JP2007194362A - 研磨方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】被研磨体(ウエハ)を研磨する際に、該被研磨体の被研磨面と研磨パッドとの接触圧、及び定盤の回転数が低い条件であっても、高研磨速度で、且つ、低ディッシングを可能とする研磨方法を提供すること。
【解決手段】金属用研磨液を研磨定盤上の研磨パッドに供給し、該研磨定盤を回転させることで、該研磨パッドを被研磨体の被研磨面と接触させつつ相対運動させて研磨する研磨方法であって、前記金属用研磨液が、無機粒子と有機粒子との複合体からなる研磨粒子、2級又は3級の窒素原子を含む有機酸、及び複素環化合物を含有し、前記被研磨面と前記研磨パッドとの接触圧力が4000〜12000であり、且つ、前記研磨定盤の回転数が50〜100rpmであることを特徴とする研磨方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、半導体デバイスの製造工程において、化学的機械的な平坦化を行う研磨方法に関する。
半導体集積回路(以下LSIと記す)で代表される半導体デバイスの開発においては、小型化・高速化のため、近年配線の微細化と積層化による高密度化・高集積化が求められている。このための技術として化学的機械的研磨(Chemical Mechanical Polishing、以下CMPと記す)等の種々の技術が用いられてきている。
このCMPは層間絶縁膜等の被加工膜の表面平坦化、プラグ形成、埋め込み金属配線の形成等を行う場合に必須の技術であり、この技術を用いて、基板の平滑化や配線形成時の余分な金属薄膜の除去を行っている(例えば、特許文献1参照。)。
CMPの一般的な方法は、円形の研磨常盤(プラテン)上に研磨パッドを貼り付け、研磨パッド表面を研磨液で浸して、パッドに基板(ウエハ)の表面を押しつけ、その裏面から所定の圧力(研磨圧力)を加えた状態で、研磨常盤及び基板の双方を回転させ、発生する機械的摩擦により基盤の表面を平坦化するものである。
CMPに用いる金属用研磨溶液は、一般には、砥粒(例えばアルミナ、シリカ)と酸化剤(例えば過酸化水素、過硫酸)とが含まれる。基本的なメカニズムは、酸化剤によって金属表面を酸化し、その酸化皮膜を砥粒で除去することで研磨していると考えられており、その方法は、例えば、非特許文献1に記載されている。
配線用の金属としては、従来からタングステン及びアルミニウムがインターコネクト構造体に汎用されてきた。しかしながら更なる高性能化を目指し、これらの金属より配線抵抗の低い銅を用いたLSIが開発されるようになった。この銅を配線する方法としては、例えば、特許文献2に記載されている、ダマシン法が知られている。また、コンタクトホールと配線用溝とを同時に層間絶縁膜に形成し、両者に金属を埋め込むデュアルダマシン法が広く用いられるようになってきた。銅金属の研磨においては、特に軟質の金属であるがため、益々高精度の研磨技術が要求されてきている。また、同時に、高生産性を発揮し得る高速金属研磨手段が求められている。
特に、昨今は半導体デバイスの小型・高速化のため、配線の微細化と積層化によるいっそうの高密度化・高集積化が求められており、配線部金属が過剰に研磨されて皿状に窪むディッシング現象の低減への要求がますます強くなりつつある。更に、将来のUltra Low−K絶縁材料の導入に向けて、機械的強度の弱い絶縁材料を用いても膜剥離の発生しにくい研磨方法、即ち被研磨体(ウエハ)の被研磨面と研磨パッドとの接触圧、及び定盤の回転数が低い条件で研磨を行っても、高い研磨速度と低ディッシングが得られるような方法が望まれている。
被研磨体の被研磨面と研磨パッドとの接触圧、及び定盤の回転数が低い条件で金属の研磨を行う技術については、例えば、特許文献3に開示されており、高研磨速度及びスクラッチの低減を両立する方法として記載されている。
一方、本発明者は、被研磨体(ウエハ)の被研磨面と研磨パッドとの接触圧、及び定盤の回転数が低い条件で、高速研磨及びディッシングの低減の両立に取り組んできたが、上記の技術では、これらの両立が未だ不十分であった。
米国特許4944836号明細書 特開平2−278822号公報 特開2003−289055号公報 ジャーナル・オブ・エレクトロケミカルソサエティ誌(Journal of Electrochemical Society)、1991年、第138巻、第11号、3460〜3464頁
本発明は、前記問題点に鑑みなされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明の目的は、被研磨体(ウエハ)を研磨する際に、該被研磨体の被研磨面と研磨パッドとの接触圧、及び定盤の回転数が低い条件であっても、高研磨速度で、且つ、低ディッシングを可能とする研磨方法を提供することにある。
本発明者は鋭意検討した結果、下記研磨方法を用いることによって問題を解決できることを見出し、上記課題を達成するに至った。
即ち、(1)金属用研磨液を研磨定盤上の研磨パッドに供給し、該研磨定盤を回転させることで、該研磨パッドを被研磨体の被研磨面と接触させつつ相対運動させて研磨する研磨方法であって、
前記金属用研磨液が、無機粒子と有機粒子との複合体からなる研磨粒子、2級又は3級の窒素原子を含む有機酸、及び複素環化合物を含有し、
前記被研磨面と前記研磨パッドとの接触圧力が4000〜12000であり、且つ、前記研磨定盤の回転数が50〜100rpmであることを特徴とする研磨方法である。
(2)前記被研磨面と前記研磨パッドとの接触圧力が7000〜12000であることを特徴とする前記(1)に記載の研磨方法である。
(3)前記研磨粒子の濃度が、前記金属用研磨液に対して0.2〜1.5質量%であることを特徴とする前記(1)又は前記(2)に記載の研磨方法である。
本発明によれば、被研磨体(ウエハ)を研磨する際に、該被研磨体の被研磨面と研磨パッドとの接触圧、及び定盤の回転数が低い条件であっても、高研磨速度で、且つ、低ディッシングを可能とする研磨方法を提供することができる。
以下、本発明の具体的態様について説明する。
本発明の研磨方法は、金属用研磨液を研磨定盤上の研磨パッドに供給し、該研磨定盤を回転させることで、該研磨パッドを被研磨体の被研磨面と接触させつつ相対運動させて研磨する研磨方法であって、
前記金属用研磨液が、無機粒子と有機粒子との複合体からなる研磨粒子、2級又は3級の窒素原子を含む有機酸、及び複素環化合物を含有し、
前記被研磨面と前記研磨パッドとの接触圧力が4000〜12000であり、且つ、前記研磨定盤の回転数が50〜100rpmであることを特徴とする。
この方法により、被研磨体としての、例えば、導電性材料膜(例えば、金属層)が形成されたウエハを、化学的機械的に平坦化することができるものである。
ここで、本発明における金属研磨液は、以下、単に「研磨液」と称する場合がある。
[研磨方法]
(研磨装置)
まず、本発明の研磨方法を実施できる装置について説明する。
本発明に適用可能な研磨装置としては、被研磨面を有する被研磨体(半導体基板等)を保持するホルダーと、研磨パッドを貼り付けた(回転数が変更可能なモータ等を取り付けてある)研磨定盤と、を備える一般的な研磨装置が使用でき、例えば、FREX300(荏原製作所)を用いることができる。
(研磨圧力)
本発明の研磨方法では、研磨圧力、即ち、被研磨面と前記研磨パッドとの接触圧力が4000〜12000であることを要し、7000〜12000Paで研磨を行うことがより好ましい。
これらの範囲外では本発明の効果、即ち、高研磨速度及び低ディッシングが十分に発現せず、好ましくない。
(研磨定盤の回転数)
本発明の研磨方法では、研磨定盤の回転数が50〜100rpmであることを要し、60〜90rpmであることが好ましい。これらの範囲外では本発明の効果、即ち、高研磨速度及び低ディッシングが十分に発現せず、好ましくない。
(研磨液供給方法)
本発明では対象金属を研磨する間、研磨定盤上の研磨パッドに金属用研磨液をポンプ等で連続的に供給する。この供給量に制限はないが、研磨パッドの表面が常に研磨液で覆われていることが好ましい。
本発明の研磨方法には、濃縮された研磨液に水又は水溶液を加え希釈して用いることもできる。希釈方法としては、例えば、濃縮された研磨液を供給する配管と、水又は水溶液を供給する配管と、を途中で合流させて混合し、希釈された研磨液を研磨パッドに供給する方法などを挙げることができる。その場合の混合は、圧力を付した状態で狭い通路を通して液同士を衝突混合する方法、配管中にガラス管などの充填物を詰め液体の流れを分流分離、合流させることを繰り返し行う方法、配管中に動力で回転する羽根を設ける方法など、通常に行われている方法を用いることができる。
また、他の希釈方法としては、研磨液を供給する配管と水又は水溶液を供給する配管とをそれぞれ独立に設け、それぞれから所定量の液を研磨パッドに供給し、研磨パッドと被研磨面の相対運動により混合する方法する方法も本発明に用いることができる。
更に、1つの容器に、所定量の濃縮された研磨液と水又は水溶液を入れて混合し、所定の濃度に希釈した後に、その混合液を研磨パッドに供給する方法も、本発明に適用することができる。
これらの方法以外に、研磨液が含有すべき成分を少なくとも2つの構成成分に分けて、それらを使用する際に、水又は水溶液を加え希釈して研磨パッドに供給する方法も、本発明に用いることができる。この場合、酸化剤を含む成分と、本発明における窒素含有有機酸を含有する成分と、に分割して供給することが好ましい。
具体的には、酸化剤を1つの構成成分(A)とし、本発明における窒素含有有機酸、添加剤、界面活性剤及び水を1つの構成成分(B)とすることが好ましく、それらを使用する際に水又は水溶液で構成成分(A)と構成成分(B)を希釈して使用する。この場合、構成成分(A)と構成成分(B)と水又は水溶液とをそれぞれ供給する3つの配管が必要であり、3つの配管を研磨パッドに供給する1つの配管に結合し、その配管内で混合してもよく、2つの配管を結合してから他の1つの配管を結合して混合してもよい。例えば、溶解しにくい添加剤を含む構成成分と他の構成成分を混合し、混合経路を長くして溶解時間を確保してから、更に水又は水溶液の配管を結合することで研磨液を供給することも可能である。
また、上記の3つの配管をそれぞれ研磨パッドに導き研磨パッドと被研磨面の相対運動により混合して供給してもよいし、1つの容器に3つの構成成分を混合した後に、その混合液を研磨パッドに供給してもよい。更に、金属用研磨液を濃縮液とし、希釈水を別にして研磨面に供給してもよい。
(研磨パッド)
本発明の研磨方法において用いられる研磨パッドは、特に制限はなく、無発泡構造パッドでも発泡構造パッドでもよい。前者はプラスチック板のように硬質の合成樹脂バルク材をパッドに用いるものである。また、後者は更に独立発泡体(乾式発泡系)、連続発泡体(湿式発泡系)、2層複合体(積層系)の3つがあり、特には2層複合体(積層系)が好ましい。発泡は、均一でも不均一でもよい。
本発明における研磨パッドは、更に研磨に用いる砥粒(例えば、セリア、シリカ、アルミナ、樹脂など)を含有したものでもよい。また、それぞれに硬さは軟質のものと硬質のものがあり、どちらでもよく、積層系ではそれぞれの層に異なる硬さのものを用いることが好ましい。材質としては不織布、人工皮革、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート等が好ましい。また、研磨面と接触する面には、格子溝/穴/同心溝/らせん状溝などの加工を施してもよい。
[金属用研磨液]
本発明で用いる金属用研磨液は、構成成分として、無機粒子と有機粒子との複合体からなる研磨粒子、2級又は3級の窒素原子を含む有機酸、及び複素環化合物を含み、更に、酸化剤を含有することが好ましい。
なお、本発明における研磨液は、通常は、各成分を溶解してなる水溶液に研磨粒子を分散させてなるスラリーの形態をとる。
金属用研磨液が含有する各成分については、以下に詳述するが、それぞれの成分は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明において「金属用研磨液」とは、研磨に使用する組成(濃度)の研磨液のみならず、使用時に必要により希釈して用いる研磨濃縮液も本発明では特に断りのない限り、研磨液と称する。濃縮液は研磨に使用する際に、水又は水溶液などで希釈して、研磨に使用されるもので、希釈倍率は一般的には1〜20体積倍である。
本発明における金属用研磨液は、1.濃縮液であって使用する際に水を加えて希釈して使用液とする場合、2.各成分が次項に述べる水溶液の形態でこれらを混合し、必要により水を加え希釈して使用液とする場合、3.使用液として調製されている場合がある。
本発明の研磨方法には、いずれの場合の金属用研磨液も適用できる。
(無機粒子と有機粒子との複合体からなる研磨粒子)
本発明に使用される研磨液は、構成成分として、無機粒子と有機樹脂との複合体からなる研磨粒子(以下、複合研磨粒子と称する場合がある。)を含有する。
複合研磨粒子を構成する無機粒子として、具体的には、フュームドシリカ、コロイダルシリカ、ヒュームドアルミナ、ヒュームドチタニアが挙げられ、好ましくはコロイダルシリカが挙げられる。
また、複合研磨粒子を構成する無機粒子の体積平均粒径は、5〜30nmが好ましく、より好ましくは5〜20nmである。
複合研磨粒子を構成する有機粒子として、具体的には、ポリスチレン及びスチレン系共重合体、(メタ)アクリル樹脂及び(メタ)アクリル系共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリアセタール、飽和ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、フェノキシ樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテンのポリオレフィン及びオレフィン系共重合体、メラミン樹脂が挙げられ、好ましくは、(メタ)アクリル樹脂及び(メタ)アクリル系共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリアセタール、飽和ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、フェノキシ樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテンのポリオレフィン及びオレフィン系共重合体が挙げられる。
複合研磨粒子複合研磨粒子を構成する有機粒子の体積平均粒径は30〜500nmが好ましく、より好ましくは30〜200nmである。
上記の無機粒子と有機粒子との複合体は、有機粒子と無機粒子との混合液にアルコキシシラン、アルミニウムアルコキシド、チタンアルコキシド等を共存させ、シランカップリング剤のような添加剤によって、無機粒子及び有機粒子を化学的に結合させて作製することが好ましい。場合により、有機粒子がカルボキシル基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、アミノ基等の表面官能基を有する場合には、有機粒子と無機粒子との静電的相互作用によって有機粒子及び無機粒子を物理的に結合させてもよい。つまり、本発明における複合研磨粒子は、無機粒子は有機粒子に化学的に付着していることが好ましいが、物理的に付着していてもよい。
なお、アグリゲート化又はアグロメレート化して、無機粒子を有機樹脂に化学的又は物理的に付着させることもできる。ここで、アグリゲート化とは、粒子どうしが融着した状態で結合することを指す。ここでは、カップリング剤などによる無機粒子と有機粒子の結合もアグリゲート化の概念に含むものとする。一方、アグロメレート化とは、分子間力などによって粒子同士が凝集することを指す。ここでは、静電的作用などによる無機粒子と有機粒子の結合もアグロメレート化の概念に含むものとする。
本発明において、複合研磨粒子の体積平均粒径は50〜500nmの範囲が好ましく、より好ましくは50〜200nmの範囲である。
ここで、本発明における複合研磨粒子の体積平均粒径は、動的光散乱法から得られた粒度分布において求められる平均粒子径を表す。例えば、粒度分布を求める測定装置しては堀場製作所製LB−500等が用いられる。
なお、前述の無機粒子及び有機粒子の体積平均粒径も同様の方法で測定することができる。
本発明における複合研磨粒子の濃度は、研磨に使用する際の金属用研磨液(即ち、水又は水溶液で希釈する場合は希釈後の金属用研磨液。以降の「研磨に使用する際の金属用研磨液」も同意である。)に対して、0.1〜2質量%の割合で含まれていることが好ましく、より好ましくは0.2〜1.5質量%の範囲である。即ち、複合研磨粒子の濃度は、研磨速度を高くする点で0.1質量%以上が好ましく、ディッシングを抑制する点で2質量%以下が好ましい。
ここで、本発明においては、複合研磨粒子と他の研磨粒子を併用することもできる。併用可能な粒子としては、例えば、シリカ(沈降シリカ、フュームドシリカ、コロイダルシリカ、合成シリカ)、セリア、アルミナ、チタニア、ジルコニア、ゲルマニア、酸化マンガン、炭化ケイ素、ポリスチレン、ポリアクリル、ポリテレフタレートなどの無機粒子或いは有機粒子が挙げられる。
これらの他の研磨粒子と複合研磨粒子とを併用する場合、全研磨粒子の総量に対して、複合研磨粒子の含有量は、0.1質量%以上であることが好ましく、0.2質量%以上であることがより好ましい。
(2級又は3級の窒素原子を含む有機酸)
本発明に使用される研磨液は、2級又は3級の窒素原子を含む有機酸(以下、窒素含有有機酸と称する場合がある。)を少なくとも1種含むことを特徴とする。
本発明における窒素含有有機酸は、下記一般式(A)又は一般式(B)で表される化合物が好ましいものとして挙げられる。
Figure 2007194362
一般式(A)及び(B)において、Raは炭素数1〜10のアルキレン基の一端に酸基が結合してなる基を表し、Rb、Rcは、各々独立に、炭素数1〜10のアルキル基を表す。
上記アルキレン基は、炭素数1〜8であることが好ましく、より好ましくは炭素数2〜7であり、特に好ましくは、炭素数2〜3である。
また、このアルキレン基に結合する酸基としては、−COOH、−PO32、−SO3Hが挙げられる。
上記アルキル基は、炭素数1〜8であることが好ましく、より好ましくは炭素数2〜7であり、直鎖、分岐又は環状のいずれでもよい。なお、このアルキル基には、アルキル基を構成する炭素原子の一部が他の原子(例えば、窒素原子)に置換されたものも含む。
このアルキル基は、無置換であってもよいし、置換基を有していてもよい。導入し得る置換基としては、−OH、−COOH、−CONH2、−PO32等が好ましいものとして挙げられる。また、導入された置換基同士が結合して環構造を形成してもよい。
具体的な好ましい2級又は3級の窒素原子を含む有機酸の例としては、以下示すような化合物〔例示化合物(I−1)〜(I−21)〕が挙げられる。但し、本発明における好ましい窒素含有有機酸はこれらの例示化合物に限定されない。
Figure 2007194362
Figure 2007194362
これらの本発明における窒素含有有機酸の中でも、より好ましくは、化合物I−3、I−5、I−7、I−10、I−21等が挙げられる。
また、本発明における窒素含有有機酸は単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
これらの窒素含有有機酸は、常法に従って合成できるほか、市販品を使用してもよい。
本発明における窒素含有有機酸の添加量は、研磨に使用する際の金属用研磨液の1L中、0.0005〜0.5molとすることが好ましく、0.005mol〜0.3molとすることがより好ましく、0.01mol〜0.1molとすることが特に好ましい。即ち、窒素含有有機酸の添加量は、研磨速度を高くする点で0.0005mol以上が好ましく、ディッシングを抑制する点で0.5mol以下が好ましい。
(複素環化合物)
本発明に使用される研磨液は、研磨対象の金属表面に不動態膜を形成する化合物として少なくとも1種の複素環化合物を含有する。
ここで、「複素環化合物」とは、ヘテロ原子を1個以上含んだ複素環を有する化合物である。
ヘテロ原子とは、炭素原子、又は水素原子以外の原子を意味する。複素環とはヘテロ原子を少なくとも一つ持つ環状化合物を意味する。ヘテロ原子は複素環の環系の構成部分を形成する原子のみを意味し、環系に対して外部に位置していたり、少なくとも一つの非共役単結合により環系から分離していたり、環系のさらなる置換基の一部分であるような原子は意味しない。
ヘテロ原子として、好ましくは、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、テルル原子、リン原子、ケイ素原子、及びホウ素原子であり、更に好ましくは、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、及びセレン原子であり、特に好ましくは、窒素原子、硫黄原子、及び酸素原子であり、最も好ましくは窒素原子、及び硫黄原子である。
まず、母核となる複素環について述べる。
本発明における複素環化合物の母核である複素環の環員数は特に限定されず、単環化合物あっても、縮合環を有する多環化合物であってもよい。単環の場合の員数は、好ましくは3〜8であり、更に好ましくは5〜7であり、特に好ましくは5、及び6である。また、縮合環を有する場合の環数は、好ましくは2〜4であり、更に好ましくは2又は3である。
これらの複素環として具体的に、以下のものが挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
即ち、ピロール環、チオフェン環、フラン環、ピラン環、チオピラン環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピロリジン環、ピラゾリジン環、イミダゾリジン環、イソオキサゾリジン環、イソチアゾリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、チオモルホリン環、クロマン環、チオクロマン環、イソクロマン環、イソチオクロマン環、インドリン環、イソインドリン環、ピリンジン環、インドリジン環、インドール環、インダゾール環、プリン環、キノリジン環、イソキノリン環、キノリン環、ナフチリジン環、フタラジン環、キノキサリン環、キナゾリン環、シンノリン環、プテリジン環、アクリジン環、ペリミジン環、フェナントロリン環、カルバゾール環、カルボリン環、フェナジン環、アンチリジン環、チアジアゾール環、オキサジアゾール環、トリアジン環、トリアゾール環、テトラゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環、ベンズチアジアゾール環、ベンズフロキサン環、ナフトイミダゾール環、ベンズトリアゾール環、テトラアザインデン環等が挙げられ、中でも、好ましくはトリアゾール環、テトラゾール環が挙げられる。
次に、上記複素環が有しうる置換基について述べる。
本発明において、特定の部分を「基」と称した場合には、当該部分はそれ自体が置換されていなくても、一種以上の(可能な最多数までの)置換基で置換されていてもよいことを意味する。例えば、「アルキル基」とは置換又は無置換のアルキル基を意味する。
複素環が有しうる置換基は、例えば、以下のものが挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
即ち、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又は沃素原子)、アルキル基(直鎖、分岐又は環状のアルキル基であり、ビシクロアルキル基のように多環アルキル基であっても、活性メチン基を含んでもよい)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基(置換する位置は問わない)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、カルバモイル基(置換基を有するカルバモイル基としては、例えば、N−ヒドロキシカルバモイル基、N−アシルカルバモイル基、N−スルホニルカルバモイル基、N−カルバモイルカルバモイル基、チオカルバモイル基、N−スルファモイルカルバモイル基)、カルバゾイル基、カルボキシ基又はその塩、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、カルボンイミドイル基、ホルミル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(エチレンオキシ基若しくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシ若しくはアリールオキシ)カルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、(アルキル、アリール、又はヘテロ環)アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、N−ヒドロキシウレイド基、イミド基、(アルコキシ若しくはアリールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、アンモニオ基、オキサモイルアミノ基、N−(アルキル若しくはアリール)スルホニルウレイド基、N−アシルウレイド基、N−アシルスルファモイルアミノ基、ヒドロキシアミノ基、ニトロ基、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えば、ピリジニオ基、イミダゾリオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基)、イソシアノ基、イミノ基、メルカプト基、(アルキル、アリール、又はヘテロ環)チオ基、(アルキル、アリール、又はヘテロ環)ジチオ基、(アルキル又はアリール)スルホニル基、(アルキル又はアリール)スルフィニル基、スルホ基又はその塩、スルファモイル基(置換基を有するスルファモイル基としては、例えば、N−アシルスルファモイル基、N−スルホニルスルファモイル基)又はその塩、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基等が挙げられる。
なお、活性メチン基とは2つの電子求引性基で置換されたメチン基を意味し、電子求引性基とは、例えば、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、カルボンイミドイル基を意味する。2つの電子求引性基は互いに結合して環状構造をとっていてもよい。
また、塩とは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、重金属などの陽イオンや、アンモニウムイオン、ホスホニウムイオンなどの有機の陽イオンを意味する。
これらの中でも好ましい置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又は沃素原子)、アルキル基(直鎖、分岐又は環状のアルキル基であり、ビシクロアルキル基のように多環アルキル基であっても、活性メチン基を含んでもよい)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基(置換する位置は問わない)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、カルバモイル基、N−ヒドロキシカルバモイル基、N−アシルカルバモイル基、N−スルホニルカルバモイル基、N−カルバモイルカルバモイル基、チオカルバモイル基、N−スルファモイルカルバモイル基、カルバゾイル基、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、カルボンイミドイル基、ホルミル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(エチレンオキシ基若しくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシ若しくはアリールオキシ)カルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基、(アルキル、アリール、又はヘテロ環)アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、N−ヒドロキシウレイド基、イミド基、(アルコキシ若しくはアリールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、アンモニオ基、オキサモイルアミノ基、N−(アルキル若しくはアリール)スルホニルウレイド基、N−アシルウレイド基、N−アシルスルファモイルアミノ基、ヒドロキシアミノ基、ニトロ基、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えばピリジニオ基、イミダゾリオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基)、イソシアノ基、イミノ基、メルカプト基、(アルキル、アリール、又はヘテロ環)チオ基、(アルキル、アリール、又はヘテロ環)ジチオ基、(アルキル又はアリール)スルホニル基、(アルキル又はアリール)スルフィニル基、スルホ基又はその塩、スルファモイル基、N−アシルスルファモイル基、N−スルホニルスルファモイル基又はその塩、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基等が挙げられる。
更に好ましくは、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又は沃素原子)、アルキル基(直鎖、分岐又は環状のアルキル基であり、ビシクロアルキル基のように多環アルキル基であっても、活性メチン基を含んでもよい)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基(置換する位置は問わない)が挙げられる。
また、上記置換基の2つが互いに結合して環を形成することもできる。形成される環構造としては、芳香族、非芳香族の炭化水素環、複素環が挙げられ、これらは、更に組み合わされて多環縮合環を形成することもできる。
形成される環構造として、具体的には、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、フルオレン環、トリフェニレン環、ナフタセン環、ビフェニル環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、インドリジン環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、イソベンゾフラン環、キノリジン環、キノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キノキサゾリン環、イソキノリン環、カルバゾール環、フェナントリジン環、アクリジン環、フェナントロリン環、チアントレン環、クロメン環、キサンテン環、フェノキサチイン環、フェノチアジン環、フェナジン環、が挙げられる。
本発明で特に好ましく用いることができる複素環化合物の具体例としては、これらに限定されるものではないが以下のものが挙げられる。
即ち、1H−テトラゾール、5−アミノ−1H−テトラゾール、5−メチル−1H−テトラゾール、1,2,3−トリアゾール、4−アミノ−1,2,3−トリアゾール、4,5−ジアミノ−1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジアミノ−1,2,4−トリアゾールである。
本発明で用いる複素環化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
また、本発明で用いる複素環化合物は、常法に従って合成できるほか、市販品を使用してもよい。
本発明で用いる複素環化合物の添加量は、総量として、研磨に使用する際の金属用研磨液1L中、0.0001〜1.0molが好ましく、より好ましくは0.0005〜0.5mol、更に好ましくは0.0005〜0.05molである。即ち、複素環化合物の添加量は、ディッシングを抑制する点で0.0001mol以上が好ましく、研磨速度を抑制しすぎない点で1.0mol以下が好ましい。
(酸化剤)
本発明に使用される研磨液は、研磨対象の金属を酸化できる化合物(酸化剤)を含有することが好ましい。
酸化剤として、具体的には、過酸化水素、過酸化物、硝酸塩、ヨウ素酸塩、過ヨウ素酸塩、次亜塩素酸塩、亜塩素酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、過硫酸塩、重クロム酸塩、過マンガン酸塩、オゾン水及び銀(II)塩、鉄(III)塩が挙げられるが、過酸化水素がより好ましく用いられる。
酸化剤の添加量は、研磨に使用する際の金属用研磨液の1L中、0.003mol〜8molとすることが好ましく、0.03mol〜6molとすることがより好ましく、0.1mol〜4molとすることが特に好ましい。即ち、酸化剤の添加量は、金属の酸化が十分で高いCMP速度を確保する点で0.003mol以上が好ましく、研磨面の荒れ防止の点から8mol以下が好ましい。
本発明に使用される研磨液は、更に他の成分を含有してもよく、例えば、界面活性剤、親溶性ポリマー、及びその他の添加剤を挙げることができる。
(界面活性剤/親水性ポリマー)
本発明に使用される研磨液は、界面活性剤や親水性ポリマーを含有することもできる。
界面活性剤及び親水性ポリマーは、いずれも被研磨面の接触角を低下させ、均一な研磨を促す作用を有する。用いられる界面活性剤や親水性ポリマーとしては、以下の群から選ばれたものが好適である。
陰イオン界面活性剤としては、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩が挙げられる。
陽イオン界面活性剤としては、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、塩化ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩が挙げられる。
両性界面活性剤としては、カルボキシベタイン型、アミノカルボン酸塩、イミダゾリニウムベタイン、レシチン、アルキルアミンオキサイドが挙げられる。
非イオン界面活性剤としては、エーテル型、エーテルエステル型、エステル型、含窒素型が挙げられる。
また、フッ素系界面活性剤を用いることもできる。
更に、親水性ポリマーとしては、ポリエチレングリコール等のポリグリコール類、ポリビニルアルコール、ポロビニルピロリドン、アルギン酸等の多糖類、ポリメタクリル酸等のカルボン酸含有ポリマー等が挙げられる。
なお、上記のものは、酸若しくはそのアンモニウム塩の方が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ハロゲン化物等による汚染がなく望ましい。
また、界面活性剤及び親水性ポリマーの好ましい具体例としては、シクロヘキサノール、ポリアクリル酸アンモニウム塩、ポリビニルアルコール、コハク酸アミド、ポロビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーが挙げられる。
これらの界面活性剤や親水性ポリマーの重量平均分子量としては、500〜100000が好ましく、特には2000〜50000が好ましい。
界面活性剤及び/又は親水性ポリマーの添加量は、総量として、研磨に使用する際の金属用研磨液の1L中、0.001〜10gとすることが好ましく、0.01〜5gとすることがより好ましく0.1〜3gとすることが特に好ましい。
(pH調整剤)
本発明に使用される研磨液は、所定のpHとすべく、酸剤、アルカリ剤、又は緩衝剤が添加されることが好ましい。
酸剤としては、無機酸であることが好ましく、具体的には、硝酸、硫酸、りん酸などが挙げられる。
アルカリ剤(及び緩衝剤)としては、アンモニア、水酸化アンモニウム及びテトラメチルアンモニウムハイドロキサイドなどの有機水酸化アンモニウム、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどのようなアルカノールアミン類などの非金属アルカリ剤、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウムなどの炭酸塩、リン酸三ナトリウムなどのリン酸塩、ホウ酸塩、四ホウ酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩など挙げられる。
特に好ましいアルカリ剤としては、アンモニア、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、及びテトラメチルアンモニウムハイドロキサイドである。
酸、アルカリ剤(及び緩衝剤)の添加量としては、pHが好ましい範囲に維持される量であればよく、研磨に使用する際の金属用研磨液の1L中、0.0001mol〜1.0molとすることが好ましく0.003mol〜0.5molとすることがより好ましい。
なお、研磨に使用する際の研磨液のpHは3〜12が好ましく、より好ましくは4〜9であり、特に5〜8が好ましい。この範囲において本発明における研磨液は特に優れた効果を発揮する。
前記酸剤やアルカリ剤(緩衝剤)を用いることで、研磨液のpHを上記の好ましい範囲に調整することができる。
(キレート剤)
本発明に使用される研磨液は、混入する多価金属イオンなどの悪影響を低減させるために、必要に応じてキレート剤(即ち硬水軟化剤)を含有していてもよい。
キレート剤としては、カルシウムやマグネシウムの沈澱防止剤である汎用の硬水軟化剤やその類縁化合物を用いることができ、必要に応じてこれらを2種以上併用してもよい。
キレート剤の添加量は混入する多価金属イオンなどの金属イオンを封鎖するのに充分な量であればよく、例えば、研磨に使用する際の金属用研磨液の1L中、0.0003mol〜0.07molになるように添加する。
次に、本発明の研磨方法において研磨が施される被研磨体(基板、ウエハ)について説明する。
(配線金属材料)
本発明における被研磨体は、銅又は銅合金からなる配線を持つ基板(ウエハ)であることが好ましい。配線金属材料としては、銅合金の中でも銀を含有する銅合金が適している。銅合金に含有される銀含量は、10質量%以下、更には1質量%以下で優れた効果を発揮し、0.00001〜0.1質量%の範囲である銅合金において最も優れた効果を発揮する。
(配線の太さ)
本発明における被研磨体は、例えば、DRAMデバイス系では、ハーフピッチで、好ましくは0.15μm以下、より好ましくは0.10μm以下、更に好ましくは0.08μm以下の配線を有することが好ましい。
一方、MPUデバイス系では、好ましくは0.12μm以下、より好ましくは0.09μm以下、更に好ましくは0.07μm以下の配線を有することが好ましい。
このような配線を有する被研磨体に対して、本発明に使用される研磨液は特に優れた効果を発揮する。
(バリア金属材料)
本発明における被研磨体において、銅配線と絶縁膜(層間絶縁膜を含む)との間には、銅の拡散を防ぐためのバリア層が設けられる。このバリア層を構成するバリア金属材料としては、低抵抗のメタル材料、例えば、TiN、TiW、Ta、TaN、W、WNが好ましく、中でもTa、TaNが特に好ましい。
以下、実施例により本発明を説明する。本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
[実施例1−1〜1−4、比較例1−1〜1−7]
下記表1に示す研磨液101〜111を調製し、研磨試験及び評価を行った。
(研磨液の調製)
下記組成を混合し、研磨液を調整した。
・研磨粒子(表1に記載) 10g/L
・窒素含有有機酸又は他の有機酸(表1に示す化合物)
0.12mol/L
・複素環化合物(1H−テトラゾール) 1.5mmol/L(又は添加なし)
・酸化剤(過酸化水素) 7.5g/L
純水を加えて全量を1000mLとし、また、アンモニア水と硫酸で調整してpH6.5とした。
(本実施例で使用した研磨粒子)
本実施例では、複合研磨粒子として、オプトピーズ100s(日産化学工業)、体積平均粒径120nm、体積平均粒径約100nmのメラミン樹脂粒子周辺に体積平均粒径5〜20nmの微小シリカ粒子をアグリゲート化して付着させたものを用いた。
また、その他の研磨粒子として、体積平均粒径が120nmのコロイダルシリカを用いた。
(研磨試験)
以下に示すような装置、条件等を用いて研磨を行い、研磨速度及びディッシングの評価を行った。
・研磨装置:FREX300(荏原製作所)
・被研磨体(ウエハ):
(1)研磨速度算出用;シリコン基板上に厚み1μmのCu膜を形成した
直径300mmのブランケットウエハ
(2)ディッシング評価用;直径300mmの銅配線ウエハ(パターンウエハ)
(マスクパターン754CMP(ATDF社))
・研磨パッド:IC1400XY−K Groove(ロデール社製)
・研磨条件;
研磨圧力(被研磨面と前記研磨パッドとの接触圧力):表1に記載の圧力
研磨液供給速度:200ml/min
研磨定盤回転数:表1に記載の回転数
研磨ヘッド回転数:50rpm
(評価方法)
研磨速度の算出:前記(1)のブランケットウエハを60秒間研磨し、ウエハ面上の均等間隔の49箇所に対し、研磨前後での金属膜厚を電気抵抗値から換算して求め、それらを研磨時間で割って求めた値の平均値を研磨速度とした。
ディッシング:前記(2)のパターンウエハを非配線部の銅が完全に研磨されるまでの時間に加え、更にその時間の30%分だけ余分に研磨を行い、ラインアンドスペース部(ライン100μm、スペース100μm)の段差を、接触式段差計DektakV3201(Veeco社製)で測定した。
評価結果を表1に示す。
Figure 2007194362
表1から明らかなように、本発明の研磨方法に従った研磨試験によれば、高研磨速度と低ディッシングとの両立が達成されていることが分かる。
[実施例2−1〜2−3、比較例2−1、2−2]
実施例1−1の研磨液107を用いて、被研磨面と研磨パッドとの接触圧力を表2に示す条件に変更した以外は、実施例1と同様にしてそれぞれ研磨試験を行い、研磨速度及びディッシングについて評価を行った。
評価結果は以下の表2に示す。
Figure 2007194362
表2から明らかなように、本発明の研磨方法に従った研磨試験によれば、高研磨速度と低ディッシングとの両立が達成されていることが分かる。
また、表1及び表2によれば、特に、被研磨面と研磨パッドとの接触圧力が7000〜12000Paの時に、顕著な効果が得られることが分かる。
[実施例3−1、3−2、比較例3−1、3−2]
実施例1−1の研磨液107を用いて、研磨定盤の回転数を表3に示す条件に変更した以外は、実施例1と同様にしてそれぞれ研磨試験を行い、研磨速度及びディッシングについて評価を行った。
評価結果は以下の表3に示す。
Figure 2007194362
表3から明らかなように、本発明の研磨方法に従った研磨試験によれば、高研磨速度と低ディッシングとの両立が達成されていることが分かる。
また、表1及び表3によれば、特に、研磨定盤の回転数が50〜100rpmの時に、顕著な効果が得られることが分かる。
[実施例4−1〜4−5]
実施例1−1の研磨液107中の研磨粒子の濃度を、表4に示す含有量に変更して研磨液401〜405を調整し、この研磨液を使用した以外は、実施例1と同様にしてそれぞれ研磨試験を行い、研磨速度及びディッシングについて評価を行った。
評価結果は以下の表4に示す。
Figure 2007194362
表4から明らかなように、本発明の研磨方法に従った研磨試験によれば、高研磨速度と低ディッシングとの両立が達成されていることが分かる。
また、表1及び表4によれば、特に、複合研磨粒子の濃度(含有量)が、0.2〜1.5質量%の範囲である時に、顕著な効果が得られることが分かる。

Claims (3)

  1. 金属用研磨液を研磨定盤上の研磨パッドに供給し、該研磨定盤を回転させることで、該研磨パッドを被研磨体の被研磨面と接触させつつ相対運動させて研磨する研磨方法であって、
    前記金属用研磨液が、無機粒子と有機粒子との複合体からなる研磨粒子、2級又は3級の窒素原子を含む有機酸、及び複素環化合物を含有し、
    前記被研磨面と前記研磨パッドとの接触圧力が4000〜12000であり、且つ、前記研磨定盤の回転数が50〜100rpmであることを特徴とする研磨方法。
  2. 前記被研磨面と前記研磨パッドとの接触圧力が7000〜12000であることを特徴とする請求項1に記載の研磨方法。
  3. 前記研磨粒子の濃度が、前記金属用研磨液に対して0.2〜1.5質量%であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の研磨方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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