JP2007185668A - 中空ラック軸の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】必要な耐久性を備えた中空ラック軸を、低荷重で精度よく製造する。
【解決手段】中空ラック軸1を、C含有率が0.20質量%以上0.40質量%以下で、Si含有率が0.5質量%以下で、Mn含有率が2.0質量%以下で、Cr含有率が0.1質量%以上1.2質量%以下で、残部がFe及び不可避不純物である組成の鋼管を使用し、鋼管の長さ方向の一部に塑性加工でラック1Aを形成した後、鋼管の全長に、その表層部のC及びNの合計含有率が0.40質量%以上となるように窒化処理を施し、その後、ラック1Aに、その表層部の硬さがHv600以上となるように高周波焼入れ処理と焼戻し処理を施して作製する。
【選択図】図1
【解決手段】中空ラック軸1を、C含有率が0.20質量%以上0.40質量%以下で、Si含有率が0.5質量%以下で、Mn含有率が2.0質量%以下で、Cr含有率が0.1質量%以上1.2質量%以下で、残部がFe及び不可避不純物である組成の鋼管を使用し、鋼管の長さ方向の一部に塑性加工でラック1Aを形成した後、鋼管の全長に、その表層部のC及びNの合計含有率が0.40質量%以上となるように窒化処理を施し、その後、ラック1Aに、その表層部の硬さがHv600以上となるように高周波焼入れ処理と焼戻し処理を施して作製する。
【選択図】図1
Description
本発明は、自動車や工作機械等のステアリング装置で使用される中空ラック軸の製造方法に関する。
近年、自動車等のステアリング装置の軽量化を図るために、このステアリング装置に使用されるラック軸を中空にしたものが提案されている。
特許文献1及び特許文献2には、鋼管の長さ方向の一部に塑性加工でラックを形成する工程を備えた中空ラック軸の製造方法が提案されている。
ところで、中空ラック軸に必要な耐久性(例えば、ラックの歯面強度、ラック歯元応力、曲げ強度)を付与するためには、中炭素鋼(例えば、C含有率が0.5質量%程度の機械構造用炭素鋼S45C)を素材とする鋼管を使用することが一般的である。
特開2004−237316号公報
特開2004−351468号公報
特許文献1及び特許文献2には、鋼管の長さ方向の一部に塑性加工でラックを形成する工程を備えた中空ラック軸の製造方法が提案されている。
ところで、中空ラック軸に必要な耐久性(例えば、ラックの歯面強度、ラック歯元応力、曲げ強度)を付与するためには、中炭素鋼(例えば、C含有率が0.5質量%程度の機械構造用炭素鋼S45C)を素材とする鋼管を使用することが一般的である。
しかしながら、中炭素鋼を素材とする鋼管を使用して、上述した特許文献1及び特許文献2に記載の方法で中空ラック軸を製造する場合には、ラックを精度よく成形するために高荷重が必要となるため、型枠に破損が生じたり、生産性が良好ではないという問題がある。
ここで、塑性加工によるラックの成形を低荷重で精度良く行うためには、低炭素鋼(例えば、C含有率が0.2質量%程度の機械構造用炭素鋼S20Cや、C含有率が0.40質量%程度の機械構造用炭素鋼S40C)を素材とする鋼管を用いて成形すればよいが、低炭素鋼を素材とする鋼管を用いて成形すると、ラックに必要な耐久性が得られなくなる場合がある。
そこで、本発明は、必要な耐久性を備えた中空ラック軸を、低荷重で精度よく製造できる方法を提供することを課題としている。
ここで、塑性加工によるラックの成形を低荷重で精度良く行うためには、低炭素鋼(例えば、C含有率が0.2質量%程度の機械構造用炭素鋼S20Cや、C含有率が0.40質量%程度の機械構造用炭素鋼S40C)を素材とする鋼管を用いて成形すればよいが、低炭素鋼を素材とする鋼管を用いて成形すると、ラックに必要な耐久性が得られなくなる場合がある。
そこで、本発明は、必要な耐久性を備えた中空ラック軸を、低荷重で精度よく製造できる方法を提供することを課題としている。
このような課題を解決するために、本発明は、鋼管の長さ方向の一部に塑性加工でラックを形成する工程を備えた中空ラック軸の製造方法において、C含有率が0.20質量%以上0.40質量%以下で、Si含有率が0.5質量%以下で、Mn含有率が2.0質量%以下で、Cr含有率が0.1質量%以上1.2質量%以下で、残部がFe及び不可避不純物である組成の鋼管を使用し、前記ラック形成加工後、鋼管の全長に、その表層部のC及びNの合計含有率が0.40質量%以上となるように窒化処理を施し、その後、ラックに、その表層部の硬さがHv600以上となるように高周波焼入れ処理と焼戻し処理を施す工程を備えたことを特徴とする中空ラック軸の製造方法を提供する。
本発明によれば、C含有率が0.20質量%以上0.40質量%以下である組成の鋼管を使用して、ラック形成加工後、鋼管の全長に、その表層部のC及びNの合計含有率が0.4質量%以上となるように窒化処理を施し、その後、ラックに、その表層部の硬さがHv600以上となるように高周波焼入れと焼戻しを施す工程を備えたことによって、低炭素鋼を素材とする鋼管を用いても、鋼管の全長とラックにそれぞれ必要な耐久性を備えることができる。
以下、本発明に係る中空ラック軸の製造方法に関して詳細に説明する。
<鋼管について>
本発明の中空ラックは、C含有率が0.20質量%以上0.40質量%以下で、Si含有率が0.5質量%以下で、Mn含有率が2.0質量%以下で、Cr含有率が0.1質量%以上1.2質量%以下で、残部がFe及び不可避不純物である組成の鋼管を使用して製造する。
<鋼管について>
本発明の中空ラックは、C含有率が0.20質量%以上0.40質量%以下で、Si含有率が0.5質量%以下で、Mn含有率が2.0質量%以下で、Cr含有率が0.1質量%以上1.2質量%以下で、残部がFe及び不可避不純物である組成の鋼管を使用して製造する。
ここで、鋼中のC含有率は、中空ラック軸に必要な耐久性を付与するために0.20質量%以上とし、ラックの加工精度を良好にするために0.40質量%以下とする。また、鋼中のSi含有率及びMn含有率は、焼入れ性を向上させるとともに、焼入れ性を向上させるために必要な元素であるが、素材コストの低減を図るために、Si含有率は0.5質量%以下とし、Mn含有率は2.0質量%以下とする。さらに、鋼中のCr含有率は、中空ラック軸に必要な耐久性を付与するために0.1質量%以上とする必要があるが、素材コストの低減を図るために1.2質量%以下とする。
<ラック形成工程後の熱処理について>
まず、上述した鋼管の長さ方向の一部に、冷間加工等の塑性加工でラックを形成した後、鋼管の全長に、その表層部(表面から所定深さ、例えば、500μmまでの部分)のC及びNの合計含有率が0.40質量%以上となるように、窒化処理を施す。この窒化処理は、例えば、アンモニアガスを導入した炉内で400〜700℃、1〜20時間加熱保持する軟窒化処理とし、窒化処理後には焼入れを施すことが好ましい。また、鋼管の全長に必要な耐久性を付与するために、この窒化処理を、鋼管の全長をなす表層部の硬さがHv300以上となるような条件で行うことが好ましい。
次に、鋼管の長さ方向の一部に形成されたラックに、その表層部(表面から所定深さ、例えば、1mmまでの部分)の硬さがHv600以上となるように、周波数10〜30kHzで、3〜10秒加熱保持する高周波焼入れを施した後、150〜300℃で1〜10時間加熱保持することによる焼戻し処理を施す。
まず、上述した鋼管の長さ方向の一部に、冷間加工等の塑性加工でラックを形成した後、鋼管の全長に、その表層部(表面から所定深さ、例えば、500μmまでの部分)のC及びNの合計含有率が0.40質量%以上となるように、窒化処理を施す。この窒化処理は、例えば、アンモニアガスを導入した炉内で400〜700℃、1〜20時間加熱保持する軟窒化処理とし、窒化処理後には焼入れを施すことが好ましい。また、鋼管の全長に必要な耐久性を付与するために、この窒化処理を、鋼管の全長をなす表層部の硬さがHv300以上となるような条件で行うことが好ましい。
次に、鋼管の長さ方向の一部に形成されたラックに、その表層部(表面から所定深さ、例えば、1mmまでの部分)の硬さがHv600以上となるように、周波数10〜30kHzで、3〜10秒加熱保持する高周波焼入れを施した後、150〜300℃で1〜10時間加熱保持することによる焼戻し処理を施す。
本発明によれば、C含有率が0.20質量%以上0.40質量%以下である組成の鋼管を使用して、ラック形成加工後、鋼管の全長に、その表層部のC及びNの合計含有率が0.4質量%以上となるように窒化処理を施し、その後、ラックに、その表層部の硬さがHv600以上となるように高周波焼入れと焼戻しを施す工程を備えたことによって、必要な耐久性を備えた中空ラック軸を低荷重で精度よく製造できる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る中空ラック軸の一例を示す斜視図である。
この中空ラック軸1は、図1に示すように、鋼管の長さ方向の周面1aの略半分にラック形成部となる凹部1bが設けられ、この凹部1bの底面をなす平坦部にラック1Aが設けられている。
本実施形態では、中空ラック軸1における耐久性(曲げ強度及びラック歯面強度)を検証するために、中空ラック軸1と同一形状の破壊検査用サンプル、曲げ強度測定用サンプル、及び歯面強度測定用サンプルを、以下に示す手順でそれぞれ作製した。
まず、表1に示すように、塑性加工性に優れた低炭素鋼管を用意し、各鋼管に600〜800℃で10〜30時間加熱保持することによる焼鈍処理を施した。
図1は、本発明に係る中空ラック軸の一例を示す斜視図である。
この中空ラック軸1は、図1に示すように、鋼管の長さ方向の周面1aの略半分にラック形成部となる凹部1bが設けられ、この凹部1bの底面をなす平坦部にラック1Aが設けられている。
本実施形態では、中空ラック軸1における耐久性(曲げ強度及びラック歯面強度)を検証するために、中空ラック軸1と同一形状の破壊検査用サンプル、曲げ強度測定用サンプル、及び歯面強度測定用サンプルを、以下に示す手順でそれぞれ作製した。
まず、表1に示すように、塑性加工性に優れた低炭素鋼管を用意し、各鋼管に600〜800℃で10〜30時間加熱保持することによる焼鈍処理を施した。
次に、この鋼管を中空ラック軸形成用型枠に嵌め込んで、荷重100〜200tonで、10〜100℃の冷間プレス加工(塑性加工)を施すことにより、鋼管の長さ方向の周面の略半分に、凹部及びラックを形成し、中空ラック軸の最終形状とした。
このとき、冷間プレス加工は、上述した特許文献2と同様に、鋼管の全周面を取り囲み、且つ、鋼管のラック形成部に貫通する孔を有する第一型枠と、第一型枠の孔に挿入可能で、ラック形成用の歯面を有する第二型枠とからなる型枠を用いて行った。そして、上述した特許文献2と同様の手順で、鋼管を第一型枠に入れた後、まず、第一型枠の孔に第二型枠を挿入して冷間プレスすることで鋼管に凹部を形成した後、この第二型枠の歯面を凹部の底面をなす平坦部に接触保持した状態で、鋼管の内部にマンドレルを押し込むことにより、凹部の底面をなす平坦部にラックを形成した。
このとき、冷間プレス加工は、上述した特許文献2と同様に、鋼管の全周面を取り囲み、且つ、鋼管のラック形成部に貫通する孔を有する第一型枠と、第一型枠の孔に挿入可能で、ラック形成用の歯面を有する第二型枠とからなる型枠を用いて行った。そして、上述した特許文献2と同様の手順で、鋼管を第一型枠に入れた後、まず、第一型枠の孔に第二型枠を挿入して冷間プレスすることで鋼管に凹部を形成した後、この第二型枠の歯面を凹部の底面をなす平坦部に接触保持した状態で、鋼管の内部にマンドレルを押し込むことにより、凹部の底面をなす平坦部にラックを形成した。
次に、アンモニアガスが導入された炉内で、500〜600℃で1〜20時間保持することにより、鋼管の全長に、軟窒化処理と油焼入れを施した。
次に、鋼管に形成されたラックに、周波数10〜30kHzで1〜10秒間加熱保持することによる高周波焼入れを施した後、150〜300℃で1〜10時間加熱保持することによる焼戻しを施し、その後、ラックに研削加工を施した。
このようにして得られた破壊検査用サンプルを用いて、鋼管の周面をなす表層部(表面から500μmまでの部分)のC含有率及びN含有率(質量比)を、電子線マイクロアナライザ( EPMA)を用いて測定し、その合計含有率(C+N含有率)を、表1に併せて示した。
次に、鋼管に形成されたラックに、周波数10〜30kHzで1〜10秒間加熱保持することによる高周波焼入れを施した後、150〜300℃で1〜10時間加熱保持することによる焼戻しを施し、その後、ラックに研削加工を施した。
このようにして得られた破壊検査用サンプルを用いて、鋼管の周面をなす表層部(表面から500μmまでの部分)のC含有率及びN含有率(質量比)を、電子線マイクロアナライザ( EPMA)を用いて測定し、その合計含有率(C+N含有率)を、表1に併せて示した。
また、得られた破壊検査用サンプルを用いて、ラックの表層部(表面から深さ2mmまでの部分)の硬さ(Hv)を、JIS Z 2244に規定されたビッカース硬さ試験法により測定した。そして、ラックの表面から深さ1mm位置の硬さを、表1に併せて示した。また、No.1の結果に基づいて、ラックの表面からの深さ位置と硬さとの関係を示す図2のグラフを作成した。
図2に示すように、No.1では、ラックの表面から深さ1mmまでの部分にHv650以上の高周波焼入れ層が形成されていることが分かる。
また、本実施形態では、比較例として、中空ラック軸1と同一形状の曲げ強度測定用サンプル及び歯面強度測定用サンプルを、中炭素鋼(S45C)を素材とした鋼管を用いて本発明の熱処理の内、窒化処理を施さずに作製した。
図2に示すように、No.1では、ラックの表面から深さ1mmまでの部分にHv650以上の高周波焼入れ層が形成されていることが分かる。
また、本実施形態では、比較例として、中空ラック軸1と同一形状の曲げ強度測定用サンプル及び歯面強度測定用サンプルを、中炭素鋼(S45C)を素材とした鋼管を用いて本発明の熱処理の内、窒化処理を施さずに作製した。
次に、得られた曲げ強度試験用サンプルを、図3に示す曲げ強度測定試験機に組み込んで、曲げ強度試験を行った。この曲げ強度試験機は、図3に示すように、固定支柱11で固定されたハウジング10に、試験用サンプル20の一端部20aを支持するとともに、他端部20bに部材30を固定した後、この部材30に負荷シリンダ40からロードセル41を介して、荷重が加えられるように構成されている。そして、部材30に加えられた荷重は、ロードセル41に接続された動歪み計50を介して荷重計60で測定される。この曲げ試験では、試験用サンプル20が破断するまで加える荷重を徐々に大きくし、試験用サンプル20が破断せずに曲がる最大荷重を曲げ強度として測定した。
この曲げ強度試験の結果を、比較例として作製したサンプルの曲げ強度を1とした時の比で、表1に併せて示した。
また、得られた曲げ強度測定試験の結果に基づいて、鋼管の周面をなす表層部のC及びNの合計含有率と、曲げ強度との関係を示す図4のグラフを作成した。
次に、得られた歯面強度測定用サンプルを、その周面が円筒体(直径30mm)の周面と接触するようにローラピッチング試験機に組み込んで、歯面強度試験を行った。この歯面強度試験は、ラックの歯面にピッチング(剥離損傷)が生じるまで、回転速度が64min-1、滑り率が25%の条件下で、歯面強度測定用サンプル及び円筒体を回転させることで行った。また、この歯面強度試験は、歯面強度測定用サンプルと円筒体との接触面に加わる面圧を、2.0〜4.0GPaの間で種々変更させて行った。
また、得られた曲げ強度測定試験の結果に基づいて、鋼管の周面をなす表層部のC及びNの合計含有率と、曲げ強度との関係を示す図4のグラフを作成した。
次に、得られた歯面強度測定用サンプルを、その周面が円筒体(直径30mm)の周面と接触するようにローラピッチング試験機に組み込んで、歯面強度試験を行った。この歯面強度試験は、ラックの歯面にピッチング(剥離損傷)が生じるまで、回転速度が64min-1、滑り率が25%の条件下で、歯面強度測定用サンプル及び円筒体を回転させることで行った。また、この歯面強度試験は、歯面強度測定用サンプルと円筒体との接触面に加わる面圧を、2.0〜4.0GPaの間で種々変更させて行った。
そして、得られた結果のうち、No.1,No.5,No.6のサンプルと、比較例として作製したサンプルの結果を用いて、ピッチングが生じるまでのサイクル(歯面強度)と、面圧との関係を示す図5のグラフを作成した。また、3.0MPaの面圧を加えた時の歯面強度を、比較例として作製したサンプルの歯面強度を1とした時の比で、表1に併せて示した。さらに、3.0MPaの面圧を加えた場合において、鋼管全長の周面をなす表層部のC+Nの合計含有率と、歯面強度との関係を示す図6のグラフを作成した。
表1及び図4〜図6に示すように、C含有率が0.20質量%以上0.40質量%以下で、Si含有率が0.5質量%以下で、Mn含有率が2.0質量%以下で、Cr含有率が0.1質量%以上1.2質量%以下である組成の鋼管を使用して、鋼管全長の周面をなす表層部のC及びNの合計含有率を0.40質量%以上とし、ラックの表層部の硬さをHv600以上としたNo.1,No.2では、それ以外のNo.3〜No.6と比べて、曲げ強度が大きく、且つ、歯面強度が大きくなっていることが分かる。
一方、本発明構成の鋼管を使用して、鋼管の全長の周面をなす表層部のC及びNの合計含有率を0.40質量%未満としたNo.3〜No.6では、曲げ強度及び歯面強度の両方を、比較例として作製したサンプルよりも大きくすることが出来なかった。
以上の結果から、中空ラック軸1を、C含有率が0.20質量%以上0.40質量%以下の低炭素鋼を素材とする鋼管に塑性加工でラック1Aを形成した後、鋼管の全長に窒化処理を施し、その後、ラック1Aに高周波焼入れと焼戻しを施すことで作製し、鋼管の全長をなす周面の表層部のC及びNの合計含有率を0.4質量%以上とし、ラック1Aの表層部の硬さをHv600以上とすることによって、優れた曲げ強度及び歯面強度が得られることを確認できた。
以上の結果から、中空ラック軸1を、C含有率が0.20質量%以上0.40質量%以下の低炭素鋼を素材とする鋼管に塑性加工でラック1Aを形成した後、鋼管の全長に窒化処理を施し、その後、ラック1Aに高周波焼入れと焼戻しを施すことで作製し、鋼管の全長をなす周面の表層部のC及びNの合計含有率を0.4質量%以上とし、ラック1Aの表層部の硬さをHv600以上とすることによって、優れた曲げ強度及び歯面強度が得られることを確認できた。
1 中空ラック軸
1a 周面
1b 凹部
1A ラック
1a 周面
1b 凹部
1A ラック
Claims (1)
- 鋼管の長さ方向の一部に塑性加工でラックを形成する工程を備えた中空ラック軸の製造方法において、
C含有率が0.20質量%以上0.40質量%以下で、Si含有率が0.5質量%以下で、Mn含有率が2.0質量%以下で、Cr含有率が0.1質量%以上1.2質量%以下で、残部がFe及び不可避不純物である組成の鋼管を使用し、
前記ラック形成加工後、鋼管の全長に、その表層部のC及びNの合計含有率が0.40質量%以上となるように窒化処理を施し、その後、ラックに、その表層部の硬さがHv600以上となるように高周波焼入れ処理と焼戻し処理を施す工程を備えたことを特徴とする中空ラック軸の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006003507A JP2007185668A (ja) | 2006-01-11 | 2006-01-11 | 中空ラック軸の製造方法 |
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JP2006003507A JP2007185668A (ja) | 2006-01-11 | 2006-01-11 | 中空ラック軸の製造方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN109690141A (zh) * | 2016-09-29 | 2019-04-26 | 爱信艾达株式会社 | 齿圈以及齿圈的制造方法 |
-
2006
- 2006-01-11 JP JP2006003507A patent/JP2007185668A/ja not_active Withdrawn
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