JP2007189137A - イオンドーピング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ゲート絶縁膜の膜厚のばらつきに起因するイオンの注入ばらつきを抑制する。
【解決手段】処理室20と、処理室20内に設けられ、イオンを生成するためのイオン源10と、処理室20内に互いに対向して配置され、イオン源10で生成されたイオンを加速する加速電圧を印加してイオンビームを生成するための一対の加速電極15b及び15cと、処理室20内に設けられ、ポリシリコン膜Sが形成された被処理基板22aを保持すると共に、その保持された被処理基板22aに対し一対の加速電極15b及び15cで生成されたイオンビーム24を照射させるための基板保持部21とを備えたイオンドーピング装置30であって、各加速電極15b及び15cは、互いに平行に延び個別に制御可能な分割電極部A、B及びCに分割され、基板保持部21は、各分割電極部A、B及びCの延びる方向と直交する方向に移動可能に設けられている。
【選択図】図1
【解決手段】処理室20と、処理室20内に設けられ、イオンを生成するためのイオン源10と、処理室20内に互いに対向して配置され、イオン源10で生成されたイオンを加速する加速電圧を印加してイオンビームを生成するための一対の加速電極15b及び15cと、処理室20内に設けられ、ポリシリコン膜Sが形成された被処理基板22aを保持すると共に、その保持された被処理基板22aに対し一対の加速電極15b及び15cで生成されたイオンビーム24を照射させるための基板保持部21とを備えたイオンドーピング装置30であって、各加速電極15b及び15cは、互いに平行に延び個別に制御可能な分割電極部A、B及びCに分割され、基板保持部21は、各分割電極部A、B及びCの延びる方向と直交する方向に移動可能に設けられている。
【選択図】図1
Description
本発明は、イオンドーピング装置に関し、特に、低温ポリシリコンTFTを備えた液晶パネルなどの製造に用いられるイオンドーピング装置に関するものである。
ポリシリコンは、アモルファスシリコンよりも高い電子移動度を有する半導体膜であるので、近年、ポリシリコンを低温で形成させた低温ポリシリコンTFT(Thin Film Transistor)が広く用いられている。
上記低温ポリシリコンTFTは、イオンドーピング装置を用いて、低温で形成させたポリシリコン膜に不純物としてリンイオンやボロンイオンなどを注入することにより、例えば、チャネル領域、ソース領域、ドレイン領域及びLDD(Lightly Doped Drain)領域を形成するなどして作製される。
例えば、特許文献1には、真空容器でイオン源から線状イオンビームを束ねたイオンシャワーを基板に照射するイオンシャワードーピング装置において、真空容器内に、基板を保持すると共にイオンシャワーの照射方向に対して直交する平面上を揺動させる保持揺動手段を設けたものが開示されている。そして、これによれば、基板に照射されるイオンの注入分布を均一にできる、と記載されている。
特開平8−227685号公報
ところで、ポリシリコン膜に不純物を注入する際には、ポリシリコン膜の上層に設けられたゲート絶縁膜を介して行うことが多いので、そのゲート絶縁膜の膜厚のばらつきに起因してポリシリコン膜に不純物が均一に注入されないことがある。
例えば、トップゲート型のTFTでは、上記ポリシリコン膜及びゲート絶縁膜の積層膜の上層にゲート電極が形成されるので、ゲート電極を構成する金属膜をレジストを介してエッチングすると、その形成されたゲート電極の周囲においてゲート絶縁膜の上層部が部分的にエッチングされてしまう。そのため、ゲート電極を形成した後のゲート絶縁膜の膜厚は、例えば、レジストの形状に沿ってばらつくおそれがある。
また、近年の液晶パネルの大型化によって、液晶パネルを構成する基板が益々大きくなっているので、基板内におけるゲート絶縁膜の膜厚のばらつきが、上記のようなエッチングする際のばらつき、及びCVD(Chemical Vapor Deposition)法などでゲート絶縁膜を成膜する際の成膜厚さのばらつきなどで大きくなるおそれがある。
さらに、従来のイオンドーピング装置では、基板においてイオンが注入される深さが一定であるので、上記のように、基板面内において、ゲート絶縁膜の膜厚がばらつくことによって、ゲート絶縁膜の表面からポリシリコン膜の表面までの距離に差が生じると、ポリシリコン膜に注入されるイオンの量が基板面内においてばらついてしまうおそれがある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ゲート絶縁膜の膜厚のばらつきに起因するイオンの注入ばらつきを抑制することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、イオンを加速する加速電圧を印加するための各加速電極が個別に制御可能な複数の分割電極部に分割されているようにしたものである。
具体的に本発明に係るイオンドーピング装置は、処理室と、上記処理室の内部に設けられ、イオンを生成するためのイオン源と、上記処理室の内部に互いに対向して配置され、上記イオン源で生成されたイオンを加速する加速電圧を印加してイオンビームを生成するための一対の加速電極と、上記処理室の内部に設けられ、半導体膜が形成された被処理基板を保持すると共に、該保持された被処理基板に対し上記一対の加速電極で生成されたイオンビームを照射させるための基板保持部とを備えたイオンドーピング装置であって、上記各加速電極は、個別に制御可能な複数の分割電極部に分割されていることを特徴とする。
上記構成によれば、イオン源で生成されたイオンを加速してイオンビームを生成するための一対の加速電極のそれぞれが個別に制御可能な複数の分割電極部に分割されているので、各分割電極部毎に加速電圧の異なるイオンビームを基板保持部に保持された被処理基板の半導体膜に対し照射することが可能になる。そのため、基板面内において、一定の大きさの加速電圧ではなく、異なった大きさの加速電圧、すなわち、大きさに分布のある加速電圧を有するイオンビームが半導体膜に対し照射される。ここで、被処理基板においてイオンが注入される深さは、一般的にイオンビームの加速電圧の大きさに比例するので、例えば、半導体膜の上層に設けられたゲート絶縁膜の膜厚にばらつきがあったとしても、大きさに分布のある加速電圧を有するイオンビームが被処理基板に照射されることにより、被処理基板において所定の深さに注入されるイオンの個数を揃えることが可能になり、基板面内におけるイオンの注入ばらつきが抑制される。したがって、ゲート絶縁膜の膜厚のばらつきに起因するイオンの注入ばらつきが抑制される。
上記各分割電極部は、互いに平行に延びるように配列され、上記基板保持部は、上記各分割電極部の延びる方向と交差する方向に移動可能に設けられていてもよい。
上記の構成によれば、一対の加速電極を構成する各分割電極部が互いに平行に延びているので、一対の加速電極によって生成されるイオンビームを、各分割電極部毎に加速電圧が異なると共に互いに平行に延びる複数のイオンビームにすることが可能になる。そして、基板保持部は、各分割電極部の延びる方向と交差する方向に移動可能に設けられているので、複数のイオンビームが基板保持部に保持された被処理基板に対し各イオンビームの延びる方向と交差する方向に走査される。そのため、基板保持部に保持された被処理基板上の半導体膜には、各分割電極部毎に加速電圧の異なるイオンビームが順次照射されるので、各イオンビームの加速電圧による注入深さと注入されるイオン個数との関係(プロファイル)が合成されたブロードなプロファイルを有するイオンビームが照射されることになる。ここで、被処理基板においてイオンが注入される深さは、一般的にイオンビームの加速電圧の大きさに比例するので、例えば、被処理基板上の半導体膜の上層に設けられたゲート絶縁膜の膜厚がばらついたとしても、ブロードなプロファイルを有するイオンビームが照射されることにより、被処理基板において所定の深さに注入されるイオンの個数を揃えることが可能になって、基板面内におけるイオンの注入ばらつきが抑制される。
上記各分割電極部は、互いに平行に延びるように配列され、上記基板保持部は、上記各分割電極部の延びる方向に沿って移動可能に設けられていてもよい。
上記構成によれば、一対の加速電極を構成する各分割電極部が互いに平行に延びているので、一対の加速電極によって生成されるイオンビームが、各分割電極部毎に加速電圧が別々に設定されると共に互いに平行に延びる複数のイオンビームになる。そして、基板保持部は、各分割電極部の延びる方向に沿って移動可能に設けられているので、複数のイオンビームが基板保持部に保持された被処理基板に対し各イオンビームの延びる方向に沿って走査される。そのため、基板保持部に保持された被処理基板上の半導体膜には、各分割電極部毎に加速電圧が別々に設定されたイオンビームが並列に照射される。ここで、被処理基板においてイオンが注入される深さは、一般的にイオンビームの加速電圧の大きさに比例するので、例えば、被処理基板上の半導体膜の上層に設けられたゲート絶縁膜の膜厚が、各分割電極部の配置に対応して、各分割電極部の延びる方向に沿ってばらつきが小さく、各分割電極部の延びる方向と交差する方向に沿ってばらつきが大きい場合には、各分割電極部毎に生成されたイオンビームが並列に照射されることにより、被処理基板において所定の深さに注入されるイオンの個数を揃えることが可能になって、基板面内におけるイオンの注入ばらつきが抑制される。
上記一対の加速電極の上記イオン源側には、該各加速電極に対向して配置され、上記イオン源で生成されたイオンを引き出すための引出電極が設けられ、上記引出電極は、個別に制御可能な複数の分割電極部に分割されていてもよい。
上記構成によれば、複数の分割電極部に分割された引出電極が一対の加速電極のイオン源側に設けられているので、イオン源で生成したイオンを直線性よく引き出すことが可能になると共に、ゲート絶縁膜の膜厚のばらつきに起因するイオンの注入ばらつきが抑制される。
上記一対の加速電極の上記基板保持部側には、該各加速電極に対向して配置され、上記基板保持部に保持された被処理基板からの電子の流入を抑制するための抑制電極が設けられ、上記抑制電極は、個別に制御可能な複数の分割電極部に分割されていてもよい。
上記構成によれば、複数の分割電極部に分割された抑制電極が一対の加速電極の基板保持部側に設けられているので、被処理基板からのイオン源に向かう電子の流入が抑制されると共に、ゲート絶縁膜の膜厚のばらつきに起因するイオンの注入ばらつきが抑制される。
本発明によれば、イオンを加速する加速電圧を印加するための各加速電極が個別に制御可能な複数の分割電極部に分割されているので、各分割電極部毎に加速電圧の異なるイオンビームを照射することができ、ゲート絶縁膜の膜厚のばらつきに起因するイオンの注入ばらつきを抑制することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
《発明の実施形態1》
図1〜図5は、本発明に係るイオンドーピング装置の実施形態1を示している。ここで、図1は、本実施形態に係るイオンドーピング装置30を側方からみた模式図である。そして、図2は、イオンドーピング装置30を上方からみた部分模式図である。
図1〜図5は、本発明に係るイオンドーピング装置の実施形態1を示している。ここで、図1は、本実施形態に係るイオンドーピング装置30を側方からみた模式図である。そして、図2は、イオンドーピング装置30を上方からみた部分模式図である。
イオンドーピング装置30は、図1に示すように、処理室20と、処理室20の内部上側に設けられイオンを生成するためのイオン源10と、処理室20の内部にイオン源10の下側に設けられイオンビーム24(24A、24B及び24C)を生成するための加速部15と、処理室20の内部に加速部15の下側に設けられ被処理基板22aを保持するための基板保持部21と、処理室20の内部に基板保持部21の下側に設けられイオンビーム24による電流を測定するための計測部23と、処理室20の外部下側に設けられ処理室20内の気体を排気する排気部25とを備えている。
基板保持部21及び計測部23が配置する処理室20の下側部分は、基板保持部21が図1中の左右方向に平行移動できるように、イオン源10及び加速部15が配置する処理室20の上側部分よりも大きく形成されている。
イオン源10は、図1に示すように、プラズマ室9と、プラズマ室9の上側に設けられプラズマ室9内にガスを導入するための2つのガス導入口2と、プラズマ室9の天井部に設けられ電子を放出させるための3つのフィラメント1と、プラズマ室9の外部に4段で環状に設けられプラズマ密度を増加させると共にプラズマの均一性を向上させるための環状磁石5と、プラズマ室9の内側壁に設けられた一対のアーク電極4とを備えている。なお、上記ガス導入口2、フィラメント1、環状磁石5及びアーク電極4などの個数及び位置は、一例であり、必要とされる各イオンビーム24A、24B及び24Cの形状及び大きさに応じて、適宜変更される。
各フィラメント1には、フィラメント電源3がそれぞれ接続されている。
各フィラメント1とアーク電極4との間には、アーク電源6及び電流計7が設けられている。
加速部15では、図1に示すように、上側から順に、引出電極15a、第1加速電極15b、第2加速電極15c及び抑制電極15dが、互いに対向して配置するように設けられている。
引出電極15a、第1加速電極15b、第2加速電極15c及び抑制電極15dは、第1分割電極部A、第2分割電極部B及び第3分割電極部Cにそれぞれ分割されている。そして、各第1分割電極部A、第2分割電極部B及び第3分割電極部Cは、絶縁板17によって絶縁されていると共に、それぞれ異なる大きさの電圧が印加されるように、個別に制御可能になっている。
また、引出電極15a、第1加速電極15b、第2加速電極15c及び抑制電極15dには、図2に示すように、イオン源10で生成させたイオンを引き出すための多数の貫通孔19がそれぞれ設けられている。なお、図2では、加速部15の一番上側に配置する引出電極15aにおける第1分割電極部15aA、第2分割電極部15aB及び第3分割電極部15aCのみを図示しているが、第1加速電極15b、第2加速電極15c及び抑制電極15dも図示された引出電極15aと同様な構成になっている。
基板保持部21は、図2に示すように、被処理基板22aを保持した状態で、各分割電極部A、B及びCの延びる方向と交差する方向、具体的には各分割電極部A、B及びCの延びる方向と直交する方向に移動できるように構成されている。
計測部23は、ファラデーカップなどにより構成され、イオンビーム24の電流あるいは電流密度を検知するようになっている。
排気部25は、真空ポンプなどにより構成され、処理室20の内部の圧力を適切に維持できるようになっている。
そして、イオンドーピング装置30は、マイコンなどの制御部を備え、その制御部によって、フィラメント電源3の出力電圧やフィラメント1を流れる電流を制御し、また、電流計7で検知した電流値に基づいてアーク電源6の出力電圧を制御し、さらに、計測部25で検知した電流値に基づいて加速電源18の出力電圧を制御するように構成されている。
次に、上記構成のイオンドーピング装置30の動作について説明する。
イオン源10では、フィラメント電源3を用いてフィラメント1に所定の電圧を印加することにより、各フィラメント1に電流が流れる。そして、アーク電源6を用いて各フィラメント1とアーク電極4との間に所定の電圧を印加することにより、フィラメント1によって加熱された電子がフィラメント1からプラズマ室9内へ放出されると共に、アーク電極4に到達してアーク放電が生じる。このとき、ガス導入口2からイオンドーピングすべき元素を含む気体がプラズマ室9内に導入されることにより、フィラメント1から放出された電子が上記イオンドーピングすべき元素を含む気体に衝突して、気体分子が分解すると共にドーピングすべき元素を含むイオン(プラズマ)が生成することになる。
加速部15では、まず、引出電極15aと第1加速電極15bとの間に、例えば、1kV〜2kVの電圧を印加することにより、イオン源10で生成されたイオンをイオン源12から引き出すと共に、その引き出されたイオンを方向づけてイオンの直線性を向上させる。次いで、第1加速電極15bと第2加速電極15cとの間に、例えば、10kV〜100kVの電圧を印加することにより、引出電極15aと第1加速電極15bとの間で直線性が向上されたイオンを加速させる。さらに、第2加速電極15cと抑制電極15dとの間に、接地電極に対して負電圧の電圧で、例えば、1kV程度の電圧を印加することにより、被処理基板22aからの電子がイオン源10に戻ることを抑制しながら、各分割電極部A、B及びC毎に加速電圧(EA、EB及びEC)がそれぞれ設定されたイオンビーム24(24A、24B及び24C)が生成される。
基板保持部21では、被処理基板22aが各分割電極部A、B及びCの延びる方向と直交する方向に平行移動されることにより、被処理基板22aに対し、加速部15の分割電極部Aで生成されたイオンビーム24A、加速部15の分割電極部Bで生成されたイオンビーム24B、及び加速部15の分割電極部Cで生成されたイオンビーム24Cが順次走査される。
次に、上記構成のイオンドーピング装置30を用いたイオンドーピング方法について説明する。
まず、イオンドーピングの対象である被処理基板22aは、図3に示すように、ガラス基板Gと、そのガラス基板Gの表面に形成されたポリシリコン膜Sと、そのポリシリコン膜Sの表面に形成されたゲート絶縁膜GIとを備えている。なお、図3は、被処理基板22aの断面模式図であり、図4は、被処理基板22aを上方からみた上面模式図である。
ポリシリコン膜Sの膜厚は、例えば、45nmであり、ゲート絶縁膜GIの膜厚は、例えば、60nmである。
ここで、本実施形態の被処理基板22aにおけるゲート絶縁膜GIでは、図4に示すように、平均膜厚が70nm程度である領域GIaと、平均膜厚が60nm程度である領域GIbと、平均膜厚が50nm程度である領域GIcとがランダムに配置されている。
また、イオンドーピングすべき元素を含む気体としては、例えば、N型ドーパントとなるリンを不純物イオンとして注入する気体としてホスフィン(PH3)、及びP型ドーパントとなるボロンを不純物イオンとして注入する気体としてジボラン(B2H6)が用いられる。
以下に、図3及び図4に示すような被処理基板22aに対し、リンイオンをドーピングする方法について説明する。
まず、基板保持部21に被処理基板22aをセットする。
続いて、イオン源10を動作させてイオンを生成させると共に、例えば、下記の表1における例1に示すように、第1加速電極15bの第1分割電極部Aと第2加速電極15cの第1分割電極部Aとの間に30kVの電圧を、第1加速電極15bの第2分割電極部Bと第2加速電極15cの第2分割電極部Bとの間に40kVの電圧を、第1加速電極15bの第3分割電極部Cと第2加速電極15cの第3分割電極部Cとの間に50kVの電圧をそれぞれ印加することにより、加速部15を動作させてイオンビーム24(24A、24B及び24C)を生成させる。
なお、表1において、例1及び例2は、リンイオンをドーピングする際の条件であり、、例3及び例4は、ボロンイオンをドーピングする際の条件である。また、例1及び例3は、高濃度で各イオンをドーピングする際の条件であり、例2及び例4は、低濃度で各イオンをドーピングする際の条件である。
さらに、イオン源10及び加速部15によって、イオンビーム24を照射させながら、基板保持部21を図1及び図2の左側から右側に移動させて、基板保持部21上の被処理基板22aにイオンビーム24A、24B及び24Cを順次照射させる。
このとき、被処理基板22a上のポリシリコン膜Sには、各分割電極部A、B及びC毎に加速電圧の異なるイオンビーム24A、24B及び24Cが順次照射されるので、図5に示すように、各イオンビーム24A、24B及び24Cの加速電圧による注入深さと注入されるイオン個数との関係(プロファイルPA、プロファイルPB及びプロファイルPC)が合成されたブロードなプロファイルPTを有するイオンビーム24が照射されることになる。そのため、被処理基板22aにおいて所定の深さに注入されるイオンの個数を揃えることができ、基板面内におけるイオンの注入ばらつきが抑制することができる。これに対して、イオンビームを生成するための各加速電極が分割されていない従来のイオンドーピング装置では、各加速電極において1つの加速電圧しか設定できないので、ゲート絶縁膜の膜厚にばらつきがある被処理基板に対し所定の深さに注入されるイオンの個数を揃えることが困難である。
以上説明したように、本実施形態のイオンドーピング装置30によれば、一対の加速電極15b及び15cを構成する各分割電極部A、B及びCが互いに平行に延びているので、一対の加速電極15b及び15cによって生成されるイオンビーム24を、各分割電極部A、B及びC毎に加速電圧が異なると共に互いに平行に延びる複数のイオンビーム24A、24B及び24Cにすることができる。そして、基板保持部21は、各分割電極部A、B及びCの延びる方向と直交する方向に移動可能に設けられているので、複数のイオンビーム24A、24B及び24Cが基板保持部21に保持された被処理基板22aに対し各イオンビーム24A、24B及び24Cの延びる方向と直交する方向に走査されることになる。そのため、基板保持部21に保持された被処理基板22a上のポリシリコン膜Sには、各分割電極部A、B及びC毎に加速電圧の異なるイオンビーム24A、24B及び24Cが順次照射されるので、各イオンビーム24A、24B及び24Cの加速電圧による注入深さと注入されるイオン個数との関係(図5のプロファイルPA、プロファイルPB及びプロファイルPC)が合成されたブロードなプロファイルPTを有するイオンビーム24が照射されることになる。ここで、被処理基板においてイオンが注入される深さは、一般的にイオンビームの加速電圧の大きさに比例するので、例えば、図3及び図4に示すように、被処理基板22a上のポリシリコン膜Sの上層に設けられたゲート絶縁膜GIの膜厚がばらついたとしても、ブロードなプロファイルPTを有するイオンビーム24が照射されることにより、被処理基板22aにおいて所定の深さに注入されるリンイオンの個数を揃えることができる。したがって、ゲート絶縁膜GIの膜厚のばらつきに起因するイオンの注入ばらつきを抑制することができる。
また、本実施形態では、引出電極15a、第1加速電極15b、第2加速電極15c及び抑制電極15dがそれぞれ3つに分割されたものを例示しているが、本発明における引出電極、第1加速電極、第2加速電極及び抑制電極は、これに限らず、個別に制御可能に複数に分割されていればよい。
さらに、本実施形態では、加速部15が、引出電極15a、第1加速電極15b、第2加速電極15c及び抑制電極15dの4つの電極により構成されたものを例示しているが、本発明における加速部は、これに限らず、第1加速電極及び第2加速電極の2つの電極のみにより構成されていてもよい。
《発明の実施形態2》
図6〜図8は、本発明に係るイオンドーピング装置の実施形態2を示している。ここで、図6は、上記実施形態1で説明した図2に対応する模式図であり、本実施形態のイオンドーピング装置を上方からみた部分模式図である。なお、以下の各実施形態では図1及び図2と同じ部分については同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
図6〜図8は、本発明に係るイオンドーピング装置の実施形態2を示している。ここで、図6は、上記実施形態1で説明した図2に対応する模式図であり、本実施形態のイオンドーピング装置を上方からみた部分模式図である。なお、以下の各実施形態では図1及び図2と同じ部分については同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
このイオンドーピング装置では、図6に示すように、基板保持部21が被処理基板22bを保持した状態で、各分割電極部A、B及びCの延びる方向に沿って、具体的には各分割電極部A、B及びCの延びる方向と平行に移動できるように構成されている。なお、その他の構成及び動作については、実施形態1で説明したイオンドーピング装置30と同様である。
次に、上記構成のイオンドーピング装置を用いたイオンドーピング方法について説明する。
まず、イオンドーピングの対象である被処理基板22bは、図7に示すように、ガラス基板Gと、そのガラス基板Gの表面に形成されたポリシリコン膜Sと、そのポリシリコン膜Sの表面に形成されたゲート絶縁膜GIとを備えている。なお、図7は、被処理基板22bの断面模式図であり、図8は、被処理基板22bを上方からみた平面模式図である。
ポリシリコン膜Sの膜厚は、例えば45nmであり、ゲート絶縁膜GIの膜厚は、例えば、60nmである。
ここで、本実施形態の被処理基板22bにおけるゲート絶縁膜GIでは、図7及び図8に示すように、平均膜厚が70nm程度である領域GIaと、平均膜厚が60nm程度である領域GIbと、平均膜厚が50nm程度である領域GIcとが各分割電極部A、B及びCの延びる方向に沿って互いに平行に配置されている。
以下に、図7及び図8に示すような被処理基板22bに対し、リンイオンをドーピングする方法について説明する。
まず、基板保持部21に被処理基板22bをセットする。
続いて、イオン源10を動作させてイオンを生成させると共に、例えば、第1加速電極15bの第1分割電極部Aと第2加速電極15cの第1分割電極部Aとの間に50kVの電圧を、第1加速電極15bの第2分割電極部Bと第2加速電極15cの第2分割電極部Bとの間に30kVの電圧を、第1加速電極15bの第3分割電極部Cと第2加速電極15cの第3分割電極部Cとの間に40kVの電圧をそれぞれ印加することにより、加速部15を動作させてイオンビーム24(24A、24B及び24C)を生成させる。
さらに、イオン源10及び加速部15によって、イオンビーム24を照射させながら、基板保持部21を図6の上側から下側に移動させて、基板保持部21上の被処理基板22aにイオンビーム24A、24B及び24Cを並列に照射させる。これによれば、図7及び図8に示すように、被処理基板22b上のポリシリコン膜Sの上層に設けられたゲート絶縁膜GIの膜厚が、各分割電極部A、B及びCの配置に対応するようにばらついた場合であっても、各分割電極部A、B及びC毎に生成されたイオンビーム24A、24B及び24Cが並列に照射されることにより、被処理基板22bにおいて所定の深さに注入されるイオンの個数を揃えることができ、基板面内におけるイオンの注入ばらつきが抑制することができる。
以上説明したように、本実施形態のイオンドーピング装置によれば、一対の加速電極15b及び15cを構成する各分割電極部A、B及びCが互いに平行に延びているので、一対の加速電極15b及び15cによって生成されるイオンビーム24が、各分割電極部A、B及びC毎に加速電圧が別々に設定されると共に互いに平行に延びる複数のイオンビーム24A、24B及び24Cになる。そして、基板保持部21は、各分割電極部A、B及びCの延びる方向に沿って移動可能に設けられているので、複数のイオンビーム24A、24B及び24Cが基板保持部21に保持された被処理基板22bに対し各イオンビーム24A、24B及び24Cの延びる方向に沿って走査される。そのため、基板保持部21に保持された被処理基板22b上のポリシリコン膜Sには、各分割電極部A、B及びC毎に加速電圧が別々に設定されたイオンビーム24A、24B及び24Cが並列に照射される。ここで、被処理基板においてイオンが注入される深さは、一般的にイオンビームの加速電圧の大きさに比例するので、例えば、被処理基板22b上のポリシリコン膜Sの上層に設けられたゲート絶縁膜GIの膜厚が、各分割電極部A、B及びCの配置に対応して、各分割電極部A、B及びCの延びる方向に沿ってばらつきが小さく、各分割電極部A、B及びCの延びる方向と直交する方向に沿ってばらつきが大きい場合には、各分割電極部A、B及びC毎に生成されたイオンビーム24A、24B及び24Cが並列に照射されることにより、被処理基板22bにおいて所定の深さに注入されるイオンの個数を揃えることができ、基板面内におけるイオンの注入ばらつきを抑制することができる。
《その他の実施形態》
上記各実施形態では、イオンビーム24を照射する際に、基板保持部21が処理室20内において移動可能に設けられたイオンドーピング装置を例示したが、本発明のイオンドーピング装置は、イオンビーム照射時に基板保持部21が処理室20内において移動しなくてもよい。
上記各実施形態では、イオンビーム24を照射する際に、基板保持部21が処理室20内において移動可能に設けられたイオンドーピング装置を例示したが、本発明のイオンドーピング装置は、イオンビーム照射時に基板保持部21が処理室20内において移動しなくてもよい。
本実施形態のイオンドーピング装置によれば、イオン源で生成されたイオンを加速してイオンビームを生成するための一対の加速電極のそれぞれが個別に制御可能な複数の分割電極部に分割されているので、各分割電極部毎に加速電圧の異なるイオンビームを基板保持部に保持された被処理基板のポリシリコン膜に対し照射することができる。そのため、基板面内において、一定の大きさの加速電圧ではなく、異なった大きさの加速電圧、すなわち、大きさに分布のある加速電圧を有するイオンビームがポリシリコン膜に対し照射される。ここで、被処理基板においてイオンが注入される深さは、一般的にイオンビームの加速電圧の大きさに比例するので、ポリシリコン膜の上層に設けられたゲート絶縁膜の膜厚にばらつきがあったとしても、大きさに分布のある加速電圧を有するイオンビームが被処理基板に照射されることにより、被処理基板において所定の深さに注入されるイオンの個数を揃えることができ、基板面内におけるイオンの注入ばらつきを抑制することができる。したがって、ゲート絶縁膜の膜厚のばらつきに起因するイオンの注入ばらつきを抑制することができる。
以上説明したように、本発明は、ゲート絶縁膜の膜厚のばらつきに起因するイオンの注入ばらつきを抑制することができるので、アクティブマトリクス駆動の液晶パネルの製造に用いられるイオンドーピング装置について有用である。
A 第1分割電極部
B 第2分割電極部
C 第3分割電極部
10 イオン源
15a 引出電極
15b 第1加速電極
15c 第2加速電極
15d 抑制電極
21 基板保持部
22a,22b 被処理基板
24,22A,22B,24C イオンビーム
30 イオンドーピング装置
B 第2分割電極部
C 第3分割電極部
10 イオン源
15a 引出電極
15b 第1加速電極
15c 第2加速電極
15d 抑制電極
21 基板保持部
22a,22b 被処理基板
24,22A,22B,24C イオンビーム
30 イオンドーピング装置
Claims (5)
- 処理室と、
上記処理室の内部に設けられ、イオンを生成するためのイオン源と、
上記処理室の内部に互いに対向して配置され、上記イオン源で生成されたイオンを加速する加速電圧を印加してイオンビームを生成するための一対の加速電極と、
上記処理室の内部に設けられ、半導体膜が形成された被処理基板を保持すると共に、該保持された被処理基板に対し上記一対の加速電極で生成されたイオンビームを照射させるための基板保持部とを備えたイオンドーピング装置であって、
上記各加速電極は、個別に制御可能な複数の分割電極部に分割されていることを特徴とするイオンドーピング装置。 - 請求項1に記載されたイオンドーピング装置において、
上記各分割電極部は、互いに平行に延びるように配列され、
上記基板保持部は、上記各分割電極部の延びる方向と交差する方向に移動可能に設けられていることを特徴とするイオンドーピング装置。 - 請求項1に記載されたイオンドーピング装置において、
上記各分割電極部は、互いに平行に延びるように配列され、
上記基板保持部は、上記各分割電極部の延びる方向に沿って移動可能に設けられていることを特徴とするイオンドーピング装置。 - 請求項1に記載されたイオンドーピング装置において、
上記一対の加速電極の上記イオン源側には、該各加速電極に対向して配置され、上記イオン源で生成されたイオンを引き出すための引出電極が設けられ、
上記引出電極は、個別に制御可能な複数の分割電極部に分割されていることを特徴とするイオンドーピング装置。 - 請求項1に記載されたイオンドーピング装置において、
上記一対の加速電極の上記基板保持部側には、該各加速電極に対向して配置され、上記基板保持部に保持された被処理基板からの電子の流入を抑制するための抑制電極が設けられ、
上記抑制電極は、個別に制御可能な複数の分割電極部に分割されていることを特徴とするイオンドーピング装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006007287A JP2007189137A (ja) | 2006-01-16 | 2006-01-16 | イオンドーピング装置 |
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JP2007189137A true JP2007189137A (ja) | 2007-07-26 |
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JP2006007287A Withdrawn JP2007189137A (ja) | 2006-01-16 | 2006-01-16 | イオンドーピング装置 |
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Country | Link |
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-
2006
- 2006-01-16 JP JP2006007287A patent/JP2007189137A/ja not_active Withdrawn
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