以下、添付図面を参照して、本発明の一実施の形態を説明する。
本例においては、電子機器を構成する筐体の表面に配置して、ユーザが操作する入力装置としてある。図1は、本例の入力装置を、ジョグダイヤル型の入力装置として構成した場合の1つの例を示した図であり、基板などの部品については分解して示してある。
機器の筐体10の入力装置が構成される部分には、環状の円形に形成された凹部11を有している。この環状の凹部11は、例えば、ユーザが指で触れたときに、この凹部11が形成された位置が触感で判る程度に、筐体10を構成する樹脂の厚さを若干薄くするようにして形成してある。本例の場合には、この環状の凹部11が、ユーザが指などで触れて操作する入力部に相当する。なお、ここでは操作する位置が触感で判るように、環状の凹部11を形成させたものであり、円形の突起などのその他の形状で、操作する位置が判るようにしても良い。或いは、形状的には筐体10の表面に凹部や凸部を設けず、印刷などで操作する位置が判るようにしても良い。
凹部11の裏側には、2枚の基板20,30が配置してある。図1では説明のために各基板20,30を離して示してあるが、実際には凹部11の裏側に、2枚の基板20,30が密着した状態に配置してある。各基板20,30を構成する素材は、絶縁性を有する比較的薄い材質のものとしてある。
ここでは、基板20の表面に、凹部11の環状形状に合わせた円形の放射状で、複数の電極21がほぼ一定間隔で配置してある。基板30には、凹部11の環状形状に合わせた円形形状の1個の電極31が配置してある。電極21は、信号源41からの信号が、切換スイッチ42を介して供給される送信電極として使用される。電極31は、電極に得られる信号を、増幅器43側に供給する受信電極として使用される。
なお、ここでは電極21,31を2枚の基板20,30に配置した例を示したが、それぞれの電極21と電極31とが絶縁した状態であれば、同一基板上に2つの電極21と電極31を配置しても良い。或いは、1枚の基板の表面側に電極21を配置し、裏面側に電極31を配置するようにしても良い。いずれの場合であっても、電極21と電極31の距離は非常に近接した距離として、両電極21,31の間がコンデンサとして機能するようにしてあり、両電極21,31間の容量結合によって、送信電極21に印加される信号が、受信電極31側に伝達される。ここで、両電極21,31の間の容量値は、凹部11の表面に指などで触れることで、その接触で発生する指と電極21,31間の容量結合によって変化する。本例の場合には、この容量値の変化を電気的に計測して、接触位置を検出するようにしたものである。その検出処理の詳細については後述する。
そして本例においては、筐体10の凹部11の形成位置の裏面側になる、基板20,30の取付け位置の近傍に、振動を伝えるアクチュエータとして、振動子40が取付けてあり、パルス発生器48からのパルス信号の供給で、凹部11の近傍を振動させることができる。この振動子40は、例えばピエゾ振動子やコイルなどが使用される。なお、振動子40は、その振動により凹部11の形成位置の近傍を一時的に振動させることが可能であれば、必ずしも凹部11の形成位置の裏面側に配置する必要はない。
次に、これらの電極21,31と振動子40に接続される回路について説明すると、図1に示すように、信号源41を用意して、この信号源41から例えば特定の周波数の交流信号などの特定の信号を出力させる。信号源41から出力される信号は、切換スイッチ42を介して複数の電極21に順に供給する。電極21は、既に説明したようにほぼ一定の角度位置毎に多数用意されており、切換スイッチ42は、比較的短い周期で各電極21を順に切換える処理を行って、用意された全ての電極21に時分割で順番に信号源41からの信号が供給されるようにする。
そして、各送信電極21からの信号を受信する電極である電極31は、増幅器43が接続してあり、この増幅器43により電極31で受信した信号を増幅した後、同期検波器44に供給する。同期検波器44は、信号源41の出力信号についても供給され、増幅器43の出力に含まれる、信号源41の出力信号の周波数に同期した信号成分を検波する。検波された信号成分は、ローパスフィルタ45に供給して直流化し、その直流化された信号成分を、アナログ/デジタル変換器46に供給して、信号受信強度をデジタルデータ化する。
アナログ/デジタル変換器46で得られたデータは、入力装置の制御を行うコントローラ47に供給する。コントローラ47は、供給されるデータに基づいて操作状態を判断して、その操作状態の判断に基づいて得られた指令を端子47aから出力する。本例の場合、コントローラ47は、変換器46を介して供給されるデータに基づいて信号強度の変化を判断して、その信号強度の変化から凹部11の操作状態を判断する。
また、コントローラ47は、変換器46側から供給されるデータに基づいて判断した凹部11の操作状態により、パルス発生器48からのパルス信号の出力を制御する。パルス発生器48が出力するパルス信号としては、例えば20Hz程度の周波数のパルス信号を1周期だけ出力させる。ここでは、コントローラ47が、環状に形成された凹部11を触れる位置が一定の角度変化したことを検出する毎(例えば30°毎など)に、振動子40を一時的に振動させるパルス信号を出力させる制御を行う。なお、コントローラ47は、入力装置として単独で設けられた制御手段としても良いが、この入力装置が組み込まれた電子機器のコントローラが兼ねるようにしても良い。
次に、本例の入力装置で凹部11に触れた状態を検出する原理を、図2,図3を参照して説明する。図2Aは、凹部11が形成された位置を1本の指で触れた状態を示してあり、触れられる角度位置を、T1,T2,T3,T4‥‥として示してある。この例では、位置T3と位置T4のほぼ中間位置を、1本の指で触れた状態となっている。このように触れたとき、この触れた角度位置に対応した電極を介して同期検波器44で検波された信号の強度が、他の電極を介して同期検波された信号の強度よりも弱くなる。
例えば、角度位置T1,T2,T3,T4‥‥が、一定の間隔で配置された1本1本の電極21の角度位置に対応していると想定すると、位置T1の電極21に信号源41からの信号が供給されるタイミングで、同期検波器44で検波された信号の受信信号強度が、角度位置T1の信号強度になる。このようにして、電極21が配置された全ての角度位置の信号強度を測定して、コントローラ47内で、電極21が配置された角度位置の間の信号強度を補間処理で生成させることで、凹部11に全く指などが触れてない状態では、図2Bに通常状態での信号受信強度の特性S0として示すように、どの角度位置でもほぼ均一な信号強度となる。
これに対して、図2Aに示すように、位置T3と位置T4のほぼ中間位置を、1本の指で触れた状態では、その触れた角度位置での信号受信強度が他の位置よりも低下した、図2Bに示した特性S1のようになる。
この触れた位置での信号受信強度の低下は、触れた指と電極21,31との容量結合により発生するものであり、指で触れた角度位置に、最も受信強度が低下する。この受信強度の低下をコントローラ47が判断することで、指が触れた角度位置がコントローラ47内で算出される。
図2の例では、凹部11の1箇所だけを触れた例について説明したが、本例の原理での接触位置検出では、凹部11の複数箇所を同時に触れることがあっても、そのことを検出することができる。例えば、図3Aに示すように、1本の指で角度位置T1の近傍を触れ、他の1本の指で角度位置T6の近傍を触れることで、この状態での信号受信強度は、図3Bに示すように、無接触時のほぼ平坦な信号受信強度S0に比べて、角度位置T1の近傍と、角度位置T6の近傍の2箇所で、信号受信強度の低下のピークを特性S2となる。従って、コントローラ47内で、それぞれのピーク位置を算出することで、2本の指が触れた角度位置が求まる。3箇所以上に同時接触した場合にも、同様の原理で検出できる。
次に、このようにしてコントローラ47内で凹部11の接触位置を検出することで行われる処理を、図4のフローチャートを参照して説明する。まずコントローラ47は、ジョグダイヤルに相当する凹部11に指が接触していることを検出したか否か判断する(ステップS11)。接触を検出しない場合には、接触を検出するまで待機する。そして、接触を検出した場合に、その接触を検出した指の接触位置(ここでは角度位置)を検出する(ステップS12)。ここで、前回検出した接触位置から一定量(ここでは一定角度)以上の変化があるか否か判断し(ステップS13)、一定量以上の変化がある場合に、クリックの発生処理を行う(ステップS14)。
ここでのクリックの発生処理としては、コントローラ47からパルス発生器48にパルス発生指令を送り、パルス発生器48から単発的なパルス信号を振動子40に供給して、振動子40を一時的に振動させて、凹部11に触れた指に一時的な振動を伝える処理である。
そして、ステップS14でのクリック発生処理を行った後、及びステップS13で一定量以上の変化を検出しなかった場合には、ステップS15に移って、そのときの接触位置の回転方向と回転量に応じた入力処理を行う指令を、コントローラ47が端子47aから出力させる。例えば、ジョグダイヤルに相当する凹部11の接触操作で、表示装置での表示画面のスクロールを行うことが設定されている場合に、右回りに約180°接触位置の回転を検出したとき、その180°に対応した位置、画面を一方にスクロールさせる。また、左回りに約90°接触位置の回転を検出したとき、その90°に相当する位置だけ、画面を他方にスクロールさせる。このようにして入力処理を行った後、ステップS11の接触検出に戻る。
このようにして、回転つまみ等の可動部材を全く使用しないで、従来のジョグダイヤルに相当する入力装置が構成できる。この場合、一定の角度以上、指で触れる角度が変化する毎に、振動子40を一時的に振動させて、クリック感に相当する振動を触れた指に伝えるようにしたので、クリック感のあるジョグダイヤルを操作したのと同様の操作感が得られ、良好な操作性が確保される。なお、図4のフローチャートでの処理例では、接触位置の回転検出に応じて入力処理を行うようにしたが、回転を伴わない一時的又は継続的な接触を検出した場合にも、それぞれの検出に対応した入力処理を行うようにしても良い。
なお、図1に示した送信電極と受信電極の配置例は、一例を示したものであり、その他の電極配置で、接触位置を検出するようにしても良い。図5に示した構成は、環状の凹部11の裏側に配置される基板50上に、放射状に複数の電極を配置する場合に、1個ずつ交互に、第1群の電極51aと第2群の電極51bとに分ける。第1群の電極51aには、信号源41から切換スイッチ42aを介して時分割で信号を供給する。また、切換スイッチ42aと連動して切換わる切換スイッチ42bを設けて、第2群の電極51bに得られる信号を、時分割で増幅器43に供給する構成とする。
増幅器43の出力を処理する構成については、図1に示した構成と同様とする。即ち、増幅器43の出力を同期検波器44に供給して、信号源41の出力に同期した検波を行い、その検波信号をローパスフィルタ45を通過させた後、アナログ/デジタル変換器46でデータ化し、その変換されたデータをコントローラ47で判断させる。また、コントローラ47での判断状態に基づいて、パルス発生器48から振動子40に供給するパルスの制御を行い、クリック感に相当する振動を発生させる。
この図5に示す構成とした場合、環状の凹部11に全く指等の接触がない場合には、隣接した第1群の電極51aと第2群の電極51bとの間に形成される容量が、いずれの位置でもほぼ等しくなって、コントローラ47で検出される信号受信強度がほぼ一定となる。これに対して、環状の凹部11のいずれかの位置に指等が接触した場合、その接触位置の下部に位置する第1群の電極51aと第2群の電極51bとの間に形成される容量が、接触した指と両電極51a,51bとの容量結合により変化して、その位置の信号受信強度が低下することが、コントローラ47で検出される。従って、指などの接触による特性として、図2,図3に示した例と同様の特性となり、コントローラ47で指などの接触位置が検出できることになる。図3に示すように、複数位置での同時接触が検出できることも勿論である。
また、本例の入力装置を、押しボタン型のスイッチ等の他の操作手段と組み合わせるようにしても良い。図6に示した例は、本例の入力装置と押しボタン型のスイッチとを組み合わせた例である。この例では、図6に示すように、環状の凹部11の中央に、透孔12を形成させて、その透孔12に円形などのボタン13を嵌めるようにして、そのボタン13の押下で入力が行えるスイッチとして構成してある。この場合、基板20,30の中央にも透孔22,32を設けて、ボタン13の軸14が基板20,30の透孔22,32を挿通した状態で保持されるようにする。この場合、ボタン13は、バネ等で若干押し上げられた状態で保持されるように構成する。また、基板30上の受信電極31′は、中心寄りまで面積を拡大した電極部として、ボタン13の押下時にボタン13側の電極(図示せず)と電極31′が接触するように構成する。
そして、ボタン13の底面側にも、信号源41′から信号を供給するようにして、筐体10の透孔12に嵌められたボタン13が操作されたとき(即ち押されたとき)、その信号源41′から供給される信号が、基板30上の電極31′に伝わるように構成する。このようにしたことで、ボタン13が操作されたときに、電極31′で受信された信号が、増幅器43以降の受信系回路で処理されて、コントローラ47でボタン13が押された状態に相当する信号が検出される。信号源41′からボタン13側に供給する信号と、信号源41′から各送信電極21に供給する信号とは、例えば異なる信号として、コントローラ47側で区別できるようにする。或いは、ボタン13側に供給する信号についても、切換スイッチ42を経由して伝送するようにして、各送信電極21と時分割で供給するようにしても良い。なお、このボタン13の操作検出時には、振動子40は振動させない。
このようにして構成したことで、凹部11による操作手段と、押しボタン13による操作手段とが組み合わされることになり、より高度な操作指示が可能になる。このような構成とした場合の具体的な操作例の詳細については、実際の機器と組み合わせた例として後述する。なお、環状の凹部11の中央に配置される押しボタン型のスイッチについても、指などで触れるだけで操作可能な接触検出センサを使用したスイッチとしても良い。
また、ここまで説明した例では、円形の凹部などで構成されたジョグダイヤル型の入力装置として構成した例としたが、本例の接触検出処理構成を適用した、その他の形状の入力装置として構成しても良い。例えば、図7に示すように、直線状に接触検出部が伸びたスライダ型の入力装置として構成しても良い。
この図7に示した例では、筐体10の表面に、直線状の凹部15を形成させて、この直線状の凹部15を指などで接触したことを検出できるように構成したものである。直線状の凹部15は、例えば、ユーザが指で触れたときに、この凹部15が形成された位置が触感で判る程度に、筐体10を構成する樹脂の厚さを若干薄くする等の処理で形成してある。なお、凹部以外の形状、或いは印刷などで直線状の操作位置が判るようにしても良い。
凹部15の裏側には、2枚の基板20,30が配置してある。図7では説明のために各基板20,30を離して示してあるが、実際には凹部15の裏側に、2枚の基板20,30が密着した状態に配置してある。各基板20,30を構成する素材は、絶縁性を有する比較的薄い材質のものとしてある。
ここでは、基板20の表面に、直線状の凹部15の形状に合わせて直線状にほぼ一定間隔で並べられた複数の電極23が配置してある。基板30には、凹部11の形状に合わせた直線状の1個の電極33が配置してある。電極23は、信号源41からの信号が、切換スイッチ42を介して供給される送信電極として使用される。電極33は、電極に得られる信号を、増幅器43側に供給する受信電極として使用される。
なお、この図7の場合にも、既に説明した図1例などと同様に、電極23,33を2枚の基板20,30に配置した例を示したが、それぞれの電極23と電極33とが絶縁した状態であれば、同一基板上に2つの電極23と電極33を配置しても良い。或いは、1枚の基板の表面側に電極23を配置し、裏面側に電極33を配置するようにしても良い。いずれの場合であっても、電極23と電極33の距離は非常に近接した距離として、両電極23,33の間がコンデンサとして機能するようにしてあり、両電極23,33間の容量結合によって、送信電極23に印加される信号が、受信電極33側に伝達される。ここで、両電極23,33の間の容量値は、凹部15の表面に指などで触れることで、その接触で発生する指と電極23,33間の容量結合によって変化する。本例の場合には、この容量値の変化を電気的に計測して、接触位置を検出するようにしたものである。
そして本例においては、筐体10の凹部15の形成位置の裏面側になる、基板20,30の取付け位置の近傍に、振動子40が取付けてあり、パルス発生器48からのパルス信号の供給で、凹部15の近傍を振動させることができる。この振動子40は、例えばピエゾ振動子やコイルなどが使用される。なお、振動子40は、その振動により凹部15の形成位置の近傍を一時的に振動させることが可能であれば、必ずしも凹部15の形成位置の裏面側に配置する必要はない。
これらの電極23,33と振動子40に接続される回路については、既に図1などで説明した構成と同じである。即ち、信号源41を用意して、この信号源41から例えば特定の周波数の交流信号などの特定の信号を出力させる。信号源41から出力される信号は、切換スイッチ42を介して複数の電極23に順に供給する。電極23は、ほぼ一定の間隔で多数用意されており、切換スイッチ42は、比較的短い周期で各電極23を順に切換える処理を行って、用意された全ての電極23に時分割で順番に信号源41からの信号が供給されるようにする。
そして、各送信電極23からの信号を受信する電極である電極33には、増幅器43が接続してあり、この増幅器43の出力を同期検波器44で検波し、検波出力をローパスフィルタ45に供給して直流化し、フィルタ出力をアナログ/デジタル変換器46に供給して、信号受信強度をデジタルデータ化する。
アナログ/デジタル変換器46で得られたデータは、入力装置の制御を行うコントローラ47に供給する。コントローラ47は、供給されるデータに基づいて操作状態を判断して、その操作状態の判断に基づいて得られた指令を端子47aから出力する。本例の場合、コントローラ47は、変換器46を介して供給されるデータに基づいて信号強度の変化を判断して、その信号強度の変化から凹部15の操作状態を判断する。
また、コントローラ47は、変換器46側から供給されるデータに基づいて判断した凹部15の操作状態により、パルス発生器48からのパルス信号の出力を制御する。ここでは、コントローラ47が、直線状に形成された凹部15を触れる位置が一定の距離変化したことを検出する毎(例えば1cm毎など)に、振動子40を一時的に振動させるパルス信号を出力させる制御を行う。
この図7の構成の入力装置で、凹部15に触れた状態を検出する原理については、図1などに示した環状の凹部11に触れた状態を検出する原理と全く同様であり、指などの接触による容量の変化に連動した信号受信強度の変化を検出して、接触位置を検出するものである。複数の位置を同時に触れた場合についても、その接触位置を図3に示した原理で検出できる。そして、コントローラ47は、その検出した位置の変化量などに応じて、入力処理を行う。また、接触する位置の変化が一定距離になる毎に、振動子40が一時的に振動して、クリック感に相当する振動が伝わる。
なお、スライダ型の入力装置とした場合の電極配置についても、その他の配置としても良い。例えば図8に示すように、直線状の凹部15の裏側に配置される基板50上に、直線状に複数の電極を一定間隔で並べる場合に、1個ずつ交互に、第1群の電極52aと第2群の電極52bとに分ける。第1群の電極52aには、信号源41から切換スイッチ42aを介して時分割で信号を供給する。また、切換スイッチ42aと連動して切換わる切換スイッチ42bを設けて、第2群の電極52bに得られる信号を、時分割で増幅器43に供給する構成とする。
増幅器43の出力を処理する構成については、図7に示した構成と同様とする。即ち、増幅器43の出力を同期検波器44に供給して、信号源41の出力に同期した検波を行い、その検波信号をローパスフィルタ45を通過させた後、アナログ/デジタル変換器46でデータ化し、その変換されたデータをコントローラ47で判断させる。また、コントローラ47での判断状態に基づいて、パルス発生器48から振動子40に供給するパルスの制御を行い、クリック感に相当する振動を発生させる。
この図8に示す構成とした場合にも、接触した位置の受信電極52bの受信信号強度が低下して、その位置に接触があることがコントローラ47で検出される。この例の場合についても、複数位置での同時接触の検出についても可能である。
次に、ここまで説明した入力装置を、電子機器に装着させた例について説明する。図9は、携帯用のオーディオ機器に適用した例を示した図である。この例では、携帯用のオーディオ機器100として、ヘッドホン接続用のジャック101を備えて、ヘッドホン102のプラグ103をジャック101に接続する。そして、機器100内の媒体(半導体メモリなど)に記憶(記録)されたオーディオ信号を再生させて、その再生されたオーディオをヘッドホン102で聴取するものである。機器100の表面には、再生状況などを表示させる表示部104を備える。そして、この表示部104に隣接して、機器100を構成する筐体の表面に、環状操作部(凹部)111と、その環状操作部の中心に配された押しボタン部112とで構成される、いわゆるジョグダイヤル型の本例の入力装置が配置してある。この入力装置は、例えば図6に示した構成で実現される。
このように環状操作部111と押しボタン部112とが配置された状態での操作例としては、例えば、図10A〜図10Gに示したような操作例がある。即ち、押しボタン部112を押す操作(図10A)、環状操作部111を指で回すように触れる回転操作(図10B)、環状操作部111の右端から押しボタン部112を通過して環状操作部111の左端まで指を移動させる操作(図10C)、押しボタン部112を押してから左側に移動させる操作(図10D)、押しボタン部112を押してから右側に移動させる操作(図10E)、環状操作部111の左端を触れてから押しボタン部112を押す操作(図10F)、環状操作部111の右端を触れてから押しボタン部112を押す操作(図10G)、などが行える。
この操作を入力装置のコントローラで検出した場合に、それぞれの操作に応じた操作モードを設定して、その操作モードでの入力処理を行うようにすることで、環状操作部111と押しボタン部112とを使用して、このオーディオ機器100の多様な操作が可能になる。
図11のフローチャートは、図10に示したような各操作状態をコントローラで判別する処理例である。例えば、まずコントローラは、押しボタンの操作があるか否か判断し(ステップS21)、押しボタンの操作を検出した場合には、押しボタンの操作検出後に、接触センサとして構成された環状操作部での接触の検出の有無を判断する(ステップS22)。ここで、環状操作部での接触を検出しない場合には、押しボタンの操作だけであると判断して、ステップS23に移って、押しボタン操作の入力受け付け処理を行う。このステップS23の入力受け付け処理は、例えば図10Aの操作に相当する。
ステップS22で、環状操作部での接触を検出した場合には、接触した位置を判断する(ステップS24)。そして、ステップS25に移って、押しボタンの操作と、その後の環状操作部での特定位置の接触に対応した入力受け付け処理を行う。このステップS25の入力受け付け処理は、例えば図10D、或いは図10Eの操作に相当する。
ステップS21で、押しボタンの操作を検出しない場合には、ステップS26に移って、接触センサとして構成された環状操作部での接触の検出の有無を判断する。ここで、環状操作部での接触を検出しない場合には、ステップS21の判断に戻り、いずれかの操作があるまで待機する。そして、ステップS26で環状操作部での接触を検出した場合には、接触した位置を判断する(ステップS27)。さらに、その接触した位置が、凹部の円周方向に沿って変化するか否か判断し(ステップS28)、円周方向に沿って接触位置が変化することを判断した場合に、その変化量と変化する方向を判断して(ステップS29)、その判断した方向及び変化量に対応した入力受け付け処理を行う(ステップS30)。このステップS30の入力受け付け処理は、例えば図10Bの操作に相当する。
ステップS28で、円周方向に沿った接触位置の変化を検出しない場合には、押しボタンの操作があるか否か判断し(ステップS31)、押しボタンの操作を検出しない場合には、ステップS21の判断に戻り、いずれかの操作があるまで待機する。ステップS31で、押しボタンの操作を検出した場合には、さらにその後に接触センサとして構成された環状操作部での接触の検出の有無を判断する(ステップS32)。この判断で、環状操作部での接触を検出しない場合には、環状操作部での特定位置の接触操作と、その後の押しボタンの操作とに対応した入力受け付け処理を行う(ステップS33)。このステップS33の入力受け付け処理は、例えば図10F、或いは図10Gの操作に相当する。
ステップS32の判断で、環状操作部での接触を検出した場合には、接触した位置を判断する(ステップS34)。そして、環状操作部での接触操作と、その後の押しボタンの操作と、さらにその後の環状操作部での接触操作とに対応した入力受け付け処理を行う(ステップS35)。このステップS35の入力受け付け処理は、例えば図10Cの操作に相当する。
このようにして、図10に示したそれぞれの操作例をコントローラで判別することが可能になる。ここでは、オーディオ機器100としての操作例であるので、それぞれの操作を、オーディオ機器が必要な各機能の操作に割当てることで、オーディオ機器が必要とする種々の操作が、操作部111と押しボタン部112だけを使用して可能になる。例えば、図10Bに示した回転操作を、再生音量調整に割当て、図10Aに示した押しボタン部112だけの操作を、再生停止操作に割当て、その他の操作を、再生開始やトラック送りなどに割当てることで、オーディオ再生に必要な殆どの操作が可能になる。
そして、このような複雑な操作が可能な入力装置であるのに、環状操作部111については、内部に配置された電極を使用して接触を検出する構成であるため、非常に薄型に入力装置を構成でき、小型のオーディオ機器100に組み込むことが容易である。そして、操作性については、環状操作部111を使用して操作する際には、接触位置の移動に対応して、振動が発生するようにしたので、従来のジョグダイヤル型の入力装置のような、クリック感のあるローラを回転させる場合と同様のクリック感に相当する感触が得られ、良好な操作性が得られる。
図9の例では、オーディオ機器に本例の入力装置を適用した例としたが、その他の電子機器にも本例の入力装置は適用可能である。例えば、図12に示すように、携帯電話端末200に配置しても良い。即ち、携帯電話端末200として、第1筐体201と第2筐体202とが、接合部203で接合されて、折り畳み可能に構成されたものとする。この場合、第1筐体201にダイヤルキーや機能キーなどのキー204が配置され、第2筐体202に表示部205が配置されて、さらに第1筐体201に、環状操作部(凹部)211と、その操作部211の中心の押しボタン部212とを配置し、いわゆるジョグダイヤル型の本例の入力装置が配置してある。
ここでの押しボタン部212については、単純な押しボタンによるスイッチではなく、複数個(例えば4個)の押しボタンを組み合わせて、押す位置により上下左右などの方向が指定できる押しボタンとしてある。そして、その押しボタン部212を囲むようにして、指等の接触の検出で入力が行える環状操作部211が配置してある。この入力装置は、例えば図6に示した構成の入力装置が適用できる。但し、押しボタン部212は、ボタンの数が異なるので、図6に示した構成とは若干変更する必要がある。
このように構成される入力装置を携帯電話端末200が備えることで、この電話端末が必要とする種々の入力操作が、環状操作部211と押しボタン部212とを使用して行える。この携帯電話端末の場合にも、環状操作部211が薄型に構成できるので、薄型の携帯電話端末に組み込むことが容易である。そして、操作性についても、良好な操作性が確保される。即ち、環状操作部211を使用して操作する際には、接触位置の移動に対応して、振動が発生するようにしたので、従来のジョグダイヤル型の入力装置のような、クリック感のあるローラを回転させる場合と同様のクリック感に相当する感触が得られ、良好な操作性が得られる。
なお、この携帯電話端末200に本例の入力装置を組み込む場合に、入力装置の近傍を振動させる振動手段として、図1などで説明した専用の振動子40を使用する構成としても良いが、例えば携帯電話端末が、着信時に端末を振動させて着信を知らせる機能を備えた端末である場合に、その着信時に振動させる振動手段を使用して、環状操作部211での操作時に端末を一時的に振動させるようにしても良い。逆に、本例の入力装置が備える振動子40を、操作部での操作時に振動させるだけでなく、着信時に端末を振動させる振動手段としても使用するようにしても良い。
また、この例では環状操作部211については、図12に示すように、完全な真円形状ではなく楕円形状としてあるが、本例の操作部は、従来のジョグダイヤルのように部材が物理的に回転する機構ではないので、適用される機器の形状に合わせて、操作部の形状を任意に変更可能である。
次に、スライダ型の入力装置として構成された本例の入力装置を、電子機器に組み込んだ例について説明する。図13は、PDA(Personal Didital Assistants )と称される携帯用のデータ処理端末に、本例のスライダ型の入力装置を組み込んだ例である。PDA300は、薄型の縦長の筐体に構成させてあり、正面に比較的大型の表示部301が配置してあり、その下側には、数個の操作キー303が配置してある。表示部301には、受信した電子メールやスケジュールなどの文字データの表示や、端末内のメモリに記憶された地図データの表示などが行える。なお、本例のPDA300は、地図を表示させる場合には、複数段階に表示縮尺を変化させることができるようにしてある。
そして、ここでは四角形の表示部301の3辺の縁に沿って、スライダ型操作部311,312,313が配置してある。即ち、表示部301の左脇にスライダ型操作部311が、右脇にスライダ型操作部312が、下側にスライダ型操作部313が、それぞれ配置してある。各スライダ型操作部311,312,313は、例えば図7又は図8に示した入力装置として構成し、操作部を指などで触れることで操作できるようにする。この場合、図3に示した原理により、複数箇所の同時接触についても検出できる構成とする。
ここでは、スライダ型操作部311,312,313を使用した入力処理として、主として表示部301で表示される画面に関連した処理を行うようにしてある。図14は、操作状態の例を示した図である。ここでは、少なくとも3種類の操作が行えるようにしてある。
即ち、表示部301に地図などを表示させた場合に、図14Aに示すように、スライダ型操作部を1本の指で触れて、その触れる位置を移動させることで、その移動に伴って、表示画面(地図など)の表示範囲をスクロールさせるようにしてある。この場合、縦方向の表示範囲のスクロールは、縦に配置されたスライダ型操作部311又は312の操作で行われ、横方向の表示範囲のスクロールは、横に配置されたスライダ型操作部313の操作で行われる。
そして、地図が表示された場合に、図14Bに示すように、スライダ型操作部を2本の指で触れて、その2本の指の間隔が広がるように操作があった場合、或いは2本の指の間隔が狭くなるような操作があった場合に、表示地図の縮尺を変化させるようにしてある。例えば、2本の指の間隔が広がるような操作があった場合に、表示地図の縮尺を小さくして、一部の範囲だけが拡大された地図を表示部301に表示させる。また、2本の指の間隔が狭まるような操作があった場合に、表示地図の縮尺を大きくして、広い範囲が縮小されて表示される地図を表示部301に表示させる。
また、図14Cに示すように、左側のスライダ型操作部311と右側のスライダ型操作部312とが同時に触れられて操作された場合には、この機器の設定状況などを調整する調整モードとなって、調整が行われるようにしてある。
図14A,図14Bに示した画面のスクロールや拡大,縮小に関する操作があった場合の、コントローラでの処理例を、図15のフローチャートを参照して説明する。まず、いずれかの操作部の1箇所だけで接触を検出したか否か判断する(ステップS41)。この判断で、1箇所だけでの接触を検出した場合には、その接触する位置が変化しているか否か判断する(ステップS42)。接触位置が変化しない場合には、ステップS41の判断に戻って待機する。
ステップS42の判断で、接触位置が変化した場合には、その接触位置の変化量に応じた画面のスクロールを行う(ステップS43)。このときのスクロールは、接触位置が変化する方向に対して行う。即ち、左右のスライダ型操作部311又は312で上方向への接触位置の変化を検出した場合には、表示画面を上方向にスクロールさせ、左右のスライダ型操作部311又は312で下方向への接触位置の変化を検出した場合には、表示画面を下方向にスクロールさせる。また、下側のスライダ型操作部313で左方向への接触位置の変化を検出した場合には、表示画面を左方向にスクロールさせ、下側のスライダ型操作部313で右方向への接触位置の変化を検出した場合には、表示画面を右方向にスクロールさせる。
また、ステップS41の判断で、1箇所だけでの接触でないと判断した場合には、1つの操作部内での2箇所の同時接触であるか否か判断する(ステップS44)。この判断で、2箇所の同時接触以外であると判断したときには、ステップS41の判断に戻って待機する。ステップS44での判断で、2箇所の同時接触であると判断した場合には、その接触した2箇所の間の幅が広がるように変化しているか否か判断する(ステップS45)。ここで広がっていると判断した場合には、その広がった幅に応じて、表示地図の縮尺を、小縮尺に変化させる(ステップS46)。例えば、1つの操作部に触れた2つの指の間隔が、約1cm広がる毎に、1ステップずつ表示縮尺が、小縮尺の拡大された地図に変化するようにしてある。
また、ステップS45での判断で、2箇所の間の幅が広がってないと判断した場合には、接触した2箇所の間の幅が狭まるように変化しているか否か判断する(ステップS47)。ここで狭まっていると判断した場合には、その狭まった幅に応じて、表示地図の縮尺を、大縮尺に変化させる(ステップS48)。例えば、1つの操作部に触れた2つの指の間隔が、約1cm狭くなる毎に、1ステップずつ表示縮尺が、大縮尺の縮小された地図に変化するようにしてある。
ステップS47で狭まっていることが検出されない場合には、ステップS41の判断に戻って待機する。また、ステップS43,S46,S48の入力処理が行われた後にも、ステップS41に戻って、次の操作があるまで待機する。
この図15のフローチャートに示すように処理されることで、表示された地図などのスクロールと、表示縮尺の設定が、スライド型の操作部を使用して簡単に操作できる。なお、ここでは地図を表示させる例としたので、表示縮尺を変化させるようにしたが、地図以外の文字や図形などが表示された際に、同様の処理で、表示倍率を変化させるようにしても良い。即ち、2本の指の間隔が広がるような操作があった場合に、表示倍率を高くするような拡大処理を行い、2本の指の間隔が狭まるような操作があった場合に、表示倍率を低くするような縮小処理を行うようにしても良い。
次に、図14Cに示したような、2つのスライダ型操作部311,312が同時に操作された場合の、コントローラの制御により処理例を、図16のフローチャートを参照して説明する。まずコントローラは、調整モードとなるような操作があるか否か判断する(ステップS51)。ここでは、2つの操作部311,312が同時に接触することを検出した場合に、調整モードとする。このような接触状態を検出しない場合には、そのままで待機する。なお、調整モードとなるような操作については、別のキー等の操作を必要とするようにしても良い。
この処理で調整モードとなった場合には、例えば図14Cに示すように、表示部301上の画面の左寄りに、調整項目の一覧を表示させ、その中の1つの調整項目が選択されていることを表示させる。また、画面の右寄りには、その選択された項目についての調整量を表示させる。図14Cの表示例では、画面の明るさを調整する〔Brightness〕が調整項目として選択されて、調整量として明るさ45%が設定されている状態を示してある。
ステップS51で調整モードとなったことが検出されて、調整画面を表示させた場合には、左側の操作部311で検出される接触位置が変化するか否か判断する(ステップS52)。ここで、左側の操作部311で検出される接触位置が変化した場合には、その位置の変化量に応じて調整項目を変化させ、表示についても対応して変化させる(ステップS53)。例えば、図14Cに示すように、〔Brightness〕が調整項目として選択された状態で、操作部311で検出される接触位置が上側に少し変化したとき、〔Brightness〕の上側に表示された〔Volume〕に変化させる。
ステップS52で左側の操作部311の接触位置の変化が検出されない場合、及びステップS53で調整項目を変化させた処理を行った後には、ステップS54に移って、右側の操作部312で検出される接触位置が変化するか否か判断する。ここで、右側の操作部312で検出される接触位置が変化した場合には、その位置の変化量に応じて、そのとき選定されている調整項目についての調整量を変化させ、表示についても対応して変化させる(ステップS55)。例えば、図14Cに示すように、〔Brightness〕が調整項目として選択された状態で、操作部312で検出される接触位置が上側又は下側に変化したとき、現在の調整量45%から値を上又は下に変化させる。
その後、調整モードを終了させる処理が行われたか否か判断する(ステップS56)。ここでの判断としては、例えば、左側の操作部311の接触位置の変化で設定される調整項目の1つに、調整モード終了と表示された項目を設けて、左側の操作部311の操作で、その項目が選択された場合に、調整モードを終了させる。或いは、2つの操作部311,312での接触が、ある程度の時間ない状態になった場合に、調整モードを終了させる。或いはまた、いずれかのキーの操作で調整モードを終了させる。調整モードの終了処理が行われない場合には、ステップS52の判断に戻る。
このようにして、左右2つのスライダ型操作部311,312を使用して、PDA300を持った手の指などを使用して、簡単に機器に設定されるデータの調整作業を行うことができる。ここでは調整を行う例について説明したが、その他の入力作業を、同様の処理で行うようにしても良い。
次に、スライダ型の入力装置として構成された本例の入力装置を、別の電子機器に組み込んだ例について説明する。図17は、カード型のデータ処理端末(以下カード型機器と称する)に、本例のスライダ型の入力装置を組み込んだ例である。本例のカード型機器400は、カード状の薄型の筐体に構成させてあり、表示部401などを備え、機器(即ちカード)の端面の表面にスライダ型操作部411が配置してあり、さらに、裏面側にも、スライダ型操作部411の裏になる位置に、スライダ型操作部411が配置してある。
各スライダ型操作部411,412は、例えば図7又は図8に示した入力装置として構成し、操作部を指などで触れることで操作できるようにする。この場合、図3に示した原理により、複数箇所の同時接触についても検出できる構成とする。
図18は、機器400の操作状態の例を示した図である。ここでは、各面の操作部411,412を単独で使用した操作の他に、表裏両面の操作部411,412を同時に使用した操作が行えるようにしてある。即ち、図18Aに示すように、カード型機器400の操作部411,412が配置された端面を、2本の指で挟むようにして、操作部411,412に触れて、その触れた一方の指で表側の操作部411を触れる位置を上側に移動させ、他方の指で裏側の操作部412を触れる位置を下側に移動させる。このように2本の指の間隔を広げるように操作することで、例えば、上述したPDA300での図14Bに示した例と同様に、表示部401で表示される画面の表示縮尺や表示倍率を一方に変化させるズーム処理を行う。また、図18Aの操作とは逆に、2本の指の間隔を狭くするように操作した場合に、画面の表示倍率や表示縮尺(又は表示倍率)を逆方向に変化させる。
また、図18Bに示すように、カード型機器400の操作部411,412が配置された端面を、2本の指で挟むようにして、操作部411,412に触れて、その触れた2本の指を、ほぼ同時に下側に移動させたとき、表示部401で表示される画面の表示位置を、下側にスクロールさせる。また、図18Bの操作とは逆に、2本の指を、ほぼ同時に上側に移動させたとき、表示部401で表示される画面の表示位置を、上側にスクロールさせる。
このように入力処理を行う場合のコントローラでの処理例を、図19のフローチャートを参照して説明すると、まず表裏のスライダ型操作部411,412で同時に接触していることを検出したか否か判断する(ステップS61)。この判断で、いずれか一方の操作部だけが接触した状態、或いは全く接触がない状態を検出した場合には、図示しない他の処理に移る。そして、操作部411,412で同時に接触していることを検出した場合には、その接触した位置が、表裏のスライダ型操作部411,412で同じ方向に変化しているか否か判断する(ステップS62)。ここで、同じ方向に変化していると判断した場合には、ステップS63に移って、表示のスクロール処理を行う。
また、ステップS62で、同じ方向への変化を検出しない場合には、表裏のスライダ型操作部411,412で異なる方向に変化しているか否か判断する(ステップS63)。ここで、異なる方向に変化していると判断した場合には、ステップS64に移って、表示のズーム処理を行う。
このように表と裏の両面にスライダ型操作部411,412を設けて、その2つのスライダ型操作部411,412の操作状態により、表示のスクロール処理やズーム処理を行うことで、例えばカード型機器400を片手で持ちながら、その持った手の指だけを使用して、高度な操作が可能になる。なお、ここでは表示のスクロール処理とズーム処理を行うようにしたが、機器400が必要なその他の機能の入力処理を、同様の操作で行うようにしても良い。
なお、ここまで説明した機器100,200,300,400は、ジョグタイアル型又はスライダ型の操作部を適用する機器の例を示したものであり、これらの機器100〜400以外の各種電子機器にも、本例の操作部が適用できることは勿論である。
また、図1〜図8に示した入力装置の例では、振動子40を備えて、接触位置の検出に基づいて一時的な振動を加えて、クリック感を持たせる構成としたが、適用される機器によっては、このような振動手段を省略して、振動させない構成としても良い。また、振動子40を備えた場合であっても、操作モードによっては、振動しない構成としても良い。
また、図1〜図8に示した入力装置の回路構成では、各電極に時分割で信号を印加するようにして、時分割で各電極を伝わる信号を検出するようにしたが、その他の構成や処理で、各電極を伝わる信号を検出するように構成しても良い。
また、ここまで説明した例では、入力装置は、生体である指の接触を、環状又は直線状の凹部などの決められた範囲内で検出するようにしたが、入力用のペンなどの生体以外の物体の接触を検出して、その接触の検出に基づいて入力処理を行うようにしても良いことは勿論である。
10…筐体、11…凹部、12…透孔、13…ボタン、14…軸、15…凹部、20…基板、21…電極、22…透孔、23…電極、30…基板、31,31′…電極、32…透孔、33…電極、40…振動子、41,41′…信号源、42,42a,42b…切換スイッチ、43…増幅器、44…同期検波器、45…ローパスフィルタ、46…アナログ/デジタル変換器、47…コントローラ、48…パルス発生器、50…基板、51a,51b,52a,52b…電極、100…オーディオ機器、101…ジャック、102…ヘッドホン、103…プラグ、104…表示部、111…環状操作部(凹部)、112…押しボタン部、200…携帯電話端末、201…第1筐体、202…第2筐体、203…接合部、204…キー、205…表示部、211…環状操作部(凹部)、212…押しボタン部、300…PDA、301…表示部、303…操作キー、311,312,313…スライダ型操作部、400…カード型機器、401…表示部、411,412…スライダ型操作部