JP2007202422A - 苗保持装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 苗の胚軸を保持する保持部材を上下に各々設けた左右一対のアームを備える苗保持装置において、胚軸が曲がっていると、上下一方側の保持部材が先に苗の胚軸をしっかりと保持することで他方側の保持部材と胚軸との位置関係がずれ、前記他方側の保持部材で適正に胚軸を保持できないおそれがある。
【解決手段】 前記アーム(21a,21b)のうちの一方(21b)は苗の胚軸(A)を収容するための切欠溝部(B)を備える第一保持部材(62a)を上下に各々備え、前記アーム(21a,21b)のうちの他方(21a)は苗の胚軸(A)を規制するべく上下方向に連続して設けた第二保持部材(60)を備え、左右一対のアーム(21a,21b)が互いに接近して苗の胚軸(A)を保持する状態で、前記上下の第一保持部材(62a)の間に第二保持部材(60)が入り込んで平面視で切欠溝部(B)内に位置する構成とした。
【選択図】 図7
【解決手段】 前記アーム(21a,21b)のうちの一方(21b)は苗の胚軸(A)を収容するための切欠溝部(B)を備える第一保持部材(62a)を上下に各々備え、前記アーム(21a,21b)のうちの他方(21a)は苗の胚軸(A)を規制するべく上下方向に連続して設けた第二保持部材(60)を備え、左右一対のアーム(21a,21b)が互いに接近して苗の胚軸(A)を保持する状態で、前記上下の第一保持部材(62a)の間に第二保持部材(60)が入り込んで平面視で切欠溝部(B)内に位置する構成とした。
【選択図】 図7
Description
本発明は、苗を保持する苗保持装置に関するものであり、例えば台木苗と穂木苗を自動的に供給・接着して接木苗を製造する接木苗製造装置に利用できるものである。
台木苗と穂木苗を自動的に供給・接着して接木苗を製造する接木苗製造装置において、少なくとも一方が左右方向に回動する左右一対のアームにより台木苗又は穂木苗の胚軸を保持する苗保持装置を設け、前記アームのうちの一方あるいは両方に苗の胚軸を収容するための切欠溝部を備える保持部材を上下に各々備えた構成のものが知られている(特許文献1参照。)。前記苗保持装置は、前記切欠溝部により苗の胚軸をしっかりと挟持し、苗の移送行程等において苗の胚軸が軸心回りに回転しないようにして該苗の子葉の向きを所定の位置に維持させ、苗を接合部へ適正な向きで供給して精度良く接木作業を行えるようにするものである。
特開平8−280256号公報
ところが、上記背景技術においては、苗保持装置が苗をその子葉の向きが適正な状態で保持しなければならず、そのためには苗保持装置へ苗を適正な向きで精度良く供給する必要がある。そこで、左右一対のアームにより苗の胚軸を緩く保持し、その保持した状態で別途設けた方向修正部材により苗の向きを修正させることが考えられるが、緩く保持することで胚軸の位置が前記アームに対してずれやすくなり、苗保持装置により苗を適正な姿勢又は位置で保持できなくなるおそれがある。
また、上記背景技術においては、上下に各々備える上記保持部材により、苗の胚軸の姿勢を適正に保持しようとするものであるが、胚軸が曲がっていると、上下一方側の保持部材が先に苗の胚軸をしっかりと保持することで他方側の保持部材と胚軸との位置関係がずれ、前記他方側の保持部材で適正に胚軸を保持できないおそれがあり、ひいては不適正な姿勢又は位置で苗が保持されるおそれがある。
上記課題を解決するために、請求項 1 に係る発明は、少なくとも一方が左右方向に回動する左右一対のアーム(21a,21b)により苗の胚軸(A)を保持する苗保持装置において、前記アーム(21a,21b)のうちの一方(21b)は苗の胚軸(A)を収容するための切欠溝部(B)を備える第一保持部材(62a)を上下に各々備え、前記アーム(21a,21b)のうちの他方(21a)は苗の胚軸(A)を規制するべく上下方向に連続して設けた第二保持部材(60)を備え、左右一対のアーム(21a,21b)が互いに接近して苗の胚軸(A)を保持する状態で、前記上下の第一保持部材(62a)の間に第二保持部材(60)が入り込んで平面視で切欠溝部(B)内に位置する構成とした苗保持装置とした。
従って、この苗保持装置で苗を保持するとき、上下方向に連続して設けた第二保持部材(60)で苗の胚軸(A)の曲がりを規制しながら、上下各々の第一保持部材(62a)の切欠溝部(B)に苗の胚軸(A)が上下各々の位置で適正に案内され、更に苗の保持状態では第一保持部材(62a)の切欠溝部(B)と第二保持部材(60)とで苗の胚軸(A)の全周を確実に囲むことができる。
よって、苗の胚軸(A)が多少曲がっていても該胚軸(A)を適切な位置で保持することができると共に、第一保持部材(62a)の切欠溝部(B)と第二保持部材(60)とで苗の胚軸(A)の全周を確実に囲むことができ、特に胚軸(A)を回転可能に緩く保持する場合に、胚軸(A)を緩く保持しながら該胚軸(A)の位置を適切に規制することができる。
本発明の実施の一形態を図面に基づき説明する。
図1及び図2は、接木苗製造装置1の要部を示す側面図と平面図である。
接木苗製造装置1は、台木と穂木を接ぎ木する接木ロボット本体laを中心にその左側(図の上側)に不図示の台木取込部(取込部)、同右側(図の下側)に穂木取込部(取込部)2が配置され、接木ロボット本体laには、その前面の左右に台木取込部または穂木取込部2から台木、穂木としての苗をそれぞれ受ける台木前処理部(前処理部)3、穂木前処理部(前処理部)4、中央には、台木前処理部3または穂木前処理部4から受けた台木と穂木を接着する接着処理部7、この接着された接木苗を下方から送出する接木苗送出部8を配置して左右を略対称に構成し、穂木取込部2の手前側には操作パネルlpを設けたものである。従って、台木取込部及び穂木取込部2からそれぞれ取り込まれた苗を接着処理部7で接着して接木苗が製造される構成となっている。尚、前記台木取込部及び穂木取込部は互いに左右対称で同様の構成であるので、以下は、穂木取込部2について説明する。
図1及び図2は、接木苗製造装置1の要部を示す側面図と平面図である。
接木苗製造装置1は、台木と穂木を接ぎ木する接木ロボット本体laを中心にその左側(図の上側)に不図示の台木取込部(取込部)、同右側(図の下側)に穂木取込部(取込部)2が配置され、接木ロボット本体laには、その前面の左右に台木取込部または穂木取込部2から台木、穂木としての苗をそれぞれ受ける台木前処理部(前処理部)3、穂木前処理部(前処理部)4、中央には、台木前処理部3または穂木前処理部4から受けた台木と穂木を接着する接着処理部7、この接着された接木苗を下方から送出する接木苗送出部8を配置して左右を略対称に構成し、穂木取込部2の手前側には操作パネルlpを設けたものである。従って、台木取込部及び穂木取込部2からそれぞれ取り込まれた苗を接着処理部7で接着して接木苗が製造される構成となっている。尚、前記台木取込部及び穂木取込部は互いに左右対称で同様の構成であるので、以下は、穂木取込部2について説明する。
穂木取込側については、穂木取込部2は、接木ロボット本体laの側方で苗ポットに育成した多数の穂木苗(苗)Wを格子配列したセルトレイを順次搬入移送する搬入機構11と、この搬入機構11上の穂木苗Wに対して進退機構12bにより進退動作可能に穂木苗Wを穂木として個々の把持しつつ胚軸をカットして把持動作する把持ハンド12と、この把持ハンド12を左右方向に横移動可能に支持する移送機構13と、その移送行程上に配した方向修正部材14等から構成する。また、穂木取込部2と穂木前処理部4との間の穂木受渡し位置(受渡し位置)Rには、穂木取込部2から移送された穂木苗Wを一時的に保持する受渡保持機構15を設ける。
詳細には、上記搬入機構11は、接木ロボット本体laの側方に沿って移送動作するべルトコンベヤ等により構成し、横一列の苗が取り出される度にセルトレイの配列ピッチで順次移送動作することにより、穂木苗Wを所定位置に搬入する。移送機構13は、接木苗製造装置1の片側位置で搬入機構11を横断して受渡保持機構15までの範囲で把持ハンド12を左右に位置制御可能に構成し、セルトレイの横一列の苗において受渡保持機構15側から苗を取り出すべく、把持ハンド12が受渡保持機構15へ苗を供給した後に次に取り出す苗(苗があるセル)の左右位置に順次左右移動する構成となっている。この移送機構13による移送行程に干渉するように、棒状部材または回動抵抗を抑えた縦軸ローラによる方向修正部材14を下垂状に配置する。この方向修正部材14は、移送機構13の左右移送経路の終端の直前位置で、受渡保持機構15に対向する位置より若干搬入機構11側に配置されている。また、受渡保持機構15には、把持ハンド12から受けた穂木苗Wを保持した際にその子葉展開方向を規制する整列部材16を設ける。これら受渡保持機構15と整列部材16とにより整列保持手段を形成する。
次に、穂木取込部2の把持ハンド12について詳細に説明する。
把持ハンド12は、拡大側面図を図6に示すように、穂木苗Wの胚軸Aの上段部と中段部とを把持するハンド機構21およびその下方に開閉動作により穂木苗Wの胚軸Aの下段部を切断するカッタ機構23を進退機構12bにより一体に進退動作可能に配置し、その側方に独立して上下動作可能に持上げ具24を備えて構成する。
把持ハンド12は、拡大側面図を図6に示すように、穂木苗Wの胚軸Aの上段部と中段部とを把持するハンド機構21およびその下方に開閉動作により穂木苗Wの胚軸Aの下段部を切断するカッタ機構23を進退機構12bにより一体に進退動作可能に配置し、その側方に独立して上下動作可能に持上げ具24を備えて構成する。
前記ハンド機構21は、平面図を図7に示すように、左右一対のアーム21a,21bを備え、苗保持用のアクチュエータにより固定の左側のアーム21aに対して右側のアーム21bが左右に回動して移動し、開閉する構成となっている。前記左側のアーム21aは、先端部において苗の胚軸Aを保持する平面が鉛直方向に沿うプレート60を備え、該プレート60が苗の胚軸を規制するべく上下方向に連続する第二保持部材60となる。また、左側のアーム21aには、苗保持位置より後側(アーム21aの基部側)で該アーム21aから右側(対向する右側のアーム21b側)に延びる正面視コの字型のプレート61を固着している。このプレート61の上端と下端との各々の水平面部分が、苗を保持するべく進退機構12bでハンド機構21を前進させたときに後側へ倒れている苗の胚軸Aに当たって該胚軸Aを持ち上げて直立させると共に、該胚軸Aが後側へ傾かないように規制する胚軸規制部材61aとなる。前記右側のアーム21bは、先端部に正面視コの字型のプレート62を備え、該コの字型のプレート62の上端と下端との水平面部分がそれぞれ切欠溝部Bを備える第一保持部材62aとなる。前記切欠溝部Bは、穂木苗の胚軸Aの径寸法より大きい平面視コの字状に形成され、穂木苗の胚軸Aを遊嵌保持可能に構成する。そして、苗の胚軸Aを保持するべく右側のアーム21bが左側に回動したとき、上下の前記第一保持部材62aの上下間に前記第二保持部材60が入り込んだ状態となり、第二保持部材60が平面視で上下の切欠溝部B内に位置する。いいかえると、第二保持部材60が上下の切欠溝部Bの間に位置する。このとき、切欠溝部Bの右端と第二保持部材60との左右方向の間隔は、苗の肥軸Aの径寸法より大きくなる。従って、ハンド機構21により、穂木苗がその胚軸線で回動可能に把持される。また、上下の前記胚軸規制部材61aは、アーム21bの回動に拘らず少なくともその一部が上下の第一保持部材62aの上下間に位置し、その前端が平面視で第一保持部材62aの切欠溝部Bの後端と略合致する位置に配置されている。従って、胚軸規制部材61aは、ハンド機構21の閉動作中に苗の胚軸を前記切欠溝部Bへ案内する。
カッタ機構23は、その作動状態平面図(a)とそのB−B線断面図(b)を図8に示すように、左右の開閉アーム23a,23aの一方(左側)の先端部に穂木苗の胚軸Aを切断する刃23bを形成し、かつ、切断後の胚軸Aの移動を拘束するように外周縁23cを高く形成する。胚軸Aの前側となる開閉アーム23a先端の外周縁部分23dと前記刃23bとは平面視で重複しており、前記外周縁部分23dと刃23bとの間に胚軸Aが落ち込んで該胚軸Aを切断できなくなるようなことを防止している。
尚、図14に示すように、刃23bを設けない右側の開閉アーム23aに前記外周縁部分23dを設ける場合は、左右の開閉アーム23a,23aが閉じた状態で前記外周縁部分23dと刃23bとが平面視で重複する構成とすればよい。このとき、胚軸Aを外周縁23cの内側に誘導するため、刃23bを設ける左側の開閉アーム23aの先端に、左右の開閉アーム23a,23aが閉じた状態で前側の外周縁部分23dと前後に重複し且つ左側の外周縁部分23eに連設される誘導部23fを設けることができる。この誘導部23fにより、左側の隣接苗が刃23bで切断されるのを防止できると共に、作業者の手が刃23bに触れて怪我をするようなことも防止できる。また、図14に示すように、刃23bの後端部を左側の開閉アーム23aの先端部に取り付けて刃23bを片持ち支持し、該刃23bに対向する右側の開閉アーム23aより若干下位に刃23bを配置すれば、刃23bが胚軸Aに確実に当たって該胚軸Aを一気にスムーズに切断できる。
前記左右の開閉アーム23a,23aは、閉状態で端面がぴったりと接触するように設定され、胚軸Aを側方から潰すような圧力で押圧して挟持する。これにより、胚軸Aにおいて刃23bで切断する位置の近傍(下方)を該胚軸Aが移動しないように押さえることができるので、刃23bの押圧により胚軸Aが逃げるのを防止し、刃23bによる胚軸Aの切断の精度が向上すると共に、刃23bの寿命(耐久性)も向上する。このカッタ機構23は、着脱可能なスペーサで構成される上下調節機構によりハンド機構21に対する上下高さ位置を変更調節可能に設けられ、苗の胚軸Aが短いときには上側へ位置調節してハンド機構21に近づけ、逆に苗の胚軸Aが長いときには下側へ位置調節してハンド機構21から離すことができ、苗の胚軸Aの長さに応じて把持ハンド12が安定して苗を保持できるように調節できる。
ハンド機構21とカッタ機構23は、穂木苗を穂木としてその根側を切断しつつその胚軸を回動可能に緩く把持する遊嵌把持機構を形成する。
前記持上げ具24は、第一の持上げ具41と第二の持上げ具42とを備えて構成される。前記第一の持上げ具41は、穂木苗Wの根元位置まで前下がりに傾斜するとともに、受渡保持機構15側すなわち苗を取り出すために把持ハンド12が左右移動してくる側となる同穂木苗Wの側方から前側に達するように先端部41tを屈曲したロッドにより形成される。先端部41tとその基部に屈曲して延びる側部41sを略直角に設定することにより、図11の起立動作の正面図に示すように、持上げ具41の上行動作により倒れた胚軸Aを起立することができる。持上げ具41の支持部41bは、穂木苗に対する位置関係に合わせて前後位置と高さ位置を調節可能に構成する。
前記持上げ具24は、第一の持上げ具41と第二の持上げ具42とを備えて構成される。前記第一の持上げ具41は、穂木苗Wの根元位置まで前下がりに傾斜するとともに、受渡保持機構15側すなわち苗を取り出すために把持ハンド12が左右移動してくる側となる同穂木苗Wの側方から前側に達するように先端部41tを屈曲したロッドにより形成される。先端部41tとその基部に屈曲して延びる側部41sを略直角に設定することにより、図11の起立動作の正面図に示すように、持上げ具41の上行動作により倒れた胚軸Aを起立することができる。持上げ具41の支持部41bは、穂木苗に対する位置関係に合わせて前後位置と高さ位置を調節可能に構成する。
また、苗Wに対して前記第一の持上げ具41と左右反対側に第二の持上げ具42を設けている。この第二の持上げ具42は、受渡保持機構15とは反対側で苗を取り出すために把持ハンド12が左右移動する側となる苗の側方に位置するべく屈曲したロッドにより形成され、前後移動シリンダ43により進退動作可能に設けられている。苗の側方に位置する第二の持上げ具42の先端部42aは、前記第一の持上げ具41の先端部41tと同様に水平で、第一の持上げ具41の先端部41tより若干高位で且つ前後移動シリンダ43により突出させた状態で平面視で交差するように設けられている。従って、第一の持上げ具41の上行動作で第二の持上げ具42が共に上動し、苗の左右両側方及び後方の三方から苗を持ち上げて直立させることができ、把持ハンド12による穂木苗の把持を適正に行える。特に、セルのピッチが狭いセルトレイにおいて、第二の持上げ具42により把持ハンド12が左右移動した側の隣接苗側に苗が傾いたまま把持ハンド12で把持して移送するようなことを防止でき、苗が隣接苗と絡んだまま把持ハンド12で移送されて苗の把持姿勢が不適正になるようなことを防止できる。また、一方の持上げ具41の上下動機構で他方の持上げ具42も上下動させる構成としたので、この上下動機構の簡素化が図れる。
尚、第一の持上げ具41を後側(把持ハンド12側)へ移動させながら斜めに上動させる構成とすれば、該第一の持上げ具41の先端部41tで胚軸Aを後側(把持ハンド12側)へ誘導することができる。
尚、第二の持上げ具42は、第一の持上げ具41の上下動機構とは別に把持ハンド12に上下動自在に支持されており、第一の持上げ具41に連動して円滑に上下動する構成となっている。また、第二の持上げ具42を平面視で中途部が把持ハンド12側(隣接苗から離れる側)に突出するように屈曲させた構成としているので、該第二の持上げ具42に干渉しないように把持ハンド12の開閉量を所定に維持できると共に、第二の持上げ具42が隣接苗と干渉しにくくなり、苗取り出しの円滑化が図れる。
上記の持上げ具24では三方から苗を持ち上げる構成であるので、残りの一方側(把持ハンド12側)に倒れる苗を直立させることはできない。そこで、搬入機構11のセルトレイ上には、該セルトレイの左右幅にわたる倒れ規制具44を設けている。この倒れ規制具44は、セル内の培土を荒らしたり搬入機構11によるセルトレイの搬送抵抗になったりしないように回転自在のローラで構成され、把持ハンド12で取り出す苗の把持ハンド12側で適確に作用するようにセルの上方に位置する。
また、図13に示すように、第二の持上げ具42の中途部42bを右側に屈曲させ、該中途部42bにより後側(把持ハンド12側)に倒れる苗を持ち上げる構成としてもよい。
また、把持ハンド12のハンド機構21において、右側のアーム21bには、受渡保持機構15と左右反対側(左側、左側のアーム21a側)に延びる苗分離具45を固着して設けている。この苗分離具45は、棒材で構成され、左右方向(左側)に延びる基部45aと該基部45aから前側に屈曲して延びる先端部45bとを備え、アーム21a,21bより若干下位に配置されている。苗分離具45の先端部45bは、一対のアーム21a,21bが開いた状態では左側のアーム21aの下方に位置し、一対のアーム21a,21bが閉じた状態では左側のアーム21aより把持方向外側(左側)に位置する。従って、セルトレイの苗を把持するべく進退機構12bにより把持ハンド12が前進するときは、一対のアーム21a,21bが開き、苗分離具45の先端部45bは把持しようとする苗に干渉しないように当該苗と隣接苗との間に挿入される。そして、一対のアーム21a,21bを閉じると、苗分離具45の先端部45bは隣接苗側(左側)に移動し、把持する苗と隣接苗とを離して苗の絡みを解くようになっている。
上記構成の把持ハンド12による穂木苗の取込動作は、図15の動作手順図に従って行う。
まず、図16(a)の準備状態の動作平面図に示すように、後退位置でハンド機構21およびカッタ機構23を開状態に準備(S1)した上で、接木苗製造装置1の外側方向への移送機構13の横移動により、搬入機構11上の穂木苗Wの側方から第一の持上げ具41の先端部41tを穂木苗Wの背面位置に挿し入れ、その後前後移動シリンダ43を伸長し第二の持上げ具42を前側に突出させて平面視で先端部が苗の側方に位置させると共に第一の持上げ具41の先端部41tと交差させ、第一の持上げ具41及び第二の持上げ具42の上行動作(S2)により穂木苗Wの倒れを修正する。尚、持上げ具24は、上行動作(S2)前において、カッタ機構23の略同じ高さに位置する。これにより、カッタ機構23をセルの上面に近づけることができて該カッタ機構23が苗の根元を切断でき、冬期に育苗されるような胚軸が短い苗でもハンド機構21で苗を適正に取り出すことができる。
まず、図16(a)の準備状態の動作平面図に示すように、後退位置でハンド機構21およびカッタ機構23を開状態に準備(S1)した上で、接木苗製造装置1の外側方向への移送機構13の横移動により、搬入機構11上の穂木苗Wの側方から第一の持上げ具41の先端部41tを穂木苗Wの背面位置に挿し入れ、その後前後移動シリンダ43を伸長し第二の持上げ具42を前側に突出させて平面視で先端部が苗の側方に位置させると共に第一の持上げ具41の先端部41tと交差させ、第一の持上げ具41及び第二の持上げ具42の上行動作(S2)により穂木苗Wの倒れを修正する。尚、持上げ具24は、上行動作(S2)前において、カッタ機構23の略同じ高さに位置する。これにより、カッタ機構23をセルの上面に近づけることができて該カッタ機構23が苗の根元を切断でき、冬期に育苗されるような胚軸が短い苗でもハンド機構21で苗を適正に取り出すことができる。
次いで、ハンド機構21およびカッタ機構23を前進(S3)した上でハンド機構21を閉じる(S4)ことによりハンド機構21の先端の切欠溝部Bに穂木苗Wの胚軸Aが遊嵌保持され、その後にカッタ機構23を閉じる(S5)ことにより、胚軸Aの下段部が切断されて穂木苗Wは回動可能に同カッタ機構23により下端が支持される。ここで、ハンド機構21およびカッタ機構23を後退(S6)した上で接木苗製造装置1の中心方向に横移動(S7)することにより、搬入機構11から穂木苗を個別に取込むことができる。尚、S6におけるハンド機構21およびカッタ機構23の後退距離すなわち進退機構12bによる進退作動ストロークは、S6の行程によりセルトレイから取り出すべく把持する苗が隣接苗と完全に干渉しない長さに設定されている。
尚、移送機構13の横移動により第一の持上げ具41の先端部41tを穂木苗Wの前側位置に挿し入れるとき、前記先端部41tの後方(ハンド機構21側)へ苗の胚軸Aが円滑に誘導され、更にはその誘導された胚軸Aが左側へ倒れないように、図12に示すように、前記先端部41tの最端(左端)を鋭角に構成すると共に、該最端(左端)の後端を後側に突出させた突出部41uを設けた構成としてもよい。
ハンド機構21の前進行程(S3)で、セルにおける苗の胚軸Aの位置に拘らず、左側のアーム21aに設けた上下の前記胚軸規制部材51aが苗の胚軸Aを押して第一保持部材52aの切欠溝部Bへ案内する。このとき、平面視で第一の持上げ具41の先端部41tと胚軸規制部材51aとの間隔が胚軸Aの軸径と同等かそれより小さくなるように設定すれば、セルにおける苗の胚軸Aの位置に拘らず、第一の持上げ具41の先端部41tと胚軸規制部材51aとで胚軸Aを挟むようにして所望の切欠溝部Bの位置へ誘導でき、把持ハンド12で適正に苗を保持できる。また、セルの左側の端部に胚軸Aが偏位していても、カッタ機構23の前進行程(S3)で、該偏位する胚軸Aを左側の開閉アーム23aに設けた刃23bで切断することができる位置関係となっている。
ところで、ハンド機構21およびカッタ機構23が苗を保持するべく閉じる位置は、セルトレイの苗を取り出すべきセルにおいて、受渡保持機構15と左右反対側(左側)の端部(端部側)に偏位して設定されている。従って、苗を保持しようとする際には、ハンド機構21の左側のアーム21aがセルの左端の端縁の上方に位置し、該左側のアーム21aに右側のアーム21bが近づいて苗を保持する。よって、隣接苗がある左側のアーム21aを固定式とすることにより、該アーム21aが隣接苗に干渉することが抑えられると共に、可動するアーム21bがある側(右側)のセルは既に苗を取り出しているために苗がなく、平面視でセルのどの位置に苗の胚軸Aがあってもハンド機構21が該胚軸Aを挟んで保持できるように、右側のアーム21bの開き量をセルの幅より大きく設定することができ、ハンド機構21およびカッタ機構23がセルから苗を適正に且つ確実に取り出すことができる。尚、同様に、カッタ機構23の右側の開閉アーム23aの開き位置についても、該アーム23aがある側(右側)のセルは既に苗を取り出しているため、平面視でセルのどの位置に苗の胚軸Aがあっても該胚軸Aを確実に挟んで切断して保持できるように、大きく設定することができる。また、セルの配列ピッチが異なるセルトレイから苗を取り出す場合、ハンド機構21およびカッタ機構23による苗を保持する設定位置を各々のセルトレイのセルの左端部となるよう変更するが、ハンド機構21の右側のアーム21bの開き量をセルの大きさに拘らず確実に苗を保持できる大きい開き量に設定することができ、各々のセルトレイへの対応が前記開き量を変更することなく前記苗を保持する設定位置を変更するだけで容易に行える。尚、ハンド機構21およびカッタ機構23において、右側のアーム21b、23aの開き位置の回動角度を90度以上に設定すれば、セルの大きさに拘らず胚軸Aを確実に保持することができる。また、ハンド機構21およびカッタ機構23において、左側のアーム21a、23aを可動式とする場合、該アーム21a、23aを左右方向へ平行にスライド移動する構成とすれば、該アーム21a、23aが左側の隣接苗と干渉しにくくなる。
また、ハンド機構21が苗を保持するべく閉じる位置をセルの左右中央もしくはセルの左右中央に対して受渡保持機構15と左右反対側(左側)に偏位して設定し、カッタ機構23が苗を保持するべく閉じる位置をセルの左右中央に対して受渡保持機構15側(右側)に偏位して設定して、ハンド機構21とカッタ機構23との基準位置を左右方向で異ならせることができる。このとき、ハンド機構21の偏位量よりカッタ機構23の偏位量を大きく設定し、ハンド機構21がセルの左右中央もしくはセルの左右中央の近くで苗の胚軸Aを良好に保持できる構成としながら、左側の隣接苗と干渉しない範囲でカッタ機構23の左右の開閉アーム23aの開き量を大きくでき、苗の胚軸Aの切断精度を向上させることができる。尚、場合によっては、苗の保持精度の向上のため、ハンド機構21もセルの左右中央に対して受渡保持機構15側(右側)に偏位させて設け、ハンド機構21の左右のアーム21a,21bの開き量を大きくすることもできる。
また、左側のアーム21aに設けた第二保持部材60の先端は、保持する苗から離れる側に屈曲して設けられ、保持した苗が前側(ハンド機構21と反対側)に倒れるのを防止するための突起物のようなものがないため、進退機構12bで左側のアーム21aを前進させるときに苗の胚軸Aを第二保持部材の右側(保持する側)へ円滑に案内する。一方、右側のアーム21bの開き量を該アーム21bが前進したときに平面視でセルと重複しないように設定すれば、アーム21bの前進で該アーム21bに設けた第一保持部材62aの切欠溝部B等に苗の胚軸Aがひっかからないようにでき、ハンド機構21により胚軸Aを適正に保持できる。尚、右側のアーム21bの先端に保持した苗が前側(ハンド機構21と反対側)に倒れるのを防止するための突起物を格別に設けた場合も、同様なことがいえる。従って、前記突起物は、固定式の左側のアーム21aに設けず、可動式の右側のアーム21bに設けることが望ましい。
尚、ハンド機構21の右側のアーム61bに前記突起物を設ける場合、他側となる左側のアーム21aに胚軸規制部材61aを設けているので、左右一対のアーム21a,21bが閉じることにより前記突起物と胚軸規制部材51aとで前後から苗の胚軸Aを挟んで所望の位置へ誘導することができる。また、前述ではカッタ機構23の切断刃23bを左側の開閉アーム23aに設けて該開閉アーム23aを回動させることで苗の胚軸Aを切断する構成について説明したが、切断刃23bを右側の開閉アーム23aに設けた構成とすれば、既に苗を取り出して苗がない右側の開閉アーム23aの開き位置を大きく設定することができるので、進退機構12bによる左右の開閉アーム23aの前進で刃23bが苗や該苗の胚軸Aに接触して損傷させるようなことを防止できる。
移送機構13による移送行程においては、図16の方向修正動作の平面図に示すように、穂木苗を把持した把持ハンド12が把持位置Fから受渡し位置Rまで横移動する際に、その移送行程に干渉するように配置した方向修正部材14の近傍を通過することにより、穂木苗Wの子葉展開方向が移送方向に対して大きく傾斜していると子葉が方向修正部材14と干渉することにより子葉展開方向が略移送方向に揃うように穂木苗が回動される。このとき、穂木苗が過大に回動されても、受渡保持機構15と対向する位置に設けた山形で平板状に構成される整列部材となる副整列部材46に苗の子葉が当たってその回動範囲が規制される。この副整列部材46は、上下位置を調節可能に設けられ、移送機構13で移送されてくる苗の胚軸Aや子葉が直接当たることで苗の姿勢又は子葉展開方向がかえって不適正にならないようにでき、苗の大きさや種類に応じて位置調節できる。
前記移送機構13は、コンプレッサからの空気圧により摺動するエアシリンダにより把持ハンド12を横移動させる構成であり、前記シリンダに備えるストロークセンサにより把持ハンド12が搬入機構11及び該搬入機構11上のセルトレイの上方から離れて方向修正部材14の直前位置まで到達したことを検出すると、シリンダへ供給するエアの流量が少なく制御されて移送速度が減速され、移送終端部での移送速度が低速となる構成となっている。この移送速度が減速される位置は、取り出す苗(苗があるセル)の左右位置となる移送始端位置に拘らず同じ位置に設定されている。尚、把持ハンド12が次の苗を把持するべく受渡保持機構15の受渡し位置から搬入機構11上のセルトレイ側へ移動する戻り行程では、通常の速い移送速度で把持ハンド12が横移動する。持上げ具24は、移送機構13の移送速度が移送終端部で減速されるまでの間、持上げ状態に上昇したままであり、苗の移送で他の苗と干渉する等して該苗の姿勢が悪化するようなことを防止している。尚、移送機構13の移送速度が減速するのと同時にカッタ機構23より下位に下降し、苗受渡し行程において邪魔にならないようにしている。
これにより、方向修正部材14に苗の子葉が干渉する直前で減速されて移送行程の終端部で低速となり、該移送行程の終端部で方向修正部材14及び後述する副整列部材46が苗の子葉と干渉することによってその子葉展開方向が移送方向に揃えられる。よって、移送機構13により遅い速度で方向修正部材14に苗の子葉が干渉することになり、方向修正部材14に苗の子葉が勢いよく当たって苗の胚軸が回転し過ぎるようなことが抑えられ、前処理部3,4へ苗を適正な向きで精度良く安定して供給できる。従って、上記接木苗製造装置により、苗はその配置方向を規制されつつ受渡し位置まで移送されることから、以降の前処理部3,4と接着処理部7とによる接ぎ木処理精度が確保されて煩わしい人手作業を要することなく能率良く接木処理するごとができる。また、移送機構13の移送速度が移送終端部の直前で減速される構成とし、次の苗を取りにいく移送機構13の戻り行程と移送機構13による苗の移送経路の大部分(減速されるまでの大部分)とでは把持ハンド12が高速で移送されるため、接木苗製造における作業能率が向上する。また、方向修正部材14及び副整列部材46を移送機構13による移送終端部に設けているので、方向修正部材14及び副整列部材46で苗の子葉展開方向を修正した後、移送機構13による苗の横方向への移送で苗の子葉展開方向がずれるようなことがなく、苗の子葉展開方向を精度良く揃えることができる。
次に、受渡し位置Rに構成される受渡保持機構15と整列部材とによる整列保持手段について説明する。
受渡保持機構15は把持ハンド12の進出位置で穂木苗を受けるべく、進出動作する把持ハンド12に対向して配置される。その構成は、要部平面図を図19に、要部側面図(a)とそのB一B線断面図(b)を図20に示すように、受けた穂木苗の胚軸Aの上段部を把持する上段ハンド機構31と、その下方で胚軸Aの中段部を把持する中段ハンド機構32と、両ハンド機構31、32の中間高さ位置で胚軸Aの過大な進入を規制するストッパ33と、これらを一体に高さ位置を調節する昇降機構34とを受渡し位置Rに備える。
受渡保持機構15は把持ハンド12の進出位置で穂木苗を受けるべく、進出動作する把持ハンド12に対向して配置される。その構成は、要部平面図を図19に、要部側面図(a)とそのB一B線断面図(b)を図20に示すように、受けた穂木苗の胚軸Aの上段部を把持する上段ハンド機構31と、その下方で胚軸Aの中段部を把持する中段ハンド機構32と、両ハンド機構31、32の中間高さ位置で胚軸Aの過大な進入を規制するストッパ33と、これらを一体に高さ位置を調節する昇降機構34とを受渡し位置Rに備える。
前記中段ハンド機構32は、下動シリンダ(下動機構)により苗を把持した状態で下降動作する構成となっている。これにより、把持した苗の胚軸Aを苗の上部にある子葉展開基部が上段ハンド機構31の上面に当接するまで下側へ引き下げ、苗の上下位置が所定位置となるように位置決めする。尚、上段ハンド機構31の把持力は中段ハンド機構32の把持力より小さく設定されており、中段ハンド機構32で苗の胚軸Aを引き下げるとき、胚軸Aが上段ハンド機構31内を滑って引き下げられる。また、中段ハンド機構32の下動途中で苗の子葉展開基部が上段ハンド機構31に当接して所定位置で支持された後の中段ハンド機構32の下動端までの下動では、苗が所定位置に保持されたままで苗の胚軸Aが中段ハンド機構32内を滑るようになっている。中段ハンド機構32の把持面は、一対のハンド32aの各々に前後2個の弾性体(スポンジ)47を固着して構成され、前記弾性体(スポンジ)47により苗の胚軸A位置を中心とする4方向から苗の胚軸Aを押圧して把持する構成となっている。この弾性体(スポンジ)47により、中段ハンド機構32の把持力を大きく設定できると共に、太い胚軸Aでは把持面の面積が大きくなり細い胚軸Aでは把持面の面積が小さくなるため、苗の大きさ(胚軸Aの太さ)に応じて中段ハンド機構32の把持力が設定され、該中段ハンド機構32による苗の引き下げを適正に行える。
尚、受渡保持機構15において開いた状態の上下のハンド機構31、32の左側のアームの把持面は、苗を保持する把持ハンド12のハンド機構21の左側のアーム21a(第二保持部材60)の苗保持面より若干(約0.5mm)だけ右側(左右方向で苗側)に位置する。これにより、把持ハンド12のハンド機構21が前進して受渡保持機構15に苗を受け渡す際、苗の胚軸を確実に受渡保持機構15のハンド機構31、32の左側のアームに当てることができ、受渡保持機構15において苗の胚軸の位置を揃えることができる。また、受渡保持機構15に苗を受け渡した後に把持ハンド12のハンド機構21が後退する際、該ハンド機構21の左側のアーム21a(第二保持部材50)が苗に接触して受渡保持機構15に保持される苗の姿勢や向きを悪化させるようなことを抑えることができる。尚、受渡保持機構15の上下のハンド機構31、32の左側のアームも、受渡保持機構15において苗の胚軸の位置精度を向上させるため、固定式とするのが望ましい。
受渡保持機構15の上方で穂木苗の子葉を受ける位置に整列部材となる主整列部材16を配置する。主整列部材16は、双葉状の子葉展開方向を規制する平板状の部材であり、その中心位置に上下に延びる突条によるガイド部35を形成する。このガイド部35は受けた穂木苗の子葉を左右に振り分けるために、断面形状が山形でその表面を平滑に低摩擦に形成する。
上記構成の整列保持手段における受渡し動作は、把持ハンド12の進出動作によって受渡保持機構15に穂木苗Wを渡す際に、穂木苗Wの子葉L,Lが主整列部材16に押し付けられるとともに、ガイド部35により子葉L,Lが左右に振り分けられて子葉展開軸線が主整列部材16に沿うように整列される。
上記受渡し動作を図18の動作手順図に従って詳細に説明すると、搬入機構11から穂木苗を取込み、その胚軸を把持した把持ハンド12を受渡保持機構15の正面に位置を合わせた後、まず、図19(a)(b)の第一の整列動作の前後の平面図に示すように、カッタ機構23を含めて把持ハンド12を閉じた状態、すなわち、胚軸Aの下端をカッタ機構23上に受けつつ進退機構12bの進退動作により受渡保持機構15の位置まで往復する(S11)ことにより主整列部材16を介して子葉展開方向が整列される。
次いで、図20(a)(b)の第二の整列動作の前後の平面図に示すように、カッタ機構23を開く(S12)ことにより把持ハンド12のハンド機構21に子葉L,Lを受けて穂木苗Wの高さ位置を合わせる。この状態で進退機構12bの進退動作により受渡保持機構15の位置まで往復する(S13)ことにより、主整列部材16に子葉が当たって子葉展開方向が整列される。
上記のように進退機構12bの進退動作で把持ハンド12が往復すると、図21(a)の整列動作の前後の平面図に示すように、把持ハンド12の進出位置の主整列部材16と合わせて把持ハンド12側となる後退位置にも同様の副整列部材46を対向配置しているので、把持ハンド12の1往復につき苗の子葉が整列部材に2回接当することになり、進退動作により能率の良い整列動作が可能となる。尚、前記進退機構12bには、進退用シリンダと、把持ハンド12で把持された苗が主整列部材16に当たる位置に前記進退用シリンダが伸長したことを検出する伸長位置センサと、把持ハンド12で把持された苗が副整列部材46に当たる位置すなわち移送機構13で苗を移送するとき等の通常位置に前記進退用シリンダが収縮したことを検出する収縮位置センサとを備えている。従って、前記伸長位置センサと収縮位置センサとが交互に検出するべく進退用シリンダの伸縮作動を繰り返すことにより、把持ハンド12が往復作動する。
この整列動作の後、把持ハンド12を受渡保持機構15まで進出(S14)した上でカッタ機構23を閉じる(S15)ことにより、胚軸Aが所定位置で切断されて長さが揃えられる。この時、胚軸Aの曲がりがあっても、両ハンド機構31、32の中間高さ位置のストッパ33が胚軸Aの過大な進入を規制することから、胚軸Aを確実に切断することができる。
胚軸Aの切断の後にカッタ機構23を開くとともに穂木苗Wを受けた受渡保持機構15の両ハンド機構31、32を閉じ(S16)、次いで、把持ハンド12のハンド機構21を開くとともに受側の受渡保持機構15の中段ハンド機構32の下動により苗を引き下げて所定の保持高さに合わせ(S17)、その後、把持ハンド12を後退(S18)する。このようにして受渡しの終了後に、把持ハンド12を搬入機構11側に戻すことにより、次の穂木苗についての取込みが可能となる。この一連の動作の繰返しにより、搬入機構11から穂木苗を順次取込んで接木ロボット本体1aにより接木処理することができる。尚、苗受渡し行程において、持上げ具24は、苗の受け渡しの邪魔にならないようにカッタ機構23より下位に下降している。
ところで、苗取込部2の作動を制御する操作パネル1pには、苗取込部2の電源の入切を行う電源スイッチ48と、作動モードを設定するモードスイッチ49と、搬入機構11で搬入するセルトレイの種類を設定するトレイ選択スイッチ50と、作動を開始させるスタートスイッチ51と、作動を停止させるストップスイッチ52と、各作動部を初期状態に復帰させるリセットスイッチ53と、セルトレイ上の苗位置及びセルトレイの苗列の数を任意に設定できる設定変更部54とを設けている。前記モードスイッチ49は、前記スタートスイッチ51の操作での作動域を選択する作動域選択手段であり、ストップスイッチ52を操作するまで連続的に順次苗を前処理部3へ供給するべく作動する自動位置と、1株の苗を前処理部3へ供給するまで作動する手動位置と、前記S1〜S7並びにS11〜S18の各作動行程ごとに作動するステップ位置とに切替操作できる。前記トレイ選択スイッチ50は、把持ハンド12が苗を取り出す左右方向の位置及び搬入機構11の搬送ピッチを切り替えて設定する設定切替手段であり、72穴セルトレイ用の72穴位置と、128穴セルトレイ用の128穴位置と、前記設定変更部54により任意に設定する手動設定位置(MS)とに切替操作できる。尚、前記72穴セルトレイとはセルが縦12列、横6列設けられたセルトレイであり、前記128穴セルトレイとはセルが縦16列、横8列設けられたセルトレイである。従って、これらのセルトレイの種類によってセルの配列ピッチが異なるため、各セルトレイに応じて前記トレイ選択スイッチ50により切り替える構成となっている。把持ハンド12はセルトレイの横一列の苗を受渡保持機構15側から順次取り出すが、この苗取出回数を操作パネル1p内の制御装置でカウントし、トレイ選択スイッチ50の設定に基づく横一列の回数になると、搬入機構11によりセルトレイを搬送する。これにより、横一列の苗を全て取り出したことを判断するために、把持ハンド12が取り出す苗の左右位置を確認するべく、制御装置(PLC)から移送機構13のエアシリンダへ左右位置の確認命令出力を行って該エアシリンダからの入力で判断するのに比較して、制御のスピードが向上し、作業能率の向上が図れる。
尚、搬入機構11に該搬入機構11上のセルトレイのセルが所定位置に到達したことを検出する光電式のセル検出センサを設け、該セル検出センサがセルを検出する度に搬入機構11の作動を停止させて該搬入機構11を所定の搬送ピッチごとに搬送作動させることもできる。前記セル検出センサは、搬入機構11の一方側に設けた投光部と他方側に設けた受光部とを備え、前記投光部から発する光をセルが遮って前記受光部が検出しなくなるとセルが所定位置に到達したと判断できるものである。セル検出センサから所定距離だけ搬入機構11の移送上手側となる位置には、前記セル検出センサと同様に、投光部と受光部とを備えてセルを検出する光電式のセルトレイ判別センサを備えている。そして、セル検出センサがセルトレイのセルを検出して搬入機構11の作動が停止した状態で、セルトレイ判別センサがセルを検出すれば搬入機構11上に128穴セルトレイが移送されていると判断し、セルトレイ判別センサがセルを検出しなければ搬入機構11上に72穴セルトレイが移送されていると判断する制御装置を設けることができる。すなわち、128穴セルトレイと72穴セルトレイとの移送方向(長手方向)のセルの配列ピッチが異なることを利用し、任意のセルから所定距離の位置に別のセルが位置するか否かでセルトレイの種類を判別するのである。これにより、トレイ選択スイッチ50によるセルトレイの種類の設定を忘れていても、搬入機構11上のセルトレイの種類を自動的に判別し、該セルトレイに適合するよう把持ハンド12が苗を取り出す左右方向の位置及び搬入機構11の搬送ピッチを制御装置により自動的に切り替えることができる。尚、このセルトレイ判別手段を、トレイ選択スイッチ50に代えて設ける構成とすることもできる。
この接木苗製造装置1は、接木ロボット本体laの左右に台木取込部及び穂木取込部2が振り分けて配置され、接木ロボット本体laから接木苗を送り出す接木苗送出部8と台木取込部及び穂木取込部2に設けたセルトレイを搬入移送する各々の搬入機構11とからなる複数(3本)の移送コンベアを前後方向へ向けて平行に配置している。そして、図25に示すように、接木苗送出部8と各々の搬入機構11との移送方向を互いに逆方向にすれば、接木苗製造装置1の一側で、接木苗送出部8の移送終端部からの接木苗の取出作業と各々の搬入機構11の移送始端部へのセルトレイの供給作業とが行える。これらの作業を行う作業者が接木苗製造装置1の一側から操作できるように、接木ロボット本体laには、該接木ロボット本体la、台木取込部及び穂木取込部2からなる接木苗製造装置1の全体を一括で制御する制御装置を備える制御パネル55を、接木苗製造装置1の一側に向けて設けている。この制御パネル55に、接木ロボット本体la、台木取込部及び穂木取込部2の作動の入切を行える切替スイッチ等の作動切替手段を設けている。この作動切替手段により、接木ロボット本体la、台木取込部及び穂木取込部2のうち、全部を作動させたり一部を作動させたりすることができ、様々な作業形態で接木苗製造作業が行える。例えば、胚軸長が短い場合に苗接合のための切断位置の精度を要する台木を人手で台木前処理部3へ精度良く供給したいとき、接木ロボット本体la及び穂木取込部2を作動させて台木取込部の作動を停止させることができる。あるいは、苗をセルトレイで育苗しなかった場合にその苗の取込部2を停止させて人手で苗供給したり、苗の接合を人手で行いたいときに取込部2を作動させて接木ロボット本体laの作動を停止させたりできる。尚、台木、穂木共に人手で供給したいときは、接木ロボット本体laのみを作動させればよい。
尚、台木取込部及び穂木取込部2の各々を格別に操作及び制御する操作パネル1pを設ける場合、図25に示すように、該操作パネル1pを台木取込部及び穂木取込部2の作業者寄りの位置で且つ作業者側(接木苗製造装置1の前後一側)へ向けて配置してもよい。これにより、同一の作業者が各々の操作パネル1p及び制御パネル55を容易に操作でき、操作性が向上する。また、操作パネル1pの近傍で、台木取込部及び穂木取込部2の作業者寄りの位置(接木苗製造装置1の左右中央寄りで且つ前後一側の位置)には、操作パネル1pとは別に台木取込部及び穂木取込部2の各々を緊急停止させる緊急停止スイッチ63を設けている。この緊急停止スイッチ63により、作業者が異常時に即座に台木取込部又は穂木取込部2を停止させることができる。
以上により、把持ハンド12のハンド機構21は、少なくとも一方が左右方向に回動する左右一対のアーム21a,21bにより苗の胚軸を保持し、右側のアーム21bは苗の胚軸Aを収容するための切欠溝部Bを備える第一保持部材62aを上下に各々備え、左側のアーム21aは苗の胚軸Aを規制するべく上下方向に連続して設けた第二保持部材60を備え、左右一対のアーム21a,21bが互いに接近して苗の胚軸Aを保持する状態で、前記上下の第一保持部材62aの間に第二保持部材60が入り込んで平面視で切欠溝部B内に位置する構成とした。
従って、このハンド機構21で苗を保持するとき、上下方向に連続して設けた第二保持部材60で苗の胚軸Aの曲がりを規制しながら、上下各々の第一保持部材62aの切欠溝部Bに苗の胚軸Aが上下各々の位置で適正に案内され、更に苗の保持状態では第一保持部材62aの切欠溝部Bと第二保持部材60とで苗の胚軸の全周を確実に囲むことができる。よって、苗の胚軸Aが多少曲がっていても該胚軸Aを適切な位置で保持することができると共に、第一把持部材62aの切欠溝部Bと第二把持部材60とで苗の胚軸Aの全周を確実に囲むことができ、胚軸Aを緩く保持しながら該胚軸Aの位置を適切に規制することができ、方向修正部材14及び整列保持手段により苗の子葉を適正な方向へ向けることができる。また、上下の第一保持部材62aをコの字状に屈曲したプレート62で構成したので、簡単な構造となって軽量化及びコストダウンが図れる。
尚、前述は右側のアーム21bを回動させて苗を保持する構成について説明したが、該アーム21bを左右方向へスライド移動させて苗を保持する構成としてもよい。
また、上下の第一把持部材62aの切欠溝部Bの大きさを上側の切欠溝部Bより下側の切欠溝部Bが小さくなるように異ならせ、ハンド機構21で保持する胚軸Aの軸回転の抵抗の低減を図ることができる。このとき、上側の切欠溝部Bの後端より下側の切欠溝部Bの後端が前側(第一の持上げ具41の先端部41t側)に位置することになるが、上記切欠溝部Bの大きさの相違に合わせて、上側の胚軸規制部材61aより下側の胚軸規制部材61aが若干前側(第一の持上げ具41の先端部41t側)に突出するように上下の胚軸規制部材61aの前後方向の位置を異ならせれば、該上下の胚軸規制部材61aによる上下各々の切欠溝部Bへの胚軸Aの案内が精度良く良好に行える。
また、上下の第一把持部材62aの切欠溝部Bの大きさを上側の切欠溝部Bより下側の切欠溝部Bが小さくなるように異ならせ、ハンド機構21で保持する胚軸Aの軸回転の抵抗の低減を図ることができる。このとき、上側の切欠溝部Bの後端より下側の切欠溝部Bの後端が前側(第一の持上げ具41の先端部41t側)に位置することになるが、上記切欠溝部Bの大きさの相違に合わせて、上側の胚軸規制部材61aより下側の胚軸規制部材61aが若干前側(第一の持上げ具41の先端部41t側)に突出するように上下の胚軸規制部材61aの前後方向の位置を異ならせれば、該上下の胚軸規制部材61aによる上下各々の切欠溝部Bへの胚軸Aの案内が精度良く良好に行える。
ところで、前述は方向修正部材14により苗の子葉を左右方向(把持ハンド12の伸長方向と垂直な方向)に向ける構成であるが、苗の子葉を前後方向(把持ハンド12の伸長方向)に向ける場合は、図26に示すような構成とすればよい。すなわち、把持ハンド12に方向修正部材14及びプレート状の回転規制部材46を進退機構12bの作動で移動しないように固定して設け、ハンド機構21およびカッタ機構23でセルトレイから苗を保持して後退(S6)する際に苗の子葉が方向修正部材14に当たって苗の胚軸Aを回転させ、苗の子葉が回転規制部材46に当たって胚軸Aが回転し過ぎないように規制する構成となっている。また、主整列部材16を苗の接触面が把持ハンド12の進退機構12bの進退方向(前後方向)に沿うプレートで構成し、該主整列部材16により進退機構12bの進退動作によるハンド機構21の往復作動(S11)で苗の子葉の方向を前後方向に揃える構成となっている。尚、前記回転規制部材46は、前述の副整列部材46と同様の作用を奏する。この構成により、台木と穂木との子葉展開方向を直交させて接木する場合、台木取込部及び穂木取込部2のうちの一方を上記構造に組み替えることにより簡単に行える。
尚、台木取込部及び穂木取込部2の各々の受渡保持機構15に保持している苗を検出する光電式の苗センサを設け、台木取込部及び穂木取込部2の両方の苗センサが苗を検出するときのみ、台木前処理部3及び穂木前処理部4、ひいては接着処理部7を作動させる構成とすればよい。従って、台木取込部又は穂木取込部2で不具合が発生する等して台木取込部又は穂木取込部2の少なくとも一方の受渡保持機構15へ苗が供給されないとき、台木前処理部3及び穂木前処理部4をはじめとする接木ロボット本体laの作動を停止できるので、一方の受渡保持機構15にのみ苗が供給されている状態で台木前処理部3及び穂木前処理部4が作動し、前記苗が無駄になるようなことを防止できる。また、双方の受渡保持機構15へ共に苗が供給されていない状態で台木前処理部3及び穂木前処理部4が作動したとき、再び台木前処理部3及び穂木前処理部4が作動初期状態に復帰するまでのロス時間により接木作業能率が低下するようなことを防止できる。尚、台木取込部と穂木取込部2とで作動タイミングのずれが発生して各々の受渡保持機構15への苗の供給タイミングがずれたときも、同様に苗が無駄になるようなことや接木作業能率が低下するようなことを防止できる。逆にいえば、苗を取り出すセルの位置により台木取込部及び穂木取込部2が受渡保持機構15へ苗を供給する時間が相違するが、この供給時間に拘らず、双方の受渡保持機構15が苗を保持していれば接木ロボット本体laを作動させることができるので、接木作業能率を向上させることができる。
尚、受渡保持機構15の前記苗センサを使用して、把持ハンド12を進退機構12bの進退動作により受渡保持機構15の位置まで往復する整列行程(S11〜S13)において、把持ハンド12が保持する苗が受渡保持機構15の位置にあるべき状態のとき、すなわち進退機構12bの進退用シリンダが伸長したことを伸長位置センサで検出しているとき、前記苗センサが苗を検出しないときは、把持ハンド12が苗を保持していないと判断して以降の作動行程(S14〜S18等)を中止し、即座にセルトレイの次の苗を取り出す作動行程(S1)に移行するとよい。これにより、更なる接木作業能率向上が図れる。
12:把持ハンド、21:ハンド機構、21a:左側のアーム、21b:右側のアーム、60:第二保持部材、62a:第一保持部材、A:胚軸、B:切欠溝部
Claims (1)
- 少なくとも一方が左右方向に回動する左右一対のアーム(21a,21b)により苗の胚軸(A)を保持する苗保持装置において、前記アーム(21a,21b)のうちの一方(21b)は苗の胚軸(A)を収容するための切欠溝部(B)を備える第一保持部材(62a)を上下に各々備え、前記アーム(21a,21b)のうちの他方(21a)は苗の胚軸(A)を規制するべく上下方向に連続して設けた第二保持部材(60)を備え、左右一対のアーム(21a,21b)が互いに接近して苗の胚軸(A)を保持する状態で、前記上下の第一保持部材(62a)の間に第二保持部材(60)が入り込んで平面視で切欠溝部(B)内に位置する構成とした苗保持装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006022125A JP2007202422A (ja) | 2006-01-31 | 2006-01-31 | 苗保持装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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---|---|---|---|
JP2006022125A JP2007202422A (ja) | 2006-01-31 | 2006-01-31 | 苗保持装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007202422A true JP2007202422A (ja) | 2007-08-16 |
Family
ID=38482457
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006022125A Pending JP2007202422A (ja) | 2006-01-31 | 2006-01-31 | 苗保持装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2007202422A (ja) |
-
2006
- 2006-01-31 JP JP2006022125A patent/JP2007202422A/ja active Pending
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