JP2007197750A - 無機粉体及びその熱処理方法 - Google Patents

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【課題】単結晶構造又は多結晶構造の無機粉体の格子欠陥を低減する。
【解決手段】単結晶構造又は多結晶構造の無機粉体に対して、周期数2回以上のサイクルアニールを実施する。下記式(1)、特に下記式(2)を充足する条件で、サイクルアニールを実施することが好ましい。
0.45T≦T<T<T・・・(1)、
0.45T≦T<T、0.55T≦T<T・・・(2)
(式中、Tは無機粉体の融点(K)である。融点がなく、溶融せずに昇華する性質を有する無機粉体の場合には、Tは昇華温度(K)とする。T(K)はサイクルアニールの最低温度、T(K)はサイクルアニールの最高温度である。)
【選択図】なし

Description

本発明は、単結晶構造又は多結晶構造の無機粉体及びその熱処理方法に関するものである。
単結晶構造又は多結晶構造の無機粉体には、結晶内に様々な格子欠陥(原子空孔、複空孔、不純物原子、ドーパントの偏析、格子間原子、転位、析出物、積層欠陥等)が存在する。かかる格子欠陥は、材料が本来持つ機能を低下させる恐れがある。例えば、半導体粉体では、上記格子欠陥が、電子やホールの移動度を低下させる恐れがある。蛍光材等に使用される発光性セラミックス粉体では、上記格子欠陥が、励起された光子を失活させて発光性を低下させる恐れがある。
特許文献1〜4には、化合物半導体の単結晶膜(エピ膜)に対してサイクルアニールを実施することで、転位を低減できることが開示されている。しかしながら、転位以外の格子欠陥については言及されていない。また、粉体については、一切言及されていない。
特開平6-20968号公報 特開平7-169694号公報 特開平7-321032号公報 特開平8-288214号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、単結晶構造又は多結晶構造の無機粉体に含まれる様々な格子欠陥を低減して結晶の完全性を高めることができる熱処理方法、及び該方法により処理された無機粉体を提供することを目的とするものである。
本発明の熱処理方法は、単結晶構造又は多結晶構造の無機粉体に対して、周期数2回以上のサイクルアニール(cyclic anneal)を実施することを特徴とするものである。
本発明の熱処理方法において、サイクルアニール開始前に、熱処理開始時点の温度(常温等)から所定の温度まで昇温する工程があってもよい。サイクルアニール終了後に、サイクルアニール終了時の温度から常温等まで降温する工程があってもよい。また、サイクルアニールと等温アニール(isothermal anneal)とを組み合わせることも差し支えない。
本明細書において、「サイクルアニールの開始点」は、サイクルアニール開始前に昇温工程がある場合、最初に昇温から降温へ切り替える点により定義し、サイクルアニール開始前に等温工程がある場合、最初に等温から昇温又は降温に切り替える点により定義する。
「サイクルアニールの終了点」は、サイクルアニール終了後に降温工程がある場合、最後に昇温から降温へ切り替える点により定義し、サイクルアニール終了後に等温工程がある場合、最後に昇温又は降温から等温へ切り替える点により定義する。
本発明の熱処理方法において、下記式(1)、特に下記式(2)を充足する条件で、前記サイクルアニールを実施することが好ましい。
0.45T≦T<T<T・・・(1)、
0.45T≦T<T、0.55T≦T<T・・・(2)
(式中、Tは無機粉体の融点(K)である。融点がなく、溶融せずに昇華する性質を有する無機粉体の場合には、Tは昇華温度(K)とする。T(K)はサイクルアニールの最低温度である。T(K)はサイクルアニールの最高温度である。)
サイクルアニールの周期ごとに、昇温と降温の折り返し点の温度(降温から昇温に切り替える点の温度=最低温度、及び昇温から降温に切り替える点の温度=最高温度)は変えてもよいし、変えなくてもよい。いずれにせよ、サイクルアニール全体で見たときに、複数ある昇温と降温の折り返し点の中で最も低い温度をサイクルアニールの最低温度T(K)と定義し、複数ある昇温と降温の折り返し点の中で最も高い温度をサイクルアニールの最高温度T(K)と定義する。
本発明の熱処理方法において、下記式(4)を充足する条件で、前記サイクルアニールを実施することが好ましい。
10≦t≦600・・・(4)
(式中、tはサイクルアニールの任意の一周期の時間(分)である。)
本発明の熱処理方法において、前記無機粉体に対して不活性な雰囲気下で、前記サイクルアニールを実施することが好ましい。
本発明の熱処理方法において、前記無機粉体としては、金属、半導体、セラミックス、及び磁性体のうちいずれかからなる無機粉体が挙げられる。
上記無機紛体は他の任意の粉体と混合して使用することができる。かかる場合、上記無機紛体に対してサイクルアニールを実施してから他の粉体と混合してもよいし、他の粉体と混合してからサイクルアニールを実施してもよい。
本発明の無機粉体は、上記の本発明の熱処理方法により処理されたものであることを特徴とするものである。
本発明の熱処理方法では、単結晶構造又は多結晶構造の無機粉体に対して、周期数2回以上のサイクルアニールを実施することを特徴としている。
本発明の熱処理方法において、下記式(1)、特に下記式(2)を充足する条件でサイクルアニールを実施することが好ましい。
0.45T≦T<T<T・・・(1)、
0.45T≦T<T、0.55T≦T<T・・・(2)
(式中、Tは無機粉体の融点(K)である。融点がなく、溶融せずに昇華する性質を有する無機粉体の場合には、Tは昇華温度(K)とする。T(K)はサイクルアニールの最低温度である。T(K)はサイクルアニールの最高温度である。)
本発明の熱処理方法によれば、無機粉体に含まれる様々な格子欠陥を低減して結晶の完全性を高めることができる。
以下、本発明について詳述する。
本発明の熱処理方法は、単結晶構造又は多結晶構造の無機粉体に対して、周期数2回以上のサイクルアニールを実施することを特徴とするものである。
単結晶構造又は多結晶構造の無機粉体の材質は特に制限なく、金属、半導体、セラミックス、及び磁性体等が挙げられる。
金属粉体としては、Au,Ag,Cu,Ni,Pt,Pd,W,及びこれらの合金等の粉体が挙げられる。
半導体粉体としては、Si,GaAs,GaN,ZnSSe,ZnS,CdS,CdTe,及びZnO等の粉体が挙げられる。
蛍光材等に使用されるセラミックス粉体としては、下記一般式(G)で表されるガーネット型母体化合物に対して、Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Cr,及びTiからなる群より選ばれた少なくとも1種の発光性元素イオンをドープした発光性セラミックス粉体が挙げられる。
一般式:A(III)B(III)C(III)12・・・(G)
(式中、()内のローマ数字:イオン価数、
A:Aサイトの元素であり、Y,Sc,In,及び3価の希土類(La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu)からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素、
B:Bサイトの元素であり、Al,Sc,Ga,Cr,In,及び3価の希土類(La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu)からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素、
C:Cサイトの元素であり、Al及びGaからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素、
O:酸素原子)
上記一般式(G)で表されるガーネット型母体化合物としては、YAl12(YAG)等が挙げられる。
磁性体粉体としては、Fe−N系,Nd−Fe−B系,Sm−Co系,Fe−Ni系,及びフェライト系等の粉体が挙げられる。
無機粉体は、略均一粒径の粉体でもよいし、粒径分布を有する粉体でもよい。平均粒径は制限なく、用途等に応じて異なる。平均粒径は、例えば0.0001μm〜1.0mm等が挙げられる(数値は、川北著、「紛粒体のトラブル対策」、1980年、日刊工業新聞社より引用)。
単結晶構造又は多結晶構造の無機粉体は例えば、単結晶バルク体又は多結晶バルク体をボールミルやクラッシャ等により粉砕することで、製造される。
多結晶セラミックス粉体は例えば、原料粉末(通常は複数原料の混合粉末)を圧縮成型し、得られた圧縮成型体をシンタリング(焼成)して多結晶バルク体(多結晶焼結体)を得、これをボールミル等により粉砕することで、製造される。
ボールミル等により粉砕された粉体に対して、必要に応じて、分級、洗浄、各種表面処理、篩分等の単数又は複数の後処理が実施される。本発明では、これら後処理が施された無機粉体に対してサイクルアニールを行ってもよいし、これら後処理の前にサイクルアニールを行ってもよい。後処理を複数行う場合には、複数の後処理の間にサイクルアニールを行ってもよい。
サイクルアニールを含む熱処理は、昇温・温度保持・降温のパターンを任意に設定可能な電気炉等の加熱炉を用いて実施することができる。加熱炉の種類は、アニール対象の種類によって、適宜選定すればよい。専用のルツボ等にアニール対象を入れ、これを加熱炉内に載置して、サイクルアニールを含む熱処理を実施することができる。
無機粉体に対して不活性な雰囲気下で、サイクルアニールを含む熱処理を実施することが好ましい。無機粉体に対して不活性な雰囲気が空気以外の雰囲気の場合には、熱処理開始前に、炉内を無機粉体に対して不活性な雰囲気に変える操作を行うことが好ましい。
例えば、無機粉体が酸化物の場合、熱処理雰囲気としては、真空雰囲気、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気、酸素等の酸化ガス雰囲気、又は酸化ガスと不活性ガスとの混合ガス雰囲気が好ましい。無機粉体が非酸化物の場合、熱処理雰囲気としては、真空雰囲気、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気、水素等の還元ガス雰囲気、又は還元ガスと不活性ガスとの混合ガス雰囲気が好ましい。
また、無機粉体が、蒸気圧の比較的高いAs等の元素を含む場合、結晶のストイキオメトリーを保つために、熱処理雰囲気としては、無機粉体に含まれる蒸気圧の高い元素を含む雰囲気が好ましい。例えば無機粉体がAsを含むGaAs等の場合、サイクルアニールを行う第1の加熱炉に、内部にAs含有物質を載置した第2の加熱炉を連結し、第2の加熱炉内でAsを昇華させて第1の加熱炉内に導入することで、第1の加熱炉内において、As含有雰囲気下で熱処理を行うことができ、アニール対象からのAsの昇華を抑制し、ストイキオメトリーを保つことができる。Asの昇華温度は200℃程度であるので、第2の加熱炉は200℃程度又はそれ以上に設定すればよい。
本発明の熱処理方法においては、例えば、図1に示すようなパターンでサイクルアニールを実施することができる。
図1に示す例では、常温から一定の昇温速度で昇温し、サイクルアニールの最高温度T(絶対温度K)に到達した後、サイクルアニールを開始している。この例では、サイクルアニールの最高温度T(K)からサイクルアニールの最低温度T(K)まで連続的に降温し、続いてサイクルアニールの最低温度T(K)からサイクルアニールの最高温度T(K)まで連続的に昇温する熱処理を一周期として、この熱処理を複数周期繰り返している。この例では、周期数をn(回)(n≧2)としたとき、サイクルアニールを開始してから第1番目〜第n番目のいずれの周期についても、熱処理条件を同じ条件としている。すなわち、いずれの周期についても、昇温と降温の折り返し点の温度(最低温度と最高温度)及び一周期の時間を、同じ条件としている。この例では、サイクルアニール終了後、一定の降温速度で降温し、常温に戻している。
各周期について、相対的に高い温度から相対的に低い温度に降温し、相対的に低い温度から相対的に高い温度に昇温する熱処理が含まれれば、各周期の熱処理条件(昇温と降温の折り返し点の温度(最低温度と最高温度)及び一周期の時間)は変えても構わない。
はじめに常温から昇温する工程の中でサイクルアニールを実施しても構わないし、最後に常温まで降温する工程の中でサイクルアニールを実施しても構わない。
サイクルアニールと等温アニールとを組み合わせても構わない。等温アニールは、サイクルアニール前、サイクルアニール後、サイクルアニール中のいずれに実施しても構わない。
本発明では、サイクルアニールを実施し、必要に応じて等温アニールを組み合わせる構成を採用している。かかる構成では、等温アニールのみを実施する場合よりも、様々な格子欠陥(原子空孔、複空孔、不純物原子、ドーパントの偏析、格子間原子、転位、析出物、積層欠陥等)を効果的に低減することができ、結晶の完全性を効果的に高めることができる。
本発明者は、この理由を以下のように推察している。
サイクルアニールでは、アニール温度が周期的に大きく変動するため、これによって無機粉体をなす各粒子内に僅かながらも熱勾配が発生する。具体的には、各粒子は、昇温時には中心部分が外側部分より温度が低くなり、降温時には中心部分が外側部分より温度が高くなる傾向にある。この中心部分と外側部分との温度差がドライビングフォースとなって、空孔や原子の双方向の移動が起こりやすくなると考えられる。空孔や原子が移動して何らかのシンクに到達すると、そこでトラップされて安定な状態となり、それ以上移動しにくくなると考えられる。例えば、微細な孔(Pore)等があれば、そこに格子間原子がトラップされて、安定な状態になると考えられる。
また、上記熱勾配に起因する僅かな応力によって、すべり面上を転位が双方向に動きやすくなり、アニール温度の上昇下降に伴う原子空孔の増減によって、転位の上昇運動がより活発になるので、これらの結果として、すべり面が変わる確率が高くなると考えられる。すべり面が変わることにより、同一すべり面上を双方向に動く異符号の転位同士の遭遇する確率が増して、転位の消滅が加速すると考えられる。
以上のように、アニール温度が周期的に大きく変動することで無機粉体をなす各粒子内に生じる熱勾配によって、様々な格子欠陥が低減されると考えられる。等温アニールを実施するだけでは、無機粉体をなす各粒子内に熱勾配が生じないので、等温アニール時間を長くするなどしても、本発明のように格子欠陥を効果的に低減することはできない。
サイクルアニールの周期ごとに、昇温と降温の折り返し点の温度(最低温度と最高温度)は変えてもよいし、変えなくてもよい。いずれにせよ、サイクルアニールの最低温度Tと最高温度Tとが、下記式(1)を充足するように、サイクルアニールを実施することが好ましい。
0.45T≦T<T<T・・・(1)
(式中、Tは無機粉体の融点(絶対温度K)である。融点がなく、溶融せずに昇華する性質を有する無機粉体の場合には、Tは昇華温度(K)とする。)
一般的に、半導体やセラミックス等では、材料の脆性破壊と塑性変形の境界が0.45T付近である。この温度未満では、格子が動かず、転位の移動等が起こらなくなるので、この温度未満の熱処理を実施してもその間は格子欠陥の低減効果は期待できない。したがって、0.45T≦Tとすることで、格子欠陥の低減効果が効率よく得られる。
発生する熱勾配を大きくでき、格子欠陥の低減効果がより大きく得られることから、最高温度Tは、融点Tより低い範囲内でなるべく高く設定することが好ましい。また、最低温度Tと最高温度Tの差は大きい方が、好ましい。具体的には、下記式(2)、特に下記式(3)を充足する条件で、サイクルアニールを実施することが好ましい。
0.45T≦T<T、0.55T≦T<T・・・(2)
0.45T≦T<0.55T、0.75T≦T<T・・・(3)
サイクルアニールの一周期の時間t(分)は、周期ごとに変えてもよいし、変えなくてもよい。いずれにせよ、任意の一周期に着目した場合、本発明の熱処理方法においては、下記式(4)を充足する条件で、サイクルアニールを実施することが好ましい。
10≦t≦600・・・(4)
(式中、tはサイクルアニールの任意の一周期の時間(分)である。)
一周期の時間t(分)が短くなりすぎると、周期内の昇温と降温とが設定通りに起こらなくなくなり、設定通りのサイクルアニールを実施できなくなる恐れがある。一周期の時間t(分)が長くなりすぎると、温度変動が小さくなり、熱勾配の発生が小さくなるので、格子欠陥の低減効果が効果的に得られなくなる恐れがある。上記式(4)を充足する条件であれば、設定通りのサイクルアニールを安定的に実施することができ、格子欠陥の低減効果が効果的に得られる。
サイクルアニールの周期数nは2回以上であれば特に制限なく、格子欠陥の低減効果とコストの観点から、3〜10回が好ましい。
本発明の熱処理方法によれば、単結晶構造又は多結晶構造の無機粉体に含まれる様々な格子欠陥(原子空孔、複空孔、不純物原子、ドーパントの偏析、格子間原子、転位、析出物、積層欠陥等)を低減して、結晶の完全性を高めることができる。
本発明の熱処理方法によれば、結晶の完全性を高めることができるので、材料が本来持っている機能を最大限に引き出すことができる。例えば、蛍光材等に使用される発光性セラミックス粉体であれば、励起された光子の失活の要因である格子欠陥を低減できるので、蛍光強度を向上することができる。
本発明の熱処理方法によれば、結晶の完全性が高く高品質な無機粉体を提供することができる。
本発明に係る実施例及び比較例について説明する。
(実施例1)
アニール対象の無機粉体として、Ndドープ量0.9モル%のNdドープYAG(0.9%Nd:YAG)の多結晶粉体(融点T=2243K)を調製した。
原料粉末として、Y粉末、Al粉末、及びNd粉末(いずれも純度99.99%)を用い、所望の組成になるようにそれぞれ秤量した。これら粉末に、TEOS(Tetraethyl orthosilicate)、適量のバインダ、及びエチルアルコールを加え、ポットミルで10時間湿式混合を行った。
得られた混合粉末スラリー中のエチルアルコールをロータリーエバポレーターを用いて除去した後、得られた粉末をニヤネット成型して、10mmφ×2mm厚の大きさの圧縮成型体を得た。残留有機成分を除去する目的で、得られた圧縮成型体を1200℃で120分間仮焼成した。
その後、1×10−3Paの真空雰囲気下、シンタリング(本焼成)を実施し、多結晶焼結体を得た。シンタリング条件は、2023K(=0.9T、1750℃)、120分(=2時間)とした。
多結晶焼結体をボールミルにより粉砕し、得られた多結晶無機粉体に対して分級及び純水洗浄を行ったもの(平均粒径20μm)を、アニール対象とした。
アニール対象の多結晶無機粉体に対して、1×10−3Paの真空雰囲気下、図1と同様のパターンで熱処理を実施した。
常温から略一定の昇温速度で昇温し、60分かけて1683K(=0.75T、1410℃)まで昇温した。続いて、この温度をサイクルアニールの最高温度Tとし、サイクルアニールの最低温度Tを1123K(=0.5T、850℃)とし、最高温度Tから最低温度Tまで連続的に降温し、最低温度Tから最高温度Tまで連続的に昇温する熱処理を一周期とするサイクルアニールを実施した。周期数nは3回とした。各周期の熱処理条件(最低温度、最高温度、及び一周期の時間)は同一とした。一周期の時間tは60分とした。上記サイクルアニール終了後、180分かけて、サイクルアニール終了時の温度である1683K(1410℃)から常温まで略一定の降温速度で降温した。
(実施例2〜6)
サイクルアニールの最高温度T、サイクルアニールの最低温度T、及び周期数nを、表1及び表2に示す条件とした以外は、実施例1と同様にして、多結晶無機粉体に対して、サイクルアニールを含む熱処理を実施した。
(比較例1)
実施例1において、多結晶焼結体をボールミルにより粉砕して得られた多結晶無機粉体に対して、分級・洗浄・サイクルアニールを行わず、そのまま評価に供した。
(比較例2)
実施例1と同じアニール対象に対して、等温アニールを実施した。
常温から略一定の昇温速度で昇温し、60分かけて1683K(=0.75T、1410℃)まで昇温した。この温度を180分保持して等温アニールを実施し、その後、180分かけて等温アニールの温度から常温まで略一定の降温速度で降温した。比較例2の等温アニール時間(180分)は、実施例1のサイクルアニール時間(3周期の合計時間)に等しく、設定した。
(評価項目、評価方法)
1)蛍光強度
光スペクトルアナライザーを用いて、各例の多結晶無機粉体の蛍光スペクトルを測定した。励起光源として波長808nmの半導体レーザを用い、1064nm付近の蛍光ピーク強度を測定した。蛍光ピーク強度は、アニールを実施しなかった比較例1のデータを100としたときの相対値で評価した。
2)転位密度
各例の多結晶無機粉体をメノー乳鉢で磨りつぶし、得られた破片10個について劈開した{111}面を透過型電子顕微鏡(TEM)にて観察し、転位密度を測定した。
(結果)
各例の熱処理条件と評価結果を表1〜表3に示す。
アニールを実施しなかった比較例1が基準となる。等温アニールのみを実施した比較例2に対して、サイクルアニールを実施した実施例1〜5ではいずれも、転位密度が大きく低減され、蛍光強度が大きく向上した。
Figure 2007197750
Figure 2007197750
Figure 2007197750
本発明の熱処理方法は、蛍光材等の用途に使用される単結晶構造又は多結晶構造の無機粉体に好ましく適用することができる。
サイクルアニールのパターン例を示す図

Claims (7)

  1. 単結晶構造又は多結晶構造の無機粉体に対して、周期数2回以上のサイクルアニールを実施することを特徴とする熱処理方法。
  2. 下記式(1)を充足する条件で、前記サイクルアニールを実施することを特徴とする請求項1に記載の熱処理方法。
    0.45T≦T<T<T・・・(1)
    (式中、Tは無機粉体の融点(K)である。融点がなく、溶融せずに昇華する性質を有する無機粉体の場合には、Tは昇華温度(K)とする。T(K)はサイクルアニールの最低温度である。T(K)はサイクルアニールの最高温度である。)
  3. 下記式(2)を充足する条件で、前記サイクルアニールを実施することを特徴とする請求項1に記載の熱処理方法。
    0.45T≦T<T、0.55T≦T<T・・・(2)
    (式中、Tは無機粉体の融点(K)である。融点がなく、溶融せずに昇華する性質を有する無機粉体の場合には、Tは昇華温度(K)とする。T(K)はサイクルアニールの最低温度である。T(K)はサイクルアニールの最高温度である。)
  4. 下記式(4)を充足する条件で、前記サイクルアニールを実施することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱処理方法。
    10≦t≦600・・・(4)
    (式中、tはサイクルアニールの任意の一周期の時間(分)である。)
  5. 前記無機粉体に対して不活性な雰囲気下で、前記サイクルアニールを実施することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱処理方法。
  6. 前記無機粉体が、金属、半導体、セラミックス、及び磁性体のうちいずれかからなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の熱処理方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の熱処理方法により処理されたものであることを特徴とする無機粉体。
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