JP2007185989A - 駆動力制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】旋回加速時の車輌の挙動を安定させること。
【解決手段】車輌に要求された総駆動トルクを前軸側(前輪5FL,5FR)と後軸側(後輪5RL,5RR)とに前後駆動トルク配分比率で配分する前後駆動トルク配分手段4と、その配分された駆動トルクを同軸上における左右夫々の車輪に左右駆動トルク配分比率で配分する左右駆動トルク配分手段11と、旋回加速時に一方の軸側(後輪5RL,5RR)の駆動トルクが他方の軸側(前輪5FL,5FR)の駆動トルクよりも大きくなるよう前後駆動トルク配分手段4を制御する前後駆動トルク制御手段12aと、この前後駆動トルク制御手段12aによって大きな駆動トルクが配分された軸側の旋回外輪(右後輪5RR)の駆動トルクが旋回加速時に当該軸側の旋回内輪(左後輪5RL)の駆動トルクよりも大きくなるよう左右駆動トルク配分手段11を制御する左右駆動トルク制御手段12bとを設けること。
【選択図】 図1

Description

本発明は、車輌の総駆動トルクを夫々の車輪に対して異なる大きさで分担させることが可能な駆動力制御装置に関する。
従来、車輌の総駆動トルクを前軸側と後軸側に任意の配分比率で分配させ得る駆動力制御装置が知られている。例えば、この種の駆動力制御装置としては、四輪駆動車において、旋回加速時に総駆動トルクをセンターデファレンシャルで前軸側よりも後軸側に多く配分させ、後輪の内の旋回内輪が空転した際にセンターデファレンシャルの差動制限トルクを変化させて後軸側の駆動力を減少させるものが下記の特許文献1に開示されている。
特開平6−99758号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示された技術においては、旋回加速時の同軸上における左右輪の駆動トルク配分については何ら言及されておらず、リヤデファレンシャルの差動制限トルクに応じた左右輪の駆動トルク配分如何では旋回加速時に車輌がアンダーステア傾向又はオーバーステア傾向の挙動を示す虞がある。
そこで、本発明は、かかる従来例の有する不都合を改善し、四輪駆動車の旋回加速時における挙動を安定させることが可能な駆動力制御装置を提供することを、その目的とする。
上記目的を達成する為、請求項1記載の発明では、車輌に要求された総駆動トルクを前軸側と後軸側とに前後駆動トルク配分比率で配分する前後駆動トルク配分手段と、この前後駆動トルク配分手段により配分された駆動トルクを同軸上における左右夫々の車輪に左右駆動トルク配分比率で配分する左右駆動トルク配分手段とを備えた駆動力制御装置において、旋回加速時に一方の軸側の駆動トルクが他方の軸側の駆動トルクよりも大きくなるよう前後駆動トルク配分手段を制御する前後駆動トルク制御手段と、この前後駆動トルク制御手段によって大きな駆動トルクが配分された軸側の旋回外輪の駆動トルクが旋回加速時に当該軸側の旋回内輪の駆動トルクよりも大きくなるよう左右駆動トルク配分手段を制御する左右駆動トルク制御手段とを設けている。
この請求項1記載の駆動力制御装置によれば、例えば、車輌が旋回加速時にアンダーステア傾向の挙動を示す場合に、後軸側に駆動トルクを多く配分し、左右夫々の後輪の内の旋回外輪の駆動トルクを旋回内輪よりも大きくすることによって、その旋回外輪の駆動トルクが全ての車輪の中で最も大きくなり、車輌に旋回方向のヨーモーメントを発生させることができる。これが為、この請求項1記載の駆動力制御装置は、そのアンダーステア傾向を解消することができる。また、車輌が旋回加速時にオーバーステア傾向の挙動を示す場合には、前軸側に駆動トルクを多く配分し、左右夫々の前輪の内の旋回外輪の駆動トルクを旋回内輪よりも大きくすることによって、その旋回外輪の駆動トルクが全ての車輪の中で最も大きくなり、車輌に旋回方向とは逆方向のヨーモーメントを発生させることができる。これが為、この請求項1記載の駆動力制御装置は、そのオーバーステア傾向を解消することができる。
上記目的を達成する為、請求項2記載の発明では、上記請求項1記載の駆動力制御装置において、総駆動トルクが大きくなるにつれて前記一方の軸側の前記他方の軸側に対する駆動トルクの比が徐々に大きくなる前後駆動トルク配分比率を設定させるよう前後駆動トルク制御手段を構成している。
この請求項2記載の駆動力制御装置によれば、前軸側と後軸側の駆動トルク配分を滑らかに変化させることができるので、その前軸側と後軸側の駆動トルクを総駆動トルクが大きくなるにつれて滑らかに大きくしていくことができる。これが為、この請求項2記載の駆動力制御装置は、前軸側と後軸側での急激な駆動トルクの変化を抑えることができる。
上記目的を達成する為、請求項3記載の発明では、上記請求項1又は2に記載の駆動力制御装置において、総駆動トルクが大きくなるにつれて前記旋回外輪の前記旋回内輪に対する駆動トルクの比が徐々に大きくなる左右駆動トルク配分比率を設定させるよう左右駆動トルク制御手段を構成している。
この請求項3記載の駆動力制御装置によれば、旋回外輪と旋回内輪の駆動トルク配分を滑らかに変化させることができるので、その旋回外輪と旋回内輪の駆動トルクを総駆動トルクが大きくなるにつれて滑らかに変化させることができる。これが為、この請求項3記載の駆動力制御装置は、その旋回外輪と旋回内輪での急激な駆動トルクの変化を抑えることができる。
上記目的を達成する為、請求項4記載の発明では、上記請求項1,2又は3に記載の駆動力制御装置において、旋回加速時に前軸側の駆動トルクが後軸側の駆動トルクよりも大きくなる又は後軸側の駆動トルクが前軸側の駆動トルクよりも大きくなる前後駆動トルク配分比率を設定させるよう前後駆動トルク制御手段を構成している。
この請求項4記載の駆動力制御装置によれば、例えば、車輌が旋回加速時にオーバーステア傾向の挙動を示す場合には、前軸側に駆動トルクを多く配分することによって、オーバーステア傾向を抑制することができる。また、車輌が旋回加速時にアンダーステア傾向の挙動を示す場合には、後軸側に駆動トルクを多く配分することによって、アンダーステア傾向を抑制することができる。
本発明に係る駆動力制御装置は、車輌の挙動に応じたヨーモーメントを滑らかな駆動トルクの変化により滑らかに発生させることができるので、その車輌の挙動の安定化が可能になる。
以下に、本発明に係る駆動力制御装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
本発明に係る駆動力制御装置の実施例1を図1から図6−3に基づいて説明する。
図1に本発明に係る駆動力制御装置が適用される車輌について例示する。本車輌は、所謂FR(Front engine Rear drive)車をベースにした四輪駆動車である。
この車輌においては、車輌前方に搭載された原動機1の出力トルクがクラッチ2と変速機3を介して前後駆動トルク配分手段4に伝達され、この前後駆動トルク配分手段4において任意の前後駆動トルク配分比率(If:Ir)で配分された変速機3からの出力トルクが各々前輪5FL,5FRと後輪5RL,5RRに対して伝達される。例えば、その前後駆動トルク配分比率(If:Ir)とは、所定の可変領域の範囲内で車輌の運動状態などに応じて任意に設定し得るものである。
ここで、その「If」は前輪5FL,5FR(前軸側)の駆動トルク配分(以下、「前輪駆動トルク配分」という。)を表し、その「Ir」は後輪5RL,5RR(後軸側)の駆動トルク配分(以下、「後輪駆動トルク配分」という。)を表す。従って、前輪5FL,5FRには、その前輪駆動トルク配分Ifに応じた駆動トルク(以下、「前輪駆動トルク」という。)Tf={Tall×If/(If+Ir)}が発生し、後輪5RL,5RRには、その後輪駆動トルク配分Irに応じた駆動トルク(以下、「後輪駆動トルク」という。)Tr={Tall×Ir/(If+Ir)}が発生する。尚、その「Tall」は、4つの車輪5FL,5FR,5RL,5RR全体の総駆動トルク(要求駆動トルク)を表したものであり、前輪駆動トルクTfと後輪駆動トルクTrとを合算したもの(Tf+Tr)である。
上述した前後駆動トルク配分手段4は、変速機3のアウトプットシャフト(図示略)からの入力トルクを前後駆動トルク配分比率(If:Ir)で分配して、前輪5FL,5FR側のプロペラシャフト(以下、「フロントプロペラシャフト」という。)6と後輪5RL,5RR側のプロペラシャフト(以下、「リヤプロペラシャフト」という。)7に各々伝達させるべく構成されている。この前後駆動トルク配分手段4としては、後述する電子制御装置(ECU)12により制御される所謂トランスファーやセンターデファレンシャル等の周知の動力分配手段が用いられる。
例えば、この種の前後駆動トルク配分手段4においては、キャリア,ピニオンギヤ,サンギヤ及びリングギヤを有するプラネタリーギヤ機構が備えられており、変速機3のアウトプットシャフトからの出力トルクがキャリアに入力され、このキャリアのトルクがピニオンギヤを介してサンギヤとリングギヤに伝達される。そして、そのサンギヤのトルクはチェーンを介してフロントプロペラシャフト6に伝達される一方、リングギヤのトルクはリヤプロペラシャフト7に伝達される。
また、そのキャリアとサンギヤとの間には、これらの係合状態を調節するクラッチ機構(例えば、油圧クラッチ)が配備されている。これが為、この種の前後駆動トルク配分手段4においては、その油圧クラッチへの油圧を可変させることによりキャリアとサンギヤとの間の係合状態が調節されるので、サンギヤとリングギヤへの入力トルクの配分を可変させてフロントプロペラシャフト6とリヤプロペラシャフト7への出力トルクの配分を調節することができる。即ち、この種の前後駆動トルク配分手段4においては、その油圧クラッチの締結力を調節することによって変速機3からの入力トルクをフロントプロペラシャフト6とリヤプロペラシャフト7に分配することができる。
この前後駆動トルク配分手段4から分配されたフロントプロペラシャフト6への入力トルクは、フロントデファレンシャル8を介して左右の前輪5FL,5FRに各々連結されたドライブシャフト9FL,9FRへと前輪駆動トルクTfとして伝達される。一方、リヤプロペラシャフト7への入力トルクは、リヤデファレンシャル10を介して左右の後輪5RL,5RRに各々連結されたドライブシャフト9RL,9RRへと後輪駆動トルクTrとして伝達される。
更に、その前輪駆動トルクTfを夫々の前輪5FL,5FR毎に見てみると、左前輪5FLには左前輪駆動トルクTflが発生し、右前輪5FRには右前輪駆動トルクTfrが発生している(Tf=Tfl+Tfr)。尚、ここで例示しているフロントデファレンシャル8は、その左前輪駆動トルクTflと右前輪駆動トルクTfrの夫々の大きさを差動制限機構が作動するときに変化させることはできるが、後述する左右駆動トルク配分手段11を有するリヤデファレンシャル10のように入力トルクを任意の大きさでドライブシャフト9FL,9FRへと分配させるものではない。
一方、その後輪駆動トルクTrを夫々の後輪5RL,5RR毎に見てみると、左後輪5RLには左後輪駆動トルクTrlが発生し、右後輪5RRには右後輪駆動トルクTrrが発生している(Tr=Trl+Trr)。
ここで、本実施例1のリヤデファレンシャル10には、一般的な差動制限機構だけでなく、リヤプロペラシャフト7からの入力トルクを任意の左右駆動トルク配分比率(Irl:Irr)で配分して、左後輪5RL側のドライブシャフト9RLと右後輪5RR側のドライブシャフト9RRに各々伝達させる左右駆動トルク配分手段11が設けられている。その「Irl」は左後輪5RLの駆動トルク配分(以下、「左後輪駆動トルク配分」という。)を表し、「Irr」は右後輪5RRの駆動トルク配分(以下、「右後輪駆動トルク配分」という。)を表している。例えば、その左右駆動トルク配分比率(Irl:Irr)とは、所定の可変領域の範囲内で車輌の運動状態などに応じて任意に設定し得るものである。
この左右駆動トルク配分手段11としては、例えば、特開平11−105573号公報に開示されているプラネタリーギヤ機構及び2つの油圧クラッチを具備した左右輪駆動力分配機構を利用することができる。この種の左右駆動トルク配分手段11においては、その夫々の油圧クラッチへの油圧を可変させることによりキャリアとサンギヤとの間の係合状態が調節されるので、サンギヤとリングギヤへの入力トルクの配分を可変させて各ドライブシャフト9RL,9RRへの出力トルクの配分を調節することができる。即ち、この種の左右駆動トルク配分手段11においても、その油圧クラッチの締結力を調節することによってリヤプロペラシャフト7からの入力トルクを夫々のドライブシャフト9RL,9RRに分配することができる。
ところで、一般的な車輌は、旋回時に加速を行うとアンダーステア傾向の挙動を示す。特に、市販されている殆どの車輌は旋回時に弱アンダーステア特性となるようサスペンションなどが設定されているので、旋回加速時のアンダーステア傾向は顕著に表れてしまう。そして、そのようなアンダーステア傾向が大きく表れると運転者が狙ったトレースラインを走行することができないので、かかる場合には旋回方向へのヨーモーメントを発生させることが有用であると知られている。ここで、その旋回方向へのヨーモーメントは、後輪5RL,5RRの内の旋回外輪の駆動トルクを残りの全ての車輪よりも大きくすることによって発生させることができる。
しかしながら、その旋回方向へのヨーモーメントを急激に発生させてしまうと、アンダーステア傾向から唐突にオーバーステア傾向へと車輌の挙動が移行する可能性があり、ニュートラルステアへと安定させるまでにアンダーステア傾向とオーバーステア傾向が繰り返されて車輌の挙動を不安定にさせてしまう虞がある。即ち、総駆動トルクTallは、図2−1に示す如く旋回加速開始時に小さく、旋回加速終了まで徐々に大きくなっていくので、総駆動トルクTallの大きい旋回加速の途中で4つの車輪5FL,5FR,5RL,5RRの駆動トルクTfl,Tfr,Trl,Trrが急激に変化する箇所があると、車輌の挙動変化が唐突に起こって不安定な挙動を示す虞がある。
例えば、かかる要因としては、図2−1に示す如く、旋回加速を始めた初期の段階で前輪駆動トルクTfが後輪駆動トルクTrよりも大きくなってしまう状況が考えられる。かかる状況においては、図2−2に示す如く、旋回加速の初期に後輪5RL,5RRの内の旋回外輪の駆動トルク(ここでは左旋回を例示するので、右後輪駆動トルクTrr)よりも左前輪駆動トルクTfl及び右前輪駆動トルクTfrが大きくなり、その右後輪駆動トルクTrrが左前輪駆動トルクTfl及び右前輪駆動トルクTfrよりも大きくなったときに唐突にオーバーステア傾向を示し、車輌の挙動を不安定にさせる虞がある。これについて前輪駆動トルク配分Ifと後輪駆動トルク配分Irを時系列で追ってみると、図2−3に示す如く、旋回加速の初期に前輪駆動トルク配分Ifが後輪駆動トルク配分Irよりも多くなり、その旋回加速の途中でその配分が入れ替わるような前後駆動トルク配分比率(If:Ir)の設定が為されているからに他ならない。
また、前輪駆動トルク配分Ifと後輪駆動トルク配分Ir、更には左後輪駆動トルクTrlと右後輪駆動トルクTrrを夫々急激に変化させてしまうと、夫々の車輪5FL,5FR,5RL,5RRの駆動トルクTfl,Tfr,Trl,Trrについても急激な変化を生じさせてしまい、これにより唐突な車輌の挙動変化を誘因するので好ましくない。
そこで、本実施例1にあっては、旋回加速中の全領域において、後輪駆動トルクTrを前輪駆動トルクTfよりも大きくし、更に、後輪5RL,5RRの内の旋回外輪の駆動トルクを残りの全ての車輪の駆動トルクよりも大きくすることが可能で、且つ、前輪駆動トルクTfと後輪駆動トルクTr、更には左後輪駆動トルクTrlと右後輪駆動トルクTrr(即ち、前輪駆動トルク配分Ifと後輪駆動トルク配分Ir、更には左後輪駆動トルク配分Irlと右後輪駆動トルク配分Irr)を滑らかに増減させることが可能な前後駆動トルク配分比率(If:Ir)及び左右駆動トルク配分比率(Irl:Irr)を設定する。
その前後駆動トルク配分比率(If:Ir)及び左右駆動トルク配分比率(Irl:Irr)は、図1に示す電子制御装置(ECU)12に設定させる。そして、この電子制御装置12には、その前後駆動トルク配分比率(If:Ir)及び左右駆動トルク配分比率(Irl:Irr)に基づいて上述した前後駆動トルク配分手段4と左右駆動トルク配分手段11の動作制御を夫々実行させ、これにより各車輪5FL,5FR,5RL,5RRの駆動トルクTfl,Tfr,Trl,Trrの制御を行う。
従って、その電子制御装置12には、前後駆動トルク配分比率(If:Ir)の設定及び前後駆動トルク配分手段4の動作制御を実行する前後駆動トルク制御手段12aと、左右駆動トルク配分比率(Irl:Irr)の設定及び左右駆動トルク配分手段11の動作制御を実行する左右駆動トルク制御手段12bとが設けられている。
ここで、本実施例1の電子制御装置12は、かかる制御を行う際に車輌が旋回加速時であるか否かを判断する必要がある。その旋回状態か否かは、ヨーレートセンサ13や横加速度センサ14の検出信号、操舵角センサ15の検出信号から判断することができる。また、加速状態か否かは、前後加速度センサ16の検出信号、アクセル開度センサ17や車速センサ18の検出信号の変化から判断することができる。
また、本実施例1の電子制御装置12における前後駆動トルク制御手段12aには、図3−1及び図3−2に示す如く、旋回加速中の全領域において、後輪駆動トルクTrが前輪駆動トルクTfよりも大きくなり、且つ、アクセル開度θaが大きくなるにつれて(即ち、原動機1の出力トルクが大きくなり、これに伴い総駆動トルクTallが大きくなるにつれて)後輪駆動トルクTrの前輪駆動トルクTfに対する比(Tr/Tf)を大きくさせる前後駆動トルク配分比率(If:Ir)を設定させる。具体的には、アクセル開度θaが大きくなるにつれて、前輪駆動トルクTfと後輪駆動トルクTrとをある一定の比例係数で滑らかに大きくさせるべく前後駆動トルク配分比率(If:Ir)の設定を行う。
従って、この前後駆動トルク制御手段12aは、図3−2に示す如く、旋回加速中において、後輪駆動トルク配分Irが前輪駆動トルク配分Ifよりも多くなり、且つ、前輪駆動トルク配分Ifを滑らかに減少させる一方で後輪駆動トルク配分Irを滑らかに増加させる前後駆動トルク配分比率(If:Ir)を設定する。これが為、本実施例1においては、旋回加速中における前輪駆動トルクTfや後輪駆動トルクTrの急激な変化が抑制されるので、車輌の挙動を安定させることができる。更に、旋回加速中の前輪駆動トルクTfが後輪駆動トルクTrよりも小さくなるので、アンダーステア傾向を抑制することができる。
また、本実施例1の電子制御装置12における左右駆動トルク制御手段12bには、図4−1及び図4−2に示す如く、旋回加速中の全領域において、後輪5RL,5RRの内の旋回外輪の駆動トルク(ここでは、右後輪駆動トルクTrr)が旋回内輪の駆動トルク(ここでは、左後輪駆動トルクTrl)よりも大きくなり、且つ、アクセル開度θaが大きくなるにつれて(即ち、原動機1の出力トルクが大きくなり、これに伴い総駆動トルクTallが大きくなるにつれて)旋回外輪の旋回内輪に対する駆動トルクの比(ここでは、Trr/Trl)を大きくさせる左右駆動トルク配分比率(Irl:Irr)を設定させる。具体的には、アクセル開度θaが大きくなるにつれて、旋回外輪の駆動トルクを下に凸のトルクカーブで単調増加させると共に、この旋回外輪の駆動トルクと後輪駆動トルクTrから求められる旋回内輪の駆動トルクを上に凸のトルクカーブで変化させるべく左右駆動トルク配分比率(Irl:Irr)の設定を行う。
従って、この左右駆動トルク制御手段12bは、図4−2に示す如く、旋回加速中において、右後輪駆動トルク配分Irrが左後輪駆動トルク配分Irlよりも多くなり、且つ、左後輪駆動トルク配分Irlを一定の比例係数で滑らかに減少させる一方、右後輪駆動トルク配分Irrを一定の比例係数で滑らかに増加させる左右駆動トルク配分比率(Irl:Irr)を設定する。これが為、本実施例1においては、旋回加速中における左後輪駆動トルクTrlや右後輪駆動トルクTrrの急激な変化が抑制されるので、車輌の挙動を安定させることができる。更に、旋回加速中の旋回外輪の駆動トルク(右後輪駆動トルクTrr)を図6−2に示す如く残りの全ての車輪よりも大きくさせることができるので、旋回加速時のアンダーステア傾向を抑える為に効果的な旋回方向へのヨーモーメントを発生させることができる。
ところで、上述した本実施例1の前後駆動トルク配分比率(If:Ir)や左右駆動トルク配分比率(Irl:Irr)については、旋回加速時の運転状態(アクセル開度θa)に対応させて設定させる。例えば、本実施例1にあっては、アクセル開度センサ17の検出信号(アクセル開度θa)と前後駆動トルク配分比率(If:Ir)又は左右駆動トルク配分比率(Irl:Irr)との対応関係を各々表した図3−2又は図4−2に示す如きマップデータなどが予め用意されている。
ここで、旋回加速時のアクセル開度θaは旋回加速時のヨーモーメントや横加速度及び前後加速度と相関関係を持つ値として捉えることができるので、前後駆動トルク配分比率(If:Ir)や左右駆動トルク配分比率(Irl:Irr)は、そのヨーモーメント又は横加速度及び前後加速度をパラメータとして持つマップデータなどにより設定させてもよい。
尚、上述した前後駆動トルク制御手段12aは、旋回加速時ではないと判断された際に、その際のヨーモーメント,横加速度や前後加速度,更にはアクセル開度などに基づいて、非旋回加速時の前後駆動トルク配分比率(If:Ir)を設定すべく構成する。かかる前後駆動トルク配分比率(If:Ir)については、車輌挙動制御の技術分野において車輌の挙動安定化を図り得る周知の設定値が用いられる。
上述した前後駆動トルク制御手段12aと左右駆動トルク制御手段12bは、そのようにして設定した前後駆動トルク配分比率(If:Ir)と左右駆動トルク配分比率(Irl:Irr)に基づいて、各々前後駆動トルク配分手段4と左右駆動トルク制御手段12bの動作制御を実行する。
例えば、その前後駆動トルク制御手段12aは、上述した油圧クラッチを具備するものを前後駆動トルク配分手段4として用いるのであれば、その油圧クラッチの油圧を制御してフロントプロペラシャフト6とリヤプロペラシャフト7への変速機3からの入力トルクの分配動作を実行させる。これが為、かかる場合には、前後駆動トルク配分比率(If:Ir)と油圧クラッチの油圧との対応関係を表した例えばマップデータなどが予め用意されている。
また、その左右駆動トルク制御手段12bは、上述した油圧クラッチを具備するものを左右駆動トルク配分手段11として用いるのであれば、その油圧クラッチの油圧を制御して後輪5RL,5RRのドライブシャフト9RL,9RRに対してリヤプロペラシャフト7からの入力トルクの分配動作を実行させる。これが為、かかる場合には、左右駆動トルク配分比率(Irl:Irr)と油圧クラッチの油圧との対応関係を表した例えばマップデータなどが予め用意されている。
尚、上述した前後駆動トルク制御手段12aが前後駆動トルク配分比率(If:Ir)を設定する際、更に、左右駆動トルク制御手段12bが左右駆動トルク配分比率(Irl:Irr)を設定する際には、各車輪5FL,5FR,5RL,5RRのスリップ率を考慮してもよい。そのスリップ率は、図1に示す各車輪5FL,5FR,5RL,5RRに設けた車輪速センサ19FL,19FR,19RL,19RRの検出信号から算出する。
次に、本実施例1における駆動力制御装置の動作を図5のフローチャートに基づいて説明する。
先ず、電子制御装置12は、ヨーレートセンサ13等の検出信号から車輌が旋回加速状態か否か判定する(ステップST1)。
ここで、車輌が旋回加速状態にあれば、電子制御装置12は、アクセル開度センサ17の検出信号(アクセル開度θa)を取得して、前後駆動トルク制御手段12aによりそのアクセル開度θaの情報を上述した図3−2に示すマップデータに照らし合わせて前後駆動トルク配分比率(If:Ir)を求める(ステップST2)。
続いて、電子制御装置12は、その左右駆動トルク制御手段12bにより後軸の旋回外輪を判断する(ステップST3)。例えば、この左右駆動トルク制御手段12bは、ヨーレートセンサ13,横加速度センサ14又は操舵角センサ15の検出信号を利用して後輪5RL,5RRの内の何れが旋回外輪であるのかの判断を行う。
しかる後、この左右駆動トルク制御手段12bは、上記ステップST2で用いたアクセル開度θaの情報を上述した図4−2に示すマップデータに照らし合わせて左右駆動トルク配分比率(Irl:Irr)を求める(ステップST4)。
このようにして前後駆動トルク配分比率(If:Ir)と左右駆動トルク配分比率(Irl:Irr)とが算出された後、前後駆動トルク制御手段12aと左右駆動トルク制御手段12bは、その前後駆動トルク配分比率(If:Ir)と左右駆動トルク配分比率(Irl:Irr)に基づいて各々前後駆動トルク配分手段4と左右駆動トルク配分手段11の動作制御を行い、全ての車輪5FL,5FR,5RL,5RRの駆動トルクTfl,Tfr,Trl,Trrを制御する(ステップST5)。
以上示したステップST1〜ST5までの処理動作は、ステップST1にて否定判定が為されるまで繰り返される。
これにより、前後駆動トルク配分手段4は、図6−3に示す旋回加速中に滑らかに変化する前輪駆動トルク配分Ifと後輪駆動トルク配分Irでフロントプロペラシャフト6とリヤプロペラシャフト7に対して変速機3からの入力トルクの分配を行う。従って、旋回加速時には、図6−1に示す如く、後輪駆動トルクTrを前輪駆動トルクTfよりも大きく保ったまま、前輪駆動トルクTf及び後輪駆動トルクTrが総駆動トルクTallの上昇に伴って一定の比例係数で滑らかに変化していく。
また、左右駆動トルク配分手段11は、図6−3に示す旋回加速中に一定の比例係数で滑らかに変化する左後輪駆動トルク配分Irlと右後輪駆動トルク配分Irrで左右のドライブシャフト9RL,9RRに対してリヤプロペラシャフト7からの入力トルクの分配を行う。従って、旋回加速時には、図6−2に示す如く、旋回外輪の駆動トルク(右後輪駆動トルクTrr)を旋回内輪の駆動トルク(左後輪駆動トルクTrl)よりも大きく保ったまま、旋回外輪の駆動トルクが下に凸のトルクカーブで滑らかに単調増加し、これに応じて旋回内輪の駆動トルクが上に凸のトルクカーブで滑らかに変化していく。
一方、上記ステップST1にて否定判定が為された場合、前後駆動トルク制御手段12aは、旋回加速時以外の前後駆動トルク配分比率(If:Ir)を算出し(ステップST6)、これに応じた前後駆動トルク配分手段4の動作制御を上記ステップST5で実行する。
以上示した如く、本実施例1の駆動力制御装置によれば、旋回加速中に各車輪5FL,5FR,5RL,5RRの駆動トルクTfl,Tfr,Trl,Trrを滑らかに変化させて、旋回加速中の全領域で後輪5RL,5RRにおける旋回外輪の駆動トルクを他の車輪よりも大きくすることができるので、アンダーステア傾向からオーバーステア傾向への唐突な変化やその逆の変化を抑制して車輌の挙動の安定化を図ることができる。また、旋回加速中に前輪駆動トルクTfが後輪駆動トルクTrよりも大きくなることがないので、アンダーステア傾向を抑制することができる。従って、この駆動力制御装置を用いることによって、車輌の挙動に応じたヨーモーメントを滑らかな駆動トルクTfl,Tfr,Trl,Trrの変化により滑らかに発生させることができるので、その車輌の挙動の安定化が可能になり、その挙動を安定させたままの旋回加速が可能になる。
ところで、ここで例示しているフロントデファレンシャル8にも上述したリヤデファレンシャル10のような左右駆動トルク配分手段を設けてもよく、これにより旋回加速時における前輪5FL,5FRの駆動トルク配分を任意に設定することができるので、より緻密で且つ滑らかな変化による各車輪5FL,5FR,5RL,5RRの駆動トルクの配分で車輌の挙動の安定化を図ることができる。
次に、本発明に係る駆動力制御装置の実施例2を図7−1から図9−3に基づいて説明する。
前述した実施例1においては、図6−3に示す如く、前輪駆動トルク配分Ifと後輪駆動トルク配分Irの旋回加速開始直後における勾配とそれ以降における勾配とが異なる。従って、その勾配の相違を可能な限り小さくすることによって、その前輪駆動トルク配分Ifと後輪駆動トルク配分Irを更に滑らかに変化させ、更なる車輌の挙動の安定化が可能になる。
そこで、本実施例2の駆動力制御装置は、前述した実施例1の駆動力制御装置において前後駆動トルク配分比率(If:Ir)を変更する。
具体的に、本実施例2の前後駆動トルク配分比率(If:Ir)としては、図7−1及び図7−2に示す如く、旋回加速中の全領域において、後輪駆動トルクTrが前輪駆動トルクTfよりも大きくなり、且つ、アクセル開度θa(総駆動トルクTall)が大きくなるにつれて後輪駆動トルクTrが下に凸のトルクカーブで滑らかに単調増加すると共に前輪駆動トルクTfが上に凸のトルクカーブで滑らかに変化するものを設定させる。
従って、本実施例2の前後駆動トルク制御手段12aには、図7−2に示す如く、旋回加速中において、後輪駆動トルク配分Irが前輪駆動トルク配分Ifよりも多くなり、且つ、前輪駆動トルク配分Ifがある一定の比例係数で滑らかに減少する一方で後輪駆動トルク配分Irがある一定の比例係数で滑らかに増加する前後駆動トルク配分比率(If:Ir)を設定させる。即ち、ここでの前後駆動トルク配分比率(If:Ir)は、前輪駆動トルク配分Ifと後輪駆動トルク配分Irをある一定の比例係数で変化させる最も滑らかなものを設定する。これが為、このような前後駆動トルク配分比率(If:Ir)を適用することにより、旋回加速中に前輪駆動トルクTfを後輪駆動トルクTrよりも小さくしてアンダーステア傾向が抑制されるだけでなく、前輪駆動トルクTfや後輪駆動トルクTrの急激な変化が更に効果的に抑制されるので、より有効に車輌の挙動の安定化を図ることができる。
尚、本実施例2の左右駆動トルク配分比率(Irl:Irr)としては、図8−1及び図8−2に示す如く、実施例1と同等のものを設定させる。
ここで、上述したが如き前後駆動トルク配分比率(If:Ir)が設定されることにより、旋回加速時の初期においては、後輪駆動トルクTrが実施例1の場合よりも減少し、前輪駆動トルクTfが実施例1の場合よりも増加する。一方、左右駆動トルク配分比率(Irl:Irr)は、旋回加速中の全領域において、後輪5RL,5RRの内の旋回外輪の駆動トルク(ここでは、右後輪駆動トルクTrr)が残りの全ての車輪の駆動トルクよりも大きくなるよう設定される。従って、実施例1とは異なり(図6−2)、図9−2に示す如く、旋回加速時の初期において旋回内輪の駆動トルク(左後輪駆動トルクTrl)が左前輪駆動トルクTfl及び右前輪駆動トルクTfrよりも大きくなってしまい、それ以降にそれらの大きさが入れ替わる、という事象を回避することができるので、旋回加速時の初期におけるアンダーステア傾向をより有効に抑えることができる。
ところで、本実施例2の前後駆動トルク配分比率(If:Ir)や左右駆動トルク配分比率(Irl:Irr)についても、実施例1と同様に、旋回加速時の運転状態(旋回加速時のヨーモーメント,横加速度や前後加速度,更にはアクセル開度など)に対応させて設定することができる。これが為、本実施例2にあっても、アクセル開度に基づいて前後駆動トルク配分比率(If:Ir)や左右駆動トルク配分比率(Irl:Irr)の設定を行わせる。従って、本実施例2においても、アクセル開度センサ17の検出信号(アクセル開度θa)と前後駆動トルク配分比率(If:Ir)又は左右駆動トルク配分比率(Irl:Irr)との対応関係を各々表した図7−2又は図8−2に示す如きマップデータなどが予め用意されている。
本実施例2の駆動力制御装置においては、実施例1と同様に、上記の如き前後駆動トルク配分比率(If:Ir)と左右駆動トルク配分比率(Irl:Irr)をアクセル開度センサ17の検出信号(アクセル開度θa)に基づいて旋回加速中に繰り返し算出し、その夫々の算出結果を用いてその都度前後駆動トルク配分手段4と左右駆動トルク配分手段11を各々制御する。
これにより、前後駆動トルク配分手段4は、図9−3に示す旋回加速中に一定の比例係数で滑らかに変化する前輪駆動トルク配分Ifと後輪駆動トルク配分Irでフロントプロペラシャフト6とリヤプロペラシャフト7に変速機3からの入力トルクを分配する。従って、旋回加速時には、図9−1に示す如く、後輪駆動トルクTrを前輪駆動トルクTfよりも大きく保ったまま、総駆動トルクTallの上昇に伴って、後輪駆動トルクTrが下に凸のトルクカーブで滑らかに単調増加し、これに応じて前輪駆動トルクTfが上に凸のトルクカーブで滑らかに変化していく。
また、左右駆動トルク配分手段11は、図9−3に示す旋回加速中に一定の比例係数で滑らかに変化する左後輪駆動トルク配分Irlと右後輪駆動トルク配分Irrで左右のドライブシャフト9RL,9RRにリヤプロペラシャフト7からの入力トルクを分配する。従って、旋回加速時には、図9−2に示す如く、旋回外輪の駆動トルク(右後輪駆動トルクTrr)を旋回内輪の駆動トルク(左後輪駆動トルクTrl)よりも大きく保ったまま、旋回外輪の駆動トルクが下に凸のトルクカーブで滑らかに単調増加し、これに応じて旋回内輪の駆動トルクが上に凸のトルクカーブで滑らかに変化していく。
以上示した如く、本実施例2の駆動力制御装置によれば、前輪駆動トルクTfと後輪駆動トルクTrを最も滑らかに変化させる前輪駆動トルク配分Ifと後輪駆動トルク配分Irで変速機3からの入力トルクを分配することができるので、実施例1と同様の効果をより有効に奏することができるようになる。
ここで、上述した実施例1,2においては車輌が旋回加速時にアンダーステア傾向の挙動を示したときについて説明している。しかしながら、旋回加速という同様の状況においても、例えば急激に加速された場合(即ち、急激にアクセル開度θaが大きくされた場合)には、車輌がオーバーステア傾向の挙動を示すことも考えられる。従って、かかる場合には、前輪5FL,5FRの内の旋回外輪の駆動トルクを残りの全ての車輪よりも大きくすることによって旋回方向とは逆方向のヨーモーメントを発生させることが有用である。
そこで、車輌が旋回加速時にオーバーステア傾向の挙動を示したときを考慮して、前後駆動トルク制御手段12aには、旋回加速中の全領域において、前輪駆動トルクTfが後輪駆動トルクTrよりも大きくなり、且つ、アクセル開度θa(総駆動トルクTall)が大きくなるにつれて前輪駆動トルクTfと後輪駆動トルクTrとが滑らかに大きくなる前後駆動トルク配分比率(If:Ir)を設定させる。その際、その前輪駆動トルクTfと後輪駆動トルクTrは、実施例1と同様にある一定の比例係数で大きくしていってもよく、実施例2と同様に前輪駆動トルクTfを下に凸のトルクカーブで滑らかに単調増加させると共に後輪駆動トルクTrを上に凸のトルクカーブで滑らかに変化させてもよい。
一方、左右駆動トルク制御手段12bには、旋回加速中の全領域において、前輪5FL,5FRの内の旋回外輪の駆動トルクが旋回内輪の駆動トルクよりも大きくなり、且つ、アクセル開度θa(総駆動トルクTall)が大きくなるにつれて旋回外輪の旋回内輪に対する駆動トルクの比を大きくさせる左右駆動トルク配分比率(Irl:Irr)を設定させる。その際には、実施例1,2と同様に旋回外輪の駆動トルクを下に凸のトルクカーブで単調増加させると共に旋回内輪の駆動トルクを上に凸のトルクカーブで変化させてもよい。
これにより、旋回加速中に各車輪5FL,5FR,5RL,5RRの駆動トルクTfl,Tfr,Trl,Trrを滑らかに変化させて、旋回加速中の全領域で前輪5FL,5FRにおける旋回外輪の駆動トルクを他の車輪よりも大きくすることができるので、オーバーステア傾向からアンダーステア傾向への唐突な変化やその逆の変化を抑制して車輌の挙動の安定化を図ることができる。また、旋回加速中に後輪駆動トルクTrが前輪駆動トルクTfよりも大きくなることがないので、オーバーステア傾向を抑制することができる。
また、上述した実施例1,2においてはFR車をベースにした四輪駆動車について例示しているが、所謂FF(Front engine Front drive)車をベースにした四輪駆動車においても同様の駆動力制御装置を適用することができる。
また、上述した実施例1,2においては前後駆動トルク配分手段4と左右駆動トルク配分手段11を具備する車輌(即ち、前軸と後軸に動力を分配する動力分配機構、左右輪に動力を分配する動力分配機構を有する車輌)について例示しているが、例えば、夫々の車輪5FL,5FR,5RL,5RRに電動機(インホイールモータ等)を個別に設け、その全ての電動機によって上述した総駆動トルクTallを発生させることが可能な車輌(例えば、電気自動車)においても同様の駆動力制御装置を適用することができる。かかる場合、その夫々の車輪5FL,5FR,5RL,5RRの電動機自体が前後駆動トルク配分手段4及び左右駆動トルク配分手段11としての機能を為す。
更に、上述した実施例1,2と同様の駆動力制御装置は、上述した総駆動トルクTallに相当するものを原動機と電動機の双方から発生させる車輌(例えば、所謂ハイブリッド車)においても適用することができる。
以上のように、本発明に係る駆動力制御装置は、旋回加速中における車輌の挙動の安定化を図る技術として有用である。
本発明に係る駆動力制御装置の構成について示す図である。 旋回加速時の総駆動トルクに対する前輪駆動トルク配分と後輪駆動トルク配分の変化を示すタイムチャートであって、従前の不都合について説明する図である。 旋回加速時の後輪駆動トルクに対する左後輪駆動トルクと右後輪駆動トルクの変化を示すタイムチャートであって、従前の不都合について説明する図である。 旋回加速時の前輪駆動トルク配分と後輪駆動トルク配分の変化及び左後輪駆動トルク配分と右後輪駆動トルク配分の変化を示すタイムチャートであって、従前の不都合について説明する図である。 実施例1におけるアクセル開度に応じた旋回加速時の前輪駆動トルクと後輪駆動トルクの変化を示す図である。 実施例1におけるアクセル開度に応じた旋回加速時の前輪駆動トルク配分と後輪駆動トルク配分の変化を示す図である。 実施例1におけるアクセル開度に応じた旋回加速時の左後輪駆動トルクと右後輪駆動トルクの変化を示す図である。 実施例1におけるアクセル開度に応じた旋回加速時の左後輪駆動トルク配分と右後輪駆動トルク配分の変化を示す図である。 本発明に係る駆動力制御装置の動作について示すフローチャートである。 実施例1における旋回加速時の総駆動トルクに対する前輪駆動トルク配分と後輪駆動トルク配分の変化を示すタイムチャートである。 実施例1における旋回加速時の後輪駆動トルクに対する左後輪駆動トルクと右後輪駆動トルクの変化を示すタイムチャートである。 実施例1における旋回加速時の前輪駆動トルク配分と後輪駆動トルク配分の変化及び左後輪駆動トルク配分と右後輪駆動トルク配分の変化を示すタイムチャートである。 実施例2におけるアクセル開度に応じた旋回加速時の前輪駆動トルクと後輪駆動トルクの変化を示す図である。 実施例2におけるアクセル開度に応じた旋回加速時の前輪駆動トルク配分と後輪駆動トルク配分の変化を示す図である。 実施例2におけるアクセル開度に応じた旋回加速時の左後輪駆動トルクと右後輪駆動トルクの変化を示す図である。 実施例2におけるアクセル開度に応じた旋回加速時の左後輪駆動トルク配分と右後輪駆動トルク配分の変化を示す図である。 実施例2における旋回加速時の総駆動トルクに対する前輪駆動トルク配分と後輪駆動トルク配分の変化を示すタイムチャートである。 実施例2における旋回加速時の後輪駆動トルクに対する左後輪駆動トルクと右後輪駆動トルクの変化を示すタイムチャートである。 実施例2における旋回加速時の前輪駆動トルク配分と後輪駆動トルク配分の変化及び左後輪駆動トルク配分と右後輪駆動トルク配分の変化を示すタイムチャートである。
符号の説明
1 原動機
3 変速機
4 前後駆動トルク配分手段
5FL,5FR,5RL,5RR 車輪
6 フロントプロペラシャフト
7 リヤプロペラシャフト
8 フロントデファレンシャル
9FL,9FR,9RL,9RR ドライブシャフト
10 リヤデファレンシャル
11 左右駆動トルク配分手段
12 電子制御装置(ECU)
12a 前後駆動トルク制御手段
12b 左右駆動トルク制御手段
17 アクセル開度センサ
If 前輪駆動トルク配分
Ir 後輪駆動トルク配分
Irl 左後輪駆動トルク配分
Irr 右後輪駆動トルク配分
all 総駆動トルク
Tf 前輪駆動トルク
Tfl左前輪駆動トルク
Tfr 右前輪駆動トルク
Tr 後輪駆動トルク
Trl 左後輪駆動トルク
Trr 右後輪駆動トルク

Claims (4)

  1. 車輌に要求された総駆動トルクを前軸側と後軸側とに前後駆動トルク配分比率で配分する前後駆動トルク配分手段と、該前後駆動トルク配分手段により配分された駆動トルクを同軸上における左右夫々の車輪に左右駆動トルク配分比率で配分する左右駆動トルク配分手段とを備えた駆動力制御装置において、
    旋回加速時に一方の軸側の駆動トルクが他方の軸側の駆動トルクよりも大きくなるよう前記前後駆動トルク配分手段を制御する前後駆動トルク制御手段と、
    この前後駆動トルク制御手段によって大きな駆動トルクが配分された軸側の旋回外輪の駆動トルクが旋回加速時に当該軸側の旋回内輪の駆動トルクよりも大きくなるよう前記左右駆動トルク配分手段を制御する左右駆動トルク制御手段と、
    を設けたことを特徴とする駆動力制御装置。
  2. 前記前後駆動トルク制御手段は、前記総駆動トルクが大きくなるにつれて前記一方の軸側の前記他方の軸側に対する駆動トルクの比が徐々に大きくなる前記前後駆動トルク配分比率を設定するよう構成したことを特徴とする請求項1記載の駆動力制御装置。
  3. 前記左右駆動トルク制御手段は、前記総駆動トルクが大きくなるにつれて前記旋回外輪の前記旋回内輪に対する駆動トルクの比が徐々に大きくなる前記左右駆動トルク配分比率を設定するよう構成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の駆動力制御装置。
  4. 前記前後駆動トルク制御手段は、旋回加速時に前記前軸側の駆動トルクが前記後軸側の駆動トルクよりも大きくなる又は前記後軸側の駆動トルクが前記前軸側の駆動トルクよりも大きくなる前記前後駆動トルク配分比率を設定するよう構成したことを特徴とする請求項1,2又は3に記載の駆動力制御装置。
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