以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(液晶パネルの構成及び動作)
本発明による液晶パネルの実施の形態の構成及び動作について図1から図10に基づいて説明する。
先ず、液晶パネルの基本構成について、図1から図7を参照して説明する。図1は、データ線、走査線、画素電極、遮光層等が形成されたTFTアレイ基板上の隣接した画素群の平面図である。図2は、遮光層と定電位線との接続部分の平面図である。図3は、図1のA−A'断面を対向基板等と共に示す液晶パネルの一実施の形態の断面図であり、図4は、図3の液晶パネルの変形形態の断面図である。図5は、図1のB−B'断面を対向基板等と共に示す液晶パネルの断面図であり、図6は、図1のC−C'断面を対向基板等と共に示す液晶パネルの断面図である。また図7は、図2のD−D'断面を対向基板等と共に示す液晶パネルの断面図である。尚、図3から図7においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならしめてある。
図1において、液晶パネルのTFTアレイ基板上には、マトリクス状に複数の透明な画素電極9a(点線部9a'により輪郭が示されている)が設けられており、画素電極9aの縦横の境界に夫々沿ってデータ線6a(ソース電極)、走査線3a(ゲート電極)及び容量線3bが設けられている。データ線6aは、コンタクトホール5aを介してポリシリコン膜からなる半導体層1aのうち後述のソース領域に電気的接続されており、画素電極9aは、コンタクトホール8を介して半導体層1aのうち後述のドレイン領域に電気的接続されている。また、半導体層1aのうち後述のチャネル形成用領域1a'(図中右下りの斜線の領域)に対向するように走査線3a(ゲート電極)が配置されている。そして、図中右上がりの斜線で示した領域に画素部における遮光層11aが設けられている。即ち遮光層11aは、画素部において、半導体層1aのチャネル形成用領域1a'を含むTFT、データ線6a、走査線3a及び容量線3bをTFTアレイ基板の側から見て夫々重なる位置に設けられている。
図1において特に、データ線6a、走査線3a及び容量線3bを含む太線で囲まれた網目状の(マトリクス状の)領域においては、後述の第1層間絶縁層が凹状に窪んで形成されており、それ以外の画素電極9aにほぼ対応する領域においては、当該第1層間絶縁層が相対的に凸状に(平面状に)形成されている。
図2において液晶パネルのTFTアレイ基板上には、データ線6aと同じAl等の導電層から形成された定電位線6bが設けられており、コンタクトホール5bを介して非画素部における遮光層(遮光配線)11bと接続されている。図2において特に、コンタクトホール5bを含む太線で囲まれた領域においては、後述の第1層間絶縁層が凹状に窪んで形成されており、それ以外の領域においては、当該第1層間絶縁層が相対的に凸状に(平面状に)形成されている。
図3から図6に示すように、液晶パネル100は、透明な一方の基板の一例を構成するTFTアレイ基板10と、これに対向配置される透明な他方の基板の一例を構成する対向基板20とを備えている。TFTアレイ基板10は、例えば石英基板からなり、対向基板20は、例えばガラス基板や石英基板からなる。TFTアレイ基板10には、画素電極9aが設けられており、その上側には、ラビング処理等の所定の配向処理が施された配向膜19が設けられている。画素電極9aは例えば、ITO膜(インジウム・ティン・オキサイド膜)などの透明導電性薄膜からなる。また配向膜19は例えば、ポリイミド薄膜などの有機薄膜からなる。
他方、対向基板20には、その全面に渡って共通電極21が設けられており、その下側には、ラビング処理等の所定の配向処理が施された配向膜22が設けられている。共通電極21は例えば、ITO膜などの透明導電性薄膜からなる。また配向膜22は、ポリイミド薄膜などの有機薄膜からなる。
TFTアレイ基板10には、図3に示すように、各画素電極9aに隣接する位置に、各画素電極9aをスイッチング制御するTFT30が設けられている。
対向基板20には、更に図3から図7に示すように、各画素の開口領域以外の領域に第2遮光層23が設けられている。このため、対向基板20の側から投射光がTFT30の半導体層1aのチャネル形成用領域1a'やLDD(Lightly Doped Drain)領域1b及び1cに照射することはない。更に、第2遮光層23は、コントラストの向上、色材の混色防止などの機能を有する。
このように構成され、画素電極9aと共通電極21とが対面するように配置されたTFTアレイ基板10と対向基板20との間には、後述のシール材52(図8及び図9参照)により囲まれた空間に液晶が封入され、液晶層50が形成される。液晶層50は、画素電極9aからの電界が印加されていない状態で配向膜19及び22により所定の配向状態を採る。液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなる。シール材52は、二つの基板10及び20をそれらの周辺で貼り合わせるための、例えば光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂からなる接着剤であり、両基板間の距離を所定値とするためのグラスファイバー或いはガラスビーズ等のスペーサが混入されている。
図3に示すように、TFT30に夫々対向する位置においてTFTアレイ基板10と各TFT30との間には、例えばWSi(タングステンシリサイド)からなる遮光層11aが夫々設けられている。遮光層11aは、好ましくは不透明な高融点金属であるTi、Cr、W、Ta、Mo及びPdのうちの少なくとも一つを含む、金属単体、合金、金属シリサイド等から構成される。このような材料から構成すれば、TFTアレイ基板10上の遮光層11aの形成工程の後に行われるTFT30の形成工程における高温処理により、遮光層11aが破壊されたり溶融しないようにできる。遮光層11aが形成されているので、TFTアレイ基板10の側からの戻り光等がTFT30のチャネル形成用領域1a'やLDD領域1b、1cに入射する事態を未然に防ぐことができ、光電流の発生によりTFT30の特性が劣化することはない。
更に、遮光層11aと複数のTFT30との間には、第1絶縁層12及び第2絶縁層13から構成された第1層間絶縁層12'が設けられている。第1層間絶縁層12'は、TFT30を構成する半導体層1aを遮光層11aから電気的絶縁するために設けられるものである。更に、第1層間絶縁層12'は、TFTアレイ基板10の全面に形成されることにより、TFT30のための下地膜としての機能をも有する。即ち、TFTアレイ基板10の表面の研磨時における荒れや、洗浄後に残る汚れ等でTFT30の特性の劣化を防止する機能を有する。
ここで特に図3から図7に示すように、第1層間絶縁層12'は、TFTアレイ基板上の遮光層11aが形成されている領域においては遮光層11a上に形成されており、遮光層11aが形成されていない領域においてはTFTアレイ基板10上に設けられている。そして、TFT30、データ線6a、走査線3a及び容量線3bに対向する部分が対向基板20の側から見て凹状に窪んで形成されている。本実施の形態では特に、第1層間絶縁層12'は、単層部分と2層部分とから構成されており、第2絶縁層13の単層部分が薄くなって凹状に窪んだ部分とされており、第1及び第2絶縁層12及び13の2層部分が厚くなって凹状に窪んでいない部分とされている。このように、第1層間絶縁層12'を構成すると、凹状に窪んだ部分における第1層間絶縁層12'の層厚を、第2絶縁層13の層厚として、比較的容易にして確実且つ高精度に制御できる。従って、この凹状に窪んだ部分における第1層間絶縁層12'の層厚(即ち、第2絶縁層13の層厚)を非常に薄くすることも可能となる。
以上の如く構成された第1層間絶縁層12'により、遮光層11aからTFT30等を電気的絶縁し得ると共に遮光層11aがTFT30等を汚染する事態を未然に防げる。ここで特に、第1層間絶縁層12'は、TFT30、データ線6a、走査線3a及び容量線3bに対向する部分が凹状に窪んで形成されているので、従来のように第1層間絶縁層を平らに形成してその上にこれらのTFT等を形成する場合と比較すると、凹状に窪んだ部分の深さに応じて、これらのTFT等が形成された領域と形成されていない領域との合計層厚の差が減少し、画素部における平坦化が促進される。
例えば、この合計層厚の差を実質的に零にするように凹状に窪んだ部分の深さを設定すれば、その後の平坦化処理を省略できる。或いは、この合計層厚の差を多少なりとも減少させるように凹状に窪んだ部分の深さを設定すれば、その後の平坦化処理の負担を軽減できる。より好ましくは、第1層間絶縁層12'は、遮光層11a、半導体層1a、容量線3b及びデータ線3aの合計層厚に対応した深さで凹状に窪んで形成される。このように第1層間絶縁層12'を構成すれば、データ線6aの上面とこれに隣接した第2層間絶縁層4の上面とをほぼ合わせることが出来、画素電極9aを形成する前の画素部における平坦化が促進される。但し、第1層間絶縁層12'は、遮光層11a、半導体層1a及び容量線3bの合計層厚に対応した深さで凹状に窪んで形成されてもよい。このように第1層間絶縁層12'を構成すれば、第2層間絶縁層4の上面をほぼ平坦に出来、画素電極9aを形成する前の画素部における平坦化が促進される。
以上のように、遮光層11aを設けることにより必要となる第1層間絶縁層12'の所定領域が凹状に窪んで形成されているので、本実施の形態によれば、前述した従来の、平坦化膜のスピンコート等による塗布、CMP処理、平坦化された絶縁層の形成等の工程を、省略又は簡略化できる。
尚、図4に示すように、図3の2層から構成された第1層間絶縁層12'に代えて、第1層間絶縁層12”を単層から構成してもよい。このように単層から構成すれば、従来の場合と比較しても層の数を増加させる必要が無い。凹状に窪んだ部分とそうでない部分との層厚を後述のように例えばエッチング時間管理により制御すれば、当該第1層間絶縁層12”が得られる。
再び図3において、第1層間絶縁層12'は、例えば、NSG(ノンドープトシリケートガラス)、PSG(リンシリケートガラス)、BSG(ボロンシリケートガラス)、BPSG(ボロンリンシリケートガラス)などの高絶縁性ガラス又は、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜等からなる。
本実施の形態では図1及び図5に示すように、半導体層1aの高濃度ドレイン領域1eは、データ線6aに沿って延設されており、遮光層11aは、データ線6aの下にも設けられているので、データ線6aに沿って延設された第1蓄積容量電極(ポリシリコン層)1fと遮光層(第3蓄積容量電極)11aとの間で、第2絶縁層13を介して容量が形成される。この結果、データ線6aの下という開口領域を外れたスペースを有効に利用して、画素電極9aの蓄積容量を増やすことが出来る。また、容量線(第2蓄積容量電極)3bと第1蓄積容量電極1fとの間で、ゲート絶縁膜2と同一工程で形成される絶縁膜を誘電体として、容量が形成される。これにより、第1蓄積容量電極1fの上方及び下方で、容量形成が可能となり、限られた面積で効果的に蓄積容量が付加できるため、画素サイズの微細化が可能となる。或いは、高い開口率を実現できるので明るい液晶パネルを提供できる。
本実施の形態では図1及び図6に示すように、第1層間絶縁層12'は、容量線(第2蓄積容量電極)3bに対向する部分も凹状に窪んで形成されているので、第1層間絶縁層12'の上方に容量線3bが配線されても、当該容量線3bが配線された領域における平坦化を図ることが出来る。そして、容量線3bに対向する部分における第1層間絶縁層12'の層厚は非常に薄く(例えば、1000〜2000Å程度に)構成されており、且つ、遮光層(第3蓄積容量電極)11aが容量線3bの下にも設けられているので、容量線3bの表面積を増やすことなく第2絶縁層13を介して対向配置された遮光層11aと半導体層1aの高濃度ドレイン領域1eから延設された第1蓄積容量電極1fとの間における蓄積容量70を増やすことが出来る。即ち、全体として画素電極9aの蓄積容量70を増やすことが出来る。このように、特に画面表示領域中の限られた領域において各画素の開口領域を狭めないように蓄積容量を増加させることができるので大変有利である。尚、容量線3bを設けずに、前段の走査線3aとの間で蓄積容量を形成してもよい。また、容量線3bに定電位を供給する定電位線を周辺駆動回路(後述のデータ線駆動回路、走査線駆動回路等)の負電源、正電源等の定電位源に接続すれば、外部からの信号を入力するための実装端子と、当該実装端子から縁設される信号配線を省くことができ、液晶パネルが小型化した場合にとても有利になる。
本実施の形態では図2及び図7に示すように、遮光配線部の遮光層11b(及びこれに接続された画素部における遮光層11a)は定電位線6bに電気的接続されているので、遮光層11aは定電位とされる。従って、遮光層11aに対向配置されるTFT30に対し遮光層11aの電位変動が悪影響を及ぼすことはない。この場合、定電位線6bの定電位としては、接地電位に等しくてもよいし、共通電極21の電位に等しくてもよい。また、定電位線6bは、液晶パネル100を駆動するための周辺駆動回路の負電源、正電源等の定電位源に接続されてもよい。また、遮光層11bと上述の容量線3bを電気的に接続しても何ら問題はない。この場合、定電位線が共用化できるため、信号配線が削減でき、スペースの有効利用が図れ、液晶パネルが小型化した場合にとても有利になる。
更に図2及び図7に示すように、第1層間絶縁層12'は、遮光層11bと定電位線6bとが接続される位置において、凹状に窪んで形成されているので、後述のように第1層間絶縁層12'形成後にコンタクトホール5bをエッチングにより開孔する工程が、この凹状に窪んだ部分の深さに応じて容易となり、コンタクトホール5aと5bとを一括して開孔できる。従って、コンタクトホール5bを開孔するための工程を省くことが可能となるため、コストの削減と工程数減少による歩留まりの向上が実現できる。
再び、図3において、TFT30は、LDD(Lightly Doped Drain)構造を有しており、走査線3a(ゲート電極)、走査線3aからの電界によりチャネルが形成される半導体層1aのチャネル形成用領域1a'、走査線3aと半導体層1aとを絶縁するゲート絶縁層2、半導体層1aの低濃度ソース領域(ソース側LDD領域)1b、データ線6a(ソース電極)、半導体層1aの低濃度ドレイン領域(ドレイン側LDD領域)1c、半導体層1aの高濃度ソース領域1d及び高濃度ドレイン領域1eを備えている。高濃度ドレイン領域1eには、複数の画素電極9aのうちの対応する一つが接続されている。ソース領域1b及び1d並びにドレイン領域1c及び1eは後述のように、半導体層1aに対し、n型又はp型のチャネルを形成するかに応じて所定濃度のn型用又はp型用のドーパントをドープすることにより形成されている。n型チャネルのTFTは、動作速度が速いという利点があり、画素のスイッチング素子であるTFT30として用いられることが多い。本実施の形態では特にデータ線6a(ソース電極)は、Al等の金属膜や金属シリサイド等の合金膜などの遮光性の薄膜から構成されている。また、走査線3a(ゲート電極)、ゲート絶縁層2及び第1層間絶縁層12'の上には、高濃度ソース領域1dへ通じるコンタクトホール5a及び高濃度ドレイン領域1eへ通じるコンタクトホール8が夫々形成された第2層間絶縁層4が形成されている。このソース領域1bへのコンタクトホール5aを介して、データ線6a(ソース電極)は高濃度ソース領域1dに電気的接続されている。更に、データ線6a(ソース電極)及び第2層間絶縁層4の上には、高濃度ドレイン領域1eへのコンタクトホール8が形成された第3層間絶縁層7が形成されている。この高濃度ドレイン領域1eへのコンタクトホール8を介して、画素電極9aは高濃度ドレイン領域1eに電気的接続されている。前述の画素電極9aは、このように構成された第3層間絶縁層7の上面に設けられている。
TFT30は、好ましくは上述のようにLDD構造を持つが、低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1cに不純物イオンの打ち込みを行わないオフセット構造を持ってもよいし、ゲート電極3aをマスクとして高濃度で不純物イオンを打ち込み、自己整合的に高濃度ソース領域1d及びドレイン領域1eを形成するセルフアライン型のTFTであってもよい。また、図3に示すように本実施の形態では、TFT30の高濃度ソース領域1dと高濃度ドレイン領域1b間に、ゲート絶縁膜2を介して、同一の走査信号が供給される2つのゲート電極3aを設けて、デュアルゲート(ダブルゲート)構造のTFTとしてもよい。これにより、TFT30のリーク電流を低減することができる。また、デュアルゲート構造のTFTを、上述のLDD構造、或いはオフセット構造を持つようにすれば、更にTFT30のリーク電流を低減することができ、高いコントラスト比を実現することができる。また、デュアルゲート構造により、冗長性を持たすことができ、大幅に画素欠陥を低減できるだけでなく、高温動作時でも、リーク電流が低いため、高コントラスト比の画質を実現することができる。尚、TFT30の高濃度ソース領域1dと高濃度ドレイン領域1b間に設けるゲート電極3aは3つ以上でもよいことは言うまでもない。
ここで、一般には、半導体層1aのチャネル形成用領域、低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1c等のポリシリコン層は、光が入射するとポリシリコンが有する光電変換効果により光電流が発生してしまいTFT30のトランジスタ特性が劣化するが、本実施の形態では、走査線3a(ゲート電極)を上側から覆うようにデータ線6a(ソース電極)がAl等の遮光性の金属薄膜から形成されているので、少なくとも半導体層1aのチャネル形成用領域1a'及びLDD領域1b、1cへの投射光(即ち、図3で上側からの光)の入射を効果的に防ぐことが出来る。また、前述のように、TFT30の下側には、遮光層11aが設けられているので、少なくとも半導体層1aのチャネル形成用領域1a'及びLDD領域1b、1cへの戻り光(即ち、図3で下側からの光)の入射を効果的に防ぐことが出来る。
また図6に示すように、画素電極9aには蓄積容量70が夫々設けられている。この蓄積容量70は、より具体的には、半導体層1aと同一工程により形成され、半導体層1aの高濃度ドレイン領域1eから延設されたポリシリコン膜からなる第1蓄積容量電極1f、ゲート絶縁層2を介して形成される絶縁層2'、走査線3a(ゲート電極)と同一工程により形成される容量線3b(第2蓄積容量電極)、第2及び第3層間絶縁層4及び7、並びに第2及び第3層間絶縁層4及び7を介して容量線3bに対向する画素電極9aの一部から構成されている。このように蓄積容量70が設けられているため、デューティー比が小さく、フリッカのない高精細な表示が可能とされる。容量線3b(第2蓄積容量電極)は、図1に示すように、TFTアレイ基板10の面上において走査線3a(ゲート電極)と平行に設けられている。更に、本実施の形態では、第1蓄積容量電極1f下の第1層間絶縁層12'を薄膜化できるので、蓄積容量の増大を図ることが出来、画質品位の高い液晶パネルが実現できる。
ところで、本実施の形態では、図1に示す半導体層1a,データ線6a,走査線3a,及び容量線3bを全て含む形成領域の第1層間絶縁層を薄膜化しているが、画像信号や走査信号の信号遅延が許容できないレベルになったり、画素スイッチング用TFT30のトランジスタ特性に影響を与えるような場合が考えられる時は、半導体層1a,データ線6a,走査線3a,及び容量線3bの少なくとも1箇所の領域における第1層間絶縁層を薄膜化すればよい。
以上のように構成された液晶パネル100の全体構成を図8及び図9を参照して説明する。尚、図8は、TFTアレイ基板10をその上に形成された各構成要素と共に対向基板20の側から見た平面図であり、図9は、対向基板20を含めて示す図8のH−H'断面図である。
図8において、TFTアレイ基板10の上には、シール材52がその縁に沿って設けられており、その内側に並行して、例えばブラックマトリクス等の第2遮光層23と同じ或いは異なる材料から成る遮光性の周辺見切り53が設けられている。シール材52の外側の領域には、データ線駆動回路101及び実装端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられており、走査線駆動回路104が、この一辺に隣接する2辺に沿って設けられている。更にTFTアレイ基板10の残る一辺には、画面表示領域の両側に設けられた走査線駆動回路104間を電気的に接続するための複数の配線105が設けられている。また、対向基板20のコーナー部の少なくとも1箇所において、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的導通をとるための導通材からなる銀点106が設けられている。そして、図9に示すように、図8に示したシール材52とほぼ同じ輪郭を持つ対向基板20が当該シール材52によりTFTアレイ基板10に固着されている。
データ線駆動回路101及び走査線駆動回路104は配線によりデータ線6a(ソース電極)及び走査線3a(ゲート電極)に夫々電気的接続されている。データ線駆動回路101には、図示しない制御回路から即時表示可能な形式に変換された画像信号が入力され、走査線駆動回路104がパルス的に走査線3aに順番にゲート電圧を送るのに合わせて、データ線駆動回路101は画像信号に応じた信号電圧をデータ線6a(ソース電極)に送る。本実施の形態では特に、TFT30はp−Si(ポリシリコン)タイプのTFTであるので、TFT30の形成時に同一工程で、データ線駆動回路101及び走査線駆動回路104を形成することも可能であり、製造上有利である。
図10に遮光配線部をなす遮光層11bのTFTアレイ基板100上の2次元的レイアウトを示す。
図10に示すように、遮光層11aは、周辺見切り53内の画面表示領域において走査線3a、(図示しない)容量線3b及びデータ線6aを重なるように引き回されており、画面表示領域の外側で、対向基板20上の周辺見切り53の下部を通るように配線し、図2に示したように定電位線に接続される。このように配線すれば、周辺見切り53下のデッドスペースを有効に使うことが出来、シール材を硬化させる面積を広くとることが出来る。また、対向基板20上に設けられた周辺見切り53をTFTアレイ基板10上に遮光層11aと同層で同材料で設け、遮光層11a及び11bと電気的に接続するようにする。このように、周辺見切り53を内蔵することにより対向基板20上の第2遮光層は必要無くなるため、TFアレイ基板10と対向基板20の貼り合わせ時の精度は無視することが出来、透過率のばらつかない明るい液晶装置を実現できる。また、遮光層11aは走査線3aに沿ってその下方のみに配設するだけでもよいし、或いは、データ線6aに沿ってその下方のみに配設するようにしてもよい。上述した遮光層11aの配設方法は、段差部の層厚と、歩留まりを考慮して選択するようにする。
尚、図8から図10において、TFTアレイ基板10上には更に、複数のデータ線6aに所定電圧レベルのプリチャージ信号を画像信号に先行して夫々供給するプリチャージ回路、画像信号をサンプリングして複数のデータ線6aに夫々供給するサンプリング回路、製造途中や出荷時の当該液晶装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路等を形成してもよい。また、データ線駆動回路101及び走査線駆動回路104をTFTアレイ基板10の上に設ける代わりに、例えばTAB(テープオートメイテッドボンディング基板)上に実装された駆動用LSIに、TFTアレイ基板10の周辺部に設けられた異方性導電フィルムを介して電気的及び機械的に接続するようにしてもよい。
また、図1から図10には示されていないが、対向基板20の投射光が入射する側及びTFTアレイ基板10の出射光が出射する側には夫々、例えば、TN(ツイステッドネマティック)モード、 STN(スーパーTN)モード、D−STN(ダブル−STN)モード等の動作モードや、ノーマリーホワイトモード/ノーマリーブラックモードの別に応じて、偏光フィルム、位相差フィルム、偏光板などが所定の方向で配置される。
次に以上のように構成された本実施の形態の動作について図3及び図8から図10を参照して説明する。
先ず、制御回路から画像信号を受けたデータ線駆動回路101は、この画像信号に応じたタイミング及び大きさで信号電圧をデータ線6a(ソース電極)に印加し、これと並行して、走査線駆動回路104は、所定タイミングで走査線3a(ゲート電極)にゲート電圧をパルス的に順次印加し、TFT30は駆動される。これにより、ゲート電圧がオンとされた時点でソース電圧が印加されたTFT30においては、半導体層1aのソース領域1d及び1b、チャネル形成用領域1a'に形成されたチャネル並びにドレイン領域1c及び1eを介して画素電極9aに電圧が印加される。そして、この画素電極9aの電圧は、ソース電圧が印加された時間よりも例えば3桁も長い時間だけ蓄積容量70(図6参照)により保持される。
以上のように、画素電極9aに電圧が印加されると、液晶層50におけるこの画素電極9aと共通電極21とに挟まれた部分における液晶の配向状態が変化し、ノーマリーホワイトモードであれば、印加された電圧に応じて投射光がこの液晶部分を通過不可能とされ、ノーマリーブラックモードであれば、印加された電圧に応じて投射光がこの液晶部分を通過可能とされ、全体として液晶パネル100からは画像信号に応じたコントラストを持つ光が出射する。
特に本実施の形態では、TFT30についての遮光性に優れており、戻り光による悪影響が低減されるため、TFT30のトランジスタ特性が改善されており、しかも第1層間絶縁層12'はTFT30や各種配線に対向する位置において凹状に窪んで形成されているので、液晶の配向不良が低減されており、最終的には、液晶パネル100により、高コントラストで高画質の画像を表示することが可能となる。
以上説明した液晶パネル100は、カラー液晶プロジェクタに適用されるため、3つの液晶パネル100がRGB用のライトバルブとして夫々用いられ、各パネルには夫々RGB色分解用のダイクロイックミラーを介して分解された各色の光が投射光として夫々入射されることになる。従って、各実施の形態では、対向基板20に、カラーフィルタは設けられていない。しかしながら、液晶パネル100においてもブラックマトリックス23の形成されていない画素電極9aに対向する所定領域にRGBのカラーフィルタをその保護膜と共に、対向基板20上に形成してもよい。このようにすれば、液晶プロジェクタ以外の直視型や反射型のカラー液晶テレビなどのカラー液晶装置に本実施の形態の液晶パネルを適用できる。更に、対向基板20上に1画素1個対応するようにマイクロレンズを形成してもよい。このようにすれば、入射光の集光効率を向上することで、明るい液晶パネルが実現できる。更にまた、対向基板20上に、何層もの屈折率の相違する干渉層を堆積することで、光の干渉を利用して、RGB色を作り出すダイクロイックフィルタを形成してもよい。このダイクロイックフィルタ付き対向基板によれば、より明るいカラー液晶パネルが実現できる。
液晶パネル100では、従来と同様に投射光を対向基板20の側から入射することとしたが、遮光層11aが存在するので、TFTアレイ基板10の側から投射光を入射し、対向基板20の側から出射するようにしてもよい。即ち、このように液晶パネル100を液晶プロジェクタに取り付けても、半導体層1aのチャネル形成用領域1a'及びLDD領域1b、1cに光が入射することを防ぐことが出来、高画質の画像を表示することが可能である。ここで、従来は、TFTアレイ基板10の裏面側での反射を防止するために、反射防止用のAR被膜された偏光板を別途配置したり、ARフィルムを貼り付ける必要があった。しかし、本実施の形態では、TFTアレイ基板10の表面と半導体層1aの少なくともチャネル形成用領域1a'及びLDD領域1b、1cとの間に遮光層11aが形成されているため、このようなAR被膜された偏光板やARフィルムを用いたり、TFTアレイ基板10そのものをAR処理した基板を使用する必要が無くなる。従って、本実施の形態によれば、材料コストを削減でき、また偏光板貼り付け時に、ごみ、傷等により、歩留まりを落とすことがなく大変有利である。また、耐光性が優れているため、明るい光源を使用したり、偏光ビームスプリッタにより偏光変換して、光利用効率を向上させても、光によるクロストーク等の画質劣化を生じない。
尚、液晶パネル100において、TFTアレイ基板10側における液晶分子の配向不良を更に抑制するために、第3層間絶縁層7の上に更に平坦化膜をスピンコート等で塗布してもよく、又はCMP処理を施してもよい。或いは、第3層間絶縁層7を平坦化膜で形成してもよい。本実施の形態では、図3から図7に示したように、第1層間絶縁層12'の凹状の窪みによりTFT30や各種配線が形成された部分とそれ以外の部分とが殆ど同じ高さとされるため、このような平坦化処理は一般に必要でないが、より高品位の画像を表示するために、このように最上層部において更なる平坦化を行う場合にも、平坦化膜を非常に薄くできたり、平坦化処理を僅かに加えるだけで済むので本実施の形態は、大変有利である。
また、液晶パネル100のスイッチング素子は、正スタガ型又はコプラナー型のポリシリコンTFTであるとして説明したが、逆スタガ型のTFTやアモルファスシリコンTFT等の他の形式のTFTに対しても、本実施の形態は有効である。
更に、液晶パネル100においては、一例として液晶層50をネマティック液晶から構成したが、液晶を高分子中に微小粒として分散させた高分子分散型液晶を用いれば、配向膜19及び22、並びに前述の偏光フィルム、偏光板等が不要となり、光利用効率が高まることによる液晶パネルの高輝度化や低消費電力化の利点が得られる。更に、画素電極9aをAl等の反射率の高い金属膜から構成することにより、液晶パネル10を反射型液晶装置に適用する場合には、電圧無印加状態で液晶分子がほぼ垂直配向されたSH(スーパーホメオトロピック)型液晶などを用いてもよい。更にまた、液晶パネル100においては、液晶層50に対し垂直な電界(縦電界)を印加するように対向基板20の側に共通電極21を設けているが、液晶層50に平行な電界(横電界)を印加するように一対の横電界発生用の電極から画素電極9aを夫々構成する(即ち、対向基板20の側には縦電界発生用の電極を設けることなく、TFTアレイ基板10の側に横電界発生用の電極を設ける)ことも可能である。このように横電界を用いると、縦電界を用いた場合よりも視野角を広げる上で有利である。その他、各種の液晶材料(液晶相)、動作モード、液晶配列、駆動方法等に本実施の形態を適用することが可能である。
(製造プロセス)
次に、以上のような構成を持つ液晶パネル100の製造プロセスについて図11から図26を参照して説明する。尚、図11から図14は各工程におけるTFTアレイ基板側の各層を図3のA−A'断面に対応させて示す工程図であり、図15から図18は各工程におけるTFTアレイ基板側の各層を図5のB−B'断面に対応させて示す工程図であり、図19から図22は各工程におけるTFTアレイ基板側の各層を図6のC−C'断面に対応させて示す工程図であり、図23から図26は各工程におけるTFTアレイ基板側の各層を図7のD−D'断面に対応させて示す工程図である。そして、各図に記された工程(1)〜工程(20)は、TFTアレイ基板1上の相異なる部分における同一の工程として夫々一括して行われるものである。
先ず、図11から図14を参照して、図1のA−A'断面に対応するTFT30を含む部分の製造プロセスについて説明する。
図11の工程(1)に示すように、石英基板、ハードガラス等のTFTアレイ基板10を用意する。ここで、好ましくはN2(窒素)等の不活性ガス雰囲気且つ約900〜1300℃の高温でアニール処理し、後に実施される高温プロセスにおけるTFTアレイ基板10に生じる歪みが少なくなるように前処理しておく。即ち、製造プロセスにおける最高温で高温処理される温度に合わせて、事前にTFTアレイ基板10を同じ温度かそれ以上の温度で熱処理しておく。
このように処理されたTFTアレイ基板10の全面に、Ti、Cr、W、Ta、Mo及びPd等の金属や金属シリサイド等の金属合金膜を、スパッタリングにより、1000〜3000Å程度の層厚、好ましくは約2000Åの層厚の遮光膜11を形成する。
続いて、工程(2)に示すように、該形成された遮光膜11上にフォトリソグラフィにより遮光層11aのパターンに対応するレジストマスクを形成し、該レジストマスクを介して遮光膜11に対しエッチングを行うことにより、遮光層11aを形成する。
次に工程(3)に示すように、遮光層11aの上に、例えば、常圧又は減圧CVD法等によりTEOS(テトラ・エチル・オルソ・シリケート)ガス、TEB(テトラ・エチル・ボートレート)ガス、TMOP(テトラ・メチル・オキシ・フォスレート)ガス等を用いて、NSG、PSG、BSG、BPSGなどのシリケートガラス膜、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等からなる第1絶縁層12(2層の第1層間絶縁層12'の下層)を形成する。この第1絶縁層12の層厚は、例えば、約8000〜12000Åとする。
次に工程(4)に示すように、TFT30、データ線6a、走査線3a及び容量線3bを上方に形成する予定の領域に対して、エッチングを行い、この領域における第1絶縁層12を除去する。ここで、エッチングを反応性エッチング、反応性イオンビームエッチング等のドライエッチングで処理した場合、フォトリソグラフィにより形成したレジストマスクとほぼ同じサイズで異方的に第1絶縁層12が除去できるため、設計寸法とおりに容易に制御できる利点がある。一方、少なくともウエットエッチングを用いた場合は、等方性のため、第1層間絶縁層12の開孔領域が広がるが、開孔部の側壁面をテーパー状に形成できるため、後工程の例えば走査線3aを形成するためのポリシリコン膜やレジストが、開孔部の側壁周囲にエッチングや剥離されずに残ってしまうという事がなく、歩留まりの低下を招かない。尚、第1層間絶縁層12の開孔部の側壁面をテーパー状に形成する方法としては、ドライエッチングで一度エッチングしてから、レジストパターンを後退させて、再度ドライエッチングを行ってもよい。
次に工程(5)に示すように、遮光層11a及び第1絶縁層12の上に、第1絶縁層12と同様に、シリケートガラス膜、又は窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等からなる第2絶縁層13(2層の第1層間絶縁層12'の上層)を形成する。この第2絶縁層13の層厚は、例えば、約1000〜2000Åとする。第2絶縁層13に対し、約900℃のアニール処理を施すことにより、汚染を防ぐと共に平坦化してもよい。
本実施の形態では特に、第1層間絶縁層を形成する第1絶縁層12及び第2絶縁層13の層厚は、後に画素電極9aが形成される前に画素領域がほぼ平坦になるように設定される。
次に工程(6)に示すように、第2絶縁層13の上に、約450〜550℃、好ましくは約500℃の比較的低温環境中で、流量約400〜600cc/minのモノシランガス、ジシランガス等を用いた減圧CVD(例えば、圧力約20〜40PaのCVD)により、アモルファスシリコン膜を形成する。その後、窒素雰囲気中で、約600〜700℃にて約1〜10時間、好ましくは、4〜6時間のアニール処理を施することにより、ポリシリコン膜1を約500〜2000Åの厚さ、好ましくは約1000Åの厚さとなるまで固相成長させる。この際、nチャネル型のTFT30を作成する場合には、Sb(アンチモン)、As(砒素)、P(リン)などのV族元素のドーパントを僅かにイオン注入等によりドープする。また、TFT30をpチャネル型とする場合には、B(ボロン)、Ga(ガリウム)、In(インジウム)などのIII族元素のドーパントを僅かにイオン注入等によりドープする。尚、アモルファスシリコン膜を経ないで、減圧CVD法等によりポリシリコン膜1を直接形成してもよい。或いは、減圧CVD法等により堆積したポリシリコン膜にシリコンイオンを打ち込んで一旦非晶質化(アモルファス化)し、その後アニール処理等により再結晶化させてポリシリコン膜1を形成してもよい。
次に図12の工程(7)に示すように、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程等により、図1に示した如き所定パターンの半導体層1aを形成する。
次に工程(8)に示すように、半導体層1aを約900〜1300℃の温度、好ましくは約1000℃の温度により熱酸化することにより、約300Åの比較的薄い厚さの熱酸化膜を形成し、更に減圧CVD法等により高温酸化シリコン膜(HTO膜)や窒化膜を約500Åの比較的薄い厚さに堆積し、多層構造を持つゲート絶縁層2を形成する。この結果、半導体層1aの厚さは、約300〜1500Åの厚さ、好ましくは約350〜500Åの厚さとなり、ゲート絶縁層2の厚さは、約200〜1500Åの厚さ、好ましくは約300〜1000Åの厚さとなる。このように高温熱酸化時間を短くすることにより、特に8インチ程度の大型基板を使用する場合に熱によるそりを防止することができる。但し、ポリシリコン層1を熱酸化することのみにより、単一層構造を持つゲート絶縁層2を形成してもよい。
次に工程(9)に示すように、減圧CVD法等によりポリシリコン層3を堆積した後、リン(P)を熱拡散し、ポリシリコン膜3を導電化する。又は、Pイオンをポリシリコン膜3の成膜と同時に導入したドープトシリコン膜を用いてもよい。工程(10)に示すように、マスクを用いたフォトリソグラフィ工程、エッチング工程等により、図1に示した如き所定パターンの走査線3a(ゲート電極)を形成する。走査線3a(ゲート電極)の層厚は、例えば、約3500Åとされる。
但し、走査線3a(ゲート電極)を、ポリシリコン層ではなく、W(タングステン)やMo(モリブデン)等の高融点金属膜又は金属シリサイド膜から形成してもよいし、若しくはこれらの金属膜又は金属シリサイド膜とポリシリコン膜を組み合わせて多層に形成してもよい。この場合、走査線3a(ゲート電極)を、第2遮光層23が覆う領域の一部又は全部に対応する遮光膜として配置すれば、金属膜や金属シリサイド膜の持つ遮光性により、第2遮光層23の一部或いは全部を省略することも可能となる。この場合特に、対向基板20とTFTアレイ基板10との貼り合わせずれによる画素開口率の低下を防ぐことが出来る利点がある。
次に工程(11)に示すように、TFT30をLDD構造を持つnチャネル型のTFTとする場合、p型の半導体層1aに、先ず低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1cを形成するために、走査線3a(ゲート電極)を拡散マスクとして、PなどのV族元素のドーパント200を低濃度で(例えば、Pイオンを1〜3×1013/cm2のドーズ量にて)ドープする。これにより走査線3a(ゲート電極)下の半導体層1aはチャネル形成用領域1a'となる。
続いて、図13の工程(12)に示すように、高濃度ソース領域1b及び高濃度ドレイン領域1cを形成するために、走査線3a(ゲート電極)よりも幅の広いマスクでレジスト層202を走査線3a(ゲート電極)上に形成した後、同じくPなどのV族元素のドーパント201を高濃度で(例えば、Pイオンを1〜3×1015/cm2のドーズ量にて)ドープする。また、TFT30をpチャネル型とする場合、n型の半導体層1aに、低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1c並びに高濃度ソース領域1d及び高濃度ドレイン領域1eを形成するために、BなどのIII族元素のドーパントを用いてドープする。このようにLDD構造とした場合、ショートチャネル効果を低減できる利点が得られる。尚、例えば、低濃度のドープを行わずに、オフセット構造のTFTとしてもよく、走査線3a(ゲート電極)をマスクとして、Pイオン、Bイオン等を用いたイオン注入技術によりセルフアライン型のTFTとしてもよい。
これらの工程と並行して、nチャネル型ポリシリコンTFT及びpチャネル型ポリシリコンTFTから構成されるCMOS(相補型MOS)構造を持つデータ線駆動回路101及び走査線駆動回路104をTFTアレイ基板10上の周辺部に形成する。このように、TFT30はポリシリコンTFTであるので、TFT30の形成時に同一工程で、データ線駆動回路101及び走査線駆動回路104を形成することができ、製造上有利である。
次に工程(13)に示すように、走査線3a(ゲート電極)を覆うように、例えば、常圧又は減圧CVD法やTEOSガス等を用いて、NSG、PSG、BSG、BPSGなどのシリケートガラス膜、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等からなる第2層間絶縁層4を形成する。第2層間絶縁層4の層厚は、約5000〜15000Åが好ましい。
次に工程(14)に示すように、高濃度ソース領域1d及び高濃度ドレイン領域1eを活性化するために約1000℃のアニール処理を20分程度行った後、データ線31(ソース電極)に対するコンタクトホール5aを、反応性エッチング、反応性イオンビームエッチング等のドライエッチングにより形成する。この際、反応性エッチング、反応性イオンビームエッチングのような異方性エッチングにより、コンタクトホール5aを開孔した方が、開孔形状をマスク形状とほぼ同じにできるという利点がある。但し、ドライエッチングとウエットエッチングとを組み合わせて開孔すれば、コンタクトホール5aをテーパ状にできるので、配線接続時の断線を防止できるという利点が得られる。また、走査線3a(ゲート電極)を図示しない配線と接続するためのコンタクトホールも、コンタクトホール5aと同一の工程により第2層間絶縁層4に開ける。
次に工程(15)に示すように、第2層間絶縁層4の上に、スパッタリング処理等により、遮光性のAl等の低抵抗金属や金属シリサイド等を金属膜6として、約1000〜5000Åの厚さ、好ましくは約3000Åに堆積し、更に工程(16)に示すように、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程等により、データ線6a(ソース電極)を形成する。
次に図14の工程(17)に示すように、データ線6a(ソース電極)上を覆うように、例えば、常圧又は減圧CVD法やTEOSガス等を用いて、NSG、PSG、BSG、BPSGなどのシリケートガラス膜、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等からなる第3層間絶縁層7を形成する。第3層間絶縁層7の層厚は、約5000〜15000Åが好ましい。
本実施の形態では、特に図11の工程(4)及び(5)により、TFT30や各種配線部分において、第1層間絶縁層が凹状に窪んで形成されているため、この工程(17)を終えた段階で、画素領域の表面はほぼ平坦となる。尚、より平坦にするためには、第3層間絶縁層7を構成するシリケートガラス膜に代えて又は重ねて、有機膜やSOG(スピンオンガラス)をスピンコートして、若しくは又はCMP処理を施して、平坦な膜を形成してもよい。
次に工程(18)に示すように、画素電極9aと高濃度ドレイン領域1eとを電気的接続するためのコンタクトホール8を、反応性エッチング、反応性イオンビームエッチング等のドライエッチングにより形成する。この際、反応性エッチング、反応性イオンビームエッチングのような異方性エッチングにより、コンタクトホール8を開孔した方が、開孔形状をマスク形状とほぼ同じにできるという利点が得られる。但し、ドライエッチングとウエットエッチングとを組み合わせて開孔すれば、コンタクトホール8をテーパ状にできるので、配線接続時の断線を防止できるという利点が得られる。
次に工程(19)に示すように、第3層間絶縁層7の上に、スパッタリング処理等により、ITO膜等の透明導電性薄膜9を、約500〜2000Åの厚さに堆積し、更に工程(20)に示すように、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程等により、画素電極9aを形成する。尚、当該液晶パネル100を反射型の液晶装置に用いる場合には、Al等の反射率の高い不透明な材料から画素電極9aを形成してもよい。
続いて、画素電極9aの上にポリイミド系の配向膜の塗布液を塗布した後、所定のプレティルト角を持つように且つ所定方向でラビング処理を施すこと等により、図3に示した配向膜19が形成される。
他方、図3に示した対向基板20については、ガラス基板や石英基板等が先ず用意され、第2遮光層23及び遮光性の周辺見切り53が、例えば金属クロムをスパッタリングした後、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程を経て形成される。尚、第2遮光層23及び周辺見切り53は、Cr、Ni、Alなどの金属材料の他、カーボンやTiをフォトレジストに分散した樹脂ブラックなどの材料から形成してもよい。
その後、対向基板20の全面にスパッタリング処理等により、ITO等の透明導電性薄膜を、約500〜2000Åの厚さに堆積することにより、共通電極21を形成する。更に、共通電極21の全面にポリイミド系の配向膜の塗布液を塗布した後、所定のプレティルト角を持つように且つ所定方向でラビング処理を施すこと等により、配向膜22が形成される。
最後に、上述のように各層が形成されたTFTアレイ基板10と対向基板20とは、配向膜19及び22が対面するようにシール材52により貼り合わされ、真空吸引等により、両基板間の空間に、例えば複数種類のネマティック液晶を混合してなる液晶が吸引されて、所定層厚の液晶層50が形成される。
次に、図15から図18を参照して、図1のB−B'断面に対応するデータ線を含む部分の製造プロセスについて説明する。
図15の工程(1)から図18の工程(20)は、前述した図11の工程(1)から図14の工程(20)と同一の製造プロセスとして行われる。
即ち、図15の工程(1)に示すように、TFTアレイ基板10の全面に遮光膜11を形成した後、工程(2)に示すように、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程等により遮光層11aを形成する。
次に工程(3)に示すように、遮光層11aの上に、第1絶縁層12(2層の第1層間絶縁層12'の下層)を形成し、工程(4)に示すように、データ線6aを上方に形成する予定の領域に対して、エッチングを行い、この領域における第1絶縁層12を除去する。ここで、エッチングを反応性エッチング、反応性イオンビームエッチング等のドライエッチングで処理した場合、フォトリソグラフィにより形成したレジストマスクとほぼ同じサイズで異方的に第1絶縁層12が除去できるため、設計寸法とおりに容易に制御できる利点がある。一方、少なくともウエットエッチングを用いた場合は、等方性のため、第1層間絶縁層12の開孔領域が広がるが、開孔部の側壁面をテーパー状に形成できるため、後工程の例えば容量線3bを形成するためのポリシリコン膜やレジストが、開孔部の側壁周囲にエッチングや剥離されずに残ってしまうという事がなく、歩留まりの低下を招かない。尚、第1層間絶縁層12の開孔部の側壁面をテーパー状に形成する方法としては、ドライエッチングで一度エッチングしてから、レジストパターンを後退させて、再度ドライエッチングを行ってもよい。
次に、工程(5)に示すように、遮光層11a及び第1絶縁層12の上に、第2絶縁層13(2層の第1層間絶縁層12'の上層)を形成する。
次に工程(6)に示すように、第2絶縁層13上にアモルファスシリコン膜を形成した後、ポリシリコン膜1を固相成長させる。
次に図16の工程(7)に示すように、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程等により、図1に示した如き所定パターンの半導体層1aを形成する。
次に工程(8)に示すように、第1蓄積容量電極1fを熱酸化すること等により、ゲート絶縁層2を形成する。特に限定されないが、第1蓄積容量電極1e'に例えば、Pイオンをドーズ量約3×1012/cm2でドープして、低抵抗化させてもよい。ポリシリコン膜1からなる半導体層1aを延設して第1蓄積容量電極15を形成する。更に、その上に工程(9)に示すように、ポリシリコン層3を堆積した後、工程(10)に示すように、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程等により、図1に示した如き所定パターンの容量線3bを走査線3aと同一層から形成する。従って、容量線3bの層厚は、走査線3a(ゲート電極)と同じく、例えば、約3500Åとされる。
次に図16の工程(11)及び図17の工程(12)に示すように、不純物イオン200、201をドープして容量線3bを更に低抵抗化する。
次に工程(13)に示すように、容量線3bを覆うように、第2層間絶縁層4を形成し、工程(14)に示すように、容量線3bを図示しない配線と接続するためのコンタクトホールを第2層間絶縁層4に開ける。
次に工程(15)に示すように、第2層間絶縁層4の上に、スパッタリング処理等により、Al等を金属膜6として堆積した後に、工程(16)に示すように、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程等により、データ線6a(ソース電極)を形成する。
次に図18の工程(17)に示すように、データ線6a(ソース電極)上を覆うように、第3層間絶縁層7を形成する。
本実施の形態では、特に図15の工程(4)及び(5)により、データ線6a部分において、第1層間絶縁層が凹状に窪んで形成されているため、この工程(17)を終えた段階で、画素領域の表面はほぼ平坦となる。
次に図18の工程(18)では、コンタクトホール8が開孔されるのを待った後、工程(19)に示すように、第3層間絶縁層7の上に、ITO膜等の透明導電性薄膜を堆積し、更に工程(20)に示すように、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程等により、画素電極9aを形成する。
次に、図19から図22を参照して、図1のC−C'断面に対応する走査線及び容量線を含む部分の製造プロセスについて説明する。
図19の工程(1)から図22の工程(20)は、前述した図11の工程(1)から図14の工程(20)と同一の製造プロセスとして行われる。
即ち、図19の工程(1)に示すように、TFTアレイ基板10の全面に遮光膜11を形成した後、工程(2)に示すように、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程等により遮光層11aを形成する。
次に工程(3)に示すように、遮光層11aの上に、第1絶縁層12(2層の第1層間絶縁層12'の下層)を形成し、工程(4)に示すように、走査線3a及び容量線3bを上方に形成する予定の領域に対して、エッチングを行い、この領域における第1絶縁層12を除去する。ここで、エッチングを反応性エッチング、反応性イオンビームエッチング等のドライエッチングで処理した場合、フォトリソグラフィにより形成したレジストマスクとほぼ同じサイズで異方的に第1絶縁層12が除去できるため、設計寸法とおりに容易に制御できる利点がある。一方、少なくともウエットエッチングを用いた場合は、等方性のため、第1層間絶縁層12の開孔領域が広がるが、開孔部の側壁面をテーパー状に形成できるため、後工程の例えば容量線3bを形成するためのポリシリコン膜やレジストが、開孔部の側壁周囲にエッチングや剥離されずに残ってしまうという事がなく、歩留まりの低下を招かない。尚、第1層間絶縁層12の開孔部の側壁面をテーパー状に形成する方法としては、ドライエッチングで一度エッチングしてから、レジストパターンを後退させて、再度ドライエッチングを行ってもよい。
次に、工程(5)に示すように、遮光層11a及び第1絶縁層12の上に、第2絶縁層13(2層の第1層間絶縁層12'の上層)を形成する。
次に工程(6)に示すように、第2絶縁層13上にアモルファスシリコン膜を形成した後、ポリシリコン膜1を固相成長させる。
次に図20の工程(7)に示すように、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程等により、図1に示した如き所定パターンのポリシリコン膜1からなる半導体層1aを延設して、第1蓄積容量電極1fを形成する。
次に工程(8)に示すように、第1蓄積容量電極1fを熱酸化すること等により、ゲート絶縁層2を形成し、更に、その上に工程(9)に示すように、ポリシリコン層3を堆積した後、工程(10)に示すように、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程等により、図1に示した如き所定パターンの走査線3a及び容量線3bを形成する。
次に図20の工程(11)及び図21の工程(12)に示すように、不純物イオン200、201をドープして走査線3a及び容量線3bを更に低抵抗化する。
次に工程(13)に示すように、走査線3a及び容量線3bを覆うように、第2層間絶縁層4を形成し、工程(14)に示すように、走査線3a及び容量線3bを図示しない配線と接続するためのコンタクトホールを第2層間絶縁層4に開孔する。
次に工程(15)に示すように、第2層間絶縁層4の上に、スパッタリング処理等により、Al等を金属膜6として堆積した後に、工程(16)に示すように、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程等により、当該断面上には存在しないデータ線6a(ソース電極)を形成する。
次に図22の工程(17)に示すように、第2層間絶縁層4上を覆うように、第3層間絶縁層7を形成する。
本実施の形態では、特に図19の工程(4)及び(5)により、走査線3a及び容量線3b部分において、第1層間絶縁層が凹状に窪んで形成されているため、この工程(17)を終えた段階で、画素領域の表面はほぼ平坦となる。
次に図22の工程(18)では、コンタクトホール8が開孔されるのを待った後、工程(19)に示すように、第3層間絶縁層7の上に、ITO膜等の透明導電性薄膜9を堆積し、更に工程(20)に示すように、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程等により、画素電極9aを形成する。
次に、図23から図26を参照して、図2のD−D'断面に対応する遮光層と定電位線との接続部分を含む部分の製造プロセスについて説明する。
図23の工程(1)から図22の工程(20)は、前述した図11の工程(1)から図14の工程(20)と同一の製造プロセスとして行われる。
即ち、図23の工程(1)に示すように、TFTアレイ基板10の全面に遮光膜11を形成した後、工程(2)に示すように、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程等により遮光層11bを形成する。
次に工程(3)に示すように、遮光層11bの上に、第1絶縁層12(2層の第1層間絶縁層12'の下層)を形成し、工程(4)に示すように、接続部分を上方に形成する予定の領域に対して、エッチングを行い、この領域における第1絶縁層12を除去した後、工程(5)に示すように、遮光層11b及び第1絶縁層12の上に、第2絶縁層13(2層の第1層間絶縁層12'の上層)を形成する。
次に工程(6)に示すように、第2絶縁層13上にアモルファスシリコン膜を形成した後、ポリシリコン膜1を固相成長させる。
次に図24の工程(7)及び(8)では、画素部における半導体層1aとゲート絶縁層2の形成を待ち、その後、工程(9)に示すように、ポリシリコン層3を一旦堆積した後、工程(10)に示すように、この接続部分ではポリシリコン層3は全て除去される。
次に図20の工程(11)及び図21の工程(12)に示すように、半導体層1aのための不純物イオン200、201のドープが終了する。
次に工程(13)に示すように、第1絶縁層13を覆うように、第2層間絶縁層4を形成し、工程(14)に示すように、遮光層11bと定電位線6bとを接続するためのコンタクトホール5bを第2層間絶縁層4に開孔する。この際、第2層間絶縁層4の下に形成されているのは第1層間絶縁層12'のうち第2絶縁層13だけなので、半導体層1aの高濃度ソース領域1d上で第2層間絶縁層4を開孔して、コンタクトホール5aを形成する工程(図13の工程(14))と同じエッチング工程で一気に開孔できる。
次に工程(15)に示すように、第2層間絶縁層4の上に、スパッタリング処理等により、Al等を金属膜6として堆積した後に、工程(16)に示すように、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程等により、データ線と同一層(Al等)から定電位線6bを形成する。
次に図26の工程(17)に示すように、定電位線6b及び第2層間絶縁層4上を覆うように、第3層間絶縁層7を形成する。
次に図26の工程(18)では、コンタクトホール8が開孔されるのを待った後、工程(19)に示すように、第3層間絶縁層7の上に、ITO膜等の透明導電性薄膜9を一旦堆積し、更に工程(20)に示すように、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程等によりこの部分については全て除去する。
以上のように本実施の形態における液晶パネルの製造方法によれば、遮光層11bと定電位線6bとを接続するためのコンタクトホール5bとして、遮光層11bに至るまで第2層間絶縁層4及び第1絶縁層13(第1層間絶縁層の上層)が開孔され、同時に、TFT30とデータ線6aとを接続するためのコンタクトホール5aとして、半導体層1aに至るまで第2層間絶縁層4が開孔される。従って、これら2種類のコンタクトホール5a及び5bを一括して開孔できるので、製造上有利である。例えば、選択比を適当な値に設定してのウエットエッチングにより、このような2種類のコンタクトホール5a及び5bを夫々所定の深さとなるように一括して開孔することが可能となる。特に、第1層間絶縁層の凹状に窪んだ部分の深さに応じて、これらのコンタクトホールを開孔する工程が容易となる。遮光層と定電位線を接続するためのコンタクトホール開孔工程(フォトリソグラフィ工程、エッチング工程等)が削除できるので、工程増による製造コストの増大や歩留まりの低下を招かない。
以上説明したように本実施の形態における製造プロセスによれば、凹状に窪んだ部分における第1層間絶縁層12'の層厚を、第2絶縁層13の層厚の管理により、比較的容易にして確実且つ高精度に制御できる。従って、この凹状に窪んだ部分における第1層間絶縁層12'の層厚を非常に薄くすることも可能となる。
尚、図4に示したように、第1層間絶縁層12”を単層から構成する場合には、図11、図15、図19及び図23に夫々示した工程(3)、(4)及び(5)に若干の変更を加えて、工程(1)から(20)を行えばよい。即ち、工程(3)において、遮光層11aの上に、例えば、約10000〜15000Åといったように若干厚めの単層の第1層間絶縁層12”を堆積し、工程(4)において、TFT30、データ線6a、走査線3a及び容量線3bを上方に形成する予定の領域に対して、エッチングを行い、この領域における第1層間絶縁層12”を1000〜2000Å程度の厚みを残すようにする。そして、工程(5)を省略する。この場合にも、第1層間絶縁層12”のエッチングしない部分の層厚とエッチングした部分の層厚とは、後に画素電極9aが形成される前に画素領域がほぼ平坦になるように設定される。このように第1層間絶縁層12”を単層から構成すれば、従来の場合と比較しても層の数を増加させる必要が無く、凹状に窪んだ部分とそうでない部分との層厚をエッチング時間管理により制御すれば平坦化を図れるので便利である。
(電子機器)
次に、以上詳細に説明した液晶パネル100を備えた電子機器の実施の形態について図27から図31を参照して説明する。
先ず図27に、このように液晶パネル100を備えた電子機器の概略構成を示す。
図27において、電子機器は、表示情報出力源1000、表示情報処理回路1002、駆動回路1004、液晶パネル100、クロック発生回路1008並びに電源回路1010を備えて構成されている。表示情報出力源1000は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、光ディスク装置などのメモリ、画像信号を同調して出力する同調回路等を含み、クロック発生回路1008からのクロック信号に基づいて、所定フォーマットの画像信号などの表示情報を表示情報処理回路1002に出力する。表示情報処理回路1002は、増幅・極性反転回路、相展開回路、ローテーション回路、ガンマ補正回路、クランプ回路等の周知の各種処理回路を含んで構成されており、クロック信号に基づいて入力された表示情報からデジタル信号を順次生成し、クロック信号CLKと共に駆動回路1004に出力する。駆動回路1004は、液晶パネル100を駆動する。電源回路1010は、上述の各回路に所定電源を供給する。尚、液晶パネル100を構成するTFTアレイ基板の上に、駆動回路1004を搭載してもよく、これに加えて表示情報処理回路1002を搭載してもよい。
次に図28から図31に、このように構成された電子機器の具体例を夫々示す。
図28において、電子機器の一例たる液晶プロジェクタ1100は、上述した駆動回路1004がTFTアレイ基板上に搭載された液晶パネル100を含む液晶表示モジュールを3個用意し、夫々RGB用のライトバルブ100R、100G及び100Bとして用いたプロジェクタとして構成されている。液晶プロジェクタ1100では、メタルハライドランプ等の白色光源のランプユニット1102から投射光が発せられると、3枚のミラー1106及び2枚のダイクロイックミラー1108によって、RGBの3原色に対応する光成分R、G、Bに分けられ、各色に対応するライトバルブ100R、100G及び100Bに夫々導かれる。この際特にB光は、長い光路による光損失を防ぐために、入射レンズ1122、リレーレンズ1123及び出射レンズ1124からなるリレーレンズ系1121を介して導かれる。そして、ライトバルブ100R、100G及び100Bにより夫々変調された3原色に対応する光成分は、ダイクロイックプリズム1112により再度合成された後、投射レンズ1114を介してスクリーン1120にカラー画像として投射される。
本実施の形態では特に、遮光層がTFTの下側にも設けられているため、当該液晶パネル100からの投射光に基づく液晶プロジェクタ内の投射光学系による反射光、投射光が通過する際のTFTアレイ基板の表面からの反射光、他の液晶パネルから出射した後にダイクロイックプリズム1112を突き抜けてくる投射光の一部(R光及びG光の一部)等が、戻り光としてTFTアレイ基板の側から入射しても、画素電極のスイッチング用のTFT等のチャネル領域に対する遮光を十分に行うことができる。このため、小型化に適したプリズムを投射光学系に用いても、各液晶パネルのTFTアレイ基板とプリズムとの間において、戻り光防止用のARフィルムを貼り付けたり、偏光板にAR被膜処理を施したりすることが不要となるので、構成を小型且つ簡易化する上で大変有利である。
図29において、電子機器の他の例たるマルチメディア対応のラップトップ型のパーソナルコンピュータ(PC)1200は、上述した液晶パネル100がトップカバーケース内に備えられており、更にCPU、メモリ、モデム等を収容すると共にキーボード1202が組み込まれた本体1204を備えている。
図30において、電子機器の他の例たるページャ1300は、金属フレーム1302内に前述の駆動回路1004がTFTアレイ基板上に搭載されて液晶表示モジュールをなす液晶パネル100が、バックライト1306aを含むライトガイド1306、回路基板1308、第1及び第2のシールド板1310及び1312、二つの弾性導電体1314及び1316、並びにフィルムキャリアテープ1318と共に収容されている。この例の場合、前述の表示情報処理回路1002(図27参照)は、回路基板1308に搭載してもよく、液晶パネル100のTFTアレイ基板上に搭載してもよい。更に、前述の駆動回路1004を回路基板1308上に搭載することも可能である。
尚、図30に示す例はページャであるので、回路基板1308等が設けられている。しかしながら、駆動回路1004や更に表示情報処理回路1002を搭載して液晶表示モジュールをなす液晶パネル100の場合には、金属フレーム1302内に液晶パネル100を固定したものを液晶装置として、或いはこれに加えてライトガイド1306を組み込んだバックライト式の液晶装置として、生産、販売、使用等することも可能である。
また図31に示すように、駆動回路1004や表示情報処理回路1002を搭載しない液晶パネル100の場合には、駆動回路1004や表示情報処理回路1002を含むIC1324がポリイミドテープ1322上に実装されたTCP(Tape Carrier Package)1320に、TFTアレイ基板10の周辺部に設けられた異方性導電フィルムを介して物理的且つ電気的に接続して、液晶装置として、生産、販売、使用等することも可能である。
以上図28から図31を参照して説明した電子機器の他にも、液晶テレビ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、エンジニアリング・ワークステーション(EWS)、携帯電話、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた装置等などが図27に示した電子機器の例として挙げられる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、製造効率が高く高品位の画像表示が可能な液晶パネル100を備えた各種の電子機器を実現できる。
以下、本発明の内容を付記として説明する。
付記1に記載の液晶パネルは、一対の基板間に液晶が封入されてなり、該一対の基板の一方の基板上に、複数のデータ線と、該複数のデータ線に交差する複数の走査線と、前記複数のデータ線及び走査線に接続された複数の薄膜トランジスタと、該複数の薄膜トランジスタに接続された複数の薄膜トランジスタと、前記一対の基板の他方の基板の側から見て凹状に窪んだ部分を有する第1層間絶縁膜とを有し、前記薄膜トランジスタ、前記データ線及び前記走査線のうち少なくとも一部は、前記凹状に窪んだ部分に形成されてなることを特徴とする。
付記1に記載の液晶パネルによれば、第1層間絶縁層は、TFT、データ線及び走査線のうち少なくとも一つに対向する部分が他方の基板の側から見て凹状に窪んで形成されているので、従来のように第1層間絶縁層を平らに形成してその上にこれらのTFT等を形成する場合と比較すると、凹状に窪んだ部分の深さに応じて、これらのTFT等が形成された領域と形成されていない領域との合計層厚の差が減少し、画素部における平坦化が促進される。例えば、この合計層厚の差を実質的に零にするように凹状に窪んだ部分の深さを設定すれば、その後の平坦化処理を省略できるし、或いは、この合計層厚の差を多少なりとも減少させるように凹状に窪んだ部分の深さを設定すれば、その後の平坦化処理の負担を軽減できる。即ち、前述した従来の、平坦化膜のスピンコート等による塗布、平坦化された絶縁層の形成等の工程を、省略又は簡略化できる。
付記2記載の液晶パネルは、一対の基板間に液晶が封入されてなり、該一対の基板の一方の基板上には、複数のデータ線と、該複数のデータ線に交差する複数の走査線と、前記複数のデータ線及び走査線に接続された複数の薄膜トランジスタと、該複数の薄膜トランジスタに接続された複数の画素電極と、該複数の薄膜トランジスタの少なくともチャネル形成用領域を前記一方の基板の側から見て夫々覆う位置に設けられた遮光層と、前記遮光層上に形成された凹状に窪んだ部分を有する第1層間絶縁膜とを有し、前記薄膜トランジスタ、前記データ線及び前記走査線のうち少なくとも一部は、前記凹状に窪んで部分上に形成されてなることを特徴とする。
付記2に記載の液晶パネルによれば、遮光層は、複数のTFTの少なくともチャネル形成用領域を一方の基板の側から見て夫々覆う位置において一方の基板に設けられている。従って、一方の基板の側からの戻り光等が当該チャネル形成用領域に入射する事態を未然に防ぐことができ、光電流の発生によりTFTの特性が劣化するのを防ぐことができる。そして、第1層間絶縁層は、一方の基板上の遮光層が形成されている領域においては遮光層上に設けられており、遮光層が形成されていない領域においては一方の基板上に設けられている。従って、遮光層からTFT等を電気的絶縁し得ると共に遮光層がTFT等を汚染する事態を未然に防げる。ここで特に、第1層間絶縁層は、TFT、データ線及び走査線のうち少なくとも一つに対向する部分が他方の基板の側から見て凹状に窪んで形成されているので、従来のように第1層間絶縁層を平らに形成してその上にこれらのTFT等を形成する場合と比較すると、凹状に窪んだ部分の深さに応じて、これらのTFT等が形成された領域と形成されていない領域との合計層厚の差が減少し、画素部における平坦化が促進される。例えば、この合計層厚の差を実質的に零にするように凹状に窪んだ部分の深さを設定すれば、その後の平坦化処理を省略できるし、或いは、この合計層厚の差を多少なりとも減少させるように凹状に窪んだ部分の深さを設定すれば、その後の平坦化処理の負担を軽減できる。即ち、前述した従来の、平坦化膜のスピンコート等による塗布、平坦化された絶縁層の形成等の工程を、省略又は簡略化できる。
付記3に記載の液晶パネルは上記課題を解決するために付記1又は2に記載の液晶パネルにおいて、前記第1層間絶縁層は、単層から構成されていることを特徴とする。
付記3に記載の液晶パネルによれば、第1層間絶縁層を単層から構成すればよいので、従来の場合と比較しても層の数を増加させる必要が無く、凹状に窪んだ部分とそうでない部分との層厚を制御すれば、当該第1層間絶縁層が得られる。
付記4に記載の液晶パネルは付記1又は2に記載の液晶パネルにおいて、前記第1層間絶縁層は、単層部分と多層部分とから構成されており、前記単層部分が前記凹状に窪んだ部分とされており、前記多層部分が前記凹状に窪んでいない部分とされていることを特徴とする。
付記4に記載の液晶パネルによれば、単層部分が凹状に窪んだ部分とされているので、凹状に窪んだ部分における第1層間絶縁層の層厚を、単層部分の層厚として、比較的容易にして確実且つ高精度に制御できる。従って、この凹状に窪んだ部分における第1層間絶縁層の層厚を非常に薄くすることも可能となる。
付記5に記載の液晶パネルは上記課題を解決するために付記1から4のいずれか一項に記載の液晶パネルにおいて、前記一方の基板に前記複数の走査線と平行に夫々設けられており前記複数の画素電極に所定容量を夫々付与する複数の容量線を更に備えており、前記第1層間絶縁層は、前記容量線に対向する部分も前記凹状に窪んで形成されたことを特徴とする。
付記5に記載の液晶パネルによれば、第1層間絶縁層は、容量線に対向する部分も凹状に窪んで形成されているので、第1層間絶縁層の上方に容量線が配線される場合にも、当該容量線が配線された領域における平坦化を図ることが出来る。そして、容量線に対向する部分における第1層間絶縁層の層厚を非常に薄くすることも可能である。
付記6に記載の液晶パネルは上記課題を解決するために付記5に記載の液晶パネルにおいて、前記遮光層は、前記容量線を前記一方の基板の側から見て重なる位置においても前記一方の基板に設けられたことを特徴とする。
付記6に記載の液晶パネルによれば、容量線に対向する部分における第1層間絶縁層の層厚を薄くすれば、遮光層が容量線を一方の基板の側から見て重なる位置においても一方の基板に設けられているので、容量線の表面積を増やすことなく絶縁層を介して対向配置された遮光層とTFTを構成する半導体層との間における容量を増やすことが出来る。即ち、全体として画素電極の蓄積容量を増やすことが出来る。
付記7に記載の液晶パネルは上記課題を解決するために付記5又は6に記載の液晶パネルにおいて、前記第1層間絶縁層は、前記遮光層、前記半導体層及び前記容量線の合計層厚に対応した深さで前記凹状に窪んで形成されたことを特徴とする。
付記7に記載の液晶パネルによれば、第1層間絶縁層は、遮光層、TFTの半導体層及び容量線の合計層厚に対応した深さで凹状に窪んで形成されているので、これらの遮光層等が形成された領域とそれ以外の領域とにおける段差を低減することが出来、画素部における平坦化が促進される。
付記8に記載の液晶パネルは上記課題を解決するために付記5又は6に記載の液晶パネルにおいて、前記第1層間絶縁層は、前記遮光層、前記半導体層、前記容量線及び前記データ線の合計層厚に対応した深さで前記凹状に窪んで形成されたことを特徴とする。
付記8に記載の液晶パネルによれば、第1層間絶縁層は、遮光層、TFTの半導体層、容量線及びデータ線の合計層厚に対応した深さで凹状に窪んで形成されているので、これらの遮光層等が形成された領域とそれ以外の領域とにおける段差を低減することが出来、画素部における平坦化が促進される。
付記9に記載の液晶パネルは上記課題を解決するために付記1から8のいずれか一項に記載の液晶パネルにおいて、前記TFTを構成する半導体層は、前記データ線に沿って延設されており、前記遮光層は、前記データ線を前記一方の基板の側から見て重なる位置においても前記一方の基板に設けられたことを特徴とする。
付記9に記載の液晶パネルによれば、データ線に沿って延設された半導体層と、データ線を一方の基板の側から見て重なる位置に設けられた遮光層との間で、第1層間絶縁層を介して容量が形成される。この結果、データ線の下という開口領域を外れたスペースを有効に利用して、画素電極の蓄積容量を増やすことが出来る。
付記10に記載の液晶パネルは上記課題を解決するために付記1から8のいずれか一項に記載の液晶パネルにおいて、前記第1層間絶縁層は、酸化シリコン膜又は窒化シリコン膜から構成されていることを特徴とする。
付記10に記載の液晶パネルによれば、酸化シリコン膜又は窒化シリコン膜からなる第11間絶縁層により、遮光層からTFT等を電気的絶縁できると共に遮光層からの汚染を防止できる。しかも、このように構成された第1層間絶縁層は、TFTの下地層に適している。
付記11に記載の液晶パネルは上記課題を解決するために付記1から10のいずれか一項に記載の液晶パネルにおいて、前記遮光層は、Ti(チタン)、Cr(クロム)、W(タングステン)、Ta(タンタル)、Mo(モリブデン)及びPd(鉛)のうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする。
付記11に記載の液晶パネルによれば、遮光層は、不透明な高融点金属であるTi、Cr、W、Ta、Mo及びPdのうちの少なくとも一つを含む、例えば、金属単体、合金、金属シリサイド等から構成されるため、TFTアレイ基板上の遮光層形成工程の後に行われるTFT形成工程における高温処理により、遮光層が破壊されたり溶融しないようにできる。
付記12に記載の液晶パネルは上記課題を解決するために付記1から11のいずれか一項に記載の液晶パネルにおいて、前記遮光層は、定電位源に接続されていることを特徴とする。
付記12に記載の液晶パネルによれば、遮光層は定電位源に接続されているので、遮光層は定電位とされる。従って、遮光層に対向配置されるTFTに対し遮光層の電位変動が悪影響を及ぼすことはない。
付記13に記載の液晶パネルは上記課題を解決するために付記12に記載の液晶パネルにおいて、前記第1層間絶縁層は、前記遮光層と前記定電位源とが接続される位置において、前記凹状に窪んで形成されると共に開孔されたことを特徴とする。
付記13に記載の液晶パネルによれば、第1層間絶縁層は、遮光層と定電位源とが接続される位置において凹状に窪んで形成されているので、その製造プロセスにおいて、当該第1層間絶縁層形成後に、この凹状に窪んだ部分の深さに応じて、この位置を開孔する工程が容易となる。
付記14に記載の液晶パネルの製造方法は上記課題を解決するために付記2に記載の液晶パネルの製造方法であって、前記一方の基板上の所定領域に前記遮光層を形成する工程と、前記一方の基板及び遮光層上に絶縁層を堆積する工程と、該絶縁層に前記凹状に窪んだ部分に対応するレジストパターンをフォトリソグラフィで形成する工程と、該レジストパターンを介して所定時間のドライエッチングを行い前記凹状に窪んだ部分を形成する工程とを備えたことを特徴とする。
付記14に記載の液晶パネルの製造方法によれば、先ず、一方の基板上の所定領域に遮光層が形成され、一方の基板及びこの遮光層上に絶縁層が堆積される。次に、該絶縁層に凹状に窪んだ部分に対応するレジストパターンが、フォトリソグラフィで形成され、その後、ドライエッチングが、このレジストパターンを介して所定時間だけ行われて、凹状に窪んだ部分が形成される。従って、ドライエッチングの時間管理により、凹状に窪んだ部分の深さや層厚を制御できる。
付記15に記載の液晶パネルの製造方法は上記課題を解決するために付記3に記載の液晶パネルの製造方法であって、前記一方の基板上の所定領域に前記遮光層を形成する工程と、前記一方の基板及び遮光層上に第1絶縁層を堆積する工程と、該第1絶縁層に前記凹状に窪んだ部分に対応するレジストパターンをフォトリソグラフィで形成する工程と、該レジストパターンを介してエッチングを行い前記凹状に窪んだ部分に対応する前記第1絶縁層を除去する工程と、前記一方の基板及び第1絶縁層上に第2絶縁層を堆積する工程とを備えたことを特徴とする。
付記15に記載の液晶パネルの製造方法によれば、先ず、一方の基板上の所定領域に遮光層が形成され、一方の基板及びこの遮光層上に第1絶縁層が堆積される。次に、この第1絶縁層に、凹状に窪んだ部分に対応するレジストパターンが、フォトリソグラフィで形成され、その後、エッチングが、このレジストパターンを介して行われて、凹状に窪んだ部分に対応する第1絶縁層が除去される。その後、一方の基板及びこの第1絶縁層上に第2絶縁層が堆積される。この結果、凹状に窪んだ部分における第1層間絶縁層の層厚を、第2絶縁層の層厚の管理により、比較的容易にして確実且つ高精度に制御できる。
付記16に記載の液晶パネルの製造方法は上記課題を解決するために前記エッチングの方法として、少なくともドライエッチングで処理することを特徴とする。
付記16に記載の液晶パネルの製造方法によれば、前記エッチングを少なくともドライエッチングで行うため、レジストパターンのない遮光層上の絶縁層を異方的に除去できる。これにより、ほぼ設計とおりに高精度で凹状に窪んだ部分を形成できる。
付記17に記載の液晶パネルの製造方法は上記課題を解決するために前記エッチングの方法として、少なくともウエットエッチングで処理することを特徴とする。
付記17記載の液晶パネルの製造方法によれば、前記エッチングを少なくともウエットエッチングで行うため、遮光層上の絶縁層に形成した凹状に窪んだ部分の側壁をテーパー状に形成できる。これにより、側壁部に後工程で形成される配線用の膜やレジストを容易にして確実に除去できる。従って、不要な膜が残ることがなく、歩留まりの低下を招かない。
付記18に記載の液晶パネルの製造方法は上記課題を解決するために付記12に記載の液晶パネルの製造方法であって、前記一方の基板上の所定領域に前記遮光層を形成する工程と、前記TFTに対向する部分及び前記接続される位置に対応する部分が前記凹状に窪むように前記一方の基板及び遮光層上に前記第1層間絶縁層を形成する工程と、前記第1層間絶縁層上に前記TFTを形成する工程と、前記TFT及び第1層間絶縁層上に第2層間絶縁層を形成する工程と、前記遮光層と前記定電位源からの配線とを接続するためのコンタクトホールとして、前記接続される位置において前記遮光層に至るまで前記第2及び第1層間絶縁層を開孔すると同時に、前記TFTと前記データ線とを接続するためのコンタクトホールとして、前記TFTを構成する半導体層のソース又はドレイン領域に対向する位置において前記半導体層に至るまで前記第2層間絶縁層を開孔する工程とを備えたことを特徴とする。
付記18に記載の液晶パネルの製造方法によれば、一方の基板上の所定領域に遮光層が形成され、TFTに対向する部分及び遮光層と定電位源とが接続される位置に対応する部分が凹状に窪むように一方の基板及びこの遮光層上に第1層間絶縁層が形成される。その後、TFTが第1層間絶縁層上に形成され、更にTFT及び第1層間絶縁層上に第2層間絶縁層が形成される。この第2層間絶縁層は、TFT、データ線、走査線等の電気絶縁用に設けられるものである。ここで、遮光層と定電位源からの配線とを接続するためのコンタクトホールとして、遮光層に至るまで第2及び第1層間絶縁層が開孔され、同時に、TFTとデータ線とを接続するためのコンタクトホールとして、半導体層に至るまで第2層間絶縁層が開孔される。従って、これら2種類のコンタクトホールを一括して開孔できる。
付記19に記載の電子機器は上記課題を解決するために付記1から12に記載の液晶パネルを備えたことを特徴とする。
付記19に記載の電子機器によれば、電子機器は、上述した本願発明の液晶パネルを備えており、効率良く画素部を平坦化し得る液晶パネルにより高品位の画像表示が可能となる。
本発明の液晶パネルによれば、画素部における平坦化が促進され、平坦化膜のスピンコート等による塗布、平坦化された絶縁層の形成等の工程を、省略又は簡略化できる。
また、TFTの下側に遮光層を設けるタイプの液晶パネルにおいて、遮光層上に層間絶縁層が必要となるという構成上の特殊性を積極的に利用することにより、効率よく且つ比較的容易に画素部を平坦化することができ、比較的簡易な構成により液晶の配向不良を抑制することにより高品位の画像表示を行える。
1a…半導体層、1a'…チャネル形成用領域、1b…低濃度ソース領域(ソース側LDD領域)、1c…低濃度ドレイン領域(ドレイン側LDD領域)、1d…高濃度ソース領域、1e…高濃度ドレイン領域、1f…第1蓄積容量電極、2…ゲート絶縁膜、3a…走査線(ゲート電極)、3b…容量線(第2蓄積容量電極)、4…第2層間絶縁層、5a,5b…コンタクトホール、6a…データ線(ソース電極)、6b…定電位線、7…第3層間絶縁層、8…コンタクトホール、9a…画素電極、10…TFTアレイ基板、11a,11b…遮光層(第3蓄積容量電極)、12…第1絶縁層(第1層間絶縁層の下層)、12',12”…第1層間絶縁層、13…第2絶縁層(第1層間絶縁層の上層)、19…配向膜、20…対向基板、21…共通電極、22…配向膜、23…第2遮光層、30…TFT、50…液晶層、52…シール材、53…周辺見切り、70…蓄積容量、100…液晶パネル、101…データ線駆動回路、104…走査線駆動回路。