本発明は、排気バイパス装置及び排気バイパス装置の制御方法に関するものである。特に、この発明は、触媒の損傷を抑制できる排気バイパス装置及び排気バイパス装置の制御方法に関するものである。
従来の内燃機関では、排気ガスの通路中に、排気ガスの浄化手段である触媒を2つ設け、排気温度に応じて2つの触媒を使い分けているものがある。この場合、排気ガスの通路に主通路とバイパス通路とを設け、一方の触媒は主通路に設ける。また、他方の触媒は、排気ガスの通路においてバイパス通路が設けられている部分よりも下流側に設ける。さらに、主通路とバイパス通路との分岐部には切替えバルブを設け、内燃機関の運転状況に応じて切替えバルブを切り替えることにより、排気ガスを主通路またはバイパス通路のいずれかを通すことができる。
これにより、運転状況に応じて、主通路に設けられる触媒の通過や不通過を切り替えることができ、具体的には、主通路に設けられる触媒は内燃機関に近いことにより温度が上昇し易くなっているため、内燃機関が低回転・低負荷で運転している場合には、主通路に設けられる触媒を通過させる。また、内燃機関が高回転・高負荷で運転している場合には、主通路に設けられる触媒は温度が高くなり過ぎる虞があるため、切替えバルブを切り替えて排気ガスはバイパス通路を通し、主通路内の触媒を通らないようにし、バイパス通路の下流側に位置する触媒のみを通過するようにする。この結果、触媒による排気ガスの浄化性能の向上を図ることができる。
しかし、内燃機関の運転中には、内燃機関は失火する場合があり、この場合、内燃機関から排出される未燃HCやCOが、主通路に設けられる触媒に到達する虞がある。これらの未燃HC、COが主通路に設けられる触媒に到達した場合、この触媒の温度が低い場合には酸化反応を起こすことなく未燃HC、COは触媒の下流に流れるが、触媒の温度が高い場合には酸化反応を起こす虞がある。このように酸化反応が起きた場合、反応熱によって触媒の温度は激しく上昇し、熱劣化が生じる虞がある。このため、従来の排気バイパス装置では、切替バルブの切り替えの判断基準として、内燃機関運転時の失火も含めているものがある。例えば、特許文献1に記載の排気バイパス装置では、排気温度の領域によって、その領域で失火した場合の触媒の温度上昇を許容できるかを判定し、許容できる温度よりも高い場合には、切替えバルブを切り替えて排気ガスをバイパス通路に流している。これにより、内燃機関の失火に伴う、主通路内の触媒の過剰な発熱を抑制することができる。
このように、これらの従来の排気バイパス装置では、主通路内の触媒の温度が高くなり過ぎる虞がある場合には、切替えバルブを切り替えてバイパス通路に排気ガスを流すことにより、主通路内の触媒の温度が上昇しないようにしている。これにより、この触媒は、流れが停止した状態の周囲の排気ガスに放熱することにより、温度が低下する。しかし、この場合、触媒からの放熱は緩やかであるため、触媒の温度は低下し難くなっている。このため、触媒の温度が高温で維持される虞があり、熱劣化が増加する虞があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、より確実に浄化手段の熱劣化を抑制できる排気バイパス装置及び排気バイパス装置の制御方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明に係る排気バイパス装置は、内側に内燃機関の排気ガスが流れる第1通路と、両端で前記第1通路に接続される第2通路と、前記第2通路に配設されていると共に前記第2通路内を開閉する開閉手段と、前記第1通路内に配設されると共に前記排気ガスを浄化する浄化手段と、前記浄化手段の温度である床温を検出する床温検出手段と、前記開閉手段に接続されていると共に、前記床温検出手段で検出した前記床温が所定の温度よりも高い場合には前記第2通路内を開き、前記排気ガスの温度が前記床温よりも低い場合には前記第2通路内を閉じるように前記開閉手段を作動させる制御手段と、を備えることを特徴とする。
この発明では、排気ガスの温度が、浄化手段の温度である床温よりも低い場合には、開閉手段で第2通路内を閉じている。これにより排気ガスは、浄化手段が設けられている第1通路内に流れる。この排気ガスは、温度が浄化手段の温度よりも低いため、この排気ガスが浄化手段を通過することにより、浄化手段の熱は排気ガスに放熱されて浄化手段の温度は急激に低下する。この結果、より確実に浄化手段の熱劣化を抑制することができる。
また、この発明に係る排気バイパス装置は、前記第1通路及び前記第2通路の少なくともいずれか一方には、前記排気ガスの温度を検出するガス温検出手段が設けられており、前記制御手段は、前記ガス温検出手段で検出した前記排気ガスの温度が前記床温よりも低い場合には前記第2通路内を閉じるように前記開閉手段を作動させることを特徴とする。
この発明では、第1通路または第2通路にガス温検出手段を設け、床温と比較する排気ガスの温度を、ガス温検出手段で直接検出している。このため、排気ガスの温度を、より正確に検出することができ、床温と排気ガスの温度とを、より正確に比較することができる。この結果、より確実に浄化手段の熱劣化を抑制することができる。
また、この発明に係る排気バイパス装置は、内側に内燃機関の排気ガスが流れる第1通路と、両端で前記第1通路に接続される第2通路と、前記第2通路に配設されていると共に前記第2通路内を開閉する開閉手段と、前記第1通路内に配設されると共に前記排気ガスを浄化する浄化手段と、前記内燃機関運転時の運転状態を検出する運転状態検出手段と、前記開閉手段に接続されていると共に、前記運転状態検出手段で検出した前記運転状態を前記開閉手段の開閉の基準となる開閉基準と比較し、比較した結果に基づいて前記開閉手段を開閉させる制御手段と、を備えることを特徴とする。
この発明では、運転状態検出手段で内燃機関運転時の運転状態を検出し、検出した運転状態を、開閉基準と比較している。この運転状態は内燃機関の他の制御でも用いる場合があり、運転状態検出手段は、予め内燃機関を搭載する車両等に備えられている場合がある。このため、運転状態検出手段で検出した運転状態と開閉基準とを比較することにより、排気ガスの温度を検出する必要がなくなる。従って、開閉手段の開閉の判断をする際に、予め備えられている運転状態検出手段での検出結果を用いて、より確実に、且つ、容易に判断することができる。この結果、より確実に、且つ、容易に浄化手段の熱劣化を抑制することができる。
また、この発明に係る排気バイパス装置は、前記運転状態検出手段は、前記運転状態として前記内燃機関運転時の回転数及び負荷を検出することを特徴とする。
この発明では、内燃機関運転時の運転状態として、内燃機関運転時の回転数と負荷を検出している。このように、内燃機関運転時の回転数と負荷を検出することにより、より正確に内燃機関の運転状態を検出して開閉基準と比較することができるので、運転状態に対して、より正確に開閉手段の開閉の判断を行なうことができる。この結果、より確実に浄化手段の熱劣化を抑制することができる。
また、この発明に係る排気バイパス装置は、内側に内燃機関の排気ガスが流れる第1通路と、両端で前記第1通路に接続される第2通路と、前記第2通路に配設されていると共に前記第2通路内を開閉する開閉手段と、前記第1通路内に配設されると共に前記排気ガスを浄化する浄化手段と、前記浄化手段の温度である床温を検出する床温検出手段と、前記開閉手段に接続されていると共に、前記床温検出手段で検出した前記床温が所定の温度よりも高い場合には前記第2通路内を開き、前記第2通路内を開いた後、所定時間経過後に前記第2通路内を閉じるように前記開閉手段を作動させ、さらに前記第2通路内を閉じた後、前記床温が上昇した場合には前記開閉手段を開き、前記床温が低下した場合には前記開閉手段が閉じた状態を維持するように前記開閉手段を作動させる制御手段と、を備えることを特徴とする。
この発明では、床温が所定温度よりも高い場合に開閉手段を作動させて第2通路内を開いた後、所定時間経過後に第2通路内を閉じ、この状態で床温が上昇した場合には第2通路内を開き、床温が低下した場合には第2通路内を閉じた状態を維持している。つまり、第2通路内を閉じた場合は、排気ガスが第1通路内を流れて第1通路内の浄化手段を通過することになるので、この状態で床温が上昇した場合には、排気ガスの温度は床温よりも高いことになり、床温が低下した場合には、排気ガスの温度は床温よりも低いことになる。このため、第2通路内を閉じた際に床温が低下した場合には、その状態を維持することにより、浄化手段の温度を低下させることができる。また、このように、第2通路内を弁閉時間ごとに閉じ、その状態の床温の変化を検出することにより、排気ガスの温度を検出する手段を用いることなく、排気ガスの温度が床温よりも低い場合に排気ガスが浄化手段を通過するようにすることができる。この結果、より確実に、且つ、容易に浄化手段の熱劣化を抑制することができる。
また、この発明に係る排気バイパス装置の制御方法は、内燃機関の排気ガスを浄化する浄化手段の温度である床温を取得する手順と、前記床温が所定の温度よりも高い場合に、前記浄化手段が設けられる通路である第1通路に両端で接続される第2通路に配設されると共に前記第2通路内を開閉可能に設けられた開閉手段を開ける手順と、前記排気ガスの温度を取得する手順と、前記排気ガスの温度が前記床温よりも高い場合に、前記開閉手段を開け続ける手順と、前記排気ガスの温度が前記床温よりも低い場合に、前記開閉手段を閉じる手順と、を含むことを特徴とする。
この発明では、排気ガスの温度が、浄化手段の温度である床温よりも高い場合には、第2通路に設けられた開閉手段を開ける。これにより、排気ガスは第2通路内に流れ、浄化手段が設けられた第1通路には流れなくなるので、排気ガスは浄化手段には流れなくなる。従って、高温の排気ガスが浄化手段に流れることを抑制できる。また、この状態で、排気ガスの温度が床温よりも低い場合には、開閉手段を閉じている。この場合、排気ガスは、浄化手段が設けられている第1通路内に流れ、浄化手段を通過する。これにより、浄化手段の熱は排気ガスに放熱されて浄化手段は温度が急激に低下する。この結果、より確実に浄化手段の熱劣化を抑制することができる。
また、この発明に係る排気バイパス装置の制御方法は、内燃機関の排気ガスを浄化する浄化手段の温度である床温を取得する手順と、前記床温が所定の温度よりも高い場合に、前記浄化手段が設けられる通路である第1通路に両端で接続される第2通路に配設されると共に前記第2通路内を開閉可能に設けられた開閉手段を開ける手順と、前記内燃機関の運転状態を取得する手順と、前記運転状態を、前記開閉手段の開閉の基準となる開閉基準と比較する手順と、前記運転状態が前記開閉基準に対して前記開閉手段を閉じる領域にある場合に前記開閉手段を閉じる手順と、前記運転状態が前記開閉基準に対して前記開閉手段を開ける領域にある場合に前記開閉手段を開け続ける手順と、を含むことを特徴とする。
この発明では、内燃機関の運転状態を取得し、この運転状態と、開閉手段の開閉の基準となる開閉基準とを比較し、運転状態が開閉手段を閉じる領域にある場合には、第2通路に設けられた開閉手段を閉じている。このように、運転状態と開閉基準とを比較し、運転状態によって開閉手段を開く領域と閉じる領域とを設定することにより、排気ガスの温度を検出することなく、必要に応じて第2通路に設けられた開閉手段を閉じることができる。これにより、開閉手段を閉じる領域を、排気ガスの温度が低くなる領域にした場合には、排気ガスの温度が低くなった場合に開閉手段を閉じ、排気ガスを第1通路に流すことができる。これにより、温度の低い排気ガスを浄化手段に流すことができので、浄化手段の熱は排気ガスに放熱し易くなり、浄化手段の温度を、より確実に低下させることができる。この結果、より確実に浄化手段の熱劣化を抑制することができる。
また、この発明に係る排気バイパス装置の制御方法は、内燃機関の排気ガスを浄化する浄化手段の温度である床温を取得する手順と、前記床温が所定の温度よりも高い場合に、前記浄化手段が設けられる通路である第1通路に両端で接続される第2通路に配設される共に前記第2通路内を開閉可能に設けられた開閉手段を開ける手順と、所定時間経過後に前記開閉手段を閉じる手順と、前記開閉手段が閉じた状態における前記床温を取得する手順と、前記床温が上昇した場合に前記開閉手段を開ける手順と、前記床温が低下した場合には前記開閉手段が閉じた状態を維持する手順と、を含むことを特徴とする。
この発明では、排気ガスの温度が、浄化手段の温度である床温よりも高い場合には、第2通路に設けられた開閉手段を開け、その後、所定時間経過後に開閉手段を閉じて、この状態での床温を取得している。そして、この取得した床温が上昇した場合には開閉手段を開け、低下した場合には、開閉手段が閉じた状態を維持している。開閉手段を閉じ、排気ガスが第1通路を流れた状態で床温が低下するのは、排気ガスの温度が床温よりも低い場合であり、この状態で開閉手段が閉じた状態を維持することにより、より確実に床温よりも温度が低い排気ガスを浄化手段に流すことができる。これにより、浄化手段の熱は排気ガスに放熱されるので、浄化手段は温度が急激に低下する。この結果、より確実に浄化手段の熱劣化を抑制することができる。
本発明に係る排気バイパス装置は、より確実に浄化手段の熱劣化を抑制することができる、という効果を奏する。また、本発明に係る排気バイパス装置の制御方法は、より確実に浄化手段の熱劣化を抑制することができる、という効果を奏する。
以下に、本発明に係る排気バイパス装置及び排気バイパス装置の制御方法の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
図1は、本発明の実施例1に係る排気バイパス装置が設けられた内燃機関の概略図である。同図に示す内燃機関1は、内部に燃焼室5が形成されたシリンダヘッド2とシリンダブロック3とを有しており、シリンダブロック3内には当該シリンダブロック3内を往復運動可能に設けられたピストン4が配設されている。また、燃焼室5はピストン4の上死点側に位置しており、当該燃焼室5には吸気管9と排気管10とが接続されている。このうち、吸気管9と燃焼室5との接続部分には、吸気バルブ11が設けられており、排気管10と燃焼室5との接続部分には、排気バルブ12が設けられている。また、シリンダブロック3における燃焼室5が設けられている側の反対側には、クランク室6が設けられており、クランク室6には、クランクシャフト7が内設されている。ピストン4はコネクティングロッド8によってクランクシャフト7に接続されており、ピストン4の往復運動は、クランクシャフト7によって回転運動として出力可能になっている。
また、排気管10は排気バイパス装置15の一部を構成しており、当該排気管10は、内側に内燃機関1運転時の排気ガスが流れる第1通路である主通路21と、同様に内燃機関1運転時の排気ガスが流れる第2通路であるバイパス通路25とを有している。これらの主通路21とバイパス通路25とは、排気管10が、内燃機関1から排気ガスの下流方向に向かった所定の位置で分岐しており、分岐した後さらに接続されている。詳しくは、バイパス通路25は、その両端部が主通路21に接続されており、両端部のうち、主通路21内を流れる排気ガスの流れの上流側に位置する端部が上流側接続部26となり、主通路21内を流れる排気ガスの流れの下流側に位置する端部が下流側接続部27となり、上流側接続部26と下流側接続部27とで主通路21に接続されている。
換言すると、バイパス通路25において主通路21に接続される部分である上流側接続部26と下流側接続部27とは、主通路21の形成方向、或いは主通路21内を流れる排気ガスの流れの方向において、上流側接続部26は下流側接続部27よりも内燃機関1寄りに位置し、下流側接続部27は上流側接続部26よりも内燃機関1から離れた部分に位置している。
また、バイパス通路25には、開閉手段であるバイパスバルブ40が設けられている。このバイパスバルブ40は、バイパス通路25内に設けられており、また、上流側接続部26と主通路21との接続部分よりも排気ガスの流れ方向における下流側で、且つ、下流側接続部27と主通路21との接続部分よりも排気ガスの流れ方向における上流側に設けられている。また、このバイパスバルブ40には、内圧を変化させることにより作動するアクチュエータ41が接続されており、バイパスバルブ40は、このアクチュエータ41によって作動可能になっている。また、バイパスバルブ40は、このようにアクチュエータ41によって作動することによりバイパス通路25内を開閉可能に設けられている。
このようにバイパスバルブ40に接続されるアクチュエータ41には、内側に空気が通るチューブである制御チューブ46が接続されており、さらに、この制御チューブ46においてアクチュエータ41に接続されている側に位置する端部の反対側の端部には、VSV(Vacuum Switching Valve)42が接続されている。このVSV42には、さらに2つのチューブが接続されており、一方のチューブは大気圧チューブ47となっており、他方のチューブは負圧チューブ48となっている。VSV42は、制御チューブ46と大気圧チューブ47とを連通する、または、制御チューブ46と負圧チューブ48とを連通することを、切り替えることができるように設けられている。
また、負圧チューブ48が設けられている側の経路には、負圧タンク43及びチェック弁44が設けられており、VSV42からみて、負圧タンク43、チェック弁44の順に設けられている。このように設けられるVSV42と負圧タンク43とは、VSV42に接続されている負圧チューブ48によって接続されている。また、負圧タンク43とチェック弁44との間にも負圧チューブ48が設けられており、負圧タンク43とチェック弁44とは、この負圧チューブ48によって接続されている。このうち、負圧タンク43は、内側の空気圧が、大気圧よりも低い状態を維持できるように設けられている。
また、チェック弁44には、負圧タンク43に接続される負圧チューブ48とは異なる、別の負圧チューブ48が接続されており、この負圧チューブ48における、チェック弁44に接続されている側に位置する端部の反対側の端部は、直接、或いは間接的に、前記吸気管9に接続されている。また、このチェック弁44は、空気が負圧タンク43側から吸気管9の方向にのみ流れることができるように設けられている。
前記排気管10内には、内側に排気ガスを浄化する浄化手段である触媒30が設けられており、このうち、前記主通路21には、内側に排気ガスを浄化する触媒30のうち第1触媒31が設けられている。詳しくは、第1触媒31は、主通路21の形成方向において上流側接続部26が接続される部分と下流側接続部27が接続される部分との間に位置している。また、排気管10には、当該排気管10内を流れる排気ガスの流れ方向における下流側接続部27の下流側に、触媒30のうち第2触媒32が設けられている。これらの第1触媒31と第2触媒32とは、炭化水素(HC)と、一酸化炭素(CO)と、窒素酸化物(NOx)との3物質を酸化・還元反応によって同時に除去する、いわゆる三元触媒となっている。また、これらの第1触媒31と第2触媒32とでは、浄化温度は同じであるが、排気ガスは、流れ方向で放熱し温度勾配を持つため、第2触媒32よりも、排気ガスの流れ方向において上流側に位置する第1触媒31の方が、高温に晒されることになる。
また、第1触媒31には、第1触媒31の温度である床温を検出する床温検出手段である床温検出センサ51が設けられている。また、バイパス通路25には、バイパス通路25内を流れる排気ガスの温度を検出するガス温検出手段であるガス温検出センサ52が設けられている。
これらの床温検出センサ51、ガス温検出センサ52及び前記VSV42は、全て当該内燃機関1を搭載する車両(図示省略)の各部を制御するECU(Electronic Control Unit)60に接続されている。
このECU60には、処理部61、記憶部67及び入出力部68が設けられており、これらは互いに接続され、互いに信号の受け渡しが可能になっている。また、ECU60に接続されている床温検出センサ51、ガス温検出センサ52及びVSV42は、入出力部68に接続されており、入出力部68は、これらのセンサ等との間で信号の入出力を行なう。また、記憶部67には、本発明に係る排気バイパス装置15を制御するコンピュータプログラム、即ち、本発明に係る排気バイパス装置15の制御方法を実現するコンピュータプログラムが格納されている。この記憶部67は、ハードディスク装置や光磁気ディスク装置、またはフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ(CD−ROM等のような読み出しのみが可能な記憶媒体)や、RAM(Random Access Memory)のような揮発性のメモリ、或いはこれらの組み合わせにより構成することができる。
また、処理部61は、メモリ(図示省略)及びCPU(Central Processing Unit)(図示省略)により構成されており、少なくとも、床温を取得する床温取得部62と、排気ガスの温度、即ちガス温を取得するガス温取得部63と、床温がバイパスバルブ40を開ける温度以上であるかを比較し判断する床温比較部64と、床温とガス温とを比較するガス温比較部65とを有している。当該排気バイパス装置15が有するバイパスバルブ40の制御は、床温検出センサ51やガス温検出センサ52など車両の各部に設けられたセンサ(図示省略)による検出結果に基づいて、処理部61が前記コンピュータプログラムを当該処理部61に組み込まれたメモリに読み込んで演算し、演算の結果に応じてVSV42を作動させることにより、バイパスバルブ40を制御する。その際に処理部61は、適宜記憶部67へ演算途中の数値を格納し、また格納した数値を取り出して演算を実行する。なお、このように排気バイパス装置15を制御する場合には、前記コンピュータプログラムの代わりに、ECU60とは異なる専用のハードウェアによって制御してもよい。また、このECU60と、当該ECU60に接続されるVSV42、及びバイパスバルブ40に接続されるアクチュエータ41は、バイパスバルブ40の開閉を制御し、バイパスバルブ40を作動させる制御手段として設けられている。
この実施例1に係る排気バイパス装置15は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。内燃機関1を運転すると、吸気管9に設けられたインジェクタ(図示省略)から吸気管9内に燃料を噴射することにより、吸気管9内を流れる空気と燃料とが混合し、吸気管9内で燃料と空気との混合気が作られる。この混合気は、吸気バルブ11が開いた際に吸気管9から燃焼室5内に入り込む。燃焼室5内に入り込んだ混合気は、点火プラグ(図示省略)が点火した際に着火し、燃焼室5内で燃焼する。燃料の燃焼後のガスは、排気ガスとなって排気バルブ12が開いた際に排気管10の方向に流れ、燃焼室5内から排出される。
また、このように内燃機関1を運転している際には、吸気管9から燃焼室5内に混合気が吸い込まれるため、吸気管9内の空気圧は大気圧よりも低くなる、即ち、吸気管9内は負圧になる。このため、チェック弁44に接続されている負圧チューブ48のうち、吸気管9側に位置する負圧チューブ48内も負圧になり、この負圧チューブ48内の空気圧が負圧タンク43側に位置する負圧チューブ48内の空気圧よりも低い場合には、チェック弁44が開く。これにより、負圧タンク43方向から吸気管9の方向に空気が流れ、負圧タンク43内の空気圧は低くなる。これに対し、チェック弁44に接続される負圧チューブ48のうち、吸気管9側に位置する負圧チューブ48内の空気圧よりも、負圧タンク43側に位置する負圧チューブ48内の空気圧の方が低い場合には、チェック弁44は閉じられる。これにより、負圧タンク43内の空気圧は低い状態で維持される。
また、負圧タンク43は、チェック弁44側の負圧チューブ48と異なる負圧チューブ48によってVSV42と接続されているが、VSV42は、制御チューブ46と大気圧チューブ47とを連通する、または、制御チューブ46と負圧チューブ48とを連通することを、切り替えることができるように設けられている。この制御チューブ46は、アクチュエータ41に接続されているため、VSV42を切り替えることにより、アクチュエータ41に大気圧、または負圧を伝えることができる。このように、大気圧や負圧を伝えることにより、アクチュエータ41は作動し、アクチュエータ41に接続されるバイパスバルブ40も作動する。つまり、バイパスバルブ40は、VSV42を切り替えることにより作動可能になっている。
内燃機関1の運転時には、排気ガスが排気管10内を流れるが、内燃機関1の始動直後や内燃機関1を低回転・低負荷で運転している際には、ECU60からVSV42に信号を送り、VSV42を切り替えてバイパスバルブ40を閉じる。これにより、バイパス通路25内は閉じられるが、この状態では、排気ガスは、バイパス通路25には流れず、上流側接続部26付近から主通路21内に流れ込む。この主通路21内には、第1触媒31が設けられているため、主通路21内を流れる排気ガスは、第1触媒31を通過し、排気ガスは第1触媒31により浄化される。第1触媒31を通過した排気ガスは、さらに、排気ガスの流れ方向において下流側接続部27よりも下流側に位置する第2触媒32の方向に流れる。このため、排気ガスは、第2触媒32を通過し、第2触媒32により浄化される。バイパスバルブ40を閉じた状態では、排気ガスはこのように主通路21内を流れるが、内燃機関1の暖気運転時や低回転・低負荷時には、排気ガスの温度は低くなっている。このため、バイパスバルブ40を閉じることにより、主通路21内に設けられ、高温の排気ガスに晒され易い第1触媒31を排気ガスが通過するようにした場合でも、排気ガスの温度は低くなっているため、第1触媒31の温度が高くなり過ぎることを抑制できる。
また、内燃機関1の運転時には、床温検出センサ51は床温を検出し、ガス温検出センサ52はガス温を検出する。このように、床温検出センサ51が検出した床温、及びガス温検出センサ52が検出したガス温は、電気信号としてECU60に伝達される。このうち、床温は、処理部61に設けられる床温取得部62に伝えられて床温取得部62で取得し、ガス温は、同様に処理部61に設けられるガス温取得部63に伝えられてガス温取得部63で取得する。床温取得部62で取得した床温は、床温比較部64に伝えられ、床温比較部64で、バイパスバルブ40を開ける必要があると判断される所定の温度である弁開温度と比較する。なお、この弁開温度は、記憶部67に記憶されている。この比較により、バイパスバルブ40を開ける必要があると判断された場合には、VSV42に信号を送り、VSV42を切り替えてバイパスバルブ40を開ける。また、ガス温取得部63で取得したガス温、及び床温取得部62で取得した床温は、ガス温比較部65に伝えられ、ガス温比較部65で比較される。この比較により、バイパスバルブ40を閉じる必要があると判断された場合には、VSV42に信号を送り、VSV42を切り替えてバイパスバルブ40を閉じる。
内燃機関1の運転時には、このように床温とガス温との状態によって、バイパスバルブ40を開けたり閉じたりするが、内燃機関1を高回転・高負荷で運転すると、ガス温は高くなる。このため、高温の排気ガスが主通路21内に流れた場合には、第1触媒31は高温の排気ガスに晒されることになるので、床温は上昇する。この床温の上昇により、ECU60でバイパスバルブ40を開ける必要があると判断された場合には、ECU60からVSV42に信号を送り、VSV42を切り替えてバイパスバルブ40を開ける。バイパスバルブ40を開けることによってバイパス通路25内が開かれると、排気ガスは上流側接続部26付近からバイパス通路25に流れ込む。この場合、排気管10内を流れる排気ガスはほぼ全てバイパス通路25に流れるため、主通路21内には流れなくなる。このように、バイパスバルブ40を開けた状態では、排気ガスは、主通路21内に流れないため、排気ガスは第1触媒31を通過することなく第2触媒32の方向に流れて第2触媒32を通過し、第2触媒32のみにより浄化される。また、内燃機関1を高回転・高負荷で運転する際には排気ガスの温度は高くなるが、排気ガスは放熱しながら下流方向に流れ、また、第2触媒32は、排気ガスの流れ方向において第1触媒31よりも下流側に位置している。このため、高温の排気ガスが第2触媒32を通過する際には、排気ガスの温度は低下しているので、第2触媒32の温度が高くなり過ぎることが抑制される。
図2は、本発明の実施例1に係る排気バイパス装置の制御方法の処理手順を示すフロー図である。次に、実施例1に係る排気バイパス装置15の制御方法、即ち、当該排気バイパス装置15の処理手順について詳細に説明する。内燃機関1を運転する際には、まず、バイパスバルブ40を閉じる。これにより、バイパス通路25は閉じられるので、この状態で内燃機関1の運転を開始することにより、排気ガスは主通路21内に流れて第1触媒31を通過する。これにより、第1触媒31の温度である床温は変化するが、内燃機関1の運転中は、床温検出センサ51で第1触媒31の床温を検出する。検出した床温は、電気信号でECU60に伝えられ、ECU60が有する床温取得部62で取得する(ステップST101)。次に、取得した床温と、記憶部67に記憶された弁開温度とを、ECU60が有する床温比較部64で比較する(ステップST102)。この比較により、床温が弁開温度以上であると判断された場合には、VSV42に信号を送り、バイパスバルブ40を開ける(ステップST103)。これにより、排気ガスは、ほぼ全てがバイパス通路25内に流れ、主通路21内には流れなくなり、排気ガスは第1触媒31を通過しなくなる。一方、床温と弁開温度とを比較し、床温が弁開温度未満であると判断された場合には、バイパスバルブ40を閉じた状態を維持する(ステップST104)。これにより、排気ガスは、主通路21内に流れて第1触媒31を通過し続ける。
バイパスバルブ40を開け、排気ガスがバイパス通路25を通るようにした場合には、次に、ガス温検出センサ52で検出したガス温を、ECU60が有するガス温取得部63で取得する(ステップST105)。次に、取得したガス温と床温とを、ECU60が有するガス温比較部65で比較する(ステップST106)。この比較により、ガス温が床温よりも低いと判断された場合には、VSV42に信号を送り、バイパスバルブ40を閉じる(ステップST107)。これにより、排気ガスは主通路21内に流れて第1触媒31を通過し、第1触媒31は排気ガスに晒される。この状態では、第1触媒31の温度よりも排気ガスの温度の方が低いので、第1触媒31の熱は、排気ガスに放熱される。一方、ガス温と床温とを比較し、床温よりもガス温の方が高いと判断された場合には、バイパスバルブ40を開けた状態を維持する(ステップST108)。これにより、排気ガスはバイパス通路25内を流れ続けるので、第1触媒31が高温の排気ガスに晒されるのを抑制できる。
以上の排気バイパス装置15は、排気ガスの温度であるガス温が、第1触媒31の温度である床温よりも低い場合には、バイパスバルブ40でバイパス通路25内を閉じている。これにより排気ガスは、第1触媒31が設けられている主通路21内に流れる。この排気ガスは、温度が第1触媒31の温度よりも低いため、この排気ガスが第1触媒31を通過することにより、第1触媒31の熱は排気ガスに放熱されて第1触媒31の温度は急激に低下する。この結果、より確実に浄化手段である触媒30の熱劣化を抑制することができる。
また、バイパス通路25にガス温検出センサ52を設け、床温と比較する排気ガスの温度を、ガス温検出センサ52で直接検出している。このため、排気ガスの温度を、より正確に検出することができ、床温とガス温とを、より正確に比較することができる。この結果、より確実に触媒30の熱劣化を抑制することができる。
また、上述した排気バイパス装置15の制御方法は、ガス温が、第1触媒31の温度である床温よりも高い場合には、バイパス通路25に設けられたバイパスバルブ40を開ける。これにより、排気ガスはバイパス通路25内に流れ、第1触媒31が設けられた主通路21内には流れなくなるので、排気ガスは第1触媒31には流れなくなる。従って、高温の排気ガスが第1触媒31に流れることを抑制できる。また、この状態で、ガス温が床温よりも低い場合には、バイパスバルブ40を閉じている。この場合、排気ガスは、第1触媒31が設けられている主通路21内に流れ、第1触媒31を通過する。これにより、第1触媒31の熱は排気ガスに放熱されて第1触媒31は温度が急激に低下する。この結果、より確実に触媒30の熱劣化を抑制することができる。
本実施例2に係る排ガス浄化装置は、実施例1に係る排気バイパス装置と略同様の構成であるが、内燃機関の回転数と負荷に応じてバイパスバルブを開閉している点に特徴がある。他の構成は実施例1と同様なので、その説明を省略するとともに、同一の符号を付す。図3は、本発明の実施例2に係る排気バイパス装置が設けられた内燃機関の概略図である。同図に示す排気バイパス装置70は、実施例1に係る排気バイパス装置15と同様に内燃機関1に設けられており、さらに、制御手段の一部としてECU71を有している。このECU71には、実施例1に係る排気バイパス装置15が備えるECU60と同様に処理部72が設けられており、処理部72は、床温取得部62及び床温比較部64を有している。さらに、この処理部72は、内燃機関1運転時の回転数を取得する回転数取得部73と、当該内燃機関1運転時の負荷を取得する負荷取得部74と、これらの回転数と負荷とを、バイパスバルブ40の開閉の基準となる、後述する開閉基準92(図4参照)と比較する運転状態比較部75と、を有している。
また、この内燃機関1には、内燃機関1運転時のクランクシャフト7の回転角度であるクランク角を検出するクランク角センサ81がクランクシャフト7の近傍に設けられており、また、吸入吸気量を検出するエアフロセンサ82が吸気管9に設けられている。ECU71が有する処理部72に設けられる回転数取得部73は、クランク角センサ81で検出したクランク角より内燃機関運転時のクランクシャフトの回転数を取得している。また、負荷取得部74は、エアフロセンサ82で検出した吸入空気量より内燃機関1運転時における負荷を算出可能に設けられており、これにより、内燃機関1運転時の負荷を取得している。即ち、クランク角センサ81と回転数取得部73、及びエアフロセンサ82と負荷取得部74とは、内燃機関1運転時の運転状態である回転数と負荷とを検出する運転状態検出手段として設けられている。
図4は、図3に示す排気バイパス装置のECUに記憶されたガス温マップの説明図である。前記ECU71(図3参照)の記憶部67(図3参照)には、内燃機関1(図3参照)運転時の回転数と負荷に対するガス温のマップであるガス温マップ90が記憶されている。このガス温マップ90は、内燃機関1運転時の回転数と負荷に対するガス温の等温線91を複数有しており、複数の等温線91のうちの1つの等温線91を、バイパスバルブ40(図3参照)の開閉基準92としている。この開閉基準92よりも、回転数が高い、或いは負荷が大きい領域を、バイパスバルブ40を開ける領域である弁開領域93とし、開閉基準92よりも回転数が低い、或いは負荷が小さい領域を、バイパスバルブ40を閉じる領域である弁閉領域94としている。ECU71の処理部の運転状態比較部75(図3参照)は、回転数取得部73(図3参照)などにより取得した運転状態を、このガス温マップ90に照合することにより、運転状態と開閉基準92とを比較する。
この実施例2に係る排気バイパス装置70は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。内燃機関1を運転時において、内燃機関の1始動直後や低回転・低負荷で運転している際には、ECU71からVSV42に信号を送り、バイパスバルブ40を閉じる。これにより、排気ガスは、バイパス通路25には流れずに主通路21内に流れ込む。主通路21内を流れる排気ガスは、第1触媒31を通過し、排気ガスは第1触媒31により浄化される。第1触媒31を通過した排気ガスは、さらに、排気ガスの流れ方向において下流側接続部27よりも下流側に位置する第2触媒32の方向に流れ、第2触媒32を通過することにより第2触媒32で浄化される。
また、内燃機関1の運転時には、ECU71の処理部72に設けられる床温取得部62が、床温検出センサ51が検出した第1触媒31の床温を取得する。床温取得部62で取得した床温は、床温比較部64に伝えられ、床温比較部64で、記憶部67に記憶された弁開温度と比較する。この比較により、バイパスバルブ40を開ける必要があると判断された場合には、ECU70からVSV42に信号を送り、バイパスバルブ40を開ける。
また、内燃機関1の運転時には、回転数取得部73が、クランク角センサ81が検出したクランク角より内燃機関1運転時の回転数を取得し、負荷取得部74が、エアフロセンサ82が検出した吸入空気量より内燃機関1運転時の負荷を取得する。回転数取得部73が取得した回転数、及び負荷取得部74が取得した負荷は、運転状態比較部75に伝えられる。この運転状態比較部75では、取得した回転数及び負荷を、記憶部67に記憶されたガス温マップ90に照合し、取得した回転数と負荷、即ち運転状態と、開閉基準92とを比較する。この比較により、取得した運転状態が、開閉基準92よりも回転数が低い、或いは負荷が小さいことにより、弁閉領域94にあると判断された場合には、VSV42に信号を送り、VSV42を切り替えてバイパスバルブ40を閉じる。
また、内燃機関1を高回転・高負荷で運転している場合において、この運転状態を運転状態比較部75でガス温マップ90に照合し、取得した運転状態と開閉基準92とを比較することにより、運転状態が弁開領域93にあると判断された場合には、VSV42を切り替えてバイパスバルブ40を開ける。このように、内燃機関1を高回転・高負荷で運転している場合には、ガス温は高くなるが、運転状態比較部75でバイパスバルブ40を開ける判断をし、バイパスバルブ40を開けることにより、排気ガスはバイパス通路25に流れ込む。これにより、排気ガスは主通路21内には流れなくなる。このため、排気ガスは第1触媒31を通過することなく第2触媒32の方向に流れて第2触媒32を通過し、第2触媒32のみにより浄化される。
図5は、本発明の実施例2に係る排気バイパス装置の制御方法の処理手順を示すフロー図である。次に、実施例2に係る排気バイパス装置70の制御方法、即ち、当該排気バイパス装置70の処理手順について詳細に説明する。内燃機関1を運転する際には、実施例1に係る排気バイパス装置15の制御方法と同様に、まず、バイパスバルブ40を閉じる。これにより、排気ガスは主通路21内に流れて第1触媒31を通過する。内燃機関1の運転中は、床温検出センサ51で第1触媒31の床温を検出し、検出した床温はECU71に伝えられ、ECU71が有する床温取得部62で取得する(ステップST201)。次に、取得した床温と、記憶部67に記憶された弁開温度とを、ECU71が有する床温比較部64で比較する(ステップST202)。この比較により、床温が弁開温度以上であると判断された場合には、バイパスバルブ40を開ける(ステップST203)。これにより、排気ガスはバイパス通路25内に流れるので、主通路21内には流れなくなり、排気ガスは第1触媒31を通過しなくなる。一方、床温と弁開温度とを比較し、床温が弁開温度未満であると判断された場合には、バイパスバルブ40を閉じた状態を維持する(ステップST204)。これにより、排気ガスは、主通路21内に流れて第1触媒31を通過し続ける。
バイパスバルブ40を開け、排気ガスがバイパス通路25を通るようにした場合には、次に、クランク角センサ81で検出したクランク角より回転数取得部73で内燃機関1運転時の回転数を取得すると共に、エアフロセンサ82で検出した吸入空気量より負荷取得部74で内燃機関1運転時の負荷を取得する(ステップST205)。
次に、取得した回転数、及び負荷を、運転状態比較部75で開閉基準92と比較する(ステップST206)。つまり、取得した回転数と負荷、即ち内燃機関1の運転状態を、運転状態比較部75で、記憶部67に記憶されたガス温マップ90に照合し、開閉基準92と比較して運転状態が弁開領域93、または弁閉領域94のどちらかにあるかを判断する。この比較により、取得した回転数と負荷が、開閉基準92より低いと判断された場合、即ち、運転状態が弁閉領域94にあると判断された場合には、バイパスバルブ40を閉じる(ステップST207)。これにより、排気ガスは主通路21内に流れて第1触媒31を通過する。このため、第1触媒31は、当該第1触媒31よりも温度が低い排気ガスに晒され、第1触媒31の熱は、排気ガスに放熱される。一方、取得した回転数と負荷が、開閉基準92より高いと判断された場合、即ち、運転状態が弁開領域93にあると判断された場合には、バイパスバルブ40を開けた状態を維持する(ステップST208)。これにより、排気ガスはバイパス通路25内を流れ続けるので、第1触媒31が高温の排気ガスに晒されるのを抑制できる。
以上の排気バイパス装置70は、クランク角センサ81や回転数取得部73などの運転状態検出手段で、内燃機関1運転時の運転状態を検出し、検出した運転状態を、開閉基準92と比較している。内燃機関1は、各種検出手段により検出した運転状態によって制御される場合が多いため、運転状態検出手段は、予め内燃機関1を搭載する車両等に備えられている場合が多い。このため、運転状態検出手段で検出した運転状態と開閉基準92とを比較することにより、排気ガスの温度を検出する必要がなくなる。従って、床温と排気ガスの温度とを比較する際に、予め備えられている運転状態検出手段を用いて、より確実に、且つ、容易に比較することができる。この結果、より確実に触媒30の熱劣化を抑制することができる。
また、内燃機関1運転時の運転状態として、クランク角センサ81と回転数取得部73で内燃機関1運転時の回転数を検出し、エアフロセンサ82で内燃機関1運転時の負荷を検出している。このように、内燃機関1運転時の回転数と負荷を検出することにより、より正確に内燃機関1の運転状態を検出して開閉基準92と比較することができるので、運転状態に対して、より適切なにバイパスバルブ40の開閉の判断を行なうことができる。この結果、より確実に触媒30の熱劣化を抑制することができる。
また、上述した排気バイパス装置70の制御方法は、内燃機関1運転時の回転数など内燃機関1の運転状態を取得し、この運転状態と、バイパスバルブ40の開閉の基準となる開閉基準92とを比較し、運転状態がバイパスバルブ40を閉じる領域である弁閉領域94にある場合には、バイパス通路25に設けられたバイパスバルブ40を閉じている。このように、運転状態と開閉基準92とを比較し、ガス温マップ90において運転状態が位置した場合にバイパスバルブ40を閉じる領域を設定することにより、排気ガスの温度を検出することなく、必要に応じてバイパス通路25に設けられたバイパスバルブ40を閉じることができる。これにより、弁閉領域94を、排気ガスの温度が低くなる領域にした場合には、排気ガスの温度が低くなった場合にバイパスバルブ40を閉じ、排気ガスを主通路21に流すことができる。これにより、温度の低い排気ガスを第1触媒31に流すことができので、第1触媒31の熱は排気ガスに放熱し易くなり、第1触媒31の温度を、より確実に低下させることができる。この結果、より確実に触媒30の熱劣化を抑制することができる。
本実施例3に係る排ガス浄化装置は、実施例1に係る排気バイパス装置と略同様の構成であるが、時間によってバイパスバルブを閉じている点に特徴がある。他の構成は実施例1と同様なので、その説明を省略するとともに、同一の符号を付す。図6は、本発明の実施例3に係る排気バイパス装置が設けられた内燃機関の概略図である。同図に示す排気バイパス装置100は、実施例1に係る排気バイパス装置15と同様に内燃機関1に設けられており、さらに、制御手段の一部としてECU101を有している。このECU90には、実施例1に係る排気バイパス装置15が備えるECU60と同様に処理部102が設けられており、処理部102は、床温取得部62及び床温比較部64を有している。さらに、この処理部102は、バイパスバルブ40を開けた後に、バイパスバルブ40を閉じる所定時間である弁閉時間が経過したかを判断する時間経過判断部103と、バイパスバルブ40を閉じた状態における床温の変化を判断する床温変化判断部104とを有している。なお、弁閉時間は、ECU101が有する記憶部67に記憶されている。
この実施例3に係る排気バイパス装置100は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。内燃機関1の運転時において、内燃機関1の始動直後や低回転・低負荷で運転している際には、バイパスバルブ40を閉じる。これにより、排気ガスは、バイパス通路25には流れずに主通路21内に流れて、第1触媒31によって浄化される。第1触媒31で浄化された排気ガスは、さらに、排気ガスの流れ方向における下流側に位置する第2触媒32の方向に流れて、第2触媒32で浄化される。
また、内燃機関1の運転時には、ECU101の処理部102に設けられる床温取得部62が、床温検出センサ51が検出した第1触媒31の床温を取得し、この床温は、床温比較部64に伝えられ、床温比較部64で、記憶部67に記憶された弁開温度と比較する。この比較により、バイパスバルブ40を開ける必要があると判断された場合には、バイパスバルブ40を開ける。
ECU101の処理部102に設けられた時間経過判断部103は、バイパスバルブ40を開けた後、記憶部67に記憶された弁閉時間が経過したかを判断し、バイパスバルブ40を開けた状態で弁閉時間か経過したと判断された場合には、バイパスバルブ40を閉じる。また、ECU101の処理部102に設けられる床温変化判断部104は、バイパスバルブ40を閉じた後、床温の変化を検出し、床温が上昇した場合にはバイパスバルブ40を開け、床温が低下した場合にはバイパスバルブ40が閉じた状態を維持する。
内燃機関1の運転時には、このように床温が高くなった場合にはバイパスバルブ40を開け、バイパスバルブ40を開けた状態で弁閉時間が経過することによりバイパスバルブ40を閉じるが、内燃機関1を高回転・高負荷で運転している際には、ガス温は高くなる。このため、内燃機関1を高回転・高負荷で運転し、ガス温が高くなった場合には、バイパスバルブ40を開ける。これにより、排気ガスはバイパス通路25に流れ込み、主通路21内には流れなくなるので、排気ガスは第1触媒31を通過することなく第2触媒32の方向に流れて第2触媒32を通過し、第2触媒32のみにより浄化される。
図7は、本発明の実施例3に係る排気バイパス装置の制御方法の処理手順を示すフロー図である。次に、実施例3に係る排気バイパス装置100の制御方法、即ち、当該排気バイパス装置100の処理手順について詳細に説明する。内燃機関1を運転する際には、実施例1に係る排気バイパス装置15の制御方法と同様に、まず、バイパスバルブ40を閉じる。これにより、排気ガスは主通路21内に流れて第1触媒31を通過する。内燃機関1の運転中は、床温検出センサ51で第1触媒31の床温を検出し、検出した床温はECU101に伝えられ、ECU101が有する床温取得部62で取得する(ステップST301)。次に、床温取得部62で取得した床温と記憶部67に記憶された弁開温度とを、床温比較部64で比較する(ステップST302)。この比較により、床温が弁開温度以上であると判断された場合には、バイパスバルブ40を開け(ステップST303)、床温が弁開温度未満であると判断された場合には、バイパスバルブ40を閉じた状態を維持する(ステップST304)。
床温と弁開温度とを比較し、バイパスバルブ40を開けた場合には、バイパスバルブ40を開けた後、記憶部67に記憶される弁閉時間が経過したかを、時間経過判断部103で判断し、弁閉時間を経過したら、バイパスバルブ40を閉じる(ステップST305)。これにより、排気ガスは、バイパスバルブ40内には流れずに、第1触媒31が設けられた主通路21内に流れる。
次に、床温取得部62で、この状態での第1触媒31の床温を取得し(ステップST306)、床温変化判断部104で、所得した床温が低下しているかを判断する(ステップST307)。床温変化判断部104で、床温が低下したと判断した場合には、バイパスバルブ40を閉じた状態を維持する(ステップST308)。バイパスバルブ40を閉じた場合には、排気ガスは第1触媒31が設けられた主通路21内に流れるが、この状態で床温が低下するということは、第1触媒31の床温よりも、ガス温の方が低いということになる。このため、バイパスバルブ40を閉じた状態における床温が低下した場合には、バイパスバルブ40を閉じた状態を維持し、第1触媒31の熱を、排気ガスに対して放熱する。
これに対し、床温変化判断部104で、床温が上昇したと判断した場合には、再びバイパスバルブ40を開ける(ステップST303)。バイパスバルブ40を閉じた状態で床温が上昇するということは、第1触媒31の床温よりも、ガス温の方が高いということになる。このため、バイパスバルブ40を閉じた状態における床温が上昇した場合には、バイパスバルブ40を開け、高温の排気ガスが第1触媒31に流れないようにし、第1触媒31が高温の排気ガスに晒されることを抑制する。
以上の排気バイパス装置100は、第1触媒31の床温が、バイパスバルブ40を開ける所定温度である弁開温度よりも高い場合にバイパスバルブ40を作動させてバイパス通路25内を開いている。その後、バイパスバルブ40を閉じる所定時間である弁閉時間経過後にバイパス通路25内を閉じ、この状態で第1触媒31の床温が上昇した場合にはバイパス通路25内を開き、床温が低下した場合にはバイパス通路25内を閉じた状態を維持している。つまり、バイパス通路25内を閉じた場合は、排気ガスが主通路21内を流れて主通路21内の第1触媒31を通過することになるので、この状態で床温が上昇した場合には、排気ガスの温度は床温よりも高いことになり、床温が低下した場合には、排気ガスの温度は床温よりも低いことになる。このため、バイパス通路25内を閉じた際に床温が低下した場合には、その状態を維持することにより、第1触媒31を温度の低い排気ガスに晒すことができ、第1触媒31から排気ガスに対して放熱できるので、第1触媒31の温度を低下させることができる。また、このように、バイパス通路25内を弁閉時間ごとに閉じ、その状態の床温の変化を検出することによってバイパスバルブ40を作動させることにより、排気ガスの温度を検出する手段を用いることなく、排気ガスの温度が床温よりも低い場合に排気ガスが第1触媒31を通過するようにすることができる。この結果、容易に触媒30の熱劣化を抑制することができる。
また、上述した排気バイパス装置100の制御方法は、ガス温が第1触媒31の床温よりも高い場合には、バイパス通路25に設けられたバイパスバルブ40を開け、その後、弁閉時間経過後に第1触媒31を閉じて、この状態での床温を取得している。そして、この取得した床温が上昇した場合にはバイパスバルブ40を開け、低下した場合には、バイパスバルブ40が閉じた状態を維持している。バイパスバルブ40を閉じ、排気ガスが主通路21を流れた状態で床温が低下するのは、ガス温が床温よりも低い場合であり、この状態でバイパスバルブ40が閉じた状態を維持することにより、より確実に床温よりも温度が低い排気ガスを第1触媒31に流すことができる。これにより、第1触媒31の熱は排気ガスに放熱されるので、第1触媒31は温度が急激に低下する。この結果、より確実に触媒30の熱劣化を抑制することができる。
なお、上述した排気バイパス装置15、70、90では、アクチュエータ41等を使用してバイパスバルブ40を作動させているが、バイパスバルブ40の作動は、アクチュエータ41等以外により行なってもよい。内燃機関1の運転中にバイパスバルブ40の作動を確実に行なえるものであれば、アクチュエータ41等以外のものを使用してもよい。
また、実施例2に係る排気バイパス装置70では、内燃機関1の運転状態として、内燃機関1運転時の回転数と負荷を取得しているが、取得する運転状態は、回転数や負荷以外でもよい。取得する運転状態は、その運転状態が変化した場合に排気ガスの温度も変化するものであれば、回転数や負荷以外でもよい。また、実施例2に係る排気バイパス装置70では、取得した運転状態をガス温マップ90に照合し、これによりバイパスバルブ40の開閉の判断を行なっているが、取得した運転状態からガス温を推定し、推定したガス温と第1触媒31の床温とを比較してバイパスバルブ40の開閉の判断を行なってもよい。
また、浄化手段として主通路21内に設けられる第1触媒31、及びバイパス通路25内に設けられる第2触媒32は、共に三元触媒となっているが、浄化手段は三元触媒以外のものでもよい。例えば、浄化手段として、炭化水素(HC)を吸着する吸着手段を用いてもよい。上述した排気バイパス装置の主通路21及びバイパス通路25内に、三元触媒以外の浄化手段を用いた場合でも、より確実に必要な浄化手段に排気ガスを流すことができる。この結果、より確実に排気ガスを浄化することができる。
以上のように、本発明に係る排気バイパス装置及び排気バイパスの制御方法は、バイパス通路を有する排気管に有用であり、特に、触媒をバイパスする機構を有する排気管に適している。
本発明の実施例1に係る排気バイパス装置が設けられた内燃機関の概略図である。
本発明の実施例1に係る排気バイパス装置の制御方法の処理手順を示すフロー図である。
本発明の実施例2に係る排気バイパス装置が設けられた内燃機関の概略図である。
図3に示す排気バイパス装置のECUに記憶されたガス温マップの説明図である。
本発明の実施例2に係る排気バイパス装置の制御方法の処理手順を示すフロー図である。
本発明の実施例3に係る排気バイパス装置が設けられた内燃機関の概略図である。
本発明の実施例3に係る排気バイパス装置の制御方法の処理手順を示すフロー図である。
符号の説明
1 内燃機関
2 シリンダヘッド
3 シリンダブロック
4 ピストン
5 燃焼室
6 クランク室
7 クランクシャフト
8 コネクティングロッド
9 吸気管
10 排気管
11 吸気バルブ
12 排気バルブ
15、70、100 排気バイパス装置
21 主通路
25 バイパス通路
26 上流側接続部
27 下流側接続部
30 触媒
31 第1触媒
32 第2触媒
40 バイパスバルブ
41 アクチュエータ
42 VSV
43 負圧タンク
44 チェック弁
46 制御チューブ
47 大気圧チューブ
48 負圧チューブ
51 床温検出センサ
52 ガス温検出センサ
60、71、101 ECU
61、72、102 処理部
62 床温取得部
63 ガス温取得部
64 床温比較部
65 ガス温比較部
67 記憶部
68 入出力部
73 回転数取得部
74 負荷取得部
75 運転状態比較部
81 クランク角センサ
82 エアフロセンサ
90 ガス温マップ
91 等温線
92 開閉基準
93 弁開領域
94 弁閉領域
103 時間経過判断部
104 床温変化判断部