JP2007199047A - ビオチン化タンパク質の調製方法及び該タンパク質を用いた検出方法 - Google Patents

ビオチン化タンパク質の調製方法及び該タンパク質を用いた検出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】タンパク質と相互作用する物質の検出方法において、ビオチンタグ化タンパク質の調製におけるフリーのビオチン除去工程が不必要な検出方法の構築を課題として、ビオチン化タンパク質の調製方法を種々検討した。
【解決手段】本発明者は、上記課題を解決するために、無細胞タンパク質合成系特にコムギ胚芽無細胞タンパク質合成系において、タンパク質の合成中又は合成後にビオチン化を行うことで、従来のビオチン化操作よりも格段に微量なビオチン濃度でタンパク質のビオチン化を達成できることを見出し、該ビオチンタグ化タンパク質を各検出系に用いることで、本発明を完成した。
【選択図】なし

Description

本発明は、ビオチン化タンパク質の調製方法及び該タンパク質を用いたビオチン化タンパク質と相互作用する物質の検出方法に関する。詳しくは、無細胞タンパク質合成系でビオチン化タンパク質を調製し、該タンパク質と相互作用する物質を検出する方法に関する。
細胞内反応における生体分子相互作用を解析する方法は、様々な手法が利用されている。例えば、ELISA(酵素結合免疫吸着検査法)、DELFIA(解離促進ランタニド蛍光イムノアッセイ)、SPA(シンチレーション近接分析)等が挙げられる。これらは、いわゆるヘテロジニアスアッセイと呼ばれ、ProteomicsやFunctional genomics等などのポストゲノムの研究に使用されている。しかし、該方法では、検出工程において、1またはそれ以上の洗浄操作を必須としているので、サンプル処理能力などの点において問題があった。
上記問題を解決すべく、ホモジニアス(またはミックス&メジャーと呼ばれる)アッセイ技術が開発されてきた。このアッセイ法は、測定が終始溶液状態(均一系)で行われる測定法であり、洗浄工程を一切必要としないにもかかわらず精度の高いデーターを得ることができる。また、固相を必要としないのでアッセイのミニチュア化が容易であり、貴重な試薬の節約、コストの低減、操作労力の削減に威力を発揮している。代表例としては、例えば、FRET、BRET、EFC、SPA、FP、ALPHA等が挙げられる。
上記ホモジニアスアッセイの中でも、ALPHA(増幅ルミネッセンス近接ホモジニアスアッセイ)であるPerkinElmer社のAlpha ScreenTMは、ドナービーズとアクセプタービースの結合部位により影響を受けないことや、アッセイ成分による干渉を受けにくい長波長の励起光を用いるなどの点で、他のホモジニアスアッセイと比較して、汎用性及び定量性において優れている(非特許文献1)。
一方、上記アッセイにおいて必要とされるいろいろなタンパク質を効率良く得るために、今日利用されているのが、無細胞タンパク質合成手段である。この方法は、ウサギ網状赤血球無細胞系(Reticulocyte Lysate)、大腸菌抽出物無細胞系が用いられていた。しかし、コムギ胚芽無細胞系(Wheat Germ EXtract)の不安定化機構の解明を基に、安定且つ高翻訳活性能を有するコムギ胚芽抽出液調製法と該コムギ胚芽抽出液を用いた高効率無細胞タンパク質合成システムが提供されている(非特許文献2、特許文献1−3)。さらには、コムギ胚芽無細胞タンパク質合成系を用いたスクリーニング方法も提供されている(特許文献4)。
株式会社パーキンエルマージャパンのホームページ(http://www.perkinelmer.co.jp/products_ls/assays/assays_0010.html) Proc.Natl.Acad.Sci.USA,99:14652-14657(2002) WO00/68412 A1 WO02/24939 A1 WO2005/063979 A1 WO2005/035780 A1
様々な検出方法では、タンパク質の標識化(固定化も含む)のためにビオチン化を行っている。特に上記ALPHAの代表的商品であるPerkinElmer社のAlpha ScreenTMにおいて、タンパク質と生体分子の相互作用を解析するためには、タンパク質をビオチン化する工程が必須である。しかし、様々な検出方法では、ビオチンタグ化タンパク質を含む反応液にフリーのビオチン誘導体が多く存在していると、検出におおきな影響を与える。よって、フリーのビオチン誘導体除去工程が必要である。そのために、様々な検出方法特にALPHAの検出工程においては、検出前段階でのフリーのビオチン除去工程が、アッセイ全体の操作を煩雑にし、結果として多検体の迅速な解析には問題があった。
本発明者は、上記課題を解決する方法して、無細胞タンパク質合成系において、合成中又は合成後にタンパク質のビオチン化を行うことで、従来のビオチン化操作よりも格段に微量なビオチン誘導体濃度でタンパク質のビオチン化を達成できることを見出し、フリーのビオチン誘導体を除去することなく、該ビオチンタグ化タンパク質を各検出系特にAlpha ScreenTMに用いることで、本発明を完成した。
つまり、本発明は以下からなる;
「1.タンパク質合成中にビオチン化酵素、ビオチン誘導体をタンパク質に共存させて得られるビオチン化タンパク質。
2.ビオチンタグを含むタンパク質の合成中又は合成後にビオチン化酵素及びビオチン誘導体を作用させ、ビオチン化タンパク質を調製し、続いて、該ビオチン化タンパク質と相互作用する物質の検出方法。
3.ビオチン化タンパク質を調製の後、ビオチンタグを含むタンパク質に結合しなかったビオチン誘導体を除去することなく、該ビオチン化タンパク質と相互作用する物質を検出する前項2に記載の検出方法。
4.検出方法が、以下のいずれか1以上から選ばれる前項2又は3に記載の検出方法。
1)ALPHA、2)表面プラズモン共鳴法、3)蛍光相関分析法、4)蛍光強度分布解析法、5)ELISA、6)DELFIA、7)SPA、8)FRET、9)BRET、10)EFC、11)FP
5.ビオチン化タンパク質をビオチン結合を介して担体に固定化して、ビオチン化タンパク質と相互作用する物質を検出する前項2〜4のいずれか1に記載の検出方法。
6.ビオチン誘導体の標識物質をマーカーにして、ビオチン化タンパク質と相互作用する物質を検出する前項2〜4のいずれか1に記載の検出方法。
7.以下の工程を含む増幅ルミネッセンス近接ホモジニアスアッセイ法を用いた生体分子相互作用検出方法:
1)ビオチンタグを含むタンパク質を無細胞タンパク質合成手段によって調製する、
2)ビオチンタグを含むタンパク質に対して、ビオチン化酵素及びビオチン誘導体を作用させることによって、ビオチン化タンパク質を調製する、
3)タンパク質と相互作用可能性ある生体分子をアクセプタービーズ(Acceptor beads)に直接又は間接的に結合させる、
4)2)で調製したビオチン化タンパク質、3)で調製したアクセプタービーズ、及びストレプトアビジンが結合したドナービース(Donor beads)を接触させ、アクセプタービーズとドナービーズの近接によるシグナル変化により、タンパク質と生体分子の相互作用を検出する。
8.1)及び2)の工程を同時に行うことを特徴とする前項7に記載の方法。
9.以下の工程を含む増幅ルミネッセンス近接ホモジニアスアッセイ法を用いた自己リン酸化タンパク質のスクリーニング方法:
1)ビオチンタグを含む候補自己リン酸化タンパク質を無細胞タンパク質合成手段によって調製する、
2)ビオチンタグを含む候補自己リン酸化タンパク質に対して、ビオチン化酵素及びビオチン誘導体を作用させることによりビオチン化候補自己リン酸化タンパク質を調製する、
3)リン酸化検出抗体をアクセプタービーズに直接又は間接的に結合させる、
4)2)で調製されたビオチン化候補自己リン酸化タンパク質、3)で調製されたアクセプタービーズ、及びストレプトアビジンが結合したドナービースを接触させ、アクセプタービーズとドナービーズの近接によるシグナル変化により、リン酸化活性を検出する。
本発明のビオチン化タンパク質の調製方法では、フリーのビオチン誘導体除去工程を必要としないので、多検体の迅速な解析を可能とした。
以下、本発明で使う各文言の定義をする。
ビオチンタグを含むタンパク質
ビオチンタグを含むタンパク質とは、ビオチンとの結合タグ配列を担持するタンパク質の融合タンパク質を意味する。タンパク質の好適な事例として、自己リン酸化タンパク質があげられ、その他、例えば哺乳動物のモデルであるマウスの完全長cDNAからプロテインカイネース遺伝子と思われる配列を選別して、発現させた候補プロテインカイネースタンパク質を意味する。
ビオチン誘導体
ビオチン誘導体とは、ビオチン、ノルビオチン、ホモビオチン、オキシビオチン、イミノビオチン、デスチオビオチン、ジアミノビオチン、ビオチンスルホキシド、ビオチンスルホン、又はアビジン、ストレプトアビジンと結合する能力を有したもの、並びに、それらの組み合わせである。
さらに、上記ビオチン誘導体に標識物質であるGFP、BFP、CFP、RFP、YFP、EGFP、ECFP、ERFP、EYFP、TMR等や、CY3、CY5、TAMRA、フルオレセイン、ROX、HEX、TET、BODIPY(登録商標:インビトロジェン社)などの蛍光化合物が付加したものもビオチン誘導体に含まれる。加えて、上記ビオチン誘導体に標識物質であるピューロマイシン誘導体(Pur)が付加されたものもビオチン誘導体に含まれる。
加えて、上記ビオチン誘導体は、放射性同位体、安定同位体(重水素、炭素13、窒素15等)を含むビオチン誘導体も含まれる。
なお、標識物質が付加されたビオチン誘導体を用いて、ビオチンタグを含むタンパク質のビオチン化を行えば、標識物質が付加されたビオチン化タンパク質を得ることができる。よって、標識物質をマーカーにすれば、タンパク質がビオチン結合を介して担体に固定されることなく、タンパク質と相互作用する物質を検出することができる。
ここで、本発明の担体とは、タンパク質がビオチン結合を介して固定化できるものであれば特に限定されないが、樹脂のような不活性担体である通常の生化学実験に使用されるマイクロプレート等を用いることができる。
ビオチン化タンパク質
ビオチン化タンパク質とは、ビオチン誘導体存在下でビオチン化酵素によってビオチン化されたタンパク質である。
タンパク質と相互作用する物質
タンパク質と相互作用する物質とは、タンパク質と相互作用を示す物質であれば、生体分子に限定されない。しかし、好適には生体分子である。例えば、タンパク質が、抗原の場合は抗体、抗体の場合は抗原、ホルモン受容体(例えばインスリン受容体)の場合にはホルモン(例えばインスリン)、ホルモン(例えばインスリン)の場合にはホルモン受容体(例えばインスリン受容体)、レクチンに対しては対応する糖鎖などが例として挙げられる。また、生体分子は、特異的結合能を有するそれらのフラグメントあるいはサブユニットなどをも含む。さらに、これらの生体分子は、アクセプタービーズに直接又は間接的に結合している。直接的に結合する場合には自体公知の結合法を利用することができる。また、生体分子が非常に高価であったり、入手困難であるときには、生体分子の使用量を最小にするために、生体分子を認識する抗体又はプロテインAを利用することにより、間接的に結合させることができる。自己リン酸化タンパク質がタンパク質とした事例でリン酸化検出抗体が生体分子として例示された。
タンパク質に結合しなかったビオチン誘導体の除去工程
通常のビオチン化は、結合するタンパク質に対して当量以上の過剰なビオチン誘導体を使用する。そして、ビオチン化後には、タンパク質に結合しなかったビオチン誘導体は、G-25スピンカラム等により除去する。しかしながら、本発明のビオチン化タンパク質の調製方法においては、通常のビオチン化と比較して微量のビオチン誘導体濃度で十分にビオチン化を可能とするので、タンパク質に結合しなかったビオチン誘導体の除去工程を必要としない。
相互作用
相互作用とは、タンパク質と生体分子が、共有結合、疎水結合、水素結合、ファンデルワールス結合、および静電力等による結合することを意味するが、特に限定されない。具体的な相互作用としては、生体分子の作用に対しアゴニスト、アンタゴニスト、逆アゴニスト、インヒビター、プロモーターになるような物質等を意味する。また、上記作用の結果生じることによる、新たな物質の合成反応、分解反応も含まれる。
詳しくは、以下にALPHAを用いての1)タンパク質とタンパク質の結合作用、2)キナーゼ活性、3)Protease活性等を例示する。なお、以下の例示に限定されることなく、様々な検出系を利用することができる。
1)タンパク質とタンパク質の結合作用
タンパク質をビオチン化し、生体分子であるタンパク質をアクセプタービーズに結合させる。タンパク質と生体分子に結合作用があれば、ドナービースとアクセプタービーズが近接してシグナルの上昇が検出できる。
2)キナーゼ活性
タンパク質をビオチン化し、一方の生体分子であるリン酸化検出抗体をアクセプタービーズに結合させる。kination Bufferの添加により、タンパク質を自己リン酸化させる。ここで、タンパク質が自己リン酸化し、かつリン酸化検出抗体との結合ができていれば、ドナービースとアクセプタービーズが近接してシグナルの上昇が検出できる。
3)Proteaseアッセイ
タンパク質をビオチン化し、一方のタンパク質を認識する抗体をアクセプタービーズに結合させる。これにより、ドナービースとアクセプタービーズが近接してシグナルの上昇が検出できる。続いて、プロテアーゼの添加により、タンパク質がプロテアーゼの作用により開列させられると、ドナービースとアクセプタービーズが離れてシグナルの減少が検出できる。
FRET(蛍光共鳴エネルギー移動)
FRETは、ドナーおよびアクセプターと称される2種類の蛍光物質間のエネルギー転移を利用した手法である。代表的な例は、以下に示すALPHA等である。
ALPHA(増幅ルミネッセンス近接ホモジニアスアッセイ)
ALPHA は、PerkinElmer社のAlpha ScreenTMが代表的なアッセイ法である。
その方法は、近接させられたドナービーズとアクセプタービースとの間に一重項酸素の移動に基づく分析方法である。これは、680nmでの励起において、ドナービース中の光増感剤は、周囲の酸素を一重項状態の酸素に変換し、その酸素が200nmの距離まで拡散する。アクセプタービーズ中の化学発光基は、エネルギーをビーズ内の蛍光アクセプターに移動させ、続いて約600nmで光りを放出する。
すなわち、ビオチン化タンパク質のビオチンが、ドナービーズのストレプトアビジンに結合し、そしてビオチン化タンパク質と生体分子の相互作用により、2つのビーズが近接した時に、化学反応のカスケードが始まり、大きく増幅されたシグナルが発生する。このような原理による、生体分子相互作用検出方法の代表が、ALPHAである。
アクセプタービーズ
ガラス、シリカゲル、樹脂のような不活性担体であって、上記生体分子を固定化しておくための担体である。
ドナービース
ガラス、シリカゲル、樹脂のような不活性担体であって、ストレプトアビジンを固定化しておくための担体である。
表面プラズモン共鳴法(SPR:surface plasmon resonance)
本発明のビオチン化タンパク質の調製方法で得られたビオチン化タンパク質をビオチン結合を介して金属膜に固定する。次に、各生体分子を含む溶液をSPRに投入し、金属膜に固定化されたビオチン化タンパク質と生体分子の光の屈折率の変化をマーカーにして、タンパク質と相互作用する物質を検出する。なお、測定方法は、通常の表面プラズモン共鳴法で行うことができる。
蛍光相関分析法(FCS:Fluorescence Correlation Spectroscopy)
本発明のビオチン化タンパク質の調製方法で得られたビオチン化タンパク質を含む合成液(好適には、無細胞タンパク質合成後の合成液)を適当な希釈液で希釈し、各生体分子と接触させた後に、そのまま測定装置で検出する。測定は、レーザー光を照射し、液中の蛍光分子(ビオチン誘導体の標識物質)の揺らぎを測定するので、特にpH、測定時間の条件はなく、温度も室温で可能である。また、FCS測定では、微小領域内の蛍光分子の揺らぎを測定し、得られた情報に基づいて並進拡散時間を求める。この並進拡散時間をマーカーにして、タンパク質と相互作用する物質を検出する。
なお、FSCの改良方法であるFCCS(蛍光相互作用相関分析法)も含まれる。
蛍光強度分析解析法(FIDA:Fluorescence Intensity Distribution Analysis)
本発明のビオチン化タンパク質の調製方法で得られたビオチン化タンパク質を含む合成液(好適には、無細胞タンパク質合成後の合成液)を適当な希釈液で希釈し、各生体分子と接触させた後に、そのまま測定装置で検出する。測定は、レーザー光を照射し、液中の蛍光分子(ビオチン誘導体の標識物質)の揺らぎを測定するので、特にpH、測定時間の条件はなく、温度も室温で可能である。また、FIDA測定では、微小領域内の蛍光を発している分子の蛍光強度と数を測定する。測定した蛍光強度と数をマーカーにして、タンパク質と相互作用する物質を検出する。
蛍光偏光法(FP:Fluorescence Polarization)
本発明のビオチン化タンパク質の調製方法で得られたビオチン化タンパク質を含む合成液(好適には、無細胞タンパク質合成後の合成液)を適当な希釈液で希釈し、各生体分子と接触させた後に、そのまま測定装置で検出する。蛍光偏光法は、偏光励起光を蛍光物質に照射することにより、蛍光物質から発せられる蛍光が分子量に応じて異なった偏光を示すという特性に基づいた測定方法である。蛍光標識物質(ビオチン誘導体の標識物質)が、抗体、受容体等の高分子のものと結合すると、見かけ上の分子量が大きくなるため、分子運動が小さくなり、結果としてその偏光を維持した蛍光(偏光度が高い)を放出する。該偏光を維持した蛍光をマーカーにして、タンパク質と相互作用する物質を検出する。
ELISA(enzyme-linked immuno adsorbent assay:酵素結合免疫吸着検査法)
本発明のビオチン化タンパク質の調製方法で得られたビオチン化タンパク質をビオチン結合を介してプレートに固定する。次に、各生体分子、続いて各生体分子を特異的に認識する標識抗体をプレートに添加する。ビオチン化タンパク質と各生体分子の相互作用特に結合作用があれば、標識抗体がプレート上から洗浄除去されない。標識抗体の標識をマーカーにして、タンパク質と相互作用する物質を検出する。
DELFIA(dissociation enhanced lanthanide fluoro immuno assay:解離促進ランタニド蛍光イムノアッセイ)
DELFIAは、固相分析に利用され、その抗体は、通常、ユーロピウムまたはその他のランタニドで標識され、未結合のユーロピウム標識抗体を洗浄除去した後にユーロピウム蛍光が検出される。この蛍光マーカーにして、タンパク質と相互作用する物質を検出する。
SPA(シンチレーション近接分析)
SPAは、放射標識された基質を捕獲するために、ビオチン/アビジン相互作用を利用する。本発明のビオチン化タンパク質の調製方法で得られたビオチン化タンパク質は、ストレプトアビジンに捕獲される。SPA検出においては、ストレプトアビジンは、シンチラントを含むビーズ上に結合し、それに対して、フラッシュプレート検出においては、ストレプトアビジンは、シンチラントを含むマイクロプレートのウェル内部に結合する。固定されたら、放射標識された基質は、光の放出を刺激するのに十分な程度にシンチラントに近接する。この近接による光の変化をマーカーにして、タンパク質と相互作用する物質を検出する。
EFC(酵素断片コンプリメンテーション)
EFC分析は、2つのフラグメント、すなわち酵素アクセプター(EA)および酵素ドナー(ED)からなる加工されたβ−ガラクトシダーゼ酵素に基づく。フラグメントが分離すると、β−ガラクトシダーゼ活性が失われるが、フラグメントが合わさると、それらは連携して(補い合って)、活性酵素を形成する。EFC分析は、ED−分析物結合体を利用し、この場合、分析物は、抗体または受容体のような特異的結合タンパク質によって認識が可能である。特異的結合タンパク質の非存在下では、ED−分析物結合体は、EAを補い、活性β−ガラクトシダーゼを形成することが可能であり、正の発光シグナルを生産する。ED−分析物結合体と特異的結合タンパク質とが結合する場合、EAとの補完が阻害され、シグナルは生じない。遊離の分析物が(サンプル中に)提供される場合、その分析物は、特異的結合タンパク質に対する結合に関してED−分析物結合体と競合する。遊離の分析物は、EAとの補完のためにED−分析物結合体を解放し、サンプル中に存在する遊離の分析物の量に応じてシグナルを生産する。
BRET(Bioluminescent Resonance Energy Transfer:生物発光共鳴エネルギー転移)
エネルギーがルシフェラーゼの生物発光発生反応から蛍光タンパク質に移行される生物発光共鳴エネルギー移行を利用したアッセイである。
なお、本発明のビオチン化タンパク質の調製方法で得られたビオチン化タンパク質は、フリーのビオチン誘導体除去工程を行うことなく、上記測定系に利用することができる。
ビオチン化酵素の調製方法
本発明の態様の1は、ビオチン化酵素を無細胞タンパク質合成系特にコムギ胚芽無細胞タンパク質合成系で調製することである。具体的には、大腸菌ゲノムのビオチン化酵素をコードする遺伝子配列をベクターで作成し、コムギ胚芽無細胞タンパク質合成系で調製することである。しかしながら、市販のビオチン化酵素(例えば、AVIDITY,LLC社のBiotin-Protein Ligase-BIRA500 kit)も用いることができる。
ビオチン化タンパク質の調製方法
本発明の態様の1は、ビオチンタグを含むタンパク質を無細胞タンパク質合成系特にコムギ胚芽無細胞タンパク質合成法による調製方法において、ビオチン化酵素、ビオチン誘導体の最適量を供給液に存在下で翻訳反応を行うことである。すなわち、タンパク質を合成する工程とビオチン化工程を同時に行うことである。この原理は、種々の方法に適用可能であり、重層法では供給相である上層部、反応相の下層部に存在させ、透析法では供給液、バッチ法では、補充液である供給液に最適濃度のビオチン化酵素、ビオチン誘導体を存在させておくことである。
本発明の別の態様として、ビオチンタグを含むタンパク質を調製した後に、ビオチン化酵素及びビオチン誘導体を添加してビオチン化を行うこともできる。
タンパク質の調製段階である翻訳反応中におけるビオチン誘導体の最適濃度は、終濃度で約0.1μM〜約1.0μM、好ましくは約0.3μM〜約0.7μMである。また、通常のビオチン化では、ビオチン濃度が、約30μM〜約70μMである。また、ビオチン化酵素の最適濃度は、翻訳反応における最終濃度は、約0.8μM〜約1.5μMである。
重層法に適用する場合、供給相である上層にビオチン誘導体を保持させておく。反応相の下層にはビオチン誘導体とビオチン化酵素を保持させておく。
透析法に適用する場合、供給液側にビオチン誘導体、ビオチン化酵素を保持させておく。無論、反応相の反応液側にもビオチン誘導体、ビオチン化酵素を保持させておくことが好ましいが、反応液側にビオチン誘導体、ビオチン化酵素を保持させ、供給液側にビオチン誘導体を保持させておくことでも十分にタンパク質をビオチン化させることができる。
バッチ法に適用する場合においても補充液側にビオチン誘導体、ビオチン化酵素を保持させておくことが好ましい。バッチ法では、反応中でのビオチン誘導体、ビオチン化酵素の補充ができないので予め反応液中にも最適濃度のビオチン誘導体、ビオチン化酵素を保持させておくことが好ましい。
本発明の系で翻訳反応に使用されるmRNAは、ビオチンタグ遺伝子、目的遺伝子をPCR法によって増幅合成し、DNA鋳型を得て、プラスミドに導入することなく転写反応にて調製されるものが好ましいが、無論プラスミドに導入させて増幅させたものでもよい。また、以下に説明するように転写反応で得られた転写産物はアルコール沈殿等を行わず未精製の転写溶液を直接翻訳反応系に導入することができる。無論アルコール沈殿で精製した後の翻訳鋳型を翻訳反応系に導入することもできる。
以下に、本発明のビオチン化タンパク質の調製方法に利用される無細胞タンパク質合成手段における一般的な工程を説明する。
(1)転写鋳型の作製工程
「転写鋳型」は、インビトロ転写反応の鋳型分子として使用し得るDNAをいい、適当なプロモーター配列の下流にビオチンタグ、目的タンパク質をコードする塩基配列を少なくとも有する。適当なプロモーター配列とは、転写反応において使用されるRNAポリメラーゼが認識し得るプロモーター配列をいい、例えば、SP6プロモーター、T7プロモーター等が挙げられる。目的タンパク質をコードするDNAはいかなるものであってもよい。
転写鋳型は、プロモーター配列とビオチンタグ、タンパク質をコードする塩基配列との間に翻訳効率を制御する活性を有する塩基配列を有することが好ましく、例えば、タバコモザイクウイルス由来のΩ配列などのRNAウイルス由来の5'非翻訳領域、及び/又はコザック配列等を用いることができる。さらに、転写鋳型は、ビオチンタグ、目的タンパク質をコードする塩基配列の下流に転写ターミネーション領域等を含む3'非翻訳領域を含むことが好ましい。3'非翻訳領域としては、終止コドンより下流の約1.0〜約3.0キロベース程度が好ましく用いられる。これらの3'非翻訳領域は必ずしも目的タンパク質をコードする遺伝子本来のそれである必要はない。
転写は、ビオチンタグ、目的タンパク質をコードするDNAをPCR法によって増幅・合成した反応産物を精製することなくそのまま転写鋳型とすることができる。このようにして得られる転写鋳型DNAはクロロホルム抽出やアルコール沈殿により精製した後に転写反応に供してもよいが、本発明のタンパク質合成方法では、PCR反応後の反応液をそのまま転写鋳型溶液として使用することが可能である。転写鋳型の作製において、鋳型DNAを発現プラスミドに導入しないので、大腸菌形質転換工程、鋳型DNAが導入されたクローンの選定工程を必要としない。さらに、一旦プラスミドを大量調製して、これを制限酵素処理して転写鋳型を得る方法と比較して、工程を格段に省略でき、少ない工程数で短時間での転写鋳型の大量合成が可能となる。すなわち、目的タンパク質をコードするDNAを組み込んだプラスミドを調製する工程を必要としないので、プラスミド精製のための超遠心に要する時間を短縮することができる。また、プラスミドから転写鋳型を切り出すための制限酵素処理、及び制限酵素等を除去するためのフェノール処理、クロロホルム処理、転写鋳型の精製のためのアルコール沈殿、転写鋳型であるDNAの沈殿を溶解する工程を省略することができるので、フェノール/クロロホルムの残存による転写反応の阻害や、多工程の精製操作による転写鋳型のロスがない。また、一連のタンパク質合成工程において、(1)転写反応後の反応液中の翻訳鋳型の沈殿工程、(2)転写反応後の反応液中の上清液の除去工程、(3)(2)の除去工程後の乾燥工程に必要な遠心手段を必要としない。さらには、反応に要するステップ数を少なくすることができるので使用するチップ数なども少なくて済むというさらなる利点を有する。
(2)転写反応工程
自体公知の方法を用いて調製された、ビオチンタグ、目的タンパク質をコードする転写鋳型DNA(発現プラスミドに導入したものも含む)又は(1)に記載のPCR法によって増幅・合成したDNAを精製することなく調製されたビオチンタグ、目的タンパク質をコードする転写鋳型DNAから、インビトロ転写反応により翻訳鋳型であるmRNAを生成させる。この工程は、反応系(例えば、96穴タイタープレートなどの市販の容器)に提供された転写鋳型を含む溶液、好ましくはPCR反応液と、転写鋳型中のプロモーターに適合するRNAポリメラーゼ(例えば、SP6RNAポリメラーゼなど)やRNA合成用の基質(4種類のリボヌクレオシド3リン酸)等の転写反応に必要な成分を含む溶液(「転写反応用溶液」ともいう)とを混合した後、約20℃〜約60℃、好ましくは約30℃〜約42℃で約30分間〜約16時間、好ましくは約2時間〜約5時間該混合液をインキュベートすることにより行われる。
また、翻訳鋳型となるmRNAは、例えば、GFP遺伝子DNA(Chiu, W. –L.,et al., Curr. Biol.6, 325-330 (1996))が挿入されたpEU-GFPベクター(Sawasaki, T. et al.,PNAS, 99 (23), 14652-7(2002))を基に、Ω配列部分をWO03/056009号公報に記載の配列番号136の塩基配列に置き換えた環状プラスミドDNAを鋳型として、SP6 RNApolymerase(Promega社製)を用いて転写を行うことができる。
従来の転写反応後の反応液中には、翻訳鋳型RNAの他に未反応のリボヌクレオシド3リン酸や反応副生物であるピロリン酸、その他転写反応用溶液に含有された塩などが混入しているが、これらの物質は後の翻訳反応を阻害することが知られているので、翻訳鋳型を選択的に沈殿させて未反応基質などを分離除去する必要があった。そのために、転写反応後の反応液中の翻訳鋳型を沈殿させて、翻訳鋳型RNAの他に未反応のリボヌクレオシド3リン酸や反応副生物であるピロリン酸、その他転写反応用溶液に含有された塩を含む上清液の除去、さらには残存する上清中の翻訳反応を阻害する要因となり得る成分(例、アルコール)を除去できる程度までに乾燥していた。しかし、本発明のタンパク質合成方法においての使用されるmRNAの合成のための転写反応は、(1)転写反応後の反応液中の翻訳鋳型沈殿工程、(2)転写反応後の反応液中の上清除去工程、(3)(2)の除去工程後の乾燥工程((1)−(3)の工程をmRNAの精製工程と呼ぶことがある)を省略しても、翻訳効率が低下しない。よって、本発明における未精製mRNAとは、何ら精製操作を行わない転写反応後のmRNAを含む転写溶液を意味する。
本発明の方法では、1)目的遺伝子をPCR法によって増幅合成し、DNA鋳型を得て、プラスミドに導入することなく転写反応されて調製される未精製mRNA(PCRベース未精製mRNAと呼ぶことがある)、2)目的遺伝子をPCR法によって増幅合成し、DNA鋳型を得て、プラスミドに導入することなく転写反応されて調製された翻訳鋳型をエタノール沈殿で精製したmRNA(未精製mRNAと区別するために精製mRNAと呼び、PCRベース精製mRNAと呼ぶことがある)、3)プラスミドに導入して転写反応されて調製される未精製mRNA(Plasmidベース未精製mRNAと呼ぶことがある)、4)プラスミドに導入して転写反応されて調製される精製mRNA(Plasmidベース精製mRNAと呼ぶことがある)のいずをもタンパク質合成細胞抽出液に添加して翻訳を行うことができる。
無論、また、ここで用いられるタンパク質合成用細胞抽出液としては、翻訳鋳型を翻訳して該鋳型にコードされるタンパク質を生成させ得るものであれば如何なるものであってもよいが、具体的には、大腸菌、植物種子の胚芽、ウサギ網状赤血球、バキュロウイルス発現系で使われる昆虫培養細胞等の細胞抽出液等が用いられる。これらは市販のものを用いることもできるし、それ自体既知の方法、具体的には、大腸菌抽出液の場合、Pratt,J. M. et al., Transcription and Translation, Hames, 179-209, B. D. &Higgins, S. J., eds), IRL Press, Oxford (1984)に記載の方法等に準じて調製することもできる。
加えて、生細胞系のタンパク質合成系である大腸菌、CHO、バキュロウイルス発現系の合成系も用いることができる。
市販のタンパク質合成用細胞抽出液としては、大腸菌由来では、E.coli S30 extract system(Promega社製)やRTS 500Rapid Translation System(Roche社製)に添付のもの等が挙げられ、ウサギ網状赤血球由来ではRabbit ReticulocyteLysate Sytem(Promega社製)に添付のもの等、更にコムギ胚芽由来ではPROTEIOSTM(TOYOBO社製)に添付のもの等が挙げられる。このうち、植物種子の胚芽抽出液の系を用いることが好ましく、植物種子としては、コムギ、オオムギ、イネ、コーン等のイネ科の植物、及びホウレンソウ等の種子が好ましく、特にコムギ種子胚芽抽出液を用いたものが好適である。さらに、抽出液の調製工程において混入した胚乳成分および低分子のタンパク質合成阻害物質が実質的に除去されたコムギ種子胚芽抽出液がより好適である。これらは従来のコムギ種子胚芽抽出液と比較して、抽出液中のタンパク質合成阻害に関与する成分及び物質が低減されているからである。
本発明の適用される最良の細胞抽出液は、コムギ胚芽由来の抽出液であり、さらに混入する胚乳成分や胚芽組織細胞中のタンパク質合成阻害をもたらすグルコースなどの代謝物質が実質的に除去された抽出液である。詳しくは、胚芽抽出液中に夾雑する胚乳成分が実質的に除去されている。胚乳成分が実質的に除去された細胞抽出液とは、リボソームの脱アデニン化率が7%以下、好ましくは1%以下になっていること意味する。さらに、好適には、細胞抽出液は、実質的に糖、リン酸化糖が10mM以下、好ましくは6mM以下まで低減されている(260nmにおける吸光度200OD/mlの抽出液中のグルコース濃度として)。
なお、このような細胞抽出液の調製方法は、WO 2005/063979 A1号公報に例示される。
(3)翻訳反応工程
上記のようにして得られる精製mRNA又は未精製mRNAを添加したタンパク質合成用細胞抽出液に、3',5'−cAMP、基質となるアミノ酸、エネルギー源、各種イオン、緩衝液、ATP再生系、核酸分解酵素阻害剤、tRNA、還元剤、ポリエチレングリコール、葉酸塩、抗菌剤等の、翻訳反応に必要もしくは好適な成分を含有する溶液(「翻訳反応用溶液」ともいう)を添加して、翻訳反応に適した温度で適当な時間インキュベートすることにより翻訳反応を行う。基質となるアミノ酸は、通常、タンパク質を構成する20種類の天然アミノ酸であるが、目的に応じてそのアナログや異性体を用いることもできる。また、エネルギー源としては、ATP及び/又はGTPが挙げられる。各種イオンとしては、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム、酢酸アンモニウム等の酢酸塩、グルタミン酸塩等が挙げられる。緩衝液としては、Hepes−KOH、Tris−酢酸等が用いられる。またATP再生系としては、ホスホエノールピルベートとピルビン酸キナーゼの組み合わせ、またはクレアチンリン酸(クレアチンホスフェート)とクレアチンキナーゼの組み合わせ等が挙げられる。核酸分解酵素阻害剤としては、リボヌクレアーゼインヒビターや、ヌクレアーゼインヒビター等が挙げられる。このうち、リボヌクレアーゼインヒビターの具体例としては、ヒト胎盤由来のRNaseinhibitor(TOYOBO社製等)等が用いられる。tRNAは、Moniter, R., et al., Biochim. Biophys. Acta.,43, 1 (1960)等に記載の方法により取得することができ、あるいは市販のものを用いることもできる。還元剤としては、ジチオスレイトール等が挙げられる。抗菌剤としては、アジ化ナトリウム、アンピシリン等が挙げられる。これらの添加量は、無細胞タンパク質合成において通常使用され得る範囲で適宜選択することができる。
翻訳反応用溶液の添加の態様は、用いる翻訳反応系に応じて適宜選択することができる。本発明の方法に用いられる翻訳反応系は、本発明の無細胞タンパク質合成法に適用し得る自体公知のいずれの系であってもよく、例えば、バッチ法(Pratt,J. M. et al., Transcription and Translation, Hames, 179-209, B. D. &Higgins, S. J., eds), IRL Press, Oxford(1984))や、3',5'−cAMP、アミノ酸、エネルギー源等を連続的に反応系に供給する連続式無細胞タンパク質合成法(Spirin,A. S. et al., Science, 242, 1162-1164(1988))、透析法(木川等、第21回日本分子生物学会、WID6)、あるいは重層法(国際公開第02/24939号)等が挙げられる。更には、合成反応系に鋳型のRNA、3',5'−cAMP、アミノ酸、エネルギー源等を必要時に供給し、合成物や分解物を必要時に排出する不連続ゲル濾過法(特開2000−333673公報)や、合成反応槽が分子篩可能な担体によって調製され、上記の合成材料等が該担体を移動相として展開され、展開中に合成反応が実行され、結果として合成されたタンパク質を回収し得る方法(特開2000−316595公報)等を用いることができる。しかしながら、合成系の構造の単純化、省スペース、低コスト、ハイスループット解析に適用可能な多検体同時合成システムの提供の点から、バッチ法または重層法が好ましく、比較的大量のタンパク質を得ることができる点で重層法が特に好ましい。
バッチ法により翻訳反応を行う場合、ビオチン誘導体、ビオチン化酵素を含む翻訳反応用溶液を、未精製mRNA又は精製mRNAを添加したタンパク質合成用細胞抽出液に添加して混合すればよい。あるいはビオチン誘導体、ビオチン化酵素を含む翻訳反応用溶液に含まれる成分を予めタンパク質合成用細胞抽出液と混合した場合には、翻訳反応用溶液の添加を省略することもできる。未精製mRNA又は精製mRNAを添加したタンパク質合成用細胞抽出液とビオチン誘導体、ビオチン化酵素を含む翻訳反応用溶液とを混合して得られる「翻訳反応液」としては、例えばタンパク質合成用細胞抽出液としてコムギ胚芽抽出液を用いた場合、0.1μM〜1.0μMビオチン誘導体、0.8μM〜1.5μMビオチン化酵素、1〜3mMcAMP、10〜50mMHEPES−KOH(pH7.8)、55〜120mM 酢酸カリウム、1〜5mM 酢酸マグネシウム、0.1〜0.6mM スペルミジン、各0.025〜1mM L−アミノ酸、20〜70μM、好ましくは30〜50μMのDTT、1〜1.5mMATP、0.2〜0.5mM GTP、10〜20mM クレアチンリン酸、0.5〜1.0units/μl リボヌクレアーゼインヒビター、0.01〜10μM タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ、及び24〜75%コムギ胚芽抽出液を含むもの等が用いられる。このような翻訳反応液を用いた場合、プレインキュベーションは約10〜約40℃で約5〜約10分間、本反応(翻訳反応)におけるインキュベーションは同じく約10〜約40℃、好ましくは約18〜約30℃、さらに好ましくは約20〜約26℃で、反応が停止するまで、バッチ法では通常10分〜7時間程度行う。
重層法により翻訳反応を行う場合、未精製mRNA又は精製mRNAを添加したタンパク質合成用細胞抽出液上に、ビオチン誘導体、ビオチン化酵素を含む翻訳反応用溶液を界面を乱さないように重層することによりタンパク質合成を行う。具体的には、例えば、必要に応じて適当時間プレインキュベートしたタンパク質合成用細胞抽出液を翻訳鋳型の沈殿に添加してこれを溶解し、反応相とする。この反応相の上層に翻訳反応用溶液(供給相)を、界面を乱さないように重層して反応を行う。両相の界面は必ずしも重層によって水平面状に形成させる必要はなく、両相を含む混合液を遠心分離することによって、水平面を形成することも可能である。両相の円形界面の直径が7mmの場合、反応相と供給相の容量比は1:4〜1:8が適当であるが、1:5が好適である。両相からなる界面面積は大きいほど拡散による物質交換率が高く、タンパク質合成効率が上昇する。従って、両相の容量比は、両相の界面面積によって変化する。翻訳反応は、例えばコムギ胚芽抽出液を用いた系においては、静置条件下、約10〜約40℃、好ましくは約18〜約30℃、さらに好ましくは約20〜約26℃で、通常約10〜約20時間行うことができる。また、大腸菌抽出液を用いる場合、反応温度は約30℃〜約37℃が適当である。
上記ビオチン化タンパク質の調製方法で得られたビオチン化タンパク質を用いてALPHAを用いた検出方法を以下例示する。
ビオチン化タンパク質、生体分子結合アクセプタービーズ、及びストレプトアビジンが結合したドナービースは、ALPHAの原理で接触反応が行われる。溶媒は、タンパク質と生体分子の相互作用が通常行われる反応溶媒が使用され、各添加濃度は、タンパク質と生体分子の相互作用が通常行われる条件に調節される。特に好ましくは、相互作用反応触媒及び/又は相互作用反応緩衝液の条件下で接触させられる。反応は、一般的に室温で、好適には約20〜約30℃で、約20〜150分間、好ましくは約30〜約120分間行われる。
そして、アクセプタービーズとドナービーズの近接によるシグナル変化により、タンパク質と生体分子の相互作用を検出する。シグナルの検出方法は、例えばアクセプタービーズが発する蛍光強度を使って測定しておこなわれる。
ALPHAを用いた、タンパク質が、自己リン酸化タンパク質である場合の生体分子との相互作用のスクリーニング方法は以下のように摸式化される。
1)ビオチンタグを含む候補自己リン酸化タンパク質をコムギ胚芽無細胞タンパク質合成手段によって調製する工程
このような候補自己リン酸化タンパク質の例としては、哺乳動物のモデルであるマウスの完全長cDNAもしくはヒトの完全長cDNAからプロテインカイネース遺伝子と思われる配列を選択し、該配列をコムギ胚芽無細胞タンパク質合成手段によって調製する。
2)ビオチンタグを含む候補自己リン酸化タンパク質に対して、ビオチン化酵素、ビオチンを作用させることによりビオチン化候補自己リン酸化タンパク質を調製する工程
大腸菌ゲノムのビオチン化酵素をコードする遺伝子配列をベクターで作成し、コムギ胚芽無細胞タンパク質合成系で調製することである。しかしながら、市販のビオチン化酵素も用いることができる。
3)生体分子としてリン酸化検出抗体を使い、これをアクセプタービーズに直接又は間接的に結合させる工程
直接的に結合する場合には自体公知の結合法を利用することができる。また、間接的に結合させる場合には、生体分子を認識する抗体又はプロテインAを利用することができる。
4)2)で調製したビオチン化候補自己リン酸化タンパク質、3)で調製したアクセプタービーズ、及びストレプトアビジンが結合したドナービースを接触させ、アクセプタービーズとドナービーズの近接によるシグナル変化により、リン酸化を検出する工程
この具体的な手段は、kination Bufferの添加により、候補自己リン酸化タンパク質が自己リン酸化を起こしているかを、ドナービースとアクセプタービーズの近接によるシグナルの上昇で確認する。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例により限定されるものではない。
コムギ胚芽抽出液の調製
(1)コムギ胚芽の調製
北海道産チホクコムギ種子または愛媛産チクゴイズミ種子を1分間に100gの割合でミル(Fritsch社製:Rotor Speed Millpulverisette14型)に添加し、回転数8,000rpmで種子を温和に粉砕した。篩いで発芽能を有する胚芽を含む画分(メッシュサイズ0.7〜1.00mm)を回収した後、四塩化炭素とシクロヘキサンの混合液(容量比=四塩化炭素:シクロヘキサン=2.4:1)を用いた浮選によって、発芽能を有する胚芽を含む浮上画分を回収し、室温乾燥によって有機溶媒を除去した後、室温送風によって混在する種皮等の不純物を除去して粗胚芽画分を得た。
次に、ベルト式色彩選別機BLM−300K(製造元:株式会社安西製作所、発売元:株式会社安西総業)を用いて、次の通り、色彩の違いを利用して粗胚芽画分から胚芽を選別した。この色彩選別機は、粗胚芽画分に光を照射する手段、粗胚芽画分からの反射光及び/又は透過光を検出する手段、検出値と基準値とを比較する手段、基準値より外れたもの又は基準値内のものを選別除去する手段を有する装置である。
色彩選別機のベージュ色のベルト上に粗胚芽画分を1000乃至5000粒/cm2となるように供給し、ベルト上の粗胚芽画分に蛍光灯で光を照射して反射光を検出した。ベルトの搬送速度は、50m/分とした。受光センサーとして、モノクロのCCDラインセンサー(2048画素)を用いた。
まず、胚芽より色の黒い成分(種皮等)を除去するために、胚芽の輝度と種皮の輝度の間に基準値を設定し、基準値から外れるものを吸引により取り除いた。次いで、胚乳を選別するために、胚芽の輝度と胚乳の輝度の間に基準値を設定し、基準値から外れるものを吸引により取り除いた。吸引は、搬送ベルト上方約1cm位置に設置した吸引ノズル30個(長さ1cm当たり吸引ノズル1個並べたもの)を用いて行った。
この方法を繰り返すことにより胚芽の純度(任意のサンプル1g当たりに含まれる胚芽の重量割合)が98%以上になるまで胚芽を選別した。
得られたコムギ胚芽画分を4℃の蒸留水に懸濁し、超音波洗浄機を用いて洗浄液が白濁しなくなるまで洗浄した。次いで、ノニデットP40(Nonidet P40:ナカライ・テクトニクス社製)の0.5容量%溶液に懸濁し、超音波洗浄機を用いて洗浄液が白濁しなくなるまで洗浄してコムギ胚芽を得た。回収した胚芽湿重量に対して2倍容量の抽出溶媒(80mM HEPES−KOH、pH7.8、200mM酢酸カリウム、10mM酢酸マグネシウム、8mMジチオスレイトール、4mM塩化カルシウム、各0.6mM20種類のL型アミノ酸、さらに2.5mMATP)を加え、ワーリングブレンダーを用い、5,000〜20,000rpmで30秒間ずつ3回の胚芽の限定破砕を行った。
(2)沈殿助剤を用いたS-30画分の調製
上記得られたホモゲネート(破砕物)に、20%重量の海砂あるいは膨潤させたセファデックスG25粒子を加え、混合した。海砂は、ホモゲネート添加前にあらかじめ以下の処理を行った:水洗→5容の0.1規定のNaOH又はKOH洗浄→水洗→0.1規定のHCl洗浄→水洗→100〜120℃の加熱によりRNase失活処理後、乾燥処理。
海砂を混合したホモゲネートを3万xg、30分で2回遠心、続いて12分間1回の遠心で、半透明な遠心上清を得た(S-30画分)。海砂あるいはセファデックス粒子を遠心前に加えない場合は、沈殿物の上部に不溶性スラリーが存在し、これが混入したS-30画分から調製した抽出液のタンパク質合成活性は低くなった。得られたS-30画分を、溶出溶液(40mMHEPES-KOH、pH7.8、200mM酢酸カリウム、10mM 酢酸マグネシウム、4mM DTT)で平衡化したセファデックスG25にかけ、ゲルろ過し、分子量1000ダルトン以下の低分子物質を排除した胚芽抽出液を調製した。
ビオチン化酵素の調製
大腸菌ゲノム由来のビオチン化酵素をコードする塩基配列を導入したpEUベクターを作成した。続いて、pEUベクターを鋳型にPCRを用いて転写鋳型を作成した。該転写鋳型を転写反応溶液〔最終濃度、80mM HEPES−KOH pH7.8、16mM 酢酸マグネシウム、10mM ジチオトレイトール、2mM スペルミジン、2.5mM 4NTPs(4種類のヌクレオチド三リン酸)、0.8U/μl RNase阻害剤、1.6U/μl SP6 RNAポリメラーゼ〕に添加して、37℃、3hr転写を行った(Proc Natl Acad Sci USA,2002, vol 99, p14652-14657 :Sawasaki,T et al.)。得られたmRNAのペレット全量を上記実施例(1)のコムギ胚芽Extract(200 O.D.)抽出液に添加し26℃、15〜20時間タンパク質合成を行った。
上記合成したビオチン化酵素は、ラジオアイソトープ([14C]-Leu)を用いた測定により合成ができていることを確認した。
ビオチン化タンパク質(001-006)の翻訳鋳型の作成
翻訳鋳型となるmRNAは、遺伝子番号001-006で示される遺伝子にビオチンタグを融合したビオチン化タンパク質転写鋳型であるベクターを作成した(pEU-ビオチン化タグ-001-006)。該ベクターを基に、タバコモザイクウィルス(TMV)のΩ配列部分を含むPCR産物を鋳型とした。該転写鋳型を、転写反応溶液〔最終濃度、80mM HEPES−KOH pH7.8、16mM 酢酸マグネシウム、10mM ジチオトレイトール、2mM スペルミジン、2.5mM 4NTPs(4種類のヌクレオチド三リン酸)、0.8U/μl RNase阻害剤、1.6U/μl SP6 RNAポリメラーゼ〕に添加し、37℃で3時間反応させた。得られたRNAをフェノール/クロロフォルム抽出、エタノール沈殿の後、Nick Column(Amersham Pharmacia Biotech社製)により精製して翻訳鋳型とした。
なお、ポジティブコントロールとしてビオチン化MYT1、ビオチン化MST1、ビオチン化PKR、ビオチン化CK1e、ビオチン化TESK、ネガティブコントロールとしてビオチン化GSTの翻訳鋳型も上記同様に作製した。
重層法を用いたビオチン化タンパク質(001-006)の翻訳反応工程
96穴タイタープレート(TPP社製、スイス)を反応容器として用いた。
先ず、125.0μ1の供給相(2×Substrate Mixture 62.5μ1、50μMのビオチン1.25μ1、MilliQ 61.25μ1)をタイタープレートに添加した。次に、25.0μ1の反応相(4μg/μlのcreatine kinase 0.25μ1、上記実施例(1)のコムギ胚芽Extract(200 O.D.)6.5μ1、上記実施例(2)のビオチン化酵素(180 O.D.)1.0μ1(又は、重層法で合成したO.D10(0.8μM〜1.5μM) 1.0μl)、2×Substrate Mixture 8.75μ1、5μMのビオチン2.5μ1、MilliQ 3.5μ1)に、上記実施例3の各翻訳鋳型(ペレット状の翻訳鋳型(mRNA)を25μlの反応液で溶かした)を添加したものを、注意深く静かにタイタープレートの底に添加した。タンパク質合成反応は、26度、15〜20時間の静置で行った。
合成終了のビオチン化タンパク質は精製せずに、以下の実施例に用いた。
Alpha ScreenTMを用いた自己リン酸化活性の検出
15μ1の反応液(上記実施例4の各ビオチン化タンパク質(1.0〜2.0μ1)、5×kination Buffer 3.0μ1、100mg/mlのBSA 1.5μ1、15μMのATP 1.0μl(基質のリン酸化活性検出の場合は、ATPを添加したが、自己リン酸化活性の検出に用いる場合は、ATPは添加しなかった)、MilliQ 7.5μ1)と10μ1の検出液(5×kination Buffer 2.0μ1、100mg/mlのBSA 1.0μl、Donor beads 0.1μ1、Acceptor beads 0.1μ1、リン酸化検出抗体 1.0μl)を混合し、26度、1時間の静置後、蛍光強度を測定した。
上記測定結果を示す図1では、未精製のタンパク質001、003、006で蛍光強度を検出することができた。また、ポジティブコントロールであるMST1、PKR、CK1e、MYT1、TESKでも蛍光強度を検出することができた。一方、ネガティブコントロールであるGSTでは蛍光強度を検出することができなかった。すなわち、本発明では未精製のタンパク質の自己リン酸化活性を検出することができる。
Alpha ScreenTMを用いた自己リン酸化タンパク質のスクリーニング
上記実施例3と同様に翻訳鋳型を作成し、上記実施例4の重層法を用いて、各ビオチン化候補自己リン酸化タンパク質を調製した。15μ1の反応液(各ビオチン化候補自己リン酸化タンパク質 2.0μ1、5×kination Buffer 3.0μ1、100mg/mlのBSA 1.5μ1、15μMのATP 1.0μl、MilliQ 7.5μ1)と10μ1の検出液(5×kination Buffer 2.0μ1、100mg/mlのBSA 1.0μl、Donor beads 0.1μ1、Acceptor beads(リン酸化検出抗体が結合(1600倍希釈)) 0.1μ1)を混合し、26度、1時間の静置後、蛍光強度を測定した。
上記測定結果により、AMPKa2、AurB、CaMK1a、CaMK1d、CaMK1g、CaMK4、CCRK、CK1d、CK2a1、DAPK3、DCAMKL3、DYRK1B、eEF2K、GPRK5、GSK3B、MARK1、MELK、MNK1、MPSK1、p38d、PDHK4、PHKg1、PHKg2、PIM2、PIM3、PITSLRE、PKD2、PKD3、PKN2、SgK495、skMLCK、SRPK1、TNK1、Trb2、Trb3、TSSK2(順に配列番号1−36)が自己リン酸化活性を示すことが新規にわかった。
以上により、本発明のAlpha ScreenTMを用いた生体分子相互作用検出方法では、自己リン酸化を行う未精製のタンパク質のスクリーニングに利用することができる。さらに、本発明では、コムギ胚芽無細胞タンパク質合成手段によって調製された自己リン酸化能を有するタンパク質を同定できた。
また、本発明では、以下のタンパク質も発明の対象としている。
1)コムギ胚芽無細胞タンパク質合成手段によって調製され自己リン酸化能を有する配列番号1で示されるAMPKa2。
2)コムギ胚芽無細胞タンパク質合成手段によって調製され自己リン酸化能を有する配列番号2で示されるAurB。
3)コムギ胚芽無細胞タンパク質合成手段によって調製され自己リン酸化能を有する配列番号3で示されるCaMK1a。
4)コムギ胚芽無細胞タンパク質合成手段によって調製され自己リン酸化能を有する配列番号4で示されるCaMK1d。
5)コムギ胚芽無細胞タンパク質合成手段によって調製され自己リン酸化能を有する配列番号5で示されるCaMK1g。
6)コムギ胚芽無細胞タンパク質合成手段によって調製され自己リン酸化能を有する配列番号6で示されるCaMK4。
7)コムギ胚芽無細胞タンパク質合成手段によって調製され自己リン酸化能を有する配列番号7で示されるCCRK。
8)コムギ胚芽無細胞タンパク質合成手段によって調製され自己リン酸化能を有する配列番号8で示されるCK1d。
9)コムギ胚芽無細胞タンパク質合成手段によって調製され自己リン酸化能を有する配列番号9で示されるCK2a1。
10)コムギ胚芽無細胞タンパク質合成手段によって調製され自己リン酸化能を有する配列番号10で示されるDAPK3。
11)コムギ胚芽無細胞タンパク質合成手段によって調製され自己リン酸化能を有する配列番号11で示されるDCAMKL3。
12)コムギ胚芽無細胞タンパク質合成手段によって調製され自己リン酸化能を有する配列番号12で示されるDYRK1B。
13)コムギ胚芽無細胞タンパク質合成手段によって調製され自己リン酸化能を有する配列番号13で示されるeEF2K。
14)コムギ胚芽無細胞タンパク質合成手段によって調製され自己リン酸化能を有する配列番号14で示されるGPRK5。
15)コムギ胚芽無細胞タンパク質合成手段によって調製され自己リン酸化能を有する配列番号15で示されるGSK3B。
16)コムギ胚芽無細胞タンパク質合成手段によって調製され自己リン酸化能を有する配列番号16で示されるMARK1。
17)コムギ胚芽無細胞タンパク質合成手段によって調製され自己リン酸化能を有する配列番号17で示されるMELK。
18)コムギ胚芽無細胞タンパク質合成手段によって調製され自己リン酸化能を有する配列番号18で示されるMNK1。
19)コムギ胚芽無細胞タンパク質合成手段によって調製され自己リン酸化能を有する配列番号19で示されるMPSK1。
20)コムギ胚芽無細胞タンパク質合成手段によって調製され自己リン酸化能を有する配列番号20で示されるp38d。
21)コムギ胚芽無細胞タンパク質合成手段によって調製され自己リン酸化能を有する配列番号21で示されるPDHK4。
22)コムギ胚芽無細胞タンパク質合成手段によって調製され自己リン酸化能を有する配列番号22で示されるPHKg1。
23)コムギ胚芽無細胞タンパク質合成手段によって調製され自己リン酸化能を有する配列番号23で示されるPHKg2。
24)コムギ胚芽無細胞タンパク質合成手段によって調製され自己リン酸化能を有する配列番号24で示されるPIM2。
25)コムギ胚芽無細胞タンパク質合成手段によって調製され自己リン酸化能を有する配列番号25で示されるPIM3。
26)コムギ胚芽無細胞タンパク質合成手段によって調製され自己リン酸化能を有する配列番号26で示されるPITSLRE。
27)コムギ胚芽無細胞タンパク質合成手段によって調製され自己リン酸化能を有する配列番号27で示されるPKD2。
28)コムギ胚芽無細胞タンパク質合成手段によって調製され自己リン酸化能を有する配列番号28で示されるPKD3。
29)コムギ胚芽無細胞タンパク質合成手段によって調製され自己リン酸化能を有する配列番号29で示されるPKN2。
30)コムギ胚芽無細胞タンパク質合成手段によって調製され自己リン酸化能を有する配列番号30で示されるSgK495。
31)コムギ胚芽無細胞タンパク質合成手段によって調製され自己リン酸化能を有する配列番号31で示されるskMLCK。
32)コムギ胚芽無細胞タンパク質合成手段によって調製され自己リン酸化能を有する配列番号32で示されるSRPK1。
33)コムギ胚芽無細胞タンパク質合成手段によって調製され自己リン酸化能を有する配列番号33で示されるTNK1。
34)コムギ胚芽無細胞タンパク質合成手段によって調製され自己リン酸化能を有する配列番号34で示されるTrb2。
35)コムギ胚芽無細胞タンパク質合成手段によって調製され自己リン酸化能を有する配列番号35で示されるTrb3。
36)コムギ胚芽無細胞タンパク質合成手段によって調製され自己リン酸化能を有する配列番号36で示されるTSSK2。
本発明のビオチン化タンパク質の調製方法で得られたビオチン化タンパク質を用いた生体分子相互作用検出方法では、フリーのビオチン誘導体除去工程を必要としないので、多検体の迅速な解析が可能である。
図1は、自己リン酸化タンパク質の検出結果を示す。なお、左レーンからタンパク質量を示す(0.5、1.0、2.0、3.0μ1/25μ1)。

Claims (9)

  1. タンパク質合成中にビオチン化酵素、ビオチン誘導体をタンパク質に共存させて得られるビオチン化タンパク質。
  2. ビオチンタグを含むタンパク質の合成中又は合成後にビオチン化酵素及びビオチン誘導体を作用させ、ビオチン化タンパク質を調製し、続いて、該ビオチン化タンパク質と相互作用する物質の検出方法。
  3. ビオチン化タンパク質を調製の後、ビオチンタグを含むタンパク質に結合しなかったビオチン誘導体を除去することなく、該ビオチン化タンパク質と相互作用する物質を検出する請求項2に記載の検出方法。
  4. 検出方法が、以下のいずれか1以上から選ばれる請求項2又は3に記載の検出方法。
    1)ALPHA、2)表面プラズモン共鳴法、3)蛍光相関分析法、4)蛍光強度分布解析法、5)ELISA、6)DELFIA、7)SPA、8)FRET、9)BRET、10)EFC、11)FP
  5. ビオチン化タンパク質をビオチン結合を介して担体に固定化して、ビオチン化タンパク質と相互作用する物質を検出する請求項2〜4のいずれか1に記載の検出方法。
  6. ビオチン誘導体の標識物質をマーカーにして、ビオチン化タンパク質と相互作用する物質を検出する請求項2〜4のいずれか1に記載の検出方法。
  7. 以下の工程を含む増幅ルミネッセンス近接ホモジニアスアッセイ法を用いた生体分子相互作用検出方法:
    1)ビオチンタグを含むタンパク質を無細胞タンパク質合成手段によって調製する、
    2)ビオチンタグを含むタンパク質に対して、ビオチン化酵素及びビオチン誘導体を作用させることによって、ビオチン化タンパク質を調製する、
    3)タンパク質と相互作用可能性ある生体分子をアクセプタービーズ(Acceptor beads)に直接又は間接的に結合させる、
    4)2)で調製したビオチン化タンパク質、3)で調製したアクセプタービーズ、及びストレプトアビジンが結合したドナービース(Donor beads)を接触させ、アクセプタービーズとドナービーズの近接によるシグナル変化により、タンパク質と生体分子の相互作用を検出する。
  8. 1)及び2)の工程を同時に行うことを特徴とする請求項7に記載の方法。
  9. 以下の工程を含む増幅ルミネッセンス近接ホモジニアスアッセイ法を用いた自己リン酸化タンパク質のスクリーニング方法:
    1)ビオチンタグを含む候補自己リン酸化タンパク質を無細胞タンパク質合成手段によって調製する、
    2)ビオチンタグを含む候補自己リン酸化タンパク質に対して、ビオチン化酵素及びビオチン誘導体を作用させることによりビオチン化候補自己リン酸化タンパク質を調製する、
    3)リン酸化検出抗体をアクセプタービーズに直接又は間接的に結合させる、
    4)2)で調製されたビオチン化候補自己リン酸化タンパク質、3)で調製されたアクセプタービーズ、及びストレプトアビジンが結合したドナービースを接触させ、アクセプタービーズとドナービーズの近接によるシグナル変化により、リン酸化活性を検出する。
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