JP2007200702A - 固体酸化物形燃料電池およびその運転方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】起動を効率的かつ短時間で行うことが可能なSOFCおよびその運転方法を提供する。
【解決手段】固体酸化物形燃料電池の円筒型セルと、部分酸化改質能および水蒸気改質能を有する触媒層とを有し、該円筒型セルおよび触媒層のうちの一方が他方を離間して環状に囲む構造を有する固体酸化物形燃料電池。この固体酸化物形燃料電池の運転方法であって、起動時に、前記触媒層において部分酸化改質反応を進行させ、該部分酸化改質反応に伴う発熱によって該固体酸化物形燃料電池を昇温する工程を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は固体酸化物形燃料電池、特には円筒型の固体酸化物形燃料電池に関する。
近年、排ガスがクリーンであることや発電効率が比較的高いなどの理由で燃料電池の開発が盛んである。燃料電池の燃料極で実際に電極反応するのは水素であるが、水素よりも都市ガスや灯油等の方が供給体制や取り扱いにおいて優れる面があるため、都市ガスや灯油を改質原料とし、これを改質して水素を含むガスを製造し、これを燃料電池の燃料極に供給することが行われている。
固体酸化物形燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell。以下場合によりSOFCという。)は作動温度が500〜1000℃程度と高温である。特許文献1には、この熱を有効に利用してエネルギー変換効率を向上させるべく、SOFCスタックの周囲に改質部を配することが開示されている。
特開2002−358997号公報
燃料電池もしくは燃料電池システムにおいては、起動時間が短いことが実用上望まれる。しかし、SOFCはその作動温度が高いがゆえに、起動時間が長くなる傾向にあり、その短縮が求められている。
本発明の目的は、起動を効率的かつ短時間で行うことが可能なSOFCおよびその運転方法を提供することである。
本発明により、固体酸化物形燃料電池の円筒型セルと、部分酸化改質能および水蒸気改質能を有する触媒層とを有し、
該円筒型セルおよび触媒層のうちの一方が他方を離間して環状に囲む構造を有する固体酸化物形燃料電池が提供される。
上記固体酸化物形燃料電池において、部分酸化改質能および水蒸気改質能を有する触媒層が円筒型セルの内側に配されることができる。
上記固体酸化物形燃料電池において、部分酸化改質能および水蒸気改質能を有する中空円筒状の触媒層が円筒型セルの外側に配されることができる。
本発明により、上記固体酸化物形燃料電池の運転方法であって、
起動時に、前記触媒層において部分酸化改質反応を進行させ、該部分酸化改質反応に伴う発熱によって該固体酸化物形燃料電池を昇温する工程を有する
固体酸化物形燃料電池の運転方法が提供される。
上記方法において、発電時に、前記触媒層において水蒸気改質反応を進行させ、該水蒸気改質反応に伴う吸熱によって該固体酸化物形燃料電池を冷却する工程を有する
ことができる。
本発明により、起動を効率的かつ短時間で行うことが可能なSOFCおよびその運転方法が提供される。
SOFCは実用的には複数のセルを配列させたSOFCスタックとして用いられることが多い。以下主にSOFCスタックについて説明するが、本発明はセルが一つだけで用いられる場合にも適用可能である。
円筒型SOFCスタックは、アノード電極とカソード電極の間に電解質を挟んだセル(単セル)を複数個、集電体やインターコネクタと呼ばれる電子導電性部材などにより電気的に接続した構成を有する。
SOFCでは、酸素イオン導電性セラミックスもしくはプロトンイオン導電性セラミックスを電解質として利用し、水素と酸素とを電気化学反応させる。このときアノードもしくはカソードでH2Oが生成するとともに発熱する。
本発明では、部分酸化改質能および水蒸気改質能を有する触媒層(以下、改質触媒層という。)を用いる。そして、円筒型セルおよび改質触媒層のうちの一方が他方を環状に囲むようにする。
円筒型セルと改質触媒層との間は、セルによる発電を行うためのガスを流通させるために離間させる。その間隔は、熱授受の効率とガスの圧力損失を勘案して適宜決めることができる。
円筒型セルと改質触媒層の長さは、これらの間の熱授受を無駄なく行う観点からほぼ同等とすることが好ましい。
この改質触媒層は部分酸化改質反応を促進可能でかつ水蒸気改質反応を促進可能である。
部分酸化改質反応は、発熱反応であり、水蒸気改質反応は吸熱反応である。改質原料としてメタンを例にすれば、部分酸化改質反応は、2CH4+O2→2CO+4H2で表される。水蒸気改質反応はCH4+H2O→3H2+COで表される。SOFCシステムの起動時にはSOFCスタックを昇温するが、この際には、改質触媒層にて部分酸化改質反応を行い、その反応熱によってSOFCスタックを昇温することができる。この際、水蒸気改質反応を伴ってもよいが、部分酸化改質反応による発熱の方が、水蒸気改質反応による吸熱より大きくなるようにする。本発明では改質触媒層とセルとの間の伝熱路を短くすることが容易であるため、これにより、改質触媒層からセルへの伝熱を高効率で行うことができ、SOFCの昇温を短時間で行うことが可能となる。
また、スタックとは別途設けられた燃焼手段の燃焼ガスなど、スタック外から高温ガスをスタックに導いてスタックを昇温する場合と比較して、スタック内部において加熱することができるため、より均一にスタックを昇温することができる。さらに、スタック昇温のための高温ガス配管を不要とするも可能となる。改質触媒層にて発生する部分酸化改質反応の熱によるスタック昇温に加えて、スタック外から高温ガスをスタックに導いてスタックを昇温することもできるが、この場合でもスタック昇温のための高温ガス配管を小さくすることが可能である。従って、本発明は、SOFCシステムの小型化にも有効である。
さらに、SOFCで発電が行われている際にはセルが電気化学反応等により発熱するが、この際には上記改質触媒層で水蒸気改質反応を行い、その反応熱によってSOFCの冷却を行うことができる。この際、部分酸化改質反応を伴ってもよいが、水蒸気改質反応による吸熱の方が、部分酸化改質反応による発熱より大きくなるようにする。この場合も、セルから改質触媒層への伝熱を高効率で行うことができ、熱利用効率を向上させることが可能となる。
また、ガス(通例カソードガス)を大量に供給することによってスタックを冷却する場合と比較して、スタック冷却のための所要動力(ブロワ等の消費電力)を低減し、ブロワや配管等を小型化する効果もある。これによってSOFCシステムの高効率化や小型化が可能となる。
上記改質触媒層として、部分酸化改質反応を促進可能な部分酸化改質触媒と、水蒸気改質反応を促進可能な水蒸気改質触媒との両者を含む触媒層を用いることができる。例えば部分酸化改質触媒と水蒸気改質触媒を混合して充填した触媒層を採用できる。また、部分酸化改質反応と水蒸気改質反応の両反応を促進可能なオートサーマルリフォーミング触媒を含む触媒層を用いることもできる。
部分酸化改質触媒、水蒸気改質触媒、オートサーマルリフォーミング触媒のいずれも、公知のそれぞれの触媒から適宜選んで使用することができる。部分酸化改質触媒の例としては白金系触媒、水蒸気改質触媒の例としてはルテニウム系およびニッケル系、オートサーマル改質触媒の例としてはロジウム系触媒を挙げることができる。また、オートサーマル改質触媒については、特開2000−84410号公報、特開2001−80907号公報、「2000 Annual Progress Reports(Office of Transportation Technologies)」、米国特許5,929,286号公報などに記載されるようにニッケルおよび白金、ロジウム、ルテニウムなどの貴金属等がこれら活性を持つことが知られている。触媒形状としては、ペレット状、ハニカム状、その他従来公知の形状を適宜採用することができる。
改質触媒層への供給物の組成を適宜調節することによって、部分酸化改質反応の進行度と、水蒸気改質反応の進行度を調節することができる。例えば、起動時には、改質触媒層において部分酸化反応を行うためには、改質原料と酸素を改質触媒層に供給すればよい。酸素を供給するために、空気、酸素富化空気、純酸素などの酸素含有ガスを改質触媒層に供給することができる。発電時に、改質触媒層において水蒸気改質反応を行うためには、改質触媒層に改質原料と水蒸気を供給すればよい。このとき、酸素の供給を行わなければ、部分酸化改質反応を進行させないようにすることができる。
部分酸化改質反応が進行可能な温度は例えば200℃以上1000℃以下、水蒸気改質反応が進行可能な温度は例えば400℃以上1000℃以下である。
起動時に行う部分酸化反応の条件としては、例えば、水素製造用原料に含まれる炭素原子モル数に対する酸素分子モル数の比O2/C比(酸素/カーボン比)を例えば1〜6程度とすることができる。
必要に応じ、部分酸化改質反応が進行可能な温度まで改質触媒層を適宜加熱することができる。例えば電気ヒータなどを用いてもよいし、燃焼器等で発生させた燃焼熱を利用してもよい。部分酸化改質反応によって、改質触媒層を含むスタックが昇温され、水蒸気改質(もしくはオートサーマル改質)および発電が可能な状況となったら、改質を水蒸気改質(もしくはオートサーマル改質)に移行し、また発電を行うことができる。
以下、水蒸気改質、オートサーマル改質のそれぞれにつき、発電時の運転条件について説明する。
水蒸気改質の反応温度は例えば450℃〜900℃、好ましくは500℃〜850℃、さらに好ましくは550℃〜800℃の範囲で行うことができる。反応系に導入するスチームの量は、水素製造用原料に含まれる炭素原子モル数に対する水分子モル数の比(スチーム/カーボン比)として定義され、この値は好ましくは0.5〜10、より好ましくは1〜7、さらに好ましくは2〜5とされる。水素製造用原料が液体の場合、この時の空間速度(LHSV)は水素製造用原料の液体状態での流速をA(L/h)、触媒層体積をB(L)とした場合A/Bで表すことができ、この値は好ましくは0.05〜20h-1、より好ましくは0.1〜10h-1、さらに好ましくは0.2〜5h-1の範囲で設定される。
オートサーマル改質ではスチームの他に酸素含有ガスが原料に添加される。酸素含有ガスとしては純酸素でも良いが入手容易性から空気が好ましい。水蒸気改質反応に伴う吸熱反応をバランスし、かつ、改質触媒層やSOFCの温度を保持もしくはこれらを昇温できる発熱量が得られるように酸素含有ガスを添加することができる。酸素含有ガスの添加量は、水素製造用原料に含まれる炭素原子モル数に対する酸素分子モル数の比(酸素/カーボン比)として好ましくは0.05〜1、より好ましくは0.1〜0.75、さらに好ましくは0.2〜0.6とされる。オートサーマル改質反応の反応温度は例えば450℃〜900℃、好ましくは500℃〜850℃、さらに好ましくは550℃〜800℃の範囲で設定される。水素製造用原料が液体の場合、この時の空間速度(LHSV)は、好ましくは0.1〜30、より好ましくは0.5〜20、さらに好ましくは1〜10の範囲で選ばれる。反応系に導入するスチームの量は、スチーム/カーボン比として好ましくは0.3〜10、より好ましくは0.5〜5、さらに好ましくは1〜3とされる。
改質触媒層を円筒型セルの内側に配し、円筒型セルが改質触媒層を環状に囲むようにすることができる。このために、円筒型セルの内部に、改質触媒層を収容した適宜の形状の容器を配することができる。例えば、円管の内部に改質触媒層を充填し、この円管を円筒型セルの内部に配置することができる。
中空円筒状の改質触媒層を円筒型セルの外側に配し、改質触媒層が円筒型セルを環状に囲むようにすることができる。このために、例えば、改質触媒層を二重管の環状部(外管と内管の間)に充填し、二重管の内管の内側に円筒型セルを配置することができる。
これらを組み合わせて、円筒型セルの内側と外側の両方に改質触媒層を配することもできる。
改質触媒層の入口および出口には、必要に応じてオリフィスや金属メッシュなどを設け、触媒層を固定することができる。
改質触媒層に改質原料を供給するための流路や改質触媒層で得られた改質ガスをセルに供給するための流路は適宜形成することができる。例えば、各改質触媒層にスタック外部から配管を通じて改質原料を供給することができる。
上述のように改質触媒層を設け、これに伴ってガス供給もしくは排出のための流路を設けること以外のSOFCスタックの部材や構造については、公知のSOFCスタックの部材や構造から適宜選んで採用することができる。
SOFCスタックにおいては、実用上、多数のセルを整列させることが多い。この場合、全てのセルにそれぞれ対応して改質触媒層を配置してもよいし、一部のみに改質触媒層を配置しても良い。
〔SOFCシステム〕
図5を用いて従来のSOFCシステムの例を説明する。まず発電時について説明する。改質原料(ライン410)が改質器405にて改質されて水素含有ガスである改質ガス(ライン411)となり、改質ガスが必要に応じて予熱器402にて予熱媒により予熱され、SOFCスタック401のアノードに供給される。一方、カソードガス(ライン421)には空気等の酸素含有ガス(酸化剤)が用いられ、これが必要に応じて予熱器403にて予熱媒により予熱され、SOFCスタックのカソードに供給される。SOFCスタックから排出されるアノード排ガスおよびカソード排ガスは、それぞれライン412および422から燃焼器404に導かれ、アノード排ガス中の可燃成分がカソード排ガスに含まれる酸素により燃焼し、その燃焼排ガスが系外に排出される。このとき、SOFCスタックにおいて発電に伴う発熱があり、また燃焼器でも燃焼による発熱がある。これらの熱は改質器405において水蒸気改質反応(吸熱)に利用される。
このようなシステムの起動時には、燃焼器404にて発生する燃焼熱を利用してSOFCスタック、さらには改質器を昇温する。具体的には、配管を用いて燃焼排ガスをSOFCスタックや改質器に導き、これらを昇温する。
図4を用いて本発明のSOFCスタックを備えるSOFCシステムの例について説明する。SOFCスタック301においては、改質触媒層がセルの内側および/または外側に前述のように配置されている。このため、SOFCスタックの外部には改質器を必要としない。
まず発電時について説明する。改質原料(ライン310)は必要に応じて予熱器302にて予熱媒により予熱され、SOFCスタックの改質触媒層に供給される。改質触媒層で得られた、水素を含有する改質ガスがアノードに供給される。カソードガス(ライン321)には空気等の酸素含有ガス(酸化剤)が用いられ、これが必要に応じて予熱器303にて予熱媒により予熱され、SOFCスタックのカソードに供給される。SOFCスタックから排出されるアノード排ガス(ライン312)およびカソード排ガス(ライン322)は燃焼器304に導かれ、アノード排ガス中の可燃成分がカソード排ガスに含まれる酸素により燃焼し、その燃焼排ガスが系外に排出される。改質触媒層においては水蒸気改質反応による吸熱が支配的であり、発電に伴う発熱が、この吸熱を補うために利用される。すなわち、水蒸気改質反応による吸熱によってSOFCスタックが冷却される。燃焼器で生じる燃焼熱は、水蒸気改質反応に利用してもよいし、あるいは他の熱利用に供することもできる。例えば改質原料の予熱や気化、酸化剤の予熱に利用でき、またスチームタービン、ガスタービン、熱電発電、給湯などの熱源として利用することができる。
起動時には、改質触媒層にて部分酸化改質反応による発熱が支配的であり、この発熱によってSOFCスタックが昇温される。部分酸化反応を行うに先立ち、改質触媒層を予熱するために、燃焼器304にて改質原料を燃焼させてその燃焼熱を利用することができる。
なお、予熱媒としてはSOFCシステム内に存在する、予熱される側の流体よりも高温の流体を適宜用いることができる。また図示しないが、部分酸化改質反応のための酸素もしくは空気、水蒸気改質反応のための水蒸気などは適宜供給される。
改質原料としては、部分酸化改質反応と水蒸気改質反応によって水素を生成しうるものであれば使用できる。例えば炭化水素類、アルコール類、エーテル類を使用することができ、工業用あるいは民生用に安価に入手できる好ましい例として、メタノール、エタノール、ジメチルエーテル、都市ガス、LPG(液化石油ガス)、ガソリン、灯油などを挙げることができる。
上に説明した機器等以外にも、公知のSOFCシステムで用いられる機器等を適宜用いることができる。例えば、灯油等の改質原料中の硫黄分濃度を低減する脱硫器、各種昇圧機、計測制御手段などである。
なお、適宜ヘッダーもしくはマニホールド構造を用いて、セル等へのガスの供給や排出を行うことができる。
以下、本発明を実施例に基づき更に詳細に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
〔実施例1〕
本実施例のSOFCスタックは、部分酸化改質能および水蒸気改質能を有する触媒層が円筒型セルの内側に配されて、円筒型セルが該触媒層を環状に囲む構造を有する。
図1に示すように、外側がカソード極、内側がアノード極の円筒型セル1の内側に改質触媒層2が配される。改質触媒層は円管の内部に形成されている。改質原料が改質触媒層の紙面上側から供給され、改質ガスが改質触媒層の紙面下側から排出され、円筒型セルの内側に改質ガスがアノードガスとして供給される。発電時には空気等の酸素含有ガスが円筒型セルの外側にカソードガスとして供給される。
図には、セルおよび改質触媒層を1対のみ示してあるが、実際には複数の対が配列され、集電体3およびインターコネクタ4により複数のセルが電気的に接続される。また図1(a)は模式的横断面図、(b)は模式的縦断面図であるが、(b)においては集電体およびインターコネクタは省略してある(図2および図3においても同じ)。
起動時には、改質原料と酸素含有ガスが改質触媒層に供給されここで部分酸化改質反応が進行して発熱する。改質ガスがアノードに流入することにより、また改質触媒層からの熱伝導(輻射)により、この熱がセルに伝わり、SOFCスタックが加熱、昇温される。発電時には、改質原料と水蒸気が改質触媒層に供給され、水蒸気改質反応により水素を含有する改質ガスが改質触媒層から排出される。改質ガスがSOFCスタックのアノードに供給され、カソードには酸素含有ガスが供給され、アノードにおいて水素と酸素イオンとからH2Oが生成する。このときセルが発熱し、その熱が輻射等により改質触媒層に伝わり、水蒸気改質反応を進行させるための熱が供給される。
〔実施例2〕
本実施例のSOFCスタックは、中空円筒状の改質触媒層が円筒型セルの外側に配されて、改質触媒層が円筒型セルを環状に囲む構造を有する。
二重管の環状部に改質触媒が充填されて改質触媒層2が形成される。二重管の内管の内側にセル1が配される。改質原料が改質触媒層に供給され、改質触媒層から改質ガスが排出される。改質ガスは、改質ガス供給管5を通って、セル内の紙面下部に供給され、セル内側にアノードガスとして供給される。発電時にはセルの外側(改質触媒層の内側)に空気等の酸素含有ガスがカソードガスとして供給される。
このようにセルと改質触媒層の配置やガスの取り合いは実施例1と異なるが、起動時および発電時の運転は、実施例1と同じ考え方に基づいて行うことができる。
〔実施例3〕
図3に示すように、本実施例のSOFCスタックは、第一の改質触媒層2aが円筒型セル1の内側に配され、円筒型セルが第一の改質触媒層を環状に囲む構造を有し、さらに、中空円筒状の第二の改質触媒層2bが円筒型セルの外側に配され、第二の改質触媒層が円筒型セルを囲む構造を有する。
改質原料が第一および第二の改質触媒層に供給され、それぞれの改質触媒層から改質ガスが得られる。第一および第二の改質触媒層から得られた改質ガスはヘッダーにより集合し円筒型セルの内側にアノードガスとして供給される。発電時にはセルの外側に空気等の酸素含有ガスがカソードガスとして供給される。
本例についても起動時および発電時の運転は、実施例1と同じ考え方に基づいて行うことができる。第一および第二の改質触媒層において、起動時には部分酸化改質反応を行い、発電時には水蒸気改質反応を行うことができる。
本発明のSOFCは、例えば定置用もしくは移動体用の発電システムに、またコージェネレーションシステムに利用できる。
本発明のSOFCの一例を示す部分模式図である。(a)は横断面図、(b)は縦断面図である。 本発明のSOFCの別の例を示す部分模式図であり、(a)は横断面図、(b)は縦断面図である。 本発明のSOFCのさらに別の例を示す部分模式図であり、(a)は横断面図、(b)は縦断面図である。 本発明のSOFC(スタック)を有するSOFCシステムの一例を説明するための模式図である。 従来のSOFCシステムを説明するための模式図である。
符号の説明
1 円筒型セル(単セル)
2 改質触媒層
3 集電体
4 インターコネクタ
5 改質ガス供給管
301、401 SOFCスタック
302、303、402、403 予熱器
304、404 燃焼器
405 改質器
310、410 改質原料ライン
411 改質ガスライン
312、412 アノード排ガスライン
321、412 カソードガスライン
322、422 カソード排ガスライン

Claims (5)

  1. 固体酸化物形燃料電池の円筒型セルと、部分酸化改質能および水蒸気改質能を有する触媒層とを有し、
    該円筒型セルおよび触媒層のうちの一方が他方を離間して環状に囲む構造を有する固体酸化物形燃料電池。
  2. 部分酸化改質能および水蒸気改質能を有する触媒層が円筒型セルの内側に配された請求項1記載の固体酸化物形燃料電池。
  3. 部分酸化改質能および水蒸気改質能を有する中空円筒状の触媒層が円筒型セルの外側に配された請求項1または2記載の固体酸化物形燃料電池。
  4. 請求項1〜3の何れか一項記載の固体酸化物形燃料電池の運転方法であって、
    起動時に、前記触媒層において部分酸化改質反応を進行させ、該部分酸化改質反応に伴う発熱によって該固体酸化物形燃料電池を昇温する工程を有する
    固体酸化物形燃料電池の運転方法。
  5. 発電時に、前記触媒層において水蒸気改質反応を進行させ、該水蒸気改質反応に伴う吸熱によって該固体酸化物形燃料電池を冷却する工程を有する
    請求項4記載の固体酸化物形燃料電池の運転方法。
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