JP3750020B2 - C末端修飾タンパク質およびその製造方法、ならびに、c末端修飾タンパク質の製造に用いる修飾剤および翻訳テンプレート、ならびに、c末端修飾タンパク質を用いたタンパク質相互作用の検出方法 - Google Patents

C末端修飾タンパク質およびその製造方法、ならびに、c末端修飾タンパク質の製造に用いる修飾剤および翻訳テンプレート、ならびに、c末端修飾タンパク質を用いたタンパク質相互作用の検出方法 Download PDF

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Description

技術分野
本発明は、タンパク質の修飾法、および、その修飾タンパク質を用いたタンパク質相互作用の検出法に関する。ゲノムプロジェクトの進展に伴い大量の遺伝子情報が蓄積されつつあり、今後はそれら遺伝子間の相互作用を網羅的に解析することが重要な課題となっている。大量の遺伝子間の相互作用に関して高速でハイスループットスクリーニング(High-Throughput Screening:HTS)を行うためには、タンパク質相互作用をより迅速かつ簡便に検出できる系が必要である。本発明は、ゲノム機能解析・プロテオーム解析において、タンパク質と他の生体分子(タンパク質、核酸など)との相互作用を簡便に検出する有効な手段を提供する。
背景技術
分子間相互作用の検出方法として、これまで表面プラズモン共鳴法、蛍光共鳴エネルギー移動法、蛍光偏光解消法、エバネッセント場イメージング法、蛍光相関分光法、蛍光イメージング法、固相酵素免疫検定法などが知られている。とりわけ、蛍光相関分光法(Fluorescence Correlation Spectroscopy:FCS)は、測定に必要な試料量が少なく(およそフェムトリットル)、測定時間が短く(および10秒)、HTSのための自動化が容易である(実際にEVOTEC社では1日で10万検体以上のスクリーニングを行うウルトラHTSを目指した装置の開発を行なっている)等の長所があり、検出系として優れている(金城政孝(1999)蛋白質核酸酵素44:1431-1438)。さらに2種類の蛍光色素を用いる蛍光相互相関分光法(Fluorescence Cross-Correlation Spectroscopy:FCCS)では、1種類の蛍光色素を用いるFCSでは困難であった同程度の大きさをもつ分子間の相互作用も検出が可能であり、タンパク質相互作用のHTSへの応用が期待されている。しかしこれまで、FCCSを用いてタンパク質相互作用の検出に成功した例は知られていない。
一般に、タンパク質相互作用の検出系では、固定化のためのタグや蛍光色素等のプローブでタンパク質を修飾する必要がある。本発明者等は、ピューロマイシン等の核酸誘導体を用いて翻訳系中でタンパク質のC末端を修飾する方法を先に提案している(特開平11-322781、特開2000-139468)。この方法は、従来の化学修飾法や蛍光タンパク質融合法に比べて、タンパク質の機能を損ないにくい等の利点があるが、修飾タンパク質の収量が少なく、主に無細胞翻訳系を用いるため大量に修飾タンパク質を調製するためには費用がかかる等の、なお改善を要する点がある。特に、HTSの検出系として最も優れているFCCSに適用する場合、蛍光修飾したタンパク質の精製度が問題となるため、ゲノム機能解析等の実用化に向けての収量の改善は必須の条件である。
発明の開示
本発明の目的は、タンパク質のC末端修飾法における修飾タンパク質の収量を大幅に改善すること、および、この改善された修飾法をタンパク質の蛍光修飾に適用し、さらに適当な蛍光修飾タンパク質の精製法等を検討することによって、蛍光相互相関分光法をはじめ種々の分子間相互作用検定法によるタンパク質相互作用の検出を改善されたレベルで実現することである。
本発明者等は、上記課題を解決すべく研究した結果、蛍光色素等の非放射性修飾物質とピューロマイシンとの間にヌクレオチドリンカーを挿入した修飾剤を用いると、従来のヌクレオチドリンカーを含まない修飾剤を用いた場合に比べて、修飾タンパク質の収量が100倍近く増大することを見出した。さらに、翻訳テンプレートを改良することにより従来の5〜6倍翻訳効率が上昇することも見出した。リンカーを介してフルオロセインやローダミングリーンやCy5等の蛍光物質とピューロマイシンとを結合させた修飾剤と改良した翻訳テンプレートを用いてタンパク質のC末端を蛍光修飾すると、従来法の500倍の収量でC末端蛍光修飾タンパク質が得られ、それを適当な方法で精製して蛍光相互相関分光法や蛍光イメージングアナライズ法で測定することにより、タンパク質間相互作用やタンパク質-核酸相互作用を簡便かつ迅速に、実用レベルで検出できることがわかった。本発明はこれらの知見に基づいて成し遂げられたものである。
本発明は、第1に、タンパク質の翻訳系で、ペプチド転移反応によってタンパク質と結合し得る基をもつアクセプター部と、該アクセプター部とヌクレオチドリンカーを介して結合した、非放射性修飾物質を含む修飾部とを含む、タンパク質のC末端修飾剤(以下、本発明修飾剤ともいう)を提供する。
本発明修飾剤においては、アクセプター部がピューロマイシン又はその誘導体の残基をもつことが好ましい。
本発明修飾剤においては、ヌクレオチドリンカーが2'-デオキシシチジル酸、2'-デオキシシチジル-(3',5')-2'-デオキシシチジル酸、リボシチジル酸、又は、リボシチジル-(3',5')-リボシチジル酸であることが好ましい。
本発明修飾剤においては、修飾部が蛍光基、タンパク質と結合する基、または、その両方をもつことが好ましい。
本発明は、第2に、本発明修飾剤がC末端に結合したタンパク質であるC末端修飾タンパク質(以下、本発明修飾タンパク質ともいう)を提供する。
本発明修飾タンパク質において、本発明修飾剤がC末端に結合するタンパク質は、全長タンパク質であることが好ましい。
本発明は、第3に、タンパク質をコードするPRF領域と、ORF領域の5’側に位置する。転写プロモーターおよび翻訳エンハンサーを含む5'非翻訳領域と、ORF領域の3'側に位置する、ポリA配列を含む3'末端領域とを含む翻訳テンプレート(以下、本発明翻訳テンプレートともいう)を提供する。
本発明翻訳テンプレートにおいては、転写プロモーターがSP6 RNAポリメラーゼのプロモーター配列を含み、翻訳エンハンサーがタバコモザイクウイルスのオメガ配列の一部を含むことが好ましい。
本発明翻訳テンプレートにおいては、ORF領域は、好ましくは、その下流部分に親和性タグ配列を含む。親和性タグ配列は好ましくはHis-tag配列を含む。
本発明は、第4に、本発明修飾剤存在下で、本発明翻訳テンプレートを翻訳系で発現させてタンパク質合成を行わせ、合成されたタンパク質を精製することを含む、C末端修飾タンパク質の製造方法(以下、本発明製造方法ともいう)、および、その製造方法により得られる、C末端が修飾されたタンパク質を提供する。
本発明製造方法において、精製は、アフィニティクロマトグラフィー、ゲルろ過、イオンクロマトグラフィー、電気泳動、沈殿、透析、および、それらの任意の組合せにより行われることが好ましい。
本発明は、第5に、本発明修飾タンパク質を利用したタンパク質と標的分子との間の相互作用の解析方法、すなわち、タンパク質と標的分子との間の相互作用を解析する方法であって、該タンパク質を含む本発明修飾タンパク質を用いることを特徴とする方法を提供する。相互作用の解析は、例えば、蛍光相関分光法、蛍光イメージングアナライズ法、蛍光共鳴エネルギー移動法、エバネッセント場分子イメージング法、蛍光偏光解消法、表面プラズモン共鳴法、又は、固相酵素免疫検定法により行われる。また、この解析方法においては、本発明修飾タンパク質を固定化してもよい。あるいは、標的分子が固定されたアレイ上に本発明修飾タンパク質を添加し、該標的分子と特異的に結合した本発明修飾タンパク質を検出してもよい。
【図面の簡単な説明】
図1は、C末端修飾タンパク質(A)、修飾剤(B)、および、翻訳テンプレート(C)の構成を示す図である。
図2は、修飾剤の化学合成法を示す図である。図中、CPGは固相担体、DMTrは4,4'-ジメトキシトリチル基、Fmocはフルオレン-9-メトキシカルボニル基を示す。修飾剤1〜11の構造については第1表を参照。
図3は、修飾剤の化学合成法を示す図である。図中、MMTrは4-モノメトキシトリチル基を示す。修飾剤12〜18の構造については第2表を参照。
図4は、ヌクレオチドリンカーのc-Fosタンパク質のC末端修飾効率に対する影響を示す図である。左図は蛍光基にフルオレセインを用いた。右図は蛍光基にCy5を用いた。ピューロマイシン残基と蛍光基の間のヌクレオチドリンカーは、2'-デオキシシチジル酸(-dC-)、2'-デオキシシチジル-(3',5')-2'-デオキシシチジル酸(-dCdC-)、リボシチジル酸(-rC-)、リボシチジル-(3',5')-リボシチジル酸(-rCrC-)で、ヌクレオチドリンカーがないものは、(-none-)で示してある。
図5は、蛍光相互相関分光法による特異的なタンパク質-核酸相互作用の検出の結果を示す図である。1:Cy5-DNA+RG-Jun+Fos、2:Cy5-DNA+RG-Fos+Jun、3:Cy5-DNA+RG-Jun+Jun、4:Cy5-DNA+RG-Fos+Fos。1および2は、Fos、Jun、DNAの3種類全てを加えた試料、3および4は、FosまたはJunの一方が欠けている対照試料である。
図6は、翻訳テンプレートの一例の基本的構造および各要素のDNA塩基配列を示す図である。
図7は、翻訳テンプレートの蛍光修飾効率に及ぼす影響を示す図である。
A:本発明の翻訳テンプレートの3'末端領域のポリA配列の効果を示す。
B:本発明の翻訳テンプレートの5'UTRの翻訳エンハンサーの効果を示す。
図8は、タンパク質C末端のビオチン修飾およびストレプトアビジン膜への固定の結果を示す図(写真)である。1はビオチニル基と蛍光基(TAMRA)を同一分子に有する修飾剤でc-Junタンパク質のC末端を修飾した(ビオチン・蛍光修飾タンパク質(c-Jun))。2は蛍光基(TAMRA)のみを有する修飾剤でc-Junタンパク質のC末端を修飾した(蛍光修飾タンパク質(c-Jun))。3は対照実験で、1の修飾剤とモル比で1000倍量の遊離ビオチンを同時に加えた(ビオチン・蛍光修飾タンパク質(c-Jun)+遊離ビオチン)。
図9は、固相担体表面上でのタンパク質相互作用の検出結果及び結果の説明を示す図(写真)である。スライドガラス上に、Cy5(635nmで蛍光を測定)で修飾したFosとJunの結合領域のDNAを固定し、これに無修飾Fos存在下でローダミングリーン(532nmで蛍光を測定)でC末端が修飾されたJun(左)とp53タンパク質(右)をそれぞれ作用させた。
図10は、修飾剤の化学合成法を示す図である。図中Bocはtert-ブトキシカルボニル基を示す。
図11は、修飾剤の化学合成法を示す図である。修飾剤21〜25の構造については第4表を参照。
図12は、Cy5標識c-Junについて、ポリヒスチジンの長さとニッケルキレート機能による回収量を検討した結果を示す図(写真)である。25μM Cy5-dC-ピューロマイシン(修飾剤9)存在下、等濃度のmRNAを小麦胚芽抽出液で翻訳した。翻訳後上清(レーン1)、ニッケルキレート樹脂素通り(レーン2)、イミダゾール溶出(レーン3)の各画分を12.5%-SDSポリアクリルアミド電気泳動で分離し、蛍光画像解析装置(Molecular Imager FX、バイオラッド社)で検出した。Mは分子量マーカー(プレシジョンマーカー、バイオラッド社)である。ポリヒスチジンの長さが増えるに従い、蛍光標識タンパク質の回収が増加した。
図13は、各種Cy5-dC-ピューロマイシンを用いてc-Fosを標識し、ニッケルキレート樹脂での回収を検討した結果を示す。Aは精製後、17.5% SDS-PAGEで分離し、蛍光画像解析装置で検出した結果を示す図(写真)である。矢印は翻訳する時の各種ピューロマイシン濃度が増加する方向を示し、各レーンは12.5、25、50、100μMに相当する。BはAの各バンドの蛍光強度を示したグラフである。白丸はdC-ピューロマイシン(修飾剤9)、黒三角はdC-イミノビオチン(修飾剤25)、黒四角はdC-ビチオン(修飾剤24)である。イミノビオチンを含む標識化合物(修飾剤25)を用いた場合は、イミノビオチンを含まない標識化合物(修飾剤9)に比べて約2倍の効率で蛍光標識された。
図14は、イミノビオチンを含むCy5-dC-ピューロマイシン(修飾剤25)で標識されたc-Fosおよびc-Junタンパク質のストレプトアビジン樹脂による精製の結果を示す図(写真)である。ニッケルキレート樹脂で粗精製した画分(レーン1)、ストレプトアビジン樹脂素通り画分(レーン2)、ビオチン溶出画分(レーン3)を17.5% SDS-PAGEで分離後、蛍光画像解析(A)、イムノブロット(B)にて検出した。イムノブロットは電気泳動で分離後ポリビニリデンフロライド膜(ポールゲルマンサイエンス社)に電気的に転写し、T7タグに対するマウスモノクローナル抗体(ノバジェン社)、西洋ワサビペルオキシダーゼ標識ヤギ抗マウス抗体(トランスダクション社)を反応させ、ECLキット(アマシャムファルマシア社)を用いて化学発光させた。ニッケルキレート樹脂に結合したヒスチジンタグタンパク質のうち、ストレプトアビジン固定樹脂を素通りしたタンパク質は蛍光で検出されなかったが(レーン2)、ビオチン溶出画分は抗体、蛍光とも検出された(レーン3)。
図15は、イミノビオチンを含むCy5-dC-ピューロマイシン(修飾剤25)で標識されたc-Fosおよびc-Junの精製の結果を示す図(写真)である。ニッケルキレート樹脂精製画分(レーン1)およびストレプトアビジン固定樹脂精製画分(レーン2)をそれぞれ17.5% SDS-PAGEで分離し、SyproRuby(モレキュラープローブス社)にてタンパク質を染色後、蛍光画像解析した。ストレプトアビジン固定樹脂を用いることによって、ほぼ単一な成分に精製できた。
図16は、蛍光相互相関分光法によりタンパク質-タンパク質相互作用を測定した結果を示す。Cy5標識c-Jun、ローダミングリーン標識c-Fos、およびAP-1配列をもつDNA各10nMを混合した場合(Cy5-Jun+Rh-Fos+AP1)、相互相関Go(0)は約1.1で(黒丸)、この結果から算出された解離定数(Kd)は約1×10-8Mであった。一方、Cy5標識c-Fos、ローダミングリーン標識c-Fos、およびAP-1配列DNAの場合(Cy5-Fos+Rh-Fos+AP1)は相互相関が認められなかった(白丸)。
図17は、プロテインマイクロアレイを用いたタンパク質間相互作用の検出の結果及び説明を示す図である。最上図は調製の説明図である。(A)STA-Fos(F)およびSTA-Jun(J)のビオチンプレート上への固定化の蛍光標識抗体を用いた確認の結果を示す図(写真)及びその説明図を示す。(B)STA-Jun(J)とSTA-Fos(F)をビオチンプレート上へ固定化した後、C末端蛍光標識Fosを作用させた結果を示す図(写真)およびその説明図を示す。C末端蛍光標識FosはSTA-Jun(J)とは特異的に相互作用するが、STA-Fos(F)とは全く相互作用しないことが分かる。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
(1)本発明修飾タンパク質および本発明製造方法、並びに、本発明製造方法に使用される本発明修飾剤および本発明翻訳テンプレート
(1−1)本発明修飾タンパク質
本発明修飾タンパク質は、C末端が修飾されたタンパク質であり、図1のAに示すように、修飾剤がタンパク質のC末端に結合した構成をもっている。すなわち、本発明修飾タンパク質は、タンパク質と修飾剤とにより構成される。
本発明修飾タンパク質を構成する「タンパク質」とは、その機能が既知又は未知である相互作用の解析対象として用いるタンパク質を意味する。本発明のC末端修飾タンパク質は、このタンパク質と後述する標的分子との相互作用の有無の測定に使用できる。
このタンパク質は、天然タンパク質又はその変異体、および人工タンパク質又はその変異体の何れでもよい。天然タンパク質は、種々の生物の器官、組織又は細胞に由来するcDNAライブラリーから転写および翻訳される、多様性を有するタンパク質のライブラリーをも含むものである。人工タンパク質は、天然タンパク質の全てもしくは部分配列を組み合わせた配列、又はランダムなアミノ酸配列を含むものである。
本発明修飾タンパク質を構成するタンパク質は、全長タンパク質であることが好ましい。本明細書において「全長タンパク質」とは、C末端が完全に翻訳されているタンパク質、すなわち、そのタンパク質をコードする塩基配列の終上コドンの一つ前までのコドンが翻訳されて得られたタンパク質を意味する。全長タンパク質のN末端は、シグナルペプチドの切断等何らかのプロセシングを受けていてもよい。
また、本発明修飾タンパク質を構成するタンパク質は親和性タグと融合したタンパク質であってもよい。親和性タグの例としては、ポリヒスチジンペプチドやエピトープペプチド、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ、プロテインA、マルトース結合タンパク質、カルモジュリン結合ペプチド等が挙げられる。
(1−2)本発明修飾剤
本発明修飾剤は、図1のBに示すように、タンパク質の翻訳系でのペプチド転移反応、すなわち、リボソーム上でのペプチド転移反応によってタンパク質と結合し得る基(残基を含む)をもつアクセプター部が、ヌクレオチドリンカーを介して修飾部と結合した構成をもつ。この修飾剤の存在下でタンパク質合成を行い、得られるC末端修飾タンパク質を精製し、分子間相互作用の検出系を用いることによって、タンパク質相互作用の検出が可能となる。
修飾部に含まれる非放射性修飾物質の具体例としては、蛍光性、非蛍光性修飾物質等が挙げられる。蛍光性物質としては、フルオレセイン系列、ローダミン系列、Cy3、Cy5、エオシン系列、NBD系列等の蛍光色素や、緑色蛍光タンパク質(GFP)等の蛍光性タンパク質がある。また、非蛍光性物質としては、ビオチンのような補酵素、タンパク質、ペプチド、糖類、脂質類、色素、ポリエチレングリコール等、何らかの目印となり得る化合物であればいかなるものでもよい。
本発明修飾剤においては、修飾部が蛍光基、タンパク質と結合する基(例えばビオチニル基やイミノビオチニル基)、または、その両方をもつことが好ましい。特に、ビオニチル基やイミノビオチニル基を有することは、本発明修飾剤による修飾の効率が上昇するため、好ましい。
アクセプター部は、タンパク質の翻訳系で、ペプチド転移反応によってタンパク質と結合し得る基をもち、好ましくはピューロマイシン又はその誘導体の残基をもつ。
ピューロマイシンはアミノアシルtRNAと類似した構造をもち、タンパク質合成を阻害する抗生物質として知られているが、低濃度ではタンパク質にC末端に結合することが知られている(Miyamoto-Sato,E.et.al.(2000)Nucleic Acids Re.28:1176-1182)。本発明で用いることができるピューロマイシン誘導体は、ピューロマイシンと類似した構造を有し、タンパク質のC末端に結合することができる物質であればいかなるものでもよい。具体例としては、3'-N-アミノアシルピューロマイシンアミノヌクレオシド、3'-N-アミノアシルアデノシンアミノヌクレオシド等が挙げられる。
修飾部とアクセプター部との間をつなぐヌクレオチドリンカーとは、具体的には、リボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドが1個ないし複数個つながった核酸または核酸誘導体であり、特に好ましい例として、シトシン塩基を含むリボヌクレオチド(-rC-)またはデオキシリボヌクレオチド(-dC-)が1個ないし複数個つながった化合物が挙げられる。その他、修飾部とアクセプター部との間に挿入することによって修飾タンパク質の収量を上げることができる物質であればいかなるものでもよい。
本発明修飾剤においては、ヌクレオチドリンカーが2'-デオキシシチジル酸、2'-デオキシシチジル-(3',5')-2'-デオキシシチジル酸、リボシチジル酸、又は、リボシチジル-(3',5')-リボシチジル酸であることが好ましい。
修飾剤は、上記修飾部とアクセプター部とを所望のヌクレオチドリンカーを介して、それ自体既知の化学結合方法によって結合させることにより製造することができる。具体的には、例えば、適当な保護基で保護された上記アクセプター部を固体担体上に結合させ、核酸合成機等を用いてヌクレオチドリンカーとしてヌクレオチドホスホアミダイト、およびデオキシヌクレオチドホスホアミダイト、修飾物質として蛍光物質やビオチンなどを結合したヌクレオチドホスホアミダイトを順次結合させた後、脱保護を行うことによって作製することができる。上記各部の種類、あるいは結合の種類によっては液相合成法で結合させるかあるいは両者を併用することもできる。また、修飾物質としてニッケル等の金属イオンを用いる場合には、金属イオンが配位しうるニトリロトリ酢酸やイミノジ酢酸等のキレート性の試薬を結合させ、次いで金属イオンを配位させることができる。
(1−3)本発明翻訳テンプレート
本発明翻訳テンプレートは、本発明修飾タンパク質を製造する際に利用できる翻訳テンプレートであり、図1のCに示すように、ポリA配列を含む3'末端領域、転写プロモーターを含んだ5'非翻訳領域(5'UTR)、および、タンパク質のコードされたORF領域から構成される。翻訳テンプレートはDNAでもRNAでもよい。
さらに詳細には、本発明の翻訳テンプレートは、タンパク質をコードするORF領域と、ORF領域の5’側に位置する、転写プロモーターおよび翻訳エンハンサーを含んだ5'UTRと、ORF領域の3'側に位置する、ポリA配列(polyA)を含んだ3'末端領域から構成される。
さらに好ましい翻訳テンプレートは、5'UTRの転写プロモーターとしてSP6 RNAポリメラーゼのプロモーター配列を含み、翻訳エンハンサーとしてタバコモザイクウイルス(TMV)のオメガ配列の一部(O29)を含む。また、ORF領域がその下流部分に親和性タグ配列を含むことが好ましい。親和性タグ配列は、上述の親和性タグをコードする配列であり、好ましくはHis-tag(ポリヒスチジンタグ)配列を含む。本発明翻訳テンプレートを用いて製造された本発明修飾タンパク質をポリヒスチジンタグを用いて製造する場合には、ポリヒスチジンタグは長い方が、ニッケルキレート樹脂による回収率が向上するため、好ましい。ポリヒスチジンタグの好ましい長さの範囲は、修飾されるタンパク質の種類や標識の種類により変化し得るが、通常には、8〜12残基である。
なお、本明細書において「上流」および「下流」とは、転写または翻訳の方向におけるものを意味する。
本発明翻訳テンプレートは、DNAである場合、上記の領域を適当なDNAベクター又はプラスミドに導入することにより得られたDNAベクター又はプラスミドであってもよい。
また、本発明翻訳テンプレートは、RNAである場合、5'末端にCap構造があってもなくてもよい
(1−4)本発明製造方法
本発明製造方法、本発明修飾剤存在下で、本発明翻訳テンプレートを翻訳系で発現させてタンパク質合成を行わせ、合成されたタンパク質を精製することを含む。
本発明で用いられる翻訳系としては、無細胞タンパク質合成系や細胞発現系が挙げられる。無細胞タンパク質合成系の具体例としては、小麦胚芽抽出液、ウサギ網状赤血球抽出液、大腸菌S30抽出液等が挙げられる。これらの無細胞タンパク質合成系の中に、上記翻訳テンプレートを加え、同時に1〜100μMの修飾剤を加え、25〜37℃で1〜数時間保温することによってC末端修飾タンパク質が合成される。合成された修飾タンパク質は、そのまま次の精製プロセスまたは検出プロセスに供することができる。一方、細胞発現系の具体例としては、大腸菌、枯草菌、好熱菌、酵母等の細菌から、昆虫細胞、哺乳類等の培養細胞、さらに線虫、ショウジョウバエ、ゼブラフィッシュ、マウス等に至るまで、遺伝子導入が可能な細胞であればいかなるものでもよい。これらの細胞の中に、上記本発明翻訳テンプレートを導入し、同時に1〜100μMの本発明修飾剤を電気穿孔法、マイクロインジェクション法等により細胞の中に導入し、細胞の至適生育温度で数時間保温することによって修飾タンパク質が合成される。合成された修飾タンパク質は、細胞を破砕することによって回収し次の精製プロセスまたは検出プロセスに供することができる。また、そのまま細胞の中で検出プロセスに供することも可能である。翻訳テンプレートは、用いる翻訳系に合わせて適切なものを選択する。
本発明修飾タンパク質を精製する方法としては、アフィニティー、ゲルろ過、イオン交換等のクロマトグラフィーや、電気泳動、沈澱、透析等、一般にタンパク質の精製に用いられるあらゆる方法が利用可能である。好ましくは、アフィニティークロマトグラフィー、ゲルろ過、イオンクロマトグラフィー、電気泳動、沈殿、透析、および、それらの任意の組合せが挙げられる。特に好ましい例として、ポリヒスチジンペプチドやエピトープペプチド、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ、プロテインA、マルトース結合タンパク質、カルモジュリン結合ペプチド等の親和性タグを融合した修飾タンパク質を親和性樹脂で精製し、さらに未反応の修飾剤を完全に除去するためにゲルろ過カラムに数回かける方法がある。
また、上記の親和性タグを融合した修飾タンパク質を親和性樹脂で予め精製した後、修飾部のビオニチル基あるいはイミノビオチニル基とアビジンあるいはストレプトアビジンの親和性を利用して、未修飾タンパク質を完全に除き、100%修飾されたタンパク質を得る方法もある。
(2)相互作用の解析法
本発明は、本発明修飾タンパク質を利用したタンパク質と標的分子との間の相互作用の解析方法、すなわち、タンパク質と標的分子との間の相互作用を解析する方法であって、該タンパク質を含む本発明修飾タンパク質を用いることを特徴とする方法を提供する。
本発明の解析方法においては、通常には、上記で得られた本発明修飾タンパク質と標的分子を、修飾物質の種類や反応系の種類などにより適宜組み合わせて接触せしめ、該本発明修飾タンパク質又は該標的分子が発する信号において両分子間の相互作用に基づいて発生される上記信号の変化を測定することにより相互作用を解析する。相互作用の解析は、例えば、蛍光相関分光法、蛍光イメージングアナライズ法、蛍光共鳴エネルギー移動法、エバネッセント場分子イメージング法、蛍光偏光解消法、表面プラズモン共鳴法、又は、固相酵素免疫検定法により行われる。これらの方法の詳細については下記(3)で説明する。
「標的分子」とは、本発明修飾タンパク質と相互作用する分子を意味し、具体的にはタンパク質、核酸、糖鎖、低分子化合物などが挙げられ、好ましくは、タンパク質又はDNAである。
タンパク質としては、本発明修飾タンパク質と相互作用する能力を有する限り特に制限はなく、タンパク質の全長であっても結合活性部位を含む部分ペプチドでもよい。またアミノ酸配列、およびその機能が既知のタンパク質でも、未知のタンパク質でもよい。これらは、合成されたペプチド鎖、生体より精製されたタンパク質、あるいはcDNAライブラリー等から適当な翻訳系を用いて翻訳し、精製したタンパク質等でも標的分子として用いることができる。合成されたペプチド鎖はこれに糖鎖が結合した糖タンパク質であってもよい。これらのうち好ましくはアミノ酸配列が既知の精製されたタンパク質か、あるいはcDNAライブラリー等から適当な方法を用いて翻訳および精製されたタンパク質を用いることができる。
核酸としては、本発明修飾タンパク質と相互作用する能力を有する限り、特に制限はなく、DNAあるいはRNAも用いることができる。また、塩基配列あるいは機能が既知の核酸でも、未知の核酸でもよい。好ましくは、タンパク質に結合能力を有する核酸としての機能、および塩基配列が既知のものか、あるいはゲノムライブラリー等から制限酵素等を用いて切断単離してきたものを用いることができる。
糖鎖としては、本発明修飾タンパク質と相互作用する能力を有する限り、特に制限はなく、その糖配列あるいは機能が、既知の糖鎖でも未知の糖鎖でもよい。好ましくは、既に分離解析され、糖配列あるいは機能が既知の糖鎖が用いられる。
低分子化合物としては、本発明修飾タンパク質と相互作用する能力を有する限り、特に制限はない。機能が未知のものでも、あるいはタンパク質に結合する能力が既に知られているものでも用いることができる。
これら標的分子が本発明修飾タンパク質と行う「相互作用」とは、通常は、タンパク質と標的分子間の共有結合、疎水結合、水素結合、ファンデルワールス結合、および静電力による結合のうち少なくとも1つから生じる分子間に働く力による作用を示すが、この用語は最も広義に解釈すべきであり、いかなる意味においても限定的に解釈してはならない。共有結合としては、配位結合、双極子結合を含有する。また静電力による結合とは、静電結合の他、電気的反発も含有する。また、上記作用の結果生じる結合反応、合成反応、分解反応も相互作用に含有される。
相互作用の具体例としては、抗原と抗体間の結合および解離、タンパク質レセプターとリガンドの間の結合および解離、接着分子と相手方分子の間の結合および解離、酵素と基質の間の結合および解離、核酸とそれに結合するタンパク質の間の結合および解離、情報伝達系におけるタンパク質同士の間の結合と解離、糖タンパク質とタンパク質との間の結合および解離、あるいは糖鎖タンパク質との間の結合および解離が挙げられる。
用いられる標的分子は、態度に応じて修飾物質により修飾して用いることができる。修飾物質は、通常、蛍光性物質などの非放射性修飾物質から選択される。蛍光物質としては、フリーの官能基(例えばカルボキシル基、水酸基、アミノ基など)を持ち、タンパク質、核酸等の上記標的物質と連結可能な種々の蛍光色素、例えばフルオレセイン系列、ローダミン系列、Cy3、Cy5、エオシン系列、NBD系列などのいかなるものであってもよい。その他、色素など修飾可能な化合物であれば、その化合物の種類、大きさは問わない。
これらの修飾物質は、標的分子と本発明修飾タンパク質との間の相互作用に基づいて発生される信号の変化の測定又は解析方法に適したものが適宜用いられる。
上記修飾物質の標的分子への結合は、それ自体既知の適当な方法を用いて行うことができる。具体的には、例えば、標的分子がタンパク質の場合、上記(1−4)に記載したC末端を修飾する方法等を用いることができる。また標的分子が核酸の場合は、予め修飾物質を共有結合などで結合させたオリゴDNAプライマーを用いたPCRを行う方法などによって簡便に修飾することができる。
また、本発明修飾タンパク質または本発明に用いられる標的分子は態様に応じて、固相に結合させる(即ち、固定化する)場合があるが、固相に結合させる方法としては、修飾物質を介して結合させるものと、それ以外の部分により結合させるものが挙げられる。
修飾物質を介して結合させる場合に用いられる修飾物質は、通常には、特定のポリペプチドに特異的に結合する分子(以下、「リガンド」と称することがある。)であり、固相表面には該リガンドと結合する特定のポリペプチド(以下、「アダプタータンパク質」と称することがある)を結合させる。アダプタータンパク質には、結合タンパク質、受容体を構成する受容体タンパク質、抗体なども含まれる。
アダプタータンパク質/リガンドの組み合わせとしては、例えば、アビジンおよびストレプトアビジン等のビオチンおよびイミノビオチン結合タンパク質/ビオチン又はイミノビオチン、マルトース結合タンパク質/マルトース、Gタンパク質/グアニンヌクレオチド、ポリヒスチジンペプチド/ニッケルあるいはコバルト等の金属イオン、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ/グルタチオン、DNA結合タンパク質/DNA、抗体/抗原分子(エピトープ)、カルモジュリン/カルモジュリン結合ペプチド、ATP結合タンパク質/ATP、あるいはエストラジオール受容体タンパク質/エストラジオールなどの各種受容体タンパク質/そのリガンドなどが挙げられる。
これらの中で、アダプタータンパク質/リガンドの組み合わせとしては、アビジンおよびストレプトアビジンなどのビオチンおよびイミノビオチン結合タンパク質/ビオチン又はイミノビオチン、マルトース結合タンパク質/マルトース、ポリヒスチジンペプチド/ニッケルあるいはコバルト等の金属イオン、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ/グルタチオン、抗体/抗原分子(エピトープ)、などが好ましく、特にストレプトアビジン/ビオチン又はイミノビオチンの組み合わせが最も好ましい。これらの結合タンパク質は、それ自体既知のものであり、該タンパク質をコードするDNAは既にクローニングされている。
アダプタータンパク質の固相表面への結合は、それ自体既知の方法を用いることができるが、具体的には、例えば、タンニン酸、ホルマリン、グルタルアルデヒド、ピルビックアルデヒド、ビス−ジアゾ化ベンジゾン、トルエン-2,4-ジイソシアネート、アミノ基、活性エステルに変換可能なカルボキシル基、又はホスホアミダイドに変換可能な水酸基あるいはアミノ基などを利用する方法を用いることができる。
修飾物質以外の部分のより固相に結合させる場合は、通常タンパク質、核酸、糖鎖、低分子化合物を固相に結合させるのに用いられる既知の方法、具体的には例えば、タンニン酸、ホルマリン、グルタルアルデヒド、ピルビックアルデヒド、ビス−ジアゾ化ベンジゾン、トルエン-2,4-ジイソシアネート、アミノ基、活性エステルに変換可能なカルボキシル基、又はホスホアミダイドに変換可能な水酸基あるいはアミノ基などを利用する方法を用いることができる。
固相は、通常、タンパク質や核酸等を固定化するのに用いられるものでよく、その材質および形状は特に限定されない。例えば、ガラス板やニトロセルロースメンブレンやナイロンメンブレンやポリビニリデンフロライド膜、あるいはプラスチック製のマイクロプレート等を用いることができる。
(3)信号の変化の測定法
「測定」とは解析のために用いられる信号の変化を収集するための手段であり、いかなる意味においても限定的に解釈してはならない。用いられる測定法としては、例えば、蛍光相関分光法、蛍光共鳴エネルギー移動法、エバネッセント場分子イメージング法、蛍光偏光解消法、蛍光イメージングアナライズ法、表面プラズモン共鳴法、固相酵素免疫検定法など、分子間相互作用を検出できるあらゆる系が利用可能である。
この測定法は、標的分子が固定されたアレイ上に本発明修飾タンパク質を添加し、該標的分子と特異的に結合した本発明修飾タンパク質を検出することを含む方法も含む。標的分子が固定されたアレイとは、標的分子がそれらの同定が可能な配置で固定化されている固相を意味する。該標的分子と特異的に結合した本発明修飾タンパク質の検出の方法は、該標的分子と特異的に結合した本発明修飾タンパク質が検出される限り、特に限定されず、通常には、本発明修飾タンパク質を添加したアレイから、標的分子に結合しない本発明修飾タンパク質を洗浄により除去し、残った本発明修飾タンパク質を検出する方法が挙げられる。
以下、測定法の例について説明する。
(3−1)蛍光相関分光法
蛍光相関分光法Fluorescence Correlation Spectroscopy(FCS):Eigen,M.,et.al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,91,5740-5747(1994))は、共焦点レーザー顕微鏡等の下で、粒子の流動速度、あるいは拡散率、容積収縮等を測定する方法であり、本発明においては、本発明修飾タンパク質(C末端修飾タンパク質)と標的分子間の相互作用により元の修飾分子1分子の並進ブラウン運動の変化を測定することにより、相互作用する分子を測定することができる。
具体的には試料粒子が励起光により励起されて、試料液容積の一部において蛍光を放射し、この放射光を測定し光子割合を得る。この値は、特定の時間に観測されている空間容積中に存在する粒子の数と共に変化する。上述した種々のパラメターは自己相関関数を使用してこの信号の変動から算出され得る。このFCSを行う為の装置もカールツァイス(Zeiss)社等から市販されており、本方法においてもこれらの装置を用いて解析を行うことができる。
この方法を用いてタンパク質−標的分子間相互作用の測定又は解析を行う場合、C末端修飾タンパク質あるいは標的分子のいずれも溶液として供することが必要である(液相法)。標的分子は修飾の必要はない。また相互作用を調べようとするC末端修飾タンパク質より非常に分子量の小さい分子は、C末端修飾タンパク質のブラウン運動に影響を及ぼさないため本方法においてはふさわしくない。
しかし、2種類の蛍光色素を用いる蛍光相互相関分光法(FCCS)は、1種類の蛍光色素を用いるFCSでは困難であった同じくらいの分子量をもつタンパク質間の相互作用も検出できる。2種類の蛍光色素を用いる他の方法としては蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)法が知られているが、FRETが生じるためには2つの蛍光色素が40〜50Å以内に近接する必要があり、タンパク質の大きさや蛍光色素の付いている位置によっては、相互作用していてもFRETが観測されない危険性がある。FCCS法では相互相関の検出は蛍光色素間の距離に依存しないので、そのような問題がない。一方、他の検出系である蛍光偏光解消法と比較すると、FCCS法は必要なサンプル量が少なく、検出時間が短く、HTSのための自動化が容易等の長所がある。さらにFCCS法では蛍光標識された分子の大きさや数というきわめて基本的な情報が得られるので、表面プラズモン共鳴法のように汎用的な用途に利用できる可能性がある。両者の違いは、表面プラズモン共鳴法ではタンパク質が固定化された状態で相互作用を検出するのに対して、FCCS法ではより天然の状態に近い溶液中の相互作用を見ることができる点にある。FCCS法では、タンパク質の固定化が必要ないかわりに、タンパク質を蛍光色素で標識する必要があるが、本発明により、この課題を克服することが可能となった。
また、FCCS法では細胞内の環境に近い溶液状態でタンパク質・タンパク質相互作用やタンパク質・核酸相互作用を調べることができ、かつ解離定数(結合定数)を1回の測定で簡便に算出することができる。
本方法においてC末端修飾タンパク質に標的分子を接触せしめる方法としては、両分子が相互作用するに十分な程度に接触する方法であれば如何なるものであってもよいが、好ましくは市販のFCS用装置の測定用ウェルに通常生化学的に用いられる緩衝液等に適当な濃度でC末端修飾タンパク質溶解した溶液を投入し、さらに同緩衝液に適当な濃度で標的分子を溶解した溶液を投入する方法によって行われる。
この方法において、同時に多数の解析を行う方法としては、例えば上記FCS用測定装置の各測定用ウェルにそれぞれ異なる複数のC末端修飾タンパク質を投入し、これに特定の標的分子溶液を投入するか、あるいは特定のC末端修飾タンパク質を投入し、各ウェルに互いに異なる複数種の標的分子溶液を投入する方法が用いられる。
(3−2)蛍光イメージングアナライズ法
蛍光イメージングアナライズ法は、固定化された分子に、修飾分子を接触せしめ、両分子の相互作用により、固定化された分子上にとどまった修飾分子から発せられる蛍光を、市販の蛍光イメージングアナライザーを用いて測定又は解析する方法である。
この方法を用いてタンパク質−標的分子間相互作用の測定又は解析を行う場合、C末端修飾タンパク質あるいは標的分子のいずれか一方は上述した方法により固定化されていることが必要である。標的分子は固定化して用いる場合には修飾されているものと、されていないもののどちらも利用可能である。また、固定化しないで用いる場合には上記した修飾物質により修飾されていることが必要である。C末端修飾タンパク質は、修飾部を介して固定化されているものも、修飾部以外の部分で固定化されているものも用いることができる。
C末端修飾タンパク質、あるいは標的分子を固定化するための基板(固相)としては、通常、タンパク質や核酸等を固定化するのに用いられるガラス板やニトロセルロースメンブレンやナイロンメンブレン、あるいはプラスチック製のマイクロプレート等も用いることができる。また、表面が種々の官能基(アミノ基、カルボキシル基、チオール基、水酸基等)や種々のリガンド(ビオチン、イミノビオチン、ニッケルあるいはコバルト等の金属イオン、グルタチオン、糖類、ヌクレオチド類、DNA、RNA、カルモジュリン、受容体タンパク質等)が結合した上記基板等も用いることができる。
本方法において修飾標的分子あるいはC末端修飾タンパク質を固定化分子へ接触せしめる方法としては、両分子が相互作用するに十分な程度に接触する方法であればいかなるものであってもよいが、好ましくは修飾標的分子あるいはC末端修飾タンパク質を生化学的に通常使用される緩衝液に適当な濃度で溶解した溶液を作成し、これを固相表面に接触させる方法が好ましい。
両分子を接触せしめた後、好ましくは過剰に存在する修飾標的分子あるいはC末端修飾タンパク質を同緩衝液等により洗浄する工程を行い、固相上にとどまった標的分子あるいはC末端修飾タンパク質の修飾物質から発せられる蛍光信号、又は固定化されている修飾分子から発せられる蛍光と固相上にとどまった修飾分子から発生られる蛍光が混ざり合った信号を、市販のイメージングアナライザーを用いて測定あるいは解析することにより、固定化された分子と相互作用する分子を同定することができる。
この方法において、同時に多数の解析を行う方法としては、例えば上記固相表面に、複数のC末端修飾タンパク質あるいは修飾又は非修飾標的分子を番地付けして固定化する方法、あるいは1種類のC末端修飾タンパク質あるいは修飾又は非修飾標的分子に固定化されていない複数種のC末端修飾タンパク質あるいは修飾標的分子を接触させる方法等が用いられる。複数種のC末端修飾タンパク質あるいは修飾標的分子を接触させる場合には、固相にとどまった該分子を緩衝液の濃度の差等により解離させて取得し、これを既知の方法により分析することにより同定できる。
(3−3)蛍光共鳴エネルギー移動法
2種類の蛍光色素を用いる他の分子間相互作用検出法として、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)法がよく知られている。FRETとは、2種類の蛍光色素の一方(エネルギー供与体)の蛍光スペクトルと、もう一方(エネルギー受容体)の吸収スペクトルに重なりがあるとき、2つの蛍光色素間の距離が十分小さいと、供与体からの発光が起こらないうちに、その励起エネルギーが受容体を励起してしまう確率が高くなる現象をいう。したがって、相互作用を検出したい2つのタンパク質を、それぞれ供与体および受容体となる蛍光色素で標識しておき、供与体を励起すれば、2つのタンパク質が相互作用しない場合は、蛍光色素間の距離が大きいためFRETは起こらず、供与体の蛍光スペクトルが観察されるが、2つのタンパク質が相互作用して蛍光色素間の距離が小さくなると、FRETにより受容体の蛍光スペクトルが観察されるので、蛍光スペクトルの波長の違いからタンパク質間相互作用の有無を判別することができる。蛍光色素としては、供与体がフルオレセイン、受容体がローダミンという組み合わせがよく用いられている。また最近では、蛍光緑色タンパク質(GFP)の波長の異なる変異体の組み合わせにより、細胞の中でFRETを観察し相互作用を検出する試みがなされている。この方法の欠点としては、FRETが生じるために2つの蛍光色素が40〜50Å以内に近接する必要があるため、タンパク質の大きさや蛍光色素の付いている位置によっては、相互作用していてもFRETが観測されない危険性があるという点が挙げられる。
(3−4)エバネッセント場分子イメージング法
エバネッセント場分子イメージング法とは、Funatsu,T.,et al.,Nature,374,555-559(1995)等に記載されている方法で、ガラス等の透明体に固定化した分子に溶液として第2の分子を接触せしめ、これにエバネッセント場が発生する角度でレーザー光等の光源を照射し、発生したエバネッセント光を検出器によって測定又は解析する方法である。これらの操作は、それ自体既知のエバネッセント場蛍光顕微鏡装置を用いて行うことができる。
この方法を用いてタンパク質−標的分子間相互作用の測定又は解析を行う場合、C末端修飾タンパク質あるいは標的分子のいずれか一方は上記した方法により固定化されていることが必要である。標的分子は固定化する場合は修飾の必要はないが、固定化しないで用いる場合には上記した修飾物質により修飾されていることが必要である。
C末端修飾タンパク質、あるいは標的分子を固定化するための基板としては、ガラス等の材質の基板が用いられ、好ましくは石英ガラスが用いられる。また、レーザー光の散乱等を防ぐために表面を超音波洗浄したものが好ましい。
本方法において固定化していないC末端修飾タンパク質あるいは修飾標的分子を固定化分子へ接触せしめる方法としては、両分子が相互作用するに十分な程度に接触する方法であればいかなるものであってもよいが、好ましくは固定化していないC末端修飾タンパク質あるいは修飾標的分子を生化学的に通常使用される緩衝液に適当な濃度で溶解した溶液を作成し、これを固相表面に滴下する方法が好ましい。
両分子を接触せしめた後、エバネッセント場照明により励起された蛍光をCCDカメラ等の検出器を用いて測定することにより、固定化された分子と相互作用する分子を同定することができる。
この方法において、同時に多数の解析を行う方法としては、例えば上記基板に、複数のC末端修飾タンパク質あるいは修飾標的分子を番地付けして固定化する方法等が用いられる。
(3−5)蛍光偏光解消法
蛍光偏光法(Perran,J.,et al.,J.Phys.Rad.,1,390-401(1926))は、蛍光偏光で励起された蛍光分子が、励起状態の間、定常状態を保っている場合には同一の偏光平面で蛍光を放射するが、励起された分子が励起状態中に回転ブラウン運動等を行った場合に、放射された蛍光は励起光とは異なった平面になることを利用する方法である。分子の運動はその大きさに影響を受け、蛍光分子が高分子である場合には、励起状態の間の分子の運動はほとんどなく、放射光は偏光を保ったままになっているのに対して、低分子の蛍光分子の場合は、運動速度が速いために放射光の偏光が解消される。そこで、平面偏光で励起された蛍光分子から放射される蛍光の強度を、元の平面とそれに垂直な平面とで測定し、両平面の蛍光強度の割合からこの分子の運動性およびその存在状態に関する情報が得られるものである。この方法によれば、夾雑物があってもこれに影響されることなく、蛍光修飾された分子と相互作用する標的分子の挙動を追跡できる。これは蛍光修飾された分子と標的分子が相互作用するときにのみ、偏光度の変化として測定されるからである。
この方法を行うための装置としては例えばBECON(Panyera社製)等が市販されており、本方法もこれらの装置を用いることにより行うことができる。
この方法を用いてタンパク質−標的分子間相互作用の測定又は解析を行う場合、C末端修飾タンパク質あるいは標的分子のいずれも溶液として供する必要がある。標的分子は修飾の必要はない。また相互作用を調べようとするC末端修飾タンパク質より非常に分子量の小さい分子は、C末端修飾タンパク質のブラウン運動に影響を及ぼさないため本方法においてはふさわしくない。
本方法においてC末端修飾タンパク質に標的分子を接触せしめる方法としては、両分子が相互作用するに十分な程度に接触する方法であれば如何なるものであってもよいが、好ましくは市販の蛍光偏光解消装置の測定用ウェルに通常生化学的に用いられる緩衝液等に適当な濃度でC末端修飾タンパク質溶解した溶液を投入し、さらに同緩衝液に適当な濃度で標的分子を溶解した溶液を投入する方法によって行われる。
本方法において測定するC末端修飾タンパク質および標的分子との間の相互作用は、必ずしも抗原抗体反応ほど特異性は高くないことが考えられるため、最適の組み合わせを検出するためには、相互作用の程度を数値化することが有効である。相互作用の程度を示す指標としては、例えば一定濃度のC末端修飾タンパク質に対して、極大蛍光偏光度を与える最小標的物濃度の値等を用いることができる。
この方法において、同時に多数の解析を行う方法としては、例えば上記蛍光偏光解消法測定装置の各測定用ウェルにそれぞれ異なる複数のC末端修飾タンパク質を投入し、これに特定の標的分子溶液を投入するか、あるいは特定のC末端修飾タンパク質を投入し、各ウェルに互いに異なる複数種の標的分子溶液を投入する方法が用いられる。
(3−6)表面プラズモン共鳴法
表面プラズモン共鳴法とは、金属/液体界面で相互作用する分子によって表面プラズモンが励起され、これを反射光の強度変化で測定する方法である(Cullen,D.C.,et al.,Biosensors,3(4),211-225(1987-88))。この方法を用いてタンパク質−標的分子間相互作用の測定又は解析を行う場合、C末端修飾タンパク質は上記した方法により固定化されていることが必要であるが、標的分子の修飾は必要ない。
C末端修飾タンパク質を固定化するための基板としては、ガラスの等の透明基板上に金、銀、白金等の金属薄膜が構成されたものが用いられる。透明基板としては、通常表面プラズモン共鳴装置用に用いられるものであればいかなるものであってもよく、レーザー光に対して透明な材料からなるものとして一般的にはガラス等からなるものであり、その厚さは0.1〜5mm程度のものが用いられる。また金属薄膜の膜厚は100〜2000Å程度が適当である。このような表面プラズモン共鳴装置用固基板として市販されているものも用いることができる。C末端修飾タンパク質の上記基板への固定化は前述した方法により行うことができる。
本方法において標的分子をC末端修飾タンパク質へ接触せしめる方法としては、両分子が相互作用するに十分な程度に接触する方法であればいかなるものであってもよいが、好ましくは標的分子を生化学的に通常使用される緩衝液に適当な濃度で溶解した溶液に固定化されたC末端タンパク質を接触させる方法を用いることができる。
これらの行程は市販の表面プラズモン共鳴装置、例えばBIAcore2000(Pharmacia Biosensor社製)によってもよい。両分子を接触せしめた後、それ自体既知の表面プラズモン共鳴装置を用いて、それぞれの反射光の相対強度の時間的変化を測定することにより、固定化されたC末端修飾タンパク質と標的分子の相互作用が解析できる。
この方法において、同時に多数の解析を行う方法としては、例えば上記表面プラズモン共鳴装置に用いられる基板に、複数のC末端修飾タンパク質を番地付けして固定化するか、あるいは1種類の固定化されたC末端修飾タンパク質に複数種の標的分子を接触させる方法等が用いられる。
(3−7)固相酵素免疫検定法
固相酵素免疫検定法(Enzyme Linked Immunosorbent Assay(ELISA):Crowther,J.R.,Methods in Molecular Biology,42(1995))は、固相上に固定化した抗原に対し、抗体を含む溶液を接触せしめ、両分子の相互作用(抗原抗体反応)により、固定化された抗原上にとどまった抗体をこれと特異的に結合する修飾分子(IgG等)から発せられる蛍光、あるいは修飾分子を基質とする色素から発せられる信号を、市販の検出器(ELISAリーダー)を用いて測定又は解析する方法である。
この方法を用いてタンパク質−標的分子間相互作用の測定又は解析を行う場合、抗原となるC末端修飾タンパク質は上記した方法により固定化されていることが必要である。また抗体となる標的分子は上記した修飾物質により修飾されていることが必要である。
抗原となるC末端修飾タンパク質を固定化するための基板としては、通常ELISAに用いられるプラスチック製のマイクロプレート等も用いることができる。
本方法において抗体となる修飾標的分子を固相分子へ接触せしめる方法としては、両分子が相互作用するに十分な程度に接触する方法であればいかなるものであってもよいが、好ましくは修飾標的分子を生化学的に通常使用される緩衝液に適当な濃度で溶解した溶液を作成し、これをマイクロプレートに注入する方法が好ましい。
両分子を接触せしめた後、好ましくは過剰に存在する固定化分子に結合していない修飾分子を同緩衝液等により洗浄する工程を行い、固相上にとどまった修飾分子から発せられる蛍光を、市販のELISAリーダー等を用いて測定あるいは解析することにより、固定化された抗原分子と相互作用する分子を同定することができる。
この方法において、同時に多数の解析を行う方法としては、例えば上記マイクロプレートの各穴にそれぞれ異なる複数の修飾標的分子を固定化する方法が用いられる。
(4)相互作用する分子の同定方法
上記(3)のそれぞれの方法により測定されC末端修飾タンパク質との間に相互作用が認められた標的分子は、該分子の一次構造が未知の場合、それ自体既知の適当な方法により、その一次構造を解析することができる。具体的には、相互作用を認められた標的分子がタンパク質の場合、アミノ酸分析装置等によりアミノ酸配列を解析し、一次構造を特定することができる。また、標的分子が核酸の場合には、塩基配列決定方法により、オートDNAシーケンサーなどを用いれば塩基配列を決定することができる。
(5)C末端修飾タンパク質の固定化のための装置
上記(2)に記載したC末端修飾タンパク質の修飾部を介した固相への結合(固定化)方法を行うために、既知の適切な手段を組み合わせて装置を構築することもできる。本装置における各手段自体はそれぞれ既知のものであり、これらの手段における、基板の保持、C末端修飾タンパク質溶液の添加、洗浄等の各操作は、それ自体既知の方法により行えばよい。これらの操作を組み合わせ、全自動又は半自動の、C末端修飾タンパク質の固定化のための装置を構築することができる。
(6)タンパク質−標的分子間相互用測定のための装置
上記(3)に記載したタンパク質−標的分子間相互作用測定を行うために、既知の適切な手段を組み合わせて装置を構築することもできる。本装置における各手段自体はそれぞれ既知のものであり、これらの手段における、基板の保持、標的分子の添加、洗浄、信号検出等の各操作は、それ自体既知の方法により行えばよい。これらの操作を組み合わせ、全自動又は半自動の、タンパク質−標的分子間相互作用測定のための装置を構築することができる。
実施例
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、下記の実施例は本発明についての具体的認識を得る一助とみなすべきものであり、本発明の範囲は下記の実施例により何ら限定されるものではない。
実施例1 タンパク質の蛍光修飾の高効率化と蛍光相互相関分光法によるタンパク質相互作用の検出
がん遺伝子産物であるc-Fosおよびc-Junタンパク質は二量体を形成し、さらに特定の塩基配列をもつDNAを認識して結合し転写因子として機能する。この系をモデルとして、c-Fosおよびc-Junタンパク質を数種類の蛍光色素で修飾し、タンパク質間およびタンパク質-DNA相互作用を蛍光相互相関分光法により検出した。
1)修飾剤の合成
ピューロマイシン残基を含む修飾剤は、図2(固相法1)あるいは図3(固相法2)にその概略を示す方法を用いて合成した。ここで化合物1はIkedaらが報告した方法(Ikeda,S.et al.(1998)Tetrahedron Lett,39:5978-5978)を用い合成した。ヌクレオチドホスホアミダイト、修飾物質ホスホアミダイト、および化合物2はグレンリサーチ社(アメリカ合衆国、バージニア州)より購入した。修飾物質スクシンイミドはモレキュラプローブ社(アメリカ合衆国、オレゴン州)より購入した。UV吸収はBackman DU 640スペクトロフォトメーターを用いて測定した。マススペクトルはFinnigan MAT社のLasermat 2000を用いて測定した。
1−1)固相法1を用いた修飾剤1〜11の合成
化合物1(400mg,ピューロマイシン残基10μmol含有)に対し、以下のA〜Dの処理を所定数のヌクレオチドが導入されるまで繰り返し行なった。
A.3%トリクロロ酢酸−塩化メチレン溶液を1mL加え室温で3分間放置後、塩化メチレン5mLで3回洗浄する。再度同じ操作を繰り返した後、無水アセトニトリル5mLで5回洗浄する。
B.ヌクレオチドホスホアミダイト30μmol、0.457Mテトラゾール−無水アセトニトリル溶液100mL、および無水アセトニトリル1mLを加え、室温で15分間振盪する。アセトニトリル5mLで5回洗浄する。
C.50mMヨウ素溶液(テトラヒドロフラン−ピリジン−水=75:20:5(容量比))を1mL加え室温で3分間放置後、ピリジン5mLで3回洗浄する。再度同じ操作を繰り返した後、無水ピリジン5mLで5回洗浄する。
D.10%無水酢酸−ピリジン溶液1mLおよび触媒量の4,4-ジメチルアミノピリジンを加え室温で20分間放置後、ピリジン5mLで5回、塩化メチレン5mLで5回洗浄する。
上記の処理をし所定数のヌクレオチドが導入された化合物1に対し、上記Aの処理を行なった後、Bの処理をヌクレオチドホスホアミダイトに代え修飾物質ホスホアミダイト30μmolを用いて行ない、その後Cの処理を行なった。ここで得られた、修飾剤および所定数のヌクレオチドが導入された化合物1に濃アンモニア水1.5mLおよびエタノール0.5mLを加え、室温で14時間振盪した。ろ過により固相担体(CPG)を取り除き、ろ液を凍結乾燥した。図2中Yがtert-ブチルジメチルシリルオキシ基の場合は残査に1Mテトラブチルアンモニウムフルオリド−テトラヒドロフラン溶液400μLを加え、室温で14時間放置後減圧濃縮した。残査をHPLC(カラム:YMC社(京都府)製YMC pack ODS-A SH-343-5,溶離液:10〜60%アセトニトリル−0.1M酢酸トリエチルアンモニウム水溶液(pH7.0)の30分間の直線濃度勾配、流速:10mL/分)で精製後、凍結乾燥し修飾剤1〜11を得た。
修飾剤の物性は以下の通りであった。
修飾剤1:収率31%、UV(0.1Mトリス塩酸水溶液pH9.0)λmax 500nm;MS m/z 1298[M-H]-
修飾剤2:収率28%、UV(0.1Mトリス塩酸水溶液pH9.0)λmax 498nm;MS m/z 1586[M-H]-
修飾剤3:収率13%、UV(0.1Mトリス塩酸水溶液pH9.0)λmax 500nm;MS m/z 1314[M-H]-
修飾剤4:収率7%、UV(0.1Mトリス塩酸水溶液pH9.0)λmax 499nm;MS m/z 1619[M-H]-
修飾剤5:収率48%、UV(0.1Mトリス塩酸水溶液pH9.0)λmax 500nm;MS m/z 1312[M-H]-
修飾剤6:収率17%、UV(0.1Mトリス塩酸水溶液pH9.0)λmax 499nm;MS m/z 1617[M-H]-
修飾剤7:収率79%、UV(0.1Mトリス塩酸水溶液pH9.0)λmax 500nm;MS m/z 1320[M-H]-
修飾剤8:収率71%、UV(0.1Mトリス塩酸水溶液pH9.0)λmax 499nm;MS m/z 1336[M-H]-
修飾剤9:収率11%、UV(MeOH)λmax 643nm;MS m/z 1293[M-H]-
修飾剤10:収率8%、UV(MeOH)λmax 645nm;MS m/z 1582[M-H]-
修飾剤11:収率81%、UV(水)λmax 273nm;MS m/z 1164[M-H]-
合成された修飾剤の化学構造を第1表に示す。
Figure 0003750020
Figure 0003750020
Figure 0003750020
Figure 0003750020
1−2)固相法2を用いた修飾剤12〜18の合成
化合物1(400mg,ピューロマイシン残基10μmol含有)に対し、上記A〜Dの処理を所定数のヌクレオチドが導入されるまで繰り返し行なった。
上記の処理をし所定数のヌクレオチドが導入された化合物1に対し、上記Aの処理を行なった後、Bの処理をヌクレオチドホスホアミダイトに代え化合物2(30μmol)を用い行ない、その後Cの処理を行なった。ここで得られた、化合物2および所定数のヌクレオチドが導入された化合物1に対し3%トリクロロ酢酸−塩化メチレン溶液1mLを加え室温で10分間放置後、塩化メチレン5mLで3回洗浄した。再度同じ操作を繰り返した後、10%ジイソプロピルエチルアミン−塩化メチレン溶液5mLで3回、塩化メチレン5mLで5回洗浄し、減圧下乾燥した。得られた固形物に修飾物質スクシンイミド16mmol、ジイソプロピルエチルアミン16mL、およびジメチルホルムアミド1mLを加え室温で48時間振盪した。固形物をジメチルホルムアミド5mLで5回、エタノール5mLで5回洗浄した後、濃アンモニア水1.5mLおよびエタノール0.5mLを加え、室温で4時間振盪した。ろ過により固相担体(CPG)を取り除き、ろ液を凍結乾燥した。図1中Yがtert-ブチルジメチルシリルオキシ基の場合は残査に1Mテトラブチルアンモニウムフルオリドーテトラヒドロフラン溶液400μLを加え、室温で14時間放置後、減圧濃縮した。残査をHPLC[カラム:YMC社(京都府)製YMC pack ODS-A SH-343-5,溶離液:10-60%アセトニトリル−1.0M酢酸トリエチルアンモニウム水溶液(pH7.0)30分間の直線濃度勾配、流速:10mL/分)で精製後、凍結乾燥し、修飾剤12〜18を得た。
修飾剤の物性は以下の通りであった。
修飾剤12:収率6%、UV(MeOH)λmax 503nm;MS m/z 1295[M-H]-
修飾剤13:収率6%、UV(MeOH)λmax 504nm;MS m/z 1585[M-H]-
修飾剤14:収率3%、UV(MeOH)λmax 503nm;MS m/z 1313[M-H]-
修飾剤15:収率2%、UV(MeOH)λmax 504nm;MS m/z 1618[M-H]-
修飾剤16:収率2%、UV(MeOH)λmax 625nm;MS m/z 1484[M-H]-
修飾剤17:収率4%、UV(MeOH)λmax 646nm;MS m/z 1467[M-H]-
修飾剤18:収率4%、UV(MeOH)λmax 590nm;MS m/z 1639[M-H]-
図2の方法によって合成された修飾剤(修飾剤12〜18)の化学構造を第2表に示す。
Figure 0003750020
Figure 0003750020
Figure 0003750020
1−3)修飾剤19および修飾剤20の合成法
固相法1(図2)に従い、化合物1に対し所定数のヌクレオチドを導入後、修飾物質ホスホアミダイトを用い、修飾物質を所定の数導入した。次いで、脱保護および精製し、修飾剤19および20を得た。
修飾剤の物性は以下の通りであった。
修飾剤19
収率50%、UV(50% MeOH-H2O)λmax 558nm;MS m/z 1631[M-H]-
修飾剤20
収率44%、UV(50% MeOH-H2O)λmax 558nm;MS m/z 2037[M-H]-
化学合成された修飾剤19および20の化学構造を第3表に示す。
Figure 0003750020
2)DNAの調製
マウスc-fosおよびc-jun遺伝子を、マウスtestis cDNAライブリー(宝酒造社)から以下のようにクローニングした。まず、c-Junのアミノ酸配列中c-FosおよびDNAとの結合に必要な216〜318番目のアミノ酸残基(Ryder,K.and Nathans,D.(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.85,8464-8467)に相当する遺伝子領域を、PCR法により増幅し(用いたプライマーの塩基配列を配列番号1および2に示す)、愛媛大学・遠藤弥重太博士より供与されたプラスミドのSP6プロモーター配列の下流にクローニングし、プラスミドpSP6-junを得た。同様に、c-Fosの118〜211番目のアミノ酸残基(Van Beveren,C.,et al.(1983)Cell 32,1241-1255)に相当する領域を、プライマー(塩基配列を配列番号3および4に示す)を用いてcDNAライブラリーより増幅し、プラスミドpSP6-junのc-Junをコードする領域と入れ換え、プラスミドpSP6-fosを得た。クローニングの基本操作(遺伝子操作、大腸菌の形質転換および培養、プラスミドの回収など)はMolecular Cloning(Sambrook et al.1989.CSH press)にしたがった。
マウスc-fosおよびc-jun遺伝子を転写する際の鋳型となる直鎖状DNA断片を以下のように調製した。プラスミドpSP6-junを鋳型として、SP6プロモーターの上流のプライマー(塩基配列を配列番号5に示す)およびc-JunのC末端に6個のヒスチジンをコードする配列(Hisタグ)を付加するためのプライマー(塩基配列を配列番号6に示す)を用いて、PCR法より増幅した。同様に、プラスミドpSP6-fosを鋳型として、プライマー(塩基配列を配列番号5に示す)およびc-FosのC末端にHisタグを付加するためのプライマー(塩基配列を配列番号7に示す)を用いて、PCR増幅した。これら2つのDNAをQIAquick PCR精製キット(キアゲン社)を用いて精製し、転写反応に用いた。
マウスc-fos/c-Jun二量体と特異的に結合するDNAの蛍光修飾断片を以下のように調製した。蛍光色素Cy5で5'末端が修飾された互いに相補な一本鎖DNA(塩基配列を配列番号8および9に示す)を等モル混合し、0.1M NaCl存在下で95℃で保温した後、室温まで徐冷し、DNAをアニールさせ二本鎖DNAを得た。これをそのまま蛍光相互相関分光法の測定に用いた。
3)転写・翻訳
マウスc-fosおよびc-junの遺伝子DNAを、Ribomax RNA合成システム(プロメガ社)を用いてSP6 DNAポリメラーゼにより転写した(37℃、60分)。このとき反応液にRNAキャップアナログ(ライフテックオリエンタル社)を加え、RNAの5'末端を修飾した。合成されたRNAは、フェノール・クロロホルム処理後、エタノール沈澱により精製した。
さらにタンパク質に翻訳するため、得られたRNAを小麦胚芽抽出液(プロメガ社)に加え、25℃、60分反応させた。このとき、蛍光色素(フルオレセイン、ローダミングリーン、Cy5)とピューロマイシンとの間に各種のリンカーを挿入した修飾剤(修飾剤1〜18)をいろいろな濃度で加え、タンパク質のC末端を蛍光修飾した。修飾タンパク質の収率を比較するために、翻訳産物をSDSポリアクリルアミド電気泳動し、蛍光修飾タンパク質のバンドを蛍光イメージング装置(Molecular Imager FX、バイオラッド社)により検出・定量した。
図4に示すように、タンパク質c-FosのC末端修飾効率は、修飾剤のヌクレオチドリンカー構造によって大きく変化した。最も収率のよいリンカーは蛍光色素に依らず-dC-(修飾剤1、9、12)であり、修飾タンパク質の収率はヌクレオチドリンカーがない場合に比べて、最大100倍上昇した。これらの結果はc-Junタンパク質でも同様であった。ヌクレオチドリンカーが-dCdC-(修飾剤2、10、13)は-dC-に比べて修飾効率は低かった。また、蛍光基がフルオレセインの場合、-rC-(修飾剤3)は-dC-(修飾剤1)に比べて、修飾効率は非常に低かったが、反対に-rCrC-(修飾剤4)は-rC-(修飾剤3)に比べて高かった。ヌクレオチドリンカーが、-dT-(修飾剤5)、-dTdT-(修飾剤6)、-dA-(修飾剤7)、-dG-(修飾剤8)では、効果は顕著ではなかったが、デオキシシチジル酸あるいはリボシチジル酸の場合は顕著な効果を示した。また、蛍光基の種類により、修飾剤の至適濃度の違いが見られた。Cy5の場合(修飾剤9と10)、フルオレセイン(修飾剤1と2)に比べてラベル化効率の至適濃度が半分程度低かった。蛍光基がローダミングリーン(RG)の場合(修飾剤12と13)は、至適濃度の傾向はCy5の場合によく似ていた。
蛍光相関分光法の測定に用いる蛍光修飾タンパク質は、未反応の蛍光色素を除去するため、以下の手順で精製した。まず、翻訳反応液を平衡化したニッケルNTAアガロース樹脂(キアゲン社)と混合し、蛍光修飾タンパク質のC末端のHisタグとニッケルイオンとの特異的な結合により樹脂と吸着させ、洗浄後、イミダゾールで溶出した。さらに、タンパク質を含む溶出画分をゲルろ過カラム(PD-10、ファルマシア社)に2回かけ、溶出液をセントリコン(ミリポア社)で遠心濃縮した。
4)蛍光相互相関分光法
蛍光基にローダミングリーン(RG)を有する修飾剤(修飾剤12)で修飾されたタンパク質c-Fosおよびc-JunとCy5で修飾されたDNAとを用いて、蛍光相互相関分光法の測定を行った。まず、精製されたタンパク質およびDNAをそれぞれ最終濃度10nMとなるように混合し、37℃で60分保温した。この試料10μLを8連ガラスチェンバー(ヌンク社)にのせ、蛍光相関分光系ConfoCor2(カールツァイス社)を用いて蛍光相互相関を測定した。その結果、Fos、JunおよびDNAの3種類全てを加えた試料では相互相関が観測されたが(図5の1、2)、FosまたはJunの一方が欠けている対照試料では相互相関は観測されなかった(図5の3、4)。観測された相互相関の数値解析の結果、全体の約30%の分子が結合して複合体を形成していることが分かった。また、この結果から直接計算される解離定数は10-8Mで、これは従来から知られていた別の方法によって求められた値とよく一致した。
以上の結果から、蛍光色素とピューロマイシンとの間にデオキシシチジル酸のリンカーを挿入した修飾剤を用いることによって、従来の約100倍の収率でタンパク質のC末端を蛍光修飾できることが分かった。さらに、本発明の方法で修飾したタンパク質を用いることによって、初めて蛍光相互相関分光法でタンパク質相互作用を検出することが可能となり、実用化のメドが立った。
実施例2 小麦胚芽の無細胞翻訳系における翻訳テンプレートと蛍光修飾効率
マウス由来のc-junあるいはc-fosの組み込まれているベクターやプラスミドの配列、あるいはそれらの配列を含むDNAテンプレートをTaKaRa Ex Taq(宝酒造)をもちいてPCRで増幅し、QIAquick PCR Purification Kits(QIAGEN)で精製した。PCRのテンプレートは、c-jun[pSPAM]、c-fos[pSPAM]およびc-jun[F](それぞれ塩基配列を配列番号10〜12に示す)を用い、プライマーは、Primer1(フォワードプライマー)としてSP6Fと5'SP6-O29(それぞれ塩基配列を配列番号13および14に示す)を、Primer2(リバースプライマー)としてJunHis、JunHisA、FosHis、FosHisA、JunFlagA、3'HisAおよび3'HisAおよび3'FlagA(それぞれ塩基配列を配列番号15〜21に示す)を用いた。以上の方法により翻訳テンプレート(DNAテンプレート)を得た。これをRiboMAXTM Large Scale RNA Production Systems(Promoega)を用いて、転写(37℃,2h)し、RNeasy Mini Kits(QIAGEN)で精製し翻訳テンプレート(RNAテンプレート)を得た。翻訳テンプレートの基本的構造および各要素のDNA塩基配列を図6に示す。以下、翻訳テンプレートを、増幅に用いたプライマーに従って「Primer1名-Primer2名」の形で呼ぶ。
翻訳テンプレートのポリA効果の実験と翻訳エンハンサーのO29の効果をみるために2つの実験を行なった。両実験ともWheat Germ Extract(Promega)を用いて蛍光修飾剤(修飾剤1)の存在下、翻訳(26℃,60min)を行い、翻訳と同時にタンパク質を修飾し、17.5% SDS-PAGEで泳動し、蛍光(Fluorescein)によってマルチ画像解析装置、Molecular Imager FX(Bio-Rad)で確認した。分子量約20〜25KDaのJunあるいはFosタンパク質を得た。各修飾効率の相対比の結果は以下のテンプレートについて図7にまとめた。図7の実験では、翻訳テンプレートとして、ポリAの配列効果実験では、SP6F-JunHis、SP6F-JunHisA、SP6F-FosHisおよびSP6F-FosHisAを、O29効果実験では、SP6F-JunFlagA、SP6-O29Jun-FlagA、SP9F-JunHisAおよびSP6-O29Jun-Hisを用いた。ポリA効果の実験では、SP6F-FosHisAを、O29効果の実験では5'SP6-O29-JunHisAを1.0として換算している。
ポリA配列効果では、タンパク質によらず、JunでもFosでもポリA配列がある方が、ないものに比べて修飾効率が3倍ほど高くなった(図7)。また、翻訳エンハンサーはO29配列の方がAMV配列よりも修飾効率が高い傾向を示した。特に、親和性タグがHis-tagである場合は、修飾効率が2倍に上昇した。タンパク質の修飾におけるポリA配列、O29配列およびHis-tag配列の効果が確認された。実施例1では翻訳テンプレートの翻訳エンハンサーとしてAMVが用いられ、また、ポリA配列は用いられなかった。本実施例で用いたSP6-O29Jun-HisAの翻訳テンプレートの翻訳効率は、実施例1のAMVを用いた翻訳テンプレートに比べて5〜6倍ほど高かった。従って、SP6-O29Jun-HisAの翻訳テンプレートとヌクレオチドリンカーを有する修飾剤を組み合わせて用いると、タンパク質のC末端修飾効率が従来の方法(特開平11-322781、特開2000-139468)に比べて、500倍ほど高まることが明らかになった。
実施例3 タンパク質C末端のビオチン修飾およびストレプトアビジン膜への固定
マウスc-JunをコードするDNAの調製、転写・翻訳、およびc-Junタンパク質の精製は、実施例1と同様の方法で行なった。
ビオチンと蛍光色素(TAMRA)を同一分子内にもつ修飾剤(修飾剤20)と、蛍光色素(TAMRA)のみをもつ修飾剤(修飾剤19)でC末端を修飾したc-Junタンパク質を、ストレプトアビジン膜(SAM Biotin Capture Membrane;プロメガ社)上に5μLスポットし、1分後、膜を2M NaCl溶液50mLで4回、蒸留水で2回洗浄し、イメージアナライザー(Molecular Imager FX、バイオラッド社)でTAMRAの蛍光を532nmで検出した。その結果、図8に示すように、ビオチンと蛍光色素を同一分子内にもつ修飾剤(修飾剤20)でC末端修飾されたc-Junタンパク質は、ストレプトアビジン膜上に固定化されることがわかった(図8;1)。しかし、ビオチンをもたず蛍光色素のみをもつ修飾剤(修飾剤19)は、ストレプトアビジン膜上に固定化されなかった(図8;2)。対照実験として、モル比で1000倍量の遊離ビオチンを同時に加えた場合、ビオチン化c-Junタンパク質の膜への結合は競合阻害された(図8;3)ので、c-Junの膜への吸着はビオチン特異的な結合であることがわかる。
実施例4 固定化法によるタンパク質相互作用の解析(1)
Fos/Jun二量体の結合領域を含むDNAフラグメントを、Cy5で修飾したプライマーによるPCRで増幅した。DNAの精製にはQIAquick PCR精製(QIAGEN)を用いた。標識したDNAフラグメントを200μg/mlの濃度で含むスポッティング溶液(150mMリン酸ナトリウム/0.01% SDS、pH8.5)を調製した。
マイクロアレイヤー(Micro Grid、BioRobotics)にスライドグラス(DNA-Ready TM TypeII Slides、CLONTECH)をセットしてスポッティングを行った(スポッティングの条件:庫内温度約25〜28℃前後、湿度38〜42%、ソリッドピン使用、0.7mm間隔)。
スポッティング後、80℃で2時間インキュベートし、スポット面に水蒸気をあて、スポットに含水させた。100℃のホットプレート上で水分をとばした後、UVを照射して固定させた。スライドグラスをブロッキング溶液(コハク酸4g、1-メチル-2-ピロリディノン252ml、1Mほう酸(pH8)28ml)に浸して最初1分間激しく振盪して、その後20〜30分間振盪した。90℃の蒸留水で洗浄、次いで、99.5%エタノールで洗浄後、乾燥させた。
DNAを固定したスライドグラスにハイブリダイゼーション溶液をのせ、パラフィルムでカバーして、スポット面全体に広げた。アルミホイルで遮光し、37℃で30分間インキュベートした(乾燥を防ぐために、スライドグラスを並べた台の下に水を張った)。1×バッファー中で5分間振盪し、液を交換して繰り返した。5000rpm、4℃で遠心した後、乾燥し、スライド上のスポットの蛍光をマイクロアレイスキャナー(Axon Instruments社Gene Pix 4000A)を用い、532nmと635nmで検出した。
すなわち、スライドガラス上に、Cy5で修飾したFosとJunの結合領域のDNA(635nmで蛍光を測定)を固定し、これにFos存在下で、ローダミングリーンを蛍光基としてもつ修飾剤(修飾剤12)でC末端が修飾されたJunとp53タンパク質(532nmで蛍光を測定)をそれぞれ振りかけ、DNA-Fos-Junの間とDNA-Fos-p53の間の相互作用を調べた。結果は図9に示した通りである。左上の像ではローダミングリーンでC末端修飾されたJunがFos存在下でDNAと結合していることがわかる(532nmでローダミングリーンの蛍光を検出することによりJunまたはp53の存在が分かる)。また、同一試料に関する左下の像では、Cy5で修飾したDNAが固定化され、存在していることがわかる(635nmでCy5の蛍光を検出することによりDNAの存在が分かる)。一方、右上の像では、ローダミングリーンの蛍光が検出されないので、p53がFos存在下でDNAと結合していないことがわかる。同一の試料に関する右下の像では、Cy5の蛍光が検出されるので、DNAは存在していることが確認される。その結果、蛍光修飾されたJunが、Fos存在下で結合領域のDNAと特異的に結合していることがわかる。本実施例では、タンパク質を修飾後、精製操作を行わず相互作用を調べた。それでも図9に示した程度の明確な相互作用の差異が見られたことは、翻訳効率と修飾効率が上昇し、相互作用可能な十分量のC末端修飾タンパク質がつくられたことを意味する。
実施例5 蛍光修飾タンパク質の高純度精製および蛍光相互相関分光法によるタンパク質間相互作用の解析
C末端標識タンパク質間での分子間相互作用の速度論的解析が可能となるよう、標識タンパク質の高純度精製を目的とした。翻訳鋳型および標識化合物にそれぞれ異なる親和性タグを導入した。翻訳産物を2段階で親和精製することにより、C末端が蛍光色素で標識されたタンパク質を高純度に精製することが可能となった。ローダミングリーン、Cy5で蛍光標識した癌遺伝子産物c-Fosおよびc-Junタンパク質をそれぞれ2段階精製し高純度精製標品を得た。蛍光相互相関分光法によってAP-1(c-Fosとc-Junの二量体の結合領域DNA)/ローダミングリーン標識c-fos/Cy5標識c-Jun複合体形成を検出し、分子間相互作用の解析値から解離定数(Kd)を算出した。
1)修飾剤の合成
修飾剤21〜25は、図10および図11にその概略を示す方法を用いて合成した。図10で化合物1’は化合物1と同様の方法を用いて合成した。各ホスホアミダイトはグレンリサーチ社(アメリカ合衆国、バージニア州)より、修飾物質1スクシンイミドはピアス社(アメリカ合衆国、イリノイ州)より、修飾物質2スクシンイミドはモレキュラープローブ社(アメリカ合衆国、オレゴン州)およびアマシャム・ファルマシアバイオテック社(スエーデン、ウプサラ)より、購入した。
化合物1’(400mg,ピューロマイシン10μmol含有)に対し、固相法1に示したA〜Dの処理を所定数のヌクレオチドが導入されるまで繰り返し行なった。
上記の処理をし所定数のヌクレオチドが導入された化合物1’に対し、Aの処理を行なった後、Bの処理をヌクレオチドホスホアミダイトに代え化合物2(30μmol)を用いて行ない、その後Cの処理を行なった。ここで得られた、化合物2および所定数のヌクレオチドが導入された化合物1’に対し修飾剤21の場合は50mM炭酸ナトリウム-メタノールを2mL、修飾剤22〜25の場合は濃アンモニア水1.5mLおよびエタノール0.5mLを加え、室温で14時間震盪した。ろ過により固体担体(CPG)を取り除き、ろ液を減圧濃縮した。残査をHPLC[カラム:YMC社(京都府)製YMC pack ODS-A SH-343-5,溶離液10-60%アセトニトリル-0.1M酢酸トリエチルアンモニウム水溶液(pH7.0)30分間の直線濃度勾配、流速10mL/分]で精製後、凍結乾燥した。
修飾剤21の場合、上記の残査を80%酢酸-水2mLに溶解させ、室温で4時間放置後、減圧濃縮した。残査を30%アセトニトリル-水1mLに溶解させ、1M炭酸水素ナトリウム-水(pH8.3)を0.1mL、および修飾物質1スクシンイミド0.1mmolをN,N'-ジメチルホルムアミド0.5mLに溶解させた液を加え、室温で2時間放置した。その後、Poly-PakII(グレンリサーチ社)で脱塩し減圧濃縮した。
修飾剤22〜25の場合、上記の残査を30%アセトニトリル-水1mLに溶解させ、1M炭酸水素ナトリウム-水(pH8.3)を0.1mL、および修飾物質2スクシンイミド0.1mmolをN,N'-ジメチルホルムアミド0.5mLに溶解させた液を加え、室温で2時間放置した。その後、Poly-PakIIで脱塩し減圧濃縮した。残査を80%酢酸-水2mLに溶解させ、室温で4時間放置後、減圧濃縮した。残査を30%アセトニトリル-水1mLに溶解させ、1M炭酸水素ナトリウム-水(pH8.3)を0.1mL、および修飾物質1スクシンイミド0.1mmolをN,N'-ジメチルホルムアミド0.5mLに溶解させた液を加え、室温で2時間放置した。その後Poly-PakIIで脱塩し減圧濃縮した。
修飾剤21の場合および修飾剤22〜25の場合、両方とも上記の残査に60%トリフルオロ酢酸-水2mLを加え、室温で30分間放置後、減圧濃縮した。残査をHPLC[カラム:YMC社(京都府)製YMC pack ODS-A SH-343-5,溶離液10-60%アセトニトリル-0.1M酢酸トリエチルアンモニウム水溶液(pH7.0)30分間の直線濃度勾配、流速10mL/分]で精製後、凍結乾燥し修飾剤21〜25を得た。
修飾剤26は、化合物1より固相法1を用いて合成した。ここで、修飾物質1あるいは修飾物質2を含むホスホアミダイトはグレンリサーチ社(アメリカ合衆国、バージニア州)より購入した。
修飾剤の物性は以下の通りであった。
修飾剤21:収率32%、UV(H2O)λmax 558nm;MS m/z 2035[M-H]-
修飾剤22:収率8%、UV(H2O)λmax 506nm;MS m/z 2093[M-H]-
修飾剤23:収率8%、UV(H2O)λmax 506nm;MS m/z 1979[M-H]-
修飾剤24:収率13%、UV(H2O)λmax 649nm;MS m/z 2375[M-H]-
修飾剤25:収率13%、UV(H2O)λmax 649nm;MS m/z 2261[M-H]-
修飾剤26:収率22%、UV(H2O)λmax 646nm;MS m/z 1977[M-H]-
合成された修飾剤の化学構造を、第4表に示す。
Figure 0003750020
Figure 0003750020
Figure 0003750020
2)DNAの調製
鋳型DNAは実施例1のDNAの調製の項で調製したマウスc-fosおよびc-jun遺伝子の載ったプラスミドを用いた。c-junおよびc-fosはそれぞれDNAとの結合に必要なドメインを含む領域を、SP6プロモーター、Ω配列、およびT7タグ(T7-tag)を含むプライマー(配列番号22)と、ヒスチジンタグ、終止コドン、ポリA配列を含むリバースプライマー(配列番号23又は24)によってPCR法により増幅した。PCR産物はトポTAクローニングキット(インビトロジェン社)を用いてpCR2.1TOPOベクターへサブクローニングした。方法の詳細はメーカー記載のプロトコールに従った。塩基配列を確認したプラスミドDNAは、Wizard Plus SV Minipreps DNA Purification System(プロメガ社)を用いて精製した。
RNA合成のための直鎖状鋳型DNAは、挿入部より上流のベクター配列の一部を用いたプライマー(配列番号25)と、ヒスチジンタグ部分のリバースプライマーを用いてPCR法で得た。翻訳タンパク質の回収を検討するために、ポリヒスチジン(長さ6〜12残基)に相当するリバースプライマー(配列番号26〜29)を作成した。鋳型DNAをQIAquick PCR Purification Kits(キアゲン社)にて精製した。
3)転写、翻訳
鋳型DNAをキャップアナローグ(ライフテックオリエンタル酵母社)存在下でSP6 RiboMAX Large Scale RNA Production System(プロメガ社)を用いて転写した(37℃、3時間)。詳細はメーカー記載のマニュアルに従った。転写後、キットに添付のデオキシリボヌクレアーゼで鋳型DNAを除去し、SV Total RNA Isolation system(プロメガ社)で精製RNAを得た。
翻訳はメーカー記載のマニュアルに従い、精製RNA 5mg、小麦胚芽抽出液(Wheat germ extract、プロメガ社)100μlを用いた。同反応系にビオチンあるいはイミノビオチンと蛍光色素(ローダミングリーングリーン、Cy5)を同一分内に導入した蛍光標識用化合物(修飾剤22〜26)を加えて、C末端が蛍光標識されたタンパク質を合成した(25℃、1時間)。ビオチンを導入した蛍光色素の至適濃度はCy5(修飾剤24、26)、ローダミングリーン(修飾剤22)共およそ125μM、また、イミノビオチンを導入した蛍光色素の至適濃度は、Cy5(修飾剤25)では30μM、ローダミングリーン(修飾剤23)は12.5μMであった。
4)蛍光標識タンパク質の精製
ニッケルキレート樹脂Ni-NTA Superflow(キアゲン社)を用いた精製をメーカー添付のマニュアルに従って行った。反応液にプロテアーゼ阻害剤(ヒスチジンタグタンパク質精製用カクテル、シグマ社)0.1μlおよび5倍容の結合緩衝液を加えた後、ニッケルキレート樹脂混濁液20μlを穏やかに混和した(4℃、1時)。十分に樹脂を結合緩衝液で洗った後、0.5Mイミダゾールを含む緩衝液50μlでヒスチジンタグタンパク質を溶出した。
通常のヒスチジンタグタンパク質は長さ6残基のポリヒスチジンタグで十分にニッケルキレート樹脂に回収されるが(Abate,C.et al.,(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA.87,1032-1036)、本標識法の場合、長さ6残基のポリヒスチジンでは若干回収が低いので、ヒスチジンの数をさらに増やしてニッケルキレート樹脂による回収量を検討した。翻訳後上清、ニッケルキレート樹脂素通り、及び、イミダゾール溶出の各画分をSDSポリアクリルアミド電気泳動(SDS-PAGE)にて分離し、蛍光画像解析装置(Molecular Imager FX、バイオラッド社)で検出した。ポリヒスチジンの長さが増えるに従い、蛍光標識タンパク質の回収量が増加した(図12)。c-Fosの場合も同様の結果であった。また、イミノビオチンを含む標識化合物(修飾剤25)で蛍光標識した場合は、イミノビオチンを含まない標識化合物(修飾剤9)を用いた場合に比べて、および2倍の効率で標識された(図13)。
イミノビオチンを含む標識タンパク質は、ストレプトアビジン固定樹脂Strept avidin Sepharose High Performance(アマシャムファルマシア社)でさらに精製した。同樹脂による精製はメーカー記載のマニュアルに従って行った。上記イミダゾール溶出画分に対して、5倍容の結合緩衝液を加え、あらかじめ平衡化した10μlの樹脂を穏やかに混和した(4℃、30分)。結合緩衝液で十分に樹脂を洗浄した後、50μlの50mMビオチンを含む緩衝液で溶出した。
ビオチンを含む標識タンパク質は、アビジン単量体固定樹脂UltraLink Immobilized Monomeric Avidin(ピアス社)で精製した。同樹脂による精製はメーカー記載のマニュアルに従って行った。上記イミダゾール溶出画分に対して、9倍容の結合緩衝液を加え、あらかじめ平衡化した10μlの樹脂を穏やかに混和した(4℃、30分)。結合緩衝液で十分に樹脂を洗浄した後、50μlの50mMビオチンを含む緩衝液で溶出した。
イミノビオチンを含むCy5標識されたタンパク質をSDS-PAGEで分離後、蛍光画像解析およびイムノプロットにて精製を確認した(図14のAおよびB)。イムノプロットは、電気泳動後のゲルをポリビニリデンフロライド膜(ボールゲルマンサイエンス社)に電気的に転写し、N末端に配したT7タグに対するマウスモノクローナル抗体(ノバジェン社)および西洋ワサビペルオキシダーゼ標識ヤギ抗マウス抗体(トランスダクション社)を反応させ、ECLキット(アマシャムファルマシア社)を用いて化学発光させた。このイムノブロット法は同キットのメーカー記載のマニュアルに依った。ニッケルキレート樹脂に結合したヒスチジンタグタンパク質のうち、ストレプトアビジン固定樹脂を素通りしたタンパク質は蛍光で検出されなかったが、ビオチン溶出画分は、抗体および蛍光の両方で検出された(図14のAおよびB、レーン2、3)。
精製した標識タンパク質の純度を検討した。蛍光標準液はそれぞれ、650nmにおける分子吸光係数25,000で定量したCy5色素および、505nmにおける分子吸光係数68,000で定量したローダミングリーン色素とした。0.1Mトリス塩酸緩衝液pH8に溶解した試料100μlを黒色384穴ポリスチレンプレート(ヌンク社)に供し、蛍光画像解析装置により定量した。精製画分に含まれるc-Fosおよびc-Jun濃度は、T7タグリコンビナントタンパク質(ノバジェン社)を標準物質としてドットブロット法で定量した。試料1μlをそれぞれニトロセルロース膜(シュライヤーシュルツ社)にスポットし、マウス抗T7タグ抗体および西洋ワサビペルオキシダーゼ標識ヤギ抗マウス抗体を反応させた。ECLを用いた化学発光を化学発光解析装置(Molecular Imager ChyemiDoc、バイオラッド社)で検出した。精製画分のT7タグタンパク質と蛍光のモル濃度の比は90%以上であった(第5票)。精製タンパク質をSDS-PAGEで分離後、タンパク質染色したところ、ほぼ単一な成分であることが確認された(図15)。
Figure 0003750020
5)蛍光相互相関分光法
蛍光標識c-Fosおよびc-JunならびにAP-1配列2本鎖DNAを用いて、蛍光相互相関分光法にて分子間相互作用の解析を行った。DNAおよび標識タンパク質(それぞれ最終濃度10nM)を混合した。この試料10μlを8連ガラスチェンバー(ヌンク杜)に供し、蛍光相関分光計ConfoCor2(カールツァイス杜)を用いて蛍光相互相関を測定した。その結果、c-Fos、c-JunおよびDNAの3種類全てを加えた試料では相互相関が確認されたが、c-Junを含まない対照試料では相互相関は認められなかった(図16)。相互相関の解析結果から下記計算式に従って算出された解離定数(Kd)は、約1×10-8Mであった。他の手法によって得られた解離定数は、約1×10-9Mから約1.1×10-7M(Heuer,K.,et.al.,(1996)Biochemistry 35,9069-9075、Pernelle,C.,et al.,(1993)Biochemistry 32,11682-11687)と報告されているが、本発明の蛍光標識タンパク質を用いた結果はこれに矛盾しない。以上から、本発明によって蛍光標識されたタンパク質は、蛍光相互相関分光法を用いてタンパク質相互作用を検出することができ、さらに、解離定数の簡便かつ迅速な測定に利用できることが確認された。
・計算式1
相互相関分析からNac,r、Nac,g、Gc(O)が得られる。
ここで
Figure 0003750020
CY5およびローダミンで蛍光標識された粒子の数;
Figure 0003750020
Cy5のみで標識された粒子の数;
Nr=Nac,r−Ngr
ローダミンのみで標識された粒子の数;
Ng=Nac,g−Ngr
以上から、解離定数は
Figure 0003750020
実施例6 固定化法によるタンパク質相互作用の解析(2)
1) 修飾剤の合成
修飾剤19は、実施例1で合成したものを用いた。
2) DNAの調製
2-▲1▼ ベイト(Bait)タンパク質用
材料:放線菌ストレプトミセス・アビジニー(Streptomyces avidinii)は理研より購入した。オリゴDNA(プライマー)はエスペックオリゴサービスで合成された。大腸菌、プラスミド、各種酵素・試薬などは市販のものを用いた:大腸菌JM109、プラスミドpUC18(東洋紡)、pET20b(ノバジェン社);制限酵素BamHI、BglII、EcoRIおよびHindIII(東洋紡);Ligation High(東洋紡)、Ex Taq DNAポリメラーゼ、レコチップ(宝酒造);QIAquick PCR精製キット(キアゲン社)。遺伝子工学の基本操作(クローニング、大腸菌の形質転換および培養、プラスミドの回収など)は、サンブルック等のモレキュラー・クローニング(Molecular Cloning、Sambrook et al.1989.CSH press)に従った。
プラスミドpSP6-STA-JunおよびpSP6-STA-Fosを以下の手順で構築した。まず、ストレプトアビジン遺伝子を、放線菌Streptomyces avidiniiゲノムを鋳型として、ストレプトアビジン遺伝子の上流および下流に相補的なプライマー(配列番号30および31)を用いてPCRで増幅し、BamHIおよびEcoRIで消化し、pUC18のBamHI-EcoRI部位にクローニングし、pUC-STAを得た。これを鋳型として、ストレプトアビジン遺伝子のN末端にT7タグを付加するためのプライマー(配列番号32)およびストレプトアビジン遺伝子下流に相補的なプライマー(配列番号33)を用いてPCRを行い、N末端にT7タグ配列をもつストレプトアビジン遺伝子を得た。さらに、これを鋳型として、この上流にSP6プロモーターとタバコモザイクウイルス由来のエンハンサー配列を含む非翻訳領域(5'-UTR)を付加するために、T7タグ配列をもつストレプトアビジン遺伝子の上流および下流に相補的なプライマー(配列番号34および33)を用いてPCR増幅した断片をBamHIで消化し、pET20bのBglII-BamHI部位にクローニングした。このとき、ストレプトアビジン遺伝子の挿入方向としてBglII側が遺伝子の上流になっているプラスミドをpSP6-STAと名付けた。次に、実施例1で調製したjunおよびfos遺伝子を、それぞれ2組のプライマー(配列番号35および36、配列番号3および37)を用いてPCRで増幅し、BamHIおよびHindIIIで消化し、pSP6-STAのBamHI-HindIII部位にクローニングし、pSP6-STA-JunおよびpSP6-STA-Fosを得た。
2-▲2▼ プレイ(Prey)タンパク質用
マウスc-fosおよびc-junの遺伝子DNAは、実施例5で調製されたC末端に長さ12残基のポリヒスチジンタグがついたものを用いた。
3) 転写、翻訳
マウスc-fosおよびc-junの遺伝子DNAは、Ribomax RNA合成システム(プロメガ社)を用いてSP6 DNAポリメラーゼにより転写された(37℃、120分)。このとき20μlの反応液には、DNA 6μl、100mMのrUTP、rCTP、rATPそれぞれ1μl、30mMのrGTP 1μl、SP6ポリメラーゼ2μlが入っており、さらに40mMに調整したRNAキャップアナログ(ライフテックオリエンタル社)を4μl加えてRNAの5′末端を修飾した。合成されたRNAは、RNeasy Mini Kit(キアゲン社)を用いて精製した。
タンパク質に翻訳するため、得られたmRNAをProteiosTM(TOYOBO)の小麦胚芽抽出液を用いた無細胞翻訳系に加え、37℃で5時間反応させた。翻訳系100μlに対しては2種類のバッファーのほかにクレアチンキナーゼ4μl、RNaseインヒビター10μl、小麦胚芽20μl、mRNA10μlと蛍光修飾剤を添加した。蛍光修飾剤には、蛍光色素(TAMRA)-dC-ピューロマイシン(修飾剤19)を使用した。修飾タンパク質の収率を知るために、翻訳産物をSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動して、蛍光修飾タンパク質のバンドを蛍光イメージング装置(Molecular Imager FX、バイオラッド社)により検出した。
マイクロアレイに固定するためのストレプトアビジンを融合したベイト側のJunおよびFosは、pSP6-STA-JunおよびpSP6-STA-Fosを鋳型として、上記と同様の方法で転写し、ProteiosTM(TOYOBO)による重層法を用いたタンパク質合成を行った。
4) 精製法
固定化法のプレイ側のタンパク質として用いる蛍光修飾タンパク質は、未反応の蛍光色素を除去する為、以下の手順で精製した。
Hisタグ付きタンパク質の精製(Niカラム法)
Hisタグ付きタンパク質のC末端蛍光修飾翻訳の反応液を、平衡化したニッケルNTAアガロース樹脂(キアゲン社)と混合し、蛍光修飾タンパク質のC末端のHisタグとニッケルイオンの特異的な結合により樹脂と吸着させ、洗浄後、500mMのイミダゾールで溶出した。
5) プロテインマイクロアレイを用いた固定化法
5-▲5▼ スライドグラス上へのタンパク質の固定化
DNAマイクロアレイヤー(MicroGridII、バイオロボティクス社)にビオチンコートスライドグラス(ゼノポア社)をセットして、60%PBS(10mMリン酸緩衝液+150mM NaCl pH7.4)/40%グリセロールに溶解したJunとFosのストレプトアビジン融合タンパク質の翻訳液をスポットし、調湿環境下に1時間置いて、ストレプトアビジンとビオチンの結合によりスライドグラス表面に固定した(図17の最上図)。固定後、1%BSA/PBS溶液で1分間振とうしてリンスし、交換した1%BSA/PBS溶液でさらに1時間振とうしてブロッキングを行った。ブロッキング後、1×PBSで洗浄して乾燥させた。スライド上のスポット領域にin situハイブリダイゼーション用の枠状のシリコーンシール(イージーシール、ハイベイド社)を貼り、その枠内に0.5mg/mlのマウス由来の抗Fos一次抗体(c-Fos(6-2H):sc-447、サンタクルーズ社)と0.5mg/mlのウサギ由来の抗Jun一次抗体(c-Jun/AP-1、オンコジーン社)を1×PBST(10mMリン酸緩衝液+150mM NaCl+0.1% Tween 20、pH7.4)に溶解した反応液を充填し、上からシールカバーした。この状態で調湿環境下、室温で1時間反応させた。反応後、1×PBSTで5分間の振とうを液の交換をして5回と、さらに1×PBSで3分間の振とうを3回、液を交換して行ってから、2000rpm、4℃で1分間の遠心をして乾燥させた。ここで再び、スライド上のスポット領域にin situハイブリダイゼーション用の枠状のシリコンシール(イージーシール、ハイベイド社)を貼り、その枠内に0.5mg/mlのCy3標識の抗マウス抗体(ケミコン社)と0.5mg/mlのCy5標識の抗ウサギ抗体(ケミコン社)を1×PBSTに溶解した反応液を充填して上からシールカバーした。この状態で調湿環境下、室温で1時間反応させた。反応後、1×PBSTで液を交換しながら5分間ずつ5回の振とうをして、さらに1×PBSでこれも液を取り換えて3分間ずつの振とうを3回行ってから2000rpm、4℃で1分間の遠心をして乾燥させた。これを、DNAチップスキャナー(GenePix4000B、アクソン社)でスキャンして、スライド上にスポットされたJunとFosタンパク質を検出したところ、ストレプトアビジン融合Fosのスポット部位にはCy3の蛍光が確認でき、さらにストレプトアビジン融合Junのスポット部位にはCy5の蛍光が確認できた(図17のA)。これらの結果より、ビオチンコートスライドグラス上へのストレプトアビジン融合タンパク質の固定化が確認された。
5-▲2▼ スライドグラス上に固定化されたベイトタンパク質とプレイタンパク質との相互作用の検出
DNAマイクロアレイヤー(MicroGridII、バイオロボティクス社)にビオチンコートスライドグラス(ゼノポア社)をセットして、60%PBS/40%グリセロールに溶解したJunのストレプトアビジン融合タンパク質の翻訳液をスポットし、調湿環境下に1時間置いて、スライドグラス表面にストレプトアビジンとビオチンの結合により固定した。固定後、1%BSA/PBS溶液で1分間振とうしてリンスし、交換した1%BSA/PBS溶液でさらに1時間振とうしてブロッキングを行った。BSAによるブロッキング後、1×PBSで洗浄してから2000rpm、4℃で1分間遠心してスライドグラス上の溶液を飛ばした。次に、スライド上のスポット領域にin situハイブリダイゼーション用の枠状のシリコンシール(イージーシール、ハイベイド社)を貼り、C末端をTAMRA-dC-ピューロマイシン(修飾剤19)でラベル化した後に、ニッケルNTアガロース樹脂(キアゲン社)で精製したHisタグが12個ついたFosタンパク質を含む反応液(1×PBST/200mM MaCl/20%グリセロール)を充填して、上からシールカバーした。この状態で調湿環境下の室温で1時間反応させた。反応後、1×PBSTでの振とうを5分間、液を交換して10分間、再び液を交換して30分間振とう洗浄して、さらに1×PBSで液の交換をしながら3分間の振とうを3回繰り返し、2000rpm、4℃の遠心を1分間行ってから乾燥させた。これを、DNAチップスキャナー(GenePix4000B、アクソン社)でスキャンした結果、TAMRA-dC-ピューロマイシン(修飾剤19)でラベル化されたFosの、スライドグラス上に固定されたJunへの結合が検出された(図17のB)。
産業上の利用の可能性
本発明のヌクレオチドリンカーを含む修飾剤によるタンパク質のC末端修飾法は、種々のタンパク質相互作用の検出に有効であり、ゲノムプロジェクトによって集積する遺伝子の機能解析において、タンパク質間相互作用やタンパク質-核酸相互作用を大量かつ高速にスクリーニングする上で極めて有効な手段を提供する。
【配列表】
Figure 0003750020
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Claims (19)

  1. タンパク質の翻訳系で、ペプチド転移反応によってタンパク質と結合し得る、下記式で表わされる、タンパク質のC末端修飾剤。
    Figure 0003750020
    (式中、 X' はシトシン -1- イルであり、 Y' H であり、 n 1 又は2であり、修飾物質は蛍光基を含む。)
  2. n が1である、請求項1に記載のタンパク質のC末端修飾剤。
  3. n が2である、請求項1に記載のタンパク質のC末端修飾剤。
  4. 修飾物質が、ビオチニル基又はイミノビオチニル基をもつ、請求項1〜のいずれか1項に記載のタンパク質のC末端修飾剤。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載の修飾剤がC末端に結合したタンパク質であるC末端修飾タンパク質。
  6. 修飾剤がC末端に結合するタンパク質が全長タンパク質である、請求項に記載のC末端修飾タンパク質。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載のタンパク質のC末端修飾剤存在下で、タンパク質をコードするORF領域と、ORF領域の5’側に位置する、転写プロモーターおよび翻訳エンハンサーを含む5'非翻訳領域と、ORF領域の3'側に位置する、ポリA配列を含む3'末端領域とを含む翻訳テンプレートを翻訳系で発現させてタンパク質合成を行わせることにより得られる、C末端が修飾されたタンパク質。
  8. 転写プロモーターがSP6 RNAポリメラーゼのプロモーター配列を含み、翻訳エンハンサーがタバコモザイクウイルスのオメガ配列の一部を含む、請求項に記載のタンパク質。
  9. ORF領域が、その下流部分に親和性タグ配列を含む、請求項又はに記載のタンパク質。
  10. 親和性タグ配列がHis-tag配列を含む、請求項に記載のタンパク質。
  11. 請求項1〜のいずれか1項に記載のタンパク質のC末端修飾剤存在下で、タンパク質をコードするORF領域と、ORF領域の5’側に位置する、転写プロモーターおよび翻訳エンハンサーを含む5'非翻訳領域と、ORF領域の3'側に位置する、ポリA配列を含む3'末端領域とを含む翻訳テンプレートを翻訳系で発現させてタンパク質合成を行わせ、合成されたタンパク質を精製することを含む、C末端修飾タンパク質の製造方法。
  12. 転写プロモーターがSP6 RNAポリメラーゼのプロモーター配列を含み、翻訳エンハンサーがタバコモザイクウイルスのオメガ配列の一部を含む、請求項11に記載の方法。
  13. ORF領域が、その下流部分に親和性タグ配列を含む、請求項11又は12に記載の方法。
  14. 親和性タグ配列がHis-tag配列を含む、請求項13に記載の方法。
  15. 精製が、アフィニティクロマトグラフィー、ゲルろ過、イオンクロマトグラフィー、電気泳動、沈殿、透析、および、それらの任意の組合せにより行われる、請求項11〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. タンパク質と標的分子との間の相互作用を解析する方法であって、該タンパク質を含む、請求項5又は6に記載のC末端修飾タンパク質を用いることを特徴とする方法。
  17. 相互作用の解析が、蛍光相関分光法、蛍光イメージングアナライズ法、蛍光共鳴エネルギー移動法、エバネッセント場分子イメージング法、蛍光偏光解消法、表面プラズモン共鳴法、又は、固相酵素免疫検定法により行われる請求項16に記載の方法。
  18. 請求項5又は6に記載のC末端修飾タンパク質を固定化することを特徴とする、請求項16に記載の方法。
  19. 標的分子が固定されたアレイ上に請求項5又は6に記載のC末端修飾タンパク質を添加し、該標的分子と特異的に結合した該C末端修飾タンパク質を検出することを含む請求項16に記載の方法。
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