JP2005064254A - アニールウエーハの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】アニールウエーハの製造において効率的に熱処理を行ないアニールウエーハの生産性を向上させるウエーハの製造方法を提供する。
【解決手段】アニールウエーハの製造方法であって、少なくとも、インゴット状態のシリコン単結晶に熱処理を行なう第1の熱処理工程と、前記熱処理したインゴットをウエーハに加工するウエーハ加工工程と、前記ウエーハを熱処理する第2の熱処理工程を有することを特徴とするアニールウエーハの製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明はアニールウエーハの製造方法に関し、特に、表面に無欠陥領域であるDZ(Denuded Zone)層を形成するための酸素外方拡散熱処理、IG(Intrinsic gettering)能力を付与するための酸素析出物および内部微小欠陥BMD(Bulk Micro Defect)を生成する熱処理を行なうアニールウエーハの製造方法に関する。
半導体デバイスに用いられるシリコンウエーハは、主に引上げ法(チョクラルスキー法、CZ法)で育成されたものである。このCZ法で育成されるシリコン単結晶には、通常酸素不純物が含まれており、そのままの状態でデバイス製造工程に使用すると、工程中で過飽和な酸素が析出することがある。酸素析出物は、体積膨張による歪みで二次的に転位や積層欠陥等を発生させることがある。これらの酸素析出物及びその二次欠陥は半導体デバイスの特性に大きな影響を及ぼすもので、ウエーハ表面及びデバイス活性層にこのような欠陥がある場合、リーク電流の増大、酸化膜耐圧不良等を引き起すことがある。
また、デバイスの高集積化、微細化に伴い今まで問題視されなかったCZ法シリコン単結晶引上げ時に導入されたGrown−in欠陥が酸化膜耐圧特性を著しく劣化させることから、シリコン単結晶基板の表面近傍における結晶性の良否がデバイスの信頼性及び歩留りを大きく左右することになる。
その対策として、ウエーハに熱処理を施しウエーハ表面の欠陥を消滅させる技術がある。このウエーハ熱処理としては、シリコン基板を水素雰囲気下、又は水素含有雰囲気中で950℃から1200℃の温度で5分間以上加熱してシリコンウエーハ表層部に酸素外方拡散促進によるDZ層を形成する方法がある(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
一方、デバイス工程では、高温での熱処理プロセス等で、Fe,Ni,Cuに代表される重金属汚染があり、これら重金属汚染により、ウエーハ表面近傍に欠陥や電気的な準位が形成されると、デバイスの特性が劣化するため、この重金属汚染をウエーハ表面近傍から取り除く必要から、IGや各種のEG(Extrinsic gettering)のゲッタリング手法が従来から用いられている。特に今後のデバイスプロセスは、更なる高集積化と高エネルギー・イオン注入を用いたプロセスの低温化が進むことが明らかで、その場合、デバイスプロセス途中におけるBMDの形成が、プロセス低温化のために困難になることが予測される。従って、低温プロセスでは、高温プロセスに比べ十分なIG効果を得ることが困難となる。また、デバイスプロセスが低温化しても、高エネルギー・イオン注入等での重金属汚染は避け難く、ゲッタリング技術は必須と考えられる。またスリップの発生を抑制するには高密度なBMDが存在する事が好ましい。
通常のアニールウエーハの高品質化については、これまでシリコン単結晶をウエーハに加工してから行なうウエーハ状態でのDZ−IG熱処理が広く用いられており、ウエーハを1100℃から1200℃程度の温度で高温処理をすることにより、ウエーハ表面近傍の酸素を外方に拡散させて微小欠陥の核となる格子間酸素を減少させ、デバイス活性領域に欠陥の無いDZ層を形成させる。その後、600℃から900℃の低温熱処理で、ウエーハ内部にBMDを形成するという高温+低温の二段の熱処理が行われている。また初めにウエーハに低温処理を行い酸素析出物(BMD)を十分に形成しつつ、その後の高温熱処理でウエーハ表層にDZ層を形成する事もある。
また、近年では、ウエーハ(インゴット)の中に、窒素をドープし、COP(Crystal Originated Particle)等の結晶起因の欠陥が消滅しやすく、かつ、酸素析出物が得られやすいようにする工夫もされている。これにより無欠陥領域の広いアニールウエーハが効果的に製造できるようになっている。
更には、原子空孔過剰であるが結晶成長導入欠陥(COP等の結晶欠陥)のない領域と格子間シリコン原子過剰であるが結晶成長導入欠陥のない領域からなる結晶が知られている。これは結晶の引上げ速度等を制御する事によって得られる結晶欠陥がほとんどないウエーハである。このような原子空孔過剰であるが結晶成長導入欠陥のない領域と格子間シリコン原子過剰であるが結晶成長導入欠陥のない領域からなる結晶は準完全結晶(Nearly perfect crystal)と呼ばれ、以下NPCと呼ぶ事がある。このような結晶を用いても表面の無欠陥領域(DZ層)の広いアニールウエーハが効果的に製造できる(例えば、特許文献4参照)。
しかし上記のような、DZ−IG熱処理と呼ばれるアニールは、ウエーハにDZ層形成とBMD形成という目的の異なる2段の熱処理を行なうことから大変時間がかかるものであった。特にBMDを形成するには、低温で十分な時間をかけ熱処理することが必要である。
また、シリコンウエーハに加工されたウエーハ状態で熱処理する場合には、図4に示すような縦型熱処理装置及び図5に示すような熱処理ボートが使用されるが、ウエーハをセットできる枚数は、多くても100枚程度に限られてしまう。そのため、アニールウエーハを大量に生産するには、熱処理装置を多く用意するか、アニール時間を短縮する必要がある。
しかし、ウエーハが大口径化することで、このような熱処理を行なう装置も大型化し、それに用いられる熱処理ボートなども大型化することで、設備的に大変高価な装置が必要となってしまう。従って、装置を多く導入するにはコスト的に限界があり、効率よく熱処理装置を運用する事が重要である。
特開昭60−231365号公報 特開昭61−193456号公報 特開昭61−193458号公報 特開平11−199387号公報
本発明は、このようなDZ層形成のための酸素外方拡散熱処理、IG能力を付与するためのBMDを生成する熱処理など熱処理に大変時間とコストのかかるアニールウエーハの製造において効率的に熱処理を行ないアニールウエーハの生産枚数を増大させるウエーハの製造方法の提供を目的としている。
上記課題を解決するための本発明は、アニールウエーハの製造方法であって、少なくとも、インゴット状態のシリコン単結晶に熱処理を行なう第1の熱処理工程と、前記熱処理したインゴットをウエーハに加工するウエーハ加工工程と、前記ウエーハを熱処理する第2の熱処理工程を有することを特徴とするアニールウエーハの製造方法である(請求項1)。
このように、第1の熱処理工程でインゴット状態のシリコン単結晶に予め熱処理をおこなっておき、ウエーハ加工工程でインゴットをウエーハに加工してから、第2の熱処理工程でそのウエーハに熱処理を行うことにより、従来のようにウエーハに対して2段の熱処理を加える方法に比べて効率良く熱処理を行うことができる。また、ウエーハ状態での熱処理時間を短縮できるため、ウエーハへの金属汚染も低減できる。
この場合、前記第1の熱処理工程において、前記シリコン単結晶に内部微小欠陥(BMD)を形成することが好ましい(請求項2)。
このように、第1の熱処理においてインゴット状態のシリコン単結晶にBMDを形成することとすれば、従来のシリコンウエーハに対して熱処理を加えてBMDを形成する方法に比べて、効率良くBMDを形成することができる。
この場合、前記第1の熱処理工程は、700℃以上1100℃以下の熱処理温度で30分以上8時間以内の熱処理を行なうことが好ましい(請求項3)。
このような温度範囲で第1の熱処理工程を行うことにより、シリコン単結晶インゴットに転位やスリップを発生させることなく、十分なBMDを形成することができる。また、このような時間で第1の熱処理工程を行うことにより、良好なIG能力を付与することができる。
この場合、前記第1の熱処理工程は、昇温速度を0.5℃/min〜10℃/minとして昇温することが好ましい(請求項4)。
このような昇温速度で熱処理することによりインゴット中に安定したBMDを形成することができる。なお高密度にBMDを析出させるためには、BMD析出核が生成する温度帯領域、例えば500℃以上において5℃/min以下にゆっくり昇温することが好ましい。これより低い領域(500℃未満)では10℃/min程度と比較的高速に昇温して処理すれば良い。
この場合、前記第2の熱処理工程において、前記ウエーハ表面に無欠陥領域(DZ層)を形成することが好ましい(請求項5)。
このように、第2の熱処理工程において、ウエーハ表面にDZ層を形成することにより、ウエーハ表面近傍の結晶性に優れたDZウエーハを製造することができる。特に本発明では、第1の熱処理においてインゴット状態のシリコン単結晶に予め熱処理を行なってBMDを形成させてあるため、DZ層を形成する熱処理を簡略なシーケンスで短時間で行うことができる。
この場合、前記第2の熱処理工程は、900℃以上1300℃以下で、5分以上16時間以内の熱処理を行なうことが好ましい(請求項6)。
このような温度範囲と熱処理時間で第2の熱処理工程を行うことにより、ウエーハにスリップを発生させずに、十分な厚さのDZ層を形成することができる。
この場合、前記第2の熱処理工程は、昇温速度を5℃/min以上として昇温することが好ましい(請求項7)。
このように、本発明では第1の熱処理工程でインゴット状態のシリコン単結晶に予め熱処理をおこなっているため、ウエーハに対して行う第2の熱処理工程では、初めから昇温速度を従来方法より速くすることができ、熱処理時間を短縮することができる。そして、第1の熱処理工程を行なっているため、このような昇温速度でも十分なBMD密度とDZ層を有するアニールウエーハを得ることができる。
この場合、前記ウエーハ加工工程において、前記熱処理したインゴットを鏡面状のウエーハに加工することが好ましい(請求項8)。
このようにウエーハ加工工程において、第1の熱処理工程で熱処理したインゴットを鏡面状のウエーハに加工しておくことにより、DZ層を形成する第2の熱処理工程をした後に、DZ層の厚さが減少してしまう鏡面研磨をする必要がないため、第2の熱処理工程で得られた厚いDZ層をそのままデバイス作製領域に用いることができる。
この場合、前記シリコン単結晶は、窒素がドープされている結晶であることが好ましい(請求項9)。
このようにシリコン単結晶に窒素をドープしておくことにより、熱処理によりDZ層やBMDを形成しやすくすることができる。
この場合、前記シリコン単結晶は、チョクラルスキー法により製造された準完全結晶(NPC)領域の結晶であることが好ましい(請求項10)。
このような結晶であれば、アニールウエーハとした場合にDZ層の厚いより高品質のウエーハとすることができる。
この場合、前記インゴット状態のシリコン単結晶は、チョクラルスキー法による単結晶引上装置で引き上げられたままの形状のインゴット、又は引上げ後に円筒研削されブロック状に切断された状態のインゴットとすることができる(請求項11)。
本発明では、このようなインゴット状態のシリコン単結晶に第1の熱処理工程を行なうため、効率良くアニールウエーハを製造することができる。
なお、本発明でいう単結晶引上装置で引上げられたままの形状のインゴットとは、チョクラルスキー法により引上げられた直後の結晶の他、引上げられたインゴットからコーン部、テール部を切断したもの、あるいはそれらを数個のブロックに切断したものも含む。
以下、本発明について詳細に説明する。
発明者は、アニールウエーハの製造に際して、インゴットのまま熱処理しIG効果を上げるためのBMDを形成しておき、その後にウエーハ加工をし、さらにウエーハ状態での熱処理を行なうことによって、効率良く熱処理を行なうことができ、BMDが十分に形成され、かつDZ層も十分に形成されたアニールウエーハを製造することが可能であることを知見した。
つまり本発明のアニールウエーハの製造方法は、インゴット状態のシリコン単結晶に熱処理を行なう第1の熱処理工程と、熱処理したインゴットをウエーハに加工するウエーハ加工工程と、ウエーハを熱処理する第2の熱処理工程を有する事を特徴とする。特にインゴット状態のシリコン単結晶に熱処理を行なう第1の熱処理工程がBMDを形成する熱処理工程であり、ウエーハを熱処理する第2の熱処理工程はウエーハ表面に無欠陥領域(DZ層)を形成する熱処理工程であることを特徴とする。
従来インゴット状態のアニール(以下インゴットアニールということがある)は、化合物半導体、例えばGaAsにおいて主に行なわれている技術で、もっぱら電気特性を均一に改善する為に行なわれているものである(例えば特開平6−196430号公報、特開平6−31854号公報参照)。このようなインゴットアニールを、アニールウエーハの原料となるシリコン単結晶のインゴットに適応すれば良好なアニールウエーハが得られる事がわかった。特にインゴット状態で700℃以上の熱処理を施しBMDを形成しておくと好ましい。
すなわち、本発明は、従来ウエーハに加えられていたDZ層及びBMDを形成する為の2段の熱処理のうち、BMDを形成する熱処理をインゴット段階で行なっておき、最終的なウエーハ状態での熱処理では、BMDを形成する熱処理を省略または簡略化することによりウエーハに施す熱処理時間を短くするものである。つまり、BMDを形成する熱処理をインゴット状態で行なうことにより、従来方法のようにウエーハ熱処理ボートを用いる必要がないため、ウエーハ状態なら数バッチから十数バッチ分はかかる熱処理を一回の熱処理で行なうことができ、熱処理の効率を大幅に向上させることができる。そしてウエーハ状態での熱処理ではBMDを形成する熱処理を省略または簡略化することにより、熱処理時間を従来の約2分の1程度の時間に短縮でき、アニールウエーハの生産性を大幅に向上することができる。
具体的には、インゴット状態のシリコン単結晶に700℃以上の熱処理を行ない、その後ウエーハ加工を行なう。特にインゴット状態のシリコン単結晶に熱処理を行ないインゴット内部にBMDを形成する熱処理工程は、700℃以上1100℃以下の熱処理温度で30分以上8時間以内の熱処理を行なうと良い。また昇温速度も0.5℃/min〜10℃/minとして熱処理することで安定したBMDを形成する事ができる。
インゴットの状態で1100℃以下の温度で熱処理を行なうことによりインゴット全体に転位やスリップが発生することを防ぐことができる。また700℃以上の温度で熱処理をすることにより、十分なBMDを形成することができる。また第2の熱処理工程(ウエーハ状態でのアニール工程)で消滅しないようなBMDを形成することができる。
このような温度範囲で、インゴットを例えば30分以上8時間以内の定温保持または複数段の定温保持熱処理を行なうとBMDを形成することができ、良好なIG能力を付与させることができる。処理時間は特に限定するものではなく、この処理時間はもっと長くてもかまわないが、時間的メリット及び良好なIG能力を得るには上記範囲程度が適当である。このとき、昇温速度を0.5℃/min〜10℃/minとして昇温すると好ましい。
また、インゴットは、シリコン単結晶に窒素がドープされている結晶、又はNPC領域の結晶であることが好ましい。
特に窒素ドープしたシリコン単結晶を用い熱処理した場合、COP等の結晶起因の欠陥が消滅しやすく、かつ、結晶内部で酸素析出物が得られやすくなる。このようなシリコン単結晶を用いる事により、後工程において無欠陥領域が広くIG効果の高いウエーハが効果的に製造できるようになる。
また、NPC領域の結晶についても同様に無欠陥領域の広いウエーハとなり好ましい。NPC領域の結晶は、結晶引上げ条件を制御する事で、原子空孔過剰であるが結晶成長導入欠陥のない領域(Nv領域ということがある)と格子間シリコン原子過剰であるが結晶成長導入欠陥のない領域(Ni領域ということがある)で成長させた結晶である。
特に、NPC領域ではNvとNi領域で、酸素析出挙動が異なる事が知られている。このような異なる酸素析出挙動を示す場合、低温からゆっくり昇温してBMDを育成していけば、NvやNi領域に依存することなく面内で安定したBMDを析出させることができる。ウエーハ状態でこのような熱処理を行なうと生産性が著しく低下するため、現実的には実施することができなかった。しかしインゴット段階であれば、このようなゆっくりした熱処理を行なっても高い生産性を維持することができる。
なお、インゴット状態のシリコン単結晶とは単結晶引上装置で引き上げられたままの形状のインゴット又は引上げ後に円筒研削しブロック状に切断した状態のインゴットである。単結晶引上装置により引き上げたシリコン単結晶は、コーン及びテールといった部分が形成されているが、このようなインゴットの状態で(コーン部およびテール部を除去した状態、および複数ブロックに分割した状態を含む)、インゴットアニールすることができる。
またウエーハ加工前(スライス前)に、通常はインゴットを円筒研削してから複数のブロックに分けるが、このような円筒研削されたブロックの状態で熱処理しても良い。この場合は、ブロックの表層に円筒研削での金属汚染が発生するため、表層100〜500μm程度を酸エッチングにより除去してから、熱処理を行うことが好ましい。
DZ層を形成する為の、ウエーハ状態でのアニール(第2の熱処理工程)は、従来の2段の熱処理を簡略化したもので、主にDZ層を形成するための条件で熱処理を行なえば良い。具体的には、900℃以上1300℃以下で5分以上16時間以内で加熱保持して熱処理する。特に1100℃以上が好ましい。熱処理時間は要求されるDZ層の幅等により適宜設定すれば良い。
このようにインゴット状態で熱処理したシリコン単結晶をウエーハ加工し、さらにウエーハ状態で熱処理する事で、無欠陥領域が広く、またIG効果の高いアニールウエーハが効果的に製造できるようになる。
本発明によるアニールウエーハの製造方法によれば、初めにインゴットの状態でBMDを形成する熱処理を行なうため、BMDを形成する熱処理を効率良く行なうことができ、後に行なうDZ層を形成する熱処理で熱処理時間を大幅に短縮する事ができる。これにより、アニールウエーハ製造の生産性を向上させることができる。さらに、ウエーハ状態での熱処理時間を短縮できるため、ウエーハへの金属汚染も低減できる。
本発明のアニールウエーハの製造方法について図面を参照し説明する。図1は本発明のアニールウエーハの製造工程の概略を示すフロー図である。
(インゴットの育成)
先ず初めにCZ法により、酸素濃度(や窒素濃度)、抵抗率等を調節しシリコン単結晶インゴットを成長する。この引上げ方法は特に限定されるものではなく、従来から行なわれている方法を用いれば良い。特にCOP等の結晶起因の欠陥が少なくなるような条件でインゴットを引き上げると好ましい。
特にシリコン単結晶中に窒素をドープすることにより、DZ層、BMDを形成しやすいシリコン単結晶を成長させることができる。本発明において、窒素をドープしたシリコン単結晶インゴットを育成するには、チョクラルスキー法でシリコン単結晶を育成する場合に、あらかじめ石英ルツボ内に窒化物を入れておくか、シリコン融液中に窒化物を投入するか、雰囲気ガスを窒素を含む雰囲気等とすることによって、シリコン単結晶中に窒素をドープすることができる。この際、窒化物の量あるいは窒素ガスの濃度あるいは導入時間等を調整することによって、結晶中の窒素ドープ量を制御することが出来る。
また、準完全結晶(NPC)領域のシリコン単結晶を用いることにより、DZ層の厚いアニールウエーハを製造することができる。この準完全結晶領域のシリコン単結晶を製造するには、例えば、チョクラルスキー法により単結晶を成長させるときの引上速度Vと、固液界面近傍の引上軸方向の結晶温度勾配Gとの比であるV/Gを制御しつつ結晶引上を行なうことにより、結晶横断面全面で、準完全結晶(NPC)領域のシリコン単結晶を引上げることができる。
(インゴットアニール:第1の熱処理工程)
次にこのように育成されたインゴットをインゴットの形態で熱処理する。つまりウエーハ形状に加工するスライス工程前(ウエーハ加工工程前)に熱処理を行なう。特にBMDが形成される条件で熱処理する。この時、インゴットアニールは、インゴット引上げ装置で引き上げられたままの形状のインゴット又は引上げ後に円筒研削しブロック状に切断した状態で行なう。つまりインゴット外周部を円筒研削する前又は後どちらでも実施する事ができる。本例では、引き上げられたままの形状ではなく円筒研削してブロック状態にしたインゴットをインゴットアニールする例を示す。
インゴットの育成工程で引き上げられたインゴットの側面を円筒研削し、その後、図3に示すようにインゴット1のコーン部2及びテール部3を切断し、さらに複数のブロック4に切断する事でインゴットブロックを得る。
その後、このブロック状のインゴットの状態のまま熱処理を行なう。なお、このような円筒研削・ブロック加工を行なった場合、熱処理により汚染や割れが生じる可能性があるため、先ず初めにインゴット表面全体をエッチング液により、数百μmエッチングしてインゴット表面を汚染している金属不純物等を除去する。このエッチング液は例えば、HF/HNOからなる酸性のエッチング液などが用いられる。
その後、ブロックの状態のまま、熱処理炉に入れ熱処理する。熱処理装置は特に限定するものではないが、このような形態のインゴットブロックを塊のまま熱処理できる例えば、図2のようなものが好ましい。図2の熱処理炉10は、インゴットブロック4を縦置きにして熱処理できる装置であるが、インゴットブロック4を熱処理炉10の下方から石英やSiCからなるチャンバ11内に投入し、その外側に配置されたヒータ12等の熱処理手段により熱処理する形態のものであり、いわゆる縦型の熱処理炉である。このような熱処理炉を用いBMDが形成される熱処理条件で熱処理を行なう。このようなシリコン単結晶をブロック状にした熱処理では、熱処理炉も小型化でき好ましい。
このようにインゴットのまま熱処理することで、ウエーハ用の熱処理ボートが不要になるため、一度に大量のシリコン単結晶を熱処理でき、ウエーハ状態で熱処理した場合に換算すると、きわめて多くのウエーハを熱処理できることになる。
第1の熱処理工程の具体的な熱処理条件は、要求される仕様により適宜設定すれば良いが、特に酸素雰囲気中、700℃〜1100℃の熱処理を30分から8時間程度行なえば、目的とするBMDが十分に生成される。実際には室温から500℃付近までは昇温速度10℃/分程度の高速で昇温し、その後昇温速度を遅くして、設定温度までは0.5℃/分〜5℃/分程度で昇温する。このような方法で設定温度(例えば1000℃)まで徐々に昇温させ、この設定温度で任意の時間(例えば1時間)保持する。その後、600℃までは5℃/分程度の降温速度で冷却し、その後2℃/分程度で室温まで落とし熱処理を終了する。こうすることで、後にウエーハ状態でDZ層を形成する1000℃程度の熱処理を行なっても消失しないBMDがインゴット中に高密度に形成される。
(ウエーハ加工工程)
次にこのようにインゴットアニールしたインゴットをウエーハ加工する。ウエーハ加工では、少なくとも高平坦度なウエーハが得られればその工程は特に限定するものではない。この実施の形態では図6に示すように単結晶シリコンインゴットをスライスして薄板(ウエーハ)を作製した後(図6(A))、このシリコンウエーハに対して面取り(図6(B))、平坦化(ラッピング)(図6(C))、エッチング(図6(D))、研磨(図6(E))等の各工程を順次実施し、最終的に鏡面研磨ウエーハを得る。各工程の条件は特に限定するものではないがスライス工程(図6(A))ではワイヤーソーを用いた切断、平坦化工程(図6(C))ではラッピング(工程)または平面研削(工程)などにより行なう。例えばラッピング工程であれば#1500以上の遊離砥粒を用いたラッピングを行なう。次にエッチング工程(図6(D))ではアルカリ溶液を用いたエッチング、研磨工程(図6(E))では両面研磨、片面研磨を組み合わせた複数段の研磨で実施すると良い。また面取り工程(図6(B))についても平坦化前の粗面取りや面取り部の鏡面化(鏡面面取り)等を実施している。この他に研磨後や各工程間に洗浄工程が入っても良い。
このように、インゴットアニールを行なった後、ウエーハ加工することでIG能力の高いウエーハが容易に製造できる。なお、鏡面研磨等のウエーハ表面の状態を改善する工程は、後述する第2の熱処理工程の後に行なうこともできる。
(ウエーハアニール:第2の熱処理工程)
このような鏡面研磨ウエーハを熱処理する。ウエーハのアニールは従来の装置などをそのまま利用できる。例えば図4に示すような縦型熱処理炉20を用いることができる。この熱処理炉20は、チャンバ21の周りに配置されたヒータ22でチャンバ21内を加熱するもので、熱処理時にはガス導入管23からアルゴン等の不活性ガスを導入し、ガス排気管24から不要なガスを排気するようにされている。被熱処理物である複数枚のウエーハWは、熱処理ボート30にセットされ、チャンバ21内に配置される。熱処理ボート30は、例えば図5に示すようなものが用いられる。この熱処理ボート30は、複数の支柱32と、支柱32の両端でそれらを連結する連結部31から成る。支柱32には、ウエーハWをセットできるように、溝状のウエーハ載置部33が設けられており、ウエーハWを保持できるようにされている。
本発明では、第1の熱処理工程でインゴットアニールを行なうため、従来の熱処理条件より簡便なシーケンスで熱処理を実施することができる。このため時間が短縮され生産性の良いアニールウエーハの製造を行う事ができる。
第2の熱処理工程の熱処理条件は、ウエーハ表面に無欠陥領域(DZ層)を形成する事を主な目的とし、好ましくは、900℃以上1300℃以下で、5分以上16時間以内の熱処理を行ない、DZ層を成長させる。900℃以上であればDZ層の形成が短時間で済み、さらに十分なDZ幅を得ることができる。また1300℃以下とすれば、ウエーハの変形等によるスリップの発生が生じにくい。また熱処理時間は、要求されるDZ層の幅により適宜設定すれば良い。長時間に設定するほどDZ幅は広くなりやすい。
特に低温熱処理の後に高温熱処理を連続して行なうような従来のDZ−IG熱処理では、BMDを形成し、かつ消滅させないようにするためにウエーハアニール時に昇温をゆっくりする必要があったが、本発明のようにインゴットの状態で予め熱処理しておけば、このウエーハアニール段階での昇温は速く実施することができ、例えば5℃/分以上の昇温速度で処理してもBMD密度が十分なアニールウエーハを得る事ができる。
このようなウエーハ製造工程とする事で、インゴットアニールでの熱処理を効率良く行なうことができることに加えて、ウエーハアニールでの昇温時間を著しく短くする事ができ、ウエーハアニール時間を短縮できる。
さらにウエーハアニール時間が短くなれば、金属汚染等も低減でき、良好なアニールウエーハが得られる。
(実施例)
(インゴットの育成)
CZ法により、酸素濃度13〜15×1017atoms/cm3[oldASTM]、窒素濃度5〜9×1012atoms/cmのシリコン単結晶インゴットを成長した。このインゴットは円筒研削し複数のブロックに切断する事で、直径約300mm、長さ約30cmのインゴットを得た。
(インゴットアニール:第1の熱処理工程)
上記インゴットを、インゴットの状態のまま第1の熱処理工程を行なった。先ず初めにインゴット表面全体をHF/HNOからなる酸エッチング液により約200μmエッチングして表面を汚染している金属不純物を除去した。
その後、インゴットの状態のまま、図2に示す熱処理炉に入れ熱処理した。
熱処理は、室温から昇温速度10℃/分で500℃まで、その後昇温速度1℃/分で1000℃まで昇温し、1000℃で2時間保持した。その後、600℃まで5℃/分程度の降温速度で冷却し、その後2℃/分程度で室温まで落とした。この熱処理時の雰囲気は酸素ガスを用いた。
これにより、ウエーハに換算すると後述するウエーハ熱処理ボート4バッチ分の熱処理が、1回の熱処理で実施することができた。
(ウエーハ加工工程)
ウエーハ加工工程では、図6に示す工程で処理した。スライス工程(図6(A))ではワイヤーソーを用いて切断し、面取り工程後(図6(B))、平坦化工程(図6(C))では#1500の遊離砥粒を用いてラッピングし、エッチング工程(図6(D))では濃度50%NaOHを用いたアルカリ溶液によりエッチングした。その後研磨工程(図6(E))では両面研磨、片面研磨、片面研磨の3段の研磨を行ない、高平坦度で鏡面化されたウエーハを得た。その後洗浄を行なった。上記30cmのインゴットから約300枚の直径300mmのシリコンウエーハが得られた。
(ウエーハアニール:第2の熱処理工程)
1バッチ75枚で熱処理した。
熱処理装置は図4に示す縦型の熱処理炉を用い、図5に示す熱処理ボートに上記ウエーハを移載し熱処理した。
熱処理はアルゴン雰囲気中、700℃に保持された炉内にウエーハがセットされた熱処理ボートを移載し1000℃まで5℃/分の比較的速い速度で昇温した。1000℃後は2℃/分で昇温し、1200℃1時間の熱処理を行なった。その後、1000℃まで2℃/分で降温し、1000℃以下は4℃/分で降温し700℃で炉内から熱処理ボート(ウエーハ)を取り出した。
ウエーハアニールに要した時間は約6.5時間であった。
このようにして得られたアニールウエーハについて、ウエーハ3枚を抜き取り、DZ層およびBMD密度を確認した。その結果、DZ幅は平均10.4μm、BMD密度は平均5×10個/cmレベルであった。
またこれらのウエーハに対しスリップ転位の発生状況をX線トモグラフィー(XRT)により確認した。スリップ転位の発生は観察されなかった。
またウエーハ表面の重金属レベルを熱処理後のウエーハ3枚に対して行なった。重金属レベルはFe:1×10atoms/cm、Cu:9×10atoms/cm、Ni:8×10atoms/cm程度と低いレベルの金属汚染であり、ウエーハ状態での熱処理時間を短縮化することによって、ウエーハ表面の金属汚染レベルを低く保つことができた。
(比較例)
従来のウエーハ状態にしてから、熱処理によりDZ層およびBMDを形成するアニールウエーハの製造方法を行った。
ウエーハは実施例1と同様なウエーハ加工工程を経た直径300mmのウエーハである。酸素濃度や窒素濃度も実施例と同様である。
ウエーハアニールは、アルゴン雰囲気中、500℃に保持された炉内にウエーハがセットされた熱処理ボートを移載し1000℃まで1℃/分の大変遅い昇温速度で熱処理し、BMDが十分形成されるようにした。その後、2℃/分で昇温し、DZ層を形成するための1200℃1時間の熱処理を行なった。その後、1000℃まで2℃/分で降温し、1000℃以下は4℃/分で降温し700℃で炉内から熱処理ボート(ウエーハ)を取り出した。
ウエーハを熱処理する時間は全体で14時間かかった。
このようにして得られたアニールウエーハについて、DZ層およびBMD密度を確認した。その結果、DZ幅9.5μm、BMD密度平均2×10個/cmレベルであった。このような条件で、実施例とほぼ同程度のウエーハ品質を得られるが、ウエーハの熱処理時間は非常にかかってしまい生産性が悪い。またウエーハ表面の重金属レベルもFe:5×10atoms/cm、Cu:1×1010atoms/cm、Ni:1×10atoms/cm程度と実施例に比べ悪かった。
本発明では、インゴットアニールで、効率良くBMDを形成する熱処理が行なえることに加えて、ウエーハアニールの時間を大変短くする事ができ、上記のような条件で実施する事でウエーハ熱処理時間を従来の14時間から6.5時間に短縮する事ができた。これにより生産性を大幅に向上することができた。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
例えば、上記実施の形態では、インゴットを複数のブロックに分割し、ブロックの状態でインゴットアニールをしているが、このような切断を行なわない、引き上げた状態のインゴットのまま処理しても良い。このようにすれば、さらに多くのウエーハを取ることができるインゴットを一度に処理できる。
本発明のアニールウエーハの製造工程の概略を示したフロー図である。 本発明における第1の熱処理工程で用いられる熱処理炉の一例を示した説明図である。 引上げ後にブロック状に切断された状態のシリコン単結晶のインゴットを示した図である。 ウエーハの熱処理で用いられる縦型熱処理装置の一例を示した説明図である。 ウエーハの熱処理で用いられる熱処理ボートの一例を示した説明図である。 本発明におけるウエーハ加工工程の一例を示したフロー図である。
符号の説明
1…インゴット、 2…コーン部、 3…テール部、 4…ブロック、
10…熱処理炉、 11…チャンバ、 12…ヒータ、
20…熱処理炉、 21…チャンバ、 22…ヒータ、 23…ガス導入管、 24…ガス排気管、
30…熱処理ボート、 31…連結部、 32…支柱、 33…ウエーハ載置部、
W…ウエーハ。

Claims (11)

  1. アニールウエーハの製造方法であって、少なくとも、インゴット状態のシリコン単結晶に熱処理を行なう第1の熱処理工程と、前記熱処理したインゴットをウエーハに加工するウエーハ加工工程と、前記ウエーハを熱処理する第2の熱処理工程を有することを特徴とするアニールウエーハの製造方法。
  2. 前記第1の熱処理工程において、前記シリコン単結晶に内部微小欠陥(BMD)を形成することを特徴とする請求項1に記載のアニールウエーハの製造方法。
  3. 前記第1の熱処理工程は、700℃以上1100℃以下の熱処理温度で30分以上8時間以内の熱処理を行なうことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のアニールウエーハの製造方法。
  4. 前記第1の熱処理工程は、昇温速度を0.5℃/min〜10℃/minとして昇温することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のアニールウエーハの製造方法。
  5. 前記第2の熱処理工程において、前記ウエーハ表面に無欠陥領域(DZ層)を形成することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のアニールウエーハの製造方法。
  6. 前記第2の熱処理工程は、900℃以上1300℃以下で、5分以上16時間以内の熱処理を行なうことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のアニールウエーハの製造方法。
  7. 前記第2の熱処理工程は、昇温速度を5℃/min以上として昇温することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のアニールウエーハの製造方法。
  8. 前記ウエーハ加工工程において、前記熱処理したインゴットを鏡面状のウエーハに加工することを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載のアニールウエーハの製造方法。
  9. 前記シリコン単結晶は、窒素がドープされている結晶であることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載のアニールウエーハの製造方法。
  10. 前記シリコン単結晶は、チョクラルスキー法により製造された準完全結晶(NPC)領域の結晶であることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載のアニールウエーハの製造方法。
  11. 前記インゴット状態のシリコン単結晶は、チョクラルスキー法による単結晶引上装置で引き上げられたままの形状のインゴット、又は引上げ後に円筒研削されブロック状に切断された状態のインゴットであることを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載のアニールウエーハの製造方法。
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