JP2007188629A - 相変化型記録媒体の記録方法 - Google Patents

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Abstract

【目的】 書き換え可能な相変化型記録媒体において、反射層が薄いか又はなくても非晶質マークの形成と消去とを容易に行なえ、また、使用可能な結晶化速度の範囲を狭めずに行なえるような、相変化型記録媒体の記録方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 記録パワーPwを最初に照射する区間である先頭パルスの直前に設けられ、バイアスパワーPbを第1設定時間yT照射する前段低パワーパルス照射ステップと、この先頭パルスの直後に設けられ、バイアスパワーPbを第2設定時間xT照射する後段低パワーパルス照射ステップとをそなえ、xとyとの間の関係が、0.95≦x+0.7*y≦2.5を満たし、かつ、それに続く高パワーエネルギービームを照射する区間である後続パルスの照射周期は、0.5T以上1.5T以下であるように構成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば書き換え可能な相変化型媒体を利用した高密度記録可能な光ディスクのような、記録媒体の多層化が可能で透過率が大きい相変化型媒体に用いて好適な、相変化型記録媒体の記録方法に関する。
近年、情報量の増大に伴い、高密度で且つ高速に大容量のデータの記録・再生が可能な記録媒体が求められており、光ディスクは、まさに、こうした要請に応えるものとして期待されている。この光ディスクの種類は、一度だけ記録が可能な追記型と、記録・消去が何度もできる書き換え可能型とがある。そして、書き換え可能型光ディスクの種類としては、光磁気効果を利用した光磁気記録媒体や、可逆的な結晶状態の変化に伴う反射率変化を利用した相変化型媒体(相変化媒体とも称する)が挙げられる。
この相変化型媒体は外部磁界を必要とせず、レーザー光のパワー(出力)を変調するだけで記録・消去ができ、また、記録・再生装置を小型化できるという利点を有する。さらに、相変化型媒体を用いた場合は、現在主流の800nm程度の波長での記録・消去が可能な媒体から、特に記録層等の材料を変更することなく、短波長の光源による高密度化が可能であるといった利点を有する。
この相変化型媒体を用いた記録層の材料としては、カルコゲン系合金薄膜が用いられることが多い。例えば、GeSbTe系、InSbTe系、GeSnTe系、AgInSbTe系合金が挙げられる。現在のところ、実用化されている書き換え可能な相変化型記録媒体における記録手法は、未記録・消去状態では記録層を結晶状態とし、非晶質ビットを形成することによって行なわれる。ここで、非晶質ビットは、記録層を融点より高い温度まで加熱させて、急冷することにより形成される。
このような記録層の加熱処理により発生する蒸発や変形を防止するために、通常、記録層の上下は、耐熱性で且つ化学的にも安定な誘電体保護層でサンドイッチ状に挟まれるようにして生成される。また、一般に、上記サンドイッチ構造の上部には金属反射層が設けられ、4層構造とされることにより熱拡散が促進され、非晶質マークが安定に形成されるようになっている。
この金属反射層は、記録層が記録用のレーザー光の光ビーム(以下、光ビームと称することがある)を照射された際に発生した熱を逃がす機能を有する。すなわち、相変化型媒体において非晶質を用いた場合は、光ビームによって、記録層が局所的に溶融させられ、そして、この記録層が急冷させられて非晶質マークが形成されるのである。従って、放熱が不十分であると、この非晶質マークが上手く形成されないので、金属反射層が必要となる。
また、非晶質マークを安定に形成するために、マーク形成用のレーザーパルスを分割するパルス分割方式が一般的に行なわれており、基準クロック周期をTとしたとき、周期Tのパルス列をマーク長に応じて照射する方法が用いられることが多い。このとき、マーク内の温度分布を均一にするために、先頭パルス(1番最初のパルス)の幅を2番目以降のパルスの幅よりも長くすることも行なわれている。
なお、このパルス分割方式とは、相対的に高いパワー値の記録パワーPwと相対的に低いパワー値のバイアスパワーPbとを交互に相変化型記録媒体に照射することにより長さnTの非晶質マークを形成する方式をいう。ここで、nは4以上の自然数である。
すなわち、光ビームの出力パターン(パルスパターン)は、高パワーで出力されるパルス(記録パルス)と、低パワーで出力されるパルス(オフパルス)とが複数に分割されて、これら高低のパワーが交互に繰り返される。従来のパルス分割方法におけるパルス幅については、いずれのパルスにおいても、高パワーで出力されるパルス幅と、低パワーで出力されるパルス幅とは、それぞれ、0.5T程度となっている。
上記の非晶質マークを形成する際のパルスパターンに関しては、次の公知文献1〜3に開示されている。公知文献1(“The Feasibility of High Data Rate 4.7GB Media with Ag−In−Sb−Te Phase Change Material”,「1998年第10回相変化記録研究会シンポジウム講演論文集」)には、パルスパターンに関する技術が記載されている。
また、公知文献2(“Rewritable Dual−Layer Phase−Change Optical Disk”, Jpn.J.Appl.Phys.Vol.38(1999)pp.1679−1686)には、多層構造を有する書き換え可能な相変化型媒体を用いた光ディスクに関する技術が記載されており、この公知文献2には、書き込みパルスパターンが開示されている。
さらに、公知文献3(特開平3−185628号公報[米国特許第5、109、373号公報])には、レーザー光線等を用いて高速且つ高密度に光学的な情報を記録再生する光ディスクを中心とした光学情報記録部材への信号の記録方法及び記録装置に関する技術が記載されており、中間部のパルス列中の繰り返し周期τの満足すべき値が記載されている。
これに対して、消去(結晶化)に関しては、記録層の結晶化温度よりは高く、且つ融点よりは低い温度まで記録層を加熱して行なわれる。この場合、上記の誘電体保護層は、蓄熱層として働き、記録層を固相結晶化に十分な高温に保つようになっている。
また、いわゆる1ビームオーバーライト可能な相変化型媒体においては、上記の消去及び再記録過程が、1つの集束光ビームの強度変調のみによって行なえることが、公知文献4(Jpn.J.Appl.Phys. 26(1987),suppl.26−4,pp.61−66)に記載されている。さらに、1ビームオーバーライト可能な相変化型媒体を用いることにより、記録媒体の層構造及び記録ドライブ装置の回路構成が簡素になる。このため、1ビームオーバーライト可能な相変化型媒体を用いたシステムは、安価、高密度及び大容量記録が行なえるものとして注目されている。
近年は、さらなる高密度化を目指し、記録媒体の多層化が検討されている。すなわち、使用光学系の焦点深度よりも大きな距離を隔てた2層以上の記録媒体部を重ねて作製することにより、記録密度を拡大させる試みである。この場合は、レーザー光の入射方向から見て、最も遠い記録媒体部以外の記録媒体部は、レーザー光を透過させるため、30%以上といった高い透過率が必要になる。
このため、レーザー光を透過させるためには、基本的に前記の金属反射層は用いないか、又は、金属反射層を用いる場合でも、十分な光透過が得られる程度に薄くすることが必要となる。
しかしながら、金属反射層が設けられていない場合や、金属反射層が薄い場合においては、前記の放熱効果が不十分となるため、非晶質マークを形成する際に再結晶化が起こりやすく、きれいな非晶質マークが形成しにくいという課題がある。
記録層の組成を変更させることにより結晶化速度等を遅くし再結晶化を防止するという方策はある。しかし今度は、結晶化速度が遅いために、非晶質マークが形成された後、消去パワーにて照射される部分(以下、消去パワー照射部と称する)の非晶質マークの結晶化が不十分になり、非晶質マークを消去することができないという課題がある。
すなわち、金属反射層がない又は薄い相変化型媒体に記録を行なう場合は、消去パワー照射部の十分な消去率を保ったまま記録時マークの再結晶化を防止することが困難となって、書き換え可能な記録媒体として使用可能な結晶化速度の範囲が狭くなってしまうという課題がある。
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、書き換え可能な相変化型記録媒体において、反射層が薄いか又はなくても非晶質マークの形成と消去とを容易に行なえ、また、使用可能な結晶化速度の範囲を狭めずに行なえるような、相変化型記録媒体の記録方法を提供することを目的とする。
このため、本発明の要旨は、相変化型記録層を有する相変化型記録媒体に、少なくとも相対的に高いパワー値を有する高パワーエネルギービームと相対的に低いパワー値を有する低パワーエネルギービームとの2種類を交互に該記録媒体に照射し該相変化型記録層に長さnT(Tは基準クロック周期、nは4以上の自然数)の非晶質マークを形成する、相変化型記録媒体の記録方法であって、該高パワーエネルギービームを最初に照射する区間である先頭パルスの直前に設けられ、該低パワーエネルギービームを第1設定時間yT(yは0以上の数)照射する前段低パワーパルス照射ステップと、該先頭パルスの直後に設けられ、該低パワーエネルギービームを第2設定時間xT(xは0よりも大きい数)照射する後段低パワーパルス照射ステップとをそなえ、該xと該yとの間に、0.95≦x+0.7*y≦2.5の関係があり、かつ、それに続く高パワーエネルギービームを照射する区間である後続パルスの各々の照射周期は、0.5T以上1.5T以下であることに存する。
従って、以上詳述したように、本発明の記録方法によれば、相変化型媒体において金属反射層がなくても、薄い相変化型媒体特有の記録時マークの再結晶化を防止できる利点があり、また、分割パルス前端部以外は従来どおりのパルスが使えるため、技術的にも変更点が少なく、回路設計を容易にできる利点がある。
金属反射層がない又は薄い相変化型記録媒体にマーク長の記録を行なう場合でも消去パワー照射部の十分な消去率を保持したまま、記録時マークの再結晶化を防止でき、使用可能な結晶化速度の範囲が狭くなるのを解消できる利点がある。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
本発明者は、放熱効果が小さいような構成の相変化型記録媒体においては、記録時のマーク再結晶化はマークの前端部からマークの後端部に向かって、再結晶化が進みやすいことを見い出した。そして、マークの前端部、つまりマークが形成され始める部分を急冷させる工夫をすることにより、マーク再結晶化が防止できることを見い出し、本発明に至った。
本発明によれば、パルス分割法を用いて記録を行なう際に、非晶質マークを形成するための一連のパルスパターンにおいて、マークの前端部を形成する記録パルスに隣接して長いオフパルスを入れるので、マーク前端部を特に急冷させることができ、再結晶化を防止できる。
即ち一連のパルスパターンにおいて、マークの前端部を形成する記録パルス、オフパルスのみを従来方法から変更することによって、再結晶化を防止することを可能にしたのである。本発明によればそれ以外のパルスパターンは従来技術を用いたパルス分割を使えるため、技術的にも変更点が少なく、回路設計も容易となる。
本発明は、たとえば相変化型記録層を有する光ディスクに適用できる。光ディスクには通常、螺旋状または同心円状に溝が形成され、その溝の内部、または溝と溝の間のランド部を記録トラックとして記録再生が行なわれる。たとえば相変化型光ディスクの一種であるCD−RWやDVD−RWなどでは、溝の内部を記録トラックとして、結晶状態の記録層に非晶質マークが形成される。
また、これら光ディスクは通常、基板上に、保護層/相変化型記録層/保護層/反射層を有してなる。或いは大容量化などのために2層以上の記録層を有する媒体においては、基板上に、保護層/相変化型記録層/保護層/樹脂層/保護層/相変化型記録層/保護層/反射層を有してなる場合がある。又はこのような光ディスクを2枚貼合せる場合もある。いずれも、基板側からエネルギービームを入射して記録再生が行なわれる。また、基板上の層構成を全く逆にして、エネルギービームを基板とは逆側から入射して記録再生が行なわれる場合もある。
本発明は、記録層に隣接した反射層または保護層を介した反射層を有しない媒体である場合、又は記録層に隣接した反射層または保護層を介した膜厚が30nm以下のごく薄い反射層を有する媒体において、その効果が顕著である。
換言すれば、従来の通常の厚さの反射層を有する媒体が再結晶化しやすい場合は、マーク前端部を急冷することによる再結晶化の防止効果は相対的に小さい。
再結晶化の過程はいくつかあるが、代表的なものは以下のように考えられる。非晶質マークを形成する際に、形成された非晶質領域が、その非晶質領域と周囲の結晶領域との縁部から、再結晶化していく過程である。
そして、本発明者の検討によれば、放熱効果が小さい媒体の場合は、再結晶化は、マーク前端部の、特にマークの幅方向(トラック方向に直交する方向)の中心付近から起こりやすく、そこからマークの後端部に向かって進むと推測される。一方、放熱効果が大きい媒体の場合は、マークの幅方向の端部から中心に向かって再結晶化が進みやすいと推測される。
本発明はマーク前端部を急冷し再結晶化を抑えるので、放熱効果が小さい媒体に適用すると、マーク前端部から後端部への再結晶化の進行も抑えることができ、特にその効果が高い。従って、記録層に隣接した反射層または保護層を介した反射層を有しない媒体である場合、又は記録層に隣接した反射層または保護層を介した膜厚が30nm以下のごく薄い反射層を有する媒体において、効果が顕著である。
たとえば、相変化型記録媒体が、間に他の層を介して2層以上の相変化型記録層を有する媒体である場合、上述のように、記録再生用エネルギービームに対して遠い方の相変化型記録層にもエネルギービームを届かせる必要があるので、それまでの光路中に厚い反射層を設けることができない。従って、ビームに対して近い方の相変化型記録層は、記録層に隣接した反射層または保護層を介した反射層を有しないか、有しても膜厚が30nm以下のごく薄い反射層に限られてしまう。本発明はこのような媒体の、記録再生用エネルギービームに対して近い方の相変化型記録層の記録に用いると効果が高い。
本発明においては、マーク前端部の再結晶化を防止するために、この部分を急冷させることが必要である。まず、図1及び図2を用いて、パルスパターンについて説明する。
図1は本発明の記録方法に用いるパルスパターンの一例を示すレーザーパルス波形図である。横軸は時間を表し、縦軸はレーザーパワーを表す。Pwは記録パワー、Peは消去パワー、Pbはバイアスパワー、Prは再生パワーである。基本的には、マーク形成には記録パワーPwとバイアスパワーPbを用い、消去には消去パワーPeを用いる。記録した情報の再生には再生パワーPrを用いる。
以下の説明において、高パワー(記録パワーPw)で出力されるパルスを記録パルスと称し、記録パルスが照射される区間を記録パルス区間又は記録パワー照射区間と呼ぶことがある。これは高パワーレーザー照射部に相当する。
また、低パワー(バイアスパワーPb)で出力されるパルスをオフパルスと称しオフパルスが照射される区間をオフパルス区間又はバイアスパワー照射区間と称することがある。これは低パワーレーザー照射部に相当する。
図1は、長さ10T(Tは基準クロック周期を表す)のマークを形成する例を示している。図1に示すパルスパターンは、符号1から符号9と付した例えば9本の記録パルスに分割されている。一般に、長さnTのマークを形成する場合には、記録パルス数mはn、n−1、n−2のいずれかである。図1の場合はm=n−1である。
また、これら9本の記録パルス1〜9のパワー値は、それぞれ記録パワーPwに等しく、そして、各記録パルス前後の各オフパルスのパワー値は、それぞれバイアスパワーPbに等しい。さらに、記録パルス、オフパルスが照射される以外の区間での照射パワー値は、消去パワーPeに等しい。
通常、記録パワーPwは20mW以下が好ましく、14mW以下がより好ましい。一般に相変化型光記録媒体は、低いレーザーパワーで記録できる媒体ほど好ましい。使用するレーザーの出力が小さくて済むからである。ただし、記録パワーPwは8mW以上が好ましい。あまり低パワーで記録可能であるということは即ち、再生する際に劣化しやすいことにつながる。
消去パワーPeは、オーバーライト(重ね書き)の際、消去されるべき古い非晶質マークが十分に結晶化するような値を選択すればよい。通常、記録パワーPwの30%〜70%程度である。
再生パワーPrは、記録情報を再生する際に照射されるビームのパワーであり、記録情報を消去することのないよう、低い値を選択する。通常、0.5〜1.0mWである。
バイアスパワーPbは、記録パワーPwにより加熱された記録層が急激に冷却され、非晶質マークが形成されるような値を選択する。記録層の冷却速度を上げるためには、バイアスパワーPbは小さい方が好ましい。バイアスパワーPbと消去パワーPeとの比で言えば、通常、Pb/Pe≦0.5であり、好ましくは、Pb/Pe≦0.3である。トラッキング性能等を考慮すると、バイアスパワーPbは、再生パワーPrの値に近いか同じ値が好ましい。
本発明の記録方法は、相変化型記録層を有する相変化型記録媒体に、少なくとも相対的に高いパワー値を有する高パワーエネルギービームと相対的に低いパワー値を有する低パワーエネルギービームとの2種類を交互に該記録媒体に照射し該相変化型記録層に長さnT(Tは基準クロック周期、nは4以上の自然数)の非晶質マークを形成する、相変化型記録媒体の記録方法であって、該高パワーエネルギービームを最初に照射する区間である先頭パルスの直前に設けられ、該低パワーエネルギービームを第1設定時間yT(yは0以上の数)照射する前段低パワーパルス照射ステップと、該先頭パルスの直後に設けられ、該低パワーエネルギービームを第2設定時間xT(xは0よりも大きい数)照射する後段低パワーパルス照射ステップとをそなえ、該xと該yとの間に、0.95≦x+0.7*y≦2.5の関係がある。
すなわち本記録方法は、従来のパルス分割方式を用いた場合と比較して、図1に示す先頭パルス(記録パルス1)の前後にあるオフパルス区間の幅が長くなるようにされている。
図1のパルスパターンでは、マーク前端部の急冷のために、マーク形成用分割パルスの先頭パルス(記録パルス1)と2番目のパルス(記録パルス2)との間に、幅xTの低パワーのオフパルスが設けられている。ここで、xは0よりも大きい数を表す。
本発明者らの検討によれば、少なくともレーザーパワー等の条件が通常の範囲であれば、前記の低パワーレーザー照射部(オフパルス)xTの時間幅を従来より著しく長くした場合に、マーク前端部が急冷されやすく、優れた記録特性が得られることが明らかとなった。以降、記録パルス1のあとの幅xTのオフパルスを、xTパルスと称することがある。
また、先頭パルスの直前に、幅yTのオフパルスを設けることも有効である。ここで、yは0以上の数を表す。以降、記録パルス1の前の幅yTのオフパルスをyTパルスと称することがある。
xと0.7*yの合計が小さすぎると、マーク前端部の急冷の効果が得られない。従って0.95以上とする。好ましくは1.3以上とする。また、xと0.7*yの合計が大きすぎると、古い非晶質マークが消去されなかったり、先頭パルスによる非晶質部と、記録パルス以降の非晶質部とが光学的に分離されてしまう可能性がある。従って2.5以下とする。好ましくは2.0以下とする。
また、このyの値は小さくてもよく0でもよい。yが0の場合は、記録パワーPwを最初に照射する区間である先頭パルスが所定時間照射され(先頭パルス照射ステップ)、そして、その先頭パルス照射ステップの直後に設けられ、バイアスパワーPbが第2設定時間xT照射され(後段低パワーパルス照射ステップ)、このxが、0.95≦x≦2.5の関係になるようにすることもできる。即ち、yTパルスを設けず、xTパルスを長くするだけでも効果がある。
しかしながらyTを設けないで同等の冷却効果を得るために、xTパルスを長くする必要があるため、記録パルス1がより前に出てしまい、全体として形成されるマークの長さが長めになる可能性がある。従ってxTパルスとyTパルスの両方を組み合わせるのが好ましく、また、有効である。
xの値は、小さ過ぎると、マーク前端部の再結晶化が抑制されにくくなるため、通常は、0.1以上にされており、好ましくは、0.3以上である。ただし、xの値は、大き過ぎると、古い非晶質マークが消去されなかったり、先頭パルスによる非晶質部と、記録パルス以降の非晶質部とが光学的に分離されてしまう可能性があるので、通常は2.0以下にされている。
yの値は、大き過ぎると、やはり、オーバーライト時に、古いマークの結晶化が不十分になる可能性があるので、通常は2.0以下とする。
本発明は、マークを記録パルスが2以上あるパルスパターンで形成する場合に用いるのが好ましい。3Tマーク(nTマークにおいてn=3)などの短マークは、記録パルスが1本しかないパルスパターンで形成される場合がある。記録パルスが1本しかない場合は、記録パルス1の後にはバイアスパワーPb、又は消去パワーPeしか照射されないため、比較的急冷されやすい。一方、記録パルスが2以上ある場合は、記録パルス1の後にオフパルスがあっても、その次に高パワーの記録パルス2が照射されるため、急冷されにくい。従って本発明のごとくxTパルスとyTパルスを長くする効果が大きい。従って本願は4Tマーク(nTマークにおいてn=4)以上の長さのマークの形成に適用するのが好ましい。
次に、この図1に示す記録パルス1〜9のパルス幅について、図2を用いて説明する。
図2は本発明の記録方法に用いるパルスパターンの一例におけるパルス幅の説明図である。この図2に示す記録パルスの数は合計m個(mは自然数を表す)であって、例としてm=6の場合を示している。さらに、各記録パルス1〜6は、それぞれパルス幅α1T〜α6Tを有し、また、各記録パルスに続いて、それぞれβ1T〜β6Tのパルス幅を有するオフパルスがある。そして、これらm個の記録パルスとm個のオフパルスとを合わせた全体の時間幅は概ねマークの長さnTに相当する。従って、次の式(3)が成立する。
Σm i=1(αi+βi)≒n (3)
iは自然数であり、また、αiはi番目の記録パルス幅を決定する係数であり、βiはi番目のオフパルス幅を決定する係数である。Σm i=1(αi+βi)は、iが1からmまでの(αi+βi)の総和を表す。ここで、Σm i=1(αi+βi)は厳密にnに等しい必要はなく、通常、n−2からn+2程度である。
ここで、図2に示す先頭パルス(記録パルス1)のパルス幅α1Tは、長すぎると、加熱されすぎて前後のオフパルスを長くしても再結晶化を抑制できずマークが再結晶化しやすくなる。従って、1.5T以下が好ましく、1.0T以下がより好ましく、さらに好ましくは0.8T以下である。しかし短か過ぎると、記録層の温度の上昇が不十分となるので、好ましくは0.2T以上、より好ましくは0.3T以上とする。
またパルス幅α1Tを前記第2設定時間xTより短くすると、マーク前端部の急冷効果がより大きくなり好ましい。
さらに、2番目以降の記録パルスのパルス幅αiT(iは、i≧2なる自然数)も、長すぎると再結晶化の抑制が困難になるので、0.8T以下が好ましく、0.6T以下がより好ましい。しかし短か過ぎると、記録層の温度の上昇が不十分となるので、好ましくは0.2T以上、より好ましくは0.3T以上とする。
また、最後端のβm(例えばβ6)は通常0T〜1.5Tであり、この幅を変更することによって、非晶質マークの長さを制御できる。これは、長過ぎると、オーバーライト時に古いマークの結晶化が、不十分になる可能性があるからである。
本発明においてはまた、先頭パルス(記録パルス1)に続く高パワーエネルギービームを照射する区間である後続パルス(記録パルス2以降)の各々の照射周期を1Tに近い値とする。具体的には、0.5T以上1.5T以下とする。ここで、周期は記録パルスの立上がりから、次の記録パルスの立上がりまでの時間幅である。
すなわち、αi+βi(iは、i=2〜m−1なる自然数)の値を1に近い値とする。具体的には、0.5以上1.5以下とする。αi+βi(iは、i=2〜m−1なる自然数)の値が1から大きく異なる場合には、次のような問題点が生じる。
非晶質マークを形成するには、βiをある程度大きくし冷却速度を大きくする必要がある。しかしαi+βiが1よりずっと小さいと、βiを十分大きくできないため、冷却速度が小さくなりマークが再結晶化しやすい。逆にβiを大きくするとαiが小さくなり、記録層の温度が十分に上がりにくい。
一方、αi+βi(iは、i=2〜m−1なる自然数)の値を1よりずっと大きくした例は、特開平9−134525号公報(米国特許第5,732,062号公報)に記載されている。しかしながら例えば、αi+βiの値を2以上のある値に固定すると、記録パルス(とそれに付随するオフパルス)を1つ増やすとマーク長が2Tぶん増えてしまうため、この記録方法ではnTマークと(n+1)Tマークのように、差が1Tである2種のマークを記録し分けることができない。
そこで例えば、αi+βiの値が1になるような記録パルス(とそれに付随するオフパルス)をnTマーク用パルスパターンのどこかに付加して(n+1)Tマーク用パルスパターンとすることで、nTマーク長と(n+1)Tマーク長の差を1Tにする。
つまり、αi+βi(iは、i=2〜m−1なる自然数)の値は均一ではなく、1及び2など異なるものが混在する。
しかし、αiやβiの値は、記録層における温度分布や温度変化過程に大きく影響するので、αiやβiの値の異なる部分では、温度分布や温度変化過程が大きく異なってしまい、マーク長を始めとするマーク形状の制御がしにくくなる。到達温度だけでなく、冷却速度等に関係する、溶融後の再結晶化領域の大きさが、記録層の温度分布にかなり影響するため、マーク形状は記録層の温度分布等によって複雑に変化する。
ある特定の記録条件において、nTマーク長と(n+1)Tマーク長の差が1Tになるようにαiとβiの値を定めることはできるかもしれない。しかしこれは非常に狭い記録条件にのみ適用できる値であって、記録パワーなどの記録条件が少し変わっただけでマーク長の差が1Tから大きくずれる可能性が高い。例えば、記録パワーを変えたり、記録装置が変わってレーザービームスポット内の光強度分布が変わったりすることにより、このような問題が生じる。
それは、αi+βiの値が異なると、記録条件の変化に対する記録層の温度分布等の変化の仕方が異なるためである。例えばαi+βiの値が1と2とでは、記録条件の変化に対してマーク形状の変化の仕方が異なるので、これらが混在するとマーク形状の制御がしにくくなる。
これに対して、本発明のごとく、αi+βi(i=2〜m−1なる自然数)の値が1に近い場合には、マーク形成用パルスの中央部のパルス列にパルスを1つ加えることにより、温度分布を大きく変えずにマークを1Tだけ長くすることができるため、このような問題は起こりにくい。αi+βi(i=2〜m−1なる自然数)の値が一定しているため、記録パワーを変えること等による温度分布の変化は、どのマーク長においても同様であるからである。
本発明によれば、マーク前端部のみの急冷により記録時の再結晶化が抑制されるので、2番目以降の記録パルスの各々の照射周期はことさら変化させる必要がない。従って、先頭パルス(記録パルス1)に続く高パワーエネルギービームを照射する区間である後続パルス(記録パルス2以降)の各々の照射周期を1Tに近い値とする。
ただし、特にマークが短いときなどには、パルスを付け足すことによりマーク前端部及び後端部の温度分布も多少変化するため、αi+βi(i=2〜m−1なる自然数)の値は1から多少ずらした方が良い場合もある。従って、高パワーエネルギービームのパルス各々の照射周期は、0.5T以上とし、好ましくは0.8T以上とする。また、1.5T以下とし、好ましくは1.2T以下とする。
なお、最後端のαm+βmは、1.5を超えて大きくしてもよい。例えば最後端のオフパルスのパルス幅βmTを変更することによって、非晶質マークの長さを制御できるという目的があるためである。
このようにして、相変化型記録層に隣接した反射層または保護層を介した反射層を有しないか又は薄い媒体に記録を行なう場合においても、消去パワー照射時には十分な消去率を保持したまま、記録時マークの再結晶化を防止でき、また、使用可能な結晶化速度の範囲を狭めることなく、記録ができる。また、再結晶化による影響は、マーク長変調記録においてより顕著であるため、本発明の効果は、マーク長変調記録においてより顕著である。
次に、本発明を適用するに適した相変化型記録媒体の構成について説明する。まず、記録層に用いられる材料について説明する。
本発明は、再結晶化しやすい材料を記録層に用いた媒体に適用すると、特に効果が顕著である。このような再結晶化しやすい材料としては、SbTe共晶点組成よりもSbが過剰に含まれる組成の材料を挙げることができる。
このような記録層の具体例としては、(Sb1-aTe1-ab1-b(0.6<a<0.9、0.7<b<1、MはGe,Ag,In,Ga,Zn,Sn,Si,Cu,Au,Pd,Pt,Pb,Cr,Co,O,S,Se,V,Nb,Taより選択される少なくとも1種類の元素)を挙げることができる。
SbTe共晶点組成よりもSbが過剰に含まれる組成の記録層は、相変化型記録媒体の記録層として通常使用されている、いわゆるGe2Sb2Te5組成の記録層より再結晶化しやすい傾向を有する。非晶質マークが再結晶化しやすいという現象が、この組成の記録層で顕著な理由は必ずしも明らかではないが、本記録層においては非晶質マーク中に結晶核の生成が見られず、周囲の結晶領域との縁部から再結晶化が進むのに対し、Ge2Sb2Te5組成の記録層においては結晶核の生成が見られることから、再結晶化のメカニズムが異なることが1つの理由として考えられる。
そして、このような組成の記録層で、放熱効果が小さい媒体においては、再結晶化は、マーク前端部の、特にマークの幅方向(トラック方向に直交する方向)の中心付近から起こりやすく、そこからマークの後端部に向かって進むと推測される。
本発明はマーク前端部を急冷し再結晶化を抑えるので、放熱効果が小さい媒体に適用すると、マーク前端部から後端部への再結晶化の進行も抑えることができ、特にその効果が高い。従って、記録層に隣接した反射層または保護層を介した反射層を有しないか膜厚が30nm以下のごく薄い反射層を有する媒体である場合に、効果が顕著である。
たとえば、相変化型記録媒体が、間に他の層を介して2層以上の相変化型記録層を有する媒体である場合、上述のように、記録再生用エネルギービームに対して遠い方の相変化型記録層にもエネルギービームを届かせる必要があるので、それまでの光路中に厚い反射層を設けることができない。従って、ビームに対して近い方の相変化型記録層は、記録層に隣接した反射層または保護層を介した反射層を有しないか、有しても膜厚が30nm以下のごく薄い反射層に限られてしまう。本発明はこのような媒体の、記録再生用エネルギービームに対して近い方の相変化型記録層の記録に用いると効果が高い。
続いて、本発明の相変化型記録媒体の層構造について、図3を用いて説明する。図3は相変化型記録媒体の層構造の一例の模式図である。この図3に示す相変化型記録媒体10は、反射層10aと、記録媒体部1と、樹脂層10eと、記録媒体部2と、基板10iとをそなえて構成されている。また、光ビームの入射方向は、この図3の下方から上方に向かう方向である。
ここで、反射層10aは、光ビームを反射し、保護層10bを介して流入する、記録層10cからの熱を拡散する働きをもつ。そして、記録媒体部1は、保護層10b,10dと、記録層10cとをそなえて構成されている。また、保護層10b,10dは、それぞれ、記録層10cにおける光ビームの吸収量を制御して反射率を調整するとともに、記録層10cからの放熱を制御し記録層10cの熱変形を抑止するものである。
さらに、記録層10cは、相変化材料からなり、可逆的に結晶状態が変化してその光学特性が変化する。また、樹脂層10eは、記録層10cの位置を光ビームの焦点距離に合わせるためのスペーサ機能を発揮している。
同様に、記録媒体部2は、保護層10f,10hと、記録層10gとをそなえて構成されており、これらの保護層10f,10h及び記録層10gは、それぞれ、上記の保護層10b,10d及び記録層10cと同様の機能を有するものであるので、更なる説明を省略する。
また、基板10iは、その表面に凹部を形成するものである。この基板材料としては、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリオレフィンなどの樹脂、あるいはガラスを用いることができる。本態様においては基板を通して光ビームを入射させているので、基板10iは透明である必要がある。樹脂層10eについても基板10iと同様の材料を用いることができる。
上記の反射層10aについて、その材料等を説明する。反射層材料は反射率、熱伝導度が大きいものが好ましい。反射率、熱伝導度が大きい反射層材料としてはAg、Au、Al、Cu等を主成分とする金属が挙げられる。この中で反射率、熱伝導度が最も大きいものはAgである。
短波長ではAu、Cu、AlはAgと比較して光を吸収しやすくなるため、650nm以下の短波長レーザーを使用する場合にはAgを用いることが特に好ましい。さらにAgはスパッタリングターゲットとしての値段が比較的安く、放電が安定で成膜速度が速く、空気中で安定であるため好ましい。
Ag、Al、Au、Cu等は不純物が混ざると熱伝導度、反射率が低下するためこの点では好ましくはないが、安定性や膜表面平坦性が改善されることもあり、5原子%以下程度のCr、Mo、Mg、Zr、V、Ag、In、Ga、Zn、Sn、Si、Cu、Au、Al、Pd、Pt、Pb、Ta、Ni、Co、O、Se、Nb、Ti、N等の不純物元素を含んでも良い。反射層の膜厚は通常50〜200nmが良い。薄すぎると十分な反射率と放熱効果が得られない。厚すぎると膜応力や作製時間やコストの面で好ましくない。
なお、本態様においては、保護層10fと樹脂層10eの間に反射層を有していない。記録層10cに光ビームを届かせる必要があるので、それまでの光路中に厚い反射層を設けることはできない。しかし、膜厚が30nm以下のごく薄い反射層であれば、設けてもよい場合がある。より好ましくは20nm以下とする。
上記の層構造において、本発明の記録方法は、特に、記録媒体部2への記録に対して特に有効である。これは、記録媒体部2は、高い透過率を必要とするため、反射層を有さないかごく薄い反射層しか有しておらず、従って、放熱効果が小さいためである。
次に、上記の保護層10b,10d,10f,10hについて、その材料等を説明する。これらの保護層10b,10d,10f,10hの材料は、屈折率、熱伝導率、化学的安定性、機械的強度、密着性等に留意して決定される。一般的には、透明性が高く、また、高融点である金属や、半導体の酸化物、硫化物、窒化物や、Ca、Mg、Li等のフッ化物を用いることができる。なお、これらの酸化物、硫化物、窒化物、フッ化物は必ずしも化学量論的組成をとる必要はなく、屈折率等の制御のために組成を変更したり、混合して用いることも有効である。
また、繰り返し記録特性を考慮すると、保護層10b,10d,10f,10hの材料は、誘電体混合物が良い。より具体的には、ZnSや希土類硫化物と、酸化物、窒化物、炭化物等の耐熱化合物との混合物が挙げられる。例えば、ZnSとSiO2との混合物は、相変化型光ディスクの保護層に用いられることが多い。これらの保護層10b,10d,10f,10hの膜密度は、バルク状態の80%以上であることが、機械的強度の面から望ましい。
さらに、厚みに関しては、誘電体層(保護層)の厚みが10nm未満であると、基板10iや記録層(記録層10c,10g)の変形防止効果が不十分であり、保護層10b,10d,10f,10hとしての役目をなさない傾向がある。また、この厚みが500nmを超えると、誘電体層を基板10iに載せたときに、その反り方は、その膜の厚さに比例するので、クラックが発生しやすくなる。
特に、下部保護層10d,10hは、それぞれ、熱による基板変形を抑制する必要があり、70nm以上の厚さを有することが好ましい。これは、厚さが70nm未満では、繰り返しオーバーライト中に、微視的な基板変形が蓄積され、再生光が散乱されてノイズ上昇が著しくなるからである。
さらに、保護層10b,10d,10f,10hの厚みの上限は、成膜時間の関係によって、200nm程度が実質的に上限となるが、厚みが200nmよりも大きいと、記録層面で見た溝形状が変わってしまうので好ましくない。すなわち、溝の深さが基板10iの表面で意図した形状よりも浅くなったり、また、溝幅がやはり、基板10iの表面で意図した形状より狭くなってしまうので好ましくない。より好ましくは150nm以下である。
また、記録層10c,10gの厚みについては、3nmから20nmの範囲が好ましい。より好ましくは5〜10nmである。これは、記録層10c,10gの厚みが薄いと、結晶状態の反射率と非結晶状態の反射率との間で十分なコントラストが得られ難く、また、初期結晶化が困難になるからである。一方、厚過ぎると透過光量が小さくなる傾向がある。
なお、記録層10c,10g及び保護層10b,10d,10f,10hの厚みは、それぞれ、上記機械的強度、信頼性の面からの制限の他に、干渉効果も考慮して、レーザー光の吸収効率が良く、また、記録信号の振幅すなわち記録状態と未記録状態のコントラストが大きくなるようなものが選択される。
保護層10b,10d,10f,10h、記録層10c,10g及び反射層10aは、スパッタリング法を用いて形成されるのが通常である。さらに、記録層用ターゲット、保護層用ターゲット、必要な場合には反射層材料用ターゲットは、同一真空チャンバー内に設置したスパッタリング装置(インライン装置)上で膜形成を行なうことが各層間の酸化や汚染を防止する点で望ましい。また、生産性の面からも優れている。
本発明は上述した実施態様及びその変形例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々変形して実施することができる。
なお、記録に用いるエネルギービームは、レーザー光に限定されず、他のデバイスを用いることも可能である。
案内溝を有する0.6mm厚のポリカーボネート基板上にZnS−SiO2下部保護層(厚さ100nm)、Ge8Sb65Te27記録層(厚さ7nm)、ZnS−SiO2上部保護層(厚さ160nm)をスパッタリング法により成膜し、さらに、この上部に紫外線硬化樹脂からなる保護コートを行なった。ここで、基板の案内溝の深さは33nmであり、案内溝幅は348nmであり、また、溝ピッチは0.74μmである。
この光ディスクをレーザー波長635nm、開口数NAが0.6の光学系を有する光ディスク評価装置を用いて、線速度1.8m/sで出力パワーが3mWのDC(direct current:直流)光を照射することにより、初期結晶化した。
その後に、以下の測定を行なった。また、信号はすべて案内溝内に記録されるようにした。
まず、非晶質から結晶に戻る割合を示す消去率の測定を行なった。このときの条件を以下に示す。マーク長が約10Tで、かつ、このマーク間の長さ約10Tの単一パターン信号が、線速度が3.8m/s、基準クロック周期Tが38.2ns(1/26.16MHz)、記録パワーPw=11mW、消去パワーPe=1mW、バイアスパワーPb=再生パワーPr=1mWの各出力にて案内溝内に記録された。ここで、図1に示したパルスパターンを用い、αi(i≧1)=0.3、βi(i≧2)=0.7、x=0.7、y=0とした。
発明者は、このように記録した信号に線速度3.8m/sで所定の消去パワーPeを有するDC光を照射し、消去率の測定を行なった。そして、その結果は図4に示すようになった。
図4は消去パワーPeに対する消去率の推移を示す図である。この図4に示すように、消去パワーPe=3.5mWにて25dB程度の消去率が得られた。また、消去前の信号のC/N比は52dBであった。
次に、このディスクに記録を行ない、再生してジッタを測定した。上記記録時と基本的に同じ記録条件で、消去パワーPeは、前記で最もよい消去率が得られた3.5mWとし、記録パワーPw=11mWとし、図1に示したパルスパターンを用い、αi(i≧1)=0.3、βi(i≧2)=0.7、y=0とし、xの値を変化させて同様の単一パターンを記録した。このように記録した信号を、線速度3.8m/sで再生パワーPr=0.8mWで再生し、ジッタを測定した。その結果は、図5のようになった。
図5は後段低パワーパルス照射部のxとジッタとの関係を示す図である。このxの値が小さいとジッタは大きい一方、xが大きくなるとジッタが小さくなることがわかる。ここで、xが小さいときの再生波形からは、マークの前端部が結晶化している様子が観察された。
続いて、x=0.7としてyの値を変化させて、同様の測定を行なった。その結果を図6に示す。
図6は前段低パワーパルス照射部のyとジッタとの関係を示す図である。yの値が大きくなるとやはりジッタは小さくなる。すなわち、xとyとの両方がジッタを低減させるために、有効であることがわかる。
図7はx+0.7*yとジッタとの関係を示す図である。この図7に示すように、実験からは、(x+0.7*y)の値とジッタとが良く対応し、(x+0.7*y)≧0.95のとき、ジッタは10ns以下となり、また、(x+0.7*y)≧1.3のとき、ジッタは6.5ns以下となった。
また、透過率は記録層が非晶質状態のとき約55%、結晶状態のとき約47%であった。
なお、透過率は以下のようにして求めた。波長635nmのレーザーを、0.6mm厚のポリカーボネート基板を通して膜厚200nmのAl99.5Ta0.5膜を再生した場合の反射光量I1を測定し、また、本実施例の光ディスクを通して膜厚200nmのAl99.5Ta0.5膜を再生した場合の反射光量I2を測定した。透過率は(I2/I11/2*100(%)の式により求めた。
なお、基板が薄く反りやすいこと、透過光があり保護コートが均一ではないこと等が原因と思われるディスク内特性分布が多少あった。
以上、xとyとを特定範囲とすることによって、反射層がなくても非晶質マークの形成と消去とを容易に行なえることがわかる。
本発明の記録方法に用いるパルスパターンの一例を示すレーザーパルス波形図である。 本発明の記録方法に用いるパルスパターンの一例におけるパルス幅の説明図である。 相変化型記録媒体の層構造の模式図である。 実施例における消去パワーに対する消去率の推移を示す図である。 実施例における後段低パワーパルス照射部のxとジッタとの関係を示す図である。 実施例における前段低パワーパルス照射部のyとジッタとの関係を示す図である。 実施例におけるx+0.7*yとジッタとの関係を示す図である。
符号の説明
1,2 記録媒体部
10 相変化型記録媒体
10a 反射層
10b,10d,10f,10h 保護層
10c,10g 記録層
10e 樹脂層
10i 基板

Claims (8)

  1. 相変化型記録層を有する相変化型記録媒体に、少なくとも、相対的に高いパワー値を有する高パワーエネルギービームと、オーバーライトの際に非晶質マークを十分に結晶化できる消去パワーの50%以下の相対的に低いパワー値を有する低パワーエネルギービームとの2種類を交互に該記録媒体に照射し、該相変化型記録層に長さnT(Tは基準クロック周期、nは4以上の自然数)の該非晶質マークを形成する、相変化型記録媒体の記録方法であって、
    該高パワーエネルギービームを最初に照射する区間である先頭パルスの直前に設けられ、該低パワーエネルギービームを第1設定時間yT(yは0以上の数)照射する前段低パワーパルス照射ステップと、
    該先頭パルスの直後に設けられ、該低パワーエネルギービームを第2設定時間xT(xは0よりも大きい数)照射する後段低パワーパルス照射ステップとをそなえ、
    該xと該yとの間に下記の式(1)の関係があり(*は乗算を表す)、
    0.95≦x+0.7*y≦2.5 (1)
    該先頭パルスを照射する時間が、該第2設定時間xTよりも短い
    ことを特徴とする、相変化型記録媒体の記録方法。
  2. yは0よりも大きい数である、請求項1記載の相変化型記録媒体の記録方法。
  3. 1.3≦x+0.7*y≦2.0である、請求項1又は2記載の相変化型記録媒体の記録方法。
  4. 該相変化型記録層が、SbTe共晶点組成よりもSbが過剰に含まれる組成からなる、請求項1又は2記載の相変化型記録媒体の記録方法。
  5. 該相変化型記録層が、下記一般式(2)で表される成分を主成分とする、請求項4記載の相変化型記録媒体の記録方法。
    (Sb1-aTe1-ab1-b (2)
    (ただし、aは0.6<a<0.9の範囲の実数であり、bは0.7<b<1の範囲の実数であり、MはGe,Ag,In,Ga,Zn,Sn,Si,Cu,Au,Pd,Pt,Pb,Cr,Co,O,S,Se,V,Nb,Taより選択される少なくとも1種類の元素を表す)
  6. 該相変化型記録媒体が、該相変化型記録層に隣接した反射層または保護層を介した反射層を有しない媒体である、請求項1乃至5のいずれか一項記載の相変化型記録媒体の記録方法。
  7. 該相変化型記録媒体が、該相変化型記録層に隣接した反射層または保護層を介した膜厚が30nm以下の反射層を有する媒体である、請求項1乃至5のいずれか一項記載の相変化型記録媒体の記録方法。
  8. 該相変化型記録媒体が、間に他の層を介して2層以上の相変化型記録層を有する媒体であり、該エネルギービームに対して近い方の相変化型記録層に記録する方法である、請求項1乃至7のいずれか一項記載の相変化型記録媒体の記録方法。
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