JP2007203649A - インクジェット方式画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】印字ヘッドの位置にかかわらず一定の負圧を印字ヘッドに作用できるインクジェット方式画像形成装置を提供する。
【解決手段】プリントシステム10には、印字ヘッド32Kに適正な負圧を付与したり、クリ−ニング動作をするための吸排ポンプ52を備えた圧力調整ユニット50や、印字に消費されるインクを貯めておくインクタンクユニット40が組み込まれている。圧力調整ユニット50は、大気に連通した流路54を開閉する回復弁56を備えたサブタンク58と、サブタンク58に貯蔵されたインクの液面の位置を検出する液面検知センサ60と、サブタンク58からインクを排出する排出機能とサブタンク58にインクを供給する供給機能をもつ吸排ポンプ52などから構成されている。吸排ポンプ52は、印字ヘッド32K内のインクを所定の負圧に維持する機能も有する。
【選択図】図3

Description

本発明は、印字ヘッドから記録媒体にインクを吐出して画像を形成するインクジェット方式画像形成装置に関する。
印字ヘッド(記録ヘッド)から記録媒体にインクを吐出して画像を形成するインクジェット方式画像形成装置(インクジェット記録装置)が知られている。このインクジェット方式画像形成装置では、一般に、インクを吐出する複数のノズルが高密度に形成された小型の印字ヘッドを用いて高精細な画像を形成できる。また、この小型の印字ヘッドを複数配置して、各印字ヘッドから異なる色のインクを吐出させることにより、比較的安価で小型な構成で記録媒体にカラー画像を形成できる。インクジェット方式画像形成装置は上記のような利点を有するので、業務用、家庭用を問わず、プリンタ、ファクシミリ及び複写機など、様々な画像出力装置に用いられている。
上記のようなインクジェット方式画像形成装置では、印字ヘッドからのインク吐出動作を安定化させるために、印字ヘッド内のインクを所定の負圧に維持する(印字ヘッド内のインクに作用する圧力を所定の負圧に保つ)ことが重要である。このため、一般には、印字ヘッドよりも下方にサブタンクを配置しておき、水頭差を利用してインクに負圧を作用させる構成となっている(例えば、特許文献1参照。)。
上記のように水頭差を利用して一定の負圧が付与されたインクは、印字ヘッドからのインク吐出に伴って上昇する印字ヘッド内の負圧との差圧によってサブタンクから印字ヘッド内に引き込まれるように供給される。この結果、印字ヘッド内が一定の負圧に保たれることになる。
特開2003−11380号公報
上記のような水頭差を利用して印字ヘッド内のインクに負圧を作用させる機構は、大判サイズの記録媒体に画像を高速で記録するような産業用の印刷装置にも採用されている。このような印刷装置には、厚さの異なる様々な種類の記録媒体に画像を形成できる(印字できる)タイプのものがある。このタイプの印刷装置では、記録媒体の厚さによって画像形成時の印字ヘッドの位置を変化させる(上下動させる)構造になっている。この構造では、印字ヘッドの位置に応じて、この印字ヘッドに付与される負圧が変化する。この負圧が一定(所定範囲内)でないときは、上述したように画像品位が低下する。
また、記録媒体搬送装置を含まずに印字ヘッドを含むモジュ−ルとインク供給装置とをパッケ−ジ化し、様々なラインに設置することがある。例えば、帳票印刷や、製品梱包ラインに設置して梱包材に印字する場合、上記のパッケ−ジ化されたものが、製品梱包ラインなどに設置される。このような構成では、印字ヘッドを含むモジュ−ルとインク供給装置の相対的な設置位置(高さ方向の位置)が規定される。このように規定された場合は、印字ヘッドとサブタンクの位置によっては印字ヘッドに付与される負圧を一定(所定範囲内)にできずに画像品位を低下させることがある。
本発明は、上記事情に鑑み、印字ヘッドの位置にかかわらず一定の負圧を印字ヘッドに作用できるインクジェット方式画像形成装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明のインクジェット方式画像形成装置は、インクを吐出するノズルが形成された印字ヘッドと、該ノズルに供給されるインクを貯蔵したサブタンクとを備え、前記ノズルから記録媒体にインクを吐出して画像を形成するインクジェット方式画像形成装置において、
(1)前記サブタンクからインクを排出する排出機能と前記サブタンクにインクを供給する供給機能をもつ吸排ポンプを備えたことを特徴とするものである。
ここで、
(2)前記吸排ポンプは、前記サブタンクに供給されるインクが貯蔵されたインクタンクと前記サブタンクとをつなぐインク流路に取り付けられたものであり、
(3)該吸排ポンプが非稼動時には、前記インク流路を遮断するものであってもよい。
また、
(4)前記インク流路を開閉する、前記吸排ポンプとは別の開閉手段を備えてもよい。
さらに、
(5)前記サブタンク内のインクの液面の位置を検知する液面検知手段を備えてもよい。
さらにまた、
(6)前記印字ヘッドは、前記ノズルに連通する液室が形成されたものであり、
(7)前記液室内の圧力を検知する液室圧力検知手段を備えてもよい。
さらにまた、
(8)前記サブタンクと前記印字ヘッドとをつなぐ第1インク流路、及び前記サブタンクと前記吸排ポンプとをつなぐ第2インク流路を備えてもよい。
さらにまた、
(9)前記サブタンクの内部のうち前記第1インク流路の前記サブタンク側の接続口の前方部分に配置された、該接続口の広さよりも広い板状部材を備えてもよい。
さらにまた、
(10)前記第1インク流路の前記サブタンク側の接続口と、前記第2インク流路の前記サブタンク側の接続口とは、対向する位置からずれた位置に形成されていてもよい。
さらにまた、
(11)前記インクタンクは、交換自在又はインク補充可能なものであってもよい。
さらにまた、
(12)前記液室にインクを流入させる流入インク流路、及び前記液室からインクを流出させる流出インク流路を備えてもよい。
さらにまた、
(13)記録媒体の厚さに応じて前記印字ヘッドの位置を制御するヘッド位置制御手段と、
(14)前記印字ヘッドの位置に対応して前記サブタンク内のインクの液面の位置を制御するインク液面位置制御手段とを備えてもよい。
さらにまた、
(15)前記インク液面位置制御手段は、前記印字ヘッドから画像形成中に吐出される単位時間当たりのインク量に基づいて前記インク液面位置を制御するものであってもよい。
さらにまた、
(16)前記インク液面位置制御手段は、前記液室の圧力を検出する液室圧力検出センサの検出値に基づいて前記インク液面位置を制御するものであってもよい。
なお、本明細書でいう、「記録」(画像形成とも称する)とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、また人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成する、または媒体の加工を行う場合も含むものとする。
また、「記録媒体」(シートとも称する)とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能なものも含むものとする。
さらに、「インク」とは、上記「記録」の定義と同様に広く解釈されるべきもので、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成または記録媒体の加工、或いはインクの処理(例えば記録媒体に付与されるインク中の色剤の凝固または不溶化)に供され得る液体を含むものとする。
本発明のインクジェット方式画像形成装置では、印字ヘッドから安定してインクを吐出させるために、印字ヘッド内(ノズル内)のインクを所定の負圧に維持する(印字ヘッド内のインクに作用する圧力を所定の負圧に保つ)。このように負圧を維持する場合、サブタンクに貯蔵されたインクの液面からノズルの出口(インク吐出口)までの距離(水頭差)を一定の範囲内にしておく必要がある。しかし、画像が形成される記録媒体の厚さに応じて印字ヘッドの位置を上下動させることがあり、この場合、サブタンクの位置が固定されているときは、印字ヘッドの位置によって水頭差が変動する。このような場合には、吸排ポンプを作動させてサブタンク内のインク液面を、印字ヘッドの位置に応じて上下動させることにより水頭差を一定範囲内に保つことができ、印字ヘッド内の負圧を一定範囲内に保てる。従って、印字ヘッドの位置にかかわらず一定の負圧を印字ヘッドに付与できることとなる。この結果、記録媒体に形成される画像を高品位に保てる。
本発明は、種々の厚さの記録媒体に画像を形成するプリントシステムに実現された。
図1を参照して、本発明のインクジェット方式画像形成装置が組み込まれたプリントシステムの一例を説明する。
図1は、プリントシステムの一例を模式的に示す正面図である。
プリントシステム10は、様々な記録媒体を搬送する梱包材搬送装置20に対応したシステムであり、梱包材搬送装置20の他に、プリントユニット30、インクタンクユニット40、及び圧力調整ユニット50(図3等参照)などを有するインクジェット方式画像形成装置を備えている。このインクジェット方式画像形成装置には、画像情報を送るホストPC(パソコン)12が接続されている。プリントユニット30には4つ(4本)の印字ヘッド32K、32C、32M、32Yが記録媒体Pの搬送方向(矢印A方向)に並んで配置されている。4つの印字ヘッド32K、32C、32M、32Yからはそれぞれ黒、シアン、マゼンタ、イエローの各色のインクが吐出される。これら4つの印字ヘッド32K、32C、32M、32Yは、所謂ラインヘッドであり、図1の紙面に直交する方向(矢印A,B方向に直交する方向)に延びている。また、4つの印字ヘッド32K、32C、32M、32Yは、記録媒体Pの厚さに応じて矢印B方向に上下動する。なお、これら4つの印字ヘッド32K、32C、32M、32Yは、画像形成中は固定されて動かない。
4つの印字ヘッド32K、32C、32M、32Yから安定してインクを吐出できるように、プリントユニット30には、回復ユニット34が組み込まれている。この回復ユニット34によって、印字ヘッド32K、32C、32M、32Yからのインク吐出状態は初期のインク吐出状態に回復する。回復ユニット34には、回復動作のときに4つの印字ヘッド32K、32C、32M、32Yのインク吐出口形成面32Ks、32Cs、32Ms、32Ysからインクを除去するキャッピング機構36が備えられている。キャッピング機構36は各印字ヘッド32K、32C、32M、32Yに独立して設けられており、図1の例では4色分(即ち、4つのキャッピング機構36)が示されているが、印字ヘッド数に応じて設けられる。キャッピング機構36は、周知のブレード、インク除去部材、ブレード保持部材、キャップ等から構成されている。
記録媒体Pは梱包材搬送装置20によって矢印A方向に搬送されてくる。駆動モ−タ(図示せず)によって駆動ロ−ラ20bを回転させて、従動ロ−ラ20cとの間に張られた搬送ベルト20dの背面に記録媒体Pを当接させた状態で搬送する。また、搬送中に記録媒体Pが搬送ベルト20d上を滑らないように、搬送ベルト20dには複数の孔が開けられており、エアー吸引機構20eによって記録媒体Pを搬送ベルト20dに吸着させる。
記録媒体Pに画像を形成する際には、搬送中の記録媒体Pの記録開始位置がブラックの印字ヘッド32Kの下に到達した後に、記録データ(画像情報)に基づいて印字ヘッド32Kからブラックインクを選択的に吐出する。同様に印字ヘッド32C、印字ヘッド32M、印字ヘッド32Yの順に、各色のインクを吐出してカラー画像を記録媒体Pに形成する。なお、記録媒体Pの先端位置は先端検知センサ20aによって検知されて、印字ヘッド32K〜32Yからのインク吐出開始タイミングが決定される。また、このインク吐出開始からの吐出タイミングは駆動ロ−ラ20bと同軸にとりつけられるエンコ−ダ−(図示せず)の出力信号と同期している。
プリントシステム10には、上記の部品・部材の他、各印字ヘッド32K、32C、32M、32Yに適正な負圧を付与したり、クリ−ニング動作をするためのポンプを備えた各印字ヘッドに対応する圧力調整ユニット50(図3等参照)、及び、この圧力調整ユニット50へ供給されるインクを貯蔵するインクタンク40K、40C、40M、40Yと印字ヘッド32K〜32Yのクリ−ニング動作時に発生する廃液を回収して各インクタンク40K〜40Yへ輸送するためのポンプ(図3等参照)を備えたインクタンクユニット40などから構成されている。
図2を参照して、プリンタ10の電気的な系統を説明する。
図2は、図1のプリンタの電気的な系統を示すブロック図である。
ホストPC12から送信された記録データやコマンドはインターフェイスコントローラ102を介してCPU100(本発明にいうヘッド位置制御手段及びインク液面位置制御手段の機能をもつ)に受信される。CPU100は、プリントシステム10の記録データの受信、記録動作等全般の制御を掌る演算処理装置である。CPU100では、受信したコマンドを解析した後に、記録データの各色成分のイメージデータをイメージメモリ106にビットマップ展開して描画する。記録前の動作処理としては、入出力ポート114、モータ駆動部116を介してキャッピングモータ122とヘッドアップダウンモータ118を駆動し、各印字ヘッド32K、32C、32M、32Yをキャッピング機構36から離して記録位置(画像形成位置であり、図8(b)で示す位置)に移動させる。
続いて、搬送される記録媒体Pにインクを吐出し始めるタイミング(記録タイミング)を決定するための先端検知センサ20aで記録媒体Pの先端位置を検出する。その後、エンコ−ダ(図示せず)からの出力信号によって記録媒体Pの搬送に同期して、CPU100はイメージメモリ106から対応する色の記録データを順次に読み出し、この読み出したデータを各印字ヘッド32K、32C、32M、32Yに印字ヘッド制御回路112を経由して(介して)転送する。
なお、先端検知センサ−20a及びエンコ−ダは梱包材搬送装置20に備えられており、この梱包材搬送装置20に備えられた搬送コントロ−ラ125から、インクジェット方式画像形成装置に備えられた搬送装置インタ−フェ−ス111に情報を伝達する。また、インクジェット方式画像形成装置及び梱包材搬送装置20のいずれかに何らかのエラ−が発生した場合にもここで情報の伝達がなされる。
CPU100の動作はプログラムROM104に記憶された処理プログラムに基づいて実行される。プログラムROM104には、制御フローに対応する処理プログラム及びテーブルなどが記憶されている。また、作業用のメモリとしてワークRAM108を使用する。各印字ヘッド32K、32C、32M、32Yのクリーニングや回復動作時に、CPU100は、入出力ポート114及びモータ駆動部116を介してポンプモータ124を駆動させてインクの加圧や吸引等の制御を行う。
図3から図6までを参照して、プリントシステム10に組み込まれたインク供給装置について説明する。
図3は、インクジェット方式画像形成装置に組み込まれたインク供給装置を示す模式図である。図4は、インク液面を検出するセンサを示す模式図であり、(a)はフロート式センサを示し、(b)と(c)は光学式センサを示し、(d)は通電式センサを示す。図5は、印字ヘッドをクリーニングする際の手順を示すフロー図である。図6は、インク吐出面からインクを拭き取る手順を示す模式図であり、(a)は拭き取り開始前を示し、(b)は、拭き取り終了直後を示し、(c)は、拭き取り終了後の待機状態を示す。図3では、印字ヘッド32Kにインクを供給したり、この印字ヘッド32Kを回復させたりするためのインク供給装置を示すが、他の印字ヘッド32C、32M、32Yについても同じ構成のインク供給装置が備えられている。また、図3と図6では、図1と図2に示す構成要素と同一の構成要素には同一の符号が付されている。
プリントシステム10(図1参照)には、印字ヘッド32Kに適正な負圧を付与したり、クリ−ニング動作をするための吸排ポンプ(圧力調整ポンプ)52を備えた圧力調整ユニット50や、印字に消費されるインクを貯めておくインクタンクユニット40が組み込まれている。圧力調整ユニット50は、大気に連通した流路54を開閉する回復弁56を備えたサブタンク58と、サブタンク58に貯蔵されたインクの液面の位置を検出する液面検知センサ60(本発明にいう液面検知手段の一例である)と、サブタンク58からインクを排出する排出機能とサブタンク58にインクを供給する供給機能をもつ吸排ポンプ52などから構成されている。吸排ポンプ52は、印字ヘッド32K内のインクを所定の負圧に維持する(印字ヘッド32K内のインクに作用する圧力を所定の負圧に保つ)機能も有する。
液面検知センサ60としては、図4に示すように、インク液面にフロートを浮かせてインク液面を検知するフロート式センサ、光学センサによってインク液面を検知する光学式センサ、及び通電状況によってインク液面を検知する通電式センサなどが挙げられる。
フロート式センサは、図4(a)に示すように、磁石61aが内蔵されたフロート61をインク液面Isに浮かばせておき、磁石61aによってリードスイッチ62を作動させて、インク液面Isの位置を担持するインク液面検出信号を出力させる。
光学式センサは、図4(b),(c)に示すように発光素子63aと受光素子63bを備えており、サブタンク58のうちこれらの前方部分には三角状の凹部58aが形成されている。発光素子63aの前方にインクが存在する場合は屈折率が小となるので、図4(b)に示すように、発光素子63aから発光された光がインクを透過して受光素子63bに受光されない。一方、発光素子63aの前方にインクが存在しない場合は屈折率が大となるので、図4(c)に示すように、発光素子63aから発光された光が凹部58aで反射されて受光素子63bに受光される。このように、発光素子63aから発光された光を受光素子63bが受光したか否かによってインクの有無を検知してインク液面Isの位置を担持するインク液面検出信号を出力させる。
通電式センサは、図4(d)に示すように、インク液面Isの上限を検知するための上限電極64、インク液面Isの下限を検知するための下限電極65、上限電極64または下限電極65と通電するためのGND電極66を備えている。上限電極64とGND電極66の間で通電があるときは、インク液面Isが上限以上であることが検知される。一方、下限電極65とGND電極66の間で通電があるときは、インク液面Isが下限以下であることが検知される。
上記したインクタンクユニット40は、プリントシステム10(図1参照)の本体に自在に着脱される(着脱可能な)インクタンク40Kを備えており、このインクタンク40Kには、印字に消費されるインクが貯蔵されている。また、インクタンクユニット40は、回復桶(図示せず)のインクを吸引する吸引ポンプ95も備えている。インクタンク40Kはインク流路68によってサブタンク58に接続されている。図3に示すように、インク流路68の一端部はサブタンク58の底部に接続されており、インク流路68の他端部はインクタンク40Kの底部に位置している。インク流路68の途中部分には吸排ポンプ52が取り付けられている。吸排ポンプ52は、サブタンク58からインクタンク40Kにインクを排出する排出機能と、インクタンク40Kからサブタンク58にインクを供給する供給機能をもつ。また、吸排ポンプ52が非稼動のときは、吸排ポンプ52によってインク流路68は遮断される。なお、吸排ポンプ52とは別の手段でインク流路68を遮断するように構成してもよい。この場合、この別の手段は吸排ポンプ52に連動して作動させる。
印字ヘッド32Kとサブタンク58はインク流路69(本発明にいう第1インク流路の一例である)で接続されている。インク流路69の一端部はサブタンク58の底部に接続されており、他端部は印字ヘッド32Kの液室32Krの上部に接続されている。インク流路69の途中部分には、開閉自在な印字ヘッドバルブ38が取り付けられている。この印字ヘッドバルブ38は、プリントシステム10が非稼動時の場合、ノズル32Kn内のインクを安定に保つ為のものである。
サブタンク58に貯蔵されたインクIの液面Isは、通常、印字ヘッド32Kのインク吐出口形成面32Ksよりも下方に位置し、図3では、液面Isがインク吐出口形成面32Ksよりも距離(高さ)Hだけ低い位置にある状態を示している。従って、距離Hに相当する水頭差圧(この場合は負圧)がインク吐出口に形成されるメニスカスに作用している(付与されている)。なお、サブタンク58に接続されている回復バルブ56は通常では開放状態にあるが、後述する印字ヘッド32Kのクリ−ニング時やプリントシステム10の非稼動では、サブタンク58内のインクの蒸発を防ぐために密閉される。
インクタンク40Kには、大気に連通した連通管42を開閉するインクタンクバルブ44を備えている。また、インクタンク40Kは、印字ヘッド32Kからクリ−ニング動作によって排出されるインクを受容する回復桶39にインク流路48を介して接続されている。インク流路48には、回復桶39からインクタンク40Kにインクを吸引する吸引ポンプ46が取り付けられている。なお、インクタンク40Kには、このインクタンク40K内のインクの有無を検出するインク検出センサ(図示せず)が取り付けられている。
液面検知センサ60が、サブタンク58内のインク液面が一定レベル(下限値)以下になったことを検知したときは、吸排ポンプ52を稼動させてインクタンク40Kからインクを吸引してサブタンク58に供給する。一方、液面検知センサ60が、サブタンク58内のインク液面が一定レベル(上限値)以上になったことを検知したときは、吸排ポンプ52が停止してインクの供給は停止される。また後述するように圧力制御上、サブタンク58からインクタンク40Kにインクを排出してサブタンク58内のインク液面を下げることもある。このように吸排ポンプ52を駆動させてサブタンク58にインクが供給されたりサブタンク58からインクが排出されたりする場合、インク吸排出時の圧力変動が印字ヘッド32K内のインクに直接に伝播してこのインクに作用する圧力が印字中に変動するおそれがある。このような変動を防止するために、サブタンク58の内部のうちインク流路69のサブタンク58側の接続口69aの前方部分には板状部材(リブ)58aが配置されている。この板状部材58aは接続口69aの広さよりも広い。このため、サブタンク58の内部のうちインク流路68のサブタンク58側の接続口68aからインクが出入りしても、このインクの出入りによる圧力変動が接続口69aに直接伝播されることは板状部材58aによって防止される。この結果、接続口68aからのインク吸排出時の圧力変動が印字ヘッド32K内のインクに直接に伝播してこのインクに作用する圧力が印字中に変動することはない。なお、接続口68aと接続口69aとを対向する位置からずれた位置に形成してもよく、この場合は板状部材58aは不要である。例えば、接続口69a(又は、接続口68a)を図3の位置よりも上に(インク液面Isに近い位置に)形成することにより板状部材58aは不要となる。
上記の吸排ポンプ52としてチュ−ブポンプが使用されており、非稼動時にはインク流路68が遮断される(インクタンク40Kとサブタンク58間の流路が遮断される)。本発明では吸排ポンプ52のポンプ形式を限定するものではなく、非稼動時にインク流路68が遮断されないものであってもバルブ等の流路遮断手段を設ければ何ら問題無い。またサブタンク58にインクを供給するポンプと、サブタンク58からインクを排出するポンプを別々に設けても良い。この場合、吸排ポンプ52のインク流路を複数にしても良い。またサブタンク58やインクタンク40Kに接続されるインク流路を複数にしても良い。
ところで、上記した印字ヘッド32Kは、他の印字ヘッド32C、32M、32Yと共に、記録媒体の厚さに応じて上下動する。記録媒体が厚いときは、ヘッドアップダウンモータ118(図2参照)を駆動させて、記録媒体の厚さに応じた位置まで印字ヘッド32Y〜32Kを上昇させて固定させておいて印字する。この逆に、記録媒体が薄いときもヘッドアップダウンモータ118(図2参照)を駆動させて、記録媒体の厚さに応じた位置まで印字ヘッド32Y〜32Kを下降させて固定させておいて印字する。
このように記録媒体の厚さに応じて印字時の印字ヘッド32Y〜32Kの位置が変更された場合、上記の距離Hに相当する水頭差圧(この場合は負圧)が変動して、印字ヘッド32Y〜32K内のインクに一定の負圧が作用しないこととなる。そこで、印字ヘッド32Y〜32Kの位置が変更された場合であっても、上記の距離Hに相当する水頭差圧を一定(所定範囲内)にするために、吸排ポンプ52を作動させてサブタンク58内のインク液面Isを印字ヘッド32K〜32Kの位置に応じて上下動させて距離Hを一定(所定範囲内)にする。この場合、記録媒体の厚さに応じた印字ヘッド32Y〜32Kの最適位置がホストPC12(図2参照)からCPU100(図2参照)に送られてくると共に、液面検知センサ60が検知したサブタンク58内のインク液面Isの位置も入出力ポート114(図2参照)を経由してCPU100に送られてくる。CPU100では、印字ヘッド32Y〜32Kの最適位置とサブタンク58内のインク液面Isの位置とに応じて、距離Hが一定になるようにポンプモータ124を制御して吸排ポンプ52を駆動することによりサブタンク58内のインク液面Isの位置を調整する。この場合、印字ヘッドバルブ38及び回復バルブ56は開放されている(開放状態にある)。
このように吸排ポンプ52を作動させてサブタンク58内のインク液面Isを印字ヘッド32Y〜32Kの位置に応じて上下動させることにより水頭差(距離H)を一定範囲内に保つことができ、印字ヘッド32Y〜32K内の負圧を一定範囲内に保てる。従って、印字ヘッド32Y〜32Kの位置にかかわらず一定の負圧を印字ヘッド32Y〜32Kに付与できることとなる。この結果、記録媒体に形成される画像を高品位に保てる。
図5と図6を参照して、印字ヘッド32Kをクリ−ニングする動作について説明する。
図5は、印字ヘッドのクリーニング動作の手順を示すフロー図である。図6は、フェイス面をクリーニングする手順を示す説明図である。ここでいうクリ−ニング動作とは、印字ヘッド32Kのインク吐出品位を継続的に維持するために行われる動作をいい、経過時間や吐出状況等の条件を満たした場合、又は、画像品位に異状が見られる場合等に自動的に若しくは任意で実施される。なお、他の印字ヘッド32Y〜32Cのクリーニング動作も同じである。
印字ヘッド32Kのクリーニング動作は、クリーニング指令を受信することにより開始される(S501)。クリーニング指令を受信した後、インクタンクバルブ44、回復バルブ56が順次に開放される(S502〜S503)。続いて、必要に応じて(例えばインク液面Isが高すぎる場合など)サブタンク58内の液面Isを適正位置にする(S504)。液面位置の調整は、インクが矢印C方向又は矢印D方向に流れるように吸排ポンプ52を駆動してサブタンク58内のインクを吸排出することにより行う。次に、回復バルブ56を密閉し(S505)、印字ヘッドバルブ38を開放する(S506)。さらに、インクが矢印C方向に流れるように吸排ポンプ52を駆動(S507)することにより、インクタンク40Kから吸引されたインクが順次にインク流路68、サブタンク58、インク流路69を経由してINフィルタ−39に濾過されて、印字ヘッド32Kの液室32Kr(インクが貯められる部屋)に圧送される。このインクの圧送によって印字ヘッド32Kのノズル32Knからインクが押し出されるので、記録動作中等に液室32Krに溜まった泡やノズル32Kn周辺部に存在する泡やゴミ等の異物が印字ヘッド32Kから排出される(除去される)。
上記のように吸排ポンプ52を一定時間だけ駆動させてこの一定時間が経過した後、吸排ポンプ52を停止(S508)し、印字ヘッドバルブ38を閉じる(S509)。この状態では印字ヘッド32Kの各ノズル32Knの開口を含むフェイス面32Ksにインクが付着して汚れた状態である。この汚れを除去するために、図6に示すように、キャッピング機構36に固定されたワイパー36aでフェイス面32Ksを拭く。この動作の際は、先ず、図6(a)に示すように、印字ヘッド32Kが回復キャップ36bの上方に移動する(S510)。続いて、回復キャップ36bが矢印B方向に移動することにより、図6(b)に示すように、フェイス面32Ksに付着しているインクなどの汚れがワイパー36aで拭き取られる(S511)。この動作はワイピング動作と呼ばれる。ワイピング動作終了後は、図6(c)に示すように、印字ヘッド32Kは再びキャッピングされて待機状態となる(S512)。この待機状態にある印字ヘッド32Kはフェイス面32Ksを回復キャップ36bでキャッピングされている(塞がれている)ので、ノズル32Knにあるインクの増粘が防止される。なお、印字ヘッド32Kから排出されたインク(廃インク)は回復桶39に受けられて吸引ポンプ46(図3参照)によって吸引される。この廃インクは廃液フィルタ35(図3参照)で濾過されて異物が除去された(スクリ−ニングした)後にインクタンク40Kに再び戻される。最後にサブタンク58内やインクタンク40Kのインク蒸発を防ぐため、回復バルブ56、インクタンクバルブ44を順次に密閉し(S513、S514)一連のクリ−ニング動作は終了する。なお、上記したワイピング動作だけが適宜のタイミングで実施されることがある。なお、待機時や画像形成動作の停止時に、インク流路内のインクが移動してサブタンク58に戻ってくることがあり、この場合は、サブタンク58内のインク液面Isが変動する。このような場合であっても、吸排ポンプ52を適宜に駆動することにより適切なインク液面Isの位置を確保できる。
図7と図8を参照して待機モ−ドから記録動作までの手順を説明する。
図7は、待機モ−ドから記録動作までの手順を示すフロー図である。図8(a)は、回復キャップにキャッピングされた印字ヘッドを示す模式図であり、(b)は、記録動作中の印字ヘッドの位置を示す模式図である。
待機モ−ド時に記録指令(印字指令)を受信することにより(S701)、インクタンクバルブ44(図3参照)、回復バルブ56が順次に開放される(S702〜S703)。続いて、印字ヘッド32Kに付与すべき最適な負圧量に基づいてサブタンク58(図3参照)のインク液面Isの位置を印字に適した位置にする(S704)。なお、サブタンク58のインク液面Isが既に適正位置にある場合は、このステップ(S704)は省略される。次に、印字ヘッドバルブ38が開いてサブタンク58から印字ヘッド32Kまでのインク流路68が開放される(S705)。この結果、印字ヘッド32K内のインクに最適な負圧が与えられることとなる。
続いて、印字ヘッド32Kをワイピング位置へ移動させて(S706)、図5と図6を参照して説明したワイピング動作を実施し(S707)、その後、図8(b)に示すように、印字ヘッド32Kを降下させて記録位置に移動させる(S708)。
プリントシステム10(図1参照)に備えられた梱包材搬送装置20の仕様によっては、種々の厚さの記録媒体が搬送されて印字される場合がある。記録媒体の厚さなどを表した情報は記録指令受信時(S701)に含まれ、例えば、厚みや、印字面の凹凸状態によって記録媒体の記録面と印字ヘッド32Kのインク吐出口面32Ksとの間隔が最適になるよう印字ヘッド32Kの記録位置が制御される(図8(b)に示す降下位置が制御される)。上述したサブタンク液面位置調整(ステップS704)は、この印字ヘッド記録位置に対応して制御される。上記のように印字ヘッド32Kが降下して所定の記録位置に達した後、記録動作(画像形成)が実行される(S709)。
記録動作中にはインクの消費(印字ヘッド32Kから吐出されたインク量)に応じて、サブタンク58内のインク液面Isの位置は下降していく。このため、インク液面Isの位置を液面位置検知センサ60で検出し、必要に応じて、インクが矢印C方向に流れるように吸排ポンプ52を駆動してインクタンク40Kからサブタンク58にインクを継続的に供給することによりインク液面Isの位置を一定範囲内に保持する。
上記した記録動作の終了後、図8(a)に示すように、印字ヘッド32Kは上昇して回復キャップ36bによってキャッピングされる(S710)。その後、印字ヘッドバルブ38、回復バルブ56、インクタンクバルブ44を順次密閉し(S711〜S713)、再び待機モ−ドとなって、このフローを終了する。
ところで、記録動作中はノズル32Knからインクが吐出するので、液室32Krからノズル32Knにインクが供給されて液室32Kr内のインクが減少する。この場合、記録スピ−ド(印字速度)に連動した印字ヘッド32Kの吐出周波数、及び形成画像に依存ずる印字ヘッド32Kのノズル全体に対する吐出ノズルの割合(印刷デューティ)に応じてインクの流れが発生し、インク流路68を流れるインク量が変動することに起因して、印字ヘッド32Kのノズル32Knに作用する圧力が変動する。
この圧力変動は印字ヘッド32Kのインク吐出状態に影響を及ぼすので、サブタンク58内のインク液面Isの位置を制御することにより上記の圧力変動を抑制できる。この制御について説明する。
ノズル32Knから単位時間当たりに吐出するインクの量が増加していく場合は、サブタンク内のインク液面Isの位置を上げる(上昇させる)。また、単位時間当たりのインクの吐出量が特に多い場合にはサブタンク内のインク液面Isの位置を記録位置にある印字ヘッドノズル形成面32Ksの位置より上方にする。これにより、液室32Kr内の負圧(すなわち、ノズル32Kn内の負圧)が小さくなる(負圧が下降する)。従って、インク吐出量の増大に伴う印字ヘッド32K内の負圧の上昇が抑えられるので、印字ヘッド32K内を一定の負圧に保てる。一方、ノズル32Knから単位時間当たりに吐出するインクの量が低減していく場合は、サブタンク58内のインク液面Isの位置を下げる(下降させる)。これにより、液室32Kr内の負圧(すなわち、ノズル32Kn内の負圧)が大きくなる(負圧が上昇する)。従って、印字ヘッド32K内が過小に負圧になることが防止される。上記のような制御をすることによりノズル32Knに常に適切な負圧を付与できる。
上記のような動作を的確なタイミングで行うために、形成画像及びインク吐出の頻度(周波数)に基づいてサブタンク液面位置テ−ブルを予め作成しておき、このテ−ブルに基づいてサブタンク58内のインク液面Isの位置を変化させていく方法が考えられる。すなわち、印字ヘッド32Kから吐出されるインクの単位時間当たりの量に基づいてサブタンク58内のインク液面Isの位置を制御して、印字ヘッド32K内の圧力を調整する。なお、印字ヘッド32K内の圧力変動に起因するノズル32Knからのインク吐出状態の変化が形成画像の品位上問題のないレベルであれば、サブタンク58内のインク液面Isの位置が一定となる条件で作動を行ってもよい。
上記のような制御をさらに正確に実施するためには、印字ヘッド32K内の圧力の変動を検出するために、印字ヘッド32Kの液室32Krの圧力を検出する圧力検出センサ31(本発明にいう液室圧力検知手段の一例であり、図3参照)を配置しておき、この圧力検出センサ31の検出値を吸排ポンプ52の駆動回路にフィ−ドバックさせる方法も考えられる。すなわち、圧力検出センサ31で検出された圧力に基づいてサブタンク58内のインク液面Isの位置を制御して印字ヘッド32K内の圧力を調整してもよい。
上記した圧力検出センサ31で検出された圧力に基づいてサブタンク58内のインク液面Isの位置を制御して、印字ヘッド32K内の圧力を調整する技術について図9と図10を参照して詳細に説明する。
図9は、図3のインク供給装置が動作する際の一例を示すタイムチャートである。図10は、図3のインク供給装置が動作する手順の一例を示すフロー図である。
先ず、図9を参照して、図3のインク供給装置の動作を、印字ヘッド32Kの印刷デューティと印字ヘッド32Kに作用する圧力との観点から説明する。
印字ヘッド32Kからインクを吐出しない非吐出時の状態(印刷デューティOFF(0%)の状態)301にあっては、サブタンク58内のインク液面Isの位置は印字ヘッド32Kをインク吐出動作可能な状態とするために、符号302で示すように水頭差圧が一定圧力を発生するようにし、符号303で示すように印字ヘッド32Kの圧力を制御する。印字ヘッド32Kからインク吐出を開始する場合(符号304)は、このインク吐出に先立って水頭差圧が発生する圧力を大気圧(0mmAq)に予め近づける(負圧を減らす)(符号305、306)。また、印刷が開始された後も、印刷デューティの変化に応じてサブタンク58内のインク液面Isの位置を変化させることで水頭差圧の調整を行う。これらにより、インク吐出による圧力変化を緩和し、負圧が好ましいインク吐出可能領域内307に制御されるようにする。ここで、大気圧に近づけてもインク吐出可能領域内307に収まらない場合は、サブタンク58内のインク液面Isの位置を記録位置にある印字ヘッド32Kのノズル形成面32Ksの位置よりも上方にし、水頭差圧が大気圧よりも高い圧力状態(正圧)311になるように制御する。逆に、印刷デューティが減少する場合(符号310)は、サブタンク58内のインク液面Isを下げて水頭差圧による負圧量を増加させる(符号309)。
以上のような印刷デューティに基づいて水頭差圧を制御することにより、インクの慣性力に起因した印刷デューティの変化への応答の遅れによって不規則な圧力変化(符号308)は見られるものの、概ね負圧が好ましいインク吐出可能領域内307に制御されるようになる。
図10を参照して圧力制御の手順の一例を示す。この手順は、図2に示したプリンタの制御系の構成にあっては、ROM104に格納されたプログラム等に従ってCPU100が実行する。
まず、印刷データの有無を確認し(S1001)、印刷データがある場合は、サブタンク58内のインク液面Isの位置を適正位置にし(S1002)、印刷を開始する(S1003)。続いて、インク液室32Kr内のインクに作用している圧力を圧力検出センサ31(図3参照)で検出する(S1004)。この検出された圧力が所定範囲内のときは、サブタンク内のインク液面Isの位置を一定に保持して印刷を続行し、印刷が終了したか否かが判定される(S1005)。印刷が終了したと判定されたときは、このフローを終了する。印刷が終了していないと判定されたときは、S1004に戻って、再び、インク液室32Kr内のインクに作用している圧力を圧力検出センサ31で検出する(S1004)。
S1004において検出された圧力が所定の上限値よりも高い場合は、印字ヘッド32K内の圧力が大気圧よりも高くなるおそれがあるので、サブタンク58内のインク液面Isの位置を下げることにより印字ヘッド32K内の圧力が上記の所定範囲内になるように制御し(S1006)、印刷が終了したか否かが判定される(S1005)。印刷が終了したと判定されたときは、このフローを終了する。印刷が終了していないと判定されたときは、S1004に戻って、再び、上記の圧力検出センサ31で圧力を検出する(S1004)。
S1004において検出された圧力が所定の下限値よりも低い場合は、印字ヘッド32K内の圧力が大気圧よりもかなり低くなりインクが吐出しないおそれがあるので、サブタンク58液面位置を上げることにより印字ヘッド32K内の圧力が上記の所定範囲内になるように制御し(S1007)、印刷が終了したか否かが判定される(S1005)。印刷が終了したと判定されたときは、このフローを終了する。印刷が終了していないと判定されたときは、S1004に戻って、再び、圧力検出センサ31で圧力を検出する(S1004)。
なお、以上のようなソフトウエアの処理によらず、画像データの構成ビットを計数するカウンタと、そのカウント値に基づいてサブタンク58内のインク液面Isの位置を変化させるための吸排ポンプ52を駆動するモータの制御を行う手段とをハードウエアにより構成することもできる。また、印刷の進捗に応じて印刷デューティが変化した時に制御を行うのではなく、予め印刷データに基づいてサブタンク58内のインク液面Isの位置の制御曲線を定め、これに基づいてフィードフォワード的にサブタンク58内のインク液面Isの位置を制御するようにしてもよい。また、実際のヘッド圧力を検出する圧力検出センサの検出出力に基づいて、局部フィードバックループによりサブタンク58内のインク液面Isの位置を制御することもできる。
以上説明したように、サブタンク58内のインク液面Isの位置に応じた水頭差圧が発生して負圧が液室32Krに作用して印字ヘッド32K内のインク(ノズル32Kn内のインク)に作用する圧力を、吸排ポンプ52を適宜に駆動させることにより適正な範囲内の負圧に保てる。この結果、記録品位が向上する。また、サブタンク58自体の位置を変化させないので、大掛かりな昇降装置等が不要で、様々な搬送装置にフレキシブルに設置可能であると共に構成を大幅に簡略化できる。
実施例1においてはサブタンク58内のインク液面Isを上下させることにより、印字ヘッド32Kに付与する圧力を制御すると共に、クリ−ニング時に印字ヘッド32Kへ加圧する例を述べたが、印字ヘッドの形態によっては一方向からの加圧では印字ヘッドのインク液室内の泡を十分に除去できない場合がある。実施例2では、実施例1で説明した記録動作(画像形成)のシステムはそのままにして、上述したクリ−ニング能力を向上させた例を図11と図12を参照して説明する。
図11は、インクジェット方式画像形成装置に組み込まれたインク供給装置を示す模式図である。図11では、図3に示す構成要素と同一の構成要素には同一の符号が付されている。図12は、印字ヘッドをクリーニングする際の手順を示すフロー図である。
図11に示すように、印字ヘッド32Kとサブタンク58が接続された(つながれた)インク流路69(本発明にいう流入インク流路の一例である)には、このインク流路69を所定のタイミングで開閉する印字ヘッドバルブ38aが取り付けられている。また、印字ヘッド32Kとインクタンク40Kが接続された(つながれた)インク流路49(本発明にいう流出インク流路の一例である)には、このインク流路49を所定のタイミングで開閉する印字ヘッドバルブ38bが取り付けられている。なお、ここでいうクリ−ニング動作とは、印字ヘッド32Kのインク吐出品位を継続的に維持するために行われる動作をいい、経過時間や吐出状況等の条件を満たした場合、又は、画像品位に異状が見られる場合等に自動的に若しくは任意で実施される。
図12のフローに示すように、クリーニング動作は、クリーニング指令を受信することにより開始される(S1201)。クリーニング指令を受信した後、インクタンクバルブ44、回復バルブ56が順次に開放される(S1202〜S1204)。続いて、必要に応じサブタンク58内のインク液面Isを適正位置にする(S1204)。インク液面位置の調整は、インクが矢印C方向又は矢印D方向に流れるように吸排ポンプ52を駆動してサブタンク58内のインクIを吸排出することにより行う。次に、回復バルブ56を密閉し(S1205)、印字ヘッドバルブ38a,38bを開放する(S1206)。さらに、矢印C方向にインクが流れるように吸排ポンプ52を駆動する(S1207)ことによって、インクタンク40Kから吸引されたインクがインク流路68、サブタンク58、インク流路69を経由してINフィルタ−39aに濾過されて印字ヘッド32Kに圧送される。このインクの圧送によって、印字ヘッド32Kの液室32Kr内に溜まった気泡は圧送されたインクとともにOUTフィルタ−39bを通過しインク流路49を通って効率良くインクタンク40K内に排出される(除去される)。この場合、一部のインク及び気泡はノズル32Knから回復桶36に排出される。
次に、印字ヘッドバルブ38bを密閉し(S1208)する。これにより印字ヘッド32Kの液室32Krに大きな正圧力が加わる(作用する)。この大きな正圧力によって、印字ヘッド32Kの各ノズル32Knからインクが排出されて、このノズル32Knやその周辺部に存在する泡やゴミ等の異物が除去される。
さらに一定時間経過後、吸排ポンプ52を停止させ(S1209)、印字ヘッドバルブ38aを密閉する(S1210)。なお、この状態では印字ヘッド32Kの各ノズル32Knの開口を含むフェイス面32Ksにインクが付着して汚れた状態である。この汚れを除去するために、キャッピング機構に固定されたワイパーでフェイス面32Ksを拭くワイピング動作(S1211,S1212)を実施する。この動作はすでに説明済みであるので詳細な説明は省略する。ワイピング動作終了後は、印字ヘッド32Kは再びキャッピングされ(S1213)、回復バルブ56、インクタンクバルブ44を順次に密閉して(S1214、S1215)、待機状態となる。なお、印字ヘッド32Kから排出されたインク(廃インク)は回復桶36に受けられて吸引ポンプ46によって吸引され、廃液フィルタ37で濾過された後インクタンク40Kに圧送される。
上記した各例では、インクを吐出する為のエネルギーとして発熱素子から発生される熱エネルギーを用いた、いわゆるバブルジェット記録方式を採用したインクジェット式印字ヘッドの場合を例に挙げて説明したが、他の方式(例えば、圧電素子を用いた方式等)のインクジェット式の印字ヘッドにも本発明を適用できることは明らかである。また、本発明の吸排ポンプが組み込まれたインクジェット方式画像形成装置の機械的構成としては、印字ヘッドを搭載したキャリッジを移動させる間に記録を行うシリアル記録方式であっても、記録媒体の幅に対応した長さの印字ヘッドに対して記録媒体を相対的に移動させまがら記録を行うフルライン記録方式であってもよい。
プリントシステムの一例を模式的に示す正面図である。 図1のプリンタの電気的な系統を示すブロック図である。 インクジェット方式画像形成装置に組み込まれたインク供給装置を示す模式図である。 インク液面を検出するセンサを示す模式図であり、(a)はフロート式センサを示し、(b)と(c)は光学式センサを示し、(d)は通電式センサを示す。 印字ヘッドをクリーニングする際の手順を示すフロー図である。 インク吐出面からインクを拭き取る手順を示す模式図であり、(a)は拭き取り開始前を示し、(b)は、拭き取り終了直後を示し、(c)は、拭き取り終了後の待機状態を示す。 待機モ−ドから記録動作までの手順を示すフロー図である。 (a)は、回復キャップにキャッピングされた印字ヘッドを示す模式図であり、(b)は、記録動作中の印字ヘッドの位置を示す模式図である。 図3のインク供給装置が動作する際の一例を示すタイムチャートである。 図3のインク供給装置が動作する手順の一例を示すフロー図である。 インクジェット方式画像形成装置に組み込まれたインク供給装置を示す模式図である。 印字ヘッドをクリーニングする際の手順を示すフロー図である。
符号の説明
10 プリントシステム
31 液室圧力検知センサ
32K,32C、32M、32Y 印字ヘッド
52 吸排ポンプ
58 サブタンク
60 液面検知センサ
48,68,69 インク流路

Claims (13)

  1. インクを吐出するノズルが形成された印字ヘッドと、該ノズルに供給されるインクを貯蔵したサブタンクとを備え、前記ノズルから記録媒体にインクを吐出して画像を形成するインクジェット方式画像形成装置において、
    前記サブタンクからインクを排出する排出機能と前記サブタンクにインクを供給する供給機能をもつ吸排ポンプを備えたことを特徴とするインクジェット方式画像形成装置。
  2. 前記吸排ポンプは、前記サブタンクに供給されるインクが貯蔵されたインクタンクと前記サブタンクとをつなぐインク流路に取り付けられたものであり、
    該吸排ポンプが非稼動時には、前記インク流路を遮断するものであることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット方式画像形成装置。
  3. 前記インク流路を開閉する、前記吸排ポンプとは別の開閉手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット方式画像形成装置。
  4. 前記サブタンク内のインクの液面の位置を検知する液面検知手段を備えたことを特徴とする請求項1,2,又は3に記載のインクジェット方式画像形成装置。
  5. 前記印字ヘッドは、前記ノズルに連通する液室が形成されたものであり、
    前記液室内の圧力を検知する液室圧力検知手段を備えたことを特徴とする請求項1から4までのうちのいずれか一項に記載のインクジェット方式画像形成装置。
  6. 前記サブタンクと前記印字ヘッドとをつなぐ第1インク流路、及び前記サブタンクと前記吸排ポンプとをつなぐ第2インク流路を備えたことを特徴とする請求項1から5までのうちのいずれか一項に記載のインクジェット方式画像形成装置。
  7. 前記サブタンクの内部のうち前記第1インク流路の前記サブタンク側の接続口の前方部分に配置された、該接続口の広さよりも広い板状部材を備えたことを特徴とする請求項6に記載のインクジェット方式画像形成装置。
  8. 前記第1インク流路の前記サブタンク側の接続口と、前記第2インク流路の前記サブタンク側の接続口とは、対向する位置からずれた位置に形成されていることを特徴とする請求項6に記載のインクジェット方式画像形成装置。
  9. 前記インクタンクは、交換自在又はインク補充可能なものであることを特徴とする請求項2から8までのうちのいずれか一項に記載のインクジェット方式画像形成装置。
  10. 前記液室にインクを流入させる流入インク流路、及び前記液室からインクを流出させる流出インク流路を備えたことを特徴とする請求項5から9までのうちのいずれか一項に記載のインクジェット方式画像形成装置。
  11. 記録媒体の厚さに応じて前記印字ヘッドの位置を制御するヘッド位置制御手段と、
    前記印字ヘッドの位置に対応して前記サブタンク内のインクの液面の位置を制御するインク液面位置制御手段とを備えたことを特徴とする請求項1から10までのうちのいずれか一項に記載のインクジェット方式画像形成装置。
  12. 前記インク液面位置制御手段は、前記印字ヘッドから画像形成中に吐出される単位時間当たりのインク量に基づいて前記インク液面位置を制御するものであることを特徴とする請求項11に記載のインクジェット方式画像形成装置。
  13. 前記インク液面位置制御手段は、前記液室の圧力を検出する液室圧力検出センサの検出値に基づいて前記インク液面位置を制御するものであることを特徴とする請求項11に記載のインクジェット方式画像形成装置。
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