JP2007204502A - 硬化性シリコーン系樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 1液性あるいは2液性の接着剤、シーラント等として利用できる、速やかに硬化する硬化性シリコーン系樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 分子内に加水分解性珪素基及び含窒素極性基を含有する硬化性シリコーン系樹脂100質量部と、含窒素化合物0.1〜10質量部とを含有することを特徴とする硬化性シリコーン系樹脂組成物である。含窒素極性基はウレタン結合基及び/又はウレア結合基であることが好ましい。含窒素化合物は1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、1,1,3,3−テトラメチルグアニジンから選ばれる一種以上であることが好ましい。
【選択図】 なし
【解決手段】 分子内に加水分解性珪素基及び含窒素極性基を含有する硬化性シリコーン系樹脂100質量部と、含窒素化合物0.1〜10質量部とを含有することを特徴とする硬化性シリコーン系樹脂組成物である。含窒素極性基はウレタン結合基及び/又はウレア結合基であることが好ましい。含窒素化合物は1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、1,1,3,3−テトラメチルグアニジンから選ばれる一種以上であることが好ましい。
【選択図】 なし
Description
本発明は、特定の硬化触媒と硬化性シリコーン系樹脂とを含有する硬化性シリコーン系樹脂組成物に関し、特に、この硬化触媒と、湿気硬化型の硬化性シリコーン系樹脂とを含有する湿気硬化性シリコーン系樹脂組成物に関するものである。
従来、分子内に加水分解性珪素基を有する湿気硬化型の硬化性シリコーン系樹脂の硬化触媒として、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート等のジブチル錫化合物が使用されている。この有機錫化合物は、硬化性シリコーン系樹脂を速やかに硬化させるため、重宝されている。しかしながら、有機錫化合物は重金属である錫を含有しているため、近年、人体に対する危険性・有害性が指摘されている。
また、硬化性シリコーン系樹脂の硬化触媒としては、有機錫化合物の外にも、カルボン酸などの有機酸化合物、あるいは、アミンなどの有機塩基化合物が知られている(特許文献1参照)。
しかしながら、これらの化合物を単独で用いても極めて速い硬化速度は得られない、あるいは、硬化速度を上げるためにこれらの化合物を多量に配合すると接着性が低下するなどの問題があった。そのため、これらの化合物は有機錫化合物と併用する助触媒として使用されているのが実情であった。
そこで、本発明者等は、種々の硬化性シリコーン系樹脂或いはその他の硬化性シリコーン系樹脂の硬化実験を行っていたところ、特定の硬化性シリコーン系樹脂に特定のアミン化合物を配合することで、極めて硬化が速くなることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、第一の発明は、下記一般式(1)で表される加水分解性珪素基と含窒素極性基とを分子内に有する硬化性シリコーン系樹脂100質量部と、下記一般式(2)で表される含窒素化合物0.1〜10質量部とを含有することを特徴とする硬化性シリコーン系樹脂組成物に関するものである。
一般式(1):
(式中、Xはヒドロキシル基又はアルコキシル基等の加水分解性基を示し、R1は炭素数1〜20の炭化水素基又は置換基を有する炭化水素基を示し、nは0、1又は2を示す。)
一般式(2):
(式中、R2は環状炭化水素基、置換基を有する環状炭化水素基、窒素原子を含む環状炭化水素基及び置換基を有する窒素原子を含む環状炭化水素基よりなる群から選ばれた基を示す。)
すなわち、第一の発明は、下記一般式(1)で表される加水分解性珪素基と含窒素極性基とを分子内に有する硬化性シリコーン系樹脂100質量部と、下記一般式(2)で表される含窒素化合物0.1〜10質量部とを含有することを特徴とする硬化性シリコーン系樹脂組成物に関するものである。
一般式(1):
一般式(2):
また、第二の発明は、下記一般式(1)で表される加水分解性珪素基と含窒素極性基とを分子内に有する硬化性シリコーン系樹脂100質量部、及び、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、1,1,3,3−テトラメチルグアニジンから選ばれる一種以上の含窒素化合物0.1〜10質量部とを含有することを特徴とする硬化性シリコーン系樹脂組成物に関するものである。
一般式(1):
(式中、Xはヒドロキシル基又はアルコキシル基等の加水分解性基を示し、R1は炭素数1〜20の炭化水素基又は置換基を有する炭化水素基を示し、nは0、1又は2を示す。)
一般式(1):
また、第三の発明は、第一又は第二の発明において、含窒素極性基がウレタン結合及び/又はウレア結合である硬化性シリコーン系樹脂組成物に関するものである。
本発明に係る硬化性シリコーン系樹脂組成物においては、特定の硬化性シリコーン樹脂に特定の含窒素化合物が配合されていることにより、速やかに硬化するという効果を奏する。
本発明でいう硬化性シリコーン系樹脂は、分子内に一般式(1)で表される加水分解性珪素基を持つものである。加水分解性珪素基は、珪素原子に加水分解性基が1〜3個結合すると共に、炭化水素基が2〜0個結合しているものである。そして、この珪素原子には、主鎖が結合している。ここで、加水分解性基としては、ヒドロキシル基や、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシル基が、一般的に用いられる。その他、ハロゲン基やメルカプト基等の従来公知の加水分解性基も用いることができる。炭化水素基としては、メチル基やエチル基等のアルキル基が一般的に用いられる。また、アルキル基等の炭化水素基には、ヒドロキシアルキル基等の置換基を有していてもよい。主鎖としては、ポリオキシアルキレンやビニル重合体等一般的に用いられているものが採用される。さらに、シロキサン結合(Si−O−Si)よりなる重合体等のシリコーン樹脂に一般に用いられているものも採用される。
また、本発明でいう硬化性シリコーン系樹脂は、分子内に含窒素極性基をもつものである。ここで、含窒素極性基とは、ウレタン結合基、チオウレタン結合基、尿素結合基、チオ尿素結合基、置換尿素結合基、置換チオ尿素結合基、アミド結合基、第一級アミノ基、第二級アミノ基及び第三級アミノ基等の窒素原子を含有する結合基又は官能基等を指す。これらの含窒素特性基の中では、下記一般式(3)で表されるようなウレタン結合基あるいは下記一般式(4)で表されるようなウレア結合基が、より硬化を促進せしめるものであり好ましい。さらに、このような含窒素極性基が加水分解性珪素基の近傍に存在すると、硬化性シリコーン系樹脂の硬化がさらに促進され、特に好ましい。
一般式(3):
(式中、R3は水素原子又は分子量500以下の有機基を示す。)
一般式(4):
(式中、R3及びR4は水素原子又は分子量500以下の有機基を示す。R3及びR4は同じであっても異なっていてもよい。)
一般式(3):
一般式(4):
硬化が促進する理由としては、硬化性シリコーン系樹脂の分子内に存在する含窒素極性基が、上記一般式(2)で表される含窒素化合物の分子的相性の良いドメインとなるからであると考えられる。この結果、上記一般式(2)で表される含窒素化合物が、硬化性シリコーン系樹脂の加水分解性珪素基の近傍に集まって相互作用しやすくなり、加水分解性基の脱離能がさらに高まって、加水分解性珪素基同士のカップリング反応がさらに促進されるためであると考えられるのである。ここで、上記一般式(2)で表される含窒素化合物は、硬化性シリコーン樹脂の硬化触媒となると判断される。
分子内に含窒素極性基を含有する硬化性シリコーン系樹脂は、従来公知の方法で、主鎖に各極性基を導入すればよい。たとえば、ウレタン結合基は、特許第3030020号公報、特開2005−054174号公報記載の方法や、後述の実施例記載の方法で容易に導入することができる。
本発明において、加水分解性基の数が3個である(一般式(1)中のnが0である)硬化性シリコーン系樹脂を用いるのが、好ましい。この理由は、加水分解性基の数が3個であると、本来的に硬化しやすくなるからである。
本発明に係る含窒素化合物は、上記した硬化性シリコーン系樹脂を速やかに硬化させるものであり、硬化性シリコーン樹脂の硬化触媒となる。本発明に係る含窒素化合物の具体例としては、上記一般式(2)で表される含窒素化合物、及び/又は、請求項2に記載された、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン又は1,1,3,3−テトラメチルグアニジン等が挙げられる。このような含窒素化合物が、硬化性シリコーン系樹脂の良好な硬化触媒として機能する理由は定かではないが、共役酸としたときのpKa値が高いこと、及びその分子構造によるものと考えられる。
なお、念のため、請求項2に記載された特定の含窒素化合物の構造式を示せば、以下のとおりである。
(1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン)
(7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン)
(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン)
(6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン)
(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン)
(1,1,3,3−テトラメチルグアニジン)
(1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン)
本発明に係る硬化性シリコーン系樹脂組成物は、上記した硬化性シリコーン系樹脂と、上記した含窒素化合物(硬化触媒)とが配合されてなるものであり、含窒素化合物の配合量によって、その硬化速度を調整することができる。すなわち、含窒素化合物の配合量を多くすればするほど、硬化性シリコーン系樹脂の硬化速度を速めることができる。一般的に、硬化性シリコーン系樹脂100質量部に対し、含窒素化合物の配合量は0.1〜10質量部程度が好ましく、特に0.5〜5質量部程度が好ましい。また、硬化性シリコーン系樹脂が3官能であるときは、本来的に硬化速度が速いので、含窒素化合物の量は少なくてもよい。1〜2官能であるときは、本来的に硬化速度が遅いので、含窒素化合物の量を多くするのが好ましい。
本発明に係る硬化性シリコーン系樹脂組成物中には、硬化性シリコーン系樹脂と含窒素化合物(硬化触媒)以外に、従来公知の任意の化合物乃至物質を配合することができる。たとえば、本発明で用いる硬化性シリコーン系樹脂以外の各種の樹脂、本発明に係る含窒素特性基以外の錫系又はアミン系等の硬化触媒、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤、親水性又は疎水性シリカ系粉体等の充填剤、フェノール樹脂等の粘着付与剤、無水シリカ等の揺変剤、酸化カルシウム等の脱水剤、希釈剤、可塑剤、難燃剤、オリゴマー、老化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、チタネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、乾性油等を配合することができる。
本発明に係る硬化性シリコーン系樹脂組成物は、水分の存在下で、加水分解性基同士が縮重合することによって硬化するものである。したがって、1液性の組成物として使用する場合、保管乃至搬送中は、空気(空気中の水分)と接触しないよう、気密に密封した状態で取り扱われる。そして、使用時には開封して任意の箇所に適用すれば、空気中の水分と接触して硬化性シリコーン系樹脂が硬化するのである。2液性の硬化性組成物として使用する場合は、上記した硬化性シリコーン系樹脂と、上記した含窒素特性基とを混ぜ合わせた際に本発明に係る効果が発現する。
本発明に係る硬化性シリコーン系樹脂組成物は、従来の硬化性シリコーン系樹脂が適用されていた全ての用途に用いることができる。たとえば、接着剤、シーラント、塗料、コーティング材、目止め材、注型材、被覆材等として用いることができる。
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。本発明は、特定の含窒素化合物が、含窒素特性基を有する硬化性シリコーン系樹脂を速やかに硬化させるとの発見に基づくものとして、解釈されるべきである。
(硬化性シリコーン系樹脂の調製)
(1)硬化性シリコーン系樹脂SB−1
反応容器内で、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン163.3gを窒素雰囲気下80℃で撹拌しながら、アクリル酸ラウリル240.4gを1時間かけて滴下し、さらに、80℃で10時間反応させた後、50℃で7日間反応させることで、分子内にメチルジメトキシシリル基及び第2級アミノ基を有する反応物SE−1を得た。
別の反応容器内に、旭硝子ウレタン社製の「PMLS4012」(ポリオキシプロピレンポリオール、数平均分子量10,000)900g、旭電化工業社製の「PR3007」(ポリオキシエチレン含有ポリオキシプロピレンポリオール、数平均分子量3,000)100g、イソホロンジイソシアネート57.7g、及び、ジオクチルスズジバーサテート50mgを仕込み、窒素雰囲気下にて撹拌混合しながら、80℃で5時間反応させて、分子内にイソシアネート基を有するポリオキシアルキレン樹脂を得た。その後、反応物SE−1を110.1g添加し、窒素雰囲気下にて撹拌混合しながら、80℃で1時間反応させることで、主鎖がポリオキシアルキレンであり分子内にメチルジメトキシシリル基を有する硬化性樹脂SB−1を得た。23℃における硬化性樹脂SB−1の粘度は、60,000mPa・s(BH型粘度計、No.7ローター、10回転)であった。
(1)硬化性シリコーン系樹脂SB−1
反応容器内で、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン163.3gを窒素雰囲気下80℃で撹拌しながら、アクリル酸ラウリル240.4gを1時間かけて滴下し、さらに、80℃で10時間反応させた後、50℃で7日間反応させることで、分子内にメチルジメトキシシリル基及び第2級アミノ基を有する反応物SE−1を得た。
別の反応容器内に、旭硝子ウレタン社製の「PMLS4012」(ポリオキシプロピレンポリオール、数平均分子量10,000)900g、旭電化工業社製の「PR3007」(ポリオキシエチレン含有ポリオキシプロピレンポリオール、数平均分子量3,000)100g、イソホロンジイソシアネート57.7g、及び、ジオクチルスズジバーサテート50mgを仕込み、窒素雰囲気下にて撹拌混合しながら、80℃で5時間反応させて、分子内にイソシアネート基を有するポリオキシアルキレン樹脂を得た。その後、反応物SE−1を110.1g添加し、窒素雰囲気下にて撹拌混合しながら、80℃で1時間反応させることで、主鎖がポリオキシアルキレンであり分子内にメチルジメトキシシリル基を有する硬化性樹脂SB−1を得た。23℃における硬化性樹脂SB−1の粘度は、60,000mPa・s(BH型粘度計、No.7ローター、10回転)であった。
(2)硬化性シリコーン系樹脂SB−2
反応容器内で、3−アミノプロピルトリメトキシシラン179.3gを窒素雰囲気下室温で撹拌しながら、アクリル酸メチル86.1gを1時間かけて滴下した後、室温で5時間撹拌した。さらに、50℃で3日間反応させることで、分子内にトリメトキシシリル基及び第2級アミノ基を有する反応物SE−2を得た。
別の反応容器内に、旭硝子ウレタン社製の「PMLS4012」(ポリオキシプロピレンポリオール、数平均分子量10,000)1000g、イソホロンジイソシアネート47.5g、及び、ジオクチルスズジバーサテート50mgを仕込み、窒素雰囲気下にて撹拌混合しながら、80℃で5時間反応させて、分子内にイソシアネート基を有するポリオキシアルキレン樹脂を得た。その後、反応物SE−2を59.6g添加し、窒素雰囲気下にて撹拌混合しながら、80℃で1時間反応させることで、主鎖がポリオキシアルキレンであり分子内にトリメトキシシリル基を有する硬化性樹脂SB−2を得た。23℃における硬化性樹脂SB−2の粘度は、61,000mPa・s(BH型粘度計、No.7ローター、10回転)であった。
反応容器内で、3−アミノプロピルトリメトキシシラン179.3gを窒素雰囲気下室温で撹拌しながら、アクリル酸メチル86.1gを1時間かけて滴下した後、室温で5時間撹拌した。さらに、50℃で3日間反応させることで、分子内にトリメトキシシリル基及び第2級アミノ基を有する反応物SE−2を得た。
別の反応容器内に、旭硝子ウレタン社製の「PMLS4012」(ポリオキシプロピレンポリオール、数平均分子量10,000)1000g、イソホロンジイソシアネート47.5g、及び、ジオクチルスズジバーサテート50mgを仕込み、窒素雰囲気下にて撹拌混合しながら、80℃で5時間反応させて、分子内にイソシアネート基を有するポリオキシアルキレン樹脂を得た。その後、反応物SE−2を59.6g添加し、窒素雰囲気下にて撹拌混合しながら、80℃で1時間反応させることで、主鎖がポリオキシアルキレンであり分子内にトリメトキシシリル基を有する硬化性樹脂SB−2を得た。23℃における硬化性樹脂SB−2の粘度は、61,000mPa・s(BH型粘度計、No.7ローター、10回転)であった。
(3)硬化性シリコーン系樹脂SB−3
反応容器に、上記硬化性樹脂SB−2を100g入れ、窒素雰囲気下、90℃まで昇温した。そこに、メタクリル酸メチル40g、メタクリル酸ラウリル30g、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン3g、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン8g及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.7gを混合したモノマー混合液を30分かけて滴下し、重合反応を行った。さらに、90℃で30分反応させた後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.2gとメチルエチルケトン1gの混合溶液を滴下し、重合反応を行った。次いで、90℃で30分反応させた後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.1gとメチルエチルケトン1gの混合溶液を滴下し、重合反応を行った。さらに、90℃で30分反応させた後、未反応の諸成分を減圧留去して、分子内にトリメトキシシリル基を有する硬化性樹脂SB−3を得た。23℃における硬化性樹脂SB−3の粘度は、150,000mPa・sであった。
反応容器に、上記硬化性樹脂SB−2を100g入れ、窒素雰囲気下、90℃まで昇温した。そこに、メタクリル酸メチル40g、メタクリル酸ラウリル30g、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン3g、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン8g及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.7gを混合したモノマー混合液を30分かけて滴下し、重合反応を行った。さらに、90℃で30分反応させた後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.2gとメチルエチルケトン1gの混合溶液を滴下し、重合反応を行った。次いで、90℃で30分反応させた後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.1gとメチルエチルケトン1gの混合溶液を滴下し、重合反応を行った。さらに、90℃で30分反応させた後、未反応の諸成分を減圧留去して、分子内にトリメトキシシリル基を有する硬化性樹脂SB−3を得た。23℃における硬化性樹脂SB−3の粘度は、150,000mPa・sであった。
(4)硬化性シリコーン系樹脂S−1
市販の硬化性シリコーン系樹脂(カネカ社製「サイリルS203」、主鎖がポリオキシアルキレンである2官能の硬化性シリコーン系樹脂)を準備した。
市販の硬化性シリコーン系樹脂(カネカ社製「サイリルS203」、主鎖がポリオキシアルキレンである2官能の硬化性シリコーン系樹脂)を準備した。
(5)硬化性シリコーン系樹脂S−2
市販の硬化性シリコーン系樹脂(旭硝子社製「ES−GX−3440−ST」、主鎖がポリオキシアルキレンである3官能の硬化性シリコーン系樹脂)を準備した。
市販の硬化性シリコーン系樹脂(旭硝子社製「ES−GX−3440−ST」、主鎖がポリオキシアルキレンである3官能の硬化性シリコーン系樹脂)を準備した。
(6)硬化性シリコーン系樹脂S−3
市販の硬化性シリコーン系樹脂(カネカ社製「MA440AJ」、主鎖がポリオキシアルキレンである2官能の硬化性シリコーン系樹脂のアクリル変性物)を準備した。
市販の硬化性シリコーン系樹脂(カネカ社製「MA440AJ」、主鎖がポリオキシアルキレンである2官能の硬化性シリコーン系樹脂のアクリル変性物)を準備した。
なお、符合SBで示した硬化性シリコーン系樹脂は、本発明の例に係る硬化触媒であり、符合Sで示した硬化性シリコーン系樹脂は、本発明の例以外の硬化触媒である。
(硬化性シリコーン系樹脂組成物の調製)
(実施例1〜4、比較例1〜4、参考例1)
表1に示した硬化触媒(含窒素化合物又はスズ化合物)3.0質量部と、表1に示した硬化性シリコーン系樹脂100質量部とを、反応容器内に投入し、真空ポンプで反応容器内を減圧し、100mmHgまで減圧されたところで弁を閉じた。反応容器内を減圧した状態に保ったまま10分間撹拌した後、密閉容器に充填して、9種類の硬化性シリコーン系樹脂組成物を得た。
(実施例1〜4、比較例1〜4、参考例1)
表1に示した硬化触媒(含窒素化合物又はスズ化合物)3.0質量部と、表1に示した硬化性シリコーン系樹脂100質量部とを、反応容器内に投入し、真空ポンプで反応容器内を減圧し、100mmHgまで減圧されたところで弁を閉じた。反応容器内を減圧した状態に保ったまま10分間撹拌した後、密閉容器に充填して、9種類の硬化性シリコーン系樹脂組成物を得た。
そして、実施例1〜4、比較例1〜4、参考例1に係る硬化性シリコーン系樹脂組成物の皮張り時間を、以下の方法で測定した。その結果を表1に示した。
(皮張り時間)
実施例1〜4、比較例1〜4、参考例1に係る硬化性シリコーン系樹脂組成物を、23±2℃で相対湿度30±5%の雰囲気下で開封して放置し、指触により、表面に張った硬化皮膜が指に転着しなくなるまでの時間を、皮張り時間として測定した。
(皮張り時間)
実施例1〜4、比較例1〜4、参考例1に係る硬化性シリコーン系樹脂組成物を、23±2℃で相対湿度30±5%の雰囲気下で開封して放置し、指触により、表面に張った硬化皮膜が指に転着しなくなるまでの時間を、皮張り時間として測定した。
[表1]
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硬化触媒 硬化性シリコ 皮張り時間
ーン系樹脂
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実施例1 DBU*1 SB−1 4時間
実施例2 DBN*2 SB−1 8時間
実施例3 TMG*3 SB−2 1時間
実施例4 DBU*1 SB−3 30分
比較例1 DBU*1 S−1 1日では硬化せず
比較例2 DBN*1 S−1 1日では硬化せず
比較例3 TMG*3 S−2 4時間
比較例4 DBU*1 S−3 1日では硬化せず
参考例1 DOTDV*4 SB−1 1日では硬化せず
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
*1:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン
*2:1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン
*3:1,1,3,3−テトラメチルグアニジン
*4:ジオクチルスズジバーサテート
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硬化触媒 硬化性シリコ 皮張り時間
ーン系樹脂
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実施例1 DBU*1 SB−1 4時間
実施例2 DBN*2 SB−1 8時間
実施例3 TMG*3 SB−2 1時間
実施例4 DBU*1 SB−3 30分
比較例1 DBU*1 S−1 1日では硬化せず
比較例2 DBN*1 S−1 1日では硬化せず
比較例3 TMG*3 S−2 4時間
比較例4 DBU*1 S−3 1日では硬化せず
参考例1 DOTDV*4 SB−1 1日では硬化せず
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*1:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン
*2:1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン
*3:1,1,3,3−テトラメチルグアニジン
*4:ジオクチルスズジバーサテート
実施例1と比較例1、実施例2と比較例2、実施例3と比較例3、実施例4と比較例4をそれぞれ対比すると、同一の含窒素化合物を使用しているにもかかわらず、分子内に含窒素極性基を有する本発明の例に係る硬化性シリコーン系樹脂組成物を用いた組成物のほうが、本発明の例以外の硬化性シリコーン系樹脂組成物よりも極めて速やかに硬化することが分かる。これは、特定の含窒素化合物が、含窒素特性基を有する硬化性シリコーン系樹脂と相互作用することにより、加水分解性珪素基同士のカップリング反応がさらに促進されるためであると考えられる。
また、同一の硬化性シリコーン系樹脂(SB−1)を使用しているにもかかわらず、参考例1(ウレタン合成触媒として微量使用されているジオクチルスズジバーサテートを硬化触媒として使用した)と実施例1又は2とを対比すると、本発明の例に係る含窒素化合物は、従来公知のスズ化合物よりも極めて速やかに硬化することが分かる。つまり、実施例1又は2において硬化速度が極めて速いのは、本発明における特定の含窒素化合物による効果であることが分かる。
また、同一の硬化性シリコーン系樹脂(SB−1)を使用しているにもかかわらず、参考例1(ウレタン合成触媒として微量使用されているジオクチルスズジバーサテートを硬化触媒として使用した)と実施例1又は2とを対比すると、本発明の例に係る含窒素化合物は、従来公知のスズ化合物よりも極めて速やかに硬化することが分かる。つまり、実施例1又は2において硬化速度が極めて速いのは、本発明における特定の含窒素化合物による効果であることが分かる。
(実施例5)
硬化性シリコーン系樹脂SB−1(500質量部)及びNS400(日東粉化工業(株)製、重質炭酸カルシウム、250質量部)を反応容器内に投入し、真空ポンプで反応容器内を減圧しながら100℃で1時間撹拌した後、室温まで冷却した。その後、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(25質量部)及びDBU(1.0質量部)を加えた。真空ポンプで反応容器内を減圧し、反応容器内を減圧した状態に保ったまま10分間撹拌した後、密閉容器に充填して硬化性シリコーン系樹脂組成物を得た。そして、表2に示す木板(厚さ5mm、幅25mm、長さ100mm)、SUS板(厚さ1.6mm、幅25mm、長さ100mm)、ABS板(厚さ3mm、幅25mm、長さ100mm)を用いて接着強さを測定した。接着強さは、得られた硬化性シリコーン系樹脂組成物(0.1g)を12.5mm×25mmの面積に均一に塗布し、12.5mm×25mmの面積で各被着材同士をはり合わせた。各はり合わせ試験体を23±2℃相対湿度30±5%で7日間養生して、引張りせん断接着強さ(N/mm2)をJIS K 6850に準じて測定した。それらの結果を表2に示した。
硬化性シリコーン系樹脂SB−1(500質量部)及びNS400(日東粉化工業(株)製、重質炭酸カルシウム、250質量部)を反応容器内に投入し、真空ポンプで反応容器内を減圧しながら100℃で1時間撹拌した後、室温まで冷却した。その後、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(25質量部)及びDBU(1.0質量部)を加えた。真空ポンプで反応容器内を減圧し、反応容器内を減圧した状態に保ったまま10分間撹拌した後、密閉容器に充填して硬化性シリコーン系樹脂組成物を得た。そして、表2に示す木板(厚さ5mm、幅25mm、長さ100mm)、SUS板(厚さ1.6mm、幅25mm、長さ100mm)、ABS板(厚さ3mm、幅25mm、長さ100mm)を用いて接着強さを測定した。接着強さは、得られた硬化性シリコーン系樹脂組成物(0.1g)を12.5mm×25mmの面積に均一に塗布し、12.5mm×25mmの面積で各被着材同士をはり合わせた。各はり合わせ試験体を23±2℃相対湿度30±5%で7日間養生して、引張りせん断接着強さ(N/mm2)をJIS K 6850に準じて測定した。それらの結果を表2に示した。
(参考例2)
DBUをジオクチルスズジバーサテートに置き換えた以外は、実施例5と同様に硬化性シリコーン系樹脂組成物を調製し、引張せん断接着強さを測定した。それらの結果を表2に示した。
DBUをジオクチルスズジバーサテートに置き換えた以外は、実施例5と同様に硬化性シリコーン系樹脂組成物を調製し、引張せん断接着強さを測定した。それらの結果を表2に示した。
[表2]
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実施例5 参考例2
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木材/木材 2.82 2.92
木材/SUS 2.82 2.99
木材/ABS 2.72 2.24
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実施例5 参考例2
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木材/木材 2.82 2.92
木材/SUS 2.82 2.99
木材/ABS 2.72 2.24
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表2の結果から明らかなように、本発明の例に係る硬化性シリコーン系樹脂組成物は接着剤として使用する際には、十分な接着強さを発揮することが分かる。
本発明に係る硬化性シリコーン系樹脂組成物は、特定の硬化性シリコーン樹脂に特定の含窒素化合物が配合されていることにより、速やかに硬化する。また、これらの硬化性シリコーン系樹脂組成物は、1液性あるいは2液性の接着剤、シーラント、塗料、コーティング材、目止め材、注型材、被覆材等として用いることができる。
Claims (3)
- 下記一般式(1)で表される加水分解性珪素基と含窒素極性基とを分子内に有する硬化性シリコーン系樹脂100質量部、及び、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、1,1,3,3−テトラメチルグアニジンから選ばれる一種以上の含窒素化合物0.1〜10質量部とを含有することを特徴とする硬化性シリコーン系樹脂組成物。
一般式(1):
- 含窒素極性基がウレタン結合基及び/又はウレア結合基である請求項1又は2に記載の硬化性シリコーン系樹脂組成物。
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- 2006-01-12 JP JP2006004875A patent/JP2007204502A/ja active Pending
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