JP2007191375A - 単結晶バルク体及びその熱処理方法 - Google Patents

単結晶バルク体及びその熱処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】単結晶バルク体の格子欠陥と内部歪を低減する。
【解決手段】非金属の単結晶バルク体に対して、周期数2回以上のサイクルアニールを実施する。下記式(1)、特に下記式(2)を充足する条件で、サイクルアニールを実施することが好ましい。
0.45T≦T<T<T・・・(1)、
0.45T≦T<T、0.55T≦T<T・・・(2)
(式中、Tは単結晶バルク体の融点(K)である。融点がなく、溶融せずに昇華する性質を有する単結晶バルク体の場合には、Tは昇華温度(K)とする。T(K)はサイクルアニールの最低温度である。T(K)はサイクルアニールの最高温度である。)
【選択図】なし

Description

本発明は、単結晶バルク体及びその熱処理方法に関するものである。
単結晶育成方法としては、引き上げ法(チョクラルスキー法、CZ法)、融液封止引き上げ法(LEC法)、EFG法、ブリッジマン法(BS法)、ベルヌーイ法、浮遊帯域法(FZ法)、水熱合成法、フラックス法、マイクロ引き下げ法等が知られている。
上記方法により育成された単結晶バルク体には、僅かながらも格子欠陥が含まれている。格子欠陥としては具体的には、原子空孔、複空孔、不純物原子、ドーパントの偏析、格子間原子、転位、析出物、積層欠陥等が挙げられる。かかる格子欠陥は、材料が本来持つ機能を低下させる恐れがある。半導体単結晶では、格子欠陥が、電子やホールの移動度を低下させる恐れがある。レーザ媒質等に使用される発光性セラミックス単結晶では、格子欠陥が、励起された光子を失活させて発光性を低下させる恐れがある。
また、上記方法により育成された単結晶バルク体は、僅かながらも内部歪を抱えている場合がある。例えばウエハとして使用する場合、内部歪はウエハの反りや割れ等を招く恐れがある。
単結晶育成後に徐冷することにより、内部歪を低減できることが知られている。しかしながら、この方法による内部歪の低減には限界があり、内部歪をより高いレベルで低減する技術が求められるようになってきている。
特許文献1〜4には、金属の単結晶膜(エピ膜)に対してサイクルアニールを実施することで、転位を低減できることが開示されている。しかしながら、転位以外の格子欠陥と内部歪については言及されていない。また、非金属の単結晶バルク体については、言及されていない。
特開平6-20968号公報 特開平7-169694号公報 特開平7-321032号公報 特開平8-288214号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、非金属の単結晶バルク体に含まれる様々な格子欠陥を低減して結晶の完全性を高めることができ、非金属の単結晶バルク体の内部歪も低減することが可能な熱処理方法、及び該方法により処理された単結晶バルク体を提供することを目的とするものである。
本発明の熱処理方法は、非金属の単結晶バルク体に対して、周期数2回以上のサイクルアニール(cyclic anneal)を実施することを特徴とするものである。
単結晶バルク体が電子デバイス等に使用される場合、電子デバイス製造の種々の工程(成膜工程、イオン注入工程、イオン拡散工程等)において様々な熱履歴を受けるが、かかる熱履歴は温度の上昇下降を周期的に繰り返すものではないので、本発明で言うサイクルアニールには相当しない。
本発明の熱処理方法において、サイクルアニール開始前に、熱処理開始時点の温度(常温等)から所定の温度まで昇温する工程があってもよい。サイクルアニール終了後に、サイクルアニール終了時の温度から常温等まで降温する工程があってもよい。また、サイクルアニールと等温アニール(isothermal anneal)とを組み合わせることも差し支えない。
本明細書において、「サイクルアニールの開始点」は、サイクルアニール開始前に昇温工程がある場合、最初に昇温から降温へ切り替える点により定義し、サイクルアニール開始前に等温工程がある場合、最初に等温から昇温又は降温に切り替える点により定義する。
「サイクルアニールの終了点」は、サイクルアニール終了後に降温工程がある場合、最後に昇温から降温へ切り替える点により定義し、サイクルアニール終了後に等温工程がある場合、最後に昇温又は降温から等温へ切り替える点により定義する。
本発明の熱処理方法において、下記式(1)、特に下記式(2)を充足する条件で、前記サイクルアニールを実施することが好ましい。
0.45T≦T<T<T・・・(1)、
0.45T≦T<T、0.55T≦T<T・・・(2)
(式中、Tは単結晶バルク体の融点(K)である。融点がなく、溶融せずに昇華する性質を有する単結晶バルク体の場合には、Tは昇華温度(K)とする。T(K)はサイクルアニールの最低温度である。T(K)はサイクルアニールの最高温度である。)
サイクルアニールの周期ごとに、昇温と降温の折り返し点の温度(降温から昇温に切り替える点の温度=最低温度、及び昇温から降温に切り替える点の温度=最高温度)は変えてもよいし、変えなくてもよい。いずれにせよ、サイクルアニール全体で見たときに、複数ある昇温と降温の折り返し点の中で最も低い温度をサイクルアニールの最低温度T(K)と定義し、複数ある昇温と降温の折り返し点の中で最も高い温度をサイクルアニールの最高温度T(K)と定義する。
本発明の熱処理方法において、下記式(4)を充足する条件で、前記サイクルアニールを実施することが好ましい。
10≦t≦600・・・(4)
(式中、tはサイクルアニールの任意の一周期の時間(分)である。)
本発明の熱処理方法において、前記単結晶バルク体に対して不活性な雰囲気下で、前記サイクルアニールを実施することが好ましい。
本発明の熱処理方法において、前記単結晶バルク体としては、半導体、セラミックス、及び磁性体のうちいずれかからなる単結晶バルク体が挙げられる。
本発明の単結晶バルク体は、上記の本発明の熱処理方法により処理されたものであることを特徴とするものである。
本発明の熱処理方法では、非金属の単結晶バルク体に対して、周期数2回以上のサイクルアニールを実施することを特徴としている。
本発明の熱処理方法において、下記式(1)、特に下記式(2)を充足する条件でサイクルアニールを実施することが好ましい。
0.45T≦T<T<T・・・(1)、
0.45T≦T<T、0.55T≦T<T・・・(2)
(式中、Tは単結晶バルク体の融点(K)である。融点がなく、溶融せずに昇華する性質を有する単結晶バルク体の場合には、Tは昇華温度(K)とする。T(K)はサイクルアニールの最低温度である。T(K)はサイクルアニールの最高温度である。)
本発明の熱処理方法によれば、非金属の単結晶バルク体に含まれる様々な格子欠陥を低減して結晶の完全性を高めることができ、非金属の単結晶バルク体の内部歪も低減することができる。
以下、本発明について詳述する。
本発明の熱処理方法は、非金属の単結晶バルク体に対して、周期数2回以上のサイクルアニールを実施することを特徴とするものである。
単結晶育成方法としては、引き上げ法(チョクラルスキー法、CZ法)、融液封止引き上げ法(LEC法)、EFG法、ブリッジマン法(BS法)、ベルヌーイ法、浮遊帯域法(FZ法)、水熱合成法、フラックス法、マイクロ引き下げ法等が知られている。
サイクルアニールを実施する対象の単結晶バルク体としては特に制限なく、上記したような公知の単結晶育成方法により育成された単結晶バルク体でもよいし、公知の単結晶育成方法により育成された単結晶バルク体を、切削等により所望の形状や大きさに加工したものでもよい。アニール対象の単結晶バルク体の形態としては、インゴット、ブロック、ウエハ等が挙げられる。
公知の単結晶育成方法により育成された単結晶バルク体をサイクルアニールする場合、育成直後の単結晶バルク体は、例えば数100℃〜1000℃の温度分布(温度分布は結晶の種類や育成方法によって異なる)を有するが、常温まで下げる前にサイクルアニールを実施してもよいし、常温まで下げてからサイクルアニールを実施してもよい。
サイクルアニールを実施する対象の単結晶バルク体の材質は非金属であれば特に制限なく、半導体、セラミックス、及び磁性体等が挙げられる。
半導体としては、Si,GaAs,InSb,GaN,ZnSSe,及びZnO等が挙げられる。かかる半導体の単結晶はウエハ等に加工され、各種電子デバイスの基板等に使用される。
レーザ媒質等として使用されるセラミックスとしては、下記一般式(G)で表されるガーネット型母体化合物に対して、Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Cr,及びTiからなる群より選ばれた少なくとも1種の発光性元素イオンをドープした発光性セラミックスが挙げられる。
一般式:A(III)B(III)C(III)12・・・(G)
(式中、()内のローマ数字:イオン価数、
A:Aサイトの元素であり、Y,Sc,In,及び3価の希土類(La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu)からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素、
B:Bサイトの元素であり、Al,Sc,Ga,Cr,In,及び3価の希土類(La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu)からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素、
C:Cサイトの元素であり、Al及びGaからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素、
O:酸素原子)
上記一般式(G)で表されるガーネット型母体化合物としては、YAl12(YAG)等が挙げられる。
その他のセラミックスとしては、Al,YAGGdO,CaFeSi12等が挙げられる。
磁性体としては、Mn−Znフェライト、Mn−Niフェライト、磁性ガーネット等が挙げられる。
アニール対象である単結晶バルク体への汚染防止のため、酸エッチング等によって表面の不純物を除去してから、サイクルアニールを含む熱処理を開始することが好ましい。
サイクルアニールを含む熱処理は、昇温・温度保持・降温のパターンを任意に設定可能な電気炉等の加熱炉を用いて実施することができる。加熱炉の種類は、アニール対象の種類によって、適宜選定すればよい。専用の加熱用ボート等にアニール対象の単結晶バルク体を載置し、これを加熱炉内に載置して、サイクルアニールを実施することができる。
単結晶バルク体に対して不活性な雰囲気下で、サイクルアニールを含む熱処理を実施することが好ましい。単結晶バルク体に対して不活性な雰囲気が空気以外の雰囲気の場合には、熱処理開始前に、炉内を単結晶バルク体に対して不活性な雰囲気に変える操作を行うことが好ましい。
例えば、単結晶バルク体が酸化物の場合、熱処理雰囲気としては、真空雰囲気、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気、酸素等の酸化ガス雰囲気、又は酸化ガスと不活性ガスとの混合ガス雰囲気が好ましい。単結晶バルク体が非酸化物の場合、熱処理雰囲気としては、真空雰囲気、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気、水素等の還元ガス雰囲気、又は還元ガスと不活性ガスとの混合ガス雰囲気が好ましい。
また、単結晶バルク体が蒸気圧の比較的高いAs等の元素を含む場合、結晶のストイキオメトリーを保つために、熱処理雰囲気としては、単結晶バルク体に含まれる蒸気圧の高い元素を含む雰囲気が好ましい。例えば単結晶バルク体がAsを含むGaAs等の場合、サイクルアニールを行う第1の加熱炉に、内部にAs含有物質を載置した第2の加熱炉を連結し、第2の加熱炉内でAsを昇華させて第1の加熱炉内に導入することで、第1の加熱炉内において、As含有雰囲気下で熱処理を行うことができ、アニール対象の単結晶バルク体からのAsの昇華を抑制し、ストイキオメトリーを保つことができる。Asの昇華温度は200℃程度であるので、第2の加熱炉は200℃程度又はそれ以上に設定すればよい。
本発明の熱処理方法においては、例えば、図1に示すようなパターンでサイクルアニールを実施することができる。
図1に示す例では、常温から一定の昇温速度で昇温し、サイクルアニールの最高温度T(絶対温度K)に到達した後、サイクルアニールを開始している。この例では、サイクルアニールの最高温度T(K)からサイクルアニールの最低温度T(K)まで連続的に降温し、続いてサイクルアニールの最低温度T(K)からサイクルアニールの最高温度T(K)まで連続的に昇温する熱処理を一周期として、この熱処理を複数周期繰り返している。この例では、周期数をn(回)(n≧2)としたとき、サイクルアニールを開始してから第1番目〜第n番目のいずれの周期についても、熱処理条件を同じ条件としている。すなわち、いずれの周期についても、昇温と降温の折り返し点の温度(最低温度と最高温度)及び一周期の時間を、同じ条件としている。この例では、サイクルアニール終了後、一定の降温速度で降温し、常温に戻している。
各周期について、相対的に高い温度から相対的に低い温度に降温し、相対的に低い温度から相対的に高い温度に昇温する熱処理が含まれれば、各周期の熱処理条件(昇温と降温の折り返し点の温度(最低温度と最高温度)及び一周期の時間)は変えても構わない。
はじめに常温から昇温する工程の中でサイクルアニールを実施しても構わないし、最後に常温まで降温する工程の中でサイクルアニールを実施しても構わない。
また、サイクルアニールと等温アニールとを組み合わせても構わない。等温アニールは、サイクルアニール前、サイクルアニール後、サイクルアニール中のいずれに実施しても構わない。ただし、後記比較例2に示すように、等温アニールでは、格子欠陥及び内部歪の低減効果はほとんど得られないため、本発明では、等温アニールを実施しない方が時間的に無駄がなく、格子欠陥及び内部歪の低減効果が効率よく得られる。
本発明では、サイクルアニールを実施し、必要に応じて等温アニールを組み合わせる構成を採用している。かかる構成では、等温アニールのみを実施する場合よりも、様々な格子欠陥(原子空孔、複空孔、不純物原子、ドーパントの偏析、格子間原子、転位、析出物、積層欠陥等)及び内部歪を効果的に低減することができ、結晶の完全性を効果的に高めることができる。
本発明者は、この理由を以下のように推察している。
サイクルアニールでは、アニール温度が周期的に大きく変動するため、これによって単結晶バルク体内に僅かながらも熱勾配が発生する。具体的には、単結晶バルク体は、昇温時には中心部分が外側部分より温度が低くなり、降温時には中心部分が外側部分より温度が高くなる傾向にある。この中心部分と外側部分との温度差がドライビングフォースとなって、空孔や原子の双方向の移動が起こりやすくなると考えられる。空孔や原子が移動して何らかのシンクに到達すると、そこでトラップされて安定な状態となり、それ以上移動しにくくなると考えられる。例えば、微細な孔(Pore)等があれば、そこに格子間原子がトラップされて安定な状態になり、微細な孔(Pore)が消滅すると考えられる。
また、上記熱勾配に起因する僅かな応力によって、すべり面上を転位が双方向に動きやすくなり、アニール温度の上昇下降に伴う原子空孔の増減によって、転位の上昇運動がより活発になるので、これらの結果として、すべり面が変わる確率が高くなると考えられる。すべり面が変わることにより、同一すべり面上を双方向に動く異符号の転位同士の遭遇する確率が増して、転位の消滅が加速すると考えられる。
以上のように、アニール温度が周期的に大きく変動することで単結晶バルク体内に生じる熱勾配によって、様々な格子欠陥が低減されると考えられる。等温アニールを実施するだけでは、単結晶バルク体内に熱勾配が生じないので、等温アニール時間を長くするなどしても、本発明のように格子欠陥を効果的に低減することはできない。
内部歪は主に、単結晶化直後の高温状態から室温に降温する過程における外側部分と中心部分の降温速度の違いに起因して生じると考えられる。通常、内部歪を抑えるためには、単結晶化後に一定時間高温状態を保持した後、徐冷することがなされている。本発明では、高温下でサイクルアニールを行う構成を採用しているので、中心部分の温度が外側部分の温度より高い状態と、逆に中心部分の温度が外側部分の温度より低い状態とを、繰り返し交互に生じさせることができる。この温度分布の反転は、逆向きの内部歪を生じさせると考えられる。そして、サイクルアニールによって逆向きの内部歪が交互に生じる結果、内部歪が効果的にキャンセルされると考えられる。内部歪低減の観点から、本発明においても、サイクルアニール後に徐冷を行うことが好ましい。
サイクルアニールの周期ごとに、昇温と降温の折り返し点の温度(最低温度と最高温度)は変えてもよいし、変えなくてもよい。いずれにせよ、サイクルアニールの最低温度Tと最高温度Tとが、下記式(1)を充足するように、サイクルアニールを実施することが好ましい。
0.45T≦T<T<T・・・(1)
(式中、Tは単結晶バルク体の融点(絶対温度K)である。融点がなく、溶融せずに昇華する性質を有する単結晶バルク体の場合には、Tは昇華温度(K)とする。)
一般的に、半導体やセラミックス等の非金属では、材料の脆性破壊と塑性変形の境界が0.45T付近である。この温度未満では、格子が動かず、転位の移動等が起こらなくなるので、この温度未満の熱処理を実施してもその間は格子欠陥や内部歪の低減効果は期待できない。したがって、0.45T≦Tとすることで、格子欠陥や内部歪の低減効果が効率よく得られる。
発生する熱勾配を大きくでき、格子欠陥や内部歪の低減効果がより大きく得られることから、最高温度Tは、融点Tより低い範囲内でなるべく高く設定することが好ましい。また、最低温度Tと最高温度Tの差は大きい方が、好ましい。具体的には、下記式(2)、特に下記式(3)を充足する条件で、サイクルアニールを実施することが好ましい。
0.45T≦T<T、0.55T≦T<T・・・(2)、
0.45T≦T<0.55T、0.75T≦T<T・・・(3)
サイクルアニールの一周期の時間t(分)は、周期ごとに変えてもよいし、変えなくてもよい。いずれにせよ、任意の一周期に着目した場合、本発明の熱処理方法においては、下記式(4)を充足する条件で、サイクルアニールを実施することが好ましい。
10≦t≦600・・・(4)
(式中、tはサイクルアニールの任意の一周期の時間(分)である。)
一周期の時間t(分)が短くなりすぎると、周期内の昇温と降温とが設定通りに起こらなくなくなり、設定通りのサイクルアニールを実施できなくなる恐れがある。一周期の時間t(分)が長くなりすぎると、温度変動が小さくなり、熱勾配の発生が小さくなるので、格子欠陥及び内部歪の低減効果が効果的に得られなくなる恐れがある。上記式(4)を充足する条件であれば、設定通りのサイクルアニールを安定的に実施することができ、格子欠陥及び内部歪の低減効果が効果的に得られる。
サイクルアニールの周期数nは2回以上であれば特に制限なく、格子欠陥の低減効果とコストの観点から、3〜10回が好ましい。
本発明の熱処理方法によれば、非金属の単結晶バルク体に含まれる様々な格子欠陥(原子空孔、複空孔、不純物原子、ドーパントの偏析、格子間原子、転位、析出物、積層欠陥等)を低減して結晶の完全性を高めることができ、非金属の単結晶バルク体の内部歪も低減することができる。
本発明の熱処理方法によれば、結晶の完全性を高めることができるので、材料が本来持っている機能を最大限に引き出すことができる。例えば、発光性セラミックス単結晶であれば、励起された光子の失活の要因である格子欠陥を低減できるので、蛍光強度を向上することができる。
本発明の熱処理方法によれば、内部歪を低減することができるので、ウエハ等として使用する場合に、反りや割れ等を抑制することができる。
本発明の熱処理方法によれば、結晶の完全性が高く、内部歪も高レベルに抑えられた高品質な単結晶バルク体を提供することができる。
本発明に係る実施例及び比較例について説明する。
(実施例1)
アニール対象の単結晶バルク体として、Ndドープ量0.9モル%のNdドープYAG(0.9%Nd:YAG)の単結晶バルク体(市販品、融点T=2243K)を用意した。用いた単結晶バルク体の大きさは、5mm×5mm×40mmであった。
上記の単結晶バルク体をPtボートに載置して、これを電気炉内に載置した。電気炉としては、富士電波社製「ハイマルチ5000」を用いた。電気炉内を1×10−3Paの真空雰囲気にしてから、図1と同様のパターンで熱処理を実施した。
常温から略一定の昇温速度で昇温し、870分(=14.5時間)かけて2014K(=0.9T、1741℃)まで昇温した。続いて、この温度をサイクルアニールの最高温度Tとし、サイクルアニールの最低温度Tを1342K(=0.5T、1069℃)とし、最高温度Tから最低温度Tまで連続的に降温し、最低温度Tから最高温度Tまで連続的に昇温する熱処理を一周期とするサイクルアニールを実施した。周期数nは5回とした。各周期の熱処理条件(最低温度、最高温度、及び一周期の時間)は同一とした。一周期の時間tは336分(=5.6時間)とした。上記サイクルアニール終了後、870分(=14.5時間)かけて、サイクルアニール終了時の温度である2014K(=1741℃)から常温まで略一定の降温速度で降温した。本実施例では、上記式(3)及び(4)を充足する条件で、サイクルアニールを実施した。
(実施例2)
サイクルアニールの周期数nを3回とした以外は実施例1と同様にして、単結晶バルク体に対して、サイクルアニールを含む熱処理を実施した。
(実施例3、4)
サイクルアニールの最高温度Tと最低温度Tを表1に示す温度にした以外は実施例1と同様にして、単結晶バルク体に対して、サイクルアニールを含む熱処理を実施した。
(比較例1)
実施例1で用いた熱処理前の単結晶バルク体をそのまま、評価に供した。
(比較例2)
常温から略一定の昇温速度で昇温し、300分(=5時間)かけて2014K(=0.9T、1741℃)まで昇温した。この温度を1680分(=28時間)保持して等温アニールを実施し、その後、600分(=10時間)かけて等温アニールの温度から常温まで略一定の降温速度で降温した。比較例2の等温アニール時間(28時間)は、実施例1のサイクルアニール時間(5周期の合計時間)に等しく、設定した。
(評価項目、評価方法)
1)転位密度
各例の単結晶バルク体を適当な厚さに切断して、転位密度の測定試料とした。X-ray topography装置を用いて、ラング法により{111}上の転位密度を測定した。転位密度は、220反射を用いて測定した。
2)蛍光強度
光スペクトルアナライザーを用いて、各例の単結晶バルク体の蛍光スペクトルを測定した。励起光源として発振波長808nmの半導体レーザを用い、1064nm付近の蛍光ピーク強度を測定した。蛍光ピーク強度は、アニールを実施しなかった比較例1のデータを100としたときの相対値で評価した。
3)内部歪
消光比測定装置を用いて、各例の単結晶バルク体の内部歪を測定した。単一偏光のHe−Neレーザ光を照射し、単結晶バルク体内部の偏光の回転角度を内部歪として評価した。
(結果)
各例の熱処理条件と評価結果を表1及び表2に示す。
アニールを実施しなかった比較例1が基準となる。等温アニールのみを実施した比較例2では、転位密度及び内部歪の低減はほとんど見られず、蛍光強度の向上はほとんど見られなかった。
これに対して、サイクルアニールを実施した実施例1〜4ではいずれも、転位密度及び内部歪が低減し、蛍光強度が向上した。
実施例1と比較例2では、アニールの最高温度とトータルのアニール時間は同じであるにもかかわらず、結果に大きな差が出た。また、実施例2では、トータルのアニール時間は比較例2より短いにもかかわらず、比較例2よりも良い結果が得られた。これらの結果から、本発明の有効性が示された。
また、実施例1、2の比較から、サイクルアニールの周期数nは多い方が好ましいことが明らかとなった。実施例1、3、4の比較から、サイクルアニールの最高温度Tは高い方が好ましいことが明らかとなった。
Figure 2007191375
Figure 2007191375
本発明の熱処理方法は、各種電子デバイスの基板(ウエハ)やレーザ媒質等の用途に使用される単結晶バルク体に好ましく適用することができる。
サイクルアニールのパターン例を示す図

Claims (7)

  1. 非金属の単結晶バルク体に対して、周期数2回以上のサイクルアニールを実施することを特徴とする熱処理方法。
  2. 下記式(1)を充足する条件で、前記サイクルアニールを実施することを特徴とする請求項1に記載の熱処理方法。
    0.45T≦T<T<T・・・(1)
    (式中、Tは単結晶バルク体の融点(K)である。融点がなく、溶融せずに昇華する性質を有する単結晶バルク体の場合には、Tは昇華温度(K)とする。T(K)はサイクルアニールの最低温度である。T(K)はサイクルアニールの最高温度である。)
  3. 下記式(2)を充足する条件で、前記サイクルアニールを実施することを特徴とする請求項1に記載の熱処理方法。
    0.45T≦T<T、0.55T≦T<T・・・(2)
    (式中、Tは単結晶バルク体の融点(K)である。融点がなく、溶融せずに昇華する性質を有する単結晶バルク体の場合には、Tは昇華温度(K)とする。T(K)はサイクルアニールの最低温度である。T(K)はサイクルアニールの最高温度である。)
  4. 下記式(4)を充足する条件で、前記サイクルアニールを実施することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱処理方法。
    10≦t≦600・・・(4)
    (式中、tはサイクルアニールの任意の一周期の時間(分)である。)
  5. 前記単結晶バルク体に対して不活性な雰囲気下で、前記サイクルアニールを実施することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱処理方法。
  6. 前記単結晶バルク体が、半導体、セラミックス、及び磁性体のうちいずれかからなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の熱処理方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の熱処理方法により処理されたものであることを特徴とする単結晶バルク体。
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