JP2007204452A - 新規クマリン誘導体 - Google Patents

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Abstract

【課題】チオール基と反応した後にのみ強い蛍光を発する性質を有する新規蛍光ラベル化剤を提供する。
【解決手段】下記の一般式(I):
Figure 2007204452

〔R1は水素原子又はC1-12アルキル基を示し;R2は1個以上のマレイミド基を有するC1-12アルキル基、2個以上のマレイミド基を有するアリール基等を示し; R3及びR5は水素原子又はハロゲン原子を示し;R4は水酸基、C1-12アシルオキシ基、C1-12アシルオキシメチルオキシ基、又はアミノ基を示す〕で表される化合物又はその塩。
【選択図】なし

Description

本発明は新規なクマリン誘導体に関する。より具体的には、それ自体は実質的に無蛍光性であり、チオール基と反応した後に強い蛍光を発する性質を有するクマリン誘導体に関するものである。
細胞や組織が生きたままの状態で、タンパク質の細胞内局在や動的挙動を直接的に蛍光可視化することは、タンパク質の生理機能を解明する上で極めて重要であり、近年GFP (Green Fluorescent Protein)との融合タンパク質を用いる手法が汎用されている。しかしながら、GFP 自身の分子サイズが非常に大きいことや、GFPが細胞内に発現した後に蛍光団が形成されるまでにタイムラグあること等が問題となり、目的タンパク質の挙動を正確に追跡できない可能性が指摘されている。
また、タンパク質に蛍光タグを導入する方法として、CPM、MDCC、フルオレセイン-5-マレイミド及びTMR-5-マレイミドなどのチオール反応性蛍光ラベル化剤を用い、タンパク質中のチオール基(例えばシステインのチオール基)を利用して蛍光タグを導入する方法が知られている。
Figure 2007204452
しかしながら、これらのチオール反応性蛍光ラベル化剤は、分子サイズは小さいものの、チオール基との反応前に強い蛍光を有していたり、チオール基と反応してタンパク質に導入された後の蛍光が非常に弱いなど、反応の前後における蛍光強度の差が小さいという問題を有していた。また、チオール基を有するシステイン残基を持つ任意のタンパク質に対して付加反応により蛍光タグが導入されることから、目的タンパク質のみを特異的に蛍光ラベルして蛍光観察できないという問題点も有していた。
このような観点から、(1)チオール基との反応の前後で大きな蛍光強度の差が得られる分子サイズの小さな蛍光ラベル化剤、及び(2)分子サイズの小さな蛍光ラベル化剤を用いて観察目的タンパク質のみに選択的に蛍光タグを導入し、高感度に目的タンパク質を蛍光可視化する手段の提供が求められていた。
本発明の課題は、チオール基と反応した後にのみ強い蛍光を発する性質を有する新規蛍光ラベル化剤を提供することにある。また、分子サイズが小さい蛍光タグを目的タンパク質にのみに特異的に導入し、高感度に目的タンパク質を蛍光可視化する手段を提供することも本発明の課題である。
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意研究を行なった結果、クマリン誘導体にマレイミド基を有する置換基を導入した化合物では、マレイミド基がPeT(Photoinduced Electron Transfer)アクセプターとして作用して蛍光母核であるクマリンの蛍光を消光すること、及びマレイミド基がチオール基(例えばシステインのチオール基)等の求核剤と求核付加した後には、該マレイミド基がPeTアクセプターとして作用しなくなりクマリンの蛍光が回復することを発見し、この発見を基にチオール基との反応によって蛍光のON/OFFが可能なチオール反応性蛍光ラベル化剤を提供できることを見出した。
さらに、本発明者らは、クマリン誘導体に2個以上のマレイミド基を有する置換基を導入した化合物は、全てのマレイミド基がPeTアクセプターとして働くために蛍光母核であるクマリンの蛍光が消光され実質的に無蛍光となり、一方、全てのマレイミド基がチオール基等の求核剤と付加反応した場合のみに高い蛍光性を示すことを見出した。この知見を基にして、本発明者らは、クマリン誘導体に2個以上のマレイミド基を有する置換基を導入した上記の化合物を複数の近接したシステインを有するペプチドと反応させると、全てのマレイミド基が該システインのチオール基とそれぞれ付加反応した場合にのみ蛍光性の付加物を与えること、及び該化合物が同一分子内に2個以上の近接したシステインを有するペプチドを選択的に蛍光ラベル化するための試薬として有用であることを見出した。本発明は上記の知見に基づいて完成された。
すなわち、本発明により、下記の一般式(I):
Figure 2007204452
〔式中、R1は水素原子又はC1-12アルキル基を示し;R2は1個以上のマレイミド基を有するC1-12アルキル基、2個以上のマレイミド基を有するアリール基、下記の式(A):
-(CH2)n-CO-N(R11)(R12)
(式中、R11及びR12はそれぞれ独立に水素原子、C1-12アルキル基、1個以上のマレイミド基を有するC1-12アルキル基、又は1個以上のマレイミド基を有するアリール基を示すが、R11及びR12の少なくとも一方が1個以上のマレイミド基を有するC1-12アルキル基又は1個以上のマレイミド基を有するアリール基を示し、nは1ないし6の整数を示す)で表される基、又は下記の式(B):
-(CH2)m-NH-CO-R13
(式中、R13は1個以上のマレイミド基を有するC1-12アルキル基又は1個以上のマレイミド基を有するアリール基を示し、mは1ないし6の整数を示す)を示し; R3及びR5はそれぞれ独立に水素原子又はハロゲン原子を示し;R4は水酸基、C1-12アシルオキシ基、C1-12アシルオキシメチルオキシ基、又は1個若しくは2個の置換基を有していてもよいアミノ基を示す〕で表される化合物又はその塩が提供される。
上記化合物又はその塩はそれ自体は実質的に無蛍光性であり、一方、R2で表される基に存在する全てのマレイミド基がチオール基を含む化合物や生体物質(例えばシステイン、システイン残基を含むペプチド又はタンパク質など)のチオール基と付加反応した場合には、得られた付加物は高い蛍光性を有する。
この発明の好ましい態様によれば、上記一般式(I)において、R1が水素原子であり;R2が1個のマレイミド基を有するC1-12アルキル基、上記の式(A)で表される基(ただし、R11及びR12のいずれか一方が水素原子又はC1-12アルキル基であり、他方が1個のマレイミド基を有するC1-12アルキル基又は1個のマレイミド基を有するアリール基である)、又は上記の式(B)で表される基(ただし、R13が1個のマレイミド基を有するC1-12アルキル基又は1個のマレイミド基を有するアリール基である)であり;R3及びR5がそれぞれ独立に水素原子又はハロゲン原子であり;R4が水酸基、C1-12アシルオキシ基、C1-12アシルオキシメチルオキシ基、又は1個若しくは2個の置換基を有していてもよいアミノ基である化合物又はその塩が提供される。
上記発明の最も好ましい態様によれば、下記の式(III)及び(IV):
Figure 2007204452
(ただし、pは1ないし6の整数を示し、qは1ないし6の整数を示す)である化合物又はその塩が提供される。
もう一つのこの発明の好ましい態様によれば、上記一般式(I)において、R1が水素原子であり;R2が2個以上のマレイミド基を有するC1-12アルキル基、2個以上のマレイミド基を有するアリール基、上記の式(A)で表される基(ただし、R11及びR12のいずれか一方が水素原子又はC1-12アルキル基であり、他方が2個以上のマレイミド基を有するC1-12アルキル基又は2個以上のマレイミド基を有するアリール基である)、上記の式(A)で表される基(ただし、R11及びR12がそれぞれ独立に1個以上のマレイミド基を有するC1-12アルキル基又は1個以上のマレイミド基を有するアリール基であり、かつR11及びR12に存在するマレイミド基の総数が2個以上である)、又は上記の式(B)で表される基(ただし、R13が2個以上のマレイミド基を有するC1-12アルキル基又は2個以上のマレイミド基を有するアリール基である)であり;R3及びR5がそれぞれ独立に水素原子又はハロゲン原子であり;R4が水酸基、C1-12アシルオキシ基、C1-12アシルオキシメチルオキシ基、又は1個若しくは2個の置換基を有していてもよいアミノ基である化合物又はその塩が提供される。
上記発明の最も好ましい態様によれば、下記の式(V):
Figure 2007204452
で表される化合物又はその塩が提供される。
別の観点からは、チオール基を有する化合物、又はシステイン残基を含むペプチド若しくはタンパク質の蛍光ラベル化のために用いる上記一般式(I)で表される化合物又はその塩、及び上記一般式(I)で表される化合物を含み、チオール基を有する化合物、又はシステイン残基を含むペプチド若しくはタンパク質の蛍光ラベル化のために用いる蛍光ラベル化剤が本発明により提供される。上記の一般式(I)で表される化合物又はその塩は、システイン残基のチオール基と付加反応を引き起こして高い蛍光性の付加物を与える。その結果、チオール基を有する化合物、又はシステイン残基を含むペプチド若しくはタンパク質を蛍光性の付加物により蛍光ラベル化することができる。
さらに別の観点からは、同一分子内に近接した2個以上のシステイン残基を含むペプチド又はタンパク質の蛍光ラベル化のために用いる2個以上のマレイミド基を有する上記の化合物又はその塩が提供される。2個以上のマレイミド基を有する上記一般式(I)で表される化合物又はその塩は、全てのマレイミド基がチオール基と付加反応しない場合には実質的に無蛍光であり、全てのマレイミド基がチオール基と付加反応した場合にのみ高い蛍光性を示す付加物を与える。従って、2個以上のマレイミド基を有する上記一般式(I)で表される化合物又はその塩を同一分子内に近接した2個以上のシステイン残基を含むペプチド又はタンパク質と反応させると、極めて速やかに全てのマレイミド基がチオール基により付加反応を受け、その結果、高い蛍光性の付加物を与える。この性質を利用して、上記の化合物又はその塩を用いて、同一分子内に近接した2個以上のシステイン残基を含むペプチド又はタンパク質を選択的に蛍光ラベル化することができる。
また、チオール基を有する化合物、又はシステイン残基を含むペプチド若しくはタンパク質を蛍光ラベル化する方法であって、上記一般式(I)で表される化合物又はその塩をチオール基を有する化合物、又はシステイン残基を含むペプチド若しくはタンパク質と反応させる工程を含む方法が本発明により提供される。
上記一般式(I)で表される本発明の化合物又はその塩は、それ自体は実質的に無蛍光性であり、チオール基(例えばシステインなどの低分子化合物のほか、システイン残基を含むペプチド又はタンパク質などが有するチオール基)と反応した場合に高い蛍光性の付加物を与える性質を有している。従って、上記一般式(I)で表される本発明の化合物又はその塩は、チオール基を有する物質のための蛍光ラベル化剤として使用できる。
さらに上記一般式(I)においてR2として2個以上のマレイミド基が置換した基を有する化合物又はその塩は、それ自体は実質的に無蛍光性であり、全てのマレイミド基がチオール基と反応した場合にのみ、高い蛍光性の付加物を与える性質を有している。従って、この化合物又はその塩を用いて、同一分子内にマレイミド基の個数以上の近接したシステイン残基を含むペプチド又はタンパク質を選択的に蛍光蛍光ラベル化することができる。
本明細書において用いられる用語の意味は以下のとおりである。
「アルキル基」又はアルキル部分を含む置換基(例えばアルコキシ基など)のアルキル部分は、直鎖、分枝鎖、環状、又はそれらの組み合わせからなる飽和炭化水素基を意味している。より具体的には、アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、シクロプロピルメチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、アダマンチル基などを挙げることができる。
「アリール基」は単環性又は縮合多環性の芳香族炭化水素基あるいは単環性又は縮合多環性の芳香族ヘテロ環基を意味しており、好ましくは単環性ないし3環性芳香族炭化水素基又は単環性ないし3環性芳香族ヘテロ環基であり、さらに好ましくは単環性ないし2環性の芳香族炭化水素基であり、より具体的にはフェニル基やナフチル基などが挙げられる。
アシル部分を含む置換基(例えばアシルオキシ基など)のアシル部分は、脂肪族アシル基又は芳香族アシル基のいずれであってもよく、脂肪族アシル基の炭化水素部分は直鎖、分枝鎖、環状、又はそれらの組み合わせからなる炭化水素基であり、1個又は2個以上の不飽和結合を含んでいてもよい。芳香族アシル基の芳香族基としては上記のアリール基で説明したものを用いることができる。
ペプチドにはジペプチド、トリペプチド、オリゴペプチド(数個ないし20個程度のアミノ酸残基を含む)、ポリペプチド(20個を超えるアミノ酸残基を含む)などが含まれ、天然由来のアミノ酸残基のほか、非天然型アミノ酸残基を含むものも包含する。
上記一般式(I)で表される化合物において、R1が示すC1-12アルキル基としてはメチル基又はエチル基であることが好ましく、最も好ましいのはメチル基である。
上記一般式(I)で表される化合物において、R2が示す1個以上のマレイミド基が置換したC1-12アルキル基としては、直鎖、分枝鎖、環状、又はそれらの組み合わせからなるC1-12アルキル基に1個以上のマレイミド基が置換した基(マレイミド基は直接C1-12アルキル基に置換していることが好ましいが、C1-12アルキル基にアミド基やフェニレン基などを介して間接的に置換していてもよい。C1-12アルキル基に置換するマレイミド基の位置は置換可能な位置であれば特に限定されない。本明細書において用いられる「マレイミド基が置換した」という用語について同様である。)のいずれでもよいが、1個以上のマレイミド基が直接置換したC1-6直鎖アルキル基であることが好ましい。R2が1個のマレイミド基が直接置換したC1-12直鎖アルキル基である場合には、モノマレイミドメチル基であることが特に好ましい。
上記一般式(I)で表される化合物において、R2が示す2個以上のマレイミド基が置換したアリール基としては、2個又は3個のマレイミド基が置換したフェニル基、あるいは2個又は3個のマレイミド基が置換した単環性芳香族ヘテロ環基(例えばトリアゼニル基)などを挙げることができ、好ましくは2個又は3個のマレイミド基が置換したフェニル基である。
上記一般式(I)で表される化合物において、R2が式(A)で表される基であることも好ましい。式(A)で表される基においてnは1ないし6の整数を示すが、1ないし3の整数であることが好ましく、nが1であることが特に好ましい。
R11又はR12がC1-12アルキル基を示す場合には、エチル基又はメチル基が好ましく、特にメチル基であることが好ましい。
R11又はR12が示す1個以上のマレイミド基を有するC1-12アルキル基としては、直鎖、分枝鎖、環状、又はそれらの組み合わせからなるC1-12アルキル基に1個以上のマレイミド基が置換した基を挙げることができ、R11又はR12が1個のマレイミド基が置換したC1-12アルキル基を示す場合には、該アルキル基はC1-6直鎖アルキル基であることが好ましく、より具体的には、R11又はR12が2-マレイミドエチル基、3-マレイミドプロピル基、又は5-マレイミドペンチル基であることが特に好ましい。R11又はR12が2個のマレイミド基が置換したC1-12アルキル基を示す場合には、R11又はR12がジマレイミド置換シクロヘキシル基又はジマレイミド置換アダマンチル基であることが好ましく、3,5-ジマレイミドシクロヘキシル基であることが特に好ましい。R11又はR12が3個のマレイミド基が置換したC1-12アルキル基を示す場合にはトリマレイミド置換アダマンチル基であることが好ましい。
R11又はR12が示す1個以上のマレイミド基を有するアリール基としては、例えば1個ないし3個のマレイミド基が置換したフェニル基、又は単環性芳香族ヘテロ環基(例えばトリアジニル基)などを挙げることができるが、1個ないし3個のマレイミド基が置換したフェニル基であることが好ましい。
R11及びR12の組み合わせとしては、R11及びR12が示す基に存在するマレイミド基の総数が1個である場合には、R11及びR12のいずれか一方が水素原子であり、他方が1個のマレイミド基で置換されたC1-12直鎖アルキル基であることが好ましい。R11及びR12のいずれか一方が水素原子であり、他方が2-マレイミドエチル基、3-マレイミドプロピル基、又は5-マレイミドペンチル基であることが特に好ましい。R11及びR12が示す基に存在するマレイミド基の総数が2個である場合には、R11及びR12がそれぞれ独立に2-マレイミドエチル基、3-マレイミドプロピル基、又は5-マレイミドペンチル基であるか、R11及びR12のいずれか一方が水素原子であり、他方がジマレイミド置換シクロヘキシル基であることが好ましく、R11及びR12のいずれか一方が水素原子であり、他方が3,5-ジマレイミドシクロヘキシル基であることが特に好ましい。
上記一般式(I)で表される化合物において、R2が式(B)で表される基であることも好ましい。式(B)においてmは1ないし6の整数を示すが、1ないし3の整数であることが好ましく、mが1であることが特に好ましい。R13が示す1個以上のマレイミド基を有するC1-12アルキル基としては、直鎖、分枝鎖、環状、又はそれらの組み合わせからなるC1-12アルキル基に1個以上のマレイミド基が置換した基を挙げることができ、R13が1個のマレイミド基が置換したC1-12アルキル基を示す場合には、該アルキル基はC1-6直鎖アルキル基であることが好ましく、より具体的には、R13が2-マレイミドエチル基、3-マレイミドプロピル基、又は5-マレイミドペンチル基であることが特に好ましい。R13が2個のマレイミド基が置換したC1-12アルキル基を示す場合にはジマレイミド置換シクロヘキシル基又はジマレイミド置換アダマンチル基であることが好ましく、3,5-ジマレイミドシクロヘキシル基であることが特に好ましい。R13が3個のマレイミド基が置換したC1-12アルキル基を示す場合にはトリマレイミド置換アダマンチル基であることが好ましい。
上記一般式(I)で表される化合物において、R2が置換する位置はクマリン骨格の3位又は4位であることが好ましいが、4位に置換していることが最も好ましい。
上記一般式(I)で表される化合物において、R3及びR5が示すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子のいずれでもよいが、ハロゲン原子はフッ素原子又は塩素原子であることが好ましい。R3及びR5がフッ素原子又は塩素原子である場合には、システイン残基を含むペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質に本発明の化合物が反応して導入される蛍光タグのpH安定性が向上する場合がある。
上記一般式(I)で表される化合物において、R4が示すC1-12アシルオキシ基としてはC1-6直鎖アルキルカルボニルオキシ基が好ましく、メチルカルボニルオキシ基がさらに好ましい。R4が示すC1-12アシルオキシメチルオキシ基としては、C1-6直鎖アルキルカルボニルオキシメチルオキシ基が好ましく、メチルカルボニルオキシメチルオキシ基がさらに好ましい。R4が示すアミノ基は置換基を有していてもよく、より具体的には1個又は2個の置換基を有していてもよく、1級ないし3級のいずれでもよい。置換基としてはC1-6アルキル基、アシル基などを挙げることができ、より具体的にはメチル基やエチル基などが好ましい。アミノ基が置換基を有する場合の例としては、例えば、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、アセチルアミノ基などを挙げることができ、ジメチルアミノ基又はジエチルアミノ基などが好ましい。
上記一般式(I)で表される本発明の化合物は酸付加塩又は塩基付加塩として存在することができる。酸付加塩としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩などの鉱酸塩、又はメタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩などの有機酸塩などを挙げることができ、塩基付加塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などの金属塩、アンモニウム塩、又はトリエチルアミン塩などの有機アミン塩などを挙げることができる。これらのほか、グリシンなどのアミノ酸との塩を形成する場合もある。本発明の化合物又はその塩は水和物又は溶媒和物として存在する場合もあるが、これらの物質はいずれも本発明の範囲に包含される。
上記一般式(I)で表される本発明の化合物は、置換基の種類により、1個又は2個以上の不斉炭素を有する場合があるが、1個又は2個以上の不斉炭素に基づく光学活性体や2個以上の不斉炭素に基づくジアステレオ異性体などの立体異性体のほか、立体異性体の任意の混合物、ラセミ体などは、いずれも本発明の範囲に包含される。
本発明の化合物の代表的化合物の製造方法を本明細書の実施例に具体的に示した。従って、当業者は、これらの説明を基にして反応原料、反応条件、及び反応剤などを適宜選択し、必要に応じてこれらの方法に修飾や改変を加えることによって、上記一般式(I)で表される本発明の化合物をいずれも製造することができる。
上記一般式(I)で表される本発明の化合物又はその塩は、それ自体は実質的に無蛍光性であり、一方、本発明の化合物又はその塩がチオール基を有する化合物又はシステイン残基を含むペプチド若しくはタンパク質などのチオール基と反応して付加物となった場合には、該付加物は高い蛍光性を有する。従って、本発明の化合物は、チオール基を有するシステインなどの低分子化合物、又はシステイン残基を含むペプチド若しくはタンパク質の蛍光ラベル化剤として利用できる。
また、上記一般式(I)で表される本発明の化合物又はその塩が2個以上のマレイミド基を有する場合には、該化合物又はその塩は、それらのマレイミド基が全てチオール基と付加反応を受けた場合にのみ、蛍光性の付加物となる性質を有している。従って、2個以上のマレイミド基を有する本発明の化合物又はその塩を同一分子内に近接した複数のシステイン残基を有する物質と反応させると蛍光性の付加物を与えるが、近接する複数のシステイン残基を有しない物質と反応させた場合には蛍光性の付加物を生じない。より正確に説明すると、本発明の化合物又はその塩は、該化合物又はその塩が有するマレイミド基の個数以上の近接したシステイン残基を含む物質と反応した場合にのみ、蛍光性の付加物を与える。例えば、3個以上のマレイミド基を有する場合には、3個以上の近接するシステイン残基を含む物質と反応した場合にのみ蛍光性の付加物を与える。
従って、2個以上のマレイミド基を有する本発明の化合物又はその塩を用いることにより、近接したシステイン残基を含む物質を選択的に蛍光ラベル化できる。例えば、分子生物学的手法を用いてシステイン残基を2個又は3個を含む10個程度のアミノ酸残基からなるペプチドを調製して、観察目的とするタンパク質に認識タグとして導入し、2個又は3個のマレイミド基を有する本発明の化合物又はその塩と反応させることにより、該タンパク質の発現を特異的にモニターするシステムを構築することができ、観察目的タンパク質の細胞内局在及び動的挙動などを観察できる。
本明細書の全ての記載から、本発明における「近接」の語が2個以上のチオール基の一次構造上の距離(間隔)のみを限定するものではなく、本発明の化合物がチオール基と反応することによって蛍光のON/OFFが可能になることを限度として、2個以上のチオール基の空間的な距離(間隔)を規定しているものであることが当業者には理解される。すなわち、一次構造上で近接している場合に限らず、二次構造上、三次構造上で近接している場合も本発明の「近接」の語に含まれうる。上記に具体的に説明した使用方法は例示のためのものであり、本発明の化合物又はその塩の利用の態様は上記の使用態様に限定されるわけではない。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。
例1:化合物1、2、3、及び4の合成
化合物1、2、3、及び4の合成スキームを以下に示した。スキーム中、Acはアセチル基を示す。
Figure 2007204452
(a)化合物1(mal-1)の合成
4-アミノメチル-7-ヒドロキシクマリン塩酸塩(32.4 mg,0.14 mmol)を酢酸(10 mL)に溶解し、無水マレイン酸(17.6 mg,0.18 mmol)を加え,加熱環流にて,終夜攪拌した。酢酸を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(3%メタノール/ジクロロメタン)にて精製した。化合物120.2 mg(0.074 mmol,無色粉末,収率.53%)を得た。
m.p. 262℃.
1H NMR (300 MHz, DMSO- d6) δ 4.78 (2H, s), 5.92 (1H, s), 6.74 (1H, d, J = 2.4 Hz), 6.82 (1H, dd, J = 2.4, 8.8 Hz), 7.13 (2H, s), 7.71 (1H, d, J = 8.8 Hz).
FT-IR (KBr, cm-1) 3382, 3246, 3185, 3094, 2915, 1777, 1713, 1613, 1570, 1520, 1431, 1400, 1318, 1269, 1148, 997, 833, 696.
HR-MS (ESI-) Calcd for [M-H]-, 270.0403, Found, 270.0370.
(b)化合物2(mal-5)の合成
4-アミノメチル-7-ヒドロキシクマリン塩酸塩(30.6 mg,0.13 mmol)をアセトニトリル(2 mL)に溶解し、トリエチルアミン(40μL,29.2 mg,0.29 mmol)を加え、氷浴上で攪拌した。そこに3-マレイミドプロピオン酸-N-スクシンイミジル(37.5 mg,0.14 mmol)を加え、そのまま氷浴上で攪拌した。さらにジメチルホルムアミド(5 mL)に溶解したN-(3-ジメチルアミノプロピル)-N'-エチルカルボジイミド(WSCD)(42.5 mg,0.22 mmol)、少量の-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)を加え、さらに攪拌した。反応終了後、溶媒を減圧留去し、飽和クエン酸を注ぎ、酢酸エチルで抽出、飽和食塩水で洗浄操作を行った。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(3%メタノール/ジクロロメタン)にて精製した。化合物2 24.2 mg(0.071 mmol,無色粉末,収率.54%)を得た。
m.p. 207-210℃.
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 3.28 (2H, m), 3.64 (2H, t, J = 6.8 Hz), 4.39 (2H, d, J = 4.7 Hz), 5.98 (1H, s), 6.72 (1H, d, J = 2.4 Hz), 6.78 (1H, dd, J = 2.4, 8.3 Hz), 6.98 (2H, s), 7.61 (1H, d, J = 8.3 Hz),8.52 (1H, m),10.6 (1H, s).
FT-IR (KBr, cm-1) 3428, 3351, 3088, 2926, 2540, 1772, 1703, 1661, 1622, 1570, 1555, 1514, 1449, 1408, 1370, 1312, 1236, 1146, 995, 974, 835, 693.
MS (ESI-) 341.07667,[M-H]-.
HR-MS (ESI-) Calcd for [M-H]-, 341.0774, Found, 341.0749.
(c)化合物3(mal-6)の合成
4-アミノメチル-7-ヒドロキシクマリン塩酸塩(31.9 mg,0.14 mmol)をジメチルホルムアミド(2 mL)に溶解し、氷浴上で攪拌した。そこに4-マレイミド酪酸-N-スクシンイミジル(43.1 mg,0.15 mmol)を加え、そのまま室温にて4時間攪拌した。反応終了後、溶媒を減圧留去し、飽和クエン酸を注ぎ、酢酸エチルで抽出、飽和食塩水で洗浄操作を行った。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(2%メタノール/ジクロロメタン)にて精製した。化合物3 7.9 mg(0.022 mmol,無色粉末,収率.16%)を得た。
m.p. 200-201℃
1H NMR (300 MHz, DMSO- d6) δ 1.75 (2H, m), 2.20 (2H, m), 3.41 (2H, m), 4.39 (2H, d, J = 5.3 Hz),6.01 (1H, s), 6.71 (1H, d, J = 2.2 Hz), 6.77 (1H, dd, J = 2.2, 8.7 Hz), 7.00 (2H, s), 7.62 (1H, d,J = 8.8 Hz), 8.36 (1H, t, J = 5.3 Hz).
FT-IR (KBr, cm-1) 3295, 3080, 2928, 1709, 1655, 1613, 1570, 1549, 1449, 1410, 1313, 1267, 1147, 995, 847, 833, 696.
MS (ESI-) 355.07, [M-H]-.
HR-MS (ESI-) Calcd for [M-H]-, 355.0930, Found, 355.0888.
(d)化合物4(mal-8)の合成
4-アミノメチル-7-ヒドロキシクマリン塩酸塩(27.1 mg,0.12 mmol)をジメチルホルムアミド(2 mL)に溶解し、氷浴上で攪拌した。そこに4-マレイミドヘキサン酸-N-スクシンイミジル(40.0 mg,0.13 mmol)を加え、そのまま室温にて5時間攪拌した。反応終了後、溶媒を減圧留去し、飽和クエン酸を注ぎ、酢酸エチルで抽出、飽和食塩水で洗浄操作を行った。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(3%メタノール/ジクロロメタン)にて精製した。化合物4 14.0 mg(0.037 mmol,無色粉末,収率,30%)を得た。
m.p. 202-206℃
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 1.18-1.25 (2H, m), 1.43-1.57 (4H, m), 2.18 (2H, t, J = 7.7Hz), 3.37-3.90 (2H, m), 4.41 (2H, d, J = 5.0 Hz), 5.97 (1H, s), 6.71 (1H, d, J = 2.0 Hz), 6.77(1H, dd, J = 2.2, 8.8 Hz), 6.99 (2H, s), 7.62 (1H, d, J = 8.8 Hz), 8.35 (1H, t, J = 5.0 Hz).
FT-IR (KBr, cm-1) 3495, 3088, 2934, 2861, 1707, 1611, 1570, 1541, 1447, 1410, 1319, 1265, 1142, 995, 833, 696.
MS (ESI-) 383.09, [M-H]-.
HR-MS (ESI-) Calcd for [M-H]-, 383.1243, Found, 383.1254.
例2:化合物8の合成
化合物8の合成スキームを以下に示した。スキーム中、Bocはtert-ブトキシカルボニル基を示す。
Figure 2007204452
(a)化合物7の合成
cis-1,3,5-シクロヘキサントリアミン トリヒドロブロミド(化合物5)をBioorg. Med. Chem. Lett., 6, 7, 807 (1996)及びJ. Biol. Inorg. Chem., 6, 4, 367 (2001)に記載された方法を参考にして合成した。
cis-1,3,5-シクロヘキサントリアミン トリヒドロブロミド(化合物5)(0.14 g,0.38 mmol)をメタノール(5 mL)に溶解した。トリエチルアミン(0.34 mL,0.25 g,2.5 mmol)を添加し、氷浴上でメタノール(5 mL)に溶解した二炭酸ジ-tert-ブチル((Boc)2O)(0.17 g,0.78 mmol)を添加し、そのまま終夜撹拌した。反応終了後,溶媒を減圧留去した。ジクロロメタンを注ぎ、1規定酢酸で抽出し、さらに水酸化ナトリウムでアルカリ性にし、ジクロロメタンで抽出した。溶媒を減圧留去し、粗生成物として化合物6(35.3 mg,無色粉末)を得た。これをそのまま次の反応に用いた。
氷浴上にて7-ヒドロキシクマリン-4-酢酸(66.4 mg,0.30 mmol)をジメチルホルムアミド(2 mL)に溶解した。N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N'-エチルカルボジイミド(WSCD)(0.18 g,0.94 mmol)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)(0.16 g,1.2 mmol)を添加し、そのまま30 分撹拌した。化合物6(粗生成物,0.10 g)を添加し、終夜、室温で撹拌した。反応終了後、飽和クエン酸溶液を注ぎ、酢酸エチルで抽出、飽和食塩水で洗浄操作を行い、溶媒を減圧留去した。残渣を逆相HPLC(4% アセトニトリル/水-76% アセトニトリル/水 0.1% トリフルオロ酢酸含有(30分))にて精製した。化合物7 18.7 mg(0.035 mmol,無色粉末,収率.11.7%)を得た。
1H-NMR (300MHz, DMSO-d6) δ 0.96-1.08 (3H, m), 1.78-1.81 (3H, m), 2.56 (2H, m), 3.58 (3H, m), 6.12 (1H, s), 6.70 (1H, d, J = 2.2 Hz), 6.77 (1H, dd, J = 2.2; 8.8 Hz), 6.87 (2H, d, J = 7.9 Hz) ,7.57 (1H, d, J = 8.8 Hz), 8.19 (1H, d, J = 7.5 Hz).
MS (ESI-) 530.16, [M-H]-.
(b)化合物8の合成
氷浴上にて化合物7(8.6 mg,0.016 mmol)をジクロロメタン(3 mL)に懸濁した。アニソール(0.1 mL)を添加し、そこにトリフルオロ酢酸(3 mL)を滴下ロートにて添加し、45 分撹拌後、溶媒を減圧留去した。残渣を酢酸(2 mL)に溶解し、無水マレイン酸(8.6 mg,0.088 mmol)を加え、加熱還流下に終夜撹拌した。反応終了後、溶媒を減圧留去し、残渣を逆相HPLC(16% アセトニトリル/水 0.1% TFA含有)にて精製した。化合物8 1.8 mg(0.0037 mmol,無色粉末,収率.23%)を得た。
1H-NMR (300MHz, Acetone-d6) δ 1.29 (1H, s), 1.66-1.70 (1H, m), 2.10-2.16 (2H, m), 2.70-2.81 (2H, m), 3.71 (2H, s), 3.91-4.02 (1H, m), 4.12 (2H, tt, J = 3.7; 8.8 Hz), 6.19 (1H, s), 6.73 (1H, d, J = 2.4 Hz), 6.81 (4H, s), 6.82 (1H, dd, J = 2.4; 8.7 Hz), 7.50 (1H, d, J = 7.4 Hz), 7.67 (1H, d, J = 8.7 Hz).
HR-MS (ESI-) Calcd for [M-H]-, 490.1250, Found, 490.1237.
例3:化合物1、2、3、及び4とシステインとの反応
100 mmol/L ナトリウムリン酸緩衝液(pH=7.4)に化合物1ないし4を溶解し10μmol/Lとし(0.1% ジメチルスルホキシド含む)、吸収スペクトル及び蛍光スペクトル(励起波長328 nm)を測定した。続いて、終濃度100μmol/LのL-システインを添加した後、吸収スペクトル及び蛍光スペクトル(励起波長328 nm)を測定した。硫酸キニーネの0.1 mol/L 硫酸溶液中での蛍光量子収率を 0.577として各化合物の蛍光量子収率を計算した。結果を図1に示す。本発明の化合物1(mal-1)、化合物2(mal-5)、化合物3(mal-6)、及び化合物4(mal-8)は、システインのチオール基との付加反応前には蛍光量子収率が0.05以下でありほとんど蛍光を発しないが、システインのチオール基との付加反応後には蛍光量子収率が0.52〜0.75となり強い蛍光性の付加物を与えた。
例4:化合物8とシステインとの反応
5μmol/Lの化合物8にN-アセチルシステイン(NAC)又はAc-AECACRA-OH、Ac-AECAACRA-OHペプチド(N末端はアセチル基(Ac)、C末端はカルボキシル基、アミノ酸は一文字表記で示す)を添加し、蛍光強度を測定した。反応液は100 mmol/L ナトリウムリン酸緩衝液(pH=7.4 0.5% ジメチルスルホキシドを共溶媒として含む)を用いた。結果を図2に示す。
化合物8は、一分子のシステインと反応しても実質的には無蛍光であった。一方、同一分子内に2個の近接したシステイン残基を含むペプチドと効率よく反応して強い蛍光性の付加物を与えた。従って、マレイミド基を2個以上有する本発明の化合物は、近接したシステイン残基を含むペプチドと反応して選択的に該物質を蛍光ラベル化できることが示された。また、このようなペプチドを有する側鎖を目的タンパク質に導入することにより、目的タンパク質のみを特異的に蛍光ラベルできることが確認された。
化合物1、2、3、及び4の光学特性と化合物1、2、3及び4とシステインとの付加反応物の光学特性を示した図である。 チオール基を有する物質(N-アセチルシステイン、又は同一分子内に近接した2個のシステイン残基を含むペプチド)を化合物8と反応させたときの蛍光強度の時間変化を測定した結果を示した図である。

Claims (10)

  1. 下記の一般式(I):
    Figure 2007204452
    〔式中、R1は水素原子又はC1-12アルキル基を示し;R2は1個以上のマレイミド基を有するC1-12アルキル基、2個以上のマレイミド基を有するアリール基、下記の式(A):
    -(CH2)n-CO-N(R11)(R12)
    (式中、R11及びR12はそれぞれ独立に水素原子又はC1-12アルキル基、1個以上のマレイミド基を有するC1-12アルキル基、又は1個以上のマレイミド基を有するアリール基を示すが、R11及びR12の少なくとも一方が1個以上のマレイミド基を有するC1-12アルキル基又は1個以上のマレイミド基を有するアリール基を示し、nは1ないし6の整数を示す)で表される基、又は下記の式(B):
    -(CH2)m-NH-CO-R13
    (式中、R13は1個以上のマレイミド基を有するC1-12アルキル基又は1個以上のマレイミド基を有するアリール基を示し、mは1ないし6の整数を示す)を示し; R3及びR5はそれぞれ独立に水素原子又はハロゲン原子を示し;R4は水酸基、C1-12アシルオキシ基、C1-12アシルオキシメチルオキシ基、又は1個若しくは2個の置換基を有していてもよいアミノ基を示す〕で表される化合物又はその塩。
  2. R1が水素原子であり;R2が1個のマレイミド基を有するC1-12アルキル基、上記の式(A)で表される基(ただし、R11及びR12のいずれか一方が水素原子又はC1-12アルキル基であり、他方が1個のマレイミド基を有するC1-12アルキル基又は1個のマレイミド基を有するアリール基である)、又は上記の式(B)で表される基(ただし、R13が1個のマレイミド基を有するC1-12アルキル基又は1個のマレイミド基を有するアリール基である)であり;R3及びR5がそれぞれ独立に水素原子又はハロゲン原子であり;R4が水酸基、C1-12アシルオキシ基、C1-12アシルオキシメチルオキシ基、又は1個若しくは2個の置換基を有していてもよいアミノ基である請求項1に記載の化合物又はその塩。
  3. 下記の式(III)又は式(IV):
    Figure 2007204452
    (ただし、pは1ないし6の整数を示し、qは1ないし6の整数を示す)で表される化合物又はその塩。
  4. R1が水素原子であり;R2が2個以上のマレイミド基を有するC1-12アルキル基、2個以上のマレイミド基を有するアリール基、上記の式(A)で表される基(ただし、R11及びR12のいずれか一方が水素原子又はC1-12アルキル基であり、他方が2個以上のマレイミド基を有するC1-12アルキル基又は2個以上のマレイミド基を有するアリール基である)、上記の式(A)で表される基(ただし、R11及びR12がそれぞれ独立に1個以上のマレイミド基を有するC1-12アルキル基、又は1個以上のマレイミド基を有するアリール基であり、かつR11及びR12に存在するマレイミド基の総数が2個以上である)、又は上記の式(B)で表される基(ただし、R13が2個以上のマレイミド基を有するC1-12アルキル基又は2個以上のマレイミド基を有するアリール基である)であり;R3及びR5がそれぞれ独立に水素原子又はハロゲン原子であり;R4が水酸基、C1-12アシルオキシ基、C1-12アシルオキシメチルオキシ基、又は1個若しくは2個の置換基を有していてもよいアミノ基である請求項1に記載の化合物又はその塩。
  5. 下記の式(V):
    Figure 2007204452
    で表される化合物又はその塩。
  6. チオール基を有する化合物、又はシステイン残基を含むペプチド若しくはタンパク質の蛍光ラベル化のために用いる請求項1ないし5のいずれか1項に記載の化合物又はその塩。
  7. 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の化合物又はその塩を含み、チオール基を有する化合物、又はシステイン残基を含むペプチド若しくはタンパク質の蛍光ラベル化のために用いる蛍光ラベル化剤。
  8. 2個以上のマレイミド基を有する請求項1、4、又は5のいずれか1項に記載の化合物又はその塩。
  9. 同一分子内に近接した2個以上のシステイン残基を含むペプチド又はタンパク質の蛍光ラベル化のために用いる請求項8に記載の化合物又はその塩。
  10. 請求項8に記載の化合物又はその塩を含み、同一分子内に近接した2個以上のシステイン残基を含むペプチド又はタンパク質の蛍光ラベル化のために用いる蛍光ラベル化剤。
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