従来技術による電子部品などの部品を電子回路基板などの回路形成体に実装する部品実装装置においては、部品集合体を装着した部品供給装置を部品供給部に複数搭載しておき、予め定められた順序で部品を部品保持部であるノズルで吸着して取り出し、前記部品の部品保持部における保持姿勢が正常に実装できる姿勢にあるかを検出し、前記検出の結果、正常に実装できる姿勢にあることが確認されれば、部品を吸着しているノズルと当該部品の吸着位置とのずれ量を検出し、これに基づく位置補正を行なって回路形成体上の予め定められた位置に実装するように構成されている。部品が正常に実装できない姿勢である場合や、部品の吸着位置を正常に検出できない場合などには、ノズルは回路形成体にその部品を実装する動作を行なうことなく、予め定められた位置にその部品を吸着解除して放出する動作を行う。
ここで、前記「回路形成体」とは、電子部品が実装されることとなる被実装体を意味し、一般には電子回路基板であることが多いが、最近では部品の上に更に別の部品を実装するケースもあり、本明細書ではこれらを含めて回路形成体と総称するものとする。但し、以下の説明においては、理解を容易にするため、その代表例である「基板」を用いて行なうものとする。
近年の電子機器などの小型・軽量化傾向に対処して、部品の小型化や、部品を密集して実装すること等の市場要請に応じる必要があり、基板上への部品の実装間隔がより一層狭くなる傾向にある。このため、先に基板上に実装された部品と隣接する位置に次の部品を実装するに際しては、先の部品に障害を与えることがないよう、ノズルに吸着された状態での部品の保持姿勢には厳しい管理が必要となり、そして部品保持部となるノズルの先端面積はより小さくなる傾向にある。
以下に、従来技術による部品実装装置の構成を、図5から図7を参照して説明する。図5は、部品実装装置の全体概略構成を示している。図において、部品実装装置には、本体部1、部品供給部2が含まれている。本体部1内においては、部品供給部2から供給される部品を取り出し、本体部1の側面から供給される基板上に前記部品を実装する一連の実装動作が行なわれる。
図6は、部品供給部2へ部品を供給するためのパーツカセット方式による部品供給装置の概要を示す。図6(a)において、部品3は、テープ4に一定間隔5で収納されており、このテープ4は、リール6に収納されている。図6(b)において、前記リール6は、パーツカセット7に装着され、パーツカセット7は、レバー部8が動作するたびに一定間隔5で、且つ部品吸着窓9に部品3が位置するように、テープ4を順次送り出す動作を行う。パーツカセット7は、通常、図1に示すように部品供給部2に複数装着され、モータの駆動により図示のX軸に沿って移動し、実装すべき部品3が収納されたパーツカセット7が、所定の取り出し位置に位置合わせされるよう構成されている。なお、ここでは部品供給装置として、その代表例であるパーツカセット方式によるものを表示しているが、その他に、エアを使用して部品を順次供給するバルクフィーダや、部品を平面的に配置したトレイなどを使用して供給する方式もある。
図7は、図1に示す本体部1内部における、部品の取り出し、及び基板上への実装に至る一連の実装動作の概要を示している。図7に示すY軸後方側には、上述の部品供給部2が示され、パーツカセット7に装着されたリール6からレバー部8の動作により部品3が部品吸着窓9へ順次供給される。図示のY軸の手前側には、本体部1に収められた構成要素10が示されており、インデックス11は、部品の吸着、及び基板への部品の実装を行う部品実装ヘッド12を円周状に複数配備し、モータ駆動によって矢印13に示す方向に間欠回転運動を行なって部品実装ヘッド12を各動作位置に順次移動させる。各部品実装ヘッド12に装備されたノズル14は、部品の吸着、実装ができるようモータ駆動により図示のZ軸に沿った上下動、及び、Z軸に平行な軸を中心とした回転運動がそれぞれ可能とされ、負圧、正圧を供給する配管がつながれている。基板21は、本体部1に回路形成体供給部から搬入され、モータ駆動により図示のX軸、Y軸の両軸に沿って移動可能な、図示しない回路形成体保持装置に規正して保持される。
同じく図7において、ノズル14は、まず部品取り出し位置15で、パーツカセット7の部品吸着窓9から、負圧を利用して部品3を吸着して取り出す。インデックス11の矢印13方向の回転により、ノズル14は、次の部品保持姿勢判定位置16に移動し、ここで部品保持姿勢判定装置17を用いて、部品3が実装できる状態にあるか否かが判定される。次のインデックス11の回転により、ノズル14は、部品保持位置検出位置18に移動し、部品保持位置検出装置19で部品3の吸着位置が検出され、更に次の部品実装位置20に移動し、予め設定された実装位置のデータ(NCプログラム)に沿ってX軸、Y軸の両軸方向に駆動される回路形成体保持装置に規正して保持された基板21上の予め設定された場所に、ノズル14が部品3を実装する。先の部品保持姿勢判定装置17により、部品3の保持姿勢が正常に実装できる状態にないと判定された場合には、次の部品回収位置22で、ノズル14は吸着を解除して部品3を部品回収装置23に放出する。インデックス11に複数配備された各部品実装ヘッド12のノズル14は、インデックス11の間欠回転運動に同期して、上記部品の吸着・実装・必要な放出動作をそれぞれ同時進行させる。図示の25及び26は、それぞれ部品保持姿勢判定コントローラ、及び部品保持姿勢認識コントローラである。なお、本図では、部品保持位置検出位置18以降の各部品3、及び基板21を、分り易くするため拡大して描いており、部品取り出し位置15および部品保持姿勢判定位置16においても、図面には現れていないが、ノズル14の先端にはそれぞれ部品3が保持されている。
次に、図8を参照して、部品の保持姿勢判定方法の概念を説明する。ノズル14に吸着された部品3は、例えばラインセンサなどの部品保持姿勢判定装置17により、投光側28から受光側29に向けて発光される光によってその保持姿勢が判定される。受光側29の高さ基準面に対して計測した高さが、予め定められた高さ(h1)=(ノズル14の高さh2+部品3高さ)に対して、予め設定された許容値Δhの範囲内、すなわち、
(h1−Δh)<h1<(h1+Δh)
を満たしていれば、ノズル14は所定の部品3を吸着していると共に、実装できる保持姿勢であると判定する。
計測した結果が、予め設定されたノズル14の高さh2と同一であった場合には、ノズル14は部品3を吸着していないと判定する。また、計測した結果:h3が、
h3<(h1−Δh)
の場合には、正常に備品を実装できない保持姿勢(以下、「立ち吸着」と呼ぶ)にあると判定する。立ち吸着と判定した場合には、図7の部品実装位置20ではその部品3を実装せず、部品回収位置22で部品回収装置23に放出する。また、所定の部品3ではない部品(従って高さの異なる部品)がノズル14に吸着された場合においても同様に検出され、当該部品も部品回収位置22で部品回収装置23に放出される。
図9は、ノズル14と部品3の吸着位置とのずれ量を求める概念を示している。部品3の吸着位置は、部品の形状、重心位置などによって異なり、各部品毎に予め定められるものであるが、ここでは説明容易化のため、吸着位置は部品の中心31にあるものとし、又、ノズル14は、その中心32がずれ量検出の基準位置であるものとする。部品保持位置検出位置18の部品保持位置検出装置19は、ノズル14が部品3を保持した状態を下方から捉え、部品3の中心31を検出する。これに対し、予め定められたノズル14の中心32とのX軸方向でのずれ量Δx、及びY軸方向でのずれ量Δyを検出し、全体のずれ量Δaを算出する。
次に、図10を参照して、従来技術による部品実装装置での生産動作を説明する。ステップ#901(以下、「ステップ」を省略してステップ番号のみで記す。)での生産開始に伴い、#902で基板21を回路形成体保持装置に搬入して規正し、#903で部品3を吸着して取り出す。#904で、部品保持姿勢判定位置16の部品保持姿勢判定装置17により部品3の保持姿勢を検出し、そして部品保持姿勢判定コントローラ25でその検出結果に基づいて判定を行なう。部品3の保持姿勢が正常に実装できる範囲内であると判定された場合には、#905の部品保持位置検出位置18で部品保持位置検出装置19、及び部品保持姿勢認識コントローラ26により、吸着すべき部品3の中心31の検出を行うと共に、部品3の中心31とノズル14の中心32とのずれ量の検出を行う。#906で前記検出が正常に行なわれれば、このずれ量に基づいて位置補正を行い、#907で部品実装位置20において基板21への実装位置決めをおこない、#908で実装動作を行う。次に#909では、これが最終実装点、すなわち実装すべき全ての部品3が基板21上に実装されているか否かを判定する。最終実装点であると判定されれば、続いて#910において、この基板21が最終の基板であるか否かを判定し、そして最終の基板であると判定されれば、#911でこの基板を搬出し、生産動作を終了する。
#904における部品保持姿勢判定で、部品未吸着と判定された場合には、実装動作を行なうことなく、改めて#903の部品吸着動作を行う。#904の部品保持姿勢判定で、立ち吸着と判定された場合、もしくは誤部品吸着と判定された場合には、#912における部品回収位置22で部品回収装置23に部品3を放出した上、改めて#903の部品吸着動作を行う。
#909での最終実装点であるかの判定において、最終実装点ではないと判定された場合には、#903に戻って次の実装点のための部品吸着動作を行う。
更に、#910での最終基板であるかの判定において、最終基板ではないと判定された場合には、必要な全ての部品の実装が終了した基板21を搬出すると共に、#902に戻って新たな基板を搬入する搬送動作を行い、以下、上述と同様の実装動作を繰り返す。
しかしながら、このような従来技術による部品の実装動作の場合、部品を吸着する前のノズル先端に付着物が無いことの確認や、実装できる状態にないと判定された部品を確実に放出できていることの確認が、部品の小型化や実装の密集化に伴うノズルの部品吸着面の面積縮小などの影響を受け、極めて難しくなっている。特に、この確認のために専用のセンサ等の検出装置を新たに追加することは、スペース、コスト等の問題から困難を伴う。
万一、部品が放出されていないノズルで新たな部品を取り出す動作を行った場合には、部品吸着のために接近するノズルと吸着すべき部品との間に放出されずに残ったままの部品が干渉して両部品に障害を及ぼすことになる。また、極端な場合にはノズル自身が損傷を受けることもあり得る。さらには、部品の一部などの僅かな付着物がノズル先端に残っていた場合においては、負圧による吸着力が十分に働かず、部品を正しい姿勢で吸着できずに、次の実装時において支障をきたすことがあり得る。
更に、部品回収位置22で部品回収装置23に放出すべき部品が放出されずに不安定な状態のままでノズルに付着している場合、あるいは部品取り出し時に部品が異常な姿勢で取り出されたままノズルと共に移動する場合などにおいて、その部品が基板上などに誤って落下するようなことになると、他の部品を傷つけたり、あるいは他のノズルによる部品実装動作に障害を与えたりすることにもなりかねない。
なお、上述の記載は、エアの正圧、負圧を利用して部品の吸着、保持を行なうノズル形式での部品実装方式に関して説明しているが、他にもチャックなどの機械的手段を用いて部品の取り出し、実装を行なう方式もあり、これらに関しても問題部品を部品回収位置22で把持状態を解放し放出する際にその放出が正常に行なわれず、部品もしくは部品の一部が付着物として残るような場合には、同様な問題を生ずる。
従って、本発明は、上記のような問題を解消し、部品供給装置から取り出した部品を保持状態の不良などの原因により放出しなければならない場合において、その部品の放出がされているかどうかの確認を、確実に実施することができる部品実装方法、並びに当該部品実装方法を実施する部品実装装置を提供すると共に、部品を所定の部品回収装置に確実に放出することを可能とする部品実装方法、並びに部品実装装置を提供することを目的としている。
本発明にかかる部品実装方法、並びに部品実装装置では、部品を放出した後の部品保持部が次の部品を取り出す前に、当該部品保持部に付着物がないことの検出を、好ましくは部品実装装置が既に備えている検出装置を用いて行なうことにより、前記問題を解消しようとするものであり、具体的には以下の内容を含む。
すなわち、本願の請求項1に記載の発明は、部品供給部に供給された部品を部品保持部により取り出し、前記部品保持部における部品の保持状態を検出し、前記検出の結果、正常に実装ができる状態にある場合には前記部品保持部が回路形成体の所定位置に当該部品を実装し、正常に実装ができる状態にない場合には、前記部品保持部は当該部品を実装せず、所定の部品回収位置で前記部品を放出し、次に新たな部品を取り出す一連の手順を繰り返し行なう部品実装方法であって、前記部品の保持状態の検出結果、正常に実装ができる状態にないと判定されて部品を放出した後の部品保持部が、次に新たな部品を取り出す前に、当該部品保持部に付着物がないか否かを検出するステップを含むことを特徴とする部品実装方法に関する。部品の放出を行なった部品保持部に関しては、付着物がないことを確認した後、始めて次の部品の取り出しを行わせることにより、付着物による障害を回避するものである。
請求項2に記載の本発明は、部品供給部に供給された部品を部品保持部により取り出し、前記部品保持部における部品の保持状態を検出し、前記検出の結果、正常に実装ができる状態にある場合には当該部品保持部は回路形成体の所定位置に当該部品を実装し、正常に実装ができる状態にない場合には、前記部品保持部は前記部品を実装せず、所定の部品回収位置で前記部品を放出し、次に新たな部品を取り出す一連の手順を繰り返し行なう部品実装方法であって、生産動作を開始した直後の最初の部品を取り出す前に、前記部品保持部に付着物がないか否かを検出するステップを含むことを特徴とする部品実装方法に関する。生産開始直後に、部品保持部に付着物がないことを確認した後に部品取り出し動作を開始することにより、付着物による障害を回避するものである。
請求項3に記載の本発明にかかる部品実装方法は、前記部品保持部に付着物がないか否かの検出の結果、付着物が検出された場合、当該部品保持部から前記付着物が取り除かれ、生産動作が再開された直後、当該部品保持部が次に新たな部品を取り出す前に、当該部品保持部に付着物がないか否かの再度の検出を行なうステップを更に含むことを特徴としている。付着物が確実に取り除かれているかの際確認を行ない、万一の障害を排除するものである。
請求項4に記載の本発明にかかる部品実装方法は、前記部品保持部に付着物がないか否かの検出を、前記部品の保持状態を検出する検出装置を用いて行なうことを特徴としている。既存の検出装置を利用して付着物の検出を行うことにより、スペース、コスト上の問題を回避するものである。
請求項5に記載の本発明にかかる部品実装方法は、前記部品保持部に付着物がないか否かの検出の結果、付着物が検出された場合には、生産動作を停止すること、又は警告を発することのいずれか、もしくは双方のステップを含むことを特徴としている。
請求項6に記載の本発明は、部品供給部に供給された部品を部品保持部により取り出し、前記部品保持部における部品の保持状態を検出し、前記検出の結果、正常に実装ができる状態にある場合には前記部品保持部が回路形成体の所定位置に当該部品を実装し、正常に実装ができる状態にない場合には、前記部品保持部は当該部品を実装せず、所定の部品回収位置で前記部品を放出し、次に新たな部品を取り出す一連の手順を繰り返し行なう部品実装方法において、前記部品の保持状態を検出するに際し、当該部品と前記部品保持部との位置ずれ量が、予め定められた許容位置ずれ量を越えている場合には、当該部品の保持状態は、正常に実装ができる状態にないと判定することを特徴とする部品実装方法に関する。部品と部品保持部との許容ずれ量を予め設定しておき、ずれ量が許容範囲にない場合にはその部品を放出することにより、実装時の障害を事前に回避するものである。これにより、実装される部品間の間隙を、より狭くすることが可能になる。
請求項7に記載の本発明は、部品供給部に供給された部品を部品保持部により取り出し、前記部品保持部における部品の保持状態を検出し、前記検出の結果、正常に実装ができる状態にある場合には前記部品保持部が回路形成体の所定位置に当該部品を実装し、正常に実装ができる状態にない場合には、前記部品保持部は当該部品を実装せず、所定の部品回収位置で前記部品を放出し、次に新たな部品を取り出す一連の手順を繰り返し行なう部品実装方法であって、前記部品の保持状態の検出結果、正常に実装ができる状態にないと判定された場合には、当該部品保持部が前記所定の部品回収位置に移動して当該部品を放出するまでの間、当該部品保持部の移動速度を低下させることを特徴とする部品実装方法に関する。部品保持部の移動速度を低下させることにより、異常な状態で保持された部品の落下を防ぎ、当該部品を確実に所定の部品回収位置において放出できるようにし、部品落下による他の部品や、その後の実装動作への悪影響を回避するものである。
請求項8に記載の本発明にかかる部品実装方法は、前記部品保持部が円周状に複数配備され、当該複数の部品保持部が前記円周上を間欠回転運動しながら順次部品の取り出しから実装を繰り返し行なうことを特徴としている。請求項1から請求項7に記載の本発明を、インデックス方式の部品実装方法に適用するものである。
請求項9に記載の本発明は、部品供給部に供給された部品を部品保持部により取り出し、前記部品保持部における部品の保持状態を検出し、前記検出の結果、正常に実装ができる状態にある場合には前記部品保持部が回路形成体の所定位置に当該部品を実装し、正常に実装ができる状態にない場合には、前記部品保持部は前記部品を実装せず、所定の部品回収位置で前記部品を放出し、次に新たな部品を取り出す一連の手順を繰り返し行なう部品実装方法であって、前記部品の保持状態検出の結果、正常に実装ができる状態にないために部品を放出した後の前記部品保持部が、次に新たな部品を取り出す前に、当該部品保持部に付着物がないか否かを検出する処理と、前記付着物がないか否かを検出する処理で、付着物がないことが確認された場合には、前記部品保持部に次に実装すべき部品を取り出す動作をさせる処理と、前記付着物がないか否かを検出する処理で、付着物が確認された場合には、生産動作を停止する処理と、前記付着物が確認された部品保持部から付着物が取り除かれ、生産動作が再開された後に、当該部品保持部で次に実装すべき部品を取り出す処理と、を有することを特徴とする部品実装方法に関する。部品の放出を行なった部品保持部に関しては、付着物のないことを確認した後、始めて次の部品の取り出しを行わせることにより、付着物による障害を回避するものである。
請求項10に記載の本発明は、部品供給部に供給された部品を部品保持部により取り出し、前記部品保持部における部品の保持状態を検出し、前記検出の結果、正常に実装ができる状態にある場合には前記部品保持部が回路形成体の所定位置に当該部品を実装し、正常に実装ができる状態にない場合には、前記部品保持部は前記部品を実装せず、所定の部品回収位置で前記部品を放出し、次に新たな部品を取り出す一連の手順を繰り返し行なう部品実装方法であって、生産動作を開始した直後の最初の部品を取り出す前に、前記部品保持部に付着物がないか否かを検出する処理と、前記付着物がないか否かを検出する処理で、付着物がないことが確認された場合には、部品の取り出しを開始する処理と、前記付着物がないか否かを検出する処理で、付着物が確認された場合には、生産動作を停止する処理と、前記付着物が確認された部品保持部から付着物が取り除かれ、生産動作が再開された後に、当該部品保持部で実装すべき部品を取り出す処理と、を有することを特徴とする部品実装方法に関する。生産開始直後に、部品保持部に付着物がないことを確認した後に部品取り出し動作を開始することにより、付着物による障害を回避するものである。
請求項11に記載の本発明にかかる部品実装方法は、前記生産動作が再開された後、当該部品保持部が次に実装すべき部品を取り出す前に、当該部品保持部に付着物がないか否かを再度検出する処理を更に有することを特徴としている。付着物が確実に取り除かれているかの再確認を行なうことにより、万一の障害を排除するものである。
請求項12に記載の本発明は、部品供給部に供給された部品を部品保持部により取り出し、前記部品保持部における部品の保持状態を検出し、前記検出の結果、正常に実装ができる状態にある場合には前記部品保持部が回路形成体の所定位置に当該部品を実装し、正常に実装ができる状態にない場合には、前記部品保持部は前記部品を実装せず、所定の部品回収位置で前記部品を放出し、次に新たな部品を取り出す一連の手順を繰り返し行なう部品実装方法であって、前記部品保持部に保持された部品の位置と前記部品保持部の位置との間の許容位置ずれ量を予め設定し、記憶しておく処理と、前記部品の保持状態を検出する際に、当該部品と前記部品保持部との位置ずれ量と前記予め定められた許容位置ずれ量とを比較する処理と、前記部品と前記部品保持部との位置ずれ量が、前記予め定められた許容位置ずれ量に収まっている場合には、当該位置ずれの補正を行った上で当該部品を回路形成体の所定位置に実装する処理と、前記部品と前記部品保持部との位置ずれ量が、前記予め定められた許容位置ずれ量を越えている場合には、前記部品を回路形成体上に実装せず、所定の部品回収位置で当該部品を放出する処理と、を有することを特徴とする部品実装方法に関する。部品と部品保持部との許容ずれ量を予め設定しておき、ずれ量が許容範囲にない場合にはその部品を放出することにより、実装時の障害を事前に回避するものである。
請求項13に記載の本発明は、部品供給部に部品を順次供給する部品供給装置と、前記部品が実装される回路形成体を、所定位置に規正して保持する回路形成体保持装置と、前記部品供給部から部品を取り出して保持し、前記規正して保持された回路形成体の所定位置に当該部品を実装する部品実装ヘッドと、前記部品実装ヘッドが部品を取り出した後、当該部品を前記回路形成体に実装する前に、当該部品実装ヘッドの部品保持部における部品の保持状態を検出する検出装置と、前記検出装置により、前記部品が正常に実装できる保持状態にないと判定された場合に、当該部品を回収する部品回収装置と、前記部品実装ヘッドを、少なくとも前記部品を取り出す位置と、前記保持状態を検出する位置と、前記部品を回路形成体に実装する位置と、前記部品を回収する位置とへ搬送する搬送手段と、を備えた部品実装装置であって、前記検出装置による検出の結果、部品が正常に実装できる保持状態にないと判定され、前記部品実装ヘッドが当該部品を前記部品回収装置へ放出した後、次の部品を取り出す前に、当該部品実装ヘッドの部品保持部に付着物がないか否かを、前記部品の保持状態を検出する検出装置により検出することを特徴とする部品実装装置に関する。部品の放出を行なった部品保持部に関しては、付着物のないことを確認した後、始めて次の部品の取り出しを行わせることにより、付着物による障害を回避するものである。
請求項14に記載の本発明は、部品供給部に部品を順次供給する部品供給装置と、前記部品が実装される回路形成体を、所定位置に規正して保持する回路形成体保持装置と、前記部品供給部から部品を取り出して保持し、前記規正して保持された回路形成体の所定位置に当該部品を実装する部品実装ヘッドと、前記部品実装ヘッドが部品を取り出した後、当該部品を前記回路形成体に実装する前に、当該部品実装ヘッドの部品保持部における部品の保持状態を検出する検出装置と、前記検出装置により、前記部品が正常に実装できる保持状態にないと判定された場合に、当該部品を回収する部品回収装置と、前記部品実装ヘッドを、少なくとも前記部品を取り出す位置と、前記保持状態を検出する位置と、前記部品を回路形成体に実装する位置と、前記部品を回収する位置とへ搬送する搬送手段と、を備えた部品実装装置であって、生産動作を開始した直後で、前記部品実装ヘッドが最初の部品を取り出す前に、当該部品実装ヘッドの部品保持部に付着物がないか否かを、前記部品の保持状態を検出する検出装置により検出することを特徴とする部品実装装置に関する。生産開始直後に、部品保持部に付着物がないことを確認した後に部品取り出し動作を開始することにより、付着物による障害を回避するものである。
請求項15に記載の本発明にかかる部品実装装置は、前記部品保持部に保持された前記部品と前記部品保持部との位置ずれ量を検出し、当該位置ずれ量が予め定められた許容位置ずれ量を越えている場合には、当該保持状態は正常に実装ができる状態にないと判定することを特徴としている。ずれ量が許容範囲にない場合にはその部品を放出することにより、実装時の障害を事前に回避するものである。
請求項16に記載の本発明にかかる部品実装装置は、前記部品保持部に付着物がないか否かの検出の結果、付着物が検出された場合には、生産動作を停止すること、又は警告を発することを特徴としている。
請求項17に記載の本発明にかかる部品実装装置は、前記部品実装装置が、部品供給部の付着物を取り除く付着物除去装置を更に含み、前記部品保持部に付着物がないか否かの検出の結果、付着物が検出された場合には、前記付着物除去装置が当該部品保持部から付着物を取り除くことを特徴としている。付着物の除去をより効率的に行い、装置の稼働率を高めるものである。
請求項18に記載の本発明は、部品供給部に部品を順次供給する部品供給装置と、前記部品が実装される回路形成体を、所定位置に規正して保持する回路形成体保持装置と、前記部品供給部から部品を取り出して保持し、前記規正して保持された回路形成体の所定位置に当該部品を実装する部品実装ヘッドと、前記部品実装ヘッドが部品を取り出した後、当該部品を前記回路形成体に実装する前に、当該部品実装ヘッドの部品保持部における部品の保持状態を検出する検出装置と、前記検出装置により、前記部品が正常に実装できる保持状態にないと判定された場合に、当該部品を回収する部品回収装置と、前記部品実装ヘッドを、少なくとも前記部品を取り出す位置と、前記保持状態を検出する位置と、前記部品を回路形成体に実装する位置と、前記部品を回収する位置とへ搬送する搬送手段と、を備えた部品実装装置であって、前記部品の保持状態の検出の結果、正常に実装ができる状態にないと判定された場合には、当該部品保持部が前記部品回収装置に当該部品を放出するまでの間、前記搬送手段が、当該部品保持部を装着した部品実装ヘッドの移動速度を低下させることを特徴とする部品実装装置に関する。部品保持部の移動速度を低下させ、異常な状態で保持された部品の落下を防ぎ、部品落下による他の部品や、その後の実装動作への悪影響を回避するものである。
請求項19に記載の本発明にかかる部品実装装置は、前記搬送手段が、複数の部品実装ヘッドを円周状に配備して間欠回転運動をしながら前記部品実装ヘッドを搬送するインデックスであることを特徴としている。請求項13から請求項18に記載の本発明にかかる部品実装装置の部品実装ヘッドの搬送手段を、インデックス方式とするものである。
請求項20に記載の本発明にかかる部品実装装置は、前記部品保持部が、真空を利用して部品を吸着して保持するノズル型式の部品保持部であることを特徴としている。請求項13から請求項19に記載の本発明にかかる部品実装装置の部品保持部を、ノズル形式とするものである。
請求項21に記載の本発明は、コンピュータに、部品保持部が部品供給部から部品を取り出す手順と、前記部品保持部に保持された部品が実装できる姿勢にあるか否かを検出する手順と、前記検出の結果、当該部品が正常に実装できる保持姿勢にあると判定された場合には、前記部品保持部と前記部品の吸着位置との位置ずれを算出して位置補正を行ない、回路形成体上の予め定められた位置に前記部品を実装する手順と、前記検出の結果、当該部品が実装できる保持姿勢にないと判定された場合には、当該部品を回路形成体上に実装せず、所定の部品回収装置で当該部品を回収する手順と、前記部品回収装置で部品を放出する動作をした部品保持部が、次に実装すべき部品を取り出す動作をする前に、当該部品保持部に付着物がないか否かを検出する手順と、前記付着物がないか否かを検出する手順で、付着物がないことが確認された場合には、次に実装すべき部品を取り出す動作をさせる手順と、前記付着物がないか否かを検出する処理で、付着物が検出された場合には、生産動作を停止する手順と、前記付着物が検出された部品保持部から付着物が取り除かれ、生産動作が再開された後に、当該部品保持部で次に実装すべき部品を取り出す動作をさせる手順と、を実行させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
請求項22に記載の本発明にかかるコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、生産動作を開始した直後に、前記部品保持部により部品供給部から部品を取り出す前記手順の前に、前記部品保持部に付着物がないか否かを検出する手順と、前記付着物がないか否かを検出する手順で、付着物がないことが確認された場合には、前記部品保持部に部品を取り出す動作をさせる手順と、前記付着物がないか否かを検出する処理で、付着物が検出された場合には、生産動作を停止する手順と、前記付着物が検出された部品保持部から付着物が取り除かれ、生産動作が再開された後に、当該部品保持部に実装すべき部品を取り出す動作をさせる手順と、を実行させるプログラムを更に記録したことを特徴としている。
そして、請求項23に記載の本発明にかかるコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、前記の生産動作が再開された後に、部品保持部に実装すべき部品を取り出す動作をさせる前記手順の前に、当該部品保持部に付着物がないか否かを再度検出する手順と、前記付着物がないか否かを再度検出する手順で、付着物がないことが確認された場合には、当該部品保持部に部品を取り出す動作をさせる手順と、前記付着物がないか否かを再度検出する処理で、付着物が検出された場合には、生産動作を再度停止する手順と、を実行させるプログラムを更に記録したことを特徴としている。
以上のように、本発明にかかる部品実装方法、及び当該部品実装方法を実施する部品実装装置によれば、部品実装ヘッドの部品保持部に付着物の無いこと、および不要な部品が放出できたことを、検出装置を使用して確認することができる。この検出装置は、部品実装装置に新たに追加することなく、既に装備されている部品保持姿勢判定装置を活用することが好ましい。前記検出装置により、付着物が検出された場合には、部品実装装置を停止するオペレータによる除去処理や、もしくは圧縮空気やブラシ状部材などを使用した付着物除去装置による付着物の自動除去処理が可能であり、その後必要であれば再度前記検出装置を使用して付着物がないことの再確認が可能である。これにより、部品実装作業において不要な不良品を生み出すことなく、歩留まり率を向上させることができ、また部品保持部の損傷など、不要な故障原因による稼働率低下を回避することができる。
また、本発明にかかる部品保持部の移動速度の低下処理により、部品実装ヘッドの部品保持部における部品の保持姿勢が不安定な状態であっても、所定の部品回収位置までに部品を取りこぼす確率を低減することが可能となる。このため、本発明にかかる部品実装方法、もしくは部品実装装置を用いた回路形成体への部品実装によれば、より確実に高品質の回路形成体を生産することができる。
更に、本発明にかかる記録媒体をコンピュータで読取り、これによって部品実装工程を制御することによれば、部品実装作業における不要な不良品を生み出すことなく、歩留まり率を向上させることができ、また不要な故障原因による稼働率低下を回避することが可能になる。
本発明の各種実施の形態にかかる部品実装方法、及び当該部品実装方法を実施する部品実装装置につき、図面を参照して説明する。なお、以下に示す各説明においては、間欠回転運動を行うインデックスに複数の部品実装ヘッドが円周状に配置され、順次部品の取り出しから基板への実装を行なうロータリ式の部品実装方法を例としているが、本発明がこのロータリ式の部品実装方法への適用に限定されるものではない。例えば、部品実装ヘッドをX軸及びY軸の両軸に沿って平面的に移動させることにより、部品の取り出し及び実装を行うXY軸式の部品実装方法においても、あるいはその他の実装方法であっても、同様に適用することができる。
さらに、以下に示す各説明においては、部品実装ヘッドに装着された部品保持部が、エアの正圧・負圧を利用して部品の取り出し、及び基板上への実装を行なうノズル形式の部品保持部を例にしているが、例えばチャックなどを使用して機械的に部品を把持して取り出し、実装を行なう機械式の部品保持部を有する形式の部品実装装置であっても、本発明を同様に適用することができる。又、部品が実装される被実装体が、以下では基板を例として説明しているが、部品の上に更に部品を実装するケースや、筐体に部品を実装するケースなど、基板の代りに他の回路形成体に実装することであっても適用が可能である。
<実施の形態1>
図1は、本発明の実施の形態1にかかる部品実装方法、及び当該部品実装方法を実施する部品実装装置の生産動作の流れを示している。なお、本実施の形態で使用する部品実装装置の本体部における構成は、図7を参照して説明したものと同様である。本実施の形態にかかる部品実装方法では、正常に実装できる状態にない部品を部品回収装置に放出したノズルに対し、前記放出の後に付着物が残っていないか否かの検出を行ない、付着物がないことを確認した後、始めて部品の再吸着を行なうものである。
本実施の形態にかかる部品実装方法、及び部品実装装置の生産動作は、図1において、ステップ#101(以下、「ステップ」を省略してステップ番号のみ記す。)の生産開始に伴い、#102で基板21を回路形成体保持装置に搬入して規正し、#103で部品3を吸着して取り出す。次に、#104で、部品保持姿勢判定位置16において部品保持姿勢判定装置17により、部品3の保持姿勢を判定する。ここで保持姿勢が正常に実装できる範囲内にあると判定された場合には、#105に進み、部品保持位置検出位置18において部品3の吸着位置を検出する。#106で、吸着位置を正常に検出できたことが確認されれば、当該吸着位置とノズル14のずれ量Δaの算出を行う。本明細書においては、前記保持姿勢の判定と前記保持位置の検出とを併せて、保持状態の検出と呼ぶものとする。前記ずれ量Δaを基に位置補正を行い、#107に進んで、部品実装位置20において基板21への実装位置決めをし、#108で部品の実装動作を行う。次に#109で、これが最終実装点であるか否かを判定し、最終実装点であると判定されれば、続いて#110で、この基板21が最終基板であるか否かを判定し、最終基板であると判定されれば、#111でこの基板21を搬出して生産動作を終了する。
#104における部品保持姿勢判定で、部品未吸着と判定された場合には、実装動作を行なわず、#103に戻って改めて部品吸着動作を行う。また、#104における部品保持姿勢判定で、立ち吸着と判定された場合、もしくは誤部品吸着と判定された場合には、#112に進み、部品回収位置22の部品回収装置23において部品3を吸着解除して放出し、#113で次の部品取り出し位置15においては部品3を吸着せずに、#114で部品保持姿勢判定位置16において部品保持姿勢判定装置17を利用してノズル14の先端に部品などの付着物が無いことを確認する。#115において、ノズル14に付着物が無いことが確認された場合には、#103に戻って改めてそのノズル14は部品3を吸着して取り出す。
#115で、ノズルに付着物があると判定された場合には、#116で部品実装装置を停止させる、そして/もしくは、オペレータにその旨通知するためにエラーメッセージの表示、あるいは警告灯の点灯などの警告を発する。#117において、オペレータが付着物があると判定されたノズル14の先端の状態を確認し、メンテナンスを行い、異常がなくなったことを確認してから、#118で生産動作再開のため生産動作開始のスイッチを押下する。生産動作を再開した際、#112で改めて部品放出動作をした上で、#113に示すように、一旦部品取り出し位置15では部品吸着動作を行なわず、#114で部品保持姿勢判定位置16においてノズル先端に付着物が無いことを再確認する。以下、#115でのノズル先端の付着物の有無再確認結果に応じて、上述のそれぞれの動作を繰り返す。
なお、ロータリ式の部品実装装置においては、インデックス11の回転に応じて各部品実装ヘッド12に装備されたノズル14の動作順が定まっているため、上記のように#113において、一旦部品取り出し位置15での吸着動作をスキップし、#114で部品保持姿勢判定位置16においてノズル14の先端に付着物が無いことを再確認したのち、次の回転時の部品取り出し位置15で始めて部品吸着が開始するものとなる。例えば、XY軸式の部品実装装置の場合においては、ノズル14の移動する順位を変更するロジックを組むことにより、先に部品保持姿勢判定位置16に移動して付着物の有無を確認した後、部品取り出し位置15に移動するようセットすることができる。
また、上記実施の形態では、オペレータによる確認後において、付着物の有無を再確認するために、#112に戻って一旦当該ノズル14での部品吸着を行なわず、部品保持姿勢判定装置17により付着物の有無を再確認した後に部品吸着をするものとしている。これは、部品3の微細化に伴いオペレータの錯誤を回避し、再度部品保持姿勢判定装置17を利用して付着物のないことを確認するものである。取扱う部品が目視によっても容易に認識できる程度のもののみを扱う部品実装装置等においては、この再確認処理を行なうことなく、オペレータの確認後、#103に進んで直ちに通常動作に移ることとしても良い。
更に、図1の#115において、付着物が確認された場合、#116で部品実装装置を停止し、#117においてオペレータによる確認、及びメンテナンスを行なうもとしているが、これをオペレータによるものとせず、圧縮空気の吹きつけや、ブラシ状部材で拭い取る方法などを利用した付着物除去装置を用いることにより、付着物を取り除くものとしてもよい。なお、本実施の形態では、図7に示すような構成要素10を使用して部品実装を行なうことを想定している。この際に、部品3を放出した後の部品保持部(本実施の形態では、ノズル14)に付着物があるかの検出を、部品保持姿勢判定位置16において部品保持姿勢判定装置17を利用して行なうものとしている。既に部品実装装置が備えている当該部品保持姿勢判定装置17を当該検出用に使用することにより、スペース上、コスト上の問題を回避することができ、極めて好ましいことであるが、これを別途新規に検出装置を設けることにより行なうようにすることも、勿論可能である。
<実施の形態2>
次に、図2を参照して、本発明の実施の形態2にかかる部品実装方法、及び当該部品実装方法を実施する部品実装装置の生産動作の流れを示す。本実施の形態にかかる部品実装方法では、生産開始直後に、全てのノズルに付着物がないことを確認した後に、吸着動作を行なう。
図2において、#201の生産開始に伴い、#202で基板21を回路形成体保持装置に搬入して規正する。#206における部品3の吸着を始める前に、#203で、1つのノズル14に対して、部品保持姿勢判定位置16で部品保持姿勢判定装置17を利用してノズル14の先端に付着物があるか否かを検出する動作を行う。#204で、ノズル14の先端に付着物が無いことが確認された場合には、#205において、全ノズル14に対して付着物が無いことを検出したか判定し、全ノズル14に付着物の無いことが確認された場合には、#206に進んで部品3の吸着動作を開始する。
#205で、未だ全ノズル14の先端に付着物のあるか否かが検出されていない場合には、#203に戻って、次のノズル14に対して付着物の無いことを検出する動作を行ない、これを全てのノズル14が完了するまで繰り返す。
#204で、ノズル14の先端に付着物があると判定された場合には、#215に進んで部品実装装置を停止させる、そして/もしくは、オペレータにその旨通知するためにエラーメッセージの表示、あるいは警告灯の点灯などの警告を発する。#216で、オペレータは、付着物があると判定されたノズル14の先端の状態を確認、メンテナンスを行い、異常がなくなったことを確認してから、#217で生産動作再開のためのスイッチを押下する。生産動作を再開した時、部品取り出し位置15では部品吸着動作をせずに、#203に示す部品保持姿勢判定位置16で部品保持姿勢判定装置17を利用してノズル14の先端に付着物が無いことを再確認する。以下、前述のように、#205における全ノズル14の先端に付着物の無いことが確認できるまで前記動作を繰り返す。
#205で、全ノズルの先端に付着物の無いことが確認できた後に、#206で部品3を吸着して取り出し、#207において、部品保持姿勢判定位置16で部品保持姿勢判定装置17を利用して部品3の保持姿勢を判定する。ここで保持姿勢が正常に実装できる許容値以内であると判定された場合には、#208の部品保持位置検出位置18で部品の吸着位置を検出する。ここで当該吸着位置を正常に検出できれば、#209で吸着位置とノズル14とのずれ量Δaの算出を行う。このずれ量Δaに基づく位置補正を行い、#210に進んで部品実装位置20において基板21への実装位置決めをし、#211で部品3の実装動作を行う。次に、#212で、これが最終実装点であるか否かを判定し、最終実装点であると判定されれば、続いて#213でこの基板21が最終基板であるか否かを判定し、最終基板であると判定されれば、#214でこの基板21を搬出し、生産動作を終了する。
#207における部品保持姿勢判定で部品未吸着と判定された場合には、実装動作は行なわず、#206に戻って改めて部品吸着動作を行う。また、#207における部品保持姿勢判定で立ち吸着と判定された場合、もしくは誤部品吸着と判定された場合には、#218に示す部品回収位置22で当該部品3を放出し、#206に戻って改めて部品3を吸着して取り出す。
なお、先の実施の形態1と同様、ロータリ式の部品実装装置においては、インデックス11の回転に応じて各部品実装ヘッド12のノズル14の動作順が定まっているが、例えば、XY軸式の部品実装装置の場合においては、ノズル14の移動する順位を変更するロジックを組むことにより、先に部品保持姿勢判定位置16に移動して付着物の有無を確認した後、部品取り出し位置15に移動するようセットすることができる。
また、前記実施の形態1と同様、オペレータによる確認後に付着物の有無を再度確認する理由は、部品3の微細化に伴うオペレータの錯誤を回避することにあり、取扱う部品3によっては、直ちに#206に進んで吸着動作に移ることとしても良い。さらに、ノズル14のメンテナンスを、付着物除去装置を用いて行なうものとしても良い。また、前記の説明では、ノズル14が複数装着された例を示しているが、ノズル14が1つのみの場合であっても、同様に適用可能であり、この際には、前記1つのノズルに付着物がないことが確認されれば、直ちに#206の吸着動作に入る。
ここで、前記実施の形態1と実施の形態2とは、組み合わせて実施することも可能である。すなわち、生産開始後、部品3を吸着して取り出す前に、全ノズル14の先端に付着物が無いことを確認した上で部品吸着動作を行い、更に部品3の保持姿勢が立ち吸着の場合、誤部品吸着の場合、または部品3の吸着位置が正常に検出できない場合には、そのノズル14は当該部品の放出を行い、その直後には部品吸着を行わずに、部品保持姿勢判定装置17によりノズル14の先端に付着物が無いことを確認した上で部品3の吸着を再開する、という生産動作も可能である。なお、実施の形態1と同様に、ノズル14に付着物のないことの検出を、既存の部品保持姿勢判定装置17を利用して行なうことが好ましいが、これを新規の検出装置を用いて行なうこととしても勿論よい。
<実施の形態3>
次に、図3を参照して、本発明の実施の形態3にかかる部品実装方法、及び当該部品実装方法を実施する部品実装装置の生産動作の流れを示す。本実施の形態に係る部品実装方法では、部品3の吸着位置とノズル14のずれ量Δaの許容値を予め設定しておき、前記ずれ量Δaが許容範囲にない場合にはその部品3を部品回収位置22の部品回収装置23で吸着解除して放出すること、そして許容範囲にないと判定された後、放出に至るまでの間のノズル14の移動速度を低下させることを特徴とする。このノズルの移動速度の低下は、異常な状態で吸着された部品3が基板21上などに誤って落下し、他の部品3を傷つけたり、あるいは他のノズル14による部品実装動作に障害を与えたりすることがないようにするためである。
図3において、#301での生産開始に伴い、#302で基板21を回路形成体保持装置に搬入して規正し、#303で部品3を吸着して取り出す。#304に進み、部品保持姿勢判定位置16において部品保持姿勢判定装置17により部品の保持姿勢を判定する。ここで、保持姿勢が正常に実装できる姿勢にあると判定された場合には、#305に進み、部品保持位置検出位置18で部品保持位置検出装置19により部品3の吸着位置31を検出する。#306で吸着位置31を正常に検出できたと判定されれば、#307で部品の吸着位置31とノズル14とのずれ量Δaの算出を行い、#308で前記部品3の吸着位置31とノズル14とのずれ量Δaが、予め設定された許容値以内であるか否かを判定する。前記ずれ量Δaが許容値以内であれば、このずれ量Δaに基づいて位置補正を行い、#309に進んで部品実装位置20において基板21への実装位置決めをし、#310で部品3の実装動作を行う。次に、#311で、これが最終実装点であるか否かを判定し、最終実装点であると判定されれば、続いて#312でこの基板21が最終基板であるか否かを判定し、最終基板であると判定されれば、#313でこの基板21を搬出して、生産動作を終了する。
ここで、従来技術においては、部品3の吸着位置31とノズル14とのずれ量Δaは、前記ずれ量を測定する光学系機器の視野を限度としてその許容量が判定されていた。この従来技術に方法に従えば、例えば実装すべき部品3と既に基板に実装済みの部品との間隙は、0.5mmほどにするのが限界であった。光学系機器の視野が限度であれば、その視野で捉えた範囲内で実装位置の補正を行なうため、ノズル14と基板21との間の補正移動量が大きくなることがあり、ノズル14の先端が既に実装された隣接する部品に接触してそれを破損させる虞があるからである。本発明にかかる部品実装方法においては、上述のように、ずれ量Δaの許容量を予め設定しておくことにより、隣接部品との間隙に応じてこのずれ量Δaをより小さな範囲に限定することができ、僅かな間隙を設けて隣接する部品であってもそれを損傷させることなく、次の部品3を実装することができる。このずれ量Δaの許容量は、基板のレイアウト、あるいは実装する部品の大きさなどに応じて任意に設定することができ、この方法によれば例えば隣接部品との間隙を約0.2mmほどにも小さくすることが可能となる。
#304において、部品保持姿勢判定装置17により部品未吸着と判定された場合には、部品実装動作をせずに、#303に戻って改めて部品吸着動作を行う。また、#304における部品保持姿勢判定で立ち吸着と判定された場合、もしくは誤部品吸着と判定された場合、#306で部品の吸着位置31を検出できなかった場合、あるいは#308で吸着位置31とノズル14とのずれ量Δaが許容値を越えた場合には、#314に示すように、ノズル14を移動させるインデックス11の矢印13(図7参照)の回転運動の速度を減速して、#315において部品回収位置22にて部品3を部品回収装置23に放出する。この#315での部品放出動作が完了した後、#316においてインデックス11の矢印13への回転運動の速度を、その時点での適正な速度まで上昇させることにより、元の生産動作に戻す。
なお、前記のロータリ式の部品実装装置においては、ノズル14の移動速度低下をインデックス11の回転速度減速により行なっているが、XY軸式の部品実装装置においては、X軸、Y軸の各駆動速度を減速することにより、同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態にかかる部品実装方法においては、部品3の吸着位置31とノズル14とのずれ量Δaの許容値設定による部品実装の是非判定処理と、部品放出するまでの動作の減速処理との双方を同時に実施する例を示しているが、これら2つの処理は互いに独立した関係にあり、したがって、これらの処理を別々に実施することであってもよい。
更に、本実施の形態3は、前記実施の形態1及び実施の形態2と組み合わせて適用することもできる。すなわち、生産開始後、部品3を吸着する以前に、全ノズル14の先端に付着物が無いことを確認した上で部品吸着動作を行うものとするが、ノズル14に付着物があると判定した場合は、所定の部品回収位置22までのノズル14の移動速度を減速する。更に部品3の保持姿勢が立ち吸着の場合、または誤部品吸着の場合、吸着位置31が正常に検出できない場合、または、部品の吸着位置31とノズル14とのずれ量Δaが予め設定された値を越えている場合には、ノズル14の移動速度を減速させ、部品回収位置22で部品回収装置23に部品3を放出する。部品放出後は、その時点での適正な回転速度に加速する。また、そのノズル14は部品放出を行った直後は部品3の吸着を行わずに、部品保持姿勢判定位置16で部品保持姿勢判定装置17を利用してノズル14の先端に付着物が無いことを確認した上で部品3の吸着を再開する、などの生産動作が可能である。
<実施の形態4>
本発明にかかる実施の形態4は、上述の各実施の形態で説明した本発明に係る部品実装方法を実行させるプログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。図4は、本発明にかかる部品実装方法を実施する部品実装装置のブロック図を示したものである。本部品実装装置は、部品供給部2と、インデックス11と、部品実装ヘッド12と、部品保持姿勢判定装置17と、部品保持位置検出装置18と、回路形成体保持装置とを含むハード部分と、部品供給動作処理部と、吸着動作処理部と、角度補正演算部と、保持姿勢判定部と、部品認識処理部と、基準位置認識処理部と、位置補正動作処理部とを含むソフト部分とを備え、制御装置がこれら全体の動きを制御している。前記のハード部分含まれる各要素の動作は、これまでの各実施の形態で説明した内容と同じであり、これらの動作を可能とするための各駆動部を、各要素毎に図4の右側に表示している。制御装置は、これらの各駆動部の動作を、図4に左側に示す前記ソフト部分の各処理部、判定部に基づいて処理し、制御する。この内、部品供給動作処理部は、供給すべき部品3が部品取り出し位置に位置決めされるよう部品供給部2の移動量を調整し、吸着動作処理部は、部品実装ヘッド12のノズル14により部品3を吸着する吸着タイミングや吸着量などを調整する。角度補正演算部では、部品保持位置検出装置19による検出結果に基づいて、部品実装ヘッド12が部品3を所定位置に実装するためのノズル14中心軸を中心とする角度補正量(θ回転)を演算する。保持姿勢判定部では、吸着された部品3が実装可能な状態であるか否かを判定し、部品認識処理部では、部品保持姿勢判定装置、及び部品保持位置検出装置の撮像装置による撮像タイミングや視野の調整などを行う。そして、基準認識位置処理部で、回路形成体の基準位置を確認の上、位置補正動作処理部により、回路形成体保持装置の移動量を調整する。
本実施の形態にかかるコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、前記構成にかかる部品実装装置により、本発明にかかる部品実装方法を実行させるプログラムを記録している。すなわち、本記録媒体は、部品供給部2から予め定められた部品3を単数もしくは複数のノズル14で吸着する手順と、前記ノズル14での吸着状態が、正常に実装できる姿勢にあるか否かを検出する手順と、正常に実装できる保持姿勢にあると判定された場合には、前記部品3の吸着位置31を検出し、前記ノズル14と前記部品3の吸着位置31との位置ずれを算出して位置補正を行ない、回路形成体上の予め定められた位置に前記部品3を実装する一連の動作を行う手順と、前記検出の結果、部品3が正常に実装できる保持姿勢にないと判定された場合、もしくは前記部品3が正常に部品認識処理ができる状態にない場合には、この部品3を回路形成体上に実装せず、予め定められた部品回収位置22の部品回収装置23で回収する一連の動作を行う手順と、前記部品3を部品回収装置23で放出する動作をしたノズル14が、次に実装すべき部品3を吸着する動作を行なう前に、前記ノズル14に付着物のないことを検出する手順と、前記検出する手順で付着物のないことが確認された場合には、次に実装すべき部品3を吸着する動作をさせる手順と、前記検出する処理で、付着物が有ることが確認された場合には、部品実装装置を停止し、その旨をオペレータに通知する手順と、前記付着物が有ることが確認されたノズル14から付着物が取り除かれ、生産動作が再開された後に、当該ノズル14で次に実装すべき部品3を吸着させる手順とを、順次時系列的に処理することによって実行させるプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体である。前記各手順の内容に関しては、上記実施の形態で説明したものと同様であるので、その詳細説明は省略する。
さらに、前記コンピュータ読取り可能な記録媒体には、生産動作を開始した直後には、前記ノズル14により部品供給部2から部品3を取り出す前記手順の前に、前記ノズル14に付着物がないか否かを検出する手順と、前記付着物がないか否かを検出する手順で、付着物がないことが確認された場合には、最初の部品3を取り出す動作をさせる手順と、前記付着物がないか否かを検出する処理で、付着物が検出された場合には、生産動作を停止する手順と、前記付着物が検出されたノズル14から付着物が取り除かれ、生産動作が再開された後に、当該ノズル14で最初に実装すべき部品3を取り出す動作をさせる手順と、を実行させるプログラムを更に記録したものとすることもできる。
そして、前記コンピュータ読取り可能な記録媒体には、前記の生産動作が再開された後に、ノズル13に部品3を取り出す動作をさせる前記手順の前に、当該ノズル13に付着物がないか否かを再度検出する手順と、前記付着物がないか否かを再度検出する手順で、付着物がないことが確認された場合には、当該ノズル13に部品3を取り出す動作をさせる手順と、前記付着物がないか否かを再度検出する手順で、付着物が検出された場合には、生産動作を再度停止する手順と、を実行させるプログラムを更に記録したものとすることもできる。
なお、本実施の形態では、部品保持部をノズル14を使用して部品3を吸着する形式のものとして説明しているが、これは、チャックを用いて部品を把持する形式などの部品保持部とすることであってもよい。
1.本体部、 2.部品供給部、 3.部品、 11.インデックス、 12.部品実装ヘッド、 14.ノズル、 17.部品保持姿勢判定装置、 19.部品保持位置検出装置、 21.基板、 22.部品回収位置、 23.部品回収装置、 25.部品保持姿勢判定コントローラ、 26.部品保持姿勢認識コントローラ、 #103.部品吸着動作、 #104.部品保持姿勢判定処理、 #105.部品保持位置検出処理、 #106.部品保持位置検出判定処理、 #107.実装位置決め動作、 #108.部品実装動作、 #112.部品放出動作、 #113.部品吸着しない処理、 #114.付着物検出処理、 #115.付着物検出判定処理、 #116.部品実装装置停止、及びオペレータへの警告処理、 #117.部品保持部メンテナンス処理、 #118.生産動作再開処理