JP2007182599A - 複合めっき装置、複合めっき方法、及びその被めっき処理物 - Google Patents

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Abstract

【課題】被めっき物を空気中にさらすことなく、一つの複合めっき浴槽中で連続処理によって共析分散率を変えることによって、複合めっき皮膜の各領域間での剥離を防止し、また複合めっき浴中での粒子の再凝集を防止して複合めっき皮膜中への粒子の共析分散比率を均一化し、さらに複合めっき皮膜中の粒子の共析分散量を自由にコントロールできるようにする。
【解決手段】複合めっき装置10において、攪拌用ポンプ15によってめっき液を攪拌するとともに、めっき槽の一部を隔膜12によって仕切り、仕切り部分を複合粒子を含まないめっき液貯留槽11Aとし、11Aから液送ポンプ20によってめっき液を送り、披メッキ物13に向かって噴出ノズル19から噴出させる。この噴出量によって、粒子の共析分散量をコントロールする。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属めっき液中に不溶性粒子を分散させた複合めっき液を用いて、被めっき物の表面に複合めっき皮膜を形成する各種材料の表面処理技術に関するものであり、潤滑、耐磨耗、断熱等の各種機能性の改善に応用することができる。
従来より、ニッケルめっき液等の金属めっき液中に、アルミナ、ジルコニア、シリコンカーバイドといったセラミックスや、フッ化物高分子、窒化ボロン等の不溶性粒子を分散させた複合めっき液によって、被めっき物の表面に複合めっき皮膜を形成する複合めっき法が知られている。この複合めっき皮膜は、皮膜中に共析分散させた粒子の違いによって、それぞれ耐磨耗性、潤滑性、熱伝導性が付与され機能性皮膜としての働きを得ることができる。このような機能性皮膜の働きを有効に発揮させるために、皮膜中に共析分散させる粒子の分散比率をコントロールする方法が必要である。
従来から知られているコントロール方法として、複数の粒子分散濃度の違う複合めっき浴を用意して、それぞれのめっき浴中で所望の厚さの複合めっき皮膜を形成するというものがあるが、この方法は上述のとおり複数の複合めっき浴を用意しなければならないため、その管理が大変であってコストも掛かり、異なるめっき浴に入れる前に被めっき物を一旦空気中に出さなければならないため、皮膜界面での剥離が発生する恐れがある。
また、電流密度や撹拌速度を変化させる方法も良く知られている。しかし、このような方法は、コントロール範囲が決して広いわけではなく、複合めっき皮膜中において共析分散量を広範囲に亘ってコントロールすることは困難である。
この他に、従来から知られているコントロール方法としては、以下の特許公報に記載されたものが挙げられる。
(1) 特許第3178126号公報(金属断熱層の形成方法)
これに記載されたコントロール方法は、断熱層を形成すべき金属基体表面に、金属めっき層/断熱材粒子分散めっき層/金属めっき層、を順次形成する方法であり、最初に粒子を添加しない金属めっき液中で金属めっき層を形成し、その後粒子を徐々に添加していき、次いで、めっき液の所定量をろ過することによって、徐々にめっき液中の粒子分散量を減少させるというものである。なお、特許第3188995号公報に記載された分散方法も同様である。
(2) 特許第3391113号公報(複合めっき方法)
これに記載されたコントロール方法は、金属めっき液中に不溶性粒子を分散させた複合めっき液を用いて、噴流状態で基板表面に吹き付け、その流速を調整する(時間とともに徐々に遅くする)ことによって、共析量を厚さ方向に制御するというものである。
(3) 特許第2620480号公報(複合めっき皮膜の共析量コントロール方法)
これに記載されたコントロール方法は、複合めっき方法において、金属めっき液中の金属イオン濃度を調節することにより、金属マトリックス中への不溶性粒子の共析量をコントロールするというものである。
(4) 特許第2616324号公報(複合めっき皮膜の共析量コントロール方法)
これに記載されたコントロール方法は、被めっき物を互いに異なる比表面積を有する不溶性粒子が分散された複数の複合めっき液で順次めっきすることにより、上記被めっき物に内側と外側とで不溶性粒子の共析量が異なる複合めっき皮膜を形成するというものである。
(5) 特許第3175458号公報(コイルスプリングに対する複合めっき皮膜の形成方法)
これに記載されたコントロール方法は、コイルスプリング表面への複合めっき皮膜の形成方法において、めっき浴を十分に撹拌して一度複合材をめっき浴中に均一に分散した後、撹拌を緩めて又は撹拌を止めて、上記複合材をめっき浴中で沈降させながらめっきを行うことにより、コイルスプリングの上面に複合材を多く共析させると共に、この上面に対向する下面に複合材を少なく共析させるというものである。
特許第3178126号公報 特許第3391113号公報 特許第2620480号公報 特許第2616324号公報 特許第3175458号公報
上記特許文献1に記載されたコントロール方法では、複合めっき液中の不溶性粒子分散量は、増やしていくことは容易であるが、ろ過することにより減らしていくことはろ過フィルターを管理する点で、かなりの困難を伴うものである。
また、上記特許文献2に記載されているように、複合めっき液を噴流状態で直接被めっき物に吹き付ける方法では、高速の流れによって被めっき物の表面にある粒子が吹き飛ばされてしまうため、めっき皮膜中の粒子の共析分散量を高くすることは困難である。
上記特許文献3と特許文献4に記載されたコントロール方法では、どちらも複数の複合めっき浴を用意しなければならないため、その管理が大変でありコストが掛かるばかりでなく、異なるめっき浴に入れる前に被めっき物を一旦空気中に出さなければならないため、皮膜界面での剥離が発生する恐れがある。
また、上記特許文献5に記載されたコントロール方法では、粒子の種類にもよるが、複合めっき浴では撹拌を止めてしまうと粒子の凝集が起こり易くなり、再度撹拌を再開しても、粒子の種類によっては一旦凝集した粒子を再分散させることは困難となる場合がある。
そこで、本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その技術課題は、被めっき物を空気中にさらすことなく、一つの複合めっき浴槽中で連続処理によって所望の共析分散率の複合めっき皮膜を形成して、複合めっき皮膜の各領域間での剥離を防止することができるように、また、複合めっき浴中での粒子の再凝集を防止することができ、複合めっき皮膜中への粒子の共析分散比率を均一化できるように、さらに、複合めっき皮膜中の粒子の共析分散量を自由にコントロールすることができるように、複合めっき処理槽の構成について工夫したり、複合めっき皮膜中の粒子の共析分散量をコントロールする手段について工夫することである。
上記課題を解決するために講じた手段は、複合めっき皮膜の形成において、めっき皮膜中の粒子の共析分散量を自由にコントロールするための技術的事項に関することであり、その大要は次のとおりである。
複合めっき装置において、複合めっき処理槽には複合めっき液を満たし、ここに撹拌ポンプ又は撹拌プロペラ等の複合めっき液撹拌手段を設置し、更にこの複合めっき処理槽の一部を、液体や金属イオンは透過させ、粒子は透過させない隔膜によって仕切り、この仕切り部分を複合粒子が存在しない金属めっき液のみが満たされた金属めっき液貯留槽とし、この金属めっき液貯留槽から液送ポンプを使って金属めっき液を液送して、被めっき物の近傍に設置された噴出ノズルから該被めっき物のめっき面に向かって金属めっき液を噴出させ、更にその噴出量をコントロールすることによって、該被めっき物のめっき面に形成される複合めっき皮膜中の粒子の共析分散量を自由にコントロールすることができる。また、該被めっき物の周囲を筒状に覆う筒状覆いを設置することによって、筒状覆い内の金属めっき液の濃度を容易に制御することができるので、それによって複合めっき皮膜中の粒子の共析分散量を容易にコントロールすることができる。
さらに、本方式によれば、複合めっき皮膜を形成している途中で、被めっき物をめっき浴から引き上げて空気中にさらす必要が無いため、皮膜界面での剥離を防ぐことができる。
次に、上記課題を解決するために講じた手段について、請求項に対応させて説明する。
(1) 上記課題を解決するために講じた解決手段1(請求項1に対応)は、金属めっき液中に不溶性粒子を分散させた複合めっき液を用いて、被めっき物に対して金属マトリックス中に上記不溶性微粒子が共析分散された複合めっき皮膜を形成する複合めっき装置を前提として、
複合めっき液撹拌手段と複合めっき液分離手段を有する複合めっき処理槽を備え、
上記複合めっき液分離手段として、液体や金属イオンは透過させ、上記不溶性粒子は透過させない隔膜を用いて、
上記複合めっき処理槽の一方側が、複合めっき液から分離された金属めっき液のみが満たされた金属めっき液貯留槽となることである。
このように構成することにより、複合めっき処理槽の一部を隔膜によって仕切り、仕切った一方側を不溶性微粒子の存在しない金属めっき液のみが満たされた金属めっき液貯留槽としているので、めっき槽を複数用意する必要が無く、また、被めっき物を空気中にさらすこともなく、一つの複合めっき浴槽中で連続処理によって所望の共析分散率の複合めっき皮膜を形成することができる。さらに、複合めっき液撹拌手段により複合めっき浴中での粒子の再凝集を防止することができ、複合めっき皮膜中への粒子の共析分散比率を均一化することができる。
(2) また、上記複合めっき装置において、めっき液貯留槽に液送手段を備え、この液送手段により金属めっき液を液送して、被めっき物の近傍に設置した噴出ノズルから被めっき物の被めっき面に向かって金属めっき液を噴出させる機構を備えることができる。(請求項2に対応)
このような構成により、噴出ノズルから被めっき物の被めっき面に向かって金属めっき液を噴出させることによって、めっき面に接触する複合めっき液の分散粒子濃度を変えることができる。
(3) また、上記複合めっき装置において、噴出ノズルから被めっき面に向かって噴出させる金属めっき液の送量を調節する液送量調節手段を備えることができる。(請求項3に対応)
このような構成により、噴出ノズルから被めっき面に向かって噴出させる金属めっき液の送量を調節することができるようにしているので、めっき面に接触する複合めっき液の分散粒子濃度を調整することができる。
(4) また、上記複合めっき装置において、上記被めっき物の被めっき面に接触する上記複合めっき液の分散粒子濃度を調整する分散粒子濃度調整手段を備えて成り、上記金属めっき液の噴出時には該分散粒子濃度調整手段を設置し、該金属めっき液の噴出停止時には該分散粒子濃度調整手段を設置しないようにすることができる。(請求項4に対応)
このような構成により、分散粒子濃度調整手段を備えることによって、被めっき物の被めっき面に接触する複合めっき液と金属めっき液の比率を制御することができるので、該被めっき面に接触する複合めっき液の分散粒子濃度を調整することが可能となる。
(5) また、上記分散粒子濃度調整手段として、被めっき物の周囲を筒状に覆う筒状覆いを有してもよい。(請求項5に対応)
このような構成により、被めっき物の周囲を覆う筒状覆いは、複数箇所で分割できる構造となっているので、被めっき物の被めっき面に接触する噴出ノズルからの金属めっき液と複合めっき液の比率を、該筒状覆いの隙間量によって制御することができる。これにより、該被めっき面に接触する複合めっき液の分散粒子濃度を調整することが可能となる。
(6) 上記課題を解決するために講じた解決手段2(請求項6に対応)は、金属めっき液中に不溶性粒子を分散させた複合めっき液を用いて、被めっき物に対して金属マトリックス中に上記不溶性微粒子が共析分散された複合めっき皮膜を形成する複合めっき方法を前提として、
複合めっき処理槽に複合めっき液を貯留し、
上記複合めっき処理槽の一部を、液体や金属イオンは透過させ、上記不溶性粒子は透過させない隔膜を用いて仕切り、この仕切り部分に上記複合めっき液から分離した金属めっき液を貯留し、
上記複合めっき処理槽に貯留した複合めっき液を攪拌し、
上記複合めっき処理槽の仕切り部分に貯留した金属めっき液を被めっき物の被めっき面に向かって噴出させ、
上記被めっき物の被めっき面に複合めっき皮膜を形成することである。
このように構成することにより、複合めっき液を貯留した複合めっき処理槽の一部を隔膜によって仕切り、この仕切り部分に不溶性微粒子の存在しない金属めっき液を貯留しているので、めっき槽を複数用意する必要が無く、また被めっき物を空気中にさらすこともなく、一つの複合めっき浴槽中で連続処理によって所望の共析分散率の複合めっき皮膜を形成することができる。
また、複合めっき液撹拌手段により複合めっき浴中での粒子の再凝集を防止することができるので、複合めっき皮膜中への粒子の共析分散比率を均一化することが可能である。さらに、被めっき物の被めっき面に向かって噴出させる金属めっき液の噴出量を調節することができるので、複合めっき皮膜中の粒子の共析分散量をコントロールすることが可能である。
本発明の効果を主な請求項毎に整理すると、次ぎのとおりである。
(1) 請求項1に係る発明
複合めっき処理槽の一部を隔膜によって仕切り、仕切った一方側を不溶性微粒子の存在しない金属めっき液のみが満たされた金属めっき液貯留槽としているので、めっき槽を複数用意する必要が無いため、めっき浴の管理が容易であるばかりでなく、コストダウンを実現することができる。
また、被めっき物を空気中にさらすこともなく、一つの複合めっき浴槽中で連続処理によって複合めっき皮膜を形成することができるので、複合めっき皮膜の各領域間での剥離を防止することができる。さらに、複合めっき液撹拌手段により複合めっき浴中での粒子の再凝集を防止することができ、複合めっき皮膜中への粒子の共析分散比率を均一化することができる。
(2) 請求項2及び請求項3に係る発明
噴出ノズルから被めっき物の被めっき面に向かって金属めっき液を噴出させ、且つ噴出させる金属めっき液の送量を自由にコントロールすることができるようにしているので、めっき面に接触する複合めっき液の分散粒子濃度を調整することができ、複合めっき皮膜内の分散粒子の共析分散比率を自由にコントロールすることが可能である。
(3) 請求項4及び請求項5に係る発明
分散粒子濃度調整手段を設けることにより、被めっき物の被めっき面に接触する複合めっき液の分散粒子濃度を調整することができるので、複合めっき皮膜内の分散粒子の共析分散比率を自由にコントロールすることが可能である。
また、分散粒子濃度調整手段が複数箇所で分割できる構造を持ち、被めっき物の周囲を覆う筒状覆いから成る場合には、該筒状覆いの隙間量によって、該被めっき物のめっき面に接触する複合めっき液の分散粒子濃度を調整することができるので、複合めっき皮膜内の分散粒子の共析分散比率を自由にコントロールすることが可能である。
(4) 請求項6に係る発明
複合めっき液を貯留した複合めっき処理槽の一部を隔膜によって仕切り、この仕切り部分に不溶性微粒子の存在しない金属めっき液を貯留しているので、めっき槽を複数用意する必要が無く、且つ、被めっき物を空気中にさらすことが無く、一つの複合めっき浴槽中で連続処理によって所望の共析分散率の複合めっき皮膜を形成することができるため、めっき浴の管理が容易であり、複合めっき皮膜の各領域間での剥離を防止することができるばかりでなく、コストダウンを実現することが可能である。
また、複合めっき液撹拌手段により複合めっき浴中での粒子の再凝集を防止することができるので、複合めっき皮膜中への粒子の共析分散比率を均一化することが可能である。さらに、被めっき物の被めっき面に向かって噴出させる金属めっき液の噴出量を調節することができるので、複合めっき皮膜中の粒子の共析分散量をコントロールすることが可能である。
(5) 請求項7に係る発明
請求項1〜請求項5のいずれかに記載の複合めっき装置、又は請求項6に記載の複合めっき方法を用いて被めっき物表面に複合めっき皮膜を形成しているので、高機能の複合めっき皮膜が形成された被めっき物を作製することができる。
以下、本発明の実施の形態による複合めっき装置について、添付図面を参照しながら説明する。この実施の形態による複合めっき装置は、電気めっき(電鋳)によるものであるが,無電解複合めっきによるものでも対応可能である。
先ず、上記複合めっき装置10について、図1〜図5を参照しながら説明する。図1〜図3はそれぞれ液攪拌方式が異なる複合めっき装置の概略図、図4はアノードの概略図、また図5は筒状覆いの概略図である。
この複合めっき装置10の構成は、カソード(被めっき物)、アノードといった電極類や整流器は必要なく、図1〜図3に示すように、被めっき物13をそのまま複合めっき浴中に浸漬して複合めっきを行うようにしている。複合めっき浴の主な成分は、金属塩、分散粒子以外に、安定剤、還元剤、pH緩衝剤、錯化剤、応力緩和剤、ピット防止剤といったものであり、金属塩の種類に応じて使い分けるようにする。その他に、粒子を効率的に液中に分散させるための分散助剤(界面活性剤)を添加すると良い。このような構成を取ることにより、無電解複合めっきによる複合めっきが可能となる。
複合めっき装置10の複合めっき処理槽11の一部を、液体や金属イオンは透過させ、粒子は透過させない隔膜12によって仕切り、仕切った一部は、微粒子が存在しない金属めっき液のみが満たされた状態の金属めっき液貯留槽11Aとする。この金属めっき液貯留槽11Aのサイズは、最低限、被めっき物13への一回の複合めっき処理に必要な金属めっき液の量が貯留できるものとする。上記隔膜12の材質は、一般的なメンブレンフィルターのような樹脂製フィルターが適しているが、ポアサイズは分散粒子の粒子径に合わせて選定する。ポアサイズをむやみに小さくすると金属めっき液の透過速度が小さくなり、金属めっき液貯留槽11Aに供給される金属めっき液の量が不足するため、注意を要する。実際には、分散粒子径の5倍程度のポアサイズでも粒子は透過しないので、それを目安になるべく大きなポアサイズにすると良い。
なお、複合めっき液投入前に、隔膜12にエタノールやIPAといったアルコール類を染み込ませておくと、金属めっき液の浸透がスムーズに行われる。
上記隔膜12によって仕切った電鋳処理槽11Bには撹拌用ポンプ15を設置し、吸込口16から吸い込むと同時に、該電鋳処理槽11Bの底部に設置した噴出パイプ17の斜め下部に多数設けられた噴出口17aから複合めっき液を吹き出して、分散粒子の撹拌を行うようにする(図1を参照)。複合めっき液撹拌方式としては、これ以外にも、電鋳処理槽11Bの底部に撹拌用プロペラ28を複数設置したもの(図2を参照)、超音波振動子30aを設置したもの(図3を参照)を利用することができる。
また、アノード21として、金属めっき液中への金属イオン供給源となる金属板やチタンでできたバスケット22内に金属ペレット23を入れたものと、それに対向するようにカソードとしての被めっき物13を設置し、整流器27によってアノード21側にプラス電極を、被めっき物13側にマイナス電極を取り付けて通電できるようにする(図1〜図3を参照)。上記アノード21は、分散粒子が上記金属に付着して通電不良を起こさないように、前述の隔膜12と同じ隔膜24でバック状に覆い、更にその上を保護用の丈夫な布地でできたアノードバック25で覆うようにする(図4を参照)。
なお、被めっき物13側には、分散粒子を効率的に取り込むための揺動機構と、ピット発生を防止するための衝撃発生機構を設置する(特に図示せず)。
この他にも図示はされていないが、ヒーター及び温度調整機構が設置されていることは言うまでも無い。
前述の金属めっき液貯留槽11Aの下部には液送パイプ18が設置され、液送ポンプ20によって金属めっき液が液送され、アノード21の面側から被めっき物13のめっき面に向かって、噴出ノズル19によって吹き付けるようになっている。この噴出ノズル19から噴出される金属めっき液の液量は、液送量調節手段(図示を省略)を設けることにより、自由に調節することができる。また、この噴出ノズル19は、被めっき物13の大きさに応じて、単数又は複数設置することも可能である(図1〜図3を参照)。
また、上記被めっき物13とアノード21との間に、被めっき物の被めっき面に接触する複合めっき液と金属めっき液の比率を制御する分散粒子濃度調整手段として、被めっき物13の周囲を覆うような筒状覆い14を設置している(図5を参照)。この筒状覆い14は複数箇所で分割できる構造となっており、自由に広がって隙間を開けたり(図5(b))、逆に完全に隙間を閉じる(図5(a))ことができる。また、この筒状覆い14の被めっき物13側の端は、該被めっき物13にほぼ接するように設置される。
このような構成により、前述の噴出ノズル19から噴出される金属めっき液の噴出量と、該筒状覆い14の隙間量によって、被めっき物13のめっき面に接触する複合めっき液中の分散粒子濃度を調整することができ、複合めっき皮膜内の分散粒子の共析分散比率を自由にコントロールすることができる。
具体的には、分散粒子を複合めっき皮膜中に取り込みたくない時には、上記筒状覆い14を完全に閉じてここに金属めっき液を多量に噴出すればよい。逆に、複合めっき皮膜中の分散粒子の分散比率を極力高めたい場合には、該筒状覆い14を完全に開くか、又は取り払って、金属めっき液の噴出を停止させればよい。
以上のような構成を採ることにより、被めっき物13へ形成する複合めっき皮膜内の共析分散粒子比率を連続的に自由にコントロールすることができ、且つ皮膜界面間での剥離不良を完全に抑えることができる。さらに、このような構成であれば、単一槽での複合めっき処理が可能となり、めっき浴の管理が容易であり、必要なコストを低減することが可能となる。
次に、本発明によるポリイミド粒子の複合めっき処理の一つの実施例について、図6を参照しながら説明する。
この複合めっき皮膜は、最表面部(複合めっき皮膜の外表面部)及び被めっき物の表面部には分散粒子が殆ど共析分散されず、該複合めっき皮膜の厚み方向中央部では高い共析分散比率となっている。
例えば、このような複合めっき皮膜を金型表面に形成することにより、次のような特性を持たせることができる。金型表面は粒子がほとんど存在しないため、研磨によって面粗度を自由に制御することができ、良好な転写特性が得られる。また、金型界面部には粒子が殆ど存在しないため密着性が良好であり、界面剥離が起きない。これに対して、該複合めっき皮膜の中心部には、低熱伝導率を持つポリイミド粒子が高い比率で共析分散されているため、金型の断熱特性が高まり高速タクトタイムを実現することができる。
(1) スルファミン酸ニッケル500g/L、塩化ニッケル30g/L、ほう酸30g/Lの浴主組成に、ポリイミド粒子を20g/Lの比率で分散させる。その他に、粒子の分散助剤としてカチオン系の界面活性剤を0.1mL/L、ピット防止剤を1mL/L添加した。
(2) アノードとしてニッケル板を設置し、被めっき物として鉄合金板を用意し、事前に脱脂や酸洗浄をしておく。
(3) 上記複合めっき浴をヒーターによって50〜55℃に加熱し、前述の鉄合金板を浴中に設置し、通電を開始する。通電初期は、複合めっき液になじませるために、0.2A/dmで2分間通電する。次に、15A/dmまで電流密度を上昇させ、10分間通電させる。この時には筒状覆いを完全に閉じて、金属めっき液を噴出させる。
次に、電流密度を2A/dmまで降下させ、140分間通電させる。この時には筒状覆いを大きく開き、金属めっき液の噴出を停止させる。最後に、再度電流密度を15A/dmまで上昇させ、10分間通電させる。この時には筒状覆いを完全に閉じて、金属めっき液を噴出させる。
上記のように操作することによって、被めっき物上に約100μm厚さの複合めっき皮膜(図6を参照)が形成される。この複合めっき皮膜の断面測定の結果、該被めっき物の表面から約25μm厚さの領域31には、ポリイミド粒子は殆ど共析分散されずほぼニッケルのみとなっている。また、中央部の約50μm厚さ領域32では、ポリイミド粒子が25体積%の共析分散率を示し、最も表面側の約25μm厚さ領域33では、上記領域31と同様にほぼニッケルのみとなっている。
は、本発明の実施の形態による複合めっき装置であり、液攪拌方式として攪拌ポンプを使用した場合の模式的な概略図である。 は、本発明の実施の形態による複合めっき装置であり、液攪拌方式として攪拌用プロペラを使用した場合の模式的な概略図である。 は、本発明の実施の形態による複合めっき装置であり、液攪拌方式として超音波振動子を使用した場合の模式的な概略図である。 は、アノードの概略説明図である。 は、筒状覆いの概略説明図であり、(a)は分割部が閉じた状態、(b)は分割部が開いた状態を示す。 は、金型表面に形成した複合めっき皮膜の断面の概略説明図である。
符号の説明
10…複合めっき装置 11…複合めっき処理槽
11A…金属めっき液貯留槽 11B…電鋳処理槽
12…隔膜 13…被めっき物
14…筒状覆い 15…攪拌ポンプ
16…吸込口 17…噴出パイプ
17a…噴出口 18…液送パイプ
19…噴出ノズル
20…液送ポンプ 21…アノード
22…チタンバスケット 23…金属ペレット
24…隔膜 25…アノードバック
27…整流器 28…攪拌用プロペラ
30…超音波発振器 30a…超音波振動子
31,33…Niリッチ領域 32…ポリイミド粒子高共析分散領域

Claims (7)

  1. 金属めっき液中に不溶性粒子を分散させた複合めっき液を用いて、被めっき物に対して金属マトリックス中に上記不溶性微粒子が共析分散された複合めっき皮膜を形成する複合めっき装置において、
    複合めっき液撹拌手段と複合めっき液分離手段を有する複合めっき処理槽を備え、
    上記複合めっき液分離手段として、液体や金属イオンは透過させ、上記不溶性粒子は透過させない隔膜を用いて、
    上記複合めっき処理槽の一方側が、複合めっき液から分離された金属めっき液のみが満たされた金属めっき液貯留槽となることを特徴とする複合めっき装置。
  2. 上記めっき液貯留槽に液送手段を備え、この液送手段により金属めっき液を液送して、被めっき物の近傍に設置した噴出ノズルから被めっき物の被めっき面に向かって金属めっき液を噴出させる機構を備えることを特徴とする請求項1に記載の複合めっき装置。
  3. 上記噴出ノズルから被めっき面に向かって噴出させる金属めっき液の送量を調節する液送量調節手段を備えることを特徴とする請求項2に記載の複合めっき装置。
  4. 上記被めっき物の被めっき面に接触する上記複合めっき液の分散粒子濃度を調整する分散粒子濃度調整手段を備えて成り、上記金属めっき液の噴出時には該分散粒子濃度調整手段を設置し、該金属めっき液の噴出停止時には該分散粒子濃度調整手段を設置しないことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の複合めっき装置。
  5. 上記分散粒子濃度調整手段として、被めっき物の周囲を筒状に覆う筒状覆いを有することを特徴とする請求項4に記載の複合めっき装置。
  6. 金属めっき液中に不溶性粒子を分散させた複合めっき液を用いて、被めっき物に対して金属マトリックス中に上記不溶性微粒子が共析分散された複合めっき皮膜を形成する複合めっき方法において、
    複合めっき処理槽に複合めっき液を貯留し、
    上記複合めっき処理槽の一部を、液体や金属イオンは透過させ、上記不溶性粒子は透過させない隔膜を用いて仕切り、この仕切り部分に上記複合めっき液から分離した金属めっき液を貯留し、
    上記複合めっき処理槽に貯留した複合めっき液を攪拌し、
    上記複合めっき処理槽の仕切り部分に貯留した金属めっき液を被めっき物の被めっき面に向かって噴出させ、
    上記被めっき物の被めっき面に複合めっき皮膜を形成することを特徴とする複合めっき方法。
  7. 請求項1〜請求項5のいずれかに記載された複合めっき装置、又は請求項6に記載された複合めっき方法よって製作された被めっき処理物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101388108B1 (ko) * 2012-07-26 2014-04-23 주식회사 케이씨텍 기판 도금 장치
CN108531946A (zh) * 2018-05-04 2018-09-14 东北石油大学 一种实验室内制备Ni-Co-SiC织构纳米镀层的方法及其实验装置

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