JP2007203721A - 画像記録システム及び方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】記録素子の記録特性の誤差に起因する濃度ムラを精度よく補正することができる画像記録システム及び方法を提供する。
【解決手段】画像読取手段と、前記画像は異なる単一の記録素子から記録された単一記録素子画像同士が接触しないものであるときに、画像読取手段によって読み取られた前記画像を処理することによって、記録素子の記録位置誤差の記録特性を示す情報と吐出液滴量誤差の記録特性を示す情報を区別して取得する特性情報取得手段と、記録素子の記録位置誤差の記録特性を示す情報と吐出液滴量誤差の記録特性を示す情報に基づいて濃度補正係数を決定する補正係数決定手段と、前記補正係数決定手段で決定された濃度補正係数を用いて出力濃度を補正する演算を行う補正処理手段と、前記補正処理手段による補正結果に基づいて前記記録素子の駆動を制御する駆動制御手段と、を備える。
【選択図】 図17

Description

本発明は画像記録システム及び方法に係り、特に複数の記録ヘッドにおける記録素子の特性である記録位置誤差と吐出液滴量誤差のばらつきによって生じる濃度ムラの補正に好適な画像処理技術に関する。
複数のインク吐出口(ノズル)を有するインクジェット方式の記録ヘッドを備えた画像記録装置(インクジェットプリンター)では、ノズルが持つ吐出特性のばらつきによって、記録画像に濃度ムラ(スジムラ)が生じ、画質上問題となる。スジムラの要因となるばらつきは、着弾位置誤差(ノズル配列方向のもの)、液滴量誤差に分類される。図18はノズルの吐出特性のばらつきと、記録結果として現れる濃度ムラの例を模式的に描いた説明図である。
図中、符号300はラインヘッド、符号302-i(i=1〜8)はノズルを示し、符号304-i(i=1〜8)は各ノズル302-i(i=1〜8)によって打滴されるドットを表している。また、矢印Sはラインヘッド300に対する記録媒体(例えば、記録紙)の相対的な搬送方向(副走査方向)を示している。
図18では、左から3番目のノズル302-3に着弾位置誤差(本来の着弾位置から図上で左横方向に着弾位置がずれて着弾)が発生し、6番目のノズル302-6について液滴量誤差(本来の液滴量よりも多い液滴量で吐出)が発生している例が示されている。この場合、着弾位置誤差、液滴量誤差の発生するそれぞれのノズル302-3、302-6に対応した印字画像の位置(図中のA,Bで示した位置)にスジ状の濃度ムラが発生する。
このような濃度ムラを補正するための技術が、特許文献1に開示されている。特許文献1では、均一なテストパターンを出力してその光学濃度をセンサで読み取り、それぞれのノズルに対応する位置における濃度を求めてノズル特性とし、これをもとに出力の補正データを作成している。
特許2882661号公報
しかしながら、特許文献1に開示されている濃度ムラを補正するための技術には以下の課題が存在する。
特許文献1では、ノズルの配列方向および被記録媒体の搬送方向に均一なテストパターンを出力してその光学濃度をセンサで読み取り、それぞれのノズルに対応する位置における濃度を求めている。しかし、それぞれのノズルに対応する位置における濃度には、着弾位置の誤差と液適量の誤差との影響が混在しており、正確なノズル特性を求めることができない。特に、着弾位置の誤差が存在することにより濃度を測定する位置とドットを出力する位置に不一致が生じてしまう。具体的には、図19に示すように、nzl4の特性としてarea4で濃度を取得すると、nzl3に着弾位置のズレが存在するため、nzl3の特性も混在して取り込んでしまう。このような不正確な特性をもとに補正データを作成すると、濃度ムラを十分に低減することができないという問題がある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、記録素子の記録位置誤差の記録特性を示す情報と吐出液滴量誤差の記録特性を示す情報を区別して取得することによって正確な記録特性を求めることにより、記録素子の記録特性の誤差に起因する濃度ムラを精度よく補正することができる画像記録システム及び方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、請求項1に係る画像記録システムは、複数の記録素子を有する記録ヘッドと、前記記録ヘッド及び被記録媒体のうち少なくとも一方を搬送して前記記録ヘッドと前記被記録媒体を相対移動させる搬送手段と、前記記録ヘッドにより記録された画像を読みる画像読取手段と、前記画像は異なる単一の記録素子から記録された単一記録素子画像同士が接触しないものであるときに、前記画像読取手段によって読み取られた前記画像を処理することによって、前記記録素子の記録位置誤差の記録特性を示す情報と吐出液滴量誤差の記録特性を示す情報を区別して取得する特性情報取得手段と、前記記録素子の記録位置誤差の記録特性を示す情報と吐出液滴量誤差の記録特性を示す情報に基づいて濃度補正係数を決定する補正係数決定手段と、前記補正係数決定手段で決定された濃度補正係数を用いて出力濃度を補正する演算を行う補正処理手段と、前記補正処理手段による補正結果に基づいて前記記録素子の駆動を制御する駆動制御手段と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、複数の記録素子による画像が記録された画像を取得し、記録素子の記録位置誤差を示す記録特性の情報と吐出液滴量誤差を示す記録特性の情報を各々区別して取得した上で、この2つの記録特性の情報を用いて濃度ムラ補正データを生成する。そのため、記録位置誤差と吐出液滴量誤差とが両方存在していても、各々の誤差に対応した濃度補正係数を決定して出力濃度を補正する演算を行うことができる。したがって、記録位置誤差と吐出液滴量誤差に起因する濃度ムラに対して効果的で高精度の補正を行うことができる。
また、「(記録ヘッドにより記録された)画像は異なる単一の記録素子から記録された単一記録素子画像同士が接触しないものである」ので、記録素子の着弾位置誤差が存在する場合であっても、各記録素子の間で着弾位置誤差による影響を与え合うおそれはない。そのため、各記録素子の記録位置誤差を示す記録特性の情報と吐出液滴量誤差を示す記録特性の情報を正確に取得できる。
ここで、「(記録ヘッドにより記録された)画像は異なる単一の記録素子から記録された単一記録素子画像同士が接触しないものである」という要件を満たす例としては、単一記録素子画像を階段状に配列する例や、記録素子の配列方向について一つ置きの記録素子による単一記録素子画像を配列する例など、隣り合う記録素子の単一記録素子画像同士が接触しない例に該当すればよい。
「記録位置誤差」とは、記録素子の着弾位置についての本来の着弾位置からのずれ量をいう。また、「吐出液滴量誤差」とは、記録素子の吐出液滴量について本来の吐出液滴量との差をいう。
「画像読取手段」としては、イメージセンサ(撮像素子)を利用した画像読取装置(撮像信号を処理する信号処理手段を含む)を用いることができる。例えば、CCDスキャナなどが考えられる。
「特性情報取得手段」は、画像記録装置外のホストコンピュータ内に配置されるものであってもよく、画像記録装置内に配置されるものであってもよい。
そして、この「特性情報取得手段」において、記録素子の記録位置誤差の記録特性を示す情報と吐出液滴量誤差の記録特性を示す情報を区別して取得する具体的な手法は、以下のとおりである。まず、複数の記録素子による画像が記録された画像を取得し、この取得した画像の2次元濃度データを作成し、ノイズ除去や画像傾き補正を行う。次に、記録素子ごとの画像を抽出して、記録素子ごとの2次元濃度データを作成する。次に、作成した記録素子ごとの2次元濃度データの平均化を行った後、1次元濃度データを作成する。そこで、この1次元濃度データにおける所定の閾値以上の濃度データが存在する領域を各記録素子による記録画像領域とみなす。そして、この記録画像領域における濃度データの重心位置を算出して、これを各記録素子の着弾位置とみなし、本来の各記録素子の着弾位置との差として記録素子の記録位置誤差の情報を取得する。また、その一方で、各記録素子による記録画像領域における濃度データを積分して、これを各記録素子による記録画像領域の濃度とみなし、テーブル変換にて各記録素子の吐出液滴量に換算し、本来の各記録素子の吐出液滴量との差として記録素子の吐出液滴量誤差の情報を取得する。
本発明に係る画像記録装置の一態様としてのインクジェット記録装置は、ドットを形成するためのインク液滴を吐出するノズル及び吐出圧を発生させる圧力発生手段(圧電素子や加熱素子など)を含む液滴吐出素子(「記録素子」に相当)を複数配列させた液滴吐出素子列を有する液体吐出ヘッド(「記録ヘッド」に相当)と、画像データから生成されたインク吐出データに基づいて記録ヘッドからの液滴の吐出を制御する吐出制御手段とを備え、前記ノズルから吐出した液滴によって被記録媒体上に画像を形成する。
記録ヘッドの構成例として、被記録媒体の全幅に対応する長さにわたって複数の記録素子を配列させた記録素子列を有するフルライン型のヘッドを用いることができる。この場合、被記録媒体の全幅に対応する長さに満たない記録素子列を有する比較的短尺の記録ヘッドモジュールを複数個組み合わせ、これらを繋ぎ合わせることで全体として被記録媒体の全幅に対応する長さの記録素子列を構成する態様がある。
フルライン型のヘッドは、通常、被記録媒体の相対的な送り方向(相対的搬送方向)と直交する方向に沿って配置されるが、搬送方向と直交する方向に対して、ある所定の角度を持たせた斜め方向に沿って記録ヘッドを配置する態様もあり得る。
「被記録媒体」は、記録ヘッドの作用によって画像の記録を受ける媒体(被画像形成媒体、被記録媒体、記録媒体、受像媒体、インクジェット記録装置の場合の吐出媒体、被吐出媒体など呼ばれ得るもの)であり、連続用紙、カット紙、シール用紙、OHPシート等の樹脂シート、フイルム、布、中間転写媒体、インクジェット記録装置によって配線パターンが印刷されるプリント基板、その他材質や形状を問わず、様々な媒体を含む。
「搬送手段」は、停止した(固定された)記録ヘッドに対して被記録媒体を搬送する態様、停止した被記録媒体に対して記録ヘッドを移動させる態様、或いは、記録ヘッドと被記録媒体の両方を移動させる態様のいずれをも含む。
インクジェットヘッドによって、カラー画像を形成する場合は、複数色のインク(記録液)の色別に記録ヘッドを配置してもよいし、1つの記録ヘッドから複数色のインクを吐出可能な構成としてもよい。
また、本発明は、上記のフルライン型のヘッドに限らず、シャトルスキャン方式の記録ヘッド(被記録媒体の搬送方向に略直交する方向に往復移動しながら打滴を行う記録ヘッド)についても適用可能である。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の画像記録システムにおいて、前記特性情報取得手段は、前記画像読取手段により読み取った前記画像における同一の前記単一記録画像を処理することによって、前記記録素子の記録位置誤差の記録特性を示す情報と吐出液滴量誤差の記録特性を示す情報を区別して取得すること、を特徴とする。
本発明によれば、同一の単一記録素子画像を処理して記録位置誤差と吐出液滴量誤差の記録特性を示す情報取得することから、特性情報取得手段における演算時間の短縮が図れる。そのため、濃度ムラに対する補正処理を行う時間の短縮を図ることができる。また、同一の単一記録素子画像を処理するものであることから、画像読取手段による読み取りは1回であっても足り、画像読取手段における読み取り時間の短縮も可能である。
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載の画像記録システムにおいて、前記単一記録素子画像は、前記被記録媒体の相対移動方向にドット画像が連続的に並ぶライン形状とすること、を特徴とする。
本発明によれば、単一記録素子画像は、前記被記録媒体の相対移動方向にドット画像が連続的に並ぶライン形状とするので、複数のドットを隣接させることにより各ドットの持つ吐出状態のバラツキを打ち消しあうことから、正確な記録特性を示す情報を取得することができる。また、プリンタの持つ搬送機構を用いてライン形状の印字は容易にできる。
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像記録システムにおいて、前記複数の記録素子のうち、出力濃度の補正に用いるN個(ただし、Nは2以上の整数)の補正記録素子を設定する補正範囲設定手段を有し、前記補正係数決定手段は、前記記録素子の記録特性に起因する濃度ムラの空間周波数特性を表すパワースペクトルの周波数原点(f=0)における微分係数が略0となる条件を含む補正条件に基づいて前記N個の補正記録素子の濃度補正係数を決定すること、を特徴とする。
本発明によれば、濃度補正係数を用いた補正後のパワースペクトルの周波数原点(f=0)における微分係数が略0となる条件を用いて濃度補正係数を決めるようにしたことで、周波数原点でのパワースペクトルの強度が最小となり、原点付近(すなわち、低周波領域)のパワースペクトルを小さく抑えることができる。これにより、精度のよいムラ補正を実現できる。
「補正条件」としては、例えば、空間周波数の直流成分の保存条件と、N−1次までの微分係数が略0となる条件より得られるN本の連立方程式で表される。
N個の補正記録素子についてそれぞれ濃度補正係数を求める場合、未知数はN個あるため、直流(DC)成分の保存条件と、N−1次までの微分係数が略0となる条件を用いることで、N本の方程式を得て、これを解くことにより、全ての未知数を決定することができる。
また、より高次の微分係数が略0となる条件を満たすことにより、周波数原点からの周波数の増加に対してパワースペクトルの増加の程度が一層低く抑えられ、低周波成分の強度がより小さい値に保たれる。
請求項5に係る発明は、複数の記録素子を有する記録ヘッドと被記録媒体のうち少なくとも一方を搬送して前記記録ヘッドと前記被記録媒体を相対移動させながら、前記複数の記録素子によって前記被記録媒体に画像を記録する画像記録方法であって、前記記録ヘッドにより記録された画像を読み取る画像読取工程と、前記画像は異なる単一の記録素子から記録された単一記録素子画像同士が接触しないものであるときに、前記画像読取手段により読み取られた画像を処理することによって前記記録素子の記録位置誤差と吐出液滴量誤差とを含む記録特性を示す情報を取得する特性情報取得工程と、前記記録特性を示す情報に基づいて濃度補正係数を決定する前記補正係数決定工程と、前記補正係数決定手段で決定された濃度補正係数を用いて出力濃度を補正する演算を行う補正処理工程と、前記補正処理工程による補正結果に基づいて前記記録素子の駆動を制御する駆動制御工程と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、複数の記録素子による画像が記録された画像を取得し、記録素子の記録位置誤差を示す記録特性の情報と吐出液滴量誤差を示す記録特性の情報を各々区別して取得した上で、この2つの記録特性の情報を用いて濃度ムラ補正データを生成する。そのため、記録位置誤差と吐出液滴量誤差とが両方存在していても、各々の誤差に対応した濃度補正係数を決定して出力濃度を補正する演算を行うことができる。したがって、記録位置誤差と吐出液滴量誤差に起因する濃度ムラに対して効果的で高精度の補正を行うことができる。
また、「(記録ヘッドにより記録された)画像は異なる単一の記録素子から記録された単一記録素子画像同士が接触しないものである」ので、記録素子の着弾位置誤差が存在する場合であっても、各記録素子の間で着弾位置誤差による影響を与え合うおそれはない。そのため、各記録素子の記録位置誤差を示す記録特性の情報と吐出液滴量誤差を示す記録特性の情報を正確に取得できる。
請求項6に係る発明は、請求項5に記載の画像記録方法において、前記特性情報取得工程は、前記画像読取工程により読み取った前記画像における同一の前記単一記録画像を処理することによって、前記記録素子の記録位置誤差の記録特性を示す情報と吐出液滴量誤差の記録特性を示す情報を区別して取得すること、を特徴とする。
本発明によれば、同一の単一記録素子画像を処理して記録位置誤差と吐出液滴量誤差の記録特性を示す情報取得することから、特性情報取得工程における演算時間の短縮が図れる。そのため、濃度ムラに対する補正処理を行う時間の短縮を図ることができる。また、同一の単一記録素子画像を処理するものであることから、画像読取工程による読み取りは1回であっても足り、画像読取工程における読み取り時間の短縮も可能である。
請求項7に係る発明は、請求項5または6に記載の画像記録システムにおいて、前記単一記録素子画像は、前記被記録媒体の相対移動方向にドット画像が連続的に並ぶライン形状とすること、を特徴とする。
本発明によれば、単一記録素子画像は、前記被記録媒体の相対移動方向にドット画像が連続的に並ぶライン形状とするので、複数のドットを隣接させることにより各ドットの持つ吐出状態のバラツキを打ち消しあうことから、正確な記録特性を示す情報を取得することができる。また、プリンタの持つ搬送機構を用いてライン形状の印字は容易にできる。
請求項8に係る発明は、請求項5乃至7のいずれか一項に記載の画像記録方法において、前記複数の記録素子のうち、出力濃度の補正に用いるN個(ただし、Nは2以上の整数)の補正記録素子を設定する補正範囲設定工程を有し、前記補正係数決定工程は、前記記録素子の記録特性に起因する濃度ムラの空間周波数特性を表すパワースペクトルの周波数原点(f=0)における微分係数が略0となる条件を含む補正条件に基づいて前記N個の補正記録素子の濃度補正係数を決定すること、を特徴とする。
本発明によれば、濃度補正係数を用いた補正後のパワースペクトルの周波数原点(f=0)における微分係数が略0となる条件を用いて濃度補正係数を決めるようにしたことで、周波数原点でのパワースペクトルの強度が最小となり、原点付近(すなわち、低周波領域)のパワースペクトルを小さく抑えることができる。これにより、精度のよいムラ補正を実現できる。
本発明によれば、記録素子の記録特性のばらつきによる濃度ムラを精度よく補正することができ、高品位な画像形成が可能となる。
以下添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
〔画像記録システムの全体構成〕
図1に示すように本実施形態の画像記録システムは、記録ヘッドや搬送手段や補正処理手段や補正係数決定手段や駆動制御手段などを備える画像記録装置としてのインクジェット記録装置110、画像取込手段としてのCCDスキャナ192、特性情報取得手段(画像処理手段)としてのホストコンピュータ186などから構成される。それぞれの構成機器はラインで接続されている。
〔ノズル濃度補正データの生成処理フローについての説明〕
図2は、濃度補正係数(補正データ)の生成処理の例を示したフローチャートである。補正データの生成処理は、例えば、以下のいずれかの条件で開始される。
すなわち、(a)初期設定時、(b)メンテナンス時期が到来した時、(c)ユーザーが画像にスジムラが生じていると判断した時または定期的メンテナンスとして指示した時
のいずれかの条件で図示の補正データの生成処理がスタートする。
補正データの生成処理がスタートすると、まず、着弾誤差データや液滴量誤差等を測定するためのテストパターン(予め定められている所定のパターン)のプリントが実行される(ステップS20)。
次いで、そのテストパターンの印字結果から着弾誤差、液滴量誤差のデータを測定する(ステップS22)。着弾誤差や液滴量誤差データの測定には、イメージセンサ(撮像素子)を利用した画像読取手段(撮像信号を処理する信号処理手段を含む)を用いることができる。本実施形態では、CCDスキャナ192を用いる。着弾誤差データには、着弾位置誤差の情報及び光学濃度情報などが含まれる。
そして、ステップS22で得られた着弾誤差データや液滴量誤差から補正データ(濃度補正係数)が算出される(ステップS24)。濃度補正係数の算出方法については、後で説明する。
こうして、求めた濃度補正係数の情報はEEPROM等の書き換え可能な記憶手段に記憶され、以後、最新の補正係数が用いられる。
〔着弾誤差および液適量誤差データの測定についての説明〕
各ノズルの着弾誤差および液滴量誤差を測定するために、図2のステップS22で示した、テストパターンから各ノズルの着弾位置および液滴量を測定する詳細な手順について、図3を用いて説明する。本実施形態では、図4に示すように、ラインを複数段の階段状に配置したテストパターンを使用する。このように、テストパターンを階段状とすることで、ライン間の幅を大きくすることができ、ノズルの着弾位置誤差が存在する場合であっても異なるノズルからプリントされたライン同士が接触することがない。そのため、ライン同士で着弾位置誤差による影響を与え合うおそれはない。
そこでまず、このようにプリントアウトされたテストパターンをCCDスキャナ192にて読み込む(ステップS30)。このとき、光学フレアを抑制するため、読み取りは透過光学系にて行うのがよい。また、印字媒体には透明性の高い媒体を用いるのがよい。次に、S30にて読み込んだテストパターンの画像に基づいて2次元濃度データを作成する(ステップS32)。
次に、被記録媒体(メディア)とCCDセンサの傾きによる画像傾きの補正と、微小なノイズの除去を行う(ステップS34)。ここで、画像傾きの補正の手順について図5を用いて説明する。まず、図5(a)に示すように、測定された画像内の直線性のある領域(ラインパターンそのものを使ってもよい)から、画像傾きθを算出する。次に、図5(b)に示すように、図5(a)で設定した任意の原点を回転中心として2次元回転行列R(θ)による座標変換を行い、傾き補正画像を算出する。なお、図5(c)に示すように、座標変換後の画像信号は周囲4画素の補間で算出する。
次に、画像傾きの補正とノイズの除去を行った2次元濃度データ内から各ノズルが印字したラインが含まれるデータ部分をライン部として抽出する(ステップS36)。次に、抽出したライン部ごとの2次元濃度データを作成する(ステップS38)。次に、図4に示すように、作成された各ライン部ごとの2次元濃度データについて、ノズルの配列方向に対する垂直方向について濃度データの平均化を行う(ステップS40)。このように、平均化を行うことによって、メディア上のドットが円形のため各ライン部の端部において凹凸の影響が生じた場合であっても、この影響を除去することができる。
次に、平均化した各ライン部ごとの2次元濃度データから各ライン部の1次元濃度データを作成する(ステップS42)。ここで、任意に選択した一つのライン部の1次元濃度データの一例を図6に示す。図6は、横軸にノズルの配列方向における位置をとり、縦軸に1次元濃度データの値をとることにより図示したものである。図6に示すように、ライン部の1次元濃度データの値は、外周を上に凸の放物線とする範囲内に分布する。
そして、この1次元濃度データをもとに、着弾位置と吐出液滴量の測定値を算出する。詳細には、着弾位置については、ステップS44に進み、1次元濃度データにおける所定の閾値Dt以上の濃度データをライン部とみなし、各ライン部における1次元濃度データとして表される図形の重心位置を算出して、この重心位置を着弾位置の測定値として算出する(ステップS46)。
一方、吐出液滴量については、ステップS48に進み、1次元濃度データにおける所定の閾値Dt以上の濃度データをライン部とみなし、このライン部について1次元濃度データを積分し、ライン濃度として算出する(ステップS50)。そして、ステップS52におけるテーブル変換によりライン濃度を吐出液滴量に換算する(ステップS54)。ライン濃度と液滴量との間には、線形関係が成立し予め実験により求めておくことができる。そのため、この実験により求めたライン濃度と液滴量との関係を予めテーブルに記憶させておく。なお、実験にあたっては、重量法を用いるなど精度の高い測定方法を用いる。以上のような手順で、着弾位置と吐出液滴量を測定することができる。
このように、各ラインごとの1次元濃度データをもとに着弾位置と吐出液滴量の両方を測定することができるので、CCDスキャナの読み取りは1回で足り、画像の読み取り時間の短縮が図れる。また、ホストコンピュータによる演算時間の短縮も図れる。
そして、各ノズルの本来の着弾位置と測定された着弾位置との比較により着弾位置誤差が測定される。また、各ノズルの本来の液滴量と測定された液滴量との比較により液適量誤差が測定される。
〔ラインヘッドへの適用〕
図7は本発明の画像処理の流れを示したフロー図である。入力画像10のデータ形態は特に限定されないが、例えば、プリンタの持つインク色に対応して色変換された後の色別の画像データとし、各インク色の濃度を256階調で表現したものとする。
図8に示すように、各色の画像データImage(i,j)は印字解像度と同じ解像度を持っている。例えば、印字ヘッドの一例として、ノズル密度1200npi(ノズル・パー・インチ)、ノズル数4800/色、ヘッド幅4インチのラインヘッドを想定し、印字解像度は1200dpi×1200dpiであるものとする。ただし、本発明の実施に際して、印字ヘッドの仕様や印字解像度については特に限定されない。
ここで(i,j)は画素の位置を表し、iはラインヘッド20のノズル配列方向の位置を表し、jはラインヘッド20のノズル配列方向と直交する被記録媒体の相対搬送方向の位置を表す。ラインヘッド20はノズル番号をiとする1〜Mまでの計M本のノズル22-iを有している(図8では図示の便宜上、8本のノズルのみを示す)。すなわち、ノズルnzliの位置(主走査方向位置)iと副走査方向位置jによって画像上の画素位置(i,j)が特定され、各画素について階調値を示す画像データが与えられる。
入力された画像データImage(i,j)に対して、図7に示したムラ補正処理部12では、各画素に対応するノズルの濃度補正係数diを用いて画像補正が行われる。濃度補正係数diのデータは、ノズル濃度補正データ生成部13によって生成され、メモリ等の記憶手段(図7の符号14で示した「ノズル濃度補正係数データ格納部」)に格納されている。濃度補正係数の生成方法について詳細は後述する。
補正後の画像データをImage’(i,j)とするとき、ムラ補正処理部12における補正処理は、次式で定義される処理である(図8参照)。
Image’(i,j)=(1+di)×Image(i,j)
こうして、補正済みの画像データ(図7中の符号15で記載、本例では256階調の画像データ)が得られる。この補正済みの画像データImage’(i,j)は、ハーフトーン処理部16に入力され、ハーフトーン処理部16において誤差拡散法やディザ法など周知の2値化技術を用いて階調画像から印字データ(2値データ)17に変換される。
このようにして得られた2値データに基づいて各ノズルのインク吐出(打滴)データが生成され、吐出動作が制御される。これにより、濃度ムラが抑制され、高品位な画像形成が可能である。
〔ノズル濃度補正データの算出方法についての説明〕
図7で示したノズル濃度補正データ生成部13において補正データを生成する手順について説明する。
まず、以下の2種類の誤差の測定(または推定)を行う。すなわち、[1]各ノズルの着弾位置誤差(「記録位置誤差」に相当)、[2]各ノズルの液滴量誤差(「吐出液滴量誤差」に相当)の特定、を行う。それぞれの測定方法については前記の〔着弾誤差および液適量誤差データの測定についての説明〕の欄にて説明したとおりである。
本発明の実施形態による濃度ムラの補正処理では、あるノズルが持つ着弾位置誤差、液滴量誤差を補正する際に、そのノズルを含む周囲のノズルN本を用いて補正する。この補正に用いるN本のノズルを「補正範囲ノズル」とよぶ。補正に用いるノズル数Nが大きいほど、より補正精度が高くなることがわかっている。
図9ではノズルnzl1〜nzl5までの5本のノズルの印字の様子(補正前)を示している。図示のように、ノズルごとにさまざまな印字誤差を持っている。図9の下側に示したグラフ(太線)は、ノズルからの打滴による印字濃度を被記録媒体の搬送方向(副走査方向)に平均化して得られる、ノズル列方向(主走査方向)の濃度プロファイルを示したものである。なお、点線で示したプロファイルは、着弾位置誤差や液滴量誤差の無い理想的な濃度プロファイルを表している。
図示のように、各ノズルの印字誤差は、理想プロファイル(点線)に対する出力濃度(太線)のズレとして表される。図中、ノズルnzl3の理想着弾位置を原点Oとし、各ノズルnzl1〜5から吐出される液滴の着弾位置をXi(図9においてi=1〜5)とする。今、ノズルnlz3が補正対象のノズルであり、補正範囲ノズルの本数(N数)の設定を3とすると、ノズルnzl3の印字誤差に対してノズルnzl2,nzl3,nzl4の出力濃度を変更することによって補正を実施することになる。
補正によって濃度ムラの視認性が最小となるよう、各ノズル濃度補正係数diを決定することが望まれる。濃度ムラ(濃度不均一性)は、空間周波数特性(パワースペクトル)での強度で表される。人間の視覚的には高周波成分は視認出来ないため、濃度ムラの視認性は、パワースペクトルの低周波成分に等しい。そのため、本例ではパワースペクトルの低周波成分を最小となるよう、各ノズル濃度補正係数diを決定する。
具体的には、以下のようにしてノズル濃度補正係数diの生成が行われる。
まず、ノズル濃度補正係数生成方法を説明する。
(補正係数生成方法)
補正係数は、以下の式[数1]より決定する。
Figure 2007203721
ここで、xiはそれぞれ補正対象ノズルの理想着弾位置を原点とした各ノズルの着弾位置である。Δviは、ノズルiの液滴量誤差を表すパラメータであり、Δvi=(Vi/V0)−1で定義される。ここで、V0は理想(設計値)の平均液滴量、Viはノズルiの液滴量である。また、Πは、補正に用いるN本のノズル内で積を取ることを意味する。
これをN=3の場合について明示的に表すと、次のようになる。
Figure 2007203721
(濃度補正係数の導出)
上記補正係数生成方法における濃度補正係数の導出について説明する。微小な液滴量誤差のあるケースを考える。ここでは不吐出や著しい液滴量誤差(50%以上)は考慮しない。そのため基本的に、液滴量の誤差はそのノズルの濃度補正係数で補正することができる。すなわち、着弾位置は周囲Nノズルで補正、液滴量は周囲1ノズルで補正することになる。
使用する変数の定義は以下のとおりである。
Figure 2007203721
濃度ムラのパワースペクトルの低周波成分を最小化するという条件から、理論的に各ノズルの濃度補正係数を導くことができる。
まず、各ノズルの誤差特性を取り込んだ濃度プロファイルを次式のように定義する。
Figure 2007203721
画像の濃度プロファイルD(x)は、各ノズルが印字する濃度プロファイルの和であり、ノズルの印字を表すのが印字モデル(1ノズルが印字する濃度プロファイル)である。印字モデルはノズル出力濃度Diと標準濃度プロファイルz(x)に分離して表現される。
標準濃度プロファイルz(x)は、厳密にはドット径に等しい有限の広がりを持つものであるが、位置誤差の補正を濃度ズレのバランシングの問題であると考えると、重要なのは濃度プロファイルの重心位置(着弾位置)であって、濃度プロファイルの広がりは副次的な要素である。そのため、プロファイルをδ関数で置き換える近似は妥当である。このような標準濃度プロファイルを仮定すると数学的な取り扱いが容易となり、補正係数の厳密解が得られる。
図10(a)は現実に即した印字モデルであり、図10(b)はδ関数型印字モデルである。δ関数モデルで近似する場合、標準濃度プロファイルは次式で表される。
Figure 2007203721
補正係数を導出するにあたり、ある特定のノズル(i=0)の着弾位置誤差Δx0を、周辺ノズルN本によって補正することを考える。なお、ここでは補正対象ノズルの番号をi=0とした。また、周辺のノズルも、所定の着弾位置誤差や液滴量誤差を持ち得ることに注意する。
補正対象ノズル(中心ノズル)を含むN本のノズルの番号(index)は、次式で表される。
Figure 2007203721
なお、この式においては、Nは奇数である必要があるが、本発明の実施に際しては、Nを奇数に限定する必要はない。
初期出力濃度(補正前の出力濃度)はi=0のみ値を持つものとして、次式で表される。
Figure 2007203721
濃度補正係数をdiとするとき、補正後出力濃度Diは、次式で表される。
Figure 2007203721
各ノズルiの着弾位置xiは、次式で表される。
Figure 2007203721
δ関数型印字モデルを用いると、補正後の濃度プロファイルは、次式で表される。
Figure 2007203721
これに対してFourier変換を行うと、次式、
Figure 2007203721
と表される。なお、Diniは共通の定数のため省略した(Dini=1とした)。
濃度ムラの視認性を最小化することは、すなわち、次式のパワースペクトルの低周波成分を最小化することである。
Figure 2007203721
これは、数学的にはT(f)の f=0における微分係数(1次、2次、…)がゼロであることで近似できる。今、未知数DiはN個であるから、DC成分の保存条件も含めると、N−1次までの微分係数がゼロの条件を用いれば、全ての(N個の)未知数Diが厳密に定まる。このようにして、以下の補正条件が定まる。
Figure 2007203721
δ関数モデルにおいては、各補正条件を展開していくと、容易な計算によってDiについてのN本の連立方程式に帰着する。各補正条件を展開したものを整理すると、以下の条件群(方程式群)が得られる。
Figure 2007203721
これらの方程式群の意味するところは、1式目はDC成分の保存であり、2式目は重心位置の保存を表している。3式目以降は統計学におけるN−1次モーメントがゼロであることを表している。
このようにして得られた条件式を行列形式で表すと、以下のように表すことができる。
Figure 2007203721
この係数行列Aは、いわゆるVandermonde型の行列であり、その行列式は差積を用いて次式となることが知られている。
Figure 2007203721
このため、Crammerの公式を用いてdi'の厳密解を求めることができる。計算の詳細な過程は省略するが、代数計算によって、その解は次式となることが示される。
Figure 2007203721
ここでΠは積を表し、Πの下のkは、周囲Nノズルのノズル番号の値を取る。
これをdiについて解くと以下のようになる。
よって、求めるべき補正係数diは、次式となる。
Figure 2007203721
以上のように、パワースペクトルの原点微分係数をゼロにするという条件から、濃度補正係数diの厳密解が導かれる。補正に用いる周辺ノズル数Nを増やすほど、より高次の微分係数をゼロにすることが可能になるため、低周波エネルギーがより小さくなり、ムラの視認性は一層低減する。
本実施形態では、微分係数をゼロにする条件を用いたが、完全にゼロとせずとも、補正前の微分係数に比べて十分小さい値(例えば、補正前の1/10)に設定しても、ムラ低減可能である。
上記の説明は特定のノズル(nzl3)に対する濃度補正係数の決定方法である。実際には多くのノズルが何らかの打滴誤差を持っているため、それらのノズルの打滴誤差に対して補正を行う必要がある。すなわち、これらのノズルに対して周囲Nノズルの濃度補正係数を求め、トータルの濃度補正係数はこのようにして得られた濃度補正係数の和を取ることで求められる。
すなわち、ノズルkを補正対象ノズルとしたノズルiの補正係数をd(i,k)とおくと、ノズルiのトータルの濃度補正係数diは、
そして、ノズルiのトータルの濃度補正係数diは、次式として求められる。
Figure 2007203721
なお、上記の例では、全ノズルの着弾位置誤差を補正対象としてインデックスkを足し合わせているが、ある値ΔX_threshを閾値として予め設定しておき、この閾値を超える着弾位置誤差をもつノズルのみを補正対象とするように選択的に補正する構成も可能である。
上述のような方法で画像補正を行うことで、スジムラが大幅に低減される。
図11は、従来の補正方法による効果と、本実施形態の補正方法による効果を比較したものである。濃度ムラを測定し、フーリエ解析によって得たパワースペクトルを示すグラフである。従来の補正方法に比べて本願の補正は、低周波のエネルギーを低減しており、ムラが視認されにくくなっていることがわかる。
〔インクジェット記録装置の構成〕
次に、上述した濃度ムラの補正機能を備えた画像記録装置の具体的な適用例としてのインクジェット記録装置について説明する。
図12は、本発明に係る画像記録装置の一実施形態を示すインクジェット記録装置の全体構成図である。同図に示すように、このインクジェット記録装置110は、黒(K),シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y)の各インクに対応して設けられた複数のインクジェット記録ヘッド(以下、ヘッドという。)112K,112C,112M,112Yを有する印字部112と、各ヘッド112K,112C,112M,112Yに供給するインクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部114と、被記録媒体たる記録紙116を供給する給紙部118と、記録紙116のカールを除去するデカール処理部120と、前記印字部112のノズル面(インク吐出面)に対向して配置され、記録紙116の平面性を保持しながら記録紙116を搬送するベルト搬送部122と、記録済みの記録紙(プリント物)を外部に排紙する排紙部126とを備えている。
インク貯蔵/装填部114は、各ヘッド112K,112C,112M,112Yに対応する色のインクを貯蔵するインクタンクを有し、各タンクは所要の管路を介してヘッド112K,112C,112M,112Yと連通されている。また、インク貯蔵/装填部114は、インク残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(表示手段、警告音発生手段)を備えるとともに、色間の誤装填を防止するための機構を有している。
図12では、給紙部118の一例としてロール紙(連続用紙)のマガジンが示されているが、紙幅や紙質等が異なる複数のマガジンを併設してもよい。また、ロール紙のマガジンに代えて、又はこれと併用して、カット紙が積層装填されたカセットによって用紙を供給してもよい。
複数種類の被記録媒体(メディア)を利用可能な構成にした場合、メディアの種類情報を記録したバーコード或いは無線タグなどの情報記録体をマガジンに取り付け、その情報記録体の情報を所定の読取装置によって読み取ることで、使用される被記録媒体の種類(メディア種)を自動的に判別し、メディア種に応じて適切なインク吐出を実現するようにインク吐出制御を行うことが好ましい。
給紙部118から送り出される記録紙116はマガジンに装填されていたことによる巻きクセが残り、カールする。このカールを除去するために、デカール処理部120においてマガジンの巻きクセ方向と逆方向に加熱ドラム130で記録紙116に熱を与える。このとき、多少印字面が外側に弱いカールとなるように加熱温度を制御するとより好ましい。
ロール紙を使用する装置構成の場合、図12ように、裁断用のカッター(第1のカッター)128が設けられており、該カッター128によってロール紙は所望のサイズにカットされる。なお、カット紙を使用する場合には、カッター128は不要である。
デカール処理後、カットされた記録紙116は、ベルト搬送部122へと送られる。ベルト搬送部122は、ローラ131、132間に無端状のベルト133が巻き掛けられた構造を有し、少なくとも印字部112のノズル面に対向する部分が水平面(フラット面)をなすように構成されている。
ベルト133は、記録紙116の幅よりも広い幅寸法を有しており、ベルト面には多数の吸引穴(不図示)が形成されている。図13に示したとおり、ローラ131、132間に掛け渡されたベルト133の内側において印字部112のノズル面に対向する位置には吸着チャンバ134が設けられており、この吸着チャンバ134をファン135で吸引して負圧にすることによって記録紙116がベルト133上に吸着保持される。なお、吸引吸着方式に代えて、静電吸着方式を採用してもよい。
ベルト133が巻かれているローラ131、132の少なくとも一方にモータ(図1中符号188)の動力が伝達されることにより、ベルト133は図13上の時計回り方向に駆動され、ベルト133上に保持された記録紙116は図13の左から右へと搬送される。
縁無しプリント等を印字するとベルト133上にもインクが付着するので、ベルト133の外側の所定位置(印字領域以外の適当な位置)にベルト清掃部136が設けられている。ベルト清掃部136の構成について詳細は図示しないが、例えば、ブラシ・ロール、吸水ロール等をニップする方式、清浄エアーを吹き掛けるエアーブロー方式、或いはこれらの組合せなどがある。清掃用ロールをニップする方式の場合、ベルト線速度とローラ線速度を変えると清掃効果が大きい。
なお、ベルト搬送部122に代えて、ローラ・ニップ搬送機構を用いる態様も考えられるが、印字領域をローラ・ニップ搬送すると、印字直後に用紙の印字面をローラが接触するので画像が滲み易いという問題がある。したがって、本例のように、印字領域では画像面を接触させない吸着ベルト搬送が好ましい。
ベルト搬送部122により形成される用紙搬送路上において印字部112の上流側には、加熱ファン140が設けられている。加熱ファン140は、印字前の記録紙116に加熱空気を吹き付け、記録紙116を加熱する。印字直前に記録紙116を加熱しておくことにより、インクが着弾後乾き易くなる。
印字部112の各ヘッド112K,112C,112M,112Yは、当該インクジェット記録装置110が対象とする記録紙116の最大紙幅に対応する長さを有し、そのノズル面には最大サイズの被記録媒体の少なくとも一辺を超える長さ(描画可能範囲の全幅)にわたりインク吐出用のノズルが複数配列されたフルライン型のヘッドとなっている(図13参照)。
ヘッド112K,112C,112M,112Yは、記録紙116の送り方向に沿って上流側から黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の色順に配置され、それぞれのヘッド112K,112C,112M,112Yが記録紙116の搬送方向と略直交する方向に沿って延在するように固定設置される。
ベルト搬送部122により記録紙116を搬送しつつ各ヘッド112K,112C,112M,112Yからそれぞれ異色のインクを吐出することにより記録紙116上にカラー画像を形成し得る。
このように、紙幅の全域をカバーするノズル列を有するフルライン型のヘッド112K,112C,112M,112Yを色別に設ける構成によれば、紙送り方向(副走査方向)について記録紙116と印字部112を相対的に移動させる動作を1回行うだけで(すなわち1回の副走査で)、記録紙116の全面に画像を記録することができる。これにより、記録ヘッドが紙搬送方向と直交する方向に往復動作するシャトル型ヘッドに比べて高速印字が可能であり、生産性を向上させることができる。
本例では、KCMYの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組合せについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成も可能である。また、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
印字部112の後段には後乾燥部142が設けられている。後乾燥部142は、印字された画像面を乾燥させる手段であり、例えば、加熱ファンが用いられる。印字後のインクが乾燥するまでは印字面と接触することは避けたほうが好ましいので、熱風を吹き付ける方式が好ましい。
多孔質のペーパーに染料系インクで印字した場合などでは、加圧によりペーパーの孔を塞ぐことでオゾンなど、染料分子を壊す原因となるものと接触することを防ぐことで画像の耐候性がアップする効果がある。
後乾燥部142の後段には、加熱・加圧部144が設けられている。加熱・加圧部144は、画像表面の光沢度を制御するための手段であり、画像面を加熱しながら所定の表面凹凸形状を有する加圧ローラ145で加圧し、画像面に凹凸形状を転写する。
こうして生成されたプリント物は排紙部126から排出される。本来プリントすべき本画像(目的の画像を印刷したもの)とテスト印字とは分けて排出することが好ましい。このインクジェット記録装置110では、本画像のプリント物と、テスト印字のプリント物とを選別してそれぞれの排出部126A、126Bへと送るために排紙経路を切り換える不図示の選別手段が設けられている。なお、大きめの用紙に本画像とテスト印字とを同時に並列に形成する場合は、カッター(第2のカッター)148によってテスト印字の部分を切り離す。また、図12には示さないが、本画像の排出部126Aには、オーダー別に画像を集積するソーターが設けられる。
〔ヘッドの構造〕
次に、ヘッドの構造について説明する。色別の各ヘッド112K,112C,112M,112Yの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号150によってヘッドを示すものとする。
図14(a) はヘッド150の構造例を示す平面透視図であり、図14(b) はその一部の拡大図である。また、図14(c) はヘッド150の他の構造例を示す平面透視図、図15は1つの液滴吐出素子(1つのノズル151に対応したインク室ユニット)の立体的構成を示す断面図(図14(a) 中の15−15線に沿う断面図)である。
記録紙116上に印字されるドットピッチを高密度化するためには、ヘッド150におけるノズルピッチを高密度化する必要がある。本例のヘッド150は、図14(a),(b) に示したように、インク吐出口であるノズル151と、各ノズル151に対応する圧力室152等からなる複数のインク室ユニット(液滴吐出素子)153を千鳥でマトリクス状に(2次元的に)配置させた構造を有し、これにより、ヘッド長手方向(紙送り方向と直交する方向)に沿って並ぶように投影される実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。
記録紙116の送り方向と略直交する方向に記録紙116の全幅に対応する長さにわたり1列以上のノズル列を構成する形態は本例に限定されない。例えば、図14(a) の構成に代えて、図14(c) に示すように、複数のノズル151が2次元に配列された短尺のヘッドモジュール150’を千鳥状に配列して繋ぎ合わせることで記録紙116の全幅に対応する長さのノズル列を有するラインヘッドを構成してもよい。
各ノズル151に対応して設けられている圧力室152は、その平面形状が概略正方形となっており(図14(a),(b) 参照)、対角線上の両隅部の一方にノズル151への流出口が設けられ、他方に供給インクの流入口(供給口)154が設けられている。なお、圧力室152の形状は、本例に限定されず、平面形状が四角形(菱形、長方形など)、五角形、六角形その他の多角形、円形、楕円形など、多様な形態があり得る。
図15に示したように、各圧力室152は供給口154を介して共通流路155と連通されている。共通流路155はインク供給源たるインクタンク(不図示)と連通しており、インクタンクから供給されるインクは共通流路155を介して各圧力室152に分配供給される。
圧力室152の一部の面(図15において天面)を構成している加圧板(共通電極と兼用される振動板)156には個別電極157を備えたアクチュエータ158が接合されている。個別電極157と共通電極間に駆動電圧を印加することによってアクチュエータ158が変形して圧力室152の容積が変化し、これに伴う圧力変化によりノズル151からインクが吐出される。なお、アクチュエータ158には、チタン酸ジルコン酸鉛やチタン酸バリウムなどの圧電体を用いた圧電素子が好適に用いられる。インク吐出後、アクチュエータ158の変位が元に戻る際に、共通流路155から供給口154を通って新しいインクが圧力室152に再充填される。
上述した構造を有するインク室ユニット153を図16に示す如く主走査方向に沿う行方向及び主走査方向に対して直交しない一定の角度θを有する斜めの列方向とに沿って一定の配列パターンで格子状に多数配列させることにより、本例の高密度ノズルヘッドが実現されている。
すなわち、主走査方向に対してある角度θの方向に沿ってインク室ユニット153を一定のピッチdで複数配列する構造により、主走査方向に並ぶように投影されたノズルのピッチPはd× cosθとなり、主走査方向については、各ノズル151が一定のピッチPで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。このような構成により、主走査方向に並ぶように投影されるノズル列が1インチ当たり2400個(2400ノズル/インチ)におよぶ高密度のノズル構成を実現することが可能になる。
なお、印字可能幅の全幅に対応した長さのノズル列を有するフルラインヘッドで、ノズルを駆動する時には、(1)全ノズルを同時に駆動する、(2)ノズルを片方から他方に向かって順次駆動する、(3)ノズルをブロックに分割して、ブロックごとに片方から他方に向かって順次駆動する等が行われ、用紙の幅方向(用紙の搬送方向と直交する方向)に1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)を印字するようなノズルの駆動を主走査と定義する。
特に、図16に示すようなマトリクス状に配置されたノズル151を駆動する場合は、上記(3)のような主走査が好ましい。すなわち、ノズル151-11 、151-12 、151-13 、151-14 、151-15 、151-16 を1つのブロックとし(他にはノズル151-21 、…、151-26 を1つのブロック、ノズル151-31 、…、151-36 を1つのブロック、…として)、記録紙116の搬送速度に応じてノズル151-11 、151-12 、…、151-16 を順次駆動することで記録紙116の幅方向に1ラインを印字する。
一方、上述したフルラインヘッドと用紙とを相対移動することによって、上述した主走査で形成された1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)の印字を繰り返し行うことを副走査と定義する。
そして、上述の主走査によって記録される1ライン(或いは帯状領域の長手方向)の示す方向を主走査方向といい、上述の副走査を行う方向を副走査方向という。すなわち、本実施形態では、記録紙116の搬送方向が副走査方向であり、それに直交する方向が主走査方向ということになる。
本発明の実施に際してノズルの配置構造は図示の例に限定されない。また、本実施形態では、ピエゾ素子(圧電素子)に代表されるアクチュエータ158の変形によってインク滴を飛ばす方式が採用されているが、本発明の実施に際して、インクを吐出させる方式は特に限定されず、ピエゾジェット方式に代えて、ヒータなどの発熱体によってインクを加熱して気泡を発生させ、その圧力でインク滴を飛ばすサーマルジェット方式など、各種方式を適用できる。
〔制御系の説明〕
図17において、インクジェット記録装置110のシステム構成のブロック図を示す。同図に示したように、インクジェット記録装置110は、通信インターフェース170、システムコントローラ172、画像メモリ174、ROM175、モータドライバ176、ヒータドライバ178、プリント制御部180、画像バッファメモリ182、ヘッドドライバ184等を備えている。
ホストコンピュータ186は、CCDスキャナ192(画像読取手段)から読み込んだテストパターンの読取データから着弾位置誤差、液滴量誤差等のデータを生成する演算処理を行う特性情報取得手段として機能する。また、通信インターフェース170へ画像データを送信する画像出力手段としても機能する。
通信インターフェース170は、ホストコンピュータ186から送られてくる画像データを受信する画像入力手段として機能するインターフェース部(画像入力部)である。通信インターフェース170にはUSB(Universal Serial Bus)、IEEE1394、イーサネット(登録商標)、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。
ホストコンピュータ186から送出された画像データは通信インターフェース170を介してインクジェット記録装置110に取り込まれ、一旦画像メモリ174に記憶される。画像メモリ174は、通信インターフェース170を介して入力された画像を格納する記憶手段であり、システムコントローラ172を通じてデータの読み書きが行われる。画像メモリ174は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
システムコントローラ172は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置110の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能する。すなわち、システムコントローラ172は、通信インターフェース170、画像メモリ174、モータドライバ176、ヒータドライバ178等の各部を制御し、ホストコンピュータ186との間の通信制御、画像メモリ174及びROM175の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータ188やヒータ189を制御する制御信号を生成する。
また、システムコントローラ172には、ホストコンピュータ186により演算された着弾位置誤差、液滴量誤差の情報から濃度補正係数を算出する濃度補正係数算出部172Aが構成される。なお、濃度補正係数算出部172Aの処理機能はASICやソフトウエア又は適宜の組み合わせによって実現可能である。濃度補正係数算出部172Aにおいて求められた濃度補正係数のデータは、濃度補正係数記憶部190に記憶される。
なお、システムコントローラ172内に別途着弾誤差等測定演算部を設けて、ホストコンピュータ186の代わりに、CCDスキャナ192(画像読取手段)から読み込んだテストパターンの読取データから着弾位置誤差、液滴量誤差等のデータを生成する演算処理を行う特性情報取得手段として機能させてもよい。
ROM175には、システムコントローラ172のCPUが実行するプログラム及び制御に必要な各種データ(着弾位置誤差等の測定用テストパターンのデータを含む)などが格納されている。ROM175は、書換不能な記憶手段であってもよいし、EEPROMのような書換可能な記憶手段であってもよい。また、このROM175の記憶領域を活用することで、ROM175を濃度補正係数記憶部190として兼用する構成も可能である。
画像メモリ174は、画像データの一時記憶領域として利用されるとともに、プログラムの展開領域及びCPUの演算作業領域としても利用される。
モータドライバ176は、システムコントローラ172からの指示に従って搬送系のモータ188を駆動するドライバ(駆動回路)である。ヒータドライバ178は、システムコントローラ172からの指示に従って後乾燥部142等のヒータ189を駆動するドライバである。
プリント制御部180は、システムコントローラ172の制御に従い、画像メモリ174内の画像データ(多値の入力画像のデータ) から打滴制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理手段として機能するとともに、生成したインク吐出データをヘッドドライバ184に供給してヘッド150の吐出駆動を制御する駆動制御手段として機能する。
すなわち、プリント制御部180は、濃度データ生成部180Aと、補正処理部180Bと、インク吐出データ生成部180Cと、駆動波形生成部180Dとを含んで構成される。これら各機能ブロック(180A〜D)は、ASICやソフトウエア又は適宜の組み合わせによって実現可能である。
濃度データ生成部180Aは、入力画像のデータからインク色別の初期の濃度データを生成する信号処理手段であり、濃度変換処理(UCR処理や色変換を含む)及び必要な場合には画素数変換処理を行う。
図17の補正処理部180Bは、濃度補正係数記憶部190に格納されている濃度補正係数を用いて濃度補正の演算を行う処理手段であり、図1の符号12で説明したムラ補正処理を行う。
図17のインク吐出データ生成部180Cは、補正処理部180Bで生成された補正後の濃度データから2値(又は多値)のドットデータに変換するハーフトーニング処理手段を含む信号処理手段であり、図1の符号16で説明した2値(多値)化処理を行う。図17のインク吐出データ生成部180Cにて生成されたインク吐出データはヘッドドライバ184に与えられ、ヘッド150のインク吐出動作が制御される。
駆動波形生成部180Dは、ヘッド150の各ノズル151に対応したアクチュエータ158(図15参照)を駆動するための駆動信号波形を生成する手段であり、該駆動波形生成部180Dにて生成された信号(駆動波形)は、ヘッドドライバ184に供給される。なお、駆動信号生成部180Dから出力される信号は、デジタル波形データであってもよいし、アナログ電圧信号であってもよい。
プリント制御部180には画像バッファメモリ182が備えられており、プリント制御部180における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリ182に一時的に格納される。なお、図17において画像バッファメモリ182はプリント制御部180に付随する態様で示されているが、画像メモリ174と兼用することも可能である。また、プリント制御部180とシステムコントローラ172とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
画像入力から印字出力までの処理の流れを概説すると、印刷すべき画像のデータは、通信インターフェース170を介して外部から入力され、画像メモリ174に蓄えられる。この段階では、例えば、RGBの多値の画像データが画像メモリ174に記憶される。
インクジェット記録装置110では、インク(色材) による微細なドットの打滴密度やドットサイズを変えることによって、人の目に疑似的な連続階調の画像を形成するため、入力されたデジタル画像の階調(画像の濃淡)をできるだけ忠実に再現するようなドットパターンに変換する必要がある。そのため、画像メモリ174に蓄えられた元画像(RGB)のデータは、システムコントローラ172を介してプリント制御部180に送られ、該プリント制御部180の濃度データ生成部180A、補正処理部180B、インク吐出データ生成部180Cを経てインク色ごとのドットデータに変換される。
すなわち、プリント制御部180は、入力されたRGB画像データをK,C,M,Yの4色のドットデータに変換する処理を行う。こうして、プリント制御部180で生成されたドットデータは、画像バッファメモリ182に蓄えられる。この色別ドットデータは、ヘッド150のノズルからインクを吐出するためのCMYK打滴データに変換され、印字されるインク吐出データが確定する。
ヘッドドライバ184は、プリント制御部180から与えられるインク吐出データ及び駆動波形の信号に基づき、印字内容に応じてヘッド150の各ノズル151に対応するアクチュエータ158を駆動するための駆動信号を出力する。ヘッドドライバ184にはヘッドの駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
こうして、ヘッドドライバ184から出力された駆動信号がヘッド150に加えられることによって、該当するノズル151からインクが吐出される。記録紙116の搬送速度に同期してヘッド150からのインク吐出を制御することにより、記録紙116上に画像が形成される。
上記のように、プリント制御部180における所要の信号処理を経て生成されたインク吐出データ及び駆動信号波形に基づき、ヘッドドライバ184を介して各ノズルからのインク液滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。
CCDスキャナ192は、記録紙116に印字された画像を読み取り、その画像データをホストコンピュータ186に送信する。CCDスキャナ192に記録紙116を送り込むのは、作業者が手動で行ってもよいし、また、インクジェット記録装置110とCCDスキャナ192との間で自動的に行ってもよい。
プリント制御部180は、必要に応じてヘッド150に対する各種補正を行うとともに、必要に応じて予備吐出や吸引、ワイピング等のクリーニング動作(ノズル回復動作)を実施する制御を行う。すなわち、プリント制御部180は、図で説明した補正係数生成方法A〜Cを選択する選択手段として機能するとともに、補正不可能と判断した際にヘッドクリーニングを実行させる制御手段として機能する。
本例の場合、CCDスキャナ192が「画像読取手段」に相当し、ホストコンピュータ186が「特性情報取得手段」に相当し、濃度補正係数算出部172Aが「補正範囲設定手段」及び「補正係数決定手段」に相当する。また、補正処理部180Bが「補正処理手段」に相当している。
上記構成のインクジェット記録装置110によれば、濃度ムラが低減された良好な画像を得ることができる。
以上、本発明の画像記録システム及び画像記録方法について詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。
本実施形態に係る画像記録システムの全体構成を示す概要図 補正データの更新処理の流れを示したフローチャート 着弾誤差および液適量誤差データを測定する手順を示す図 複数段の階段状のテストパターンを示す図 画像傾きの補正の手順を示す図 ライン部分の1次元濃度データの一例を示す図 本発明の実施形態による画像処理の流れを示したフロー図 本実施形態による濃度ムラ補正処理の概念図 本実施形態による濃度ムラ補正前の濃度プロファイルの例を示す説明図 (a)は現実に即した印字モデルの濃度プロファイル図、(b)はδ関数型印字モデルの濃度プロファイル図 本実施形態による補正の効果を示すパワースペクトルのグラフ 本発明に係る画像記録装置の一実施形態を示すインクジェット記録装置の全体構成図 図12に示したインクジェット記録装置の印字部周辺の要部平面図 ヘッドの構造例を示す平面透視図、要部拡大図、フルライン型ヘッドの他の構造例を示す平面透視図 図14(a) 中の15−15線に沿う断面図 図14(a) に示したヘッドのノズル配列を示す拡大図 本実施形態に係る画像記録システムの構成を示す要部ブロック図 ノズルの吐出特性のばらつきと濃度ムラの関係を説明するために用いた模式図 従来の補正方法の説明図
符号の説明
12…ムラ補正処理部、13…ノズル濃度補正データ生成部、16…ハーフトーン処理部、20…ラインヘッド、110…インクジェット記録装置、112…印字部、112K,112C,112M,112Y…ヘッド、114…インク貯蔵/装填部、116…記録紙(被記録媒体)、122…ベルト搬送部(搬送手段)、150…ヘッド、151…ノズル(記録素子)、152…圧力室、153…インク室ユニット、158…アクチュエータ、172…システムコントローラ、172A…濃度補正係数算出部、180…プリント制御部、180A…濃度データ生成部、180B…補正処理部、180C…インク吐出データ生成部、180D…駆動波形生成部、184…ヘッドドライバ、186…ホストコンピュータ、192…CCDスキャナ

Claims (8)

  1. 複数の記録素子を有する記録ヘッドと、
    前記記録ヘッド及び被記録媒体のうち少なくとも一方を搬送して前記記録ヘッドと前記被記録媒体を相対移動させる搬送手段と、
    前記記録ヘッドにより記録された画像を読み取る画像読取手段と、
    前記画像は異なる単一の記録素子から記録された単一記録素子画像同士が接触しないものであるときに、前記画像読取手段によって読み取られた前記画像を処理することによって、前記記録素子の記録位置誤差の記録特性を示す情報と吐出液滴量誤差の記録特性を示す情報を区別して取得する特性情報取得手段と、
    前記記録素子の記録位置誤差の記録特性を示す情報と吐出液滴量誤差の記録特性を示す情報に基づいて濃度補正係数を決定する補正係数決定手段と、
    前記補正係数決定手段で決定された濃度補正係数を用いて出力濃度を補正する演算を行う補正処理手段と、
    前記補正処理手段による補正結果に基づいて前記記録素子の駆動を制御する駆動制御手段と、
    を備えることを特徴とする画像記録システム。
  2. 請求項1に記載の画像記録システムにおいて、
    前記特性情報取得手段は、前記画像読取手段により読み取った前記画像における同一の前記単一記録画像を処理することによって、前記記録素子の記録位置誤差の記録特性を示す情報と吐出液滴量誤差の記録特性を示す情報を区別して取得すること、
    を特徴とする画像記録システム。
  3. 請求項1または2に記載の画像記録システムにおいて、
    前記単一記録素子画像は、前記被記録媒体の相対移動方向にドット画像が連続的に並ぶライン形状とすること、
    を特徴とする画像記録システム。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像記録システムにおいて、
    前記複数の記録素子のうち、出力濃度の補正に用いるN個(ただし、Nは2以上の整数)の補正記録素子を設定する補正範囲設定手段を有し、
    前記補正係数決定手段は、前記記録素子の記録特性に起因する濃度ムラの空間周波数特性を表すパワースペクトルの周波数原点(f=0)における微分係数が略0となる条件を含む補正条件に基づいて前記N個の補正記録素子の濃度補正係数を決定すること、
    を特徴とする画像記録システム。
  5. 複数の記録素子を有する記録ヘッドと被記録媒体のうち少なくとも一方を搬送して前記記録ヘッドと前記被記録媒体を相対移動させながら、前記複数の記録素子によって前記被記録媒体に画像を記録する画像記録方法であって、
    前記記録ヘッドにより記録された画像を読み取る画像読取工程と、
    前記画像は異なる単一の記録素子から記録された単一記録素子画像同士が接触しないものであるときに、前記画像読取手段によって読み取られた前記画像を処理することによって前記記録素子の記録位置誤差の記録特性を示す情報と吐出液滴量誤差の記録特性を示す情報を区別して取得する特性情報取得工程と、
    前記記録素子の記録位置誤差の記録特性を示す情報と吐出液滴量誤差の記録特性を示す情報に基づいて濃度補正係数を決定する前記補正係数決定工程と、
    前記補正係数決定手段で決定された濃度補正係数を用いて出力濃度を補正する演算を行う補正処理工程と、
    前記補正処理工程による補正結果に基づいて前記記録素子の駆動を制御する駆動制御工程と、
    を備えることを特徴とする画像記録方法。
  6. 請求項5に記載の画像記録方法において、
    前記特性情報取得工程は、前記画像読取工程により読み取った前記画像における同一の前記単一記録画像を処理することによって、前記記録素子の記録位置誤差の記録特性を示す情報と吐出液滴量誤差の記録特性を示す情報を区別して取得すること、
    を特徴とする画像記録方法。
  7. 請求項5または6に記載の画像記録方法において、
    前記単一記録素子画像は、前記被記録媒体の相対移動方向にドット画像が連続的に並ぶライン形状とすること、
    を特徴とする画像記録方法。
  8. 請求項5乃至7のいずれか一項に記載の画像記録方法において、
    前記複数の記録素子のうち、出力濃度の補正に用いるN個(ただし、Nは2以上の整数)の補正記録素子を設定する補正範囲設定工程を有し、
    前記補正係数決定工程は、前記記録素子の記録特性に起因する濃度ムラの空間周波数特性を表すパワースペクトルの周波数原点(f=0)における微分係数が略0となる条件を含む補正条件に基づいて前記N個の補正記録素子の濃度補正係数を決定すること、
    を特徴とする画像記録方法。
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