JP2007196187A - 液体燃料を製造するための触媒およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)粒子状固体をベータゼオライトの水熱合成反応時に用いるテンプレートを含んだ水溶液で還流処理を行う工程、(B)還流処理された粒子状固体を、ベータゼオライトの前駆溶液と共にリアクターに入れ、水熱合成反応を行う工程、及び(C)水熱合成反応後に、洗浄、乾燥および焼成処理を行う工程、を包含する粒子状固体の表面をベータゼオライトからなる膜でコーティングしてなる触媒の製造方法。
【選択図】なし
Description
GTLによる液体燃料の製造法としては、天然ガスから水素と一酸化炭素を製造する改質工程を経た後、水素と一酸化炭素からなる合成ガスを原料として高級パラフィンを製造するフィッシャー・トロプシュ合成(以下、FT合成という。)を行う工程と、高級パラフィンに富むFT合成生成物を低級パラフィンに富む生成物に転換する水素化分解および異性化を行う工程の、2段階で処理する方法が一般に知られている。
一方、非特許文献1には、FT合成触媒とゼオライト等の固体酸触媒を物理的に混合した触媒を用いることで、合成ガスから1段で低級パラフィンを製造することが示されている。
また、非特許文献2には、粒子状のFT合成触媒の外表面にZSM−5の膜をコーティングしたカプセル触媒が調製され、該カプセル触媒を用いて合成ガスから1段で液体燃料を製造する反応が示されている。
Fujimoto 外,「ケミストリー・レターズ(Chemistry Letters)」, 1985年,p783 「石油学会第54回研究発表会講演要旨」,石油学会,平成17年5月16日,102
また、本発明は、(A)水熱合成反応を行う前に、粒子状固体をベータゼオライトの水熱合成反応時に用いるテンプレートを含んだ水溶液で還流処理を行う工程、(B)還流処理された粒子状固体を、ベータゼオライトの前駆溶液と共にリアクターに入れ、水熱合成反応を行う工程、及び(C)水熱合成反応後に、洗浄、乾燥および焼成処理を行う工程、を包含することを特徴とする粒子状固体の表面をベータゼオライトからなる膜でコーティングしてなる触媒の製造方法に関する。
本発明の触媒は、粒子状固体の表面をベータゼオライトからなる膜でコーティングしてなる触媒である。
使用する無機酸化物の平均粒子径については特に制限はないが、通常10μm〜10mm、好ましくは50μm〜5mmのものをプロセスに応じ適宜選択して使用する。また、使用する無機酸化物の比表面積についても特に制限はないが、通常100〜400m2/g、好ましくは200〜300m2/gのものが用いられる。
(A)水熱合成反応を行う前に、粒子状固体をベータゼオライトの水熱合成反応時に用いるテンプレートを含んだ水溶液で還流処理を行う工程
(B)還流処理された粒子状固体を、ベータゼオライトの前駆溶液と共にリアクターに入れ、水熱合成反応を行う工程
(C)水熱合成反応後に、洗浄、乾燥および焼成処理を行う工程
水熱合成反応の条件は、特に制限はなく、通常の条件にて行うことができる。例えば、反応温度は100〜200℃、好ましくは130〜180℃、反応時間は1〜10日、好ましくは1〜5日の範囲で行うことができる。
本発明の触媒は、合成ガスから1段で、メタン選択性とCO2選択性をより低くし、かつイソパラフィン収率をより高くした液体燃料を製造するのにきわめて好適である。
(1)粒子状固体の調製
2.7gのCo(NO3)2・6H2Oをイオン交換水4.7gで溶かした水溶液を調製し、400℃で2時間乾燥したAl2O3(粒子径10−20mesh、比表面積180m2/g、細孔容積0.93ml/g)5.0gに、Incipient Wetness法により含浸させた。その後、デシケーター中に置き、水流ポンプで1時間減圧した後、120℃で12時間乾燥させた。その後、マッフル炉中で20℃から400℃まで3時間かけて昇温し、400℃で2時間保持し焼成した。粒子状固体中のCo含有量は10質量%となるようにした。
4.1gのSiO2(fumed Silica、比表面積200m2/g)を、10.3gのTEAOHに溶かし、1時間攪拌して均一なコロイド状にした。
((CH3)2CHO)3Al(Aluminium triisopropoxide)0.3gを、4.1gのTEAOHに溶解し、SiO2/TEAOH溶液に15分かけて滴下した。その後、3.6gのイオン交換水を加え、室温で2時間攪拌し、前駆溶液を調製した。
前記で調製した粒子状固体1gを25質量%TEAOH水溶液5g中に入れ、104℃で4時間還流した。
前処理を行った粒子状固体を、濾紙で表面のエタノールを吸い取った後、水熱合成反応リアクターに入れた。次に、調製したベータゼオライト前駆溶液をリアクター入れ、155℃で3日間水熱合成反応を行った。
回転は、最初は2rpmで5時間回転させ、その後は、1時間停止の後2rpmで2分間回転、という操作を60回繰り返した。水熱合成反応終了後、反応生成物をリアクターから取り出し、イオン交換水で洗液のpHが8以下になるまで洗浄した。洗浄後、120℃で12時間乾燥し、その後、マッフル炉で20℃から550℃まで8時間かけて昇温させ、550℃で5時間保持し焼成した。
以上の工程により、ベータゼオライト皮膜を有する粒子状固体触媒を調製した。
粒子状固体の前処理工程において、TEAOH水溶液の還流処理後に、イオン交換水での洗浄及びエタノールへの浸漬を行わずに、その他の工程は、実施例1と同様の操作で触媒を調製した。
粒子状固体の前処理工程を行わなず、その他は実施例1と同様の操作で触媒を調製した。
水熱合成反応の工程において、回転と停止の繰り返しを行わずに、2rpmで回転させ続けて水熱合成反応を行い、その他は実施例1と同様の操作で触媒を調製した。
表1に示されるとおり、粒子状固体の前処理工程がない場合(比較例1)はベータゼオライト膜が形成されず、かつCoの流出が大きい。また、水熱合成反応時において攪拌の回転と停止を繰り返さない場合(比較例2)には、Coの流出は抑制されるものの、ベータゼオライト膜が生成しなかった。実施例2のように、前処理後にイオン交換水での洗浄及びエタノールへの浸漬を行わない場合には、ベータゼオライト膜は形成するものの、Coの流出がやや見られた。
実施例1の操作に従って調製を行った場合は、ベータゼオライト膜が生成し、かつ粒子状固体中のCo量も低下しないことが分かった。
Claims (7)
- 粒子状固体の表面をベータゼオライトからなる膜でコーティングしてなる触媒。
- 粒子状固体がアルミナを主成分とする無機酸化物からなることを特徴とする請求項1に記載の触媒。
- 粒子状固体がCoを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の触媒。
- 粒子状固体が、さらにRu、Zr、Re、Os及びそれらの組合せから成る群より選択される金属を含むことを特徴とする請求項3に記載の触媒。
- (A)水熱合成反応を行う前に、粒子状固体をベータゼオライトの水熱合成反応時に用いるテンプレートを含んだ水溶液で還流処理を行う工程、(B)還流処理された粒子状固体を、ベータゼオライトの前駆溶液と共にリアクターに入れ、水熱合成反応を行う工程、及び(C)水熱合成反応後に、洗浄、乾燥および焼成処理を行う工程、を包含することを特徴とする粒子状固体の表面をベータゼオライトからなる膜でコーティングしてなる触媒の製造方法。
- 工程(A)において、ベータゼオライトのテンプレートとして、水酸化テトラエチルアンモニウムを用いることを特徴とする請求項5に記載の製造方法。
- 工程(B)において、水熱合成反応時に、撹拌と停止を繰り返すことを特徴とする請求項5に記載の製造方法。
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