JP2007188938A - トランス - Google Patents

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Abstract

【課題】一次側と二次側のコイル間の十分な電磁的結合が得られ、高周波のIC上に形成するにも十分に適合する小型で高効率のトランスを具現する。
【解決手段】一次側の両電極部101,102間に、回旋状薄板導体の第1パターン部111を含む一次側導体110と、二次側の両電極部201,202間に、回旋状薄板導体の第2パターン部211を含む二次側導体210とを備え、二次側導体210の第2パターン部211は一次側導体110の第1パターン部111に沿って当該部分111をその表裏両面から挟むように第1導体部211aと第2導体部211bとを有するサンドイッチ構造をなすように構成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、一次側導体と二次側導体とが少なくとも部分的に相互に沿うように配設されたトランスに関し、特に、集積回路(以下ICという)部品等の配線層において導体パターンによって形成される高周波回路電子部品としての高周波信号のインピーダンス変換素子として具現化するにも良く適合するトランスに関する。
尚、本願発明の説明に関して用いている「トランス」の語は、変圧器、変成器、および、所謂トランス結合によって一次側と二次側とを結合する結合器(方向性結合器等をも含む)等々を含む広義の概念を表すものであり、本発明思想は、このように広汎な概念である「トランス」を特許請求の範囲に記載の如くに限定したところに特徴を有する。
IC部品等で高周波回路を構成する際、周波数のインピーダンス変換等はコンデンサ及びコイル等の受動部品を用いて行われるが、トランス等は良好な構造が提案されていないため殆ど用いられることはなかった。一方、トランスは容易に高周波信号の電圧変換や位相の変換、更に直流阻止ができる等の良好な機能を有している。
しかしながら、トランスは磁性体をコアにした立体構造で構成されるため、IC等に内蔵するためには先ず平面構造にする必要がある。このような平面構造のトランスも従来より種々提案されている。
例えば、一次コイルを構成する平板状導体の長手方向に沿って平行なスリットを形成して一次コイルの1ターン分の電流路をその幅方向に3分割して表皮効果を低減するようにした平面構造のトランスが開示されている(特許文献1参照)。
また、フェライトの積層シート上に形成された一次側と二次側との各コイルの部分に相応する各半周のコイルパターンを、該当する積層シート上のコイルパターンを適宜に導体で接続することによって所望のインダクタンス値を有する中間周波トランスを構成するといった形の平面構造トランスも提案されている(特許文献2参照)。
更にまた、平面投影形状が長方形の回旋状の平面コイルを絶縁体中に埋設するように配し、このコイル(そのコイルが埋設されている絶縁体の直方体状のブロック)の上下両面をCoZrNb系などの磁性薄膜で挟むようにして平面インダクタを構成し、磁束が同相で影響し合うようにして、相互インダクタンスの効果でコイルの大きさに比して大きなインダクタンスが得られるようにした技術も提案されている(特許文献3参照)。
また、平面磁気素子の外表面に、平面コイルのコイル電極部と導通した外部電極以外にも複数の外部電極を予め形成しておき、これらの予め形成された外部電極を介して、平面磁気素子上に他の素子を搭載・接続できるよう配線パターンを設けて、結果的にこの素子の占有面積や高さの増大を最小限にしようとする技術も提案されている(特許文献4参照)。
更にまた、ICカードとこのICカードへの給電およびデータの授受を非接触で行うドライブユニットとの電磁結合を強固にするために、ICカード側に適用するコイルに並列に共振用コンデンサを接続して共振タンク回路を構成するといった技術も提案されている(特許文献5参照)。
また一方、回旋状の部分を有する相似形の導体箔が上面に形成された複数の誘電体層を中間誘電体層を挟んで重畳させた部分を含んで複数の誘電体のグリーンシートを積層して焼成することにより積層型方向性結合器を構成し、高いアイソレーション特性を有しながら小型で薄く且つ製造も容易な積層型方向性結合器を実現しようとする提案もなされている(特許文献6参照)。
特開2000−182850号公報(段落0031〜段落0035、図3、図4) 特開平3−278594号公報(第3頁右上欄〜第4頁左下欄、図1、図3) 特開平7−21791号公報(段落0012、段落0022、図6) 特開2002−353030号公報(段落0034〜段落0039、図2) 特開平10−69533号公報(段落0036〜段落0048、図1、図2) WO95/32527号公報(第5頁第24行〜第5頁第27行、第7頁第29行〜第9頁第17行、FIG.1、FIG.3)
多くの従来のKHz帯の低周波用途の平面化したトランスでは磁性体をコア(磁芯)として構成され、このように磁性体を用いることによって磁性体内を磁束が通るようにして低損失で一次側と二次側とを結合することができた。
しかしながら、100MHzを超える高周波の周波数帯では高周波磁界の損失を少なくして信号の伝達が可能な適当な磁性材料がないため、一般に、磁性材料を用いず、上掲の特許文献の幾つかの例にあるように、誘電体をコアとした空芯構造のコイル(空芯コイル)を一次側および二次側のコイルとして用いる。
一方、IC上にトランスを形成することは極めて稀であり、回路技術的にはトランスを用いない構成を採るのが一般的である。
仮に、高周波回路でIC上にトランスを形成すると想定した場合には、そのトランスの一次側と二次側のコイルをスパイラル構造に形成して配線層の上下に重畳するような構成を採ることが考えられる。
しかしながら、単純に上述のような重畳する構成を採用しても、一次側と二次側のコイル間の十分な電磁的結合を得ることは困難である。上掲の何れの既定案の技術もこのような問題に十分応え得るものではなかった。
本発明は上述のような事情に鑑みてなされたものであり、一次側と二次側のコイル間の十分な電磁的結合が得られ、高周波のIC上に形成するにも十分に適合するトランスを具現するための新規且つ具体的な技術を提供することを目的としている。
上記課題を解決するべく、本願では次に列記するような技術を提案する。
(1)平面投影形状が回旋状に形成された薄板導体の第1パターン部を含む一次側導体と、平面投影形状が回旋状に形成された薄板導体の第2パターン部を含む二次側導体とを有するトランスであって、前記二次側導体の少なくとも第2パターン部の一部を含む部分は前記一次側導体の少なくとも第1パターン部の部分に沿って当該部分をその表裏両面から挟むように各配設された第1導体部と第2導体部とを有することを特徴とするトランス。
上記(1)のトランスでは、一次側導体の第1パターン部の部分に沿って当該部分をその表裏両面から挟むように二次側導体の少なくとも第2パターン部の一部が配設される関係にあるため、一次側と二次側のコイル間の十分な電磁的結合が得られ、高周波域で用いられるIC上に形成するにも十分に適合するトランスを実現することができる。
(2)前記一次側導体および前記二次側導体は、何れも非磁性基板上に形成され、且つ、前記一次側導体の第1パターン部および前記二次側導体の第2パターン部は非磁性誘電体材料によって支持されていることを特徴とする(1)に記載のトランス。
上記(2)のトランスでは、(1)のトランスによる作用において特に、一次側導体の第1パターン部および二次側導体の第2パターン部は非磁性誘電体材料によって支持されているため、例えば100MHzを超えるような高周波の帯域で用いる場合でも、高周波磁界による損失が少ない。
(3)前記一次側導体および前記二次側導体は、前記二次側導体の前記一次側導体の少なくとも第1パターン部の部分に沿って当該部分をその表裏両面から挟むように各配設された第1導体部と第2導体部に関して、該第1導体部と前記一次側導体との対向面間の距離、および、該第2導体部と前記一次側導体との対向面間の距離が何れも100μm以下となるように配置されていることを特徴とする(1)〜(2)の何れか一に記載のトランス。
上記(3)のトランスでは、(1)〜(2)の何れか一のトランスによる作用において特に、一次側導体の少なくとも第1パターン部の部分に沿って当該部分をその表裏両面から挟むように各配設された二次側導体の第1導体部と第2導体部とは夫々一次側導体との各対向面間の距離が何れも100μm以下となるように配置されているため、一次側と二次側のコイル間の十分な電磁的結合が得られ、損失が少ない。
(4)前記一次側導体および前記二次側導体は非磁性基板である半導体基板上に構成される配線層に形成されることを特徴とする(1)〜(3)の何れか一に記載のトランス。
上記(4)のトランスでは、(1)〜(3)の何れか一のトランスによる作用において特に、一次側導体および二次側導体は、半導体基板上に構成される配線層に形成されているため、損失が少なく、且つ、全体として小型化が図られる。
(5)前記二次側導体の第2パターン部は、前記一次側導体の第1パターン部の平面投影形状が回旋状に形成された部分が尽きた領域に及んで延長された回旋状の部分を有することを特徴とする(1)〜(4)の何れか一に記載のトランス。
上記(5)のトランスでは、(1)〜(4)の何れか一のトランスによる作用において特に、二次側導体の第2パターン部は、一次側導体の第1パターン部の平面投影形状が回旋状に形成された部分が尽きた領域に及んで延長された回旋状の部分を有するため、二次側の巻き線数が一次側の巻き線数より多いことによる所定の巻き線数比を有するトランスが実現され、このようなトランスを用いて一次側と二次側でのインピーダンス変換が可能となる。
(6)前記二次側導体の第2パターン部は、前記一次側導体の第1パターン部のうちの限定的部分に沿って当該部分をその表裏両面から挟むように各配設された第1導体部と第2導体部とを有することを特徴とする(1)〜(4)の何れか一に記載のトランス。
上記(6)のトランスでは、(1)〜(4)の何れか一のトランスによる作用において特に、二次側導体の第2パターン部は、一次側導体の第1パターン部のうちの限定的部分に沿って当該部分をその表裏両面から挟むように各配設された第1導体部と第2導体部と
を有するため、二次側の巻き線数が一次側の巻き線数より少ないことによる所定の巻き線数比を有するトランスが実現され、このようなトランスを用いて一次側と二次側でのインピーダンス変換が可能となる。
(7)一次側導体と二次側導体とが少なくとも部分的に相互に沿うように配設されたトランスであって、前記二次側導体は前記一次側導体に沿う部分で前記一次側導体を挟むように位置する第1導体部と第2導体部とを有することを特徴とするトランス。
上記(7)のトランスでは、二次側導体はその第1導体部と第2導体部とが、一次側導体に沿う部分でこの一次側導体を挟むように位置する関係にあるため、一次側と二次側のコイル間の十分な電磁的結合が得られ、高周波域で用いられるIC上に形成するにも十分に適合するトランスを実現することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。尚、以下に参照する図においては、便宜上、説明の主題となる要部は適宜誇張し、要部以外については適宜簡略化し乃至省略されている。
図1は、本発明のトランスの基本構造を表す概念図である。図1(A)は、該トランスの平面図、図1(B)は、図1(A)のトランスのX1−X1線断面図である。図において、全体として参照符号10で示されたトランスは、一次側の両電極部101,102間に、平面投影形状が回旋状に形成された薄板導体の第1パターン部111を含む一次側導体110と、二次側の両電極部201,202間に、平面投影形状が回旋状に形成された薄板導体の第2パターン部211を含む二次側導体210とを有する。
二次側導体210の少なくとも第2パターン部211の一部を含む部分は一次側導体110の少なくとも第1パターン部111の部分に沿って当該部分111をその表裏両面から挟むように各配設された第1導体部211aと第2導体部211bとを有する。
図1(A)では、一次側導体110(その第1パターン部111)が二次側導体210(その第2パターン部211)によってその第1導体部211aと第2導体部211bとによって挟まれている状態を、全延長部を実線図示した二次側導体210の該当部分の内側に沿わせるようにして破線図示してある。
既述の通り、図1(B)は、図1(A)のトランスのX1−X1線断面図であるが、二次側導体210(その第2パターン部211)の第1導体部211aと第2導体部211bとの間隔およびこれら第1導体部211a、第2導体部211bと一次側導体110(その第1パターン部111)との間隔は誇張して示されており、実際には、これらの間隔は公知の絶縁材料による絶縁層を介して極めて近接している。
図2は、図1のトランスの一次側の導体パターンと二次側の導体パターンの磁気結合の状況を従来例と比較して説明するための図である。図2(A)は、図1のトランスに関する磁気結合の状況を表わし、図2(B)は、従来例のトランスに関する磁気結合の状況を表わしている。
図示のように、一次側の導体パターン(図1のトランスでは、一次側導体110の第1パターン部111)にはその周囲を周回する高周波磁界が形成される。
本発明においては、特に、一次側の導体パターン(同、一次側導体110の第1パターン部111)の上下に形成される高周波磁界に対し、二次側の導体パターン(図1のトランスでは、二次側導体210の第2パターン部211における第1導体部211aと第2導体部211b)によって一次側導体110(その第1パターン部111)を挟む位置関係をもって一次側および二次側の導体パターンを配置している。
このような構成により、効率的に二次側に誘導電流が生じるため、図2(B)のように二次側導体パターン211が一次側導体パターン111に対して一方のみ(上側又は下側のみ)に配置された場合に比べ、一次側と二次側の結合度を相対的に高くすることができる。
尚、一次側の高周波磁界が二次側導体パターンの外側まで達しているのに対し、一次側導体パターンと二次側導体パターンの間に高周波磁界が生じない(極めて小さい)のは、一次側導体パターンと二次側導体パターンが形成するそれぞれの高周波磁界のベクトルが相反する方向になって相殺し合うためである。
この現象については、以下に、更に詳述する。
図3は、図1のトランスの一次側の導体パターンと二次側の導体パターンとの磁気結合の度合いを従来例と比較して説明するための図である。図3において横軸は周波数を表わし、縦軸は順伝達係数S21、即ち、トランスの一次側から二次側に伝達されるエネルギーの伝達効率に相応する相対値を表わしている。
図中、太線で描かれた曲線Aが本発明(図1)のトランスにおける特性を表わし、細線で描かれた曲線Bが従来例のトランスにおける特性を表わしている。この特性図から理解されるとおり、広い帯域で、本発明のトランスの効率は従来例のそれを凌駕している。
図3のトランスにおける一次側と二次側の導体間の磁気結合は、一次側導体パターンのライン方向に電流が流れた際、一次側導体周囲に生じる磁場に対し、この磁場を打ち消す方向に磁場が生じるように二次側導体パターンのライン方向に電流が流れる現象により行われる。
従来の構成である既述の図2(B)では一次側及び二次側導体とが単に上下に配置されているため、各導体周囲に生じる相互に打ち消し合う磁場の対称性が崩れやすい。即ち、導体を中心として同心円状に形成される磁場に対して、例えば図2(B)の導体111により下側に形成される磁場は、それを打ち消すために磁場を発生させる導体211から見ると距離が相対的に遠くなり、導体111により上側に形成される磁場は、それを打ち消すために磁場を発生させる導体211から見ると距離が相対的に近くなる。
この場合、エネルギー的に低い側で一次側と二次側の磁気結合が行われるため、二次側導体の上側での打ち消し磁界に相当する電流が二次側導体に流れることになるため、結果として結合度が低下する。
これに対し、図2(A)に示すトランスでは、その導体断面が一次側と二次側とは上下方向に関して対称配置となっているため、従来の配置に関わる問題が生じることはなく、効率的に一次側と二次側の磁気結合を行うことが可能となる。
図4は、本発明のトランスの導体パターン周辺に形成される高周波磁界の分布を例示する図である。図4に表されたとおり、パターンよりある一定の距離だけ離れたところで急激に磁界のエネルギーが減衰することから、二次側導体210(第2パターン部211における第1導体部211a、第2導体部211b)と一次側導体111(その第1パターン部111)との上下方向の間隔は上記一定の距離以下であることが望ましいことが理解される。これについては、後に図7を参照して更に具体的に詳述する。
尚、上述の本発明のトランスにおいて、一次側及び二次側の導体パターンは任意のコイルパターンとしているが、高周波帯においてはコイルパターンの長さに依存してコイルに並列に接続された容量と等価な作用が発現する現象を呈することから、コイルパターンを特定の長さ(例えば波長に関する長さ)に選択することにより特定の周波数帯で一次側又は二次側のパターンにおいて共振機能を持たせることも可能である。
図5は、図1の基本構造を有しシミュレーションによる評価に供したトランスを表す図である。図5(A)は、該トランスの導体パターンの平面図、図5(B)は、該トランスの一次側導体と二次側導体との配置の関係を表す概念図である。
図5において図1との対応部は同一の参照符号を附して示し、それらの部位の説明は省略するが、図5(B)において、一次側導体110は破線にて図示され、この一次側導体110(その第1パターン部111)に対し上下両面から沿って挟むように配設された既述の二次側導体210(その第2パターン部211)の第1導体部211aと第2導体部211bとは破線に並行して一本の実線で図示されている。
即ち、破線と実線とが並行に沿うように描かれた部分は、それらの断面において、図1(B)を参照して既述のように、一次側導体110の少なくとも第1パターン部111の該当部分に沿って該部分111をその表裏両面から挟むようにして二次側導体210(その第2パターン部211)の第1導体部211aと第2導体部211bとが配設されるサンドイッチ構造をなす関係にある。
図5の構成におけるシミュレーションの条件としては、導体パターンを形成する基板はSi基板(200×200μm)であり、このSi基板上にSiO2を形成して絶縁体中に、各ストリップ導体(導体パターン)は形成されているものとする。また、各ストリップ導体はアルミからなり幅が3μmで厚みは1μmで形成されているものとする。また、積層される導体間は層間1μmのSiO2で絶縁されているものとする。
図6は、図5のトランスにおける一次側から信号を入力した際の二次側の出力の状況を従来例との比較において説明するための図である。図6において、縦軸は一次側の入力に対する二次側での減衰量を示した値である。太線の特性曲線が二次側を既述のサンドイッチ構造のストリップ導体で構成した図2(A)のような構成に係る場合の特性であり、細線の特性曲線が図2(B)のような(サンドイッチ構造を有さず、一次側と二次側とが各一層で沿うような構造の)場合の特性である。
この図6より、図5の本発明の場合では従来例の場合に比べ、信号の伝達係数が高いことが明らかである。即ち、本発明では従来例に比し高周波域に亘って従来例のものを凌駕する効率の高いトランスが実現される。
図7は、本発明のトランスに適用するストリップ導体に関する磁場エネルギーの分布の状況についてモデルを作ってシミュレーションした結果を説明するための図である。図7(A)は、モデルの構成を表わし、図7(B)は、図7(A)のモデルに関する磁場エネルギーの分布の状況を表わしている。
図7(A)のモデルは、ストリップ導体1100をSi基板1000上に形成した構造であって、Si基板1000の平面形状は200×200(μm)の方形であり、ストリップ導体1100は、長さ160μm幅3μm厚み1μmであり、Si基板1000の上に6μmのSiO2層間絶縁体1200を設け、このSiO2層間絶縁体1200上にストリップ導体1100は形成されているものとする。
SiO2層間絶縁体1200はストリップ導体1100の上側にも5μmの厚みで形成されている。Si基板1000の厚みを100μmとし、このSi基板1000の裏面にはGND電極1300を形成して、ストリップ導体1100はマイクロストリップ線路の構成をとっている。
図7(A)のモデルについて、磁場エネルギーの分布は図7(B)のような状況を呈する。図7(A)に細線の矢線でx,y,zとして示されたように座標軸を設定すると、図7(B)は、ストリップ導体1100の長手方向(x方向)に対して垂直な面z方向(上面方向)における磁場エネルギーの分布を表わしている。図7(B)では、縦軸は磁場エネルギーの減衰量を対数(dB)表わしている。因みに、既述の図4では、縦軸は線形表示されている。
導体パターン周辺に形成される高周波磁界の分布では細い導体ほど電流を流すことができないため数ミクロンの幅・厚みの導体(IC設計レベル)では10ミクロン程度が有効な高周波磁界の分布の領域と考えられる。
しかし、導体の厚み又は幅が数十又は数百ミクロン程度の例えばプリント基板やセラミック基板(LTCC等)の導体では上記の数十から数百倍の高周波電流を流すことが可能となるため、高周波磁界エネルギーの絶対値の大きさから有効となる高周波磁界の分布の領域も数十倍程度となる。
上述の考察から、図1および図2を参照して説明した本発明の基本的構成において、高周波領域で用いるに適合するトランスとしては、その一例としての好適な実施例では、二次側導体210(第2パターン部211における第1導体部211a、第2導体部211b)と一次側導体111(その第1パターン部111)との上下方向の間隔については、上述のような有効な高周波磁界の分布領域の考え方から100μm以下が好ましいと考えられる。
以上説明した図5のようなトランスは一次側と二次側の導体の長さが同一、即ちトランスとしては一次側と二次側の導体の巻き数比が1:1の時に相当するが、一次側と二次側の導体の長さが異なる場合の例について次に説明する。
既述の実施の形態では、一次側は1本のストリップ導体(図1、図2(A)では、一次側導体111(その第1パターン部111))、二次側は一次側の導体をサンドイッチした2本のストリップ導体(図1、図2(A)では、第2パターン部211における第1導体部211a、第2導体部211b)として構成しているが、一次側と二次側を入れ替えても(一次側を2本線、二次側を1本線)それぞれの電源又は負荷までの配線パターンが大きく相違しない限り、対象となる周波数帯では基本的に同一の特性となる。
本発明の実施の形態で、一次側は1本のストリップ導体、二次側は一次側の導体をサンドイッチした2本のストリップ導体として、
(1)二次側の導体の長さに対して一次側の導体の長さを半分にした場合
(2)一次側の導体の長さに対して二次側の導体の長さを半分にした場合
の夫々の場合について検討を行った。
上記(1)、(2)はそれぞれトランスとしては1:2及び2:1の一次側と二次側の導体の巻き数比となる。通常、このように所定の巻き数比を選択することによって、トランスの一次側と二次側でのインピーダンス変換が可能となる。
上述のような各構成の本発明の実施の形態について、図8および図9を参照して以下に説明する。
図8は二次側の導体の長さに対して一次側の導体の長さを半分にした場合の本発明のトランスの実施の形態を表す図である。図8(A)は、該実施の形態の導体パターンの平面図、図8(B)は、該実施の形態の一次側導体と二次側導体との配置の関係を表す概念図である。
図9は一次側の導体の長さに対して二次側の導体の長さを半分にした場合の本発明のトランスの実施の形態を表す図である。図9(A)は、該実施の形態の導体パターンの平面図、図9(B)は、該実施の形態の一次側導体と二次側導体との配置の関係を表す概念図である。
図8および図9において、図1との対応部は同一の参照符号を附して示し、それらの部位の説明は省略するが、図8(B)および図9(B)において、一次側導体110は破線にて図示され、この一次側導体110(その第1パターン部111)に対し上下両面から沿って挟むように配設された二次側導体210(その第2パターン部211)の第1導体部211aと第2導体部211bとは破線に並行して一本の実線で図示されている点は図5における表記方法と同様である。
図8のトランスは、図より明らかな通り、二次側導体210の第2パターン部211は、一次側導体110の第1パターン部111の平面投影形状が回旋状に形成された部分が尽きた領域に及んで延長された回旋状の部分を有する。このため、二次側の巻き線数が一次側の巻き線数より多いことによる所定の巻き線数比を有するトランスが実現され、このようなトランスを用いて一次側と二次側でのインピーダンス変換が可能となる。
また、図9のトランスは、図より明らかな通り、二次側導体210の第2パターン部211は、一次側導体110の第1パターン部111のうちの限定的部分に沿って当該部分をその表裏両面から挟むように各配設された第1導体部211aと第2導体部211bとを有する。このため、二次側の巻き線数が一次側の巻き線数より少ないことによる所定の巻き線数比を有するトランスが実現され、このようなトランスを用いて一次側と二次側でのインピーダンス変換が可能となる。
図8および図9のトランスについて、一次側および二次側におけるインピーダンスを代表的な周波数毎に求めた結果は次の表の通りである。
Figure 2007188938
本来、トランスの一次側、二次側におけるインピーダンスは複素インピーダンスとなるが上記の表では絶対値で示している。また比率については一次側に対する二次側のインピーダンスの倍率を示しており、仮に一次側と二次側における電流が等しい場合は二次側の電圧が表記の比率倍高くなることを示す。
高周波帯においては電極の形状による容量効果を受けるため一次側と二次側とでは変換比率に周波数特性を持つが、図8のトランスおよび図9のトランスの夫々の傾向から一次側と二次側のストリップ導体の長さの比を選択することによりインピーダンス変換の設計が可能であり、このようなトランスとしての機能を確認することができた。
尚、トランスの構成としては一次側と二次側のストリップライン(導体パターン)の対向位置はスパイラル形(回旋状)の結合構造ではより外側の部分で対向させた方が、一次側と二次側における変換比率がとれ、また伝達係数も良好になる傾向がある。
また、特定周波数における共振現象(導体パターンが有する誘導成分と浮遊容量成分による)を利用して一次側及び二次側のストリップ導体を設計することも可能である。
図5、図8、および、図9の本発明のトランスは、何れも、それらの導体パターンに関して図7のモデルの如く、一次側導体110および二次側導体210は、何れも非磁性基板上に形成され、且つ、前記一次側導体の第1パターン部および前記二次側導体の第2パターン部は非磁性誘電体材料によって支持されている。このため、例えば100MHzを超えるような高周波の帯域で用いる場合でも、高周波磁界による損失が少ない。
また、一次側導体110および二次側導体210を、何れも非磁性基板である半導体基板上に構成される配線層に形成することも推奨できる。この場合も、トランスの損失が少なく、且つ、全体として小型化が図られる。
以上説明した本発明では、結合度の高い薄膜技術による高周波向けのトランスを構成することが可能となり、また、IC内に高周波用のトランスを構成することができ、この結果、回路構成のバリエーションが増える。更にまた、パッシブ回路のバリエーションが増すことから、低消費電力の高周波回路を実現することができる。
本発明のトランスの基本構造を表す概念図である。 図1のトランスの一次側の導体パターンと二次側の導体パターンの磁気結合の状況を従来例と比較して説明するための図である。 図1のトランスの一次側の導体パターンと二次側の導体パターンとの磁気結合の度合いを従来例と比較して説明するための図である。 本発明のトランスの導体パターン周辺に形成される高周波磁界の分布を例示する図である。 図1の基本構造を有しシミュレーションによる評価に供したトランスを表す図である。 図5のトランスにおける一次側から信号を入力した際の二次側への出力の状況を従来例との比較において説明するための図である。 本発明のトランスに適用するストリップ導体に関する磁場エネルギーの分布の状況についてモデルを作ってシミュレーションした結果を説明するための図である。 二次側の導体の長さに対して一次側の導体の長さを半分にした場合の本発明のトランスの実施の形態を表す図である。 一次側の導体の長さに対して二次側の導体の長さを半分にした場合の本発明のトランスの実施の形態を表す図である。
符号の説明
10…トランス 101…電極部 102…電極部 110…一次側導体 111…第1パターン部 201…電極部 202…電極部 210…二次側導体 211…第2パターン部 211a…第1導体部 211b…第2導体部 1000…Si基板 1100…ストリップ導体 1200…SiO2層間絶縁体 1300…GND電極

Claims (7)

  1. 平面投影形状が回旋状に形成された薄板導体の第1パターン部を含む一次側導体と、平面投影形状が回旋状に形成された薄板導体の第2パターン部を含む二次側導体とを有するトランスであって、前記二次側導体の少なくとも第2パターン部の一部を含む部分は前記一次側導体の少なくとも第1パターン部の部分に沿って当該部分をその表裏両面から挟むように各配設された第1導体部と第2導体部とを有することを特徴とするトランス。
  2. 前記一次側導体および前記二次側導体は、何れも非磁性基板上に形成され、且つ、前記一次側導体の第1パターン部および前記二次側導体の第2パターン部は非磁性誘電体材料によって支持されていることを特徴とする請求項1に記載のトランス。
  3. 前記一次側導体および前記二次側導体は、前記二次側導体の前記一次側導体の少なくとも第1パターン部の部分に沿って当該部分をその表裏両面から挟むように各配設された第1導体部と第2導体部に関して、該第1導体部と前記一次側導体との対向面間の距離、および、該第2導体部と前記一次側導体との対向面間の距離が何れも100μm以下となるように配置されていることを特徴とする請求項1〜2の何れか一項に記載のトランス。
  4. 前記一次側導体および前記二次側導体は非磁性基板である半導体基板上に構成される配線層に形成されることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のトランス。
  5. 前記二次側導体の第2パターン部は、前記一次側導体の第1パターン部の平面投影形状が回旋状に形成された部分が尽きた領域に及んで延長された回旋状の部分を有することを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のトランス。
  6. 前記二次側導体の第2パターン部は、前記一次側導体の第1パターン部のうちの限定的部分に沿って当該部分をその表裏両面から挟むように各配設された第1導体部と第2導体部とを有することを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のトランス。
  7. 一次側導体と二次側導体とが少なくとも部分的に相互に沿うように配設されたトランスであって、前記二次側導体は前記一次側導体に沿う部分で前記一次側導体を挟むように位置する第1導体部と第2導体部とを有することを特徴とするトランス。
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