JP2007184465A - 半導体チップトレイ - Google Patents
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Abstract
【課題】寸法の異なる複数の半導体チップに対応可能であって、破損のおそれを最小限にして半導体チップを収納およびピックアップすることのできる半導体チップトレイを提供する。
【解決手段】半導体チップトレイは、平板1と、平板1を支持する枠体12と、平板1の表面に設けられてチップ7が載置される弾性体シート10とを備える。平板1には、表面2と裏面3の間を貫通する第一の貫通孔4と第二の貫通孔5が設けられている。弾性体シート10は、接着性を有する材料からなるとともに、第二の貫通孔5を通じて設けられた接続部材9によって平板1の裏面3に固定されている。そして、第一の貫通孔4は、載置されたチップ7の略中心に対応する位置に設けられる。
【選択図】図3
【解決手段】半導体チップトレイは、平板1と、平板1を支持する枠体12と、平板1の表面に設けられてチップ7が載置される弾性体シート10とを備える。平板1には、表面2と裏面3の間を貫通する第一の貫通孔4と第二の貫通孔5が設けられている。弾性体シート10は、接着性を有する材料からなるとともに、第二の貫通孔5を通じて設けられた接続部材9によって平板1の裏面3に固定されている。そして、第一の貫通孔4は、載置されたチップ7の略中心に対応する位置に設けられる。
【選択図】図3
Description
本発明は、半導体チップを収納するための半導体チップトレイに関する。
近年の半導体業界においては、従来の大量生産方式から、必要な時に必要な量を生産するジャストインタイム生産方式への転換が求められている。そのためには、従来のウェハロット単位、ウェハ単位ではなく、半導体チップ(以下、単にチップと称す。)一ヶ単位で生産数量を調整する必要がある。
しかしながら、従来の生産工程においては次のような問題があった。
はじめに、従来の工程について、図7および図8を用いて説明する。図7(a)はダイシング工程時のウェハの平面図、図7(b)はそのA−A´線に沿う断面図である。半導体ウェハ101は、粘着性を備えるダイシングシート103に固着されており、ダイシングシート103はリング102により固定されている。また、ウェハ101の表面には、ダイシング溝104が形成されている。ウェハ101をダイシング溝104に沿って切断することによって、個々のチップ105に分断することができる。そして、ダイシングシート103にUV光を照射して粘着力を低下させてから、真空吸着コレット8などを用いてチップ105をピックアップする。その後、チップ105に対して、ダイボンディングを行う。
図8(a)および(b)は、従来のダイボンダーのピックアップ工程における、ダイシングリング102中央部の拡大断面図である。図8(a)に示すように、ダイシングシート103には、シート引き伸ばし用リング107によって張力が加えられている。ピックアップの際には、ダイシングシート103の裏面側から突き上げピン106によりチップ105を突き上げて、隣接するチップ105同士の間隔を拡げる。次いで、真空吸着コレット(図示せず)などを用いてチップ105をピックアップする。その後、突き上げを一旦止めてから、続いてピックアップするチップ105に対して再度突き上げを行う。従来は、以上のようにしてピックアップを行っていた(例えば、非特許文献1参照)。
しかしながら、上記方法では、ダイシングシート103上にチップ105が残っている状態で、リング102をダイボンダー(図示せず)から取り外すと、シート引き伸ばし用リング107による張力がなくなることによって、図8(b)に示すように、ダイシングシート103に撓みが生じ、隣接するチップ105同士が接触してチップ105の端部が欠ける恐れがあった。このため、ダイボンダーに搭載されたウェハのダイボンドが全て終了しない状態では、次のウェハのダイボンドを行うことができず、ダイボンダーの稼動効率の低下を招くという問題があった。一方、これを避けるためには、ウェハ一枚単位やウェハロット単位での生産を行わねばならず、必要なときに必要な量の生産を行うことが困難になるという問題もあった。
こうした問題に対して、図9に示すようなチップ収納トレイ201を用いる方法が提案されている。図9(a)はチップ収納トレイ201の平面図、図9(b)はそのA−A´線に沿う断面図である。チップ収納トレイ201は、隣接するチップを仕切って収納するためのポケット202を備える。この方法によれば、ダイボンディングの前に、チッププレーサなどを用いてダイシングシート上のチップが全てポケット202に移される。したがって、チップ203を破損させる事なく生産を停止することができるので、必要な数量のみの生産が可能となる。
さらに、チップ203を収納した状態でチップ収納トレイ201を搬送しても、チップ203同士の接触や、チップ203の落下が起こるのを防ぐことができる。また、チップ収納トレイ201に段差204を設け、段差204の部分で複数のチップ収納トレイ201を積み重ねることで、チップ収納トレイ201の裏面205がポケット203に対して蓋の役割を果たすので、チップ203に埃などが付着するのを防ぐことも可能である。
しかし、ポケット202の寸法が、チップ203の寸法よりも小さいと、チップ203を収納することができなくなる。また、逆に大きすぎると、ポケット202内でチップ203の位置が定まらず、ピックアップが難しくなったり、あるいはチップ203がポケット202の側壁に衝突して破損したりする。よって、ポケット202はチップ203の寸法に対して適切な寸法でなくてはならず、チップ203の寸法が多種の場合には、それぞれの寸法に対して別々のチップ収納トレイが必要となる。従ってこの方法では、大量のチップ収納トレイが必要となるという問題があった。
この問題に対し、ポケットによってチップを固定するのではなく、平坦な粘着層を設けてチップを固着させる方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。また、無数の気孔が形成された平坦な弾性パッド上にチップを押圧し、吸着させる方法も提案されている(例えば特許文献2参照)。さらに、粘着性を有するゲルシートの上にチップを載置する、ゲルパックトレイと呼ばれるトレイも提案されている(例えば特許文献3参照)。これらの方法においては、一種類のトレイで複数の寸法の異なるチップを扱う事ができるので、トレイの種類を少なくすることができる。
しかしながら、特許文献1〜3に記載の方法では、次に述べるような問題が生じていた。
近年、半導体装置の小型化・高機能化を図るために、チップの薄型化が求められている。例えば、携帯電話では、薄型化されたチップを1つのパッケージの中に積層することによって、小型化・高機能化することが行われている。また、環境問題の観点から原材料の低減を図るために、チップを薄型化する要求もある。しかしながら、薄型化されたチップに対して特許文献1によるトレイを用いると、粘着層上に固着されたチップをピックアップし難くなったり、ピックアップの際にチップが割れてしまったりした。
また、特許文献2では、薄型化したチップを固着用弾性パッドに押圧する際に、チップが割れてしまうという問題が生じていた。
さらに、特許文献3の技術では、ピックアップの際に、載置面全体の固着力を低下させる。このため、ピックアップするチップだけではなく、載置されている全てのチップの固着力が低下してしまう。よって、例えばトレイに振動などが加わった時に、チップが動いて隣接するチップが衝突し、破損してしまう恐れがあった。
本発明はこうした問題点に鑑みてなされたものである。即ち、本発明の目的は、寸法の異なる複数の半導体チップに対応可能であって、破損のおそれを最小限にして半導体チップを収納およびピックアップすることのできる半導体チップトレイを提供することにある。
本発明のほかの目的および利点は、以下の記載から明らかとなるであろう。
本願第一の発明である半導体チップトレイは、
平板と、
前記平板を支持する枠体と、
前記平板の表面に設けられて半導体チップが載置される弾性体シートとを備え、
前記平板には、表面と裏面の間を貫通する第一の貫通孔と第二の貫通孔が設けられており、
前記弾性体シートは、接着性を有する材料からなるとともに、前記第二の貫通孔を通じて設けられた接続部材によって前記平板の裏面に固定されていて、
前記第一の貫通孔は、載置された前記半導体チップの略中心に対応する位置に設けられることを特徴とする。
平板と、
前記平板を支持する枠体と、
前記平板の表面に設けられて半導体チップが載置される弾性体シートとを備え、
前記平板には、表面と裏面の間を貫通する第一の貫通孔と第二の貫通孔が設けられており、
前記弾性体シートは、接着性を有する材料からなるとともに、前記第二の貫通孔を通じて設けられた接続部材によって前記平板の裏面に固定されていて、
前記第一の貫通孔は、載置された前記半導体チップの略中心に対応する位置に設けられることを特徴とする。
本願第二の発明である半導体チップトレイは、
平板と、
前記平板を支持する枠体と、
前記平板の表面に設けられて半導体チップが載置される弾性体シートとを備え、
前記平板には、表面と裏面の間を貫通する貫通孔が、前記半導体チップが載置される領域に少なくとも1つ以上設けられており、
前記弾性体シートは、接着性を有する材料からなるとともに、前記貫通孔を通過した気体を透過させる構造を有することを特徴とする。
平板と、
前記平板を支持する枠体と、
前記平板の表面に設けられて半導体チップが載置される弾性体シートとを備え、
前記平板には、表面と裏面の間を貫通する貫通孔が、前記半導体チップが載置される領域に少なくとも1つ以上設けられており、
前記弾性体シートは、接着性を有する材料からなるとともに、前記貫通孔を通過した気体を透過させる構造を有することを特徴とする。
本願第三の発明である半導体チップトレイは、
平板と、
前記平板を支持する枠体と、
前記平板の表面に設けられて半導体チップが載置される弾性体シートとを備え、
前記弾性体シートは、接着性を有する材料からなるとともに、前記半導体チップが載置される側の面に多数の突起を有することを特徴とする。
平板と、
前記平板を支持する枠体と、
前記平板の表面に設けられて半導体チップが載置される弾性体シートとを備え、
前記弾性体シートは、接着性を有する材料からなるとともに、前記半導体チップが載置される側の面に多数の突起を有することを特徴とする。
本願第一の発明にかかる半導体チップトレイによれば、接着性を有する弾性体シートによって半導体チップを固定する。そして、半導体チップをピックアップする際には、第一の貫通孔を通じて所望の半導体チップのみを突き上げる。したがって、破損のおそれを最小限にして半導体チップを収納およびピックアップすることが可能となる。
本願第二の発明にかかる半導体チップトレイによれば、接着性を有する弾性体シートによって半導体チップを固定するので、破損のおそれを最小限にして半導体チップを収納することができる。また、平板と弾性体シートの間を気体が透過するので、負圧を生じさせずに半導体チップを容易にピックアップすることができる。
本願第三の発明にかかる半導体チップトレイによれば、接着性を有する弾性体シートによって半導体チップを固定するので、破損のおそれを最小限にして半導体チップを収納することができる。また、弾性体シートは、半導体チップが載置される側の面に多数の突起を有するので、負圧を生じさせずに半導体チップを容易にピックアップすることができる。
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
(実施の形態1)
以下、本発明の第1の実施の形態である半導体チップトレイ(以下、単にトレイと称す。)について、図面を用いて詳細に説明する。図1(a)は、本発明の第一の実施の形態におけるトレイを示す平面図である。図1(b)は図1(a)のA−A´線に沿う断面図である。
以下、本発明の第1の実施の形態である半導体チップトレイ(以下、単にトレイと称す。)について、図面を用いて詳細に説明する。図1(a)は、本発明の第一の実施の形態におけるトレイを示す平面図である。図1(b)は図1(a)のA−A´線に沿う断面図である。
平板1は、例えば金属などを用いて形成され、半導体チップ(以下、単にチップと称す。)を載置するための表面2と、表面2に対向する裏面3を有する。この表面2には、平坦な弾性体シート10が供えられる。
弾性体シート10は、チップを固着させるための接着力を有し、ピンなどによる局所的な突撞に対して弾性変形が可能な材料を用いて形成する。例えば、シリコーンゲルシートなどを用いることができる。特許文献3に開示されているゲルシートを用いてもよい。
平板1には、表面と裏面の間を貫通する第一の貫通孔4と第二の貫通孔5が設けられている。そして、第一の貫通孔4は、載置されるチップの略中心に対応する位置に設けられる。以下、図2を用いてこれらの貫通孔の構造について詳細に説明する。図2(a)は本実施の形態における平板1を示す平面図、図2(b)はそのA−A´線に沿う断面図である。
第一の貫通孔4および第二の貫通孔5を形成するために、まず、チップの載置部6を表面2上に定める。この載置部6は、一つのチップを載置する領域であり、収納するチップの中で、最大のチップを基準にして設計することで、この載置部6よりも小さなチップを全て同様に収納することができる。一般的には、一つのトレイに複数のチップを収納するため、載置部6のパターンを、チップの載置位置に対応させて表面2に定める。例えば図2(a)のように矩形の載置部をマトリクス状に配列する。
次に、各々の載置部6の中央に位置するように、少なくとも一つずつ、第一の貫通孔4を設ける。第一の貫通孔4の形状および大きさは、ピックアップの際に使用する突上げピンを挿入できるように形成する。例えば、円筒形の突上げピンであれば、その直径に対し1.5倍から2倍程度の直径を有する円形とすることができる。
つづいて、載置部6の周囲に第二の貫通孔5を設ける。形成する位置は載置部6の外縁とし、隣接する載置部6の間に一つずつ設ける。第二の貫通孔5の形状と寸法は、第一の貫通孔4と同一にしてもよいし、明確に区別するために異なる形状としても良い。本実施の形態では、チップ7の外形寸法に対し、約10分の1程度の直径を有する円形の貫通孔を、矩形の載置部6の各頂点位置に形成しているが、例えば載置部6の四辺に其々一つずつ貫通孔を対応させてもよく、本実施の形態に限定されるものではない。以上のように、第一の貫通孔4と第二の貫通孔5を形成する。
その後、図1に示すように、弾性体シート10に接続部材9が固定され、この接続部材9が第二の貫通孔5に挿入される。接続部材9が第二の貫通孔5を通って裏面3側へ到達した後、留め具11を接続部材9に取り付けることにより、接続部材9および弾性体シート10が平板1の裏面3に固定される。接続部材9の形状は、例えば、第二の貫通孔5と同じ断面を有する柱状の部材で、その高さは平板1の厚みと等しくすることができる。例えば樹脂や金属などで形成することができ、また、接続部材9を構成する材料は、弾性体シート10と同じ材料とすることができる。この場合、後述するように、弾性体シート10と接続部材9を一体的に形成することが好ましい。
留め具11は、例えば、第二の貫通孔5の裏面3側の開口よりも大きな断面を有する円柱や半球とすることができる。接続部材9と留め具11は、ピンなどを介して機械的に固定されるか、あるいは接着剤を用いるなどして固定される。但し、弾性体シート10の露出面、即ちチップ7が載置される面は平坦に保たれる構造とする。このような構造にすることで、第二の貫通孔5の位置において弾性体シート10が平板1に固定され、第一の貫通孔4の位置において弾性体シート10が露出される。
裏面3の外縁には、枠体12が備えられる。枠体12は、例えば樹脂や金属などによって形成され、表面2の垂直方向に対して、例えば平板1の厚みに対し、2倍程度の高さを有する構造とする。複数のトレイを積み重ねたときに、各トレイの表面2と裏面3の間に隙間を形成する。枠体12の下面13に、ゴムなどの摩擦力の大きな材料で層を形成し、積み重ねた際に滑り止めとして機能するようにしてもよい。
上記の構造を有するトレイは、例えば次のような工程を経て製造される。まず、板状の金属をカットし、平板1を形成する。次に平板1に、上記に述べたように載置部6を定めた後、第一の貫通孔4および第二の貫通孔5の位置を決定し、平板1上にマーキングする。その後、例えばレーザ加工や、プレス加工によって貫通孔を形成する。
平板1の表面2に、シリコーンゲルなどの材料で、弾性体シート10と一体にして接続部材9を形成する。具体的には、第一の貫通孔4および第二の貫通孔5をそれぞれ塞いだ状態で、液体状の材料を表面2に垂らし、次いで、これを固化することによって、弾性体シート10および接続部材9を一体的に成形することができる。このとき、第一の貫通孔4は、先端が表面2と同一面にある治具、または、表面2より若干上に突出した治具を用いて塞ぐ。第二の貫通孔5は、先端が裏面3と同一面にある治具を用いて塞ぐ。そして、表面2の側から液体状の材料を垂らし、チップ載置面が平坦な状態で、冷却させるなどして固化させる。本実施の形態のように、平板1の外縁にあわせた形状にする場合には、表面2に予め枠を備えて置き、その枠内にゲルを注げばよい。これによって、第一の貫通孔4の部分においては、弾性体シート10は表面2と略同一の平面に形成される。一方、第二の貫通孔5の部分においては、材料が第二の貫通孔5の内部に入り込み、裏面3に到達した状態で固化するので、接続部材9が弾性体シート10と一体的に形成されることとなる。
前述のように其々の貫通孔を塞ぐためには、次のような治具を用いることが望ましい。まず、平板1と同じ外形寸法を有するプレートを用意し、そのプレートにおいて、平板1と同一となるように、第一の貫通孔4および第二の貫通孔5のパターンをマーキングする。次に、第一の貫通孔4の位置に、第一の貫通孔4と同一の断面を有した柱状の第一の凸部を設ける。つづいて、第二の貫通孔5の位置に、第二の貫通孔5よりも大きな断面を有する柱状の第二の凸部を設ける。そして、第一の凸部は第二の凸部よりも、平板1の厚み寸法分だけ大きく突出するような高さとする。これらを、例えば金型或いは切削によって一体に形成するか、もしくはそれぞれの凸部を別途作製し組み立てるなどして作製する。
また、例えば、予め形成してあるシリコーンゲルシートなどを表面2に敷設し、裏面3側から別途作製した接続部材9を挿入して、ゲルシートなどを平板1に固定するという方法も可能である。
この後、裏面3側から、留め具11を接続部材9へ取り付ける。最後に、平板1の外縁に、底面13にゴムなどの滑り止めを備えた枠材12を取り付けることで、本実施の形態における半導体チップトレイが完成する。
得られた半導体チップトレイでは、図3のように、弾性体シート10の上にチップ7が収納される。載置部6に対応してチップ7がそれぞれ載置されており、隣接するチップ7が接触しないように各々の載置部の中央にチップ7を載置し、間隔を設けるようにしている。載置部6よりも小さいチップ7は、載置部6内に同様に収納することができる。
本実施の形態の半導体チップトレイによれば、次に述べるような効果が得られる。
チップ7は弾性体シート10の接着力によって固着されており、隣接するチップ7が動いて接触し破損する恐れがない。従って、弾性体シート10の表面にポケットなどの凹凸が設けられていなくても収納が可能であり、さらに、チップ7の寸法や形状によらず弾性体シート10上に収納できる。したがって、半導体チップトレイの種類を個別に用意する必要がなくなるので、トレイの数を削減できる。また、特許文献2の方法のようにチップを押し付けて固着させる必要がないため、チップが損傷を受ける恐れを最小限に低減することができる。
また、本実施の形態における半導体チップトレイにチップ7が載置された状態で、複数のトレイを表面2に垂直な方向へ積み重ねて搬送を行う場合には、上方に位置するトレイの裏面と、下方に位置するトレイの表面に載置されたチップの間に隙間が生じる。よって、チップ7が外部の物品と接触して破損する恐れを低減できるので、チップ7を安全に持ち運ぶ事が可能となる。
ピックアップの際には、次のように作用する。図4は、チップをピックアップする際の様子を示す半導体チップトレイの断面図である。突上げピン6を、第二の貫通孔5を通じて弾性体シート10に突き当てると、チップ7に対応する位置で弾性体シート10が隆起する。このとき、図4に示すように、弾性体シート10には、突撞位置である第一の貫通孔4の位置を頂部とし、そこから第二の貫通孔5の位置に向かって傾斜する山形の隆起が生じる。これにより、チップ7の端部を弾性体シート10から剥離させることができる。
なお、本実施の形態では、チップ7の角に第二の貫通孔5が対応している。第二の貫通孔5の位置では、弾性体シート10が固定される。すなわち、弾性体シート10の変形が抑制される。これに対し、第二の貫通孔5から離れた位置においては、弾性体シート10の変形が抑制されにくい。すなわち、第二の貫通孔5から離れた位置では、突上げの際に、弾性体シート10がチップ7に追随して変形するため、チップ7の剥離が進みにくくなる。その結果、第二の貫通孔5付近の位置では、それ以外の位置よりも容易に、弾性体シート10がチップ7から剥離することになる。本実施の形態では、チップ7の角においての剥離が促進される。
すなわち、突き上げピン6を弾性体シート10に突き当てることによって、チップ7と弾性体シート10の接触面積が減少するので、これらの間の固着力を弱めることができる。よって、真空吸着コレット8からチップ7に対して大きな吸着力をかけずに、ピックアップを行うことができる。従って、チップ7の破損を最小限にすることが可能となる。
また、本実施の形態におけるトレイでは、ピックアップするチップ7に対してのみ、選択的に固着力を減少させることができる。すなわち、ピックアップされないチップ7については、固着面積に変化がせず、固着力が変化しない。よってピックアップの最中に、他のチップ7が動いて衝突し、破損する恐れを低減することもできる。
また、図4のように、本実施の形態によれば、ピックアップするチップ7が、その周囲のチップ7に比べて、上方に突出して位置するようになる。従って、吸着の際に、コレット8が、ピックアップするチップ7のみを容易に吸着できる。このため、周囲のチップ7とコレット8が干渉する恐れが無く、周囲のチップ7が損傷することを避ける事ができる。
なお、収納するチップにおいて、最大のチップと最小のチップの大きさが著しく異なる場合には、載置部6に対して最小のチップを載せた場合に無駄な余白が生じ、トレイの載置効率が悪くなる恐れがある。その場合には、チップサイズによってグループ分けをし、各グループで最大のサイズとなるチップに対応して載置部6を設計し、トレイを作製する。この場合においても、サイズの異なるチップを一つのグループとして扱い同一のトレイで収納できるため、トレイの種類および数量を削減する効果が得られる。
(実施の形態2)
つぎに、本発明の第二の実施の形態である半導体チップトレイについて、図面を用いて詳細に説明する。図5(a)は、半導体チップ(以下、単にチップと称す。)が載置された半導体チップトレイの平面図である。また、図5(b)は、図5(a)のA−A´線に沿う断面図である。
つぎに、本発明の第二の実施の形態である半導体チップトレイについて、図面を用いて詳細に説明する。図5(a)は、半導体チップ(以下、単にチップと称す。)が載置された半導体チップトレイの平面図である。また、図5(b)は、図5(a)のA−A´線に沿う断面図である。
平板21は、チップを載置するための表面22と、表面22に対向する裏面23を有する。そして、平板21には、表面22と裏面23の間を貫通する貫通孔(図示せず)が、半導体チップが載置される領域に少なくとも1つ以上設けられている。平板21は、精度よく加工できる点から、金属などを用いて形成されることが好ましい。
弾性体シート30は、平板21の表面22に設けられて半導体チップが載置されるシートであって、接着性を有する材料からなるとともに、貫通孔を通過した気体を透過させる構造を有する。具体的には、弾性体シート30は、メッシュ状のシートまたは多孔質のシートとすることができる。メッシュ状のシートとした場合、弾性体シート30に設ける孔は、例えば、図5(a)に示す孔31のように、チップ7の外形寸法に対して4分の1程度の直径を有する円形の孔とすることができる。
貫通孔は、通気孔としての機能を有し、この通気孔によって、平板21の裏面23側から弾性体シート30に対して空気が供給される。この貫通孔の量は、少なくともチップの密度以上でなければならず、また、平板21の機械的強度は、チップを支持するのに十分でなければならない。従って、載置するチップの仕様に応じてこの両者のバランスを取り、平板21に貫通孔を形成する。
また、弾性体シート30は、接着性を有する材料からなる。但し、気体を透過させる構造とするために、実施の形態1の弾性体シートに比較すると接着面積が小さくなることから、実施の形態1より接着性の大きい材料を用いる。具体的には、マットやカーペットなどの被着体を床などに固定する粘着シートや、前記の被着体が床などの上で滑るのを防ぐ滑り止め用のシートなどに使用される材料を用いることができる。
平板21の側面には、枠体32が備えられる。枠体32は、樹脂によって形成され、表面22の垂直方向に対して複数の半導体チップトレイを積み重ねたときに、各半導体チップトレイの枠体32が係合可能な構造とする。また、半導体チップトレイが積み重ねられた時に、上方に位置する半導体チップトレイの裏面が、下方に位置する半導体チップトレイの弾性体シート30上に載置されたチップ7を押付けるように、枠体32を設計する。
半導体チップトレイは、平板21の裏面23に、チップ7との摩擦係数が弾性体シート30より小さい樹脂シート33をさらに有することが好ましい。これにより、複数の半導体チップトレイを積み重ねたときに、樹脂シート33をチップ7に僅かに押し付けることによって、搬送の際にチップ7が動くのを防ぐことができる。
上記の構造を有する半導体チップトレイは、例えば次のような工程を経て製造される。まず、板状の金属をカットし、平板21を形成する。その後、平板21の裏面23に、低摩擦層33として樹脂などをコーティングする。次に、平板21に例えばプレス加工などによって微細な貫通孔を多数設ける。つづいて表面22に、予め作製しておいた弾性体シート30を、例えばその外縁を接着もしくは機械的に固定する事で取り付ける。その後、例えば長尺のバルク樹脂を切断して形成した外枠32を、平板21の側面に取り付ける。
以上のような構造を有する本実施の形態の半導体チップトレイにおいて、図5に示すようにチップ7が収納され、次に述べるような効果が得られる。
弾性体シート30には、ポケットなどの凹凸が設けられておらず、チップ7の寸法に係らず収納が可能である。従って、半導体チップトレイの種類および数量の削減が可能となる。その際、チップ7は弾性体シート30の接着力により固着されて面方向にて動かないため、実施の形態1と同様に、隣接するチップ7が接触し破損する恐れがない。また、本実施の形態による半導体チップトレイによれば、特許文献2の方法のようにチップを押し付けて固着させる必要がないため、チップが損傷を受ける恐れが無い。
本実施の形態による半導体チップトレイにチップ7が載置された状態で搬送を行う場合には、複数の半導体チップトレイを表面24に垂直な方向へ積み重ねる。そして、上方の半導体チップトレイと下方の半導体チップトレイにおいて枠体32が係合することにより、相互に固定される。この時、上方に位置する半導体チップトレイの裏面で、下方に位置する半導体チップトレイの表面に載置されたチップを押付ける。下方の半導体チップトレイの表面には弾性を有する弾性体シート30が備えられているため、押付けられたチップ7に対応して弾性体シート30が圧縮変形する。よって、上方の半導体チップトレイの裏面が蓋となってチップ7の飛散防止になるとともに、弾性体シート30へチップ7が押さえつけられ、チップ7が摺動しないように固定される。
また、上方の半導体チップトレイの裏面23は低摩擦層33であるから、裏面23に接触するチップ7、および弾性体シート30との間のせん断方向に対してはなんら力が加わらない。従って、チップに加わる力は、面に垂直方向の圧縮力のみとなる。よってもし上方の半導体チップトレイが動いても、下方の半導体チップトレイに載置されているチップが弾性体シート30の上で滑ったり、回転したり、湾曲したりしない。
ピックアップの際には、次のように作用する。本実施の形態においては、平板21に微細な多数の貫通孔が形成されており、この貫通孔が通気孔となって、半導体チップトレイ下面から弾性体シート30に対して常に空気が供給される状態となっている。このため、ピックアップによってチップ7が載置面から引き離される時にも、載置されているチップ7の下面が負圧にならず、ピックアップを容易に行う事ができる。よって、特許文献2のような半導体チップトレイへの空気の送入を必要としない。
(実施の形態3)
つぎに、本発明の第三の実施の形態である半導体チップトレイについて説明する。図6(a)は、本発明の第三の実施の形態におけるトレイ、および載置されたチップを示す平面図である。図6(b)は図6(a)のA−A´線に沿う断面図である。
つぎに、本発明の第三の実施の形態である半導体チップトレイについて説明する。図6(a)は、本発明の第三の実施の形態におけるトレイ、および載置されたチップを示す平面図である。図6(b)は図6(a)のA−A´線に沿う断面図である。
平板41は、チップを載置するための表面42と、表面42に対向する裏面43を有する。平板41は、精度よく加工できる点から、金属などを用いて形成されることが好ましい。
表面42には、半導体チップ(以下、単にチップと称す。)が載置される弾性体シート50が供えられる。弾性体シート50は、接着性を有する材料からなるとともに、チップが載置される側の面に多数の突起51を有する。突起51は、表面42からの高さが略同一であり、例えば、図6(b)に示すように、先端が丸みを帯びた形状とすることができる。また、突起51は、収納するチップの外形寸法よりも小さいピッチで設け、一つの突起51の外形寸法は、収納するチップの外形寸法に対して十分小さくする。本実施の形態においては、一つの突起51の面方向の直径を、チップ7の外形寸法に対し約10分の1程度としている。このようにすることにより、隣接する突起51の間を縫って、連続した間隙が生じるので、図6(b)の横方向に気体が通過する構造とすることができる。
弾性体シート50は、接着性を有する材料からなる。但し、突起51を設けることによって、実施の形態1の弾性体シートに比較すると接着面積が小さくなることから、実施の形態1より接着性の大きい材料を用いる。尚、弾性体シート50は、突起部分のみが弾性および接着性を有する材料からなっていてもよい。
半導体チップトレイは、平板41の裏面43に、チップ7との摩擦係数が弾性体シート50より小さい樹脂シート53をさらに有することが好ましい。これにより、複数の半導体チップトレイを積み重ねたときに、樹脂シート53をチップ7に僅かに押し付けることによって、搬送の際にチップ7が動くのを防ぐことができる。
上記の構造を有する半導体チップトレイは、例えば次のような工程を経て製造される。まず、平板形状の樹脂をカットし、平板41を形成する。その後、裏面43に、低摩擦層53として樹脂などをコーティングする。続いて、突起51を備える弾性体シート50を一体成型などで形成し、表面42上に固定する。その後、例えば押し出し成型によって形成した外枠52を、平板41の側面に取り付ける。
以上のような構造を有する本実施の形態の半導体チップトレイにおいて、図6に示すようにチップ7が収納され、次に述べるような効果が得られる。
本実施の形態においては、突起51の高さが略同一としているため、前述の実施例1および2と同様に、ポケットなどの凹凸がない。よって、チップ7の寸法や形状に左右されることなく収納が可能となり、トレイの種類および数量の削減が可能である。チップ7が半導体チップトレイに収納される際は、突起51の表面における接着力で固着されるため、隣接するチップ7が動いて接触し破損する恐れがない。また本半導体チップトレイによれば、特許文献2の方法のようにチップを押し付けて固着させる必要がないため、チップが損傷を受ける恐れが無い。
また、本半導体チップトレイにチップ7が載置された状態で搬送を行う場合には、複数のトレイを表面42に垂直な方向へ積み重ねる。この時には、上方のトレイと下方のトレイにおいて枠体52が係合することにより、相互に固定される。更に、実施の形態2と同様に、下方に位置するトレイに載置されたチップが、低摩擦層53で押付けられて収納されるため、飛散や衝突などの恐れなく持ち運びが可能である。
収納されているチップ7をピックアップする際には、次のように作用する。チップ7は多数の突起51を備える弾性体シート50に固着されている。この時、平板41は樹脂によって形成されており、実施の形態2と同様に、平板41を透過して弾性体シート50に空気が供給される。従って、ピックアップの際にチップ7が上方に引き剥がされても、載置されているチップ7の下面が負圧にならず、チップ7に対して大きな吸着力をかけなくてもピックアップを行う事ができるため、チップ7が破損する恐れがない。
尚、本発明の半導体チップトレイは、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得る。
1 平板 2 表面
3 裏面 4 第一の貫通孔
5 第二の貫通孔 6 突上げピン
7 チップ 8 コレット
9 接続部材 10 弾性体シート
11 留め具 12 枠体
13 下面 21 平板
22 表面 23 裏面
30 メッシュシート 31 孔
32 枠体 32 外枠
33 低摩擦層 41 平板
42 表面 43 裏面
50 突起付シート 51 突起
52 外枠 53 低摩擦層
101 半導体ウェハ 102 ダイシングリング
103 ダイシングシート 104 ダイシング溝
105 チップ 106 突き上げピン
107 シート引き伸ばし用リング 201 トレイ
202 ポケット 203 チップ
204 重ね合わせ用段差 205 チップトレイ裏面
3 裏面 4 第一の貫通孔
5 第二の貫通孔 6 突上げピン
7 チップ 8 コレット
9 接続部材 10 弾性体シート
11 留め具 12 枠体
13 下面 21 平板
22 表面 23 裏面
30 メッシュシート 31 孔
32 枠体 32 外枠
33 低摩擦層 41 平板
42 表面 43 裏面
50 突起付シート 51 突起
52 外枠 53 低摩擦層
101 半導体ウェハ 102 ダイシングリング
103 ダイシングシート 104 ダイシング溝
105 チップ 106 突き上げピン
107 シート引き伸ばし用リング 201 トレイ
202 ポケット 203 チップ
204 重ね合わせ用段差 205 チップトレイ裏面
Claims (8)
- 平板と、
前記平板を支持する枠体と、
前記平板の表面に設けられて半導体チップが載置される弾性体シートとを備え、
前記平板には、表面と裏面の間を貫通する第一の貫通孔と第二の貫通孔が設けられており、
前記弾性体シートは、接着性を有する材料からなるとともに、前記第二の貫通孔を通じて設けられた接続部材によって前記平板の裏面に固定されていて、
前記第一の貫通孔は、載置された前記半導体チップの略中心に対応する位置に設けられることを特徴とする半導体チップトレイ。 - 前記接続部材は、前記弾性体と同じ材料からなる請求項1に記載の半導体チップトレイ。
- 前記弾性体シートはシリコーンゲルシートである請求項1または2に記載の半導体チップトレイ。
- 平板と、
前記平板を支持する枠体と、
前記平板の表面に設けられて半導体チップが載置される弾性体シートとを備え、
前記平板には、表面と裏面の間を貫通する貫通孔が、前記半導体チップが載置される領域に少なくとも1つ以上設けられており、
前記弾性体シートは、接着性を有する材料からなるとともに、前記貫通孔を通過した気体を透過させる構造を有することを特徴とする半導体チップトレイ。 - 前記弾性体シートは、メッシュ状のシートである請求項4に記載の半導体チップトレイ。
- 前記弾性体シートは、多孔質のシートである請求項4に記載の半導体チップトレイ。
- 平板と、
前記平板を支持する枠体と、
前記平板の表面に設けられて半導体チップが載置される弾性体シートとを備え、
前記弾性体シートは、接着性を有する材料からなるとともに、前記半導体チップが載置される側の面に多数の突起を有することを特徴とする半導体チップトレイ。 - 前記平板の裏面に、前記半導体チップとの摩擦係数が前記弾性体シートより小さい樹脂シートをさらに有する請求項4〜7のいずれか1項に記載の半導体チップトレイ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2006002421A JP2007184465A (ja) | 2006-01-10 | 2006-01-10 | 半導体チップトレイ |
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-
2006
- 2006-01-10 JP JP2006002421A patent/JP2007184465A/ja active Pending
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