JP2007191492A - エルカトニンのプレフィルドシリンジ製剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】 安定性を有するともに人体に対しても安全なエルカトニンプレフィルドシリンジ製剤を提供すること。
【解決手段】 エルカトニンを有効成分とする水溶液が充填されてなるエルカトニンプレフィルドシリンジ製剤であって、水溶液中への溶出量が高速液体クロマトグラフィーにおける測定の面積比で2%以下であることを特徴とするエルカトニンプレフィルドシリンジ製剤。エルカトニンを有効成分とする水溶液が充填されてなるエルカトニンプレフィルドシリンジ製剤であって、空隙部の体積が水溶液の占める体積を1としたとき0.2以下であることを特徴とするエルカトニンプレフィルドシリンジ製剤。内面に濃度3w/v%以下のシリコーンを付着させたシリンジにエルカトニンを有効成分とする水溶液が充填されてなるエルカトニンプレフィルドシリンジ製剤。
【選択図】なし
【解決手段】 エルカトニンを有効成分とする水溶液が充填されてなるエルカトニンプレフィルドシリンジ製剤であって、水溶液中への溶出量が高速液体クロマトグラフィーにおける測定の面積比で2%以下であることを特徴とするエルカトニンプレフィルドシリンジ製剤。エルカトニンを有効成分とする水溶液が充填されてなるエルカトニンプレフィルドシリンジ製剤であって、空隙部の体積が水溶液の占める体積を1としたとき0.2以下であることを特徴とするエルカトニンプレフィルドシリンジ製剤。内面に濃度3w/v%以下のシリコーンを付着させたシリンジにエルカトニンを有効成分とする水溶液が充填されてなるエルカトニンプレフィルドシリンジ製剤。
【選択図】なし
Description
本発明は、エルカトニンを有効成分とする水溶液組成物を充填した安定で安全なプレフィルドシリンジ製剤に関するものである。
エルカトニンは化学名1−ブチル酸−7−(L−2−アミノブチル酸)−26−L−アスパラギン酸−27−L−バリン−29−L−アラニンカルシトニン(サケ)〔1−〔butyricacid−7−(L−2−aminobutyric acid)−26−L−asparticacid−27−L−valine−29−L−alaninecalcitonin(salmon)〕で、高カルシウム血症、骨ぺージェット病あるいは骨粗鬆症における疼痛改善に用いられる医薬である。また、エルカトニンを有効成分とする水溶液組成物はペプタイド類水溶液であり、熱安定性及び振盪に対する安定性に問題があった。
従来から、ガラス容器中での注射剤としての熱安定性、振盪に対する安定性を十分確保する為に、種々の研究がなされてきており、現在は大部分がアンプル包装品として市販されている(特許文献1〜3参照)。しかし、一般にアンプル包装では注射筒への薬液の移し替えの際に、アンプルカット時に発生する微細なガラス片の混入や細菌汚染の可能性が指摘されている。さらにアンプル製剤では、注射筒への薬液の移し替えの煩雑さや投薬過誤の可能性も医療現場で問題となっている。
そこで、これらの問題を解決する為にいくつかの医薬品においてあらかじめ薬液を充填したプレフィルドシリンジ製剤が開発され市販されており、エルカトニンのプレフィルドシリンジ製剤も販売されている(大洋薬品工業(株)「ラスカルトン」)。しかし、市販のエルカトニンプレフィルドシリンジ製剤は、エルカトニンの吸着防止を期待してゼラチンを入れ、またフェノールなどの添加剤を添加しているので、人体への安全性に問題があった。
特開平7−173075号公報
特開平6−72859号公報
特開平7−179359号公報
本発明の課題は、上記の問題点を解決しようとするものである。すなわち、本発明は、安定性を有するとともに人体に対しても安全なエルカトニンプレフィルドシリンジ製剤を提供することを課題とする。
本発明者等は上記課題を解決する為にプレフィルドシリンジを構成する注射筒、ピストン、密封栓の素材及び処理方法を検討し、さらに充填するエルカトニンを有効成分とする水溶液組成物の組成を検討した結果、ゼラチン、フェノール等を含有せしめなくともエルカトニンの振盪に対する安定性、熱安定性が十分確保された好ましい性質を有するプレフィルドシリンジ製剤の開発に成功した。
より詳細には、本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討していたところ、プレフィルドシリンジからの溶出物が少ないことがエルカトニン製剤の振盪に対する安定性、熱安定性の面から望ましいことを発見して本発明に至った。
また、プレフィルドシリンジ製剤は、アンプル製剤のような移し替えの際の問題点はないが、保管時の密封性と使用時の摺動性を兼ね備える為に、注射筒、ピストン、密封栓にシリコーンオイルでの処理等が施されているのが通常である。ところで、本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究していたところ、シリンジに摺動性を与えるために用いていたシリコーンオイルがエルカトニンの安定性を低下させる傾向にあるということを初めて発見した。そこで本発明者らは、エルカトニンの安定化を目的としてシリコーンオイルの使用量をできるだけ削減することを検討した結果、プレフィルドシリンジのエルカトニン水溶液の接触面へ付着させるシリコーンの濃度が3w/v%以下、あるいは素材を選択することでシリコーンを全く用いることなく摺動性を保つことにより、エルカトニンの安定化されたプレフィルドシリンジ製剤を開発できることを初めて明らかにした。
さらにまた、本発明者らは、上記の課題を解決しようとしていたところ、エルカトニンプレフィルドシリンジ製剤が振盪によって発泡し易いという問題点を有することを見出した。製剤を注射する場合に、気泡を含んだままの注射液を投与することはできないため、注射液には、発泡し難いことと、仮に発泡しても泡消えが速いことが要求される。本発明者らは、このようなエルカトニンプレフィルドシリンジ製剤の発泡の問題点が、シリンジ内の空隙部を減らすことで解決できることを見出して本発明に至った。
本発明によれば、注射剤としての振盪に対する安定性、熱安定性が十分確保され、ゼラチン、フェノール等を含有しないエルカトニンを有効成分とする人体に安全で発泡の問題もないエルカトニンプレフィルドシリンジ製剤を提供することができる。
本発明のプレフィルドシリンジ製剤とは、形状は特に限定されないが、例えば
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に示すようなシリンジに予め有効成分を含有する薬液を充填して製剤として貯蔵・流通させるものをいう。
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において、1がシリンジ本体、2がピストン、3が密封栓であり、シリンジ本体に薬液を充填して、貯蔵・流通させて、医療現場において人体に注射するに時に、先端の密封栓を外し、又は切り離し、注射するものである。
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に示すようなシリンジに予め有効成分を含有する薬液を充填して製剤として貯蔵・流通させるものをいう。
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において、1がシリンジ本体、2がピストン、3が密封栓であり、シリンジ本体に薬液を充填して、貯蔵・流通させて、医療現場において人体に注射するに時に、先端の密封栓を外し、又は切り離し、注射するものである。
本発明において、安定化とは、エルカトニンプレフィルドシリンジ製剤が振盪に対して安定であること及び/または熱に対して安定であることをいう。その結果、連続する長時間の振盪あるいは加熱を受けても、プレフィルドシリンジ中のエルカトニンが分解、会合などにより減損することなく高率で残存し有効量を保持する。
本発明におけるプレフィルドシリンジを構成する注射筒の材質としては、例えばガラス又はポリプロピレン、ポリエチレン、環状ポリオレフィン、環状ポリオレフィンとα−オレフィンの共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリメチルペンテン、6フッ化樹脂、ポリメチルメタアクリレート、ポリカーボネイトなどのプラスティック類、ステンレススチール、金、アルミニウム、アルミニウム合金、チタニウムなどの金属類、セラミック類、炭素複合材料などの複合素材、石英などの中から選択することができるが、これらに限定されない。プラスチック類の中ではポリプロピレン、環状ポリオレフィン、環状ポリオレフィンとα−オレフィンとの共重合体が好ましい。さらに環状ポリオレフィンが特に好ましい。また注射筒の材質によっては、エルカトニンが吸着することを考慮し、吸着防止成分を注射筒内面に塗布あるいはエルカトニン水溶液中に含有させることが可能である。ここで使用される吸着防止成分は、注射筒の壁面に疎水的に結合して吸着を防止する化合物であり、より詳しくは分子内に疎水基を有し、かつ界面活性作用を有する化合物や、陰イオン荷電タンパク質である。前者の例としては、ポリオキシエチレンアルコールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられ、後者の陰イオン荷電タンパク質の例としてはゼラチン、アルブミン、ポリゲリン等が挙げられる。また、経済性は低下することになるが、場合によってはエルカトニンを吸着防止成分として利用することもできる。
さらにガラスは脱アルカリ処理ガラスを用いることにより(特許2635009号)、より安定なエルカトニンプレフィルドシリンジ製剤を提供することができる。脱アルカリ処理は、例えば、ガラスに硫酸アンモニウム水溶液を接触させて、高温加熱せしめ、洗浄する方法、あるいはガラス表面に高温状態で亜硫酸ガスなどの水溶性硫黄酸化物と接触させて、表面のアルカリ成分を微細な硫酸塩結晶とし、その後洗浄する方法により行うことができる。
ピストン及び密封栓の材質としてはブチルゴム、天然ゴム、フッ素化ゴム、シリコーンゴム、スチレン系熱可塑性エストラマー、エチレンプロピレンゴム、スチレンブタジエンゴム、オレフィン系熱可塑性エストラマーなど、さらにはこれらにテトラフルオロエチレンなどのポリフッ化エチレン樹脂、テトラエチレンフルオロエチレン−エチレン共重合樹脂で被覆したものを用いることができる。被覆部位としては、水溶液との接触面及び/またはシリンジ本体とピストンとの接触面が挙げられる。
エルカトニンを有効成分とする水溶液は、有効量のエルカトニンを含有すれば特に限定されないが、例えば、適当なpHが確保された水溶液であることが好ましい。溶媒として、公知の緩衝液、例えば、クエン酸緩衝液、酢酸緩衝液が使用でき、pHは5〜7が好ましく、pH5〜6がさらに好ましい。これらの濃度は例えば0.05ミリモル以上が好ましく、さらに好ましくは0.1ミリモル以上の濃度が例示される。上限は特に限定されないが、通常20ミリモル濃度以下、好ましくは1ミリモル濃度以下が挙げられる。
具体的には、酢酸、乳酸、L−ヒスチジンなどのモノカルボン類及び/又はその水可溶性塩からなる群より選ばれた1種又は2種以上の化合物を含みその濃度を0.05〜20ミリモル濃度に、pHを5.0〜6.5に且つイオン強度をμ=0.01〜0.5に調整した溶媒(特開平2−174726)、コハク酸、酒石酸等やクエン酸などの多価カルボン類及び/又はその水可溶性塩からなる群より選ばれた1種又は2種以上の化合物を含みその濃度を0.05〜20ミリモル濃度に、pHを5.0〜6.5に且つイオン強度をμ=0.01〜0.5に調整した溶媒があげられる。またpHの調整には必要に応じて水酸化ナトリウム、塩酸等をもちいることができる。その他に、必要に応じてゼラチンを0.01〜20w/v%含有させることや、等張化剤、塩酸プロカイン、塩酸キシロカイン、ベンジルアルコール、フェノール等の無痛化剤、安定化剤、吸収促進剤、防腐剤、ポリソルベート、ポリオキシエチレン、グリセリン、マクロゴール等の界面活性剤を加えることができる。
またエルカトニンの濃度としては例えば10単位〜80単位/mLのものを用いることができる。
本発明においてシリコーンの付着量は、付着させるシリコーン溶液の濃度によって表される。例えば「濃度3w/v%のシリコーンを付着したシリンジ」とは、「濃度3w/v%のシリコーンをシリンジに付着させて乾燥させたシリンジ」を意味する。乾燥の温度は、高温が好ましく、例えばガラスにおいては100〜800℃、樹脂などにおいては軟化しない程度の温度が望ましい。本発明において所望の振盪安定性と熱安定性とを得るためには濃度3w/v%以下のシリコーン付着量である必要がある。また、シリンジ内面の材質を選択すれば、シリコーンを付着させなくとも振盪安定性と熱安定性を得ることができる。例えば、シリンジが環状ポリオレフィンあるいはポリプロピレンからなるときに、シリコーンを付着させなくともピストンの十分な摺動性と同時に振盪安定性と熱安定性を得ることができる。
本発明の溶出量における「高速液体クロマトグラフィーにおける測定の面積比」とは、シリンジ充填前のエルカトニン水溶液とシリンジ充填1日後のエルカトニン水溶液の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)結果を比較し、シリンジ充填1日後のエルカトニン水溶液にのみ存在するピークの面積をシリンジ充填1日後のシリンジ中のエルカトニン水溶液中のエルカトニン面積で割った値をいう。この面積比は、シリンジから溶出する物質の量を示すものであるが、本発明で所望の振盪安定性と熱安定性とを得るためには2%以下であることが必要であり、さらに0%であることがより望ましい。
本発明において「空隙部」とは製造したプレフィルドシリンジのシリンジ本体に残存する液体部以外の空隙のことであり、「空隙部」の体積はシリンジの内径と空隙部の高さから計算によって求め、充填した液量に対する割合で表される。従来、薬液の不溶性異物の検査に空隙が必要な場合もあり、通常は空隙が含まれていた。しかし、空隙部の体積は、通常、充填する水溶液の体積に対して0.2以下、好ましくは0.1以下、さらに好ましくは0.05以下、実質的にないのが最も好ましい。
さらに、本発明の包装形態としては、公知の形態がいずれも使用でき、例えばプリスターパック、遮光プリスターパック、ピロー包装、遮光ピロー包装、アルミピロー包装等が使用できる。遮光あるいは包装中の酸素を減らす工夫をした包装が好ましく、酸素を減らす工夫としては、包装中に脱酸素剤を入れること、酸素がシリンジに触れないようにシリンジをフィルムで巻くことなどが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、必要に応じて、公知の方法を採用することができる。また、本発明のエルカトニンプレフィルド製剤は、筋肉内注射、皮下注射など、公知の投与方法によって投与することができる。
さらに本発明は、貯蔵・流通において振盪安定性、熱安定性に優れた性質を示すエルカトニンのプレフィルドシリンジ製剤である。すなわち、本発明は、エルカトニンプレフィルドシリンジ製剤の品質を保持せしめて貯蔵・流通せしめために、有効量のエルカトニンと緩衝剤を含有せしめたpH5〜7のエルカトニン水溶液を、空隙部の体積が水溶液の占める体積を1としたとき0.2以下であるようにシリンジに無菌充填させることを特徴とする。本発明の製剤の貯蔵、流通は、通常室温で2週〜2年程度で、場合によっては搬送時トラック等の振動により激しく振盪されることがある。
[実施例]
[実施例]
以下に実施例、及び試験例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
0.1mMの酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)にエルカトニンを溶解して20単位/mL濃度のエルカトニン水溶液組成物を得る。次にこのエルカトニン水溶液組成物を無菌濾過後、3w/v%濃度のシリコーン溶液を被覆(3w/v%濃度のシリコーン溶液を接触せしめ、高温で乾燥)したガラス注射筒に1.0mLずつ分注した後、ピストンを挿入し、空隙部がないプレフィルドシリンジ製剤を得た。ピストンはクロロブチルにテトラフルオロエチレンをラミネートし、3w/v%以下の濃度のシリコーンを付着させたものを用いた。また密封栓にも3w/v%以下の濃度のシリコーンを付着させたものを用いた。
実施例1と同様にして得られたエルカトニン水溶液組成物を無菌濾過後、環状ポリオレフィン製注射筒に1.0mLずつ分注した後、ピストンを挿入し、空隙部がないプレフィルドシリンジ製剤を得た。ピストンと密封栓は、クロロブチルにテトラフルオロエチレンをラミネートしたものを用いた。シリコーンは被覆しなかった。
実施例1と同様にして得られたエルカトニン水溶液組成物を無菌濾過後、内面を脱アルカリ処理し、3w/v%濃度のシリコーン溶液を被覆(3w/v%濃度のシリコン溶液を接触せしめ、高温で乾燥)したガラス注射筒に1.0mLずつ分注した後、ピストンを挿入し、空隙部がないプレフィルドシリンジ製剤を得た。ピストンと密封栓は実施例1で用いたものと同じである。
実施例1と同様にして得られたエルカトニン水溶液組成物を無菌濾過後、3w/v%濃度のシリコーン溶液を被覆(3w/v%濃度のシリコーン溶液を接触せしめ、高温で乾燥)したガラス注射筒に1.0mLずつ分注し後、ポリテトラフルオロエチレンで被覆したピストン(クロロブチル製)を挿入し、空隙部がないプレフィルドシリンジ製剤を得た。
実施例1と同様にして得られたエルカトニン水溶液組成物を無菌濾過後、環状ポリオレフィン注射筒に1.0mLずつ分注し後、ピストン(ポリエチレン製)を挿入し、空隙部の体積がないプレフィルドシリンジ製剤を得た。ピストン、密封栓にはポリテトラフルオロエチレンを被覆しなかった。シリコーンはいずれにも被覆しなかった。
実施例1と同様にして得られたエルカトニン水溶液組成物を無菌濾過後、ポリプロピレン製注射筒に1.0mLずつ分注し後、ピストン(ポリエチレン製)を挿入し、空隙部がないプレフィルドシリンジ製剤を得た。シリコーンは被覆しなかった。
[比較例1]
[比較例1]
実施例1と同様にして得られたエルカトニン水溶液組成物を無菌濾過後、5w/v%濃度のシリコーン溶液を被覆(5w/v%濃度のシリコーン溶液を接触せしめ、高温で乾燥)したガラス注射筒に1.0mLずつ分注し後、ピストンを挿入し、空隙部がないプレフィルドシリンジ製剤を得た。
[比較例2]
[比較例2]
実施例1と同様にして得られたエルカトニン水溶液組成物を無菌濾過後、内面を脱アルカリ処理し、5w/v%濃度のシリコン溶液を被覆(5w/v%濃度のシリコン溶液を接触せしめ、高温で乾燥した)したガラス注射筒に1.0mLずつ分注し後、ピストンを挿入し、空隙部がないプレフィルドシリンジ製剤を得た。
[試験例1]
[試験例1]
実施例1〜4にて得られた本発明のエルカトニンプレフィルドシリンジ製剤と比較例1として得られたエルカトニンプレフィルドシリンジ製剤を紙箱に入れ、恒温振盪機中にて、2週間継続して振盪し、その安定性を高速液体クロマトグラフィーにて測定し、充填直後にシリンジから取り出したエルカトニン水溶液中のエルカトニン量を100%としたときの残存率を求めた。その結果は表1に示す。
[振盪条件]
振幅:5cm振盪回数:180回/分温度:25℃[高速液体クロマトグラフィー測定条件]
カラム:ODSカラム4.6×150mm検出:UV225nm移動相:CH3CN−0.1%TFA(33:67)
振幅:5cm振盪回数:180回/分温度:25℃[高速液体クロマトグラフィー測定条件]
カラム:ODSカラム4.6×150mm検出:UV225nm移動相:CH3CN−0.1%TFA(33:67)
[試験例2]
実施例1〜4にて得られた本発明のエルカトニンプレフィルドシリンジ製剤と比較例1及び2で得られたエルカトニンプレフィルドシリンジ製剤を紙箱に入れ、恒温機中にて、40℃で1ヶ月間保存し、試験例1でおこなった測定条件で、残存率を求めた。その結果は表2に示す。
[試験例3]
実施例1、実施例2、及び実施例4にて得られた本発明のエルカトニンプレフィルドシリンジ製剤と比較例1として得られたエルカトニンプレフィルドシリンジ製剤を充填1日後に試験例1の高速液体クロマトグラフィー測定条件で測定した。一方、実施例1、実施例2、実施例4及び比較例1で作成した充填前の無菌濾過液を同様に試験例1の高速液体クロマトグラフィー測定条件で測定した。それぞれの実施例と比較例について、充填1日後のプレフィルドシレンジ製剤と充填前の無菌濾過液のHPLCピークを比較して、プレフィルドシリンジ製剤からのみ得られたピークを溶出物とし、その面積のプレフィルドシリンジ製剤から得られる充填1日後のエルカトニン水溶液中のエルカトニン面積に対する割合を求めた。その結果を表3に示す。
以上の結果から、本発明のエルカトニンプレフィルドシリンジ製剤はエルカトニン以外の溶出物のピークを少なくすることが明らかになった。この溶出物は主にシリコーンに由来するものと考えられる。先の表1、表2に示す結果と合わせて考えると、溶出物面積が2%以下である場合に、エルカトニンの振盪安定性及び/または熱安定性における好ましい改善が得られることが分かった。
0.01mMの酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)にエルカトニンを溶解して10単位/mL濃度のエルカトニン水溶液組成物をえる。次にこのエルカトニン水溶液組成物を無菌濾過後、環状ポリオレフィン製注射筒に1.0mLずつ分注し後、空隙部をつくらずにピストンを挿入し、プレフィルドシリンジ製剤を得た。
実施例7において、空隙部を0.05mLとしてピストンを挿入し、プレフィルドシリンジ製剤を得た。
実施例7において、空隙部を0.1mLとしてピストンを挿入し、プレフィルドシリンジ製剤を得た。
実施例7において、空隙部を0.2mLとしてピストンを挿入し、プレフィルドシリンジ製剤を得た。
0.01mMの酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)にゼラチン10mg、フェノール2mg、及びエルカトニンを溶解して10単位/mL濃度のエルカトニン水溶液組成物をえる。次にこのエルカトニン水溶液組成物を無菌濾過後、環状ポレオリフィン製注射筒に1.0mLずつ分注し後、空隙部をつくらずにピストンを挿入し、プレフィルドシリンジ製剤を得た。
実施例11において、空隙部を0.05mLとしてピストンを挿入し、プレフィルドシリンジ製剤を得た。
実施例11において、空隙部を0.1mLとしてピストンを挿入し、プレフィルドシリンジ製剤を得た。
実施例11において、空隙部を0.2mLとしてピストンを挿入し、プレフィルドシリンジ製剤を得た。
[比較例3]
[比較例3]
実施例7において、空隙部を0.3mLとしてピストンを挿入し、プレフィルドシリンジ製剤を得た。
[比較例4]
[比較例4]
実施例7において、空隙部を0.5mLとしてピストンを挿入し、プレフィルドシリンジ製剤を得た。
[比較例5]
[比較例5]
実施例11において、空隙部を0.3mLとしてピストンを挿入し、プレフィルドシリンジ製剤を得た。
[比較例6]
[比較例6]
実施例11において、空隙部を0.5mLとしてピストンを挿入し、プレフィルドシリンジ製剤を得た。
[試験例4]
[試験例4]
実施例7〜14と比較例3〜6にて得られたエルカトニンプレフィルドシリンジ製剤を紙箱に入れ、恒温振盪機中にて、2分間振盪し、その発泡の状態と泡が消えるまでの時間を測定した。その結果は表4に示す。
[振盪条件]
振幅:5cm振盪回数:180回/分温度:25℃
振幅:5cm振盪回数:180回/分温度:25℃
以上の結果から、空隙部の体積が水溶液の占める割合に対して0.2を超えている比較例では、発泡状態が著しく、泡消え時間も長く、使用しづらいものであった。一方、実施例7〜14ではわずかに小さい泡発生か、あるいは泡立たないかであり、空隙部の割合が0.05以下であれば泡立ちを生じないという効果が得られることが分かった。
1:シリンジ本体
2:ピストン
3:密封栓
2:ピストン
3:密封栓
Claims (17)
- エルカトニンを有効成分とする水溶液が充填されてなるエルカトニンプレフィルドシリンジ製剤であって、水溶液中への溶出量が高速液体クロマトグラフィーにおける測定の対エルカトニン面積比で2%以下であることを特徴とするエルカトニンプレフィルドシリンジ製剤。
- エルカトニンを有効成分とする水溶液が充填されてなるエルカトニンプレフィルドシリンジ製剤であって、空隙部の体積が水溶液の占める体積を1としたとき0.2以下であることを特徴とするエルカトニンプレフィルドシリンジ製剤。
- 水溶液中への溶出量が高速液体クロマトグラフィーにおける面積比で2%以下である請求項2記載のエルカトニンプレフィルドシリンジ製剤。
- 内面に濃度3w/v%以下のシリコーンを付着させたシリンジにエルカトニンを有効成分とする水溶液が充填されてなる請求項1〜3のいずれかに記載のエルカトニンプレフィルドシリンジ製剤。
- シリンジ内面にシリコーンが付着していないことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のエルカトニンプレフィルドシリンジ製剤。
- シリンジ素材が、ガラス及びプラスチック類から選択されてなる請求項1〜5のいずれかに記載のエルカトニンプレフィルドシリンジ製剤。
- ガラスが、脱アルカリ処理をしたガラスである請求項6記載のエルカトニンプレフィルドシリンジ製剤。
- プラスチック類が、環状ポレオレフィンである請求項5記載のエルカトニンプレフィルドシリンジ製剤。
- シリンジ内面の少なくとも一部にポリフッ化エチレン層を有する請求項1〜8のいずれかに記載されたエルカトニンプレフィルドシリンジ製剤。
- エルカトニンを有効成分とする水溶液が、ゼラチンを含まないことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載されたエルカトニンプレフィルドシリンジ製剤。
- エルカトニンを有効成分とする水溶液が、酢酸緩衝液を含有する請求項1〜10のいずれかに記載されたエルカトニンプレフィルドシリンジ製剤。
- 有効量のエルカトニンを含有する水溶液を水溶液中への溶出量が高速液体クロマトグラフィーにおける測定の対エルカトニン面積比で2%以下であるプレフィルドシリンジに充填することを特徴とするエルカトニンプレフィルドシリンジ製剤の製造方法。
- 有効量のエルカトニンを含有する水溶液を空隙部の体積が水溶液の占める体積を1としたとき0.2以下であるようにプレフィルドシリンジに無菌充填することを特徴とする請求項2〜11のいずれかに記載のエルカトニンプレフィルドシリンジ製剤の製造方法。
- エルカトニンプレフィルドジリンジ製剤の安定化方法であって、エルカトニンを有効成分とする水溶液を、水溶液中への溶出量が高速液体クロマトグラフィーにおける測定の対エルカトニン面積比で2%以下であるプレフィルドシリンジに充填する工程を含む方法。
- エルカトニンを有効成分とする水溶液が充填されてなるエルカトニンプレフィルドシリンジ製剤の安定化方法であって、空隙部の体積を水溶液の占める体積を1としたとき0.2以下とすることを特徴とする方法。
- エルカトニンを有効成分とする水溶液が充填されてなるエルカトニンプレフィルドシリンジ製剤の安定化方法であって、該水溶液が接するシリンジ内面のシリコーン量を減少せしめることを特徴とする方法。
- エルカトニンプレフィルドシリンジ製剤の品質を保持せしめて貯蔵・流通せしめる方法であって、有効量のエルカトニンと緩衝剤を含有せしめたpH5〜7のエルカトニン水溶液を、空隙部の体積が水溶液の占める体積を1としたとき0.2以下であるようにプレフィルドシリンジに無菌充填させることを特徴とする方法。
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JPH07179359A (ja) * | 1994-07-15 | 1995-07-18 | Asahi Chem Ind Co Ltd | 安定なエルカトニン製剤 |
JP2000044487A (ja) * | 1998-05-29 | 2000-02-15 | Taiyo Yakuhin Kogyo Kk | カルシトニン類のプレフィルドシリンジ製剤 |
-
2007
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