JP2007203621A - 平版印刷版用湿し水濃縮組成物 - Google Patents

平版印刷版用湿し水濃縮組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】希釈して平版印刷版の湿し水としたとき、PS版、サーマル・銀塩CTP版を用いて、汚れの発生しない鮮明な印刷を得ることができる湿し水濃縮組成物を提供する。
【解決手段】グリコールエーテル類の含有水溶液をベースとし、テトラメチルデシンジオール、テトラメチルデシンジオールジポリオキシエチレンエーテル、テトラメチルデカンジオールの群から選択されるの1種以上のテトラメチルデシンジオール類と、ポリオキシアルキレンメチルグルコシドとポリオキシエチレンアルキルエーテルと、適宜、モノカルボン酸塩類とを添加する。
【選択図】なし

Description

本発明は、オフセット印刷における平版印刷版に用いる湿し水濃縮組成物に関する。
オフセット印刷に使用する平版印刷版は、その版上に油性インキとの親和性(親油性)を持つ画像部と、油性のインキとは反撥するが水とは親和性(親水性)を持つ非画像部を有している。平版印刷は画像部と非画像部のこのような特性(親油性と親水性)の違いを利用して、インキ供給ローラーによって版面に与えられた油性インキは画像部へ、湿し水供給ローラーによって与えられた湿し水は非画像部へ転移されるため、同一平面上での印刷が可能となっている。
したがって、良好な印刷物を印刷するためには、湿し水の作用で非画像部に保水被膜(不感脂化被膜)を形成して非画像部の親水性を増大させ、画像部の親油性とはっきり区別させることで画像部のインキ乗り(移り)性を良くする必要がある。
一般的に、平版印刷版は、アルミニウムの表面を親水性に加工した面を非画像部とする版のPS版、サーマル・銀塩CTP版、ゼラチン層を非画像部とする版のポリエステルベース銀塩CTP版及び銀塩マスターアナログ版や、酸化亜鉛層を非画像部とするピンクマスターCTP版及びピンクマスターアナログ版等がある。
ここで、「PS版」とは、「Presensitized Plate」の略で、予め感光層が塗布されている版のことで、紫外線露光をして画像を形成する。
「CTP版」とは、コンピュータで製作されたデータをプレートセッターを通し、直接刷版として出力するシステム(CTP:「Computer to Plate」の略)に使用する版のことである。
「マスター版」とは、軽印刷に用いられる紙をベースとする印刷版の総称である。
各々の版材の特徴に合わせて、印刷機の機種ごとにより、少ロット印刷用、ロット印刷用や単色印刷用、二色印刷用、プロセス印刷用と版材を使い分けている。また、同時に使用する湿し水も各々の版材の特徴に合わせて、かつ、印刷機の機種ごとに使い分けている。
平版印刷版における湿し水としては、従来、イソプロピルアルコール(IPA)の約10〜15%水溶液を使用することが多かった。しかし、IPAは消防法危険物第四類アルコール類と労働安全衛生法有機溶剤中毒予防規則などの法規制に該当することから、近年、環境面や衛生面の問題から使用が減少してきている。
そして、IPAの代替有機溶剤として、IPA以外のIPA代替アルコール類やグリコールエーテル類を使用した湿し水が提案されている(特許文献1〜6等参照)。
特開平4−1091号公報 特開平5−221180号公報 特開2001−18553公報 特開2003−170673公報 特開2003−312161公報 特開2004−82593公報
上記の如く、グリコールエーテル類含有水溶液をベースとするノンアルコール型のIPAを使用しない湿し水が普及しているが、当該湿し水は、印刷用紙の種類やインキのタイプ及び印刷機の給水機構によっては、良好(適正な)水上がりが得難く、印刷汚れや版とび(版とれ)等の問題点が発生し易かった。
とくに、昨今普及してきているCTP版においては、その傾向が著しかった。
このため、平版印刷版のタイプによっては、IPA代替アルコールを使用している。
本発明は、上記にかんがみて、グリコールエーテル類の含有水溶液をベースとするノンアルコール型の平版印刷版用湿し水濃縮組成物において、上記問題点が発生し難い湿し水が得られる平版印刷版用湿し水濃縮組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を達成するために、上記印刷汚れと耐刷不良(版とび)が、適正な水上りを確保し難いためであると推定して、平版印刷版用湿し水濃縮組成物について鋭意開発に努力をした結果、下記構成の平版印刷版用湿し水濃縮組成物に想到した。ここで、適正な水上りとは、版面に良好な印刷を継続可能な湿し水を付与できる状態をいう。
下記化学式1で示されるグリコールエーテル類(以下「グリコールエーテル類」という。)の含有水溶液をベースとする平版印刷版用湿し水濃縮組成物において、
テトラメチルデシンジオール及びその誘導体の群から1種又は2種以上選択される(以下「TMDD類」という。)と、メチルグルコシドのアルキレンオキシド付加体(以下「グルコシドAO付加体」という。)と、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(以下「POEアルキルエーテル」という。)が添加され、
前記グリコールエーテル類100質量部に対する前記TMDD類及びグルコシドAO付加体の添加量が、それぞれ0.1〜10質量部及び0.5〜10質量部であることを特徴とする。
Figure 2007203621
(ここで、R1:炭素数1〜4のアルキル基、R2:水素原子又はメチル基、a:1≦a≦3の整数。)
上記構成において、TMDD類が、下記化学式2・3又は4で示されるものであることが望ましい。
Figure 2007203621
Figure 2007203621
(ここで、b、c:1≦b+c≦30を満たす整数。)
Figure 2007203621
上記各構成において、グルコシドAO付加体が、下記化学式5で示されるものであることが望ましい。
Figure 2007203621
(ここで、R3、R4、R5、R6:水素原子又はメチル基、d、e、f、g:10≦d+e+f+g≦30を満たす整数。)
上記各構成において、POEアルキルエーテルが下記化学式6で示されるものであることが望ましい。
Figure 2007203621
(ここで、R7:炭素数4〜8のアルキル基、h:3≦h≦10の整数。)
本発明の平版印刷版用湿し水濃縮組成物を希釈した湿し水は、例えば、連続給水方式の湿し水供給装置を備えた平版印刷用オフセット印刷機を使用して印刷すると、版面の非画像部に安定した均一な保水膜を形成・維持することができる。この作用により、印刷時の汚れや網点の絡みの発生を防止するので、品質の良い印刷物が得られる。また、印刷停止時には形成された保水膜が版面の乾燥を抑制するので、印刷の再スタート時での汚れ解消が早く損紙を少なくできる。さらに、PS版、CTP版の画像部への湿し水成分の影響も極めて小さく、画像部に版とび(版とれ)を発生し難い。
以下、本発明について詳細に説明する。以下の説明で、含有率を示す「%」及び「部」は、特に断らない限り、「質量%」及び「質量部」をそれぞれ意味する。
本発明の平版印刷版用湿し水濃縮組成物は、下記化学式7で示されるグリコールエーテル類(以下「グリコールエーテル類」という。)の含有水溶液をベースとし、使用時希釈して使用するものであることを前提とする。
ここで、グリコールエーテル類は、主として水上り(特に、湿し水の版面特に非画像部に対する水分補給)を確保する作用を担うものである。
Figure 2007203621
(ここで、炭素数1〜4のアルキル基、R2:水素原子又はメチル基、a:1≦a≦3の整数。)
ここで、グリコールエーテル類は、エチレングリコールアルキルエーテル及びプロピレングリコールアルキルエーテルを併用することが望ましい。当該併用により、従来のIPA含有液をベースとする場合と同様に適正な水上りを得やすいためである。
水を除く薬剤量合計を100%としたとき、グリコールエーテル類の含有率は、約75〜90%、さらには約80〜85%が望ましい。含水の濃縮組成物においては、グリコールエーテル類の含有率は、約20〜60%、さらには約30〜50%が望ましい。グリコールエーテル類が過少では、湿し水の版面に対する水分補給(濡れ)を確保し難く、過多では、湿し水の版面に対する水分補給(濡れ)が過剰となり、ローラーストリップやインキの過乳化が発生し易い。
そして、上記湿し水濃縮組成物において、テトラメチルデシンジオール(TMDD)類(a)と、グルコシドAO付加体(b)と、POEアルキルエーテル(c)が添加されている。
TMDD類は、主に湿し水の表面張力を下げる作用を奏して濡れ性を増大させるとともに、グルコシドAO付加体は、インキ含水率を安定化する作用を奏する。POEアルキルエーテルは、主に湿し水としたときの各機能成分の可溶化分散性を確保する作用を奏する。
(a)上記TMDD類は、TMDD及びその誘導体の群を意味し、下記化学式8〜10で示されるものから1種又は2種以上組み合わせて使用することが望ましい。
Figure 2007203621
Figure 2007203621
(ここで、b、c:1≦b+c≦30を満たす整数)
Figure 2007203621
ここで、化学式9に示されるものに、化学式8又は10を組み合わせて使用することが、表面張力低下及び濡れ性の増大を期待できて望ましい。
そして、グリコールエーテル類及び他の薬剤との混和性等の見地から、通常、HLB(Hydorophlic Lipophilic Balance:親水親油バランス)約3〜18の範囲内にあるものを選定することが望ましい。当然、化学式9における、b+cの整数値も当該HLBに収まるような範囲とする。
TMDD類のグリコールエーテル類100部に対する添加量は、TMDD類の添加目的(作用効果)を達成できれば、特に限定されない。グリコールエーテル類の種類や印刷要求特性等に応じて、例えば、約0.1〜10部の範囲から適宜設定をする。
(b)グルコシドAO付加体は、下記化学式11で示されるものが望ましい。
Figure 2007203621
(ここで、R3、R4、R5、R6:水素原子又はメチル基、d、e、f、g:10≦d+e+f+g≦30を満たす整数。)
これらのうちで、R3、R4、R5、R6がメチル基であり、d、e、f、g:15≦d+e+f+g≦25を満たす整数とすることが、インキ含水率を安定化する作用が良好で望ましい。
グリコシドAO付加体のグリコールエーテル類100部に対する添加量は、グリコシドAO付加体の添加目的(作用効果)を達成できれば、特に限定されない。グリコールエーテル類の種類や印刷要求特性等に応じて、例えば、約0.5〜10部の範囲から適宜設定をする。
(c)POEアルキルエーテルは、下記化学式12で示されるものが望ましい。
Figure 2007203621
(ここで、R7:炭素数4〜8のアルキル基、h:3≦h≦10の整数。)
これらのうちでR7:炭素数6、h:5が更に望ましい。TMDD類とグルコシドAO付加体の各作用を増大させるためである。
POEアルキルエーテルは、グリコールエーテル類及び他の薬剤との混和性の見地から、通常、HLB約4〜10の範囲内にあるものを選定することが望ましい。当然、化学式12における、R7の炭素数及びhの整数値も当該HLBに収まるような範囲とする。
POEアルキルエーテルのグリコールエーテル類100部に対する添加量は、POEアルキルエーテルの添加目的(作用効果)を達成できれば、特に限定されない。グリコールエーテル類の種類や印刷要求特性等に応じて、例えば、約0.5〜10部の範囲から適宜設定をする。
さらに、本発明の保水剤としてモノカルボン酸塩類を含有させてもよい。
上記モノカルボン酸塩類は、下記化学式13で示されるものから選択することが、保水能が高くて望ましい。
Figure 2007203621
(ここで、R8:炭素数1〜4のアルキル基、M:H、Na、K、Li、NH4、アルキルアミン類、アルキルジアミン類、アルキルトリアミン類、アルキルテトラアミン類又はアミノアルコール類。)
モノカルボン酸塩類のグリコールエーテル類100部に対する添加量は、モノカルボン酸塩類の添加目的(保水剤としての作用効果)を達成できれば、特に限定されない。モノカルボン酸塩類の種類や印刷要求特性等に応じて、例えば、約0.5〜10部の範囲から適宜設定をする。
上記各化合物(薬剤)は、汎用のものであり市場において入手可能である。
本発明の平版印刷版用湿し水濃縮組成物におけ各成分の配合量(組成)は、含水量基準で、下記のものとすることが望ましい。
1)グリコールエーテル類:20.0〜60.0%、さらには30.0〜50.0%。
2)TMDD類:0.1〜10.0%、さらには、0.1〜5.0%。
3)グルコシドAO付加体:0.1〜10.0%、さらには0.1〜5.0%。
4)POEアルキルエーテル:0.1〜10.0%、さらには0.1〜5.0%。
5)モノカルボン酸塩類:0.1〜10.0%、さらには0.1〜5.0%。
6)残部:水及びその他微量添加薬剤
本発明の平版印刷版用湿し水濃縮組成物には、上記非画像部の親水性を増大させる機能薬剤の他に、湿し水の版面上における液膜特性を最適化する見地から、界面活性剤、水溶性高分子、pH調整剤、湿潤剤、防腐剤、消泡剤などを添加することができる。
本発明の平版印刷版用湿し水濃縮組成物に界面活性剤や界面活性を有する溶剤を、濡れ性向上の助剤として添加することが望ましい。
界面活性剤としては、特に限定されないが、HLB:3〜18の範囲にある下記汎用のアニオン系やノニオン系のうちから適宜選択して使用できる。アニオン系やノニオン系が、その他、フッ素系界面活性剤類、シリコーン系界面活性剤類も使用することができる。
1)アニオン系:脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホ琥珀酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム塩類、N−アルキルスルホ琥珀酸モノアミド二ナトリウム塩類、石油スルホン酸塩類、硫酸化ひまし油、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸エステル塩類、スチレン−無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類等。
2)ノニオン系:ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、グリセリン脂肪酸部分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル類、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル類、蔗糖脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレン硬化ひまし油類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル類、脂肪酸ジエタノールアミド類、N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン類、トリエタノールアミン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンランダムポリマー類、トリアルキルアミンオキシド類。
また、界面活性を有する溶剤としては、アルキルピロリドン類、炭素数6〜12のアセチレンジオール類等を好適に使用できる。
そして、これらのうちで、版とびを発生させ難いもの、例えば、アニオン系界面活性剤ではジアルキルスルホ琥珀酸塩類が、非イオン系界面活性剤では、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル類、その他では、フッ素系界面活性剤やシリコーン系界面活性剤望ましい。
これらの界面活性剤や界面活性を有する溶剤を平版印刷版用湿し水濃縮組成物(水含有組成物)での含有率(以下同じ。)は、0.1〜10.0%、さらには、0.1〜5.0%が望ましい。
本発明の平版印刷版用湿し水濃縮組成物に含有させる水溶性高分子化合物としては、アラビアガム、澱粉誘導体(デキストリン、酵素分解デキストリン、カルボキシメチル化澱粉、リン酸澱粉、オクテニルコハク化澱粉等)、アルギン酸塩、繊維素誘導体(カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等及びその誘導体等)、ポリアクリル酸及びその共重合体、アルキレン/無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン等を好適に使用できる。
水溶性高分子化合物の含有率は、0.01〜10.0%、さらには0.01〜
5.0%が適当であり、また、2種以上併用することもできる。
上記pH調整剤としては、水溶性の有機酸又は無機酸又はそれらの塩が使用でき、これらの化合物は、湿し水のpH調整或いはpH緩衝作用を有し、平版印刷版非画像部の不感脂化や適度なエッチング又は防腐食に効果がある。有機酸としては、クエン酸、アスコルビン酸、dl−リンゴ酸、dl−酒石酸、dl−乳酸、酢酸、グリコール酸、グルコン酸、酢酸、ヒドロキシ酢酸、マロン酸、アジピン酸、コハク酸、レブリン酸、スルファニル酸、フィチン酸、有機ホスホン酸、ポリカルボン酸等が挙げられる。無機酸としては、リン酸、メタリン酸、ピロリン酸、ヘキサメタリン酸、ポリリン酸、ホウ酸、硝酸、硫酸等が挙げられる。更にこれら有機酸又は無機酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩あるいはアンモニウム塩、有機アミン塩も適宜使用できる。これらの有機酸、無機酸又はこれらの塩は2種以上を併用して使用してもよい。
これらのpH調整剤を使用する場合、版面非画像部の洗浄と不感脂化被膜形成の見地から、希釈時の湿し水のpHが3〜6の範囲となる量とする。そして、pH調整剤の、本発明の平版印刷版用湿し水濃縮組成物での含有率は、通常、0.1〜5.0%の範囲内となる。当然、2種以上併用することもできる。
上記湿潤剤としては、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール及びペンタプロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、プロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、トリメチロールプロパングリセリン、及びポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール(分子量700まで)、ポリグリセリン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
これらの湿潤剤の含有率は、0.5〜10%が、さらには、0.5%〜5%の範囲が望ましい。
本発明の平版印刷版用湿し水濃縮組成物に使用できる防腐剤としては、イミダゾール誘導体、デヒドロ酢酸ナトリウム、サリチル酸ソーダ、安息香酸ソーダ、4−イソチアゾリン−3−オン誘導体、ベンズトリアゾール誘導体、アミジン又はグアニジンの誘導体、ピリジン、キノリン又はグアニジンの誘導体、ダイアジン又はトリアゾールの誘導体、オキサゾール又はオキサジンの誘導体、ブロモニトロアルコール系のブロモニトロプロパノール、1,1−ジブロモ−1−ニトロ−2−エタノール、3−ブロモ−3−ニトロペンタン、2,4−ジオール等を好適に使用できる。
防腐剤の含有率は、細菌、カビ、酵母の種類によっても異なるが、0.1〜5.0%の範囲内で、希釈使用時の湿し水の細菌、カビ、酵母等に対して安定に効力を発揮する量とする。また、種々のカビ、細菌、酵母に対して効力のあるような2種以上の防腐剤を併用することもできる。
本発明の平版印刷版用湿し水濃縮組成物に使用できる消泡剤としては、シリコーン系消泡剤が適しており、その中で自己乳化型、乳化分散型及び可溶化型等を使用することができる。
本発明の平版印刷版用湿し水濃縮組成物の成分として、残余は水である。したがって、使用する水は、脱塩水又はイオン交換水を使用することが理想であるが、一般的に軟水であれば使用に差し支えはない。上記の各種成分を溶解した水溶液として、本発明の平版印刷版用湿し水濃縮組成物を得ることができる。
本発明の平版印刷版用湿し水濃縮組成物を使用する場合、通常使用時に水道水、井戸水等で10〜100倍程度に希釈し、使用時の湿し水組成物とする。
次に本発明を実施例により更に具体的に説明する。
表1の組成処方に従って、各実施例・比較例の平版印刷版用湿し水濃縮組成物を調製した。単位はグラム表示であり、水を加えて最終的に1000mLとした。
こうして調製した各湿し水濃縮組成物を、上水で50倍に希釈して、各評価テストで使用する湿し水とした。
Figure 2007203621
(1)印刷テスト
上記のようにして調製した各湿し水を下記仕様の印刷テスト(10000枚)に供して印刷品質、インキの乳化状態及び水元ローラーの状態等を確認して評価を行った。
印刷機・・・三菱重工業(株)製「DAIYA 1F−4」
インキ・・・東洋インキ製造(株)製「TK HY Unity SOY」(
版・・・コダックポリクロムグラフィックス(株)製「TP−R」(サーマルCTP版商品名)を標準条件で製版したもの。
印刷条件・・・湿し水設定温度:10℃、印刷速度:10000枚/h
そして、下記評価項目についてそれぞれ下記評価基準で評価を行った。
1)網点画像部のインキ絡み:刷り上った印刷物を観察して、網点画像部のインキ絡みの発生状況を確認した。
○:印刷物の網点画像部に、インキ絡みは認められなかった。
△:印刷物の網点画像部に、軽度なインキ絡みが認められた。
×:印刷物の網点画像部に、過度のインキ絡みが認められた。
2)非画像部の汚れ:刷り上った印刷物を観察して、非画像部の汚れの発生状況を確認した。
○:印刷物の非画像部に、汚れは認められなかった。
△:印刷物の非画像部に、軽度な汚れが認められた。
×:印刷物の非画像部に、過度の汚れが認められた。
3)水元ローラーへのインキ絡み:10000枚印刷終了後の水元ローラーの状態を観察して、水元ローラーへのインキ絡み(インキ付着)評価した。
○:水元ローラーに、インキ絡みは認められなかった。
△:水元ローラーに、軽度のインキ絡みが認められた。
×:水元ローラーに、過度のインキ絡みが認められた。
4)印刷再スタート時の立ち上がり性:10000枚印刷終了後、印刷機を10分停止させた後、印刷の再スタートでの汚れを刷り上った印刷物で観察して、立ち上がり性を確認した。
○:印刷再スタート50枚以内にて、汚れは解消した。
△:印刷再スタート100枚以内にて、汚れは解消した。
×:印刷再スタート100枚以上でも、汚れは解消しなかった。
5)インキの過剰乳化の有無:10000枚印刷終了時に、印刷機でのインキローラー上のインキの状態を観察し、湿し水の影響によるインキの乳化状態を確認した。
○:適正な状態であった。
△:軽度の過剰乳化の傾向が、認められる状態であった。
×:過剰乳化の傾向が、認められる状態であった。
(2)版とびテスト
上記のように調製した湿し水に、下記製版1・2を浸漬(40℃×4時間)して版とびの状態を評価した。
製版1・・・コダックポリクロムグラフィックス(株)製「TP−R」(サーマルCTP版商品名)を標準条件で製版したもの。
製版2・・・富士写真フィルム(株)製「VS」(PS版商品名)を標準条件で製版したもの。
評価基準は下記の通りとした。評価結果を表3に示す。
◎ :画像部への影響は無かった。
○ :画像部への影響が極僅か認められた。
△ :画像部への影響が少し認められた。
× :部分的に版とびが発生した。
××:全面版とびが発生した。
(3)結果と考察
上記各テスト結果を表2・3に示す。
本発明による各実施例の平版印刷版用湿し水濃縮組成物は、比較例のそれに比していずれのテスト項目についても優れており、良好な印刷物が得られ、版とびも起こさず、湿し水としての適性(水上り・洗浄効果等)に優れていることが認められた。
Figure 2007203621
Figure 2007203621

Claims (4)

  1. 下記化学式1で示されるグリコールエーテル類(以下「グリコールエーテル類」という。)の含有水溶液をベースとし、使用時希釈して使用する平版印刷版用の湿し水濃縮組成物において、
    テトラメチルデシンジオール(以下「TMDD」と略す。)及びその誘導体の群から1種又は2種以上選択されるTMDD類と、メチルグルコシドのアルキレンオキシド付加体(以下「グルコシドAO付加体」という。)と、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(以下「POEアルキルエーテル」という。)が添加されていることを特徴とする平版印刷版用湿し水濃縮組成物。
    Figure 2007203621
    (ここで、R1:炭素数1〜4のアルキル基、R2:水素原子又はメチル基、a:1≦a≦3の整数。)
  2. 前記TMDD類が、下記化学式2・3又は4で示されるものであるとともに前記グリコールエーテル類100質量部に対する添加量が0.1〜10質量部であることを特徴とする請求項1記載の平版印刷版用湿し水濃縮組成物。
    Figure 2007203621
    Figure 2007203621
    (ここで、b、c:1≦b+c≦30を満たす整数。)
    Figure 2007203621
  3. 前記グルコシドAO付加体が、下記化学式5で示されるものであり、かつ、前記グリコールエーテル類100質量部に対する添加量が0.5〜10質量部であることを特徴とする請求項1又は2記載の平版印刷版用湿し水濃縮組成物。
    Figure 2007203621
    (ここで、R3、R4、R5、R6:水素原子又はメチル基、d、e、f、g:10≦d+e+f+g≦30を満たす整数。)
  4. 前記POEアルキルエーテルが下記化学式6で示されるものであることを特徴とする請求項1、2又は3記載の平版印刷版用湿し水濃縮組成物。
    Figure 2007203621
    (ここで、R7:炭素数4〜8のアルキル基、h:3≦h≦10の整数。)
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