備えた記憶装置のコンピュータに、
媒体の枚数毎に予め定めた前記スピンドルモータ制御ステップのループゲインを記憶するループゲイン記憶ステップと、
前記媒体の枚数を検出し、検出した媒体枚数に応じたループゲインを前記ループゲイン記憶ステップから読み出して前記スピンドルモータ制御ステップに設定するループゲイン設定ステップと、
を実行させることを特徴とするスピンドルモータ制御プログラム。(5)
(付記20)
付記19記載のスピンドルモータ制御プログラムに於いて、前記ループゲイン設定ステップは、ヘッド制御回路に対するヘッド接続数を検出し、検出したヘッド接続数から媒体枚数を検出することを特徴とするスピンドルモータ制御プログラム。
本発明を媒体枚数が1枚の磁気ディスク装置に適用した場合のブロック図 本発明を媒体枚数が2枚の磁気ディスク装置に適用した場合のブロック図 図1のデフォルトゲインテーブルの説明図 図1のスピンドルモータ制御部のブロック図 図4のサーボ処理部のブロック図 本発明におけるループゲイン測定処理のフローチャート ループゲイン測定処理における正弦波外乱の印加と外乱応答の説明図 媒体枚数を1枚から2枚に変更した場合のサーボ制御特性の説明図 媒体枚数の相違に対したサーボゲインの設定でサーボ制御特性を調整した説明図 図1の実施形態におけるループゲイン設定処理のフローチャート 図10のステップS2における媒体枚数検出処理の詳細を示したフローチャート デフォルトのループゲインに続いて最適ループゲインを測定して調整する本発明の他の実施形態のブロック図 図12のゲインテーブルの説明図 図12の実施形態によるループゲイン設定処理のフローチャート 媒体枚数、温度及び電源電圧に対応したループゲインを設定する本発明の他の実施形態のブロック図 図15のデフォルトゲインテーブルの説明図 図16のデフォルトゲインテーブルにおける電源電圧をパラメータとした温度とループゲインの関係を示した特性図 温度変化に対するサーボ制御特性の変化の説明図 室温特性のゼロクロスに合わせるように高温特性と低温特性を調整したサーボ制御特性の説明図 図15の実施形態によるループゲイン設定処理のフローチャート 図15の実施形態においてデフォルトループゲインを設定した後に装置自身でループゲインを測定して設定するループゲイン設定処理のフローチャート
符号の説明
10,10−1:磁気ディスク装置
12:ディスクエンクロージャ
14:制御ボード
16:スピンドルモータ(ブラシレスDCモータ)
18:ボイスコイルモータ
20,20−1,20−2:磁気ディスク媒体
22−1〜22−4:ヘッド
24:ヘッドIC
26:MPU
28:バス
30:メモリ
32:不揮発メモリ
34:ホストインタフェース制御部
36:バッファメモリ制御部
38:バッファメモリ
40:ハードディスクコントローラ
42:リードチャネル
44:サーボ制御部
46:スピンドルモータ制御部
48:ループゲイン測定部
50,100:ループゲイン設定部
52,102:デフォルトゲインテーブル
54:サーボ処理部
56:逆起電力検出部
58:PWM処理部
60:正弦波発生部
62:モータ駆動部
64:外乱注入検出部
66:ループゲイン制御部
68:目標速度設定部
70,74:加算部
72:比例積分部
76:モータ速度検出部
78,80:レジスタ
90:媒体1枚特性
92,92−1:媒体2枚特性
98:ゲインテーブル
104:定格電圧特性
106:低電圧特性
108:高電圧特性
110:室温特性
112,112−1:高温特性
114,114−1:低温特性

Claims (5)

  1. 媒体を一定回転数に保つようにスピンドルモータをサーボ制御するスピンドルモータ制御部を備えた記憶装置に於いて、
    媒体の枚数毎に予め定めた前記スピンドルモータ制御部のループゲインを記憶するループゲイン記憶部と、
    前記媒体の枚数を検出し、検出した媒体枚数に応じたループゲインを前記ループゲイン記憶部から読み出して前記スピンドルモータ制御部に設定するループゲイン設定部と、
    を設けたことを特徴とする記憶装置。
  2. 請求項1記載の記憶装置に於いて、前記ループゲイン設定部は、ヘッド制御回路に対するヘッド接続数を検出し、検出したヘッド接続数から媒体枚数を検出することを特徴とする記憶装置。
  3. 請求項4記載の記憶装置に於いて、更に、前記スピンドルモータ制御部のループゲインを測定して最適ループゲインに調整するループゲイン測定部を設け、
    前記ループゲイン設定部は、最初の電源投入に伴う起動時に、媒体枚数に対応したループゲインを前記デフォルトゲインテーブルから読み出して前記スピンドルモータ制御部に設定し、次に、前記ループゲイン測定部により前記スピンドルモータ制御部を最適ループゲインに調整すると共に前記最適ループゲインを前記媒体のシステム領域に保存し、2回目以降の電源投入に伴う起動時は、前記媒体のシステム領域から前記最適ループゲインを読出して前記スピンドルモータ制御部に設定することを特徴とする記憶装置。
  4. 媒体を一定回転数に保つようにスピンドルモータをサーボ制御するスピンドルモータ制御ステップと、
    媒体の枚数毎に予め定めた前記スピンドルモータ制御ステップのループゲインを記憶するループゲイン記憶ステップと、
    前記媒体の枚数を検出し、検出した媒体枚数に応じたループゲインを前記ループゲイン記憶ステップから読み出して前記スピンドルモータ制御ステップに設定するループゲイン設定ステップと、
    を設けたことを特徴とする記憶装置のスピンドルモータ制御方法。

  5. 媒体を一定回転数に保つようにスピンドルモータをサーボ制御するスピンドルモータ制御部を備えた記憶装置のコンピュータに、
    媒体の枚数毎に予め定めた前記スピンドルモータ制御ステップのループゲインを記憶するループゲイン記憶ステップと、
    前記媒体の枚数を検出し、検出した媒体枚数に応じたループゲインを前記ループゲイン記憶ステップから読み出して前記スピンドルモータ制御ステップに設定するループゲイン設定ステップと、
    を実行させることを特徴とするスピンドルモータ制御プログラム。
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